説明

AIDSおよび関連するHIV感染の処置のためのCCR5−アンタゴニストとしての4((Z)−(4−ブロモフェニル)エトキシイミノ)メチル)−1’−((2,4−ジメチル−1−オキシド−3−ピリジニルカルボニル)−4’−メチル−1,4’ビピペリジンの薬学的塩の調製

【課題】AIDSおよび関連するHIV感染の処置のために有用である薬学的に有用な塩の調製。
【解決手段】式(I)


の塩基性化合物の塩の回転異性体または回転異性体のペアーの混合物を調製するための方法であって、ここで、該混合物は、該塩の対応する回転異性体または回転異性体のペアーより高いモルパーセントで該塩の一つ以上の回転異性体または回転異性体のペアーを包含し、ここで、該方法は、溶媒を有する混合物中で酸と該塩基性化合物を反応させるプロセスを包含する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本特許出願は、薬学的に有用な塩を調製するための新規なプロセスを一般的に開示する。4−[(4−ブロモフェニル)エトキシイミノ)メチル]−1’−[(2,4−ジメチル−1−オキシド−3−ピリジニル)カルボニル]−4’−メチル−1,4’−ビピペリジンの薬学的に有用な塩、および特に4−[(Z)−(4−ブロモフェニル)(エトキシイミノ)メチル]−1’−[(2,4−ジメチル−1−オキシド−3−ピリジニル)カルボニル]−4’−メチル−1,4’−ビピペリジンの薬学的に有用な塩を合成するための新規なプロセスを明確に開示する。望ましい特定の回転異性体構造に関し濃縮された薬学的な塩を調製するためのプロセスをさらに開示する。本出願は、2001年11月29日に出願された米国仮特許出願、整理番号第60/334,330号および2002年4月19日に出願された米国仮特許出願、整理番号第60/373,778号から優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
4−[(Z)−(4−ブロモフェニル)(エトキシイミノ)メチル]−1’−[(2,4−ジメチル−1−オキシド−3−ピリジニル)カルボニル]−4’−メチル−1,4’−ビピペリジン(式I)は、係属中の、共通に所有されている2001年10月15日に出願された米国特許出願、シリアル番号第60/329,566号において開示されている。
【0003】
【化1B】

式Iの化合物はまた、2000年5月1日に出願された、共通に所有されている米国特許出願、シリアル番号第09/562,815号において開示されており、この公報は、参考として本明細書中で援用されている。この仮特許出願は、AIDSおよび関連するHIV感染の処置のために有用である、CCR5レセプターのいくつかの新規なアンタゴニストを開示している。CCR5レセプターはまた、炎症性疾患(例えば、関節炎、慢性関節、リウマチ、アトピー性皮膚炎、乾癬、喘息およびアレルギー)における細胞移動を媒介することが報告され、そしてこのようなレセプターのインヒビターは、このような疾患の処置において、および他の炎症性の疾患または状態(例えば、炎症性腸疾患、多発性硬化症、固形器官移植拒絶および対宿主移植片疾患)の処置において、有用であることが期待されている。
【0004】
一般的に、薬学的化合物は、これらの薬学的に受容可能な塩として使用される。このことはまた、CCR5レセプターアンタゴニスト(例えば、かなり重要なこのような化合物の薬学的に受容可能な塩を調製する式Iの化合物)についても当てはまる。
【0005】
式Iの化合物は、キラル中心を有さず、そしてオキシムの幾何学は、化学合成によってZ構造としてコントロールされる。しかし、式Iの化合物は、図式1における2つの単結合、すなわちマークされたaおよびbについての制限される回転に起因して、回転異性体の混合物として存在する。4つの回転異性体の間の相対的関係は、スキーム1において記載されている。このような場合、構造AおよびBは、ジアステレオマーの関係を有し、そして構造CおよびDは、ジアステレオマーの関係を有する。
【0006】
【数1】

【0007】
【数2】

便利であるため、4つの回転異性体は、キラルHPLCカラムからのこれらの溶離順に、異性体1、2、3および4として示されている。
【0008】
塩に対する一般の合成アプローチは、代表的に1:1:1:1比率の回転異性体1、2、3および4を与えるが、優先的に特定の回転異性体に関し濃縮した回転異性体集団を得る合成の方法を見出すことが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
塩基性化合物の塩の回転異性体または回転異性体のペアーの混合物を調製するための方法であって、ここで、該混合物は、塩の対応する回転異性体または回転異性体のペアーより高いモルパーセントで塩の一つ以上の回転異性体または回転異性体のペアーを包含し、ここで、該方法は、溶媒を有する混合物中で酸と該塩基性化合物を反応させるプロセスを包含する、
方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、ここで、前記モルパーセントは、前記一つ以上の回転異性体または回転異性体のペアーの塩対前記他の対応する回転異性体または回転異性体のペアーの塩が45:55である、
方法。
(項目3)
項目2に記載の方法であって、ここで、前記モルパーセントは、前記一つ以上の回転異性体または回転異性体のペアーの塩対前記他の対応する回転異性体または回転異性体のペアーの塩が25:75である、
方法。
(項目4)
項目3に記載の方法であって、ここで、前記モルパーセントは、前記一つ以上の回転異性体または回転異性体のペアーの塩対前記他の対応する回転異性体または回転異性体のペアーの塩が10:90である、
方法。
(項目5)
項目1に記載の方法であって、ここで、前記塩基性化合物は、薬学的化合物である、
方法。
(項目6)
項目2に記載の方法であって、ここで、前記酸は、薬学的に有用な酸である、
方法。
(項目7)
項目1に記載の方法であって、ここで、前記酸は、前記塩基性化合物に関し比率約1:1で使用される、
方法。
(項目8)
項目1に記載の方法であって、ここで、前記溶媒は、前記塩基性化合物に関し比率約15:1で使用される、
方法。
(項目9)
項目1に記載の方法であって、ここで、前記塩基性化合物は、式Iの構造:
【化1A】


