説明

CXCR3アンタゴニスト活性を有している新規の複素環置換ピペラジン化合物

本出願では、化合物、または上記化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ラセミ体、もしくはプロドラッグ、または上記化合物もしくは上記プロドラッグの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルが開示される。式1に示される一般的構造を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルが開示される。また、式Iの化合物を使用するケモカインによって媒介される疾患の処置方法も開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、CXCR3アンタゴニスト活性を有している新規の複素環置換ピペラジン、1つ以上のそのようなアンタゴニストが含まれている薬学的組成物、ケモカイン活性を有している他の化合物と組み合わせられた1つ以上のそのようなアンタゴニスト、既知の免疫抑制剤(限定ではない例(単数または複数)として、メトトレキセート(Methotrexate)、インターフェロン、シクロスポリン、FK−506、およびFTY720が挙げられる)と組み合わせられた1つ以上のそのようなアンタゴニスト、そのようなアンタゴニストを調製する方法、およびCXCR3活性を調節するためにそのようなアンタゴニストを使用する方法に関する。本発明ではまた、CXCR3が関係している疾患および症状の処置(限定ではない例として、緩和的、治癒的、および予防的治療が挙げられる)のためにそのようなCXCR3アンタゴニストを使用する方法も開示される。CXCR3が関係している疾患および症状としては、炎症症状(乾癬および炎症性腸疾患)、自己免疫疾患(多発性硬化症、関節リウマチ)、固定薬疹(fixed drug eruption)、遅延型皮膚過敏症、I型糖尿病、ウイルス性髄膜炎、および結核型らいが挙げられるが、これらに限定されない。CXCR3アンタゴニスト活性はまた、腫瘍増殖の抑制、ならびに移植片拒絶(例えば、同種移植片拒絶および異種移植片拒絶)のための治療としても示されている。
【背景技術】
【0002】
ケモカインは、炎症の中で生産されるサイトカインのファミリーの構成要素であり、白血球の動員を調節する(Baggiolini,M.ら、Adv.Immunol.,55:97−179(1994);Springer,T.A.,Annual Rev.Physio.,57:827−872(1995);およびSchall,T.J.and K.B.Bacon,Curr.Opin.Immunol,6:865−873(1994))。ケモカインは、白血球、例えば、好中球、単球、マクロファージ、好酸球、好塩基球、肥満細胞、およびリンパ球(例えば、T細胞およびB細胞)を含む、形成された血液成分(赤血球以外)の化学走化を選択的に誘導することができる。化学走化性を刺激することに加えて、他の変化も、応答細胞の中でケモカインによって選択的に誘導することができ、これには、細胞の形状の変化、細胞内の遊離のカルシウムイオン([Ca2+)の濃度の一時的な上昇、顆粒エキソサイトーシス、インテグリンのアップレギュレーション、白血球の活性化に関係している生物活性脂質(例えば、ロイコトリエン)および呼吸バーストの形成が含まれる。したがって、ケモカインは、炎症応答の初期の誘発因子であり、感染または炎症の部位への炎症媒介因子の放出、化学走化、および管外遊出を引き起こす。
【0003】
ケモカイン類は、一次構造において関連性があり、ジスルフィド結合を形成する4個の保存されているシステインを共通して有している。この保存されているシステインモチーフに基づいて、このファミリーは、はっきりと区別できる部門(branches)に分けることができる。このような部門には、C−X−Cケモカイン(α−ケモカイン)(ここでは、保存されているシステインのうちの最初の2つが、間に介在する残基によって隔てられている)(例えば、IL−8、IP−10、Mig、I−TAC、PF4、ENA−78、GCP−2、GROα、GROβ、GROδ、NAP−2、NAP−4)、およびC−Cケモカイン(β−ケモカイン)(ここでは、保存されているシステインのうちの最初の2つのシステインが隣接している残基である)(例えば、MIP−1α、MIP−1β、RANTES、MCP−1、MCP−2、MCP−3、I−309)が含まれる(Baggiolini,M.and Dahinden,C.A.,Immunology Today,15:127−133(1994))。ほとんどのCXC−ケモカインは、好中球性白血球をひきつける。例えば、CXC−ケモカインインターロイキン−8(IL−8)、GROアルファ(GROα)、および好中球活性化ペプチド2(NAP−2)は、好中球の強力な化学誘引物質であり、活性化因子である。Mig(ガンマインターフェロンによって誘導されるモノカイン)およびIP−10(インターフェロン−ガンマによって誘導される10kDaのタンパク質)と命名されたCXC−ケモカインは、活性化された末梢血リンパ球の化学走化の誘導において特に活性が高い。
【0004】
CC−ケモカインは、一般的には選択性が低く、様々な白血球のタイプ(単球、好酸球、好塩基球、Tリンパ球、およびナチュラルキラー細胞を含む)をひきつけることができる。CC−ケモカイン(例えば、ヒト単球化学走化タンパク質1から3(MCP−1、MCP−2、およびMCP−3)、RANTES(Regulated on Activation,Normal T Expressed and Secreted)、ならびに、マクロファージ炎症タンパク質1αおよび1β(MIP−1αおよびMIP−1β)は、単球またはリンパ球の化学誘引物質であり活性化因子であるとして特性決定されているが、好中球についての科学誘引物質であることは明らかではない。
【0005】
CXC−ケモカインIP−10およびMigに結合するケモカイン受容体がクローニングされており、特性決定されており(Loetscher,M.ら、J.Exp.Med.,184:963−969(1996))、そしてCXCR3と命名されている。CXCR3は、7個の膜貫通ドメインを有しているG−タンパク質結合受容体であり、活性化されたT細胞の中で、優先的にヒトTh1細胞の中で、限定的に発現されることが示されている。適切なリガンドに結合すると、ケモカイン受容体は、関連するGタンパク質を通じて細胞内シグナルを伝達し、それによって細胞内カルシウム濃度の迅速な上昇が生じる。
【0006】
CXCR3受容体は、Ca2+(カルシウムイオン)の動員および化学走化を、IP−10およびMigに応答して媒介する。CXCR3を発現する細胞は、CXC−ケモカインIL−8、GROα、NAP−2、GCP−2(顆粒球化学走化タンパク質−2)、ENA78(上皮由来好中球活性化ペプチド78)、PF4(血小板因子4)、またはCC−ケモカインMCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MIP−1α、MIP−1β、RANTES、I309、エオタキシン、またはリンホタキシンに対しては、有意な反応は示さない。さらに、CXCR3、I−TAC(インターフェロン誘導性T細胞アルファ化学誘引物質(Interferon−inducible T cell Alpha Chemoattractant))に対する第3のリガンドもまた、高い親和性で受容体に結合し、機能性の応答を媒介することが明らかにされている(Cole,K.E.ら、J.Exp.Med.,187:2009−2021(1998))。
【0007】
活性化されたTリンパ球の中でのヒトCXCR3の限定された発現と、CXCR3のリガンド選択性は、注目すべきである。ヒト受容体は、IL−2活性化Tリンパ球の中で高度に発現されるが、休止Tリンパ球、単球、または顆粒球の中では検出されなかった(Qin,S.ら、J.Clin.Invest.,101:746−754(1998))。受容体の分布についてのさらなる実験は、これはほとんどが、CD95、CD45RO、およびCD45RAlow(以前の活性化と一致する表現形)である細胞を含む、CXCR3を発現するCD3細胞であるが、CD20(B)細胞とCD56(NK)細胞の部分もまたこの受容体を発現することを示している。活性化Tリンパ球の中での選択的発現が目的である。なぜなら、リンパ球をひきつけることが報告されているケモカインの他の受容体(例えば、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MIP−1α、MIP−1β、RANTES)はまた、顆粒球(例えば、好中球、好酸球、および好塩基球)ならびに単球によっても発現されることが報告されているからである。これらの結果は、CXCR3受容体が、エフェクターT細胞の選択的な動員に関係していることを示唆している。
【0008】
CXCR3は、IP−10、Mig、およびI−TACと命名された異常なCXC−ケモカインを認識する。好中球の強力な化学誘引物質であるIL−8および他のCXC−ケモカインとは対照的に、これらはCXC−サブファミリーに属するが、IP−10、Mig、およびI−TACの主要な標的は、リンパ球、特に、エフェクター細胞(例えば、活性化されたかまたは刺激されたTリンパ球およびナチュラルキラー(NK)細胞)である(Taub,D.D.ら、J.Exp.Med.,177:18090−1814(1993);Taub,D.D.ら、J.Immunol.,155:3877−3888(1995);Cole,K.E.ら、J.Exp.Med.,187:2009−2021(1998))。(NK細胞は、大きな顆粒性リンパ球であり、これは抗原認識のための特異的T細胞受容体を欠いているが、腫瘍細胞と、ウイルスに感染した細胞のような細胞に対して細胞溶解活性を有している。)一貫して、IP−10、Mig、およびI−TACは、高中球の化学走化を効率よく誘導するそのようなCXC−ケモカインにおいて不可欠な結合エピトープであるELRモチーフを欠いている(Clark−Lewis,I.ら、J.Biol.Chem.266:23128−23134(1991);Hebert,C.A.ら、J.Biol.Chem.,266:18989−18994(1991);およびClark−Lewis,1.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:3574−3577(1993))。加えて、組み換え体ヒトMigおよび組み換え体ヒトIP−10はいずれも、腫瘍に浸潤するリンパ球(TIL)においてカルシウムの流入を誘導することが報告されている(Liao,F.ら、J.Exp.Med.,182:1301−1314(1995))。IP−10は、インビトロで単球の化学走化を誘導することが報告されているが(Taub,D.D.ら、J.Exp.Med.,177:1809−1814(1993)、受容体応答性は明らかにされていない)、ヒトMigおよびI−TACは高い選択性を示し、そのような作用は示さない(Liao,F.ら、J.Exp.Med.,182:1301−1314(1995);Cole,K.E.ら、J.Exp.Med.,187:2009−2021(1998))。IP−10の発現は、炎症症状(例えば、乾癬)、固定薬疹、遅延型皮膚過敏症、結核型らい、および腫瘍、ならびに動物モデル実験(例えば、実験用糸球体腎炎、および実験用アレルギー性脳脊髄炎)の様々な組織の中で誘導される。IP−10は、T細胞依存性である、強力なインビボの抗腫瘍効果を有しており、インビボで血管形成の阻害因子であると報告されており、インビトロではNK細胞の化学走化および脱顆粒を誘導することができる。このことは、(例えば、腫瘍細胞の崩壊における)NK細胞の動員および脱顆粒の媒介因子としての役割を示唆している(Luster,A.D.and P.Leder,J.Exp.Med.,178:1057−1065(1993);Luster,A.D.ら、J.Exp.Med.182:219−231(1995);Angiolillo,A.L.ら、J.Exp.Med.,182:155−162(1995);Taub,D.D.ら、J.Immunol.,155:3877−3888(1995))。IP−10、Mig、およびI−TACの発現パターンもまた、それぞれの発現がインターフェロン−ガンマ(IFNδ)によって誘導されるが、一方、IL−8の発現がIFNδによってダウンレギュレートされるという点で、他のCXCケモカインの発現パターンとは異なる(Luster,A.D.ら、Nature,315:672−676(1985);Farber,J.M.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:5238−5242(1990);Farber,J.M.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,192(1):223−230(1993),Liao,F.ら、J.Exp.Med.,182:1301−1314(1995);Seitz,M.ら、J.Clin.Invest.,87:463−469(1991);Galy,A.H.M.and H.Spits,J.Immunol.,147:3823−3830(1991);Cole,K.E.ら、J.Exp.Med.,187:2009−2021(1998))。
【0009】
ケモカインは、リンパ球の動因のための念願の(long−sought)媒介因子であると認識されている。いくつかのCC−ケモカインは、リンパ球の化学走化を誘発することが明らかにされているが(Loetscher,P.ら、FASEB J.,8:1055−1060(1994))、これらはまた、顆粒球と単球に対しても活性がある(Uguccioni,M.ら、Eur.J.Immunol.,25:64−68(1995);Baggiolini,M.and C.A.Dahinden,Immunol.Today,15:127−133(1994))。この状況は、IP−10、Mig、およびI−TACについては異なり、これらは、リンパ球(活性化されたTリンパ球およびNK細胞を含む)に対するそれらの作用においては選択的であり、多数の他のケモカインを認識することはなく、選択的な発現パターンを示す受容体であるCXCR3に結合する。
【0010】
これらの観察を考慮すると、炎症の病変(例えば、遅延型過敏症の病変、ウイルス感染の部位、および特定の腫瘍)における特徴的な浸潤の形成が、CXCR3によって媒介され、そしてCXCR3の発現によって調節されるプロセスであると結論付けることは妥当である。活性化の結果としてのCXCR3受容体を有しているリンパ球、特に、Tリンパ球は、炎症性の病変、感染の部位、ならびに/あるいは、IP−10、Mig、および/またはI−TAC(これらは、インターフェロン−ガンマによって局所的に誘導され得る)による腫瘍に動員することができる。このように、CXCR3は、リンパ球(特に、活性化されたかまたは刺激されたTリンパ球のようなエフェクター細胞)の選択的動員において役割を担っている。したがって、活性化されたエフェクターT細胞は、多数の疾患状態(例えば、移植片拒絶、炎症、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、および乾癬)に関与している。したがって、CXCR3は、新規の治療方法の開発についての有望な標的を示す。
【0011】
特許文献1(出願人:Glaxo Group Limited,1993年5月27日に公開された)が引用される。ここでは、以下の式を有しているピペリジン酢酸誘導体が、フィブリノーゲン依存性の血液血小板凝集の阻害因子として開示されている:
【0012】
【化1】

このシリーズの代表的な化合物は以下である:
【0013】
【化2】

特許文献2(出願人:J.Uriach & CIA.S.A.,1999年4月29日に公開された)もまた引用される。ここでは、以下の式を有しているピペラジンが、血小板凝集阻害因子として開示されている:
【0014】
【化3】

特許文献3(出願人:Hancockら、2002年2月14日に公開された)もまた引用される。ここでは、移植片拒絶を処置する方法が開示されている。
【0015】
特許文献4(出願人:Renovar,Inc.,2003年11月27日に公開された)もまた引用される。ここでは、ケモカイン(例えば、尿中のCXCR3およびCCLケモカイン)の検出により、臓器移植の拒絶を診断および予測する方法が開示されている。
【0016】
特許文献5(出願人:Sumitomo Pharmaceuticals Co.Ltd.,2003年10月9日に公開された)もまた引用される。ここでは、生物学的試料中のCXCR3リガンドの発現量を検出することによる、CXCR3リガンドをスクリーニングする方法および2型糖尿病を診断する方法が開示されている。
【0017】
特許文献6(出願人:Millennium Pharmaceuticals,2002年10月31日に公開された)もまた引用される。ここでは、以下の式を有しているイミダゾール化合物と、CXCR3アンタゴニストとしてのそれらの使用が開示されている:
【0018】
【化4】

このシリーズの代表的な化合物は以下である:
【0019】
【化5】

特許文献7(出願人:SmithKline Beecham Corporation,2003年12月11日に公開された)もまた引用される。ここでは、以下の式を有しているイミダゾリウム化合物と、CXCR3アンタゴニストとしてのそれらの使用が開示されている:
【0020】
【化6】

このシリーズの代表的な例は以下である:
【0021】
【化7】

特許文献8(出願人:Medinaら、2003年3月20日に公開された)および関連する特許文献9(出願人:Medinaら、2004年9月21日に公開された)もまた引用される。ここでは、以下の式を有している、CXCR3活性を有している化合物が開示されている:
【0022】
【化8】

このシリーズの代表的な化合物は以下である:
【0023】
【化9】

特許文献10(出願人:MacCossら、2000年9月6日に発行された)もまた引用される。ここでは、以下の式を有している、ケモカイン受容体調節因子として有用な化合物が開示されている:
【0024】
【化10】

特許文献11(出願人:CELLTECH R&D limited,2003年8月28日に公開された)もまた引用される。ここでは、以下の式を有している、「炎症性疾患の処置のためのケモカイン受容体阻害因子」として有用な化合物が開示されている:
【0025】
【化11】

特許文献12、特許文献13、特許文献14(出願人:AstraZeneca R&D,2004年2月19日に公開された)もまた引用される。ここでは、以下の式を有しているピリジン誘導体、それらの調製のためのプロセス、および自己免疫疾患の調節における使用が開示されている:
【0026】
【化12】

式中、R3は、フェニル、または、1つ以上の窒素原子を有している5員もしくは6員の芳香環である。
【0027】
特許文献15(2006年2月16日に公開された)もまた引用される。ここでは、CXCR3受容体に結合する特定のピリミドン化合物について言及されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】国際公開第93/10091号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/20606号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2002/0018776号明細書
【特許文献4】国際公開第03/098185号パンフレット
【特許文献5】国際公開第03/082335号パンフレット
【特許文献6】国際公開第02/085861号パンフレット
【特許文献7】国際公開第03/101970号パンフレット
【特許文献8】米国特許出願公開第2003/0055054号明細書
【特許文献9】米国特許第6,794,379号明細書
【特許文献10】米国特許第6,124,319号明細書
【特許文献11】国際公開第03/070242号パンフレット
【特許文献12】国際公開第04/074287号パンフレット
【特許文献13】国際公開第04/074273号パンフレット
【特許文献14】国際公開第04/74278号パンフレット
【特許文献15】米国特許出願公開第2006/0036093号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
CXCR3活性を調節することができる化合物が必要である。例えば、CXCR3が関係している疾患および症状(例えば、炎症の症状(乾癬および炎症性腸疾患)、自己免疫疾患(多発性硬化症、関節リウマチ)、および移植片拒絶(例えば、同種移植片拒絶および異種移植片拒絶)、ならびに、感染性疾患、ガン、および腫瘍、固定薬疹、遅延型皮膚過敏症、I型糖尿病、ウイルス性髄膜炎、および結核型らい)の新規の処置および治療方法が必要である。
【0030】
CXCR3が関係している疾患および症状の1つ以上の兆候の処置または予防または緩和の方法が必要である。本明細書中に提供される化合物を使用してCXCR3活性を調節するための方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0031】
その多くの実施形態においては、本発明により、式1の新規の化合物:
【0032】
【化13】

、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルが提供される。式中、:
Gは、−C≡N、または
【0033】
【化14】

