説明

AFC制御装置、AFC制御方法、AFC制御プログラム及び移動通信装置

【課題】VCTCXOの安定度、経年変化に対しI、Qの位相ずれ補正を可能にする。
【解決手段】移動通信装置100における受信周波数と基地局との送信周波数を合わせるためのAFC制御装置に、受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出しずれ量が少なくなるように電圧制御発振器109の制御電圧を調整し出力周波数を制御し受信周波数の補正を行う受信周波数補正部201と、基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化し、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲が重複するように複数の基準値を保存する基準値保存部203と、移動通信装置の電源投入毎に一定時間に同期を得ない場合基準値保存部から順次取り出した基準値を電圧制御発振器への制御電圧の基準値として変更し同期を得るまで変更を継続し同期を得た場合電圧制御発振器の制御電圧の基準値として同期を得た基準値を固定させる基準値検索部204とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信装置における受信周波数を基地局の送信周波数に合わせるためのAFC(Automatic Frequency Control)制御装置に関する。特に、本発明は、AFC制御に用いられるアナログ素子であるVCTCXO(Voltage Controlled Temperature contolled Xtal Oscillator:電圧制御温度補償型水晶発振機)等のアナログ素子の安定度、経年変化(周波数エージング)に起因し、受信周波数がAFC機能の引き込み範囲から逸脱するのを防止することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、移動通信装置に用いられる通信方式として、干渉や妨害に強いCDMA(Code Division Mutiple Access)通信方式が注目されている。このCDMA通信方式とは、送信側では送信したいユーザ信号を拡散符号により拡散して送信し、受信側ではその拡散符号と同一の拡散符号を用いて逆拡散を行うことにより元のユーザ信号を得る通信方式である。
【0003】
そのため、CDMA通信方式では、送信側と受信側の拡散符号系列の位相の同期をとらなければ受信側において逆拡散を行うことができない。このため移動通信装置である移動局では、基地局から受信した信号の復調を行う際に用いられる局部発振信号の周波数を生成するための基準発振器として非常に周波数制度の高いVCTCXO(Voltage Controlled Temperature contolled Xtal Oscillator:電圧制御温度補償型水晶発振機)を用いると共に、その局部発振信号の周波数を制御して、基地局の送信周波数と移動局の受信周波数を合わせるためのAFC(Automatic Frequency Control)制御が行われている。
【0004】
このAFC制御では、コスタスループ等によりI(In−phase component)、Q(Quadrature component)の位相情報からシンボルのずれを求め、VCTCXO等のアナログ素子を制御して受信周波数を補正している。
しかし、狭い帯域下で情報を伝送する場合には、帯域と伝送速度が相反する関係にあるので、必然的に伝送速度は低下する方向に向かい、周波数の引き込み範囲自体が狭くなる。
【0005】
さらに、VCTCXOは、水晶の安定度が狭帯域下で使用するには十分なスペックを有していないのが現状であり、何らかの方法をとらないと、通信システムとして十分な通信を保証することができないものでもある。
このため、多値化変調によって、伝送速度を可能な限りアップすることになるが、通信方式としてのボーレートは、伝送速度の低下に比例し、低い値となる。
【0006】
仮に、周波数の引き込み範囲として、6.25kHzの帯域幅で、送信可能なデータ伝送速度を検討した場合、ベースバンド帯域制限に使用されるルートナイキストフィルタのロールオフ(例えば、=0.3)率等を考慮すると、ボーレートは、高々4.8kボー(=6.25kHz/1.3)程度が限界となる。
4.8kのボーレートは、角速度4.8kと等価であるため、このような通信方式に上述したI、Qの位相ずれを補正する方法を適用すると、90度のずれは周波数で1200Hzとなり、これがガウス平面上での1象限分の周波数変動ということになる。すなわち、シンボルレートの1/4の範囲についてAFCとして引き込み可能ということになる。
【0007】
このため、上記のような補正方法の場合、この1200Hz(±600Hz)がAFCとして引き込みを行える限界値となる。
これに対して、VCTCXO等の水晶部品の安定度は0.9ppm程度が限界であるのが現状であり、このような部品を使用してシステム設計を行った場合、400MHzの無線周波数を使用すると、周波数変動は約360Hz(=400M×0.9ppm)となる。
【0008】
そして、この周波数変動が基地局と移動局との間で発生した場合、基地局と移動局との間では最大で約720Hzの周波数変動が発生し、AFCの引き込み限界値を超えてしまうことになり、移動局では周波数変動を引き込むことができないという第1の問題がある。
さらに、VCTCXO等のアナログ素子の経年変化(周波数エージング)に起因しさらに大きな周波数変動が基地局と移動局との間で発生した場合には移動局では周波数変動を引き込むことができないという第2の問題がある。
【0009】
従来、このような問題に関連した従来技術として、以下のものがある。
従来、QPSKなどのディジタル変調信号を受信する受信機に関し、マルチ伝送速度に対応でき、誤選局の少ない受信機を実現することを目的とし、マルチ伝送速度対応の受信機において、選局するキャリアの伝送速度に基づいて、探索するキャリアの掃引周波数範囲を算出し、該掃引周波数範囲内を掃引制御して同期引き込みを図ることにより誤った選局を防止するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
