説明

CO2親和性化合物又はCO2親和性置換基を用いるポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法

ポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法であり、ポリエーテルカーボネートポリオールへのCO2の取込みを加速する。本方法は複合金属シアン化物を含む触媒を提供する。水素官能性開始剤とアルキレンオキシドとCO2とを反応器中で複合金属シアン化物の存在下に反応させる。本方法はまた、CO2親和性化合物又はCO2親和性置換基を提供する。このCO2親和性化合物とCO2親和性置換基は、CO2のポリエーテルカーボネートポリオール中への取込みを促進するとともに、望ましくない副生成物である環状プロピレンカーボネートなどの環状アルキレンカーボネートの生成を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にポリエーテルカーボネート(PEC)ポリオールの製造方法に関する。より具体的には、本方法は、CO2親和性化合物又はCO2親和性置換基(CO2親和性物質)を供給し、これによりCO2のPECポリオールへの取込みを促進し、よって環状アルキレンカーボネート、例えば好ましくない副生物である環状プロピレンカーボネートの生成を抑制する。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテルカーボネート(PEC)ポリオールは当業界では公知である。PECポリオール類は、架橋剤、例えばイソシアネートと共に、ポリウレタンポリマーの製造に利用されている。このポリウレタンポリマーは、発泡していてもいなくても、つまりエラストマー的であってもなくてもよい。一般に、PECポリオール類は、水素官能性開始剤とアルキレンオキシドと二酸化炭素の重合反応生成物であり、これらの反応物は反応器中で触媒の存在下で反応させられる。特に最近、アルキレンオキシドと二酸化炭素からPECポリオールへの合成反応を触媒する複合金属シアン化物含有触媒が注目を浴びている。
【0003】
いろいろなPECポリオールの製造方法が知られている。これら多様な方法において、一般に反応は反応器内で、第一反応相と第二反応相の二相で進行する。第一反応相は液体であり、水素官能性開始剤、溶解したアルキレンオキシドと二酸化炭素、複合金属シアン化物、また生成したPECポリオールを含んでいる。第二反応相は気相又は超臨界相であり、気体のアルキレンオキシドと二酸化炭素又は超臨界状のアルキレンオキシドと二酸化炭素をそれぞれ含んでいる。
【0004】
しかし、CO2の液状の第一反応相への溶解度が極めて低いことが明らかとなった。次表のデータは、一般にCO2の溶解度が低いこと、また反応器内の温度が上昇するにつれてCO2の溶解度が減少することを示している。より具体的には、次表には、代表的なポリエーテルポリオール中へのCO2の溶解度が、パーセント(%)で示されている。この代表的なポリエーテルポリオールは、ヒドロキシル価として35をとり、グリセリン開始剤と、プロピレンオキシド(PO)及び最大18%のエチレンオキシド(EO)から合成される。
【0005】
【表1】

【0006】
液状の第一反応相の各種成分のCO2中での溶解度が同様に小さいことも明らかとなった。すなわち,水素官能性開始剤とアルキレンオキシド、複合金属シアン化物、生成したPECポリオールのCO2中での溶解度は小さい。
【0007】
このように溶解度が低いため、液状の第一反応相におけるCO2の利用度も低くなる。アルキレンオキシドとCO2とが共重合してPECポリオールとなる反応は液状の第一反応相で起こるため、PECポリオール中へのCO2の取り込みは少ない。また、液状第一反応相と第二反応相との境界での反応は、さらに制限されており、PECポリオールの製造方法への寄与は大きくない。したがって、従来のPECポリオールの製造方法や製造後のPECポリオールの品質はいずれも不十分である。液状第一反応相でのCO2の利用度が低いため、PECポリオールの製造方法全体の効率が低下し、反応時間の延長や収率の低下につながっている。液状第一反応相でのCO2利用度が低いため、これらのポリオールへのCO2導入率が低下し、製造後のPECポリオールの品質が低下する。
【0008】
このPECポリオールの製造方法や製造されたPECポリオールにおけるこのような欠点を克服し、適度なCO2含有量のPECポリオール類を製造するには、高いCO2圧力及び/又は低い工程温度が必要となる。よく知られているように、高圧装置が高価であるため、また低い工程温度を採用すると触媒(複合金属シアン化物)濃度の増加及び/又はサイクルタイムの延長が必要となるため、高CO2圧力及び低工程温度は好ましくない。
【0009】
