説明

CPDを形成する種のレベルを低めた、ゲル化に対する安定性を改善するための樹脂の処理

低濃度のCPD形成種、及び優れた耐ゲル化安定性を有するポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含む組成物を処理する方法を開示する。ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を、エピハロヒドリン:アミンの比率が約1.1:1.0未満で製造し;次に、樹脂を塩基処理、続いて酸処理で処理し、優れたゲル化に対する貯蔵安定性を有し、生成するCPDが低濃度である樹脂が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂、および、樹脂を含む水性組成物、ならびに、特に製紙産業のための強力剤を含む樹脂組成物を形成する方法に関する。本発明はまた、樹脂、同様にそれらの製造方法に関し、本樹脂、ならびにその樹脂を含む組成物および製品(例えば紙製品)は、エピハロヒドリンおよびエピハロヒドリン加水分解産物のような残留物が減少している。さらにその上、本発明は、保存された場合に、エピハロヒドリンおよびエピハロヒドリン加水分解産物のような残留物を低濃度に維持する樹脂、ならびに組成物および製品(例えば紙製品)に関する。さらにその上、本発明のそれぞれの形態は、様々な固体含量、特に高い固体含量で樹脂を含む組成物に関する。
【0002】
発明の背景
【背景技術】
【0003】
湿潤強力樹脂は、製造時に紙や板紙によく添加される。紙は、湿潤強力樹脂の非存在下では、水に濡らした後、通常はその強度の3%〜5%しか保たない。しかしながら、湿潤強力樹脂を用いて製造された紙は、濡らした後、一般的にその強度の少なくとも10%〜50%を保持する。湿潤強力は、広範囲の紙用途において有用であり、その用途のいくつかの例は、紙タオル、牛乳やジュース用の紙パック、紙袋、および、段ボール箱のための段ボール原紙である。
【0004】
また、特により低いコストを達成するために紙に高収率の木材パルプを使用する近年の傾向に照らして、乾燥強度も、製紙業者にとって重要な紙の特性である。これらの高収率の木材パルプは一般的に、高度に精製されたパルプから製造された紙と比較すると著しく強度が低い紙を生産する。
【0005】
湿潤強力樹脂もまた、紙に高い乾燥強度を提供する。
【0006】
紙に強度を付与するのに用いられる樹脂と類似した樹脂もまた、クレーピング用の接着剤としてよく用いられる。化粧紙、トイレットペーパーまたはペーパータオルのようないくつかの紙製品の製造において、それら紙製品に望ましいテクスチャー特性(例えば柔らかさや、嵩)を付与するため、巻取り紙は従来、クレーピングの方法で処理される。典型的には、クレーピングの方法は、巻取り紙(紙の場合はセルロースの巻取り紙)を、回転するクレーピングシリンダー(例えばヤンキードライヤーとして知られている装置)に付着させ、次に、付着した巻取り紙をドクターブレードで取り除くことを含む。ドクターブレードに対する巻取り紙の衝撃により、巻取り紙内で繊維と線維の結合の一部が裂け、巻取り紙にしわまたは縮みが生じる原因となる。
【0007】
ポリアミノポリアミド−エピハロヒドリン樹脂のようなポリアミン−エピハロヒドリン樹脂は、多量のエピハロヒドリン加水分解産物を含むことが多い。例えば、市販のポリアミノポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂は通常、0.5〜10重量%(乾燥基準)のエピクロロヒドリン(epi)副産物、1,3−ジクロロプロパノール(1,3−DCP)、2,3−ジクロロプロパノール(2,3−DCP)、および、3−クロロプロパンジオール(CPD)を含む。また、epi副産物は、epi残留物としても知られている。このような樹脂のepi副産物量を減少させた製造が、多くの調査の主題であった。吸着性有機ハロゲン(AOX)種の量がより低い樹脂を製造しようとする環境的な圧力が高まっている。「AOX」は、樹脂の吸着性有機ハロゲン成分を意味し、これは、炭素への吸着によって決定することができる。AOXとしては、エピクロロヒドリン(epi)、および、epi副産物(1,3−ジクロロプロパノール、2,3−ジクロロプロパノール、および、3−クロロプロパンジオール)が挙げられ、同様に、ポリマー主鎖に結合した有機ハロゲンも挙げられる。
【0008】
エピハロヒドリン加水分解産物の量を減少させる数種の方法が考案されている。一つの選択肢は、合成工程で用いられるエピハロヒドリンの量を減少させることである。加水分解産物の濃度を減少させた組成物を生産する別の選択肢は、製造プロセスにわたる制御である。加水分解産物の濃度を減少させた組成物を生産するための、製造プロセス中の非高分子アミンでの処理が知られている。また、クロロヒドリン残留物は、無機塩基とアミンとを両方添加することによって除去できることも知られている。クロロヒドリンを除去する工程は、粘度増加が起こった後に行われる。
【0009】
また、合成後の処理も知られている。また、エピハロヒドリンおよびエピハロヒドリン加水分解物は、塩基と反応し、塩化物イオンと多価アルコールを形成できることも知られている。合成工程中に、塩基を用いて、湿潤強力組成物の有機塩素成分を減少させ、組成物の重量に基づきレベルを緩和する(例えば、レベルを約0.11〜約0.16%緩和する)ことができる。米国特許第5,019,606号では、湿潤強力組成物と、有機または無機塩基とを反応させることを示している。
【0010】
米国特許第5,256,727号では、エピハロヒドリンおよびその加水分解産物と、二塩基性リン酸塩またはアルカノールアミンとを当モルの比率で反応させ、塩素化した有機化合物を、塩素化していない種に変換することことを示している。これを行うことにより、第二の反応工程を少なくとも3時間を行うことが必要であるが、これは、著しい追加コストが生じ、湿潤強力組成物中の不要な有機または無機物質が多量に生じる。多量のエピハロヒドリンおよびエピハロヒドリン加水分解産物を含む(例えば上記組成物の約1〜6重量%)組成物において、形成された有機材料の量も、同様に、望ましくないほど多量に存在する。
【0011】
さらにその上、米国特許第5,972,691号は、合成工程の後に(すなわち、樹脂を形成するための重合反応の後に)湿潤強力組成物を無機塩基で処理することを行い、樹脂を低いpHで安定化することにより、湿潤強力組成物の有機ハロゲン成分(例えば塩素化した加水分解産物)を減少させ、レベルを緩和する(例えば、組成物の重量に基づき約0.5%)ことを開示している。次に、このようにして形成された組成物は、微生物または酵素で処理され、エピハロヒドリンおよびエピハロヒドリン加水分解産物のレベルが極めて低い湿潤強力組成物を経済的に製造することができる。
【0012】
AOX含量を減少させるためのその他の樹脂の処理方法としては、炭素吸着体または限外ろ過で処理して、AOX量が低いポリアミノアミド/エピクロロヒドリン樹脂を製造することが挙げられる。
【0013】
塩基性のイオン交換樹脂の使用によって、高いレベルのハロゲン化された副産物、同様に、低濃度のハロゲン化副産物を含む製品からハロゲン化された副産物を除去することができる。しかしながら、この方法を用いると、湿潤強力組成物において著しい収率ロスと、湿潤強力の有効性の減少が起こる可能性がある。
【0014】
窒素非含有の、有機ハロゲンを含む化合物を、比較的無害の物質に変換することができることがわかっている。例えば、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール(また、3−クロロプロパンジオール、3−モノクロロプロパンジオール、モノクロロプロパンジオール、クロロプロパンジオール、CPD、3−CPD、MCPDおよび3−MCPDとしても知られている)、および、エピクロロヒドリンをアルカリで処理し、グリセロールが製造される。
【0015】
米国特許第5,470,742号、5,843,763号、および、5,871,616号(参照によりその全体を本発明に含める)は、微生物または微生物由来の酵素の使用を開示しており、それにより、湿潤強力の有効性を減少させないで、エピハロヒドリンおよびエピハロヒドリン加水分解産物を湿潤強力組成物から除去することができる。
【0016】
その上、Riehleの米国特許第6,429,267号(参照によりその全体を本発明に含める)は、他の特徴のなかでも、アゼチジニウムイオンと第三アミノハロヒドリンを含む開始時の水溶性湿潤強力樹脂のAOX含量を減少させる方法を開示しており、この方法は、樹脂を水溶液中で塩基と処理し、処理済の樹脂を形成することを含み、ここで、開始時の樹脂に存在する第三アミノハロヒドリンの少なくとも約20モル%がエポキシドに変換され、アゼチジニウムイオンのレベルは実質的に変化させないで、湿潤強度の付与における処理済の樹脂の有効性は、開始時の湿潤強力樹脂と少なくともほぼ同程度とすることができる。
【0017】
Riehle等の米国特許第6,554,961号では、酸処理を示している。しかしながら、6,554,961号の酸処理は、過酷であり、すなわち低いpHで長時間行われるため、ポリマーの分子量が低くなり、反応性の官能基が減少する傾向があり、その結果、湿潤強度の効率がより低くなる。好ましくは、酸処理の後、塩基処理が行われ、それにより分子量を再構築し、湿潤強度の効率を回復させる。米国特許第6,554,961号では、第一の酸処理、それに続く塩基処理を示している。
【0018】
米国特許出願第2003/0000667A1号(参照によりその全体を開示に含める)は、少なくともハロゲンを含む残留物(例えばCPD)の形成を減少させて保存が可能な高固体含有ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂製品、特にポリアミン−エピハロヒドリン樹脂製品を目的としている。
【0019】
米国特許第6,222,006号では、末端がキャップされたポリアミノアミドポリマーから製造された熱硬化性湿潤強力樹脂が説明されている。用いられる末端のキャップは、モノカルボン酸または一官能性カルボン酸エステルであり、高い固体含量を有する湿潤強力樹脂が得られるようにポリアミンアミドの分子量を制御するのに用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
前述のアプローチはそれぞれ、様々な結果を提供しており、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を、特に高い固体含量で使用することにおける改善が引き続き必要である。特に、適度な粘度の溶液または分散液に比較的高い高分子の固体濃度で供給することができる樹脂組成物、例えば湿潤強力、乾燥強度およびクレーピング剤としての樹脂がなお引き続き必要である。従って、ポリマー架橋による製品の変質(例えばゲル化する問題)を起こすことなく、固体を高濃度で含む分散液または溶液として製造、保存、処理および運搬することができる樹脂が、引き続き必要である。