しかしながら、上記特許文献1では、選局するキャリアの伝送速度に基づいて、探索するキャリアの掃引周波数範囲を算出し誤選局を防止するが、前述のように、周波数変動に対して、I、Qの位相ずれを補正する方法でVCTCXO等のアナログ素子の安定度の限界を超え、経年変化に起因して周波数変動の引き込みが行えなくなるという問題を解決するものではない。
【0011】
また、従来、必要となるウィンドウ幅を狭くして、相関器の数を減らすことにより回路規模および演算処理量を削減するため、ずれ量判定手段は、各相関器からの相関値を比較することにより、現在設定されている周波数中心値と、最大相関値が得られる同期タイミングとのずれ量およびずれ方向を検出し、ウィンドウ位置変更信号をウィンドウ移動手段に出力し、ウィンドウ移動手段は、ずれ量判定手段からのウィンドウ位置変更信号に基づいてウィンドウ幅の周波数中心値の変更を行い、AFC誤差により相関値最大タイミングが中心周波数から移動した場合には、それに合わせてウィンドウの位置自体が移動されるので、ウィンドウ幅を狭くしても相関値最大タイミングがウィンドウからはずることがないようにしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
しかしながら、上記特許文献2では、必要となるウィンドウ幅を狭くして、相関器の数を減らすことにより回路規模および演算処理量を削減するが、前述のように、周波数変動に対して、I、Qの位相ずれを補正する方法でVCTCXO等のアナログ素子の安定度の限界を超え、経年変化に起因して周波数変動の引き込みが行えなくなるという問題を解決するものではない。
【0013】
また、従来、三角波発生器を用いた周波数掃引方式では、同期確立を早めるために三角波の発振周波数を上げると低C/N時での同期確立が困難になり、同期確立を確実なものとするために掃引範囲を広くすると確立までに時間がかかるため、同期状態のときにVCOの発振周波数のデータをメモリに記憶しておき、掃引の開始時にはこの記憶されたデータの近傍の周波数から掃引を行うことで、短時間で同期確立を行うことができ、また、VCOを周波数シンセサイザにより制御することで、掃引周波数のステップ幅や範囲を任意に設定でき、掃引速度や低C/Nでのキャリア再生能力を調節することが可能となるものもある(例えば、特許文献3参照)。
【0014】
しかしながら、上記特許文献3では、三角波発生器を用いた周波数掃引方式では、同期確立を早めるために三角波の発振周波数を上げると低C/N時での同期確立が困難になり、同期確立を確実なものとするために掃引範囲を広くすると確立までに時間がかかるという問題を解決するが、前述のように、周波数変動に対して、I、Qの位相ずれを補正する方法でVCTCXO等のアナログ素子の安定度の限界を超え、経年変化に起因して周波数変動の引き込みが行えなくなるという問題を解決するものではない。
【0015】
また、従来、AFCループにおける遅延検波周波数誤差検出回路をもつデジタル復調システムにおいて、入力信号が伝送路によって歪み、第2中間周波数発信器の発振周波数と選局周波数によってダウンコンバートされた希望信号周波数との周波数誤差がゼロでないポイントでAFCループが安定し、デジタル復調システムが非同期状態で安定してしまうため、AFC制御値変動手段によって、AFC手段からのAFC制御値に一定量を順次加減算していき、AFC制御値を強制的に変動させ、同期判定手段が同期と判定するまで、この動作を繰返すことにより、第2中間周波数発信器の発振周波数誤差がゼロのポイントでAFCループを安定させ、デジタル復調システムを同期に引き込むものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0016】
しかしながら、上記特許文献4では、入力信号が伝送路によって歪み、第2中間周波数発信器の発振周波数と選局周波数によってダウンコンバートされた希望信号周波数との周波数誤差がゼロでないポイントでAFCループが安定し、デジタル復調システムが非同期状態で安定してしまうという問題を解決するが、前述のように、周波数変動に対して、I、Qの位相ずれを補正する方法でVCTCXO等のアナログ素子の安定度の限界を超え、経年変化に起因して周波数変動の引き込みが行えなくなるという問題を解決するものではない。
【0017】
【特許文献1】特開2001−024482号公報
【特許文献2】特開2002−208879号公報
【特許文献3】特開平09−083959号公報
【特許文献4】特開平11−055340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明は上記問題点に鑑みて、VCTCXO等のアナログ素子の安定度の限界を超え、経年変化に起因する周波数変動に対してもI、Qの位相ずれを補正する方法で周波数変動の引き込みを可能にするAFC制御装置、AFC制御方法、AFC制御プログラム及び移動通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は前記問題点を解決するために、移動通信装置の受信周波数と基地局の送信周波数を合わせるためのAFC制御装置において、電圧制御発振器への制御電圧の基準値を基準として、受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、前記電圧制御発振器に対して制御電圧を調整し、出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行う受信周波数補正部と、周波数の引き込み範囲を考慮して、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値を複数保存し、複数の前記基準値は基