説明

CRP低下剤

本発明は、CRPレベルの上昇が関与する各種疾患、特に、炎症性疾患および癌の予防・治療剤として有用な、スクアレン合成酵素に対し阻害活性を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグを含有する新規な医薬を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなるCRP低下剤などに関する。
【背景技術】
【0002】
C反応性蛋白質(C-Reactive Protein;CRP)は、肺炎双球菌のCポリサッカライドに結合する蛋白で、炎症性疾患(感染症、リウマチなど)により血中濃度が増加することが知られている。最近になってCRPは従来知られていた炎症性疾患のマーカーであるだけでなく、直接炎症性疾患を悪化させる因子であることが明らかになってきた。例えば、CRPはヒトマクロファージのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)−1の発現を増加させ、コラゲナーゼ活性を高めることが示されている(非特許文献1)。動脈硬化症における急性冠症候群(ACS)などの合併症は、プラークの線維性被膜を構成するコラーゲン線維が泡沫細胞から分泌されるMMP群により脆弱化してプラーク破綻をきたすことによって発症すると考えられているので、CRPはプラークの不安定化に関与していることが示唆される。また、CRPはヒト動脈内皮細胞において、PAI−1の発現を増加させることも示されている(非特許文献2)。MMPやPAI−1の発現増加により炎症性・血栓性が増すと、血管内皮細胞の機能障害を生じ、単球・マクロファージ等の炎症性細胞が血管内に侵入する。活性化したマクロファージは酸化変性したLDLコレステロールを蓄積して泡沫細胞化し、炎症性サイトカインや増殖因子を産生・放出して動脈硬化病変をさらに進行させる。このことから、CRPは動脈硬化巣の進展にも関与していることが示唆される。
さらに、MMP−1の阻害剤はリウマチ、癌の治療薬として世界中で開発されていることから、CRP低下剤はMMP−1の発現増加を抑制することにより、リウマチ・癌の治療薬として有用であると期待される。同様に、PAI-1阻害薬は抗血栓薬として世界中で開発中であるので、CRP低下剤はPAI−1の発現増加を抑制することにより、抗血栓薬としても有用であると考えられる。CRPが血栓形成の危険因子であることは、CRP遺伝子を過剰発現したトランスジェニックマウスにおいて、大腿動脈障害後に血栓形成性閉塞を生じる頻度が野生型マウスに比べて顕著に高かったことから、より直接的に示唆されている(非特許文献3)。
【0003】
スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物は、高脂血症や動脈硬化症等の予防・治療剤、トリグリセライド低下剤、脂質低下剤、高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤、抗真菌剤、骨格筋保護剤などとして有用であることが知られているが(特許文献1〜5)、これまでに、in vitro および in vivo のいずれにおいてもCRP低下作用を示したという報告はない。また、コレステロール低下薬においてHMG−CoA還元酵素阻害剤がCRPを低下させることが知られているが、別のタイプのコレステロール低下薬であるエゼチマイブはCRP低下作用を示さないことが知られているので(非特許文献4、5)、コレステロール低下薬ならばCRP低下作用を有するというわけではない。
【特許文献1】特開平6−239843号公報
【特許文献2】特開平8−157369号公報
【特許文献3】特開平9−136880号公報
【特許文献4】特開2002−080468号公報
【特許文献5】特開2002−205956号公報
【非特許文献1】タケイラ・N・ウィリアムスら(Takeyla N. Williams et al), 「アーテリオスクレローシス・スロンボーシス・バスキュラー・バイオロジー(Arteriosclerosis Thrombosis Vascular Biology)」, 2004年, 第24巻, p.61-66
【非特許文献2】スリデビ・デバラら(Sridevi Devaraj et al), 「サーキュレーション(Circulation)」, 2003年, 第107巻, p.398-404
【非特許文献3】ハイム・D・ダーネンベルグら(Haim D. Danenberg et al), 「サーキュレーション(Circulation)」, 2003年, 第108巻, p.512-515
【非特許文献4】クリスティー・M・バランタインら(Christie M. Ballantyne et al), 「サーキュレーション(Circulation)」, 2003年, 第107巻, p.2409-2415
【非特許文献5】フィリップ・T・サーガーら (Philip T. Sager et al),「アメリカン・ジャーナル・オブ・カルディオロジー (American Journal of cardiology)」, 2003年, 第92巻, p.1414-1418
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、CRPは動脈硬化症をはじめとする炎症性疾患の発症/進行に積極的な役割を担っていることが示唆されるので、CRP低下作用を有する薬物はこれらの疾患の予防・治療に有用であると期待され得る。しかしながら、既存のCRP低下作用を有する薬物は、重篤な副作用を生じる場合があり(例えば、HMG-CoA還元酵素阻害薬は横紋筋融解症を引き起こす)、臨床上より安全でかつ有用な新規な薬剤の開発が待たれているのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究を行った結果、予想外にも、スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物がCRPを低下させるための医薬品として臨床的に有用であることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物もしくはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなるCRP低下剤;
(2)炎症性疾患の予防・治療剤である上記(1)記載の剤;
(3)高CRP血症の予防・治療剤である上記(1)記載の剤;
(4)動脈硬化巣の進展抑制または安定化剤である上記(1)記載の剤;
(5)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、式
【化1】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X'はエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基あるいは脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基から構成される基を、環Aは置換されていてもよいベンゼン環または置換されていてもよい複素環を、環J'は環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7または8員の複素環を示し、環J'はR,R,R及びX'以外にさらに置換基を有していてもよい〕で表される化合物である上記(1)記載の剤;
(6)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、式
【化2】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、Xは結合手または2価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基を、環Bは置換されていてもよいベンゼン環を示す〕で表される化合物である上記(1)記載の剤;
(7)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、式
【化3】

〔式中、Rは置換されていてもよい水酸基で置換されていてもよい低級アルキル基を、Xは置換されていてもよいカルバモイル基又は脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環基を、R1bは低級アルキル基を、Wはハロゲン原子を示す。〕で表される化合物である上記(1)記載の剤;
(8)Rが水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシ及び2−アミノプロピオニルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキルである上記(7)記載の剤;
(9)R1bがメチルである上記(7)記載の剤;
(10)Wが塩素原子である上記(7)記載の剤;
(11)Xが式
【化4】

〔式中、R2b及びR3bはそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基又はアシル基であるか、あるいはR2b及びR3bは隣接する窒素原子と一緒になって、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし3個環構成原子として含んでいてもよい置換されていてもよい5または6員含窒素複素環を形成していてもよい〕で表される基である上記(7)記載の剤;
(12)Xが式
【化5】

〔式中、R"は水素原子又はC1−4アルキルを示す〕で表される基である上記(7)記載の剤;
(13)スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸またはN−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸である上記(1)に記載の剤;
(14)哺乳動物のスクアレン合成酵素を阻害することを特徴とする、CRPの上昇が関与する疾患の予防および/または治療方法;
(15)哺乳動物に有効量のスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物、もしくはそのプロドラッグ、またはそれらの塩を投与することを特徴とするCRPの上昇が関与する疾患の予防および/または治療方法;および
(16)CRPの上昇が関与する疾患の予防および/または治療剤の製造のためのスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物、もしくはそのプロドラッグ、またはそれらの塩の使用;などに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で用いられる「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」としては、スクアレン合成酵素阻害作用を有するものであれば何れでもよく、例えば、スクアレスタチン類あるいはZaragozic acid 類(例えば、米国特許第5506262号、米国特許第5430055号、米国特許第5409950号、米国特許第5369125号、特開平7-173166号、特開平9-124655号、特開平9-227566号 Annual Review of Microbiology, Vol.49, 607-639頁, 1995年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, 3502-3513頁, 1995年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 207-216頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 1413-1422頁, 1996年など)、基質アナローグのリン酸化合物及びカルボン酸化合物(例えば、米国特許第5374628号、米国特許第5441946号、米国特許第5428028号、特開平7-041554号、WO9504025号、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, 2596-2605頁, 1995年、Arzniemittel-Forschung Drug Research, Vol.46, 759-762頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.31, 1869-1871頁, 1988年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 657-660頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, 661-664頁, 1996年など)、カルボン酸誘導体(例えば、WO9740006号、WO9633159号、WO9521834号、WO9748701号、欧州特許第645377号、欧州特許第645378号、欧州特許第814080号、欧州特許第790235号、特開平7-173120号、特開平10-316634号、特開平10-298134号、特開平10-298177号、特開平10-316617号、特開平9-136880号、WO2000-00458号、WO2001-98282号、WO98-29380号、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, Vol.5, 1989-1994頁, 1995年、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, Vol.6, 463-466頁, 1996年、Journal of Medicinal Chemistry, Vol.40, 2123-2125頁, 1997年など)、キヌクリジン誘導体などのアミン系化合物(例えば、米国特許第5385912号, 米国特許第5494918号, 米国特許第5395846号, 米国特許第5451596号、特開平8-134067号、特開2000-169474号、特開平10-152453号、特開2000-502716号、WO9403541号、WO9405660号、WO9535295号、WO9626938号、WO9531458号、WO9500146号、WO9725043号、WO9812170号など)、などと同様のものなどが挙げられるが、なかでも、式
【化6】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X'はエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基あるいは脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基から構成される基を、環Aは置換されていてもよいベンゼン環または置換されていてもよい複素環を、環J'は環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7ないし8員の複素環を示し、環J'はR,R,R及びX'以外にさらに置換基を有していてもよい〕で表される化合物;あるいは、式
【化7】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、Xは結合手または2価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基を、環Bは置換されていてもよいベンゼン環を示す〕で表される化合物;などが好ましく用いられる。
他のスクアレン合成酵素阻害薬としては、A-104109(アボットラボラトリーズ)
【化8】

F-10863-A(Zaragozic acid D3, 三共),
ER-28448、ER-27856(ER-28448 prodrug)などのビスホスホン酸誘導体、およびER-119884、ER-132781などのキヌクリジン誘導体〔quinuclidine derivatives〕(エーザイ)
【化9】

RPR-107393およびRPR-101821(アベンティス)
【化10】

チアジアゾール誘導体〔thiadiazole derivatives〕(ノボノルディスク)
【化11】

イソプロピルアミン誘導体〔isopropylamine derivatives〕およびキヌクリジン誘導体(山之内製薬)
【化12】

イソキヌクリジン誘導体〔isoquinuclidine derivatives〕(寿製薬)
【化13】

マロン酸誘導体〔malonic acid derivatives〕(日本化薬)
【化14】

プロピオニル誘導体〔propionyl derivatives〕(第一製薬)
【化15】

(Rは水素原子またはメチル基),
SQ-34919、SQ-32709、BMS-187745、BMS-188494(ブリストール・マイヤーズ・スクイブ)
【化16】

(Rはカリウム原子または-CH2OCOC(CH3)3),
J-104118(メルク)
【化17】

キヌクリジン誘導体(アストラゼネカ)
【化18】

SDZ-266-806(ノバルティス)
【化19】

国際公開第98/12170号パンフレット記載の三環式縮合環誘導体:
【化20】

(式中、RおよびRは同一または異なって各々水素原子,または置換されていてもよい低級アルキル基または低級アルケニル基を、XおよびYは同一または異なって各々結合手、または−CH−、−CO−、−O−または−NR−で表される基を、Aはアルキレン基またはアルケニレン基を、Rは低級アルキル基、シクロアルキル基または低級アルキルアリール基を、Rは水素原子または−CO−低級アルキル基を示す)、
国際公開第01/23383号パンフレット記載のキヌクリジン化合物:
【化21】

(式中、Rは(1)水素原子または(2)水酸基を示し、HArは1〜3個の基で置換されていてもよい芳香族複素環を示し、Arは置換されていてもよい芳香環を示し、Wは(1)置換されていてもよい−CH−CH−、(2)置換されていてもよい−CH=CH−、(3)−C≡C−、(4)−NH−CO−、(5)−CO−NH−、(6)−NH−CH−、(7)−CH−NH−、(8)−CH−CO−、(9)−CO−CH−、(10)−NH−S(O)−、(11)−S(O)−NH−、(12)−CH−S(O)−、または(13)−S(O)−CH−(lは0,1または2を示す)で表される鎖を示し、Xは(1)単結合、(2)置換されていてもよいC1−6アルキレン鎖、(3)置換されていてもよいC2−6アルケニレン鎖、(4)置換されていてもよいC2−6アルキニレン鎖、(5)式−Q−(式中、Qは酸素原子、硫黄原子、COまたはN(R)(式中、RはC1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基を示す)を示す)、(6)−NH−CO−、(7)−CO−NH−、(8)−NH−CH−、(9)−CH−NH−、(10)−CH−CO−、(11)−CO−CH−、(12)−NH−S(O)−、(13)−S(O)−NH−、(14)−CH−S(O)−、または(15)−S(O)−CH−(式中、mは0,1または2を示す)、または(16)−(CH−O−(式中、nは1〜6の整数を示す)で表される鎖を示す)、および
国際公開第02/083636号パンフレット記載のピロリジン誘導体:
【化22】