前述のように低溶解度でまたその結果として低CO2利用度のうえに、従来の複合金属シアン化物はイオン性で高極性であり、したがってCO2に非親和的である。すなわち、従来の複合金属シアン化物は、非極性であるCO2に反発する。この反発の結果、液状第一反応相での、具体的には複合金属シアン化物表面の触媒領域でのCO2の利用度が低下することとなる。従来の複合金属シアン化物はまた、望ましくない副生成物である環状アルキレンカーボネートの生成を促進させ、好ましくないことがある。環状アルキレンカーボネートが生成すると、所望のPECポリオールの全体として収率が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のような従来技術の欠点を鑑みるに、PECポリオール製造時に、溶解度を向上させてCO2の利用度を向上することができる可能性がある。また、前述の複合金属シアン化物も含め触媒を、よりCO2に対して親和性とできる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、ポリエーテルカーボネート(PEC)ポリオールの一製造方法を開示する。この方法は、触媒を供給する工程を有している。この触媒は複合金属シアン化物を含有している。本方法はまた、水素官能性開始剤とアルキレンオキシドとCO2とを反応させる工程を含む。これらの水素官能性開始剤とアルキレンオキシドとCO2とは、複合金属シアン化物の存在下で反応器内で反応し、ポリエーテルカーボネート・ポリオールを与える。本方法はまた、CO2親和性化合物又はCO2親和性置換基を供給する工程を含む。このCO2親和性化合物又はCO2親和性置換基は、CO2のPECポリオール内への取込みを促進する。
【0012】
本発明の方法は、CO2のPECポリオール内への取込みを促進することで、PECポリオールの生産効率を増加させる。このCO2親和性化合物は、液状の第一反応相中のCO2の溶解度を上昇させることにより、取込みを促進させる。同時に、このようなCO2親和性化合物は、第一反応相の各種成分の、気相又は超臨界相である第二反応相内のCO2中での溶解度を増加させる。このため、これらのCO2親和性化合物は、第一反応相から第二反応相への反応物の移行を促進する。このCO2親和性置換基は、触媒を、具体的には複合金属シアン化物を、さらに具体的には複合金属シアン化物の表面をCO2に親和的とさせることにより、このように取込みを促進する。触媒がCO2により親和的となるため、触媒表面の触媒中心のCO2濃度が上昇することとなる。驚くべきことに、触媒表面のCO2濃度の増加が、CO2の反応性を増加させるとともに、PECポリオール内への取込みを促進させることが明らかとなった。
【0013】
これらのCO2親和性化合物やCO2親和性置換基は、単独で使用してもあるいは一緒に使用しても、PECポリオールの製造において、全体としてCO2利用度を増加させる。この結果、高いCO2圧力や低い工程温度の必要がなくなる。したがって、本発明の方法では、高圧装置や、高い触媒濃度、長いサイクルタイムが不要となる。また、本発明のCO2親和性化合物やCO2親和性置換基を用いることで、望ましくない環状アルキレンカーボネート副生成物の生成を減らすことができる。
【0014】
以下に、ポリエーテルカーボネート(PEC)ポリオールの一製造方法を開示する。好ましくは、本発明のより得られるPECポリオールは、適当な架橋剤例えばイソシアネートと共に、発泡及び非発泡ポリウレタンポリマー、すなわちエラストマー的なポリウレタンポリマーの製造に供される。PECポリオールとともに使用する好ましいイソシアネートの例を、以下に一般的に示す。また、後述のように、本発明により得られるPECポリオールでは、そのPECポリオール中のCO2含有量が高い。
【0015】
本方法は複合金属シアン化物を含む触媒を提供する。以下に、この複合金属シアン化物について記載する。一般にこのPECポリオールは、水素官能性開始剤とアルキレンオキシドと二酸化炭素(総称して、「反応物」という)の重合反応生成物である。イソシアネートと同様に、好ましい水素官能性開始剤やアルキレンオキシドの例も、以下に一般的に記載する。本方法では、これらの反応物を、好ましくは陽圧下、複合金属シアン化物の存在下で反応器内で反応させ、PECポリオールを製造する。このPECポリオールは、本質的には、複合金属シアン化物の存在下で生成すアルキレンオキシドと二酸化炭素の共重合体である。
【0016】
必ずしも必要というわけではないが、工業用オートクレーブなどの大規模半回文式反応器が好ましい。反応器内では、反応中に第一反応相と第二反応相が混在しているが明らかとなっている。この第一反応相は液体であり、水素官能性開始剤、溶解したアルキレンオキシドとCO2、複合金属シアン化物、及び製造途中のPECポリオールを含んでいる。第二反応相は、気相又は超臨界相のアルキレンオキシドとCO2である。より具体的には、第二反応相が気相で、気体のアルキレンオキシドと気体のCO2を含んでいてもよい。あるいは、第二反応相が超臨界条件下にあり、超臨界状態のアルキレンオキシドと超臨界状態のCO2を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の方法はまた、CO2親和性化合物又はCO2親和性置換基を提供する。本発明の目的において、「CO2親和性」という用語は、液状の第一反応相へのCO2の溶解度を増加させるか、それら自体液状の第一反応相にかなり可溶なもののCO2の触媒表面への親和性を増加させる一連の非極性化合物又は物質を含んでいる。CO2親和性化合物とCO2親和性置換基とは、ともにCO2親和性媒体あるいはCO2親和剤と称することもある。これらのCO2親和性化合物とCO2親和性置換基とは、独立して又は共同して、CO2のPECポリオール内への取込みを促進する。より具体的には、このCO2親和性化合物とCO2親和性置換基は、反応中に全体としてCO2親和性の高い反応環境を形成させる。このようにして、CO2親和性化合物とCO2親和性置換基は、好ましいことにPECポリオールの製造に当たりCO2利用度を増加させる。