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化し、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲が重複するような基準値として保存される基準値保存部と、移動通信装置の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、前記基準値保存部から基準値を順次取り出し、取り出した前記基準値を前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として順次変更し、同期が得られるまで変更を継続し、同期が得られた場合には、前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させる基準値検索部とを備えることを特徴とするAFC制御装置を提供する。
【0020】
さらに、同期基準値保存部が設けられ、前記同期基準値保存部は、前記基準値検索部により前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させた場合には、固定させた基準値を保存し、前記基準検索部は、移動通信装置の電源投入時に前記同期基準値保存部から基準値を取り出し、取り出した前記基準値を前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として固定させる。
【0021】
さらに、前記電圧制御発振器はVCTCXOである。
さらに、本発明は、移動通信装置における受信周波数と基地局との送信周波数を合わせるためのAFC制御方法において、電圧制御発振器への制御電圧の基準値を基準として、受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、前記電圧制御発振器に対して制御電圧を調整し、出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行う工程と、周波数の引き込み範囲を考慮して、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値を複数保存する工程と、保存された複数の前記基準値を基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化させ、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲を重複させる工程と、移動通信装置の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、保存された基準値を順次取り出し、取り出した前記基準値を前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として順次変更し、同期が得られるまで変更を継続する工程と、同期が得られた場合には、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させる工程とを備えることを特徴とするAFC制御方法を提供する。
【0022】
さらに、本発明は、移動通信装置における受信周波数と基地局との送信周波数を合わせるためのAFC制御をコンピュータで実行するプログラムにおいて、電圧制御発振器への制御電圧の基準値を基準として、受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、前記電圧制御発振器に対して制御電圧を調整し、出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行う手順と、周波数の引き込み範囲を考慮して、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値を複数保存する手順と、保存された複数の前記基準値を基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化させ、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲を重複させる手順と、移動通信装置の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、保存された基準値を順次取り出し、取り出した前記基準値を前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として順次変更し、同期が得られるまで変更を継続する手順と、同期が得られた場合には、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させる手順とを備えることを特徴とする、AFC制御をコンピュータで実行するプログラムを提供する。
【0023】
さらに、本発明は、受信周波数と基地局との送信周波数を合わせるためのAFC制御装置を有する移動通信装置において、電圧制御発振器への制御電圧の基準値を基準として、受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、前記電圧制御発振器に対して制御電圧を調整し、出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行う受信周波数補正部と、周波数の引き込み範囲を考慮して、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値を複数保存し、複数の前記基準値は基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化し、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲が重複するような基準値として保存される基準値保存部と、前記移動通信装置の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、前記基準値保存部