(式中、RおよびRは独立して、各々ハロゲン原子、水酸基、または式−O−R10(式中、R10はハロゲン原子、水酸基、メトキシ基、フェニル基、C3−8シクロアルキル基およびC1−6アルコキシ基からなる置換基グループAから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または上記置換基グループAから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基を意味する)を表し、Rは置換基として1〜3個のメトキシ基またはニトロ基を有していてもよいベンジル基、または水素原子を表す;但し、(1)RとRが同一である場合、(2)RおよびRの片方が水酸基でありもう一方がエトキシ基または塩素原子である場合を除く)、
などが挙げられ、これらのスクアレン合成酵素阻害薬も本発明の剤に用いることができる。
【0008】
本発明で用いられる「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」は、塩、プロドラッグなどの形態で用いることもできる。
【0009】
本発明で用いられるスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物の「塩」としては、医薬品として許容される塩ないし生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)などが用いられる。さらに、本発明で用いられる「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」がカルボン酸などの酸性基を有している場合、該「スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物」は、例えば無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属、またはアンモニアなど)あるいは有機塩基(例えば、トリエチルアミンなどのトリ−C1−3アルキルアミンなど)と塩を形成していてもよい。
【0010】
本発明で用いられるスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物またはその塩〔以下、SSI化合物と称することがある〕の「プロドラッグ」は、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応によりSSI化合物に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こしてSSI化合物に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こしてSSI化合物に変化する化合物などをいう。SSI化合物のプロドラッグとしては、SSI化合物のアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、SSI化合物のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物など)、SSI化合物の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化、ほう酸化された化合物(例えば、SSI化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など)、あるいは、SSI化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、SSI化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によってSSI化合物から製造することができる。
【0011】
またSSI化合物のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件でSSI化合物に変化するものであってもよい。
また、SSI化合物は水和物であってもよい。
【0012】
SSI化合物の光学的に活性な形態が必要とされる場合、例えば、光学的に活性な出発物質を使用して、あるいは従来の方法を使用する該化合物のラセミ形態の分割によって得ることができる。また、SSI化合物は分子内に不斉炭素を有することもあるが、R配位またはS配位の2種類の立体異性体が存在する場合、それら各々またはそれらの混合物のいずれも本発明に含まれる。
【0013】
式(I)および(Ia)において、Rで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の炭化水素基としては、脂肪族鎖式(非環式)炭化水素基、脂環式炭化水素基およびアリール基などが挙げられるが、なかでも脂肪族鎖式炭化水素基が好ましい。
【0014】
該炭化水素基の脂肪族鎖式炭化水素基としては、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。なかでも分枝状アルキル基が好ましい。該アルキルとしては、例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,1−メチルプロピル,n−ヘキシル,イソヘキシル,1,1−ジメチルブチル,2,2−ジメチルブチル,3,3−ジメチルブチル,3,3−ジメチルプロピル,2−エチルブチル,n−ヘプチルなどのC1−7アルキルが挙げられ、なかでも、n−プロピル,イソプロピル,イソブチル,ネオペンチルなどのC3−5アルキルが好ましく、特にイソブチル,ネオペンチルなどが好ましい。該アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等のC2−6アルケニルが挙げられ、なかでも、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−メチル−2−ブテニル等が特に好ましい。該アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のC2−6アルキニルが挙げられ、中でもエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル等が特に好ましい。
【0015】
該炭化水素基の脂環式炭化水素基としては、飽和または不飽和の脂環式炭化水素基、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基等が挙げられる。該シクロアルキル基としては炭素数3〜9個のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル等が挙げられ、中でも、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル基が好ましい。該シクロアルケニル基としては、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1−シクロブテン−1−イル、1−シクロペンテン−1−イル等のC5−6シクロアルケニル基が挙げられる。該シクロアルカジエニル基としては、例えば、2,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イルのC5−6シクロアルカジエニル基などが挙げられる。
【0016】
該炭化水素基のアリール基としては、炭素数6〜16の単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基が挙げられ、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等が挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10のアリール基が特に好ましい。
【0017】
で示される「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基としては、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいシクロアルケニル基、置換されていてもよい複素環基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいチオール基、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、オキソ等が挙げられ、該炭化水素基はこれらの任意の置換基で置換可能な位置に1〜5個(好ましくは1〜3個)置換されていてもよい。該置換されていてもよいアリール基のアリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等のC6−16のアリール基が挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10のアリール基が好ましい。該置換されていてもよいアリールの置換基としては、炭素数1〜3個のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜3個のアルキル基(例、メチル、エチル、プロピル等)等が挙げられ、該アリール基はこれらの任意の置換基で1〜2個置換されていてもよい。該置換されていてもよいシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3−7シクロアルキル基等が挙げられる。該置換されていてもよいシクロアルキル基の置換基とその置換数としては、前記置換されていてもよいアリール基における置換基と同様な種類と個数が挙げられる。該置換されていてもよいシクロアルケニル基のシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等のC3−6シクロアルケニル基等が挙げられる。該置換されていてもよいシクロアルケニル基の置換基とその置換数としては、前記置換されていてもよいアリール基における置換基と同様な種類と個数が挙げられる。該置換されていてもよい複素環基の複素環基としては、環系を構成する原子(環原子)として、酸素、硫黄、窒素のうち少なくとも1個好ましくは1〜4個のヘテロ原子をもつ芳香族複素環基及び飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)が挙げられるが、好ましくは芳香族複素環基である。該芳香族複素環基としては、5〜6員の芳香族単環式複素環基(例、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等)及び5〜6員環が2〜3個縮合した芳香族縮合複素環基(例:ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等)が挙げられるが、なかでもフリル、チエニル、インドリル、イソインドリル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジニルなどの5〜6員芳香族単環式複素環基が好ましい。該非芳香族複素環基としては、例えば、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等4〜8員非芳香族複素環基が挙げられる。該置換されていてもよい複素環基は1〜4個好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜3個のアルキル基(例:メチル、エチル、プロピル等)等が挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基(アミノ基、モノ−又はジ−置換アミノ基が含まれる),置換されていてもよい水酸基、及び置換されていてもよいチオール基における置換基としては、例えば低級(C1−3)アルキル(例、メチル、エチル、プロピル等)等が挙げられる。また、Rで表わされる置換されていてもよい炭化水素基における炭化水素基が脂環式炭化水素基又はアリール基である場合、置換基としては、さらに炭素数1〜3個のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピルなど)でもよい。
さらに、上述のように、Rはオキソ基と置換基として有していてもよく、Rとしては、このようなオキソ置換されて炭化水素基であるカルボン酸アシル基も含まれる。このような例としては例えば置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアシル基(例、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチリル,イソブチリル,バレリル,イソバレリル,ピバロイル,ヘキサノイル,ジメチルアセチル,トリメチルアセチルなど)が挙げられる。また該アシル基は、置換可能な位置に1〜5個の置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素)が挙げられる。
【0018】
式(I)および(Ia)において、RおよびRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、Rで示される「置換されていてもよい炭化水素基」として述べた基が挙げられる。但し、アルキル基とアリール基とそれらの置換基としては下記のものであってもよい。すなわち「置換されていてもよいアルキル基」のアルキル基としては炭素数1〜6個の低級アルキル基(例:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等)が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル等のC1−4アルキル基が挙げられ、例えばこの様な置換されていてもよいアルキル基は1〜4個の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜4個の低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)等が挙げられる。
【0019】
「置換されていてもよいアリール基」としては、単環式または縮合多環式芳香族炭化水素基が挙げられ、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等があげられ、なかでもフェニルが特に好ましい。「置換されていてもよいアリール基」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など),置換されていてよい低級アルキル,置換されていてよい低級アルコキシ,置換されていてもよい水酸基,ニトロ,シアノなどが挙げられ、これらの置換基の同一又は異なる1〜3個(好ましくは1〜2個)で置換されていてもよい。該低級アルキルとしては、例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられるが、特にメチル,エチルが好ましい。該低級アルコキシとしては、メトキシ,エトキシ,n−プロポキシ,イソプロポキシ,n−ブトキシ,イソブトキシ,sec−ブトキシ,tert−ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられるが、特にメトキシ,エトキシが好ましい。該置換されていてもよい低級アルキル基又は置換されていてもよい低級アルコキシ基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)等が挙げられ、任意の位置に1〜5個置換されていてもよい。該置換されていてもよい水酸基における置換基としては、例えば低級(C1−4)アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル等)、C3−6シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、C6−10アリール基(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、C7−12アラルキル基(例、ベンジル、フェネチルなど)などが挙げられる。また、これらの置換基は、隣接する置換基同志で環を形成していてもよく、RまたはRで示される「置換されていてもよいアリール基」のアリール基がフェニル基である場合例えば、
【化23】

で示されるものが用いられていてもよく、さらにこの様な基は低級(C1−3)アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)などで1〜4個置換されていてもよい。
【0020】
およびRで示される「置換されていてもよい複素環基」の複素環基としては、Rで表される「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基としてあげた「置換されていてもよい複素環基」に関連して詳述されている複素環基が挙げられるが、なかでもフリル,チエニル,インドリル,イソインドリル,ピラジニル,ピリジル,ピリミジル,イミダゾリルなどの5〜6員芳香族単環式複素環が特に好ましい。該複素環基の置換基としては、炭素数1〜3個のアルキル(例、メチル,エチル,プロピルなど)などが挙げられ、これらの置換基を1〜4個有していてもよい。
上記した中でも、RおよびRとしては、置換されていてもよいフェニル基が好ましく、さらに好ましくは、置換されたフェニル基、特に、塩素、臭素等のハロゲン,低級(C1−3)アルコキシなどで1〜3個、好ましくは1〜2個置換されたフェニル基が好ましい。またR,Rのいずれか一方は水素が好ましい。
【0021】
式(I)において、X'で示される「エステル化されていてもよいカルボキシル基から構成される基」としては、エステル化されていてもよいカルボキシル基およびエステル化されていてもよいカルボキシル基を有している基が挙げられる。該エステル化されていてもよいカルボキシル基としては、下記Yで定義されるエステル化されていてもよいカルボキシル基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「置換されていてもよいカルバモイル基から構成される基」としては、置換されていてもよいカルバモイル基および置換されていてもよいカルバモイル基を有している基が挙げられる。該置換されていてもよいカルバモイル基としては、下記Yで定義される置換されていてもよいカルバモイル基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「置換されていてもよい水酸基から構成される基」としては、置換されていてもよい水酸基および置換されていてもよい水酸基を有している基が挙げられる。該置換されていてもよい水酸基としては、下記Yで定義される置換されていてもよい水酸基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「置換されていてもよいアミノ基から構成される基」としては、置換されていてもよいアミノ基および置換されていてもよいアミノ基を有している基が挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基としては、下記Yで定義される置換されていてもよいアミノ基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'で示される「脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基から構成される基」としては、脱プロトン化しうる水素原子を有する(すなわち活性プロトンを有する)、置換されていてもよい複素環残基および脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基を有している基が挙げられる。該置換されていてもよい複素環残基としては、下記Yで定義される脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基で挙げられるものと同様なものが挙げられる。
X'としては、例えば、式(a)
【化24】

〔式中、Xは結合手または2価もしくは3価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基を、破線部分は単結合または二重結合を示す〕で表される基が挙げられる。
【0022】
式(a)中、Xで示される「2価の原子鎖」としては、好ましくは、直鎖部分を構成する原子数が1〜7個、さらに好ましくは1〜4個である2価の鎖であればいずれでもよく、側鎖を有していてもよい。
例えば、
【化25】

