説明

CNSの疾患および障害の処置のための四環系モノアミン再取り込み阻害薬

式Iで示される新規の四環系ジベンゾ(e,h)アズレン化合物;その薬理学上許容される誘導体;それらを含む医薬組成物ならびにヒトおよび動物の中枢神経系(CNS)疾患および病態の処置におけるその活性および使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は:(a)新規の四環系ジベンゾ(e,h)アズレン化合物;(b)その薬理学上許容される誘導体;(c)その調製についての方法および中間体;(d)それらを含む医薬組成物ならびに(e)ヒトおよび動物の中枢神経系(CNS)疾患および病態の処置におけるその活性および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脳の伝達回路の構造は、神経化学物質または神経伝達物質と称されるメッセンジャーとして認識される化学物質を介して相互に伝達するニューロンからなる。かかる神経伝達物質はニューロンにより産生され、それらは、ニューロンの細胞膜上の受容体と称される部位で作用する。モノアミン神経伝達物質として称される、神経伝達物質の一群は、セロトニン、ドーパミンおよびノルエピネフリンを含む。
【0003】
モノアミン神経伝達物質は、ニューロン間のシナプス間隙中に放出され、それらは後シナプス受容体の刺激により作用する。モノアミン神経伝達物質の除去(または不活性)は、主に、前シナプス末端中の再取り込み作用により生じる。神経伝達物質が不均衡であるさまざまな疾患および病態において、生理的状態の促進は、特定の神経伝達物質の再取り込みを阻害することにより起こりうる。次いで、これが患者の状態を改善しうる。
【0004】
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は現在、大うつ病性障害(MDD)の処置に対し効果を与え、一般に、精神科医および顧問医によって有効に、あまり痛みを感じずかつ容易に投与されると考えられている。しかしながら、SSRIはまた、性機能障害の多発、作用の遅発性および30%にまで上昇すると推定される非反応性のレベルなどの望ましくない特徴と関連する(M.J.Gitlin,Journal of Clinical Psychiatry,1994,55,406−413およびR.T.Segraves,Journal of Clinical Psychiatry,1992,10(2),4−10を参照のこと)。前臨床および臨床上の証拠は、SSRI治療に付随する性機能障害が、ブプロピオンなどのドーパミン再取り込み阻害薬(DRI)の使用を介して減少しうることを示している(A.K.Ashton,Journal of Clinical Psychiatry,1998,59(3),112−115を参照のこと)。さらに、SSRIおよびDRIの併用は作用の発現を促進し、おそらく相乗作用を介して患者の抵抗性を軽減する(R.O.Marshallら,Journal of Psychopharmacology,1995,9(3),284−286を参照のこと)。
【0005】
さらに、二元的セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、慢性疼痛状態について試験し、特に、繊維筋痛症に対する効果を見出した。プロスタグランジン阻害薬は急性疼痛、特に、炎症に付随する疼痛について用いられるが、その有効性は中間型の疼痛に限定され、それらは胃腸管および肝臓において望ましくない副作用をしばしば示す。麻薬はまた、疼痛を処置するために用いられるが、耐性は急速に発現し、高用量は最終的に、身体的依存および呼吸抑制を含む、さらなる副作用をもたらす。したがって、かかる療法は、慢性疼痛状態に対して適当または有効ではない。
【0006】
三元的SSRI、NRI、DRI療法の併用は、おそらくDRIのさらなる相乗作用を介して、SSRIまたはSNRIの単独療法より有効であってもよい。さらに、前臨床および臨床上の証拠は、SSRI療法に付随する性機能障害がDRIの使用を通じて減少されうるということを示している。
【0007】
いくつかのジベンゾ(e,h)アズレン化合物、その薬理学上許容される塩および溶媒和物、その調製についての方法および中間体、ならびにヒトおよび動物の炎症性疾患および病態の処置におけるその使用は、国際公開:WO 01/87890;WO 03/097649;WO 03/097648;WO 03/099823;WO 03/099827;WO 03/084964およびWO 03/084961に開示されている。
【0008】
さらに、国際公開番号WO 04/078763は、ベンゼン環に結合しているアミノアルコキシ鎖を有する四環系ジベンゾアズレン化合物、その薬理学上許容される塩および溶媒和物、その調製についての方法および中間体、ならびにヒトおよび動物の炎症性疾患および病態の処置におけるその使用を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、中枢神経系疾患、損傷および障害の(所望により改善した副作用特性を有する)有効な処置ならびにさまざまな型の疼痛を伴う病態および病状の処置の問題に取り組んでいる。本発明の新規の四環系ジベンゾ(e,h)アズレン化合物は、三元的モノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害薬であり、したがって、広範囲のモノアミン再取り込み阻害を達成するのにより適している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
同一のベンゼン環に結合しているハロゲンおよびアミノアルキルの両方またはアミノヘテロシクリル部分を有する新規の四環系ジベンゾ(e,h)アズレン化合物は、本発明の対象を表す。
【0011】
したがって、本発明は、式I:
【化1】


[式中:Xは、−CH−、−O−、−S−、またはNR(ここで、Rは、水素、C−Cアルキル、C−C10アリールアルキル、C−Cアルカノイル、C−C10アリーロイル、またはC−Cアルキルオキシカルボニルを意味する)から選択され;
WおよびZは、独立して、酸素、硫黄、芳香族CH、またはNR(ここで、Rは、水素、C−Cアルキル、C−C10アリールアルキル、C−Cアルカノイル、C−C10アリーロイル、またはC−Cアルキルオキシカルボニルを意味する)から選択される:ただし、WおよびZは、同時に酸素、硫黄、または芳香族CHにはなり得ず;
は、式II:
【化2】

{式中:QおよびQは、独立して、酸素、硫黄または式:
【化3】

(式中:Yは、水素;置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルコキシカルボニル(好ましくは、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキル;置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、塩素またはフッ素)、C−Cアルキル(好ましくは、メチル、エチルまたはイソプロピル)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、N,N−ジメチルアミノまたはN,N−ジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1または2個の置換基で置換されているアリール;ヒドロキシ;C−Cアルコキシ;C−Cアルカノイル;スルホニル;C−Cアルキルスルホニル;スルフィニル;C−Cアルキルスルフィニルから選択され;ならびに
は、水素;ハロゲン;置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルコキシカルボニル(好ましくは、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキル;置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、塩素またはフッ素)、C−Cアルキル(好ましくは、メチル、エチルまたはイソプロピル)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、N,N−ジメチルアミノまたはN,N−ジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1または2個の置換基で置換されているアリール;ヒドロキシ;C−Cアルコキシ;C−Cアルカノイル;チオール;C−Cアルキルチオ;スルホニル;C−Cアルキルスルホニル;スルフィニル;C−Cアルキルスルフィニル;シアノ;ニトロから選択される:
ただし、炭素原子と結合する場合、置換基YおよびYの少なくとも1つは、水素を意味する)
から選択され;
Aは、アミノ、N−(C−Cアルキル)アミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)アミノ、置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、塩素またはフッ素)、C−Cアルキル(好ましくは、メチル、エチルまたはイソプロピル)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−C−アルキル)−アミノ(好ましくは、N,N−ジメチルアミノまたはN,N−ジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1または2個の置換基で置換されているアリール;モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、イミダゾール−1−イルおよびピペラジン−1−イルからなる群より選択されるかまたは式III:
【化4】

III
(式中:Rは、水素;置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルコキシカルボニル(好ましくは、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキル;置換されていないまたは1ないし3個のハロゲン(好ましくは、塩素またはフッ素)で置換されているC−Cアルケニル;C−Cアルキニル;置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、塩素またはフッ素)、C−Cアルキル(好ましくは、メチル、エチルまたはイソプロピル)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルコキシカルボニル(好ましくは、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、N,N−ジメチルアミノまたはN,N−ジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1または2個の置換基で置換されているアリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C−Cアルコキシ;C−Cアルキルチオ;C−Cアルカノイル;アリーロイル;オキソ−C−Cアルキル;C−Cアルカノイルオキシ;カルボキシ;置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルコキシカルボニル(好ましくは、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキルオキシカルボニル;あるいは、置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルコキシカルボニル(好ましくは、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−C10アリールオキシカルボニル;カルバモイル;N−(C−Cアルキル)カルバモイル;N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル;シアノ−C−Cアルキル;C−Cアルキルスルホニル;C−Cアルキルスルフィニルから選択される)
で示される構造により表される複素環またはヘテロアリール基から選択され;
nおよびpは、各々独立して、0ないし5の整数値である:ただし、nが0を意味する場合、QおよびQは、同時に、酸素、硫黄または式:
【化5】

で示される基にはなり得ず、pが0を意味する場合、Qは、酸素、硫黄または式:
【化6】

で示される基にはなり得ない}
により表される置換基を示し;
は、ハロゲン(好ましくは、塩素またはフッ素)であり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルコキシカルボニル(好ましくは、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−Cアルキル)アミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルコキシカルボニル(好ましくは、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキルオキシカルボニル、置換されていないまたはハロゲン(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、チオール、C−Cアルコキシカルボニル(好ましくは、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル)、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−C10アリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ、シアノ−C−Cアルキル、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニル、C−Cアルキルスルフィニルまたはニトロ基から選択される]
により表される化合物またはその薬理学上許容される誘導体、例えば、塩または溶媒和物を対象とする(ここで、選択肢はすべて、同時にまたは連続的に、好ましくは、同時に満足の行くものである)。
【0012】
本発明はまた、式Iで示される化合物および医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0013】
本発明はまた、ヒトを含む、哺乳動物のモノアミン神経伝達物質の不均衡に関する中枢神経系(CNS)および他の障害を処置するために有効な量の1つまたは複数の式Iの化合物を含む組成物に関する。
【0014】
さらに、本発明は、ヒトを含む、哺乳動物のモノアミン神経伝達物質の不均衡に関する中枢神経系(CNS)および他の障害を処置するための式Iで示される化合物を用いる方法に関する。
【0015】
さらに、本発明は、中枢神経系(CNS)障害および/またはモノアミン神経伝達物質の不均衡に関する障害を処置する方法であって、それを必要とする患者に式Iで示される化合物を投与することを含む方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の対象を表している化合物は、モノアミン誘導性神経伝達物質、すなわち、ドーパミン、セロトニンおよびノルエピネフリンの再取り込み阻害薬として記載されていない。したがって、CNSのモノアミン神経伝達物質の不均衡に関する障害の処置ならびに異なるタイプの疼痛を伴う病態および病状を処置するためにかかる化合物およびそれらを含む医薬組成物の使用は、記載または示唆されていない。さらに、ヒトを含む、哺乳動物の対象のモノアミン神経伝達物質に基づく中枢神経系(CNS)障害を処置するための有効量の四環系ジベンゾ(e,h)アズレン化合物を含有する医薬剤形を記載または示唆していない。
【0017】
本発明の一の実施態様において、式Iで示される化合物は、XがOまたはSを表すものである。
【0018】
本発明の別の実施態様において、式Iで示される化合物またはその医薬上許容される誘導体は、Rが式II:
【化7】

[式中:QおよびQは、独立して、酸素、硫黄または式:
【化8】

{式中:YおよびYは、独立して、水素;C−Cアルキルから選択される}
から選択され;
Aは、アミノ、N−(C−Cアルキル)アミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)アミノ、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、イミダゾール−1−イルおよびピペラジン−1−イルからなる群より選択される複素環またはヘテロアリール基から選択されるか、あるいは、式III:
【化9】

III
{式中:Rは、水素;置換されていないまたは上記のように置換されているC−Cアルキル;C−Cアルコキシ;C−Cアルキルチオ;C−Cアルカノイル;アリーロイル;オキソ−C−Cアルキル;C−Cアルカノイルオキシ;カルボキシ;置換されていないまたは置換されているC−Cアルキルオキシカルボニル;あるいは、置換されていないまたは置換されているC−C10アリールオキシカルボニル;カルバモイル;N−(C−Cアルキル)カルバモイル;N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル;シアノ−C−Cアルキル;C−Cアルキルスルホニル;C−Cアルキルスルフィニルから選択される}
で示される構造により表され;
nおよびpは、各々独立して、0または5の整数値である:ただし、nが0を意味する場合、QおよびQは、同時に、酸素、硫黄または式:
【化10】

