説明

CCR−3受容体拮抗薬

本発明は、式(I)[式中、Ar、Ar1、R3〜R5、E、F、T、Q及びmは、明細書中で定義されているとおりである]で表される化合物に関する。この化合物は、CCR−3受容体拮抗薬として有用であり、従って、CCR−3が介在する疾患を処置するのに使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCR−3受容体拮抗薬である架橋二環式アミン誘導体、それらを含有する医薬組成物、喘息などのCCR−3が介在している疾患を処置するためのそれらの使用、及び、それら化合物の調製方法に関する。
【0002】
組織中の好酸球増加は、喘息、鼻炎、湿疹及び寄生虫感染のような多くのの病理学的状態の特徴である(以下の文献を参照されたい:Bousquet,J.ら,N.Eng.J.Med.323:1033-1039(1990); Kay,A.B.及びCorrigan,C.J.,Br.Med.Bull.48:51-64(1992))。喘息において、好酸球の蓄積及び活性化は、気管支上皮の損傷及び収縮メディエーターに対する応答性亢進に関連している。RANTES、エオタキシン及びMCP−3などのケモカインは、好酸球を活性化することが知られている(以下の文献を参照されたい:Baggiolini,M.及びDahinden,C.A.,Immunol.Today.15:127-133(1994); Rot,A.M.ら,J.Exp.Med.176,1489-1495(1992); Ponath,P.D.ら,J.Clin.Invest.,Vol.97,#3,604-612(1996))。しかしながら、他の白血球細胞型の移動も誘発するRANTES及びMCP−3とは異なり、エオタキシンは、好酸球に対して選択的に走化性である(以下の文献を参照されたい:Griffith-Johnson,D.A.ら,Biochem.Biophy.Res.Commun.197:1167(1993); Jose,P.J.ら,Biochem.Biophy.Res.Commun.207,788(1994))。皮内投与若しくは腹腔内投与の場合にも、又はエアロゾル吸入の場合にも、エオタキシンの投与部位には、特異的な好酸球蓄積が観察された(以下の文献を参照されたい:Griffith-Johnson,D.A.ら,Biochem.Biophy.Res.Commun.197:1167(1993); Jose,P.J.ら,J.Exp.Med.179,881-887(1994); Rothenberg,M.E.ら,J.Exp.Med.181,1211(1995); Ponath,P.D.,J.Clin.Invest.,Vol.97,#3,604-612(1996))。
【0003】
気管支喘息などの多くの好酸球関連障害を処置するために、デキサメタゾン、メトプレドニゾロン(methprednisolone)及びヒドロコルチゾンなどのグルココルチコイドが使用されてきた(R.P.Schleimerら,Am.Rev.Respir.Dis.,141,559(1990))。グルココルチコイドは、これらの疾患においてIL−5及びIL−3が介在する好酸球生存を阻害すると考えられている。しかしながら、グルココルチコイドの長期使用は、患者に、緑内障、骨粗鬆症及び成長遅滞のような副作用をもたらす場合がある(以下の文献を参照されたい:Hanania,N.A.ら,J.Allergy and Clin.Immunol.,Vol.96,571-579(1995); Saha,M.T.ら,Acta Paediatrica,Vol.86,#2,138-142(1997))。従って、これらの望ましくない副作用を引き起こすことのない、代替的な好酸球関連疾患の処置手段を有することは望ましい。
【0004】
最近、CCR−3受容体が、エオタキシン、RANTES及びMCP−3に対する応答のために好酸球が使用している主要なケモカイン受容体として同定された。マウスプレベータリンパ腫系にトランスフェクトされた場合、CCR−3と結合したエオタキシン、RANTES及びMCP−3は、エオタキシン、RANTES及びMCP−3に対する走化応答をこれらの細胞に付与した(以下の文献を参照されたい:Ponath,P.D.ら,J.Exp.Med.,183,2437〜2448(1996))。CCR−3受容体は、好酸球、T細胞(サブタイプTh−2)、好塩基球及び肥満細胞の表面で発現し、エオタキシンに対して高度に選択的である。好酸球を抗CCR−3mAbで前処理することにより、エオタキシン、RANTES及びMCP−3に対する好酸球走化性が完全に阻害されることが、研究により示されている(以下の文献を参照されたい:Heath,H.ら,J.Clin.Invest.,Vol.99,#2,178〜184(1997))。本出願人らの米国特許第6,140,344号及び第6,166,015号、並びに1999年3月24日に公開された欧州出願EP903349には、エオタキシンのようなケモカインによる好酸球動員を阻害するCCR−3拮抗薬が開示されている。
【0005】
本発明は、CCR3受容体拮抗薬として有用な架橋されている環状アミン誘導体に関し、ここで、そのような環状アミン誘導体は、エオタキシンがCCR−3受容体に結合するのを阻害することができ、それにより、喘息のような好酸球により誘導される疾患に対抗する手段を提供する。
【0006】
第一に態様において、本発明は、式(I):
【0007】
【化11】

【0008】
[式中、
Tは、
【0009】
【化12】

【0010】
であり、ここで、R6は、R7とR8の一方と一緒に、1個若しくは2個の橋頭炭素原子の架橋を形成しており、R7とR8の他方は、水素及びR9から選択され;
Ar及びAr1は、互いに独立して、アリール又はヘテロアリールであり;
Fは、アルキレン、アルケニレン又は結合であり;
Eは、−C(=O)N(R10)−、−SO2N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−、−N(R11)SO2N(R10)−、−N(R11)C(=S)N(R10)−、−N(R11)C(=O)−、−N(R11)SO2−、−N(R12)C(=O)CH(R13)−及び−CH(R13)C(=O)N(R12)−から選択され、ここで、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素、アルキル、アシル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルキル若しくは−(アルキレン)−C(=O)−Z(ここで、Zは、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ又はヘテロアラルキルオキシである)であるか、又は、R12とR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、場合によりR14から選択される2以下の基で置換されていてもよいヘテロ環若しくはヘテロアリール環を形成していてもよく;
3及びR4は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアルキル、−(アルキレン)−C(=O)−Z1又は−(アルキレン)−C(O)21であり、ここで、Z1は、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、又はヘテロアラルキルオキシであり;
5は、水素又はアルキルであり;
Qは、−C(=O)−又はC1〜2アルキレンであり;
9は、環Tの利用可能ないずれかの炭素原子に結合していて、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル若しくはトリフルオロメトキシから選択されるか、又は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル若しくはトリフルオロメトキシの1つで置換されている低級アルキルから選択され;
14は、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシから選択されるか、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル若しくはトリフルオロメトキシの1つで置換されている低級アルキルから選択され;
mは、0又は1であり;
そして、
nは、0〜4である]
で表される化合物並びにそのプロドラッグ、個々の異性体、異性体の混合物及び薬学的に許容される塩を提供する。
【0011】
さらにまた、上記で定義した化合物[該化合物は、以下においては、(i)と称する]の範囲内で、好ましいのは、以下の化合物である。
【0012】
(ii)Ar及びAr1が、いずれもフェニルであり;
Fが、結合であり;
Eが、−C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)−、−N(R12)C(=O)CH(R13)−及びCH(R13)C(=O)N(R12)−から選択され、ここで、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素若しくはアルキルであるか、又は、R12とR13が、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、場合によりR14から選択される2以下の基で置換されていてもよいヘテロ環若しくはヘテロアリールを形成していてもよく;
3及びR4が、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル又は−(アルキレン)−C(=O)−Z1であり、ここで、Z1は、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ又はヘテロアラルキルオキシであり;
Qが、−CH2−であり;
9及びR14が、独立して、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり;
そして、
nが、0〜2である;
(i)の化合物。
【0013】
(iii)Tが、
【0014】
【化13】

【0015】
から選択され;
そして、
9が、環Tの利用可能ないずれかの炭素原子に結合していて、低級アルキル及びヒドロキシから選択され;
そして、
nが、0〜2である;
(i)又は(ii)の化合物。
【0016】
(iv)Arが、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、−COR15、−SO217、メチレンジオキシ、ヒドロキシ、ハロ、アシルアミノ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、−CONR1516、−(アルキレン)−CONR1516、−COOR15、−(アルキレン)−COOR15及び/又は−NR16SO217から選択される1、2又は3の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル環であり;
15及びR16が、各々独立して、水素又はアルキルであり;
そして、
17が、アルキル、アミノ、一置換アミノ又は二置換アミノである;
(i)の化合物。
【0017】
(v)Arが、フェニル、4−クロロフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルスルホニルフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル及び3,4,5−トリメトキシフェニルから選択される、(iv)の化合物。
【0018】
(vi)Fが結合である、(i)の化合物。
【0019】
(vii)Eが、−C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−又はN(R12)C(=O)CH(R13)−であり、ここで、R10及びR11は水素又は低級アルキルであり、そして、R12及びR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、
【0020】
【化14】

【0021】
[式中、R18及びR19は、水素及び低級アルキルから選択される]を形成している、(i)〜(vi)のいずれか1つの化合物。
【0022】
(viii)Eが
【0023】
【化15】

【0024】
であり;
そして、
mが0である;
(vii)の化合物。
【0025】
(ix)R3が水素であり;
及び、
4が、水素、メチル、エチル、1−メチルエチル、イソプロピル、1−ヒドロキシエチル又は2−ヒドロキシエチルである;
(i)の化合物。
【0026】
(x)R3が水素であり;そして、R4が1−メチルエチルである;
(ix)の化合物。
【0027】
(xi)Tが、
【0028】
【化16】

【0029】
である、(i)〜(x)のいずれか1つの化合物。
【0030】
(xii)Qが−CH2−である、(i)の化合物。
【0031】
(xiii)Ar1が、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、ハロ、トリフルオロメチル、ニトロ、一置換アミノ又は二置換アミノから選択される1、2又は3の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル環である、(i)の化合物。
【0032】
(xiv)Ar1が4−クロロフェニル又は3,4−ジクロロフェニルである、(xiii)の化合物。
【0033】
(xv)式(II):
【0034】
【化17】