【0018】
第一の実施様態に、このようなCO2親和性化合物が提供されている。好ましくは、このCO2親和性化合物は、フッ素系化合物を含む。CO2親和性化合物として、このフッ素系化合物は、CO2のPECポリオール内への取込みを促進する。また、このCO2親和性化合物が界面活性剤で、反応環境下で可溶であることが好ましい。また、このフッ素系化合物が、第一セグメントと第二セグメントと有すことがさらに好ましい。第一セグメントは、ポリエーテルを含む。第二セグメントは、ポリフッ化アルコール、ポリフッ化ステアレートなどのポリフッ化脂肪酸、ポリフッ化アルキル化合物、ポリフッ化フォスフェート及びポリフッ化アルキルプロピオネートのうち少なくとも一つを含む。すなわち、第二セグメントは、ポリフッ化アルコール単独、ポリフッ化脂肪酸単独、ポリフッ化アルキル化合物単独、ポリフッ化フォスフェート単独、ポリフッ化アルキルプロピオネート単独、ポリフッ化ステアレート単独、これらの成分の2種以上の組み合わせ、さらにこれら6種すべての混合物を含んでいてもよい。好ましいフッ素系化合物としては、2−パーフルオロアルキルエチル・ステアレート、2−パーフルオロアルキルエタノール、2−(パーフルオロアルキル)エチル・フォスフェート、フルオロピリジン、パーフルオロアルキル・プロピオネート、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。2−パーフルオロアルキルエチル・ステアレートは、ゾニール(登録商標)FTSとして、2−パーフルオロアルキルエタノールはゾニール(登録商標)BA−Lとして、2−(パーフルオロアルキル)エチル・フォスフェートはゾニール(登録商標)FSEとして、すべてアルドリッチから市販されている。
【0019】
この第一の実施様態は、第一反応相にCO2親和性化合物を供給することに焦点を向けている。液体である第一反応相にCO2親和性化合物が供給されると、第一反応相中へのCO2の溶解度が増加する。同時にCO2親和性化合物はまた、水素官能性開始剤、アルキレンオキシド、生成したPECポリオールなどの第一反応相内の種々の成分の、第二反応相の気体状又は超臨界状のCO2中での溶解度を上昇させる。このCO2親和性化合物は、触媒重量に対して、好ましくは少なくとも10%の量で、さらに好ましくは少なくとも100%の量で、最も好ましくは少なくとも200%の量で供給することが好ましい。
【0020】
第二の実施様態においては、CO2親和性置換基が提供される。このCO2親和性置換基は、本方法の様々な時点で加えることが可能である。例えば、このCO2親和性置換基を 水素官能性開始剤とアルキレンオキシドとCO2の反応に先立って加えることができる。CO2親和性置換基を反応前に加える場合、CO2親和性置換基を、例えば下記のように反応により複合金属シアン化物に取込ませることが好ましい。しかし他の例では、このCO2親和性置換基は、初めに複合金属シアン化物と反応に用いるのでなく、複合金属シアン化物存在下での水素官能性開始剤とアルキレンオキシドとCO2との反応中に加えられる。
【0021】
このCO2親和性置換基は、化合物である必要がなく単にフッ素原子でもよい点において、前述のCO2親和性化合物とは異なっている。上に示唆されるように、本発明の方法において、CO2親和性置換基を単独で、又はCO2親和性化合物と組み合わせて用いてもよい。
【0022】
好ましくは、このCO2親和性置換基はフッ素である。あるいは、このCO2親和性置換基はフッ素系置換基(フッ素系物質)である。もしCO2親和性置換基がフッ素系置換基である場合、そのフッ素系置換基は、ポリフッ化有機置換基(ポリフッ化有機物質)からなる群より選ばれることが好ましい。最も好ましいポリフッ化有機置換基としては、トリフルオロ酢酸、ポリフッ化ステアリン酸、ペンタフルオロプロピオネート、ヘキサフルオログルタレート、ジフルオロベンゾエート、テトラフルオロピリジン、及びこれらの組合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
この第二の実施様態は、主にこのCO2親和性置換基を複合金属シアン化物中に取込ませることに注目している。いろいろなCO2親和性置換基にこれを行うには、フッ素及び/又は上記のフッ素系置換基を、例えば反応により複合金属シアン化物に取込ませる。フッ素系置換基として最も好ましい上述のポリフッ化有機置換基は、その酸性分子鎖末端でもって複合金属シアン化物のイオン性触媒中心に吸着されて触媒の表面上又は表面付近に存在し、その表面をCO2親和性とする。
【0024】
CO2親和性置換基が複合金属シアン化物に取込まれると、イオン性かつ高極性で、比較的CO2非親和性の複合金属シアン化物のCO2非親和性が弱まり、非極性のCO2に反発しなくなる。その結果、複合金属シアン化物が存在する液状の第一反応相での、具体的には複合金属シアン化物の表面の触媒サイトでのCO2の利用度が増加することとなる。好ましくは、このCO2親和性置換基を、複合金属シアン化物に、触媒重量に対して少なくとも1%、さらに好ましくは少なくとも10重量%の量で取込ませる。