で示される基にはなり得ず、pが0を意味する場合、Qは、酸素、硫黄または式:
【化11】

で示される基にはなり得ない]
により表されるものである。
【0019】
本発明のさらに別の実施態様においては、RおよびRが、独立して、水素、ハロ、置換されていないまたは上記のように置換されているC−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、チオール、C−Cアルキルチオから選択され、Rが、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、置換されていないまたは置換されているC−Cアルキルオキシカルボニル、置換されていないまたは置換されているC−C10アリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ基を表す、式Iで示される化合物またはその薬理学上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0020】
一の特定の実施態様において、Xが−O−であり;
Wが芳香族−CH−であり;
Zが−S−であり;
が、式II:
【化12】

[式中:Qは酸素であり;
は式:
【化13】

{式中:YおよびYは水素である}
であり;および
AはN,N−ジ(C−Cアルキル)アミノであり;
nおよびpは1である]
により表され;
が塩素であり;
が、ヒドロキシメチル、アセチルメチル、アミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、またはエトキシカルボニルであり;ならびに
およびRが水素である、式Iで示される化合物またはその医薬上許容される誘導体である。
【0021】
別の特定の実施態様において、2−置換−11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン(ここで、RはC−Cアルキルオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ基を表す)である、式Iで示される化合物またはその薬理学上許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0022】
本発明の特に好ましい化合物は:
11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸エチルエステル;
2−ヒドロキシメチル−11−クロロ−9−(3−ジエチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン;
11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−イルメチル酢酸塩;
11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸アミド;
N,N−ジメチル−11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボキサミド;
N,N−ジエチル−11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボキサミド;または
その医薬上許容される誘導体である。
【0023】
塩、溶媒和物、プロドラッグ、および立体異性体
典型的には、式Iで示される化合物の医薬上許容される塩を、必要に応じて、望ましい酸または塩基を用いて容易に調製してもよい。塩は、溶媒から沈殿し、濾過により回収してもよく、または溶媒の蒸発により回収してもよい。例えば、塩酸などの酸の水性溶液を、式Iで示される化合物の水性懸濁液に添加し、得られた混合物を蒸発乾固(凍結乾固)し、固体として酸付加塩を得てもよい。別法として、式Iで示される化合物は、適当な溶媒、例えば、イソプロパノールなどのアルコールで溶解してもよく、酸を同一の溶媒または別の適当な溶媒中に添加してもよい。次いで、得られた酸付加塩を、直接またはジイソプロピルエーテルもしくはヘキサンなどの低極性溶媒の添加により沈殿させ、濾過により単離してもよい。
【0024】
式Iで示される化合物の酸付加塩を、従来の方法で塩を生成させるために、遊離塩基型を十分な量の望ましい酸と接触させることにより調製してもよい。遊離塩基型を、従来の方法で塩型を塩基と接触させ、遊離液を単離することにより再生してもよい。遊離塩基型は、極性溶媒中での溶解度などの特定の物理的性質についてその各塩型とは多少異なるが、他の部分では塩は本発明の目的のその各遊離塩基に相当する。
【0025】
医薬上許容される塩基付加塩は、アルカリおよびアルカリ土類金属または有機アミンなどの金属類またはアミン類で形成される。カチオンとして用いられる金属類の例として、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどが挙げられる。適当なアミンの例として、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、およびプロカインが挙げられる。
【0026】
前記の酸性化合物の塩基付加塩を、従来の方法で塩を生成させるために、遊離酸型を十分な量の望ましい塩基と接触させることにより調製する。遊離酸型を、塩型を酸と接触させ、遊離酸を単離することにより再生してもよい。
【0027】
本発明の化合物は、塩基性および酸性中心を両方有していてもよく、したがって、両性イオンの形態であってもよい。
【0028】
有機化学分野の当業者は、多数の有機化合物が、それらが反応し、またはそれらが沈殿もしくは結晶化する溶媒と複合体を形成しうることが分かるであろう。かかる複合体は、「溶媒和物」として知られる。例えば、水との複合体は、「水和物」として知られる。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内である。式Iで示される化合物の塩は、溶媒和物(例、水和物)を形成してもよく、本発明はまた、全てのかかる溶媒和物も含んでいる。
【0029】
本発明はまた、式Iで示されるプロドラッグ、すなわち、哺乳動物の対象に投与すると、インビボで式I記載の活性な親薬物を放出する化合物を含む。プロドラッグは、一般に、親化合物を得るために、修飾が所定の操作またはインビボで切断されるような方法で、官能基を修飾することにより調製されている。プロドラッグは、例えば、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基が、患者に投与すると、ヒドロキシ、アミンまたはスルフヒドリル基を形成するために切断する置換基に結合している、本発明の化合物を含む。したがって、プロドラッグの代表例として、式Iで示される化合物のアルコール、スルフヒドリルおよびアミン官能基を有する酢酸、ギ酸および安息香酸誘導体が挙げられる(が、これらに限定されるものではない)。さらに、カルボン酸(−COOH)の場合、エステルは、例えば、メチルエステル、エチルエステルなどを用いてもよい。エステルは自身を活性化し、および/またはヒトの体内にてインビボ条件下で加水分解してもよい。適当な医薬上許容されるインビボ加水分解型エステル基は、親酸またはその塩の形態にするためにヒトの体内にて容易に分解するものである。
【0030】
式Iで示される化合物は、互変異性の結果として形成されうる構造異性体の多数の形態で存在していてもよく、平衡状態で異なる割合にて存在していてもよい。動的平衡によって、かかる異性体(互変異性体)は、急速に、1つの異性体から別の異性体に相互変換する。最も一般的な異性は、ケト−エノール互変異性であるが、開鎖および環の形態間の平衡も知られている。本発明において、発明者らが式Iで示される化合物に言及するときはいつでも、発明者らは、別々の異性体として分離されるかまたは平衡状態で異なる割合の他の混合物中に存在している、その互変異性体、ケト−エノール互変異性体、開鎖−環型を含むようにしていることが分かるであろう。式Iで示される特定の化合物における主要な異性体は、化合物が遊離型またはその塩のいずれか、塩の種類、化合物を溶解する溶媒の形態で存在しようが、置換基の性質ならびに溶液のpH値に依存する。
【0031】
さらに、本発明で示される化合物は、異なる幾何異性体または異なる立体異性体として存在していてもよい。不斉(立体、キラル)中心の周囲の空間の原子の配置に関してのみ異なる異性体は、「立体異性体」と称される。互いに鏡像ではない立体異性体は、ジアステレオマーと称されるが、鏡像関係、すなわち、互いに鏡像である立体異性体は、エナンチオマーと称される。各立体異性体は、Cahn−Ingold−Prelog優先規則を用いて立体中心の絶対配置を決定することにより特徴付けてもよい、したがって、R−またはS−異性体として特徴付けてもよい。別の立体異性体の同定方法は、分子を通過する偏光面の回転を測定し、右旋性(+)または左旋性(−)の異性体であるキラル分子を設定する。キラル分子は、単一のエナンチオマーの形態またはエナンチオマーの混合物で存在していてもよい。キラル物質の等量の(+)および(−)エナンチオマーからなる混合物は、ラセミ混合物と称される。本発明は、別々のエナンチオマー、ジアステレオマーとして分離されるかまたはラセミ体もしくはその他の混合物中に存在している式Iにより示されうる各立体異性体に関する。
【0032】
立体化学配置の決定、立体異性体の分解能および分離についての方法は、参考文献から公知である。エナンチオマーは、当業者に公知な方法、例えば、結晶化により分離されていてもよいジアステレオマー塩の形成;例えば、結晶化、ガス液体または液体クロマトグラフィーにより分離されていてもよいジアステレオマー誘導体または複合体の形成;エナンチオマー−特異試薬と1つのエナンチオマーの選択反応、例えば、酵素エステル化;あるいは、キラルな環境、例えば、キラルな担体、例えば、結合したキラルリガンドとのシリカ上またはキラル溶媒の存在下におけるガス液体または液体クロマトグラフィーにより分解されてもよい。ジアステレオマー対を当業者に公知な方法、例えば、クロマトグラフィーまたは結晶化により分離してもよく、各対における個々のエナンチオマーを上記のように分離してもよい。
【0033】
本発明はまた、オキシムまたは同様の置換基が存在する場合に遭遇するシン−アンチ型の立体異性体、およびその混合物を含む。オキシムの末端二重結合原子の一つと結合している高Cahn−Ingold−Prelog順位の置換基は、オキシムのヒドロキシ基と比較される。オキシムのヒドロキシルが高順位の置換基としてC=Nの二重結合を通る基準面の同側に位置するならば、立体異性体は、Z(zusammen=同側)またはシンと表され;他の立体異性体は、E(entgegen=反対側)またはアンチと表される。
【0034】
式Iで示される化合物は、結晶型または無晶型であってもよい。さらに、式Iで示される化合物の結晶型の一部は、本発明に含まれる多形体として存在してもよい。
【0035】
本発明はまた、式Iで示される化合物の全ての放射性標識体に関する。好ましい式Iで示される放射性標識化合物は、放射性標識体がH、11C、14C、および18Fから選択されるものである。かかる放射性標識化合物は、動物およびヒトの両方にて代謝の薬物動態実験および結合アッセイにおける研究および診断ツールとして有用である。
【0036】
定義
「ハロ」、「ハル」または「ハロゲン」なる語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子(好ましくは、塩素または臭素)に関する。
【0037】
置換基または置換基の一部として本明細書で用いられる「アルキル」なる語は、直鎖または分岐鎖状の特定数の炭素原子を含有している炭化水素鎖をいう。したがって、「アルキル」なる語は、ラジカルが得られるアルカンの意味を有するアルキル基に関し、ラジカルは直鎖、分岐鎖もしくは環状または直鎖および環状ならびに分岐鎖および環状の組み合わせであってもよい。例えば、C−Cアルキルは、1ないし7個の炭素原子を含有している直鎖または分岐鎖状アルキル鎖を意味する;かかる置換基の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。好ましい環状アルキルは、例えば、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0038】
「ハロアルキル」なる語は、少なくとも1つのハロゲン原子で置換されなければならないアルキル基に関する。最も頻度の高いハロアルキルは、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチルまたは1,2−ジクロロプロピルである。
【0039】
置換基または置換基の一部として本明細書で用いられる「アルケニル」なる語は、直鎖、分岐鎖もしくは環状であってもよく、または直鎖および環状もしくは分岐鎖および環状の組み合わせである、特定数の炭素原子を含有するが、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する炭化水素ラジカルを意味するアルケニル基をいう。例えば、「C−Cアルケニル」は、少なくとも2個、最大7個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの二重結合を含有する直鎖、分岐鎖または環状アルケニルを意味する。本明細書で用いられる「アルケニル」の例として、エテニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、3−ヘキセニルおよび1,1−ジメチルブト−2−エニルまたはシクロヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。最も頻度の高いアルケニルは、エテニル、プロペニル、ブテニルまたはシクロヘキセニルである。構造−O−C−Cアルケニルの置換基において、二重結合は、好ましくは、酸素に隣接しないことが分かるであろう。
【0040】
置換基または置換基の一部として本明細書で用いられる「アルキニル」なる語は、特定数の炭素原子を含有し、少なくとも1つの三重結合を含有する直鎖または分岐鎖状炭化水素鎖をいう。例えば、「C−Cアルケニル」なる語は、少なくとも3個、最大7個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの三重結合を含有する直鎖または分岐鎖アルキニルを意味する。本明細書で用いられる「アルケニル」の例は、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニルおよび3−メチル−1−ブチニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。最も頻度の高いアルケニルは、例えば、エチニル、プロピニルまたはブチニルである。
【0041】
本明細書で用いられる「アルコキシ」なる語は、特定数の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルコキシ基をいう。例えば、C−Cアルコキシは、少なくとも2個、最大7個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルコキシを意味する。本明細書で用いられる「アルコキシ」の例として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロプ−2−オキシ、ブトキシ、ブト−2−オキシ、2−メチルプロプ−1−オキシ、2−メチルプロプ−2−オキシ、ペントキシおよびヘキシルオキシが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
置換基または置換基の一部として本明細書で用いられる「アリール」なる語は、少なくとも6個の炭素原子を有する1つの環または全体として10個の炭素原子を有し、炭素原子間に交互二重(共鳴)結合を有する2つの環を含む芳香族炭素環部分をいう。最も高い頻度で用いられるアリールは、例えば、フェニルまたはナフチルである。一般に、アリール基は、直接的結合またはメチレンもしくはエチレンなどのC−Cアルキレン基を介して利用可能な炭素原子によって残りの分子と結合していてもよい。
【0043】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」なる語は、特段の定めのない限り、窒素、酸素または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する、芳香族または部分的に芳香族である4ないし12個の炭素原子を有する単環式または二環式環に関する(ここで、「ヘテロアリール」基は、直接的結合または前記のC−Cアルキレン基を介して利用可能な窒素または炭素原子によって残りの分子と結合を形成してもよい)。ヘテロアリール基の例として、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、テトラゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリニルまたはトリアジニルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本明細書で用いられる「ヘテロシクリル」なる語は、特段の定めのない限り、5員または6員の、完全飽和したまたは部分飽和した酸素、窒素または硫黄から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する複素環基に関する(ここで、「ヘテロシクリル」基は、直接的結合または前記のC−Cアルキレンを介して利用可能な窒素または炭素原子によって残りの分子と結合を形成してもよい)。ヘテロシクリル基の例として、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジンイル、ピラジニルまたはイミダゾリルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
「C−Cアルカノイル」なる語は、ホルミル、アセチル、プロパノイルまたはブタノイルなどのアシル基をいう。