【0035】
[式中、
Tは、
【0036】
【化18】

【0037】
であり、ここで、R6はR7とR8の一方と一緒に、場合により1若しくは2のCH3で置換されていてもよい1個若しくは2個の橋頭炭素原子の架橋を形成しており、R7とR8の他方は、水素及び低級アルキルから選択され;
Eは、−C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−及び−N(R12)C(=O)CH(R13)−から選択され、ここで、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素若しくは低級アルキルであるか、又は、R12とR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、5員ヘテロ環若しくはヘテロアリール環(ここで、該ヘテロ環若しくはヘテロアリール環は、2個以下の窒素原子を有し、低級アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから選択される2以下の基で場合により置換されていてもよい)を形成していてもよく;
4は、水素若しくは低級アルキルであるか、又は、ヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
20及びR21は、各々独立して、ハロ、OR22及びSO222から選択され、ここで、R22は低級アルキルであり;
mは、0又は1であり;
p及びqは、独立して、0、1、2又は3である]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0038】
(xvi)R10、R11、R12及びR13が、互いに独立して、水素若しくは低級アルキルであるか、又は、R12とR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、5員ヘテロ環若しくはヘテロアリール環(ここで、該ヘテロ環若しくはヘテロアリール環は、2個以下の窒素原子を有し、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから選択される2以下の基で場合により置換されていてもよい)を形成していてもよい、(xv)の化合物。
【0039】
(xvii)Eが、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−及び
【0040】
【化19】

【0041】
から選択され、ここで、R18及びR19は、各々、水素又は低級アルキルであり;
4は、水素、メチル、エチル、1−ヒドロキシエチル又は1−メチルエチルであり;
6は、R7とR8の一方と一緒に、2個の橋頭炭素原子の架橋を形成しており、R7とR8の他方は、水素であり;
20は、ハロ、メトキシ及びメチルスルホニルから選択され;
21はハロであり;
pは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1又は2である;
(xv)の化合物。
【0042】
(xviii)Tが
【0043】
【化20】