【0025】
前述のように、この触媒は複合金属シアン化物を含んでいる。本発明においては、新規の触媒、具体的には新規の複合金属シアン化物が使用されている。本触媒は、複合金属シアン化物に加えて、さらに有機錯化剤、水、ポリエーテル及び界面活性剤のうちの少なくとも一種を含むことが好ましい。本触媒はさらにこれらのすべての添加成分を、具体的には有機錯化剤、水、ポリエーテル及び界面活性剤のすべてを含むことがより好ましい。その結果、本触媒が粉末の形で使用され複合金属シアン化物が非晶質構造を有するよりは、本触媒が懸濁液の形で使用され複合金属シアン化物が結晶構造を有することが好ましい。この懸濁液と結晶構造により、高い触媒活性が得られる。
【0026】
さらに、この複合金属シアン化物が、板状(即ち、板状形状の)粒子を、複合金属シアン化物重量当たり少なくとも30重量%含むことが好ましい。本発明において、板状粒子とは、厚みが長さや幅の三分の一、好ましくは四分の一、さらに好ましくは十分の一である粒子をいう。より好ましくは本発明の触媒がこのような板状粒子を50重量%以上の量で含み、最も好ましくは70重量%以上の量で含む。通常、触媒の濃度は、PECポリオールの総質量当たり、重量で1%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは1,000ppm未満、さらに好ましくは500ppm未満、及び 特に好ましくは100ppm未満である。
【0027】
上記複合金属シアン化物を含む多種多様な触媒が、本発明において使用可能である。そのような触媒の例としては、米国特許No.6,762,278に開示されている触媒(その開示内容はすべて、引用によりここに援用される)が挙げられが、これらに限定されるわけではない。
【0028】
このCO2親和性化合物又はCO2親和性置換基が効力を発揮するには、水素官能性開始剤とアルキレンオキシドとCO2との反応の際に、これらが確実に供給され、存在している必要がある。このことは、CO2親和性化合物が液状の第一反応相に添加される場合でも、CO2親和性置換基を複合金属シアン化物に反応で取込ませる場合でも当てはまる。しかし、CO2親和性化合物又はCO2親和性置換基を、反応初期に反応器に投入・添加してもよいし、反応物の導入前で反応の開始前に反応器に供給・添加してもよいことは言うまでもない。
【0029】
本発明は、特に官能基を1〜8個、好ましくは1〜4個有し、数平均分子量が200〜20,000であるPECポリオール類の製造又は合成に有用である。これらのPECポリオール類は、モノアルコールやポリアルコールなどの水素官能性開始剤と、アルキレンオキシドとCO2の付加重合により形成される。適当な水素官能性開始剤としては、ブタノールなどのアルカノール類、ブタンジオールなどのジオール類、ジプロピレングリコールなどのグリコール類、グリコールモノアルキルエーテル類、芳香族ヒドロキシ化合物、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。触媒をより効果的に働かせるために、水素官能性開始剤に一個以上のアルキンオキシド基を持たせてもよい。そのような場合、その水素官能性開始剤は、まず少なくとも一つのアルキレンオキシドと反応してオリゴマーを形成し、その後PECポリオールに変換される。このような開始剤の例としては、1〜6個のプロピレンオキシドを有するグリセリン、1〜6個のプロピレンオキシドを有するプロピレングリコール、1〜6個のプロピレンオキシドを有するトリメチルプロパン、1個以上のアルキレンオキシドが結合したジプロピレングリコール、1個以上のアルキレンオキシドが結合したショ糖、1個以上のアルキレンオキシドが結合したソルビトール、およびこれらオリゴマーの混合物が挙げられる。当業界の通常の技量を持つ人には明らかなように、PECポリオール成形反応において、このオリゴマーは、製造に供されるアルキレンオキシドとも反応するし、他のアルキレンオキシドとも反応する。
【0030】
好ましいアルキレンオキシドとしては、一個のアルキレンオキシド基を有する化合物、例えばエチレンオキシド、1,2−エポキシプロパン、1,2−メチル−2−メチルプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−メチル−3−メチルブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−メチル−3−メチルペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、スチレンオキシド、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、(2,3−エポキシプロピル)ベンゼン、ビニルオキシラン、3−フェノキシ−1,2−エポキシプロパン、2,3−エポキシ(メチルエーテル)、2,3−エポキシ(エチルエーテル)、2,3−エポキシ(イソプロピルエーテル)、2,3−エポキシ−1−プロパノール、3,4−エポキシブチルステアレート、4,5−エポキシペンチルアセテート、2,3−エポキシプロピルメタクリレート、2,3−エポキシプロピルアクリレート、グリシドールブチレート、メチルグリシデート、エチル−2,3−エポキシブタノエート、4−(トリメチルシリル)ブタン−1,2−エポキシド、4−(トリメチルシリル)ブタン 1,2−エポキシド、3−(パーフルオロメチル)プロペンオキシド、3−(パーフルオロメチル)プロペンオキシド、3−(パーフルオロブチル)プロペンオキシド、及び上記化合物の混合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0031】
