CVJブーツ成形用金型及びCVJブーツ成形方法
【課題】内周面に大きなアンダーカットとなる蛇腹部をもつCVJブーツを射出成形で成形できるようにする。
【解決手段】成形品の内周表面を成形する複数対の分割型4、5を中芯を中心とする放射状に配置し、各対の分割型を軸方向に順に移動させながら、軸方向に移動した分割型どうしの間に形成される空間にその分割型を径方向に移動させて離型する。径方向の移動距離を大きくとることができるため、蛇腹部を容易に離型することができる。
【解決手段】成形品の内周表面を成形する複数対の分割型4、5を中芯を中心とする放射状に配置し、各対の分割型を軸方向に順に移動させながら、軸方向に移動した分割型どうしの間に形成される空間にその分割型を径方向に移動させて離型する。径方向の移動距離を大きくとることができるため、蛇腹部を容易に離型することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型抜き方向にアンダーカットとなる凹凸部を内周表面に有するCVJブーツを成形する金型と、その金型を用いてCVJブーツを成形する成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
等速ジョイント用ブーツ(以下、CVJブーツという)は、小径筒部と、小径筒部と離間して同軸的に配置され小径筒部より大径の大径筒部と、小径筒部と大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなる。したがってCVJブーツを射出成形で成形した場合には、蛇腹部の内周形状を成形するコア金型の型面がアンダーカットとなり、成形品の離型が困難となる。そのため従来は、少なくとも蛇腹部はブロー成形によって成形されるのが一般的である。なお蛇腹部はブロー成形で成形し、大径筒部などを射出成形で成形する射出ブロー成形方法が用いられる場合もある。
【0003】
ところがブロー成形では、蛇腹部の内周表面の精度が低く、蛇腹部の肉厚を精度高く制御することが困難である。そのため蛇腹部の各山谷の高さを制御することで肉厚を安定化させるなど、複雑な生産技術を検討する必要があった。また射出ブロー成形では、射出成形工程とブロー成形工程の二工程を行う必要があり、設備が大がかりになるとともに成形サイクルが長いという問題がある。したがって蛇腹部も射出成形で成形できるようにすることが望まれていた。
【0004】
しかし上述したように、射出成形ではコア金型から蛇腹部を離型する方法が問題となる。そこで例えば特開昭62−056113号公報に記載されたような、内向きのリップを備えた缶などを成形するための折畳み式成形用中子を用いることが考えられる。この折畳み式成形用中子によれば、テーパ付中心部材が軸方向へ移動することによって内側セグメントと外側セグメントがそれぞれ径方向に移動するように構成され、内向きのリップを成形するために外側セグメントに形成された溝がリップから離れる径方向へ移動することでアンダーカットとなるのが回避されている。
【0005】
同公報には、テーパ付中心部材の周囲に三つの内側セグメントと三つの外側セグメントとが対称に配置された成形用中子が記載されている。しかしこのような構成では、テーパ付中心部材が後退した際に内側セグメントどうし、あるいは外側セグメントどうしが早期に干渉するために、各セグメントの径方向への移動量が規制されるという問題がある。したがって同公報に記載の成形用中子では、アンダーカットが回避されるリップ高さには制約があり、CVJブーツの蛇腹部の山谷差のような大きなアンダーカットをもつ成形品を成形することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−056113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内周面に大きなアンダーカットとなる凹凸部をもつCVJブーツを射出成形で成形できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の成形用金型の特徴は、小径筒部と、該小径筒部と離間して同軸的に配置され小径筒部より大径の大径筒部と、小径筒部と大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するのに用いられ、CVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ外金型と、CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつコア金型とを有する成形用金型であって、
コア金型は、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、中芯を中心に放射状に配置され外周表面にCVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とからなり、
分割型は、中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の第1分割型と一対の第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、を少なくとも有し、
中芯を後退駆動することで一対の第1分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の第1分割型から成形体を離型する第1駆動手段と、
第1駆動手段の駆動後に第1分割型を第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の第2分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の第2分割型から成形体を離型する第2駆動手段と、
第2駆動手段の駆動後に第2分割型を第3分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに複数の第3分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ複数の第3分割型から成形体を離型する第3駆動手段と、を備えたことにある。
【0009】
また本発明の成形方法の特徴は、小径筒部と、小径筒部と離間して同軸的に配置され小径筒部より大径の大径筒部と、小径筒部と大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するにあたり、CVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ外金型と、CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつコア金型とを有し、コア金型は、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、中芯を中心に放射状に配置され外周表面にCVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とからなり、分割型は、中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の第1分割型と一対の第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、を少なくとも有する成形用金型を用い、
コア金型と外金型との間に形成されたキャビティに成形材料を射出して成形体を成形する成形工程と、中芯を後退駆動するとともに一対の第1分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の第1分割型から成形体を離型する第1離型工程と、一対の第1分割型を第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の第2分割型を互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動させ一対の第2分割型から成形体を離型する第2離型工程と、一対の第2分割型を複数の第3分割型から遠ざかる軸方向へ移動させるとともに複数の第3分割型を互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動させ複数の第3分割型から成形体を離型する第3離型工程と、外金型を成形体から離型する第4離型工程と、を行うことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の成形用金型及び成形方法によれば、一対の第2分割型は一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置されている。そして一対の第2分割型は第1分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動した後に、又は軸方向へ移動すると同時に、互いに近接する方向へ径方向に移動するため、第1分割型に干渉することがなく大きな移動量を確保することができる。また複数の第3分割型は第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動した後に互いに近接する方向へ径方向に移動するため、第2分割型に干渉することがなく大きな移動量を確保することができる。したがってコア金型から成形体を容易に離型することができるので、射出成形によってCVJブーツを容易に成形することができる。