を有する、
方法。
(項目10)
項目9に記載の方法であって、ここで、前記のより高いモルパーセントは、式Iの前記化合物の3、4回転異性体ペアーの塩に比較して、式Iの前記化合物の1、2回転異性体ペアーの塩の濃縮を示す、
方法。
(項目11)
項目9に記載の方法であって、ここで、前記のより高いモルパーセントは、式Iの前記化合物の1、2回転異性体ペアーの塩に比較して、式Iの前記化合物の3、4回転異性体ペアーの塩の濃縮を示す、
方法。
(項目12)
項目9に記載の方法であって、ここで、前記塩は、ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩、マレイン酸塩、(D)−ショウノウ酸塩、(L)−ショウノウ酸塩、2−メチルグルタル酸塩、3−メチルグルタル酸塩、4−ヒドロキシ安息香酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ジベンゾイル−D−酒石酸塩、ジベンゾイル−L−酒石酸塩、フマル酸塩、塩酸塩および臭化水素酸塩からなる群から選択される、
方法。
(項目13)
項目12に記載の方法であって、ここで、前記塩は、ベンゼンスルホン酸塩である、方法。
(項目14)
項目1に記載の方法であって、ここで、前記溶媒は、ケトン、エーテル、炭化水素またはそれらの混合物である、
方法。
(項目15)
項目14に記載の方法であって、ここで、前記ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、
方法。
(項目16)
項目15に記載の方法であって、ここで、前記ケトンは、アセトンである、
方法。
(項目17)
項目14に記載の方法であって、ここで、前記エーテルは、テトラヒドロフラン、ジグリム、メチルエチルエーテルおよびそれらの混合物からなる群から選択され、そして前記炭化水素は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、
方法。
(項目18)
項目13に記載の方法であって、ここで、前記ベンゼンスルホン酸塩は、約25〜70℃で形成される、
方法。
(項目19)
項目12に記載の方法であって、ここで、前記塩は、ジベンゾイル酒石酸塩である、方法。
(項目20)
項目19に記載の方法であって、ここで、前記ジベンゾイル酒石酸塩は、ケトン溶媒中でジベンゾイル酒石酸と式Iの化合物を反応させることによって調製される、
方法。
(項目21)
項目20に記載の方法であって、ここで、前記ジベンゾイル酒石酸は、(D)酸である、
方法。
(項目22)
項目20に記載の方法であって、ここで、前記ジベンゾイル酒石酸は、(L)酸である、
方法。
(項目23)
項目12に記載の方法であって、ここで、前記塩は、p−トルエンスルホン酸塩である、
方法。
(項目24)
項目23に記載の方法であって、ここで、前記p−トルエンスルホン酸塩は、エーテル溶媒中でp−トルエンスルホン酸と式Iの前記化合物を反応させることによって調製される、
方法。
(項目25)
項目24に記載の方法であって、ここで、前記エーテルは、テトラヒドロフランである、
方法。
(項目26)
項目24に記載の方法であって、ここで、前記p−トルエンスルホン酸塩は、ケトン溶媒中でp−トルエンスルホン酸と式Iの前記化合物を反応させることによって調製される、
方法。
(項目27)
項目26に記載の方法であって、ここで、前記ケトンは、アセトンである、
方法。
(項目28)
式Iの化合物のベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアーの混合物を調製するための方法であって、ここで、該混合物は、他の対応するベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアーより高いモルパーセントで一つ以上のベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアーを包含し、該方法は、以下:
a)溶媒中で式Iの化合物の最初の親密な混合物を調製する方法;
b)約25〜70℃で該最初の親密な混合物を維持する方法;
c)方法(a)で示される同じ溶媒中でベンゼンスルホン酸の2番目の親密な混合物を調製する方法;
d)組み合された混合物を調製するために該最初の親密な混合物と該2番目の親密な混合物を組み合わせる方法、およびベンゼンスルホン酸塩の形成を誘導するために約25〜70℃で組み合された混合物を維持する方法;ならびに
e)ベンゼンスルホン酸塩を単離する方法、
を包含する、
方法。
(項目29)
項目28に記載の方法であって、ここで、前記モルパーセントは、前記一つ以上のベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアー対前記の他の対応するベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアーが45:55である、
方法。
(項目30)
項目28に記載の方法であって、ここで、前記モルパーセントは、前記一つ以上のベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアー対前記の他の対応するベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアーが25:75である、
方法。
(項目31)
項目28に記載の方法であって、ここで、前記モルパーセントは、前記一つ以上のベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアー対前記の他の対応するベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアーが5:95である、
方法。
(項目32)
項目28に記載の方法であって、ここで、前記溶媒は、ケトン、エーテル、炭化水素またはそれらの混合物である、
方法。
(項目33)
項目32に記載の方法であって、ここで、前記ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、
方法。
(項目34)
項目33に記載の方法であって、ここで、前記ケトンは、アセトンである、
方法。
(項目35)
項目32に記載の方法であって、ここで、前記エーテルは、テトラヒドロフラン、ジグリム、メチルエチルエーテルおよびそれらの混合物からなる群から選択され、そして前記炭化水素は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、
方法。
(項目36)
塩基性化合物の塩の回転異性体または回転異性体ペアーの混合物であって、ここで、該混合物は、他の対応する回転異性体または回転異性体ペアーの塩より高いモルパーセントで一つ以上の回転異性体または回転異性体ペアーの塩を包含し、該塩は、溶媒を有する混合物中で酸と該塩基性化合物を反応させる方法を包含する方法によって調製される、
混合物。
(項目37)
項目36に記載の混合物であって、ここで、前記塩基性化合物は、式Iの化合物:
【化1A】


であり、前記酸は、ベンゼンスルホン酸であり、前記塩は、ベンゼンスルホン酸塩であり、そして前記モルパーセントは、前記一つ以上のベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアー対前記他の対応するベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体ペアーが45:55である、
混合物。
(項目38)
項目37に記載の混合物であって、ここで、前記溶媒は、ケトン、エーテル、炭化水素またはそれらの混合物である、
混合物。
(項目39)
塩基性化合物の酸塩であって、ここで、該塩基性化合物は、以下の式を有し:
【化1】


そしてここで、該酸塩は、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゾエート、ビカルボネート、ブロミド、カルシウムエデト酸塩、ショウノウスルホネート、カルボネート、クロリド/ジヒドロクロリド、クエン酸塩、N,N−ジ(デヒドロアビエチル)エチレンジアミン、エデト酸塩、1,2−エタンジスルホネート、エタンスルホネート、フマル酸塩、グルコヘプトネート、グルコネート、グルタミン酸塩、p−グリコールアミドフェニルアルソネート、ヘキシルレゾルシネート、ヒクレート、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ヒドロキシナフトエート、ヨウジド、ラクテート、ラクトビオネート、ラウリルスルホネート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホネート、メチルブロミド、メチルニトレート、メチルスルフェート、ムケート、ナフェート、ナプシレート、ニトレート、パモエート、パントテン酸塩、ホスフェート/ジホスフェート、ポリガラクツロネート、サリシクレート、ナトリウムコハク酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、スルフェート、トシレート、タンニン酸塩、タートレート/ビタートレート、8−クロロテオフィリネート、トリエチオジド、アジペート、アルギン酸塩、アミノサリシクレート、無水メチレンクエン酸塩、アレコリン、アスパレート、ビスルフェート、ブチルブロミド、カンホレート、ジグルコネート、ジヒドロブロミド、ジコハク酸塩、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、フッ化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、メチレンビス(サリシクレート)、ナフタレンジスルホネート、オキザレート、ペクチネート、ペルスルフェート、フェニルエチルバルビツール酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、チオシアネート、ウデカン酸塩、アセチルアミノ酢酸塩、N−アセチル−L−アスパラギン酸塩、N−アセチルシスチン酸塩、アダマントエート、アジポエート、N−アルキルスルファメート、アントラキノン−1,5−ジスルホネート、アラボラクタンスルフェート、アルギニン酸塩、アスパルテート、ベタイン、カルニチン、4−クロロ−m−トルエンスルホネート、デカノエート、ジアセチルスルフェート、ジベンジルエチレンジアミン、ジメチルアミン、ジグアイアシルホスフェート、ジオクチルスルホコハク酸塩、パモエート、フルクトース−1,6−ジホスフェート、グルコースホスフェート、L−グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエート、ラウリルスルフェート、リシン、2−ナフテンスルホネート、オクタノン酸塩、タンニン酸塩およびテオブロミン酢酸塩からなる群から選択される、
混合物。
(項目40)
塩基性化合物のフマル酸塩であって、ここで、該塩基性化合物は、以下の式を有する:
【化1】


