説明

C型肝炎の治療用化合物

本発明は、式Iの化合物並びに該化合物を用いた組成物および方法に関する。該化合物は、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有し、HCVに感染した個体の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2007年1月11日に出願された米国特許仮出願第60/884,459号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有し、HCVに感染した個体の治療に有用な化合物、ならびに該化合物を用いた組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
C型肝炎ウイルス(HCV)は主要なヒト病原体であり、世界中で推定1億7千万人が感染しており、これはヒト免疫不全ウイルス1型による感染数のおよそ5倍である。これらHCV感染者のかなりの割合が、肝硬変および肝細胞癌を含む重篤な進行性肝疾患を発症する(非特許文献1)。
【0004】
HCVはプラス鎖RNAウイルスである。5'-非翻訳領域における推定アミノ酸配列と広範な類似性の比較に基づいて、HCVはフラビウイルス科の独立した属として分類されている。フラビウイルス科の全てのメンバーは、単一の連続したオープンリーディングフレームの翻訳を介して全ての公知のウイルス-特異的タンパク質をコードするプラス鎖RNAゲノムを含有するエンベロープに包まれたビリオンを有する。
【0005】
HCVゲノム全体にわたって、ヌクレオチドおよびコードされたアミノ酸配列内に、かなりの多様性が見いだされる。少なくとも6つの主要な遺伝子型がキャラクタライズされており、50を超えるサブタイプが記載されている。HCVの主要な遺伝子型は世界的な分布において異なっており、病原および治療法における遺伝子型の影響の可能性についての多くの研究にもかかわらず、HCVの遺伝的多様性の臨床的意義は依然として捉えにくい。
【0006】
一本鎖HCV RNAゲノムは約9500ヌクレオチド長であり、約3000のアミノ酸である単一の大きなポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。感染細胞において、このポリタンパク質は、細胞プロテアーゼおよびウイルスプロテアーゼにより複数の部位で切断され、構造タンパク質および非構造(NS)タンパク質を生じる。HCVの場合、成熟非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)の生成は、2つのウイルスプロテアーゼによりもたらされる。1つめのものはメタロプロテアーゼであり、NS2-NS3接合部を切断すると考えられており;2つめは、NS3(NS3プロテアーゼとも言う)のN-末端領域内に含まれるセリンプロテアーゼであり、NS3の下流、すなわちNS3-NS4A切断部位においてシスで、残りのNS4A-NS4B、NS4B-NS5A、NS5A-NS5B部位についてトランスでの両方における以降の切断の全てを仲介する。NS4Aタンパク質は、複数の機能を果たすと思われ、NS3プロテアーゼの補助因子として作用し、NS3および他のウイルスレプリカーゼ成分の膜局在をおそらく補助している。NS3タンパク質とNS4Aとの複合体形成は、イベントの進行、全ての部位におけるタンパク質分解効率の増強に必要であると思われる。NS3タンパク質はまた、ヌクレオシドトリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性を示す。NS5B(HCVポリメラーゼとも言う)は、HCVの複製に関与するRNA依存性RNAポリメラーゼである。HCV NS5Bタンパク質は、「Structural Analysis of the Hepatitis C Virus RNA Polymerase in Complex with Ribonucleotides」(非特許文献2);および非特許文献3に記載されている。
【0007】
現在、最も有効なHCVの治療法は、α-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを用いて、40%の患者において持続的効果をもたらしている(非特許文献4)。最近の臨床結果は、ペグ化α-インターフェロンが単独療法としては未修飾α-インターフェロンよりも優れていることを示す(非特許文献5)。しかしながら、ペグ化α-インターフェロンとリバビリンの組み合わせを含む実験的な治療レジメンでも、かなりの割合の患者において、ウイルス量の持続的な減少が認められない。従って、HCV感染症の有効な治療法の開発が明確にかつ非常に必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Lauer, G. M.; Walker, B. D. N. Engl. J. Med. 2001, 345, 41-52
【非特許文献2】Bressanelli; S. et al., Journal of Virology 2002, 3482-3492
【非特許文献3】Defrancesco and Rice, Clinics in Liver Disease 2003, 7, 211-242
【非特許文献4】Poynard, T. et al. Lancet 1998, 352, 1426-1432
【非特許文献5】Zeuzem, S. et al. N. Engl. J. Med. 2000, 343, 1666-1672
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有し、HCVに感染した個体の治療に有用な化合物、ならびに該化合物を用いた組成物および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の詳細)
本発明の一態様は、式I:
【化1】

I
[式中、
R1はCO2R5またはCONR6R7であり;
R2は、
【化2】

であり;
R3は水素、ハロ、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、アルコキシ、またはハロアルコキシであり;
R4はシクロアルキルであり;
R5は水素またはアルキルであり;
R6は水素、アルキル、アルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、(R9)2NSO2、または(R10)SO2であり;
R7は水素またはアルキルであり;
R8は水素、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、またはピリジニルであり;
R9は水素またはアルキルであり;
R10はアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、N-(R11)ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペリジニル、またはホモモルホリニルであり;
R11は水素またはアルキルであり;そして、
点線は単結合または二重結合を表す]
の化合物または医薬的に許容されるその塩である。
【0011】
本発明の別の態様は、R1がCONR6R7であり;R6がアルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、(R9)2NSO2、または(R10)SO2であり;そしてR7が水素である、式Iの化合物である。
【0012】
本発明の別の態様は、R3が水素である式Iの化合物である。
【0013】
本発明の別の態様は、R3がメトキシである式Iの化合物である。
【0014】
本発明の別の態様は、R4がシクロヘキシルである式Iの化合物である。
【0015】
本発明の別の態様は、R6が(R9)2NSO2または(R10)SO2である式Iの化合物である。
【0016】
本発明の別の態様は、点線が以下の構造式におけるような単結合を表す、式Iの化合物である。
【化3】

【0017】
本発明の別の態様は、以下の立体化学を有する式Iの化合物である。
【化4】

【0018】
本発明の別の態様は、以下の立体化学を有する式Iの化合物である。
【化5】

【0019】
本発明の別の態様は、点線が以下の構造式におけるような二重結合を表す、式Iの化合物である。
【化6】

R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11を含むいずれの変数のいずれの範囲、および点線は、いずれの他の変数の範囲と独立して用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
他に特別の定めがない限り、これらの用語は以下の意味を有する。「アルキル」は、1〜6個の炭素から成る直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有する2〜6個の炭素から成る直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。「シクロアルキル」は、3〜7個の炭素から成る単環系を意味する。「ヒドロキシアルキル」、「アルコキシ」および置換アルキル部分を有する他の用語には、アルキル部分について1〜6個の炭素原子から成る直鎖および分枝鎖異性体が含まれる。「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」には、モノハロ置換アルキルからペルハロ置換アルキルまでの全てのハロゲン化異性体が含まれる。「アリール」には、炭素環式およびヘテロ環式の芳香族置換基が含まれる。括弧(Parenthetic)および複数の括弧(multiparenthetic)でくくられた用語は、当業者に対して結合関係を明確にすることを目的としている。例えば、((R)アルキル)のような用語は、置換基Rでさらに置換されたアルキル置換基を意味する。
【0021】
本発明には、該化合物の医薬的に許容される塩形態の全てが含まれる。医薬的に許容される塩は、その対イオンが化合物の生理学的活性または毒性、および薬理学的な同等物としての機能にほとんど寄与しない。これらの塩は、市販の試薬を用いた一般的な有機化学技術に従って製造することができる。いくつかのアニオン塩形態としては、酢酸塩、アシストレート、ベシル酸塩、臭化物塩、塩化物塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコウン酸塩(glucouronate)、臭化水素塩、塩化水素塩、ヨウ化水素塩、ヨウ化物塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシル酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシレート、および、キシノホエート(xinofoate)が挙げられる。いくつかのカチオン塩形態としては、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ベンザチン塩、ビスマス塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、リチウム塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、4-フェニルシクロヘキシルアミン塩、ピペラジン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩、および亜鉛塩が挙げられる。
【0022】
いくつかの本発明の化合物は、不斉炭素原子(例えば、以下の構造)を有している。本発明には、エナンチオマーおよびジアステレオマー並びに立体異性体の混合(例えばラセミ体)を含む、全ての立体異性体が含まれる。いくつかの立体異性体は、当分野で公知の方法を用いて製造することができる。該化合物の立体異性体の混合物および関連する中間体は、当分野で公知の方法に従って、個々の異性体に分離することができる。
【化7】

【0023】
(合成方法)
該化合物は、以下に記載するものを含む、当分野で公知の方法により製造することができる。いくつかの試薬および中間体が当分野においては公知である。他の試薬および中間体を、市販の材料を用いて当分野で公知の方法により製造することができる。該化合物の合成を説明するために用いる変数(例えば、番号が付けられた「R」置換基)は、製造方法を例示することのみを意図し、特許請求の範囲または本明細書の他の項で用いられる変数と混同されない。スキーム内で用いられる略号は通常、当分野で用いられる慣習に従う。
【0024】
2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸メチルは、2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸に加水分解することができる(スキーム1参照)。この化合物は、例えば無水THF中で1,1’-カルボニルジイミダゾールを1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンと組み合わせて用いて、様々なスルホニル尿素と縮合することができる。得られたアシルスルファミドを、多様な2-ホルミルボロン酸またはエステルと公知のカップリング反応、例えばスズキカップリング条件を用いて処理して、示したタイプの環状ヘミアミナール中間体を得ることができる。これらの化合物は、炭酸セシウム/DMFの影響下において、連続したマイケル反応およびホーナー・エモンズ反応を介して、2-(ジメトキシホスホリル)アクリル酸メチルで処理することにより、インドロベンゾアゼピン誘導体に変換することができる。
【化8】

【0025】
N-保護ピペラジンを中間体インドロベンゾアゼピン酸にカップリングさせることもでき、そしてその得られたピペラジンカルボキサミドを、当分野で公知の方法を用いて脱保護し、様々な合成方法を用いて誘導体化することができる(そのいくつかの説明例を以下に示す(スキーム2参照))。
【化9】

【0026】
いくつかの本発明の化合物の合成に有用な中間体は、スキーム3に示すtert-ブチルエステルインドロベンゾアゼピンの製造に関与する。
【化10】

この方法は、示されたインドールメチルエステルの塩基触媒加水分解に続いてt-ブトキシドエステル形成(例えば、塩化チオニルおよびカリウムtert-ブトキシドによる反応、または炭酸銀および臭化tert-ブチルでのアルキル化)を含む。得られた化合物を、前記に類似した化学を用いて変換し、上に示した混合エステルのインドロベンゾアゼピンを得ることができる。
【0027】
これらの中間体は、スキーム4に示すような、アシルスルファミドおよびアシルスルホンアミドアルキル-架橋ピペラジンの製造に用いることができる別の方法において有用である。t-ブチルエステル基の開裂により、多様なスルホンアミドおよびスルホニル尿素にカップリングできる酸を得ることができる。連続した加水分解により関連脂肪酸を得て、それを多様なアルキル-架橋ピペラジンとカップリングさせることができる。例えば、DMSO中のO-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N, N’,N’-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレートおよびジイソプロピルエチルアミンにより、該アルキル架橋ピペラジンカルボキサミドを得ることができる。
【化11】