であり;
Xは、N、O、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはヘテロシクレニルであり;
Zは、N、またはNOであり;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、そして存在する場合には、それぞれ別々に、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、アミノ、−アルキルアミノ、アミジニル、カルボキサミド、シアノ、ヒドロキシル、ウレア、−N≡CH、=NCN、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−C(=S)N(H)アルキル、−N(H)−S(O)−アルキル、−N(H)C(=O)N(H)−アルキル、−S(O)アルキル、−S(O)N(H)アルキル、−S(O)N(アルキル)、−S(O)アリール、−C(=S)N(H)シクロアルキル、−C(=O)N(H)NH、−C(=O)アルキル、−C(=O)アリール、−C(=O)ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびヘテロシクレニルからなる群より選択される;あるいは、代わりに、XがNである場合には、NはRおよびRと一緒に、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または−N=C(NHを形成する、
、R、およびR部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれは、別々に、H、アルキル、アルキルアリール、アラルキル、−C(=O)アルキル、−CN、CF、OCF、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシアルキル、−N=CH−(R31)、−C(=O)N(R30、−N(R30、−NSO31、−OR30、−SO(R31)、−SONHR30、−N(R30)C(=O)N(R30、および−N(R30)C(=O)R31からなる群より選択される;
およびRは、同じであるか、または異なり、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、−CN、アルコキシ、−N(R30、−N(H)S(O)アルキル、−N(H)C(=O)N(H)アルキル、−(CHOH、−(CHOアルキル、−(CHN(H)−アルキル、−(CHN(H)−S(O)アルキル、および−(CHN(H)−CO−N(H)アルキルからなる群より別々に選択される;あるいは、代わりに、RおよびRは、それらが結合させられたと示されている炭素原子と一緒に、=O、=S、=NH、=N(アルキル)、=N(Oアルキル)、=N(OH)、またはシクロアルキルである;
10部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールアルキル、−COH、ヒドロキシル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、−N(R30、−C(=O)N(R30、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−OR30、ハロゲン、および−C(=O)R31からなる群より別々に選択される;あるいは、式中、同じ炭素原子上の2つのR10部分が一緒に=Oを形成する;
11部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキサミド、−N(R30、COH、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−OR30、ハロゲン、および−C(=O)R31からなる群より別々に選択される;あるいは、式中、同じ炭素原子上の2つのR11部分が一緒に=Oを形成する;
12は、H、アルキル、ハロアルキル −CN、CFH、CF、−C(=O)N(R30、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNHR31、−(CHN(R31、および−S(O)R31からなる群より選択される;
Dは、3員から9員のシクロアルキル、3員から9員のシクロアルケニル、あるいは、0から4個のヘテロ原子もしくはN、O、S、およびSOからなる群より別々に選択される部分を有している、5員から8員のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニルまたはヘテロシクリル環であり、ここでは、環Dは、非置換であるか、または必要に応じて、1から5個の別々に選択されたR20部分で置換されている;
20部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アルキニル、−アルキルアミノ、−アルキルチオカルボキシ、アルキルヘテロアリール、アルキルチオ、アルキルスルフィニル−、−C(=O)−O−アルキル、アミジニル、アラルキル、アラルケニル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アラルキルチオ、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、グアニジニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキサメート、ニトロ、トリフルオロメトキシ、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−アルキニルC(R31OR31、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−C(=NR30)NHR30、−C(=NOH)N(R30、−C(=NOR31)N(R30、−C(=O)OR30、−N(R30、−N(R30)C(=O)R31、−NHC(=O)N(R30、−N(R30)C(=O)OR31、−N(R30)C(=NCN)N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30)SO(R31)、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−N(R30)S(O)N(R30、−OR30、−OC(=O)N(R30、−SR30、−SON(R30、−SO(R31)、−OSO(R31)、および−OSi(R30からなる群より別々に選択される;あるいは、代わりに、2つのR20部分が一緒に連結されて、5員もしくは6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環を形成し、式中、上記5員もしくは6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環は、環Dに対して縮合させられ、そして縮合させられた環は、必要に応じて、0から4個のR21部分で置換される;
21部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アルキニル、−アルキルアミノ、−アルキルチオカルボキシ、アルキルヘテロアリール、アルキルチオ、アルキルスルフィニル−、−C(=O)−O−アルキル、アミジニル、アラルキル、アラルケニル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アラルキルチオ、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、グアニジニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキサメート、ニトロ、トリフルオロメトキシ、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−アルキニルC(R31OR31、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−C(=NR30)NHR30、−C(=NOH)N(R30、−C(=NOR31)N(R30、−C(=O)OR30、−N(R30、−N(R30)C(=O)R31、−NHC(=O)N(R30、−N(R30)C(=O)OR31、−N(R30)C(=NCN)N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30)SO(R31)、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−N(R30)S(O)N(R30、−OR30、−OC(=O)N(R30、−SR30、−SON(R30、−SO(R31)、−OSO(R31)、および−OSi(R30からなる群より別々に選択される;
Yは、−(CR1313−、−CHR13C(=O)−、−(CHR13O−、−(CHR13N(R30)−、−C(=O)−、−C(=NR30)−、−C(=N−OR30)−、−CH(C(=O)NHR30)−、CH−ヘテロアリール−、−C(R1313C(R13)=C(R13)−、−(CHR13C(=O)−、および−(CHR13N(H)C(=O)−からなる群より選択される;あるいは、代わりに、Yは、シクロアルキル、ヘテロシクレニル、またはヘテロシクリルであり、式中、シクロアルキル、ヘテロシクレニル、またはヘテロシクリルは、環Dと縮合させられる;
13部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、スピロアルキル、−CN、−COH、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−(CHR30OH、−(CHR30OR31、−(CHR30NH、−(CHR30NHR31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNSO31、−(CHSONHR31、−NH、−N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−OH、OR30、−SON(R30、および−SO(R31)からなる群より別々に選択される;
30部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、アリール、アラルキル、シクロアルキル、CN、−(CHOH、−(CHOアルキル、−(CHOアルキルアリール、−(CHOアリール、−(CHOアラルキル、−(CHOシクロアルキル、−(CHNH、−(CHNHアルキル、−(CHN(アルキル)、−(CHNHアルキルアリール、−(CHNHアリール、−(CHNHアラルキル、−(CHNHシクロアルキル、−(CHC(=O)NHアルキル、−(CHC(=O)N(アルキル)、−(CHC(=O)NHアルキルアリール、−(CHC(=O)NHアリール、−(CHC(=O)NHアラルキル、−(CHC(=O)NHシクロアルキル、−(CHSOアルキル、−(CHSOアルキルアリール、−(CHSOアリール、−(CHSOアラルキル、−(CHSOシクロアルキル、−(CHNSOアルキル、−(CHNSOアルキルアリール、−(CHNSOアリール、−(CHNSOアラルキル、−(CHNSOシクロアルキル、−(CHSONHアルキル、−(CHSONHアルキルアリール、−(CHSONHアリール、−(CHSONHアラルキル、−(CHSONHシクロアルキル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群より別々に選択される;
31部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、アルキル、アルキルアリール、アリール、アラルキル、シクロアルキル、−(CHOH、−(CHOアルキル、−(CHOアルキルアリール、−(CHOアリール、−(CHOアラルキル、−(CHOシクロアルキル、−(CHNH、−(CHNHアルキル、−(CHN(アルキル)、−(CHNHアルキルアリール、−(CHNHアリール、−(CHNHアラルキル、−(CHNHシクロアルキル、−(CHC(=O)NHアルキル、−(CHC(=O)N(アルキル)、−(CHC(=O)NHアルキルアリール、−(CHC(=O)NHアリール、−(CHC(=O)NHアラルキル、−(CHC(=O)NHシクロアルキル、−(CHSOアルキル、−(CHSOアルキルアリール、−(CHSOアリール、−(CHSOアラルキル、−(CHSOシクロアルキル、−(CHNSOアルキル、−(CHNSOアルキルアリール、−(CHNSOアリール、−(CHNSOアラルキル、−(CHNSOシクロアルキル、−(CHSONHアルキル、−(CHSONHアルキルアリール、−(CHSONHアリール、−(CHSONHアラルキル、−(CHSONHシクロアルキル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群より別々に選択される;
mは、0から4である;
nは、0から4である;
qはそれぞれ同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、1から5から別々に選択される;そして、
rは、1から4である;
ただし、窒素が2つのアルキル基によって置換されている場合には、上記2つのアルキル基は、必要に応じて、環を形成するように互いに連結させられる場合がある。
【0034】
本発明のさらなる特徴は、有効成分として少なくとも1つの式1の化合物を、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤と一緒に含む薬学的組成物である。
【0035】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者においてCXCR3ケモカインによって媒介される疾患を処置する方法が提供される。この方法には、患者に対して、治療有効量の、式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを投与する工程が含まれる。
【0036】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者において、T細胞によって媒介される化学走化を阻害するかまたはブロックする方法が提供される。この方法には、患者に対して、治療有効量の、式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを投与する工程が含まれる。
【0037】
本発明によってはまた、そのような治療が必要な個体において、炎症または免疫応答を調節する(阻害するかまたは促進する)方法も提供される。この方法には、治療有効量の式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルを投与する工程が含まれる。
【0038】
そのような処置が必要な患者において、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)を処置する方法もまた開示される。この方法には、患者に対して、治療有効量の、式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを投与する工程が含まれる。
【0039】
そのような処置が必要な患者において、移植片拒絶を処置する方法もまた開示される。この方法には、患者に対して、治療有効量の、式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを投与する工程が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書中で使用される用語はそれらの通常の意味を有し、そのような用語の意味は、そのそれぞれの出現ごとに独立している。それにもかかわらず、他に明記される場合を除いて、以下の定義が、明細書と特許請求の範囲全体を通じて適用される。化学名、一般的名称、および化学構造は、同じ構造を記載するように互換的に使用される場合がある。これらの定義は、他に明記されない限りは、用語が単独で、または他の用語と組み合わせて使用されるかどうかにはかかわらず適用される。それゆえ、「アルキル」の定義は、「アルキル」に対して、さらには、「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「アルコキシ」などの「アルキル」部分に対しても適用される。
【0041】
上記で、および明細書全体を通じて使用される場合は、以下の用語は、他に明記されない限りは、以下の意味を有すると理解されるべきである:
「アシル」は、H−C(=O)−、アルキル−C(=O)−、アルケニル−C(=O)−、アルキニル−C(=O)−、シクロアルキル−C(=O)−、シクロアルケニル−C(=O)−、またはシクロアルキニル−C(=O)−基を意味する。ここでは、様々な基は先に記載されたとおりである。もとの部分に対する結合はカルボニル炭素原子を介する。好ましいアシルには、低級アルキルが含まれる。適切なアシル基の限定ではない例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイル、およびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0042】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖である場合も、また分岐している場合もあり、鎖の中には約2個から約15個の炭素原子が含まれる。好ましいアルケニル基は、鎖の中に約2個から約12個の炭素原子を有し;さらに好ましくは、鎖の中に約2個から約6個の炭素原子を有する。「分岐」は、メチル、エチル、またはプロピルのような1つ以上の低級アルキル基が、直鎖のアルケニル鎖に結合させられていることを意味する。「低級アルケニル」は、直鎖である場合も、また、分岐している場合もある、鎖の中の約2個から約6個の炭素原子を意味する。アルケニル基は、1つ以上の置換基によって置換されている場合もあり、上記1つ以上の置換基は同じである場合も、また異なる場合もあり、それぞれの置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シアノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アミノ、アミノスルホニル、ハロ、カルボキシル、カルボキシアルキル(限定ではない例(単数または複数)には、エステルが含まれる)、アルコキシカルボニル、ヒドロキシアルキル、カルボニル(限定ではない例(単数または複数)には、ケトンが含まれる)、−C(=O)ヘテロシクリル、ホルミル(限定ではない例(単数または複数)には、アルデヒドが含まれる)、カルボキサミド(すなわち、アミド、−C(=O)NH)、−C(=O)N(アルキル)、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(シクロアルキル)、−C(=O)NH(シクロアルキル)、−NHC(=O)アルキル、ウレア(例えば、−NH(C=O)NH、−NH(C=O)NH(アルキル)、−NH(C=O)NH(アルキル)、−NH(C=O)NH(ヘテロアリール)、−NH(C=O)NH(ヘテロシクリル))、グアニジニル、−NHC(=NCN)NH、−NHC(=NCN)N(アルキル)、カルバモイル(すなわち、−CONH)、NHC(=O)Oアルキル、−CON(アルキル)、−NHC(=O))NH−S(O)アルキル、−NHC(=O)N(アルキル)−S(O)アルキル、−NH−S(O)アルキル、−NH−S(O)ヘテロアリール、−N(アルキル)−S(O)アルキル、−NH−S(O)アリール、−N(アルキル)−S(O)アリール、−NH−S(O)NH、−NH−S(O)NHアルキル、−NH−S(O)N(アルキル)、アルキルチオカルボキシ、−S(O)アルキル、−S(O)アリール、−OS(O)アルキル、−OS(O)アリール、スルホニルウレア(限定ではない例(単数または複数)には、NHC(=S)NHアルキルが含まれる)からなる群より別々に選択される。適切なアルケニル基の限定ではない例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニル、およびデセニルが挙げられる。
【0043】
「アルキル」は、直鎖である場合も、また分岐している場合もあり、またそれらの組み合わせである場合もある、鎖の中に約1個から約20個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖の中に約1個から約12個の炭素原子を含む。さらに好ましいアルキル基は、鎖の中に約1個から約6個の炭素原子を含む。「分岐」は、メチル、エチル、またはプロピルのような1つ以上の低級アルキル基が、直鎖のアルキル鎖に結合させられていることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖である場合も、また分岐している場合もある鎖の中に、約1個から約6個の炭素原子を有している基を意味する。アルキル基は、1つ以上の置換基によって置換されている場合もある。上記1つ以上の置換基は同じである場合も、また異なる場合もあり、それぞれの置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シアノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アミノ、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(シクロアルキル)、−NH(アリール)、−N(アリール)、−NH(ヘテロアリール)、−N(ヘテロアリール)、−NH(ヘテロシクリル)、N(ヘテロシクリル)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシル、カルボキシアルキル(限定ではない例(単数または複数)には、エステルが含まれる)、アルコキシカルボニル、ヒドロキシアルキル、カルボニル(限定ではない例(単数または複数)には、ケトンが含まれる)、−C(=O)ヘテロシクリル、ホルミル、カルボキサミド(すなわち、アミド、−C(=O)NH、−C(=O)N(アルキル)、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(シクロアルキル)、−C(=O)NH(シクロアルキル))、−NHC(=O)アルキル、アミジニル、ヒドラジジル、ヒドロキサメート、−NHC(=O)H、−NHC(=O)アルキル、ウレア(例えば、−NH(C=O)NH、−NH(C=O)NH(アルキル)、−NH(C=O)NH(アルキル)、−NH(C=O)NH(ヘテロアリール)、−NH(C=O)NH(ヘテロシクリル))、グアニジニル、−NHC(=NCN)NH、−NHC(=NCN)N(アルキル)、カルバモイル(すなわち、−CONH)、−NHC(=O)Oアルキル、−CON(アルキル)、−NHC(=O)NH−S(O)アルキル、−NHC(=O)N(アルキル)−S(O)アルキル、−NH−S(O)アルキル、−NH−S(O)ヘテロアリール、−N(アルキル)−S(O)アルキル、−NH−S(O)アリール、−N(アルキル)−S(O)アリール、−NH−S(O)NH、−NH−S(O)NHアルキル、−NH−S(O)N(アルキル)、チオ、アルキルチオ、アルキルチオカルボキシ、−S(O)アルキル、−S(O)アルキル、−S(O)アリール、−OS(O)アルキル、−OS(O)アリール、スルホニルウレア(限定ではない例(単数または複数)には、−NHC(=S)NHアルキルが含まれる)、およびOSi(アルキル)からなる群より別々に選択される。適切なアルキル基の限定ではない例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、およびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0044】
「アルキルヘテロアリール」は、アルキル−ヘテロアリール−基を意味する。ここでは、アルキルは先に記載されたとおりであり、そしてもとの部分に対する結合は、ヘテロアリール基を介する。
【0045】
「アルキルアミノ」は、−NHまたは−NH+基を意味する。ここでは、窒素上の1つ以上の水素原子が、上記で定義されたアルキル基によって置き換えられている。もとの部分に対する結合は、窒素を介する。
【0046】
「アルキルアリール」は、アルキル−アリール−基を意味する。ここでは、アルキルおよびアリールは、本明細書中に記載されたとおりである。好ましいアルキルアリールには、低級アルキル基が含まれる。適切なアルキルアリール基の限定ではない例としては、o−トリル、p−トリル、およびキシリルが挙げられる。もとの部分に対する結合は、アリールを介する。
【0047】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味する。ここでは、アルキル基は、本明細書中に記載されたとおりである。適切なアルキルチオ基の限定ではない例としては、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオ、およびヘプチルチオが挙げられる。もとの部分に対する結合は、硫黄を介する。
【0048】
「アルキルチオカルボキシ」は、アルキル−S−C(=O)O−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。もとの部分に対する結合は、カルボキシを介する。
【0049】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。もとの部分に対する結合は、スルホニルを介する。
【0050】
「アルキルスルフィニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。もとの部分に対する結合は、スルフィニルを介する。
【0051】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖である場合も、また分岐している場合もあり、鎖の中には約2個から約15個の炭素原子が含まれる。好ましいアルキニル基は、鎖の中に約2個から約12個の炭素原子を有し;さらに好ましくは、鎖の中に約2個から約4個の炭素原子を有する。「分岐」は、メチル、エチル、またはプロピルのような1つ以上の低級アルキルが、直鎖のアルキニル鎖に結合させられていることを意味する。「低級アルキニル」は、直鎖である場合も、また分岐している場合もある、鎖の中の約2個から約6個の炭素原子を意味する。適切なアルキニル基の限定ではない例としては、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニル、およびデシニルが挙げられる。アルキニル基は、1つ以上の置換基によって置換されている場合もあり、上記1つ以上の置換基は、同じである場合も、また異なる場合もあり、それぞれの置換基は、アルキル、アルコキシル、アリール、アリールオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、シアノ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(シクロアルキル)、−NH(アリール)、−N(アリール)、−NH(ヘテロアリール)、−N(ヘテロアリール)、−NH(ヘテロシクリル)、N(ヘテロシクリル)、アルコキシカルボニル、ヒドロキシアルキル、カルボニル(限定ではない例(単数または複数)には、ケトンが含まれる)、−C(=O)ヘテロシクリル、カルボキサミド(すなわち、アミド、−C(=O)NH)、−C(=O)N(アルキル)、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(シクロアルキル)、−C(=O)NH(シクロアルキル)、アルキルC(=O)NH−、−NHC(=O)アルキル、ウレア(例えば、−NH(C=O)NH)、−NH(C=O)NH(アルキル)、−NH(C=O)NH(アルキル)、−NH(C=O)NH(ヘテロアリール)、−NH(C=O)NH(ヘテロシクリル)、−S(O)アルキル、および−S(O)アリールからなる群より別々に選択される。
【0052】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味する。ここでは、アルキル基は先に記載されたとおりである。適切なアルコキシ基の限定ではない例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、ヘプトキシ、およびメチルヒドロキシが挙げられる。もとの部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0053】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−C(=O)−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の限定ではない例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。もとの部分に対する結合は、カルボニルを介する。
【0054】
「アミノアルキル」は、アミン−アルキル−基を意味する。ここでは、アルキルは先に定義されたとおりである。好ましいアミノアルキルには、低級アルキルが含まれる。適切なアミノアルキル基の例としては、アミノメチルおよび2−ジメチルアミノ−2−エチルが挙げられる。もとの部分に対する結合は、アルキルを介する。
【0055】
「アミジニル」は、−C(=NR)NHR基を意味する。R基は、H、アルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、エステル、−NHSOアルキル、−NHSOアリール、−NHC(=O)NHアルキル、および−NHアルキルと定義される。もとの部分に対する結合は、炭素を介する。
【0056】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アリール−アルキル−基を意味する。ここでは、アリールおよびアルキルは先に記載されたとおりである。好ましいアラルキルには、アリール基に結合させられた低級アルキル基が含まれる。適切なアラルキル基の限定ではない例としては、ベンジル、2−フェネチル、およびナフタレンメチルが挙げられる。もとの部分に対する結合は、アルキルを介する。
【0057】
「アラルケニル」は、アリール−アルケニル−基を意味する。ここでは、アリールおよびアルケニルは、先に記載されたとおりである。好ましいアラルケニルには、低級アルケニル基が含まれる。適切なアラルケニル基の限定ではない例としては、2−フェネテニル、および2−ナフチルエテニルが挙げられる。もとの部分に対する結合は、アルケニルを介する。
【0058】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味する。ここでは、アラルキル基は先に記載されたとおりである。適切なアラルキルチオ基の限定ではない例は、ベンジルチオである。もとの部分に対する結合は、硫黄を介する。
【0059】
「アラルコキシ」は、アラルキル−O−基を意味する。ここでは、アラルキル基は、上記に記載されたとおりである。もとの部分に対する結合は酸素基を介する。
【0060】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(=O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の限定ではない例は、ベンジルオキシカルボニルである。もとの部分に対する結合はカルボニルを介する。
【0061】
「アロイル」は、アリール−C(=O)−基を意味する。ここでは、アリール基は先に記載されたとおりである。もとの部分に対する結合はカルボニルを介する。適切な基の限定ではない例としては、ベンゾイル、ならびに、1−ナフトイルおよび2−ナフトイルが挙げられる。
【0062】
「アリール」(「Ar」と省略される場合もある)は、約6個から約14個の炭素原子、好ましくは、約6個から約10個の炭素原子を含む、芳香族の単環または多環系を意味する。アリール基は、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」(同じであっても、また異なっていてもよく、本明細書中で定義されるとおりである)で置換することができる。適切なアリール基の限定ではない例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0063】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味する。ここでは、アリール基は先に記載されたとおりである。適切なアリールオキシ基の限定ではない例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。もとの部分に対する結合は、エーテル酸素を介する。
【0064】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。もとの部分に対する結合は、スルホニルを介する。
【0065】
「アリールスルフィニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。もとの部分に対する結合は、スルフィニルを介する。
【0066】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここでは、アリール基は先に記載されたとおりである。適切なアリールチオ基の限定ではない例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。もとの部分に対する結合は硫黄を介する。
【0067】
「カルボキシアルキル」は、アルキル−C(=O)O−基を意味する。もとの部分に対する結合は、カルボキシを介する。
【0068】
カルバメートおよびウレア置換基は、酸素および窒素を、それぞれアミドに隣接して有している有している基をいう;代表的なカルバメートおよびウレア置換基としては、以下が挙げられる:
【0069】
【化15】

