説明

D−ソルボースを有効成分とする生体機能改善剤、それを含有する組成物ならびにこれらを含む飲食品等

【課題】 味質を変化させ、砂糖のように飲食物に広範囲に使用できる味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料、特に低カロリー甘味料の提供。
【解決手段】 D−ソルボースに、糖アルコールおよび/または高甘味度甘味料および/またはヘキソースおよび/またはショ糖を含有せしめたことを特徴とする味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料。前記糖アルコールは、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトールおよびエリスリトールからなる群から選ばれる。
前記高甘味度甘味料は、アスパルテーム、アセスルファムK、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロース(登録商標)、ステビア甘味料、ズルチン、タウマチン、ネオタームおよびモネリンからなる群から選ばれる。前記ヘキソースは、グルコース、フラクトース、D-タガトース、D-プシコースからなる群から選ばれる。D−ソルボース100重量部に対し、糖アルコールおよび/もしくはショ糖および/もしくはヘキソースの使用量は、5〜2,000重量部、高甘味度甘味料の使用量は、0.003〜5重量部である上記いずれかの甘味料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、D−ソルボースを有効成分とする生体機能改善剤、それを含有する組成物ならびにこれらを含む飲食品等に関する。
【背景技術】
【0002】
砂糖は甘味質が良好で多くの人に好まれている甘味料であるが、近年この砂糖の過剰摂取により、肥満や様々な生活習慣病の原因となることが指摘されている。このような背景の中で、健康志向の観点から、低カロリーの甘味料が開発されている。そのため、ショ糖、グルコース、フラクトースなどの資化性糖の使用を減らした甘味料の開発が望まれている。
【0003】
更に、近年の高まる健康ブームや特定保健検診など社会的な要請により、種々の生体機能を改善する飲食品や薬品が求められている。近年、日本においても食生活の欧米化および生活習慣の変化に伴い、糖尿病、肥満、便秘、高尿酸血症、肝機能異常などの疾病が増加している。それらの疾病の予防を目的として特定保健用食品をはじめとするさまざまな健康食品の需要が高まっており、食品の生理機能があらためて注目を集めている。特に希少糖はこれまでに種々の生理作用を持つことが知られ、食品の機能を高める素材として注目されている(非特許文献1)。
【0004】
一方、糖アルコール、高甘味度甘味料、D−タガトース、D-プシコースはカロリー的に非常に低く、砂糖代替の甘味料として使用されている。しかし糖アルコール類は砂糖と比較すると食した時の前半味切れが良すぎたり、後味が好ましくなかったりすることがある。D−タガトース、D-プシコースに関しても、味質は改良の余地が残っている。
【0005】
また砂糖の数百倍以上の甘味を持つ高甘味度甘味料は少量の添加で目的とする甘味を発現させることが可能であることから、低カロリーの甘味料として使用されているが、甘味の立ち上がりが遅かったり、特有の苦味があったりという欠点をもつため、単独での使用は少なく、これらの甘味料を組み合わせて使用するのが一般的である。例えば、アスパルテームやアセスルファムKやスクラロース(登録商標)などの高甘味度甘味料は、その高い甘味倍率から甘味料としてダイエット飲食品に幅広く使用されている。しかし、消費者は砂糖や果糖ブドウ糖液糖を使用した、いわゆるレギュラー品の味に長年慣れ親しんでおり、上記高甘味度甘味料を用いた食品の甘味には不快感を示す者もいる。これら3種類の高甘味度甘味料については、トレハロースやエリスリトールなどの併用(特許文献1)、食物繊維の併用(特許文献2)、あるいはα−グルコシル化ステビア抽出物との併用(特許文献3)をはじめ種々検討されているが、砂糖や果糖ブドウ糖液糖の味に慣れ親しんだ消費者の嗜好を満足するには至っていないのが現状である。
【0006】
D-ソルボースは、生理的にさまざまな効果が期待されるが、甘味度は砂糖の70%で、口に入れたときの前半の甘味が早く出るものの後半の甘味が早く消え、実際の食品等に使用する場合、味覚の面で十分満足いくものではない。
またこれまで、甘味料としての味覚の改良がなされたことはなく、その改良された甘味を利用した製品も存在しない。また、生理活性に関しては、2糖類分解酵素の阻害メカニズムに関する食後血糖低下作用が、報告されているのみで、長期間摂取した場合の生理活性の検討や、その利用例、作用量に関してはこれまで知られていない(特許文献4)。また、L-ソルボースに関して、脂肪が付かない旨の報告はあるが、D-ソルボースとは、別の化合物である(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−51723号公報
【特許文献2】特開2004−41118号公報
【特許文献3】特開2002−34501号公報
【特許文献4】特開2007−99636号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】生物工学会誌 86(9)2008、427−442
【非特許文献2】Comp.Biochem.Physiol 96 1989, 813-817