【0044】
である、(xvii)の化合物。
【0045】
第二の態様において、本発明は、処置有効量の式(I)の化合物及び/若しくは式(II)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩並びに薬学的に許容される賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。
【0046】
第三の態様において、本発明は、式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物の本明細書に開示されている調製方法を提供する。
【0047】
第四の態様において、本発明は、内科的な処置又は診断において使用するための、特に、呼吸器疾患(例えば、喘息)などのCCR−3が介在する疾患の処置において使用するための、式(I)の化合物及び/若しくは式(II)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0048】
第五の態様において、本発明は、CCR−3受容体拮抗薬を投与することにより処置可能な哺乳動物の疾患(例えば、喘息)を処置するのに有用な薬物を製造するための、式(I)の化合物及び/若しくは式(II)の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0049】
特に別途明記されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている下記用語は、以下の意味を有する。
【0050】
「アルキル」は、1〜6個の炭素原子からなる1価の直鎖飽和炭化水素基又は3〜6個の炭素原子からなる1価の分枝鎖飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、ペンチルなどを意味する。「低級アルキル」は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0051】
「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含んでいる、2〜6個の炭素原子からなる1価の直鎖炭化水素基又は3〜6個の炭素原子からなる1価の分枝鎖炭化水素基、例えば、エテニル、プロペニルなどを意味する。
【0052】
用語「アルキル」が「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」においてみられるように、別の用語の後に続く接尾辞として用いられる場合、該用語「アルキル」は、特に名前が挙げられている別の基から選択される少なくとも1つの置換基で置換されている上記で定義したアルキル基を示すことが意図されている。従って、「フェニルアルキル」には、ベンジル及びフェニルエチルが包含される。「ヒドロキシアルキル」には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル及び2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルが包含される。従って、本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシアルキル」は、下記で定義されているヘテロアルキルのサブセットを定義するのに使用される。
【0053】
「アシル」は、基−C(=O)Rを意味し、ここで、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル又はフェニルアルキル(ここで、該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基及びフェニルアルキル基は、本明細書で定義されているとおりである)である。代表的な例としては、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどを挙げることができる、これらに限定されない。
【0054】
「アシルアミノ」は、基−NR’C(=O)Rを意味し、ここで、R’は、水素又はアルキルであり、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル又はフェニルアルキル(ここで、該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基及びフェニルアルキル基は、本明細書で定義されているとおりである)である。代表的な例としては、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルメチルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、ベンジルカルボニルアミノなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0055】
「アルコキシ」は、基−OR[ここで、Rは本明細書において定義されているアルキルである]、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどを意味する。
【0056】
「アルコキシカルボニル」は、基−C(=O)R[ここで、Rは本明細書において定義されているアルコキシである]を意味する。
【0057】
「一置換アミノ」は、基−NHRを意味し、ここで、Rは、好ましくは、本明細書において定義されているアルキル基、シクロアルキル基又はシクロアルキル−アルキル基である。
【0058】
「アルキルアミノ」又は「モノアルキルアミノ」は、基−NHRを意味し、ここで、Rは、本明細書において定義されているアルキル基、シクロアルキル基又はシクロアルキル−アルキル基を意味する。代表的な例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0059】
「アルキレン」は、1〜6個の炭素原子からなる2価の直鎖飽和炭化水素基又は3〜6個の炭素原子からなる1価の分枝鎖飽和炭化水素基、例えば、メチレン、エチレン、2,2−ジメチルエチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレンなどを意味する。
【0060】
「アルケニレン」は、少なくとも1つの二重結合を含んでいる、好ましくは2〜6個の炭素原子からなる2価の直鎖炭化水素基又は好ましくは3〜6個の炭素原子からなる2価の分枝鎖炭化水素基、例えば、エテニレン、2−プロペニレンなどを意味する。
【0061】
「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を含んでいる、2〜6個の炭素原子からなる1価の直鎖炭化水素基又は3〜6個の炭素原子からなる1価の分枝鎖炭化水素基、例えば、エチニル、プロピニルなどを意味する。
【0062】
「アルキルスルホニル」は、基−S(O)2R[ここで、Rは、本明細書において定義されているアルキル基、シクロアルキル基又はシクロアルキル−アルキル基である]、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニルなどを意味する。
【0063】
「アルキルスルフィニル」は、基−S(O)R[ここで、Rは、本明細書において定義されているアルキル基、シクロアルキル基又はシクロアルキル−アルキル基である]、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、シクロヘキシルスルフィニルなどを意味する。
【0064】
「アルキルチオ」は、基−SR[ここで、Rは、上記で定義したアルキルである]、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどを意味する。
【0065】
「アリール」は、好ましくは6〜10個の環原子からなる単環式又は二環式の芳香族炭化水素基を意味し、ここで、該芳香族炭化水素基は、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−SO2NR’R”(ここで、R’及びR”は、独立して、水素又はアルキルである)、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、メルカプト、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−CONR1516、−(アルキレン)−CONR1516、−COOR15、−(アルキレン)−COOR15及び−NR16SO217(ここで、R15及びR16は、各々独立して、水素又はアルキルであり、R17は、アルキル、アミノ、一置換アミノ又は二置換アミノである)からなる群から選択される1以上の置換基、好ましくは、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−SO2NR’R”(ここで、R’及びR”は、独立して、水素又はアルキルである)、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、メルカプト、メチレンジオキシ又はエチレンジオキシからなる群から選択される1以上の置換基(好ましくは、1、2又は3の置換基)で場合により置換されていてもよい。より特定的には、用語アリールには、フェニル、クロロフェニル、フルオロフェニル、メトキシフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル及びそれらの誘導体などが包含されるが、これらに限定されない。
【0066】
「シクロアルキル」は、3〜7個の炭素原子からなる1価の飽和環状炭化水素基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシルなどを意味する。
【0067】
「二置換アミノ」は、基−NRR’を意味し、ここで、R及びR’は、独立して、好ましくは、本明細書において定義されているアルキル基、シクロアルキル基又はシクロアルキルアルキル基を意味する。
【0068】
「ジアルキルアミノ」は、基−NRR’を意味し、ここで、R及びR’は、独立して、本明細書において定義されているアルキル基、シクロアルキル基又はシクロアルキルアルキル基を意味する。代表的な例としては、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ(1−メチルエチル)アミノ、(シクロヘキシル)(メチル)アミノ、(シクロヘキシル)(エチル)アミノ、(シクロヘキシル)(プロピル)アミノ、(シクロヘキシルメチル)(メチル)アミノ、(シクロヘキシルメチル)(エチル)アミノなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0069】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味し、好ましくは、フルオロ及びクロロを意味する。
【0070】
「ハロアルキル」は、同一であるか又は異なっている1以上のハロ原子で置換されているアルキル、例えば、−CH2Cl、−CF3、−CH2CF3、−CH2CCl3などを意味する。
【0071】
「ヘテロアリール」は、N、O又はSから選択される1、2又は3の環ヘテロ原子(残りの環原子はCである)を含んでいる少なくとも1の芳香環を有する5〜12個の環原子からなる単環式基又は二環式基を意味するが、但し、該ヘテロアリール基が、環の1つが炭素環及び/又は非芳香環である二環式系である場合、該ヘテロアリール基に対する結合点は、少なくとも1個のヘテロ原子を含んでいる該芳香環上にある。該ヘテロアリール環は、独立して、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−SO2NR’R”(ここで、R’及びR”は、独立して、水素又はアルキルである)、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、メルカプト、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ又は場合により置換されていてもよいフェニルからなる群から選択される1以上の置換基(好ましくは、1又は2の置換基)で場合により置換されていてもよい。より特定的には、用語ヘテロアリールには、ピリジル、フラニル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、ピロリル、ピラゾリル、ピリミジニル、5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ピリミジン−2−イル、5−(4−メトキシフェニル)−ピリミジン−2−イル、5−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピリミジン−2−イル、ベンゾフラニル、テトラヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル又はベンゾチエニル及びそれらの誘導体などが包含されるが、これらに限定されない。
【0072】
「ヘテロアルキル」は、1、2又は3個の水素原子が、−ORa、−NRbc及び−S(O)nd(ここで、nは、0〜2の整数である)からなる群から独立して選択される置換基で置き換えられている本明細書で定義されているアルキル基(但し、該ヘテロアルキル基の結合点は炭素原子を介している)を意味し、ここで、Raは、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルであり、Rb及びRcは、互いに独立して、水素、アシル、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルであり、また、nが0である場合は、Rdは、水素、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルであり、nが1又は2である場合は、Rdは、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、アシルアミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノである。代表的な例としては、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシメチルエチル、3−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−メチルスルホニルエチル、アミノスルホニルメチル、アミノスルホニルエチル、アミノスルホニルプロピル、メチルアミノスルホニルメチル、メチルアミノスルホニルエチル、メチルアミノスルホニルプロピルなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0073】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環」又は「ヘテロシクロアルキル」は、3〜8個の環原子からなる飽和又は不飽和の非芳香族環式基を意味し、ここで、1個又は2個の環原子は、NRx{ここで、各Rxは、独立して、水素、アルキル、アシル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、(アルキルアミノ)スルホニル、(ジアルキルアミノ)スルホニル、カルバモイル、(アルキルアミノ)カルボニル、(ジアルキルアミノ)カルボニル、(カルバモイル)アルキル、(アルキルアミノ)カルボニルアルキル又はジアルキルアミノカルボニルアルキルである}、O又はS(O)n(ここで、nは、0〜2の整数である)から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は、炭素原子である。該ヘテロシクリル環は、独立して、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ハロ、ニトロ、シアノアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アラルキル、−(X)n−C(=O)R(ここで、Xは、O又はNR’であり、nは0又は1であり、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又は場合により置換されていてもよいフェニルであり、R’は、水素又はアルキルである)、−アルキレン−C(=O)R(ここで、Rは、水素、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又は場合により置換されていてもよいフェニル)又は−S(O)nd(ここで、nは0〜2の整数であり、Rdは、水素(但し、nは0である)、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はヒドロキシアルキルである)から選択される1、2又は3の置換基で場合により置換されていてもよい。より特定的には、用語ヘテロシクリルには、テトラヒドロピラニル、ピペリジノ、N−メチルピペリジン−3−イル、ピペラジノ、N−メチルピロリジン−3−イル、3−ピロリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1,1−ジオキシド、テトラヒドロチオフェニル−S,S−ジオキシド、ピロリニル、イミダゾリニル及びそれらの誘導体などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0074】
「脱離基」は、合成有機化学において慣習的に使用されている意味を有する。即ち、「脱離基」は、求核剤により置き換えられ得る原子又は基を意味し、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ及びヨードなど)、アルカンスルホニルオキシ、アレーンスルホニルオキシ、アルキルカルボニルオキシ(例えば、アセトキシ)、アリールカルボニルオキシ、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、アリールオキシ(例えば、2,4−ジニトロフェノキシ)、メトキシ、N,O−ジメチルヒドロキシルアミノを包含する。
【0075】
「場合により置換されていてもよいフェニル」は、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−SO2NR’R”(ここで、R’及びR”は、独立して、水素又はアルキルである)、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、メルカプト、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、−CONR1516、−(アルキレン)−CONR1516、−COOR15、−(アルキレン)−COOR15及び−NR16SO217(ここで、R15及びR16は、各々独立して、水素又はアルキルであり、R17は、アルキル、アミノ、一置換アミノ又は二置換アミノである)からなる群から選択される1以上の置換基、好ましくは、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アシル、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−SO2NR’R”(ここで、R’及びR”は、独立して、水素又はアルキルである)、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、ヒドロキシ、ハロ、ニトロ、シアノ、メルカプト、メチレンジオキシ又はエチレンジオキシからなる群から選択される1以上の置換基(好ましくは、1、2又は3の置換基)で場合により置換されていてもよいフェニル基を意味する。より特定的には、該用語には、フェニル、クロロフェニル、フルオロフェニル、ブロモフェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、4−ニトロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、2,3−ジクロロフェニル、3−メチル−4−ニトロフェニル、3−クロロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル又は3,4−ジクロロフェニル及びそれらの誘導体などが包含されるが、これらに限定されない。
【0076】
「場合による(optional)」又は「場合により(optionally)」は、その後に記載されている事象又は状況が起こってもよいが、おこる必要はないことを意味し、また、その記載には、その事象又は状況が起こる場合と起こらない場合が包含されることを意味する。例えば、「アルキル基で場合により一置換又は二置換されているアリール基」は、アルキルが存在してもよいが、存在する必要はないことを意味し、また、その記載には、アリール基がアルキル基で一置換又は二置換されている場合と、アリール基がアルキル基で置換されていない場合が包含されることを意味する。
【0077】
「置換されているアルキル」は、上記で定義したアシル、アシルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、ハロアルキル、ハロ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アリール、シクロアルキル、ジアルキルアミノ、ヘテロアリール及び/又はヘテロシクリルからなる群から選択される1以上の置換基、好ましくは、1、2又は3の置換基を有するアルキル基を意味する。
【0078】
上記で定義が与えられている化学的基についての好ましい基は、実施例において具体的に例証されている基である。
【0079】
「薬学的に許容される賦形剤」は、概して安全で、無毒であり、且つ、生物学的にもその他の面においても有害でない、医薬組成物の調製において有用な賦形剤を意味し、獣医学的使用にもヒトにおける医薬的使用にも許容される賦形剤を包含する。本明細書及び特許請求の範囲において使用される「薬学的に許容される賦形剤」は、1種類のそような賦形及び複数種のそのような賦形剤の両方を包含する。
【0080】
ある化合物の「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容され、且つ、親化合物の所望の薬理学的活性を保有している塩を意味する。そのような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸を用いて形成された酸付加塩、又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸を用いて形成された酸付加塩;又は、(2)親化合物内に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン若しくはアルミニウムイオンで置き換えられるか、又は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどの有機塩基と配位結合した場合に形成される塩が包含される。
【0081】
式(I)で表される化合物の「プロドラッグ」は、本明細書においては、該プロドラッグを哺乳動物の対象へ投与した場合に、インビボで式(I)の活性薬物を放出する任意の化合物を意味する。式(I)で表される化合物のプロドラッグは、修飾がインビボで切断されて式(I)の化合物が放出され得るように、式(I)の化合物内に存在する1以上の官能基を修飾することにより調製する。プロドラッグには、式(I)の化合物内のヒドロキシ基、アミノ基又はスルフヒドリル基が、インビボで切断されてそれぞれ遊離のヒドロキシル基、アミノ基又はスルフヒドリル基を再生し得る任意の基と結合している式(I)の化合物が包含される。プロドラッグの例としては、式(I)の化合物内のヒドロキシ官能基のエステル(例えば、酢酸エステル誘導体、ギ酸エステル誘導体及び安息香酸エステル誘導体)、カルバメート(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)などを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0082】
「保護基」は、分子内の反応性基に結合した場合に、その反応性を遮蔽、低減又は阻止する原子の群を意味する。保護基の例は、文献(T.W.Green及びP.G.Wuts,Protective Groups in Organic Chemistry,(Wiley,2nd ed.1991); Harrison及びHarrisonら,Compendium of Synthetic Organic Methods,Vols.1〜8(John Wiley and Sons,1971〜1996)中に見いだすことができる。代表的なアミノ保護基には、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(CBZ)、t−ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリル−エタンスルホニル(SES)、トリチル基及び置換されたトリチル基、アリルオキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)、ニトロ−ベラトリルオキシカルボニル(NVOC)などがある。代表的なヒドロキシ保護基には、ヒドロキシ基がアシル化されているか又はアルキル化されているもの、例えば、ベンジルエーテル及びトリチルエーテル並びにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル及びアリルエーテルなどがある。
【0083】
疾患の「処置(treating)」又は「処置(treatment)」には、以下のことが包含される:(1)疾患を予防すること、即ち、該疾患に接触し得るか又は該疾患に罹患しやすい状態にありえるが、未だその疾患の症状を経験していないか又は示していない哺乳動物において、疾患の臨床的症状を発現させないようにすること;(2)疾患を阻止すること、即ち、該疾患又はその臨床症状の発現を阻止するか又は低減すること;又は(3)疾患を軽減すること、即ち、該疾患又はその臨床症状を緩解させること。
【0084】
「処置有効量(a therapeutically effective amount)」は、ある疾患を処置するために哺乳動物に投与されたときに、その疾患のためのそのような処置を達成するのに十分な化合物の量を意味する。「処置有効量」は、化合物、疾患及びその重症度、並びに処置を受ける哺乳動物の年齢、体重などに応じて変わる。
【0085】
同一の分子式を有するが、それらの原子の結合の種類若しくは順序が異なっているか又はそれらの原子の空間配置が異なっている化合物は、「異性体」と呼ばれる。原子の空間配置が異なる異性体は、「立体異性体」と呼ばれる。互いの鏡像でない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、重なり合わない互いの鏡像であるものは「エナンチオマー」と呼ばれる。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、炭素原子が4個の異なる基と結合している場合、1対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置により特徴付けることができ、Cahn及びPrelogのR/S順位則により記載されるか、又は分子が偏光の面を回す様式により記載され、右旋性もしくは左旋性(即ち、それぞれ、(+)−異性体又は(−)−異性体)と表記される。キラル化合物は、個々のエナンチオマーとして存在し得るか又はそれらの混合物として存在し得る。等しい割合のエナンチオマーを含有している混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0086】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を有し得る。従って、そのような化合物は、個々の(R)−立体異性体若しくは(S)−立体異性体として、又はそれらの混合物として調製し得る。特に別途示されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲における特定の化合物の記載又は命名は、個々のエナンチオマー及びそれらの混合物(ラセミ混合物又はそれ以外の混合物)の両方を包含するものである。立体化学の確認方法及び立体異性体の分離方法は、当技術分野において周知である(「Advanced Organic Chemistry」(第4版,J.March,John Wiley and Sons,New York,1992年)のチャプター4の考察を参照されたい)。
【0087】
好ましい実施形態
上記において本発明の最も広い定義について記述してきたが、式(I)で表される特定の化合物が好ましい。
【0088】
本発明の好ましい化合物は、式(I):
【0089】
【化21】