「シクロアルキル」は、約3個から約10個の炭素原子、好ましくは、約5個から約10個の炭素原子が含まれている、非芳香族の単環または多環系を意味する。好ましいシクロアルキル環には、約5個から約7個の環原子が含まれる。シクロアルキルは、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で置換することができ、環系置換基は同じであっても、また異なっていてもよく、上記で定義されたとおりである。適切な単環シクロアルキルの限定ではない例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環シクロアルキルの限定ではない例としては、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0070】
「シクロアルケニル」は、約3個から約10個の炭素原子、好ましくは、約5個から約10個の炭素原子が含まれている、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、非芳香族の単環または多環系を意味する。好ましいシクロアルケニル環には、約5個から約7個の環原子が含まれる。シクロアルケニルは、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で置換することができ、環系置換基は同じであっても、また異なっていてもよく、上記で定義されたとおりである。適切な単環シクロアルケニルの限定ではない例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。適切な多環シクロアルケニルの限定ではない例は、ノルボルニレニルである。用語「シクロアルケニル」はさらに、シクロブテンジオン、シクロペンテノン、シクロペンテンジオンなどのような部分を意味する。
【0071】
「ハロゲン」(または、ハロ)は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素、および臭素が好ましい。
【0072】
「ハロアルキル」は、アルキル上の1つ以上の水素原子が上記で定義されたハロ基で置き換えられている、上記で定義されたようなアルキルを意味する。限定ではない例としては、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロプロピルなどが挙げられる。
【0073】
「ヘテロアリール」は、約5個から約14個の環原子、好ましくは、約5個から約10個の環原子を含み、上記環原子のうちの1つ以上が、単独で、または組み合わせて炭素以外の原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)である、芳香族の単環または多環系を意味する。好ましいヘテロアリールには、約5から約6個の環原子が含まれる。「ヘテロアリール」は、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」によって置換することができる。上記環系置換基は、同じであっても、また異なっていてもよく、本明細書中で定義されるとおりである。ヘテロアリールの名称の前につくアザ、オキサ、またはチアは、少なくとも1つの窒素、酸素、または硫黄原子がそれぞれ、環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキサイド、S−オキサイド、またはS,S−ジオキサイドになるように酸化させることができる。適切なヘテロアリールの限定ではない例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0074】
「ヘテロシクリレニル」は、約5個から約14個の環原子、好ましくは、約5個から約10個の環原子を含み、環原子のうちの1つ以上が、単独で、または組み合わせて炭素以外の原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)である、部分的に不飽和の単環または部分的に不飽和の多環系を意味する。好ましいヘテロシクレニルには、約5個から約6個の環原子と1から3個の二重結合が含まれる。好ましいヘテロシクレニルにはまた、少なくとも1つの−C=Nも環の一部として含まれる。「ヘテロシクレニル」は、必要に応じて、1つ以上の「環系置換基」で置換することができ、上記環系置換基は、同じであっても、また異なっていてもよく、上記で定義されたとおりである。ヘテロシクレニルの名称の前につくアザ、オキサ、またはチアは、少なくとも1つの窒素、酸素、または硫黄原子がそれぞれ、環原子として存在することを意味する。ヘテロシクレニルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキサイド、S−オキサイド、またはS,S−ジオキサイドになるように酸化させることができる。適切なヘテロシクレニル基の限定ではない例としては、ジヒドロイミダゾール、ジヒドロオキサゾール、ジヒドロオキサジアゾール、ジヒドロチアゾールなどが挙げられる。
【0075】
「ヘテロシクリル」(またはヘテロシクロアルキル)は、約3個から約10個の環原子、好ましくは、約5個から約10個の環原子が含まれており、環系の中の原子のうちの1つ以上が、単独で、または組み合わせて炭素以外の原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)である、非芳香族の飽和した単環または多環系を意味する。好ましいヘテロシクリルには、約5個から約6個の環原子が含まれる。ヘテロシクリルの名称の前につくアザ、オキサ、またはチアは、少なくとも1つの窒素、酸素、または硫黄原子がそれぞれ、環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリルは、必要に応じて1つ以上の「環系置換基」で置換することができ、上記環系置換基は同じであっても、また異なっていてもよく、本明細書中で定義されたとおりである。ヘテロシクリルの窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキサイド、S−オキサイド、またはS,S−ジオキサイドになるように酸化させることができる。適切な単環ヘテロシクリル環の限定ではない例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、イミダゾリジニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。約3個から約10個の環原子、好ましくは、約5個から約10個の環原子が含まれており、環系の中の原子のうちの1つ以上が、単独で、または組み合わせて炭素以外の原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄原子)であり、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合または炭素−窒素二重結合を含む環系もまた含まれる。環系の中には、隣接する酸素および/または硫黄原子は存在しない。適切な単環アザ複素環(すなわち、アザヘテロシクリル)基の限定ではない例としては、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、1,2−ジヒドロピリジニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、ジヒドロ−2−ピロリニル、ジヒドロ−3−ピロリニル、ジヒドロ−2−イミダゾリニル、ジヒドロ−2−ピラゾリニル、ジヒドロ−4,5−トリゾリルなどが挙げられる。適切なオキサ複素環(すなわち、オキサヘテロシクリル)基の限定ではない例としては、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニルなどが挙げられる。適切な多環オキサ複素環基の限定ではない例は、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニルである。適切な単環チア複素環(すなわち、チアヘテロシクリル環)の限定ではない例としては、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0076】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、ここでは、ヘテロアリールとアルキルは先に記載されたとおりである。好ましいヘテロアラルキルには、低級アルキル基が含まれる。適切なアラルキル基の限定ではない例としては、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−(3−イル)メチルが挙げられる。もとの部分に対する結合は、アルキルを介する。
【0077】
「ヘテロアラルケニル」は、ヘテロアリール−アルケニル−基を意味する。ここでは、ヘテロアリールおよびアルケニルは、先に記載されたとおりである。好ましいヘテロアラルケニルには、低級アルケニル基が含まれる。適切なヘテロアラルケニル基の限定ではない例としては2−(ピリド−3−イル)エテニルおよび2−(キノリン−3−イル)エテニルが挙げられる。もとの部分に対する結合は、アルケニルを介する。
【0078】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味する。ここでは、アルキルは、先に定義されたとおりである。好ましいヒドロキシアルキルには、低級アルキルが含まれる。適切なヒドロキシアルキル基の限定ではない例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。もとの部分に対する結合は、アルキルを介する。
【0079】
「ヒドロキサメート」は、アルキル−C(=O)NH−O−基を意味する。もとの部分に対する結合は、酸素基を介する。
【0080】
「環系置換基」は、芳香環系または非芳香環系に結合させられた置換基を意味する。例えば、これは、環系上の利用することができる水素に置き換わる。環系置換基は同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アロイル、アリールオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アラルキル、アラルケニル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アミノ、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(シクロアルキル)、−NH(アリール)、−N(アリール)、−NH(ヘテロアリール)、−N(ヘテロアリール)、−NH(ヘテロシクリル)、N(ヘテロシクリル)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシル、カルボキシアルキル(限定ではない例(単数または複数)には、エステルが含まれる)、シアノ、アルコキシカルボニル、ヒドロキシアルキル、カルボニル(限定ではない例(単数または複数)には、ケトンが含まれる)、−C(=O)ヘテロシクリル、ホルミル(限定ではない例(単数または複数)には、アルデヒドが含まれる)、カルボキサミド(すなわち、アミド、−C(=O)NH)、−C(=O)N(アルキル)、−C(=O)NH(アルキル)、−C(=O)N(シクロアルキル)、−C(=O)NH(シクロアルキル)、アルキルC(=O)NH−、−アミジノ、ヒドラジド、ヒドロキサメート、−NHC(=O)H、−NHC(=O)アルキル、ウレア(例えば、−NH(C=O)NH)、−NH(C=O)NH(アルキル)、−NH(C=O)NH(アルキル)、−NH(C=O)NH(ヘテロアリール)、−NH(C=O)NH(ヘテロシクリル)、グアニジニル、−NHC(=NCN)NH、−NHC(=NCN)N(アルキル)、カルバモイル(すなわち、−CONH)、−NHC(=O)Oアルキル、−CON(アルキル)、−NHC(=O)NH−S(O)アルキル、−NHC(=O)N(アルキル)−S(O)アルキル、−NH−S(O)アルキル、−NH−S(O)ヘテロアリール、−N(アルキル)−S(O)アルキル、−NH−S(O)アリール、−N(アルキル)−S(O)アリール、−NH−S(O)NH、−NH−S(O)NHアルキル、−NH−S(O)N(アルキル)、チオ、アルキルチオカルボキシ、−S(O)アルキル、−S(O)アリール、−OS(O)アルキル、−OS(O)アリール、スルホニルウレア(限定ではない例(単数または複数)には、−NHC(=S)NHアルキルが含まれる)、およびOSi(アルキル)からなる群より別々に選択される。
【0081】
「スピロアルキル」は、アルキル基の2つの炭素原子がもとの分子基の1つの炭素原子に対して結合させられており、それによって、3個から11個の原子の炭素環または複素環を形成する、アルキレン基を意味する。例示的な構造としては、以下のような例が挙げられる:
【0082】
【化16】

本発明のスピロアルキル基は、必要に応じて、1つ以上の環系置換基によって置換することができ、ここでは、「環系置換基」は上記で定義されたとおりである。
【0083】
「環系置換基」はまた、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル環上の2つの環水素原子を同時に置換することによって、上記アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル環に結合させられた、そのうちの1個または2個のヘテロ原子が含まれていてもよい、3個から7個の環原子の環をも意味する。限定ではない例としては、以下が挙げられる:
【0084】
【化17】

など。
【0085】
用語「必要に応じて置換された」は、利用することができる位置(単数または複数)での特定の基、ラジカル、または部分での随意の置換を意味する。
【0086】
化合物の中の部分(限定ではない例(単数または複数)としては、置換基、基、または環が挙げられる)の数について言及される場合には、他に明確に定義されていない限りは、表現「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、化学的に許容される限りの多くの部分であり得ることを意味し、そしてそのような部分の最大数の決定は、十分に当業者の知識の範囲内である。好ましくは、1個から3個の置換基、またはより好ましくは、1個から2個の置換基が存在し、その少なくとも1つがパラ位に存在する。
【0087】
本明細書中で使用される場合は、用語「組成物」は、特定の量で特定の成分が含まれている生成物、ならびに、特定の量の特定の成分の組み合わせによって直接または間接的に生じる任意の生成物を含むように意図される。
【0088】
結合としての直線−は、一般的には、可能性のある異性体の混合物、またはそれらのいずれかを示し、限定ではない例(単数または複数)としては、(R)−および(S)−の立体化学が含まれる。例えば、
【0089】
【化18】

は、次の両方を含むことを意味する。
【0090】
【化19】

点線(−−−−−)は、任意の結合を示す。
【0091】
環系の中に引き込まれる線、例えば、:
【0092】
【化20】

は、示された線(結合)を、置換することができる環原子(限定ではない例として、炭素、窒素、および硫黄環原子が挙げられる)のいずれかに対して結合させることができることを示す。
【0093】
当該分野で周知であるように、結合の最終的な末端部分が示されていない特定の原子から引かれた結合は、他に明記されない限りは、原子に対してその結合を介して結合したメチル基を示す。例えば、:
【0094】
【化21】

は、次を示す。
【0095】
【化22】

本明細書中の文章、スキーム、実施例、構造式、および任意の表において、満たされていない価数を有している任意のヘテロ原子が、価数を満たすための水素原子(単数または複数)を有していると推測されることにもまた留意されるべきである。
【0096】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で意図される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用される場合は、被験体に投与されると、代謝プロセスまたは化学的プロセスによって化学変換を受けて、式1の化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる薬物前駆体である化合物を示す。プロドラッグについての議論は、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987),A.C.S.Symposium Seriesの第14巻、およびBioreversible Carriers in Drug Design,(1987)Edward B.Roche,編,American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressに提供されている。これらはいずれも、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
【0097】
式1の化合物への可逆的変換を受けることができる「代謝性結合体(metabolic conjugates)」(例えば、グルクロニドおよび硫酸塩)が、本出願において意図される。
【0098】
「有効量」または「治療有効量」は、適切な患者においてCXCR3に拮抗し、それにより所望される治療効果を生じるために有効な、本発明の化合物はまた組成物の量を記載するように意味される。
【0099】
「炎症性疾患」は、局所的または全身的な急性または慢性の炎症を特徴とする。「免疫疾患」は免疫系の過剰反応または低反応(hypo−reation)を特徴とする。炎症性疾患または免疫疾患の例としては、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、若年性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、脈管炎、慢性心不全、脳血管虚血、脳炎、髄膜炎、肝炎、腎炎、敗血症、サルコイドーシス、乾癬、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、I型糖尿病、喘息、結膜炎、眼の炎症、耳炎、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎、皮膚炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット症候群、肺線維症、子宮内膜症、痛風、ガン、悪液質、ウイルス感染、細菌感染、臓器移植の状態、皮膚移植の状態、および移植片対宿主病が挙げられる。
【0100】
「哺乳動物」は、ヒトと、他の哺乳動物を意味する。
【0101】
「患者」には、ヒトと動物の両方が含まれる。
【0102】
「溶媒和物」は、本発明の化合物の、1つ以上の溶媒分子との物理的な会合を意味する。この物理的会合には、様々な程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)が含まれる。特定の例においては、溶媒和物は単離することができ、例えば、1つ以上の溶媒分子が、結晶固体の結晶格子の中に取り込まれている場合である。「溶媒和物」には、溶液相の溶媒和物と、単離することができる溶媒和物の両方が含まれる。適切な溶媒和物の限定ではない例としては、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。一般的には、溶媒和させられた形態は溶媒和されていない形態と同等であり、本発明の範囲に含まれると意図される。
【0103】
式1の化合物は塩を形成し、これもまた本発明の範囲に含まれる。本明細書中の式1の化合物との言及は、他に明記されていない限りは、その塩についての言及も含むと理解される。
【0104】
用語「塩(単数または複数)」は、本明細書中で使用される場合は、無機酸および/または有機酸により形成された酸性塩、ならびに、無機塩基および/または有機塩基により形成された塩基性塩を記載する。加えて、式1の化合物に、塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾールであるがこれらに限定されない)と酸性部分(例えば、カルボン酸であるがこれに限定されない)の両方が含まれる場合は、両性イオン(「内塩」)が形成される場合があり、これは、本明細書中で使用される場合には、用語「塩(単数または複数)」に含まれる。薬学的に許容される塩(限定ではない例(単数または複数)としては、非毒性の生理学的に許容される塩が挙げられる)が好ましいが、他の塩もまた有用である。式1の化合物の塩は、例えば、式1の化合物を、ある量(例えば、等量)の酸または塩基と、媒体(例えば、その中で塩が沈殿するもの)の中または水性媒体の中で反応させ、その後、凍結乾燥させることによって、形成させることができる。塩基性(または酸性)の薬学的化合物からの薬学的に有用な塩の形成に適していると一般的に考えられる酸(または塩基)は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics (1986)33 201−217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;The Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.,彼らのウェブサイト上);および、P.Heinrich Stahl,Camille G.Wermuth(編),Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,(2002)Int’l.Union of Pure and Applied Chemistry,pp.330−331によって議論されている。これらの開示は、それらの引用により本明細書中に組み入れられる。
【0105】
例示的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩(camphorsulfonates)、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩(例えば、本明細書中に記載されるもの)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシラートとしても知られている)、ウンデカン酸塩などが挙げられる。
【0106】
例示的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩、およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、アルミニウム塩、亜鉛塩、有機塩基(例えば、有機アミン)の塩(例えば、ベンザチン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンにより形成されたもの)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド、t−ブチルアミン、ピペラジン、フェニルシクロヘキシルアミン、コリン、トロメタミン、ならびにアミノ酸(例えば、アルギニン、リジンなど)との塩が挙げられる。塩基性の窒素を含む基は、低級ハロゲン化アルキル(限定ではない例(単数または複数)として、メチル、エチル、プロピル、およびブチルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物が挙げられる)、硫酸ジアルキル(限定ではない例(単数または複数)として、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、および硫酸ジアミルが挙げられる)、長鎖ハロゲン化物(限定ではない例(単数または複数)として、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物、およびヨウ化物が挙げられる)、ハロゲン化アラルキル(限定ではない例として、臭化ベンジルおよび臭化フェネチルが挙げられる)などのような薬剤で四級化(quarternized)させられる場合がある。
【0107】
全てのそのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内の薬学的に許容される塩であると意図され、全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的については、対応する化合物の遊離の形態と等価であると考えられる。
【0108】
本発明の化合物の薬学的に許容されるエステルには、以下のグループが含まれる:(1)ヒドロキシル基のエステル化によって得られるカルボン酸エステル(ここでは、エステル基のカルボン酸部分の非カルボニル部分は、直鎖のアルキルまたは分岐した鎖のアルキル(例えば、アセチル、n−プロピル、t−ブチル、またはn−ブチル)、アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチル)、アラルキル(例えば、ベンジル)、アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチル)、アリール(例えば、必要に応じて例えば、ハロゲン、C1−4アルキル、もしくはC1−4アルコキシ、またはアミノで置換されたフェニル)から選択される);(2)スルホン酸エステル、例えば、アルキルスルホニルまたはアラルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル);(3)アミノ酸エステル(例えば、L−バリルまたはL−イソロイシル);(4)リン酸エステル、ならびに、(5)モノ−、ジ−、またはトリ−リン酸エステル。リン酸エステルは、さらに、例えば、C1−20アルコールまたはその反応性誘導体によって、あるいは、2,3−ジ(C6−24)アシルグリセロールによってエステル化される場合がある。
【0109】
式1の化合物、ならびに、その塩、溶媒和物、エステル、およびプロドラッグは、それらの互変異性体形態で(例えば、アミドまたはイミノエーテルとして)存在する場合もある。そのような互変異性体形態は全て、本発明の一部として本明細書中で意図される。
【0110】
本発明の化合物(上記化合物の塩、溶媒和物、エステル、およびプロドラッグ、さらには、プロドラッグの塩、溶媒和物、およびエステルを含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、様々な置換基上の非対称炭素が原因で存在し得るもの、鏡像異性体形態(非対称炭素が存在しない場合にもなお存在する場合がある)、回転異性体形態、アトロプ異性体、およびジアステレオマー形態を含む)は、本発明の範囲内にあると考えられる。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含まない場合も、あるいは、例えば、ラセミ体として混合されている場合も、また、全ての他の立体異性体もしくは他の選択された立体異性体と混合されている場合もある。本発明のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義されるように、SまたはR立体配置を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ラセミ体、またはプロドラッグの、塩、溶媒和物、エステル、およびプロドラッグに対しても同様に適用されることが意図される。
【0111】
明細書および本明細書に添付された特許請求の範囲の全体を通じて、結合が明確に示されていない限りは、満たされていない価数を有している任意の式、化合物、部分、または化学的な説明図が、価数を満たすための水素原子を有していると推測されることにもまた留意されるべきである。
【0112】
1つの実施形態においては、式1において、Zは、NまたはNOである(すなわち、N−オキサイド)。
【0113】
別の実施形態においては、式1において、Gは、−C≡Nである。
【0114】
別の実施形態においては、式1において、Gは、以下である:
【0115】
【化23】