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
主要なカロリー源の一つであり、かつ食品上重要な甘味料である砂糖、異性化糖などの資化性糖の摂取量をどのように減らすか、あるいは資化性糖に替えて低カロリーでしかも砂糖に比べて遜色のない呈味性を有する甘味料を開発することが、大きな課題となっている。さらに、近年の傾向として機能性をも併せ持った食品の開発が望まれている。
【0010】
そこで、本発明は、D−ソルボースの持つ甘味不足や、甘さの持続不足、多量使用による味の重たさ等の問題点を改良し、味質を変化させ、砂糖のように飲食物に広範囲に使用できる味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料、特に低カロリー甘味料を提供することを目的とする。
また、本発明は、D−ソルボースの機能性を明らかにすることによって、該味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料を用いて、嗜好性に優れた、かつ機能性を持ちカロリーを制限した飲食品、その他甘味を付与された製品(医薬品もしくは医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品など)を提供することを目的とする。
さらにまた、本発明は、D-ソルボースおよび/またはその誘導体を有効成分とする生体機能性改善剤、その改善剤を組成物全体の3重量%以上含有した生体機能改善組成物、およびその組成物を含有する飲食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一般的に単一成分の甘味料に比較して、混合糖は甘味のピーク幅が広がり丸い甘味特性を示すことが知られている。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意検討を行った結果、D−ソルボースに糖アルコールおよびまたは高甘味度甘味料およびまたはヘキソースおよびまたはショ糖を組み合わせることによりD−ソルボースの甘味の不足や、甘味の持続を改善するとともに、糖アルコールや高甘味度甘味料、ヘキソース、ショ糖特有の味質、高カロリーという欠点をも補い良好な味質が表現できることを見出し本発明に至った。さらに、D−ソルボースの機能性を見いだし、機能性をも持つ甘味料として、機能性を持つ甘味料同士の組み合わせにより機能性を高めた甘味料として本発明を完成した。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
すなわち、本発明は、以下の(1)の生体機能改善剤および(2)の生体機能改善組成物を要旨とする。
(1)D-ソルボースおよび/またはその誘導体を有効成分とする体重増加抑制、および/または内臓脂肪及び体脂肪蓄積の一以上の改善、および/またはプレバイオティックス作用、血清尿酸値の低下及び肝機能改善作用の一以上の改善、および/または糖代謝改善剤。
(2)上記の(1)に記載の改善剤を組成物全体の3重量%以上含有し、体重増加抑制、内臓脂肪及び体脂肪蓄積の一以上の改善、および/またはプレバイオティックス作用、および/または血清尿酸値の低下及び肝機能改善作用の一以上の改善、および/または糖代謝改善を示す生体機能改善組成物。
【0018】
また、本発明は、上記の生体機能改善組成物を含有する以下の(3)の飲食品、その他の製品を要旨とする。
(3)上記の(2)に記載の生体機能改善組成物を含有する飲食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品。
【発明の効果】
【0019】
本発明によりD−ソルボースを用いて、低カロリーで機能性を持ち、しかも砂糖に比べて遜色のない呈味性を有する甘味料を提供することができる。D−ソルボースと、糖アルコールおよびまたは高甘味度甘味料およびまたはヘキソースおよびまたはショ糖を組み合わせることにより、D−ソルボースの持つ甘味や持続不足、多量使用による味の重たさ等の問題点を改良し、味質を変化させ、砂糖のように飲食物に広範囲に使用できる低カロリー甘味料を提供することができる。
【0020】
また、本発明により、味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料を用いて、嗜好性に優れた、かつ機能性を持ったカロリーを制限した飲食品、その他甘味を付与された製品を提供することができる。本発明によりD−ソルボースが体重増加抑制、および/または内臓脂肪及び体脂肪蓄積の改善、および/またはプレバイオティックス作用、および/または血清尿酸値の低下及び肝機能改善作用の一以上の改善、および/または糖代謝改善を示すことを明らかにしたことから、日常的摂取により摂取者の健康増進に役立ち尚かつD−ソルボースの持つ甘味によりこれまでの甘味料の欠点を抑制することが可能である。なお、糖代謝改善に関しては、特許文献4の食後血糖上昇抑制効果が明らかにされているが、本作用は、それとは異なり、D-ソルボース摂取による随時血糖値、随時インスリン値の低値推移を明らかにしそれを利用しているものである。
【0021】
本発明により、提供される低カロリー甘味料は、適度な甘味質を有し、溶解性に富み、低カロリーであるので、飲料、キャンディー、冷菓、ヨーグルト、チョコレートなどに広く飲食物に使用できる。また、医薬品の基材(糖衣錠など)、医薬部外品等の甘味付けにも適したものである。したがって、本発明は、該味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料を用いて、嗜好性に優れた、かつ機能性を持ちカロリーを制限した飲食品、その他甘味を付与された製品を提供することができる。
