説明

Bcl−2ファミリー阻害剤の経口投与用医薬剤形

本発明は、N−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミド、またはその塩、水和物または溶媒和物、少なくとも1つの医薬的に許容され得るポリマー及び少なくとも1つの医薬的に許容され得る可溶化剤を含む固体分散生成物を含む医薬剤形に関する。本発明は更に、前記医薬剤形の製造方法及び増殖性疾患を治療するための前記剤形の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Bcl−2ファミリー阻害剤の経口投与用医薬剤形、前記剤形の製造方法及び増殖性疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Bcl−2ファミリーのタンパク質、例えばBcl−2、Bcl−xL及びMcl−1により、細胞はアポトーシスを回避することができるようになる。これらのタンパク質は癌及び他の増殖性疾患に関与している。これらのタンパク質は癌細胞においてしばしばアップレギュレートされ、癌細胞ではアポトーシス促進性タンパク質を隔離し、中和し、よってアポトーシスをトリガーするシグナルが存在するにも関わらず癌細胞は生存することができる。従って、Bcl−2ファミリータンパク質の阻害剤は癌治療に対する有用な候補である。幾つかの阻害剤が例えばWO 2007/040650に記載されている。
【0003】
好ましいBcl−2ファミリー阻害剤は、N−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニル−スルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミド(ABT−263)であり、この製造はUS 2007/0027135に記載されている。ABT−263の分子構造を以下に示す:
【0004】
【化1】

残念ながら、これらの化合物の結晶形は、多かれ少なかれ水性液体中での溶解度が非常に低く、その溶解速度及びバイオアベイラビリティーに悪影響を及ぼすという特徴を有する。医薬の経口剤形の可能性ある有用性の目安は剤形を経口投与後に観察されるバイオアベイラビリティーである。各種因子が経口投与したときの薬物のバイオアベイラビリティーに影響を及ぼす恐れがある。これらの因子には、水性溶解度、胃腸管全体にわたる薬物吸収、用量濃度及び初回通過効果が含まれる。水性溶解度がこれらの因子の最も重要な1つである。
【0005】
患者コンプライアンス及び味マスキングのような各種理由のために、通常固体剤形が液体剤形よりも好ましい。しかしながら、多くの場合、薬物の経口固体剤形のバイオアベイラビリティーは薬物の経口液剤よりも低い。
【0006】
固体剤形により与えられるバイオアベイラビリティーを薬物の固溶体を形成することにより向上させる試みもなされている。固溶体は、その中に含まれている成分が液体媒体(例えば、胃液)と接触したとき容易に溶液を形成するので好ましい物理系である。溶解の容易さは、少なくとも部分的に固溶体から成分を溶解させるのに必要なエネルギーが結晶性または微結晶性固体相から成分を溶解させるのに必要なエネルギーより少ないという事実に起因し得る。しかしながら、固溶体から放出された薬物が胃腸管の水性流体中に水溶化したままであることが重要である。さもなければ、薬物は胃腸管中で沈降し、それによりバイオアベイラビリティーは低くなる。
【0007】
WO 01/00175は、補助剤マトリックス中の活性成分の固溶体である機械的に安定な医薬剤形を開示している。このマトリックスはN−ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマー及び液体または半固体界面活性剤を含有している。
【0008】
WO 00/57854は、少なくとも1つの活性化合物、少なくとも1つの熱可塑性の成形可能なマトリックス形成性補助剤、及び10%以上〜最高40重量%の2〜18のHLBを有し、20℃で液体であるかまたは20〜50℃の滴点を有する界面活性物質を含有する非経口投与用の機械的に安定な医薬剤形を開示している。
【0009】
US 2005/0208082は、ビタミンE TPGS及びリノール酸の混合物からなる可溶化組成物を開示している。可溶化組成物は水性相中に親油性物質を分散させるために使用されている。親油性物質は治療上有効な親油性物質(例えば、親油性ビタミン、コエンザイムQ10、カロテノイド、α−リポ酸または必須脂肪酸)であり得る。
【0010】
US 2005/0236236は、疎水性薬物、特にステロイドを投与するための医薬組成物を開示している。この医薬組成物は疎水性薬物、ビタミンE物質及び界面活性剤を含む。文献は疎水性薬物とビタミンE物質間の相乗効果を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2007/040650号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0027135号明細書
【特許文献3】国際公開第01/00175号
【特許文献4】国際公開第00/57854号
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0208082号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0236236号明細書
【発明の概要】
【0012】
分子構造中にスルファニル基が存在しているために、ABT−263はスルホキシドに酸化しやすく、このスルホキシドはABT−263の治療効果を保持していない。このために、ABT−263の経口液剤は使用直前に調製されている。
【0013】
我々は、ABT−263及び少なくとも1つの医薬的に許容され得るポリマーの固体分散物が経口投与後十分なバイオアベイラビリティーを示すだけでなく、貯蔵安定ですぐに使える剤形を与えることを知見した。非常に驚くことに、本質的に非結晶性アモルファス状態であるにも関わらず、固体分散物中でABT−263分子は抗酸化剤が全くまたは殆ど存在していなくても酸化に対してかなり耐性である。「本質的に非結晶性アモルファス状態」は、X線回折分析により測定して5%以下、好ましくは2%以下の結晶化度、最も好ましくは偏光顕微鏡により調べて検出不能な結晶化度を意味する。
【0014】
本発明は、医薬活性成分、少なくとも1つの医薬的に許容され得るポリマー及び少なくとも1つの医薬的に許容され得る可溶化剤を含む固体分散生成物からなり、前記医薬活性成分がN−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミド、その塩、水和物または溶媒和物である医薬剤形に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】可溶化剤としてSpan 20を含有する製剤中の二塩酸塩として投与したABT−263の血漿濃度を異なる時点で示す。製剤は断食させたまたは餌を与えたイヌに対して50、100または200mgの用量で経口投与した。
【図2】可溶化剤としてビタミンE−TPGSを含有する製剤中の二塩酸塩として投与したABT−263の血漿濃度を異なる時点で示す。製剤は断食させたまたは餌を与えたイヌに対して50、100または200mgの用量で経口投与した。
【図3】ビタミンE−TPGSのみを含有する製剤(製剤13)中の遊離塩基として、ビタミンE−TPGS及び可塑剤としてプロピレングリコールを含有する製剤(製剤10)中の二塩酸塩として投与したABT−263の血漿濃度を異なる時点で示す。製剤は餌を与えたイヌに対して50mgの用量で経口投与した。
【図4】各種ABT−263製剤のスルホキシド含量を異なる時点で測定した開放皿を用いる促進安定性研究の結果を示す。
【図5】各種ABT−263製剤のスルホキシド含量を異なる時点で測定した開放皿を用いる促進安定性研究の結果を示す。
【図6】各種ABT−263製剤のスルホキシド含量を異なる時点で測定した密閉皿を用いる促進安定性研究の結果を示す。
【図7】各種ABT−263製剤のスルホキシド含量を異なる時点で測定した密閉皿を用いる促進安定性研究の結果を示す。
【図8】異なるABT−263製剤を含有する錠剤からのABT−263の放出を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
活性成分は本発明の剤形中に固体分散物または固溶体として存在している。用語「固体分散物」は、少なくとも2つの成分を含み、1つの成分が他の成分中に均一に分散している固体状態(液体または気体状態と対照的)の系を意味する。例えば、活性成分または活性成分の組合せが医薬的に許容され得るポリマー及び医薬的に許容され得る可溶化剤から構成されるマトリックス中に分散している。用語「固体分散物」は、1つの相の小粒子、典型的には直径1μm未満の小粒子が別の相中に分散されている系を包含する。系が1つの相中で化学的且つ物理的に均一または均質であるかまたは(熱力学で定義される)1つの相から構成されているように成分が分散されているとき、固体分散物は「固溶体」または「ガラス様溶液」と呼ばれている。ガラス様溶液は、溶質がガラス様溶媒中に溶解している均質なガラス様系である。ガラス様溶液及び固溶体が好ましい物理系である。これらの系は熱分析(DSC)またはX線回折分析(WAXS)から明らかなように結晶または微結晶状態の活性成分を有意な量含有していない。
【0017】
本発明に従う剤形は優れた安定性という特徴を有し、特に活性成分の再結晶化または分解に対して高い耐性を発揮する。
【0018】
本発明の剤形は、高い達成可能なAUC(0〜48時間または他の指定する時間間隔での血漿濃度−時間曲線下面積)、高い達成可能なCm3x(最高血漿濃度)及び低いTmax(最高血漿濃度に達するまでの時間)を特徴とする放出及び吸収挙動を発揮する。
【0019】
用語「AUC」は「曲線下面積」を意味し、通常の意味で、すなわち血漿濃度−時間曲線下面積として使用される。「AUC0−48」及び「AUC0−24」は、それぞれ0〜48時間または0〜24時間の血漿濃度−時間曲線下面積を指す。
【0020】
水性液体と接触すると形成される分散物も例えば経口液剤または非経口注射剤としてそのまま使用され得る。
【0021】
通常、固体分散生成物は
・約0.5〜40重量%、好ましくは約1〜25重量%のABT−263、
・約40〜97.5重量%、好ましくは約50〜94重量%の少なくとも1つの医薬的に許容され得るポリマー、
・約2〜20重量%、好ましくは約5〜20重量%の少なくとも1つの可溶化剤、及び