【0021】
発明の簡単な説明
【課題を解決するための手段】
【0022】
ゲル化に対して安定な樹脂を提供するには、ポリアミド−エピハロヒドリン樹脂を加熱し、塩基で処理して、粘度を減少させ、続いて再構築(架橋)させ、次に、穏酸処理でクエンチする。樹脂の量と塩基の量の比率を慎重に選択することによって、生じた樹脂のCPDを形成する種(ポリマーに結合したCPD)のレベルは極めて低い。この塩基処理プロセスの架橋速度は、指定された粘度を有するばらつきのない製品を提供するために、製造環境において容易に管理できものである。しかしながら、塩基処理した樹脂は、ポリマーに結合したCPDは極めて少ないが、酸を比較的低いpHまで添加した場合でさえもゲル化に対する安定性が極めて劣っている。驚くべきことに、比較的穏やかな酸による安定化を行うと、ポリマーに結合したCPDが極めて低い塩基処理した樹脂のゲル化に対する安定性が劇的に改善できることが発見された。
【0023】
発明の詳細な説明
特に指定がない限り、全てのパーセンテージ、部、比率等は、重量に基づく。
【0024】
特に指定がない限り、化合物または成分への言及には、化合物または成分そのものだけでなく、同様に、他の化合物または成分との組み合わせたもの(例えば化合物の混合物)も含む。
【0025】
さらに、量、濃度、または、その他の値またはパラメーターが、好ましい上限値と好ましい下限値の一覧として示される場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかに関わらず、好ましい上限値と好ましい下限値のあらゆる対で構成される全ての範囲が具体的に開示されているものと理解される。
【0026】
貯蔵後にポリアミン−エピハロヒドリン樹脂中で形成されるCPDは、樹脂のオリゴマーおよび/またはポリマー成分と会合したCPDを形成する種によるものである。ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂は、製造の最中に、および/または、その後に、貯蔵の際にCPDを形成する、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂と会合する要素の形成を予防する、阻害する、および/または除去するような様式で処理することができる。本発明によって処理される好ましいポリアミン−エピハロヒドリン樹脂は、ポリアミノポリアミド−エピハロヒドリン樹脂である。樹脂のCPDを形成する種を除去または減少させる処理のいくつかとしては、酸処理、塩基処理、プレポリマー中の少ない酸の末端基、および、酵素処理が挙げられる。
【0027】
本発明は、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の塩基処理、それに続く樹脂の酸処理を含む。驚くべきことに、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含む組成物のpH、温度、開始時の粘度および固体濃度などの処理条件の釣り合いをとることによって、塩基性物質で処理して、望ましい粘度特性を有し、CPDを極めてよく解離させて、CPDを形成する種を減少または除去することが可能であることが発見された。これらの新たに発見された塩基処理条件により、樹脂粘度を高くすること、低くすること、または望ましいレベルで維持することことが可能であり、低い固体含量で、同様に、15重量%またはそれより大きい高い固体濃度での塩基処理が可能である。加えて、驚くべきことに、塩基処理後の酸処理により、高いレベルのアゼチジニウム官能基を維持しながら大いに増強されたゲル化に対する安定性が提供されることが発見された。
【0028】
本発明は、塩基性処理に関してより高い製造の処理量と、増強されたゲル化に対する安定性を提供するため有用である。それゆえに、この技術は、(1)アゼチジニウム官能基のロスを最小限にすることによる、高固体含有の高い有効性の樹脂の製造、および、(2)CPDを形成する種がより低濃度の樹脂の製造を可能にする。本発明に係る樹脂は、過度のCPD形成を起こすことなく保存することができる。
【0029】
CPDを形成する種を減少させる、または除去するための塩基処理は、予想よりも高い固体含量の樹脂で行うことができることが発見された。活性固体が約13重量%またはそれ未満の樹脂サンプルに、前述した塩基処理の開示を行った。従って、本発明に係る塩基処理によって、従来技術で開示されたような固体含量を4重量%またはそれ未満もの低い濃度で含み得る。しかしながら、従来技術に対し、本発明に従って塩基性物質で処理された水性樹脂組成物の固体含量は、13重量%より高い、より好ましくは約15重量%より高い、より好ましくは約18重量%より高い、さらに約25重量%より高いことが可能である。好ましい固体含量の範囲としては、約13〜30重量%、より好ましくは約15〜27重量%、より好ましくは約18〜25重量%が挙げられる。
【0030】
少なくとも1種の塩基性物質が、樹脂組成物中でのCPDを形成する種の十分な加水分解を達成するのに適した条件下で樹脂に添加される。好ましくは、樹脂の湿潤強力の有効性のような樹脂の性能の変質を最小化しながら、または、望ましくなく高い樹脂粘度を予防しながら加水分解反応を可能にするために、時間、温度、pH、開始時の粘度、固体含量、および、樹脂のエピハロヒドリン:アミンの条件の釣り合いを取る。従って、意外なことに、CPDを形成する種の加水分解は、時間、温度、pH、開始時の粘度、および、固体含量の条件の釣り合いをとることによって、高い固体濃度、および/または、1.2:1.0未満のエピハロヒドリン:アミンの比率で行うことができる。
【0031】
粘度
理論に制限されることは望まないが、活性固体含量が増加するにつれて、架橋速度も増加し、それに従って粘度の上昇速度も増加すると考えられる。反応条件の賢明な選択によって、粘度を増加させる架橋反応の速度と、粘度を減少させるポリマー主鎖の加水分解反応の速度との釣り合いを取り、それにより予想通りに望ましい粘度を得ることができる。粘度は、樹脂の特性の尺度であるである。高すぎる粘性を有する樹脂は、ゲル化に対する安定性が低いと予想される。低すぎる粘度を有する樹脂は、湿潤強度の効率がより低い有する樹脂になると予想される。
【0032】
特筆すべきことは、樹脂組成物の粘度は、塩基処理中に開始時の粘度から増加または減少させることができ、上述したような望ましい粘度および反応条件に応じて同一、または実質的に同一のままにすることができることである。上記に関して、望ましい粘度の樹脂が製造できる粘度で反応混合物が保持されるように、ポリマーの破壊または分子量増加のような他の反応との釣り合いを取るか、またはそれらを最小化することが好ましい。好ましくは、粘度は、粘度に応じて、ブルックフィールドLVDV−II+プログラム可能な粘度計を25℃で用いるか、または、ブルックフィールドDVII+、スピンドルLV2のような同等物を60または100rpmで用いることによって測定される。プログラム可能な粘度計については、用いられる手順は、操作説明書、マニュアル番号M/97−164に基づいていた。この粘度計によれば、説明マニュアルに従って、サンプルの粘度に応じて正しいスピンドルとrpmが用いられた場合にのみ粘度が測定される。
【0033】
さらに特筆すべきことは、条件、好ましくは温度、pHおよび固体含量を反応中に変化させることである。例えば、反応混合物の粘度が、望ましい速度より高い速度で増加する場合、温度を低くすることができる。粘度増加の速度と温度との間には逆の関係がある。温度が増加するにつれて、粘度上昇の速度も増加する。
【0034】
驚くべきことに、本発明はまた、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含む組成物の分子量または粘度を減少させるのにも使用できることが発見された。従来技術に基づけば、塩基処理は、分子量または粘度を増加させると予想される。反応条件の賢明な選択によって、塩基処理を分子量または粘度を減少させるのに用いることができる。例えば、初期に塩基性物質を添加すると、粘度は、減少させることができる。粘度が再構築される前に塩基処理をクエンチすると、樹脂の最終粘度は一般的に、活性な固体は同等で、初期の開始時の粘度より低くなると予想される。言い換えれば、塩基性物質を添加した後に、反応をクエンチすることによって、活性な固体が同等で、より低い粘度を有する樹脂を得ることができる。それゆえに、本発明はまた、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含む組成物の分子量または粘度を減少させる方法も目的とし、本方法は、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含む組成物を、少なくとも1種の塩基性物質で処理することを含む。
【0035】
塩基処理
通常、塩基処理の反応条件を変化させることによって、反応時間が変化するものと予想される。pHおよび/または温度を低くすることができ、および/または、添加の塩基性物質を添加することができる。温度を高めると、反応に必要な時間が短くなると予想される。一般的に、固体含量がより高いと、塩基処理時間がより短くなる。CPDを形成する種の望ましい減少を実現するには、一般的に、より高い固体の樹脂により多くの塩基性物質が用いられる。
【0036】
塩基処理の温度は、少なくとも約20℃、より好ましくは約25℃〜65℃、より好ましくは約30℃〜60℃、より好ましくは約35℃〜55℃、さらにより好ましくは約35℃〜50℃が可能である。反応時間は、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間でもよいし、反応時間は、3時間またはそれ以上でもよく、または、2時間以下、または、1時間以下でもよい。反応時間は、約5分〜3時間、より好ましくは約10分〜2時間、より好ましくは約20分〜1時間が可能である。pHは、約9.5〜約12.5、好ましくは約10〜約12.5、または、約10.5〜12.5または好ましくは約10〜12、さらにより好ましくは約10.5〜11.6の範囲で様々である。好ましいpH値は、好ましい温度の35℃〜50℃で測定される。好ましいpH値は、塩基性物質を添加してから5分間後に測定される。pHは、好ましくは、塩基処理中に減少する。塩基処理中に観察される一般的なpH減少は、開始時のpH11.4から、11.0への減少である。
【0037】