【0011】
そして本発明によれば、射出成形のみによってCVJブーツを成形できるので、蛇腹部の肉厚を精度高く形成することができ品質が安定する。また可動型の移動ストロークを小さくできるため、型厚を薄くすることができ安価となるとともに成形サイクルを短縮できるので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係る成形用金型を成形時の状態で示す図2のA−A断面相当の断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る成形用金型に用いたコア金型を成形時の状態で示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第1離型工程を行っている状態を示す図4のB−B断面相当の断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第1離型工程を行っている状態のコア金型を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第2離型工程を行っている状態を示す図6のC−C断面相当の断面図である。
【図6】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第2離型工程を行っている状態を示すコア金型を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第3離型工程を行っている状態を示す図8のD−D断面相当の断面図である。
【図8】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第3離型工程を行っている状態のコア金型を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第3離型工程後の状態で示す図2のA−A断面相当の断面図である。
【図10】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第4離型工程を行っている状態を示す図2のA−A断面相当の断面図である。
【図11】CVJブーツの断面図である。
【図12】本発明の成形用金型を用いて成形可能なCVJブーツの小径筒部の内径寸法と蛇腹部の最大アンダーカット量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の成形用金型及び成形方法は、小径筒部と、小径筒部と離間して同軸的に配置され小径筒部より大径の大径筒部と、小径筒部と大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するのに利用される。本発明の成形用金型によれば、蛇腹部の山谷の高低差が大きなCVJブーツも射出成形によって製造することができる。
【0014】
本発明の成形用金型は、外金型とコア金型とを有する。外金型はCVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ。蛇腹部の山谷の高低差が小さなCVJブーツを成形する場合には、成形体を弾性変形させることで外金型から無理抜きすることも可能である。しかし一般には、外金型は、成形体の中心軸を含む少なくとも一つの平面で分割された複数の分割外型から構成される。
【0015】
コア金型はCVJブーツの内周表面を形成する型面をもち、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、中芯を中心に放射状に配置され外側表面にCVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とから構成されている。中芯は、円錐状あるいは角錐状に形成することができるが、断面多角形の角錐台形状とすることが望ましい。断面多角形の角錐台形状とすることで、中芯と複数の分割型を平面どうしで当接させることができ、後述するように、干渉を避けることで複数の分割型の径方向の移動距離を大きくすることができる。したがってCVJブーツの蛇腹部の山谷の高低差が大きくても、容易に離型することができる。
【0016】
以下、中芯の中心軸方向を軸方向といい、軸方向に直交する方向を径方向といい、軸方向を中心とする円の円周方向を周方向という。
【0017】
コア金型の中芯を中心に放射状に配置される分割型は、中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の第1分割型と一対の第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、から少なくとも構成される。
【0018】
一対の第1分割型は中芯を中心に互いに対向して配置され、中芯と第1分割型とは第1駆動手段によって相対的にスライド移動可能に配置されている。例えば中芯の外周表面及び第1分割型の内側表面には、先端から後端に向かって直線状に延びる凹溝と凸条がそれぞれ形成され、凹溝と凸条との係合によって中芯と第1分割型とを相対的にスライド移動可能とすることができる。中芯が、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きなテーパ形状であるので、第1駆動手段の駆動によって一対の第1分割型に対して中芯を軸方向に後退移動させると、凹溝と凸条との係合によって一対の第1分割型は互いに近接する方向へ径方向に移動する。
【0019】
あるいは、傾斜ピン、傾斜カム部材などとスライドコアとの係合によって駆動される第1駆動手段とすることもできる。中芯のテーパ角度と径を、あるいは傾斜ピンなどの傾斜角度を適切に調整することで、一対の第1分割型のそれぞれの径方向への移動距離を蛇腹部の山谷の高低差より大きくすることが容易であり、一対の第1分割型の型面から蛇腹部の内周表面を容易に離型することができる。この離型直後の状態では、成形体は第2分割型と第3分割型からまだ離型されていない。
【0020】
一対の第2分割型は、一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置されている。直交する配置とすることで、一対の第1分割型どうし及び一対の第2分割型どうしが互いに近接する方向への移動距離を大きくすることができ、金型全体の形状を小型化できるとともに成形体の離型がより容易となる。
【0021】
そして一対の第1分割型と一対の第2分割型との間に複数の第3分割型が配置され、射出成型時には、各分割型はそれぞれ中芯の表面に当接してコア金型を構成する。第3分割型は少なくとも4個必要であるが、少なくとも二つの第3分割型をさらに周方向で分割して複数の第4分割型を形成することもできる。この場合、複数の第4分割型を駆動する駆動手段を追加することができる。
【0022】
そして本発明の成形用金型は、第1駆動手段の駆動後に第1分割型を第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の第2分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の第2分割型から成形体を離型する第2駆動手段を備えている。第2駆動手段の駆動によって、一対の第2分割型は互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動する。第1駆動手段の駆動によって中芯が後退し、一対の第1分割型も第2分割型から後退しているので、一対の第2分割型が移動しようとする方向には広い空間が形成され、一対の第2分割型は中芯及び一対の第1分割型と干渉することなく空間内へ移動することができる。したがって一対の第2分割型どうしが互いに近接する方向への移動距離を大きくとることができ、蛇腹部の山谷の高低差が大きくても一対の第2分割型からの離型が容易となる。
【0023】
また一対の第1分割型の配置方向と一対の第2分割型の配置方向とは、中芯を中心として直交しているので、一対の第2分割型の移動方向の制約を最小とすることができ設計が容易となる。また一対の第2分割型がそれぞれ平面どうしで中芯の表面に当接する構成とすれば、一対の第2分割型の互いに対向する内側表面は平面となる。内側表面どうしが曲面の場合には、内側表面どうしの距離に長短があり、距離の短い部分どうしが干渉するという問題があるが、平面どうしの場合にはそのような問題がないので、互いに近接する径方向に移動する際の移動量を最大とすることができる。
【0024】
