説明

CNT−FETバイオセンサ装置及びそれによる蛋白質又はDNAの濃度測定方法

【課題】センサヘッドを構成する個々のCNT−FETにばらつきが有っても、ばらつきのない測定値が得られるようにすること。
【解決手段】CNT−FETバイオセンサ装置1は、ソース−ドレイン間にカーボンナノチューブ(CNT)を形成したカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNT−FET)でなるセンサヘッド2と、濃度が未知の蛋白質又はDNAを測定して得られた上記センサヘッド2の出力値から上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算する演算部3とを備え、上記演算部3は、濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度の上記蛋白質又はDNAを予め測定して得られた上記センサヘッド2の出力値を記憶する記憶部30を備え、上記記憶部30に記憶された出力値を用いて、上記センサヘッド2の出力値を校正して、上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(以下、CNT−FETと略記する)をセンサヘッドとして使用するCNT−FETバイオセンサ装置、及び、それによる蛋白質又はDNAの濃度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、非特許文献1に示すように1991年に発見されたものであり、近年、そのようなカーボンナノチューブに代表されるナノカーボン材料には、様々な応用が期待されている。
【0003】
例えば、電位窓が広いことを利用して、チャネル部分にナノ炭素材料を用いたFETは、トランジスタのゲート部分に付着した蛋白質やDNAを検知するバイオセンサ装置のセンサヘッドとしての応用が期待されている。チャネルに用いる炭素材料は、ナノカーボン、とくにカーボンナノチューブやカーボンナノワイヤが有望である。
【0004】
そのようなバイオセンサ装置のセンサヘッドは、例えば、特許文献1に開示されている。
【非特許文献1】S.Iijima、 Nature Vol.354 p.56 (1991)
【特許文献1】特開2004−347532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、チャネルをカーボンナノチューブで構成するCNT−FETは、設計性がないため、バイオセンサ装置のセンサヘッドに用いても、例えば図3(A)に示すように、製造した個々の素子によって測定値がばらついてしまう。
【0006】
ここで、図3(A)は、同一構造の3個のCNT−FET(素子A1,A2,A3)をPSA(豚血清アルブミン)の濃度を測定するCNT−FETバイオセンサ装置のセンサヘッドとして用いた場合の特性図であり、横軸はPSA濃度、縦軸はドレイン電流の変化量(ΔI)を表している。
【0007】
同一構造であれば、同一濃度のPSAを測定したならば同一のドレイン電流変化量が得られるべきであるのに、同図に示すように、素子によってばらつきが出てしまう。
【0008】
このようにばらつく理由は、カーボンナノチューブを製造するときに制御が出来ないことにある。
【0009】
例えば、図8(A)に示すように、CNT−FET100のソース101−ドレイン102間に繋がるカーボンナノチューブ(CNT)103が真っ直ぐでなかったり、図8(B)に示すように、ソース101−ドレイン102間に複数のカーボンナノチューブ103が繋がったりしてしまう。この他にも、素子によって性質の違うカーボンナノチューブ103が繋がってしまう(カイラリティが異なるチューブが繋がってしまう)ことがある。
【0010】
測定値がばらつかないようにするためには、ソース101−ドレイン102間の決まった位置に、真っ直ぐなカーボンナノチューブ103を、決まった本数で正確に繋げる必要があり、更に、カーボンナノチューブ103のカイラリティを制御しなければならない。
【0011】
しかしながら、現在の技術では、位置制御、本数制御、方向制御(真っ直ぐ繋げる)は、何れもかなり困難である(方向制御に関してはサファイア上で成功例有り)。また、カイラリティの制御については、殆ど不可能である。
【0012】
このように、CNT−FETのばらつきを抑えるのは困難であり、個々の素子で測定値がばらつくのでは実用的なバイオセンサのセンサヘッドとして利用することは出来ない。従って、製品として安定したバイオセンサ装置を提供することが出来ない。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、センサヘッドを構成する個々のCNT−FETにばらつきが有っても、ばらつきのない測定値が得られるCNT−FETバイオセンサ装置及びそれによる蛋白質又はDNAの濃度測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のCNT−FETバイオセンサ装置の一態様は、蛋白質又はDNAを測定するCNT−FETバイオセンサ装置において、