・約0〜15重量%、好ましくは約0〜10重量%の添加剤
を含む。
【0022】
本発明の剤形が完全に固体分散生成物から構成されていてもよいが、通常添加剤及び補助剤が固体分散生成物を剤形に製剤化する際に使用されている。一般的に、剤形は固体剤形の全重量に基づいて少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも45重量%の固体分散生成物を含む。
【0023】
典型的には、本発明の1つの剤形は約50〜約1000mg、好ましくは約75〜約600mg、特に約100〜約500mgのABT−263を含有している。
【0024】
本発明の剤形はABT−263またはABT−263と1つ以上の他のBcl−2ファミリー阻害剤の組合せを含む。剤形はABT−263及び少なくとも1つの追加活性成分の組合せを含み得る。
【0025】
ABT−263は酸付加塩、塩基付加塩または両性イオンとして存在し得る。ABT−263の塩は単離中または精製後に製造され得る。酸付加塩はABT−263と酸の反応から誘導されるものである。従って、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、炭酸水素塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、硫酸水素酸塩、ブチル酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリセロリン酸塩、グルタミン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩を含めた塩が本発明に包含されることを意味する。化合物の塩基付加塩は、ABT−263とカチオン(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム)の炭酸水素塩、炭酸塩、水酸化物またはリン酸塩の反応から誘導されるものである。
【0026】
適当な実施形態において、医薬活性成分はABT−263の遊離塩基、ナトリウム塩及び二塩酸塩、またはその組合せからなる群から選択される。好ましい実施形態において、医薬活性成分はABT−263の遊離塩基である。
【0027】
本明細書中で使用されている用語「医薬的に許容され得る可溶化剤」は医薬的に許容され得るノニオン性界面活性剤を指す。可溶化剤は剤形から放出された活性成分の即時乳化を達成し得、及び/または胃腸管の水性流体中に活性成分が沈殿するのを防止し得る。1つの可溶化剤及び可溶化剤の組合せを使用し得る。可溶化剤はノニオン性可溶化剤、アニオン性可溶化剤及びその組合せからなる群から選択され得る。本発明の実施形態によれば、固体分散生成物は2つ以上の医薬的に許容され得る可溶化剤の組合せを含む。
【0028】
本発明の1つの実施形態によれば、医薬的に許容され得るノニオン性可溶化剤はポリオール脂肪酸エステル、ポリアルコキシル化ポリオール脂肪酸エステル、ポリアルコキシル化脂肪アルコールエーテル、トコフェリル化合物またはその2つ以上の混合物からなる群から選択され、医薬的に許容され得るアニオン性可溶化剤はアルキルスルフェート、アルキルカルボキシレート、アルキルベンゾールスルフェート及び第2級アルカンスルホネートからなる群から選択される。
【0029】
好ましいノニオン性可溶化剤はソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルコキシル化脂肪酸エステル(例えば、ポリアルコキシル化グリセリド、ポリアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルまたはポリアルキレングリコールの脂肪酸エステル)、脂肪アルコールのポリアルコキシル化エーテル、トコフェリル化合物またはその2つ以上の混合物から選択される。これらの化合物中の脂肪酸鎖は通常8〜22個の炭素原子を含む。ポリアルキレンオキシドブロックは1分子あたり平均して4〜50個のアルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシド単位を含む。
【0030】
適当なソルビタン脂肪酸エステルはソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート(Span(登録商標)60)、ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標)80)、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレートまたはソルビタンモノオレエートである。
【0031】
適当なポリアルコキシル化ソルビタン脂肪酸エステルの例はポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(Tween(登録商標)65)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(Tween(登録商標)85)、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレートまたはポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノオレエートである。
【0032】
適当なポリアルコキシル化グリセリドは、例えば天然または水素化グリセリドをアルコキシル化することにより、または天然または水素化グリセリドをポリアルキレングリコールでエステル交換反応することにより得られる。市販例はポリオキシエチレングリセロールリシノレエート35、ポリオキシエチレングリセロールトリヒドロキシステアレート40(Cremophor(登録商標)RH40,BASF AG)、及びGattefosseからGelucire(登録商標)及びLabrafil(登録商標)の商標名、例えばGelucire(登録商標)44/14(水素化パーム核油をPEG 1500でエステル交換反応することにより製造されるラウロイルマクロゴール32グリセリド)、Gelucire(登録商標)50/13(水素化パーム油をPEG 1500でエステル交換反応することにより製造されるステアロイルマクロゴール32グリセリド)またはLabrafil M1944 CS(アプリコット核油をPEG 300でエステル交換反応することにより製造されるオレオイルマクロゴール6グリセリド)で入手できるもののようなポリアルコキシル化グリセリドである。
【0033】
適当なポリアルキレングリコールの脂肪酸エステルは、例えばPEG 660ヒドロキシ−ステアリン酸(12−ヒドロキシステアリン酸(70モル%)と30モル% エチレングリコールのポリグリコールエステル)である。
【0034】
適当な脂肪アルコールのポリアルコキシル化エーテルは、例えばPEG(2)ステアリルエーテル(Brij(登録商標)72)、マクロゴール6セチルステアリルエーテルまたはマクロゴール25セチルステアリルエーテルである。
【0035】
通常、トコフェリル化合物は下式に相当する:
【0036】
【化2】

式中、Zは連結基であり、R及びRは相互に独立して水素またはC−Cアルキルであり、nは5〜100、好ましくは10〜50の整数である。典型的には、Zは脂肪族二塩基酸(例えば、グルタル酸、コハク酸またはアジピン酸)の残基である。好ましくはR及びRは共に水素である。
【0037】
好ましいトコフェリル化合物は、一般的にビタミンE−TPGSと略されているα−トコフェリルポリエチレングリコールスクシナートである。ビタミンE−TPGSは、d−α−トコフェリル酸スクシナートをポリエチレングリコール1000を用いてエステル化することにより製造される天然ビタミンEの水溶性形態である。ビタミンE−TPGSは米国テネシー州キングスポートに所在のEastman Chemical CompanyまたはCognis(ドイツ国デュッセルドルフに所在)から入手可能であり、米国薬局方及び国民医薬品集(NF)にリストされている。
【0038】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、医薬的に許容され得る可溶化剤はポリアルキレングリコール部分を有するトコフェリル化合物(例えば、α−トコフェリルポリエチレングリコールスクシナート)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ソルビタンモノラウレート)及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、及びその2つ以上の組合せからなる群から選択される。この実施形態は、活性成分がABT−263遊離塩基である場合に特に有用である。
【0039】
別の好ましい実施形態では、剤形は少なくとも1つの医薬的に許容され得るノニオン性可溶化剤及び少なくとも1つの医薬的に許容され得るアニオン性可溶化剤を含む。有利には、医薬的に許容され得るノニオン性可溶化剤はソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びα−トコフェリルポリエチレングリコールスクシナート(本明細書中でビタミンE−TPGSまたはVit.E−TPGSとも称される)からなる群から選択され、医薬的に許容され得るアニオン性可溶化剤はラウリル硫酸ナトリウム(本明細書中でSDSとも称される)である。この実施形態は、活性成分がABT−263の二塩酸塩のようなABT−263の酸付加塩である場合に特に有用である。
【0040】
ABT−263固溶体の形成は、固体分散生成物中に医薬活性成分に対する非揮発性溶媒を配合することにより促進され得る。非揮発性溶媒を周囲温度及び周囲圧力下で液体であるABT−263に対して高い溶解力を有する溶媒から選択することが適当である。
【0041】
適当な溶媒の非限定例は液体ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコール400(PEG−400);N−メチルピロリドン;l,3−ビス(ピロリドン−1−イル)−ブタン;及びプロピレングリコールからなる。好ましい溶媒はプロピレングリコールである。使用しようとする非揮発性溶媒の量は固体分散生成物の機械的特性を弱めるほど多くてはならず、通常固体分散生成物の重量に基づいて2〜10重量%(例えば、3〜5重量%)である。
【0042】
医薬的に許容され得るポリマーは水溶性ポリマー、水分散性ポリマーまたは水膨潤性ポリマー、或いはその混合物から選択され得る。ポリマーが水中で透明な均質溶液を形成するならば、該ポリマーは水溶性と見なされる。20℃で水性溶液中に2%(w/v)で溶解させたとき、水溶性ポリマーは好ましくは1〜5000mPa.s、より好ましくは1〜700mPa.s、最も好ましくは5〜100mPa.sの見かけ粘度を有している。水分散性ポリマーは、水と接触したとき透明な溶液ではなくコロイド状分散液を形成するものである。水膨潤性ポリマーは水または水性溶液と接触すると典型的にはゴム状ゲルを形成する。