で表わされるものが挙げられ、式中、m、nは独立して0、1、2又は3を表わし、Eは結合手または酸素原子、イオウ原子、スルホキシド、スルホン、−N(R)−、−NHCO−、−CON(R)−あるいは−NHCONH−を表わす。ここでR及びRは水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいフェニル基を示す。また、Rは水素原子、低級アルキル基、アラルキル基又はアシル基を示す。
及びRで示される「置換されていてもよい低級アルキル基」のアルキル基としては、炭素数1〜6個の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル等)が挙げられる。該置換されていてもよい低級アルキル基は1〜4個好ましくは1〜2個の置換基をもっていてもよく、これらの置換基としては、芳香族複素環基(例、フリル、チエニル、インドリル、イソインドリル、ピラジニル、ピリジル、ピリミジル、イミダゾリルなどN、O、Sのヘテロ原子を1〜4個含む5〜6員芳香族複素環)、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基、置換されていてもよいチオール基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)などが挙げられる。該置換されていてもよいアミノ基(アミノ基又はモノ−又はジ置換アミノ基)、置換されていてもよい水酸基、及び置換されていてもよいチオール基における置換基としては、低級(C1−3)アルキル(例、メチル、エチル、プロピルなど)などが挙げられる。該エステル化されていてもよいカルボキシル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、フェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニルなどC2−5アルコキシカルボニル及びC7−11アリールオキシカルボニルが挙げられるが、好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルである。
【0023】
及びRで示される「置換されていてもよいアラルキル基」のアラルキル基としてはベンジル、ナフチルメチル、フェニルプロピル、フェニルブチル等C−C15アラルキル基が挙げられる。該置換されていてもよいアラルキル基は1〜4個好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜3個のアルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ基)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基等が挙げられる。
及びRで示される「置換されていてもよいフェニル基」の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、C1−3アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど)、C1−3アルキル(例、メチル、エチル、プロピル)などが挙げられる。
ただし、Rはメチレン鎖ごとに異なっていてもよい。
また、Rで示される「低級アルキル基」及び「アラルキル基」としては、炭素数1〜4個の低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル等)、炭素数7〜15個のアラルキル基(例、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、ナフチルメチル等)がそれぞれ挙げられる。
【0024】
で示される「アシル基」としては、低級(C1−6)アルカノイル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイルなど)、低級(C3−7)アルケノイル基(例、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、イソクロトノイルなど)、C4−7シクロアルカンカルボニル基(例、シクロプロパンカルボニル基、シクロブタンカルボニル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基など)、低級(C1−4)アルカンスルホニル基(例、メシル、エタンスルホニル、プロパンスルホニルなど)、C7−14アロイル基(例、ベンゾイル、p−トルオイル、1−ナフトイル、2−ナフトイルなど)、C6−10アリール低級(C2−4)アルカノイル基(例、フェニルアセチル、フェニルプロピオニル、ヒドロアトロポイル、フェニルブチリルなど)、C6−10アリール低級(C3−5)アルケノイル基(例、シンナモイル、アトロポイルなど)、C6−10アレーンスルホニル基(例、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル基など)などが挙げられる。
さらに、Xとしては、二重結合を含んでいる炭素鎖または−L−CH(OH)− (Lは結合手または直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖を示す)でもよい。該「二重結合を含んでいる炭素鎖」としては、好ましくは、直鎖部分を構成する炭素数が1〜7個、さらに好ましくは1〜4個であるものが挙げられ、側鎖を有していてもよい。該炭素鎖における二重結合は、直鎖部分あるいは分枝鎖部分のいずれか一方または両方に含まれるものであるが、好ましくは直鎖部分に含まれるものが挙げられる。また、該炭素鎖に含まれる二重結合の数は可能な限り特に限定されないが、1〜2個が好ましい。
【0025】
該二重結合を含んでいる炭素鎖としては、例えば、メチン,ビニレン,プロペニレン,ブテニレン,ブタジエニレン,メチルプロペニレン,エチルプロペニレン,プロピルプロペニレン,メチルブテニレン,エチルブテニレン,プロピルブテニレン,メチルブタジエニレン,エチルブタジエニレン,プロピルブタジエニレン,ペンテニレン,ヘキセニレン,ヘプテニレン,ペンタジエニレン,ヘキサジエニレン,ヘプタジエニレンなどが挙げられるが、好ましくは、メチン,ビニレン,プロペニレン,ブテニレン,ブタジエニレンが挙げられる。ここで、該炭素鎖が3価である場合、該炭素鎖は、環J’の環上の置換可能な炭素原子と二重結合で結ばれている。
Lで示される「直鎖状もしくは分枝状のアルキレン鎖」としては、例えば、直鎖状もしくは分枝状の炭素数1〜6個のアルキレン鎖が挙げられ、例えば、メチレン,エチレン,トリメチレン,テトラメチレン,ペンタメチレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレン,プロピレン,エチルメチレン,エチルエチレン,プロピルエチレン,ブチルエチレン,メチルテトラメチレン,メチルトリメチレンなどの2価基が挙げられるが、好ましくは、メチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレンなどの炭素数1〜3個のものが挙げられる。
【0026】
上記した中でも、X'としては、式(b)
【化26】

〔式中、Xは結合手または2価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基を示す〕で表される基が好ましい。
式(b)中、Xで示される2価の原子鎖としては、前記Xで定義された2価の原子鎖と同様なものが挙げられる。
式(a)および(b)中、XまたはXで示される「2価の原子鎖」としては、好ましくは、直鎖部分を構成する炭素数が1〜7個(より好ましくは1〜4個)である直鎖状あるいは分枝鎖状のアルキレン鎖が挙げられる。該アルキレン鎖としては、例えば、メチレン,エチレン,トリメチレン,テトラメチレン,ペンタメチレン,ヘキサメチレン,ヘプタメチレン,プロピレン,エチルメチレン,エチルエチレン,プロピルエチレン,ブチルエチレン,メチルテトラメチレン,メチルトリメチレンなどの2価基が挙げられるが、好ましくは、メチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレンなどの炭素数1〜4個のものが挙げられる。
式(a)および(b)において、Yで示される「エステル化されていてもよいカルボキシル基」としては、炭素数2−7の低級アルコキシカルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニルなど)、C7−14アリールオキシカルボニル(例、フェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニル)、C8−12アラルキルオキシカルボニル(例、ベンジルオキシカルボニルなど)などが挙げられる。なかでもカルボキシル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルが好ましい。
【0027】
Yで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」の置換基としては、置換されていてもよい低級(C1−6)アルキル(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,ブチル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル,イソヘキシル等)、置換されていてもよいC3−6シクロアルキル(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、置換されていてもよいC6−14アリール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチルなど)、置換されていてもよいC7−11アラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなど)などが挙げられ、これらの置換基は同一又は異なって1個又は2個置換されていてもよい。該置換されていてもよい低級(C1−6)アルキルおよび置換されていてもよいC3−6シクロアルキルにおける置換基としては、低級(C1−5)アルキル(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル)でエステル化されていてもよいカルボキシル基、ヘテロ原子を1〜4個含む5〜6員芳香族複素環基(例、フリル,チエニル,インドリル,イソインドリル,ピラジニル,ピリジル,ピリミジル,イミダゾリルなど),アミノ基,水酸基,フェニル基などが挙げられ、これらの置換基は、同一または異なって1〜3個置換していてもよい。該置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert-ブチルなど)でエステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられる。また、該置換されていてもよいカルバモイル基において、2個の窒素原子上の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成していてもよく、このような環状アミノ基の例としては、1−アゼチジニル,1−ピロリジニル,ピペリジノ,モルホリノ,1−ピペラジニルなどが挙げられる。また、該環状アミノ基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0028】
Yで示される「置換されていてもよい水酸基」の置換基としては、例えば低級(C1−4)アルキル(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチルなど)、C3−6シクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、置換されていてもよいC6−10アリール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチルなど)、置換されていてもよいC7−11アラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなど)などが挙げられる。該置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert-ブチルなど)でエステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられる。
Yで示される「置換されていてもよいアミノ基」としてはモノ置換及びジ置換アミノ基を含み、これらの置換基としては、例えば低級(C1−4)アルキル(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチルなど)、C3−6シクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、置換されていてもよいC6−10アリール基(例、フェニル,1−ナフチル,2−ナフチルなど)、置換されていてもよいC7−11アラルキル基(例、ベンジル,フェネチルなど)などが挙げられる。該置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素),低級(C1−4)アルキル基(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチルなど)でエステル化されていてもよいカルボキシル基などが挙げられこれらの置換基を1〜4個好ましくは1〜2個有していてもよい。また、2個の窒素原子上の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成していてもよく、このような環状アミノ基の例としては、1−アゼチジニル,1−ピロリジニル,ピペリジノ,モルホリノ,1−ピペラジニルなどが挙げられる。また、該環状アミノ基は、さらに置換基を有していてもよい。
【0029】
Yで示される「脱プロトン化しうる水素原子を有する、置換されていてもよい複素環残基」の複素環残基としては、N,S,Oのうちの少なくとも1個を含む5〜7員(好ましくは5員)の単環状の複素環残基(好ましくは、含窒素複素環残基)が挙げられ、これらが脱離してプロトンを形成しうる水素原子を有しているのがよい。例えば、テトラゾール−5−イルまたは式
【化27】

〔式中、iは−O−または−S−を、jは>C=O,>C=Sまたは>S(O)を示す〕で表される基(なかでも、2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル,2,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル,2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール−3−イルが好ましい)などが挙げられる。
上記複素環残基は、置換されていてもよい低級アルキル基(好ましくはC1−4アルキル)またはアシル基などで保護されていてもよい。該置換されていてもよい低級アルキル基としては、C1−3アルキル,ニトロ,C1−3アルコキシで置換されていてもよいフェニル又はC1−3アルコキシで置換されていてもよいC1−4アルキル(例、メチル,トリフェニルメチル,メトキシメチル,エトキシメチル,p−メトキシベンジル,p−ニトロベンジルなど)などが挙げられる。該アシル基としては、低級(C2−5)アルカノイル,ベンゾイルなどが挙げられる。
上記した中でも、X'としては、エステル化されていてもよいカルボキシル基で置換されているアルキル基、脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基で置換されているアルキル基または置換されていてもよいカルバモイル基で置換されているアルキル基が好ましい。
【0030】
式(I)において、環Aで示される複素環としては、Rで表わされる炭化水素基の置換基に関連して詳述されている複素環基が挙げられるが、なかでも
【化28】

で表されるものが好ましい。
環Aで示される「置換されていてもよいベンゼン環」および「置換されていてもよい複素環」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル等)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルコキシ基(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)、水酸基、ニトロ基、シアノなどが挙げられる。環Aはこれらの置換基を1〜3個、好ましくは1〜2個有していてもよい。また、これらの置換基は、隣接する置換基同志で環を形成してもよい。該置換されていてもよい低級アルキル基又は置換されていてもよい低級アルコキシ基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられ、任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。環Aとしてはメトキシもしくは塩素原子で置換されたものが好ましく、特に塩素原子で置換されたものが好ましい。
式(Ia)において、環Bで示される「置換されていてもよいベンゼン環」の置換基としては、ハロゲン(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル等)、炭素数1〜4個の置換されていてもよい低級アルコキシ基(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ等)、水酸基、ニトロ基、シアノなどが挙げられる。環Bはこれらの置換基を1〜3個、好ましくは1〜2個有していてもよい。また、これらの置換基は、隣接する置換基同志で環を形成してもよい。該置換されていてもよい低級アルキル基又は置換されていてもよい低級アルコキシ基の置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)等が挙げられ、任意の位置に1〜3個置換されていてもよい。環Bとしてはメトキシもしくは塩素原子で置換されたものが好ましく、特に塩素原子で置換されたものが好ましい。
【0031】
式(I)において、環J'で示される「環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7または8員の複素環」における複素環としては、例えば、O,S(O)q(qは0,1または2を示す)およびNのうちの少なくとも1個を含む7または8員の飽和もしくは不飽和の複素環が挙げられる。ただし、該複素環の環を構成する原子(環構成原子)におけるヘテロ原子は3個以下である。
また、環J'は、R,R,R,X'で示される基以外に、さらに置換基を置換可能な位置に、1〜2個有していてもよい。該置換基としては、該置換基が環J'上の窒素原子に結合する場合、アルキル基(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル等のC1−6アルキルなど),アシル基(例、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチロイル等のC1−4アシル基)などが挙げられる。該アルキル基またはアシル基は、さらにハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)で1〜5個置換されていてもよい。また、該置換基が環J'上の炭素原子に結合する場合、該置換基としては、オキソ,チオキソ,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基などが挙げられる。該置換されていてもよい水酸基および置換されていてもよいアミノ基としては、前記Yで定義された「置換されていてもよい水酸基」および「置換されていてもよいアミノ基」と同様なものが挙げられる。
環J'としては、R,R,R,X'で示される基以外に、置換可能な位置に、オキソまたはチオキソが置換しているものが好ましい。
【0032】
環Aと環J'とからなる縮合環としては、例えば
【化29】

などが挙げられる。
【0033】
式(I)としては、式(I')
【化30】

〔式中、R,R,R,X',環Aは前記と同意義を示す。環Jは7員の複素環を、Zは−N(R)−(Rは水素原子,アルキル基またはアシル基を示す),−S(O)q−(qは0,1または2を示す),−CH−または−O−を、KはCまたはNを、GはOまたはSを示す。〕で表わされるものが好ましい。
【0034】
上記式(I')中、Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜6個の直鎖もしくは分枝状の低級アルキル基(例、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,tert−ブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチルなど)が挙げられ、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)などで1〜5個置換されていてもよい。
で示されるアシル基としては、C1−4アシル基(例、ホルミル,アセチル,プロピオニル,ブチロイルなど)が挙げられ、ハロゲン原子(例、フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)などで1〜5個置換されていてもよい。
式(I')中、Zとしては、S(O)q(qは0,1または2を示す),Oが好ましい。またKとしてはCが、GとしてはOが好ましい。
式(I')としては、さらに好ましくは、式(I'')
【化31】

〔式中、R,R,R,X,Y,環Aは前記と同意義を示す。ZはS(O)q(qは0,1または2を示す)またはOを示す〕で表わされるものが好ましい。
【0035】
式(I)で表わされる化合物としては、前記式(Ia)
【化32】