から基準値を順次取り出し、取り出した前記基準値を前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として順次変更し、同期が得られるまで変更を継続し、同期が得られた場合には、前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させる基準値検索部とを備えることを特徴とする移動通信装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、電圧制御発振器への制御電圧の基準値を基準として、受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、電圧制御発振器に対して制御電圧を調整し、出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行い、周波数の引き込み範囲を考慮して、電圧制御発振器への制御電圧の基準値を複数保存し、保存された複数の基準値を基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化させ、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲を重複させ、移動通信装置の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、保存された基準値を順次取り出し、取り出した基準値を電圧制御発振器への制御電圧の基準値として順次変更し、同期が得られるまで変更を継続し、同期が得られた場合には、電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させるようにしたので、VCTCXO等のアナログ素子からなる電圧制御発振器の安定度の限界を超えても従来技術で説明した約720Hzの周波数変動に対しても周波数変動の引き込みが可能になる。さらに、VCTCXO等のアナログ素子からなる電圧制御発振器の経年変化に対しても周波数変動の引き込みが可能になる。
【0025】
すなわち、VCTCXO等のアナログ素子からなる電圧制御発振器の制御電圧に対する周波数偏移範囲は10数kHzと十分広く、従来のI、Q信号の位相ずれを検出し、AFCを制御する方法では、シンボルレートの1/4の範囲しかAFCとして引き込むことができないが、本発明によれば、引き込み範囲を気にしないでよいことになる。
本発明の方法は実行上実現しやすく、水晶等のVCTCXOのデバイスの周波数制御範囲は、拡大し、通信システムを満足するのに十分な可変範囲を持つことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る移動局の概略構成を示す図である。本図に示すように、CDMA(Code Division Mutiple Access)通信方式における移動局100はコンピュータのプログラムで動作する移動通信装置であり、移動局100にはRF部101と、ミキサ102と、A/D変換機103と、ミキサ104、105と、移相器106と、検波部107と、AFC回路108と、基準発振器として機能するVCTCXO(Voltage Controlled Temperature contolled Xtal Oscillator:電圧制御温度補償型水晶発振器)109とが設けられている。
【0027】
RF(高周波)部101は、アンテナにおいて受信された信号のうち特定の周波数の信号のみを選択し増幅して高周波数信号として出力している
ミキサ102は、RF部101からの高周波数信号とVCTCXO109によって生成された局部発振信号とを乗算することにより高周波数信号をチップレートのベースバンド信号に変換している。
【0028】
A/D(アナログ/デジタル)変換機103は、ミキサ102によって生成されたチップレートのベースバンド信号をA/D変換することによりデジタル信号に変換している。
ミキサ104、105は、A/D変換機103により変換されたデジタル信号に位相がπ/2異なる信号をそれぞれ乗算し、同相成分であるI(In−phase component)、直交成分であるQ(Quadrature component)信号に変換する。
【0029】
移相器106は位相がπ/2異なり、ミキサ104、105で乗算を行うための信号を生成する。
検波部107はミキサ104、105からのI、Q信号を復調し、それぞれ受信I、Qデータとする。
AFC回路108は、周波数の引き込み範囲で検波部107からのI、Qデータから受信周波数のずれ量を検出して検出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、VCTCXO109にフィードバックして出力する制御電圧を調整することにより、VCTCXO109の出力周波数の制御を行うと同時に、VCTCXO等のアナログ素子の安定度の限界を超え、経年変化に起因する周波数変動に対してもI、Qの位相ずれの補正により周波数変動の引き込みを可能にする。AFC回路108の周波数の引き込み範囲は、特に、帯域を、例えば、6.25kHzに、狭め、周波数の有効活用を行いながら情報伝達可能となるようにしている。
【0030】
VCTCXO109はアナログ素子であり、AFC(Automatic Frequency Control)回路108からの制御電圧により周波数が制御された信号を局部発振信号としてミキサ102に出力している。
【0031】
図2は図1におけるAFC回路108の概略構成を示す図である。本図に示すように、AFC回路108には受信周波数補正部201が設けられ、受信周波数補正部201は、一例として、周波数の引き込み範囲(6.25kHz)で、AFCの基準値を基準として復調信号との差からAFC誤差値を演算するため、検波部107から復調信号としてI、Qデータを入力し、制御電圧の基準値を基準として受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、VCTCXO109に対して制御電圧を調整して出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行う。