【0046】
本明細書で用いられる「アリーロイル」なる語は、特段の定めのない限り、ベンゾイルなどの芳香族アシル基をいう。
【0047】
本明細書で用いられる「所望により置換されていてもよいアルキル」または「置換されているアルキル」は、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−C−アルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニル、C−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)からなる群より選択される1、2、3個または複数の置換基で置換されているアルキル基をいう。
【0048】
「所望により置換されていてもよいアルケニル」または「置換されているアルケニル」なる語は、1、2または3個のハロゲン原子で置換されているアルケニル基に関する。かかる置換基は、例えば、2−クロロエテニル、1,2−ジクロロエテニルまたは2−ブロモ−プロペン−1−イルであってもよい。
【0049】
本明細書で用いられる「所望により置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたは複素環」または「置換されているアリール、ヘテロアリールまたは複素環」なる語は、ハロゲン(好ましくは、塩素またはフッ素)、C−Cアルキル(好ましくは、メチル、エチルまたはイソプロピル)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−C−アルキル)−アミノ(好ましくは、N,N−ジメチルアミノまたはN,N−ジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニル、C−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)から選択される群より選択される1または2個の置換基で置換されているアリール、ヘテロアリールまたはヘテロ複素環基に関する。
【0050】
本明細書で用いられる、「塩」なる語は、酸付加塩または遊離塩基の付加塩を含みうる。医薬上許容される酸付加塩を形成するために用いてもよい酸の例として、硝酸、リン酸、硫酸または臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などの無毒性無機酸から生じる塩、ならびに脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシルアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸、ならびに酢酸、マレイン酸、コハク酸、またはクエン酸などの無毒性有機酸から生じる塩を含むが、これらに限定されるものではない。かかる塩の限定されない例として、ナパジシル酸塩、ベシル酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプロン酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スペリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などが挙げられる。さらに、アルギン酸塩などのアミノ酸塩およびグルコン酸塩、ガラクツロン酸塩が考えられる(例えば、Berge S.M.ら.「Pharmaceutical Salts,」J. of Pharma.Sci.,1977;66:1を参照のこと)。
【0051】
本発明の組成物に関連して用いられる「医薬上許容される」なる語は、生理的に許容であり、典型的には、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与すると、有害反応を引き起こさないかかる組成物の分子体および他の成分をいう。好ましくは、本明細書で用いられる、「医薬上許容される」は、連邦もしくは州政府の監督官庁によって承認されるか、または哺乳動物、より具体的には、ヒトに用いるための米国薬局方または他の一般に認められている薬局方において列挙されていることを意味する。
【0052】
本発明の医薬組成物に適用される「担体」なる語は、活性化合物と投与される希釈剤、賦形剤またはビヒクルをいう。かかる医薬担体は、水、セイライン溶液、水性デキストロース溶液、水性グリセロール溶液、および石油、動物性、植物性、または合成系のもの(例えば、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、ゴマ油など)を含む、油などの無菌の液体でありうる。しかしながら、ベンゾジアズレン塩は高溶解性であるので、水性溶液が好ましい。適当な医薬担体は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,第18版に記載される。短時間作用型、すなわち、60分以下などの短時間で大部分もしくは全ての活性成分の放出に適当な担体が、本発明について特に好ましく、そして薬物の迅速な吸収を可能とする。
【0053】
本明細書で用いられる「医薬上許容される誘導体」なる語は、患者への投与に際して本発明の化合物、またはその活性代謝物もしくは残渣を(直接的または間接的に)提供しうる、本発明の化合物の医薬上許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグ、例えば、エステルを意味する。かかる誘導体は、必要以上の実験をしなくとも当業者に明らかである。それにもかかわらず、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery,第5版,Vol 1:Principles and Practiceの教示に言及し、かかる誘導体の教示の範囲を本明細書の一部とする。好ましい医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物、エステル、カルバメートおよびリン酸エステルである。特に好ましい医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物およびエステルである。最も好ましい医薬上許容される誘導体は、塩およびエステルである。
【0054】
本明細書で用いられる「プロドラッグ」なる語は、例えば、血中における加水分解により、医学的効果を有するその活性型に体内で変換される化合物を意味する。医薬上許容されるプロドラッグは、T.HiguchiおよびV.Stella,「Prodrugs as Novel Delivery Systems」,A.C.Sの第14巻.Symposium Series,Edward B.Roche,ed.,「Bioreversible Carriers in Drug Design」,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987,ならびにD.Fleisher,S.RamonおよびH.Barbraによる「Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs」,Advanced Drug Delivery Reviews(1996)19(2)115−130に記載され、それぞれを本明細書の一部とする。
【0055】
本明細書で用いられる、病状、障害または病態の「処置すること」または「処置」は:
(1)病状、障害または病態に苦しむかまたは生じやすいが、病状、障害または病態の臨床または亜臨床症状を未だ経験してないかまたは示さない哺乳動物に発症する病状、障害または病態の慢性症状の出現を防止することまたは遅延すること、
(2)病状、障害または病態を抑制すること、すなわち、疾患の発症もしくはその再発(維持療法の場合)または少なくとも1つのその臨床もしくは亜臨床症状を阻止すること、減少させることまたは遅延すること、あるいは
(3)疾患を緩和することまたは軽減すること、すなわち、病状、障害もしくは病態または少なくとも1つのその臨床もしくは亜臨床症状の軽減を引き起こすこと
が含まれる。
【0056】
処置される対象における利点は、統計的に有意であるかまたは患者もしくは医師に少なくとも知覚できるものである。
【0057】
「対象」は哺乳動物をいい、好ましくは、ヒトまたは家畜であり、より好ましくは、ヒトである。
【0058】
本明細書で用いられる、「治療上有効な量」は、病状、障害または病態を処置するために哺乳動物に投与すると、かかる処置をもたらすのに十分である化合物の量を意味する。「治療上有効な量」は、化合物、疾患ならびにその重症度および年齢、体重、健康状態および処置される哺乳動物の反応性によって変化するであろう。
【0059】
本明細書で用いられる、宿主内の特定の位置に治療上有効な量の活性成分を「送達すること」は、特定の位置で治療上有効な血中濃度の活性成分をもたらすことを意味する。これは、例えば、宿主に対する活性成分の局所投与または全身投与により達成しうる。
【0060】
本明細書で用いられる「宿主」または「それを必要とする対象」なる語は、哺乳動物、好ましくは、ヒトをいう。
【0061】
本明細書で用いられる「薬物依存」は、異常欲求または薬物に対する欲求もしくは薬物中毒を意味する。かかる薬物は、一般に、経口、非経口、経鼻を含む、さまざまな投与方法のいずれかまたは吸入により罹患者に投与される。本発明の方法により治療可能な薬物依存の例は、アルコール、ニコチン、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、およびベンゾジアゼピン(例えば、バリウム(登録商標))による依存である。本明細書で用いられる「薬物依存を処置すること」は、かかる依存を減少することまたは軽減することを意味する。
【0062】
本発明に記載の以下の化合物は、式Iで示される化合物およびそれらの医薬上許容されうる誘導体を共に含む。
【0063】
医薬組成物
治療に用いるために、本発明の化合物を原化学物質として投与することは可能であるが、例えば、所望の投与経路および標準的な医薬上の実施について薬剤が選択される適当な医薬上の賦形剤、希釈剤または担体との混合物中にある場合、医薬製剤中に活性成分を含むことが好ましい。
【0064】
したがって、一の態様において、本発明は、医薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体に付随して少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物または医薬製剤を提供する。賦形剤、希釈剤および/または担体は、処方の他の成分と適合し、そのレシピエントに有害ではないという意味で「許容され」なければならない。
【0065】
別の態様において、本発明は、治療、特に、抗菌性化合物により改善しやすい病態に苦しむヒトまたは動物の対象の処置に用いるために医薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体に付随して活性成分として、少なくとも1つの本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む、医薬組成物を提供する。
【0066】
別の態様において、本発明は、治療上有効な量の本発明の化合物および医薬上許容される賦形剤、希釈剤および/または担体(その組み合わせを含む)を含む医薬組成物を提供する。
【0067】
本発明の化合物は、ヒトまたは動物薬の使用について従来の方法で投与するために処方してもよく、したがって、本発明は、ヒトまたは動物薬の使用に適している本発明の化合物を含む医薬組成物をその範囲内に含む。かかる組成物を、1つまたは複数の賦形剤、希釈剤および/または担体を用いる従来の方法に用いるために提供してもよい。治療的使用について許容される賦形剤、希釈剤および担体は、医薬分野にて公知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985)に記載されている。医薬上の賦形剤、希釈剤および/または担体の選択は、所望の投与経路および標準的な医薬上の実施について選択されうる。医薬組成物は、賦形剤、希釈剤および/または担体−あるいはそれに加えて−適当な結合剤(複数でも可)、潤滑剤(複数でも可)、懸濁化剤(複数でも可)、コーティング剤(複数でも可)、可溶化剤(複数でも可)として含んでいてもよい。
【0068】
保存剤、安定化剤、着色剤そしてさらに香料添加剤を医薬組成物中に提供してもよい。保存剤の例として、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。酸化防止剤および懸濁化剤もまた、用いてもよい。
【0069】
いくつかの実施態様について、本発明の薬剤はまた、シクロデキストリンと組み合わせて用いてもよい。シクロデキストリンは、薬物分子と包接および非包接複合体を形成するとして知られている。薬物−シクロデキストリン複合体の形成は、薬物分子の溶解度、溶解速度、バイオアベイラビリティおよび/または安定性を修飾してもよい。薬物−シクロデキストリン複合体は、一般に、大部分の剤形および投与経路に有用である。薬物との直接的な複合体形成の別法として、シクロデキストリンを、補助添加物、例えば、担体、希釈剤または安定化剤として用いてもよい。アルファ−、ベータ−およびガンマ−シクロデキストリンは、最も一般的に用いられ、適当な実施例として、WO 91/11172、WO 94/02518およびWO 98/55148に記載されている。
【0070】
本発明の化合物は、錠剤処方および他の処方タイプに適当な粒径を得るために、湿式粉砕などの周知な製粉法を用いて製粉してもよい。本発明の化合物の微粉化(ナノ粒子)製剤を、当該分野に公知な方法により調製してもよい(例えば、国際特許出願番号WO 02/00196(スミスクライン・ビーチャム)を参照のこと)。
【0071】
投与(送達)経路は、1つまたは複数の:経口(例えば、錠剤、カプセル、または経口液剤として)、局所、粘膜(例えば、鼻腔用スプレーまたは吸入用エアロゾルとして)、経鼻、非経口(例えば、注射用形態として)、胃腸、髄腔内、腹腔内、筋肉内、静脈内、子宮内、眼球内、皮内、頭蓋内、気管内、膣内、脳室内、大脳内、皮下、眼(硝子体内または前房内を含む)、経皮、直腸、口腔、硬膜外および舌下が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
異なる送達システムによって決まる異なる組成物/処方条件であってもよい。一例として、本発明の医薬組成物を、ミニポンプを用いてまたは粘膜経路により、例えば、鼻腔用スプレーもしくは吸入用エアロゾルもしくは経口液剤として、あるいは非経口的に送達するために処方してもよく、組成物は、例えば、静脈内、筋肉内または皮下経路により送達するための注射用形態で処方される。別法として、処方を両方の経路で送達されるように設計してもよい。
【0073】
薬剤が胃腸粘膜を通じて粘膜に送達されるであろう場所に、胃腸管を通じて運搬する間安定に保てるようにすべきであり、例えば、タンパク質分解に強く、酸pHに安定であり、胆汁の洗浄効果に強くするべきである。
【0074】
必要に応じて、医薬組成物は、吸入により、坐薬またはペッサリーの形態で、局所的にはローション、液剤、クリーム、軟膏または散布剤の形態で、皮膚用パッチ剤の使用により、経口ではでんぷんまたは乳糖などの賦形剤を含有している錠剤の形態で、または単独もしくは賦形剤と合したカプセルもしくはオブレ(ovule)で、または香料添加剤もしくは着色剤を含有しているエリキシル剤、液剤もしくは懸濁剤の形態で投与されうるか、あるいはそれらは非経口、例えば、静脈内、筋肉内または皮下注射されうる。非経口投与について、組成物は、溶液を血液と等張にするために他の物質、例えば、塩または単糖を十分に含んでいてもよい滅菌水性溶液の形態で最も用いられうる。口腔または舌下投与について、組成物は、従来の方法で処方されうる、錠剤またはドロップの形態で投与してもよい。
【0075】
必要な全ての化合物を同一経路で投与するわけではないことは分かるであろう。同様に、組成物が1つ以上の活性成分を含むならば、次いで、かかる成分を異なる経路で投与してもよい。
【0076】
本発明の組成物は、特に、非経口、経口、口腔、直腸、局所、インプラント、眼、鼻腔または泌尿生殖器の使用のために処方される形態のものが挙げられる。いくつかの適用について、本発明の薬剤は、全身に(経口、口腔、舌下など)、より好ましくは、経口で送達される。したがって、好ましい薬剤は、経口デリバリーに適している形態である。
【0077】
本発明の化合物が非経口投与されるならば、かかる投与の例として、1つまたは複数の:静脈内に、動脈内に、腹腔内に、髄腔内に、脳室内に、尿道内に、胸骨内に、頭蓋内に、筋肉内にもしくは皮下に薬物を投与することおよび/または注入技法を用いることが挙げられる。
【0078】
非経口投与について、化合物は、溶液を血液と等張にするために他の物質、例えば、塩またはグルコースを十分に含んでいてもよい滅菌水性溶液の形態で最も用いられる。水性溶液を、必要に応じて、(好ましくは、3ないし9のpHに)適当に中和すべきである。無菌条件下での適当な非経口処方の調製は、当業者に公知な標準的な医薬技法で容易に達成される。
【0079】
本発明に記載の化合物は、注射により(例えば、静脈内ボーラス注射もしくは注入によりまたは筋肉内、皮下もしくは髄腔内経路を介して)ヒトまたは動物薬で用いるために処方してもよく、必要に応じて保存剤を加え、アンプル、もしくは他の一回量容器で、または多回量容器の単位量形態中に含まれていてもよい。注射用組成物は、懸濁剤、液剤、または乳剤の形態、油性もしくは水性ビヒクル中にあってもよく、懸濁剤、安定化剤、可溶化剤および/または分散剤などの調合剤を含んでいてもよい。別法として、活性成分は、使用前に、適当なビヒクル、例えば、滅菌性発熱物質不含水との再構成のために無菌粉末形状であってもよい。
【0080】