【0090】
[式中、
Tは、
【0091】
【化22】

【0092】
であり、ここで、R6は、R7とR8の一方と一緒に、1個若しくは2個の橋頭炭素原子の架橋を形成しており、R7とR8の他方は、水素及びR9から選択され;
Ar及びAr1は、いずれもフェニルであり;
Fは結合であり;
Eは、−C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)−、−N(R12)C(=O)CH(R13)−及び−CH(R13)C(=O)N(R12)−から選択され、ここで、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素又はアルキルであるか、又は、R12とR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、場合によりR14から選択される2以下の基で置換されていてもよいヘテロ環若しくはヘテロアリール環を形成していてもよく;
3及びR4は、互いに独立して、水素、アルキル又は置換されているアルキル(さらに好ましくは、場合によりヒドロキシで置換されていてもよい低級アルキル)であり;
5は、水素又はアルキルであり;
Qは、−C(=O)−又はC1〜2アルキレンであり;
9は、環Tの利用可能ないずれかの炭素原子に結合していて、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル若しくはトリフルオロメトキシから選択されるか、又は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル若しくはトリフルオロメトキシの1つで置換されている低級アルキルから選択され;
14は、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシから選択されるか、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル若しくはトリフルオロメトキシの1つで置換されている低級アルキルから選択され;
mは、0又は1であり;
そして、
nは、0〜4である]
で表される化合物並びにそのプロドラッグ、個々の異性体、異性体の混合物及び薬学的に許容される塩である。
【0093】
従って、式(I)の化合物において、Ar及びAr1は、好ましくは、いずれも、フェニルであり、さらに好ましくは、ハロ、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、ニトロ、トリフルオロメチル及びアルキルスルホニルから選択される1、2又は3の基で場合により置換されていてもよいフェニルである。さらに好ましくは、Arは、フェニル、4−クロロフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルスルホニルフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル及び3,4,5−トリメトキシフェニルから選択され、Ar1は、好ましくは、4−クロロフェニル及び3,4−ジクロロフェニルから選択される。Arが3,4,5−トリメトキシフェニルであり且つAr1が4−クロロフェニルである化合物がもっとも好ましい。
【0094】
式(I)の化合物において、Fは、好ましくは、結合であり、QはCH2−である。
【0095】
式(I)の化合物において、Eは、好ましくは、−C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−及び−N(R12)C(=O)CH(R13)−から選択され、ここで、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素又はアルキルであるか、又は、R12とR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、
【0096】
【化23】

【0097】
を形成していてもよく、ここで、R18及びR19は、水素及び低級アルキルから選択される。式(I)の化合物において、好ましくは、Eが
【0098】
【化24】

【0099】
である場合、R18及びR19は、好ましくは、メチルであり、mは、好ましくは、0である。Eが−NHC(=O)NH−である化合物がもっとも好ましい。
【0100】
式(I)の化合物において、好ましくは、Tは、
【0101】
【化25】

【0102】
のうちの1つから選択され、ここで、R9は、環Tの利用可能ないずれかの炭素原子に結合していて、低級アルキル及びヒドロキシから選択され、nは、0〜2である。さらに好ましくは、Tは、
【0103】
【化26】

【0104】
である。
【0105】
式(I)の化合物において、好ましくは、R3は水素であり且つR4は水素又は場合により置換されていてもよい低級アルキルであり、さらに好ましくは、R3は水素であり且つR4は、メチル、エチル、1−メチルエチル、イソプロピル、1−ヒドロキシエチル又は2−ヒドロキシエチルである。さらに好ましい化合物は、R3が水素であり且つR4が1−メチルエチル又は1−ヒドロキシエチルである化合物である。
【0106】
本発明の別の態様では、好ましい化合物は、式(II):
【0107】
【化27】

【0108】
[式中、
Tは、
【0109】
【化28】

【0110】
であり、ここで、R6はR7とR8の一方と一緒に、場合により1若しくは2のCH3で置換されていてもよい1個若しくは2個の橋頭炭素原子の架橋を形成しており、R7とR8の他方は、水素及び低級アルキルから選択され;
Eは、−C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−及び−N(R12)C(=O)CH(R13)−から選択され、ここで、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素若しくは低級アルキルであるか、又は、R12とR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、5員ヘテロ環若しくはヘテロアリール環(ここで、該ヘテロ環若しくはヘテロアリール環は、2個以下のN原子を有し、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから選択される2以下の基で場合により置換されていてもよい)を形成していてもよく;
4は、水素若しくは低級アルキルであるか、又は、で置換されている低級アルキルであり;
20及びR21は、各々独立して、ハロ、OR22及びSO222(ここで、R22は低級アルキルである)から選択され;
mは0又は1であり;
p及びqは、独立して、0、1、2又は3である]
で表される化合物及びその薬学的に許容される塩である。
【0111】
式(II)の化合物において、好ましくは、Eは、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−及び
【0112】
【化29】

【0113】
[ここで、R18及びR19は、各々、水素又は低級アルキルである]
から選択され;好ましくは、R4は、水素、メチル、エチル、1−ヒドロキシエチル又は1−メチルエチルであり;R20は、ハロ、メトキシ及びメチルスルホニルから選択され;R21は、ハロ(さらに好ましくは、クロロ)であり;pは、0、1、2又は3であり;qは、0、1又は2である。
【0114】
さらに好ましくは、式(II)の化合物において、Tは、
【0115】
【化30】

【0116】
である。さらに好ましい化合物は、上記式(II)[式中、E及びTは、上記で直前に定義したとおりであり、R20と各R20が結合しているフェニル基は、一緒に、フェニル、3−メチルスルホニルフェニル、4−メチルフェニル又は3,4,5−トリメトキシフェニルを形成しており、R21と各R21が結合しているフェニル基は、一緒に、4−クロロフェニル又は3,4−ジクロロフェニルを形成している]で表される化合物である。
【0117】
本発明の化合物は、CCR−3受容体拮抗薬であり、RANTES、エオタキシン、MCP−2、MCP−3及びMCP−4などのCCR−3ケモカインによる好酸球動員を阻害する。本発明の化合物及びそれらを含有する組成物は、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、過敏性肺炎、好酸球性肺炎(例えば、慢性好酸球性肺炎)のような呼吸器アレルギー性疾患;炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎);並びに、乾癬及び炎症性皮膚病(例えば、皮膚炎及び湿疹など)を包含する、炎症性又はアレルギー性の疾患のような好酸球により誘導される疾患の処置において有用である。
【0118】
一般に、本発明の化合物は、類似した有用性を示す薬剤について認められている投与方法のいずれかにより、処置有効量で投与し得る。本発明の化合物(即ち、活性成分)の実際の量は、処置する疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康状態、使用する化合物の効力、投与の経路と形態、及び別の要因などの、多くの要因に依存するであろう。
【0119】
式(I)で表される化合物の処置有効量は、1日当たりレシピエントの体重1キログラム当たり、約0.01〜20mgの範囲、好ましくは、約0.1〜10mg/kg/日であり得る。従って、70kgのヒトへ投与する場合、投薬量範囲は、最も好ましくは、1日当たり約7mg〜0.7gであろう。
【0120】
一般に、本発明の化合物は、以下の経路のうちのいずれかによって医薬組成物として投与する:経口投与、経皮投与、吸入投与(例えば、鼻腔内投与又は口腔内吸入投与)、又は、非経口投与(例えば、筋肉内投与、静脈内投与又は皮下投与)。好ましい投与方法は、都合の良い1日当たりの投与計画による経口投与であり、この1日当たりの投与計画は、罹患の程度に応じて調整することが可能である。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固形剤、散剤、徐放性製剤、溶液剤、懸濁液剤、リポソーム剤若しくはエリキシル剤の形態、又は、別の任意の適切な組成物の形態をとり得る。本発明化合物を投与するためのもう一つの好ましい方法は、吸入である。これは、喘息及び別の類似した又は関連した気道障害などの疾患を処置するために、気道に処置剤を直接送達するための有効な手段である(米国特許第5,607,915号を参照されたい)。
【0121】
製剤の選択は、薬物の投与方法及び薬物物質の生物学的利用能などの様々な要因に依存する。吸入を介した送達の場合、該化合物は、液状の溶液若しくは懸濁液、エアロゾル噴霧剤又は乾燥粉末として製剤することが可能であり、投与のための適切なディスペンサーへ充填し得る。医薬的吸入装置には、ネブライザー吸入器、定量噴霧式吸入器(MDI)及び乾燥粉末吸入器(DPI)という3つのタイプの吸入装置がある。ネブライザー装置は、患者の気道へ運搬されるミストとして、処置剤(液状の形態で製剤されているもの)の噴霧を引き起こす高速空気流を生成させる。MDIは、典型的には、圧縮ガスと共に封入された製剤を有する。その装置を作動させると、計量された量の処置剤が圧縮ガスによって排出される。従って、この装置は、一定量の薬剤を投与するための信頼性のある方法を提供する。DPIは、自由流動性粉末(free flowing powder)の形態にある処置剤を投与し、この自由流動性粉末は、呼吸の間に、該装置により患者の吸気気流中に分散し得る。自由流動性の粉末とするために、処置剤は、乳糖のような賦形剤を用いて製剤する。計量した量の処置薬はカプセル形態で保存し、作動させるたびに患者に分配される。最近、表面積を増加させる(即ち、粒子寸法を小さくする)ことにより生物学的利用能を増大させることが可能であるという原理に基づいて、特に、生物学的利用能が不充分な薬物のための医薬製剤が開発された。例えば、米国特許第4,107,288号には、活性物質が巨大分子の架橋されたマトリックス上に支持されている10〜1000nmの寸法範囲の粒子を有する医薬製剤が記載されている。米国特許第5,145,684号には医薬製剤の製造方法が記載されており、該方法では、表面修飾剤の存在下で薬物物質をナノ粒子(平均粒子寸法400nm)へと粉砕した後、液体媒体に分散させて、著しく高い生物学的利用能を示す医薬製剤を得ている。
【0122】
該組成物は、一般に、薬学的に許容される少なくとも1種類の賦形剤と組み合わせた式(I)の化合物から構成される。許容される賦形剤は、無毒であり、投与を補助し、かつ式(I)の化合物の処置的利益に悪影響を及ぼさないものである。そのような賦形剤は、当業者が一般に入手可能な、固形、液状、半固形、又はエアロゾル組成物の場合にはガス状の任意の賦形剤であり得る。
【0123】
固形の製薬用賦形剤としては、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルクなどを挙げることができる。液状及び半固形の賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、並びに、石油、動物、植物又は合成起源のものを包含する様々な油(例えば、ラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマなど)から選択することができる。好ましい液状担体としては、特に注射可能溶液の場合、水、生理食塩水、水性デキストロース及びグリコールなどがある。
【0124】
圧縮ガスを使用して、本発明化合物をエアロゾルの形態で分散させることができる。この目的に適した不活性ガスは、窒素、二酸化炭素などである。
【0125】
非経口又は経口の送達のための薬物のリポソーム製剤の場合には、薬物及び脂質を、適切な有機溶媒(例えば、t−ブタノール、シクロヘキサン(1%エタノール)など)に溶解させる。その溶液を凍結乾燥させ、脂質混合物を水性バッファーに懸濁させ、リポソームを形成させる。必要な場合には、超音波処理によりリポソーム寸法を小さくし得る(以下の文献を参照されたい:Frank Szoka,Jr.及びDemetrios Papahadjopoulos、“Comparative Properties and Methods of Preparation of Lipid Vesicles(Liposomes)”,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.,9:467〜508(1980); D.D.Lasic、“Novel Applications of Liposomes”,Trends in Biotech.,16:467〜608,(1998))。
【0126】
別の適切な製薬用賦形剤及びそれらの製剤化は、文献(Remington's Pharmaceutical Sciences,E.W.Martin編(Mack Publishing Company,第18版,1990年))に記載されている。
【0127】
製剤中の該化合物のレベルは、当業者により利用される全範囲内で変えることができる。典型的には、該製剤は、重量パーセント(重量%)に基づいて、製剤全体に対して約0.01〜99.99重量%の式(I)の化合物を含有する(その残りは、1種類以上の適切な製薬用賦形剤である)。好ましくは、該化合物は、約1〜80重量%のレベルで存在させる。式(I)で表される化合物を含有する代表的な医薬製剤については、下記で記述する。
【0128】
本発明化合物のCCR−3拮抗活性は、下記でさらに詳細に記述してあるリガンド結合アッセイ及び走化性アッセイなどのインビトロアッセイで測定することができる。インビボ活性については、下記でさらに詳細に記述してあるBalb/cマウスモデルでのオボアルブミンにより誘発された喘息でアッセイすることができる。
【0129】
言及を容易にするために、下記スキーム及び実施例において、以下の略語を使用する。
MeOH = メタノール
EtOH = エタノール
EtOAc = 酢酸エチル
HOAc = 酢酸
DCE= 1,2−ジクロロエタン
DMF =ジメチルホルムアミド
PCC = クロロクロム酸ピリジニウム
PDC = 二クロム酸ピリジニウム
TEA又はEt3N = トリエチルアミン
THF = テトラヒドロフラン
TFA = トリフルオロ酢酸
rt. = 室温
【0130】
本発明の化合物は、当業者に既知の多くの方法で調製することができる。好ましい方法としては下記の一般的な合成手順を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0131】
使用する出発材料及び試薬は、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wis.,USA)、Bachem(Torrance,Calif.,USA)、Enika Chemie若しくはSigma(St.Louis,Mo.,USA)、Maybridge(Dist: Ryan Scientific,P.O.Box 6496,Columbia,S.C.92960)などの商業的供給元から入手することができるか、又は、文献(例えば、Fieser及びFieser's Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1〜17(John Wiley and Sons, 1991); Rodd's Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1〜5、及び増補版(Elsevier Science Publishers,1989); Organic Reactions,Volumes 1〜40(John Wiley and Sons, 1991); March's Advanced Organic Chemistry(John Wiley and Sons,1992);及び、Larock's Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc., 1989)など)に記述された手順に従い、当業者に既知の方法により調製する。これらのスキームは単に例証するものである。これらのスキームに対して様々な変更を加えることが可能であり、そのような変更は、本明細書の開示を参照した当業者には明らかである。
【0132】
反応の出発材料及び中間体は、必要に応じて、慣習的な技術(例えば、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどがあるが、これらに限定されない)を用いて単離及び精製することができる。そのような材料については、物理定数及びスペクトルデータなどを包含する慣習的な手段を用いて特徴付けを行うことができる。該スキームにおいて、可変部分E、Q、Ar、Ar1、R4、R20、R21、p及びqなどは、特許請求の範囲において記載されているように定義される。
【0133】
【化31】