【0032】
受信周波数補正部201にはD/A(デジタル/アナログ)変換器202が接続され、D/A変換器202は受信周波数補正部201で求められた受信周波数のずれ量に基づいて調整された制御電圧をデジタルからアナログに変換してVCTCXO109に対して設定し、出力周波数を制御する。なお、D/A変換器202の出力信号に対して、不確定要素により瞬時に変動したものであっても制御に影響を与えないようにフィルタリング処理(図示しない)が行われる。フィルタリングされたD/A変換器202の出力信号は積分器(図示しない)に加えられ、VCTCXO109の制御電圧としてAFC制御が行われる。
【0033】
受信周波数補正部201には基準値保存部203が接続され、基準値保存部203はEEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)で構成され、周波数の引き込み範囲(6.25kHz)を考慮して、VCTCXO109への制御電圧の基準値を複数保存する。複数の基準値は基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化した値であり、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲が重複するように基準値は固定される。
【0034】
基準値保存部203には基準値検索部204が接続され、基準値検索部204は移動局100の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、基準値保存部203から基準値を順次取り出し、受信周波数補正部201に対してVCTCXO109への制御電圧の基準値を取り出した基準値に順次変更し、同期が得られるまで変更を継続し、同期が得られた場合には、受信周波数補正部201に対してVCTCXO109への制御電圧の基準値を同期が得られた基準値に固定させる。このようにして、基準値検索部204により、同期が得られる基準値の検索が行われる。
【0035】
基準値検索部204には同期判断部205が接続され、同期判断部205は、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれがゼロになって、一定期間内に同期がとれたか(同期が検出されたか)否かを判定し、基準値検索部204に同期情報を出力する。同期がとれたか否かの判定方法については、特に限定せず、検波部107の後段に配置されるCODEC(符号器/復号器)等で同期ワードが検出されたことを判定基準としてもよい。さらに、図示しないエアーインタフェースに規定された条件でフレーム同期がとれたか否か、すなわち、フレーム同期条件として、受信同期状態が3フレーム以上検出できた場合などシステム設計パラメータから適当な値を決定するようにしてもよい。
【0036】
受信周波数補正部201には同期基準値保存部206が接続され、同期基準値保存部206は基準値検索部204の検索で同期が得られた基準値を保存し、電源投入時には、同期基準値保存部206から基準値を取り出し、受信周波数補正部201に対してVCTCXO109への制御電圧の基準値として取り出した基準値を設定する。これにより、電源投入時毎に、基準値検索部204の検索処理が不要となる。
【0037】
図3は図2におけるAFC回路108の受信周波数補正部201により受信シンボル角度から受信周波数のずれ量を求め、受信周波数の補正を説明する図である。
本図(a)には、CDMA通信方式では、拡散変調の前に行われる1次変調の変調方式としてQPSK(Quadrature Phase Shift Keying:直交PSK)が用いられるため、それぞれのシンボルは2ビットのデータとなっていて、(0、0)、(0、1)、(1、0)、(1、1)のいずれかの値をとるようになっており、同相成分Iの大きさを横軸に、直交成分Qの大きさを縦軸に、これらの値がベクトル図上に示される。
【0038】
例えば、受信周波数誤差が全くない理想的な状態の場合、第1象限上の受信シンボル(0、0)のシンボル角度は45度となる。そのため、第2〜4象限上のシンボルを第1象限に折り返した場合にも、受信シンボル角度は45度となる。
本図(b)に示すように、受信周波数補正部201では、ある受信シンボル401のI成分がa、Q成分がbという値だとした場合、受信シンボル401の受信シンボル角度θを、θ=tan−1(b/a)として算出する。
【0039】
より具体的には、受信周波数補正部201では、検波部107からの受信I、Qデータのサインビットを確認し、受信I、Qデータがガウス平面上の何象限に存在するかを確認し、第2〜4象限にいる場合は、象限情報を第1象限に折り返すような変換を行い、全ての受信シンボルを第1象限に集め、第1象限に折り返したI、Qデータのアークタンジェントを求め、受信シンボル角度を算出する。
【0040】
受信周波数補正部201は、算出された受信シンボル角度と45度との差の絶対値から、受信周波数のずれ量が求められ、受信周波数のずれ量が少なくなるように、VCTCXO109に対して制御電圧を調整して受信周波数の補正を行う。
図4は図2における基準値保存部203に保存されるVCTCXO109への制御電圧の基準値の例を説明する図である。本図に示すように、基準値保存部203にはVCTCXO109への制御電圧の基準値v±Δv(n=0〜7)に対して±Δv(n=0〜7)のデジタル値が16進数で保存される。
【0041】
本図に示すように、制御電圧の基準値v±Δv(n=0〜7)に対して、周波数の変動の引き込み範囲の中心の周波数f±Δf(n=0〜7)が対応する。
具体的には、
v+Δv→f+Δf
v+Δv→f+Δf
v−Δv→f−Δf
v+Δv→f+Δf
v−Δv→f−Δf

v+Δv→f+Δf
v−Δv→f−Δf
の対応が成立する。ここに、v、fは任意の値である。