本発明の化合物は、即効型、遅延放出、放出調節、持続放出、パルス放出または制御放出適用について、香料添加剤または着色剤を含有していてもよい錠剤、カプセル、オブレ、エリキシル剤、液剤または懸濁剤の形態で(例えば、経口または局所的に)投与されうる。
【0081】
本発明の化合物はまた、所望により香料添加剤および着色剤を有する、経口または口腔投与に適当な形態、例えば、液剤、ゲル、シロップ、洗口剤または懸濁剤、あるいは、使用前に水または他の適当なビヒクルと形成するドライパウダーのヒトまたは動物への使用のために提供されてもよい。錠剤、カプセル、ドロップ、トローチ、ピル、ボーラス、粉末、ペースト、顆粒、ブレットまたは予混合製剤などの固形組成物をまた、用いてもよい。経口用の固形および液状組成物は、当該分野にて公知な方法にしたがって調製されてもよい。かかる組成物はまた、固形または液状であってもよい、1つまたは複数の医薬上許容される担体および賦形剤を含んでいてもよい。
【0082】
錠剤は、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウムおよびグリシンなどの賦形剤、でんぷん(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカでんぷん)、でんぷんグリコール酸ナトリウム、クロスカリメロースナトリウムおよび特定のケイ酸複合体などの崩壊剤、ならびにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアカシアなどの造粒結合剤を含んでいてもよい。
【0083】
さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、およびタルクなどの潤滑剤を用いてもよい。
【0084】
同型の固形組成物はまた、ゼラチンカプセルのフィルターとして用いてもよい。これについて好ましい賦形剤は、ラクトース、でんぷん、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液および/またはエリキシル剤について、薬剤は、さまざまな甘味剤または香料添加剤、着色剤または染料、乳化剤および/または懸濁剤ならびに水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンなどの希釈剤、ならびにその組み合わせと合してもよい。
【0085】
本発明の化合物はまた、医薬上許容される担体または賦形剤と共に活性成分の液剤、懸濁液または分散液などの液状水薬の形態の動物薬において経口投与されてもよい。
【0086】
本発明の組成物はまた、例えば、ヒトもしくは動物薬に用いるための従来の坐剤の基剤を含有する坐剤として、または例えば、従来のペッサリーの基剤を含有するペッサリーとして処方されてもよい。
【0087】
本発明に記載の化合物は、ヒトおよび動物薬に用いるために、軟膏、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、ローション、液剤、シャンプー、パウダー(スプレーまたは散布剤を含む)、ペッサリー、タンポン、スプレー、ディップ、エアロゾル、滴剤(例えば、点眼薬、点耳薬または点鼻薬)またはポアオン剤の形態で局所投与用に処方してもよい。
【0088】
皮膚に対する局所適用について、本発明の薬剤は、例えば、1つまたは複数の以下:鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水との混合物で懸濁または溶解された活性化合物を含有する適当な軟膏として処方されうる。
【0089】
別法として、1つまたは複数の以下:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水の混合物で懸濁または溶解された適当なローションまたはクリームとして処方されうる。
【0090】
化合物はまた、例えば、皮膚用パッチ剤の使用により、皮膚に塗布してもよく、または経皮投与してもよい。
【0091】
眼科使用について、化合物は、所望により塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤と併用して、等張性、pH調節、無菌食塩水の微粉化懸濁剤、または好ましくは、等張性、pH調節、無菌食塩水の液剤として処方されうる。別法として、それらをワセリンなどの軟膏で処方してもよい。
【0092】
示されるように、本発明の化合物を、鼻腔内または吸入により投与することができ、適当な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134AT)もしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA)などのヒドロフルオロアルカン、炭酸ガスまたは他の適当なガスの使用に用いる加圧容器、ポンプ、スプレーまたは噴霧器からドライパウダー吸入器またはエアロゾルスプレー式プレゼンテーションの形態で都合よく送達する。加圧エアロゾルの場合において、剤形単位を、定量を送達するためのバルブを提供することにより測定してもよい。加圧容器、ポンプ、スプレーまたは噴霧器は、例えば、潤滑剤(例えば、三オレイン酸ソルビタン)をさらに含んでいてもよい溶媒としてエタノールおよび高圧ガスの混合物を用いる活性化合物の液剤または懸濁液を含んでいてもよい。
【0093】
インペラーまたは吸入器に用いるためのカプセルおよび(例えば、ゼラチンから製造される)カートリッジを、化合物およびラクトースまたはでんぷんなどの適当な粉末基剤の粉末混合物を含むように処方してもよい。
【0094】
吸入による局所投与について、本発明に記載の化合物は、噴霧器を介してヒトまたは動物薬の使用のために送達してもよい。
【0095】
本発明の化合物はまた、他の治療剤と併用して用いてもよい。したがって、さらなる態様において、本発明は、さらなる治療剤と共に本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む組み合わせを提供する。
【0096】
本発明の化合物またはその医薬上許容される誘導体を、同一の病状に対して活性な第二の治療剤と併用して用いる場合、各化合物の用量は、化合物を単独で用いる場合と異なっていてもよい。適当な用量は、当業者は容易に分かるであろう。処置に用いるために必要な本発明の化合物の量は、処置される病態の特徴および年齢および患者の状態に伴って変化し、最終的には顧問医または獣医の判断であろう。例えば、本発明の化合物は、必要に応じて、コルチコステロイドまたは抗真菌剤などの他の活性成分と共に局所投与に用いてもよい。
【0097】
上記の組み合わせは、医薬処方の形態で用いるために都合よく提供してもよく、したがって、医薬上許容される担体または賦形剤と共に上記の組み合わせを含む医薬処方は、本発明のさらなる態様に含まれる。かかる組み合わせの個々の成分を、従来の経路で分離または合した医薬処方で連続してまたは同時に投与してもよい。
【0098】
連続して投与する場合、本発明の化合物または第二の治療剤のいずれかを最初に投与してもよい。同時に投与する場合、組み合わせは、同一または異なる医薬組成物で投与してもよい。
【0099】
同一処方に合した場合、2つの化合物は安定で、互いにそして処方の他の成分と適合しなければならないことが分かるであろう。単独で処方される場合、それらを、当該分野においてかかる化合物について公知な方法で都合よく、都合のよい処方で提供してもよい。
【0100】
組成物は、活性物質の0.01−99%を含んでいてもよい。局所投与について、例えば、組成物は、一般に、活性物質の0.01−10%、より好ましくは0.01−1%を含むであろう。
【0101】
医薬処方の調製は、原料の混合、造粒、打錠および溶解を含んでいてもよい。医薬上許容される担体(結合剤および充填剤)は、固形または液状であってもよい。固形担体は、ラクトース、スクロース、滑石粉、ゼラチン、寒天、ペクチン、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸などであってもよい。液状担体は、シロップ、オリーブ油、ヒマワリ油または大豆油などの油、水などであってもよい。同様に、医薬上許容される処方はまた、例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルなどの徐放性活性成分についての成分を含んでいてもよい。医薬処方のさまざまな形態を用いてもよい。したがって、固形担体を用いるならば、かかる形態は、錠剤、硬ゼラチンカプセル、粉末または経口カプセルで投与してもよい、顆粒であってもよい。固形担体の量は変えてもよいが、主に25mgないし1gである。液状担体を用いるならば、処方は、シロップ、乳濁液、軟ゼラチンカプセル、アンプルなどの無菌注射液または非水性液体懸濁液の形態であるだろう。
【0102】
本発明はまた、かかる障害または病態を処置するのに有効な量の式Iで示される化合物またはその医薬上許容される塩および医薬上許容される担体を含む哺乳動物、好ましくはヒトにおける、うつ病(例えば、ガン患者におけるうつ病、パーキンソン病患者におけるうつ病、心筋梗塞後うつ病、亜症候群性うつ病、不妊女性におけるうつ病、小児うつ病、大うつ病、単一エピソード型うつ病、再発性うつ病、幼児虐待誘発性うつ病、および分娩後うつ病)、全般性不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症および孤立恐怖症)、外傷後ストレス症候群、回避性人格障害、早漏、摂食障害(例えば、拒食症および多食症)、肥満症、薬物依存(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、ニコチンおよびベンゾジアゼピン中毒)、群発頭痛、片頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経障害、パニック障害、記憶障害(例えば、認知症、健忘障害、および加齢に伴う認識衰退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における認知症、神経遮断薬誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管けいれん(とりわけ、脳血管けいれん)、小脳性運動失調症、(運動性および分泌の変化を伴う)胃腸障害、統合失調症の陰性症状、月経前症候群、繊維筋痛症、緊張性尿失禁、トゥレット・シンドローム、抜毛癖、窃盗癖、男性の性的不全、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性片頭痛ならびに(血管障害を伴う)頭痛から選択される障害または病態を処置するための医薬組成物に関する。
【0103】
本発明はまた、かかる障害または病態を処置するのに有効である量の式Iで示される化合物、またはその医薬上許容される塩および医薬上許容される担体を含む、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおけるセロトニン、ドーパミンまたはノルエピネフリンの再取り込みを阻害することにより処置されうる障害または病態を処置するための医薬組成物に関する。かかる障害および病態の例は、前段落で列挙されたものである。
【0104】
本発明はまた、かかる障害または病態を処置するのに有効な量の式Iで示される化合物またはその医薬上許容される塩をかかる処置を必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物、好ましくはヒトにおける、うつ病(例えば、ガン患者におけるうつ病、パーキンソン病患者におけるうつ病、心筋梗塞後うつ病、亜症候群性うつ病、不妊女性におけるうつ病、小児うつ病、大うつ病、単一エピソード型うつ病、再発性うつ病、幼児虐待誘発性うつ病、および分娩後うつ病)、全般性不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症および孤立恐怖症)、外傷後ストレス症候群、回避性人格障害、早漏、摂食障害(例えば、拒食症および多食症)、肥満症、薬物依存(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、ニコチンおよびベンゾジアゼピン中毒)、群発頭痛、片頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経障害、パニック障害、記憶障害(例えば、認知症、健忘障害、および加齢に伴う認識衰退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における認知症、神経遮断薬誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管けいれん(とりわけ、脳血管けいれん)、小脳性運動失調症、(運動性および分泌の変化を伴う)胃腸障害、統合失調症の陰性症状、月経前症候群、繊維筋痛症、緊張性尿失禁、トゥレット・シンドローム、抜毛癖、窃盗癖、男性の性的不全、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性片頭痛ならびに(血管障害を伴う)頭痛から選択される障害または病態を処置する方法に関する。
【0105】
本発明はまた、かかる障害または病態を処置するのに有効な量の式Iで示される化合物またはその医薬上許容される塩をかかる処置を必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物、好ましくはヒトにおける、セロトニン、ドーパミンまたはノルエピネフリンの再取り込みを阻害することにより処置されうる障害または病態を処置する方法に関する。
【0106】
本発明は、
a)医薬上許容される担体;および
b)式Iで示される化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物(ここで、式Iで示される活性化合物の量は、かかる障害または病態を処置するのに有効である)
を含む、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるセロトニン、ドーパミンまたはノルエピネフリンの再取り込みを阻害することにより処置されうる病態または障害を処置する医薬組成物に関する。
【0107】
本発明はまた、式Iで示される化合物またはその医薬上許容される誘導体(ここで、活性化合物(例えば、式Iで示される化合物)の量は、かかる障害または病態を処置するのに有効な量である)をかかる処置を必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるセロトニン、ドーパミンまたはノルエピネフリンの再取り込みを阻害することにより処置されうる障害または病態を処置する方法に関する。
【0108】
剤形
典型的には、医師が、個々の対象に最も適している実際の剤形を決定するであろう。特定の個体に対する剤形の特定の用量レベルおよび頻度を変えてもよく、用いられる特定の化合物の活性、かかる化合物の作用の代謝的安定性および長さ、年齢、体重、健康状態、性別、食事、投与方法および時間、排出速度、薬物併用、特定の病態の重症度、ならびに個体が受けている治療を含むさまざまな因子によって決まるであろう。
【0109】
ヒトに対する経口および非経口投与について、薬剤の1日投与量レベルは、1回量または分割量であってもよい。
【0110】
成人の処置に用いられる1日量の全身投与について、1−5000μg/kg(体重)、好ましくは10−100μg/kg(体重)の範囲であろう、例えば、投与経路および患者の状態によって1ないし4日量で投与してもよい。組成物が剤形単位を含む場合、各単位は、好ましくは、1mgないし100mgの活性原料を含むであろう。処置の継続時間は、任意の日数よりむしろ反応速度により影響されるであろう。
【0111】
さらに、本発明は、有効な非毒性量の式Iで示される化合物ならびに医薬上許容される担体または溶媒和物を含む医薬処方に関する。
【0112】
本発明の別の実施態様において、式Iで示される化合物、またはその医薬上許容される誘導体は、1μM未満のIC50値として表され、1μM未満のK値を有する濃度のセロトニン、ドーパミンおよびノルエピネフリントランスポーターに対する結合親和性を示す。
【0113】
活性化合物の調製方法:
式(I)で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体は、以下に記載の一般的方法、本発明のさらなる態様を構成する前記方法で調製してもよい。下記において、置換基RないしR、A、Q、Q、X、W、Z、y、y、nおよびpは、特段の定めのない限り、式Iで示される化合物に定義される意味を有する。
【0114】
式Iで示される化合物の調製に用いられる中間体の保護誘導体を用いることが好ましいことが当業者は分かるであろう。官能基の保護および脱保護を、当該分野にて公知な方法により実施してもよい。ヒドロキシルまたはアミノ基を、例えば、Green T.W.;Wuts P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis:John Wiley and Sons,New York,1999に記載のヒドロキシルまたはアミノ保護基で保護してもよい。アミノ保護基を従来の技法で取り除いてもよい。例えば、アルカノイル、アルコキシカルボニルおよびアリーロイル基などのアシル基を、酸性または塩基性条件下で、加溶媒分解、例えば、加水分解で取り除いてもよい。アリールメトキシカルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル)は、炭素担体パラジウムなどの触媒の存在下において、水素化分解により切断してもよい。
【0115】
標的化合物の合成は、当業者に公知である、標準的な技法を用いて最後から二番目の中間体に含まれる、保護基を取り除くことにより完了する。次いで、脱保護した最終生成物を、必要に応じて、例えば、シリカゲルクロマトグラフィー、シリカゲル上のHPLCなどの標準的な技法を用いてまたは再結晶により精製する。
【0116】
本発明のさらなる目的は、
【0117】
(a)式I(ここで、Qは−O−、−S−、式:
【化14】