ソース−ドレイン間にカーボンナノチューブを形成したカーボンナノチューブ電界効果トランジスタでなるセンサヘッドと、
濃度が未知の蛋白質又はDNAを測定して得られた上記センサヘッドの出力値から上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算する演算部と、
を具備し、
上記演算部は、濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度の上記蛋白質又はDNAを予め測定して得られた上記センサヘッドの出力値を記憶する記憶部を備え、上記記憶部に記憶された出力値を用いて、上記センサヘッドの出力値を校正して、上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算することを特徴とする。
【0015】
また、本発明のCNT−FETバイオセンサ装置による蛋白質又はDNAの濃度測定方法は、ソース−ドレイン間にカーボンナノチューブを形成したカーボンナノチューブ電界効果トランジスタでなるセンサヘッドを用いたCNT−FETバイオセンサ装置で蛋白質又はDNAを測定する際に、
予め、濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度の上記蛋白質又はDNAを測定して、得られた上記センサヘッドの出力値を記憶しておき、
上記センサヘッドを洗浄後、濃度が未知の蛋白質又はDNAを測定し、
該測定によって得られた上記センサヘッドの出力値を、上記予め記憶しておいた出力値を用いて校正し、
該校正した出力値により上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、センサヘッドを構成する個々のCNT−FETにばらつきが有っても、校正することで、ばらつきのない測定値が得られるCNT−FETバイオセンサ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るCNT−FETバイオセンサ装置1の構成を示す図である。本一実施形態は、PSAの濃度を測定する装置である。
【0019】
このCNT−FETバイオセンサ装置1は、センサヘッド2と、該センサヘッド2の出力値からPSAの濃度値を演算して出力する演算部3とから構成される。そして、演算部3は、メモリ等の記憶部30を備えている。
【0020】
上記センサヘッド2は、例えば、図2(A)及び(B)に示すような構造のCNT−FET20Aで構成されている。ここで、図2(A)はCNT−FET20Aの断面図であり、図2(B)はCNT−FET20Aの上面図である。
【0021】
即ち、このCNT−FET20Aは、シリコン基板21上に構築されたシリカ(酸化膜)22上にCNT23が形成され、該CNT23の両端にソース24及びドレイン25が形成されると共に、シリコン基板21の裏面にバックゲート26が形成されている。そして、上記CNT23,ソース24,ドレイン25上に絶縁膜27が形成され、更にその上を防水膜28で覆い、センシングエリアとしてCNT23に対応させて防水膜28にゲート窓29が開けられている。
【0022】
このような構成のCNT−FET20Aでは、ゲート窓29に電荷を持つ物質が吸着すると、その電荷によりソース24−ドレイン25間を流れる電流値が変化する。
【0023】
従って、このようなCNT−FET20AをPSAが溶解された溶液中に浸すと、該溶液中のPSAの濃度に応じてソース24−ドレイン25間を流れる電流値が変化するので、演算部3は、ドレイン電流の変化量を検出して、その変化量に基づいてPSAの濃度を演算することが出来る。
【0024】
ここで、選択的にPSAのみを吸着するように、ゲート窓29には、アンチPSAを固定しておくことが好ましい。
【0025】
前述したように、このような構成のCNT−FET20Aでは、CNT23の位置、本数、方向、及びカイラリティの制御が行えないため、図3(A)に示すように、製造した個々の素子によって特性がばらついてしまう。
【0026】
本発明者を含む研究グループは、PSA等の蛋白質のこのような構造のセンサヘッド2へのPSAの吸着が、Langmuir式
C/ΔI=C/ΔIst+1/ΔIsteq
で表されることを発見し、発表している(J. Phys. Chem. C, vol.111, No.24, 2007, p.8667-8670)。なおここで、Cはセンシングする蛋白質(例えばPSA)の濃度、ΔIはドレイン電流の変化、ΔIstはセンシングする蛋白質がセンサヘッド2上に飽和したときのΔI、即ち、極めて高濃度の蛋白質溶液をセンシングしたときのΔI、Keqは蛋白質のセンサヘッド2上への吸着の強さである。
