説明

CDMAシステム関連アプリケーションのための順方向ACK/NACKチャネル

基地局が、移動局からデータ・フレームを受信し、移動局からのデータ・フレームの受信に応答して、物理レイヤ無線チャネルを選択的にゲーティングして、ACK指示及びNACK指示を提供する。物理レイヤ無線チャネルは、オンにゲーティングされてACK指示とNACK指示の1つを移動局に提供し、オフにゲーティングされてACK指示とNACK指示の他方を移動局に提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35U.S.C.§119(e)の下で、次の仮出願、2003年6月18日に出願した特許出願第60/479,552号からの優先権を主張する。この出願は、参照により、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、無線通信システムにおける自動繰り返し要求に関し、より詳細には、逆方向パケット・データ・チャネル上で伝送されたデータ・フレームに応答してACK/NACK指示を伝送するための順方向ACKチャネルに関する。
【背景技術】
【0003】
通信システムの目的は、通信チャネルを介して情報ソースから宛先に情報を伝送することである。無線通信システムでは、雑音及びマルチパス・フェージングにより、伝送中、ビット誤りが生じさせられる。多数の誤り制御技術が、干渉を抑制しようとし、ビット誤りを減らすのに使用される。ほとんどの誤り制御技術は、伝送中に生じることが可能なビット誤りを検出し、場合により、訂正するのに、宛先において使用されることが可能な制御された冗長性を、通信チャネルを介して伝送される情報の中に導入する。2つの一般的に使用される誤り制御技術は、自動繰り返し要求(ARQ)及び順方向誤り訂正(FEC)である。
【0004】
ARQの基礎となる基本原理は、受信機において誤りの検出を可能にする冗長ビット又は検査ビットをメッセージに追加することである。受信機が、受信されたメッセージの中で誤りを検出した場合、受信機は、メッセージの繰り返し伝送を要求することができる。再伝送は、通常、最初の伝送と同一のデータ伝送速度である。再伝送の回数は、所定の最大回数に制限することができる。ARQは、単純であり、誤り率が低い場合、適度なスループットを実現する。しかし、誤り率が高くなると、データを再送信する必要性のため、スループットは、減少する。
【0005】
FECは、情報が伝送される前に、情報に冗長性を追加することによって誤りを抑制する誤り訂正符号を使用する。追加された冗長性は、受信機が、伝送中に生じるほとんどの誤りを検出し、訂正することを可能にする。誤り訂正符号の認識する受信機は、ほとんどのビット誤りを検出し、訂正することができる。FEC符号の例には、ブロック符号、畳み込み符号、及びターボ符号が含まれる。
【0006】
ハイブリッドARQ(HARQ)は、ARQとFECを組み合わせる別の制御技術である。HARQは、リンク適応誤りに対する堅牢性を更に高めるために、高速パケット・データ(HSPD)チャネルに関して採用されている。HARQを使用すると、メッセージは、内部符号及び外部符号を使用して、2回、符号化される。内部符号は、例えば、伝送に先立って情報ビットに付加されて、保護されたメッセージを形成する巡回冗長検査(CRC)符号を含む。保護されたメッセージは、次に、FECを使用して、例えば、畳み込み符号、又はFECに関連するターボ符号を使用して、符号化される。情報ビットとCRCビットがともに符号化される。符号化されたメッセージは、次に、そのメッセージを復号化し、CRC検査を実行する受信側端末装置に伝送される。メッセージの中の誤りの数が、誤り訂正符号の能力の範囲内にある場合、誤りは、再伝送の必要なしに訂正される。メッセージの中の誤りの数が、誤り訂正符号の能力を超えた場合にだけ、再伝送が要求される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ARQ又はHARQが逆方向リンク・チャネル上で使用される場合、基地局から移動端末装置にACK/NACK指示を伝送する何らかの方法が存在する必要がある。従来では、ACK/NACK指示は、2値位相シフト・キーイング(BPSK)を使用して伝送される。BPSKを使用して、逆方向リンク・チャネル上の移動局伝送において、信号の位相が、ACK又はNACKに対して変化させられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、無線通信システムにおける自動繰り返し要求の方法に関する。