【0028】
(生物学的方法)
該化合物は、以下のHCV RdRpアッセイにおいて決定されるように、HCV NS5Bに対する活性を示した。
【0029】
HCV NS5B RdRpクローニング、発現、および精製
HCVのNS5Bタンパク質、遺伝子型1bをコードするcDNAをpET21a発現ベクターにクローニングした。該タンパク質を18個のアミノ酸のC-末端切断で発現させ、溶解性を増強した。該大腸菌コンピテント細胞株BL21(DE3)を、該タンパク質の発現に用いた。培養物が600 nmで吸光度2.0になるまで、37℃で〜4時間培養した。該培養物を20℃に冷却し、1 mM IPTGで誘導した。新鮮なアンピシリンを最終濃度50 μg/mlに添加し、該細胞を終夜20℃で増殖させた。
【0030】
細胞ペレット(3L)を溶解して精製し、15〜24 mgの精製NS5Bを得た。該溶解バッファーは、20 mM トリス-HCl、pH 7.4、500 mM NaCl、0.5% トリトンX-100、1 mM DTT、1mM EDTA、20%グリセロール、0.5 mg/ml リゾチーム、10 mM MgCl2、15 ug/ml デオキシリボヌクレアーゼI、およびComplete TM protease inhibitor tablets(Roche)から成る。該溶解バッファーの添加後、凍結させた細胞ペレットを、組織ホモジナイザーを用いて再懸濁した。サンプルの粘稠性を減少させるために、溶解物のアリコートを、超音波処理器に接続したマイクロチップを用いて氷上で超音波処理した。超音波処理した溶解物を4℃で1時間、100,000 x gで遠心し、0.2 μm フィルターユニット(Corning)を通して濾過した。
【0031】
該タンパク質を、3つの連続したクロマトグラフィー工程: Heparin sepharose CL-6B、polyU sepharose 4B、およびHitrap SP sepharose(Pharmacia)を用いて精製した。該クロマトグラフィーバッファーは溶解バッファーと同じであるが、リゾチーム、デオキシリボヌクレアーゼI、MgCl2またはプロテアーゼインヒビターを含まず、バッファーのNaCl濃度はカラムへのタンパク質の充填要件に従って調節した。カラムの種類に応じて5〜50のカラム容積の様々な長さの各カラムを、NaCl勾配で溶出した。最終クロマトグラフィー工程の後、得られた酵素の純度はSDS-PAGE分析に基づき>90%であった。該酵素をアリコートにして-80℃で保存した。
【0032】
標準的HCV NS5B RdRp酵素アッセイ
HCV RdRp 遺伝子型1bアッセイを、96ウェルプレート(Costar 3912)において、最終量60 mlで行った。該アッセイバッファーは、20 mM Hepes、pH 7.5、2.5 mM KCl、2.5 mM MgCl2、1 mM DTT、1.6 U RNAseインヒビター(Promega N2515)、0.1 mg/ml BSA(Promega R3961)、および2%グリセロールから成る。全ての化合物をDMSO中に連続的に希釈(3倍)し、アッセイにおけるDMSOの最終濃度が2%であるように、水にさらに希釈した。HCV RdRp 遺伝子型1b酵素は最終濃度28 nMで用いた。ポリA鋳型は6 nMで用い、ビオチン標識オリゴ-dT12プライマーは180 nM最終濃度で用いた。鋳型は商業的に入手した(Amersham 27-4110)。ビオチン標識プライマーはSigma Genosysにより調製された。3H-UTPは0.6 mCi(0.29 mM 総UTP)で用いた。酵素の添加により反応を開始し、30℃で60分間インキュベートし、SPAビーズ(4 μg/μml, Amersham RPNQ 0007)を含有する50 mM EDTAを25 ml添加することにより停止させた。室温で>1時間インキュベートした後、プレートをPackard Top Count NXTで測定した。
【0033】
修飾HCV NS5B RdRp酵素アッセイ
修飾酵素アッセイを、以下の点を除いて、原則的に標準的な酵素アッセイの記載の通り実施した。ビオチン標識オリゴdT12プライマーを、アッセイバッファー中でプライマーとビーズを混合し、室温で1時間インキュベートすることにより、ストレプトアビジンでコーティングしたSPAビーズ上に予め結合させた。未結合のプライマーを遠心して除去した。該プライマー-結合ビーズを20 mM Hepesバッファー、pH 7.5に再懸濁し、最終濃度20 nMのプライマーおよび0.67 μg/μlのビーズでアッセイに用いた。アッセイにおける添加順序:酵素(14 nM)を希釈した化合物に添加し、続いて、鋳型の混合物(0.2 nM)、3H-UTP(0.6 μCi, 0.29 μM)、およびプライマー結合ビーズを添加して反応を開始し;濃縮して最終物を得た。反応は、30℃で4時間行った。
【0034】
化合物のIC50値を、7つの異なる[I]を用いて決定した。IC50値を、式 y = A+((B-A)/(1+((C/x)^D)))を用いて、阻害から算出した。
【0035】
FRETアッセイの準備
HCV FRETスクリーニングアッセイを、96-ウェル細胞培養プレートを用いて実施した。該FRETペプチド(Anaspec, Inc.) (Taliani et al., Anal. Biochem. 1996, 240, 60-67)は、ペプチドの一方の端付近に蛍光ドナー、EDANSを有し、もう一方の端付近にアクセプター、DABCYLを有する。ペプチドの蛍光発光はドナーおよびアクセプター間の分子間共鳴エネルギー移動(RET)によりクエンチされるが、NS3プロテアーゼがペプチドを開裂すると、該生成物がRETクエンチから解除され、ドナーの蛍光発光が明らかになる。該アッセイ試薬は以下のとおり調製した: 5X細胞ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(cell Luciferase cell culture lysis reagent)(Promega製)(#E153A)をdH2Oで1Xに希釈し、NaClを150 mM 最終に添加し、該FRETペプチドを2 mM 原液から20 μM 最終に希釈した。
【0036】
プレートの調製のため、ウミシイタケルシフェラーゼレポーター遺伝子(Renilla luciferase reporter gene)の有無にかかわらず、HCVレプリコン細胞をトリプシン処理し、96-ウェルプレートの各ウェルに入れ、列3から12に滴定した試験化合物を添加し;列1および2はコントロール化合物(HCVプロテアーゼインヒビター)を含み、一番下の列は化合物を有しない細胞である。次いで、該プレートを、37℃のCO2インキュベーターに設置した。
【0037】
アッセイ
上記(FRETアッセイの準備)の試験化合物の添加後、様々な時点で、該プレートを取り出し、細胞毒性の測定としてアラマーブルー溶液(Alamar blue solution)(Trek Diagnostics, #00-100)をウェルごとに添加した。Cytoflour 4000装置(PE Biosystems)における測定後、プレートをPBSですすぎ、次いで、30 μlの上記(FRETアッセイの準備)のFRETペプチドアッセイ試薬をウェルごとに添加することにより、FRETアッセイに用いた。その後、該プレートを、340励起/490発光、20サイクルの自動モードにセットされたCytoflour 4000装置に設置し、キネティックモード(kinetic mode)で測定した。通常、測定後のエンドポイント分析によるシグナル対ノイズは、少なくとも3倍であった。別法として、アラマーブルー測定後に、プレートをPBSですすぎ、フェノールレッドを含まない50 μlのDMEM(高グルコース)を添加した後、プレートをPromega Dual-Glo Luciferase Assay Systemを用いたルシフェラーゼアッセイに用いた。
【0038】
化合物分析は、相対的HCVレプリコン阻害および相対的細胞毒性値の定量化により決定した。細胞毒性値(cytoxicity value)の算出のため、コントロールウェルからの平均アラマーブルー蛍光シグナルを100%無毒とした。次いで、化合物試験ウェルのそれぞれにおける個々のシグナルを平均コントロールシグナルで割り、100%をかけて細胞毒性率を決定した。HCVレプリコン阻害値の算出のため、平均バックグラウンド値を、アッセイの最終時点で最高量のHCVプロテアーゼインヒビターを含有する2つのウェルから得た。これらの数値は、未処理Huh-7細胞から得られたものと類似していた。
【0039】
次いで、コントロールウェルから得た平均シグナルから該バックグラウンド値を引き、この値を100%活性として用いた。その後、各化合物試験ウェルにおける個々のシグナルを、バックグラウンド値を引いた後の平均コントロール値で割り、100%をかけて活性率を決定した。プロテアーゼインヒビター滴定のEC50値は、FRETまたはルシフェラーゼ活性の50%低下を引き起こす濃度として算出した。化合物プレートにおいて得られた2つの値、細胞毒性(cytoxicity)率および活性率を用いてさらなる分析に関心が持たれる化合物を決定した。
【0040】
化合物の代表的なデータを表1に報告する。
【表1】