【0022】
また、本発明により、D-ソルボースおよび/またはその誘導体を有効成分とする生体機能性改善剤(体重増加抑制、および/または内臓脂肪及び体脂肪蓄積の一以上の改善、および/またはプレバイオティックス作用、および/または血清尿酸値の低下及び肝機能改善作用の一以上の改善、および/または糖代謝改善剤)、その改善剤を組成物全体の3重量%以上含有した生体機能改善組成物、およびその生体機能改善組成物を含有する飲食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料、特に機能性を持った低カロリー甘味料の態様を具体的に示すと以下のとおりである。
1. D−ソルボースおよび糖アルコールからなる味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料、特に低カロリー甘味料。
2. 前記糖アルコールが、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、またはそれらの2以上の組み合わせからなる前記1の甘味料。
【0024】
3. D−ソルボースおよび高甘味度甘味料からなる味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料、特に低カロリー甘味料。
4. 前記高甘味度甘味料が、アスパルテーム、アセスルファムK、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア甘味料、ズルチン、タウマチン、ネオターム、モネリン、またはそれらの2以上の組み合わせからなる前記3の甘味料。
【0025】
5. D−ソルボースおよびヘキソースからなる味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料、特に低カロリー甘味料。
6.前記ヘキソースが、グルコース、フラクトース、D-タガトース、D-プシコースまたはそれらの2以上の組み合わせからなる前記5の甘味料。
7. D−ソルボースおよびショ糖からなる味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料、特に低カロリー甘味料。
8. 体重増加抑制、および/または内臓脂肪、体脂肪蓄積の一以上の改善、および/またはプレバイオティックス作用、および/または血清尿酸値の低下及び肝機能改善作用の一以上の改善、および/または糖代謝改善を示すD−ソルボースを含有する甘味料。
【0026】
本発明でいうD−ソルボースとは、D-フラクトースからエピメラーゼによって酵素的に生産されたもので、完全に精製されたものでも良いし、酵素的に生産される際に少量含まれる不純物を含んだものでもよい。すなわち、比較的容易には、例えば、エピメラーゼを用いた手法(例えば、特開平6-125776号公報参照)により調製される。また、化学的に製造されたものでも良い(J. Am. Chem. Soc. 1955. 77. 3323-3325)
得られたD−ソルボース液は、必要により、例えば、除蛋白、脱色、脱塩などの方法で精製され、濃縮してシラップ状のD−ソルボース製品を採取することができ、さらに、カラムクロマトグラフィーで分画、精製することにより99%以上の高純度の標品も容易に得ることができる。このようなD−ソルボースは単糖としてそのまま利用できる。
【0027】
生体機能改善剤の場合、D-ソルボースは、D-ソルボースおよび/またはその誘導体として用いることができる。
【0028】
本発明で用いるD−ソルボースの誘導体について説明する。ある出発化合物から分子の構造を化学反応により変換した化合物を出発化合物の誘導体と呼称する。D−ソルボースを含む六炭糖の誘導体には、様々なものがあるが、例えばアミノ糖(糖分子のOH基がNH基で置換されたもの、グルコサミン、コンドロサミン、配糖体などがある)などがあるが、それらに限定されるものではない。
【0029】
本発明でいう糖アルコールとは、糖のアルデヒドおよびケトン基を還元して、それぞれ第一・第二アルコール基とした多価アルコールのことであり、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、アラビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、パラチニット、マルチトールを主成分とする還元麦芽糖水飴やマルチトールシロップ、還元マルトオリゴ糖、還元イソマルトオリゴ糖などをいう。
【0030】
D−ソルボース含有甘味料の場合、D−ソルボース100部に対し、糖アルコールの使用量は、5〜2,000部が望ましい。この範囲では、前半の甘味の立ちと後半の甘味のバランスがよい。5部以下では、全体の甘味が物足りなく目的の甘味料は得られなく、2,000部以上では、糖アルコールの好ましくない後味が強くなる。また、30〜300部がより好ましい。
【0031】
本発明でいう高甘味度甘味料とは砂糖の数十倍から数百倍の甘味を持つ甘味料であり、アスパルテーム、アセスルファムK、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロース(登録商標)、ステビア甘味料、ズルチン、タウマチン、ネオターム、モネリンなどが挙げられる。