本発明において、有機および無機塩基の両方を用いることができる。塩基は、あらゆるプロトンアクセプターと定義される。典型的な塩基としては、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩、アルカリ土類金属水酸化物、トリアルキルアミン、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、アンモニア、有機アミン、アルカリ金属硫化物、アルカリ土類硫化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類アルコキシド、および、アルカリ金属リン酸塩、例えばリン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが挙げられる。好ましくは、塩基は、アルカリ金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、および、水酸化カリウム)またはアルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム)であり得る。最も好ましくは、塩基は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの無機塩基を含み、これらは、それらの低コストと利便性に関して特に好ましい。
【0038】
塩基処理の後に、樹脂組成物を酸でクエンチする。樹脂組成物のpHを、約1.0〜4.0に低くする。一般的に、酸でのクエンチの後の温度は、必須ではないが、約25℃〜約55℃である。
【0039】
酸処理
塩基処理に続いて、穏酸処理が用いられる。穏酸処理は、室温より高くした温度で樹脂を処理することを含む。酸処理の温度は、少なくとも約35℃、より好ましくは約40℃〜75℃、さらにより好ましくは約45℃〜70℃、さらにより好ましくは約50℃〜70℃、さらにより好ましくは約50℃〜65℃が可能である。酸処理の反応時間は、約20分〜5時間、より好ましくは約30分〜4時間、より好ましくは約40分〜3時間、より好ましくは約50分〜2.5時間が可能である。好ましい処理温度と時間は、反比例する。処理温度が減少するに従って、処理時間は、好ましくは増加する。理論に制限されることは望まないが、塩基処理プロセス中に形成されたエポキシド官能基のほとんどが、酸処理プロセス中にクロロヒドリン官能基に変換されていることが好ましい。酸処理のpHは、1.0〜4.0、好ましくは1.5〜3.5、好ましくは1.8〜3.5、好ましくは1.8〜3.2、好ましくは2.0〜3.0、さらにより好ましくは約2.2〜2.8の範囲で様々である。好ましいpH値は、25℃で測定される。好ましい酸処理のpHは、樹脂の望ましい粘度などの数種の要因に依存する。酸処理のpHが好ましい範囲内で増加するに従って、粘度は、増加する傾向がある。理論に制限されることは望まないが、この酸処理プロセス中のpHと粘度の関係は、架橋反応と、ポリマー粘度が落ちる反応との釣り合いによるものである。pH値が、酸処理中に、酸性物質を周期的または連続的に添加することによって、開始時の酸性pHに維持されるか、またはそれに近いpHに維持されることが好ましい。本発明では、ここで有機および無機酸の両方を用いることができる。酸は、あらゆるプロトンドナーと定義される。適切な酸としては、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、硝酸、ギ酸、リン酸および酢酸が挙げられる。硫酸のようなハロゲンを含まない酸が好ましい。
【0040】
特筆すべきことは、本願に記載のガイドラインと非限定的な実施例に従えば、当業者であれば、CPDを形成する種の加水分解を実現するような処理条件と処理条件の釣り合いを決定し、望ましい分子量または粘度で得ることができることである。
【0041】
本発明は、さらなる処理を行わない樹脂合成プロセスで製造されたような樹脂に適用できる。その上、樹脂は、CPDを形成する種を減少させる、および/または除去する前に様々な方法によって処理することができる。さらにその上、CPDを形成する種を減少させる、および/または、除去する処理の後に、樹脂は、様々な方法によって処理することができる。さらにその上、樹脂は、CPDを形成する種を減少および/または除去させる前に、様々な方法によって処理することができ、さらに、樹脂はまた、CPDを形成する種を減少させる、および/または、除去する処理の後に、様々な方法で処理することもできる。さらなる処理のタイプとしては、これらに限定されないが、炭素 処理、溶媒抽出、膜分離および生物学的な脱ハロゲン化が挙げられる。
【0042】
本発明によって処理される樹脂
本発明に係る塩基処理で、続いて穏酸処理で処理することができる樹脂としては、あらゆるポリアミン−エピハロヒドリン樹脂が挙げられる。また、本発明は、エピハロヒドリン(例えばエピクロロヒドリン)を、ポリアミノアミドプレポリマーのようなプレポリマー(本発明においては、ポリマーもまた同義的に用いられる)と反応させることによって製造された、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂(例えばポリアミノポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂)の製造、使用および処理も目的とする。ポリアミノポリアミド−エピハロヒドリン樹脂の場合、特筆すべきことは、ポリアミノアミドプレポリマーはまた、ポリアミドアミン、ポリアミノポリアミド、ポリアミドポリアミン、ポリアミドポリアミン、ポリアミド、塩基性ポリアミド、カチオン性ポリアミド、アミノポリアミド、アミドポリアミンまたはポリアミンアミドとも称されることである。
【0043】
本発明で使用するのに好ましいポリマー群としては、カチオン性ポリマーが挙げられ、これは単独でもよいし、または他のポリマーと共にでもよい。特に好ましいカチオン性ポリマーとしては、湿潤強力を紙に付与する目的で用いられるものが挙げられる。湿潤増強剤のような製紙用調合物において有用な多くのポリマの列挙が、米国でチャップマン・ホール(Chapman Hall,ニューヨーク)により出版されたPaper Chemistry,78〜96頁に記載されている。この本の第6章は、「湿潤強力の化学(Wet Strength Chemistry)」という表題であり、その全体を参照により本発明に含める。数種のポリマーのクラスが説明されており、これらは、紙に湿潤強力を付与するのに用いられ、なかでも、ポリアミノアミド−エピクロロヒドリン樹脂、および、エポキシ化したポリアミド樹脂が挙げられる。
【0044】
本発明は、単独で、または、紙を湿潤強力化するのに用いられるその他のポリマーと組み合わせて用いることができるような、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂のようなカチオン性ポリマーの処理に関する。これらの樹脂としては、エピハロヒドリン樹脂、および、窒素を含むカチオン性ポリマーが挙げられ、これらはいずれも、エピハロヒドリンの反応物から誘導されたものである。本発明の目的にとって好ましい樹脂としては、米国特許第2,926,154号;3,332,901号;3,891,589号;3,197,427号;4,240,935号、4,857,586号;5,171,795号、および、5,714,552号、欧州特許公報第0,349,935号、および、イギリス国特許第865,727号で説明されているようなポリアミノアミド−エピハロヒドリン湿潤強力樹脂が挙げられる。特筆すべきことは、本発明において、これらの樹脂は、一般的にポリアミン−エピハロヒドリン樹脂と称することであり、このような樹脂としては、これらに限定されないが、ポリアミノポリアミド−エピハロヒドリン樹脂(これはまた、ポリアミノアミド−エピハロヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂、ポリアミンポリアミド−エピハロヒドリン樹脂、アミノポリアミド−エピハロヒドリン樹脂、ポリアミド−エピハロヒドリン樹脂としても知られている);ポリアルキレンポリアミン−エピハロヒドリン;および、ポリアミノウリレン(polyaminourylene)−エピハロヒドリン樹脂、コポリアミド−ポリウリレン(polyurylene)−エピハロヒドリン樹脂、ポリアミド−ポリウリレン(polyurylene)−エピハロヒドリン樹脂(ここでエピハロヒドリンは、いずれの場合も、好ましくはエピクロロヒドリンである)が挙げられる。
【0045】
典型的な樹脂はまた、米国特許第6,554,961号でも説明されている。樹脂の好ましいタイプの一つは、アゼチジニウム官能基を有するものである。典型的なエピハロヒドリン樹脂は、N−ハロヒドリン基、および、3−ヒドロキシアゼチジニウム塩化物基の存在を特徴とする。
【0046】
本発明において好ましいポリアミンは、ジカルボン酸またはそれらの誘導体と、2〜4個の炭素、2個の第一アミン基、および、1〜3個の第二アミン基を有する2〜4個のアルキレン基を含むポリアルキレンポリアミンとを反応させることによって製造される。ポリアミノアミドの製造に適したジカルボン酸誘導体としては、エステル、無水物および酸ハロゲン化物が挙げられる。
【0047】
ポリアルキレンポリアミンからポリアミノアミドを製造する手法は、Keimの米国特許第2,926,154号で説明されている(参照によりその全体を本発明に含める)。
【0048】
上記の内容を発展させて、ポリアミノポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂は、エピクロロヒドリン、および、ポリアルキレンポリアミンから誘導されたポリアミド、および、約2〜約10個の炭素原子を含む飽和脂肪族の二塩基性カルボン酸の、水溶性ポリマー状の反応生成物を含む。このタイプの樹脂は、酸性、アルカリ性または中性のいずれの条件下で製造されても、紙に湿潤強力を付与することがわかっている。その上、このような樹脂は、繊維がペーパーミルで用いられる粘度の希釈水性懸濁液中にある間中に経済的に適用できるように、セルロース系繊維に直接作用する。
【0049】
アミンのに対するエピハロヒドリンの比率
本発明で用いられる好ましい樹脂は、アミンに対するエピハロヒドリンの比率がより低い樹脂である。エピハロヒドリンはまた、「epi」とも称される。エピハロヒドリンの量が減少し、アミンが増加する場合、アミンに対するエピハロヒドリンの比率は、1.2:1.0から、1.15:1.0に、1.1:1.0に、1.09:1.0に、1.08:1.0に、1.05:1.0に、1.0:1.0に、0.97:1.0に、0.8:1.0に、0.5:1.0等に、変化し、使用に適した安定な樹脂を達成するために樹脂を処理すべき条件は、驚くほど狭い。条件の釣り合いをとることは、安定な樹脂を得るのに不可欠となる。