【表2】

【表3】

A>0.5 μM; B 0.001 μM - 0.5 μM; C<0.02 μM(しかし、正確な値は決定しなかった); IC50値は、プレインキュベーション方法を用いて決定した。EC50値は、FRETアッセイを用いて決定した。
【0041】
(医薬組成物および治療方法)
該化合物は、HCV NS5Bに対する活性を示し、HCVおよびHCV感染症の治療に有用であり得る。それ故に、本発明の別の態様は、化合物、または医薬的に許容されるその塩、および医薬的に許容される担体を含む組成物である。
【0042】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物をさらに含有する組成物である。
【0043】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物がインターフェロンである組成物である。本発明の別の態様は、該インターフェロンがインターフェロンα2B、ペグ化インターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、もしくはリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される。
【0044】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物がシクロスポリンである組成物である。本発明の別の態様は、該シクロスポリンがシクロスポリンAである。
【0045】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物が、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド(Imiqimod)、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素インヒビター、アマンタジン、およびリマンタジンからなる群から選択される組成物である。
【0046】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する化合物が、HCV感染症の治療のために、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、およびヌクレオシドアナログから選択される標的の機能を阻害するのに有効である、組成物である。
【0047】
本発明の別の態様は、化合物、または医薬的に許容されるその塩、医薬的に許容される担体、インターフェロンおよびリバビリンを含有する組成物である。
【0048】
本発明の別の態様は、HCVレプリコンに式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を接触させることを含む、HCVレプリコンの機能を阻害する方法である。
【0049】
本発明の別の態様は、HCV NS5Bタンパク質に式Iの化合物または医薬的に許容されるその塩を接触させることを含む、HCV NS5Bタンパク質の機能を阻害する方法である。
【0050】
本発明の別の態様は、患者に治療上有効な量の化合物または医薬的に許容されるその塩を投与することを含む、患者におけるHCV感染症の治療方法である。本発明の別の態様は、HCVレプリコンの機能を阻害する方法である。本発明の別の態様は、HCV NS5Bタンパク質の機能を阻害する方法である。
【0051】
本発明の別の態様は、患者に治療上有効な量の化合物、または医薬的に許容されるその塩を抗HCV活性を有する別の化合物とともに(前、後、同時に)投与することを含む、患者におけるHCV感染症の治療方法である。
【0052】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がインターフェロンである、該方法である。
【0053】
本発明の別の態様は、該インターフェロンがインターフェロンα2B、ペグ化インターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、およびリンパ芽球様インターフェロンタウから選択される、該方法である。
【0054】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がシクロスポリンである、該方法である。
【0055】
本発明の別の態様は、該シクロスポリンがシクロスポリンAである、該方法である。
【0056】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がインターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5'-一リン酸脱水素酵素インヒビター、アマンタジン、およびリマンタジンから選択される、該方法である。
【0057】
本発明の別の態様は、HCV感染症の治療のために、抗HCV活性を有する他の化合物が、HCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、IMPDH、およびヌクレオシドアナログからなる群から選択される標的の機能を阻害するのに有効である、該方法である。
【0058】
本発明の別の態様は、抗HCV活性を有する他の化合物がHCV NS5Bタンパク質以外のHCVの生活環における標的の機能を阻害するのに有効である、該方法である。
【0059】
「治療上有効な」とは、肝炎およびHCV感染症の分野の医師には明らかであるように、有意義な患者利益をもたらすのに必要な薬剤の量を意味する。
【0060】
「患者」とは、肝炎およびHCV感染症の分野の医師には明らかであるように、HCVウイルスに感染しており、療法に適した患者を意味する。
【0061】
「治療」、「療法」、「レジメン」、「HCV感染症」および関連する用語が、肝炎およびHCV感染症の分野の医師には明らかであるように、用いられる。
【0062】
本発明の化合物は、通常、治療上有効な量の化合物またはその医薬的に許容される塩および医薬的に許容される担体から成る医薬組成物として提供され、通常の賦形剤を有し得る。治療上有効な量は、有意義な患者利益をもたらすのに必要とされるものである。医薬的に許容される担体は、許容される安全性プロファイルを有する従来既知の担体である。組成物は、カプセル剤、錠剤、トローチ剤(losenge)、および散剤ならびに液体懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤(elixer)、および液剤を含む、全ての一般的な固形および液状形態を包含する。組成物は一般的な製剤技術を用いて製造され、通常の賦形剤(例えば結合剤および湿潤剤)およびベヒクル(例えば水およびアルコール) が組成物に一般的に用いられる。
【0063】
固体組成物は通常、用量当たり約1〜1000 mgの活性成分を提供するように、用量単位および組成物中に製剤化することが好ましい。投与量のいくつかの例としては、1 mg、10 mg、100 mg、250 mg、500 mg、および1000 mgである。通常、他の薬剤は、臨床的に用いられる種類の薬剤と同様の単位範囲で存在するであろう。典型的には、これは0.25〜1000 mg/単位である。
【0064】
液体組成物は通常、用量単位内である。通常、液体組成物は1〜100 mg/mLの単位用量内であろう。投与量のいくつかの例としては、1 mg/mL、10 mg/mL、25 mg/mL、50 mg/mL、および100 mg/mLである。通常、他の薬剤は、臨床的に用いられる種類の薬剤と同様の単位範囲で存在するであろう。典型的には、これは1〜100 mg/mLである。
【0065】
本発明は全ての一般的な投与様式を包含し; 経口および非経口方法が好ましい。通常、投与レジメンは臨床的に用いられる他の薬剤と同様であろう。典型的には、1日用量は、体重1kg当たり1〜100 mg/日であろう。通常、より多くの化合物が経口で必要とされ、非経口ではあまり必要とされない。しかしながら、具体的な投与レジメンは正確な医学的判断を用いて医師により決定されるであろう。
【0066】
本発明はまた、該化合物を併用療法で投与する方法も包含する。すなわち、化合物を、肝炎およびHCV感染症の治療において有用な他の薬剤と同時だが別個に用いることができる。これらの併用方法において、該化合物は通常、体重1kg当たり1〜100 mg/日の1日用量で、他の薬剤と同時に投与され得る。他の薬剤は通常、治療に用いられる量で投与される。しかしながら、具体的な投与レジメンは正確な医学的判断を用いて医師により決定されるであろう。
【0067】
組成物および方法に適した化合物のいくつかの例を表2に記載する。
【表4】

【表5】

【表6】

【0068】
(具体的実施態様の説明)
以下の中間体の大部分についての分析LCMSデータおよび実施例は、以下のカラムおよび条件を用いて得た。停止時間: グラジエント時間+1分; 開始濃度: 他に記載のない限り、0%B; 溶出A: 10mM NH4OAc含有5%CH3CN/95%H2O(カラムA、DおよびEについて); 0.1%TFA含有10%MeOH/90%H2O(カラムBおよびCについて); 溶出B: 10mM NH4OAc含有95%CH3CN/5%H2O(カラムA、DおよびEについて); 0.1%TFA含有90%MeOH/10%H2O(カラムBおよびCについて); カラムA: Phenomenex 10μ 4.6 x 50 mm C18; カラムB: Phenomenex C18 10μ 3.0 x 50 mm; カラムC: Phenomenex 4.6 x 50 mm C18 10μ; カラムD: Phenomenex Lina C18 5μ 3.0 x 50 mm; カラムE: Phenomenex 5μ 4.6 x 50 mm C18。プレパラティブHPLCデータ。グラジエント: 他に記載のない限り、20分にわたる直線; 開始濃度: 他に記載のない限り、15%B; 終了濃度: 100%B; 溶出A: 10mM NH4OAc含有5%CH3CN/95%H2O; 溶出B: 10mM NH4OAc含有95%CH3CN/5%H2O; カラム: Sunfire Prep C18 OBD 5μ 30 x 100 mm。
【0069】
中間体1
【化12】

1H-インドール-6-カルボン酸, 2-ブロモ-3-シクロヘキシル-, メチルエステル
直前に再結晶させたピリジニウムトリブロミド(温AcOH(1 gにつき5 mL)から再結晶させ、冷AcOHですすぎ、高真空下でKOHにより乾燥させた)を、CHCl3/THF(1:1, 1.25 L)中の3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸メチル(60 g, 233 mmol)(WO2004/065367に記載の方法を用いて製造)溶液に、撹拌しながら2℃で少しずつ(10分かけて)添加した。該反応液を0〜5℃で2.5時間撹拌し、飽和NaHSO3水溶液(1 L)、1 N HCl(1 L)および食塩水(1 L)で洗浄した。該有機層を乾燥させて(MgSO4)濃縮した。得られた赤色油状物をEt2Oで希釈し、濃縮した。得られたピンク色の固形物をEt2O(200 mL)に溶解してヘキサン(300 mL)で処理し、ある程度濃縮した。該固形物を濾過により集めてヘキサンですすいだ。該母液を乾固するまで濃縮し、その手順を繰り返した。該固形物を合わせて1H-インドール-6-カルボン酸, 2-ブロモ-3-シクロヘキシル-, メチルエステル(64 g, 190 mmol, 82%)を綿毛状のピンク色固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.47 (br s, 1H), 8.03 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 1.4, 8.8 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 2.82 (tt, J = 3.7, 11.7 Hz, 1H), 1.98 - 1.72 (m, 7H), 1.50 - 1.27 (m, 3H). 13CNMR (75 MHz, CDCl3) δ 168.2, 135.6, 130.2, 123.1, 120.8, 120.3, 118.7, 112.8, 110.7, 52.1, 37.0, 32.2(2), 27.0(2), 26.1. LCMS: m/e 334 (M-H)-, 保持時間 3.34分, カラムA, 4分グラジエント.
【0070】
中間体2
【化13】

1H-インドール-6-カルボン酸, 2-ブロモ-3-シクロヘキシル-
MeOH/THF/H2O(1:1:1, 300 mL)中の2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸メチル(20 g, 60 mmol)およびLiOH(3.8 g, 160 mmol)の溶液を90℃で2時間加熱した。該反応混合液を氷/H2O浴で冷却し、1M HCl(〜160 mL)で中和してH2O(250 mL)で希釈し、室温で1時間撹拌した。該沈殿物を濾過により集めてH2Oですすぎ、乾燥させて1H-インドール-6-カルボン酸, 2-ブロモ-3-シクロヘキシル-(定量的)を得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。
【0071】
1H-インドール-6-カルボン酸, 2-ブロモ-3-シクロヘキシル-を得る別法を以下に記載する。
MeOH/THF/H2O(1:1:1, 1.8 L)中の2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸メチル(117 g, 349 mmol)およびLiOH.H2O(26.4 g, 629 mmol)の溶液を、3時間加熱還流した。該反応混合液を氷/H2O浴で〜2℃まで冷却し、1M HCl(〜650 mL)で中和し(温度が5℃を超えない速度で添加した)、H2O(1 L)で希釈して周囲温度に温めながら撹拌した。該沈殿物を濾過により集めてH2Oですすぎ、乾燥させ、1H-インドール-6-カルボン酸, 2-ブロモ-3-シクロヘキシル-のモノTHF溶媒和物(135.5 g, 345 mmol, 99%)を黄色固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 11.01 (br s, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.07 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.82 (dd, J = 1.5, 8.8 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.84 - 3.74 (m, 4H), 2.89 (m, 1H), 1.98 - 1.72 (m, 11H), 1.50 - 1.24 (m, 3H). 13CNMR (75 MHz, CDCl3) δ 172.7, 135.5, 130.7, 122.3, 120.9(2), 118.8, 113.3, 111.1, 67.9(2), 37.0, 32.2(2), 27.0(2), 26.1, 25.5(2). LCMS: m/e 320 (M-H)-, 保持時間 2.21分, カラムA, 4分グラジエント.
【0072】
中間体3
【化14】

1H-インドール-6-カルボキサミド, 2-ブロモ-3-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-
1,1'-カルボニルジイミダゾール(1.17 g, 7.2 mmol)を、撹拌した2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸(2.03 g, 6.3 mmol)/THF(6 mL)溶液に22℃で添加した。CO2の発生は瞬間的であり、それが弱まったら、該溶液を50℃で1時間加熱し、次いで22℃に冷却した。N,N-ジメチルスルファミド(0.94 g, 7.56 mmol)を添加し、続いてDBU(1.34 g ,8.8 mmol)/THF(4 mL)溶液を滴下した。24時間撹拌し続けた。該混合液を酢酸エチルおよび希HClに分配した。該酢酸エチル層を水で洗浄した後、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。該抽出物を乾固するまで濃縮し、表題の生成物を淡黄色のもろい泡状物質として得た(2.0 g、74%、>90%純度、NMRからの推定)。1H NMR (300 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.28 - 1.49 (m, 3 H) 1.59 - 2.04 (m, 7 H) 2.74 - 2.82 (m, 1 H) 2.88 (s, 6 H) 7.57 (dd, J=8.42, 1.46 Hz, 1 H) 7.74 (d, J=8.78 Hz, 1 H) 7.91 (s, 1 H) 11.71 (s, 1 H) 12.08 (s, 1 H).
【0073】
1H-インドール-6-カルボキサミド, 2-ブロモ-3-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-の製造についての別法を以下に記載する。
メカニカルスターラー、温度調節器、N2注入口、および冷却器を備えた1 Lの4ツ口丸底フラスコに、N2下で、2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸(102.0 g, 0.259 mol)および乾燥THF(300 mL)を添加した。10分間撹拌後、CDI(50.3 g, 0.31 mol)を少しずつ添加した。次いで、該反応混合液を50℃に2時間加熱した。30℃に冷却した後、N,N-ジメチルアミノスルホンアミド(41.7 g, 0.336 mol)を一度に添加し、その後、DBU(54.1 mL, 0.362 mol)を1時間かけて滴下した。次いで、該反応混合液を室温で20時間撹拌した。該溶媒を減圧除去し、該残渣をEtOAcおよび1 N HCl(1 : 1, 2 L)間に分配した。該有機層を分離し、該水層をEtOAc(500 mL)で抽出した。有機層を合わせて食塩水(1.5 L)で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。該溶液を濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得た(111.0 g)。該粗生成物をEtOAc(400 mL)に60℃で懸濁した。該懸濁液にヘプタン(2 L)をゆっくりと添加した。得られた懸濁液を撹拌し、0℃に冷却した。次いで濾過した。該濾過ケーキを少量のヘプタンですすぎ、一般的な減圧装置で2日間風乾させた。該生成物を白色固形物として収集した(92.0 g, 83%)。 1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 7.89 (s, H), 7.77 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 8.4および1.8 Hz, 1H), 3.01 (s, 6H), 2.73-2.95 (m, 1H), 1.81-2.05 (m, 8H), 1.39-1.50 (m, 2H); m/z 429 (M +H)+.
【0074】
中間体4
【化15】