無線基地局が、逆方向パケット・データ・チャネル上で伝送を行う移動局からデータ・フレームを受信する。そのデータ・フレームの受信応答(acknowledgement)が、ACKサブチャネルを介して送信される。ACKサブチャネルは、時間多重化され、複数のタイム・スロットを含む。各移動局には、ACKサブチャネル上で1つ又は複数のタイム・スロットが割り当てられる。無線基地局は、データ・フレームが適切に復号化された場合、ACKサブチャネルの対応するタイム・スロットの中で信号を送信することにより、データ・フレームの受信に対して応答する。データ・フレームが、適切に復号化されない、又はそうすることが可能でない場合、基地局は、移動局に対して割り当てられたタイム・スロットの中で伝送を行わない。このため、肯定応答は、割り当てられたタイム・スロットの中で、所定の閾値を超えたエネルギーが存在することによって示され、否定応答は、所定の閾値を下回るエネルギーによって示される。応答(acknowledgement)は、所定の回数、繰り返されて、間違った応答の数を減らすことが可能である。
【実施例】
【0009】
図面を参照すると、図1は、本発明を実施することができる典型的な無線通信ネットワーク10を示す。ネットワーク10は、任意のパケット交換通信ネットワークであることが可能であり、例えば、IS−2000/2001系の標準に準拠するcdma2000無線ネットワークであることが可能である。ただし、無線通信ネットワークは、例えば、広帯域CDMA(WCDMA)などの、他の標準に準拠して構成してもよいことが当業者には認識されよう。
【0010】
ネットワーク10は、パケット交換コア・ネットワーク(PSCN)20及び無線アクセス・ネットワーク(RAN)30を含む。PSCN20は、パケット・データ・サービング・ノード(PDSN)を含み、インターネットなどの、1つ又は複数の公共データ・ネットワーク(PDN)50への接続を提供する。PSCN20の詳細は、本発明に重要ではなく、従って、PSCN20を本明細書で更に説明することはしない。
【0011】
RAN30は、移動局100とPSCN20の間における無線インタフェースを提供する。典型的なRAN30は、パケット制御機能(PCF)32、1つ又は複数の基地局コントローラ(BSC)34、及び複数の無線基地局(RBS)36を含む。BSC34は、RBS36をPCF32に接続し、RBS36に関する通信リソースを管理する。移動局100は、IS−2000系の標準などの適切なネットワーク標準によって定義されたインタフェースを介して、RBS36と通信する。
【0012】
図2は、本発明の一実施例による典型的なRBS36の機能図を示す。無線基地局36は、制御回路38、複数の送信機40及び受信機42、マルチプレクサ44、デマルチプレクサ46、並びに1つ又は複数の送信アンテナ48及び受信アンテナ48を含む。制御回路38は、RBS36の動作を制御する。移動局100から受信アンテナ48によって受信された信号は、デマルチプレクサ46によって逆多重化され、処理のために受信機42に送り込まれる。RBS36によって送信される信号は、マルチプレクサ30によって結合され、送信アンテナ48に印加される。ゲート回路50により、制御回路38が、以下により詳細に説明するとおり、送信機40を選択的にオン及びオフにすることができるようになる。ゲート回路50は、送信機40の出力に結合されることが可能であり、又は代替として、送信機40への電力供給を遮断することもできる。図2の機能要素群は、ソフトウェア、ハードウェア、又はその両方の組み合わせで実装することができる。例えば、RBS36内の機能要素の1つ又は複数は、RBS36内に含まれる1つ又は複数のマイクロプロセッサ、又はその他の論理回路によって実行される、格納されたプログラム命令として実装することができる。
【0013】
図3は、本発明の一実施例による典型的な移動局100の機能ブロック図である。本明細書で使用される、「移動局」という用語は、セルラー無線電話機、セルラー無線電話機をデータ処理機能、ファックス機能、及びデータ通信機能と結合することが可能なパーソナル通信システム(PCS)端末装置、ポケットベル、Webブラウザ、無線電話機、インターネット/イントラネット・アクセス、オーガナイザ、カレンダを含むことが可能なパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、及び従来のラップトップ受信機及び/又はパームトップ受信機、或いは無線電話トランシーバを含む他の機器を含むことが可能である。