【0050】
湿潤増強剤にとって、1.5より大きいエピハロヒドリン:アミンの比率が利用できるが、好ましくは、樹脂は、第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比が1.2未満、より好ましくは第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比が、約1.15未満、より好ましくは第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比が、約1.1未満、より好ましくは第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比が、約1.09未満、より好ましくは第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比は、約1.08未満、より好ましくは第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比が、約1.05未満、より好ましくは第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比が、約1.0未満、より好ましくは第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比が、約0.975未満のポリアミド−エピハロヒドリン反応で形成された樹脂を含み、ここで、第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比の好ましいの範囲は、約0.4〜1.1であり、より好ましくは、第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比は、約0.6〜1.1であり、より好ましくは第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比は、約0.7〜1.05であり、より好ましくは第二アミン基に対するエピハロヒドリンのモル比は、約0.8〜1.05であり、さらにより好ましくは約0.85〜0.975である。本発明はまた、クレーピング剤として有用な樹脂を処理するのに用いることもできる。クレーピング剤は、アミンに対するエピハロヒドリンの比率が、0.6より低いいものでもよい。例として、ジエチレントリアミンに対するアジピン酸のモル比が1.0〜1.0で製造されたポリアミドに関しては、第二アミン基に対するエピクロロヒドリンのモル比を計算するのに以下の式:(A/92.5)/(B/213.3)が用いられ、式中、Aは、エピクロロヒドリン重量(100%基準)であり、Bは、ポリ(アジピン酸−コ−ジエチレントリアミン)の乾燥重量である。
【0051】
CPD製造および吸着性有機ハロゲン
本発明を利用して製造された樹脂組成物は、この樹脂を含む水性組成物として保存された場合に、pH1で、50℃で24時間で保存し、24時間目で測定した場合、約250ppm未満(乾燥基準)のCPDを生じ、さらにより好ましくは約150ppm未満(乾燥基準)のCPDを生じ、さらにより好ましくは約100ppm未満(乾燥基準)のCPDを生じ、さらにより好ましくは約75ppm未満(乾燥基準)のCPDを生じ、さらにより好ましくは約50ppm未満(乾燥基準)のCPDを生じ、さらにより好ましくは約25ppm未満(乾燥基準)のCPDを生じ、さらにより好ましくは約15ppm未満(乾燥基準)のCPDを生じ、さらにより好ましくは約5ppm未満(乾燥基準)のCPDを生じる。
【0052】
さらにその上、本発明の組成物は、吸着性有機ハロゲン(AOX)のレベルが減少している。本発明は、AOX含量を、等しい活性を基準にして、未処理の樹脂におけるAOX含量の、初期値の75%未満、好ましくは初期値の60%未満、より好ましくは初期値の50%未満に減少させることができる。三菱化成社(Mitsubishi Kasei Corporation)の機器(モデルTOX−10Σ)を、操作マニュアルで説明されている手順を用いて、AOX解析に用いることができる。
【0053】
アゼチジニウムのレベル
その上、湿潤増強剤に高い有効性を持たせるためには、アゼチジニウムのレベルを最大化することが好ましい。従って、本発明の湿潤増強剤のアゼチジニウムのレベルは、約35モル%より大きく、好ましくは約40モル%より大きく、好ましくは約45モル%より大きく、好ましくは約50モル%より大きいことが好ましく、ここで好ましい範囲は、約40〜70モル%、および、約40〜65モル%、および、約45〜65モル%、および、約50〜65モル%である。アゼチジニウムのモル%と、その他の種のモル%は、NMRによって測定することができる。
【0054】
その他の処理
上述したように、樹脂合成プロセスでさらなる処理を行わないで製造された樹脂は、少なくともCPDの形成量が減少した樹脂となり得る。その上、樹脂は、CPDを形成する種を減少させる、および/または除去する前に、様々な方法によって処理することができる。樹脂はさらに、CPDのレベルが低い樹脂を製造するために、1,3−ジクロロプロパノール(DCP)残留物、および、遊離のCPD残留物を除去するように処理できる。さらにその上、CPDを形成する種を減少させる、および/または、除去する処理の後に、樹脂は、様々な方法によって処理することができる。さらにその上、樹脂は、CPDを形成する種の減少および/または除去の前と、さらにCPDを形成する種を減少させる、および/または、除去する処理の後の両方で、様々な方法によって処理することができる。例えば、樹脂は、低分子量のエピハロヒドリンおよびエピハロヒドリン副産物、例えばエピクロロヒドリンおよびエピクロロヒドリン副産物、例えば樹脂溶液中のCPDを除去する方法のような様々な方法によって処理することができる。利用可能な処理または樹脂に制限することなく、特筆すべきことは、樹脂は、CPDを形成する種の減少または除去の前に、および/または、その後に、塩基性イオン交換カラム;炭素吸着;膜分離、例えば限外ろ過;抽出、例えば、酢酸エチル;または生物学的な脱ハロゲン化で処理することができることである。その上、CPDを形成する種の減少または除去と、CPDを形成する種の減少および/または除去のための塩基処理とのあらゆる組み合わせが利用できる。
【0055】
生物学的な脱ハロゲン化は、様々な様式で、例えば米国特許第5,470,742号、5,843,763号、5,871,616号、5,972,691号、6,554,961号、および、WO96/40967で開示されたような様式で達成でき、ここで、樹脂組成物は、エピハロヒドリン加水分解物を極めて低濃度へと処理するのに十分な量の微生物または酵素と反応させることができる。微生物は、デハロゲナーゼ酵素を用いて、ハロゲン化物イオンをエピハロヒドリンおよびハロアルコールから解離させ、次に、さらなる酵素を用いて、反応生成物を最終的には二酸化炭素と水に崩壊させる。
【0056】
紙の製造
本発明によって処理された樹脂組成物を利用した紙を製造する方法は:(a)水性パルプ懸濁液を提供すること;(b)水性パルプ懸濁液に樹脂を添加すること、および、(c)(b)で製造された水性パルプ懸濁液を圧延および乾燥し、紙を得ること、含む。
【0057】
上記方法の工程(a)の水性パルプ懸濁液は、当業界周知の手段、例えば既知の機械的、化学的および半化学的パルプ化方法などにより得られる。通常、機械的な研削および/または化学的パルプ化工程の後に、パルプを洗浄し、パルプ化の化学物質の残留物や可溶化された木材成分を除去する。本発明の方法では、漂白パルプ繊維または無漂白パルプ繊維のいずれも利用可能である。リサイクルされたパルプ繊維もまた、使用に適している。
【0058】
工程(b)において、本発明の樹脂を、最小量の約0.1重量パーセント(パルプの乾燥重量に基づく)でパルプスラリーに添加することが好ましい。より好ましい最小量は、約0.2重量パーセントである。樹脂組成物の好ましい最大量は、約5重量パーセントである。より好ましい最大量は、約3重量パーセントであり、最も好ましい最大量は、約1.5重量パーセントである。樹脂組成物は、一般的に、水溶液の形態で添加される。樹脂に加えて、紙に通常用いられるその他の材料も同様に添加してもよい。これらの例としては、例えば、サイズ剤、顔料、アラム、増白剤、色素および乾燥増強剤が挙げられ、当業界周知の量で添加される。
【0059】
工程(c)は、製紙業者周知の手法に従って行われる。
【0060】
その上、本発明に係る樹脂を含む紙製品は、低濃度のCPDを含み、過度のCPD形成を起こすことなく保存が可能である。従って、本発明に係る紙製品は、初期の低濃度のCPDを有することが可能であり、長期間の貯蔵時間にわたって低濃度のCPDを維持することができる。より特定には、本発明に係る樹脂の添加レベルが1重量%で製造された紙製品には、2週間、好ましくは少なくとも6ヶ月、さらにより好ましくは少なくとも1年もの長期間保存された場合に、約600部(ppb)未満のCPD、より好ましくは約300ppb未満のCPDが含まれると予想される。その上、本発明に係る樹脂の添加レベルが約1重量%で製造された紙製品は、2週間、より好ましくは少なくとも6ヶ月、さらにより好ましくは少なくとも1年もの長期間保存された場合に、CPD含量の増加が約300ppb未満、より好ましくは約200ppb未満のCPD、より好ましくは約100ppb未満のCPD、さらにより好ましくは約50ppb未満のCPD、さらにより好ましくは約10ppb未満のCPD、さらにより好ましくは約1ppb未満のCPDであると予想される。言い換えれば、本発明に係る紙製品は、貯蔵安定性を有し、紙製品が、短くて1日、さらに、1年より長い期間保存されても、紙製品中で過量のCPD成分を生成しないと予想される。従って、本発明に係る樹脂は、紙製品、特に水性環境に晒される紙製品、特に高音の水性環境に晒される紙製品、例えばティーバッグ、コーヒーフィルターなどにおいて、CPD形成を最小にする。紙製品のさらなる例としては、包装用のボール紙グレートのもの、および、ティッシュやタオルグレードのものが挙げられる。
【0061】
樹脂を約1重量%以外の添加レベルで添加することによっても、紙を製造できる;しかしながら、CPD含量は、添加レベルに応じて修正されると予想される。例えば、樹脂を添加レベル0.5重量%で添加することによって製造された、測定されたCPD含量が100ppbの紙製品にとっては、1重量%添加レベル基準に基づき修正されたCPDは、200ppb(100ppb/0.5%添加レベル)と予想される。
【0062】
試験手法
CPDを形成する種の測定