【0043】
好ましくは、本発明において使用される医薬的に許容され得るポリマーは少なくとも40℃、好ましくは少なくとも+50℃、最も好ましくは80〜180℃のTgを有する。「Tg」はガラス転移温度を意味する。有機ポリマーのTg値の測定方法は、“Introduction to Physical Polymer Science”,L.H.Sperlingによる第2版,John Wiley & Sons,Inc.,1992発行に記載されている。Tg値は、ポリマーを構成するモノマーiの各々から誘導されるホモポリマーのTg値の重量合計として計算され得る:Tg=ΣW(ここで、Wは有機ポリマー中のモノマーiの重量%であり、Xはモノマーiから誘導されるホモポリマーのTg値である)。ホモポリマーのTg値は“Polymer Handbook”,第2版,J.Brandrup and E.H.Immergut編,John Wiley & Sons.Inc.,1975発行から調べることができる。
【0044】
固体分散生成物中に含まれている各種添加剤または活性成分そのものもポリマーに対して可塑化効果を発揮し得、よって最終固体分散生成物がその製造のために使用した出発ポリマーよりもやや低いTgを有するようにポリマーのTgを下げる。通常、最終固体分散生成物は20℃以上、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、最も好ましい40℃以上のTg、例えば約45〜約60℃のTgを有している。
【0045】
例えば、好ましい医薬的に許容され得るポリマーはN−ビニルラクタムのホモポリマー及びコポリマー、特にN−ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、N−ビニルピロリドンと酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニルのコポリマー)、セルロースエステル及びセルロースエーテル、特にメチルセルロース及びエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、特にヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、特にヒドロキシプロピル−メチルセルロース、セルロースフタレートまたはスクシナート、特に酢酸フタル酸セルロース及びフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;高分子量ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコール−グラフトコポリマー(Kollicoat(登録商標)IRとしてドイツ国ルートヴィヒスハーフェンに所在のBASF AGから入手可能);ポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えばメタクリル酸/アクリル酸エチルポリマー、メタクリル酸/メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸ブチル/メタクリル酸2−ジメチルアミノエチルコポリマー、ポリ(ヒドロキシアルキルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、酢酸ビニルポリマー(例えば、酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマー、部分加水分解されているポリ酢酸ビニル(部分ケン化「ポリビニルアルコール」とも称される))、ポリビニルアルコール、オリゴ糖及び多糖(例えば、カラギーナン、ガラクトマンナン及びキサンタンガム)、或いはその1つ以上の混合物からなる群から選択され得る。
【0046】
これらの中で、N−ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマー、特にN−ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーが好ましい。特に好ましいポリマーは、コポリマーの60重量%のN−ビニルピロリドン及びコポリマーの40重量%の酢酸ビニルのコポリマーである。
【0047】
適当に使用され得る更なるポリマーは、PVP及びポリ酢酸ビニルの混合物からなるKollidon(登録商標)SR(ドイツ国ルートヴィヒスハーフェンに所在のBASF AGから入手可能)である。
【0048】
医薬活性成分の固体分散生成物は各種方法により製造され得る。
【0049】
好ましくは、固体分散生成物は溶融−押出しにより調製される。従って、固体分散生成物は溶融加工し、凝固させた混合物である。溶融−押出し方法は、活性成分または活性成分の組合せ、医薬的に許容され得るポリマー及び可溶化剤の均質メルトを調製するステップ及びメルトを凝固するまで冷却するステップを含む。「溶融」は、1つの成分を他の成分中に均質に埋め込まれるようになる液体またはゴム状態への転移を意味する。典型的には、1つの成分が溶融し、他の成分はメルト中に溶解し、こうして溶液を形成する。溶融は、通常医薬的に許容され得るポリマーの軟化点以上に加熱することを含む。メルトの調製は各種方法で実施し得る。メルトを形成する前、その間またはその後に成分の混合を行い得る。例えば、成分をまず混合した後に溶融しても、混合と溶融を同時に実施してもよい。通常、メルトは活性成分を効率的に分散させるために均質である。また、まず医薬的に許容され得るポリマーを溶融した後、活性成分を混合し、均質化することが便利であり得る。
【0050】
通常、メルト温度は70〜250℃、好ましくは80〜180℃、最も好ましくは100〜140℃の範囲である。
【0051】
活性成分はそのまま、または適当な溶媒(例えば、アルコール、脂肪族炭化水素またはエステル)中の溶液または分散液として使用され得る。使用可能な別の溶媒は液体二酸化炭素である。メルトの調製時に溶媒を除去、例えば蒸発させる。或いは、医薬活性成分の固体分散物を先に挙げた医薬活性成分に対する非揮発性溶媒を用いて調製してもよい。
【0052】
各種添加剤、例えば流れ調整剤(例えば、コロイド状シリカ)、滑沢剤、増量剤(フィラー)、崩壊剤、可塑剤、安定化剤(例えば、抗酸化剤、光安定剤、ラジカルスカベンジャー、または微生物攻撃に対する安定化剤)をメルト中に配合してもよい。
【0053】
溶融及び/または混合はこの目的のために一般的な装置において行う。押出機または混練機が特に適当である。適当な押出機には、一軸スクリュー押出機、かみ合いスクリュー押出機または多軸スクリュー押出機、好ましくは共回転または逆回転性であり、場合によりメルトを混合または分散するために混練ディスクまたは他のスクリュー素子を備えている二軸スクリュー押出機が含まれる。作業温度が押出機の種類または使用する押出機内の構成の種類によっても決定され得ることは認識されている。押出機において成分を溶融、混合及び溶解させるために必要なエネルギーの一部は加熱素子により与えられ得る。しかしながら、押出機中の材料の摩擦及び剪断によっても混合物に対して大量のエネルギーが与えられ、成分の均質メルトを形成するのが助けられ得る。
【0054】
押出機から出てきた押出物はペースト状〜粘性の範囲である。押出物を凝固する前に、押出物を直接実質的に所望の形状に成形してもよい。押出物の成形を表面上の窪みを手動で合わせながら2つの逆回転するローラーを有するカレンダーを用いて実施するのが好都合であり得る。広範囲の錠剤の剤形が異なる形の窪みを有するローラーを用いることにより得られ得る。ローラーがその表面上に窪みを有していないならば、フィルムが得られ得る。或いは、押出物を射出成形により所望の形状に成形する。或いは、凝固前(ホットカット)または後(コールドカット)に押出物を異形押出しにかけ、ピースに切断する。
【0055】
加えて、押出物がプロペラント、例えばガス(例:二酸化炭素)または揮発性化合物(例:低分子量炭化水素)、或いは熱的にガスに分解し得る化合物を含んでいるならば、泡状物が形成され得る。プロペラントを押出機内で比較的高圧条件下で押出物中に溶解し、押出物が押出機ダイから出てくるとき圧力は突然放出される。よって、プロペラントの可解性が低下し、及び/またはプロペラントが蒸発して、泡状物が形成される。
【0056】
場合により、生じた固溶体生成物を顆粒に微粉砕または粉砕する。次いで、顆粒をカプセルに充填しても、圧縮してもよい。圧縮は、多孔性が低い圧縮物(例えば、錠剤)を得るべく顆粒を含む粉末状塊を高圧下で緻密化させる方法を意味する。粉末状塊の圧縮は通常錠剤プレスを用いて、より具体的には2つの移動パンチ間のスチールダイを用いて実施する。
【0057】
有利には、固体剤形は流れ調整剤、崩壊剤、増量剤及び滑沢剤から選択される少なくとも1つの添加剤を含有している。
【0058】
流れ調整剤、崩壊剤、増量剤(フィラー)及び滑沢剤から選択される少なくとも1つの添加剤を顆粒を圧縮する際に使用することが好ましい。崩壊剤は、圧縮物の胃での急速崩壊を促進し、遊離した顆粒を相互に別々に保持する。適当な崩壊剤は架橋ポリマー、例えば架橋ポリビニルピロリドン及び架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースである。適当な増量剤(「フィラー」とも称される)はマンニトール、ラクトース、リン酸水素カルシウム、結晶セルロース(Avicel(登録商標))、酸化マグネシウム、ジャガイモまたはトウモロコシ澱粉、イソマルト、ポリビニルアルコールから選択される。
【0059】
適当な流れ調整剤は高分散性シリカ(Aerosil(登録商標))(本明細書中でコロイド状二酸化ケイ素とも称される)、並びに動物または植物性脂肪またはワックスから選択される。
【0060】
顆粒を圧縮する際に滑沢剤を使用することが好ましい。適当な滑沢剤はポリエチレングリコール(例えば、1000〜6000の分子量を有する)、ステアリン酸マグネシウム及びカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク等から選択される。
【0061】