1H-インドール-6-カルボキサミド, 3-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-2-(2-ホルミル-4-メトキシフェニル)-
トルエン(30 mL)中の2-ブロモ-3-シクロヘキシル- N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-1H-インドール-6-カルボキサミド(4.28g, 0.01 mol)、4-メトキシ-2-ホルミルフェニルボロン酸(2.7g, 0.015 mol)、2-ジクロロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-ビフェニル(41 mg, 0.0001 mol)、酢酸パラジウム(11.2 mg)、および粉末炭酸カリウム(4.24g, 0.02 mol)の混合液を、還流下および窒素下において30分間撹拌し、その後LC/MS分析により該反応の完了が示された。次いで、該反応混合液を酢酸エチルおよび水で希釈した後、過剰量の希HClで酸性化した。その後、該酢酸エチル層を集めて、希HCl、水および食塩水で洗浄した。続いて、該有機溶液を乾燥させ(硫酸マグネシウム)、濾過および濃縮してゴム状物質を得た。該ゴム状物質をヘキサン(250 ml)および酢酸エチル(25 mL)で希釈し、該混合液を22℃で20時間撹拌し、その間に該生成物は明黄色の粒状固形物(4.8 g)に変換し、それをさらなる精製は行わずにそのまま用いた。
【0075】
1H-インドール-6-カルボキサミド, 3-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-2-(2-ホルミル-4-メトキシフェニル)-の製造についての別法を以下に提供する。
EtOH/トルエン(1:1, 1 L)中の2-ブロモ-3-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-インドール-6-カルボキサミド(54.0 g, 126 mmol)、4-メトキシ-2-ホルミルフェニルボロン酸(29.5 g, 164 mmol)およびLiCl(13.3 g, 315 mmol)のスラリー溶液に、Na2CO3(40.1 g, 379 mmol)/水(380 mL)溶液を添加した。該反応混合液を10分間撹拌し、次いでPd(PPh3)4(11.3 g, 10.0 mmol)を添加した。該反応液を窒素でフラッシュし、70℃(内部モニタリング)で終夜加熱した後、室温に冷却した。該反応液をEtOAc(1 L)およびEtOH(100 mL)で希釈し、1N HCl水溶液(1 L)および食塩水(500 mL)で入念に洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過および濃縮した。該残留固形物をEt2O(600 mL)とともに1時間撹拌し、濾過により集め、1H-インドール-6-カルボキサミド, 3-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-2-(2-ホルミル-4-メトキシフェニル)-(52.8g, 109 mmol, 87%)を黄色粉末として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 11.66 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.75 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 1.4, 8.4 Hz, 1H), 7.23 - 7.16 (m, 2H), 7.08 (dd, J = 2.6, 8.4 Hz, 1H), 6.54 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.22 - 3.08 (m, 1H), 2.91 (s, 6H), 2.00 - 1.74 (m, 7H), 1.60 - 1.38 (m, 3H). 13CNMR (75 MHz, CDCl3) δ 165.7, 158.8, 147.2, 139.1, 134.3, 132.0, 123.4, 122.0, 119.2, 118.2, 114.8, 112.3, 110.4, 109.8, 79.6, 45.9, 37.2(2), 34.7, 32.0(2), 25.9(2), 24.9. LCMS: m/e 482 (M-H)-, 保持時間 2.56分, カラムA, 4分グラジエント.
【0076】
中間体5
【化16】

6H-イソインドロ[2,1-a]インドール-3-カルボキサミド, 11-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-6-エトキシ-8-メトキシ-
温度調節器、冷却器、N2注入口およびメカニカルスターラーを備えた5 Lの4ツ口丸底フラスコに、トルエン(900 mL)、EtOH(900 mL)、2-ブロモ-3-シクロヘキシル-N-(N,N-ジメチルスルファモイル)-1H-インドール-6-カルボキサミド(90 g, 0.21 mol)、2-ホルミル-4-メトキシフェニルボロン酸(49.2 g, 0.273 mol)およびLiCl(22.1 g, 0.525 mol)を充填した。得られた溶液を、N2で15分間バブルした。Na2CO3(66.8 g, 0.63 mol)/H2O(675 mL)溶液を添加し、該反応混合液をN2でさらに(10分)バブルした。Pd(PPh3)4(7.0 g, 6.3 mmol)を添加し、該反応混合液を70℃に20時間加熱した。35℃に冷却後、1 N HCl溶液(1.5 L)をゆっくりと添加した。得られた混合液を6 Lの分液漏斗に移し入れ、EtOAc(2 X 1.5 L)で抽出した。有機抽出物を合わせて食塩水(2 L)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過および減圧濃縮して黄色固形物を得て、それを20%EtOAc/ヘキサン(450 mL, 50℃〜0℃)でトリチュレートして3-シクロヘキシル-N-(N,N-ジメチルスルファモイル)-2-(2-ホルミル-4-メトキシフェニル)-1H-インドール-6-カルボキサミド(65.9 g)を黄色固形物として得た。HPLC純度、 98%。
【0077】
トリチュレーションからの母液を減圧濃縮した。該残渣をEtOH(50 mL)で3時間還流した。次いで、該溶液を0℃に冷却した。該沈殿物を濾過して、冷却したTBME(5℃)(20 mL)で洗浄した。該濾過ケーキを一般的な減圧装置で風乾させて、さらなる量の表題の化合物を白色固形物(16.0 g)として得た。HPLC純度、99%。 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 8.75 (s, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.73 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.4および1.4 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.98 (dd, J = 8.4および2.2 Hz, 1H), 6.50 (s, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.05 (s, 6H), 2.92-3.13 (m, 3H), 1.85-1.93 (m, 7 H), 1.40-1.42 (m, 3H), 1.05 (t, J = 7.1 Hz, 3H). m/z 512 (M + H)+.
【0078】
中間体6
【化17】

1H-インドール-6-カルボキサミド, 3-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-2-(2-ホルミル-4-メトキシフェニル)-
11-シクロヘキシル-N-(N,N-ジメチルスルファモイル)-6-エトキシ-8-メトキシ-6H-イソインドロ[2,1-a]インドール-3-カルボキサミドを、THF(75 mL)に溶解させた。該溶液に2 N HCl溶液(300 mL)を添加した。該混合液を、N2下において室温で16時間、激しく撹拌した。得られた懸濁液を濾過して、冷却したTBME(2 X 30 mL)で洗浄し、該濾過ケーキを終夜減圧風乾させて表題の化合物を黄色固形物として得た。HPLC純度、99%。 1H NMR (DMSO-d6, 300 MHz) δ 11.65 (s, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.76 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 5.9 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 8.5および1.5 Hz, 1H), 7.17-7.20 (m, 2H), 7.08 (dd, J = 8.5および1.4 Hz, 1H), 6.55 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.14-3.18 (m, 1H), 2.91 (s, 6H), 1.75-1.99 (m, 7H), 1.48-1.60 (m, 3H); m/z 484 (M + H)+.
【0079】
中間体7
【化18】

7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸, 13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-, メチルエステル
DMF(28mL)中の3-シクロヘキシル-N-(N,N-ジメチルスルファモイル)-2-(2-ホルミル-4-メトキシフェニル)-1H-インドール-6-カルボキサミド(4.8g, 0.01 mol)、2-(ジメトキシホスホリル)アクリル酸メチル(9.7 g, 0.02 mol)および炭酸セシウム(7.1g, 0.02 mol)の混合液を油浴温度55℃で20時間撹拌した。該混合液を氷水に注ぎ入れ、希HClで酸性化して粗生成物を沈殿させた。該固形物を集めて乾燥させ、酢酸エチルおよび2%酢酸含有塩化メチレン(1:10)溶液を用いて、SiO2(110g)でのフラッシュクロマトグラフィーで処理した。同質の画分を合わせてエバポレートし、表題の化合物を淡黄色固形物として得た(3.9g, 71%収率)。 MS: 552 (M=H+).
【0080】
7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸, 13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-, メチルエステルの製造についての別法を以下に提供する。
DMF(400 mL)中の11-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-6-ヒドロキシ-8-メトキシ-6H-イソインドロ[2,1-a]インドール-3-カルボキサミド(環状ヘミアミナール)(63.0 g, 130 mmol)、2-(ジメトキシホスホリル)アクリル酸メチル(60 g, 261 mmol)、炭酸セシウム(106 g, 326 mmol)の溶液を60℃(浴温度)で4.5時間加熱した。さらなる2-(ジメトキシホスホリル)アクリル酸メチル(15 g, 65 mmol)および炭酸セシウム(21.2 g, 65 mmol)を添加し、該反応液を60℃で終夜加熱した後、室温に冷却した。得られた反応混合液をH2O(1 L)で希釈し、1N HCl水溶液(800 mL)でゆっくりと中和し、3時間撹拌した後、該沈殿物を濾過により集めた。該固形物をEt2O(800 mL)でトリチュレートし、乾燥させて7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸メチル, 13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-, メチルエステル(70.2 g, 127 mmol, 98%)を黄色固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.67 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.86 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.50 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.42 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 2.6, 8.8 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 5.75 - 5.51 (m, 1H), 4.29 - 4.01 (m, 1H), 3.89 (s, 3H), 3.82 (s, 3H), 3.05 (s, 6H), 2.87 - 2.73 (m, 1H), 2.11 - 1.12 (m, 10H). LCMS: m/e 550 (M-H)-, 保持時間 3.21分, カラムA, 4分グラジエント.
【0081】
中間体8
【化19】