CPDを形成する種の量は、以下の試験(「酸試験」)を用いて決定することができる。試験される樹脂の一部を、撹拌器を含む容器に入れる。pHは、96重量%硫酸で1.0に調節する。容器を密封し、50℃のウォーターバスに置き、撹拌しながら50℃に維持する。24時間で、容器からアリコートを抜き出し、以下で説明する様式でガスクロマトグラフィー(GC)解析で処理し、CPDを形成する種の指標を提供することができる。
【0063】
GCの手順と機器:GCを用いて、以下の方法を用いて処理した樹脂と未処理の樹脂中のepiとepi副産物を測定する。樹脂サンプルを、エクストレルート(Extrelut)カラム(EMサイエンス(EM Science)より入手可能,エクストレルートQE,部品番号901003−1)に吸着させ、カラムに酢酸エチルを通液することによって抽出した。酢酸エチル溶液のポーションを、ワイドボアのキャピラリーカラムでクロマトグラフィー処理した。水素炎イオン化検出器(FID)を用いた場合、成分は、内部標準としてn−オクタノールを用いて定量される。電解質電導度(ELCD)検出器またはハロゲンに特異的な(XSD)検出器を用いた場合、ピークマッチング定量を用いた外部標準による方法を用いた。データシステムは、ミレニアム(Millennium)2010、または、HPケミステーション(ChemStation)のいずれかであった。FID検出器を、ヒューレット・パッカード(Hewlett−Packard,HP)からモデル5890GCの一部として購入した。ELCD検出器のモデル5220を、OIアナリティカル(OI Analytical)から購入した。XSD検出器を、OIアナリティカルのモデル5360XSDから購入した。用いられたGC機器は、HPモデル5890シリーズIIであった。カラムは、30m×0.53mm、フィルム厚さ1.5ミクロンの、DB−WAX[メガボア(Megabore),J&Wサイエンティフィック社(J&W scientific, Inc)であった。FIDおよびELCDに関して、キャリアーガスは流速10mL/分のヘリウムであった。オーブンのプログラムは、35℃で7分であり、続いて、8℃/分で200℃にランピングして、200℃で5分間保持した。FIDでは、250℃で、水素を30mL/分で、空気を400mL/分で用いた。ELCDでは、電解質の流速環境は50%、反応器温度は900℃で、電解質としてn−プロパノールを用いた。XSD反応器を、1100℃で、25mL/分の高純度の空気流速を用いた酸化モードで操作した。
【0064】
アゼチジニウムのレベルを測定するためのNMR手順
13C NMRスペクトルは、10mmの広帯域プローブを備えたブルカー(Bruker)AMXスペクトロメーターを用いて得られる。13C NMRの動作周波数の100MHz(AMX400)、または、125MHz(AMX500)は、データ回収に十分である。いずれの場合においても、スペクトルは、連続的なHデカップリングによって得られる。適切なシグナルを電子的に統合することによって、以下のアルキル化成分;ACH、EPX、GLYおよびAZEのモル濃度を提供する。ここで、以下の通り:
ACH=高分子アミノクロロヒドリン
EPX=高分子エポキシド
GLY=高分子グリコール
AZE=アゼチジニウムイオン。
【0065】
これらの種それぞれの濃度を計算するために、積分値は、1個(1)の炭素を基準にして置かれなければならない。例えば、20〜42ppmのスペクトル領域は、ジエチレントリアミン−アジピン酸主鎖の6個(6)の炭素を示し、従って、積分値は6で割られる。この値は、アルキル化種の計算のためのポリマーの共通分母(PCD)として用いられる。これらの種の化学シフトは、以下に提供される(1.3ppmのアセトニトリルの参照磁場を用いた)。各アルキル化生成物の対応する積分値は、計算のための分子に用いられ、以下の実施例で示される:
−68〜69ppmでのACHシグナルは、1個の炭素を示す;
ACHの積分値÷PCD=モル分数としてのACH
−69〜70ppmでのGLYシグナルは、1個の炭素を示す;
GLYの積分値÷PCD=モル分数としてのGLY
−51〜52ppmでのEPXの炭素は、1個の炭素を示す;
EPXの積分値÷PCD=モル分数としてのEPX
−73〜74ppmでのAZEシグナルは、2個の炭素を示すため、除法の因数2が必要とされる;
AZEの積分値/2÷PCD=モル分数としてのAZE。
【0066】
以下のスペクトルのパラメーターは、ブルカー(Bruker)AMX400での、塩基で処理したKymene樹脂の13C NMR解析に標準的な実験条件である。
温度 25℃
共鳴周波数 100MHz
#データポイント 64K
滞留時間 20マイクロ秒
捕捉時間 1.3秒間
スイープ幅 25000Hz
スキャン数 1K
緩和の遅延 3秒間
パルス先端角 70度
パルスプログラム zgdc
処理されるスペクトルのサイズ 64K
アポダイゼイション関数 指数型
幅広化 3Hz。
【0067】
CPDを測定するための試験
紙製品中のCPDを測定するために、10月1993年付けのヨーロッパ規格EN647で説明されている方法に従って、紙製品を水で抽出する。次に、5.80グラムの塩化ナトリウムを、20mLの水抽出物に溶解させる。塩を加えた水性抽出物を、20グラム容量のエクストレルートカラムに移し、カラムを15分間飽和させる。酢酸エチル3mLで3回洗浄し、カラムを飽和させた後に、エクストレルートカラムを、300mLの溶出液が回収されるまで約1時間溶出させる。300mLの酢酸エチル抽出物を、500mlのクデマ−デニッシュ(Kudema−Danish)濃縮装置を用いて約5mLに濃縮する(必要に応じて、マイクロクデマ−デニッシュ装置を用いることによってさらに濃縮する)。濃縮した抽出物を、上記で説明したような手順および機器を用いたGCによって解析する。一般的に、電解質電導度検出器(ELCD)またはハロゲンに特異的な検出器(XSD)が用いられる。その他の高感度検出器を用いることができ、例えば、電子捕獲型検出器である。
【0068】
紙製品中のCPDを測定するのに用いられるさらなる方法は、以下の通りである。10月1993年付けのヨーロッパ規格EN647で説明されている方法に従って、紙製品を水で抽出する。次に、この抽出物の20mLのアリコートを2.3gのNaClを含む35mLのバイアルに添加し、NaClが溶解するまで振盪する。次に、この溶液を、SPEカラム(バリアン(Varian)のハイドロマトリックス(Hydromatrix)TM(けいそう土)が充填されており、15分間静置した)に添加する。15分間後に、CPDを250mLの95%ジエチルエーテル/イソオクタンで溶出させる。次に、ロータリーエバポレーターを用いて、溶出液を容積が約15mlになるまで濃縮する。この時点で、この溶液に1mLの内部標準(3−メトキシ−1,2−プロパンジオール〜0.25μg/ml)を添加し、続いて200μLの誘導体化剤ヘプタフルオロ−ブチリルイミダゾールを添加する。次に、この溶液を室温で15分間放置する。15分間後に、この溶液を25mLメスフラスコに定量的に移し、イソオクタンで所定量にする。約1.5mLの試薬グレードの水を、メスフラスコに添加し、次に、これを振盪する。相分離の後に、約20mLの有機相を除去し、30mLのガラスバイアル(2mLの試薬グレードの水を含む)に入れる。次に、このバイアルを1分間徹底的に振盪する。相分離の後に、μ−電子捕獲型検出器(ECD)を用いたガスクロマトグラフィーで有機相を解析する。
【0069】
より明確に本発明を説明するために、以下の非限定的な実施例を説明の目的で提供するが、本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。特に他の指定がない限り、実施例における全ての部およびパーセンテージは重量に基づく。その上、実施例におけるNDは、「検出されず」を示す。
【実施例】
【0070】
特に他の規定がない限り、ブルックフィールド粘度は、25℃で、ブルックフィールドLVDV−II+プログラム可能粘度計で測定された。用いられた手順は、操作説明書のマニュアル番号M/97〜164に基づく。この粘度計は、サンプルの粘度に応じて正しいスピンドルとrpmが用いられた場合にのみ粘度が測定されると予想される。
【0071】
実施例1(epi:アミンの比率=0.92:1.0、酸処理プロセスなし、12.5%活性処理)
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、シリンジポンプおよび温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、13.4%Kymene(R)625LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社(Hercules Incorporated),ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;25.4%総固体量、192cps、および、47モル%アゼチジニウム、13.4%に希釈)864.0gを入れた。この樹脂を、40.0℃に加熱し、次に、25%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液48.25gを、シリンジポンプを用いて、5分かけて添加した。NaOH添加の最後のpHは、11.10であった(40℃で測定)。初めのうち、粘度は減少した。粘度は、NaOHを添加し始めてから13分後に増加し始めた。NaOHを添加し始めてから31分後に、粘度が望ましい程度に増加し、反応を、96%硫酸11.53gを用いて、pH10.06〜2.5(40℃で測定)でクエンチした。樹脂のpHは、2.5であり(25℃で測定)、ブルックフィールド粘度は、32cps(25℃で)であり、総固体量は14.5%であり、および、アゼチジニウムは47モル%であった。樹脂の一部に、0.1重量%ギ酸(樹脂の湿潤重量に対するギ酸の乾燥重量)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。25℃でのエージング研究を行った(表1を参照)。エージングのデータによれば、酸処理なしで製造された樹脂は、樹脂のpHがpH2.5に低められたの場合でも、または、0.1重量%ギ酸を添加したの場合でも、ゲル化に対してそれほど安定ではないことが示された。
【表1】

【0072】
実施例2(より多くの塩基を用いたこと以外は実施例1の繰り返し、12.5%活性処理)