本発明の成形用金型は、第2駆動手段の駆動後に第2分割型を第3分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに複数の第3分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ複数の第3分割型から成形体を離型する第3駆動手段を備えている。第3駆動手段の駆動によって、複数の第3分割型は互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動する。複数の第3分割型が移動しようとする空間からは、一対の第2分割型が第3分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動しているので、複数の第3分割型は一対の第2分割型、一対の第1分割型及び中芯と干渉することなく移動することができる。したがって複数の第3分割型どうしが互いに近接する径方向への移動距離を大きくとることができ、蛇腹部の山谷の高低差が大きくても複数の第3分割型からの離型が容易となる。
【0025】
そして複数の第3分割型がそれぞれ平面どうしで中芯の表面に当接する構成とすれば、複数の第3分割型の内側表面は平面となる。したがって上記したように干渉の問題を回避することができるので、径方向に移動する際の移動量を大きくすることができる。また一対の第1分割型、一対の第2分割型及び複数の第3分割型とは、周方向で互いに平面どうしで当接している構成とすれば、互いに隣接する第3分割型は平面どうしで対向するため、径方向に移動する際に干渉することがなく、径方向に移動する際の移動量を最大とすることができる。
【0026】
なお第1駆動手段、第2駆動手段及び第3駆動手段の少なくとも一つは、傾斜ピン、傾斜カム部材などとスライドコアを用いて構成することができる。
【0027】
第3駆動手段の駆動後は、成形体は外周表面が外金型に付着した状態で保持されているので、外金型から成形体を離型する第4離型工程が行われる。外金型は複数のスライドコアからなり、複数のスライドコアを互いに遠ざかる方向へ径方向に移動させることで成形体を離型する第4駆動手段を備えることで、第4離型工程を容易に行うことができる。第4駆動手段は、傾斜ピン、傾斜カム部材などとスライドコアを用いて構成することができる。
【0028】
第1〜第4の離型工程は、この順に行うことができるが、場合によっては第3離型工程と第4離型工程を逆に行う、あるいは第3離型工程と第4離型工程を同時に行うことも可能である。
【0029】
なお本願発明者らは、本願発明の成形用金型を用いて射出成形で成形可能なCVJブーツの形状を検討した。その結果、一対の第1分割型及び一対の第2分割型がそれぞれ中芯と平面どうしで当接している場合において、CVJブーツの小径筒部の内径と蛇腹部の最大アンダーカット量の両方が図12に示す直線の右側にあれば成形可能であることがわかった。すなわち、小径筒部の内径(X)と蛇腹部の最大アンダーカット量(Y)との関係が次式(1)式を満たす形状のCVJブーツであれば、成形可能であることを見出した。
【0030】
式(1) Y≦0.4243X−3.3727
ここで蛇腹部の最大アンダーカット量(Y)とは、図11に示すように、山部の内半径とその山部に隣接し、その山部よりも大径筒部側に位置する谷部の内半径との差の最大値をいう。
【0031】
以下、図面を参照しながら、実施例により本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0032】
図1に本発明の一実施例の成形用金型の全体断面図を示す。この成形用金型はCVJブーツを射出成形するための金型であり、図1には射出成形直後の状態を示している。CVJブーツ100は、図11に示すように、小径筒部101と、小径筒部101と離間して同軸的に配置され小径筒部101より大径の大径筒部102と、小径筒部101と大径筒部102を一体的に連結し山部と谷部が交互に連続する略円錐台形状の蛇腹部103と、から構成されている。このCVJブーツ100は、小径筒部101の内径(X)と蛇腹部103の最大アンダーカット量(Y)との関係が、前述の式(1)式を満たしている。
【0033】
この成形用金型は、固定型1と、可動型2とを備えている。固定型1は、取付板10と、取付板10に固定され小径筒部101の内周表面を成形する1個の円柱コア11をもつ第1金型12と、第1金型12に一体に保持された一対の保持部13と、から構成されている。保持部13には、大径筒部102及び蛇腹部103の外周表面を成形する型面をもつスライドコア14がそれぞれ配置され、一対のスライドコア14にはそれぞれ傾斜ピン15が固定されている。傾斜ピン15は、第1金型12及び取付板10の内部をスライド移動可能に取付けられている。
【0034】
可動型2は、中芯20が形成された取付板21と、取付板21と保持部13との間に配置された第1突出板22、第2突出板23、第3突出板24及び大径筒部102の外周表面を形成する型面をもつ可動コア25と、を備えている。第3突出板24と可動コア25とは一体に固定され、第1突出板22及び第2突出板23とともに図示しない油圧装置によって取付板21から離れる方向及び取付板21に近接する軸方向に駆動可能となっている。
【0035】
中芯20は、図2に示すように、略八角形の断面形状をなし先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな角錐台形状となっている。中芯20の周囲には、中芯20を中心として互いに対向するように配置された一対の第1分割型3と、中芯20を中心として互いに対向するように、かつ一対の第1分割型3の配置方向と直交するように配置された一対の第2分割型4と、一対の第1分割型3及び一対の第2分割型4の間を埋めるように配置された二対の第3分割型5と、が存在している。一対の第1分割型3、一対の第2分割型4、二対の第3分割型5の外周表面には、それぞれ大径筒部102及び蛇腹部103の内周表面を成形する型面が形成されている。また一対の第1分割型3、一対の第2分割型4、二対の第3分割型5は、それぞれ中芯20と平面どうしで当接し、第1分割型3と第3分割型5、及び第2分割型4と第3分割型5とはそれぞれ互いに平面どうしで当接している。
【0036】
一対の第1分割型3は、中芯20の表面に沿い大径筒部102及び蛇腹部103の内周表面を成形する型面をもつ第1コア部30と、第1コア部30の後端から外方へ延びる第1脚部31とからなり、第1脚部31が第1突出板22にスライド移動可能に保持されている。また第1脚部31には、一端が取付板21に固定された第1傾斜カム部材32が係合している。第1コア部30の型面と反対側の表面は、中芯20の表面と対応する傾斜平面形状に形成されている。
【0037】
一対の第2分割型4は、図5に示すように、中芯20の表面に沿い大径筒部102及び蛇腹部103の内周表面を成形する型面をもつ第2コア部40と、第2コア部40の後端から外方へ延びる第2脚部41とからなり、第2脚部41が第2突出板23にスライド移動可能に保持されている。また第2脚部41には、一端が取付板21に固定された第2傾斜カム部材42が係合している。第2コア部40の型面と反対側の表面は、中芯20の表面と対応する傾斜平面形状に形成されている。
【0038】
二対の第3分割型5は、図7に示すように、中芯20の表面に沿い大径筒部102及び蛇腹部103の内周表面を成形する型面をもつ第3コア部50と、第3コア部50の後端から外方へ延びる第3脚部51とからなり、第3脚部51が第3突出板24にスライド移動可能に保持されている。また第3脚部51には、一端が第2突出板23に固定された第3傾斜カム部材52が係合している。第3コア部50の型面と反対側の表面は、中芯20の表面と対応する傾斜平面形状に形成されている。
【0039】
なお各部材を連結固定する連結棒、あるいはスライドコアをスライド移動可能に支持する連結ピンなどは、図示を省略している。
【0040】
上記のように構成された本実施例の成形用金型の作動機構を説明する。
【0041】
<成形工程>
先ず射出成形時には、図1に示すように固定型1と可動型2とが型締めされる。図2に示すように、中芯20の周囲には、一対の第1分割型3、一対の第2分割型4、二対の第3分割型5がそれぞれ互いに平面どうしで当接して配置されている。一対の第1分割型3、一対の第2分割型4及び二対の第3分割型5の外周には、CVJブーツ100の肉厚分の間隔を隔ててスライドコア14が配置され、円柱コア11の先端表面と中芯20の先端表面とが当接している。すなわち一対の第1分割型3、一対の第2分割型4及び二対の第3分割型5の外周表面と、スライドコア14の内周表面と、円柱コア11の表面との間にキャビティが形成され、固定型1に形成された図示しないランナー及びゲートからそのキャビティに熱可塑性エラストマーからなる成形材料が射出される。
【0042】
<第1離型工程>
成形完了後は、図示しない油圧シリンダ装置によって先ず取付板21が第1突出板22から離れる方向へ移動する。すると中芯20が図1の下方へ移動し、図3に示すように、第1傾斜カム部材32が第1脚部31に係合することによって第1分割型3が中芯20に近接する方向へスライド移動する。そして図4に示すように、一対の第1分割型3がそれぞれ径方向内方へ移動することで、CVJブーツ100の内周表面が第1コア部30の型面から離型される。
【0043】
<第2離型工程>