【0014】
移動局100は、当技術分野で周知のとおり、マルチプレクサ118を介してアンテナ116に接続されたトランシーバ110を含む。移動局100は、システム・コントローラ120、メモリ130、オーディオ処理回路140、及びユーザ・インタフェース150を更に含む。トランシーバ110は、送信機112及び受信機114を含む。トランシーバ110は、例えば、cdma2000標準又はWCDMA標準に準拠して動作することが可能である。ただし、本発明は、それらの標準で使用されることに限定されず、本発明は、他の標準向けに拡張すること、又は変更することもできることが当業者には認識されよう。
【0015】
システム・コントローラ120は、メモリ130の中に格納されたプログラム命令に従って、移動局100に関する全体的な動作制御を提供する。システム・コントローラ120は、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを含むことが可能であり、特定用途向け集積回路(ASIC)の一部であることが可能である。メモリ130は、移動局100内部のメモリの階層全体を表す。メモリ130は、データ、オペレーティング・システム・プログラム群、及びアプリケーション・プログラム群のための記憶領域を提供する。メモリ130は、システム・コントローラに組み込まれても、1つ又は複数の別個のメモリ・デバイスとして実装されてもよい。オーディオ処理回路140は、移動局100によって送受信されるオーディオ信号を処理する。
【0016】
ユーザ・インタフェース150は、通常、キーパッド152、ディスプレイ154、マイク156、及び/又はスピーカ158を含む。キーパッド152は、操作者が、コマンドを入力し、メニュー・オプションを選択することを可能にし、他方、ディスプレイ154は、操作者が、メニュー・オプション、入力されたコマンド、及びその他のサービス情報を見ることを可能にする。マイク156は、操作者の音声を、オーディオ処理回路140に入力するための電気オーディオ信号に変換する。スピーカ158は、オーディオ処理回路140からのオーディオ信号出力を、操作者が聞くことができる可聴信号に変換する。
【0017】
複数の移動局100が、逆方向リンク・パケット・データ・チャネルを介して、データ・フレームをRBS36に送信する。移動局100とRBS36の間の通信をより堅牢にし、セクタ・スループットを増大させるのに、ネットワーク10は、物理レイヤにおいて自動繰り返し要求(ARQ)を実装する。本出願では、ARQは、ARQに前方誤り訂正(FEC)を結合したハイブリッドARQ(HARQ)スキームを含む。RBS36が、移動局100からのデータ・フレームを誤って受信すると、RBS36は、再伝送の最大回数に達していないという条件付きで、否定応答(NACK)を移動局100に送信する。代替として、RBS36は、良好なフレームに対して応答(ACK)することができる。NACK、又はACKの欠落に応答して、移動局100は、通常、最初の伝送と同一のデータ伝送速度で、誤ったフレームを再伝送する。一部のシステムでは、移動局100は、再伝送のためのデータ伝送速度を増加させることが可能である。
【0018】
従来の無線通信システムでは、ACK/NACK指示は、通常、2値位相シフト・キーイング(BPSK)を使用してACK/NACKチャネルを介して伝送される、単一のビットを含む。例えば、RBS36は、「1」を伝送して、R−PDCH上で、誤りなしにデータ・フレームが受信されたことに応答する、又は「0」を伝送して、フレーム誤りを示すことができる。フレーム誤りは、R−PDCHフレームを適切に復号化することの失敗に起因することもある。フレーム誤りは、RBS36が、対応するR−PDCCHフレームを復号化することができない場合にも生じる可能性がある。というのは、R−PDCCHフレームは、R−PDCHフレームを復号化するのに必要とされる情報を含むからである。このため、従来のCDMAシステムでは、ACK/NACKビットは、移動局100が逆方向リンク・チャネル上で伝送を行っている場合、全てのフレームの中で移動局100に伝送される。
【0019】