各種の他の添加剤、例えば染料(例:アゾ染料)、有機または無機顔料(例:酸化アルミニウムまたは二酸化チタン)または天然起源の染料;安定化剤(例えば、抗酸化剤、光安定剤、ラジカルスカベンジャー、または微生物攻撃に対する安定化剤)が使用され得る。前記添加剤は当業者に公知であり、例えば抗酸化剤の非限定例はビタミンEまたはその誘導体(例えば、ビタミンE−TPGS)、ブチルヒドロキシトルエン(BTH)、システイン、及びアスコルビン酸またはその誘導体からなる。
【0062】
先に述べたように、ABT−263分子は熱及び/または酸化分解に対して感受性であり、その正確な構造が完全に解明されていない幾つかの分解生成物を生じる。主たる分解生成物はABT−263のスルファニル基の酸化により形成されるスルホキシドであると考えられる。スルホキシド分解生成物の不確かな式を以下に示す。硫黄原子が不斉中心を構成し、よって各種ジアステレオマー形態を生ずることは当業者に自明である。各種ジアステレオマー形態はすべて用語「スルホキシド分解生成物」中に含まれなければならない
【0063】
【化3】

【0064】
1つの実施形態によれば、剤形は活性成分の重量に対して、活性成分のスルホキシド分解生成物を1.5重量%未満、より好ましくは1.2%未満、最も好ましくは0.9重量%未満含む。
【0065】
従って、本発明の更なる態様は、a)医薬活性成分、その塩、水和物または溶媒和物、少なくとも1つの医薬的に許容され得るポリマー及び少なくとも1つの可溶化剤の均質メルトを調製し、b)このメルトを凝固して、固体分散生成物を得ることを含む本発明の固体剤形の製造方法に関する。
【0066】
1つの実施形態によれば、上記方法は更に固体分散生成物を粉砕し、固体分散生成物を錠剤に圧縮することを含む。
【0067】
本発明の剤形は、幾つかの層から構成される剤形として、例えば積層または多層錠剤として提供され得る。剤形は開放または密閉の形態であり得る。「閉鎖剤形」は、1つの層が少なくとも1つの他の層により完全に包囲されている剤形である。多層剤形は、相互に適合性でない2つの活性成分を加工し得るという作用効果、または活性成分の放出特性をコントロールできるという作用効果を有する。例えば、活性成分を外層の1つに配合することにより初期用量、活性成分を内層に配合することにより維持量を与えることができる。多層錠剤タイプは顆粒の2つ以上の層を圧縮することにより製造され得る。或いは、多層剤形は「共押出し」として公知の方法により製造され得る。本質的に、この方法は、先に説明したように少なくとも2つの異なるメルト組成物を調製し、これらの溶融組成物をジョイント共押出しダイに通すことを含む。共押出しダイの形状は所要の剤形に依存する。例えば、スロットダイと呼ばれている平らなダイギャップを有するダイ及び環状スリットを有するダイが適当である。
【0068】
剤形の哺乳動物による摂取を助長するために、剤形に適切な形状を与えることが有利である。従って、楽に飲み込むことができる大型錠剤の形状は丸いよりも細長いことが好ましい。
【0069】
錠剤上のフィルム剤皮により錠剤は更に飲み込み易くなる。また、フィルム剤皮は味を改善し、上品な外観を与える。所望により、フィルム剤皮は腸溶性剤皮であり得る。フィルム剤皮は通常ポリマーフィルム形成性材料、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びアクリレートまたはメタクリレートコポリマーを含む。フィルム剤皮は、フィルム形成性材料以外に更に可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール)、界面活性剤(例えば、Tween(登録商標)タイプ)、及び場合により顔料(例えば、二酸化チタンまたは酸化鉄)を含み得る。フィルム剤皮は抗接着剤としてタルクを含み得る。フィルム剤皮は通常剤形の約5重量%未満を占めている。
【0070】
固体剤形の製造方法の更なる実施形態によれば、この方法は更に固体分散生成物を粉砕し、この固体分散生成物をカプセルシェルに充填することを含む。
【0071】
カプセルシェルのための適当な材料は当業界で公知であり、例えばゼラチン、ガム(例えば、カラギーナンまたはゲラン)、及びセルロースまたはセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)からなる。
【0072】
本発明の1つの態様によれば、剤形は1つ以上の抗アポトーシス性Bcl−2タンパク質、抗アポトーシス性Bcl−Xタンパク質及び抗アポトーシス性Bcl−wタンパク質が過剰発現されている疾患を治療するために使用される。
【0073】
本発明の別の態様によれば、剤形は、治療を要する被験者に対して剤形を投与することを含む異常細胞増殖及び/または調節不全アポトーシスの疾患、特に増殖性疾患の治療方法において使用され、及び/または治療を要する被験者に対して剤形を投与することを含む異常細胞増殖及び/または調節不全アポトーシスの疾患、特に増殖性疾患の治療用薬剤を製造するために使用される。
【0074】
従って本発明の剤形は増殖性疾患、特に腫瘍または癌を治療するために有用である。増殖性疾患は中皮腫、膀胱癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、頸部癌、膣癌、外陰癌、骨癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸及び十二指腸)癌、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、精巣癌、肝細胞癌(肝臓及び胆管)、原発性または続発性中枢神経系腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞起源のリンパ系腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、口腔癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓及び尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系の腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫及びその組合せからなる群から選択され得る。
【0075】
正確な用量及び投与頻度は、当業者に公知のように治療対象の具体的状態、具体的患者の年齢、体重及び全身健康状態、及び患者が受けるかもしれない他の薬物治療に依存する。
【0076】
本発明の医薬剤形を追加の医薬活性成分と一緒に投与しても、または本発明の医薬剤形が追加の医薬活性成分を含んでいてもよい。追加の医薬活性成分は、単独でまたは他の化合物と組み合わせて増殖性疾患を治療するために有用であることが公知である化合物であり得る。
【0077】
併用治療の例には、本発明の組成物とボルテゾミブ、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、フルダラビン、イリノテカン、パクリタキセル、ラパマイシン、リツキシマブ、ビンクリスチン等の1つ以上、例えばCHOP(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン)、RCVP(リツキシマブ+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プレドニゾン)、R−CHOP(リツキシマブ+CHOP)またはDA−EPOCH−R(用量調節したエトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びリツキシマブ)のような多剤療法との同時投与が含まれる。
【0078】
本発明の組成物は、1つ以上の治療薬との併用治療において投与され得、前記治療薬には、アルキル化剤、血管形成抑制剤、抗体、代謝拮抗物質、細胞分裂阻止剤、増殖抑制薬、抗ウイルス剤、オーロラキナーゼ阻害剤、他のアポトーシスプロモーター(例えば、Bcl−xL、Bcl−w及びBcl−1阻害剤)、細胞死受容体経路のアクチベーター、Bcr−Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞結びつけ)抗体、抗体−薬物コンジュゲート、生物応答調節剤、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、二重可変ドメイン結合タンパク質(DVD)、ヒト上皮増殖因子受容体2(ErbB2またはHER/2neu)受容体阻害剤、増殖因子阻害剤、ヒートショックタンパク質(HSP)−90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン治療薬、免疫薬、アポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)、挿入性抗生物質、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、JAK2阻害剤、哺乳動物ラパマイシン標的(mTOR)阻害剤、ミクロRNA、マイトジェン活性化細胞外シグナル制御キナーゼ(MEK)阻害剤、多価結合タンパク質、非スロイド性抗炎症薬(NSAID)、ポリ−ADP(アデノシンジホスフェート)−リボースポリマーゼ(PARP)阻害剤、白金化学療法剤、ポロ様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI3K)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド、デルトイド、植物アルカノイド、阻害作用を持つ低分子リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤等が含まれる。
【0079】
BiTE抗体は、2つの細胞を同時に結合することにより癌細胞を攻撃するようにT細胞を導く二重特異性抗体である。次いで、T細胞は標的癌細胞を攻撃する。BiTE抗体の例には、アデカツムマブ(Micromet MT201)、ブリナツモマブ(Micromet MT103)等が含まれるが、これらに限定されない。理論に限定されずに、T細胞が標的癌細胞のアポトーシスを誘発するメカニズムの1つは細胞溶解性顆粒成分のエキソサイトーシスによる。前記成分にはパーフェリン及びグランザイムBが含まれる。これに関して、Bcl−2はパーフェリン及びグランザイムBの両方によるアポトーシスの誘導を減ずることが判明している。これらのデータから、Bcl−2を阻害すると癌細胞に標的化したときT細胞により誘発される細胞傷害性効果が高められ得ることが示唆される(Suttonら,(1997),J.Immunol.,158:5783−5790)。
【0080】