別の実施形態においては、Gは、以下であり:
【0116】
【化24】

式中、Xは、NまたはOである。
【0117】
別の実施形態においては、Gは、以下であり:
【0118】
【化25】

式中、RおよびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、およびシクロアルキルからなる群より別々に選択される。
【0119】
別の実施形態においては、Gは、以下であり:
【0120】
【化26】

式中、RおよびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、−CH、−CHCH、−CHCHOH、およびシクロプロピルからなる群より別々に選択される。
【0121】
別の実施形態においては、式1において、Rは、H、アルキル、アルコキシ、ハロ、およびハロアルキルからなる群より選択される。
【0122】
別の実施形態においては、式1において、Rは、−H、−CH、OCH、−Cl、および−CFからなる群より選択される。
【0123】
別の実施形態においては、式1において、Rは、H、アルキル、−OR30、−N(R30、およびハロゲンからなる群より選択される。
【0124】
別の実施形態においては、式1において、Rは、H、CH、OH、NH、およびFである。
【0125】
別の実施形態においては、式1において、RはHである。
【0126】
別の実施形態においては、式1において、Rは、H、アルキル、−OR30、−N(R30、およびハロゲンからなる群より選択される。
【0127】
別の実施形態においては、式1において、Rは、H、CH、OH、NH、およびFからなる群より選択される。
【0128】
別の実施形態においては、式1において、Rは、Hおよびアルキルからなる群より選択される。
【0129】
別の実施形態においては、式1において、Rは、−Hおよび−CHからなる群より選択される。
【0130】
別の実施形態においては、式1において、Gは以下であり:
【0131】
【化27】

式中、RおよびRはいずれもHであるか、またはRおよびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである。
【0132】
別の実施形態においては、式1において、R10は、アルキル、ヒドロキシル、およびアルコキシからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR10部分が一緒に、=Oを形成し、そしてmは1から2である。
【0133】
別の実施形態においては、式1において、R10はアルキルであり、そしてmは1から2である。
【0134】
別の実施形態においては、式1において、mは1から2であり、そしてR10は、−CHおよび−CHCHからなる群より選択される。
【0135】
別の実施形態においては、式1において、R11は、H、アルキル、アルコキシ、およびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2つのR11部分が一緒に=Oを形成する;そして、nは1から2である。
【0136】
別の実施形態においては、式1において、R11はHであり、そしてnは1である。
【0137】
別の実施形態においては、式1において、R12は、H、アルキル、およびハロアルキルからなる群より選択される。
【0138】
別の実施形態においては、式1において、R12は、H、CH、またはCFである。
【0139】
別の実施形態においては、式1において、R12はHである。
【0140】
別の実施形態においては、式1において、Yは、−(CHR13−および−C(=O)−からなる群より選択される。
【0141】
別の実施形態においては、式1において、Yは、−CH−および−C(=O)−からなる群より選択される。
【0142】
別の実施形態においては、式1において、Dは、ハロゲン、−OR30、アルキル、−N(R30、ハロアルキル、シアノ、−SO(R31)、−SON(R30、およびハロアルコキシからなる群より別々に選択される1から2個のR20部分で必要に応じて置換された、5員から9員のアリールである。
【0143】
別の実施形態においては、式1において、Dは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロアルキル、シアノ、スルホニルアルキル、スルホニルアミノ、およびハロアルコキシからなる群より別々に選択される1から2個のR20部分で必要に応じて置換された、5員から9員のアリールである。
【0144】
別の実施形態においては、式1において、Dは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群より別々に選択される1から2個のR20部分で必要に応じて置換された5員から9員のアリールである。
【0145】
別の実施形態においては、式1において、Dは、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロアルキル、シアノ、スルホニルアルキル、スルホニルアミノ、およびハロアルコキシからなる群より別々に選択される1から2個のR20部分で必要に応じて置換された5員から9員のアリールである。
【0146】
別の実施形態においては、式1において、Dは、アルキル、アルコキシ、−Cl、−F、およびトリフルオロメトキシからなる群より別々に選択される1から2個の部分で置換されたフェニルである。
【0147】
別の実施形態においては、式1において、
Zは、NまたはNOである;
Gは、以下である;
【0148】
【化28】

Xは、NまたはOである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、アルキル、アリール、およびシクロアルキルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、XがNである場合には、NはRおよびRと一緒に、シクロアルキルまたはヘテロシクリルを形成する;
oアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヒドロキシアルキル、トリフルオロメトキシ、−(CHOR31、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−アルキニルC(R31OR31、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−N(R30、−N(R30)C(=O)R31、−NHC(=O)N(R30、−N(R30)C(=O)OR31、−N(R30)SO(R31)、−N(R30)S(O)N(R30、−OR30、−OC(=O)N(R30、−SON(R30、および−SO(R31)、あるいは、代わりに、2つのR20部分は互いに連結されて、5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環を形成し、ここでは、上記5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環は、R、R、およびRが、−H、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、CF、アルキル、ハロゲン、またはヒドロキシルからなる群より別々に選択される;
およびRは、Hおよびアルキルからなる群より別々に選択されるか、または、RおよびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10およびR11は、H、アルキル、−N(R30、ハロゲン、またはヒドロキシルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、同じ炭素原子上の2つのR10またはR11部分は、一緒に、=Oを形成する;
12は、H、アルキル、ハロアルキル、およびCFからなる群より選択される;
Yは、−(CR1313)−、−CHR13C(=O)−、−(CHR13)O−、−(CHR13)N(R30)−、−C(=O)−、CH−ヘテロアリール−、−(CHR13)C(=O)−、および−(CHR13N(H)C(=O)−からなる群より選択される。
【0149】
13部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、スピロアルキル、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−(CHR30OR31、−(CHR30NHR31、および−(CHC(=O)NHR31からなる群より別々に選択される;
30およびR31部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群より別々に選択される;
Dは、3員から9員のシクロアルキル、3員から9員のシクロアルケニル;または、N、O、SまたはSOから別々に選択される0から4個のヘテロ原子を有している5員から8員のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、もしくはヘテロシクリル環である。ここでは、環Dは、非置換であるか、または必要に応じて、1から5個の別々に選択されるR20部分で置換される;
20部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アルキニル、−アルキルアミノ、−アルキルチオカルボキシ、アルキルヘテロアリール、アルキルチオ、アルキルスルフィニル−、−C(=O)−O−アルキル、アミジニル、アラルキル、アラルケニル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アラルキルチオ、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、グアニジニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキサメート、ニトロ、トリフルオロメトキシ、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−アルキニルC(R31OR31、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−C(=NR30)NHR30、−C(=NOH)N(R30、−C(=NOR31)N(R30、−C(=O)OR30、−N(R30、−N(R30)C(=O)R31、−NHC(=O)N(R30、−N(R30)C(=O)OR31、−N(R30)C(=NCN)N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30)SO(R31)、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−N(R30)S(O)N(R30、−OR30、−OC(=O)N(R30、−SR30、−SON(R30、−SO(R31)、−OSO(R31)、および−OSi(R30からなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、2つのR20部分が互いに連結させられて、5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環を形成し、ここでは、上記5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環は、環Dに対して縮合させられ、そして縮合環は、0から4個のR21部分で必要に応じて置換される;そして、
mおよびnは、別々に、1から4までの整数である。
【0150】
別の実施形態においては、式1において、
Zは、Nである;
Gは、以下である:
【0151】
【化29】

Xは、Nである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、アルキル、およびシクロアルキルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、XがNである場合には、NはRおよびRと一緒に、シクロアルキルまたはヘテロシクリルを形成する;
、R、およびRは、−H、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、CF、ハロゲン、およびヒドロキシルからなる群より別々に選択される;
およびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10、R11は、H、アルキル、−N(R30、ハロゲン、またはヒドロキシルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、ここでは、同じ炭素原子上の2つのR10またはR11部分が一緒に、=Oを形成する;
12は、H、アルキル、ハロアルキル、およびCFからなる群より選択される;
Yは、−(CR1313)−、−CHR13C(=O)−、または−C(=O)−からなる群より選択される;
13部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、またはスピロアルキルからなる群より別々に選択される;
30およびR31部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群より別々に選択される;
Dは、フェニル、あるいは、N、O、S、もしくはSOから別々に選択される0から4個のヘテロ原子を有している5員から8員のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、またはヘテロシクリル環であり、ここでは、環Dは、非置換であるか、または必要に応じて、1から5個の別々に選択されるR20部分で置換される;
20部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アルキニル、−アルキルアミノ、−アルキルチオカルボキシ、アルキルヘテロアリール、アルキルチオ、アルキルスルフィニル−、−C(=O)−O−アルキル、アミジニル、アラルキル、アラルケニル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アラルキルチオ、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、グアニジニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキサメート、ニトロ、トリフルオロメトキシ、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−アルキニルC(R31OR31、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−C(=NR30)NHR30、−C(=NOH)N(R30、−C(=NOR31)N(R30、−C(=O)OR30、−N(R30、−N(R30)C(=O)R31、−NHC(=O)N(R30、−N(R30)C(=O)OR31、−N(R30)C(=NCN)N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30)SO(R31)、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−N(R30)S(O)N(R30、−OR30、−OC(=O)N(R30、−SR30、−SON(R30、−SO(R31)、−OSO(R31)、および−OSi(R30からなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、2つのR20部分が互いに連結させられて、5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環を形成し、ここでは、上記5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環は、環Dに対して縮合させられ、そして縮合環は、0から4個のR21部分で必要に応じて置換される;そして、
mおよびnは、別々に、1から4までの整数である。
【0152】
別の実施形態においては、式1において、
Zは、Nである;
Gは、以下である:
【0153】
【化30】

Xは、Nである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、アルキル、およびシクロアルキルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、XがNである場合には、Nは、RおよびRと一緒に、シクロアルキルまたはヘテロシクリルを形成する;
、R、およびRは、−H、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、CF、ハロゲン、およびヒドロキシルからなる群より別々に選択される;
およびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10、R11は、H、アルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロゲン、またはヒドロキシルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、同じ炭素原子上の2つのR10またはR11部分が一緒に、=Oを形成する;
12は、H、アルキル、ハロアルキル、およびCFからなる群より選択される;
Yは、−(CR1313)−、−CHR13C(=O)−、または−C(=O)−からなる群より選択される;
13部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルからなる群より別々に選択される。
【0154】
Dは、フェニル、あるいは、N、O、S、もしくはSOから別々に選択される0から4個のヘテロ原子を有している5員から8員のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、またはヘテロシクリル環であり、ここでは、環Dは、非置換であるか、または必要に応じて、1から5個の別々に選択されるR20部分で置換される;
20部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボキシアルキル、アミノスルホニルアルキル、カルボキシルアミノアルキル、アセチル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヘテロシクリル、ヒドロキシアルキル、スルホニルメチル、スルホニルアミノ、トリフルオロメトキシからなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、2つのR20部分が互いに連結させられて、5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環を形成する;そして、
mおよびnは、別々に、1から4までの整数である。
【0155】
別の実施形態においては、式1において、
Zは、Nである;
Gは、以下である:
【0156】
【化31】

Xは、NまたはOである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、−CH、−CHCH、シクロプロピル、およびアルキルからなる群より別々に選択される;
、R、Rは、H、−CH、−F、−Cl、−OH、−OCH、−OCF、NH、SOCH、および−CFからなる群より別々に選択される;
およびRは、いずれもHであるか、または、RおよびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10は、−CH、−CHCH、およびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR10部分が一緒に=Oを形成し、そして、mは1から2である;
11は、Hおよびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、あるいは、同じ炭素原子上にある2つのR11部分が一緒に=Oを形成し、そしてnは1である;
12は、HおよびCFからなる群より選択される;
Yは、−CH−および−C(=O)−からなる群より選択される;そして、
Dは、フェニル、または、N、O、S、もしくはSOから別々に選択される0から2個のヘテロ原子を有している6員のヘテロアリールであり、ここでは、環Dは、−Cl、−CH、−C(=O)CH、−C(=O)NH、−F、−OH、OCH、OCF、NH、NH(CH、NHSOCH、SOCH、SONH、およびトリフルオロメチルからなる群より別々に選択される1から2個の部分で置換される。
【0157】
別の実施形態においては、式1において、
Zは、Nである;
Gは、以下である:
【0158】
【化32】

Xは、NまたはOである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、−CH、−CHCH、シクロプロピル、およびアルキルからなる群より別々に選択される;
、R、Rは、H、−CH、−F、−Cl、−OH、−OCH、−OCF、NH、SOCH、および−CFからなる群より別々に選択される;
およびRは、いずれもHであるか、または、RおよびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10は、−CH、−CHCH、およびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR10部分が一緒に=Oを形成し、そしてmは1から2である;
11は、Hおよびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR11部分が一緒に=Oを形成し、そしてnは1である;
12は、HおよびCFからなる群より選択される;
Yは、−CH−および−C(=O)−からなる群より選択される;そして、
Dは、フェニル、または、N、O、S、もしくはSOから別々に選択される0から2個のヘテロ原子を有している6員のヘテロアリールであり、ここでは、環Dは、−Cl、−CH、−C(=O)CH、−C(=O)NH、−F、−OH、OCH、OCF、NH、NH(CH、NHSOCH、SOCH、SONH、およびトリフルオロメチルからなる群より別々に選択される1から2個の部分で置換される。
【0159】
別の実施形態においては、式1においては:
Zは、NまたはNOである;
Gは、−C≡Nまたは以下である:
【0160】
【化33】

Xは、NまたはOである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、−CH、−CHCH、シクロプロピル、およびアルキルからなる群より別々に選択される;
、R、Rは、H、−CH、−F、−Cl、−OH、−OCH、−OCF、SOCH、および−CFからなる群より別々に選択される;
およびRは、いずれもHであるか、または、RおよびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に=Oである;
10は、−CH、−CHCH、およびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR10部分が一緒に=Oを形成し、そして、mは1から2である;
11は、Hおよびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR11部分が一緒に=Oを形成し、そしてnは1である;
12は、HおよびCFからなる群より選択される;
Yは、−CH−および−C(=O)−からなる群より選択される;そして、
Dは、フェニル、または、N、O、S、もしくはSOから別々に選択される0から2個のヘテロ原子を有している6員のヘテロアリールであり、ここでは、環Dは、−Cl、−CH、−F、−OH、NH、SOCH、およびトリフルオロメトキシからなる群より別々に選択される1から2個の部分で置換される。
【0161】
別の実施形態においては、式1の化合物は、光学的に純粋な形態である。
【0162】
別の実施形態においては、式1の化合物は:
【0163】
【化34】

、またはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物からなる群より選択される。
【0164】
なお別の態様においては、式1の化合物は、精製された形態であり得る。
【0165】
別の実施形態においては、式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と組み合わせて含まれている薬学的組成物には、さらに、CXCR3ケモカイン受容体によって媒介される疾患を処置するための、少なくとも1つの追加の薬剤、薬物、医薬品、抗体、および/または阻害剤が含まれる。
【0166】
併用療法をそのような投与が必要な患者に投与する場合には、併用される治療薬、または治療薬が含まれている薬学的組成物(単数または複数)は、任意の順序で(例えば、連続して、同時に、一緒に、一斉になど)投与され得る。そのような併用療法における様々な活性物質(actives)の量は、異なる量(異なる投与量)である場合も、また同じ量(同じ投与量)である場合もある。このように、限定ではない例示の目的のために、式IIIの化合物と追加の治療薬が、単一の投薬単位(例えば、カプセル剤、錠剤など)の中に定量(投与量)で提示され得る。定量の2種類の活性のある化合物が含まれているそのような単一の投薬単位の市販されている例は、VYTORIN(登録商標)(Merck Schering−Plough Pharmaceuticals,Kenilworth,New Jerseyから入手することができる)である。
【0167】
なお別の実施形態においては、本発明により、本発明の複素環で置換された式1のピペラジン化合物が有効成分として含まれている薬学的組成物を調製するための方法が開示される。本発明の薬学的組成物および方法においては、有効成分は、通常、意図される投与形態(すなわち、経口用の錠剤、カプセル剤(固体が充填されたもの、半固体が充填されたもの、または液体が充填されたもののいずれか)、構成用の粉末剤、経口用ゲル剤、エリキシル剤、分散させることができる顆粒剤、シロップ剤、懸濁液など)に関して適切に選択された、従来の薬務と矛盾しない適切な担体材料と混合されて、投与されるであろう。例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与のためには、活性のある薬物成分は、任意の経口用の非毒性の薬学的に許容される不活性な担体(例えば、ラクトース、デンプン、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸ニカルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコール(液体形態)など)と組み合わせられる場合がある。さらに、所望されるか、または必要である場合には、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤もまた、混合物の中に取り込ませることができる。粉末剤および錠剤は、その約5%から約95%の本発明の組成物から構成され得る。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然の糖、コーンシロップ、天然および合成のゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール)、およびワックスが挙げられる。これらの投薬形態において使用されると記載され得る滑沢剤としては、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、グアーガムなどが挙げられる。甘味剤および香料および保存剤もまた、適切である場合には含めることができる。上記用語のうちのいくつか、すなわち、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、結合剤などは、以下でさらに詳細に議論される。
【0168】
加えて、本発明の組成物は、治療効果(すなわち、炎症を抑える活性など)を最適にするために、任意の1つ以上の成分または有効成分の速度制御された放出がもたらされるように、徐放形態で処方される場合がある。徐放のための適切な投薬形態としては、様々な崩壊速度または制御されて放出されるポリマーマトリックスの層に有効成分が浸透させられた層状の錠剤、およびそのように浸透させられたかまたはカプセル化された多孔性のポリマーマトリックスが含まれている錠剤の形態またはカプセル剤に成型されたものが含まれる。
【0169】
液体形態の調製物としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。一例としては、非経口の注射のためには水または水−プロピレングリコール溶液が記載され得、あるいは、経口用の溶液、懸濁液、およびエマルジョンについては、甘味剤および鎮静剤(pacifiers)の添加が記載され得る。液体形態の調製物にはまた、鼻腔内投与のための溶液も含まれ得る。
【0170】
吸入に適しているエアゾール調製物としては、溶液、および粉末剤の形態の固体が挙げられ得る。粉末剤の形態の固体は、不活性な圧縮ガス(例えば、窒素)のような薬学的に許容される担体と組み合わせられ得る。
【0171】
坐剤を調製するためには、低融点ワックス(例えば、脂肪酸グリセリド(例えば、ココアバター)の混合物)が最初に融解し、そして有効成分が、攪拌または同様の混合によって、その中に均質に分散させられる。その後、融解した均質な混合物は、通常の大きさの型に注がれ、冷却され、それにより固化させられる。
【0172】
使用の直前に、経口投与用、または非経口投与用のいずれかの液体形態の調製物に変換させられることが意図される固体形態の調製物もまた含まれる。そのような液体形態としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。
【0173】
本発明の化合物はまた、経皮投与できるものである場合もある。経皮用の組成物は、クリーム剤、ローション剤、エアゾール、および/またはエマルジョンの形態とすることができ、経皮用の組成物は、この目的について当該分野で一般的であるように、マトリックスの経皮パッチの中に、またはレザーバーのタイプの中に含めることができる。
【0174】
化合物が経口投与されることが好ましい。
【0175】
薬学的調製物が単位投薬形態であることが好ましい。そのような形態においては、調製物は、適切な量の有効成分(例えば、所望される目的を達成するための有効量)が含まれている適切な大きさの単位用量に分けられる。
【0176】
単位用量の調製物の中の本発明の活性のある組成物の量は、一般的には、特定の用途に応じて、約1.0ミリグラムから約1,000ミリグラムまで、好ましくは、約1.0から約950ミリグラム、より好ましくは、約1.0から約500ミリグラム、通常は、約1から約250ミリグラムまでで変化させられ得るか、または調整され得る。使用される実際の投与量は、患者の年齢、性別、体重、および処置される症状の重篤度に応じて様々であり得る。そのような技術は、当業者に周知である。
【0177】
一般的には、有効成分が含まれているヒトへの経口投薬形態は、1日に1回または2回投与することができる。投与量と頻度は、かかりつけの医師の判断にしたがって調整されるであろう。一般的に推奨される一日の投与レジュメは、経口投与については、一用量で、または分割用量で、1日あたり約1.0ミリグラムから約1,000ミリグラムまでの範囲であり得る。
【0178】
いくつかの有用な用語が以下に記載される:
カプセルは、有効成分が含まれている組成物を保持するまたは含めるための、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、または変性させられたゼラチンもしくはデンプン製の特別な容器または包囲物をいう。堅い殻のカプセルは、通常、比較的高いゲル強度の骨とブタの皮膚のゼラチンの混合物からなる。カプセル自体には、少量の色素、不透明化剤、可塑剤、および保存剤が含まれる場合がある。
【0179】
錠剤は、適切な希釈剤とともに有効成分が含まれている、圧縮させられたかまたは成型された固体の投薬形態をいう。錠剤は、湿った顆粒、乾燥した顆粒から得られる混合物または顆粒(複数)の圧縮によって、あるいは圧密(compaction)によって調製することができる。
【0180】
経口用のゲル剤は、親水性の半固体のマトリックスの中に分散させられたかまたは可溶化させられた有効成分をいう。
【0181】
構成用の粉末剤は、水または果汁の中に懸濁させることができる有効成分と適切な希釈剤が含まれている、粉末混合物をいう。
【0182】
希釈剤は、通常は、組成物または投薬形態の主要な部分を構成する物質をいう。適切な希釈剤としては、糖(例えば、乳糖、スクロース、マンニトール、およびソルビトール);小麦、トウモロコシ、コメ、およびジャガイモに由来するデンプン;ならびに、セルロース(例えば、微結晶性セルロース)が挙げられる。組成物中の希釈剤の量は、全組成物のうちの約10重量%から約90重量%、好ましくは、約25重量%から約75重量%、より好ましくは、約30重量%から約60重量%、なおさらに好ましくは、約12重量%から約60重量%までの範囲であり得る。
【0183】
崩壊剤は、それがばらばらになり(崩壊し)、医薬品を放出することを助けるために、組成物に対して加えられる物質をいう。適切な崩壊剤としては、デンプン;「冷水に可溶な」改良されたデンプン(例えば、カルボキシメチルデンプンナトリウム);天然のおよび合成のゴム(例えば、ローカストビーンゴム、カラヤゴム、グアーガム、トラガカントガム、および寒天);セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム);微結晶性セルロース、および架橋された微結晶性セルロース(例えば、クロスカルメロースナトリウム);アルギン酸塩(例えば、アルギン酸およびアルギン酸ナトリウム);クレイ(例えば、ベントナイト);ならびに、発泡性の混合物が挙げられる。組成物中の崩壊剤の量は、組成物の約2重量%から15重量%まで、より好ましくは、約4重量%から約10重量%までの範囲であり得る。
【0184】
結合剤は、粉末を互いに結合させるかまたは「接着させ」て、顆粒を形成させることによってそれらを密着させ、したがって、処方物の中で「接着剤」としての役割を果たす物質をいう。結合剤は、希釈剤または増量剤においてすでに利用することができる結合強度を付与する。適切な結合剤としては、糖(例えば、スクロース);小麦、トウモロコシ、コメ、およびジャガイモに由来するデンプン;天然ゴム(例えば、アカシア、ゼラチン、およびトラガカント);海草誘導体(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびアルギン酸カルシウムアンモニウム);セルロース系材料(例えば、メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース);ポリビニルピロリドン;ならびに、無機物(例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム)が挙げられる。組成物中の結合剤の量は、組成物のうちの約2重量%から約20重量%、より好ましくは、約3重量%から約10重量%、なおさらに好ましくは、約3重量%から約6重量%までの範囲であり得る。
【0185】
滑沢剤は、圧縮された後に鋳型またはダイから錠剤、顆粒剤などが摩擦または磨耗を低減させて放出されるように、投薬形態に加えられる物質をいう。適切な滑沢剤としては、金属のステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはステアリン酸カリウム);ステアリン酸;高融点ワックス;および水溶性滑沢剤(例えば、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、d’l−ロイシン)が挙げられる。滑沢剤は、通常、圧縮前の最後の工程で添加される。なぜなら、これらは、顆粒の表面上に、そしてそれらと錠剤のプレス部分との間に存在しなければならないからである。組成物中の滑沢剤の量は、組成物のうちの約0.2重量%から約5重量%、好ましくは、約0.5重量%から約2重量%、より好ましくは、約0.3重量%から約1.5重量%までの範囲であり得る。
【0186】
グリデント(glident)は、流動がスムーズであり、均一であるように、固化を防ぎ、顆粒の流動特性を改善する物質である。適切なグリデントとしては、二酸化ケイ素およびタルクが挙げられる。組成物中のグリデントの量は、組成物全体の約0.1重量%から約5重量%、好ましくは、約0.5重量%から約2重量%までの範囲であり得る。
【0187】
着色剤は、組成物または投薬形態に対して着色を提供する賦形剤である。そのような賦形剤としては、食品用の色素、および適切な吸着剤(例えば、クレイまたは酸化アルミニウム)上に吸着させられた食品用の色素を挙げることができる。着色剤の量は、組成物のうちの約0.1重量%から約5重量%、好ましくは、約0.1重量%から約1重量%までの範囲で変化し得る。
【0188】
生体利用性は、活性のある薬物成分または治療部分が、標準物または対照と比較して、投与された投薬形態から全身循環の中に吸収される速度および程度をいう。錠剤を調製するための従来の方法は公知である。そのような方法としては、乾式法(例えば、直接的な圧縮、および圧縮によって生産された顆粒の圧縮)、または湿式法、または他の特殊な手順が挙げられる。投与のための他の形態(例えば、カプセル剤、坐剤など)を作成するための従来の方法もまた、周知である。
【0189】
本開示(材料に対するものと方法に対するものの両方)に対する多くの改変、変更、および代替が実施され得ることは、当業者に明らかであろう。そのような改変、変更、および代替が、本発明の趣旨および範囲の中にあることが意図される。
【0190】
先に記載されたように、本発明には、化合物の互変異性体、鏡像異性体、および他の立体異性体も含まれる。したがって、当業者に公知であるように、特定のイミダゾール化合物は互変異性体の形態で存在し得る。そのような変更は、本発明の範囲内にあると意図される。本発明の特定の化合物は、多数の結晶形態で、または非結晶形態で存在する場合もある。本発明の全ての物理的形態が意図される。
【0191】
不自然な割合の原子同位体を含む本発明の化合物(すなわち、「放射標識化合物」)が、それらの使用が治療的であるか、診断的であるか、または研究試薬としてである場合には、本発明のもとで意図される。
【0192】
本発明の別の実施形態により、式1の化合物、または上記に示されたようなその薬学的に許容される担体のうちの少なくとも1つが含まれることに加えて、CXCR3ケモカイン受容体によって媒介される疾患を処置するための少なくとも1つの追加の薬剤、薬物、医薬品、抗体、および/または阻害剤がさらに含まれている薬学的組成物が提供される。
【0193】
別の実施形態においては、本発明のCXCR3ケモカイン受容体によって媒介される疾患は、炎症性疾患または免疫疾患である。上記炎症性疾患たは免疫疾患は、以下からなる群より選択される:神経変性疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、若年性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、脈管炎、慢性心不全、脳血管虚血、脳炎、髄膜炎、肝炎、腎炎、敗血症、サルコイドーシス、乾癬、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、I型糖尿病、喘息、結膜炎、眼の炎症、耳炎、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎、皮膚炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット症候群、肺線維症、子宮内膜症、痛風、ガン、悪液質、ウイルス感染、細菌感染、臓器移植の状態、皮膚移植の状態、および移植片対宿主病が挙げられる。
【0194】
別の実施形態においては、本発明の神経変性疾患はアルツハイマー病である。
【0195】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者においてCXCR3ケモカイン受容体によって媒介される疾患を処置するための方法が開示される。この方法には、患者に対して、(a)有効量の、式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)CXCR3ケモカイン受容体によって媒介される疾患を処置するための少なくとも1つの追加の薬剤、薬物、医薬品、抗体、および/または阻害剤と一緒に、または連続して、薬学的に許容される担体と組み合わせて投与する工程が含まれる。
【0196】
別の実施形態においては、少なくとも1つの式1の化合物はCXCR3受容体に結合する。
【0197】
別の実施形態においては、本発明により、式1の化合物を調製する方法、ならびに、疾患を処置するための、例えば、特定の疾患および症状(例えば、炎症性疾患(例えば、乾癬、炎症性腸疾患)、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症)、移植片拒絶(例えば、同種移植片拒絶、異種移植片拒絶が含まれる)、眼の炎症またはドライアイ、感染性疾患、ならびにガンおよび腫瘍、固定薬疹、遅延型皮膚過敏症、眼の炎症またはドライアイ、I型糖尿病、ウイルス性髄膜炎、および結核型らい)の処置(例えば、緩和的治療、治癒的治療、予防的治療)のための、治療有効量の式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルを投与する工程が含まれる方法が提供される。
【0198】
別の実施形態においては、本発明により、CXCR3ケモカイン受容体によって媒介される疾患を処置するための方法が提供される。この方法には:(a)治療有効量の、式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying antirheumatic drugs);非ステロイド系抗炎症薬;COX−2選択的阻害剤;COX−1阻害剤;免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンおよびメトトレキセート);ステロイド(コルチコステロイド、例えば、グルコルチコイド(glucorticoids)を含む);PDE IV阻害剤、抗−TNF−α化合物、TNF−α−コンベルターゼ(TACE)阻害剤、MMP阻害剤、サイトカイン阻害剤、グルココルチコイド、コルチコステロイド、他のケモカイン阻害剤(例えば、CCR2およびCCR5)、CB2−選択的阻害剤、p38阻害剤、生体応答修飾因子;抗炎症薬および治療薬からなる群より選択される少なくとも1つの医薬品と同時に、または連続して投与する工程が含まれる。
【0199】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者において、炎症性腸疾患を処置する方法が提供される。この方法には、患者に対して、治療有効量の:(a)式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)スルファサラジン、5−アミノサリチル酸、スルファピリジン、抗−TNF化合物、抗−IL−12化合物、コルチコステロイド、グルココルチコイド、T−細胞受容体特異的治療薬(例えば、抗−CD3抗体)、免疫抑制剤、メトトレキセート、アザチオプリン、および6−メルカプトプリンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して投与する工程が含まれる。
【0200】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者において、移植片拒絶を処置する方法が提供される。この方法には、患者に対して、治療有効量の:(a)式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)シクロスポリンA、FK−506、FTY720、ベータ−インターフェロン、ラパマイシン、マイコフェノレート、プレドニソロン、アザチオプリン、シクロホスファミド、および抗リンパ球グロブリンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる。
【0201】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者において、多発性硬化症を処置する方法が提供される。この方法には、患者に対して、治療有効量の:(a)式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つの治療有効量を、(b)ベータ−インターフェロン、酢酸ガラティラメル、コルチコステロイド、グルココルチコイド、メトトレキセート、アザチオプリン、ミトキサントロン、VLA−4阻害剤、FTY720、抗−IL−12阻害剤、およびCB2−選択的阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる。
【0202】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者において、多発性硬化症を処置する方法が提供される。この方法には、患者に対して、治療有効量の:(a)式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つの治療有効量を、(b)メトトレキセート、シクロスポリン、レフルノミド、スルファサラジン、コルチコステロイド、β−メタゾン、β−インターフェロン、酢酸ガラティラメル、プレドニソン、エタネルセプト(etonarcept)、およびインフリキシマブからなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる。
【0203】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者において、関節リウマチを処置する方法が提供される。この方法には、患者に対して、治療有効量の:(a)式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)非ステロイド系抗炎症薬、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、シクロスポリン、メトトレキセート、ステロイド、PDE IV阻害剤、抗−TNF−α化合物、MMP阻害剤、コルチコステロイド、グルココルチコイド、ケモカイン阻害剤、CB2−選択的阻害剤、カスパーゼ(ICE)阻害剤、および、関節リウマチの処置について示されている他のクラスの化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる。
【0204】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者において、乾癬を処置する方法が提供される。この方法には、患者に対して、治療有効量の:(a)式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)免疫抑制剤、シクロスポリン、メトトレキセート、ステロイド、コルチコステロイド、抗−TNF−α化合物、抗−IL化合物、抗−IL−23化合物、ビタミンAおよびD化合物、ならびにフマル酸塩からなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる。
【0205】
別の実施形態においては、本発明により、そのような処置が必要な患者において、眼の炎症(例えば、ブドウ膜炎、後眼部の炎症、シェーグレン症候群を含む)またはドライアイを処置する方法が提供される。この方法には、患者に対して、治療有効量の:(a)式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)免疫抑制剤、シクロスポリン、メトトレキセート、FK506、ステロイド、コルチコステロイド、および抗−TNF−α化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる。
【0206】
本発明によってはまた、そのような処置が必要な患者において、炎症性疾患または免疫疾患(上記疾患は、以下からなる群より選択される:神経変性疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、若年性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、脈管炎、慢性心不全、脳血管虚血、脳炎、髄膜炎、肝炎、腎炎、敗血症、サルコイドーシス、乾癬、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、I型糖尿病、喘息、結膜炎、眼の炎症、耳炎、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎、皮膚炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット症候群、肺線維症、子宮内膜症、痛風、ガン、悪液質、ウイルス感染、細菌感染、臓器移植の状態、皮膚移植の状態、および移植片対宿主病)を処置する方法も提供される。上記方法には、患者に対して、治療有効量の:(a)式1の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)疾患修飾性抗リウマチ薬;非ステロイド系抗炎症薬;COX−2選択的阻害剤;COX−1阻害剤;免疫抑制剤;ステロイド;PDE IV阻害剤、抗−TNF−α化合物、TNF−α−コンベルターゼ阻害剤、サイトカイン阻害剤、MMP阻害剤、コルチコステロイド、グルココルチコイド、ケモカイン阻害剤、CB2−選択的阻害剤、生体応答修飾因子;抗炎症薬および治療薬からなる群より選択される少なくとも1つの医薬品と同時に、または連続して投与する工程が含まれる。
【0207】
本発明のいくつかの特異的な化合物は、それらのIC50の評価とともに以下の表1に示される。IC50値は、約25ナノモル(nM)未満のIC50値については「A」、約25から約100nMまでの範囲のIC50値については「B」、そして約100nMを超えるIC50値については「C」と評価される。例えば、化合物番号107は、0.2nMのIC50を有する。
【0208】
【表1−1】