を有する)の化合物について、式IVa:
【化15】

IVa
{式中:Bは、OH、NyH、SH、または式:
【化16】

を表す}
のアルコールと式Va:
【化17】

Va
[式中:Lは、ハロゲン原子(最も頻度の高いのは、臭素、ヨウ素また塩素)またはスルホニルオキシ基(最も頻度の高いのは、トリフルオロメチルスルホニルオキシ(すなわち、トリフラート)またはp−トルエンスルホニルオキシ(すなわち、トシレート))であってもよい脱離基である]
の化合物の反応、または
【0118】
(b)式I(ここで、Qは、−O−、もしくは式:
【化18】

を意味する)で示される化合物について、式IVb:
【化19】

IVb
[式中:Lは、水素、−Sn(R、−B(OR10、または(工程(a)に記載の)脱離基を表す{ここで、Rは、独立して、水素、アルキル、またはアルコキシから選択され、および;R10は、独立して、水素またはアルキルから選択されるか、あるいは、両方のR10置換基が環構造:
【化20】

を形成する}]
のアルコールと式Vb:
【化21】

Vb
[式中:Qは、式:
【化22】

を表す{ここで、yは、水素、−SnR、B(OR10または(工程(a)のLと同義の)脱離基を表す:ただし、Lが−SnRである場合、yは−SnRの基にはなり得ず、さらに、LがB(OR10である場合、yはB(OR10の基にはなり得ない}]
の化合物の反応、または
【0119】
(c)式I(式中:Qは、−O−、−S−、式:
【化23】

を意味する)で示される化合物について、式IVc:
【化24】

IVc
[式中:Lは上記の脱離基である]
で示される化合物と式Vc:
【化25】

Vc
[式中:Qは、−OH、−SH、式:

を表す]
で示される化合物の反応
【0120】
(d)式Iで示される化合物はまた、以下の環化工程の前に式Iと同義のRの同一性を確立している方法を経て合成されうる方法
を含む方法にしたがう式Iで示される化合物の調製に関する。
【0121】
調製方法:
式Iで示される化合物は、有機化学の分野にて公知な標準的なプロトコルを用いて上記の方法により調製されうる、例えば、
【0122】
a)式IVaおよびVaで示される化合物を経て合成が起こる、式Iで示される化合物について、置換基Bが、塩基での処置で脱プロトン化し、得られたアニオンが、ハロゲン原子(最も頻度の高いのは、臭素、ヨウ素または塩素)またはスルホニルオキシ基(最も頻度の高いのは、トリフルオロメチルスルホニルオキシまたはp−トルエンスルホニルオキシ)であってもよい、脱離基Lを置換するためにVaと反応する場合に、反応は起こりうる。縮合反応を、類似化合物の調製について開示されている方法にしたがって実施してもよい(Menozzi Gら,J.Heterocyclic Chem.,1997,34:963−968またはWO 01/87890)。反応を、相間移動触媒(好ましくは、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルブロミド)の存在下において、二相系(好ましくは、50%のNaOH/トルエン)で1ないし24時間20℃ないし100℃の温度で実施する。反応混合物の処置の後、形成した生成物を、再結晶によりまたはシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーに付して単離する。
【0123】
b)式IVbおよびVbで示される化合物を経て合成が起こる、式Iで示される化合物について、開示されている方法、ならびにsp−sp、sp−sp、およびsp−spクロスカップリング反応の当業者に公知な他の方法を介して遷移金属触媒系(例えば、PdまたはCu)の存在下において、カップリングが起こりうる。例として、銅触媒との薗頭反応(Qが炭素−炭素三重結合である場合)、パラジウムまたはニッケル触媒との鈴木、スティル、および熊田カップリング反応(Qが炭素−炭素二重結合を表す場合)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的に、例えば、Rをベンゾジアズレン構造の芳香族環に結合するためのスティルクロスカップリング反応は、触媒サイクル中酸化的付加および還元的脱離を促進するために触媒量のPd(dba)またはPd(OAc)(好ましくは、1−5mol%)および適当なリガンド(例えば、BINAP、dppe)の存在下において、適当なハロゲン化アリールおよびビニルトリアルキルチンで実施される。スティル反応は、好ましくは、1−24時間かけて高温(50−110℃)で適当な溶媒(例えば、トルエン、THF)中で実施される。
【0124】
c)式IVcおよびVcで示される化合物を経て合成が起こる、式Iで示される化合物について、上記の式IVaおよびVaに記載の同様の反応が起こりうる。かかる場合、置換基Q4を塩基での処置で脱プロトン化し、得られたアニオンを脱離基Lを置換するためにIVcと反応させる。縮合反応を、上記の類似化合物の調製に開示される方法(Menozzi Gら,J.Heterocyclic Chem.,1997,34:963−968またはWO 01/87890)にしたがって実施してもよい。別法として、脱離基Lおよび求核部Qは、以下の式IVdおよびVdのように置換できるように反応を実施しうる。
【化26】

【0125】
式IVで示される化合物の合成を、類似ジベンゾアズレン前駆体の調製について開示されている方法で実施する。例えば、方法は、出願WO 01/87890;WO 03/097649;WO 03/097648;WO 03/099823;WO 03/099827;WO 03/084964およびWO 03/084961に開示されている。例えば:
【0126】
d)Wが−O−を表し、Zが−O−、−NH−、−S−、または芳香族CHを表す、式IVで示される化合物の調製について、式VIa:
【化27】

VIa
[式中:Aは、−O−、−NH−、−S−または−CH−を意味し;および
は式(I)で示される化合物の定義を意味し、式IVa−IVdに記載のB、L、−Q(CH)L、または−Q(CH)を表す]
で示される化合物の環化。
【0127】
式VIaで示される化合物の環化は、類似化合物の調製について開示されている方法で実施される。したがって、例えば、式VIaで示される化合物(ここで、Aは−NH−を意味する)は、1ないし5時間沸点で有機溶媒(好ましくは、ベンゼンまたはトルエン)中のPOClとの反応により環化してもよく(Lombardino JG,J.Heterocycl.Chem.,1974,11:17−21)、一方、式VIaで示される化合物(ここで、Aは−O−を意味する)の環化は、5ないし10時間沸点で酢酸中の酢酸アンモニウムの存在下において実施される。Aが−CH−を意味する場合、環化は、WO 03/097649に記載の触媒量のp−トルエンスルホン酸の存在下において、1ないし5時間沸点でトルエンまたはベンゼン中にて実施される。得られた四環系生成物を、シリカゲルカラム上のクロマトグラフィーに付してまたは適当な溶媒から再結晶により単離してもよい。
【0128】
式VIaで示される化合物の調製の開始物質は、すでに知られている式VIIa:
【化28】

VIIa
[式中:R11はHを意味する]
のケトンであるかまたは類似化合物の調製に開示される方法で調製される(WO 03/084964およびWO 03/097649を参照のこと)。エタノール性塩酸中の亜硝酸ナトリウムを式VIIa(ここで、R11はNH基である)のケトンと反応されることにより、対応するオキシムを形成し、酢酸中における亜鉛などの金属との還元により式VIIa(ここで、R11はNH基である)で示されるアミノ化合物を得る。同様の反応経路がUS 4,191,421に開示されている。一般的プロトコルに記載のギ酸(Romo Dら,J.Am.Chem.Soc.,1998,120:12237−12254)または酸塩化物の作用によって、式Va(ここで、Aは−NH−基を意味する)で示される化合物を形成する。式VIIa(R11はH原子を意味する)の対応するケトンとPb(OAc)のアシルオキシ化によって(Cavill GWK,Organic Oxidation Processes;1955,4:4426−4429)、式VIa(ここで、Aは−O−を意味する)で示される化合物を得る。式VIa(Aは−CH−を表す)で示される化合物の調製の開始試薬は、式VIIa(R11は水素を表す)で示される化合物および式VIIIa:
【化29】