【0027】
そして、本発明者は、更に、この蛋白質の吸着がLangmuir式で表されることに着目し、これを用いればセンサヘッド2の校正が可能となるのではないかとの知見を得た。即ち、素子の構造とセンシングする蛋白質の種類が同じであれば、Keqは同じ値となり、ΔIをΔIstで規格化すれば簡単に校正が出来るのではないかと考えた。
【0028】
図3(B)は、上記3個のCNT−FET20A(素子A1,A2,A3)のΔIstの測定結果を示す図である。
【0029】
このようなΔIstの測定結果により校正すると、即ち、
ΔI=ΔI/Ist
の演算を行い、各素子のPSA濃度値に対する電流変化量ΔIをプロットし直すと、図3(A)の特性図は、図3(C)に示すような特性図に書き替えることが出来る。
【0030】
このように、簡単に校正を行うことが出来、このため、素子が違っても定量性が確保されることが判明した。
【0031】
そこで、演算部3に記憶部30を設け、予め上記ΔIstを測定して記憶しておき、実際の測定時にはその記憶したΔIstの値を用いて校正を行うことで、センサヘッド2を構成する個々のCNT−FET20Aにばらつきが有っても、ばらつきのない測定値が得られるCNT−FETバイオセンサ装置1を提供できる。
【0032】
そのため、当該CNT−FETバイオセンサ装置1の工場前、あるいは工場出荷後で実際の測定開始前の任意の時点に、図4(A)に示すような前測定を実施する。
【0033】
即ち、まず、濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度のPSA溶液にセンサヘッド2を浸す、あるいは、そのようなPSA溶液をセンサヘッド2を構成するCNT−FET20Aのゲート窓29に塗布し、ΔIstを測定する(ステップS10)。なお、このときのPSA溶液の濃度は、濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度であれば、どのような濃度であっても構わない。そして、その測定したΔIstを演算部3の記憶部30に記憶する(ステップS11)。その後、実際の測定に備えて、センサヘッド2を洗浄しておく(ステップS12)。
【0034】
そして、実際の測定に際しては、図4(B)に示すような本測定を実施する。
即ち、濃度が未知のPSA溶液にセンサヘッド2を浸す、あるいは、そのようなPSA溶液をセンサヘッド2を構成するCNT−FET20Aのゲート窓29に塗布し、ΔIを測定する(ステップS20)。そして、演算部3では、その測定したΔIを、記憶部30に記憶したΔIstで除算することで、ΔIの校正を行う(ステップS21)。その後、この校正したΔIの値を用いてPSAの濃度値を算出し(ステップS22)、その算出した濃度値を出力する(ステップS23)。
【0035】
なお、上記ステップS22における濃度値算出は、図3(C)に示す特性を演算式として記憶部30に用意しておき、該演算式に校正したΔIを適用して求める手法や、図3(C)に示す特性をルックアップテーブルの形態で記憶部30に用意しておき、該演算式に校正したΔIに対応する濃度値を読み出す手法等、どのような手法を用いるようにしても構わない。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、センサヘッド2を構成する個々のCNT−FET20Aにばらつきが有っても、校正することで、ばらつきのない測定値が得られるようになる。
【0037】
なお、本発明者は、別構造のCNT−FETによるセンサヘッド2でも確認実験を行った。
【0038】
図5(A)及び(B)は別構造のCNT−FET20Bの断面図及び上面図である。このCNT−FET20Bは、図2(A)及び(B)に示したCNT−FET20Aにおいて、ゲート窓29に金属トップゲート40を設けたものである。
【0039】
また、図6(A)及び(B)は更に別構造のCNT−FET20Cの断面図及び上面図である。このCNT−FET20Cは、図5(A)及び(B)に示したCNT−FET20Bにおいて、金属トップゲート40を広面積化したものである。
【0040】
図7(A)は、上記3種類の4個のCNT−FET20A(素子A1,A2)、20B(素子B)、20C(素子C)をPSAの濃度を測定するCNT−FETバイオセンサ装置のセンサヘッド2として用いた場合の特性図である。
【0041】
図7(B)は、上記4個のCNT−FET20A(素子A1,A2)、20B(素子B)、20C(素子C)のΔIstの測定結果を示す図である。
【0042】
図7(C)は上記4個のCNT−FET20A(素子A1,A2)、20B(素子B)、20C(素子C)の校正したΔIのPSA濃度に対する特性図である。
【0043】