次に図示しない油圧シリンダ装置によって取付板21と第1突出板22が図3の下方へ押圧駆動され、中芯20と第1分割型3が図3の下方へ移動する。すると図5に示すように、第2傾斜カム部材42が第2脚部41と係合することによって、第2分割型4が中芯20に近接する方向へスライド移動する。そして図6に示すように、一対の第2分割型4がそれぞれ径方向内方へ移動することで、CVJブーツ100の内周表面が第2コア部40の型面から離型される。
【0044】
すなわち一対の第2分割型4は互いに近接する方向へ移動し、図6に示す空隙6内へ向かって移動する。一対の第1分割型3は図5の下方へ移動しているので、空隙6は十分な間隔で形成されている。また一対の第2分割型4と二対の第3分割型5とは、一対の第2分割型4の移動方向と平行な平面で互いに当接している。したがって一対の第2分割型4の移動量を大きくとることができ、蛇腹部103の山谷高さが高くてもアンダーカットとならず、一対の第2分割型4からCVJブーツ100を容易に離型することができる。
【0045】
<第3離型工程>
続いて図示しない油圧装置によって、取付板21、第1突出板22及び第2突出板23が図5の下方へ移動し、中芯20と第1分割型3及び第2分割型4が図5の下方へ移動する。すると図7に示すように、第3傾斜カム部材52が第3脚部51と係合することによって、第3分割型5が中芯20に近接する方向へスライド移動する。そして図8に示すように、二対の第3分割型5がそれぞれ径方向内方へ移動することで、CVJブーツ100の内周表面が第3コア部50の型面から離型される。
【0046】
このとき中芯20、一対の第1分割型3及び一対の第2分割型4は図7の下方へ移動しているので、図8に示すように、二対の第3分割型5の間には広い空隙7が存在している。また隣接する第3分割型5どうしは、互いに平行な平面で対向している。したがって二対の第3分割型5の径方向への移動距離を大きくとることができ、蛇腹部103の山谷高さが高くてもアンダーカットとならず、二対の第3分割型5からCVJブーツ100を容易に離型することができる。
【0047】
<第4離型工程>
この状態では、図9にも示すように、CVJブーツ100は固定型1側に残っている。そこで図示しない油圧装置によって、取付板21、第1突出板22、第2突出板23、第3突出板24及び可動コア25が図9の下方へ移動する。すると図10に示すように、一対のスライドコア14と一対の傾斜ピン15が自重で図10の下方へ移動し、スライドコア14は保持部13に形成された傾斜面13aに案内されながら、また傾斜ピン15は保持部13に形成されたスライド孔に案内されながら移動する。これによりスライドコア14から蛇腹部103の外周表面が離型され、円柱コア11から小径筒部101が離型されて、CVJブーツ100は可動コア25に残る。その後、図示しない突き出しピンが可動型2から突出することで、CVJブーツ100は可動コア25から離型される。
【0048】
すなわち本実施例の成形用金型によれば、蛇腹部103の山谷の高低差が大きなCVJブーツであってもアンダーカットとならず容易に離型することができる。したがってCVJブーツを射出成形で製造することが可能となるので、肉厚を精度高く制御することができ高品質のCVJブーツを安定して製造することができる。
【符号の説明】
【0049】
1:固定型 2:可動型 20:中芯
3:第1分割型 4:第2分割型 5:第3分割型
14:スライドコア 15:傾斜ピン(第4駆動手段の一部)
32:第1傾斜カム部材(第1駆動手段の一部)
42:第2傾斜カム部材(第2駆動手段の一部)
52:第3傾斜カム部材(第3駆動手段の一部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、型抜き方向にアンダーカットとなる凹凸部を内周表面に有するCVJブーツを成形する金型と、その金型を用いてCVJブーツを成形する成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
等速ジョイント用ブーツ(以下、CVJブーツという)は、小径筒部と、小径筒部と離間して同軸的に配置され小径筒部より大径の大径筒部と、小径筒部と大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなる。したがってCVJブーツを射出成形で成形した場合には、蛇腹部の内周形状を成形するコア金型の型面がアンダーカットとなり、成形品の離型が困難となる。そのため従来は、少なくとも蛇腹部はブロー成形によって成形されるのが一般的である。なお蛇腹部はブロー成形で成形し、大径筒部などを射出成形で成形する射出ブロー成形方法が用いられる場合もある。
【0003】
ところがブロー成形では、蛇腹部の内周表面の精度が低く、蛇腹部の肉厚を精度高く制御することが困難である。そのため蛇腹部の各山谷の高さを制御することで肉厚を安定化させるなど、複雑な生産技術を検討する必要があった。また射出ブロー成形では、射出成形工程とブロー成形工程の二工程を行う必要があり、設備が大がかりになるとともに成形サイクルが長いという問題がある。したがって蛇腹部も射出成形で成形できるようにすることが望まれていた。
【0004】
しかし上述したように、射出成形ではコア金型から蛇腹部を離型する方法が問題となる。そこで例えば特開昭62−056113号公報に記載されたような、内向きのリップを備えた缶などを成形するための折畳み式成形用中子を用いることが考えられる。この折畳み式成形用中子によれば、テーパ付中心部材が軸方向へ移動することによって内側セグメントと外側セグメントがそれぞれ径方向に移動するように構成され、内向きのリップを成形するために外側セグメントに形成された溝がリップから離れる径方向へ移動することでアンダーカットとなるのが回避されている。
【0005】
同公報には、テーパ付中心部材の周囲に三つの内側セグメントと三つの外側セグメントとが対称に配置された成形用中子が記載されている。しかしこのような構成では、テーパ付中心部材が後退した際に内側セグメントどうし、あるいは外側セグメントどうしが早期に干渉するために、各セグメントの径方向への移動量が規制されるという問題がある。したがって同公報に記載の成形用中子では、アンダーカットが回避されるリップ高さには制約があり、CVJブーツの蛇腹部の山谷差のような大きなアンダーカットをもつ成形品を成形することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−056113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内周面に大きなアンダーカットとなる凹凸部をもつCVJブーツを射出成形で成形できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の成形用金型の特徴は、小径筒部と、該小径筒部と離間して同軸的に配置され小径筒部より大径の大径筒部と、小径筒部と大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するのに用いられ、CVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ外金型と、CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつコア金型とを有する成形用金型であって、
コア金型は、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、中芯を中心に放射状に配置され外周表面にCVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とからなり、
分割型は、中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の第1分割型と一対の第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、を少なくとも有し、
中芯を後退駆動することで一対の第1分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の第1分割型から成形体を離型する第1駆動手段と、
第1駆動手段の駆動後に第1分割型を第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の第2分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の第2分割型から成形体を離型する第2駆動手段と、
第2駆動手段の駆動後に第2分割型を第3分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに複数の第3分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ複数の第3分割型から成形体を離型する第3駆動手段と、を備えたことにある。
【0009】