(項目41)
塩基性化合物の(D)−ショウノウ酸塩であって、ここで、該塩基性化合物は、以下の式を有する:
【化1】


(項目42)
塩基性化合物のベンゼンスルホン酸塩であって、ここで、該塩基性化合物は、以下の式を有する:
【化1】


(項目43)
塩基性化合物の(L)−ショウノウ酸塩であって、ここで、該塩基性化合物は、以下の式を有する:
【化1】


(項目44)
塩基性化合物のジベンジゾイル−(D)−酒石酸塩であって、ここで、該塩基性化合物は、以下の式を有する:
【化1】


(項目45)
塩基性化合物のジベンジゾイル−(L)−酒石酸塩であって、ここで、該塩基性化合物は、以下の式を有する:
【化1】


(項目46)
塩基性化合物のリンゴ酸塩であって、ここで、該塩基性化合物は、以下の式を有する:
【化1】


(項目47)
塩基性化合物のp−トルエンスルホン酸塩であって、ここで、該塩基性化合物は、以下の式を有する:
【化1】

【0010】
一つの実施形態において、本発明は、塩基性化合物の塩の回転異性体または回転異性体のペアーの混合物を調製するためのプロセスを開示し、ここで、該混合物は、塩の他の対応する回転異性体または回転異性体のペアーより高い(すなわち、優先的に濃縮された)モルパーセントで、塩の一つ以上の回転異性体または回転異性体のペアーを包含し、このプロセスは、溶媒を有する混合物中で該塩基性化合物を酸と反応させることを包含する。本発明はまた、薬学的に有用な塩を調製するための方法を教示する。さらに、本発明は、高い収率で式Iの化合物の塩(薬学的に有用であるかまたはそれ以外)の形成についての方法を教示する。本発明はまた、塩の他の対応する回転異性体または回転異性体のペアーより高い収率かつ高いモルパーセントで式Iの化合物の塩の特定の回転異性体または回転異性体のペアーについての直接的な調製を教示する。このようにすることで、このプロセスは、かき乱されない式Iの化合物についてオキシムの立体化学を維持する。さらに、このプロセスは、塩基性化合物の塩の回転異性体または回転異性体のペアーの混合物の形成を可能にし、ここで、該混合物は、塩の他の対応する回転異性体または回転異性体のペアーより高いモルパーセントで、塩の一つ以上の回転異性体または回転異性体のペアーを包含し、この塩は、溶媒を有する混合物中で該塩基性化合物を酸と反応させることを包含するプロセスによって調製される。
【0011】
用語「高収率」は、望ましい、優先的に濃縮された生成物の少なくとも約55%の収率を意味する。このように、回転異性体1、2、3および4の塩を1:1:1:1比率で生じ、次いで分離または所望の回転異性体について濃縮にするためのいくつかの処理を必要とする以前の公知のプロセスとは異なり、本プロセスは、直接的に他の対応する回転異性体または回転異性体のペアーより高いモルパーセントで、所望の回転異性体または回転異性体のペアーの選択的形成を得るための方法を提供する。用語「より高いモルパーセント」は、約45:55モルパーセントの比率で、他の回転異性体(または回転異性体のペアー)を超えて特定の好ましい回転異性体(または回転異性体のペアー)の選択的、優先的形成を意味する。用語「直接的」は、「得られた50:50の回転異性体または回転異性体のペアーを分離するためのさらなるプロセス(例えば、従来のプロセスなど)を必要とすることなく」を意味する。従って、例えば、一例において、本プロセスは、NMRおよびHPLCによって決定されるように、回転異性体1:2:3:4の塩を、それぞれ、2.5:2.5:47.5:47.5モルパーセントの比率で生じる。上記に示される比率2.5:2.5:47.5:47.5は、アキラルクロマトグラフィー条件下で観察される場合(1、2の回転異性体 対 3、4の回転異性体)の出現を示すため、より簡便に5:95ピークA:Bと示される。別の方法として、本プロセスは、例えば、塩における3、4異性体の平均95%モルパーセントを、直接的に得るための方法を提供する。3、4異性体のペアーが、高い薬学的活性を有する所望の異性体である場合、本プロセスは、以前公知のプロセスと、これに続く混合物の扱いにくい分離によって、1、2異性体ペアーおよび3、4異性体ペアーの等モル混合物を生成しなければならない代わりに、直接的に3、4異性体ペアーを得ることを可能にする;このような分離は、適当な収率で所望の塩を生じ得るかまたは生じ得ないかのいずれかであり、そしてこのプロセスはまた、高価な傾向がある。さらに、特定の塩の場合において、独特な本プロセスは、一種類だけのエナンチオマーの塩の選択的形成を提供する。薬学的組成物の活性は、それらを構成する塩の型に依存して異なり得、本プロセスは、高い濃縮されたエナンチオ含有量でよい薬学的活性を有する所望の特定の塩を得るための独特の方法を提供する。式Iの化合物の場合において、本プロセスは、反応に対し酸(塩の形成のため)および溶剤の創造的選択によって異性体のこのような優先的な形成を達成する。式Iの化合物の薬学的に有用な塩の場合において、3,4−異性体ペアーは、薬学的活性について1,2−異性体ペアーより好ましい。
【0012】
式Iの化合物の塩の異なる回転異性体を生成するための本プロセスは、いくつかの有利な点を有する:それは、経済的であり、容易にスケールアップし得、そして高い収率で所望の比率を生じる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の説明)
一つの実施形態において、本発明は、高収率で式Iの化合物の薬学的塩を調製するための新規な、使用が容易なプロセスを開示する。本発明はまた、高収率で式Iの化合物の塩の特定の回転異性体または回転異性体のペアーの優先的な調製を教示する。本発明は、塩として異なる比率の回転異性体を得るため、選択された溶剤を用いて混合物中で酸と式Iの化合物(または類似の塩基)を反応させるプロセスを包含する。用語「混合(admixture)」は、当業者に公知であるような成分(例えば、溶液、懸濁液、乳濁液)の物理的接触、カラムを流れ抜けるようなマトリックスを通じた接触などを意味する。説明において、以下の実施例の一つに示されるように、式Iの化合物の固体ベンゼンスルホネート塩について、1,2ペアー対3,4ペアーのジアステレオ異性体の比率は、アセトン中で調製される場合、それぞれ4:96である。しかし、この比率は、MTBE中で調製される場合には7:93に、THF中で調製される場合には80:20に、トルエンまたはアセトニトリルまたは水中で調製される場合には95:5に変化する。他の塩は、後に示されるような酸および溶媒を変化することによって同様に調製され得る。
【0014】
式Iの化合物の特定の所望の回転異性体の調製として本明細書中で記載され、そして説明されるが、本プロセスは、基礎的な薬学的組成物に由来する薬学的に有用な塩の調製に、一般的に十分に適用できるほど単純である。溶剤の適切な選択によって、選択的に塩を形成するため、酸と塩基性化合物との反応(ここから塩が由来する)は、濃縮されたモルパーセントで所望の回転異性体組成物を生じる。従って、別の実施形態において、本発明は、回転異性体または回転異性体のペアーの独特の比率で塩基性化合物の所望の塩を、直接的に調製するための新規な、単純なプロセスを提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、回転異性体集団について高収率および高選択性で薬学的に有用な塩の形成を教示する。
【0015】