v±Δvはアラームのレベルとし、これら以外には制御電圧の基準値が保存されないことを意味する。
【0042】
このようにして、複数の基準値v±Δv(n=1〜6)は基準値の初期値v+Δvを中心として±方向に規定値だけ変化した値であり、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲が重複するように基準値は決定される。
周波数の引き込み範囲を、一例として、6.25kHzとし、
Δf=0Hz
±Δf=±3125Hz
±Δf=±6250Hz
±Δf=±9357Hz
±Δf=±12500Hz
±Δf=±15625Hz
±Δf=±18750Hz
と設定する。
【0043】
図5は図2における基準値検索部204の動作例を説明する図である。本図に示すように、基準値検索部204では、VCTCXO109に対して、受信周波数補正部201を介して、制御電圧の基準値v+Δvが設定されて、同期がとれない場合、基準値保存部203に保存されている制御電圧の基準値v±Δv(n=1〜7)に対して、
v+Δv→v+Δv→v−Δv→v+Δv→v−Δv→…→v+Δv→v−Δv
のように、制御電圧の基準値を順次変更し、同期がとれる制御電圧の基準値が検索される。
【0044】
制御電圧の基準値の変更に対して、周波数の引き込み範囲は、
v+Δv→f+Δf〜f−Δf:中心の周波数f+Δf
v+Δv→f+Δf〜f−Δf:中心の周波数f+Δf
v−Δv→f+Δf〜f−Δf:中心の周波数f−Δf
v+Δv→f+Δf〜f−Δf:中心の周波数f+Δf
v−Δv→f+Δf〜f−Δf:中心の周波数f−Δf

v+Δv→f+Δf〜f−Δf:中心の周波数f+Δf
v−Δv→f−Δf〜f−Δf:中心の周波数f−Δf
となる。
【0045】
このようにして、周波数の引き込み範囲を、一例として、6.25kHzに固定し、周波数軸上で周波数の引き込み範囲を一定の間隔で移動することが可能になる。上記例では、隣接する周波数の引き込み範囲は半分の領域が重複するようにしてあるが、重複の程度は一例でありこれに限定されない。
図6、図7は図1におけるAFC回路108の一連の動作例を説明するフローチャートである。図6に示すように、ステップS301において、移動局100の電源投入毎に、AFC回路108の同期基準値保存部206に同期がとられた制御電圧の基準値を保存しているか否かの判断を行う。保存されている場合にはステップS308に進む。
【0046】
ステップS302において、基準値検索部204では、制御電圧の基準値を保存していない場合には、受信周波数補正部201に対して基準値保存部203から取り出して基準値をv+Δvに固定したか否かを判断する。固定している場合にはステップS309に進む。
ステップS303において、基準値検索部204は、基準値をv+Δvに固定していない場合には、受信周波数補正部201に対して、基準値の初期値としてv+Δvを固定する。
【0047】
ステップS304において、受信周波数補正部201では、第1象限に折り返したI、Qデータのアークタンジェントを求め、受信シンボル角度を算出し、算出された受信シンボル角度と45度との差の絶対値から、受信周波数のずれを算出する。
ステップS305において、D/A変換器202では、v+Δvの基準値に対して算出された受信周波数のずれを小さくする値をアナログに変換し、VCTCXO109に設定する。
【0048】
ステップS306において、設定されたv+Δvの基準値と受信周波数のずれに対して同期判断部205では、一定期間中に同期がとられたか否かを判断する。同期がとれない場合にはステップS301に戻る。
ステップS307において、一定期間中に同期がとられた場合には、同期がとられた基準値を同期基準値保存部206に保存し、ステップS304に戻り、周波数の自動制御を行う。
【0049】
ステップS308において、基準値検索部204は、受信周波数補正部201に対して、同期基準値保存部206から同期がとれた基準値を取り出して固定し、ステップS304に進む。
ステップS309において、基準値検索部204では、基準値をv+Δvに固定して同期がとれない場合には、基準値保存部203から受信周波数補正部201に対して基準値をv+Δvに固定したか否かを判断する。固定している場合にはステップS311に進む。
【0050】
ステップS310において、基準値検索部204は、基準値をv+Δvに固定していない場合には、受信周波数補正部201に対して、基準値をv+Δvに固定し、ステップS304に進む。
ステップS311において、基準値検索部204では、基準値をv+Δvに固定で同期がとれない場合には、基準値保存部203から受信周波数補正部201に対してv−Δvの基準値を設定したか否かを判断する。設定している場合にはステップS313に進む。
【0051】
ステップS312において、基準値検索部204は、基準値をv−Δvに固定していない場合には、受信周波数補正部201に対して、基準値をv−Δvに固定し、ステップS304に進む。
ステップS313において、基準値検索部204では、基準値をv−Δvに固定して同期がとれない場合には、基準値保存部203から受信周波数補正部201に対して基準値をv+Δvに固定したか否かを判断する。設定している場合にはステップS315に進む。
【0052】
ステップS314において、基準値検索部204は、v+Δvの基準値を設定していない場合には、受信周波数補正部201に対して、v+Δvの基準値を設定し、ステップS304に進む。
図7に示すように、ステップS315において、基準値検索部204では、基準値をv+Δvに固定して同期がとれない場合には、基準値保存部203から受信周波数補正部201に対して基準値をv−Δvに固定したか否かを判断する。設定している場合にはステップS317に進む。
【0053】
ステップS316において、基準値検索部204は、基準値をv−Δvに固定していない場合には、受信周波数補正部201に対して、基準値をv−Δvに固定し、ステップS304に進む。