PECポリオール中のCO2含有量は、PECポリオール中のCO3の重量%当たり、好ましくは1〜30%、さらに好ましくは2〜20%、及び最も好ましくは5〜15%である。このPECポリオールは、回分式、半回文式、あるいは完全に連続式で製造可能である。合成時の処理温度は、通常40℃〜180℃の範囲、好ましくは90℃〜130℃の範囲である。180℃を超える温度では、触媒が分解して触媒活性の低下が起こることがある。反応中のCO2の圧力は、CO2の取込みに影響を与える。許容CO2圧力の範囲は広く、10〜3,000 ポンド/平方インチ(psi)、好ましくは 621〜17237Kpa(90〜2,500psi)、さらに好ましくは 621〜13789Kpa(90〜2,000psi)である。
【0032】
最初に述べたように、本発明に応じて製造したPECポリオールは、架橋剤とともに、発泡及び非発泡のポリウレタンポリマー類の製造に使用される。架橋剤がイソシアネートの場合、使用可能なイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体や誘導体が挙げられる。水酸基とイソシアネート基の反応を、第三級アミン触媒及び/又はオクタン酸第一スズやジブチルスズ・ジラウレートなどの有機スズ化合物で触媒してもよい。また、発泡ポリウレタンポリマーを得るのに、発泡剤を使用してもよい。添加の際に、安定化剤や難燃剤を添加してもよい。
【0033】
以下の実施例に、複合金属シアン化物を含む触媒の合成やPECポリオールの合成の例を記載するが、これらは本発明を例示するものであって、限定するものではない。
【実施例】
【0034】
実施例 1 (比較用の複合金属シアン化物含有触媒)
実施例1において、既存の複合金属シアン化物含有触媒を次のように調整した。
ヘキサシアノコバルト酸の合成
7リットルのナトリウム型強酸性イオン交換体(アンバーライト(登録商標)252Na、ローム・アンド・ハース)を、イオン交換カラム(長さ:1m、容量:7.7l)に充填した。次いで、1時間に2ベッドボリュームの速度で、濃度が10%の塩酸をイオン交換カラムに9時間、溶離液中のナトリウム含有量が1ppm未満となるまで流して、このイオン交換体をH型に変換した。次いで、このイオン交換体は、水で中性となるまで洗浄した。この再生イオン交換体を、実質的にアルカリ金属を含まないヘキサシアノコバルト酸の合成に用いた。この目的のために、ヘキサシアノコバルト酸カリウムの0.24モル濃度水溶液を、1時間に1ベッドボリュームの速度で、イオン交換体を通過させた。2.5ベッドボリュームの通液後、通液をヘキサシアノコバルト酸カリウム溶液から水に変更した。得られた2.5ベッドボリュームの平均ヘキサシアノコバルト酸含有量は4.5重量%で、アルカリ金属含有量は1ppm未満であった。これらのヘキサシアノコバルト酸溶液は、適宜水で希釈した。
【0035】
複合金属シアン化物を含む触媒懸濁液の調整
479.3gの酢酸亜鉛水溶液(13.8gの酢酸亜鉛二水和物及び2.2gのポリエーテル、プルロニック(登録商標)PE6200(BASF)を150gの水に溶解)を、50℃に加熱した。撹拌下(スクリュウスターラー、攪拌エネルギー:1W/1)に、558gのヘキサシアノコバルト酸水溶液(コバルト含有量:9g/l、ヘキサシアノコバルト酸溶液当たり1.5重量%のプルロニック(登録商標)PE6200(BASF))を20分かけて添加した。ヘキサシアノコバルト酸溶液全量を添加後、混合物をさらに50℃で5分間攪拌した。その後、1時間かけて温度を40℃に下げた。析出した固体を、圧力ろ過により液体から分離し、水で洗浄した。次いで、この湿ったろ塊を液体中に分散し、濃度が5重量%の複合金属シアン化物を含む懸濁液を得た。
【0036】
実施例1の既存複合金属シアン化物を含有する触媒は、この触媒が従来の複合金属シアン化物含有触媒と比べて、CO2親和性置換基を複合金属シアン化物に取込ませるのに有用であること示すために合成されたものである。
【0037】
実施例2〜5
複合金属シアン化物を含む触媒及びCO2親和性化合物又はCO2親和性置換基を、上述の一般法により合成した。その詳細は、下記の表に示した。
【0038】
【表2】

【0039】
PECポリオール類の調整
複合金属シアン化物とCO2親和性化合物又はCO2親和性置換基を含む実施例2〜5の触媒を用いて、以下に記載の一般法により、PECポリオール類を合成した。
【0040】