また本発明の成形方法の特徴は、小径筒部と、小径筒部と離間して同軸的に配置され小径筒部より大径の大径筒部と、小径筒部と大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するにあたり、CVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ外金型と、CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつコア金型とを有し、コア金型は、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、中芯を中心に放射状に配置され外周表面にCVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とからなり、分割型は、中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の第1分割型と一対の第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、を少なくとも有する成形用金型を用い、
コア金型と外金型との間に形成されたキャビティに成形材料を射出して成形体を成形する成形工程と、中芯を後退駆動するとともに一対の第1分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の第1分割型から成形体を離型する第1離型工程と、一対の第1分割型を第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の第2分割型を互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動させ一対の第2分割型から成形体を離型する第2離型工程と、一対の第2分割型を複数の第3分割型から遠ざかる軸方向へ移動させるとともに複数の第3分割型を互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動させ複数の第3分割型から成形体を離型する第3離型工程と、外金型を成形体から離型する第4離型工程と、を行うことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の成形用金型及び成形方法によれば、一対の第2分割型は一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置されている。そして一対の第2分割型は第1分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動した後に、又は軸方向へ移動すると同時に、互いに近接する方向へ径方向に移動するため、第1分割型に干渉することがなく大きな移動量を確保することができる。また複数の第3分割型は第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動した後に互いに近接する方向へ径方向に移動するため、第2分割型に干渉することがなく大きな移動量を確保することができる。したがってコア金型から成形体を容易に離型することができるので、射出成形によってCVJブーツを容易に成形することができる。
【0011】
そして本発明によれば、射出成形のみによってCVJブーツを成形できるので、蛇腹部の肉厚を精度高く形成することができ品質が安定する。また可動型の移動ストロークを小さくできるため、型厚を薄くすることができ安価となるとともに成形サイクルを短縮できるので、生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係る成形用金型を成形時の状態で示す図2のA−A断面相当の断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る成形用金型に用いたコア金型を成形時の状態で示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第1離型工程を行っている状態を示す図4のB−B断面相当の断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第1離型工程を行っている状態のコア金型を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第2離型工程を行っている状態を示す図6のC−C断面相当の断面図である。
【図6】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第2離型工程を行っている状態を示すコア金型を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第3離型工程を行っている状態を示す図8のD−D断面相当の断面図である。
【図8】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第3離型工程を行っている状態のコア金型を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第3離型工程後の状態で示す図2のA−A断面相当の断面図である。
【図10】本発明の一実施例に係る成形用金型において、第4離型工程を行っている状態を示す図2のA−A断面相当の断面図である。
【図11】CVJブーツの断面図である。
【図12】本発明の成形用金型を用いて成形可能なCVJブーツの小径筒部の内径寸法と蛇腹部の最大アンダーカット量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の成形用金型及び成形方法は、小径筒部と、小径筒部と離間して同軸的に配置され小径筒部より大径の大径筒部と、小径筒部と大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するのに利用される。本発明の成形用金型によれば、蛇腹部の山谷の高低差が大きなCVJブーツも射出成形によって製造することができる。
【0014】
本発明の成形用金型は、外金型とコア金型とを有する。外金型はCVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ。蛇腹部の山谷の高低差が小さなCVJブーツを成形する場合には、成形体を弾性変形させることで外金型から無理抜きすることも可能である。しかし一般には、外金型は、成形体の中心軸を含む少なくとも一つの平面で分割された複数の分割外型から構成される。
【0015】
コア金型はCVJブーツの内周表面を形成する型面をもち、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、中芯を中心に放射状に配置され外側表面にCVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とから構成されている。中芯は、円錐状あるいは角錐状に形成することができるが、断面多角形の角錐台形状とすることが望ましい。断面多角形の角錐台形状とすることで、中芯と複数の分割型を平面どうしで当接させることができ、後述するように、干渉を避けることで複数の分割型の径方向の移動距離を大きくすることができる。したがってCVJブーツの蛇腹部の山谷の高低差が大きくても、容易に離型することができる。
【0016】
以下、中芯の中心軸方向を軸方向といい、軸方向に直交する方向を径方向といい、軸方向を中心とする円の円周方向を周方向という。
【0017】
コア金型の中芯を中心に放射状に配置される分割型は、中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の第1分割型と一対の第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、から少なくとも構成される。
【0018】
一対の第1分割型は中芯を中心に互いに対向して配置され、中芯と第1分割型とは第1駆動手段によって相対的にスライド移動可能に配置されている。例えば中芯の外周表面及び第1分割型の内側表面には、先端から後端に向かって直線状に延びる凹溝と凸条がそれぞれ形成され、凹溝と凸条との係合によって中芯と第1分割型とを相対的にスライド移動可能とすることができる。中芯が、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きなテーパ形状であるので、第1駆動手段の駆動によって一対の第1分割型に対して中芯を軸方向に後退移動させると、凹溝と凸条との係合によって一対の第1分割型は互いに近接する方向へ径方向に移動する。
【0019】
あるいは、傾斜ピン、傾斜カム部材などとスライドコアとの係合によって駆動される第1駆動手段とすることもできる。中芯のテーパ角度と径を、あるいは傾斜ピンなどの傾斜角度を適切に調整することで、一対の第1分割型のそれぞれの径方向への移動距離を蛇腹部の山谷の高低差より大きくすることが容易であり、一対の第1分割型の型面から蛇腹部の内周表面を容易に離型することができる。この離型直後の状態では、成形体は第2分割型と第3分割型からまだ離型されていない。
【0020】
一対の第2分割型は、一対の第1分割型の配置方向に対して直交する方向に中芯を中心に互いに対向して配置されている。直交する配置とすることで、一対の第1分割型どうし及び一対の第2分割型どうしが互いに近接する方向への移動距離を大きくすることができ、金型全体の形状を小型化できるとともに成形体の離型がより容易となる。