VIIa
[式中:Lは上記の脱離基を意味する(最も頻度の高いのは、臭素、ヨウ素または塩素)]
で示される化合物である。試薬VIIaおよびVIIIaは、すでに知られているかまたは類似化合物の調製に開示される方法にしたがって調製される(例えば、WO 03/097649を参照のこと)。
【0129】
式VIaで示される化合物は、2ないし5時間室温でジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中にてアルカリ水素化物(水素化ナトリウム)またはアルカリアミド(ナトリウムアミド)などの強塩基の存在下において調製してもよい。生成物を単離し、カラム上のクロマトグラフィーに付して精製してもよく、または環化によって、単離することなく対応するフラン誘導体中に移動してもよい。同様の化学配列は、すでに前述されている(Iyer RNら,Indian J.Chem.1973,11:1260−1262)。
【0130】
e)式IVe:
【化30】

IVe
で示されるジベンゾアズレンに相当する、式IV(ここで、Wは−N−を表し、Zは−N−を表す)で示される化合物の調製の開始物質は、すでに知られているかまたは類似化合物の調製に開示される方法で調製される(WO 03/099823を参照のこと)。
【0131】
したがって、例えば、式IVeで示される化合物は、α−ジケトン ジベンゾ−オキセピン、ジベンゾ−チエピンから調製してもよい。α−ジケトンに対するアルデヒドおよび酢酸アンモニウムの作用によって、環化および縮合イミダゾール環の形成が起こる。パラホルムアルデヒドの反応によって、置換されていないイミダゾール環を形成する。同様の反応経路は、すでに文献(Lombardino JGら,J.Heterocyclic Chem.,1974,11:17−21)に開示されている。式IVeで示される化合物の遊離NH基(WO 98/47892)の保護によって、式VIIIb:
【化31】

VIIIb
[式中:Lは、ハロゲン(最も頻度の高いのは、塩素または臭素)などの脱離基を意味する]
で示される化合物の作用により、1−および3−置換異性体の混合物として化合物IVを形成する。1ないし5時間50℃ないし150℃の温度上昇で水素化ナトリウムなどの強塩基を添加してジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ベンゼンまたはトルエンなどの有機溶媒中にて反応を実施する。粗生成物を単離し、再結晶またはシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーに付して精製してもよい。
【0132】
f)式IV(ここで、Wは−S−を表し、Zは芳香族−CHを表す)で示される化合物の調製の開始物質は、類似化合物として知られ(参照:WO 03/084961)、式VIIb:
【化32】

VIIb
で示される化合物に相当する。式IV(ここで、Rはアルキルオキシカルボニルである)で示される化合物について、式VIIbで示される化合物とメルカプト酢酸のエステルの環化は適当である。式IVで示される化合物とメルカプト酢酸エチルの環化は、類似化合物の調製について開示される方法で実施される。1ないし5時間沸点で有機塩基(好ましくは、ピリジン)の存在下において反応を実施する。得られた四環系生成物をカラムクロマトグラフィーに付してまたは適当な溶媒から再結晶により単離してもよい。
【0133】
類似化合物として知られ(参照:WO 03/084961)、式VIIa(ここで、R11は水素を表す)のケトンに相当する、式VIIbで示される化合物の調製についての開始物質は、すでに知られているかまたは類似化合物の調製について開示される方法で調製される。したがって、例えば、式VIIaで示される化合物を、適当な化学転換によって、式IX(ここで、R12はCHCOHを意味する)で示される化合物を得るような方法で、式IX:
【化33】

IX
[式中:R12は、COH基を意味する]
で示される化合物から開始して得てもよい。ポリリン酸の作用によって、式VIIaのケトンの環化および形成が生じる。同様の反応順序は、すでにProtiva Mら(CS 163583,Collect.Czech.Chem.Commun.,1975,40:1960−1965およびCollect.Czech.Chem.Commun.,1974,39:3147−3152)に開示されている。別法として、式IX(ここで、R12はCHCOHを意味する)で示される化合物は、式IX(ここで、R12はCOCH)で示される化合物を硫黄およびモルホリンと反応させ、得られたチオアミドを加水分解することにより調製してもよい(Ueda Iら,Chem.Pharm.Bull.,1975,23:2223−2231)。式VIIaの対応するケトン上でビルスマイヤー・ハック試薬の作用によって、式VIIbで示される化合物(Tsuji Kら,Chem.Pharm.Bull.,1998,46:279−286)を調製する。
【0134】
式IV(ここで、Wは−S−を表し、Zは芳香族−CHを表す)で示される化合物の調製についてのさらなる方法は、米国出願2003/0153750にて見出されうる。
【0135】
g)上記の反応によれば、式Iで示される化合物は、式Iで示される他の化合物を改変することにより調製してもよく、本発明がまた、かかる化合物および方法を含むことが分かるであろう。官能基の変換の特殊例として、式I(ここで、Rは(式IIで示されるQまたはQから生じる)アルケンまたはアルキン基を含む)で示される化合物の還元がある。パラジウムまたは白金触媒との接触水素化などの当該分野における従来の技法によってかかる反応が起こりうる。別の例として、鎖の延長およびアルケニル置換基とHR特許出願番号20000310に開示のカルボニルまたはエステル基の形成をもたらすアルデヒド基と選択リンイリドの反応がある。高温(最も頻度の高いのは、沸点)でベンゼン、トルエンまたはヘキサンなどの溶媒中にてかかる反応を実施する。
【0136】
式IVcで示される化合物を(アンモニア中のナトリウムアミドなどの)アルカリ媒体における置換アルキンと反応させることによって、式Iで示される化合物(Qは式:
【化34】

である)を得る。かかる方法の反応条件は、文献に開示されている。同様の反応条件(求核置換反応)で、さまざまなエーテル、チオエーテルまたはアミン誘導体を調製してもよい。
【0137】
例えば、ビルスマイヤーアシル化またはn−BuLiおよびN,N−ジメチルホルムアミドの反応などの方法により式Iで示される化合物のホルミル化は、変換のさらなる一般例である。かかる方法の反応条件は、文献公知である。
【0138】
ニトリル、アミドまたはエステル基を有する式Iで示される化合物の加水分解によって、例えば、エステル、アミド、ハロゲン化物、無水物、アルコールまたはアミンなどの新規の官能基を有する他の化合物の調製についての適当な中間体である、カルボキシル基を有する化合物を調製してもよい。
【0139】
酸化または還元反応は、式Iで示される化合物の置換基の変換がさらに起こり得る。最も高い頻度で用いられる酸化剤は、過酸化物(過酸化水素、m−クロロ過安息香酸または過酸化ベンゾイル)または過マンガン酸、クロム酸もしくは過塩素酸イオンである。したがって、例えば、ニクロム酸ピリジニルまたはクロロクロム酸ピリジニルによるアルコール基の酸化によって、アルデヒド基を形成し、さらに置換基を酸化によりカルボキシル基に変換してもよい。酢酸中四酢酸鉛または触媒量の過酸化ベンゾイルを用いてN−ブロモスクシンイミドと式I(ここで、Rはアルキルを意味する)で示される化合物の酸化によって、対応するカルボニル誘導体を得る。
【0140】
アルキルチオ基の選択的酸化によって、アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニル基を調製してもよい。
【0141】
ニトロ基と化合物の還元によって、アミノ化合物の調製を可能にする。接触水素化の通常条件下でまたは電気化学的に還元を実施する。炭素担体パラジウムを用いる接触水素化によって、アルケニル置換基をアルキル基に変換してもよく、またはニトリル基をアミノアルキルに変換しうる。
【0142】
式Iで示される化合物における芳香族構造のさまざまな置換基を、標準的置換反応または個々の官能基の通常変換によって改変してもよい。かかる反応の例として、芳香族置換、アルキル化、ハロゲン化、水酸化ならびに置換基の酸化または還元がある。試薬および反応条件は、文献から知られている。したがって、例えば、芳香族置換によって、ニトロ基を濃硝酸および硫酸の存在下にて改変する。ハロゲン化アシルまたはハロゲン化アルキルを用いることによって、アシル基またはアルキル基の改変を可能にする。フリーデル・クラフト反応の条件下、三塩化アルミニウムまたは三塩化鉄などのルイス酸の存在下にて反応を実施する。ニトロ基の還元によって、アミノ基を得、ジアゾ化反応によって、以下の置換基:H、CN、OH、ハロゲンの一つで置換されていてもよい、適当な開始置換基に変換する。
【実施例】
【0143】
調製例
本発明は以下の実施例に示され、それらに限定するものではない。
【0144】
中間体1:[2−(4−クロロ−2−メトキシフェノキシ)フェニル]酢酸
4−クロロ−2−メトキシフェノール(6.31mmol)、(2−クロロフェニル)酢酸(6.31mmol)、塩化銅(I)(0.63mmol)、炭酸カリウム(9.47mmol)およびキシレン(10.0mL)の反応混合物を7時間加熱還流し、次いで、室温に冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水性炭酸カリウム溶液で洗浄した。水抽出物を濃塩酸で酸性化し、次いで、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発し、固体生成物として標記化合物を得た。H NMR(ppm,CDCl):12.37(bs,1H),7.46−6.58(m,7H),3.78(s,3H),3.63(s,2H)。
【0145】
中間体2:8−クロロ−6−メトキシ−11H−ジベンゾ[b,f]オキセピン−10−オン
中間体1(0.05mole)を、120℃でポリリン酸(90.0g)に添加した。反応混合物を120℃で1時間攪拌した。加熱した反応混合物を、氷および酢酸エチルの混合物に注ぎ、攪拌し、抽出した。有機抽出物を、水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発し、油性生成物を得た。得られた油性生成物を酢酸エチルから結晶化した。H NMR(ppm,DMSO−d):7.48−7.25(m,6H),4.16(s,2H),3.98(s,3H)。MS(ES,m/z):274.98[M+H]。計算値275,05。
【0146】
中間体3:2,11−ジクロロ−4−メトキシ−ジベンゾ[b,f]オキセピン−10−カルバルデヒド
オキシ塩化リン(10.9mmol)を、0℃でN,N’−ジメチルホルムアミド(16.4mmol)およびジクロロメタン(1.85mL)の混合物を徐々に添加した。反応混合物を室温で30分攪拌した。中間体2(3.64mmole)のジクロロメタン(2.80mL)中溶液を反応混合物に添加した。反応混合物を室温で1時間、次いで、48℃で1時間攪拌した。次いで、混合物を室温で冷却した。酢酸ナトリウムの水性溶液を、反応混合物に徐々に添加した。反応混合物をジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を水性塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発し、固体生成物を得た。H NMR(ppm,DMSO−d):10.52(s,1H),7.96−7.25(m,6H),3.95(s,3H)。MS(ES,m/z):320.92[M+H]。計算値321.01。
【0147】
中間体4:11−クロロ−9−メトキシ−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸エチルエステル
2−メルカプト酢酸エチル(3.49mmol)およびトリエチルアミン(8.72mmol)を、中間体3のピリジン(7.0mL)中溶液に添加した。反応混合物を80℃で1時間攪拌し、次いで、室温に冷却し、減圧下で蒸発した。蒸発した後、水を残渣に添加し、次いで、それをジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を水性塩酸および塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発し、固体生成物を得た。得られた固体生成物を酢酸エチルから結晶化した。H NMR(ppm,DMSO−d):8.12(s,1H),7.71−7.12(m,6H),4.37(q,2H),3.95(s,3H),1.35(t,3H)。MS(ES,m/z):386.95[M+H]。計算値387.05。
【0148】
中間体5:11−クロロ−9−ヒドロキシ−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸エチルエステル
1.0Mの三臭化ホウ素(7.77mmol)の溶液を、中間体4(1.29mmol)のジクロロメタン(20.0mL)中溶液にゆっくりと滴下した。反応混合物を室温で4時間攪拌し、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を水性塩酸および塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発した。シリカゲルカラム上のクロマトグラフィーに付して残渣を蒸発し精製した後、固体生成物を単離した。H NMR(ppm,DMSO−d):10.50(s,1H),8.17(s,1H),8.10−7.01(m,6H),4.37(q,2H),1.35(t,3H)。MS(ES,m/z):371.00[M−H]。計算値371.02。
【0149】
実施例1:11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸エチルエステル
炭酸カリウム(0.56mmole)を、中間体5(0.22mmol)のN,N’−ジメチルホルムアミド(3.0mL)中溶液に添加した。反応混合物を100℃に加熱し、塩酸3−ジメチルアミノプロピルクロリド(0.27mmol)を添加した。反応混合物を100℃で4時間攪拌し、次いで、室温に冷却し、減圧下で蒸発した。蒸発した後、水を残渣に添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水性塩酸および塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発した。シリカゲル上のクロマトグラフィーに付して残渣を蒸発し精製した後、固体生成物を単離した。H NMR(ppm,CDCl):8.03(s,1H),7.53−6.98(m,6H),4.41(q,2H),4.14(t,2H),2.72(t,2H),2.42(s,6H),2.20(qn,2H),1.42(t,3H)。MS(ES,m/z):458.02[M+H]。計算値458.12。
【0150】
実施例2:11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸エチルエステルクエン酸塩
あらかじめ0℃に冷却した、実施例1の攪拌エタノール溶液(0.25g、5mLのエタノール中0.546mmol)に、クエン酸のエタノール溶液(0.1146g、5mLのエタノール中0.546mmol)を滴下した。クエン酸の添加を完了した場合、エタノールを蒸発し、淡黄色固体生成物を得た(0.27g);MS(m/z,ES+):458[MH]+;融点80−87℃;pKa 6.90;logP 4.5;溶解度(S)167mg/mL(25℃およびイオン強度 0.15M)。
【0151】
実施例3:2−ヒドロキシメチル−11−クロロ−9−(3−ジエチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン
LiAlH(0.29g、7.21mmol)の乾EtO(15.0mL)中溶液に、11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸エチルエステル(2.20g、4.80mmol)の乾EtO(15.0mL)中懸濁液を滴下した。反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物に、水を滴下した。沈殿物を形成した後、反応混合物を濾過し、沈殿物をEtO(25.0mL)およびEtOAc(25.0mL)で洗浄した。母液を無水NaSOで乾燥し、真空中で蒸発し、帯黄色粗生成物を得た(2.0g)。粗生成物をEtOAc(5mL)から再結晶化した。収率:(1.75g、87.4%)。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ/ppm:7.61−7.20(m,6H),7.01(dd,J=3.0Hz,1H),4.74(s,2H),4.14(t,J=6.2Hz,2H),2.46(t,J=7.0Hz,2H),2.18(s,6H),1.97(p,J=5.5Hz,2H)。MS(ES,m/z):415.9([M+H]。計算値416.2)。
【0152】
実施例4:11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−イルメチルアセテート
0℃で2−ヒドロキシメチル−11−クロロ−9−(3−ジエチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン(100.0mg、0.24mmol)のピリジン(3.0mL)中溶液に、AcO(227.3μL、2.4mmol)およびDMAP(3.0mg、0.02mmol)を添加した。反応混合物を室温で5時間攪拌した。反応混合物を氷に注ぎ込み、EtOAcで抽出した(3x10mL)。合した有機抽出物をブライン(15mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、真空中で蒸発し、褐色粗生成物を得た(110mg)。粗化合物を調製用LC−MS上で精製した。精製した後、粗生成物を57.1mg(52.0%)得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ/ppm:7.48−7.45(m,1H),7.37−7.34(m,2H),7.24−7.19(m,2H),7.02(dd,J=2.3Hz,1H),6.92(dd,J=2.3Hz,1H),5.30(s,2H),4.14(t,J=6.1Hz,2H),2.84(t,J=7.1Hz,2H),2.50(s,6H),2.26(p,J=7.9Hz,2H),2.14(s,3H)。MS(ES,m/z):458.0([M+H]。計算値458.1)。
【0153】
樹脂に結合する活性エステルの形成によるアミド誘導体形成の一般的製法
4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンズアミドメチルポリスチレン樹脂(PS−TFP、充填:1.23mmol/g)(57.5mg、0.07mmol)に、11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸(46mg、0.14mmol)の乾DMF(モレキュラーシーブで乾燥)(1.0mL)中溶液を、次いで、DMAP(5.13mg、0.042mmol)の乾DMF(0.53mL)中溶液を添加した。混合物を10分間振盪し、DIC(47.7μL、0.31mmol)の乾DMF(0.18mL)中溶液を添加した。反応混合物を室温で16時間振盪した。混合物を濾過し、樹脂をDMF(3x1.5mL)、THF(3x1.5mL)、DMF(3x1.5mL)およびCHCl(3x1.5mL)で洗浄し、乾燥した。かかる製法は、アミド合成における中間体となる樹脂に結合する活性化エステルを生成する。
【0154】
アミド合成法
PS−TFP活性化エステル樹脂(0.07mmol)の乾DMF(モレキュラーシーブで乾燥)(1.0mL)中懸濁液に、アミン(0.07mmol)の乾DMF(1.0mL)中懸濁液を、次いで、DIPEA(13.6μL、0.08mmol)の乾DMF(0.5mL)中溶液を添加した。反応混合物を室温で3時間振盪した。溶液を濾過し、樹脂をDMFで洗浄した(4x1.5mL)。合した母液を濃縮し、望ましいアミドを得た。
【0155】
実施例5:11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸アミド
標記化合物を、前述した一般的製法にしたがって調製し、調製用LC−MS上で精製した29mgの粗生成物を得た。精製した後、11.7mg(38.4%)の白色粉末を得た。MS(ES,m/z)([M+H]):430.0。
【0156】
実施例6:N,N−ジメチル−11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボキサミド
標記化合物を、前述した一般的製法にしたがって調製し、調製用LC−MS上で精製した43%の粗生成物を得た。精製した後、25%の純生成物を白色粉末として得た。MS(ES,m/z)([M+H]):458.0
【0157】
実施例7:N,N−ジエチル−11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボキサミド
標記化合物を、前述した一般的製法にしたがって調製し、調製用LC−MS上で精製した39%の粗生成物を得た。精製した後、31%の白色粉末を得た。MS(ES,m/z)([M+H]):486.0
【0158】
生物学的試験
モノアミン再取り込みを阻害する本発明の化合物の活性を、以下の実験でインビトロおよびインビボにて測定した:
【0159】
インビトロ実験
本研究に用いる方法は、信頼性および再現性を最大にするために科学文献から適合されている。得られた結果の妥当性を確保するために各アッセイの不可欠な要素として標準試料を用いた。アッセイを以下の条件下で実施した:
【0160】
セロトニントランスポーター(SERT):(Gu H,Wall SおよびRudnick G.,Stable expression of biogenic amine transporters reveals differences in inhibitor sensitivity, kinetics,and ion dependence.,J Biol.Chem.1994,269(10):7124−7130を参照のこと)
起源: ヒト組換えHEK−293細胞
リガンド: 0.15nMの[125I]RTI−55((3−β−(4−ヨード
フェニル)トロパン−2−β−カルボン酸メチルエステル;阻害薬