攪拌機、外部加熱装置、内部冷却コイル、プロピレンオキシド供給ライン、二酸化炭素ガス供給ライン、温度センサ及び圧力センサを備えた清潔で乾燥した300mlのオートクレーブに、70gの水素官能性開始剤及び実施例2〜5の触媒を投入した。これらの試験に用いた水素官能性開始剤は、グリセリンとプロピレンオキシドモノマーの付加物であり、その数平均分子量は730、水分含有量が<0.03%、残留触媒量が<5ppmであった。この開始剤と触媒の混合物を、真空下(<1mmHg)で110〜130℃で2時間加熱して、残留水分を除去した。アルゴンガスを用いて、真空系を破り、反応器の加圧を0psiとした。次いで、5gのプロピレンオキシドを加え、反応器内の圧力上昇を観測した。15〜30分以内に、反応器内圧力が減少して0psiに戻り、複合金属シアン化物含有触媒が活性化され、作動していることを示した。次いで、170gのプロピレンオキシド(PO)モノマーを、110〜130℃で1g/分の一定速度で添加した。PO供給の5分後、反応器をCO2ガス(エアープロダクツ、試薬)で加圧し、PO供給の間、維持した。PO添加工程の終了後、未反応のモノマーは110〜130℃で完全に反応させた。反応器を常圧に戻して冷却し、生成物を捕集した。ピーク分子量及び重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーで決定した。粘度はブルックフィールドDV−IIIレオメーターを用いて測定した。PECポリオールのカーボネート含有量は、IR(1745cm-1のピーク)で決定し、ポリマー中のCO3の重量%として求めた。その際、副生物のプロピレンカーボネートは除去されていなかった。生成プロピレンカーボネートの量も、IRで測定し、重量%で表した。
【0041】
実施例6
実施例6のPECポリオールは、実施例2の複合金属シアン化物を用いて、前述の一般法により合成した。0.2gの複合金属シアン化物含有触媒を用いた。反応温度は110℃で、反応器はCO2で6205Kpa(900psi)に加圧した。得られた反応生成物の収量は254gであった。そのピーク分子量は994で、重量平均分子量は20,096であった。PECポリオール生成物の多分散性Mw/Mnは7.98であった。PECポリオールのカーボネート含有量は、12.3%であった。プロピレンカーボネートは、2.7%存在した。
【0042】
実施例2の修飾複合金属シアン化物含有触媒を用いて得られた実施例6のPECポリオール生成物により、CO2のPECポリオールへの取込み活性が高いこと、選択性が大幅に高いこと、プロピレンカーボネート副生物の生成が少ないことが判明した。
【0043】
実施例7
実施例7のPECポリオールは、実施例3の複合金属シアン化物を用いて、
前記一般法により合成した。0.2gの複合金属シアン化物含有触媒を用いた。反応温度は110℃であり、反応器はCO2で6205Kpa(900psi)に加圧した。得られた反応生成物の収量は261gであった。そのピーク分子量は1,284で、重量平均分子量は17,271であった。このPECポリオール生成物の多分散性Mw/Mnは7.14であった。このPECポリオールのカーボネート含有量は13.1%であった。プロピレンカーボネートは、4.4%存在した。
【0044】
実施例3の修飾複合金属シアン化物含有触媒を用いて得た実施例7のPECポリオール生成物により、CO2のPECポリオールへの取込み活性が高いこと、選択性が大幅に高いこと、プロピレンカーボネート副生物の生成が少ないことが判明した。
【0045】
実施例8
実施例8のPECポリオールは、実施例3の複合金属シアン化物を用いて、前記一般法により合成した。0.2gの複合金属シアン化物含有触媒を用いた。反応温度は110℃であり、反応器はCO2で6205Kpa(900psi)に加圧した。得られた反応生成物の収量は274gであった。そのピーク分子量は1,228で、重量平均分子量は13,331であった。このPECポリオール生成物の多分散性Mw/Mnは5.73であった。このPECポリオールのカーボネート含有量は12.6%であった。プロピレンカーボネートは、10.5%存在した。
【0046】
実施例4の修飾複合金属シアン化物含有触媒を用いて得た実施例8のPECポリオール生成物により、CO2のPECポリオールへの取込み活性が高いこと、選択性が大幅に高いこと、プロピレンカーボネート副生物の生成が少ないことが判明した。
【0047】
実施例9
実施例9のPECポリオールは、実施例5の複合金属シアン化物を用いて、前記一般法により合成した。0.2gの複合金属シアン化物含有触媒を用いた。反応温度は110℃であり、反応器はCO2で6,205Kpa(900psi)に加圧した。得られた反応生成物の収量は271gであった。そのピーク分子量は1,525で、重量平均分子量は6,284であった。このPECポリオール生成物の多分散性Mw/Mnは2.72であった。このPECポリオールのカーボネート含有量は11.9%であった。プロピレンカーボネートは、5.2%存在した。
【0048】
実施例5の修飾複合金属シアン化物含有触媒を用いて得た実施例9のPECポリオール生成物により、CO2のPECポリオールへの取込み活性が高いこと、選択性が大幅に高いこと、プロピレンカーボネート副生物の生成が少ないことが判明した。
【0049】
実施例10