本発明の1つの典型的な実施例では、ACK/NACKサブチャネルは、順方向共通電力制御チャネル(F−CPCCH)のサブチャネルとして定義される。F−CPCCHは、RBS36によって、電力制御ビット(PCB)の形態で電力制御コマンドを送信するのに使用される。F−CPCCHを図4に示す。RBS36が、F−CPCCH上で、継続的に、一定の電力で伝送を行う。cdma2000標準のRevDでは、F−CPCCHは、20ミリ秒フレームに編成される。各20ミリ秒フレームは、電力制御グループ(PCG)として知られる、それぞれ1.25ミリ秒の16の等しい時間間隔に更に細分される。このため、単一の順方向リンク・フレームは、16のPCGを有する。逆方向パケット・データ・チャネル(R−PDCH)は、10ミリ秒フレームに分割され、従って、1フレーム当り8つのPCGを有する。各PCGは、24のスロットを含む。各スロットは、1ビットを含む。各PCGの1つのスロットは、1つの移動局100を電力制御するのに使用される。このため、RBS36は、単一のF−CPCCHを使用して800Hzの速度で、24の移動局100を電力制御することができる。
【0020】
RBS36は、任意の数のPCGスロットをACKサブチャネルとしての使用に割り当てることができる。図5は、F−PCCH上のスロットをACKサブチャネルとしての使用に割り当てる典型的な方法を示す。他の方法を採用することもできる。図5で、RBS36は、各PCG内の同一のスロット群をACKサブチャネルとしての使用に割り当てている。この特定の実施例では、各PCG内の4つのスロット(第6番、第12番、第18番、及び第24番)が、ACKサブチャネルに割り当てられている。各PCG内の残りの20のPCGスロットは、電力制御のために使用され続けることが可能である。このため、RBS36は、移動局100の電力制御アルゴリズムを全く変更することなしに、800Hzの速度で、最大で20の移動局100を電力制御することができる。移動局100は、一部のPCGスロットが、速度制御のために使用されていることを認識していなくてもよい。というのは、異なるPCGスロットが、速度制御及び電力制御のためにそれぞれ割り当てられているからである。
【0021】
cdma2000標準のRevDでは、各逆方向リンク・フレームは、8つのPCGを含む、10ミリ秒の長さである。4つのPCGスロットが、ACKサブチャネルに割り当てられて、1つの逆方向リンク・フレーム当りでACKサブチャネルに利用可能な32ビットが存在する。このため、単一のACKサブチャネルは、単一ビットのACK/NACK指示を想定すると、最大で32の異なる移動局100をサポートすることができる。最大数の移動局100をサポートするため、RBS36は、各移動局100を特定のPGC及び特定のスロット(例えば、第1番のPCG、第6番のスロット)に割り当てる。この割り当ては、コール・セットアップ時に、又はハンドオフの後に行われることが可能である。
【0022】
実際には、ACK/NACK指示を繰り返して、伝送誤りを減らすことが望ましい場合がある。繰り返しは、時間ダイバーシチを活用することにより、信頼度を向上させる。繰り返しが使用される場合、ACKサブチャネルは、最大数に満たない移動局100をサポートする。例えば、各ACK/NACK指示が、4回、繰り返される場合、各ACKサブチャネルは、8つの移動局をサポートする。処理遅延に起因して、移動局100は、次のフレームより少なくとも2PCG前に、ACK/NACKを受信する必要がある可能性がある。
【0023】
ARQが使用される多くの高速パケット・データ・チャネルに関して、初期伝送の大多数は、NACKを被ることが観察されている。一部のシステムでは、NACKを被る初期伝送のパーセンテージは、ときとして、80%ほどの高さにもなる。この観察が含意する1つのことは、多くの無線通信システムでは、ACKよりはるかに多くのNACKが存在することである。従って、シグナリングに充てられるエネルギーが、ACKサブチャネル上でオン/オフ・キーイング(OOK)を使用することにより、相当に小さくすることができる。OOKを使用すると、閾値を超える検出されたエネルギーは、第1の状態(オン状態と呼ぶ)と見なされ、他方、検出された閾値を下回るエネルギーは、第2の状態(オフ状態と呼ばれる)と見なされる。オン状態は、ビット「1」で表されることが可能である。オフ状態は、ビット「0」で表されることが可能である。このため、ACK=オン=1であり、NACK=オフ=0である。OOKを実行するのに、RBS36は、送信機をオンにして、受信されたフレームにACKを行い、送信機をオフにしてフレームにNACKを行う。ACKよりもはるかに多くのNACKが存在するものと想定すると、送信機をオフにしてNACKを行うことにより、エネルギーが節約される。NACKよりも多くのACKが予期される場合は、オフ状態を使用して、受信されたフレームにACKを行うことができ、オン状態を使用して、受信されたフレームにNACKを行うことができる。