で表される化合物が好ましい。
式(Ia)としては、式(Ia')
【化33】

〔式中、R,環Bは前記と同意義を示す。Qは水素または金属イオンを、環Cは置換されていてもよいフェニル基を示す〕で表されるものであってもよい。式中、7員環の面に対して、3位と5位の置換基が逆方向を向いているトランスを示し、(R)はR−配置を示す。
上記式(Ia')において、Qで示される金属イオンとしては、ナトリウムイオン,カリウムイオン,カルシウムイオン,アルミニウムイオンなどが挙げられるが、なかでもナトリウムイオン,カリウムイオンが好ましい。
環Cで示される「置換されていてもよいフェニル基」の置換基としては、前記RおよびRで定義された「置換されていてもよい炭化水素基」の例として述べた「置換されていてもよいアリール基」の置換基としてあげたものと同様なものが挙げられる。
【0036】
式(I)で表わされる化合物の塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマール酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩、例えばトリエチルアミン塩、グアニジン塩、アンモニウム塩、ヒドラジン塩、キニーネ塩、シンコニン塩等の塩基の塩等の薬理学的に許容されうる塩が挙げられる。とりわけナトリウム塩が好ましい。
【0037】
式(I)で表わされる化合物を以下に具体的に例示すると、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
【0038】
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
【0039】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0040】
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0041】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,4−ジメトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0042】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−メチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−エチレンジオキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
【0043】
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−シアノ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−2,3−ジヒドロ−1−イソブチル−2−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−酢酸、
【0044】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−イソブチル−2−オキソ−1H−1,4−ベンゾジアゼピン−3−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−イル〕−アセチル〕グリシン、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−3−ジメチルアミノカルボニルメチル−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン、
7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−〔1〕−ベンズアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−2−チオキソ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−チエノ〔2,3−e〕オキサゼピン−3−酢酸、
【0045】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−チエノ〔2,3−e〕オキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−1−イソブチル−5−(2−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−チエノ〔2,3−e〕オキサゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0046】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(3−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(4−エトキシ−2−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
【0047】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−メトキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−3−ヒドロキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−イソブチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾチアゼピン−3−酢酸、及びこれら塩などが挙げられる。
【0048】
上記一般式(I)で表される化合物及びその塩〔以下、塩も含めて単に化合物(I)と称することがある。〕は、例えば、EPA567026号、WO95/21834(特願平6−15531号)、EPA645377(特願平6−229159号)、EPA645378(特願平6−229160号)などで開示され、これらの公報の開示にしたがって製造することができる。
【0049】
式(I)で表わされる化合物としては、前記式(Ib)
【化34】

で表される化合物が好ましい。
式(Ib)で表わされる化合物としては、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシ及び2−アミノプロピオニルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキルである化合物;
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシ及び2−アミノプロピオニルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよい分枝状のC3−6アルキルである化合物;
が2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル、3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル、3−アセトキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル又は3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピルである化合物;
1bがメチルである化合物;
Wが塩素原子である化合物;
が式
【化35】

〔式中、R2b及びR3bはそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基又はアシル基であるか、あるいはR2b及びR3bは隣接する窒素原子と一緒になって窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし3個環構成原子として含んでいてもよい置換されていてもよい5または6員含窒素複素環を形成する〕で表される基である化合物;
で表される基において、
2bが水素原子又はC1−7アルキル基を示し、
3b
(1)(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル、(c)C2−6アルケニル、(d)C6−10アリール及び(e)C6−10アリール−C1−4アルキルから選ばれる炭化水素基〔ここで(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル及び(c)C2−6アルケニルはそれぞれ
(i)C1−6アルキル又はC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)C1−6アルキル又はC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキル又はC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよい水酸基、
(vi)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
(vii)カルバモイル基、
(viii)水酸基、塩素原子、フッ素原子、アミノスルホニル及びC1−3アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいアミノ基より選ばれる1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(ix)C1−3アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいアミノ基、
(x)ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン,1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はフタルイミドから導かれるC1−3アルキル、ベンジル又はフェニルで置換されていてもよい環状アミノ基及び
(xi)ピリジン,イミダゾール,インドール又はテトラゾ−ルから導かれる芳香族5〜6員複素環基
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよく、
(d)C6−10アリール及び(e)C6−10アリール−C1−4アルキルはそれぞれ
(i)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)C1−6アルキル又はC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−4アルキルスルホニル、C6−10アリールスルホニル又はC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル基、
(v)C1−6アルキル又はC6−10アリ−ル−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(vi)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−4アルキルスルホニル、C6−10アリールスルホニル又はC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル基、C1−6アルキル又はC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基で置換されていてもよいC1−3アルキル基及び
(vii)ハロゲン
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕、
(2)テトラゾリル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル,2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリル又は2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリル基、又は
(3)(i)1又は2個のハロゲンで置換されていてもよいC2−7アルカノイル基、及び(ii)C1−3アルキル、C1−3アルコキシ及びハロゲンから選ばれる1ないし4個の置換基で置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル基、C1−4アルキルスルホニル基又はC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル基
から選ばれるアシル基を示すか、
又はR2b及びR3bは隣接の窒素原子と一緒になってピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、2−オキソピペラジン、2,6−ジオキソピペラジン、モルホリン又はチオモルホリンより導かれる5員又は6員環〔ここで、5員又は6員環は
(A)C1−3アルキル又はC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基、
(B)C1−6アルキル又はC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(C)C1−6アルキル又はC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基、
(D)スルホン酸基、
(E)C1−6アルキル又はC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(F)C1−6アルキル又はC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキル又はC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−6アルキル又はC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、C1−3アルキル又はC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基、C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、カルバモイル基、及び水酸基、ハロゲン、アミノスルホニル及びC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基より選ばれた1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル、C1−3アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいアミノ基又はテトラゾリルで置換されていてもよいC1−6アルキル及びC2−5アルケニル、
(G)C1−3アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいアミノ基、
(H)ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、4−メチルピペラジン、4−ベンジルピペラジン、又は4−フェニルピペラジンから導かれる環状アミノ基、
(I)シアノ基、
(J)カルバモイル基、
(K)オキソ基、
(L)テトラゾリル又は2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル基、
(M)C6−10アリールスルホニル、C1−4アルキルスルホニル又はC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル基、
(N)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
及び
(O)水酸基、ハロゲン、アミノスルホニル及びC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基から選ばれる1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル基
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕を形成する化合物;
で表される基において、
2b及びR3bは隣接するカルバモイル基の窒素原子と一緒になってピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、2−オキソピペラジン又は2,6−ジオキソピペラジンより導かれる5員又は6員環を形成し、その5員又は6員環はそれぞれ
(i)C1−6アルキル又はC6−10アリール−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)C1−6アルキル又はC2−7アルカノイル−C1−6アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキル又はC6−10アリール−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−3でアルキル化されていてもよい水酸基、
(vi)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
(vii)カルバモイル基、
(viii)水酸基、ハロゲン、アミノスルホニル及びC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基より選ばれた1ないし5個の置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(ix)C1−3アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいアミノ基、
及び
(x)テトラゾリル基
から選ばれる1〜2個の置換基を有していてもよいC1−6アルキル基で置換されていてもよい環である化合物;
で表される基において、
2bが水素原子又はC1−7アルキル、R3bがC1−4アルキルスルホニルである化合物;
で表される複素環基がテトラゾリル、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル、3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル、4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリル又は2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリルである化合物;
1bがメチル、
Wが塩素原子、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシ及び2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
が式
【化36】

〔式中、R2b'は水素原子又はC1−7アルキルを示し、R3b'はC1−4アルキルを示す。〕で表される基である化合物;
1bがメチル、
Wが塩素原子、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシ及び2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
が式
【化37】

〔式中、R'は水素原子又はC1−7アルキルを示し、nは1ないし5の整数を示す。〕で表される基である化合物;
1bがメチル、
Wが塩素原子、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシ及び2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
が式
【化38】

〔式中、R"は水素原子又はC1−4アルキルを示す〕で表される基である化合物;
1bがメチル、
Wが塩素原子、
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシ及び2−アミノプロピオニルオキシより選ばれる1個ないし3個の置換基で置換された分枝状のC3−6アルキル、
がテトラゾリルである化合物;
が1個又は2個の水酸基で置換されていてもよい低級アルキル、

(1)(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル、(c)C2−6アルケニル、(d)C6−10アリール及び(e)C7−14アリールアルキルから選ばれる炭化水素基〔ここで(a)C1−7アルキル、(b)C3−7シクロアルキル、(c)C2−6アルケニルはそれぞれ
(i)C1−6アルキル又はC7−10アリールアルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)リン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキル又はC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよい水酸基、
(vi)C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、
(vii)カルバモイル基、
(viii)水酸基、塩素原子、フッ素原子、アミノスルホニル及びC1−3アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいアミノ基より選ばれる置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(ix)C1−3アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいアミノ基、
及び
(x)ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン又は4−フェニルピペラジンから導かれるC1−3アルキル、ベンジル又はフェニルで置換されていてもよい環状アミノ基及び
(xi)ピリジン,イミダゾール,インドール又はテトラゾ−ルから導かれる芳香族5〜6員複素環基
より選ばれる1ないし4個の置換を有していてもよく、
(d)C6−10アリール及び(e)C7−14アリールアルキルはそれぞれ
(i)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(ii)リン酸基、
(iii)スルホン酸基、
(iv)C1−6アルキル又はC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(v)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、C1−6アルキル又はC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基で置換されていてもよいC1−3アルキル基
又は
(vi)ハロゲン原子
より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕で置換されていてもよいカルバモイル基、
(2)テトラゾリル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル,2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリル又は2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリル基、
(3)(i)1又は2個のハロゲンで置換されていてもよいC2−7アルカノイル基、及び(ii)C1−3アルキル、C1−3アルコキシ及びハロゲンから選ばれる1ないし4個の置換基で置換されていてもよいC6−10アリールスルホニル基、C1−4アルキルスルホニル基又はC7−14アリールアルキルスルホニル基から選ばれるアシル基で置換されていてもよいカルバモイル、
又は
(4)ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、2−オキソピペラジン、2,6−ジオキソピペラジン、モルホリン及びチオモルホリンより導かれる環状アミノカルボニル基
〔ここで環状アミノカルボニル基は
(A)水酸基、
(B)C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、
(C)リン酸基、
(D)スルホン酸基、
(E)C1−6アルキル又はC7−10アリールアルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、
(F)上記(A)、(B)、(C)、(D)又は(E)で置換されていてもよいC1−3アルキル又はC2−5アルケニル、
(G)C1−3アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいアミノ基、
(H)ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、4−メチルピペラジン、4−ベンジルピペラジン又は4−フェニルピペラジンから導かれる環状アミノ基、
(I)シアノ基、
(J)カルバモイル基、
(K)オキソ、
(L)C1−3アルコキシ、
(M)テトラゾリル又は2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリルから導かれる複素環基及び
(N)C6−10アリールスルホニル、C1−4アルキルスルホニル又はC7−14アリールアルキルスルホニルで置換されていてもよいカルバモイル基より選ばれる1ないし4個の置換基を有していてもよい〕である化合物;
が2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル基である化合物;などが好ましい。
前記式中、Rで示される低級アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等C1−6アルキルが挙げられる。なかでも、C3−6アルキル基が好ましく、C4−5アルキル基がより好ましい。とりわけイソブチル,ネオペンチル等の分枝状C4−5アルキル基が好ましい。
で示される低級アルキルの置換基としては例えば炭素数C2−20アルカノイル又はC1−7アルキルで置換されていてもよい水酸基などが挙げられる。このような置換基としては例えば水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシ及び2−アミノプロピオニルオキシ等が挙げられる。
このような置換基は置換可能な位置に1〜3個置換していてもよい。
さらに、Rで示される置換されていてもよい低級アルキルとしては例えば、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル,3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル,3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−アセトキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピル及び3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル等が挙げられる。
で示される置換されていてもよいカルバモイル基は式
【化39】