実施例10のPECポリオールは、実施例1の従来の複合金属シアン化物を用いて、前記一般法により合成した。0.5gの複合金属シアン化物含有触媒を用いた。さらに、1gの2−パーフルオロアルキルエチルステアレート(ゾニール(登録商標)FTS)を、CO2親和性化合物として開始剤混合物に添加した。反応温度は110℃であり、反応器はCO2で6205Kpa(900psi)に加圧した。得られた反応生成物の収量は281gであった。そのピーク分子量は2,035で、重量平均分子量は2,847であった。このPECポリオール生成物の多分散性Mw/Mnは1.21であった。このPECポリオールのカーボネート含有量は13.8%であった。プロピレンカーボネートは、11.9%存在した。
【0050】
実施例1の従来の複合金属シアン化物含有触媒とCO2親和性化合物を用いて得た実施例10のPECポリオールにより、CO2のPECポリオールへの取込み活性が高いこと、選択性が大幅に高いこと、プロピレンカーボネート副生物の生成が少ないことが判明した。
【0051】
実施例11〜12 (比較用PECポリオール)
比較のために、実施例11と実施例12では、実施例1の触媒に相当する既存の複合金属シアン化物含有触媒を用いて、既知のPECポリオールを合成した。実施例11と実施例12のPECポリオールは、前述のPECポリオールを製造する一般法により調整した。
【0052】
実施例11
実施例11の既存PECポリオールは、実施例1に記載のものと同等の既存の複合金属シアン化物を用いて、前述の一般法により合成した。0.5gの複合金属シアン化物含有触媒を用いた。反応温度は130℃で、反応器はCO2で2068Kpa(300psi)に加圧した。得られた反応生成物の収量は247gであった。そのピーク分子量は1,825で、重量平均分子量は2,805であった。このPECポリオール生成物の多分散性Mw/Mnは1.24であった。この既存PECポリオールのカーボネート含有量は3.9%であった。プロピレンカーボネートは、2.7%存在した。
【0053】
実施例12
実施例12の既存PECポリオールは、実施例1に記載のものと同等の既存の複合金属シアン化物を用いて、前述の一般法により合成した。0.5gの複合金属シアン化物含有触媒を用いた。反応温度は110℃であり、反応器はCO2で6,205Kpa(900psi)に加圧した。得られた反応生成物の収量は287gであった。そのピーク分子量は1,805で、重量平均分子量は3,015であった。このPECポリオール生成物の多分散性Mw/Mnは1.33であった。この既存PECポリオールのカーボネート含有量は12.9%であった。プロピレンカーボネートは、15.5%存在した。
【0054】
以上、本発明を具体的に説明してきたが、もとより使用した用語は、説明を目的とするものであり、制限を目的とするものではない。上の記述をもとに本発明のいろいろな修正や改変が可能であり、上記に具体的に記述したもの以外にも本発明を実施することが可能であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合金属シアン化物を含む触媒を供給する工程、
反応器中で、前記複合金属シアン化物を含む触媒の存在下で、水素官能性開始剤とアルキレンオキシドとCO2とを反応させてポリエーテルカーボネートポリオールを形成する工程、及び
フッ素系化合物又はフッ素系置換基を供給する工程を含むことを特徴とする
ポリエーテルカーボネートポリオールの製造方法。
【請求項2】
前記CO2親和性化合物がフッ素系化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フッ素系化合物が、ポリエーテルを含む第一セグメントと、ポリフッ化アルコール、ポリフッ化脂肪酸、ポリフッ化アルキル化合物、ポリフッ化フォスフェート又はポリフッ化アルキルプロピオネートを含む第二セグメントとを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記フッ素系化合物が、2−パーフルオロアルキルエチル・ステアレート、2−パーフルオロアルキルエタノール、2−(パーフルオロアルキル)エチル・フォスフェート、フルオロピリジン、パーフルオロアルキル・プロピオネート、及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記CO2親和性置換基がフッ素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記CO2親和性置換基がフッ素系置換基を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フッ素系置換基がポリフッ化有機置換基からなる群から選択される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリフッ化有機置換基が、トリフルオロ酢酸、ポリフルオロステアリン酸、ペンタフルオロプロピオネート、ヘキサフルオログルタレート、ジフルオロベンゾエート、テトラフルオロピリジン、及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フッ素系化合物又はフッ素系置換基を供給する工程が、前記CO2親和性化合物又は前記CO2親和性置換基を、前記水素官能性開始剤と前記アルキレンオキシドとCO2との反応の間に添加することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