【0024】
ACKサブチャネルをオン及びオフにゲーティングすることは、幾つかの仕方で達することができる。図6A乃至図6Cに示すとおり、送信機40は、ベースバンド・プロセッサ44及び電力増幅器46を含む。送信のための信号は、ベースバンド・プロセッサ44に入力され、電力増幅器46の入力に印加される。電力増幅器46によって出力された増幅済みの信号は、アンテナ48に印加され、移動局100に送信される。図6Aでは、ゲート回路50が、ベースバンド・プロセッサ44と電力増幅器46の間に置かれている。ゲート回路50は、電力増幅器46への入力を遮断する。図6Bでは、ゲート回路50は、電力増幅器46の出力とアンテナの間に配置されている。図6Cでは、ゲート回路50は、電力増幅器46への電力供給を遮断する。
【0025】
移動局100がアイドル状態にある場合に、ACKサブチャネルをオフにゲーティングすることにより、さらなるエネルギー節約を得ることができる。本発明では、移動局は、R−PDCH上でデータ・フレームを送信していない場合に、アイドル状態にあるものと見なされる。移動局100がアイドル状態にある場合、RBS36は、ACKサブチャネル上の対応するタイム・スロットをオフにゲーティングして、エネルギーを節約することができる。移動局100は、F−CPCCH上で移動局100に伝送される電力制御ビット(PCB)に基づき、順方向リンク監視を続けることができる。アイドル状態にある移動局100は、ACKサブチャネルを無視するが、それでも、移動局100の検出器閾値の較正のために、ACKサブチャネルを監視することができる。
【0026】
一部の誤りは、ACKサブチャネル上のACK指示の伝送において生じる場合がある。マルチパス・フェージングに起因して、ACKが、移動局100によってNACKと解釈される場合があり、その逆も同様である。ACKが、移動局100によってNACKと解釈された場合、移動局100は、前のフレームを再伝送する。移動局が、ソフト・ハンドオフ状態にある場合、移動局100は、アクティブなセットの中の全てのセクタがNACKで応答した場合にだけ、フレームを再伝送する。ACKを誤って解釈することのペナルティは、余計なフレームの伝送であり、この伝送は、移動局100がアクティブなセットの中で複数のセクタを有する場合、行われる可能性がより低い。
【0027】
NACKがACKとして、移動局100によって誤って解釈された場合、より大きいペナルティが生じる。このケースでは、移動局100は、次のフレームを送信し、シーケンス番号を切り替えるか、又は進める。シーケンス番号は、R−PDCH上で伝送される全てのデータ・フレームの中に含まれて、より高位のレイヤのプロトコル機能が、フレームが順序正しく受信されたかどうかを判定することができるようにする。前のフレームがRBS36によって正しく受信されることなしに、移動局100が、新たなフレームを送信した場合、物理レイヤより高位のレイヤのプロトコル機能が呼び出されて、誤りを訂正する。より高位のレイヤのプロトコル機能は、誤りを最終的に訂正するが、実質的なシグナル・ペナルティを伴う。従って、間違ったACKを最小限に抑えることが望ましい。
【0028】
前述したとおり、本発明の典型的な実施例は、繰り返しを使用して、ACKサブチャネル上のシグナル誤りを防止する。行われることが可能な別の対策は、ACK信号に関して、より高いエネルギー・レベルを要求するように検出器閾値を高くすることである。検出器閾値をより高いレベルに設定することは、間違ったACKの数を減らすが、間違ったNACKの数を増加させる可能性がある。前述したとおり、間違ったNACKは、ソフト・ハンドオフによって軽減され、いずれにしても、間違ったACKより生じさせる問題が少ない。
【0029】