ステップS317において、基準値検索部204では、基準値をv−Δvに固定して同期がとれない場合には、基準値保存部203から受信周波数補正部201に対して基準値をv+Δvに固定したか否かを判断する。設定している場合にはステップS319に進む。
【0054】
ステップS318において、基準値検索部204は、基準値をv+Δvに固定していない場合には、受信周波数補正部201に対して、基準値をv+Δvに固定し、ステップS304に進む。
ステップS319において、基準値検索部204では、基準値をv+Δvに固定して同期がとれない場合には、基準値保存部203から受信周波数補正部201に対して基準値をv−Δvに固定したか否かを判断する。設定している場合にはステップS321に進む。
【0055】
ステップS320において、基準値検索部204は、基準値をv−Δvに固定していない場合には、受信周波数補正部201に対して、基準値をv−Δvに固設定し、ステップS304に進む。
ステップS321において、基準値検索部204では、基準値をv−Δvに固定で同期がとれない場合には、基準値保存部203から受信周波数補正部201に対して基準値をv+Δvに固定したか否かを判断する。設定していない場合にはステップS323に進む。
【0056】
ステップS322において、基準値検索部204は、v+Δvの基準値を選択した場合には、アラームを発生し、処理を終了する。
ステップS323において、基準値検索部204は、v−Δvの基準値を選択した場合には、ステップS322に進み、アラームを発生し、処理を終了する。
なお、アラームを発生した場合、さらに、基準値の検索中に同期がとれた場合には監視タスクより状態変化通知シンセアンロクが作動し基準値の検索の実行は停止され、その後、基準値の検索機能は動作しない。さらに、RSS(Received Signal Strength Indikator)が規定値以下を検出した場合、チャンネルの切替が発生した場合、送信処理が実行された場合、基準値の検索自体が中断した場合には基準値保存部203に保存されている基準値の初期値に戻して、本発明の運用を継続する。
【0057】
したがって、本発明によれば、ステップS309〜ステップS312において、VCTCXO等のアナログ素子の安定度の限界を超えても従来技術で説明した約720Hzの周波数変動に対しても周波数変動の引き込みが可能になる。さらに、ステップS309〜ステップS320において、VCTCXO等のアナログ素子の経年変化に対しても周波数変動の引き込みが可能になる。
【0058】
すなわち、VCTCXOの制御電圧に対する周波数偏移幅は10数kHzと十分広く、従来のI、Q信号の位相ずれを検出し、AFCを制御する方法では、シンボルレートの1/4の範囲しかAFCとして引き込むことができないが、本発明によれば、引き込み範囲を気にしないでよいことになる。
本発明の方法は実行上実現しやすく、水晶等のVCTCXOのデバイスの周波数制御範囲は、拡大し、通信システムを満足するのに十分な可変範囲を持つことになる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る移動局の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるAFC回路108の概略構成を示す図である。
【図3】図2におけるAFC回路108の受信周波数補正部108Aにより受信シンボル角度から受信周波数のずれ量を求め、受信周波数の補正を説明する図である。
【図4】図2における基準値保存部203に保存されるVCTCXO109への制御電圧の基準値の例を説明する図である。
【図5】図2における基準値検索部204の動作例を説明する図である。
【図6】図1におけるAFC回路108の一連の動作例を説明するフローチャートである。
【図7】図1におけるAFC回路108の一連の動作例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
100…移動局
101…RF部
102、104、105…ミキサ
103…A/D変換機
106…移相器
107…検波部
108…AFC回路
109…VCTCXO
201…受信周波数補正部
202…D/A変換器
203…基準値保存部
204…基準値検索部
205…同期判断部
206…同期基準値保存部
401…受信シンボル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信装置の受信周波数と基地局の送信周波数を合わせるためのAFC制御装置において、
電圧制御発振器への制御電圧の基準値を基準として受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、前記電圧制御発振器に対して制御電圧を調整し、出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行う受信周波数補正部と、
周波数の引き込み範囲を考慮して、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値を複数保存し、複数の前記基準値は基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化し、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲が重複するような基準値として保存される基準値保存部と、
移動通信装置の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、前記基準値保存部から基準値を順次取り出し、取り出した前記基準値を前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として順次変更し、同期が得られるまで変更を継続し、同期が得られた場合には、前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させる基準値検索部とを備えることを特徴とするAFC制御装置。