1H-インドール-6-カルボン酸, 2-ブロモ-3-シクロヘキシル-, 1,1-ジメチルエチルエステル
機械的に撹拌した、乾燥二塩化メチレン(1.2 L)およびTHF(100 mL)中の2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸(80 g, 0.24 m)溶液に、活性化モレキュラーシーブ(4A, 80 g)および炭酸銀(275 g, 0.99 m)を添加した。該反応混合液を0℃に冷却し、臭化t-ブチル(142 g, 1.04 m)を滴下した。該混合液を室温で終夜撹拌し、TLCによりモニタリングした(ヘキサン-酢酸エチル 80:20, Rf(生成物)=0.7)。いずれかのブロモ酸が未変換のままの場合、さらに10%の炭酸銀を添加してさらに2〜4時間撹拌を続けた。完了後、該反応混合液をセライトの薄層を通して濾過した。該濾過物(filtrand)を二塩化メチレン(500 mL)で洗浄した。濾過物を合わせて減圧濃縮し、そうして得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した:(230〜400メッシュ, 酢酸エチル/石油エーテルのグラジエント 0〜2%で溶出)。同質の画分を合わせて減圧下でエバポレートし、80 g(85%)の表題の化合物を得た。HPLC : 90.1%(RT = 6.56分), カラム: C18 BDS, (50X4.6mm), 移動相 : 0.1% TFA/水のグラジエント : ACN (30→100→30), 流速 0.8 mL/分. LCMS : 99.8% (RT = 4.44分), カラム : Geneis, C18 50X4.6 mm 移動相 : 0.1% ギ酸/水のグラジエント : ACN (70→95→70), 流速 : 0.8 mL/分; M - 1 = 376.5; 1H NMR CDCl3) (400 MHz) δ 1.37 - 1.40 (m, 3H, シクロヘキシル), 1.62 (s, 9H, t-Bu), 1.80 - 1.94 (2セットのm, 各々, シクロヘキシル部分の3H, & 4H), 2.81 (m, 1H,シクロヘキシル-ベンジリックのCH), 7.70 - 7.75 (m, 2H, インドール-H4&5), 8.04 (s, 1H, インドール-H7), 8.52 (s, 1H, インドール-NH).
【0082】
中間体9
【化20】

1H-インドール-6-カルボン酸, 3-シクロヘキシル-2-(2-ホルミル-4-メトキシフェニル)-, 1,1-ジメチルエチルエステル
2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸tert-ブチル(72 g, 0.19 m)をトルエンおよびエタノールの1:1混合液(720 mL)に溶解し、脱気した。次いで、LiCl(23.9 g, 0.51 m)を添加した後、炭酸ナトリウム(720 mL, 別個に脱気した1.0 M溶液)およびPd-テトラキス(13.1 g, 0.011 m)を添加した。0.25時間撹拌した後、2-ホルミル-4-メトキシフェニルボロン酸(41.1 g, 0.22 m)を添加し、該反応混合液を85℃に4時間加熱した。次いで、該反応をTLCによりモニターした(ヘキサン-酢酸エチル 80:20, Rf (生成物) = 0.55)。完了後、該反応混合液を室温に冷却し、水(1.0 L)の添加に続いて酢酸エチル(1.0 L)を添加した。該有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させて減圧濃縮し、表題の化合物を黄色固形物として得た。収量 75 g(74%)。 HPLC : 99.7% (RT = 6.30分), カラム : C18 BDS (4.6 X 50 mm), SC-307, 移動相 : 0.1% TFA/水のグラジエント : ACN (30→100→30), 流速 0.8 mL /分. LCMS : 98.0% (RT = 5.28分), カラム : Geneis, C18 (50X4.6 mm), 移動相 : 0.1% ギ酸/水のグラジエント: ACN (70→95→70), 流速 : 0.8 mL /分; M - 1 = 432.2; 1H NMR (DMSO -d6) (400 MHz) δ 1.40 - 1.48 (m, 3H, シクロヘキシル), 1.57 (s, 9H, t-Bu), 1.84 - 1.90 (m, 7H, シクロヘキシル部分), 3.09 (m, 1H,シクロヘキシル-ベンジリックのCH), 3.84 (s, 3H, OCH3), 6.55 (d, J = 4 Hz, 1H, アリール H2'), 7.06 (d, 1H, アリール H3'), 7.08 (s, 1H, アリール H6'), 7.23 (d, 1H, インドール-H5), 7.53 (d, J = 8 Hz, 1H, インドール-H4), 7.70 - 7.75 (m, 2H, NH + インドール-H7), 8.06 (s, 1H, CHO).
【0083】
中間体10
【化21】

7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボン酸, 13-シクロヘキシル-, 10-(1,1-ジメチルエチル) 6-メチルエステル
3-シクロヘキシル-2-(2-ホルミル-4-メトキシフェニル)-1H-インドール-6-カルボン酸tert-ブチル(62.5 g, 0.144 m)を乾燥DMF(1.2 L)に溶解し、機械的に撹拌した。次いで、炭酸セシウム(84 g, 0.17 m)および2-(ジメトキシホスホリル)アクリル酸メチル(65〜70% GC純度, 56.2 g, 0.18 m)を添加し、該反応混合液を65℃に4時間加熱し、該反応をTLC(ヘキサン-酢酸エチル 80:20, Rf (生成物) = 0.7)によりモニターした。完了後、該混合液を室温に冷却した後、水(1.0 L)でクエンチした。黄色の固形物が沈殿し、それを濾過により集め、風乾させた。この物質をメタノール中にスラリーにし、濾過し、減圧下で乾燥させて、黄色粉末として生成物を得た(70 g, 90%)。HPLC : 99.1% (保持時間 = 6.45分)、カラム : C18 BDS (4.6 X 50 mm)、移動相 : 0.1% TFA/水のグラジエント : ACN (30→100→30)、流速 0.8 mL /分。 LCMS : 100% (保持時間 = 7.00分)、カラム : Geneis、C18 (50X4.6 mm)、移動相 : 0.1% ギ酸/水のグラジエント : ACN (70→95→70), 流速 : 0.8 mL /分; M + 1 = 502.2; 1H NMR (CDCl3) (400 MHz) δ 1.10 - 1.30 (m, 3H, シクロヘキシル), 1.64 (s, 9H, t-Bu), 1.77 - 2.07 (m, 7H, シクロヘキシル部分), 2.80 (m, 1H, ベンジルのシクロヘキシルのCH), 3.84 (s, 3H, OCH3), 3.93 (s, 3H, COOCH3), 4.15 & 5.65 (2つのブロードピーク, 1H 各々, アリルのCH2), 6.95 (s, 1H, アリール H6'), 7.01 (d, 1H, アリール H2'), 7.53 (d, J = 8 Hz, 1H, アリール H3'), 7.70 (d, J = 4 Hz, 1H, インドール-H5), 7.84 (s + d, 2H, オレフィンのH + インドール-H4), 8.24 (s, 1H, インドール-H7); 13C NMR (CDCl3) (100.0 MHz) δ 166.92, 165.71, 158.96, 142.28, 136.47, 13.50, 134.61, 132.43, 132.01, 129.73, 124.78, 124.68, 120.33, 119.39, 119.04, 115.62, 115.05, 111.27, 80.27, 55.49, 52.50, 39.09, 36.81, 33.40, 28.38, 27.15, 26.28.
【0084】
中間体11
【化22】

2-プロペン酸, 2-(ジメトキシホスフィニル)-, メチルエステル
メカニカルスターラー、冷却器、温度調節器およびN2注入口を備えた5 Lの4ツ口丸底フラスコに、パラホルムアルデヒド(40.5 g, 1.35 mol)、MeOH(2 L)およびピペリジン(2 mL)を充填した。該反応混合液を、N2下で3時間加熱還流した。50℃に冷却した後、2-(ジメトキシホスホリル)アセテート(150 g, 0.824 mol)を一度に添加した。該反応混合液を、18時間還流し続けた。室温に冷却した後、該反応液を減圧濃縮して澄明な無色の油状物を得た。上記油状物を、温度調節器、N2注入口、撹拌機およびディーン・スターク装置を備えた3 Lの4ツ口丸底フラスコ中で乾燥トルエン(1 L)に溶解した。該溶液にTsOH.H2O(5.2 g)を添加した。次いで、該反応混合液を18時間共沸的に還流し、メタノールを除去した。室温に冷却した後、該溶液を減圧濃縮して黄色油状物を得て、それを150〜155℃/0.2 mmHgで減圧蒸留して、無色の油状物として生成物を得た(135.0 g)。1H NMRに基づく純度、90%。1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ 7.0 (dd, J = 42.4および1.5 Hz, 1H), 6.73 (dd, J = 20.5および1.8 Hz, 1H), 3.80 (s, 6H), 3.76 (s, 3H).
【0085】
中間体12
【化23】

3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン, 3-メチル-8-(フェニルメチル)-
シス-1-ベンジル-2,5-ビス(クロロメチル)ピロリジン塩酸塩(37.5 g, 0.13 mol)(公開PCT特許出願WO200232902に記載の通り製造)を、メカニカルスターラー、還流冷却器、および温度計を装備した5 Lの3ツ口丸底フラスコ中でCH3CN(900 mL)に懸濁した。撹拌した懸濁液を50℃に加温し、NaHCO3(97 g, 1.1 mol)を添加し、該懸濁液を70℃に加温した。NaI(50 g, 0.33 mol)を添加して70℃で5分間撹拌し、その後、滴下漏斗を冷却器の上に取り付けた。48 mLの40%MeNH2(0.55 mol)水溶液/850 mLのCH3CNを滴下漏斗に加え、この溶液を滴下した(添加速度は10〜15 ml/分に維持した)。75分後に添加が完了し、その後、該反応液を室温に冷却し、該固形物を濾過して除去し、該溶媒を〜800 mLに濃縮した。該反応液をEtOAc(800 mL)に注ぎ入れ、1 N NaOH(2 x 100 mL)で洗浄した。該水相をEtOAc(2 x 100 mL)で再抽出し、有機相を合わせてNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。得られた残渣をシリカゲル(620g)に導入し、CHCl3中の2.8%MeOH/0.4%濃NH4OH(総量6 L)で溶出した。純粋な画分を2 L〜4 L集めた。濃縮して、8.76 g(32%収率)の表題の化合物を茶色の油状物として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.79 - 1.87 (m, 2 H) 1.92 - 1.99 (m, 2 H) 2.23 (s, 3 H) 2.27 - 2.37 (m, 2 H) 2.54 - 2.63 (m, 2 H) 3.10 (s, 2 H) 3.52 (s, 2 H) 7.20 - 7.26 (m, 1 H) 7.30 (t, J=7.30 Hz, 2 H) 7.36 - 7.42 (m, 2 H). LCメソッド: 溶媒A = 10% MeOH / 90% H2O / 0.1% TFA, 溶媒B = 90%MeOH / 10%H2O / 0.1% TFA, 開始%B = 0%, 最終%B = 100, 流速 = 4 ml/分, グラジエント時間 = 2分, ラン時間 = 3 分, カラム: Phenomenex-Luna 10 μm C18 50 mm x 3.0 mm, 保持時間 = 0.23 分; MS: (ES+) m/z (M+H)+ = 217.3. さらに6.1 gの混合画分をカラムから得た(1H NMR積分により>80%純度)。
【0086】
中間体13
【化24】