ACKサブチャネル上のシグナリング誤りは、移動局100が、アクティブ状態とアイドル状態の間で遷移している際にも生じる可能性がある。移動局100は、アクティブ状態とアイドル状態の間で自律的に遷移することができる。自律モードでは、移動局100は、アクティブ状態からアイドル状態に遷移する際に、空速度(null rate)フレームをRBS36に送信する。空速度フレームの中では、R−PDCH上でRBS36にデータは全く送信されないが、速度インジケータを含む制御フレームが、R−PDCCH上でRBS36に送信される。移動局100は、送信すべきデータを有する場合、単にデータ・フレームを、R−PDCCH上の対応する速度指示とともに、RBS36に送信することを開始する。アクティブ状態からアイドル状態に遷移した後、移動局100は、ACKサブチャネルを無視する。移動局100がアイドル状態にある間に生じる可能性がある、あらゆるシグナリング誤りは、無視される。移動局100が、アクティブ状態に遷移して戻り、RBS36が、対応するR−PDCCHフレームを復号化することに失敗すると、RBS36は、あたかも移動局100がアイドル状態にあるかのように、動作し続ける。移動局100がアイドル状態にある間に、RBS36が、ACKサブチャネルをオフにゲーティングした場合、RBS36は、ACKサブチャネル上でACK/NACK指示を送信しない。RBS36が送信を行わないことは、NACKと等価であり、これは、RBS36が、R−PDCCHを復号化することができなかった場合、適切な応答である。移動局が、アイドル状態からアクティブ状態に遷移する際にも、間違ったACKが生じる可能性がある。移動局100が、アイドル状態からアクティブ状態に遷移する際の間違ったACKは、稀にしか生じない可能性が高い。更に、間違ったACKは、ビット繰り返しを使用することによって防止することができる。
【0030】
本発明は、勿論、本発明の範囲及び基本的な諸特徴を逸脱することなく、本明細書に記載した以外の特定の形で実施することもできる。従って、本実施例は、全ての点で、例示的であり、制限的ではないものと見なされ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び均等の範囲に含まれる全ての変更が、特許請求の範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】無線通信ネットワークを示すブロック図である。
【図2】無線基地局を示すブロック図である。
【図3】移動局を示すブロック図である。
【図4】順方向共通電力制御チャネルF−CPCCHの構造を示す図である。
【図5】順方向ACKサブチャネルとして使用するためのF−CPCCH上のタイム・スロットを割り当てる一方法を示す図である。
【図6A】送信機を選択的にゲーティングするためのゲート回路を示す図である。
【図6B】送信機を選択的にゲーティングするためのゲート回路を示す図である。
【図6C】送信機を選択的にゲーティングするためのゲート回路を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動繰り返し要求のためのシグナル方法であって、
基地局において移動局からデータ・フレームを受信すること、及び
前記移動局からの前記データ・フレームの前記受信に応答して、ACK指示及びNACK指示を提供するように物理レイヤ無線チャネルを選択的にゲーティングすることを含み、
前記物理レイヤ無線チャネルは、オンにゲーティングされてACK指示とNACK指示の1つを前記移動局に提供し、前記物理レイヤ無線チャネルは、オフにゲーティングされてACK指示とNACK指示の他方を前記移動局に提供するシグナル方法。
【請求項2】
前記物理レイヤ無線チャネルは、オンにゲーティングされてACK指示を提供し、オフにゲーティングされてNACK指示を提供する請求項1に記載のシグナル方法。
【請求項3】
前記物理レイヤ無線チャネルは、オンにゲーティングされてNACK指示を提供し、オフにゲーティングされてACK指示を提供する請求項1に記載のシグナル方法。
【請求項4】
前記物理レイヤ無線チャネルは、時間多重化チャネルであり、複数のタイム・スロットを有する論理ACKサブチャネルを含む請求項1に記載のシグナル方法。
【請求項5】
前記移動局は、前記ACKサブチャネル上の選択されたタイム・スロットを割り当てられ、前記物理レイヤ・チャネルは、前記選択されたタイム・スロット中、オン及びオフにゲーティングされて、前記ACK指示及び前記NACK指示を前記移動局に提供する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記移動局がアイドルである間に、前記ACKサブチャネル上の前記選択されたタイム・スロット内で前記物理レイヤ・チャネルをオフにゲーティングすることを更に含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
各ACK指示及び各NACK指示を所定の回数、繰り返すことを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