【請求項2】
さらに、同期基準値保存部が設けられ、前記同期基準値保存部は、前記基準値検索部により前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させた場合には、固定させた基準値を保存し、前記基準検索部は、移動通信装置の電源投入時に前記同期基準値保存部から基準値を取り出し、取り出した前記基準値を前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として固定させることを特徴とする、請求項1に記載のAFC制御装置。
【請求項3】
前記電圧制御発振器はVCTCXOであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のAFC制御装置。
【請求項4】
移動通信装置における受信周波数と基地局との送信周波数を合わせるためのAFC制御方法において、
電圧制御発振器への制御電圧の基準値を基準として、受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、前記電圧制御発振器に対して制御電圧を調整し、出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行う工程と、
周波数の引き込み範囲を考慮して、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値を複数保存する工程と、
保存された複数の前記基準値を基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化させ、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲を重複させる工程と、
移動通信装置の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、保存された基準値を順次取り出し、取り出した前記基準値を前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として順次変更し、同期が得られるまで変更を継続する工程と、
同期が得られた場合には、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させる工程とを備えることを特徴とするAFC制御方法。
【請求項5】
移動通信装置における受信周波数と基地局との送信周波数を合わせるためのAFC制御をコンピュータで実行するプログラムにおいて、
電圧制御発振器への制御電圧の基準値を基準として、受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、前記電圧制御発振器に対して制御電圧を調整し、出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行う手順と、
周波数の引き込み範囲を考慮して、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値を複数保存する手順と、
保存された複数の前記基準値を基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化させ、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲を重複させる手順と、
移動通信装置の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、保存された基準値を順次取り出し、取り出した前記基準値を前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として順次変更し、同期が得られるまで変更を継続する手順と、
同期が得られた場合には、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させる手順とを備えることを特徴とする、AFC制御をコンピュータで実行するプログラム。
【請求項6】
受信周波数と基地局との送信周波数を合わせるためのAFC制御装置を有する移動通信装置において、
電圧制御発振器への制御電圧の基準値を基準として、受信したI、Qデータから、周波数の引き込み範囲で受信周波数のずれ量を算出し、算出された受信周波数のずれ量が少なくなるように、前記電圧制御発振器に対して制御電圧を調整し、出力周波数を制御し、受信周波数の補正を行う受信周波数補正部と、
周波数の引き込み範囲を考慮して、前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値を複数保存し、複数の前記基準値は基準値の初期値を中心として±方向に規定値だけ変化し、隣接する基準値の周波数の引き込み範囲が重複するような基準値として保存される基準値保存部と、
前記移動通信装置の電源投入毎に動作し、一定時間に同期が得られない場合には、前記基準値保存部から基準値を順次取り出し、取り出した前記基準値を前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として順次変更し、同期が得られるまで変更を継続し、同期が得られた場合には、前記受信周波数補正部に対して前記電圧制御発振器への制御電圧の基準値として同期が得られた基準値を固定させる基準値検索部とを備えることを特徴とする移動通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−205703(P2008−205703A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37949(P2007−37949)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(599161890)NECネットワーク・センサ株式会社 (71)
【Fターム(参考)】