siRNAは、内因性RNA塩基または化学修飾ヌクレオチドを有する分子である。修飾は細胞活性を無効にせず、むしろ高い安定性及び/または高い細胞効力を付与する。化学修飾の例には、ホスホロチオエート基、2’−デオキシヌクレオチド、2’−OCH含有リボヌクレオチド、2’−F−リボヌクレオチド、2’−メトキシエチルリボヌクレオチド、その組合せ等が含まれる。siRNAは異なる長さ(例えば、10〜200bps)及び構造(例えば、ヘアピン、一本/二本鎖、ふくらみ、ニック/ギャップ、ミスマッチ)を有し得、活性遺伝子サイレンシングを与えるように細胞中でプロセッシングされる。二本鎖siRNA(dsRNA)は各鎖(平滑末端)または非対称末端(突出部)上に同数のヌクレオチドを有し得る。1〜2個のヌクレオチドの突出がセンス及び/またはアンチセンス鎖上に存在し得、所与の鎖の5’−及び/または3’−末端上に存在し得る。例えば、siRNA標的化Mcl−1は各種腫瘍細胞株においてABT−263またはABT−737の活性を高めることが判明している(Tseら,(2008),Cancer Res.,68:3421−3428及びこの中の参考文献)。
【0081】
多価結合タンパク質は2つ以上の抗原結合部位を含む結合タンパク質である。多価結合タンパク質は3つ以上の抗原結合部位を有するように工学操作されており、通常天然に存在しない抗体である。用語「多重特異性結合タンパク質」は、2つ以上の関連または非関連標的を結合し得る結合タンパク質を意味する。二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は、2つ以上の抗原結合部位を含むタンパク質を結合する四価または多価結合タンパク質である。DVDは単一特異性(すなわち、1つの抗原を結合し得る)または多重特異性(すなわち、2つ以上の抗原を結合し得る)であり得る。2つの重鎖DVDポリペプチド及び2つの軽鎖DVDポリペプチドを含むDVD結合タンパク質はDVD Igと称される。DVD Igの各半分は重鎖DVDポリペプチド、軽鎖DVDポリペプチド及び2つの抗原結合部位を含む。各結合部位は重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、抗原結合に関与するCDRを抗原結合部位あたり全部で6個含む。
【0082】
アルキル化剤には、アルトレタミン、AMD−473、AP−5280、アパジコン、ベンダムスチン、ブロスタリシン、ブスルファン、カルボクオン、カルムスチン(BCNU)、クロラムブシル、Cloretazine(商標)(ラロムスチン,VNP 40101M)、シクロホスファミド、ダカルバジン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルフォスファミド、イホスファミド、KW−2170、ロムスチン(CCNU)、マホスファミド、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ニムスチン、ナイトロジェンマスタードN−オキシド、ラニムスチン、テモゾロマイド、チオテパ、トレオスルファン、トロホスファミド等が含まれる。
【0083】
血管形成抑制剤には、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、内皮細胞特異的受容体チロシンキナーゼ(Tie−2)阻害剤、インスリン増殖因子−2受容体(IGFR−2)阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ−2(MMP−2)阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ−9(MMP−9)阻害剤、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)阻害剤、トロンボスポンジンアナログ、血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ(VEGFR)阻害剤等が含まれる。
【0084】
代謝拮抗物質には、Alimta(商標)(ペメトレキセドジナトリウム,LY231514、MTA)、5−アザシチジン、Xeloda(商標)(カペシタビン)、カルモフール、Leustat(商標)(クラドリビン)、クロファラビン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、シトシンアラビノシド、デシタビン、デフェロキサミン、ドキシフルリジン、エフロルニチン、EICAR(5−エチニル−1−β−D−リボフラノシルイミダゾール−4−カルボキサミド)、エノシタビン、エチニルシチジン、フルダラビン、5−フルオロウラシル(5−FU)単独またはロイコボリンとの組合せ、Gemzar(商標)(ゲムシタビン)、ヒドロキシ尿素、Alkeran(商標)(メルファラン)、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、メトトレキサート、マイコフェノール酸、ネララビン、ノラトレキシド、オクホスファト、ペリトレキソール、ペントスタチン、ラルチトリキセド、リバビリン、S−1、トリアピン、トリメトレキサート、TS−1、チアゾフリン、テガフール、ビダラビン、UFT等が含まれる。
【0085】
抗ウイルス剤には、リトナビル、ヒドロキシクロロキン等が含まれる。
【0086】
オーロラキナーゼ阻害剤には、ABT−348、AZD−1152、MLN−8054、VX−680、オーロラA特異的キナーゼ阻害剤、オーロラB特異的キナーゼ阻害剤、パンオーロラキナーゼ阻害剤等が含まれる。
【0087】
ABT−263以外のBcl−2ファミリータンパク質阻害剤には、AT−101((−)ゴシポール)、Genasense(商標)Bcl−2−標的化アンチセンスオリゴヌクレオチド(G3139またはオブリメルセン)、IPI−194、IPI−565、N−(4−(4−((4’−クロロ(1,1’−ビフェニル)−2−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(ジメチルアミノ)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−ニトロベンゼンスルホンアミド)(ABT−737)、GX−070(オバトクラックス)等が含まれる。
【0088】
Bcr−Ablキナーゼ阻害剤には、ダサチニブ(BMS−354825)、Gleevec(商標)(イマチニブ)等が含まれる。
【0089】
CDK阻害剤には、AZD−5438、BMI−1040、BMS−387032、CVT−2584、フラボピリドール、GPC−286199、MCS−5A、PD0332991、PHA−690509、セリシクリブ(CYC−202またはR−ロスコビチン)、ZK−304709等が含まれる。
【0090】
COX−2阻害剤には、ABT−963、Arcoxia(商標)(エトリコキシブ)、Bextra(商標)(バルデコキシブ)、BMS−347070、Celebrex(商標)(セレコキシブ)、COX−189(ルミラコキシブ)、CT−3、Deramaxx(商標)(デラコキシブ)、JTE−522、4−メチル−2−(3,4−ジメチルフェニル)−1−(4−スルファモイルフェニル)−1H−ピロール、MK−663(エトリコキシブ)、NS−398、パレコキシブ、RS−57067、SC−58125、SD−8381、SVT−2016、S−2474、T−614、Vioxx(商標)(ロフェコキシブ)等が含まれる。
【0091】
EGFR阻害剤には、ABX−EGF、抗EGFRイムノリポソーム、EGFワクチン、EMD−7200、Erbitux(商標)(セツキシマブ)、HR3、IgA抗体、Iressa(商標)(ゲフィチニブ)、Tarceva(商標)(エルロチニブまたはOSI−774)、TP−38、EGFR融合タンパク質、Tykerb(商標)(ラパチニブ)等が含まれる。
【0092】
ErbB2受容体阻害剤には、CP−724714、CI−1033(カネルチニブ)、Herceptin(商標)(トラスツズマブ)、Tykerb(商標)(ラパチニブ)、Omnitarg(商標)(2C4,パーツズマブ)、TAK−165、GW−572016(ロナファルニブ)、GW−282974、EKB−569、PI−166、dHER2(HER2ワクチン)、APC−8024(HER2ワクチン)、抗HER/2neu二重特異性抗体、B7.her2IgG3、AS HER2三官能性二重特異性抗体、mAB AR−209、mAB 2B−1等が含まれる。
【0093】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤には、デプシペプチド、LAQ−824、MS−275、トラポキシン、ヒドロキサミン酸サブエロイルアニリド(SAHA)、TSA、バルプロ酸等が含まれる。
【0094】
HSP−90阻害剤には、17AAG、CNF−101、CNF−1010、CNF−2024、17−DMAG、ゲルダナマイシン、IPI−504、KOS−953、Mycograb(商標)(HSP−90に対するヒト組換え抗体)、nab−17AAG、NCS−683664、PU24FC1、PU−3、ラディシコール、SNX−2112、STA−9090、VER−49009等が含まれる。
【0095】
アポトーシスタンパク質の阻害剤には、HGS−1029、GDC−0145、GDC−0152、LCL−161、LBW−242等が含まれる。
【0096】
抗体−薬物コンジュゲートには、抗−CD22−MC−MMAF、抗−CD22−MC−MMAE、抗−CD22−MCC−DMl、CR−011−vcMMAE、PSMA−ADC、MEDI−547、SGN−19A、SGN−35、SGN−75等が含まれる。
【0097】
細胞死受容体経路のアクチベータには、TRAIL及び抗体、またはTRAILまたは細胞死受容体(例えば、DR4及びDR5)を標的とする他の物質、例えばアポマブ、コナツムマブ、ETR2−ST01、GDC0145(レクサツムマブ)、HGS−1029、LBY−135、PRO−1762、トラスツズマブ等が含まれる。
【0098】
キネシン阻害剤には、Eg5阻害剤(例:AZD−4877及びARRY−520)、CENPE阻害剤(例:GSK−923295A)等が含まれる。
【0099】
JAK2阻害剤には、CEP−701(レスタウルチニブ)、XL019、INCB−018424等が含まれる。
【0100】
MEK阻害剤には、ARRY−142886、ARRY−438162、PD−325901、PD−98059等が含まれる。
【0101】
mTOR阻害剤には、AP−23573、CCI−779、エベロリムス、RAD−001、ラパマイシン、テムシロリムス、PI−103、PP242、PP30及びTorin 1を含めたATP競合性TORC1/TORC2阻害剤等が含まれる。