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、シリンジポンプおよび温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、13.4%Kymene(R)625LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;25.4%総固体量、192cps、および、47モル%アゼチジニウム、13.4%に希釈)864.0gを入れた。樹脂を40.0℃に加熱し、次に、25%水酸化ナトリウム水溶液55.68g(NaOH)を、シリンジポンプを用いて、5分かけて添加した。NaOH添加の最後のpHは、11.43であった(40℃で測定)。初めのうち、粘度は減少した。粘度は、NaOHを添加し始めてから17分後に増加し始めた。NaOHを添加し始めてから53分後に、粘度が望ましい程度に増加し、反応を、96%硫酸13.35gを用いて、pH10.83〜2.5(40℃で測定)でクエンチした。樹脂のpHは、2.6であり(25℃で測定)、ブルックフィールド粘度は、27cpsであり(25℃で)、および、14.6%総固体量。樹脂の一部に、0.1重量%ギ酸(樹脂の湿潤重量に対するギ酸の乾燥重量)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂その他のポーションを2つ用いて、pHを、96%硫酸で2.3、および、2.1に低め、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。25℃でのエージング研究を行った(表2を参照)。
【0073】
表1および2のエージングのデータは、酸処理なしで製造された樹脂は、樹脂のpHがpH2.1に低められた場合でも、または、0.1重量%ギ酸を添加した場合でも、ゲル化に対してそれほど安定ではないことを示す。
【表2】

【0074】
実施例3(酸処理プロセスを用いた以外は実施例2の繰り返し、12.5%活性の方法)
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、シリンジポンプおよび温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、13.4%Kymene(R)625LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;25.4%総固体量、192cps、および、47モル%アゼチジニウム、13.4%に希釈)864.0gを入れた。この樹脂を、40.0℃に加熱し、次に、25%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液55.68gを、シリンジポンプを用いて、5分かけて添加した。NaOH添加の最後のpHは、11.22であった(40℃で測定)。初めのうち、粘度は減少した。粘度は、NaOHを添加し始めてから21分後に増加し始めた。NaOHを添加し始めてから57分後に、粘度が望ましい程度に増加し、反応を、96%硫酸13.53gを用いて、pH10.57〜2.4(40℃で測定)でクエンチした。10.3gのアリコートを解析のために取り出し、反応混合物を、30分かけて60℃に加熱した(pHは、60℃で2.65で読み取った)。60℃で30分後に、pHを、96%硫酸0.73gで2.90〜2.60に低めた(pHは、60℃で読み取った)。60℃で60分後に、pHを、0.45gの96%硫酸で2.76〜2.60に低めた(pHは、60℃で読み取った)。60℃で90分後に、pHを、96%硫酸0.22gで2.69〜2.60に低めた(pHは、60℃で読み取った)。60℃で120分後に、この反応混合物を、7分間以内で40℃、24分間以内で25℃に冷却した。pHを、0.21gの96%硫酸で2.50〜2.38に低めた。樹脂のブルックフィールド粘度は、37cps(25℃で)であり、総固体量は14.8%であり、アゼチジニウムは43モル%であった。樹脂の一部に、0.1重量%ギ酸(樹脂の湿潤重量に対するギ酸の乾燥重量)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。25℃および32℃でのエージング研究(7日間後に、25℃で)を行った(表3を参照)。
【表3】

【0075】
実施例4(実施例3と同様にして繰り返し、Kymeneを使用、624epi:アミン比率=0.975:1.0)
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、シリンジポンプおよび温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、20.0%Kymene(R)624湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州;ヴォレペ,フランスプラントより入手可能、21.0%総固体量、112cps、pH3.03、および、59モル%アゼチジニウム、20.0%に希釈)650.0gを入れた。この樹脂を、40.0℃に加熱し、次に、25%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液58.24gを、シリンジポンプを用いて、5分かけて添加した。NaOH添加の最後のpHは、11.37であった(40.0℃で測定)。初めのうち、粘度は減少した。粘度は、NaOHを添加し始めてから15分後に増加し始めた。NaOHを添加し始めてから20分後に、粘度が望ましい程度に増加し、反応を、16.49gの96%硫酸で、pH11.2〜2.2(40℃で測定)でクエンチした。11.3gのアリコートを解析のために取り出し、反応混合物を、30分かけて60℃に加熱した(pHは、60℃で2.48で読み取った)。60℃で30分後に、pHを、96%硫酸0.58gで2.72〜2.49に低めた(pHは、60℃で読み取った)。60℃で60分後に、pHを、96%硫酸0.37gで2.63〜2.49に低めた(pHは、60℃で読み取った)。60℃で90分後に、pHを、0.25gの96%硫酸で、2.57〜2.47に低めた(pHは、60℃で読み取った)。60℃で120分後に、この反応混合物を、5分間以内で40℃、24分間以内で25℃に冷却した。樹脂のpHは、2.31であり、ブルックフィールド粘度は、71cps(25℃で)であり、総固体量は21.5%であり、アゼチジニウムは52モル%であった。樹脂の一部に、0.2重量%ギ酸(樹脂の湿潤重量に対するギ酸の乾燥重量)、および、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂のもう一部に、0.1重量%ギ酸、および、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂のもう一部を、14.5%総固体量に希釈し[ブルックフィールド粘度は31cps(25℃で)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。32℃でのエージング研究を行った(表4を参照)。
【表4】

【0076】
実施例5(より多くの塩基を用いたこと以外は実施例4の繰り返し)
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、シリンジポンプおよび温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、20.0%Kymene(R)624湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州;ヴォレペ,フランスプラントより入手可能、21.0%総固体量、112cps、pH3.03、および、59モル%アゼチジニウム、20.0%に希釈)650.0gを入れた。この樹脂を、40.0℃に加熱し、次に、25%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液66.5gを、シリンジポンプを用いて、5分かけて添加した。NaOH添加の最後のpHは、11.64であった(40.0℃で測定)。初めのうち、粘度は減少した。粘度は、NaOHを添加し始めてから13分後に増加し始めた。NaOHを添加し始めてから23分後に、粘度が望ましい程度に増加し、反応を、18.07gの96%硫酸で、pH11.59〜2.5でクエンチした(40℃で測定)。12.3gのアリコートを解析のために取り出し、反応混合物を、30分かけて60℃に加熱した(pHの読み取りは、60℃で2.82であり、pHの読み取りは、25℃で2.93であった)。60℃で30分後に、pHを、96%硫酸1.15gで、3.11〜2.53に低めた(pHは、60℃で読み取った)。60℃で60分後に、pHを、96%硫酸0.49gで、2.69〜2.50に低めた(pHは、60℃で読み取った)。60℃で90分後に、pHを、96%硫酸0.17gで、2.58〜2.50に低めた(pHは、60℃で読み取った)。60℃で120分後に、この反応混合物を、5分間以内で40℃、20分間以内で25℃に冷却した。樹脂のpHは、2.4であり、ブルックフィールド粘度は、78cps(25℃で)であり、総固体量は21.6%であり、アゼチジニウムは51モル%であった。樹脂の一部に、0.2重量%ギ酸(樹脂の湿潤重量に対するギ酸の乾燥重量)、および、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂のもう一部に、0.1重量%ギ酸、および、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂のもう一部を、14.5%総固体量に希釈し[ブルックフィールド粘度は32cps(25℃で)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。32℃でのエージング研究を行った(表5を参照)。
【表5】

【0077】
実施例6(より少ない塩基を用いた以外は実施例4の繰り返し)