3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン, 3-メチル-, 二塩酸塩
N-メチル-N-ベンジルビシクロジアミン(14.22g, 65.7mMol)を、650mlのメタノールに溶解し、17mlの12M塩酸水溶液を添加した。該溶液を窒素下で2Lのパーボトル(Parr bottle)に入れ、3.66gの20%水酸化パラジウム炭素を該反応液に添加した。該混合液を、パーシェイカー(Parr shaker)に60psigの水素下で17時間設置した。該反応は、TLC分析(容積比10:90のメタノール中の2Mアンモニア溶液/クロロホルムで溶出したシリカゲルプレート)により完了が判断された。該反応液をセライトプラグを通して濾過し、次いでそれを水およびメタノールで連続的にすすいだ。濾過物を合わせて減圧濃縮し、メタノールおよびベンゼンを、均質な溶液になるまで添加した。次いで、75mLの2.0 M 塩酸/ジエチルエーテルを添加した。生成物溶液から揮発物を減圧除去した。生成物溶液から、メタノール/ベンゼン混合液を用いて水の共沸を繰り返すことにより、最終的に淡黄色の固形物を得た。該固形生成物、3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンを終夜減圧乾燥させて、11.98g(91%)の吸湿性固形物を得た。該生成物をフラスコから取り出し、その吸湿性性質のため、窒素下でグローブバッグ(glove bag)に入れた。 1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ ppm 1.96 - 2.14 (m, 2 H) 2.34 (d, J=8.24 Hz, 2 H) 2.66 (s, 3 H) 3.46 (d, J=11.90 Hz, 2 H) 3.58 (s, 3 H, H2O含有) 4.17 (s, 2 H) 9.92 (s, 1 H) 10.21 (s, 1 H) 11.39 (s, 1H); 13C NMR (126 MHz, DMSO-D6)δ ppm 24.04 (s, 1 C) 43.49 (s, 1 C) 52.50 (s, 1 C) 54.47 (s, 1 C).
【0087】
中間体14および15
【化25】

3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸, フェニルメチルエステルおよび3-(フェニルメチル)-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン
トリエチルアミン(1.44 mL, 10.363 mmol)を8-boc-3,8-ジアザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン(ocatane)(2.0 g, 9.421 mmol)/CH2Cl2(20 mL)溶液に添加し、クロロぎ酸ベンジル(1.46 mL, 10.363 mmol)を0℃で滴下して、該反応混合液を0℃で0.5時間撹拌した後、室温に昇温させて3日間撹拌し続けた。その後、該反応混合液を水でクエンチし、1N HCl溶液で酸性化した。該有機層を分離し、食塩水で洗浄して乾燥させ(MgSO4)、濃縮して無色の濃い油状物を粗生成物として得た。次いで、70 mgのこの物質を1,2-ジクロロエタン (2mL)に溶解し、TFA(0.5 mL)を添加した。該反応混合液を室温で2時間撹拌した。その後、該溶媒およびTFAをエバポレートして、2つの表題の化合物の混合物を無色の濃い油状物として得た。
【0088】
中間体16
【化26】

3-シクロヘキセニル-1H-インドール-6-カルボン酸
シクロヘキサノン(96 mL, 0.926 mol)を、撹拌したインドール-6-カルボン酸メチル(50.0 g, 0.335 mol)/メタノール(920 mL)溶液に、22℃で添加した。メタノール性ナトリウムメトキシド(25% w/wで416 mL, 1.82 mol)を10分かけて少しずつ添加した。該混合液を還流で18時間撹拌し、室温に冷却、濃縮、冷水で希釈し、36% HCl溶液で酸性化した。得られた沈殿物を濾過により集めて冷水で洗浄し、五酸化リン(0.1 mm)で乾燥させて、表題の化合物を黄褐色の固形物として得た(80.9 g, 97.5%収率)。
【0089】
中間体17
【化27】

3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸
3-シクロヘキセニル-1H-インドール-6-カルボン酸(38 g)をパーボトルに添加し、続いてメタノール(100 mL)およびTHF(100 mL)を添加した。該ボトルをアルゴンでフラッシュして、10%パラジウム炭素(1.2 g)を添加した。次いで、該フラスコを排気し、続いて55 psiの圧にH2で満たし、得られた混合液を室温で18時間振盪させた。その後、セライトを通して濾過により触媒を除去した。濾過物を濃縮して、目的の生成物を薄紫色の固形物として得た(30.6 g, 79%)。 ESI-MS m/z 244 (MH+).
【0090】
中間体18
【化28】

3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸メチル
塩化チオニル(1 mL)を撹拌した3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸(30.4 g, 0.125 mol)/メタノール(300 mL)混合液に添加した。該混合液を還流で18時間撹拌し、脱色炭で処理し、濾過した。該濾過物を約150 mLに濃縮したところで、結晶化が生じた。該濾過物を室温に冷却して濾過した。該固形物を冷メタノール、続いてジエチルエーテルで洗浄して目的の生成物を薄紫色の固形物として得た(22.2 g, 69%収率)。ESI-MS m/z 258 (MH+); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.35 (m, 4H), 1.63 (s, 1H), 1.78 (m, 3H), 2.06 (d, J=8.05 Hz, 2H, 3.90 (m, 1H), 7.08 (d, J=1.83 Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.65 (s, 1H),7.74 (d, J=1.46 Hz, 1H), 7.77 (d, J=1.46 Hz, 1H), 8.08 (s, 1H).
【0091】
中間体19
【化29】

1H-インドール-6-カルボン酸メチル
ジアゾメタン(620 mL)のエーテル溶液を、冷却(-15 ℃)および撹拌した6-インドールカルボン酸(45 g, 0.27 mol.)/ジエチルエーテル(250 mL)懸濁液に、ゆっくりと添加した。添加後、該反応混合液をさらに-15℃で1時間撹拌した後、該反応液を酢酸(50 mL)をゆっくり添加することによりクエンチした。次いで、得られた混合液を減圧下で濃縮し、該残渣を、溶出剤としてMDCを用いたシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(60 - 120)を用いて精製した。
【0092】
中間体20
【化30】

3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸メチル
シクロヘキサノン(42.46 mL, 0.40 mol)を、撹拌したインドール-6-カルボン酸メチル(47.8 g, 0.27 m)/乾燥ジクロロメタン(500 mL)溶液に、一回で添加した。次いで、該反応混合液を10℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(63.13 mL, 0.8 m)、続いてトリエチルシラン(174.5 mL, 1.09 m)を滴下した。添加後、温度を室温に昇温させ、その後さらに12時間撹拌した。次いでジクロロメタン(200 mL)を添加し、該反応混合液を10%炭酸水素ナトリウム溶液および食塩水で連続的に洗浄した。該有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過および減圧濃縮した。得られた残渣を、溶出剤としてヘキサン-酢酸エチル(9.5:0.5)混合液を用いたシリカでのフラッシュクロマトグラフィー(60 - 120)で精製した。均質な画分を合わせてエバポレートし、60 gの目的の生成物を得た(85%)。この物質の分析データは、上記の別の手段で製造したサンプルで観察されたものと一致した。
【0093】
中間体21
【化31】

2-ブロモ-3-シクロヘキシル-2-1H-インドール-6-カルボン酸メチル
乾燥ピリジニウムトリブロミド(12.0 g, 38 mmol)を、撹拌および冷却(氷/水浴)したTHF(80 mL)とクロロホルム(80 mL)の混合液中の3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸メチル(7.71 g, 30 mmol)溶液に、一回で添加した。該フラスコを冷却浴から取り出し、室温で2時間撹拌を続けた。該混合液を1M NaHSO3(2 x 50 mL)および1N HCl(50 mL)で連続的に洗浄した。次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。該濃縮物をヘキサンで処理し、得られた沈殿物を濾過により集めて、目的の生成物をオフホワイトの固形物として得た(5.8 g, 58%)。 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.38 (m, 3H), 1.85 (m, 7H), 2.81 (m, 1H), 7.71 (m, 2H), 8.03 (s, 1H), 8.47 (s, 1H).
【0094】
該ヘキサン母液を濃縮し、該残渣をヘキサン/酢酸エチル(5:1)に溶解した。該溶液を、同じ溶媒を用いてシリカゲルのパッドを通した。溶出物を濃縮し、次いでヘキサン(10 mL)を添加することにより、さらなる生成物の沈殿が得られ、それを濾過により集めて2.8 g(28%)の目的の生成物を得た。
【0095】
中間体22
【化32】

11-シクロヘキシル-6-ヒドロキシ-6H-イソインドロ[2,1-a]インドール-3-カルボン酸メチル
撹拌した、1M Na2CO3(40 mL)および1:1 EtOH-トルエン(180 mL)中の2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸メチル(10.1 g, 30 mmol)、2-ホルミルフェニルボロン酸(5.4 g, 36 mmol)、LiCl(3.8 g (90 mmol)およびPd(PPh3)4(1.6 g, 1.38 mmol)の混合液を、窒素下において85℃で3時間加熱した。次いで、該反応混合液を室温に冷却し、EtOAc(2X 100 mL)で抽出した。該抽出物を、水および食塩水で連続的に洗浄した後、乾燥させ(MgSO4)、濾過および減圧濃縮して13.3 gの粗生成物を得た。この物質をDCMおよびヘキサンでトリチュレートし、純粋な目的の生成物を得た(7.52 g, 70%)。 LC-MS: m/e 360 (M-H); 344 (M-17). 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-D) δ ppm 1.33 - 1.60 (m, 4 H) 1.77 - 2.01 (m, 6 H) 2.80 (d, J=11.83 Hz, 1 H) 3.02 - 3.18 (m, 1 H) 3.89 (s, 3 H) 6.49 (d, J=11.33 Hz, 1 H) 7.34 (t, J=7.55 Hz, 1 H) 7.46 (t, J=7.55 Hz, 1 H) 7.62 (d, J=7.30 Hz, 1 H) 7.66 - 7.74 (m, 2 H) 7.77 (d, J=7.81 Hz, 1 H) 8.21 (s, 1 H).
【0096】
中間体23
【化33】

13-シクロヘキシル-6-(メトキシカルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボン酸メチル
撹拌した、無水DMF(40 mL)中の11-シクロヘキシル-6-ヒドロキシ-6H-イソインドロ[2,1-a]インドール-3-カルボン酸メチル(3.61 g, 10mmol)、Cs2CO3(3.91 g, 12 mmol)および2-ホスホノ酢酸トリメチル(2.86g, 14 mmol)懸濁液を、窒素下において60℃で3時間加熱した。得られた黄色の懸濁液を室温に冷却し、激しく撹拌しながら水を添加した。黄色の沈殿物が生じ、それを濾過により集めた。該固形物を水で洗浄し、次いで、終夜風乾して表題の化合物を黄色の粉末として得た(4.124g, 96%)。 LC/MS: m/e 430 (MH+); 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-D) δ ppm 1.30 - 1.46 (m, J=14.86 Hz, 2 H) 1.55 (s, 2 H) 1.77 (s, 2 H) 1.85 - 2.18 (m, 4 H) 2.76 - 2.89 (m, 1 H) 3.84 (s, 3 H) 3.95 (s, 3 H) 4.19 (s, 1 H) 5.68 (s, 1 H) 7.38 - 7.63 (m, 4 H) 7.74 (dd, J=8.44, 1.39 Hz, 1 H) 7.81 - 7.98 (m, 2 H) 8.29 (d, J=1.01 Hz, 1 H).
【0097】
中間体24
【化34】