【0102】
非ステロイド性抗炎症薬には、Amigesic(商標)(サルサラート)、Dolobid(商標)(ジフルニサル)、Motrin(商標)(イブプロフェン)、Orudis(商標)(ケトプロフェン)、Relafen(商標)(ナブメトン)、Feldene(商標)(ピロキシカム)、イブプロフェンクリーム、Aleve(商標)及びNaprosyn(商標)(ナプロキセン)、Voltaren(商標)(ジクロフェナク)、Indocin(商標)(インドメタシン)、Clinoril(商標)(スリンダク)、Tolectin(商標)(トルメチン)、Lodine(商標)(エトドラク)、Toradol(商標)(ケトロラック)、Daypro(商標)(オキサプロジン)等が含まれる。
【0103】
PDGFR阻害剤には、CP−673451、CP−868596等が含まれる。
【0104】
白金化学療法剤には、シスプラチン、Eloxatin(商標)(オキサリプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、Paraplatin(商標)(カルボプラチン)、ピコプラチン、サトラプラチン等が含まれる。
【0105】
ポロ様キナーゼ阻害剤には、BI−2536等が含まれる。
【0106】
ホスホイノシチド−3キナーゼ阻害剤には、ウォルトマンニン、LY−294002、XL−147、CAL−120、ONC−21、AEZS−127、ETP−45658、PX−866、GDC−0941、BGT226、BEZ235、XL765等が含まれる。
【0107】
トロンボスポンジンアナログには、ABT−510、ABT−567、ABT−898、TSP−1等が含まれる。
【0108】
VEGFR阻害剤には、Avastin(商標)(ベバシズマブ)、ABT−869、AEE−788、Angiozyme(商標)(血管形成を抑制するリボザイム(Ribozyme Pharmaceuticals(コロラド州ボルダーに所在)及びChiron(カリフォルニア州エメリビルに所在))、アクシチニブ(AG−13736)、AZD−2171、CP−547632、IM−862、Macugen(商標)(ペガプタニブ)、Nexavar(商標)(ソラフェニブ,BAY43−9006)、パゾパニブ(GW−786034)、バタラニブ(PTK−787またはZK−222584)、Sutent(商標)(スニチニブまたはSU−11248)、VEGFトラップ、Zactima(商標)(バンデタニブまたはZD−6474)等が含まれる。
【0109】
抗生物質には、挿入性抗生物質、例えばアクラルビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、アナマイシン、Adriamycin(商標)(ドキソルビシン)、Blenoxane(商標)(ブレオマイシン)、ダウノルビシン、Caelyx(商標)及びMyocet(商標)(リポソーマルドキソルビシン)、エルサミトルシン、エピルビシン、グラルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ネモルビシン、ネオカルジノスタチン、ペプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、Valstar(商標)(バルルビシン)、ジノスタチン等が含まれる。
【0110】
トポイソメラーゼ阻害剤には、アクラルビシン、9−アミノカンプトテシン、アモナフィド、アムサクリン、ベカテカリン、ベロテカン、BN−80915、Camptosar(商標)(塩酸イリノテカン)、カンプトテシン、Cardioxane(商標)(デキストラゾキサン)、ジフロモテカン、エドテカリン、Ellence(商標)及びPharmorubicin(商標)(エピルビシン)、エトポシド、エキサテカン、10−ヒドロキシカンプトテシン、ジャイマテカン、ラルトテカン、ミトキサントロン、オラテチン、ピラルビシン、ピキサントロン、ルビテカン、ソブゾキサン、SN−38、タフルポシド、トポテカン等が含まれる。
【0111】
抗体には、Avastin(商標)(ベバシズマブ)、CD40特異的抗体、chTNT−1/B、デノスマブ、Erbitux(商標)(セツキシマブ)、Humax−CD4(商標)(ザノリムマブ)、IGF1R特異的抗体、リンツズマブ、Panorex(商標)(エドレコロマブ)、Rencarex(商標)(WX G250)、Rituxan(商標)(リツキシマブ)、チシリムマブ、トラスツズマブ、CD20抗体タイプI及びII等が含まれる。
【0112】
ホルモン治療薬には、Arimidex(商標)(アナストロゾール)、Aromasin(商標)(エキセメスタン)、アルゾキシフェン、Casodex(商標)(ビカルタミド)、Cetrotide(商標)(セトロレリックス)、デガレリックス、デスロレリン、Desopan(商標)(トリロスタン)、デキサメタゾン、Drogenil(商標)(フルタミド)、Evista(商標)(ラロキシフェン)、Afema(商標)(ファドロゾール)、Fareston(商標)(トレミフェン)、Faslodex(商標)(フルベストラント)、Femara(商標)(レトロゾール)、ホルメスタン、グルココルチコイド、Hectorol(商標)(ドキセルカルシフェロール)、Renagel(商標)(セベラマー炭酸塩)、ラソフォキシフェン、酢酸ロイプロリド、Megace(商標)(メゲストロール)、Mifeprex(商標)(ミフェプリストン)、Nilandron(商標)(ニルタミド)、Nolvadex(商標)(クエン酸タモキシフェン)を含めたタモキシフェン、Plenaxis(商標)(アバレリックス)、プレドニゾン、Propecia(商標)(フィナステリド)、トリロスタン、Suprefact(商標)(ブセレリン)、Trelstar(商標)(トリプトレリン)を含めた黄体形成放出ホルモン(LHRH)、Vantas(商標)(ヒストレリンインプラント)を含めたヒストレリン、Modrastane(商標)(トリロスタン)、Zoladex(商標)(ゴセレリン)等が含まれる。
【0113】
デルトイド及びレチノイドには、セオカルシトール(EB 1089またはCB 1093)、レキサカルシトール(KH1060)、フェンレチニド、Panretin(商標)(アリトレチノイン)、Atragen(商標)(リポソーマルトレチノイン)を含めたトレチノイン、Targretin(商標)(ベキサロテン)、LGD−1550等が含まれる。
【0114】
PARP阻害剤には、ABT−888、オラパリブ、KU−59436、AZD−2281、AG−014699、BSI−201、BGP−15、INO−1001、ONO−2231等が含まれる。
【0115】
植物アルカノイドには、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン等が含まれる。
【0116】
プロテアソーム阻害剤には、Velcade(商標)(ボルテゾミブ)、MG132、NPI−0052、PR−171等が含まれる。
【0117】
免疫薬の例にはインターフェロン及び他の免疫増強剤が含まれる。インターフェロンには、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2a、インターフェロンアルファ−2b、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ−Ia、Actimmune(商標)(インターフェロンガンマ−Ib)、インターフェロンガンマ−nl、その組合せ等が含まれる。他の物質には、Alfaferone(IFN−α)、BAM−002(酸化グルタチオン)、Beromun(商標)(タソネルミン)、Bexxar(商標)(トシツモマブ)、Campath(商標)(アレムツズマブ)、CTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4)、ダカルバジン、デニロイキン、エプラツズマブ、Granocyte(商標)(レノグラスチム)、レンチナン、白血球アルファインターフェロン、イミキモド、MDX−010(抗CTLA−4)、黒色腫ワクチン、ミツモマブ、モルグラモスチム、Mylotarg(商標)(ゲムツズマブ・オゾガマイシン)、Neupogen(商標)(フィルグラスチム)、OncoVAC−CL、Ovarex(商標)(オレゴボマブ)、ペムツモマブ(Y−muHMFG1)、Provenge(商標)(シプリューセル−T)、サルグラモスチム、シゾフィラン、テセロイキン、Theracys(商標)(BCG、すなわちカルメット・ゲラン桿菌)、ウベニメクス、Virulizin(商標)(免疫療法薬,Lorus Pharmaceuticals)、Z−100(丸山ワクチン、すなわちSSM)、WF−10(テトラクロロデカオキシド、すなわちTCDO)、Proleukin(商標)(アルデスロイキン)、Zadaxin(商標)(チマルファシン)、Zenapax(商標)(ダクリズマブ)、Zevalin(商標)(90Y−イブリツモマブ・チウキセタン)等が含まれる。
【0118】
生物応答調節剤は、抗腫瘍活性を持つように導くべく生存生物の防御メカニズムまたは組織細胞の生物応答(例えば、生存、増殖または分化)を調節する物質であり、これらの中にはクレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニール、PF−3512676(CpG−8954)、ウベニメクス等が含まれる。
【0119】
ピリミジンアナログには、シタラビン(シトシンアラビノシド,ara CまたはアラビノシドC)、ドキシフルリジン、Fludara(商標)(フルダラビン)、5−FU(5−フルオロウラシル)、フロキシウリジン、Gemzar(商標)(ゲムシタビン)、Tomudex(商標)(ラルチトレキセド)、トリアセチルウリジン、Troxatyl(商標)(トロキサシタビン)等が含まれる。
【0120】
プリンアナログには、Lanvis(商標)(チオグアニン)、Purinethol(商標)(メルカプトプリン)等が含まれる。
【0121】
細胞分裂阻止剤には、バタブリン、エポチロンD(KOS−862)、N−(2−((4−ヒドロキシ−フェニル)アミノ)ピリジン−3−イル)−4−メトキシベンゼンスルホンアミド、イクサベピロン(BMS−247550)、パクリタキセル、Taxotere(商標)(ドセタキセル)、ラロタキセル(PNU−100940,RPR−109881またはXRP−9881)、パツピロン、ビンフルニン、ZK−EPO(合成エポチロン)等が含まれる。
【0122】