このように、素子構造が異なると、校正結果には若干の違いが見られる。従って、実際の製品化の際には、上記ステップS22における濃度値算出は、素子構造に応じた演算を行うように構成することが必要であるが、同一構造であれば素子が違っても定量性が確保されることは確認された。
【0044】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0045】
例えば、測定対象はPSAに限定されるものではなく、他の蛋白質、あるいはDNAの測定を行う場合にも、本発明は同様に適用可能である。
【0046】
また、CNT−FETの構造についても、CNT−FET20A,20B,20C以外の構造のものであっても、本発明は同様に適用可能である。
【0047】
(付記)
前記の具体的実施形態から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
【0048】
(1) 蛋白質又はDNAを測定するCNT−FETバイオセンサ装置において、
ソース−ドレイン間にカーボンナノチューブを形成したカーボンナノチューブ電界効果トランジスタでなるセンサヘッドと、
濃度が未知の蛋白質又はDNAを測定して得られた上記センサヘッドの出力値から上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算する演算部と、
を具備し、
上記演算部は、濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度の上記蛋白質又はDNAを予め測定して得られた上記センサヘッドの出力値を記憶する記憶部を備え、上記記憶部に記憶された出力値を用いて、上記センサヘッドの出力値を校正して、上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算することを特徴とするCNT−FETバイオセンサ装置。
【0049】
(実施形態との対応)
一実施形態において、CNT−FETバイオセンサ装置1が上記CNT−FETバイオセンサ装置に、ソース24が上記ソースに、ドレイン25が上記ドレインに、カーボンナノチューブ23が上記カーボンナノチューブに、CNT−FET20A,20B,20Cが上記カーボンナノチューブ電界効果トランジスタに、センサヘッド2が上記センサヘッドに、演算部3が上記演算部に、記憶部30が上記記憶部に、それぞれ対応する。
【0050】
(作用効果)
この(1)に記載のCNT−FETバイオセンサ装置によれば、センサヘッドを構成する個々のCNT−FETにばらつきが有っても、校正することで、ばらつきのない測定値が得られる。
【0051】
(2) 上記センサヘッドの出力値は、上記カーボンナノチューブ電界トランジスタのドレイン電流の変化値であり、
上記濃度が未知の蛋白質又はDNAを測定した際の電流の変化値をΔI、上記濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度の蛋白質又はDNAを測定した際の電流の変化値をΔIstとしたとき、上記演算部は、
ΔI/ΔIst
の演算結果に対応する濃度値を求めることを特徴とする(1)に記載のCNT−FETバイオセンサ装置。
【0052】
(作用効果)
この(2)に記載のCNT−FETバイオセンサ装置によれば、簡単な演算で校正を行うことが出来る。
【0053】
(3) ソース−ドレイン間にカーボンナノチューブを形成したカーボンナノチューブ電界効果トランジスタでなるセンサヘッドを用いたCNT−FETバイオセンサ装置で蛋白質又はDNAを測定する際に、
予め、濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度の上記蛋白質又はDNAを測定して、得られた上記センサヘッドの出力値を記憶しておき、
上記センサヘッドを洗浄後、濃度が未知の蛋白質又はDNAを測定し、
該測定によって得られた上記センサヘッドの出力値を、上記予め記憶しておいた出力値を用いて校正し、
該校正した出力値により上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算することを特徴とするCNT−FETバイオセンサ装置による蛋白質又はDNAの濃度測定方法。
【0054】
(実施形態との対応)
一実施形態において、CNT−FETバイオセンサ装置1が上記CNT−FETバイオセンサ装置に、ソース24が上記ソースに、ドレイン25が上記ドレインに、カーボンナノチューブ23が上記カーボンナノチューブに、CNT−FET20A,20B,20Cが上記カーボンナノチューブ電界効果トランジスタに、センサヘッド2が上記センサヘッドに、ステップS10,S11が上記予め測定して記憶することに、ステップS12が上記洗浄に、ステップS20が上記濃度が未知の蛋白質又はDNAの測定に、ステップS21が上記校正に、ステップS22が上記演算に、それぞれ対応する。