で表される基のようなものが挙げられる。
【0050】
2b及びR3bで示される「置換されていてもよい炭化水素」としては置換されていてもよいC1−7の直鎖又は分枝状のアルキル基(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,1,1−ジメチルエチル,n−ペンチル,3−メチルブチル,2−メチルブチル,1−メチルブチル,1−エチルプロピル,n−ヘキシル,4−メチルペンチル,3−メチルペンチル,2−メチルペンチル,2−エチルブチル,1−エチルブチル,ネオペンチル,ヘキシル,ヘプチル)、置換されていてもよいC3−7のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘキシルメチル等)、置換されていてもよいC2−6の直鎖又は分枝状のアルケニル基(例えば、ビニル,アリル,イソプロペニル,2−メチルアリル,1−プロペニル,2−メチル−1−プロペニル,2−メチル−2−プロペニル,1−ブテニル,2−ブテニル,3−ブテニル,2−エチル−1−ブテニル,2−メチル−2−ブテニル,3−メチル−2−ブテニル,1−ペンテニル,2−ペンテニル,3−ペンテニル,4−ペンテニル,4−メチル−3−ペンテニル,1−ヘキセニル,2−ヘキセニル,3−ヘキセニル,4−ヘキセニル,5−ヘキセニル等)、置換されていてもよいC6−10アリール基(例えば、フェニル,ナフチル基)及び置換されていてもよいC7−14アリールアルキル基(例、ベンジル,フェネチル,ナフチルメチル)等が挙げられる。
【0051】
該「置換されていてもよいC1−7の直鎖又は分枝状のアルキル基、置換されていてもよいC3−7シクロアルキル基,C2−6の直鎖又は分枝状のアルケニル基」の置換基としては、C1−6のアルキル基又はC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,フェニル,ベンジル等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基,C1−6アルキル(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等)又はアセチルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基,スルホン酸基,C1−6のアルキル基又はC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基,C1−3のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル等)でアルキル化されていてもよい水酸基及びスルフヒドリル基,カルバモイル基,1ないし5個の置換基〔例えば、水酸基,塩素,フッ素,アミノスルホニル基,C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)で置換されていてもよいアミノ基〕で置換されていてもよいフェニル基,C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)でモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノ基,環状アミノ基(例えば、ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン,1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,フタルイミド等の環状アミンから導かれるC1−3アルキル、ベンジル、フェニル等で置換されていてもよく、さらに酸素原子、硫黄原子を環構成原子として含んでいてもよい5〜6員環状アミノ基)及び、N,O,Sから選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む芳香族5〜6員複素環(例えば、ピリジン,イミダゾール,インドール,テトラゾール等)が挙げられる。
【0052】
さらにXで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」のカルバモイル基を形成する置換されていてもよいアミノ基の置換基としてのC6−10アリール基及びC6−10アリール−C1−4アルキル基の置換基としては、C1−4のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,tert−ブチル基等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキル(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル)又はピバロイルオキシメチル基、アセチルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基でモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−4アルキルスルホニル、C6−10アリールスルホニル又はC6−10アリール−C1−4アルキルスルホニル、C1−6のアルキル基又はC6−10アリ−ル−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基及びC1−4のアルキル基でエステル化されていてもよいカルボキシル基,メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等のC1−6のアルキル基又はピバロイルオキシメチル基などのC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基でモノ又はジ置換されていてもよいリン酸基,スルホン酸基及びC1−6アルキル,C6−10アリ−ル−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基で置換されていてもよいC1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル),ハロゲン(例えば、フッ素,塩素)等が挙げられる。
該「炭化水素基」は置換可能な位置に置換基を1ないし5個有していてもよい。
【0053】
2b及びR3bで示される「置換されていてもよい複素環基」としては、オキソ基,チオキソ基等の置換基を1〜2個(好ましくは1個)有していてもよく、かつ脱プロトン化しうる水素原子を有する複素環基が好ましい。かかる複素環基は、S、O、Nから選ばれるヘテロ原子を1〜4個、好ましくは2〜3個含む5〜6員複素環基が好ましい。具体的にはテトラゾリル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−オキサジアゾリル,3,5−ジオキソ−1,2,4−オキサジアゾリジニル,4,5−ジヒドロ−5−オキソ−イソオキサゾリル,4,5−ジヒドロ−5−チオキソ−イソオキサゾリル,2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3,4−オキサジアゾリル,2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−テトラゾリル及び2,3−ジヒドロ−3−チオキソ−1,2,4−テトラゾリル等が挙げられる。とりわけテトラゾリル基が好ましい。
【0054】
2b及びR3bで示される「アシル基」としては、カルボン酸から誘導されるカルボン酸アシル基(例えば、アセチル,プロピオニル,ブチリル,ベンゾイル等C2−7カルボン酸アシル基)及び置換基を有していてもよいC6−10アリールスルホニル基,C1−4アルキルスルホニル基及びC6−10アリ−ル−C1−4アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル,エチルスルホニル,フェニルスルホニル,ナフチルスルホニル,フェニルメチルスルホニル,フェニルエチルスルホニル,ナフチルメチルスルホニル,ナフチルエチルスルホニル等)が挙げられる。アリール,アルキル−及びアリールアルキルスルホニル基の置換基としては、C1−3のアルキル(例メチル,エチル,プロピル等),C1−3のアルコキシ(例メトキシ,エトキシ,プロポキシ等),ハロゲン(例、塩素,フッ素,臭素)等が挙げられ、これらが1〜4個好ましくは1〜2個置換可能な位置に置換していてよい。
上記、カルボン酸アシル基は、ハロゲン(例、塩素、フッ素、臭素)を1〜2個置換基として有していてもよい。
【0055】
2b及びR3bは隣接のカルバモイルの窒素原子と一緒になって形成する、C1−3アルキル又はC2−7アルカノイルなどで置換されていてもよい環状アミノ基としては、例えば、ピペラジン,ピペリジン,ピロリジン,ピペラジン−2−オン,ピペラジン−2,6−ジオン,モルホリン,チオモルホリンのような環状アミンであって、さらに、窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個環構成原子として含んでいてもよい5又は6員環状アミンから導かれる基が挙げられる。これらの環状アミノ基は、1〜4個、好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよい。該置換基としては、C1−3アルキル又はC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基,C1−4のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,tert−ブチル基等)又はC7−10アリールアルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキル又はC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基(例えば、アセチルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基)でモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基,スルホン酸基及びC1−6のアルキル基又はC6−10アリ−ル−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基、「C1−6アルキル又はC6−10アリ−ル−C1−4アルキルでエステル化されていてもよいカルボキシル基、C1−6アルキル又はC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキル基(例えば、アセチルオキシメチル基、ピバロイルオキシメチル基など)でモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基、スルホン酸基、C1−6アルキル又はC6−10アリ−ル−C1−4アルキルで置換されていてもよいスルホンアミド基、C1−3アルキル又はC2−7アルカノイルで置換されていてもよい水酸基、C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基、カルバモイル基、1ないし5個の置換基(例えば、水酸基、ハロゲン、アミノスルホニル、C1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基など)で置換されていてもよいフェニル、C1−3アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいアミノ基又はテトラゾリル」で置換されていてもよいC1−6アルキル及びC2−5アルケニル、C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)でモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノ基,環状アミノ基(例えば、ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン等の、C1−3アルキル,ベンジル,フェニルで置換されていてもよく、さらに窒素原子、硫黄原子、酸素原子から選ばれるヘテロ原子を含んでいてもよい5−又は6−員環状アミンから導かれる基),シアノ基,カルバモイル基,オキソ基,C1−3アルコキシ(例えば、メトキシ,エトキシ,エチレンジオキシ等),上記したのと同様な脱プロトン化しうる水素原子を有するオキソ基又はチオキソ基で置換されていてもよい複素環基(例えば、テトラゾリル,2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル等),Xで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」のカルバモイルを形成する置換されていてもよいアミノ基の置換基として挙げたC6−10アリールスルホニル,C6−10アリ−ル−C1−4アルキルスルホニル及びC1−4アルキルスルホニル(例えば、メチルスルホニル,エチルスルホニル,プロピルスルホニル,ブチルスルホニル,イソプロピルスルホニル,tert−ブチルスルホニル,フェニル,スルホニル,ベンジルスルホニル等)、C1−3アルキルでアルキル化されていてもよいスルフヒドリル基又は1ないし5個の置換基(例えば、水酸基、ハロゲン、アミノスルホニル及びC1−3アルキルで置換されていてもよいアミノ基など)で置換されていてもよいフェニルで置換されたカルバモイル基等が挙げられる。
【0056】
で表される置換されていてもよいカルバモイル基の例としては例えば
【化40】

【化41】

【化42】

等が挙げられる。
2b’及びR'としては水素原子及びC1−7アルキル等が挙げられる。とりわけ水素原子が好ましい。
2b,R2b'及びR'で表されるC1−7アルキルとしては前記の「炭化水素基」のC1−7アルキルと同様のものが挙げられる。
R”としては水素原子及びC1−4アルキル等が挙げられる。とりわけ水素原子が好ましい。
3b'及びR"で表されるC1−4アルキルとしては例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。
【0057】
で示される脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環基としてはブレンステッド酸的活性プロトンを有する含窒素(好ましくは1〜4個の窒素原子を含む)5〜6員複素環が好ましく、窒素原子、硫黄原子、酸素原子を1〜4個好ましくは2〜3個含んでいるのがよい。これらの置換基としては、オキソ基,チオキソ基等があげられ、これらの置換基を1〜2個、特に1個有していてもよい。Xで示される「脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環基」としては、例えば、テトラゾリル,2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾリル等のXで示される「置換されていてもよいカルバモイル基」の置換基としての「置換されていてもよい複素環基」として例示したものなどが挙げられる。
1bで示される「低級アルキル基」としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,ヘキシル等のC1−6アルキル基が挙げられる。とりわけC1−3のアルキル基が好ましい。R1bとしてはとくにメチル基が薬理活性面から好ましい。
Wで示される「ハロゲン原子」としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。とりわけ塩素原子が好ましい。
【0058】
式(Ib)で表される化合物の塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機塩、例えば酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の金属塩、例えばトリエチルアミン塩、グアニジン塩、アンモニウム塩、ヒドラジン塩、キニーネ塩、シンコニン塩等の塩基の塩等の薬理学的に許容されうる塩が挙げられる。
また、式(Ib)で表される化合物の水和物および非水和物も本発明に包含されるものである。
式(Ib)で表わされる化合物またはその塩は、3位と5位に不斉炭素が存在するが、7員環の面に対して、3位と5位の置換基が逆方向を向いている異性体であるトランス体が好ましく、特に3位の絶対配置がR配置で、5位の絶対配置がS配置のものが好ましい。
【0059】
式(Ib)で表される化合物またはその塩としては具体的には以下のものが好ましい。
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
【0060】
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−1−〔3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセトアミド、
N−メタンスルホニル−[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、
N−[〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−1−(2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸、
N−[〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル]ピペリジン−4−酢酸、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸 エチルエステル、
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸 エチルエステル、
【0061】
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(又は3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(又は3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(又は3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1,2,3,5−テトラヒドロ−3−〔1H(又は3H)−テトラゾ−ル−5−イル〕メチル−4,1−ベンゾオキサゼピン−2−オン、
N−〔2−(ピロリジン−1−イル)エチル〕−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−ネオペンチル−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド;など
【0062】
式(Ib)で表される化合物またはその塩は、例えば、EPA567026号、WO95/21834(特願平6−15531号に基づくPCT出願)、EPA645377(特願平6−229159号に基づく出願)、EPA645378(特願平6−229160号に基づく出願)、WO9710224号などの公報の開示の方法、又はそれに準ずる方法にしたがって製造することができる。
【0063】
式(I)で表わされる化合物としては、前記式(Ic)
【化43】