13-シクロヘキシル-6-(カルボキシ)-5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボン酸メチル
13-シクロヘキシル-6-(メトキシカルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボン酸メチル(308mg, 0.72mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(5 mL)に溶解し、LiOH(173mg, 7.2mmol)で処理した。該混合液を50℃で4時間加熱し、その後該溶媒を減圧除去した。該残渣をH2O(5mL)に溶解し、得られた混合液を10%HCL水溶液の添加により酸性化した。沈殿物が生じ、それを濾過により集め、風乾して、表題の化合物を鮮黄色の固形物として得た(290mg, 97%)。 ESI-MS m/z [M+1]=415.
【0098】
他に指示のない限り、以下の実験手順で下記の一般的な方法を用いた: LCMS データ: 停止時間: グラジエント時間 + 1分; 開始濃度: 他に記載のない限り0%B ; 溶出A: 10 mM NH4OAcを含有する5%CH3CN/95%H2O(カラムAおよびD); 0.1% TFAを含有する10%MeOH/90%H2O(カラムBおよびC); 溶出B: 10 mM NH4OAcを含有する95%CH3CN/5%H2O(カラムAおよびD); 0.1%TFAを含有する90%MeOH/10%H2O(カラムBおよびC); カラムA: Phenomenex 10μ 4.6 x 50 mm C18; カラムB: Phenomenex C18 10μ 3.0 x 50 mm; カラムC: Phenomenex 4.6 x 50 mm C18 10μ; カラムD: Phenomenex Lina C18 5μ 3.0 x 50 mm; カラムE: Phenomenex 5μ 4.6 x 5.0 mm C18。
EtOH/トルエン(1:1, 100 mL)中の2-ブロモ-3-シクロヘキシル-1H-インドール-6-カルボン酸メチル(4.3 g, 13 mmol)、4-メトキシ-2-ホルミルフェニルボロン酸(3.0 g, 17 mmol)およびLiCl(2.2 g, 51 mmol)のスラリー溶液に、Pd(PPh3)4(1.4 g, 1.3 mmol)を添加し、次いで1M Na2CO3(水溶液)(32 mL, 32 mmol)を添加した。該反応液を窒素でフラッシュし、100℃で3時間加熱し、室温に冷却した。該反応液を濃縮してEtOHを除去し、H2O(200 mL)で洗浄してEtOAc(2 x 150 mL)で抽出した。有機物を合わせて食塩水(100 mL)で洗浄し、乾燥させて(MgSO4)濾過し、乾固するまで濃縮した。該残渣をCH2Cl2でトリチュレートし、該固形物を濾過により集めてEt2OおよびCH2Cl2で洗浄し、11-シクロヘキシル-6-ヒドロキシ-8-メトキシ-6H-イソインドロ[2,1-a]インドール-3-カルボン酸メチル(3.0 g, 8.0 mmol, 63%)を黄色の固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。LCMS: m/e 374 (M+H), 保持時間 3.09分, カラムB, 3分グラジエント.
【0099】
中間体25
【化35】

DMF(20 mL)中の11-シクロヘキシル-6-ヒドロキシ-8-メトキシ-6H-イソインドロ[2,1-a]インドール-3-カルボン酸メチル(2.9 g, 7.4 mmol)、2-(ジメトキシホスホリル)アクリル酸メチル(2.6 g, 11 mmol)、炭酸セシウム(3.6 g, 11 mmol)の溶液を、60℃で2時間加熱し、室温に冷却した。該反応混合液を撹拌しながらH2O(50 mL)で希釈し、該沈殿物を濾過により集め、13-シクロヘキシル-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボン酸ジメチル(3.3 g, 7.1 mmol, 97%)を黄色の固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。LCMS: m/e 460 (M+H), 保持時間 3.35分, カラムB, 3分グラジエント.
【0100】
中間体26
【化36】

テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(1M/MeOH, 2.2 mL, 2.2 mmol)の溶液を、撹拌中の13-シクロヘキシル-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボン酸ジメチル(1.0 g, 2.2 mmol/THF(75 mL)に添加し、室温で終夜撹拌した。該反応混合液を〜30 mLに濃縮し、EtOAc(120 mL)で希釈し、0.5M HCl(水溶液)(2 x 50 mL)および食塩水(40 mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過して乾固するまで濃縮し、7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボン酸メチル, 13-シクロヘキシル, 3-メトキシ, 6-カルボン酸(1.0 g, 2.2 mmol, 定量的)を黄色の固形物として得て、それをさらなる精製は行わずに用いた。 LCMS: m/e 446 (M+H)+, 保持時間 1.54分, カラムA, 2分グラジエント.
【0101】
中間体27
【化37】

THF/MeOH(1:1, 14 mL)中のメチル 13-シクロヘキシル- N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボキシレート-10-カルボキサミド(900 mg, 1.6 mmol)溶液に、1M NaOH(水溶液)(5 mL, 5 mmol)を添加し、該反応混合液を、密閉チューブ中でマイクロ波照射により、85℃で30分間加熱した。該反応液を冷却し、1M HCl(水溶液)(5 mL, 5.0 mmol)で中和し、濃縮して有機溶媒を除去した。該残渣をH2Oでスラリーにして、該固形物を濾過により集め、H2Oでフラッシュし、乾燥させて13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド-6-カルボン酸(807 mg, 1.5 mmol, 92%)を黄色の固形物として得た。LCMS: m/e 536 (M-H)-, 保持時間 2.18分, カラムA, 4分グラジエント.
【0102】
以下に記載した一般的な方法は、表3中の化合物の実験データに関連する。LCMSデータ: グラジエント時間: 2分; 流速: 4 mL/分; 停止時間: グラジエント時間 + 2分; 開始濃度: 0%B; 溶出A: 0.1%TFAを含有する10%MeOH/90%H2O; 溶出B: 0.1%TFAを含有する90%MeOH/10%H2O; カラム 1: Phenomenex 10μ C18 4.6 x 50 mm.
【表7】

【表8】

【0103】
【化38】

10-(tert-ブトキシカルボニル)-13-シクロヘキシル-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸
テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(40%/水, 14.4mL, 22 mmol)を、MeOH(40 mL)およびTHF(40 mL)中の13-シクロヘキシル-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6,10-ジカルボン酸 10-tert-ブチル 6-メチル(5.0 g, 10 mmol)のスラリーに添加し、該反応液を室温で終夜撹拌した(LCMSにより完了)。得られた混合液を1N HCl(水溶液)(24 mL)で中和し、濃縮して有機溶媒を除去した。該スラッジを水で希釈し、撹拌して、該固形物を濾過により集めた。湿った固形物をEtOAc(〜250 mL)に溶解し、食塩水(100 mL)で洗浄し、乾燥させて(MgSO4)、濾過および濃縮し、10-(tert-ブトキシカルボニル)-13-シクロヘキシル-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸(5.73 g, 11.8 mmol, 118%収率)を明黄色固形物として得た。該生成物はテトラブチルアンモニウム副生成物との混合であると思われる。該物質をさらなる精製は行わずに用いた。1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ ppm 1.14 - 2.13 (m, 10H), 1.60 (s, 9H), 2.73 - 2.86 (m, 1H), 3.89 (s, 3H), 4.03 - 4.26 (m, 1H), 5.49 - 5.80 (m, 1H), 6.98 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.64 (dd, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.89 (br s, 1H), 8.19 (s, 1H. LC-MS 保持時間: 4.32分; 488 m/z (MH+). LCデータは、Phenomenex-Luna 10u C18 3.0x50mmカラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにより、SPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、検出波長220nMで記録した。該溶出条件は、流速5 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間4分、ホールド時間1分、および分析時間5分(ここで溶媒Aは10%MeOH/90%H2O/0.1%トリフルオロ酢酸であり、溶媒Bは10%H2O/90%MeOH/0.1%トリフルオロ酢酸である)を用いた。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用Micromass Platformを用いて決定した。
【実施例】
【0104】
実施例1
【化39】

7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-6-[(3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル]-
撹拌した、DMF(1.0 mL)中の13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド-6-カルボン酸(51 mg, 0.095 mmol)、3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩(34 mg, 0.17 mmol)およびトリエチルアミン(0.06 mL)の溶液に、HATU(50 mg, 0.13 mmol)を添加した。該反応混合液を室温で2時間撹拌し、MeOH(〜1mL)で希釈し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-6-[(3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル]-(52 mg, 0.08 mmol, 85%)を、黄色の固形物として得た。1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.31 (s, 1H), 7.83 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.59 (br d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.02 (dd, J = 2.6, 8.8 Hz, 1H), 6.91 - 6.86 (m, 2H), 5.35 - 5.16 (m, 1H), 4.34 - 4.16 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.01 (s, 6H), 2.85 - 1.03 (m, 24H). LCMS: m/e 644 (M-H)-, 保持時間 2.89分, カラムA, 4分グラジエント.
【0105】
実施例2
【化40】

3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸, 3-[[13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-イル]カルボニル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル
撹拌した、DMF(2.5 mL)中の13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド-6-カルボン酸(300 mg, 0.56 mmol)、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸tert-ブチル(150 mg, 0.71 mmol)およびトリエチルアミン(0.25 mL)の溶液に、HATU(250 mg, 0.66 mmol)を添加した。該反応混合液を室温で1時間撹拌し、H2O(〜10 mL)で希釈し、1M HCl(水溶液)(〜0.5 mL)で酸性化し、該沈殿物を濾過により集めてH2Oでフラッシュした。該固形物をMeOH/DMF(1:1)に溶解し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸, 3-[[13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-イル]カルボニル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル(130 mg, 0.18 mmol, 32%)を黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.85 (br s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.03 (dd, J = 2.6, 8.8 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.75 (s, 1H), 5.25 - 5.00 (m, 1H), 4.49 - 4.01 (m, 3H), 3.88 (s, 3H), 3.35 - 2.90 (m, 2H), 3.03 (s, 6H), 2.86 - 2.72 (m, 1H), 2.12 - 1.12 (m, 16H), 1.41 (s, 9H). LCMS: m/e 730 (M-H)-, 保持時間 3.41分, カラムA, 4分グラジエント.
【0106】
実施例3
【化41】

7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-6-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イルカルボニル)-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-
3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-カルボン酸, 3-[[13-シクロヘキシル-10-[[[(ジメチルアミノ)スルホニル]アミノ]カルボニル]-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-イル]カルボニル]-, 1,1-ジメチルエチルエステル(103 mg, 0.14 mmol)/CH2Cl2(2 mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(2 mL)を添加した。該反応混合液を室温で2時間撹拌し、濃縮し、MeOH(2 mL)に溶解し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-6-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イルカルボニル)-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-(77 mg, 0.12 mmol, 87%)を、淡黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 8.24 (s, 1H), 7.78 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.22 - 7.14 (m, 2H), 6.95 (s, 1H), 5.19 - 4.95 (m, 1H), 4.42 - 4.20 (m, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.82 - 2.98 (m, 7H), 2.82 - 2.68 (m, 1H), 2.75 (s, 6H), 2.14 - 0.93 (m, 14H), 1.41 (s, 9H). LCMS: m/e 630 (M-H)-, 保持時間 2.54分, カラムA, 4分グラジエント.
【0107】
実施例4
【化42】