ビヒクル: 1%DMSO
培養時間/温度: 4℃で3時間
培養緩衝液: 1μMのロイペプチン、100mMのNaCl、10μMの
PMSF、50mMのTris−HCl、pH 7.4
非特異的リガンド: 10μMのイミプラミン
D1: 0.17nM
D2: 2.2μM
MAX1: 0.41pmole/mgタンパク質
MAX2: 790pmole/mg
特異的結合: 95%
定量法: 放射性リガンド結合
有意性基準: >50%の最大刺激または阻害
【0161】
ドーパミントランスポーター(DAT):(Gu H,Wall SおよびRudnick G.,Stable expression of biogenic amine transporters reveals differences in inhibitor sensitivity,kinetics,and ion dependence.,J Biol.Chem.1994,269(10):7124−7130を参照のこと)。
起源: ヒト組換えCHO細胞
リガンド: 0.15nMの[125I]RTI−55
ビヒクル: 1%DMSO
培養時間/温度: 4℃で3時間
培養緩衝液: 1μMのロイペプチン、100mMのNaCl、10μMの
PMSF、50mMのTris−HCl、pH 7.4
非特異的リガンド: 10μMのノミフェンシン
: 0.58νM
MAX: 0,047pmole/mgタンパク質
特異的結合: 90%
定量法: 放射性リガンド結合
有意性基準: >50%の最大刺激または阻害
【0162】
ノルエピネフリントランスポーター(NET):(Galli A.,De Felice L.,Duke B−J.,Moore K.およびBlakely R.,Sodium dependent norepinephrine induced currents in norepinephrine transporter transfected HEK293 cells blocked by cocaine and antidepressants.,J Exp Biol.1995,198:2197−2212を参照のこと)。
起源: ヒト組換えHDCK細胞
リガンド: 0.2nMの[125I]RTI−55
ビヒクル: 1%DMSO
培養時間/温度: 4℃で3時間
培養緩衝液: 1μMのロイペプチン、100mMのNaCl、10μMの
PMSF、50mMのTris−HCl、pH 7.4
非特異的リガンド: 10μMのデシプラミン
: 0.024μM
MAX: 2.5pmole/mgタンパク質
特異的結合: 75%
定量法: 放射性リガンド結合
有意性基準: >50%の最大刺激または阻害
【0163】
非線形最小二乗法回帰分析によって決定した、IC50値として結果を表す:IC50=[1+L(1)/K)/(1+L(2)/K)]xIC50(2)[式中:IC50(2)はリガンドの公知K値である]ならびに試験化合物の測定IC50を用いてChengおよびPrusoff方程式(Biochem.Pharmacol.22:3099−3108,1973)を用いて計算した、阻害定数Ki(Ki=IC50/(1+L/K))アッセイに用いる放射性リガンド濃度、ならびにリガンドの歴史的K値。
【0164】
1μMより低い濃度でIC50およびKを示す化合物は活性であると考えられた。セロトニン、ドーパミンおよびノルエピネフリントランスポーターに対し結合親和性を示す実施例1−7に記載の化合物は、IC50およびK値として1μM未満の値を示し、活性であると考えられた。
【0165】
同様の結果が本発明の目的である式Iに記載の他の化合物にて観察される。
【0166】
インビボ実験
マウスの尾懸垂試験:抗うつ効果の評価
本研究の目的は、式Iの選択された化合物の潜在的な抗うつ活性を評価することであった。尾懸垂試験は、潜在的な抗うつ化合物を試験するために日常的に用いられている(H.G.VogelおよびW.H.Vogel,Drug Discovery and Evaluation,Pharmacological Assays,Springer−Verlag,1997,p304−305を参照のこと)。受動的行動(すなわち、尾で吊されている場合に逃れようと積極的に試み失敗した後にマウスが示す不動性)を示す薬物処置された動物の割合を測定し、ビヒクル処置された対象動物と比較する。不動性の継続時間を約5分間記録する。マウスが少なくとも1分間、受動的かつ完全に動かずにぶら下がっている場合、マウスは動かないと考えられる。有効な抗うつ剤は、この不動性を減少させる。
【0167】
方法
一群9匹の動物を数群、式Iに含まれる化合物(0.1−10mg/kg;皮下)、またはフルオキセチン(10mg/kg;腹腔内)で処置し、一群15匹の動物を、陽性対照として皮下注射によりビヒクルで処置した。全ての動物を試験前に30分間処置した。受動的行動を示す薬物処置された動物の割合を測定し、ビヒクル処置された対照と比較した。
【0168】
結果
本実験において、70%のビヒクル処置された対照動物は、受動的行動(すなわち、不動性の増加)を示した。標準的フルオロキセチンで処置される群において、22%の動物はうつ病であった(すなわち、受動的行動を示した)。実施例1−7に記載の式Iで示される化合物で処置される群において、12−44%の動物はうつ病であった。
【0169】
本実験において、活性化合物は、マウスに対し0.1−10mg/kgの量で皮下投与した後、受動的行動の減少を引き起こした、すなわち、ビヒクル処置された対照動物に比べて少なくとも40%まで不動性を減少させた化合物である。
同様の結果が本発明の目的である式Iに記載の他の化合物にて観察される。
【0170】
鎮痛作用の測定
ライジング試験
本アッセイにおいて、疼痛はマウスの腹膜腔内に刺激物を注入することにより誘発される。酢酸が最も頻度が高い。動物は、特有のライジングと反応する(Collier HOJら,Pharmac.Chemother.,1968,32:295−310;Fukawa Kら,J.Pharmacol.Meth.,1980,4:251−259;Schweizer Aら,Agents Actions,1988,23:29−31)。本アッセイは、化合物の鎮痛作用の測定の標準的モデルである(H.G.VogelおよびW.H.Vogel,Drug Discovery and Evaluation,Pharmacological Assays,Springer−Verlag,1997,p382−384を参照のこと)。
【0171】
方法
簡潔に言えば:8ないし12週齢の雄Balb/Cマウス(チャールス・リバー、イタリア)を用いる。対照群は、0.6%の濃度の酢酸の腹腔内使用の30分前に経口で0.2mlの1%メチルセルロース懸濁液を得、一方で、試験群は、標準的な鎮痛剤(アセチルサリチル酸)、または0.6%酢酸(容量0.1ml/10g)の腹腔内使用の30分前に経口で1%メチルセルロースのさまざまな濃度の式Iで示される試験化合物を得る。マウスを、個々にガラスファンネル下に置き、ライジングの数を各動物について(最初の5分間の後)継続して20分間記録する。よじれは、少なくとも1つの後肢の伸張と同時の腹部の伸張により示される。ライジング阻害率は、以下の方程式にしたがって計算した:
【0172】
阻害%=(対照群のライジング数の平均値−試験群のライジング数)/対照群のライジング数*100。
【0173】
活性化合物は、ライジングの割合の減少によって決定されるような少なくともアセチルサリチル酸と同程度またはより優れた鎮痛作用を示すかかる化合物である。
【0174】
鎮痛作用は本発明の化合物にて観察される。
【0175】
慢性疼痛モデル−マウスのホルマリン試験
齧歯動物におけるホルマリン試験を、中枢作用性鎮痛剤に反応する慢性疼痛モデルとして用いている(Dubuisson and Dennis,The Formalin test:A quantitative study of the analgesic effects of morphine, meperidine and brain stem scintillation in rats and cats.Pain,1977,4,161−174を参照のこと)。
【0176】
方法
マウスは、前足の背側部に10%ホルマリンを投与される。試験薬物は、0.1mg/kgないし10mg/kgで皮下または経口のいずれかで同時に投与される。標準(陽性対照)モルホリンを1.7mg/kgの有効な量で皮下投与する。陰性対照は、ホルマリンで処理されていない動物である。次いで、個々の動物を、観察するために透明なプラスティック製ケージ中に置く。疼痛反応は、処置された足の挙上またはかばう行動、あるいは処置された足を過度になめる行動および/または噛む行動によって示される。測定値を30および60分に測定し、疼痛スケールにしたがって記録する。鎮痛反応または保護は、注射した足を明らかにかばうことなく両足が床に付いているかどうかを示す。
【0177】
結果の評価
保護についてのED50値を、さまざまな量で各化合物について計算する。鎮痛剤が投与されていないホルマリン処置された動物と比較してより優れたED50の鎮痛作用を示す化合物は効果を示す。
【0178】
鎮痛効果は本発明の化合物にて観察される。
【0179】
本出願中に記載される特許、特許出願、刊行物、およびプロトコルは、あらゆる目的についてその全体においてこれを本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