以下の非制限リストは、本発明による塩を形成するために使用され得る適切な酸を提示するアニオンを包含する。有用な塩についてのアニオンのリストとしては、例えば、アセテート、ベンゼンスルホネート、ベンゾエート、ビカルボネート、ブロミド、カルシウムエデテート、ショウノウスルホネート、カルボネート、クロリド/ジヒドロクロリド、シトレート、N,N−ジ(デヒドロアビエチル)エチレンジアミン、エデテート、1,2−エタンジスルホネート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプトネート、グルコネート、グルタメート、p−グリコールアミドフェニルアルソネート、ヘキシルレゾルシネート、ヒクレート、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ヒドロキシナフトエート、ヨージド、ラクテート、ラクトビオネート、ラウリルスルホネート、マレート、マレエート、マンデレート、メタンスルホネート、メチルブロミド、メチルニトレート、メチルスルフェート、ムケート(mucate)、ナフェート、ナプシレート、ニトレート、パモエート、パントテネート、ホスフェート/ジホスフェート、ポリガラクトロネート、サリシクレート、ナトリウムスクシネート、ステアレート、サブアセテート、スクシネート、スルフェート、トシレート、タンネート(tannate)、タートレート/ビタートレート、8−クロロテオフィリネート、トリエチオジド、アジペート、アルギネート、アミノサリシクレート、無水メチレンシトレート、アレコリン、アスパレート、ビスルフェート、ブチルブロミド、カンホレート、ジグルコネート、ジヒドロブロミド、ジスクシネート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヒドロフルオリド、ヒドロヨージド、メチレンビス(サリシクレート)、ナフタレンジスルホネート、オキザレート、ペクチネート、ペルスルフェート、フェニルエチルバルビツレート、ピクレート、プロピオネート、チオシアネート、ウデカノエート、アセチルアミノアセテート、N−アセチル−L−アスパラギネート、N−アセチルシスチネート、アダマントエート、アジポエート、N−アルキルスルファメート、アントラキノン−1,5−ジスルホネート、アラボラクタンスルフェート、アルギネート、アスパルテート、ベタイン、カルニチン、4−クロロ−m−トルエンスルホネート、デカノエート、ジアセチルスルフェート、ジベンジルエチレンジアミン、ジメチルアミン、ジグアイアシルホスフェート、ジオクチルスルホンスクシネート、パモエート、フルクトース−1,6−ジホスフェート、グルコースホスフェート、L−グルタメート、ヒドロキシナフトエート、ラウリルスルフェート、リシン、2−ナフテンスルホネート、オクタノエート、タンネートおよびテオブロミンアセテートが挙げられる。さらに、基礎的な薬学的化合物に由来する薬学的に有用な塩の形成のために一般的に適切と考えられている酸は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)、1−19;P.Gould、International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、「The Practice of Medicinal Chemistry」(1996)、Academic Press、New York;Stahlら、「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties、Selection and Use](2002)、Wiley−VCH、Zurichによって、およびThe Orange Book(ウェブサイト上のFood&Drug Administration、Washington、D.C.)で記載されている。これらの開示は、参考として本明細書中で援用されている。
【0016】
一般的に、酸と塩基性化合物の反応によって塩を形成するための公知のプロセスは、回転異性体または回転異性体のペアーの等しい比率を生じ、そしてさらに別のプロセスで後に分離される必要がある。塩形成反応それ自体の間に特定の回転異性体集団中で優先的に濃縮にすることによるこのような分離を避ける、本発明のプロセスは、より優れている。
【0017】
本発明は、式Iの化合物のベンゼンスルホン酸塩の形成によって示され得る。塩基性である式Iの化合物は、溶解され得、またはそうでなければ、適切な溶剤中で親密に混ぜられ、もしくは懸濁され得る。適切な溶剤としては、例えば、ケトン、エーテル、炭化水素、またはそれらの混合物がある。適切なケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトンなどおよびそれらの混合物(好ましくはアセトン)が挙げられる。適切なエーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジグリムン、メチルエチルエーテルおよびそれらの混合物(好ましくは、テトラヒドロフラン)が挙げられる。適切な炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタンおよびそれらの混合物(好ましくは、トルエン)がある。ベンゼンスルホン酸は、同じ溶媒中で、固体としてまたは溶液として(または親密な混合物としてまたは親密な懸濁液として)これに加えられ得る。酸は、式Iの化合物に関し、0.9:1.1モル比で、好ましくは0.9:1モル比で、および代表的には1:1モル比で一般的に使用される。溶媒の全量は、式Iの化合物に関し、約20:1比、好ましくは約18:1比および代表的には約15:1比であり得る。混合物は、約1〜15時間、一般的に約25〜70℃で、好ましくは約25〜60℃でおよび代表的には約40〜60℃で撹拌され、または別な方法で混ぜ合わされ、次いで塩の完全な結晶形成を可能にするため周囲の条件について保持される。塩は、ろ過によってまたはこれに類似の方法によって、単離され得る。アセトンが、実施例中でケトン溶媒として使用される場合、4:96のジアステレオ比(3、4異性体ペアーに対する1、2異性体ペアーについて)は、そのように形成されたベンゼンスルホン酸塩に関し見出された。
【0018】
式Iの化合物が、テトラヒドロフランのようなエーテル溶媒中に溶解され、そして式Iの化合物が、固体としてまたは上記されるプロセスでテトラヒドロフラン中に溶解されて(または混ぜ合わされてまたは懸濁されて)ベンゼンスルホン酸で処理される場合、上記される異性体ペアーの5:95のジアステレオ異性体比が、得られる。エーテルだけの代わりに、溶媒が、エーテルおよび炭化水素の混合溶液に変えられる場合、そのように得られる塩に関するジアステレオマー比は、40:60に変化する。
【0019】
さらに別の例は、式Iの化合物のトシル酸塩(p−トルエンスルホン酸塩)の調製である。トシル酸塩が、例えば、エーテル溶媒中で式Iの化合物およびp−トルエンスルホン酸から調製される場合、99:1のジアステレオマー比が、1、2異性体ペアー対3、4異性体ペアーについて得られる。しかし、溶媒が、例えば、ケトンに変えられる場合、その比率は、得られる塩に関し7:93に変化する。
【0020】
ペアーの代わりに一種類だけのエナンチオマー形態の塩を得ることはまた、可能である。従って、例えば、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトンまたはそれらの混合液、好ましくはアセトン)溶媒中でジベンゾイル酒石酸と式Iの化合物の反応は、95%より高い収率で単一のエナンチオマー(回転異性体1)を生じる。最初の酸が、D−体の酸であるかまたはL−体の酸であるかに依存して、塩の単一のエナンチオマー体は、同じD−構造またはL−構造を有する。
【0021】
本発明によって調製される塩は、薬学的な使用に対し適切で望ましい物理的特性または化学的特性を示す。このような特性の非制限の例としては、物理的安定性、化学的安定性、熱的安定性、所望の吸湿性、可溶性、流動性などが挙げられる。
【0022】
以下の非制限の実施例および表1は、本発明をさらに示すために提供される。
【0023】
(実施例)
他に記載される場合を除いて、以下の略語は、以下の実施例および表1において記載された意味を有する:
HPLC=High Performance Liquid Chromatography(高速液体クロマトグラフィー)
M.pt:融点
NMR=核磁気共鳴分光法
mL=ミリリットル
g=グラム
rt=室温(周囲)
DMSO=ジメチルスルホキシド
THF=テトラヒドロフラン
MTBE=メチルt−ブチルエーテル
ACN=アセトニトリル
EtOH=エタノール
MeOH=メタノール
IPA=イソプロピルアルコール
EtOAc=酢酸エチル
iPrOH=イソプロピルアルコール
iPrOAc=イソプロピルアセテート
TMSI=ヨウ化トリメチルシリル
(実施例)
(実施例1)式Iの化合物のベンゼンスルホン酸塩の調製(4:96):
式Iのアミン化合物(70g、125.6mmol)を、アセトン(700mL)中に取った。この溶液に対し、アセトン(350mL)中に溶解したベンゼンスルホン酸(19.9g、125.8mmol)を加えた。この反応混合物を、12時間、45〜60℃で撹拌し、次いで4時間にわたって20〜25℃まで冷却した。3時間後、不均質な反応混合物を、ろ過し、そして固体を、アセトン(140mL)で2回洗浄した。単離収率は、80〜88%であった。この固体は、HPLCによって96%の(3+4)回転異性体であった。
【0024】
【化2】