5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-6,7-ジヒドロ-3-メトキシ-6-[(3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル]-
10%パラジウム炭素(47 mg, 0.05 mmol)を7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-6-[(3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル]-(52 mg, 0.086 mmol)/MeOH(3 mL)溶液に添加し、該反応混合液を、窒素(3X)、次いで水素(4X)で減圧フラッシュした。該反応液を水素のバルーン下で終夜撹拌した。該反応液をCH2Cl2(1 mL)で希釈し、さらなる10%パラジウム炭素(30 mg, 0.03 mmol)を添加し、該反応混合液を、窒素(3X)、次いで水素(4X)で減圧フラッシュした。該反応液を水素のバルーン下で2日間撹拌し、セライトパッドを通して濾過して濃縮した。該残渣をMeOHに溶解し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、5H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-6,7-ジヒドロ-3-メトキシ-6-[(3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル]-(17 mg, 0.026 mmol, 40%)を黄色の固形物として得た。アトロプジアステレオマーの混合物。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.16 - 7.77 (m, 2H), 7.51 - 7.41 (m, 1H), 7.37 - 7.27 (m, 1H), 7.07 - 6.74 (m, 2H), 4.77 - 4.05 (m, 3H), 3.91 - 3.81 (m, 3H), 3.77 - 3.17 (m, 1H), 3.07 - 2.99 (m, 6H), 2.95 - 1.09 (m, 25H). LCMS: m/e 648 (M-H)-, 保持時間 2.93分, カラムA, 4分グラジエント.
【0108】
実施例5
【化43】

7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-6-[(8-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)カルボニル]-
撹拌中のMeOH/CH2Cl2(1:1, 4 mL)中の7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-6-(3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イルカルボニル)-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-(44 mg, 0.070 mmol)溶液に、室温でNaCNBH3(30 mg 0.48 mmol)を添加し、次いで、ホルムアルデヒド(H2O中37重量%, 0.10 mL, 3.6 mmol)を添加した。該反応混合液を30分間撹拌し、乾固するまで濃縮した。該残渣をMeOHに溶解し、プレパラティブHPLC(10mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド, 13-シクロヘキシル-N-[(ジメチルアミノ)スルホニル]-3-メトキシ-6-[(8-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)カルボニル]-(31 mg, 0.047 mmol, 68%)を黄色の固形物として得た。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.11 (s, 1H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.66 - 7.60 (m, 2H), 7.52 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.11 (dd, J = 2.6, 8.8 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 6.87 (s, 1H), 5.23 - 5.04 (m, 1H), 4.48 - 4.26 (m, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.38 - 2.77 (m, 7H), 3.03 (s, 6H), 2.25 (br s, 3H), 2.16 - 1.15 (m, 14H). LCMS: m/e 644 (M-H)-, 保持時間 2.69分, カラムA, 4分グラジエント.
【0109】
実施例6
【化44】

13-シクロヘキシル-3-メトキシ-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボン酸tert-ブチル
HATU(680 mg, 1.8 mmol)を、DMF(6 mL)およびTEA(1.2 mL, 8.2 mmol)中の10-(tert-ブトキシカルボニル)-13-シクロヘキシル-3-メトキシ-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-6-カルボン酸(670mg, 1.37 mmol)および3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩(560 mg, 2.81 mmol)の溶液に撹拌しながら添加し、該反応液を30分間撹拌した(LCMSにより完了)。該反応混合液を水(〜35 mL)で希釈し(沈殿物が生じた)、終夜撹拌した。該沈殿物を濾過により集め、水でフラッシュし、高真空下において55℃で乾燥させて、13-シクロヘキシル-3-メトキシ-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボン酸tert-ブチル(775 mg, 1.30 mmol, 95%収率)を淡黄色の固形物として得た。該物質をさらなる精製は行わずに用いた。 1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ ppm 1.14 - 3.95 (m, 24H), 1.59 (s, 9H), 3.86 (s, 3H), 4.21 - 5.26 (m, 2H), 6.82 (s, 1H), 6.88 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 8.8, 2.6 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.80 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.02 (br s, 1H). LC-MS 保持時間: 3.72分; m/z 596 (MH+). LCデータは、Phenomenex-Luna 10μ C18 3.0x50mmカラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにより、SPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、検出波長220nMで記録した。該溶出条件は、流速5 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間4分、ホールド時間1分、および分析時間5分(ここで、溶媒Aは10%MeOH/90%H2O/0.1%トリフルオロ酢酸であり、溶媒Bは10%H2O/90%MeOH/0.1%トリフルオロ酢酸である)を用いた。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。
【0110】
実施例7
【化45】

13-シクロヘキシル-3-メトキシ-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボン酸トリフルオロアセテート
13-シクロヘキシル-3-メトキシ-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボン酸tert-ブチル(300 mg, 0.504 mmol)をDCE(5 mL)に溶解し、次いでTFA(700μl, 9.09 mmol)を添加し(反応液が緑色になった)、該反応液を室温で1時間撹拌した(LCMSにより〜70%変換)。さらなるTFA(700μl, 9.09 mmol)を添加し、該反応液を1時間撹拌した(LCMSにより完了)。該反応混合液をロータリーエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルで希釈し、2回再濃縮して13-シクロヘキシル-3-メトキシ-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボン酸トリフルオロアセテート(362 mg, 0.55 mmol, 定量的)を、暗黄色の固形物として得た。さらなる精製は行わずに用いた。1HNMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.06 - 2.13 (m, 21H), 2.68 - 2.86 (m, 1H), 3.36- 3.50 (m, 2H), 3.90 (s, 3H), 4.11 - 5.35 (m, 2H), 7.14 (s, 1H), 7.18 - 7.28 (m, 2H), 7.53 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.61 (dd, J = 8.4, 1.1 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.21 (br s, 1H), 9.55 (br s, 1H). LC-MS 保持時間: 3.72分; m/z 596 (MH+). LC-MS 保持時間: 2.50分; 538 m/z (MH-). LCデータは、Phenomenex-Luna 10μ C18 4.6x50mmカラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにより、SPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、検出波長220nMで記録した。該溶出条件は、流速5 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間4分、ホールド時間1分、および分析時間5分(ここで、溶媒Aは5%アセトニトリル/95%H2O/10 mM酢酸アンモニウムであり、溶媒Bは5%H2O/95%アセトニトリル/10 mM酢酸アンモニウムである)を用いた。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。
【0111】
実施例8
【化46】

13-シクロヘキシル-N-(イソプロピルスルホニル)-3-メトキシ-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド
CDI(80 mg, 0.49 mmol)を、tert-ブチル 13-シクロヘキシル-3-メトキシ-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキシレート TFA(200 mg, 0.30 mmol)/THF(1.5 mL)溶液に添加し、該反応混合液を60℃で2時間加熱した。該反応液を室温に冷却した後、該反応液の1/3(〜0.55 mL)を、DBU(0.20 mL, 1.3 mmol)およびTHF(0.20 mL)中のプロパン-2-スルホンアミド(40 mg, 0.33 mmol)溶液に撹拌しながら添加した。該反応液を室温で終夜撹拌し(LCMSにより完了)、油状物まで濃縮し、1N HCl(〜1 mL)でクエンチして(沈殿物が生じた)、EtOAc(2 x 1 mL)で抽出した。有機物を合わせて乾固するまで濃縮し、MeOH(1.5 mL)に溶解し、プレパラティブHPLC(10 mM NH4OAc含有CH3CN/H2O)により精製して、13-シクロヘキシル-N-(イソプロピルスルホニル)-3-メトキシ-6-((3-メチル-3,8-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタ-8-イル)カルボニル)-7H-インドロ[2,1-a][2]ベンゾアゼピン-10-カルボキサミド(28.5 mg, 0.044 mmol, 43%収率)を黄色の固形物として得た。1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ ppm 1.13 - 2.77 (m, 28H), 2.80 - 2.93 (m, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.90 - 4.02 (m, 1H), 4.27 - 4.65 (m, 2H), 5.11 - 5.31 (m, 1H), 7.04 (s, 1H), 7.11 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 8.4, 2.6 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 8.4, 1.5 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.18 (br s, 1H). LC-MS 保持時間: 2.55分; m/z 643 (MH-). LCデータは、Phenomenex-Luna 10μ C18 4.6x50mmカラムを備えた島津LC-10AS液体クロマトグラフにおいて、SPD-10AV UV-Vis検出器を用いて、検出波長220nMで記録した。溶出条件は、流速5 mL/分、100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒Bのグラジエント、グラジエント時間4分、ホールド時間1分、および分析時間5分(ここで溶媒Aは5%アセトニトリル/95%H2O/10 mM酢酸アンモニウムであり、溶媒Bは5%H2O/95%アセトニトリル/10 mM酢酸アンモニウムである)を用いた。MSデータは、エレクトロスプレーモードにおいて、LC用のMicromass Platformを用いて決定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

I
[式中、
R1はCO2R5またはCONR6R7であり;
R2
【化2】

であり;
R3は水素、ハロ、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、ベンジルオキシ、アルコキシ、またはハロアルコキシであり;
R4はシクロアルキルであり;
R5は水素またはアルキルであり;
R6は水素、アルキル、アルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、(R9)2NSO2、または(R10)SO2であり;
R7は水素またはアルキルであり;
R8は水素、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、またはピリジニルであり;
R9は水素またはアルキルであり;
R10はアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、N-(R11)ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペリジニル、またはホモモルホリニルであり;
R11は水素またはアルキルであり;そして、
該点線は、単結合または二重結合を表す]
の化合物、または医薬的に許容されるその塩。
【請求項2】
R1がCONR6R7であり;R6がアルキルSO2、シクロアルキルSO2、ハロアルキルSO2、(R9)2NSO2、または(R10)SO2であり;そしてR7が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R3が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R3がメトキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R4がシクロヘキシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R6が(R9)2NSO2または(R10)SO2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
該点線が単結合を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
該点線が二重結合を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式:
【化3】

【化4】

からなる群から選択される請求項1に記載の化合物、または医薬的に許容されるその塩。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物または医薬的に許容されるその塩および医薬的に許容される担体を含有する組成物。
【請求項11】
HCVに対する治療効果を有する少なくとも1つのさらなる化合物をさらに含有する請求項10に記載の組成物であって、該化合物がインターフェロン、シクロスポリン、インターロイキン、HCVメタロプロテアーゼインヒビター、HCVセリンプロテアーゼインヒビター、HCVポリメラーゼインヒビター、HCVヘリカーゼインヒビター、HCV NS4B タンパク質インヒビター、HCVエントリーインヒビター、HCVアセンブリインヒビター、HCVイグレスインヒビター、HCV NS5A タンパク質インヒビター、HCV NS5B タンパク質インヒビター、およびHCVレプリコンインヒビターからなる群から選択される組成物。
【請求項12】
治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を患者に投与することを含む、C型肝炎感染症の治療方法。
【請求項13】
HCVに対する治療効果を有する少なくとも1つのさらなる化合物を投与することをさらに含む請求項12に記載の方法であって、該化合物がインターフェロン、シクロスポリン、インターロイキン、HCVメタロプロテアーゼインヒビター、HCVセリンプロテアーゼインヒビター、HCVポリメラーゼインヒビター、HCVヘリカーゼインヒビター、HCV NS4B タンパク質インヒビター、HCVエントリーインヒビター、HCVアセンブリインヒビター、HCVイグレスインヒビター、HCV NS5A タンパク質インヒビター、HCV NS5B タンパク質インヒビター、およびHCVレプリコンインヒビターからなる群から選択される方法。

【公表番号】特表2010−515752(P2010−515752A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545674(P2009−545674)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/050715
【国際公開番号】WO2008/089027
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】