【0021】
そして一対の第1分割型と一対の第2分割型との間に複数の第3分割型が配置され、射出成型時には、各分割型はそれぞれ中芯の表面に当接してコア金型を構成する。第3分割型は少なくとも4個必要であるが、少なくとも二つの第3分割型をさらに周方向で分割して複数の第4分割型を形成することもできる。この場合、複数の第4分割型を駆動する駆動手段を追加することができる。
【0022】
そして本発明の成形用金型は、第1駆動手段の駆動後に第1分割型を第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の第2分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の第2分割型から成形体を離型する第2駆動手段を備えている。第2駆動手段の駆動によって、一対の第2分割型は互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動する。第1駆動手段の駆動によって中芯が後退し、一対の第1分割型も第2分割型から後退しているので、一対の第2分割型が移動しようとする方向には広い空間が形成され、一対の第2分割型は中芯及び一対の第1分割型と干渉することなく空間内へ移動することができる。したがって一対の第2分割型どうしが互いに近接する方向への移動距離を大きくとることができ、蛇腹部の山谷の高低差が大きくても一対の第2分割型からの離型が容易となる。
【0023】
また一対の第1分割型の配置方向と一対の第2分割型の配置方向とは、中芯を中心として直交しているので、一対の第2分割型の移動方向の制約を最小とすることができ設計が容易となる。また一対の第2分割型がそれぞれ平面どうしで中芯の表面に当接する構成とすれば、一対の第2分割型の互いに対向する内側表面は平面となる。内側表面どうしが曲面の場合には、内側表面どうしの距離に長短があり、距離の短い部分どうしが干渉するという問題があるが、平面どうしの場合にはそのような問題がないので、互いに近接する径方向に移動する際の移動量を最大とすることができる。
【0024】
本発明の成形用金型は、第2駆動手段の駆動後に第2分割型を第3分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに複数の第3分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ複数の第3分割型から成形体を離型する第3駆動手段を備えている。第3駆動手段の駆動によって、複数の第3分割型は互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動する。複数の第3分割型が移動しようとする空間からは、一対の第2分割型が第3分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動しているので、複数の第3分割型は一対の第2分割型、一対の第1分割型及び中芯と干渉することなく移動することができる。したがって複数の第3分割型どうしが互いに近接する径方向への移動距離を大きくとることができ、蛇腹部の山谷の高低差が大きくても複数の第3分割型からの離型が容易となる。
【0025】
そして複数の第3分割型がそれぞれ平面どうしで中芯の表面に当接する構成とすれば、複数の第3分割型の内側表面は平面となる。したがって上記したように干渉の問題を回避することができるので、径方向に移動する際の移動量を大きくすることができる。また一対の第1分割型、一対の第2分割型及び複数の第3分割型とは、周方向で互いに平面どうしで当接している構成とすれば、互いに隣接する第3分割型は平面どうしで対向するため、径方向に移動する際に干渉することがなく、径方向に移動する際の移動量を最大とすることができる。
【0026】
なお第1駆動手段、第2駆動手段及び第3駆動手段の少なくとも一つは、傾斜ピン、傾斜カム部材などとスライドコアを用いて構成することができる。
【0027】
第3駆動手段の駆動後は、成形体は外周表面が外金型に付着した状態で保持されているので、外金型から成形体を離型する第4離型工程が行われる。外金型は複数のスライドコアからなり、複数のスライドコアを互いに遠ざかる方向へ径方向に移動させることで成形体を離型する第4駆動手段を備えることで、第4離型工程を容易に行うことができる。第4駆動手段は、傾斜ピン、傾斜カム部材などとスライドコアを用いて構成することができる。
【0028】
第1〜第4の離型工程は、この順に行うことができるが、場合によっては第3離型工程と第4離型工程を逆に行う、あるいは第3離型工程と第4離型工程を同時に行うことも可能である。
【0029】
なお本願発明者らは、本願発明の成形用金型を用いて射出成形で成形可能なCVJブーツの形状を検討した。その結果、一対の第1分割型及び一対の第2分割型がそれぞれ中芯と平面どうしで当接している場合において、CVJブーツの小径筒部の内径と蛇腹部の最大アンダーカット量の両方が図12に示す直線の右側にあれば成形可能であることがわかった。すなわち、小径筒部の内径(X)と蛇腹部の最大アンダーカット量(Y)との関係が次式(1)式を満たす形状のCVJブーツであれば、成形可能であることを見出した。
【0030】
式(1) Y≦0.4243X−3.3727
ここで蛇腹部の最大アンダーカット量(Y)とは、図11に示すように、山部の内半径とその山部に隣接し、その山部よりも大径筒部側に位置する谷部の内半径との差の最大値をいう。
【0031】
以下、図面を参照しながら、実施例により本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0032】
図1に本発明の一実施例の成形用金型の全体断面図を示す。この成形用金型はCVJブーツを射出成形するための金型であり、図1には射出成形直後の状態を示している。CVJブーツ100は、図11に示すように、小径筒部101と、小径筒部101と離間して同軸的に配置され小径筒部101より大径の大径筒部102と、小径筒部101と大径筒部102を一体的に連結し山部と谷部が交互に連続する略円錐台形状の蛇腹部103と、から構成されている。このCVJブーツ100は、小径筒部101の内径(X)と蛇腹部103の最大アンダーカット量(Y)との関係が、前述の式(1)式を満たしている。
【0033】
この成形用金型は、固定型1と、可動型2とを備えている。固定型1は、取付板10と、取付板10に固定され小径筒部101の内周表面を成形する1個の円柱コア11をもつ第1金型12と、第1金型12に一体に保持された一対の保持部13と、から構成されている。保持部13には、大径筒部102及び蛇腹部103の外周表面を成形する型面をもつスライドコア14がそれぞれ配置され、一対のスライドコア14にはそれぞれ傾斜ピン15が固定されている。傾斜ピン15は、第1金型12及び取付板10の内部をスライド移動可能に取付けられている。
【0034】
可動型2は、中芯20が形成された取付板21と、取付板21と保持部13との間に配置された第1突出板22、第2突出板23、第3突出板24及び大径筒部102の外周表面を形成する型面をもつ可動コア25と、を備えている。第3突出板24と可動コア25とは一体に固定され、第1突出板22及び第2突出板23とともに図示しない油圧装置によって取付板21から離れる方向及び取付板21に近接する軸方向に駆動可能となっている。
【0035】
中芯20は、図2に示すように、略八角形の断面形状をなし先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな角錐台形状となっている。中芯20の周囲には、中芯20を中心として互いに対向するように配置された一対の第1分割型3と、中芯20を中心として互いに対向するように、かつ一対の第1分割型3の配置方向と直交するように配置された一対の第2分割型4と、一対の第1分割型3及び一対の第2分割型4の間を埋めるように配置された二対の第3分割型5と、が存在している。一対の第1分割型3、一対の第2分割型4、二対の第3分割型5の外周表面には、それぞれ大径筒部102及び蛇腹部103の内周表面を成形する型面が形成されている。また一対の第1分割型3、一対の第2分割型4、二対の第3分割型5は、それぞれ中芯20と平面どうしで当接し、第1分割型3と第3分割型5、及び第2分割型4と第3分割型5とはそれぞれ互いに平面どうしで当接している。
【0036】
一対の第1分割型3は、中芯20の表面に沿い大径筒部102及び蛇腹部103の内周表面を成形する型面をもつ第1コア部30と、第1コア部30の後端から外方へ延びる第1脚部31とからなり、第1脚部31が第1突出板22にスライド移動可能に保持されている。また第1脚部31には、一端が取付板21に固定された第1傾斜カム部材32が係合している。第1コア部30の型面と反対側の表面は、中芯20の表面と対応する傾斜平面形状に形成されている。
【0037】
一対の第2分割型4は、図5に示すように、中芯20の表面に沿い大径筒部102及び蛇腹部103の内周表面を成形する型面をもつ第2コア部40と、第2コア部40の後端から外方へ延びる第2脚部41とからなり、第2脚部41が第2突出板23にスライド移動可能に保持されている。また第2脚部41には、一端が取付板21に固定された第2傾斜カム部材42が係合している。第2コア部40の型面と反対側の表面は、中芯20の表面と対応する傾斜平面形状に形成されている。