(実施例2)式Iの化合物のクエン酸塩(93:7):
室温で30mLのEtOH中の2.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.7gのクエン酸を加えた。3日間、室温で撹拌した後、対応する塩を、93:7の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0025】
(実施例3)式Iの化合物のフマル酸塩の調製(95:5):
式Iのアミン化合物(21.0g、37.7mmol)を、変性されたエチルアルコール(105mL)中に溶解した。この生じた溶液を、60℃まで加熱した。これに対し、変性されたエチルアルコール(105mL)中のフマル酸(4.8g、41.3mmol)の溶液を加えた。この反応混合液を、12時間、60〜65℃で撹拌し、次いで20〜25℃まで冷却した。この不均質な反応混合液を、ろ過し、そして固体を、変性されたエチルアルコール(21mL)で洗浄した。単離収率は、75〜85%であった。この固体は、95%の(1+2)回転異性体であった。
【0026】
【化3】


(代替的溶媒からのフマル酸塩(使用されるフマル酸の0.9〜0.94当量))
1.MeOH/還流19時間/10℃まで冷却。(1,2):(3,4)=97:3;0.4%E−異性体
2.EtOH/70〜75℃ 19時間/10℃まで冷却。(1,2):(3,4)=96.5:3.5;0.3%E−異性体
3.EtOH/60〜65℃ 19時間/10℃まで冷却。(1,2):(3,4)=96.5:3.5;0.01%E−異性体 83%単離収率。
【0027】
4.iPrOH/80℃ 19時間/10℃まで冷却。(1,2):(3,4)=90:10
5.MeCN/80℃ 19時間/10℃まで冷却。(1,2):(3,4)=94:6
6.アセトン/還流 19時間/10℃まで冷却。(1,2):(3,4)=92.5:7.5
7.MeOH:iPrOH(3:1)/還流 2時間/RT、14時間(1,2):(3,4)=97.4:2.6 80%単離収率。
【0028】
8.EtOH:iPrOH(4:1)/還流 2時間/RT、14時間(1,2):(3,4)=95:5 83%単離収率。
【0029】
9.EtOH/還流 21時間/10℃ 1時間。(1,2):(3,4)=96:4
83%単離収率。
【0030】
10.EtOH/還流 6時間/5℃ 1時間。(1,2):(3,4)=95.2:4.8。
【0031】
(実施例4)式Iの化合物の塩酸塩(95:5):
式Iのアミン化合物(0.5g、0.9mmol)を、イソプロピルアルコール(5mL)中に取った。イソプロピルアルコール(0.9mL、0.9mmol)中のHClを加えた。生じた懸濁液を、12時間、80℃で撹拌し、次いで3時間にわたって0℃まで冷却した。固体を、ろ過し、そして氷冷イソプロピルアルコール(5mL)で2回洗浄した。この固体は、>94%の(1+2)回転異性体であった。単離収率は、80〜90%であった。
【0032】
【化4】