ユビキチンリガーゼ阻害剤には、MDM2阻害剤(例:ヌトリン)、NEDD8阻害剤(例:MLN4924)等が含まれる。
【0123】
本発明の組成物は放射線療法の有効性を高める放射線増感剤としても使用され得る。放射線療法の例には、体外放射線療法(XBRT)、遠隔治療法、短距離放射線療法、密封線源放射線療法、非密封線源放射線療法等が含まれるが、これらに限定されない。
【0124】
加えてまたは代わりに、本発明の組成物はAbraxane(商標)(ABI−007)、ABT−100(ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤)、Advexin(商標)(Ad5CMV−p53ワクチンまたはコンツスゲン・ラデノベック(contusugene ladenovec))、Altocor(商標)またはMevacor(商標)(ロバスタチン)、Ampligen(商標)(ポリ(I)−ポリ(C12U),合成RNA)、Aptosyn(商標)(エクシスリンド)、Aredia(商標)(パミドロン酸)、アラグラビン、L−アスパラギナーゼ、アタメスタン(1−メチル−3,17−ジオン−アンドロスタ−1,4−ジエン)、Avage(商標)(タザロテン)、AVE−8062(コンブレタスタチン誘導体)、BEC2(ミツモマブ)、カケクチンまたはカケキシン(腫瘍壊死因子)、Canvaxin(商標)(黒色腫ワクチン)、CeaVac(商標)(癌ワクチン)、Celeuk(商標)(セルモロイキン)、Ceplene(商標)(ヒスタミン二塩酸塩)を含めたヒスタミン、Cervarix(商標)(AS04補助剤吸着ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン)、CHOP(Cytoxan(商標)(シクロホスファミド)+Adriamycin(商標)(ドキソルビシン)+Oncovin(商標)(ビンクリスチン)+プレドニゾン)、コンブレタスタチンA4P、Cypat(商標)(シプロテロン)、DAB(389)EGF(His−Alaリンカーを介してヒト上皮増殖因子に融合したジフテリア毒素の触媒及び転位ドメイン)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、Dimericine(商標)(T4N5リポソームローション)、5,6−ジメチルキサンテノン−4−酢酸(DMXAA)、ディスコデルモライド、DX−8951f(メシル酸エキサテカン)、エニルウラシル(エチニルウラシル)、Evizon(商標)(乳酸スクアラミン)を含めたスクアラミン、エンザスタウリン、EPO−906(エポチロンB)、Gardasil(商標)(四価のヒトパピローマウイルス(タイプ6、11、16、18)組換えワクチン)、Gastrimmune(商標)、Genasense(商標)(オブリメルセン)、GMK(ガングリオシドコンジュゲートワクチン)、GV AX(商標)(前立腺癌ワクチン)、ハロフジノン、ヒストレリン、ヒドロキシカルバミド、イバンドロン酸、IGN−101、IL−13−PE38、IL−13−PE38QQR(シントレデキン・ベスドトクス)、IL−13−シュードモナスエキソトキシン、インターフェロン−α、インターフェロン−γ、Junovan(商標)及びMepact(商標)(ミファムルチド)、ロナファルニブ、5,10−メチレンテトラヒドロフォレート、ミルテホシン(ヘキサデシルホスホコリン)、Neovastat(商標)(AE−941)、Neutrexin(商標)(グルクロン酸トリメトレキサート)、Nipent(商標)(ペントスタチン)、Onconase(商標)(ランピルナーゼ,リボヌクレアーゼ酵素)、Oncophage(商標)(ビテスペン,黒色腫ワクチン治療)、OncoVAX(商標)(IL−2ワクチン)、Orathecin(商標)(ルビテカン)、Osidem(商標)(抗体をベースとする細胞薬物)、Ovarex(商標)MAb(ネズミモノクローナル抗体)、パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子、パクリタキセル、Pandimex(商標)(20(S)−プロトパナキサジオール(aPPD)及び20(S)−プロトパナキサトリオール(aPPT)を含むヤクヨウニンジン由来アグリコンサポニン)、パニツムマブ、Panvac(商標)−VF(研究用癌ワクチン)、ペグアスパラガーゼ、ペグインターフェロンアルファ(PEGインターフェロンA)、フェノクソディオール、プロカルバジン、レビマスタト、Removab(商標)(カツマキソマブ)、Revlimid(商標)(レナリドミド)、RSR13(エファプロキシラル)、Somatuline(商標)LA(ランレオチド)、Soriatane(商標)(アシトレチン)、スタウロスポリン(ストレプトミセス・スタウロスポレウス(Streptomyces staurospores))、タラボスタット(PT100)、Targretin(商標)(ベキサロテン)、Taxoprexin(商標)(ドコサヘキサン酸(DHA)+パクリタキセル)、Telcyta(商標)(カンフォスファミド,TLK−286)、Temodar(商標)(テモゾロマイド)、テスミリフェン、テトランドリン、サリドマイド、Theratope(商標)(STn−KLHワクチン)、Thymitaq(商標)(ノラトレキシド二塩酸塩)、TNFerade(商標)(アデノベクター:腫瘍壊死因子−αに対する遺伝子を含有するDNAキャリヤー)、Tracleer(商標)またはZavesca(商標)(ボセンタン)、TransMID−107R(商標)(KSB−311,ジフテリア毒素)、トレチノイン(レチン−A)、Trisenox(商標)(三酸化ヒ素)、Ukrain(商標)(クサノオウ植物由来のアルカノイドの誘導体)、Virulizin(商標)、Vitaxin(商標)(抗−αvβ3抗体)、Xcytrin(商標)(モテキサフィンガドリニウム)、Xinlay(商標)(アトラセンタン)、Xyotax(商標)(パクリタキセル・ポリグルメックス)、Yondelis(商標)(トラベクテジン)、ZD−6126(N−アセチルコルヒノール−O−ホスフェート)、Zinecard(商標)(デクスラゾキサン)、ゾレドロン酸、ゾルビシン等から選択される1つ以上の抗体腫瘍剤または化学療法剤との併用治療で投与され得る。
【0125】
以下の実施例は本発明を限定することなく本発明を更に説明するために役立つであろう。
【実施例1】
【0126】
固体分散生成物の調製及びキャラクタリゼーション
各種組成の製剤を下表1に示すように調製した。ABT−263をブレンダーにおいてコポピドン(N−ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー)及び可溶化剤の予め顆粒化した混合物と混合した。指示されている場合、流動性を向上させるために1%のコロイド状二酸化ケイ素を添加した。粉末状混合物を表1に示す押出温度でLeistritzミクロ18 GMP−押出機を用いて押出した。
【0127】
絶対バイオアベイラビリティーは、経口投与後の体循環中の活性薬物のバイオアベイラビリティー(曲線下面積、すなわちAUCとして推定)を静脈投与後同一薬物のバイオアベイラビリティーと比較する。表1中、バイオアベイラビリティーFは餌を与えたイヌに対して50mgのABT−263用量を投与した後に測定した。
【0128】
【表1】


【実施例2】
【0129】
バイオアベイラビリティー評価
a)経口バイオアベイラビリティー研究のためのプロトコル
バイオアベイラビリティー評価のために、実施例1に記載されている押出物を微粉砕し、カプセルに充填した。各カプセルは50mgのABT−263を含有していた。
【0130】
2つの製剤についての用量応答及び食物効果をビーグル犬(両方の性別,10kgの概算体重)で評価した。各群5匹のイヌの群に断食及び餌を与えた状態で50mg(1カプセル/イヌ)、100mg(2カプセル/イヌ)または200mg(4カプセル/イヌ)のABT−263を経口投与した。投与した後約10mlの水を与えた。すべての研究で、ビーグル犬を一晩断食させた後、投与したが、水は自由に摂取させた。餌は投与前〜30分(餌を与えた状態)、または投与から4時間後(断食状態)イヌに戻した。2つの投与期間の間に1週間のウォッシュアウト/回復期間を設けた。投与前及び薬物投与から0.25、0.5、1.0、1.5、2、3、4、6、9、12、15、24、36及び48時間後から選択した好都合の時点で各動物から血液サンプルを採取した。血漿を遠心により赤血球から分離し、分析まで凍結した(−30℃)。ABT−263の濃度を血漿サンプルを液体−液体抽出後逆相HPLC−MS/MSにより測定した。曲線下面積(AUC)は研究中経時的にトラペゾイダル法により計算した。各剤形を5匹のイヌを含む群で評価した。報告されている値はイヌの各群の平均である。
【0131】
b)断食させたまたは餌を与えたイヌに対する用量及び適用の影響
表1に規定されているABT−263の製剤6または8を図1及び図2に示すABT−263の量に相当する用量で断食させたまたは餌を与えたイヌに投与した。その後、指定した時点で採取した血液サンプルからABT−263の血漿濃度を測定した。図1及び図2中、白抜き記号及び黒塗り記号はそれぞれ餌を与えたイヌまたは断食させたイヌを表す。□、△及び○はそれぞれ50mg、100mgまたは200mgのABT−263の用量を表す。
【0132】
両製剤とも、ABT−263の血漿濃度は餌を与えたイヌに対して投与したとき高かった。この効果は100mg及び200mgの高用量でより顕著であった。餌を与えたイヌでは、用量直線性が観察され得る。断食させたイヌの場合の製剤6のAUC値は餌を与えたイヌの場合よりも40〜60%低かった。製剤8を投与したとき、AUC値は断食させたイヌで約30%低かった。
【0133】
c)遊離塩基製剤対HCl塩製剤の比較
餌を与えたイヌに50mgのABT−263の量に等しい表1に示す製剤13または製剤10を含有する1つのカプセルとして2つの製剤の1つを経口投与した。
【0134】
図3に示した時点で採取した血液サンブルからABT−263の血漿濃度を測定した。図3はそれぞれ製剤13または製剤10で治療した5匹の動物の平均血漿濃度を示す。
【0135】
この実験で得たバイオアベイラビリティーデータを下表2(6匹の動物の平均値として示す;括弧内は標準偏差)に要約する。
【0136】
【表2】

【実施例3】
【0137】
貯蔵安定性