反応器中に第一反応相と第二反応相とが存在し、第一反応相が液体で、前記水素官能性開始剤、溶解したアルキレンオキシド と二酸化炭素、前記複合金属シアン化物、及び前記の形成されたポリエーテルカーボネートポリオールを含み、第二反応相が気相又は超臨界相のアルキレンオキシドとCO2を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記フッ素系化合物又はフッ素系置換基を供給する工程が、前記CO2親和性化合物を第一反応相に供給することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記CO2親和性化合物を第一反応相に供給する工程が、前記CO2親和性化合物を触媒重量に対して少なくとも10重量%の量で供給することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記CO2親和性化合物がフッ素系化合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記フッ素系化合物が、ポリエーテルを含む第一セグメントと、ポリフッ化アルコール、ポリフッ化脂肪酸、ポリフッ化アルキル化合物、ポリフッ化フォスフェート又はポリフッ化アルキルプロピオネートを含む第二セグメントとを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フッ素系化合物又はフッ素系置換基を供給する工程が、前記CO2親和性置換基を前記複合金属シアン化物に取り込ませることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記CO2親和性置換基を複合金属シアン化物に取り込ませる工程が、前記CO2親和性置換基を前記複合金属シアン化物に触媒重量に対して少なくとも 1重量%の量で取り込ませることを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記CO2親和性置換基を複合金属シアン化物に取り込ませる工程が、フッ素を前記複合金属シアン化物に取り込ませることを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記CO2親和性置換基を複合金属シアン化物に取り込ませる工程が、フッ素系置換基を前記複合金属シアン化物に取り込ませることを含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記フッ素系置換基がポリフッ化有機置換基からなる群から選択される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記水素官能性開始剤とアルキレンオキシドとCO2を反応させる工程が、前記水素官能性開始剤と前記アルキレンオキシドとCO2とを陽圧下で反応させることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記触媒がさらに有機錯化剤、水、ポリエーテル、界面活性剤の少なくとも一種を含む請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記複合金属シアン化物が、結晶性構造を有し、その板状粒子の含有量が前記複合金属シアン化物の重量当たり少なくとも30重量%である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記フッ素系化合物を供給する工程が、前記フッ素系化合物を前記水素官能性開始剤と前記アルキレンオキシドとCO2の反応の間に供給することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記フッ素系化合物が、ポリエーテルを含む第一セグメントと、ポリフッ化アルコール、ポリフッ化脂肪酸、ポリフッ化アルキル化合物、ポリフッ化フォスフェート又はポリフッ化アルキルプロピオネートを含む第二セグメントとを含む請求項2に記載の方法。
【請求項25】
反応器中に第一反応相と第二反応相が存在し、第一反応相が液体で、前記水素官能性開始剤、溶解したアルキレンオキシドと二酸化炭素、前記複合金属シアン化物、及び前記の形成されたポリエーテルカーボネートポリオールを含み、第二反応相が気相又は超臨界相のアルキレンオキシドとCO2を含む請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記フッ素系化合物を供給する工程が、前記フッ素系化合物を第一反応相に供給することを含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記フッ素系化合物を供給する工程が、前記フッ素系化合物を、触媒重量に対して少なくとも10重量%の量で供給することを含む請求項2に記載の方法。

【公表番号】特表2008−534553(P2008−534553A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503491(P2008−503491)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061067
【国際公開番号】WO2006/103213
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】