(実施例5)塩酸塩(5:95):
10mLのアセトン中の式Iの化合物(1.0g)の撹拌された溶液に対し、0.45mLの塩酸溶液(イソプロパノール中に4.0N)を加えた。一晩撹拌した後、混合液を、ろ過し、5:95の回転異性体比を有する白色固体を得た。
【0033】
(実施例6)3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩(12:88):
10mLのアセトン中の式Iの化合物(1.0g)の撹拌される溶液に対し、3mLのEtOH中の0.34gの3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の溶液を加えた。一晩撹拌した後、混合液を、ろ過し、12:88の回転異性体比を有する白色固体を得た。
【0034】
(実施例7)式Iの化合物のL−リンゴ酸塩(93:7):
室温で25mLのアセトン中の2.4gの式Iの化合物の溶液に対し、0.5gのL−リンゴ酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、93:7の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0035】
(実施例8)式Iの化合物のL−リンゴ酸塩(8:92):
室温で40mLのアセトン中の19gの式Iの化合物の溶液に対し、20mLのEtOH中の4.3gのL−リンゴ酸を加えた。一晩0℃で撹拌した後、対応する塩を、8:92の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0036】
(実施例9)式Iの化合物の(S)−マンデル酸塩(93:7):
室温で16mLのアセトニトリル中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.8gの(S)−マンデル酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、93:7の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0037】
(実施例10)式Iの化合物の粘液酸塩(52:48):
室温で40mLのメタノール中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、1.1gの粘液酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、52:48の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0038】
(実施例11)サリチル酸塩(95:5):
10mLのイソプロピルアセテート中の式Iの化合物(1.0g)の撹拌された溶液に対し、1mLのEtOH中の0.25gのサリチル酸の溶液を加えた。一晩撹拌した後、混合液を、ろ過し、95:5の回転異性体比を有する白色固体を得た。
【0039】
(実施例12)式Iの化合物のコハク酸塩(83:17):
室温で6mL MeOH中の3gの式Iの化合物の溶液に対し、0.63gのコハク酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、83:17の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0040】
(実施例13)p−トルエンスルホン酸塩(7:93):
100mLのアセトン中の5gの式I遊離塩基の化合物の撹拌された溶液に対し、1.7gのp−トルエンスルホン酸を加えた。一晩撹拌した後、混合液を、ろ過し、7:93の回転異性体比を有する白色固体を得た。
【0041】
(実施例14)p−トルエンスルホン酸塩(97:3):
25mLのアセトニトリル中の5gの式I遊離塩基の化合物の撹拌された溶液に対し、1.7gのp−トルエンスルホン酸を加えた。一晩撹拌した後、混合液を、ろ過し、97:3の回転異性体比を有する白色固体を得た。
【0042】
(実施例15)THF中のp−トルエンスルホン酸(99:1):
25mLのTHF中の5.0g(9.0mmol)の351125−Sの溶液に対し、1.7g(8.9mmol)のp−トルエンスルホン酸を加えた。生じた混合液を、一晩還流して加熱し、室温まで冷却し、そしてろ過して、99:1の回転異性体を有する固体を得た。
【0043】
(実施例16)式Iの化合物のトランス−アコニット酸塩(91:9):
室温で6mL EtOH中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.9gのトランス−アコニット酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、91:9の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0044】
(実施例17)式Iの化合物のシス−アコニット酸塩(58:42):
室温で6mL EtOH中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.9gのシス−アコニット酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、58:42の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0045】
(実施例18)式Iの化合物のD−ショウノウ酸塩(5:95):
エチルアルコール(800mL)中の式Iの化合物(100g、179mmol)の溶液に対し、エチルアルコール(70mL)中に溶解したD−ショウノウ酸(34.1g、171mmol)を加えた。この反応混合物を、3時間、56℃で撹拌し、次いで0℃まで冷却した。固体を、ろ過し、そしてエチルアルコール(200mL)で洗浄した。単離収率は、65〜85%であった。この固体は、HPLCによって>95%の(3+4)回転異性体であった。
【0046】
【化5】

(実施例19)式Iの化合物の1,2−シス−シクロヘキサンジカルボン酸塩(78:12):
室温で8mL THF中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.93gの1,2−シス−シクロヘキサンジカルボン酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、78:22の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0047】
(実施例20)式Iの化合物の1,2−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸塩(83:17):
室温で10mL THF中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.93gの1,2−トランス−シクロヘキサンジカルボン酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、83:17の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0048】
(実施例21)式Iの化合物の(R)−シトラマル酸塩(77:23):
室温で10mL メタノール中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.80gの(R)−シトラマル酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、77:23の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0049】
(実施例22)式Iの化合物のシトラコン酸塩(86:14):
室温で6mL アセトン中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.7gのシトラコン酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、86:14の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0050】
(実施例23)式Iの化合物の2,2−ジメチルマロン酸塩(87:13):
室温で11mL THF中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.7gの2,2−ジメチルマロン酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、87:13の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0051】
(実施例24)式Iの化合物のメソ−2,3−ジメチルコハク酸塩(88:12):
室温で10mL メタノール中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.79gのメソ−2,3−ジメチルコハク酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、88:12の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0052】
(実施例25)式Iの化合物の2,2−ジメチルコハク酸塩(91:9):
室温で6mL メタノール中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.78gの2,2−ジメチルコハク酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、91:9の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0053】
(実施例26)式Iの化合物のジベンゾイル−D−酒石酸塩(「DBTA」):
アセトン(200mL)中の式Iの化合物(6.0g、10.8mmol)の溶液に対し、アセトン(50mL)中に溶解したジベンゾイル−D−酒石酸(3.6g、9.6mmol)を加えた。生じた反応混合液を、16時間、25℃で撹拌し、固体をろ過し、そしてアセトン(25mL)で2回洗浄した。単離収率は、55〜65%であった。この固体は、HPLCによって>95%の回転異性体であった。
【0054】
【化6】


(実施例27)式Iの化合物のジベンゾイル−L−酒石酸塩:
200mLのアセトン中の式Iの化合物(6.0g、10.8mmol)の溶液に対し、アセトン(50mL)中に溶解したジベンゾイル−L−酒石酸(3.6g、9.6mmol)を加えた。生じた反応混合物を、16時間、25℃で撹拌し、固体をろ過し、そしてアセトン(25mL)で2回洗浄した。単離収率は、55〜65%であった。この固体は、HPLCによって>95%の回転異性体2であった。
【0055】
【化7】

(実施例28)式Iの化合物のグルタル酸塩(93:7):
室温で6mL メタノール中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.7gのグルタル酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、93:7の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0056】
(実施例29)4−ヒドロキシ安息香酸(2:98):
100mLのイソプロピルアセテート中で10gの式I遊離塩基の化合物の撹拌された溶液に対し、50mLのEtOH中の2.5gの4−ヒドロキシ安息香酸の溶液を加えた。この混合液を、透明な溶液が得られるまでの65℃まで加熱した。室温まで冷却した後、混合液を、ろ過し、2:98の回転異性体比を有する白色固体を得た。
【0057】
(実施例30)式Iの化合物のマロン酸塩(82:18):
室温で12mL THF中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.57gのマロン酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、82:18の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0058】
(実施例31)式Iの化合物の(R)−メチルコハク酸塩(82:18):
室温で5mL アセトン中の2.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.47gの(R)−メチルコハク酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、82:18の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0059】
(実施例32)式Iの化合物の2−メチルグルタル酸塩(2:98):
室温で11mL アセトニトリル中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.78gの2−メチルグルタル酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、2:98の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0060】
(実施例33)式Iの化合物の3−メチルグルタル酸塩(90:10):
室温で12mL アセトニトリル中の3.0gの式Iの化合物の溶液に対し、0.78gの3−メチルグルタル酸を加えた。一晩室温で撹拌した後、対応する塩を、90:10の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0061】
(実施例34)式Iの化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸塩(1:1塩)(4:96):
45℃で10mL アセトニトリル中の1.0gの式Iの化合物の溶液に対し、10mL MeOH中の0.5gの1,5−ナフタレンジスルホン酸を加えた。一時間、還流で撹拌した後、この溶液を、室温まで冷却した。対応する塩を、4:96の回転異性体比を有する白色固体として、ろ過によって単離した。
【0062】
(HPLCを使用する回転異性体比の決定)
回転異性体比は、HPLC(0分 70%A:30%B;25分 70%A:30%B;40分 0%A:100%Bの勾配条件下で、移動相A:10%CHCN:90% 10mM リン化水素カリウム(pH6.2)およびB:80%CHCN:20% 10mM リン化水素カリウム(pH6.2)を使用する、215nm検出器、YMC−Pack pro−C−18、250×4.6mm、4mcm、25〜30℃)カラムの中の冷却水中に溶解した塩のサンプルの注入によって決定される。代表的なベンゼンスルホン酸塩に対し、回転異性体1および2は、約14.2分の保持時間を有することが見出され、一方、回転異性体3および4は、約16.5分の保持時間を有することが見出された。
【0063】
【表1】