【0038】
二対の第3分割型5は、図7に示すように、中芯20の表面に沿い大径筒部102及び蛇腹部103の内周表面を成形する型面をもつ第3コア部50と、第3コア部50の後端から外方へ延びる第3脚部51とからなり、第3脚部51が第3突出板24にスライド移動可能に保持されている。また第3脚部51には、一端が第2突出板23に固定された第3傾斜カム部材52が係合している。第3コア部50の型面と反対側の表面は、中芯20の表面と対応する傾斜平面形状に形成されている。
【0039】
なお各部材を連結固定する連結棒、あるいはスライドコアをスライド移動可能に支持する連結ピンなどは、図示を省略している。
【0040】
上記のように構成された本実施例の成形用金型の作動機構を説明する。
【0041】
<成形工程>
先ず射出成形時には、図1に示すように固定型1と可動型2とが型締めされる。図2に示すように、中芯20の周囲には、一対の第1分割型3、一対の第2分割型4、二対の第3分割型5がそれぞれ互いに平面どうしで当接して配置されている。一対の第1分割型3、一対の第2分割型4及び二対の第3分割型5の外周には、CVJブーツ100の肉厚分の間隔を隔ててスライドコア14が配置され、円柱コア11の先端表面と中芯20の先端表面とが当接している。すなわち一対の第1分割型3、一対の第2分割型4及び二対の第3分割型5の外周表面と、スライドコア14の内周表面と、円柱コア11の表面との間にキャビティが形成され、固定型1に形成された図示しないランナー及びゲートからそのキャビティに熱可塑性エラストマーからなる成形材料が射出される。
【0042】
<第1離型工程>
成形完了後は、図示しない油圧シリンダ装置によって先ず取付板21が第1突出板22から離れる方向へ移動する。すると中芯20が図1の下方へ移動し、図3に示すように、第1傾斜カム部材32が第1脚部31に係合することによって第1分割型3が中芯20に近接する方向へスライド移動する。そして図4に示すように、一対の第1分割型3がそれぞれ径方向内方へ移動することで、CVJブーツ100の内周表面が第1コア部30の型面から離型される。
【0043】
<第2離型工程>
次に図示しない油圧シリンダ装置によって取付板21と第1突出板22が図3の下方へ押圧駆動され、中芯20と第1分割型3が図3の下方へ移動する。すると図5に示すように、第2傾斜カム部材42が第2脚部41と係合することによって、第2分割型4が中芯20に近接する方向へスライド移動する。そして図6に示すように、一対の第2分割型4がそれぞれ径方向内方へ移動することで、CVJブーツ100の内周表面が第2コア部40の型面から離型される。
【0044】
すなわち一対の第2分割型4は互いに近接する方向へ移動し、図6に示す空隙6内へ向かって移動する。一対の第1分割型3は図5の下方へ移動しているので、空隙6は十分な間隔で形成されている。また一対の第2分割型4と二対の第3分割型5とは、一対の第2分割型4の移動方向と平行な平面で互いに当接している。したがって一対の第2分割型4の移動量を大きくとることができ、蛇腹部103の山谷高さが高くてもアンダーカットとならず、一対の第2分割型4からCVJブーツ100を容易に離型することができる。
【0045】
<第3離型工程>
続いて図示しない油圧装置によって、取付板21、第1突出板22及び第2突出板23が図5の下方へ移動し、中芯20と第1分割型3及び第2分割型4が図5の下方へ移動する。すると図7に示すように、第3傾斜カム部材52が第3脚部51と係合することによって、第3分割型5が中芯20に近接する方向へスライド移動する。そして図8に示すように、二対の第3分割型5がそれぞれ径方向内方へ移動することで、CVJブーツ100の内周表面が第3コア部50の型面から離型される。
【0046】
このとき中芯20、一対の第1分割型3及び一対の第2分割型4は図7の下方へ移動しているので、図8に示すように、二対の第3分割型5の間には広い空隙7が存在している。また隣接する第3分割型5どうしは、互いに平行な平面で対向している。したがって二対の第3分割型5の径方向への移動距離を大きくとることができ、蛇腹部103の山谷高さが高くてもアンダーカットとならず、二対の第3分割型5からCVJブーツ100を容易に離型することができる。
【0047】
<第4離型工程>
この状態では、図9にも示すように、CVJブーツ100は固定型1側に残っている。そこで図示しない油圧装置によって、取付板21、第1突出板22、第2突出板23、第3突出板24及び可動コア25が図9の下方へ移動する。すると図10に示すように、一対のスライドコア14と一対の傾斜ピン15が自重で図10の下方へ移動し、スライドコア14は保持部13に形成された傾斜面13aに案内されながら、また傾斜ピン15は保持部13に形成されたスライド孔に案内されながら移動する。これによりスライドコア14から蛇腹部103の外周表面が離型され、円柱コア11から小径筒部101が離型されて、CVJブーツ100は可動コア25に残る。その後、図示しない突き出しピンが可動型2から突出することで、CVJブーツ100は可動コア25から離型される。
【0048】
すなわち本実施例の成形用金型によれば、蛇腹部103の山谷の高低差が大きなCVJブーツであってもアンダーカットとならず容易に離型することができる。したがってCVJブーツを射出成形で製造することが可能となるので、肉厚を精度高く制御することができ高品質のCVJブーツを安定して製造することができる。
【符号の説明】
【0049】
1:固定型 2:可動型 20:中芯
3:第1分割型 4:第2分割型 5:第3分割型
14:スライドコア 15:傾斜ピン(第4駆動手段の一部)
32:第1傾斜カム部材(第1駆動手段の一部)
42:第2傾斜カム部材(第2駆動手段の一部)
52:第3傾斜カム部材(第3駆動手段の一部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小径筒部と、該小径筒部と離間して同軸的に配置され該小径筒部より大径の大径筒部と、該小径筒部と該大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するのに用いられ、該CVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ外金型と、該CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつコア金型とを有する成形用金型であって、
該コア金型は、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、該中芯を中心に放射状に配置され外周表面に該CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とからなり、
該分割型は、該中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の該第1分割型の配置方向に対して直交する方向に該中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の該第1分割型と一対の該第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、を少なくとも有し、
該中芯を後退駆動することで一対の該第1分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の該第1分割型から成形体を離型する第1駆動手段と、
該第1駆動手段の駆動後に該第1分割型を該第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の該第2分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の該第2分割型から該成形体を離型する第2駆動手段と、
該第2駆動手段の駆動後に該第2分割型を該第3分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに複数の該第3分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ複数の該第3分割型から該成形体を離型する第3駆動手段と、
を備えたことを特徴とするCVJブーツ成形用金型。
【請求項2】
成形時には、前記第1分割型と前記第2分割型及び前記第3分割型とは周方向で互いに平面どうしで当接している請求項1に記載のCVJブーツ成形用金型。
【請求項3】
前記中芯は断面多角形状をなし、成形時には前記第1分割型と前記第2分割型及び前記第3分割型とは互いに平面どうしで前記中芯の表面に当接している請求項1又は請求項2に記載のCVJブーツ成形用金型。
【請求項4】
前記第1駆動手段、前記第2駆動手段及び前記第3駆動手段の少なくとも一つは、傾斜カム部材とスライドコアとの係合によって駆動される請求項1〜3のいずれかに記載のCVJブーツ成形用金型。
【請求項5】