で表される化合物が好ましい。
式(Ic)で表わされる化合物としては、
1cが3−カルボキシプロピル基、1−カルボキシエチル基、それぞれ置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、(カルボキシフリル)−アルキル基、カルボキシ−C6−10アリール基、(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基または(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基である化合物;
1cが置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基である化合物;
1cが置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基である化合物;
1cが置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−フェニル基である化合物;
1cが置換基を有していてもよい(カルボキシフリル)−アルキル基である化合物;
2cがアルカノイルオキシ基および/または水酸基を有するC3−6アルキル基である化合物;
2cが水酸基、アセトキシ、プロピオニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシおよびパルミトイルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC3−6アルキル基である化合物;
2cが2,2−ジメチルプロピル、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルまたは3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピルである化合物;
3cがメチル基である化合物;
Wが塩素原子である化合物;
3位がR−配位で5位がS−配位である化合物;などが好ましい。
【0064】
前記式中、R1cは置換基を有していてもよい1−カルボキシエチル基、置換基を有していてもよいカルボキシ−C3−6直鎖アルキル基、置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、または 式 −X1c−X2c−Ar−X3c−X4c−COOH(式中、X1cおよびX4cはそれぞれ結合手または置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基を示し、X2cおよびX3cはそれぞれ結合手、−O−または−S−を示し、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香環基を示す。但し、X1cが結合手のとき、X2cは結合手を示し、X4cが結合手のとき、X3cは結合手を示す)で表される基を示す。
1cで示される置換基を有していてもよいカルボキシ−C3−6直鎖アルキル基におけるC3−6直鎖アルキル基としては、n−プロピル,n−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシルが挙げられる。これらのうち、n−プロピル,n−ブチルが好ましく、n−プロピルがより好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基におけるC3−6直鎖アルキル基としては、n−プロピル,n−ブチル,n−ペンチル,n−ヘキシルが挙げられる。これらのうち、n−プロピル,n−ブチルが好ましく、n−プロピルがより好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基におけるC5−7シクロアルキル基としては、シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチルが挙げられる。これらのうち、シクロペンチル,シクロヘキシルが好ましく、シクロヘキシルがより好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基におけるC1−3アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピルが挙げられる。これらのうち、メチル,エチルが好ましく、メチルがより好ましい。
1cとしての 式 −X1c−X2c−Ar−X3c−X4c−COOHで表される基において、X1cおよびX4cで示される「置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基」における「C1−4アルキレン基」としては、例えば、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレンなどが挙げられ、C1−3アルキレン基が好ましく、なかでも、直鎖状のものが好ましく用いられる。
Arで示される「置換基を有していてもよい2価の芳香環基」における「2価の芳香環基」としては、例えば、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基などが挙げられる。
ここで、2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、C6−10アリール基(例、フェニル,ナフチルなど)から1個の水素原子を除去して形成される基などが挙げられ、2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレンが好ましく用いられる。
2価の芳香族複素環基としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む芳香族複素環基から1個の水素原子を除去して形成される基などが挙げられる。
ここで、芳香族複素環基としては、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5ないし6員の芳香族単環式複素環基(好ましくは、フリル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジルなど)、および例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔b〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−b〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−a〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−b〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−a〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−a〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−b〕ピリダジニル等の8〜12員の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環または前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環、より好ましくは前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環)等が挙げられる。
【0065】
1cおよびX4cで示される「置換基を有していてもよいC1−4アルキレン基」における「C1−4アルキレン基」;ならびにArで示される「置換基を有していてもよい2価の芳香環基」における「2価の芳香環基」がそれぞれ有していてもよい置換基としては、(i)C1−6のアルキル基又はC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,フェニル,ベンジル等)でエステル化されていてもよいカルボキシル基,(ii)C1−6アルキル(例えば、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,ヘキシル等)又はアセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル基のようなC2−7アルカノイルオキシ−C1−6アルキルでモノ又はジ−置換されていてもよいリン酸基,(iii)スルホン酸基,(iv)C1−6のアルキル基又はC6−10アリール−C1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル,ベンジル等)で置換されていてもよいスルホンアミド基,(v)C1−3のアルキル基(例、メチル,エチル,プロピル等)でアルキル化されていてもよい水酸基及びスルフヒドリル基,(vi)カルバモイル基,(vii)1ないし5個の置換基〔例えば、水酸基,塩素,フッ素,アミノスルホニル基,C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)で置換されていてもよいアミノ基〕で置換されていてもよく、OまたはSを介して結合していてもよいフェニル基,(viii)C1−3のアルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル等)でモノ−又はジ−置換されていてもよいアミノ基,(ix)C1−3アルキル(例、メチル,エチル等)、ベンジル、フェニル等で1ないし3個置換されていてもよい環状アミノ基(例えば、ピペリジン,ピロリジン,モルホリン,チオモルホリン,ピペラジン,4−メチルピペラジン,4−ベンジルピペラジン,4−フェニルピペラジン,1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン,フタルイミド等の環状アミンから(水素原子を一個除いて)導かれる環状アミノ基などの窒素原子の外に酸素原子、硫黄原子を環構成原子として含んでいてもよい5〜6員環状アミノ基),(x)N,O,Sから選ばれるヘテロ原子を1〜4個含み、OまたはSを介して結合していても5−6員芳香族複素環基(例えば、ピリジル,イミダゾリル,インドリル,テトラゾリル等),(xi)ハロゲン原子(例、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素など),(xii)C1−4アルコキシ基、C1−4アルキルチオ基、カルボキシルおよびフェニルから選ばれる置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1−4アルキル基(例えば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,tert−ブチル等)、C1−4アルコキシ基(例えば、メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ,t−ブトキシ等)またはC1−4アルキルチオ基(例えば、メチルチオ,エチルチオ,プロピルチオ,イソプロピルチオ,ブチルチオ,tert−ブチルチオ等)、(xiii)C5−7シクロアルキル基(例、シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘプチル等)、(xiv)C1−7アルカノイルオキシ(例、ホルミルオキシ,アセトキシ,プロピオニルオキシ,ブチリルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,イソブチリルオキシ,バレリルオキシ,ピバロイルオキシ等)が挙げられる。このような置換基は、置換可能位置に1ないし6個、好ましくは1ないし3個存在し得る。また、2個の置換基が結合して、C3−6アルキレン、C3−6アルキレンオキシ、C3−6アルキレンジオキシなどを形成していてもよく、例えば、フェニル基上の隣接した2個の置換基が結合して、Cアルキレンを形成する場合は、テトラヒドロナフタレン基を形成することとなる。
1cとしての 式 −X1c−X2c−Ar−X3c−X4c−COOHで表される基の具体例としては、置換基を有していてもよい(カルボキシ−ヘテロアリール)−C1−4アルキル基〔好ましくは、置換基を有していてもよい(カルボキシ−フリル)−C1−4アルキル基〕、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C6−10アリール)−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよいカルボキシ−ヘテロアリール基、置換基を有していてもよいカルボキシ−C6−10アリール基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基〔好ましくは、(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基〕、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−ヘテロアリール−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C7−14アラルキル基〔好ましくは、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基〕、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルコキシ)−C6−10アリール基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルコキシ)−C6−10アリール−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリールオキシ−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C6−10アリールオキシ)−C1−4アルキル基、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキルチオ)−ヘテロアリール基などが挙げられる。
ここで、ヘテロアリールとしては、前記した「芳香族複素環基」と同様なものが挙げられ、該ヘテロアリールは、前記した「芳香族複素環基」が有していてもよい置換基と同様な置換基を有していてもよい。また、C6−10アリールとしては、フェニル,ナフチル,アズレニルが挙げられ、フェニルが好ましく用いられ、該C6−10アリールは、前記した「芳香族複素環基」が有していてもよい置換基と同様な置換基を有していてもよい。
で示される置換基を有していてもよい(カルボキシフリル)−C1−4アルキル基におけるアルキル基としては、例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル、n−ブチル,イソブチル,1,1−ジメチルエチル等のC1−4の直鎖または分枝状のアルキル基等が挙げられる。これらのうち、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル等のC1−4アルキル基が好ましく、メチル,エチル,n−プロピルがより好ましい。該カルボキシフリル基としては、例えば3−カルボキシ−2−フリル、4−カルボキシ−2−フリル、2−カルボキシ−3−フリル、2−カルボキシ−5−フリル等が挙げられる。こらのうち、3−カルボキシ−2−フリル、4−カルボキシ−2−フリルが好ましく、3−カルボキシ−2−フリルがより好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基におけるC2−3アルキルとしては、エチル,n−プロピル,イソプロピルが挙げられ、エチル,n-プロピルが好ましい。C6−10アリール基としては、フェニル,ナフチル,アズレニルが挙げられ、フェニルが好ましい。
1cで示される置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基における、C1−3アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピルが挙げられ、メチル,エチルが好ましく、エチルが特に好ましい。C7−14アラルキル基(C6−10アリール−C1−4アルキル基)としては、フェニルメチル,1−フェニルエチル,2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル,2−フェニルプロピル,4−フェニルブチル,(1−ナフチル)メチル,(2−ナフチル)メチル、1−(1−ナフチル)エチル,1−(2−ナフチル)エチル、3−(1−ナフチル)プロピル,3−(1−ナフチル)プロピル、4−(1−ナフチル)ブチル、4−(2−ナフチル)ブチルが挙げられ、フェニルメチル,1−フェニルエチル,3−フェニルプロピル,(1−ナフチル)メチル、(2−ナフチル)メチル、(1−ナフチル)エチル、(2−ナフチル)エチルが好ましく、フェニルメチル,2−フェニルエチルが特に好ましい。
1cで示される各基で置換基を有する場合の置換基としては、Arで示される「置換基を有していてもよい2価の芳香環基」における「2価の芳香環基」が有していてもよい置換基と同様なものが挙げられ、このような置換基は、置換可能位置に1ないし6個、好ましくは1ないし3個存在し得る。また、R1cで示される各基において、カルボキシル部分は無置換であることが好ましいが、カルボキシル以外の任意の部分は、置換可能位置に置換可能な置換基を有していてもよい。
1cとしては、3−カルボキシプロピル基、1−カルボキシエチル基、それぞれ置換基を有していてもよいC3−6直鎖アルキル−スルホニル基、(カルボキシ−C5−7シクロアルキル)−C1−3アルキル基、(カルボキシフリル)−アルキル基、カルボキシ−C6−10アリール基、(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基〔好ましくは、(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基〕、(カルボキシ−C1−3アルキル)−C7−14アラルキル基などが好ましく、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C1−4アルキル)−C6−10アリール基が好ましく、置換基を有していても良い(カルボキシ−C2−3アルキル)−C6−10アリール基がさらに好ましく、とりわけ、置換基を有していてもよい(カルボキシ−C2−3アルキル)−フェニル基が好ましい。
【0066】
2cで示される、アルカノイルオキシ基または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基におけるC3−6アルキル基としては例えば、n−プロピル,イソプロピル,1,1−ジメチルエチル,n−ブチル,イソブチル,n−ペンチル,2,2−ジメチルプロピル,イソペンチル,n−ヘキシル,イソヘキシル等が挙げられる。これらのうち、イソプロピル,1,1−ジメチルエチル,n−ブチル、イソブチル,2,2−ジメチルプロピル,イソヘキシルが好ましく、2,2−ジメチルプロピルが特に好ましい。
2cで示される、アルカノイルオキシ基または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基におけるアルカノイルオキシ基としては例えば、ホルミルオキシ,アセトキシ,プロピオニルオキシ,ブチリルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,イソブチリルオキシ,バレリルオキシ,ピバロイルオキシ,ラウリルオキシ,パルミトイルオキシ,ステアロイルオキシ等のC1−20アルカノイルオキシ基(好ましくは、C1−7アルカノイルオキシ基など)などが挙げられる。これらのうち、アセトキシ,プロピオニルオキシ,tert−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシが好ましく、アセトキシが特に好ましい。アルカノイルオキシ基または水酸基は置換可能な位置に1〜3個置換していてもよい。
2cで示されるアルカノイルオキシ基または水酸基で置換されていてもよいC3−6アルキル基の好ましい例としては、2,2−ジメチルプロピル,3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル,3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−アセトキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル及び3−アセトキシ−2−アセトキシメチル−2−メチルプロピル等が挙げられる。これらのうち、2,2−ジメチルプロピル,3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル,3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピルが特に好ましい。
また、R2cとしては、アルカノイルオキシ基および/または水酸基を有するC3−6アルキル基が好ましい。
【0067】
3cで示される低級アルキル基としては、メチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,tert−ブチル,ペンチル,ヘキシル等のC1−6アルキル基が挙げられる。とりわけC1−3のアルキル基が好ましい。R3cとしてはとくにメチル基が薬理活性面から好ましい。
Wで示されるハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。とりわけ塩素原子が好ましい。
【0068】
式(Ic)で表わされる化合物は遊離体であっても、薬理学的に許容される塩であっても本発明に含まれる。このような塩としては、式(Ic)で表わされる化合物がカルボキシル基等の酸性基を有する場合、無機塩基(例、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、鉄、銅等の遷移金属等)や有機塩基(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどの有機アミン類、アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸類等)などとの塩を形成していてもよい。
本発明の式(Ic)で表わされる化合物がアミノ基等の塩基性基を有する場合、無機酸や有機酸(例、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、炭酸、重炭酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸等との塩を形成してもよい。
【0069】
式(Ic)で表わされる化合物またはその塩は、3位と5位に不斉炭素が存在するが、立体異性体の混合物であってもよく、また公知手段で異性体を分離することもできる。7員環の面に対して3位と5位の置換基が逆方向を向いている異性体であるトランス体が好ましく、特に3位の絶対配置がR配置で、5位の絶対配置がS配置のものが好ましい。またラセミ体または光学活性体であってもよい。光学活性体は公知の光学分割手段によりラセミ体より分離することができる。
【0070】
本発明の式(Ic)で表わされる化合物またはその塩としては具体的には以下のもなどが好ましい。
N−プロパンスルホニル−[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセトアミド、もしくはその塩
(2R)−2−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノプロピオン酸、もしくはその塩
3-〔3-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2-ジメチルプロピル)−2−オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
4-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(2,2−ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノブタン酸、もしくはその塩
トランス−4−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、もしくはその塩
トランス−4−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕−アミノメチル−1−シクロヘキサンカルボン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−フルオロフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−メチルフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−メチルフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル〕フェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノメチル〕フェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
2−〔2−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕エチル〕フラン−3−カルボン酸、もしくはその塩
3−〔3−〔〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼン−3−イル〕アセチル〕アミノ〕−4−フルオロフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
3-〔3-〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノフェニル〕プロピオン酸、もしくはその塩
4-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕ブタン酸、もしくはその塩
5-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-メトキシフェニル〕ペンタン酸、もしくはその塩
5-〔3-〔〔〔(3R,5S)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-1-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル〕アセチル〕アミノ〕-4-フルオロフェニル〕ペンタン酸、もしくはその塩などが挙げられる。
【0071】
上記式(Ic)で表わされる化合物またはその塩は、例えば、EPA567026号、WO95/21834(特願平6−15531号に基づく国際出願)、EPA645377(特願平6−229159号に基づく出願)、EPA645378(特願平6−229160号に基づく出願)などの公報、WO01/98282(特願2000−190253号に基づく国際出願)などに開示の方法、又はそれに準ずる方法にしたがって製造することができる。
本発明の式(I)で表される化合物の原料化合物も、上記と同様の塩が用いられるが、反応に支障のない限り特に限定されない。
【0072】
式(I)で表わされる化合物またはその塩としては、次の式(Id)で表される化合物が好ましい。
【化44】