実施例および表1は、式Iの化合物の塩のジアステレオマーのペアーの調製として本明細書中に記載されているが、本開示(物質および反応条件の両方)についての多くの改変、バリエーションおよび変化が、行われ得ることは、当業者にとって自明である。全てのこのような改変、バリエーションおよび変化は、本発明の精神および範囲の中にあることを意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの塩基性化合物の塩の回転異性体または回転異性体のペアーの混合物を調製するためのプロセスであって、
【化8】

ここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造によって示され、
【化9】

該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、該プロセスが、該塩基性化合物と、ケトン、エーテル、炭化水素またはこれらの混合物である溶媒と混合した酸とを反応させる工程を包含し、該溶媒が、該塩基性化合物に対して15:1の比で使用される、プロセス。
【請求項2】
前記モルパーセントが、前記塩について、(i)および(ii)に記載されるように、それぞれの回転異性体とその対応する回転異性体の濃度が45:55であるか、(iii)および(iv)に記載されるように、それぞれの回転異性体ペアーとその対応する回転異性体ペアーの濃度が45:55である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記モルパーセントが、前記塩について、(i)および(ii)に記載されるように、それぞれの回転異性体とその対応する回転異性体の濃度が25:75であるか、(iii)および(iv)に記載されるように、それぞれの回転異性体ペアーとその対応する回転異性体ペアーの濃度が25:75である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記モルパーセントが、前記塩について、(i)および(ii)に記載されるように、それぞれの回転異性体とその対応する回転異性体の濃度が10:90であるか、(iii)および(iv)に記載されるように、それぞれの回転異性体ペアーとその対応する回転異性体ペアーの濃度が10:90である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記塩基性化合物が薬学的化合物である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記酸は、薬学的に有用な酸である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
前記酸は、前記塩基性化合物に関し、1:1の比率で使用される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記塩が、ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩、マレイン酸塩、(D)−ショウノウ酸塩、(L)−ショウノウ酸塩、2−メチルグルタル酸塩、3−メチルグルタル酸塩、4−ヒドロキシ安息香酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ジベンゾイル−D−酒石酸塩、ジベンゾイル−L−酒石酸塩、フマル酸塩、塩酸塩および臭化水素酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記塩が、ベンゼンスルホン酸塩である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ケトンが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ケトンが、アセトンである、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記エーテルが、テトラヒドロフラン、ジグリム、メチルエチルエーテルおよびそれらの混合物からなる群から選択され、そして前記炭化水素は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ベンゼンスルホン酸塩が、25℃〜70℃の温度で形成される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
前記塩が、ジベンゾイル酒石酸塩である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項15】
前記ジベンゾイル酒石酸塩が、ケトン溶媒中でジベンゾイル酒石酸と式Iの化合物を反応させることによって調製される、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ジベンゾイル酒石酸が、(D)酸である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ジベンゾイル酒石酸が、(L)酸である、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
前記塩が、p−トルエンスルホン酸塩である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項19】
前記p−トルエンスルホン酸塩が、エーテル溶媒中でp−トルエンスルホン酸と式Iの前記化合物を反応させることによって調製される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記エーテルが、テトラヒドロフランである、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記p−トルエンスルホン酸塩が、ケトン溶媒中でp−トルエンスルホン酸と式Iの前記化合物を反応させることによって調製される、請求項19に記載のプロセス。
【請求項22】
前記ケトンが、アセトンである、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
式Iの化合物のベンゼンスルホン酸塩の回転異性体または回転異性体のペアーの混合物を調製するためのプロセスであって、
【化8】

ここで、該混合物が、以下:
(i)該ベンゼンスルホン酸塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該ベンゼンスルホン酸塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該ベンゼンスルホン酸塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該ベンゼンスルホン酸塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、該プロセスが、
(a)溶媒中で式Iの化合物の最初の親密な混合物を調製する工程;
(b)25℃〜70℃の温度で該最初の親密な混合物を維持する工程;
(c)工程(a)で示される同じ溶媒中でベンゼンスルホン酸の2番目の親密な混合物を調製する工程;
(d)組み合された混合物を調製するために該最初の親密な混合物と該2番目の親密な混合物を組み合わせ、およびベンゼンスルホン酸塩の形成を誘導するために25℃〜70℃の温度で組み合された混合物を維持する工程;および
(e)ベンゼンスルホン酸塩を単離する工程であって、該溶媒が、ケトン、エーテル、炭化水素またはこれらの混合物であり、該溶媒が、該塩基性化合物に対して15:1の比で使用される工程、
を包含し、さらに、ここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)が、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下
【化9】

のジアステレオマー構造によって示される、プロセス。
【請求項24】
前記モルパーセントが、(i)および(ii)に記載されるように、前記ベンゼンスルホン酸塩のそれぞれの回転異性体とその対応する回転異性体の濃度が45:55であるか、(iii)および(iv)に記載されるように、該ベンゼンスルホン酸塩のそれぞれの回転異性体ペアーとその対応する回転異性体ペアーの濃度が45:55である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記モルパーセントが、(i)および(ii)に記載されるように、前記ベンゼンスルホン酸塩のそれぞれの回転異性体とその対応する回転異性体の濃度が25:75であるか、(iii)および(iv)に記載されるように、該ベンゼンスルホン酸塩のそれぞれの回転異性体ペアーとその対応する回転異性体ペアーの濃度が25:75である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項26】
前記モルパーセントが、(i)および(ii)に記載されるように、前記ベンゼンスルホン酸塩のそれぞれの回転異性体とその対応する回転異性体の濃度が5:95であるか、(iii)および(iv)に記載されるように、該ベンゼンスルホン酸塩のそれぞれの回転異性体ペアーとその対応する回転異性体ペアーの濃度が5:95である、請求項23に記載のプロセス。
【請求項27】
前記ケトンが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルn−アミルケトンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項23に記載のプロセス。
【請求項28】
前記ケトンが、アセトンである、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記エーテルが、テトラヒドロフラン、ジグリム、メチルエチルエーテルおよびそれらの混合物からなる群から選択され、そして前記炭化水素は、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項23に記載のプロセス。
【請求項30】
塩基性化合物の塩の回転異性体または回転異性体のペアーの混合物であって、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、該混合物が、該塩基性化合物と、溶媒と混合した酸とを反応させることを含むプロセスによって調製され、さらに、ここで、該塩基性化合物が、式Iの化合物:
【化8】