【0209】
【表1−2】

【0210】
【表1−3】

他に明記されていない限りは、以下の省略形は以下の実施例においては記載される意味を有する:
BINAP=ラセミ−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル
DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
DBN=1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン
EDCI=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
HATU=N−(ジエチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4.5−b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタナミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキサイド
HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド
Dibal−H=水素化ジイソブチルアルミニウム
DBPD=2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル
DMF=ジメチルホルムアミド
DCM=ジクロロメタン
LAH=水素化アルミニウムリチウム
NaBH(OAc)=ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド
NaBH=水素化ホウ素ナトリウム
NaBHCN=シアノ水素化ほう素ナトリウム
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
P−TsOH=p−トルエンスルホン酸
P−TsCl=p−トルエン塩化スルフェニル
PPTS=p−トルエンスルホン酸ピリジニウム
m−CPBA=m−クロロ過安息香酸
TMAD=N,N,N’,N’−テトラメチルアゾカルボキサミド
CSA=樟脳スルホン酸
NaHMDS=ヘキサメチルジシラザンナトリウム
HRMS=高分解能質量分析スペクトル
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
LRMS=低分解能質量分析スペクトル
nM=ナノモル
Ki=基質/受容体複合体についての解離定数
pA2=J.Hey,Eur.J.Pharmacol.,(1995)第294巻,329−335によって定義される−logEC50
Ci/mmol=Curie/mmol(比活性の測定値)
Tr=トリフェニルメチル
Tris=トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
THF=テトラヒドロフラン
TFA=トリフルオロ酢酸。
【0211】
一般的な合成
本発明の化合物は、当業者に明らかである多数の方法によって調製することができる。好ましい方法としては、本明細書中に記載される一般的な合成手順が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、1つの経路が、付属する置換基の選択に応じて最適であろうことを理解するであろう。加えて、当業者は、いくつかの場合には、工程の順序が、官能基の不適合を回避するために変化させられる場合があることを理解するであろう。当業者は、より収束した経路(convergent route)(すなわち、分子の特定の部分の非直鎖またはプレアセンブリ)が、より効率のよい目的の化合物のアセンブリの方法であることを理解するであろう。式1の化合物の調製方法は、スキーム1から4に示され、ここでは、変数[R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R20、R21、A、E、L、Q、X、Y、Z、m、n、o、w、およびp]は上記で定義されたとおりである。ENは、以下に記載され、そしてPr、Pr、Pr、およびPrは、以下で説明される保護基である。
【0212】
したがって、調製される化合物は、それらの組成および純度について分析することができ、さらには、標準的な分析技術(例えば、元素分析、NMR、質量スペクトル、およびIRスペクトル)によって特性決定することができる。
【0213】
【化35】

記載する化合物の調製に使用した出発材料および試薬はいずれも、Aldrich Chemical Co.(Wisconsin,USA)およびAcros Organics Co.(New Jersey,USA)のような商業的な供給業者から入手することができるか、また、当業者に公知の文献に記載されている方法によって調製した。
【0214】
当業者は、式1の化合物の合成には特定の官能基の保護(すなわち、特定の反応条件との化学的適合性の目的のための誘導)が必要な場合があることを理解するであろう。カルボン酸についての適切な保護基としては、メチル、エチル、イソプロピル、またはベンジルエステルなどが挙げられる。アミン(PrまたはPr)についての適切な保護基としては、メチル、ベンジル、エトキシエチル、t−ブトキシカルボニル、フタロイルなどが挙げられる。全ての保護基は、当業者に公知である文献に記載されている方法によって付加し、そして除去することができる。
【0215】
当業者は、式1の化合物の合成に、アミド結合の構築が必要な場合があることを理解するであろう。これらの方法には、反応性カルボキシ誘導体(例えば、酸ハロゲン化物、または高温でのエステル)の使用、あるいは、0℃から100℃でのアミンを伴うカップリング試薬(例えば、DECI、DCC)を含む酸の使用が含まれるが、これらに限定されない。反応に適している溶媒は、ハロゲン化された炭化水素、エーテル溶媒、ジメチルホルムアミドなどである。反応は、圧力下で、または密閉された容器の中で行われ得る。
【0216】
当業者は、式1の化合物の合成に、アミン結合の構築が必要な場合があることを理解するであろう。1つのそのような方法は、還元的アミノ化条件下での反応性カルボニル(例えば、アルデヒド、またはケトン)との第1級もしくは第2級アミンの反応であるが、これに限定されない。中間体イミンの適切な還元剤は、0℃から100℃での、水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリドなどである。反応のための適切な溶媒は、ハロゲン化炭化水素、エーテル溶媒、ジメチルホルムアミドなどである。別のそのような方法は、第1級アミンもしくは第2級アミンの、反応性アルキル化剤(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、メシレート、トシレート、など)との反応であるが、これに限定されない。反応のための適切な溶媒は、ハロゲン化炭化水素、エーテル溶媒、ジメチルホルムアミドなどである。反応は、圧力下、または密閉された容器の中で、0℃から100℃で行われ得る。
【0217】
当業者は、式1の化合物の合成に、還元させることができる官能基の還元が必要な場合があることを理解するであろう。適切な還元剤としては、−20℃から100℃での、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、ジボランなどが挙げられる。反応のための適切な溶媒は、ハロゲン化炭化水素、エーテル溶媒、ジメチルホルムアミドなどである。
【0218】
当業者は、式1の化合物の合成に、官能基の酸化が必要な場合があることを理解するであろう。適切な酸化剤としては、−20℃から100℃での、酸素、過酸化水素、m−クロロペルオキシ安息香酸などが挙げられる。反応のための適切な溶媒は、ハロゲン化炭化水素、エーテル溶媒、水などである。
【0219】
反応の出発物質と中間体は、所望される場合には、従来技術(濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含むが、これらに限定されない)を使用して、単離し、精製することができる。そのような材料は、従来の手段(物理定数およびスペクトルデータを含む)を使用して特性決定することができる。
【0220】
概要
工程A.ピリジン環のアミノ化
適切に保護された構造Iの2−ハロピリジンまたはフェニルが、構造IIのピペラジンと反応させられて、一般的構造IIIの化合物が形成させられる。好ましくは、反応は、溶媒(例えば、ジオキサンまたはDMF)の中で、塩基(例えば、炭酸カリウムまたは炭酸セシウム)の存在下で、触媒(例えば、酢酸パラジウム)を利用して、もしくは触媒を利用せずに、行われる。あるいは、他の脱離基で塩素が置き換えられる場合も(O−メシル、Brなど)、また、反応条件下で活性化させることができる基(H、OHなど)が使用される場合もある。
【0221】
あるいは、構造Iの化合物は、構造XIIの化合物と反応させて、構造VIIIの化合物を形成させることができる。
【0222】
工程B.
必要に応じて、工程Aの産物が構造IIIの保護されたピペラジンである場合には、脱保護が必要である。Prがベンジルまたは置換されたベンジルである場合には、脱保護は、パラジウムのような触媒の存在下で、水素ガス圧下での反応によって行うことができる。Prがエトキシエチルである場合には、脱保護は、ヨウ化トリメチルシリルとの反応によって行うことができる。Prがt−ブトキシカルボニルである場合には、脱保護は、トリフルオロ酢酸、塩化水素、p−トルエンスルホン酸のような強酸を用いて行うことができる。
【0223】
工程C.
構造IVのピペラジンは、還元剤の存在下で構造Vのケトンと反応させて、構造VI(式中、R12は水素である)の化合物を形成させることができる。還元的アミノ化反応のための一般的条件は、上記に記載されている。
【0224】
特定の場合には、Prは、適切に置換されたピペリドン−Y−環D残基を示す。
【0225】
工程C’(R12=CNの場合)
構造IVのピペラジンは、構造Vのケトンと、還元剤の存在下で反応させて、構造VIの化合物(式中、R12はシアン化物残基である)が形成させられる。典型的な条件は、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン)中での、等モル量の構造IVのピペラジンと構造のケトンとの、チタンイソプロポキシドの存在下での1から48時間の反応である。その後のシアン化物の供給源(例えば、シアン化ジメチルアルミニウム)の添加により、構造VIの化合物(式中、R12は、シアン化物残基である)が得られる。
【0226】
工程D
構造VIまたは構造Xの保護されたピペリジンが脱保護され、構造VIIまたは構造XIの第2級アミンとされる。Prがベンジルまたは置換されたベンジルである場合には、脱保護は、パラジウムのような触媒の存在下で、水素ガス圧下での反応によって行うことができる。Prがエトキシエチルである場合には、脱保護は、ヨウ化トリメチルシリルとの反応によって行うことができる。Prがt−ブトキシカルボニルである場合には、脱保護は、トリフルオロ酢酸のような強酸を用いて行うことができる。
【0227】
工程D’
必要に応じて、官能基の導入または操作を、必要である場合には行うことができる。構造VIまたは構造Xの化合物(R=ClまたはBrである場合)は、有機金属のアルキル化剤(例えば、アルキルボロン酸、またはハロゲン化アルキル)に対し、ヘテロカップリングを促進する金属の存在下で反応させられ、または、一般的構造VIIまたは構造Xlの様々な構造(式中、R位置のハロゲンは、Rについて記載された適切な基によって置き換えられている)が得られる求核試薬(nucleophile)の存在下で反応させられる。
【0228】
工程E
構造VIIまたはXIの第2級ピペリジンは、アルキル化またはアシル化のような方法によって環Dで官能化させられ、構造VIIIまたはIXの化合物が得られる。そのようなアルキル化およびアシル化のための一般的方法は上記に記載されており、当業者に周知である。
【0229】
工程F
工程F’
必要に応じて、構造IXの追加の関連する化合物を得るために、構造IXの化合物の官能基の操作が行われる場合がある。
【0230】
構造IXの化合物は、スキーム1に概説された一般的方法によって調製することができる。具体的に説明される化合物の合成は、以下に詳細に記載されるとおりに調製した。以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。これらは、単なる説明の目的のためのものであり;本発明の範囲がそれによって限定されるようには決して解釈されない。
【0231】
以下の実施例は、本発明の範囲を説明するように意図され、限定されるようには意図されない。
【実施例】
【0232】
(実施例1)
【0233】
【化36】

200mlのメタノールが含まれている冷却した(−78℃)1000mlのRBフラスコに、塩化チオニル(10ml、140mmol)を1滴ずつ、続いて、5−ブロモピコリン酸(15g、75mmol)を添加した。−78℃で10分間の攪拌の後、反応物を室温に温め、16時間攪拌した。過剰な塩化チオニルおよびメタノールを、減圧下で除去すると、A2(18g、95%)が、明るい茶色の固体として得られた。M+H=216。
【0234】
(実施例2)
【0235】
【化37】

250mlの丸底フラスコにA2(4g、15.9mmol)、1−Boc−2−S−エチルピペラジンA3(Kileyら、Org.Prep.Proc.Int.1990,22,761;4.2g、18.6mmolにしたがって調製した)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、(340mg、0.37mmol)、ラセミ−2,2’−ビス(ビフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)(495mg、0.74mmol)、炭酸セシウム(12g、37.2mmol)、およびトルエン(80ml)をチャージした。混合物を100℃で16時間加熱した後、新しいトリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(340mg、0.37mmol)、およびBINAP(495mg、0.74mmol)を添加し、3日間加熱し続けた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を100ml部の酢酸エチルの中に懸濁させた。この混合物を水と食塩水で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによる残渣の精製(5%のメタノール/95%のDCM)により、5.3gの部分的に精製された物質が得られた。これを次の工程に直接使用した。M+H=350。
【0236】
(実施例3)
【0237】
【化38】

中間体A4(5.28g、15.1mmol)を、30mlのDMF中のN−ブロモ−スクシンイミド(5.4g、30.2mmol)とともに、室温で24時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって直接精製し、50%の酢酸エチル/50%のヘキサンで溶出させると、A5(1.22g、19%の収率、M+H=428)が得られた。10%のメタノール中の7Nのアンモニア/90%のDCMでのカラムのさらなる溶出により、A6(1.28g、25%、M+H=328)が得られた。
【0238】
(実施例4)
【0239】
【化39】

中間体A5(1.22g、2.8mmol)を、TFA(25ml)とDCM(75ml)の混合物の中で30分間攪拌することによって脱保護し、その後、減圧下でTFAとDCMを除去した。得られた残渣を、ジクロロエタン(20ml)中の予め精製したA6(上記を参照のこと、1.28g、3.9mmol)と混合し、そしてトリエチルアミン(0.42mmol、3mmol)を添加した。A6(全部で6.75mmol)のこの溶液に対して、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(2.85g、13.5mmol)と1−Boc−4−ピペリドン(2.67g、13.5mmol)を添加した。室温で16時間の攪拌の後、DCM(50ml)を添加し、混合物を飽和炭酸水素ナトリウムおよび食塩水で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、A7(1.89g、M+H=512)が得られた。Boc−ピペリノールが混入していたが、この物質を次の工程に直接使用した。
【0240】
(実施例5)
【0241】
【化40】

中間体A7(1.89g、3.7mmol)を、無水DMF(10ml)中のメチルボロン酸(666mg、11.1mmol)、炭酸カリウム(2.4g、17.6mmol)、およびトランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(260mg、0.37mmol)と混合し、90℃で16時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を酢酸エチル(50ml)にとり、そして、飽和炭酸水素ナトリウムと食塩水で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、そしてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、5%のメタノール/95%のDCMで溶出させると、中間体A8(960mg、20%の収率)が得られた。M+H=447。
【0242】
(実施例6)
【0243】
【化41】

中間体A8(960mg、2.16mmol)のBoc保護基を、20mlのDCM中の10mlのTFAとともに45分間攪拌することによって除去した。溶媒を除去すると、脱保護されたTFA塩A9が得られた。A9のアリコート(0.86mmol)を、5mlのDCM中の4−クロロベンゾイルクロリド(0.17ml、1.29mmol)とトリエチルアミン(0.36ml、2.58mmol)とともに16時間攪拌した。この混合物を、飽和炭酸水素ナトリウムと食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、A10(85mg、0.18mmol、20%)が得られた。M+H=485。
【0244】
中間体10への別の経路
(実施例7)
【0245】
【化42】

20mlのジクロロエタン中のA6(8.4mmol)の溶液に対して、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(3.5g、16.8mmol)、1−(4−クロロベンゾイル)−ピペリジン−4−オン(3.28g、13.8mmol)、およびトリエチルアミン(2.3ml、16.8mmol)を添加した。室温で16時間の攪拌の後、DCM(50ml)を添加し、混合物を飽和炭酸水素ナトリウムおよび食塩水で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーによって精製すると、A11(3.2g、M+H=549)が得られた。Boc−ピペリノールが含まれていたが、この物質を次の工程に直接使用した。
【0246】
(実施例8)
【0247】
【化43】

中間体A11(3.2g、5.8mmol)を、無水DMF(25ml)中のメチルボロン酸(1.0g、17.4mmol)、炭酸カリウム(3.8g、4.75mmol)、およびトランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(405mg、0.58mmol)と混合し、90℃で16時間加熱した。DMFを減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウムとの間で抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、化合物A10(1.1g、39%)が得られた。
【0248】
(実施例9)
【0249】
【化44】

ネジ蓋付きの50mlの容器に、A10(0.075g、0.15ミリモル)、10mlのジオキサン、およびアンモニア(10ml、ジオキサン中の0.5N)をチャージした。溶液を、密閉した容器の中で80℃で一晩加熱した。反応物を冷却し、濃縮すると、透明な油が得られた。シリカゲル上で精製すると、化合物番号10が70%の収率で、半固体として得られた。M+H=471。
【0250】
(実施例10)
【0251】
【化45】

ネジ蓋付きの50mlの容器に、A10(0.075g、0.15ミリモル)、10mlのジオキサン、およびシクロプロピルアミン(0.1g、1.75mmol)をチャージした。溶液を、密閉した容器の中で80℃で一晩加熱した。反応物を冷却し、濃縮すると、透明な油が得られた。シリカゲル上で精製すると、化合物番号6が70%の収率で、半固体として得られた。M+H=511。
【0252】
(実施例11)
【0253】
【化46】

A9のアリコート(0.65mmol)を、5mlのDMF中の4−クロロ−3−フルオロ安息香酸(170mg、0.98mmol)、EDCI(250mg、1.3mmol)、およびジイソプロピル−エチルアミン(0.57ml、3.2mmol)とともに16時間攪拌した。この混合物を酢酸エチル(50ml)で稀釈し、水と食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、分取逆相HPLC(SunfireTM 19×100mm 5μ C18カラム、8分の勾配:10%→40%のアセトニトリル/0.1%のTFAを含む水)によって精製すると、A15(140mg、35%)が得られた。M+H=503。
【0254】
(実施例12)
【0255】
【化47】

ネジ蓋付きの50mlの容器に、A15(0.085g、0.17ミリモル)、10mlのジオキサン、およびシクロプロピルアミン(0.1g、1.75mmol)をチャージした。溶液を、密閉した容器の中で80℃で一晩加熱した。反応物を冷却し、濃縮すると、透明な油が得られた。シリカゲル上で精製すると、化合物番号5が84%の収率で、半固体として得られた。M+H=529。
【0256】
(実施例13)
【0257】
【化48】

A9(0.65mmol)のアリコートを、5mlのDMF中の4−クロロ−ベンジルブロミド(113mg、0.7mmol)、EDCI(250mg、1.3mmol)、およびジイソプロピル−エチルアミン(0.57ml、3.2mmol)とともに16時間攪拌した。この混合物を酢酸エチル(50ml)で稀釈し、水と食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカ上で精製すると、A38(200mg)が得られた。M+H=471。
【0258】
(実施例13)
【0259】
【化49】

化合物番号3を、上記の実施例9と同様の手順を用いて調製した。化合物番号3 M+H=457。
【0260】
(実施例14)
【0261】
【化50】

ネジ蓋付きの25mlの容器に、メタノール(1ml、2mmol)中のA38(0.02g、0.04ミリモル)と2Nのエチルアミンをチャージした。溶液を、密閉した容器の中で60℃まで一晩加熱した。反応物を冷却し、濃縮すると、透明な油が得られた。シリカゲル上で精製すると、化合物番号1が54%の収率で、半固体として得られた。M+H=485。
【0262】
(実施例15)
【0263】
【化51】

250mlの丸底フラスコに、A2(2g、9.4mmol)、1−Boc−2(S)−エチル−5(R)−メチルピペラジン酢酸塩A18(2.2g、9.4mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム((172mg、0.19mmol)、ラセミ−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)(250mg、0.38mmol)、炭酸セシウム(6.1g、18.8mmol)、およびトルエン(50ml)をチャージした。混合物を100℃で16時間加熱した後、新しいトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、(172mg、0.19mmol)とBINAP(250mg、0.38mmol)を添加し、さらに3日間加熱し続けた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を100ml部の酢酸エチルの中に懸濁させた。この混合物を水と食塩水で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーカラム(50%の酢酸エチル/50%のヘキサン→5%のメタノール/95%のDCMの勾配)による残渣の精製により、A19(1.7g、50%)が得られた。M+H=364。
【0264】
(実施例16)
【0265】
【化52】

化合物A19(443mg、1.2mmol)とN−ブロモスクシンイミド(280mg、1.6mmol)を、DMF(3ml)中で室温で16時間攪拌した。DMFを減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウムとの間で抽出した。酢酸エチル層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(50%の酢酸エチル/50%のヘキサン)によって精製すると、臭化物A20(194mg、36.1%)が得られた。M+H=442。
【0266】
(実施例17)
【0267】
【化53】

中間体A20(435mg、0.98mmol)、ヨウ化銅(I)(10mg、0.049mmol)、ヨウ化ナトリウム(295mg、1.97mmol)、およびN,N’−ジメチルシクロへキサン−ジアミン(16μl、0.098mmol)を、1,4−ジオキサン(2ml)の中で混合し、アルゴン下、110℃で16時間加熱した。溶液を室温に冷却し、30%のアンモニア水(5ml)を添加した。混合物を水(20ml)に注ぎ、DCMで抽出した(3回)。有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5%のメタノール/95%のDCM)によって精製すると、ヨウ化物A21(319mg、66%)が得られた。M+H=490。
【0268】
(実施例18)
【0269】
【化54】