選択した製剤(表1の6及び8)について貯蔵安定性を調べた。製剤を周囲条件(約19〜25℃、60%以下のRH)下で密閉容器中に保持した。ABT−263含量及びスルホキシドを含めた活性成分の分解生成物の含量を貯蔵期間の開始時(初期値)および4ヶ月後にHPLC(または、UPLC)を用いて分離し、UV/VIS検出器を用いて検出することにより測定した。結果を下表3に示す。
【0138】
【表3】

含量及び不純物レベルが貯蔵時変化しないままであったので、製剤は化学的に安定であった。
【実施例4】
【0139】
スルホキシド形成の測定
表1に規定されている製剤2、3、12、4、9、11、10、13及び14を開放皿において40℃/75%の相対湿度に曝す促進安定性研究においてスルホキシド形成について評価した。スルホキシド含量を実験の開始時(いずれも0.8%未満)、図4に指示されている製剤については1週、3週及び6週後に、図5に指示されている製剤については4週、5週及び7週後に測定した。
【0140】
図4に示すデータは、押出温度が低いとスルホキシドの含量も少ないことを示している。いずれも135℃以下の温度で押出された図5に示す製剤でも比較的低レベルのスルホキシドが観察された。いずれもポリソルベート20を含有している製剤2及び4ではスルホキシド含量が最も有意に増加した。従って、ポリソルベート20の配合はスルホキシドの形成を促進するようである。
【0141】
第2の実験で、密閉されている1.5オンスのHDPEボトル中に40℃/75%の相対湿度で保持したサンプル中のスルホキシド形成を調べた。結果を図6及び図7に示す。
【実施例5】
【0142】
ABT−263押出物の結晶化度
表1に規定されている製剤9、2、13及び14を下表4に示す方法パラメーターを用いて調製した。押出物の結晶性活性成分の存在について偏光顕微鏡により調べた。
【0143】
【表4】

【実施例6】
【0144】
長期間貯蔵時のABT−263押出物の結晶化度
表5に示す各種押出物を開放皿または密閉皿中に促進老化条件下に保持した。指定した時点で、結晶性活性成分の存在を偏光顕微鏡により評価した。
【0145】
【表5】

【実施例7】
【0146】
錠剤の製造
実施例1の手順に従って押出物を下表6にリストされている固体分散生成物成分から得た。実施例1からの押出物を微粉砕し、表6にリストされている錠剤化賦形剤と混合した。50mgのABT−263を含有する錠剤を製造するために1つのパンチ錠剤プレスを使用した。
【0147】
【表6】

錠剤を(胃条件に似せるために)37℃の温度の0.1N HCl中に浸し、75回転数/分(rpm)の速度で櫂形回転することにより攪拌した。放出されたABT−263の量を異なる時点でHPLC−UV/VISにより測定した。結果を図8に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬活性成分、少なくとも1つの医薬的に許容され得るポリマー及び少なくとも1つの医薬的に許容され得る可溶化剤を含む固体分散生成物を含み、前記医薬活性成分がN−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミド、その塩、水和物または溶媒和物である医薬剤形。
【請求項2】
医薬的に許容され得る可溶化剤が、ノニオン性可溶化剤、アニオン性可溶化剤及びその組合せからなる群から選択される請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
医薬的に許容され得るノニオン性可溶化剤が、ポリオール脂肪酸エステル、ポリアルコキシル化ポリオール脂肪酸エステル、ポリアルコキシル化脂肪アルコールエーテル、トコフェリル化合物及びその2つ以上の混合物からなる群から選択され、医薬的に許容され得るアニオン性可溶化剤が、アルキルスルフェート、アルキルカルボキシレート、アルキルベンゾールスルフェート及び第2級アルカンスルホネートからなる群から選択される請求項2に記載の剤形。
【請求項4】
医薬的に許容され得る可溶化剤が、ポリアルキレングリコール部分を有するトコフェリル化合物、ソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
医薬的に許容され得る可溶化剤が、α−トコフェリルポリエチレングリコールスクシナート、ソルビタンモノラウレート及びポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの少なくとも1つを含む請求項1に記載の剤形。
【請求項6】
少なくとも1つの医薬的に許容され得るノニオン性可溶化剤及び少なくとも1つの医薬的に許容され得るアニオン性可溶化剤を含む請求項2に記載の剤形。
【請求項7】
医薬的に許容され得るノニオン性可溶化剤が、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びα−トコフェリルポリエチレングリコールスクシナートからなる群から選択され、医薬的に許容され得るアニオン性可溶化剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである請求項6に記載の剤形。
【請求項8】
医薬活性成分に対する非揮発性溶媒を含有し、前記溶媒は周囲温度で液体である請求項1に記載の剤形。
【請求項9】
前記非揮発性溶媒が、プロピレングリコールである請求項8に記載の剤形。
【請求項10】
前記医薬的に許容され得るポリマーが、N−ビニルピロリドンのホモポリマーまたはコポリマーである請求項1に記載の剤形。
【請求項11】
前記医薬的に許容され得るポリマーが、N−ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーである請求項1に記載の剤形。
【請求項12】
前記医薬活性成分が、N−(4−(4−((2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキサ−1−エン−1−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ベンゾイル)−4−(((1R)−3−(モルホリン−4−イル)−1−((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)−3−((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミドの遊離塩基、ナトリウム塩及び二塩酸塩、及びその組合せからなる群から選択される請求項1に記載の剤形。
【請求項13】
流れ調整剤、崩壊剤、増量剤及び滑沢剤から選択される少なくとも1つの添加剤を含有する請求項1に記載の剤形。
【請求項14】
固体分散生成物が、約0.5〜40重量%の医薬活性成分、40〜97.5重量%の少なくとも1つの医薬的に許容され得るポリマー、2〜20重量%の前記少なくとも1つの可溶化剤及び0〜15重量%の添加剤を含む請求項1に記載の剤形。
【請求項15】
活性成分の重量に対し、活性成分のスルホキシド分解生成物を1.5重量%未満含む請求項1に記載の剤形。
【請求項16】
活性成分の重量に対し、活性成分のスルホキシド分解生成物を1.2重量%未満含む請求項1に記載の剤形。
【請求項17】
活性成分の重量に対し、活性成分のスルホキシド分解生成物を0.9重量%未満含む請求項1に記載の剤形。
【請求項18】
固体分散生成物が、溶融加工し、凝固させた混合物である請求項1に記載の剤形。
【請求項19】
請求項1に記載の剤形を治療を要する被験者に対して投与することを含む増殖性疾患の治療方法。
【請求項20】
増殖性疾患が、腫瘍及び癌から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
増殖性疾患が、中皮腫、膀胱癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、皮膚または眼内黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、頸部癌、膣癌、外陰癌、骨癌、子宮頸癌、結腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、胃腸(胃、結腸直腸及び十二指腸)癌、慢性リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、精巣癌、肝細胞癌(肝臓及び胆管)、原発性または続発性中枢神経系腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞起源のリンパ系腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、口腔癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓及び尿管の癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系の腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓癌、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫及びその組合せからなる群から選択される請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(a)医薬活性成分、またはその塩、水和物または溶媒和物、少なくとも1つの医薬的に許容され得るポリマー及び少なくとも1つの可溶化剤の均質メルトを調製し、および、
(b)メルトを凝固させ、固体分散生成物を得る
ことを含む請求項1に記載の固体剤形の製造方法。
【請求項23】
前記固体分散生成物を粉砕し、前記固体分散生成物を錠剤に圧縮することを更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記固体分散生成物を粉砕し、前記固体分散生成物をカプセルシェルに充填することを更に含む請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−529490(P2012−529490A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514556(P2012−514556)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001659
【国際公開番号】WO2010/143074
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(502104228)アボット ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー (89)
【Fターム(参考)】