[式中:Xは、−CH−;−O−;−S−;または−NR−(ここで、Rは、水素、C−Cアルキル、C−C10アリールアルキル、C−Cアルカノイル、C−C10アリーロイル、またはC−Cアルキルオキシカルボニルを意味する)から選択され;
WおよびZは、各々独立して、酸素、硫黄、芳香族CH、またはNR(ここで、Rは、水素、C−Cアルキル、C−C10アリールアルキル、C−Cアルカノイル、C−C10アリーロイル、またはC−Cアルキルオキシカルボニルを意味する)を意味する:ただし、WおよびZは、同時に酸素、硫黄、または芳香族CHとはなり得ず;
は、式II:
【化2】

{式中:QおよびQは、独立して、酸素、硫黄または式:
【化3】

(式中:Yは、水素;置換されていないまたはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキル;置換されていないまたはハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1もしくは2個の置換基で置換されているアリール;ヒドロキシ;C−Cアルコキシ;C−Cアルカノイル;スルホニル;C−Cアルキルスルホニル;スルフィニル;C−Cアルキルスルフィニルから選択され;ならびに
は、水素;ハロゲン;置換されていないまたはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキル;置換されていないまたはハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1もしくは2個の置換基で置換されているアリール;ヒドロキシ;C−Cアルコキシ;C−Cアルカノイル;チオール;C−Cアルキルチオ;スルホニル;C−Cアルキルスルホニル;スルフィニル;C−Cアルキルスルフィニル;シアノ;ニトロから選択される:
ただし、炭素原子に結合している場合、置換基YおよびYの少なくとも1つは、水素を意味する)
で示される基から選択される基より選択され;
Aは、アミノ、N−(C−Cアルキル)アミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)アミノ、置換されていないまたはハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−C−アルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1もしくは2個の置換基で置換されているアリール;モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、イミダゾール−1−イルおよびピペラジン−1−イルからなる群より選択される複素環基またはヘテロアリール基から選択されるか、あるいは式III:
【化4】

III
(式中:Rは、水素;置換されていないまたはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキル;置換されていないまたは1ないし3個のハロゲンで置換されているC−Cアルケニル;C−Cアルキニル、置換されていないまたはハロゲン、C−Cアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1もしくは2個の置換基で置換されているアリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;C−Cアルコキシ;C−Cアルキルチオ;C−Cアルカノイル;アリーロイル;オキソ−C−Cアルキル;C−Cアルカノイルオキシ;カルボキシ;置換されていないまたはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキルオキシカルボニル;あるいは、置換されていないまたはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−C10アリールオキシカルボニル;カルバモイル;N−(C−Cアルキル)カルバモイル;N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル;シアノ−C−Cアルキル;C−Cアルキルスルホニル;C−Cアルキルスルフィニルから選択される)
で示される構造により表され;
nおよびpは、各々独立して、0ないし5の整数値である:ただし、nが0を意味する場合、QおよびQは、同時に酸素、硫黄または式:
【化5】

で示される基とはなり得ず、pが0を意味する場合、Qは、酸素、硫黄または式:
【化6】

で示される基とはなり得ない}
により表される置換基を意味し;
は、ハロゲン(好ましくは、塩素またはフッ素)であり;
、RおよびRは、独立して、水素、ハロ、置換されていないまたはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニル、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−Cアルキル)アミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、置換されていないまたはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルコキシカルボニル、チオール、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−Cアルキルオキシカルボニル、置換されていないまたはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、チオール、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルキルチオ、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)−アミノ、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニルおよびC−Cアルキルスルフィニルからなる群より選択される1ないし3個の置換基で置換されているC−C10アリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ、シアノ−C−Cアルキル、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニル、C−Cアルキルスルフィニルまたはニトロ基から選択される]
で示される化合物またはその薬理学上許容される誘導体、例えば、塩または溶媒和物(ここで、選択肢はすべて、同時にまたは連続的に、好ましくは、同時に満足の行くものである)。
【請求項2】
XがOまたはSを表す請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、式II:
【化7】

[式中:QおよびQは、独立して、酸素、硫黄または式:
【化8】

{式中:YおよびYは、独立して、水素;C−Cアルキルから選択される}
で示される基から選択される基より選択され;
Aは、アミノ、N−(C−Cアルキル)アミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)アミノ、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、イミダゾール−1−イルおよびピペラジン−1−イルからなる群より選択される複素環またはヘテロアリール基から選択されるか、あるいは式III:
【化9】

III
{式中:Rは、水素;置換されていないまたは上記のように置換されているC−Cアルキル;C−Cアルコキシ;C−Cアルキルチオ;C−Cアルカノイル;アリーロイル;オキソ−C−Cアルキル;C−Cアルカノイルオキシ;カルボキシ;置換されていないまたは置換されているC−Cアルキルオキシカルボニル;あるいは、置換されていないまたは置換されているC−C10アリールオキシカルボニル;カルバモイル;N−(C−Cアルキル)カルバモイル;N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル;シアノ−C−Cアルキル;C−Cアルキルスルホニル;C−Cアルキルスルフィニルから選択される}
で示される構造により表され;
nおよびpは、各々独立して、0ないし5の整数値である:ただし、nが0を意味する場合、QおよびQは、同時に酸素、硫黄または式:
【化10】

で示される基とはなり得ず、pが0を意味する場合、Qは、酸素、硫黄または式:
【化11】

で示される基とはなり得ない]
により表される請求項1記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、独立して、水素、ハロ、置換されていないまたは上記のように置換されているC−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、チオール、C−Cアルキルチオから選択され、Rが、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、置換されていないまたは置換されているC−Cアルキルオキシカルボニル、置換されていないまたは置換されているC−C10アリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ基を表す請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
Xが−O−であり、
Wが芳香族−CH−であり、
Zが−S−であり、
が式II:
【化12】

[式中:Qは酸素であり;
は式:
【化13】

{式中:YおよびYは水素である}
であり、
AはN,N−ジ(C−Cアルキル)アミノであり、
nおよびpは1である]
により表され;
が塩素であり;
が、ヒドロキシメチル、アセチルメチル、アミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、またはエトキシカルボニルであり;ならびに
およびRが水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
式Iで示される化合物が、2−置換−11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン(ここで、RはC−Cアルキルオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ基を表す)である請求項1記載の化合物またはその薬理学上許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
式Iで示される化合物が:
11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボン酸エチルエステル;
2−ヒドロキシメチル−11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン;
酢酸11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−イルメチル;
11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボキサミド;
N,N−ジメチル−11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボキサミド;
N,N−ジエチル−11−クロロ−9−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−8−オキサ−1−チア−ジベンゾ[e,h]アズレン−2−カルボキサミドから選択される請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
少なくとも1つの医薬上許容される担体もしくは希釈剤と共に、治療上有効な量の請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項9】
CNSにおけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に反応する、ヒトを含む、生きている動物の体の障害または疾患の処置のための医薬の製造についての請求項1記載の化合物の使用。
【請求項10】
障害または疾患が、うつ病(例えば、ガン患者におけるうつ病、パーキンソン病患者におけるうつ病、心筋梗塞後うつ病、亜症候群性うつ病、不妊女性におけるうつ病、小児うつ病、大うつ病、単一エピソード型うつ病、再発性うつ病、幼児虐待誘発性うつ病、および分娩後うつ病)、全般性不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症および孤立恐怖症)、外傷後ストレス症候群、回避性人格障害、早漏、摂食障害(例えば、拒食症および多食症)、肥満症、薬物依存(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、ニコチンおよびベンゾジアゼピン中毒)、群発頭痛、片頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経障害、パニック障害、記憶障害(例えば、認知症、健忘障害、および加齢に伴う認識衰退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における認知症、神経遮断薬誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管けいれん(とりわけ、脳血管けいれん)、小脳性運動失調症、(運動性および分泌の変化を伴う)胃腸障害、統合失調症の陰性症状、月経前症候群、繊維筋痛症、緊張性尿失禁、トゥレット・シンドローム、抜毛癖、窃盗癖、男性の性的不全、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性片頭痛ならびに(血管障害を伴う)頭痛である、請求項4記載の化合物の使用。
【請求項11】
治療上有効な量の式Iで示される化合物またはその薬理上許容される塩もしくは水和物を、それを必要とするヒトを含む、それを必要とする生きている動物の体に投与することを含む、CNSにおけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に反応する障害または疾患を処置する方法。
【請求項12】
CNSにおけるモノアミン神経伝達物質再取り込みの阻害に反応する障害または疾患が、うつ病(例えば、癌患者におけるうつ病、パーキンソン病患者におけるうつ病、心筋梗塞後うつ病、亜症候群性うつ病、不妊女性におけるうつ病、小児うつ病、大うつ病、単一エピソード型うつ病、再発性うつ病、幼児虐待誘発性うつ病、および分娩後うつ病)、全般性不安障害、恐怖症(例えば、広場恐怖症、社会恐怖症および孤立恐怖症)、外傷後ストレス症候群、回避性人格障害、早漏、摂食障害(例えば、拒食症および多食症)、肥満症、薬物依存(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、ニコチンおよびベンゾジアゼピン中毒)、群発頭痛、片頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫神経障害、パニック障害、記憶障害(例えば、認知症、健忘障害、および加齢に伴う認識衰退(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における認知症、神経遮断薬誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジー)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、血管けいれん(とりわけ、脳血管けいれん)、小脳性運動失調症、(運動性および分泌の変化を伴う)胃腸障害、統合失調症の陰性症状、月経前症候群、繊維筋痛症、緊張性尿失禁、トゥレット・シンドローム、抜毛癖、窃盗癖、男性の性的不全、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性片頭痛ならびに処置される(血管障害を伴う)頭痛である請求項6記載の方法。

【公表番号】特表2008−528677(P2008−528677A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553745(P2007−553745)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001480
【国際公開番号】WO2006/109190
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(506261316)グラクソスミスクライン・イストラジヴァッキ・センタル・ザグレブ・ドルズバ・ゼー・オメイェノ・オドゴヴォルノスティオ (25)
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE ISTRAZIVACKI CENTAR ZAGREB D.O.O.
【Fターム(参考)】