ヨウ化物A21(221mg、0.45mmol)をDMF(2ml)中に溶解させ、メチルクロロジフルオロ酢酸(96μl、0.9mmol)、ヨウ化銅(I)(86mg、0.45mmol)、およびフッ化カリウム(26mg、0.45mmol)の存在下で、16時間かけて100℃に加熱した。減圧下でDMFを除去した後、残渣を、DCM(3ml)と10%の水酸化アンモニウム(3ml)との間で抽出した。水層をDCM(2×3ml)でさらに抽出し、混合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。質量スペクトル分析は、塩素化された生成物(M+H=398)とトリフルオロメチル化された生成物(M+H=432)の混合物を示した。粗物質を1,4−ジオキサン(5ml)中の4NのHClで30分間処理し、溶媒を減圧下で除去すると、A22とA23の混合物が得られた。これを直接次の工程に使用した。
【0270】
(実施例19)
【0271】
【化55】

A22とA23の混合物を、1,2−ジクロロエタン(3ml)中の1−(4−クロロベンゾイル)−ピペリジン−4−オン(107mg、0.45mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(95mg、0.45mmol)、およびトリエチルアミン(0.2ml、1.35mmol)と、室温で16時間攪拌した。反応を飽和炭酸水素ナトリウム(2ml)でクエンチし、DCMで抽出し(3×2ml)、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5%のメタノール/95%のDCM)によって精製すると、塩化物A24(M+H=519)とトリフルオロメチルで置換されたA25(M+H=553)の一緒に溶離する混合物(228mg)が得られた。
【0272】
調製例20 別のピペラジン出発物質:
工程A
【0273】
【化56】

ベンズアルデヒド(19mL、19g、0.18mol)を、乾燥CHCl(300mL)中のD−アラニンメチルエステルヒドロクロリド(25g、0.18mol)の溶液に添加した。溶液を22℃で19時間攪拌した。反応混合物を氷−水浴で冷却し、固体のナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(46g、0.22mol)を約15分かけて少しずつ加えた。冷却浴を取り除き、乳白色の溶液を22℃で7時間攪拌した。溶媒を減圧下での回転蒸発によって除去し、得られたスラッシュ(slush)を、EtOAc(約100mL)と1NのHCl(約400mL)との間で分配させた。水層をEtOAc(約50mL)で抽出した。水層をpHが約10になるように1NのNaOH(450mL)を用いて調整し、乳白色の水層をすぐにEtOAc(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層を、食塩水(約250mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮させると、N−ベンジル−D−アラニンメチルエステル(28g、80%)が無色の半固体として得られた。
【0274】
工程B.
【0275】
【化57】

CHCl(250mL)中のN−ベンジル−D−アラニンメチルエステル(28g、0.15mol)およびEDCI・HCl(30.6g、0.160mmol)の溶液に対して、CHCl(100mL)中のN−Boc−2(S)−アミノ酪酸(29.5g、0.145mol;Anaspec,Inc.)の溶液を添加した。反応混合物を22℃で16時間攪拌した。さらに、N−Boc−2(S)−アミノ酪酸(5.9g、29mmol)およびEDCI・HCl(11.1g、58mmol)およびDMF(20mL)を添加した。1日後、溶媒を減圧下で除去し、残渣をEtOAc中に溶解させた。有機溶液を0.5NのHCl水溶液、飽和炭酸ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、その後、無水硫酸塩ナトリウムで乾燥させた。続いて、濾過し、濃縮すると、無色の油が得られた。
【0276】
この油を、CHCl(200mL)中に溶解させ、HClガスを攪拌溶液の中に、1.5時間吹き込んだ。減圧下での溶媒の除去後、得られた白色固体をEtOAc(500mL)とNaHCO水溶液(150mL)の中に懸濁させた。混合物を室温で18時間攪拌した。有機層を分離し、食塩水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、化合物A35(21.9g、2つの工程全体で61%)が得られた。
【0277】
工程C.
【0278】
【化58】

ジケトピペラジンA35(21.9g、89mmol)を乾燥THF(500mL)の中に溶解させた。粉末状のLiAlH(10.1g、267mmol)を慎重に、約30分かけて少しずつ加えた。反応混合物を22℃で1時間、65℃で1日、その後、22℃でさらに24時間攪拌した。反応物を、1時間かけての水(10mL)の慎重な滴下によってクエンチした。1NのNaOH水溶液(20mL)と水(30mL)を連続して加え、乳白色の反応混合物を室温で1時間攪拌した。形成した白色のゼリー状の沈殿をCelite(登録商標)を通過させる濾過によって取り出した。フィルターケーキを大量のEtOAc(約500mL)で洗浄した。合わせた濾過物を蒸発させた。残渣をEtO(約500mL)に溶解させ、その後、乾燥させると、2(S)−エチル−4−ベンジル−5(R)−メチルピペラジン(18.4g、93%)が淡い金色がかった黄色の油として得られた。
【0279】
上記ピペラジン(18.3g、84mmol)をCHCl(40mL)に溶解させ、固体のジ−t−ブチルジカルボネート(18.3g、84mmol)を添加した。室温で30分間の攪拌の後、溶媒を除去し、得られた黄色の液体をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、3:1のヘキサン−EtOで溶出させると、1−Boc−2(S)−エチル−4−ベンジル−5(R)−メチルピペラジン(A36)が透明な無色の液体(24.9g、93%)として得られた。
【0280】
工程D.
【0281】
【化59】

メタノール(150mL)中の1−Boc−2(S)−エチル−4−ベンジル−5(R)−メチルピペラジン(A36;13.6g、43mmol)、氷酢酸(2.5mL)、および10%のPd/C(4.5g)の混合物を、H雰囲気(50psi)下で24時間震盪させた。混合物をCelite(登録商標)を通過させて濾過し、フィルターケーキを大量のEtOAc(約500mL)で洗浄した。合わせた濾過物を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮させると、透明な無色の油が得られた。さらに、CHCl(200mL)とEtO(2×200mL)との共蒸留(co−evaporation)により、所望される1−Boc−2(S)−エチル−5(R)−メチルピペラジン酢酸塩(A37、9.7g)が粘性のある油として得られた
ピペラジンA37を、上記実施例において、ピペラジンまたは置換されたピペラジンの代わりに使用することもできる。
【0282】
上記化合物番号1、3、5、6、および10の調製手順と同様の調製手順にしたがって、以下の化合物を調製した。
【0283】
【化60】

生物学的実施例:
本発明の化合物は、公知の方法(例えば、ヒトCXCR3(N−デルタ4)結合アッセイの開発)によってCXCR3受容体に対する活性を決定するために容易に評価することができる。
【0284】
ヒトCXCR3(N−デルタ4)のクローニングと発現:
ヒトCXCR3をコードするDNAを、鋳型としてヒトゲノムDNA(Promega,Madison,WI)を使用して、PCRによってクローニングした。PCRプライマーは、ヒトオルファラン受容体GPR9(1)の公開されている配列に基づいて、制限部位、Kozakコンセンサス配列、CD8リーダー、およびFlagタグを組み込んで設計された。PCR産物を、SR−アルファ発現ベクターの誘導体である哺乳動物発現ベクターpME18Sneoにサブクローニングした(pME18Sneo−hCXCR3(N−デルタ4)と命名した)。
【0285】
IL−3−依存性マウスpro−B細胞Ba/F3を、20μgのpME18Sneo−hCXCR3(N−デルタ4)プラスミドDNAで、4×10個の細胞を含む0.4mlのDulbecco’s PBSの中でエレクトロポレーションによってトランスフェクトした。細胞を、400ボルト、100オーム、960μFdでパルスした。トランスフェクトされた細胞を1mg/mlのG418(Life Technologies,Gaithersburg,MD)下で選択した。G418−耐性Ba/F3クローンを、[125I]IP−10(NEN Life Science Products,Boston,MA)の特異的結合によってCXCR3の発現についてスクリーニングした。
【0286】
Ba/F3−hCXCR3(N−デルタ4)膜の調製
ヒトCXCR3(N−デルタ4)を発現するBa/F3細胞をペレット状にし、10mMのHEPES、pH7.5とComplete(登録商標)プロテアーゼ阻害剤(1錠/100ml)(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)を含む溶解緩衝液の中に、1mlあたり20×10個の細胞の細胞密度で再懸濁させた。氷上での5分間のインキュベーションの後、細胞を4639細胞粉砕機(cell disruption bomb)(Parr Instrument,Moline,IL)に移し、氷上で30分間、1,500psiの窒素を加えた。大きな細胞の破片を1,000×gでの遠心分離によって取り除いた。上清の中の細胞膜を100,000×gで沈殿させた。膜を10%のスクロースを補充した溶解緩衝液の中に再懸濁させ、−80℃で保存した。膜の全タンパク質濃度を、Pierce(Rockford,IL)によるBCA法によって決定した。
【0287】
ヒトCXCR3(N−デルタ4)シンチレーション近接アッセイ(SPA)
それぞれのアッセイ点について、2μgの膜を、結合緩衝液(50mMのHEPES、1mMのCaCl、5mMのMgCl、125mMのNaCl、0.002%のNaN、1.0%のBSA)中で、300μgのコムギ胚芽凝集素(WGA)をコーティングしたSPAビーズ(Amersham,Arlington Heights,IL)とともに、室温で1時間、プレインキュベートした。ビーズを遠沈させ、1回洗浄し、結合緩衝液の中に再度懸濁させ、そして96−ウェル単離プレート(Wallac,Gaithersburg,MD)に移した。滴定の系列の中に、試験化合物とともに25pMの[125I]IP−10を、反応を開始させるために加えた。室温で3時間の反応の後、SPAビーズに結合した[125I]IP−10の量を、Wallac 1450 Microbetaカウンターを用いて決定した。
【0288】
本発明の様々な例としての化合物についてのKi値を、上記の表1に示した。これらの値から、本発明の化合物がCXCR3アンタゴニストとして優れた有用性を有していることが、当業者に明らかである。
【0289】
本発明は、上記に示された特異的な実施形態と組み合わせて記載されたが、それらの多くの代替、改変、および変更が当業者には明らかであろう。全てのそのような代替、改変、および変更が、本発明の趣旨および範囲に入るように意図される。
【0290】
本出願の中で引用された個々のそれぞれの参考文献は、全ての目的のためのそれらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の一般的構造を有している化合物:
【化61】

、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルであって、式中、:
Gは、−C≡N、または
【化62】

であり;
Xは、N、O、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはヘテロシクレニルであり;
Zは、N、またはNOであり;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、そして存在する場合には、それぞれ別々に、H、アルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、アミノ、−アルキルアミノ、アミジニル、カルボキサミド、シアノ、ヒドロキシル、ウレア、−N≡CH、=NCN、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−C(=S)N(H)アルキル、−N(H)−S(O)−アルキル、−N(H)C(=O)N(H)−アルキル、−S(O)アルキル、−S(O)N(H)アルキル、−S(O)N(アルキル)、−S(O)アリール、−C(=S)N(H)シクロアルキル、−C(=O)N(H)NH、−C(=O)アルキル、−C(=O)アリール、−C(=O)ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、およびヘテロシクレニルからなる群より選択される;あるいは、代わりに、XがNである場合には、NはRおよびRと一緒に、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、または−N=C(NHを形成する、
、R、およびR部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれは、別々に、H、アルキル、アルキルアリール、アラルキル、−C(=O)アルキル、−CN、CF、OCF、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシアルキル、−N=CH−(R31)、−C(=O)N(R30、−N(R30、−NSO31、−OR30、−SO(R31)、−SONHR30、−N(R30)C(=O)N(R30、および−N(R30)C(=O)R31からなる群より選択される;
およびRは、同じであるか、または異なり、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、ヘテロアリール、ヒドロキシル、−CN、アルコキシ、−N(R30、−N(H)S(O)アルキル、−N(H)C(=O)N(H)アルキル、−(CHOH、−(CHOアルキル、−(CHN(H)−アルキル、−(CHN(H)−S(O)アルキル、および−(CHN(H)−CO−N(H)アルキルからなる群より別々に選択される;あるいは、代わりに、RおよびRは、それらが結合させられたと示されている炭素原子と一緒に、=O、=S、=NH、=N(アルキル)、=N(Oアルキル)、=N(OH)、またはシクロアルキルである;
10部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、アルキルアリール、アリールアルキル、−COH、ヒドロキシル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、−N(R30、−C(=O)N(R30、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−OR30、ハロゲン、および−C(=O)R31からなる群より別々に選択される;あるいは、式中、同じ炭素原子上の2つのR10部分が一緒に=Oを形成する;
11部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、アルキルアリール、アリールアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボキサミド、−N(R30、COH、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−OR30、ハロゲン、および−C(=O)R31からなる群より別々に選択される;あるいは、式中、同じ炭素原子上の2つのR11部分が一緒に=Oを形成する;
12は、H、アルキル、ハロアルキル −CN、CFH、CF、−C(=O)N(R30、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNHR31、−(CHN(R31、および−S(O)R31からなる群より選択される;
Dは、3員から9員のシクロアルキル、3員から9員のシクロアルケニル、あるいは、0から4個のヘテロ原子もしくはN、O、S、およびSOからなる群より別々に選択される部分を有している、5員から8員のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニルまたはヘテロシクリル環であり、ここでは、環Dは、非置換であるか、または必要に応じて、1から5個の別々に選択されたR20部分で置換されている;
20部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アルキニル、−アルキルアミノ、−アルキルチオカルボキシ、アルキルヘテロアリール、アルキルチオ、アルキルスルフィニル−、−C(=O)−O−アルキル、アミジニル、アラルキル、アラルケニル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アラルキルチオ、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、グアニジニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキサメート、ニトロ、トリフルオロメトキシ、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−アルキニルC(R31OR31、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−C(=NR30)NHR30、−C(=NOH)N(R30、−C(=NOR31)N(R30、−C(=O)OR30、−N(R30、−N(R30)C(=O)R31、−NHC(=O)N(R30、−N(R30)C(=O)OR31、−N(R30)C(=NCN)N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30)SO(R31)、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−N(R30)S(O)N(R30、−OR30、−OC(=O)N(R30、−SR30、−SON(R30、−SO(R31)、−OSO(R31)、および−OSi(R30からなる群より別々に選択される;あるいは、代わりに、2つのR20部分が一緒に連結されて、5員もしくは6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環を形成し、式中、上記5員もしくは6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環は、環Dに対して縮合させられ、そして縮合させられた環は、必要に応じて、0から4個のR21部分で置換される;
21部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アルキニル、−アルキルアミノ、−アルキルチオカルボキシ、アルキルヘテロアリール、アルキルチオ、アルキルスルフィニル−、−C(=O)−O−アルキル、アミジニル、アラルキル、アラルケニル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アラルキルチオ、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、グアニジニル、ハロゲン、ハロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキサメート、ニトロ、トリフルオロメトキシ、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−アルキニルC(R31OR31、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−C(=NR30)NHR30、−C(=NOH)N(R30、−C(=NOR31)N(R30、−C(=O)OR30、−N(R30、−N(R30)C(=O)R31、−NHC(=O)N(R30、−N(R30)C(=O)OR31、−N(R30)C(=NCN)N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30)SO(R31)、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−N(R30)S(O)N(R30、−OR30、−OC(=O)N(R30、−SR30、−SON(R30、−SO(R31)、−OSO(R31)、および−OSi(R30からなる群より別々に選択される;
Yは、−(CR1313−、−CHR13C(=O)−、−(CHR13O−、−(CHR13N(R30)−、−C(=O)−、−C(=NR30)−、−C(=N−OR30)−、−CH(C(=O)NHR30)−、CH−ヘテロアリール−、−C(R1313C(R13)=C(R13)−、−(CHR13C(=O)−、および−(CHR13N(H)C(=O)−からなる群より選択される;あるいは、代わりに、Yは、シクロアルキル、ヘテロシクレニル、またはヘテロシクリルであり、式中、シクロアルキル、ヘテロシクレニル、またはヘテロシクリルは、環Dと縮合させられる;
13部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、スピロアルキル、−CN、−COH、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−(CHR30OH、−(CHR30OR31、−(CHR30NH、−(CHR30NHR31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNSO31、−(CHSONHR31、−NH、−N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−OH、OR30、−SON(R30、および−SO(R31)からなる群より別々に選択される;
30部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、アリール、アラルキル、シクロアルキル、CN、−(CHOH、−(CHOアルキル、−(CHOアルキルアリール、−(CHOアリール、−(CHOアラルキル、−(CHOシクロアルキル、−(CHNH、−(CHNHアルキル、−(CHN(アルキル)、−(CHNHアルキルアリール、−(CHNHアリール、−(CHNHアラルキル、−(CHNHシクロアルキル、−(CHC(=O)NHアルキル、−(CHC(=O)N(アルキル)、−(CHC(=O)NHアルキルアリール、−(CHC(=O)NHアリール、−(CHC(=O)NHアラルキル、−(CHC(=O)NHシクロアルキル、−(CHSOアルキル、−(CHSOアルキルアリール、−(CHSOアリール、−(CHSOアラルキル、−(CHSOシクロアルキル、−(CHNSOアルキル、−(CHNSOアルキルアリール、−(CHNSOアリール、−(CHNSOアラルキル、−(CHNSOシクロアルキル、−(CHSONHアルキル、−(CHSONHアルキルアリール、−(CHSONHアリール、−(CHSONHアラルキル、−(CHSONHシクロアルキル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群より別々に選択される;
31部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、アルキル、アルキルアリール、アリール、アラルキル、シクロアルキル、−(CHOH、−(CHOアルキル、−(CHOアルキルアリール、−(CHOアリール、−(CHOアラルキル、−(CHOシクロアルキル、−(CHNH、−(CHNHアルキル、−(CHN(アルキル)、−(CHNHアルキルアリール、−(CHNHアリール、−(CHNHアラルキル、−(CHNHシクロアルキル、−(CHC(=O)NHアルキル、−(CHC(=O)N(アルキル)、−(CHC(=O)NHアルキルアリール、−(CHC(=O)NHアリール、−(CHC(=O)NHアラルキル、−(CHC(=O)NHシクロアルキル、−(CHSOアルキル、−(CHSOアルキルアリール、−(CHSOアリール、−(CHSOアラルキル、−(CHSOシクロアルキル、−(CHNSOアルキル、−(CHNSOアルキルアリール、−(CHNSOアリール、−(CHNSOアラルキル、−(CHNSOシクロアルキル、−(CHSONHアルキル、−(CHSONHアルキルアリール、−(CHSONHアリール、−(CHSONHアラルキル、−(CHSONHシクロアルキル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群より別々に選択される;
mは、0から4である;
nは、0から4である;
qはそれぞれ同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、1から5から別々に選択される;そして、
rは、1から4である;
ただし、窒素が2つのアルキル基によって置換されている場合には、前記2つのアルキル基は、必要に応じて、環を形成するように互いに連結させられる場合がある、化合物。
【請求項2】
式中、Zが、NまたはNOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、Gが、−C≡Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式中、Gが、以下である、請求項1に記載の化合物:
【化63】