式(Id)において、環Aおよび環Bはそれぞれ置換されていてもよいベンゼン環を示し、環Cはさらに置換されていてもよい芳香環を示し、Rは置換されていてもよい水酸基で置換されていてもよい低級アルキル基を示し、X1aは結合手または置換されていてもよい低級アルキレンを示し、X1bは結合手または置換されていてもよい低級アルキレンを示し、Xは結合手、−O−または−S−を示し、Xは結合手または置換されていてもよい二価の炭化水素基を示し、Yはエステル化またはアミド化されていてもよいカルボキシル基を示す。
【0073】
式(Id)で表わされる化合物の好ましい例としては:
5−(3−{[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンズオキサゼピン−3−イル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾ−ル−5−イル)ペンタン酸またはその塩;
5−(3−{[(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンズオキサゼピン−3−イル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾ−ル−5−イル)ペンタン酸またはその塩;
5−(3−{[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)− 7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンズオキサゼピン−3−イル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾ−ル−5−イル)ペンタン酸またはその塩;および(4−{[(3R, 5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンズオキサゼピン−3−イル]アセチル}フェニル)酢酸またはその塩が挙げられる。
【0074】
本発明における「CRP低下」とは、種々の要因で生体内(例えば、血中)のCRPレベルが上昇した症状(本明細書において、そのような血中CRP濃度が上昇した状態(例えば、0.3mg/dL以上)を「高CRP血症」という)に対して、当該レベルを投与前よりも低下させて正常値に近づける作用をいい、その臨床上の意義としては、CRPレベルの上昇が関与する種々の疾患に対して治療あるいは予防効果を示すことである。
本発明によれば、SSI化合物は血中CRP低下作用を有することから、CRPの上昇が関与する疾患、例えば炎症性疾患、癌などの予防・治療に有用である。ここで「炎症性疾患」とは、炎症に関連する(炎症に起因する場合や結果として炎症を生じる場合を含む)あらゆる障害(疾患もしくは病態)をも包含するものとして、最も広義に解釈されるべきであり、例えば、感染性炎症(例:細菌、ウイルス、真菌、原虫その他の寄生性生物の感染による炎症)、感染のアレルギー性合併症(例:リウマチ熱、糸球体腎炎、癩性結節性紅斑(ENL)等)、慢性炎症性疾患(例:関節リウマチ、若年性関節炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、全身性血管炎、リウマチ性多発筋痛(PMR)、ライター症候群、クローン病、家族性地中海熱等)、壊死性炎症(例:急性膵炎等)、外傷性炎症(火傷、手術、物理的もしくは化学的損傷、あるいは骨折による炎症等)、血管障害(例:冠状動脈疾患、動脈瘤、動脈硬化症、アテローム性硬化症(心臓移植アテローム性硬化症を含む)、心筋梗塞、塞栓症、末梢動脈閉塞症、PTCA後再狭窄、卒中、血栓症(静脈性血栓症を含む)、狭心症(不安定狭心症を含む)、石灰化(血管石灰化、弁石灰化を含む)、川崎病、その他の炎症性血管障害等)などが包含される。また、癌としては、例えば、悪性リンパ腫(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、卵巣癌、腎臓癌、膵臓癌、消化管(食道・胃・大腸・直腸を含む)癌、多発性骨髄腫、黒色腫、悪性線維性組織球腫などが挙げられるが、それらに限定されない。即ち、SSI化合物は、高脂血症や動脈硬化症等の予防・治療剤、トリグリセライド低下剤、脂質低下剤、高密度リポタンパク−コレステロール上昇剤、抗真菌剤、骨格筋保護剤などの従来公知の用途に加えて、本発明において新たに見出されたCRP低下作用に基づいて、リウマチ、癌、血栓形成性疾患や幅広い炎症性疾患の予防・治療剤としても有効に使用され得る。さらには、動脈硬化、血管炎に起因する血管障害に基づく各種臓器障害の予防・治療剤としても有用である。
【0075】
また、CRPは血中コレステロールとは独立した動脈硬化危険因子(惹起因子)であると言われており、血中CRPレベルの上昇(高CRP血症)は高脂血症とは別の一疾患とみなされ得る。従って、SSI化合物は高CRP血症の予防・治療にも有用である。
【0076】
前述のように、CRPは動脈硬化病変の進行やプラーク破綻に関して増悪因子として働くことが示されているので、SSI化合物は、特に動脈硬化巣の進展抑制および/または安定化にも有用である。
ところで、心筋梗塞等を発症する虚血性心疾患患者の中には、血中コレステロール値が正常範囲内にあるにもかかわらず、高CRP値を有する患者が相当数存在する。そのような虚血性心疾患患者あるいはその発症リスクの高い患者にSSI化合物を投与することにより、そのCRP低下作用に基づいて、虚血性心疾患の予防・進展抑制・治療を行うことができる。SSI化合物のかかる特定患者等に対する医薬用途は、SSI化合物がCRP低下作用を有するとの本発明の新たな知見により初めて適用可能となったものである。
なお、SSI化合物以外のCRP低下作用を有する薬物としては、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害薬が知られているが、副作用として横紋筋融解症等の筋肉症状を示す場合がある。SSI化合物にはこのような副作用はなく、安全に投与できるとの利点を有するものである。
【0077】
本発明で用いられるSSI化合物は毒性が低く(例えば、急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心毒性、薬物相互作用、癌原性などの点から医薬として、より優れている)、そのまま医薬として、または自体公知の薬学的に許容しうる担体などと混合して医薬組成物として、哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ウシ、ウマ、ブタ、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ等)に対して安全に用いることができる。
【0078】
本発明の剤において、活性成分であるスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグ(以下、「SSI化合物またはそのプロドラッグ」と称することもある)は、原末のままでもよいが、通常製剤用担体、例えば賦形剤(例えば、炭酸カルシウム、カオリン、炭酸水素ナトリウム、乳糖、澱粉類、結晶セルロース、タルク、グラニュー糖、多孔性物質等)、結合剤(例えば、デキストリン、ゴム類、アルコール化澱粉、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化澱粉等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、澱粉、安息香酸ナトリウム等)、着色剤(例えば、タール色素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン類等)、矯味剤(例えば、甘味類、香料等)、安定剤(例えば、亜硫酸ナトリウム等)及び保存剤(例えば、パラベン類、ソルビン酸等)等の中から適宜、適量用いて、常法に従って調製された形で投与される。前記製剤を含む本発明の剤は、SSI化合物またはそのプロドラッグを疾病を治療及び予防するのに有効な量を適宜含有する。SSI化合物またはそのプロドラッグの本発明製剤中の含有量は、通常製剤全体の0.1ないし100重量%である。また本発明で用いられる製剤は、活性成分としてSSI化合物またはそのプロドラッグ以外の他の医薬成分を含有していてもよく、これらの成分は本発明の目的が達成される限り特に限定されず、適宜適当な配合割合で使用が可能である。剤形の具体例としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、徐放性注射剤、吸入剤、軟膏剤等が用いられる。これらの製剤は常法(例えば日本薬局方記載の方法等)に従って調製される。
【0079】
具体的には、錠剤の製造法は、SSI化合物またはそのプロドラッグをそのまま、賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、適当な方法で顆粒とした後、滑沢剤等を加え、圧縮成型するか又は、SSI化合物またはそのプロドラッグをそのまま、又は賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、直接圧縮成型して製するか、又はあらかじめ製した顆粒にそのまま、もしくは適当な添加剤を加えて均等に混和した後、圧縮成型しても製造することもできる。また、本剤は、必要に応じて着色剤、矯味剤等を加えることができる。さらに、本剤は、適当なコーティング剤で剤皮を施すこともできる。注射剤の製造法は、SSI化合物またはそのプロドラッグの一定量を、水性溶剤の場合は注射用水、生理食塩水、リンゲル液等、非水性溶剤の場合は通常植物油等に溶解、懸濁もしくは乳化して一定量とするか、又はSSI化合物またはそのプロドラッグの一定量をとり注射用の容器に密封して製することができる。
経口用製剤担体としては、例えばデンプン、マンニトール、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の製剤分野において常用されている物質が用いられる。注射用担体としては、例えば蒸留水、生理食塩水、グルコース溶液、輸液剤等が用いられる。その他、製剤一般に用いられる添加剤を適宜添加剤することもできる。
また、本発明の製剤は、徐放性製剤として用いることもできる。該徐放性製剤は、例えば水中乾燥法(o/w法、w/o/w法等)、相分離法、噴霧乾燥法あるいはこれらに準ずる方法によって製造されたマイクロカプセル(例えばマイクロスフェア・マイクロカプセル、マイクロパーティクル等)をそのまま、あるいはこのマイクロカプセル又は球状、針状、ペレット状、フィルム状、クリーム状の医薬組成物を原料物質として種々の剤型に製剤化し、投与することができる。該剤型としては、例えば非経口剤(例えば、筋肉内、皮下、臓器等への注射又は埋め込み剤;鼻腔、直腸、子宮等への経粘膜剤等)、経口剤(例えば、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
該徐放性製剤が注射剤である場合は、マイクロカプセルを分散剤(例えば、Tween 80,HCO−60等の界面活性剤;カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等の多糖類;硫酸プロタミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、局所麻酔剤(例えば、塩酸キシロカイン、クロロブタノール等)等とともに水性懸濁剤とするか、植物油(例えば、ゴマ油、コーン油等)あるいはこれにリン脂質(例えば、レシチン等)を混合したもの、又は中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、ミグリオール812等)とともに分散して油性懸濁剤として徐放性注射剤とする。
該徐放性製剤がマイクロカプセルである場合、その平均粒子径は、約0.1ないし約300μmであり、好ましくは、約1ないし約150μm、さらに好ましくは約2ないし約100μmである。
マイクロカプセルを無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙げられるが、特に限定されない。
【0080】
本発明の剤の投与量は、投与経路、症状、患者の年令あるいは体重等によっても異なるが、例えば、動脈硬化症の予防・治療剤として成人患者に経口的に投与する場合、SSI化合物として1日当たり1〜400mg/日、好ましくは6〜120mg/日を1〜数回に分けて投与するのが望ましい。投与経路は経口、非経口のいずれでもよい。
また、本発明の剤の例としての徐放性製剤の投与量は、投与経路、症状、患者の年令あるいは体重等の他に、放出の持続時間等によっても種々異なるが、活性成分の有効濃度が体内で保持される量であれば特に制限されず、その投与回数は、1日ないし3日あるいは1週間ないし3ヶ月に1回等状況によって適宜選ぶことができる。
【0081】
SSI化合物は他の薬物と併用することができる。従って、本発明はまた、SSI化合物と他の薬物とを組み合わせてなる併用剤を提供する。
本発明の併用剤においてSSI化合物と併用し得る薬物(以下、併用薬物と略記する場合がある)としては、例えば、SSI化合物以外のCRP低下作用を有する薬物、あるいはCRPの上昇が関与する上記の各種疾患のいずれかに対して予防・治療効果を示す薬物などが挙げられる。SSI化合物以外のCRP低下作用を有する薬物としては、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害薬(例:米国特許4,444,784号公報を参照)、米国出願公開2003/0171251号公報に一般式(I)として開示される化合物、米国特許6,653,346号公報に一般式(I)として開示されるベンゾフラン誘導体等が挙げられるが、それらに限定されない。HMG−CoA還元酵素阻害薬は、稀に副作用として横紋筋融解症等の筋肉症状を示す場合があるが、本発明で用いられるSSI化合物は骨格筋保護作用をも有するので、併用により、単にHMG−CoA還元酵素阻害薬の投与量が低減されるのみならず、HMG−CoA還元酵素阻害薬による筋肉症状の発現を積極的に抑制し得ると考えられる。
【0082】
一方、CRPの上昇が関与する疾患に対して予防・治療効果を示す薬物としては、例えば、抗炎症薬、抗リウマチ薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗アレルギー薬、抗血管障害薬、抗癌薬などが挙げられるが、それらに限定されない。
より具体的には、抗炎症薬としては、例えば、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬である非ステロイド消炎鎮痛薬(例えば、各種アスピリンなどのサリチル酸系薬剤、メフェナム酸、フルフェナム酸などのアントラニール系薬剤、インドメタシン、スリンダク、アセメタシンなどのインドール酢酸系薬剤、ジクロフェナック、フェンブフェンなどのフェニル酢酸系薬剤、イブプロフェン、ケイトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェンなどのプロピオン系薬剤、ピロキシカム、テノキシカム、アンピロキシカムなどのオキシカム系薬剤、ケトフェニルブタゾンなどのピラゾロン系薬剤等)、抗サイトカイン薬(例:抗TNF−α抗体、抗IL−6抗体などの抗サイトカイン抗体、サイトカイン遺伝子のアンチセンスオリゴヌクレオチド、サイトカイン結合蛋白質等)などが挙げられる。
抗リウマチ薬としては、例えば、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィンなどの金製剤、ブシラミン、ペニシラミンなどのペニシラミン系薬剤、ロベンザリット二ナトリウムなどのロベンザリット系薬剤、アクリタット、サラゾスルファピリジン、メトトレキサート、ミゾリピン、シクロスポリン、アザチオプリン、シクロフォスファミド、ファルネシル酸プレドニゾロン等が挙げられる。
抗菌薬としては、例えば、ペニシリン系抗生物質(例:アモキシリン、アンピシリン、バカンピシリン等)、セフェム系抗生物質(例:セファレキシン、セファクロル、セフジニル、セフテラムピボキシル、セフィキシム、塩酸セフォチアム等)、マクロライド系抗生物質(例:エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、ジョサマイシン等)、テトラサイクリン系抗生物質(例:ミノサイクリン、ドキシサイクリン、デメクロサイクリン等)、ホスホマイシン系抗生物質(例:ホスホマイシン)、アミノグリコシド系抗生物質(例:カナマイシン等)、ニューキノロン系抗菌剤(例:レボフロキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、トスフロキサシン等)等が、抗真菌薬としては、例えば、ポリエン系抗真菌薬(例:トリコマイシン、アムホテリシンB、ナイスタチン等)、イミダゾール系抗真菌薬(例:エコナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾール等)、トリアゾール系抗真菌薬(例:フルコナゾール、イトラコナゾール等)、アリルアミン系抗真菌薬(例:ブテナフィン、塩酸テルビナフィン等)、フルシトシン(5−FC)系抗真菌薬(例:フルシトシン等)等が、抗ウイルス薬としては、例えば、核酸合成阻害型抗ウイルス薬(例:アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、ホスカルネット、ジドブジン、ラミブジン、ジダノシン等)、細胞内進入抑制型抗ウイルス薬(例:アマンタジン、ザナミビル、オセルタミビル等)、宿主感染防御能亢進型抗ウイルス薬(例:インターフェロン、イノシンプラノベクス等)等がそれぞれ挙げられる。
抗アレルギー薬としては、例えば、抗ヒスタミン系抗アレルギー薬(例:ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、塩酸エピナスチン、テルフェナジン等)、非抗ヒスタミン系抗アレルギー薬(例:塩酸オザグレル、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、レピリナスト、アンレキサノクス等)等が挙げられる。
抗血管障害薬としては、例えば、シロスタゾール、アブシキシマブ等が挙げられる。
抗癌薬としては、例えば、分子標的薬(例:トラスツズマブ、リタキシマブ、イマチニブ、ゲフィチニブ等)、アルキル化薬(例:サイクロフォスファミド、シスプラチン等)、代謝拮抗薬(例:メトトレキセイト、6−メルカプトプリン、5−FU等)、抗生物質(例:ブレオマイシン、アドリアマイシン、アクチノマイシンD等)、植物アルカロイド(例:ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル等)、ホルモン(例:プレドニゾロン、タモキシフェン等)等が挙げられる。
【0083】
本発明に用いられるSSI化合物と併用薬物の投与形態は特に限定されず、投与時に、SSI化合物と併用薬物とが組み合わされていてもよい。このような投与形態としては、例えば、(1)SSI化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)SSI化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)SSI化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)SSI化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)SSI化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、SSI化合物→併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、SSI化合物と併用薬物の配合比は、併用薬物の種類、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えばヒトに対して併用薬物としてHMG−CoA還元酵素阻害薬を投与する場合、HMG−CoA還元酵素阻害薬1重量部に対し、SSI化合物を0.01ないし100重量部用いればよい。
【0084】
上述のように、CRP低下作用を有する化合物は外傷性炎症や組織の損傷(壊死)に対して予防・治療効果を示すことから、SSI化合物は、そのままで、あるいは適当な賦形剤等の添加物とともに、医薬以外の皮膚外用剤(医薬部外品、化粧料など;以下、単に「本発明の外用剤」と略記する場合がある)として、日焼け止め、美白、皺とり等の皮膚の損傷・老化防止のために用いることができる。
本発明の外用剤は、水溶液、油液、その他の溶液、乳液、クリーム、ゲル、懸濁液、マイクロカプセル、粉末、顆粒等の形態をとり得る。それ自体既知の方法でこれらの形態に調製した上で、ローション製剤、乳液剤、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、ハップ剤、エアゾール剤等として、身体に塗布、貼付、噴霧することができる。
【0085】
本発明の外用剤には、通常使用されている賦形剤、香料等をはじめ、油脂類、界面活性剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子、増粘剤、粉末成分、紫外線防御剤、保湿剤、他の薬効成分、酸化防止剤、pH調整剤、洗浄剤、乾燥剤、乳化剤等を適宜配合できる。
油脂類としては、例えば、液体油脂(例:アボガド油、ツバキ油等)、固体油脂(例:カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油等)、ロウ類(例:ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ等)、炭化水素油(例:流動パラフィン、パラフィン等)、高級脂肪酸(例:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等)、高級アルコール(例:ラウリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)等の分岐鎖アルコール等)、合成エステル油(例:ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル等)、シリコーン類(例:ジメチルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン等の環状ポリシロキサン、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム等)が挙げられる。
【0086】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(例:ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、ロート油等)、カチオン界面活性剤(例:塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム等)、両性界面活性剤(例:2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム等のイミダゾリン系両性界面活性剤、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のベタイン系界面活性剤等)、非イオン界面活性剤(例:ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等)が挙げられる。
【0087】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等が挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては、例えばエデト酸ナトリウム塩、EDTA等が挙げられる。
【0088】
水溶性高分子としては、天然の高分子(例:アラビアガム、トラガカントガム、デンプン、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子等)、半合成の高分子(例:デキストリン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等)、合成の高分子(例:ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール2000、4000、6000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等)、無機の高分子(例:ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸等)が挙げられる。
【0089】
粉末成分としては、タルク、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等の無機粉末、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、セルロース粉末等の有機粉末、二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄等の無機黒色系顔料、マンゴバイオレット等の無機紫色系顔料、酸化クロム等の無機緑色系顔料、群青等の無機青色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、アルミニウムパウダー等の金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、赤色3号、赤色104号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号などのジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料、クロロフィル、β−カロチン等の天然色素等、チタンイエロー、紅花赤等の色剤等が挙げられる。
【0090】
紫外線防御剤としては、化学的に紫外線を吸収する紫外線吸収剤(例えば、4−メトキシ−4’−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン誘導体等の長波長紫外線(UVA)吸収剤;パラアミノ安息香酸(PABA)等の安息香酸系紫外線吸収剤、ジプロピレングリコールサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー等のカンファー誘導体等の中波長紫外線(UVB)吸収剤など)と、物理的作用によって紫外線を散乱および反射させる紫外線遮断剤(例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等)とが挙げられる。
【0091】
保湿剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物等を挙げることができる。
【0092】
他の薬効成分としては、例えば、アルブチン、ビタミンCおよびその誘導体、コウジ酸胎盤抽出物、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤;グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール等の消炎剤、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等の賦活剤、ノニル酸バニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステルカプサイシン、カフェイン、タンニン酸、ニコチン酸トコフェロール、アセチルコリン等の血行促進剤;硫黄、チアントール等の抗脂漏剤;多様な目的から、オオバク抽出成分、オウレン抽出成分、シコン抽出成分、シャクヤク抽出成分、センブリ抽出成分、セージ抽出成分、ビワ抽出成分、ニンジン抽出成分、アロエ抽出成分、ヘチマ抽出成分、ユリ抽出成分、サフラン抽出成分、オトギリソウ抽出成分、ローズマリー抽出成分、ニンニク抽出成分;ビタミンA類、ビタミンB2類、ビタミンC類、パントテン酸類、ニコチン酸類、ビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等のビタミン類などを挙げることができる。
【0093】
本発明の外用剤に含まれるSSI化合物の含有量は、組織損傷の予防・治療効果を発揮するに十分な量であって、かつ生体に悪影響を及ぼさない範囲であれば特に制限はないが、例えば、約0.01〜約20重量%の範囲で配合させることができる。
【実施例】
【0094】
以下に、本発明の剤の薬理効果を示す実験結果について記載するが、これは単なる例示であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
被検化合物1:
N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸
被検化合物1は特開平9−136880号公報に実施例36として記載された化合物であり、該公報に記載の方法などによって合成することができる。
【0095】
試験例1 血漿CRP低下作用
方法:
2ヶ月齢雄WHHLウサギ(1群11匹)にビークル或いは被検化合物1を100、200 mg/kgとなるように混餌で28日間経口投与した。投与前および28日間投与後に血漿中CRP濃度を和光純薬工業CRPαテストワコーを用いて、日立自動分析装置7070を用いて測定した(表1)。
結果:
【表1】