【0134】
ステップ(a)
CH2Cl2(97%)中の2−メトキシ−4−ニトロ−安息香酸(1)をBBr3と反応させて、中間体2−ヒドロキシ−4−ニトロ−安息香酸を得る。これを、MeOH(95%)などの溶媒中のSOCl2で処理し、次いで、水素化し、EtOAc(98%)中の10%Pd/Cで処理することにより、4−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(2)が得られる。
【0135】
ステップ(b)
メチルエステル(2)を水素化[例えば、53psi、酢酸中のAl担持5%Rh(70時間)、58℃]することにより、4−アミノ−2−ヒドロキシ−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル(3)が酢酸塩として得られる。
【0136】
ステップ(c)
化合物(3)を昇温条件下(例えば、165℃)でメシチレンと反応させた後、室温まで冷却することにより、5−ヒドロキシ−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(4)が得られる。
【0137】
ステップ(d)
化合物(4)を、窒素下で環流しながら、溶媒(例えば、THF)中のLAHと反応させることにより、2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−5−オール(5)を得ることができる。
【0138】
ステップ(e)
化合物(5)を、適切な溶媒(例えば、MeOH、TEA)中で、(Boc)2O(86%)と混合することにより、N−Bocで保護することができる。N−Bocで保護された化合物(5)を、適切な溶媒(例えば、CH2Cl2(96%)又はDMF)中のPDCで処理することにより、N−Bocで保護された2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−5−オン(6)に変換することができる。
【0139】
ステップ(f)
N−Bocで保護された2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−5−オン(6)を、低温条件下(例えば、0℃)で溶媒(例えば、THF)中の3,4−ジ−ClPhCH2P(O)(OEt)2を添加し、次いで、溶媒(例えば、EtOH:EtOAc又はEtOAc)中、PtO2(88%)の存在下で水素化し、TFA(99%)を添加することにより、適切に置換されている化合物(7)に変換することができる。
【0140】
ステップ(g)
ビシクロ−オクタン(7)を、溶媒(例えば、CH2Cl2(36%)又はDCE)中の適切に置換されているアルデヒド(8)と反応させ、Me4NB(OAc)3H又はNaBH(OAc)3を添加することにより、式(Ia)で表される化合物が得られる。
【0141】
【化32】

【0142】
ステップ(a)
8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オンを、適切な溶媒(例えば、MeOH(88%)又はDCE)中のクロロギ酸1−Cl−エチルで処理した後、(Boc)2O(98%)を添加することにより、化合物(10)を得ることができる。
【0143】
ステップ(b)
化合物(10)を、塩基(例えば、カリウムt−アミレート又はNaH)の存在下、適切なホスホン酸[例えば、Ar1−Q−P(O)(MeO)2]で処理し、次いで、H2下、PtO2の存在下で水素化し、EtOAcで抽出することにより、化合物(11)を得ることができる。
【0144】
ステップ(c)−(d)
化合物(11)を、適切な溶媒(例えば、CH2Cl2)中のTFAで処理し、次いで、CH2Cl2中の(Boc)NHCH(R4)CO2H、EDCI及び/又はHOBTと反応させ、次いで、TFAと反応させ、昇温条件下、BH3−THFと一緒に環流した後、冷却し、HCl(水性)を添加することにより、化合物(13)を得ることができる。
【0145】
ステップ(e)
化合物(13)を、CH2Cl2中の塩化4−トルオイル及びEt3Nで処理するか、又は、適切に置換されているイソシアネートと反応させることにより、式(Ib)の化合物及び/又は式(Ic)の化合物を得ることができる。
【実施例】
【0146】
以下の実施例を用いて本発明について記述する。
【0147】
実施例1
【0148】
【化33】