【請求項5】
式中、Xが、NまたはOである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式中、RおよびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、およびシクロアルキルからなる群より別々に選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
式中、RおよびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、−CH、−CHCH、−CHCHOH、およびシクロプロピルからなる群より別々に選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
式中、Rが、H、アルキル、アルコキシ、ハロ、およびハロアルキルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
式中、Rが、−H、−CH、OCH、−Cl、および−CFからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式中、Rが、H、アルキル、−OR30、−N(R30、およびハロゲンからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
式中、Rが、H、CH、OH、NH、およびFからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式中、RがHである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
式中、Rが、H、アルキル、−OR30、−N(R30、およびハロゲンからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
式中、Rが、H、およびアルキルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
式中、Rが、H、CH、OH、NH、およびFからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
式中、Rが、−Hおよび−CHからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
式中、RおよびRがいずれもHであるか、またはRおよびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである、請求項4に記載の化合物。
【請求項18】
式中、R10が、アルキル、ヒドロキシル、およびアルコキシからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR10部分が一緒に、=Oを形成し、そしてmは1から2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
式中、R10がアルキルであり、そしてmが1から2である、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
式中、R10が、−CHおよび−CHCHからなる群より選択される、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
式中、R11が、H、アルキル、アルコキシ、およびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または同じ炭素原子上の2つのR11部分が一緒に=Oを形成し;そして、nが1から2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
式中、R11がHであり、そしてnが1である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
式中、R12が、H、アルキル、およびハロアルキルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
式中、R12が、H、CH、およびCFからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
式中、R12がHである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
式中、Yが、−(CHR13−および−C(=O)−からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
式中、Yが、−CH−および−C(=O)−からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
式中、Dが、ハロゲン、−OR30、アルキル、−N(R30、ハロアルキル、シアノ、−SO(R31)、−SON(R30、およびハロアルコキシからなる群より別々に選択される1から2個のR20部分で必要に応じて置換された、5員から9員のアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
式中、Dが、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロアルキル、シアノ、スルホニルアルキル、スルホニルアミノ、およびハロアルコキシからなる群より別々に選択される1から2個のR20部分で必要に応じて置換された、5員から9員のアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
式中、Dが、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群より別々に選択される1から2個のR20部分で必要に応じて置換された5員から9員のアリールである、請求項30に記載の化合物。
【請求項31】
式中、Dが、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アミノアルキル、ハロアルキル、シアノ、スルホニルアルキル、スルホニルアミノ、およびハロアルコキシからなる群より別々に選択される1から2個の部分で置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
式中、Dが、アルキル、アルコキシ、−Cl、−F、およびトリフルオロメトキシからなる群より別々に選択される1から2個の部分で置換されたフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
請求項1に記載の化合物であって、式中、:
Zは、NまたはNOである;
Gは、以下である:
【化64】

Xは、NまたはOである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、アルキル、アリール、およびシクロアルキルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、XがNである場合には、NはRおよびRと一緒に、シクロアルキルまたはヘテロシクリルを形成する;
、R、およびRは、−H、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、CF、アルキル、ハロゲン、またはヒドロキシルからなる群より別々に選択される;
およびRは、Hおよびアルキルからなる群より別々に選択されるか、または、RおよびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10およびR11は、H、アルキル、−N(R30、ハロゲン、またはヒドロキシルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、同じ炭素原子上の2つのR10またはR11部分が一緒に=Oを形成する;
12は、H、アルキル、ハロアルキル、およびCFからなる群より選択される;
Yは、−(CR1313)−、−CHR13C(=O)−、−(CHR13)O−、−(CHR13)N(R30)−、−C(=O)−、CH−ヘテロアリール−、−(CHR13)C(=O)−、および−(CHR13N(H)C(=O)−からなる群より選択され、
13部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、スピロアルキル、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−(CHR30OR31、−(CHR30NHR31、および−(CHC(=O)NHR31からなる群より別々に選択される;
30およびR31部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群より別々に選択される;
Dは、3員から9員のシクロアルキル、3員から9員のシクロアルケニル;または、N、O、SまたはSOから別々に選択される0から4個のヘテロ原子を有している5員から8員のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、もしくはヘテロシクリル環であり、ここでは、環Dは、非置換であるか、または必要に応じて、1から5個の別々に選択されるR20部分で置換される;
20部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アルキニル、−アルキルアミノ、−アルキルチオカルボキシ、アルキルヘテロアリール、アルキルチオ、アルキルスルフィニル−、−C(=O)−O−アルキル、アミジニル、アラルキル、アラルケニル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アラルキルチオ、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、グアニジニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキサメート、ニトロ、トリフルオロメトキシ、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−アルキニルC(R31OR31、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−C(=NR30)NHR30、−C(=NOH)N(R30、−C(=NOR31)N(R30、−C(=O)OR30、−N(R30、−N(R30)C(=O)R31、−NHC(=O)N(R30、−N(R30)C(=O)OR31、−N(R30)C(=NCN)N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30)SO(R31)、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−N(R30)S(O)N(R30、−OR30、−OC(=O)N(R30、−SR30、−SON(R30、−SO(R31)、−OSO(R31)、および−OSi(R30からなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、2つのR20部分が互いに連結させられて、5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環を形成し、ここでは、上記5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環は、環Dに対して縮合させられ、そして縮合環は、0から4個のR21部分で必要に応じて置換される;そして、
mおよびnは、別々に、1から4までの整数である、化合物。
【請求項34】
請求項1に記載の化合物であって、式中、:
Zは、Nである;
Gは、以下である:
【化65】

Xは、Nである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、アルキル、およびシクロアルキルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、XがNである場合には、NはRおよびRと一緒に、シクロアルキルまたはヘテロシクリルを形成する;
、R、およびRは、−H、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、CF、ハロゲン、およびヒドロキシルからなる群より別々に選択される;
およびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10、R11は、H、アルキル、−N(R30、ハロゲン、またはヒドロキシルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、同じ炭素原子上の2つのR10またはR11部分が一緒に、=Oを形成する;
12は、H、アルキル、ハロアルキル、およびCFからなる群より選択される;
Yは、−(CR1313)−、−CHR13C(=O)−、または−C(=O)−からなる群より選択される;
13部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、またはスピロアルキルからなる群より別々に選択される;
30およびR31部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルキルアリール、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクレニル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールからなる群より別々に選択される;
Dは、フェニル、あるいは、N、O、S、もしくはSOから別々に選択される0から4個のヘテロ原子を有している5員から8員のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、またはヘテロシクリル環であり、ここでは、環Dは、非置換であるか、または必要に応じて、1から5個の別々に選択されるR20部分で置換される;
20部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルキルアリール、アルキニル、−アルキルアミノ、−アルキルチオカルボキシ、アルキルヘテロアリール、アルキルチオ、アルキルスルフィニル−、−C(=O)−O−アルキル、アミジニル、アラルキル、アラルケニル、アラルコキシ、アラルコキシカルボニル、アラルキルチオ、アリール、シアノ、シクロアルキル、シクロアルケニル、グアニジニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキサメート、ニトロ、トリフルオロメトキシ、−(CHOH、−(CHOR31、−(CHNH、−(CHNHR31、−(CHN(R31、−(CHC(=O)NHR31、−(CHSO31、−(CHNHSO31、−(CHSONHR31、−アルキニルC(R31OR31、−C(=O)R30、−C(=O)N(R30、−C(=NR30)NHR30、−C(=NOH)N(R30、−C(=NOR31)N(R30、−C(=O)OR30、−N(R30、−N(R30)C(=O)R31、−NHC(=O)N(R30、−N(R30)C(=O)OR31、−N(R30)C(=NCN)N(R30、−N(R30)C(=O)N(R30)SO(R31)、−N(R30)C(=O)N(R30、−N(R30)SO(R31)、−N(R30)S(O)N(R30、−OR30、−OC(=O)N(R30、−SR30、−SON(R30、−SO(R31)、−OSO(R31)、および−OSi(R30からなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、2つのR20部分が互いに連結させられて、5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環を形成し、ここでは、前記5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環は、環Dに対して縮合させられ、そして縮合環は、0から4個のR21部分で必要に応じて置換される;そして、
mおよびnは、別々に、1から4までの整数である、化合物。
【請求項35】
請求項1に記載の化合物であって、式中、:
Zは、Nである;
Gは、以下である:
【化66】

Xは、Nである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、アルキル、およびシクロアルキルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、XがNである場合には、Nは、RおよびRと一緒に、シクロアルキルまたはヘテロシクリルを形成する;
、R、およびRは、−H、アルキル、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキル、アルコキシ、CF、ハロゲン、およびヒドロキシルからなる群より別々に選択される;
およびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10、R11は、H、アルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロゲン、またはヒドロキシルからなる群より別々に選択されるか、あるいは、同じ炭素原子上の2つのR10またはR11部分が一緒に、=Oを形成する;
12は、H、アルキル、ハロアルキル、およびCFからなる群より選択される;
Yは、−(CR1313)−、−CHR13C(=O)−、または−C(=O)−からなる群より選択される;
13部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルコキシ、またはシクロアルキルからなる群より別々に選択される。
Dは、フェニル、あるいは、N、O、S、もしくはSOから別々に選択される0から4個のヘテロ原子を有している5員から8員のアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクレニル、またはヘテロシクリル環であり、ここでは、環Dは、非置換であるか、または必要に応じて、1から5個の別々に選択されるR20部分で置換される;
20部分は、同じであっても、また異なっていてもよく、それぞれが、H、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボキシアルキル、アミノスルホニルアルキル、カルボキシルアミノアルキル、アセチル、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、ヘテロシクリル、ヒドロキシアルキル、スルホニルメチル、スルホニルアミノ、トリフルオロメトキシからなる群より別々に選択されるか、あるいは、代わりに、2つのR20部分が互いに連結させられて、5員または6員のアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、またはヘテロアリール環を形成する;そして、
mおよびnは、別々に、1から4までの整数である、化合物。
【請求項36】
請求項1に記載の化合物であって、式中、:
Zは、Nである;
Gは、以下である:
【化67】

Xは、NまたはOである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、−CH、−CHCH、シクロプロピル、およびアルキルからなる群より別々に選択される;
、R、Rは、H、−CH、−F、−Cl、−OH、−OCH、−OCF、NH、SOCH、および−CFからなる群より別々に選択される;
およびRは、いずれもHであるか、または、RおよびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10は、−CH、−CHCH、およびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR10部分が一緒に=Oを形成し、そして、mは1から2である;
11は、Hおよびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、あるいは、同じ炭素原子上にある2つのR11部分が一緒に=Oを形成し、そしてnは1である;
12は、HおよびCFからなる群より選択される;
Yは、−CH−および−C(=O)−からなる群より選択される;そして、
Dは、フェニル、または、N、O、S、もしくはSOから別々に選択される0から2個のヘテロ原子を有している6員のヘテロアリールであり、ここでは、環Dは、−Cl、−CH、−C(=O)CH、−C(=O)NH、−F、−OH、OCH、OCF、NH、NH(CH、NHSOCH、SOCH、SONH、およびトリフルオロメチルからなる群より別々に選択される1から2個の部分で置換される、化合物。
【請求項37】
請求項36に記載の化合物であって、式中、:
Zは、Nである;
Gは、以下である:
【化68】

Xは、NまたはOである;
およびRは、別々に、存在しないかまたは存在し、存在する場合には、それぞれが、H、−CH、−CHCH、シクロプロピル、およびアルキルからなる群より別々に選択される;
、R、Rは、H、−CH、−F、−Cl、−OH、−OCH、−OCF、SOCH、および−CFからなる群より別々に選択される;
およびRは、いずれもHであるか、または、RおよびRは、それらが結合させられていると示されている炭素原子と一緒に、=Oである;
10は、−CH、−CHCH、およびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR10部分が一緒に=Oを形成し、そしてmは1から2である;
11は、Hおよびヒドロキシルからなる群より選択されるか、または、同じ炭素原子上にある2つのR11部分が一緒に=Oを形成し、そしてnは1である;
12は、HおよびCFからなる群より選択される;
Yは、−CH−および−C(=O)−からなる群より選択される;そして、
Dは、フェニル、または、N、O、S、もしくはSOから別々に選択される0から2個のヘテロ原子を有している6員のヘテロアリールであり、環Dは、−Cl、−CH、−F、−OH、NH、SOCH、およびトリフルオロメトキシからなる群より別々に選択される1から2個の部分で置換される、化合物。
【請求項38】
以下:
【化69】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩または溶媒和物。
【請求項39】
光学的に純粋な形態である、請求項1または31に記載の化合物。
【請求項40】
精製された形態である、請求項1または31に記載の化合物。
【請求項41】
請求項1または38のいずれかに記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と組み合わせて含まれている、薬学的組成物。
【請求項42】
さらに、CXCR3ケモカイン受容体によって媒介される疾患を処置するための、少なくとも1つの追加の薬剤、薬物、医薬品、抗体、および/または阻害剤が含まれている、請求項41に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
そのような処置が必要な患者においてCXCR3ケモカイン受容体によって媒介される疾患を処置する方法であって、前記患者に対して、治療有効量の、請求項1または38に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを投与する工程が含まれる、方法。
【請求項44】
CXCR3ケモカイン受容体によって媒介される疾患を処置するための少なくとも1つの追加の薬剤、薬物、医薬品、抗体、および/または阻害剤を、薬学的に許容される担体と組み合わせて、同時に、または連続して投与する工程がさらに含まれる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記化合物がCXCR3受容体に結合する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
疾患修飾性抗リウマチ薬;非ステロイド系抗炎症薬;COX−2選択的阻害剤;COX−1阻害剤;免疫抑制剤;ステロイド;PDE IV阻害剤、抗−TNF−α化合物、TNF−α−コンベルターゼ阻害剤、サイトカイン阻害剤、MMP阻害剤、グルココルチコイド、コルチコステロイド、ケモカイン阻害剤、CB2−選択的阻害剤、p38阻害剤、生体応答修飾因子;抗炎症薬および治療薬からなる群より選択される少なくとも1つの医薬品を同時に、または連続して投与する工程がさらに含まれる、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記疾患が炎症性疾患または免疫疾患である、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記炎症性疾患または免疫疾患が、神経変性疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、若年性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、脈管炎、慢性心不全、脳血管虚血、脳炎、髄膜炎、肝炎、腎炎、敗血症、サルコイドーシス、乾癬、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、I型糖尿病、喘息、結膜炎、眼の炎症、耳炎、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎、皮膚炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ベーチェット症候群、肺線維症、子宮内膜症、痛風、ガン、悪液質、ウイルス感染、細菌感染、臓器移植の状態、皮膚移植の状態、および移植片対宿主病からなる群より選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記神経変性疾患がアルツハイマー病である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
そのような処置が必要な患者において、T細胞によって媒介される化学走化を阻害するかまたはブロックする方法であって、前記患者に対して、治療有効量の、請求項1または38に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを投与する工程が含まれる、方法。
【請求項51】
そのような処置が必要な患者において、炎症性腸疾患を処置する方法であって、前記患者に対して、治療有効量の、請求項1または38に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを投与する工程が含まれる、方法。
【請求項52】
スルファサラジン、5−アミノサリチル酸、スルファピリジン、抗−TNF化合物、抗−IL−12化合物、コルチコステロイド、グルココルチコイド、T−細胞受容体特異的治療薬、免疫抑制剤、メトトレキセート、アザチオプリン、および6−メルカプトプリンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を同時に、または連続して投与する工程がさらに含まれる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
そのような処置が必要な患者において、移植片拒絶を処置または予防する方法であって、前記患者に対して、治療有効量の、請求項1または38に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを投与する工程が含まれる、方法。
【請求項54】
シクロスポリンA、FK−506、FTY720、ベータ−インターフェロン、ラパマイシン、マイコフェノレート、プレドニソロン、アザチオプリン、シクロホスファミド、および抗リンパ球グロブリンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を同時に、または連続して、投与する工程がさらに含まれる、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
そのような処置が必要な患者において、多発性硬化症を処置する方法であって、前記患者に対して、治療有効量の:(a)請求項1または38に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)ベータ−インターフェロン、酢酸ガラティラメル、グルココルチコイド、グルココルチコイド、メトトレキセート、アザチオプリン、ミトキサントロン、VLA−4阻害剤、FTY720、抗−IL−12化合物、およびCB2−選択的阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる、方法。
【請求項56】
そのような処置が必要な患者において、多発性硬化症を処置する方法であって、前記患者に対して、治療有効量の:(a)請求項1または38に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)メトトレキセート、シクロスポリン、レフルノミド、スルファサラジン、コルチコステロイド、β−メタゾン、β−インターフェロン、酢酸ガラティラメル、プレドニソン、エタネルセプト、およびインフリキシマブからなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる、方法。
【請求項57】
そのような処置が必要な患者において、関節リウマチを処置する方法であって、前記患者に対して、治療有効量の:(a)請求項1または38のいずれか1項に記載の化合物、あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)非ステロイド系抗炎症薬、COX−2阻害剤、COX−1阻害剤、免疫抑制剤、シクロスポリン、メトトレキセート、ステロイド、PDE IV阻害剤、抗−TNF−α化合物、MMP阻害剤、コルチコステロイド、グルココルチコイド、ケモカイン阻害剤、CB2−選択的阻害剤、カスパーゼ(ICE)阻害剤、および、関節リウマチの処置について示されている他のクラスの化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる、方法。
【請求項58】
そのような処置が必要な患者において、乾癬を処置する方法であって、前記患者に対して、治療有効量の:(a)請求項1または38に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)免疫抑制剤、シクロスポリン、メトトレキセート、ステロイド、コルチコステロイド、抗−TNF−α化合物、抗−IL化合物、抗−IL−23化合物、ビタミンAおよびD化合物、ならびにフマル酸塩からなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる、方法。
【請求項59】
そのような処置が必要な患者において、眼の炎症またはドライアイを処置する方法であって、前記患者に対して、治療有効量の:(a)請求項1または38に記載の化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはエステルのうちの少なくとも1つを、(b)免疫抑制剤、シクロスポリン、メトトレキセート、FK506、ステロイド、コルチコステロイド、および抗−TNF−α化合物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物と同時に、または連続して、投与する工程が含まれる、方法。
【請求項60】
疾患修飾性抗リウマチ薬;非ステロイド系抗炎症薬;COX−2選択的阻害剤;COX−1阻害剤;免疫抑制剤;ステロイド;PDE IV阻害剤、抗−TNF−α化合物、TNF−α−コンベルターゼ阻害剤、サイトカイン阻害剤、MMP阻害剤、コルチコステロイド、グルココルチコイド、ケモカイン阻害剤、CB2−選択的阻害剤、p38阻害剤、生体応答修飾因子;抗炎症薬および治療薬からなる群より選択される少なくとも1つの医薬品を同時に、または連続して、前記患者に対して投与する工程がさらに含まれる、請求項58に記載の方法。

【公表番号】特表2009−543782(P2009−543782A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519535(P2009−519535)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/015924
【国際公開番号】WO2008/008453
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【出願人】(501249331)ファーマコピア, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】