【0055】
(作用効果)
この(3)に記載のCNT−FETバイオセンサ装置による蛋白質又はDNAの濃度測定方法によれば、センサヘッドを構成する個々のCNT−FETにばらつきが有っても、校正することで、ばらつきのない測定結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るCNT−FETバイオセンサ装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、CNT−FETの構成を示す図である。
【図3】図3(A)は同一構造CNT−FETでの素子毎のばらつきを説明する特性図であり、図3(B)はΔIstの測定結果を示す図であり、図3(C)は校正結果を説明するための特性図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係るCNT−FETバイオセンサ装置による蛋白質又はDNAの濃度測定方法のフローチャートを示す図である。
【図5】図5は、別構造のCNT−FETの構成を示す図である。
【図6】図6は、更に別の構造のCNT−FETの構成を示す図である。
【図7】図7(A)は3種4個のCNT−FETでの素子毎のばらつきを説明する特性図であり、図7(B)はΔIstの測定結果を示す図であり、図7(C)は校正結果を説明するための特性図である。
【図8】図8は、素子毎のばらつきの原因を説明するためのCNT−FETの構造を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1…FETバイオセンサ装置、 2…センサヘッド、 3…演算部、 20A,20B,20C…カーボンナノチューブ電界効果トランジスタ(CNT−FET)、 21…シリコン基板、 22…シリカ、 23…カーボンナノチューブ(CNT)、 24…ソース、 25…ドレイン、 26…バックゲート、 27…絶縁膜、 28…防水膜、 29…ゲート窓、 30…記憶部、 40…金属トップゲート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛋白質又はDNAを測定するCNT−FETバイオセンサ装置において、
ソース−ドレイン間にカーボンナノチューブを形成したカーボンナノチューブ電界効果トランジスタでなるセンサヘッドと、
濃度が未知の蛋白質又はDNAを測定して得られた上記センサヘッドの出力値から上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算する演算部と、
を具備し、
上記演算部は、濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度の上記蛋白質又はDNAを予め測定して得られた上記センサヘッドの出力値を記憶する記憶部を備え、上記記憶部に記憶された出力値を用いて、上記センサヘッドの出力値を校正して、上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算することを特徴とするCNT−FETバイオセンサ装置。
【請求項2】
上記センサヘッドの出力値は、上記カーボンナノチューブ電界トランジスタのドレイン電流の変化値であり、
上記濃度が未知の蛋白質又はDNAを測定した際の電流の変化値をΔI、上記濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度の蛋白質又はDNAを測定した際の電流の変化値をΔIstとしたとき、上記演算部は、
ΔI/ΔIst
の演算結果に対応する濃度値を求めることを特徴とする請求項1に記載のCNT−FETバイオセンサ装置。
【請求項3】
ソース−ドレイン間にカーボンナノチューブを形成したカーボンナノチューブ電界効果トランジスタでなるセンサヘッドを用いたCNT−FETバイオセンサ装置で蛋白質又はDNAを測定する際に、
予め、濃度の変化に対して同一出力しか得られない濃度の上記蛋白質又はDNAを測定して、得られた上記センサヘッドの出力値を記憶しておき、
上記センサヘッドを洗浄後、濃度が未知の蛋白質又はDNAを測定し、
該測定によって得られた上記センサヘッドの出力値を、上記予め記憶しておいた出力値を用いて校正し、
該校正した出力値により上記蛋白質又はDNAの濃度値を演算することを特徴とするCNT−FETバイオセンサ装置による蛋白質又はDNAの濃度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−14573(P2009−14573A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177687(P2007−177687)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】