【0149】
ステップ1
2−メトキシ−4−ニトロ−安息香酸(20g,0.102mol)をCH2Cl2(80mL)に溶解させた溶液に、0℃で、BBr3(1.0M,150mL,1.5当量)を添加した。得られた混合物を室温まで昇温させ、2時間撹拌した。次いで、0℃でMeOHを滴下して加えて反応をクエンチした。揮発性物質を減圧下に除去した。残渣を、6/4/0.3のヘキサン、EtOAc及びHOAcを用いるシリカゲルカラムで精製して、2−ヒドロキシ−4−ニトロ−安息香酸(18g)を得た(M183)。
【0150】
ステップ2
2−ヒドロキシ−4−ニトロ−安息香酸(18g)のMeOH溶液(200mL)に、濃硫酸を添加した。得られた混合物を24時間加熱環流した。室温まで冷却した後、減圧下に揮発性物質を除去した。次いで、残渣を水とEtOAcの間で分配させた。EtOAc層を、水(2×)、NaHCO3(飽和)、NaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中の20%EtOAcを用いるシリカゲルカラムで精製して、2−ヒドロキシ−4−ニトロ−安息香酸メチルエステル(14.5g)を固体として得た(M:197)。
【0151】
ステップ3
2−ヒドロキシ−4−ニトロ−安息香酸メチルエステル(14g)をEtOH(100mL)とTHF(10mL)に溶解させ、水素(1気圧)雰囲気下、PtO2の存在下で、24時間撹拌した。次いで、その反応混合物をセライト床で濾過した。濾液を濃縮して、4−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(12g)を淡黄色の固体として得た。
【0152】
ステップ4
HOAc(200mL)中の4−アミノ−2−ヒドロキシ−安息香酸メチルエステル(10g)を、56psiの圧力下、60℃で42時間水素化した。次いで、揮発性物質を除去した。残渣を、4/1のエーテル/EtOH(50mL)中で撹拌し、沈澱物が形成された。濾過することにより、4−アミノ−2−ヒドロキシ−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル酢酸塩(6.5g)を得た(m.p.125.5〜126.4℃;M:173)。
【0153】
ステップ5
4−アミノ−2−ヒドロキシ−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル酢酸塩(6.6g)を、メシチレン(60mL)中で3時間加熱環流した。室温まで冷却した後、溶媒をデカントし、得られた結晶をヘキサンで3回洗浄して、5−ヒドロキシ−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2.9g)を得た(M:141)。
【0154】
ステップ6
5−ヒドロキシ−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−オン(2.6g,18mmol)を無水THF(60mL)に溶解させた溶液に、LAH(55mL;THF中1.0M)を添加した。この混合物をN2下で24時間還流した後、室温まで冷却し、水(2mL)とそれに続く15%NaOH(2mL)及び水(6mL)でクエンチした。得られた懸濁液を、次いで、MgSO4と一緒に撹拌し、濾過した。濾液をエーテル中のHCl(1.0M)で酸性化した後、濃縮して、2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−5−オール(3.2g)をHCl塩として得た。
【0155】
ステップ7
2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−5−オール(3.2g,0.02mol)を、EtOH(60mL)とTEA(7.6mL;3当量)中のジ−t−ブチルジカルボネート(8.8g,2当量)と混合した。得られた混合物を、N2下、60℃で3時間加熱した。揮発性物質を除去し、残渣をEtOAcと水の間で分配させた。有機層を飽和NaCl(水性)で洗浄し、Na2SO4で脱水して、N−Bocで保護されている2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−5−オール(3g)を得た(M:227)。
【0156】
ステップ8
N−Bocで保護されている2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−5−オール(3.0g,31.4mmol)をDMFに溶解させた溶液に、0℃で、PDC(30g;7当量)を添加した。得られた混合物を6時間撹拌し、セライト床で濾過した。濾液を濃縮し、ヘキサン中の20%EtOAcを用いるシリカゲルカラムで精製して、N−Bocで保護されている2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−5−オン((1.74g)を得た(M:225)。
【0157】
ステップ9
3,4−ジクロロベンジルブロミド(6.0g,25mmol)を撹拌しながら、それに、室温で、亜リン酸トリエチル(4.28mL)を滴下して加えた。1mLの亜リン酸トリエチルを添加した後、得られた混合物を発熱反応が始まるまで80℃に加熱した。残りの亜リン酸エステルは、還流を維持するのに充分な速度で添加した。亜リン酸エステルの添加が完了した後、得られた混合物を1時間加熱還流し、室温まで冷却した。粗生成物を減圧下に155〜158℃/1〜2トールで蒸留して、(3,4−ジクロロ−ベンジル)−ホスホン酸ジエチルエステル(6.5g)を得た。
【0158】
ステップ10
15−クラウン−5(3%)を含んでいるTHF(8mL)中のNaH(53mg,2.1mmol)の懸濁液に、N2下、0℃で、THF(4mL)中のN−Bocで保護されている2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−5−オン(0.45g,2mmol)(ステップ8から得たもの)及び(3,4−ジクロロ−ベンジル)−ホスホン酸ジエチルエステル(0.594,2mmol)(ステップ9から得たもの)を滴下して加えた。水素の発生が観察され、溶液が黄色に変わった。この添加が完了した後、混合物を0℃で1時間撹拌し、室温で2時間撹拌した後、水でクエンチし、EtOAcで抽出した。EtOAc層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮した。ヘキサン中の20%EtOAcを用いるシリカゲルカラムで精製して、5−(3,4−ジクロロベンジリデン)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸t−ブチルエステル(0.45g)を得た(M:367)。
【0159】
ステップ11
5−(3,4−ジクロロ−ベンジリデン)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸t−ブチルエステル(0.45g)を、1気圧のH2下で、1:1のEtOH:EtOAc(20mL)中、PtO2の存在下で20分間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、濃縮して、5−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸t−ブチルエステル(0.4g)を得た(M:369)。
【0160】
ステップ12
5−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸t−ブチルエステル(0.24g,0.65mmol)をCH2Cl2(2mL)に溶解させた溶液に、TFA(1mL)を添加した。この混合物を室温で1時間撹拌した後、NaHCO3(飽和)でクエンチした。それを、次いで、CH2Cl2で抽出し、有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮して、5−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(170mg)を得た(M+1:270)。
【0161】
ステップ13
バリノール(DL,5.0g,0.048mol)をCH2Cl2(200mL)に溶解させた溶液に、Et3N(18.4mL,3当量)の存在下、0℃で、CH2Cl2(50mL)中の4−メチル−ベンゾイルクロリド(7.1mL,1.1当量)を滴下して加えた。添加が完了した後、この混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、水でクエンチした。有機層をCH2Cl2で抽出し、NaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮した。2/2/6のアセトン/CH2Cl2/ヘキサンを用いるカラム精製に付して、N−(1−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピル)−4−メチル−ベンズアミド(7.8g;白色の固体)を得た(M:221)。
【0162】
ステップ14
CH2Cl2(20mL)中のPCCの懸濁液に、CH2Cl2(15mL)中のN−(1−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピル)−4−メチル−ベンズアミド(2.2g,10mmol)を添加した。この混合物を1.5時間撹拌した後、Et2Oで希釈し、セライト床で濾過した。濾液を濃縮し、残渣をヘキサン中の20%EtOAcを用いるシリカゲルカラムで精製して、N−(1−ホルミル−2−メチル−プロピル)−4−メチル−ベンズアミド(0.75g)を白色の固体として得た(M+1:220)。
【0163】
ステップ15
N−(1−ホルミル−2−メチル−プロピル)−4−メチル−ベンズアミド(0.083g,1.2当量)及び5−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(0.085g,0.32mmol)をCH2Cl2(2mL)に溶解させた溶液に、室温で、NaBH(OAc)3(96mg,1.1当量)を添加した。得られた混合物を16時間撹拌した後、NaHCO3(飽和)でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮した。CH2Cl2中の5%MeOHを用いる分取TLCに付し、CH2Cl2及びヘキサンから再結晶させて、実施例1(50mg)を得た(M+1:473)。
【0164】
実施例2
4−[5−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクト−2−イルメチル]−1,5−ジメチル−2−フェニル−1,2−ジヒドロ−ピラゾール−3−オン
【0165】
【化34】

【0166】
5−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(0.05g,0.35mmol)をDCE(2mL)に溶解させた溶液に、1,5−ジメチル−3−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルバルデヒド(90mg,1.2当量)を添加し、得られた混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、NaBH(OAc)3(0.11g,1.5当量)を添加し、その混合物を室温で一晩撹拌した後、NaHCO3(飽和)を加え、EtOAcで抽出した。EtOAc層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮した。CH2Cl2中の10%(MeOH中の10%NH4OH)を用いる分取TLCに付して、実施例2(82mg)を得た(M+1:470)。
【0167】
実施例3
N−{1−[3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イルメチル]−2−メチル−プロピル}−4−メチル−ベンズアミド
【0168】
【化35】

【0169】
ステップ1
8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オン(6.8g,0.05mol)をDCE(80mL)に溶解させた溶液に、0℃で、クロロギ酸1−クロロエチル(8mL,1.5当量)を滴下して加えた。添加が完了した後、反応混合物を室温まで昇温させ、次いで、3時間加熱還流した。揮発性物質を除去した後、固体残渣をMeOH(100mL)に溶解させ、次いで、45分間加熱還流した。再度、減圧下に揮発性物質を除去し、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オン塩酸塩をMeOH/Et2Oから固体生成物として再結晶させた(収率58%)(4.58g)。
【0170】
ステップ2
8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オン塩酸塩(4.5g,0.028mol)をEtOH(100mL)に溶解させた溶液に、炭酸ジ−t−ブチルエステル(12g,2当量)及びTEA(11mL)を添加した。得られた混合物を60℃で3時間加熱した。揮発性物質を除去し、残渣をEtOAcと水の間で分配させた。EtOAc層を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮した。ヘキサン中の20%EtOAcを用いるシリカゲルカラム精製に付して、3−オキソ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステル(6.25g)を得た。
【0171】
ステップ3
THF(32mL)中のNaH(0.24g,1.2当量)及び15−クラウン−5(88mg,5%)の懸濁液に、0℃で、3−オキソ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステル(1.8g,8mmol)及び(3,4−ジクロロ−ベンジル)−ホスホン酸ジエチルエステル(2.6g,8.8mmol)をTHF(16mL)に溶解させた溶液を添加した。得られた混合物を0℃で1時間撹拌し、室温で5時間撹拌し、次いで、H2Oでクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、NaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水した。ヘキサン中の20%EtOAcを用いるカラム精製に付して、出発物質(3−オキソ−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステル)(1.2g)と所望の生成物(3−(3,4−ジクロロ−ベンジリデン)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステル(1g)を得た(M+1:368)。
【0172】
ステップ4
EtOH(10mL)とEtOAc(10mL)中の3−(3,4−ジクロロ−ベンジリデン)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステル(1.0g,2.7mmol)を、PtO2(25mg)と一緒に、H2(1気圧)下、室温で3時間撹拌した後、セライト床で濾過した。濾液を濃縮し、残渣を、シリカゲルカラムで精製して、3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステル(0.84g)を得た(M+1:370)。
【0173】
ステップ5
3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステル(0.35g,0.94mmol)を、TFA(0.5mL)を含んでいるCH2Cl2(2mL)中で、室温で3時間撹拌した。その混合物を、20%NaOHでクエンチして塩基性とした後、EtOAcで抽出した。有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮して、3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(0.25g)を得た。
【0174】
ステップ6
N−(1−ホルミル−2−メチル−プロピル)−4−メチル−ベンズアミド(0.11g,0.44mmol)(実施例1のステップ13及びステップ14に準じて調製したもの)と3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(0.11g,0.4mmol)をCH2Cl2(2mL)に溶解させた溶液に、室温で、NaBH(OAc)3を添加した。得られた混合物を12時間撹拌した後、NaHCO3(飽和)でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮した。CH2Cl2中の5%(MeOH中の10%NH4OH)を用いる分取TLCに付し、HClで酸性化して、実施例3(125mg)を得た(m.p.230〜235℃;M+1:473)。
【0175】
実施例4
(R)−1−{2−[4−(4−クロロ−ベンジル)−2−エチル−6−メチル−ピペリジン−1−イル]−1−メチル−エチル}−3−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−尿素
【0176】
【化36】