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、シリンジポンプおよび温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、20.0%Kymene(R)624湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州;ヴォレペ,フランスプラントより入手可能、21.0%総固体量、112cps、pH3.03、および、59モル%アゼチジニウム、20.0%に希釈)650.0gを入れた。この樹脂を、40.0℃に加熱し、次に、25%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液49.92gを、シリンジポンプを用いて、5分かけて添加した。NaOH添加の最後のpHは、11.06であった(40.0℃で測定)。初めのうち、粘度は減少した。粘度は、NaOHを添加し始めてから9分後に増加し始めた。NaOHを添加し始めてから14分後に、粘度が望ましい程度に増加し、反応を、14.11gの96%硫酸で、pH10.67〜2.3でクエンチした(40℃で測定)。12.4gのアリコートを解析のために取り出し、反応混合物を、30分かけて60℃に加熱した(pHは、60℃で2.71で読み取った)。pHを、0.65gの96%硫酸で、2.71〜2.44に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.44は、25℃でのpH2.28であった)。60℃で30分後に、pHを、0.55gの96%硫酸で、2.73〜2.52に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.52は、25℃でのpH2.35であった)。60℃で60分後に、pHを、0.37gの96%硫酸で、2.67〜2.52に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.52は、25℃でのpH2.34であった)。60℃で90分後に、pHを、96%硫酸0.26gで、2.63〜2.52に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.52は、25℃でのpH2.33であった)。60℃で120分後に、この反応混合物を、10分間以内で40℃、20分間以内で25℃に冷却した。樹脂のpHは、2.5であり、ブルックフィールド粘度は、88cps(25℃で)であり、総固体量は21.4%であった。樹脂の一部に、0.1重量%ギ酸(樹脂の湿潤重量に対するギ酸の乾燥重量)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂のもう一部を、15.0%総固体量に希釈し[ブルックフィールド粘度は40cps(25℃で)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。希釈した樹脂の一部に、0.1重量%ギ酸を添加した。32℃でのエージング研究を行った(表6を参照)。
【表6】

【0078】
実施例7(実施例4と同様にして繰り返し、Kymene624LXを使用)
2リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、シリンジポンプおよび温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、20.0%Kymene(R)624LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;21.1%総固体量、205cps、pH3.36、および、59モル%アゼチジニウム、20.0%に希釈)1300.0gを入れた。この樹脂を、40.0℃に加熱し、次に、25%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液116.48gを、シリンジポンプを用いて、5分かけて添加した。NaOH添加の最後のpHは、11.39であった(40.0℃で測定)。初めのうち、粘度は減少した。粘度は、NaOHを添加し始めてから17分後に増加し始めた。NaOHを添加し始めてから25分後に、粘度が望ましい程度に増加し、反応を、96%硫酸31.16gを用いて、pH11.2〜2.2(40℃で測定)でクエンチした。12.37gのアリコートを解析のために取り出し、反応混合物を、60℃に加熱した(pHは、60℃で2.78で読み取った)。反応混合物が60℃に達したら、pHを、96%硫酸1.75gで、2.78〜2.43に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.43は、25℃でのpH2.27であった)。60℃で30分後に、pHを、1.03gの96%硫酸で、2.68〜2.49に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.49は、25℃でのpH2.28であった)。60℃で60分後に、pHを、0.48gの96%硫酸で、2.61〜2.53に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.53は、25℃でのpH2.36であった)。60℃で90分後に、pHを、0.51gの96%硫酸で、2.61〜2.53に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.53は、25℃でのpH2.37であった)。60℃で120分後に、この反応混合物を、10分間以内で40℃、23分間以内で25℃に冷却した。樹脂のpHは、2.45(25℃で)であり、ブルックフィールド粘度は、116cps(25℃で)であり、総固体量は21.4%であった。樹脂の一部に、0.1重量%ギ酸(樹脂の湿潤重量に対するギ酸の乾燥重量)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂のもう一部を、15.0%総固体量に希釈し[ブルックフィールド粘度は49cps(25℃で)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂のもう一部を、15.0%総固体量に希釈し、0.1重量%ギ酸、および、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。32℃でのエージング研究を行った(表7を参照)。
【表7】

【0079】
実施例8(酸の安定化のためにより高いpHを用いたこと以外は実施例7の繰り返し)
2リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、シリンジポンプおよび温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、20.0%Kymene(R)624湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;21.1%総固体量、205cps、pH3.36、および、59モル%アゼチジニウム、20.0%に希釈)1300.0gを入れた。この樹脂を、40.0℃に加熱し、次に、25%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液116.48gを、シリンジポンプを用いて、5分かけて添加した。NaOH添加の最後のpHは、11.35であった(40.0℃で測定)。初めのうち、粘度は減少した。粘度は、NaOHを添加し始めてから15分後に増加し始めた。NaOHを添加し始めてから24分後に、粘度が望ましい程度に増加し、反応を、96%硫酸29.82gを用いて、pH11.2〜2.7(40℃で測定)でクエンチした。12.68gのアリコートを解析のために取り出し、反応混合物を、60℃に加熱した(pHは、60℃で3.11で読み取った)。反応混合物が60℃に達したら、pHを、1.55gの96%硫酸で、3.11〜2.70に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.70は、25℃でのpH2.74であった)。60℃で30分後に、pHを、1.19gの96%硫酸で、3.00〜2.69に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.69は、25℃でのpH2.67であった)。60℃で60分後に、pHを、96%硫酸0.88gで、2.88〜2.67に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.67は、25℃でのpH2.65であった)。60℃で90分後に、pHを、0.48gの96%硫酸で、2.77〜2.66に低めた(pHは、60℃で読み取り、60℃でのpH2.66は、25℃でのpH2.63であった)。60℃で120分後に、この反応混合物を、5分間以内で40℃、30分間以内で25℃に冷却した。樹脂のpHは、2.75(25℃で)であり、ブルックフィールド粘度は、111cps(25℃で)であり、総固体量は21.4%であった。樹脂の一部に、0.1重量%ギ酸(樹脂の湿潤重量に対するギ酸の乾燥重量)、および、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂のもう一部を、15.0%総固体量に希釈し[ブルックフィールド粘度は48cps(25℃で)、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。樹脂のもう一部を、15.0%総固体量に希釈し、0.1重量%ギ酸、および、200ppmのソルビン酸カリウムを添加した。32℃でのエージング研究を行った(表8を参照)。
【表8】

【0080】
比較例1[米国特許第4,857,586号の実施例1(パートb)に関連」
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、および、温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、15.0%Kymene(R)624LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;21.1%総固体量、205cps、pH3.36、および、59モル%アゼチジニウム、15.0%に希釈)700.0gを入れた。この樹脂を、45℃に加熱し、次に、45%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液28.74gを添加し、pH11.05になった(pHは、47℃で測定した)。NaOH添加により、温度が目標とする47℃に高まった。粘度をモニターした。20分後に、樹脂がゲル化し、廃棄された。
【0081】
この結果は、米国特許第4,857,586号の実施例1(パートb)が望ましい粘度の53mPasを得るのに45分間の反応時間を示している点で、それらと異なる。
【0082】
比較例2[米国特許第4,857,586号の実施例2に関連」
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、および、温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、15.0%Kymene(R)624LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;21.1%総固体量、205cps、pH3.36、および、59モル%アゼチジニウム、15.0%に希釈)700.0gを入れた。この樹脂を、50℃に加熱し、次に、45%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液15.71gを添加した。NaOHを一定して添加することによって、pHを、8.9〜9.2に維持した(pHは、50℃で測定した)。4分後に、樹脂がゲル化した。