無線基地局であって、
移動局からデータ・フレームを受信する受信機と、
前記移動局からの前記データ・フレームの前記受信に応答して、ACK指示及びNACK指示を提供するように物理レイヤ無線チャネルを選択的にゲーティングする、ACK指示及びNACK指示を前記移動局に提供する制御ユニットとを含み、
前記制御ユニットは、前記物理レイヤ無線チャネルをオンにゲーティングして、ACK指示とNACK指示との1つを前記移動局に提供し、前記物理レイヤ無線チャネルをオフにゲーティングして、前記ACK指示とNACK指示との他方を前記移動局に提供する無線基地局。
【請求項9】
前記制御ユニットは、前記物理レイヤ無線チャネルをオンにゲーティングしてACK指示を提供し、前記物理レイヤ無線チャネルをオフにゲーティングしてNACK指示を提供する請求項8に記載の無線基地局。
【請求項10】
前記制御ユニットは、前記物理レイヤ無線チャネルをオンにゲーティングしてNACK指示を提供し、前記物理レイヤ無線チャネルをオフにゲーティングしてACK指示を提供する請求項8に記載の無線基地局。
【請求項11】
前記物理レイヤ無線チャネルは、時間多重化チャネルであり、複数のタイム・スロットを有する論理ACKサブチャネルを含む請求項8に記載の無線基地局。
【請求項12】
前記移動局は、前記ACKサブチャネル上の選択されたタイム・スロットを割り当てられ、前記制御ユニットは、前記選択されたタイム・スロット中、前記物理レイヤ・チャネルをオン及びオフにゲーティングして、前記ACK指示及び前記NACK指示を前記移動局に提供する請求項11に記載の無線基地局。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記移動局がアイドルである間に、前記ACKサブチャネル上の前記選択されたタイム・スロット内で前記物理レイヤ・チャネルをオフにゲーティングする請求項12に記載の無線基地局。
【請求項14】
前記制御ユニットは、各ACK指示及び各NACK指示を所定の回数、繰り返す請求項1に記載の無線基地局。
【請求項15】
自動繰り返し要求のためのシグナル方法であって、
基地局において移動局からデータ・パケットを受信すること、及び
前記移動局から受信されたデータ・パケットを確認するように物理レイヤ無線チャネルを選択的にゲーティングすることを含む方法。
【請求項16】
前記物理レイヤ無線チャネルは、オンにゲーティングされて肯定的な確認を提供し、オフにゲーティングされて否定的な確認を提供する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記物理レイヤ無線チャネルは、オンにゲーティングされて否定的な確認を提供し、オフにゲーティングされて肯定的な確認を提供する請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記物理レイヤ無線チャネルは、時間多重化チャネルであり、複数のタイム・スロットを有する論理ACKサブチャネルを含む請求項15に記載のシグナル方法。
【請求項19】
前記移動局は、前記ACKサブチャネル上の選択されたタイム・スロットを割り当てられ、前記物理レイヤ・チャネルは、前記選択されたタイム・スロット中、オン及びオフにゲーティングされて、前記ACK指示及び前記NACK指示を前記移動局に提供する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記移動局がアイドルである間に、前記ACKサブチャネル上の前記選択されたタイム・スロット内で前記物理レイヤ・チャネルをオフにゲーティングすることを更に含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
各ACK指示及び各NACK指示を所定の回数、繰り返すことを更に含む請求項15に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公表番号】特表2007−524269(P2007−524269A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517319(P2006−517319)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/019218
【国際公開番号】WO2004/114582
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】