【0177】
ステップ1
亜リン酸トリメチル(0.57mL,4.9mmol)の溶液を撹拌しながら、それに、室温で、4−クロロベンジルブロミド(1.0g,4.9mmol)を添加した。得られた混合物を室温で5分間撹拌し、次いで、80℃の油浴中で20分間加熱し、室温まで冷却した。生成物をヘキサン中の25%EtOAcを用いるシリカゲルカラムで精製して、(4−クロロ−ベンジル)−ホスホン酸ジメチルエステル(1.05g)(93%)を得た。
【0178】
ステップ2
(4−クロロ−ベンジル)−ホスホン酸ジメチルエステルを(3,4−ジクロロ−ベンジル)−ホスホン酸ジエチルエステルに代えた以外は、実施例3のステップ3に記載されている手順に準じて、3−(4−クロロ−ベンジリデン)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステルを調製した。3−(4−クロロ−ベンジリデン)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステルを、EtOH中のPtO2の存在下、大気水素下で水素化して、3−(4−クロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステルを65%の収率で得た(M:335)。
【0179】
ステップ3
TFA(10mL)を含んでいるCH2Cl2(10mL)中で、3−(4−クロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−カルボン酸t−ブチルエステル(0.88g,2.6mmol)を、室温で45分間撹拌した。それを20%NaOHでクエンチして塩基性とした後、その混合物をEtOAcで抽出した。有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水し、濃縮して、3−(4−ジクロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(0.52g)(85%)を得た。
【0180】
ステップ4
CH2Cl2中の3−(4−ジクロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンと(D)−2−t−ブトキシカルボニルアミノ−プロピオン酸とHOBTとEDCIの混合物を室温で一晩撹拌した後、Na2CO3(飽和)でクエンチし、CH2Cl2で抽出した。有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水した。粗生成物({2−[3−(4−クロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−メチル−2−オキソ−エチル}カルバミン酸t−ブチルエステル)を、CH2Cl2中の25%アセトンを用いるシリカゲルカラムで精製した後、CH2Cl2中のTFAと、室温で2時間反応させた。上記ステップ3で記載した後処理手順により所望の生成物を得た。その生成物をTHFに溶解させ、BH3−THFと一緒に4時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応フラスコをさらに0℃まで冷却し、6NのHClを添加した。得られた混合物を再度1時間加熱還流し、室温まで冷却し、Na2CO3(飽和)でクエンチした。その混合物をEtOAcで抽出し、有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水した。粗生成物を、ヘキサン中の40%EtOAcと、それに続き、EtOAc中の1%iPr−NH2、9%MeOHを用いるシリカゲルで精製して、2−[3−(4−クロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−メチル−エチルアミンを55%の収率で得た。
【0181】
ステップ5
2−[3−(4−クロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−メチル−エチルアミンをCH2Cl2に溶解させた溶液に、−78℃で、3,4,5−トリメトキシフェニルイソシアネートを添加した。添加が完了した後、室温まで昇温させ、4時間撹拌し、次いで、CH2Cl2で希釈した。有機層をNaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水した。粗生成物を、EtOAc中の3%(MeOH中の10%iPr−NH2)を用いるシリカゲルカラムで精製して、実施例4(55%)を得た(m.p.115〜120℃,M:502)。
【0182】
実施例5
1−{2−[4−(4−クロロ−ベンジル)−2−エチル−6−メチル−ピペリジン−1−イル]−1−メチル−エチル}−3−(3−メタンスルホニルフェニル)尿素
【0183】
【化37】

【0184】
トリホスゲン(0.22g,0.33当量)をCH2Cl2に溶解させた溶液に、3−メタンスルホニル−フェニルアミン塩酸塩(0.5g,2.4mmol)を添加した後、TEA(0.37mL,1.1当量)を滴下して加えた。この混合物を40℃に30分間加熱し、室温まで冷却し、さらに45分間撹拌した。次いで、そのイソシアネート溶液を、2−[3−(4−クロロ−ベンジル)−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−メチル−エチルアミン(0.18g,0.6mmol)(実施例4のステップ1〜ステップ4で記述した手順に準じて調製したもの)をCH2Cl2(6mL)に溶解させた溶液に添加した。この混合物を室温で一晩撹拌し、CH2Cl2で希釈した。有機層をNa2CO3(飽和)で2回洗浄し、NaCl(飽和)で洗浄し、Na2SO4で脱水した。得られた粗混合物を、EtOAc中の1%iPrNH2、9%MeOHを用いるシリカゲルカラムで精製して、実施例5(55%)を得た(M:490)。
【0185】
実施例6〜実施例10
下記表1に記載されている化合物は、実施例1〜実施例5に関して上記で記載した方法と同様の方法又は類似した方法に従って調製した。
【0186】
【表1】



【0187】
実施例11:製剤実施例
以下は、式(I)で表される化合物を含有する代表的な医薬製剤である。
【0188】
錠剤製剤
以下の成分を充分に混合し、一本の分割線が入っている錠剤へと圧縮する。
【0189】
【表2】

【0190】
カプセル製剤
以下の成分を充分に混合し、硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0191】
【表3】

【0192】
懸濁液製剤
以下の成分を混合して、経口投与用の懸濁液を形成させる。
【0193】
【表4】

【0194】
注射用製剤
以下の成分を混合して、注射用製剤を形成させる。
【0195】
【表5】

【0196】
リポソーム製剤
以下の成分を混合して、リポソーム製剤を形成させる。
【0197】
【表6】

【0198】
実施例12:CCR−3受容体結合アッセイ−−インビトロ
125IエオタキシンがCCR−3L1.2トランスフェクタント細胞に結合するのを阻害する能力により、本発明化合物のCCR−3拮抗活性を決定した(以下の文献を参照されたい:Ponath,P.D.ら、J.Exp.Med.,Vol.183,2437〜2448,(1996))。
【0199】
このアッセイは、Costar96ウェルポリプロピレン丸底プレートで実施した。被験化合物をDMSOに溶解させ、次いで、最終DMSO濃度が2%となるように、結合バッファー(50mM HEPES,1mM CaCl2,5mM MgCl2,0.5%ウシ血清アルブミン(BSA),0.02%アジ化ナトリウム,pH7.24)で希釈した。被験溶液又はDMSOを含むバッファーのみ(対照試料)25μLを各ウェルに添加し、続いて125I−エオタキシン(100pmol)(NEX314,New England Nuclear,Boston,Mass.)25μL及びCCR−3L1.2トランスフェクト細胞1.5×105個を含む結合バッファー25μLを添加した。最終反応容積は75μLであった。
【0200】
反応混合物を室温で1時間インキュベートした後、反応混合物をポリエチレンイミンで処理されたPackard Unifilter GF/Cフィルタープレート(Packard,Chicago,Ill.)で濾過することにより反応を停止させた。そのフィルターを、10mmのHEPES及び0.5Mの塩化ナトリウムを含有している氷冷洗浄バッファー(pH7.2)で4回洗浄し、65℃で約10分間乾燥させた。25μL/ウェルのMicroscint−20(登録商標)シンチレーション液(Packard)を添加し、フィルター上に保持された放射能をPackard TopCount(登録商標)を用いて測定した。
【0201】
本発明化合物は、このアッセイにおいて活性であった。本明細書の実施例に挙げられている特定化合物について、この結合アッセイで得られた代表的なIC50値(nM)を下記表2に示す。
【0202】
【表7】