【0083】
この結果は、米国特許第4,857,586号の実施例2が望ましい粘度の40mPasを得るのに5時間の反応時間を示す点で、それらと異なる。
【0084】
比較例3(比較例2に対して、40℃)[米国特許第4,857,586号の実施例2に関連」
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、および、温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、15.0%Kymene(R)624LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;21.1%総固体量、205cps、pH3.36、および、59モル%アゼチジニウム、15.0%に希釈)700.0gを入れた。この樹脂を、40℃に加熱し、次に、45%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液16.01gを添加した。NaOHを一定して添加することによって、pHを、8.9〜9.2に維持した(pHは、40℃で測定した)。5分後に、樹脂がゲル化した。
【0085】
この結果は、処理温度がわずか40℃の場合でも、米国特許第4,857,586号の実施例2が望ましい粘度の40mPasを得るのに5時間の反応時間を示す点で、それらと異なる。
【0086】
比較例4(塩基処理にとって粘度が低い樹脂)[米国特許第4,857,586号の実施例2に関連」
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、および、温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、15.0%粘度が低おKymene(R)624LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;23.43%総固体量、56cps、pH3.65、および、54モル%アゼチジニウム、15.0%に希釈)700.0gを入れた。この樹脂を、50℃に加熱し、次に、45%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液17.02gを添加した。NaOHを一定して添加することによって、pHを8.9〜9.1に維持した(pHは、50℃で測定した)。粘度をモニターした。20分後に、樹脂がゲル化した。
【0087】
この結果は、NaOH処理に低い粘度の樹脂を用いても、米国特許第4,857,586号の実施例2が望ましい粘度の40mPasを得るのに5時間の反応時間を示す点で、それらと異なる。
【0088】
比較例5(比較例4に対して、pH11)[米国特許第4,857,586号の実施例2に関連]
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、および、温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、粘度が15.0%低いKymene(R)624LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;23.43%総固体量、56cps、pH3.65、および、54モル%アゼチジニウム、15.0%に希釈)700.0gを入れた。この樹脂を、50℃に加熱し、次に、45%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液30.39gを添加して、pH11.1を達成した。NaOHを一定して添加することによって、pHを、11.0〜11.1に維持した(pHは、50℃で測定した)。粘度をモニターした。20分後に、樹脂がゲル化した。
【0089】
比較例6(比較例4に対して、pH11.5)[米国特許第4,857,586号の実施例2に関連]
1リットルの丸底フラスコに、オーバヘッド撹拌器、コンデンサー、pHおよび温度プローブ、および、温度制御されたウォーターバスを備え付けた。このフラスコに、粘度が15.0%低いKymene(R)624LX湿潤強力樹脂(ハーキュレス社,ウィルミントン,デラウェア州より入手可能;23.43%総固体量、56cps、pH3.65、および、54モル%アゼチジニウム、15.0%に希釈)700.0gを入れた。この樹脂を、50℃に加熱し、次に、45%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液37.35gを添加して、pH11.6を達成した。pHを、20分以内で11.5に低めた(pHは、50℃で測定した)。粘度をモニターした。20分後に、樹脂がゲル化し、廃棄された。
【0090】
比較例7、および、実施例9〜12
実施例9〜12で解析された樹脂を、実施例7に従って製造した(表9を参照)。
【表9】

【0091】
実施例9〜12は、AOXレベルを減少させながら高いレベルのアゼチジニウム官能基が達成できることを実証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低濃度のCPD形成種、及び優れた耐ゲル化安定性を有するポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含む組成物を製造する方法であって:
(A)エピハロヒドリン:アミンの比率が、約1.1:1.0未満の樹脂を製造する工程;
(B)CPD形成種を減少させるか、除去するかのうちの少なくとも1つの条件下で、CPD形成種を含有するポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含む組成物を、少なくとも1種の塩基性剤で処理する工程;
(C)塩基処理に続いて、ゲル化に対する貯蔵安定性を有する組成物が得られる条件下で、ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を含む組成物を、少なくとも1種の酸性剤で処理する工程;
を含み、
得られた、CPD形成が減じられた、ゲル化に対する貯蔵安定性を有する樹脂組成物は、pH1で、50℃で24時間で保存し24時間目で測定した場合に、約250ppm未満(乾燥基準)のCPDを生じる
前記の方法。
【請求項2】
エピハロヒドリン:アミンの比率は、約1.05:1.0未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エピハロヒドリン:アミンの比率は、約1.0:1.0未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリアミン−エピハロヒドリン樹脂は、ポリアミノポリアミド−エピハロヒドリン樹脂である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
エピハロヒドリンは、エピクロロヒドリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記樹脂のアゼチジニウム含量は、40モル%より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂組成物は、13%より大きい活性固体含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記樹脂組成物は、15%より大きい活性固体含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(B)の温度は、約35℃〜約55℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(B)のpHは、10.5〜約12.5の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(B)の時間は、約10分〜約2時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記塩基性物質は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および、それらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程(C)の温度は、少なくとも約35℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(C)のpHは、1.0〜4.0の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程(C)のpHは、1.8〜3.5の範囲である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(C)のpH値は、酸処理中に、酸性物質を周期的または連続的に添加することによって、開始時の酸性pHに維持されるか、またはそれに近いpHに維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記酸性物質は、ハロゲンを含まない酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記酸性物質は、硫酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
工程(B)および(C)の前、または、その後のいずれかに、前記樹脂を処理することをさらに含み、ここで前記処理は、イオン交換、膜分離、生物学的な脱ハロゲン化、または、炭素吸着による、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
得られた樹脂は、等しい活性を基準にして、未処理の樹脂におけるAOX含量の初期値の75%未満のAOX含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の樹脂を含ませて製造された紙製品。

【公表番号】特表2006−528997(P2006−528997A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533174(P2006−533174)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/015521
【国際公開番号】WO2004/106410
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】