前記外金型は複数のスライドコアからなり、複数の該スライドコアを互いに遠ざかる方向へ径方向に移動させることで前記成形体を離型する第4駆動手段を備える請求項1〜4のいずれかに記載のCVJブーツ成形用金型。
【請求項6】
前記小径筒部の内径(X)と前記蛇腹部の最大アンダーカット量(Y)との関係が次式(1)式を満たし、一対の前記第1分割型及び一対の前記第2分割型は前記中芯と平面どうしで当接している請求項1〜5のいずれかに記載のCVJブーツ成形用金型。
式(1) Y≦0.4243X−3.3727
【請求項7】
小径筒部と、該小径筒部と離間して同軸的に配置され該小径筒部より大径の大径筒部と、該小径筒部と該大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するにあたり、該CVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ外金型と、該CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつコア金型とを有し、該コア金型は、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、該中芯を中心に放射状に配置され外周表面に該CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とからなり、該分割型は、該中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の該第1分割型の配置方向に対して直交する方向に該中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の該第1分割型と一対の該第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、を少なくとも有する成形用金型を用い、
該コア金型と該外金型との間に形成されたキャビティに成形材料を射出して成形体を成形する成形工程と、
該中芯を後退駆動するとともに一対の該第1分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の該第1分割型から該成形体を離型する第1離型工程と、
一対の該第1分割型を該第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の該第2分割型を互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動させ一対の該第2分割型から該成形体を離型する第2離型工程と、
一対の該第2分割型を複数の該第3分割型から遠ざかる軸方向へ移動させるとともに複数の該第3分割型を互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動させ複数の該第3分割型から該成形体を離型する第3離型工程と、
該外金型を該成形体から離型する第4離型工程と、を行うことを特徴とするCVJブーツ成形方法。
【請求項1】
小径筒部と、該小径筒部と離間して同軸的に配置され該小径筒部より大径の大径筒部と、該小径筒部と該大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するのに用いられ、該CVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ外金型と、該CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつコア金型とを有する成形用金型であって、
該コア金型は、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、該中芯を中心に放射状に配置され外周表面に該CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とからなり、
該分割型は、該中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の該第1分割型の配置方向に対して直交する方向に該中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の該第1分割型と一対の該第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、を少なくとも有し、
該中芯を後退駆動することで一対の該第1分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の該第1分割型から成形体を離型する第1駆動手段と、
該第1駆動手段の駆動後に該第1分割型を該第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の該第2分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の該第2分割型から該成形体を離型する第2駆動手段と、
該第2駆動手段の駆動後に該第2分割型を該第3分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに複数の該第3分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ複数の該第3分割型から該成形体を離型する第3駆動手段と、
を備えたことを特徴とするCVJブーツ成形用金型。
【請求項2】
成形時には、前記第1分割型と前記第2分割型及び前記第3分割型とは周方向で互いに平面どうしで当接している請求項1に記載のCVJブーツ成形用金型。
【請求項3】
前記中芯は断面多角形状をなし、成形時には前記第1分割型と前記第2分割型及び前記第3分割型とは互いに平面どうしで前記中芯の表面に当接している請求項1又は請求項2に記載のCVJブーツ成形用金型。
【請求項4】
前記第1駆動手段、前記第2駆動手段及び前記第3駆動手段の少なくとも一つは、傾斜カム部材とスライドコアとの係合によって駆動される請求項1〜3のいずれかに記載のCVJブーツ成形用金型。
【請求項5】
前記外金型は複数のスライドコアからなり、複数の該スライドコアを互いに遠ざかる方向へ径方向に移動させることで前記成形体を離型する第4駆動手段を備える請求項1〜4のいずれかに記載のCVJブーツ成形用金型。
【請求項6】
前記小径筒部の内径(X)と前記蛇腹部の最大アンダーカット量(Y)との関係が次式(1)式を満たし、一対の前記第1分割型及び一対の前記第2分割型は前記中芯と平面どうしで当接している請求項1〜5のいずれかに記載のCVJブーツ成形用金型。
式(1) Y≦0.4243X−3.3727
【請求項7】
小径筒部と、該小径筒部と離間して同軸的に配置され該小径筒部より大径の大径筒部と、該小径筒部と該大径筒部を一体的に連結する略円錐台形状の蛇腹部とからなるCVJブーツを射出成形するにあたり、該CVJブーツの外周表面を形成する型面をもつ外金型と、該CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつコア金型とを有し、該コア金型は、先端ほど径が小さく後端ほど径が大きな形状の中芯と、該中芯を中心に放射状に配置され外周表面に該CVJブーツの内周表面を成形する型面をもつ複数の分割型とからなり、該分割型は、該中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第1分割型と、一対の該第1分割型の配置方向に対して直交する方向に該中芯を中心に互いに対向して配置された一対の第2分割型と、一対の該第1分割型と一対の該第2分割型との間に配置された複数の第3分割型と、を少なくとも有する成形用金型を用い、
該コア金型と該外金型との間に形成されたキャビティに成形材料を射出して成形体を成形する成形工程と、
該中芯を後退駆動するとともに一対の該第1分割型を互いに近接する方向へ中心に向かって径方向に移動させ一対の該第1分割型から該成形体を離型する第1離型工程と、
一対の該第1分割型を該第2分割型から軸方向に遠ざかる方向へ移動させるとともに一対の該第2分割型を互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動させ一対の該第2分割型から該成形体を離型する第2離型工程と、
一対の該第2分割型を複数の該第3分割型から遠ざかる軸方向へ移動させるとともに複数の該第3分割型を互いに近接する方向へ中心へ向かって径方向に移動させ複数の該第3分割型から該成形体を離型する第3離型工程と、
該外金型を該成形体から離型する第4離型工程と、を行うことを特徴とするCVJブーツ成形方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−126033(P2012−126033A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280030(P2010−280030)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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