であり、該酸がベンゼンスルホン酸であり、該塩がベンゼンスルホン酸塩であり、モルパーセントが、(i)、(ii)、(iii)および(iv)に記載されるように、回転異性体または回転異性体のペアーが45:55であり、該溶媒がケトン、エーテル、炭化水素またはこれらの混合物であり、該溶媒が該塩基性化合物に対して15:1の比で使用され、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、混合物。
【請求項31】
塩基性化合物の酸塩であって、該塩基性化合物が、式:
【化8】

を有し、該酸塩が、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゾエート、ビカルボネート、ブロミド、カルシウムエデト酸塩、ショウノウスルホネート、カルボネート、クロリド/ジヒドロクロリド、クエン酸塩、N,N−ジ(デヒドロアビエチル)エチレンジアミン、エデト酸塩、1,2−エタンジスルホネート、エタンスルホネート、フマル酸塩、グルコヘプトネート、グルコネート、グルタミン酸塩、p−グリコールアミドフェニルアルソネート、ヘキシルルレゾシネート、ヒクレート、ヒドロブロミド、ヒドロクロリド、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ヒドロキシナフトエート、ヨウジド、ラクテート、ラクトビオネート、ラウリルスルホネート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホネート、メチルブロミド、メチルニトレート、メチルスルフェート、ムケート、ナフェート、ナプシレート、ニトレート、パモエート、パントテン酸塩、ホスフェート/ジホスフェート、ポリガラクツロネート、サリシクレート、ナトリウムコハク酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、スルフェート、トシレート、タンニン酸塩、タートレート/ビタートレート、8−クロロテオフィリネート、トリエチオジド、アジペート、アルギン酸塩、アミノサリシクレート、無水メチレンクエン酸塩、アレコリン、アスパレート、ビスルフェート、ブチルブロミド、カンホレート、ジグルコネート、ジヒドロブロミド、ジコハク酸塩、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、フッ化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、メチレンビス(サリシクレート)、ナフタレンジスルホネート、オキザレート、ペクチネート、ペルスルフェート、フェニルエチルバルビツール酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、チオシアネート、ウデカン酸塩、アセチルアミノ酢酸塩、N−アセチル−L−アスパラギン酸塩、N−アセチルシスチン酸塩、アダマントエート、アジポエート、N−アルキルスルファメート、アントラキノン−1,5−ジスルホネート、アラボラクタンスルフェート、アルギニン酸塩、アスパルテート、ベタイン、カルニチン、4−クロロ−m−トルエンスルホネート、デカノエート、ジアセチルスルフェート、ジベンジルエチレンジアミン、ジメチルアミン、ジグアイアシルホスフェート、ジオクチルスルホコハク酸塩、パモエート、フルクトース−1,6−ジホスフェート、グルコースホスフェート、L−グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエート、ラウリルスルフェート、リシン、2−ナフテンスルホネート、オクタノン酸塩、タンニン酸塩およびテオブロミン酢酸塩からなる群から選択され、さらにここで、該酸塩が、回転異性体または回転異性体のペアーの混合物として存在し、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、酸塩。
【請求項32】
塩基性化合物のフマル酸塩であって、該塩基性化合物が、式:
【化8】

を有し、ここで、該塩が、回転異性体または回転異性体のペアーの混合物として存在し、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、フマル酸塩。
【請求項33】
塩基性化合物の(D)−ショウノウ酸塩であって、該塩基性化合物が、式:
【化8】

を有し、ここで、該塩が、回転異性体または回転異性体のペアーの混合物として存在し、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、(D)−ショウノウ酸塩。
【請求項34】
塩基性化合物のベンゼンスルホン酸塩であって、該塩基性化合物が、式:
【化8】

を有し、ここで、該塩が、回転異性体または回転異性体のペアーの混合物として存在し、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、ベンゼンスルホン酸塩。
【請求項35】
塩基性化合物の(L)−ショウノウ酸塩であって、該塩基性化合物が、式:
【化8】

を有し、ここで、該塩が、回転異性体または回転異性体のペアーの混合物として存在し、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、(L)−ショウノウ酸塩。
【請求項36】
塩基性化合物のジベンゾイル−(D)−酒石酸塩であって、該塩基性化合物が、式:
【化8】

を有し、ここで、該塩が、回転異性体または回転異性体のペアーの混合物として存在し、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、ジベンゾイル−(D)−酒石酸塩。
【請求項37】
塩基性化合物のジベンゾイル−(L)−酒石酸塩であって、該塩基性化合物が、式:
【化8】

を有し、ここで、該塩が、回転異性体または回転異性体のペアーの混合物として存在し、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、ジベンゾイル−(L)−酒石酸塩。
【請求項38】
塩基性化合物のリンゴ酸塩であって、該塩基性化合物が、式:
【化8】

を有し、ここで、該塩が、回転異性体または回転異性体のペアーの混合物として存在し、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、リンゴ酸塩。
【請求項39】
塩基性化合物のp−トルエンスルホン酸塩であって、該塩基性化合物が、式:
【化8】

を有し、ここで、該塩が、回転異性体または回転異性体のペアーの混合物として存在し、該混合物が、以下:
(i)該塩の回転異性体2よりも高いモルパーセントの回転異性体1;または
(ii)該塩の回転異性体1よりも高いモルパーセントの回転異性体2;または
(iii)該塩の回転異性体3、4ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体1、2ペアー;または
(iv)該塩の回転異性体1、2ペアーよりも高いモルパーセントの回転異性体3、4ペアー
のいずれかを含み、さらにここで、回転異性体1(構造A)、回転異性体2(構造B)、回転異性体3(構造C)および回転異性体4(構造D)は、キラルHPLCカラムから1、2、3および4の順で溶離し、式Iのaおよびbで記された結合の制限された回転に起因した以下のジアステレオマー構造
【化9】

によって示される、p−トルエンスルホン酸塩。
【請求項40】
明細書中に記載の方法。

【公開番号】特開2010−174022(P2010−174022A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47165(P2010−47165)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【分割の表示】特願2003−565967(P2003−565967)の分割
【原出願日】平成14年11月26日(2002.11.26)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】