【0203】
実施例13:エオタキシンが介在するCCR−3L1.2トランスフェクタント細胞の走化性の阻害−−インビトロアッセイ
本発明化合物のCCR−3拮抗活性は、文献(Ponath,P.D.ら、J.Clin.Invest.97:604〜612(1996))に記載されている方法をわずかに変更して、エオタキシンが介在するCCR−3L1.2トランスフェクタント細胞の走化性の阻害を測定することにより決定し得る。このアッセイは、24ウェル走化性プレート(Costar Corp.,Cambridge,Mass.)で実施した。CCR−3L1.2トランスフェクタント細胞を、RPMI1640、10%Hyclone(登録商標)ウシ胎仔血清、55mM 2−メルカプトエタノール及びGeneticin418(0.8mg/mL)を含んでいる培養培地中で増殖させた。アッセイの18〜24時間前に、トランスフェクト細胞を、最終濃度5mM/1×106細胞/mLのn−酪酸で処理し、単離し、等量のRPMI1640及びMedium199(M199)を0.5%ウシ血清アルブミンと共に含有しているアッセイ培地に1×107細胞/mLで再懸濁させた。
【0204】
リン酸緩衝生理食塩水に1mg/mLで懸濁させたヒトエオタキシンを、最終濃度100nMで下部チャンバーに添加した。3ミクロンの孔サイズを有するトランスウェルカルチャーインサート(Costar Corp.,Cambridge,Mass.)を各ウェルに挿入し、L1.2細胞(1×106個)を、最終容積100μLで上部チャンバーに添加した。被験化合物を含むDMSOを、最終DMSO容積が0.5%となるよう、上部チャンバー及び下部チャンバーの両方に添加した。アッセイは、2セットの対照に対して実施した。陽性対照は、上部チャンバーに被験化合物なしに細胞を含有し、下部チャンバーにエオタキシンのみを含有していた。陰性対照は、上部チャンバーに被験化合物なしに細胞を含有し、下部チャンバーにはエオタキシンも被験化合物も含有していなかった。プレートを37℃でインキュベートした。4時間後、インサートをチャンバーから除去し、下部チャンバーから1.2mL Clusterチューブ(Costar)へと細胞懸濁液500μLをピペットで取り出し、それらをFACSで30秒間カウントすることにより、下部チャンバーへ移動した細胞を計数した。
【0205】
実施例14:エオタキシンが介在するヒト好酸球の走化性の阻害−−インビトロアッセイ
エオタキシンが介在するヒト好酸球の走化性を阻害する本発明化合物の能力は、文献(Carr,M.W.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:3652〜3656(1994))に記載されている手順をわずかに変更して評価することができる。実験は、24ウェル走化性プレート(Costar Corp.,Cambridge,Mass.)を使用して実施した。PCT出願公開第WO96/22371号に記載されている手順を使用して、血液から好酸球を単離した。使用した内皮細胞は、European Collection of Animal Cell Cultures (Porton Down,Salisbury,U.K.)から入手した内皮細胞系ECV304であった。内皮細胞を、3.0μMの孔サイズを有する直径6.5mmのBiocoat(登録商標)トランスウェル組織培養インサート(Costar Corp.,Cambridge,Mass.)で培養した。ECV304細胞用の培養培地は、M199、10%ウシ胎仔血清、L−グルタミン及び抗生物質からなる。アッセイ培地は、等量のRPMI1640及びM199と0.5%BSAとからなる。アッセイの24時間前に、ECV304細胞2×105個を24ウェル走化性プレートの各インサートに播き、37℃でインキュベートした。アッセイ培地で希釈した20nMのエオタキシンを下部チャンバーに添加した。下部チャンバー内の最終容積は600μLであった。内皮でコーティングされた組織培養インサートを各ウェルに挿入した。アッセイバッファー100μLに懸濁した内皮細胞106個を、上部チャンバーに添加した。DMSOに溶解させた被験化合物を、各ウェル内の最終DMSO容積が0.5%となるよう、上部チャンバー及び下部チャンバーの両方に添加した。アッセイは、2セットの対照に対して実施した。陽性対照は、上部チャンバーに細胞を含有し、下部チャンバーにエオタキシンを含有していた。陰性対照は、上部チャンバーに細胞を含有し、下部チャンバーにはアッセイバッファーのみを含有していた。プレートを、5%CO2/95%空気中、37℃で1〜1.5時間インキュベートした。
【0206】
フローサイトメトリーを使用して、下部チャンバーへ移動した細胞を計数した。下部チャンバーからチューブへと細胞懸濁液500μLを移し、設定された30秒という時間、イベントを獲得することにより相対細胞数を得た。
【0207】
実施例15:オボアルブミンで感作されたBalb/cマウスの肺への好酸球流入のCCR−3拮抗薬による阻害−−インビボアッセイ
肺への白血球浸潤を阻害する本発明化合物の能力は、エアロゾルによる抗原チャレンジ後のオボアルブミン(OA)感作balb/cマウスの気管支肺胞洗浄(BAL)液中への好酸球蓄積の阻害を測定することにより決定し得る。簡単に説明すると、1日目及び14日目に、体重20〜25gの雄balb/cマウスをOA(水酸化アルミニウム溶液0.2mL中10μg)で腹腔内感作させた。1週間後、マウスを10の群に分けた。被験化合物又はビヒクルのみ(対照群)又は抗エオタキシン抗体(陽性対照群)を、腹腔内又は皮下又は経口のいずれかで投与した。1時間後、マウスをPlexiglassボックスに置き、PARISTARTMネブライザー(PARI, Richmond, Va.)で発生させたOAエアロゾルに20分間接触させた。未感作又は未チャレンジのマウスを陰性対照として含ませた。24時間後又は72時間後、マウスを麻酔し(ウレタン,約1g/kg,i.p.)、気管カニューレ(PE60チューブ)を挿入し、PBS(0.3mL)で肺を4回洗浄した。BAL液をプラスチックチューブに移し、氷上で維持した。該BAL液の20μLアリコート中の全白血球を、Coulter CounterTM(Coulter, Miami, Fla.)により決定した。改変Wright染色(DiffQuickTM)で染色したCytospinTM調製物に対して、標準的な形態学的基準を使用して、光学的顕微鏡検査により、種類別白血球計数を行った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】


[式中、
Tは、
【化2】


であり、ここで、R6は、R7とR8の一方と一緒に、1個若しくは2個の橋頭炭素原子の架橋を形成しており、R7とR8の他方は、水素及びR9から選択され;
Ar及びAr1は、互いに独立して、アリール又はヘテロアリールであり;
Fは、アルキレン、アルケニレン又は結合であり;
Eは、−C(=O)N(R10)−、−SO2N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−、−N(R11)SO2N(R10)−、−N(R11)C(=S)N(R10)−、−N(R11)C(=O)−、−N(R11)SO2−、−N(R12)C(=O)CH(R13)−及び−CH(R13)C(=O)N(R12)−から選択され、ここで、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素、アルキル、アシル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルキル若しくは−(アルキレン)−C(=O)−Z(ここで、Zは、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ又はヘテロアラルキルオキシである)であるか、又は、R12とR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、場合によりR14から選択される2以下の基で置換されていてもよいヘテロ環若しくはヘテロアリール環を形成していてもよく;
3及びR4は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアルキル、−(アルキレン)−C(=O)−Z1又は−(アルキレン)−C(O)21であり、ここで、Z1は、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、又はヘテロアラルキルオキシであり;
5は、水素又はアルキルであり;
Qは、−C(=O)−又はC1〜2アルキレンであり;
9は、環Tの利用可能ないずれかの炭素原子に結合していて、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル若しくはトリフルオロメトキシ、又は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル若しくはトリフルオロメトキシの1つで置換されている低級アルキルから選択され;
14は、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシ、又はヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル若しくはトリフルオロメトキシの1つで置換されている低級アルキルから選択され;
mは、0又は1であり;
そして、
nは、0〜4である]
で表される化合物並びにそのプロドラッグ、個々の異性体、異性体の混合物及び薬学的に許容される塩。
【請求項2】
Ar及びAr1が、いずれもフェニルであり;
Fが、結合であり;
Eが、−C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)−、−N(R12)C(=O)CH(R13)−及びCH(R13)C(=O)N(R12)−から選択され、ここで、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素若しくはアルキルであるか、又は、R12とR13が、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、場合によりR14から選択される2以下の基で置換されていてもよいヘテロ環若しくはヘテロアリールを形成していてもよく;
3及びR4が、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル又は−(アルキレン)−C(=O)−Z1であり、ここで、Z1は、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、ヒドロキシ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ又はヘテロアラルキルオキシであり;
Qが、−CH2−であり;
9及びR14が、独立して、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり;
そして、
nが、0〜2である;
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Tが、
【化3】


から選択され;
そして、
9が、環Tの利用可能ないずれかの炭素原子に結合していて、低級アルキル及びヒドロキシから選択され;
そして、
nが、0〜2である;
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Arが、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、−COR15、−SO217、メチレンジオキシ、ヒドロキシ、ハロ、アシルアミノ、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、−CONR1516、−(アルキレン)−CONR1516、−COOR15、−(アルキレン)−COOR15及び/又は−NR16SO217から選択される1、2又は3の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル環であり;
15及びR16が、各々独立して、水素又はアルキルであり;
そして、
17が、アルキル、アミノ、一置換アミノ又は二置換アミノである;
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Arが、フェニル、4−クロロフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルスルホニルフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル及び3,4,5−トリメトキシフェニルから選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Fが結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Eが、−C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−又はN(R12)C(=O)CH(R13)−であり、ここで、R10及びR11は水素又は低級アルキルであり、そして、R12及びR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、
【化4】


[式中、R18及びR19は、水素及び低級アルキルから選択される]を形成している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
Eが
【化5】


であり;
そして、
mが0である;
請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
3が水素であり;
そして、
4が、水素、メチル、エチル、1−メチルエチル、イソプロピル、1−ヒドロキシエチル又は2−ヒドロキシエチルである;
請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
3が水素であり;及び、R4が1−メチルエチルである;
請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Tが、
【化6】


である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Qが−CH2−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Ar1が、アルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、ハロ、トリフルオロメチル、ニトロ、一置換アミノ又は二置換アミノから選択される1、2又は3の置換基で場合により置換されていてもよいフェニル環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Ar1が4−クロロフェニル又は3,4−ジクロロフェニルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式(II):
【化7】


[式中、
Tは、
【化8】


であり、ここで、R6はR7とR8の一方と一緒に、場合により1若しくは2のCH3で置換されていてもよい1個若しくは2個の橋頭炭素原子の架橋を形成しており、R7とR8の他方は、水素及び低級アルキルから選択され;
Eは、−C(=O)N(R10)−、−N(R11)C(=O)N(R10)−及び−N(R12)C(=O)CH(R13)−から選択され、ここで、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立して、水素若しくは低級アルキルであるか、又は、R12とR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、5員ヘテロ環若しくはヘテロアリール環(ここで、該ヘテロ環若しくはヘテロアリール環は、2個以下の窒素原子を有し、低級アルキル、ヒドロキシ、メトキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから選択される2以下の基で場合により置換されていてもよい)を形成していてもよく;
4は、水素、低級アルキル、又は、ヒドロキシで置換されている低級アルキルであり;
20及びR21は、各々独立して、ハロ、OR22及びSO222から選択され、ここで、R22は低級アルキルであり;
mは、0又は1であり;
p及びqは、独立して、0、1、2又は3である]
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
10、R11、R12及びR13が、互いに独立して、水素若しくは低級アルキルであるか、又は、R12とR13は、それぞれ、それらが結合している窒素原子及び炭素原子と一緒に、5員ヘテロ環若しくはヘテロアリール環(ここで、該ヘテロ環若しくはヘテロアリール環は、2個以下の窒素原子を有し、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル及びトリフルオロメトキシから選択される2以下の基で場合により置換されていてもよい)を形成していてもよい、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Eが、−C(=O)NH−、−NHC(=O)NH−及び
【化9】


から選択され、ここで、R18及びR19は、各々、水素又は低級アルキルであり;
4は、水素、メチル、エチル、1−ヒドロキシエチル又は1−メチルエチルであり;
6は、R7とR8の一方と一緒に、2個の橋頭炭素原子の架橋を形成しており、R7とR8の他方は、水素であり;
20は、ハロ、メトキシ及びメチルスルホニルから選択され;
21はハロであり;
pは、0、1、2又は3であり;
qは、0、1又は2である;
請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
Tが
【化10】


である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
処置有効量の請求項1〜18に記載の化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含有している医薬組成物。
【請求項20】
医薬として使用するための請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
CCR−3受容体拮抗薬により処置可能な疾患を処置するための請求項1〜18のいずれか1項に記載の1種以上の化合物を含有している医薬を製造するための、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
前記疾患が喘息である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
本明細書で記述した発明、特に、新規な化合物、中間体、医薬、使用及び調製方法に関連して本明細書で記述した発明。

【公表番号】特表2006−515340(P2006−515340A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500035(P2006−500035)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001588
【国際公開番号】WO2004/076448
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】