Data represent Mean ± SE (N=11)
*P<0.025 vs. コントロール(Williamsの片側検定)
【0096】
表1の結果から、SSI化合物は血漿中のCRP濃度を低下させることが分かる。
【製剤例】
【0097】
本発明のCRP低下剤は、例えば、次の様な処方によって製造することができる。
なお、以下の処方において活性成分以外の成分(添加物)は、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格または医薬品添加物規格における収載品などを用いることができる。
【0098】
1.カプセル剤
(1)N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸
10mg
(2)ラクト−ス 90mg
(3)微結晶セルロ−ス 70mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 10mg
1カプセル 180mg
(1)、(2)と(3)および(4)の1/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラチンカプセルに封入する。
【0099】
2.錠剤
(1)N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸
10mg
(2)ラクト−ス 35mg
(3)コ−ンスタ−チ 150mg
(4)微結晶セルロ−ス 30mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 5mg
1錠 230mg
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成形する。
【0100】
3.注射剤
(1)N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸
10mg
(2)イノシトール 100mg
(3)ベンジルアルコ−ル 20mg
1アンプル 130mg
(1)、(2)、(3)を全量2mlになるように、注射用蒸留水に溶かし、アンプルに封入する。全工程は無菌状態で行う。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明で用いられるスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物は低毒性で、優れたCRP低下作用を有するので、本発明により、CRPレベルの上昇が関与する各種疾患、特に炎症性疾患や癌などの安全で有効な予防・治療剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物もしくはその塩、またはそのプロドラッグを含有してなるCRP低下剤。
【請求項2】
炎症性疾患の予防・治療剤である請求項1記載の剤。
【請求項3】
高CRP血症の予防・治療剤である請求項1記載の剤。
【請求項4】
動脈硬化巣の進展抑制または安定化剤である請求項1記載の剤。
【請求項5】
スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、式
【化1】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、X'はエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基あるいは脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基から構成される基を、環Aは置換されていてもよいベンゼン環または置換されていてもよい複素環を、環J'は環構成原子として3個以下のヘテロ原子を含有する7または8員の複素環を示し、環J'はR,R,R及びX'以外にさらに置換基を有していてもよい〕で表される化合物である請求項1記載の剤。
【請求項6】
スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、式
【化2】

〔式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、RおよびRは同一または異なって水素原子,置換されていてもよい炭化水素基あるいは置換されていてもよい複素環基を、Xは結合手または2価の原子鎖を、Yはエステル化されていてもよいカルボキシル基,置換されていてもよいカルバモイル基,置換されていてもよい水酸基,置換されていてもよいアミノ基または脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環残基を、環Bは置換されていてもよいベンゼン環を示す〕で表される化合物である請求項1記載の剤。
【請求項7】
スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、式
【化3】

〔式中、Rは置換されていてもよい水酸基で置換されていてもよい低級アルキル基を、Xは置換されていてもよいカルバモイル基又は脱プロトン化しうる水素原子を有する置換されていてもよい複素環基を、R1bは低級アルキル基を、Wはハロゲン原子を示す。〕で表される化合物である請求項1記載の剤。
【請求項8】
が水酸基,アセチルオキシ,プロピオニルオキシ,t−ブトキシカルボニルオキシ,パルミトイルオキシ,ジメチルアミノアセチルオキシ及び2−アミノプロピオニルオキシから選ばれた1ないし3個の置換基を有していてもよいC1−6アルキルである請求項7記載の剤。
【請求項9】
1bがメチルである請求項7記載の剤。
【請求項10】
Wが塩素原子である請求項7記載の剤。
【請求項11】
が式
【化4】

〔式中、R2b及びR3bはそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基又はアシル基であるか、あるいはR2b及びR3bは隣接する窒素原子と一緒になって、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし3個環構成原子として含んでいてもよい置換されていてもよい5または6員含窒素複素環を形成していてもよい〕で表される基である請求項7記載の剤。
【請求項12】
が式
【化5】

〔式中、R"は水素原子又はC1−4アルキルを示す〕で表される基である請求項7記載の剤。
【請求項13】
スクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物が、N−〔〔(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸またはN−〔〔(3R,5S)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル〕アセチル〕ピペリジン−4−酢酸である請求項1に記載の剤。
【請求項14】
哺乳動物のスクアレン合成酵素を阻害することを特徴とする、CRPの上昇が関与する疾患の予防および/または治療方法。
【請求項15】
哺乳動物に有効量のスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物、もしくはそのプロドラッグ、またはそれらの塩を投与することを特徴とするCRPの上昇が関与する疾患の予防および/または治療方法。
【請求項16】
CRPの上昇が関与する疾患の予防および/または治療剤の製造のためのスクアレン合成酵素阻害作用を有する化合物、もしくはそのプロドラッグ、またはそれらの塩の使用。

【公表番号】特表2008−509074(P2008−509074A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504192(P2007−504192)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【国際出願番号】PCT/JP2005/014863
【国際公開番号】WO2006/016681
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】