【0032】
D−ソルボース100部に対し、高甘味度甘味料の使用量は、0.003〜5部が望ましい。この範囲では、前半の甘味の立ちと後半の甘味のバランスがよい。0.003部以下では、全体の甘味が物足りなく、5部以上では、高甘味度甘味料の苦味が出たり後甘味が強すぎ好ましくない。また、0.05〜1.5部がより好ましい。
【0033】
本発明でいうショ糖とは、一般的なグラニュウ糖を含む砂糖であるが、原料、精製度合い、製造法によって違う種類は問わない。D-グルコース、D-フラクトース、D−タガトース、D-プシコースに関しても、特に形態は問わない。
【0034】
D−ソルボース100部に対し、ショ糖および/もしくはヘキソースの使用量は、5〜2,000部が望ましい。この範囲では、ショ糖の持つバランスの良い甘味を生かすことが出来る。また、30〜300部がより好ましい。甘味の不足分は、糖アルコール、高甘味度甘味料、D-フラクトースなどを加え調整しても差し支えない。
D−ソルボースの持つ機能性に関しては、3%(w/w)以上の含量により効果を示す。
【0035】
さらに本発明でいう低カロリー甘味料の形態は、粉末、微粉、顆粒、結晶、錠剤等の固形物、水溶液、溶液などのいずれの形態でも良い。またこの製造方法についても特に制限されるものではない。さらに、本発明の目的を阻害しない範囲で、さらに別の甘味成分や呈味成分ではない増量剤や、担体等として使用するものを含有することができる。
また、D−ソルボースと、糖アルコールおよびまたは高甘味度甘味料およびまたはヘキソースおよびまたはショ糖は、あらかじめ混合しても良いが、場合によれば、別々に添加しても良い。要は、最終飲食物などに、D−ソルボースと、これら甘味料が共存すれば良い。
【0036】
さらに本発明は、上記の本発明の味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料、特に機能性を持った低カロリー甘味料を使用して得られたことを特徴とする飲食品、その他甘味を付与された製品がある。
【0037】
本発明でいう飲食物とは、飲料、キャンディー、冷菓、ヨーグルト、チョコレートなど甘味を必要とする食品全般を言う。その他甘味を付与された製品には医薬品、口腔用組成物などの甘味を付与された製品を言う。すなわち、本発明の味質の改良されたD−ソルボース含有甘味料、特に低カロリー甘味料は、D−ソルボースの持つ甘味の持続不足や多量使用による味の重たさ等の問題点を改良し、味質を変化させ、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味など、各種の物質の他の呈味とよく調和し、普通一般の飲食物の甘味付、呈味改良に、また品質改良などに広範囲に使用できる。
【0038】
例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼き肉のタレ、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなど各種調味料への甘味料として、また、呈味改良剤、品質改良剤などとして有利に利用できる。
また、例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、まんじゅう、ういろう、あん類、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディーなどの各種洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷菓子、果実のシロップ漬、氷蜜などのシロップ類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペーストなどのペースト類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖菓などの果実、野菜の加工食品類、パン類、麺類、米飯類、人造肉などの穀類加工食品類、福神漬、べったら漬、千枚漬、らっきょう漬などの漬物類、たくわん漬の素、白菜漬の素などの漬物の素類、ハム、ソーセージなどの畜産製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、天ぷらなどの魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢コンブ、さきするめ、ふぐのみりん干しなどの各種珍味類、のり、山菜、するめ、小魚、貝などで製造される佃煮類、煮豆、ポテトサラダ、コンブ巻などの惣菜食品、乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜の瓶詰め、缶詰類、合成酒、果実酒、洋酒、リキュールなどの酒類、コーヒー、ココア、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミックス、ホットケーキミックスなどのプレミックス粉類、即席ジュース、即席コーヒー、即席汁粉、即席スープなど即席飲食品などの各種飲食物への甘味料として、また、呈味改良剤、品質改良剤などとして有利に利用できる。
特に機能性を持たせた低カロリー化されるべき飲料としては、コーラなどの炭酸飲料、スポーツ飲料、果汁飲料、乳性飲料、茶系飲料などを挙げることができるが、特に大量飲用により肥満の問題の生ずる炭酸飲料が格好のターゲットと言うことができる。
【0039】
上記飲食物は、機能性食品、栄養補助食品或いは健康食品類としても用いることができる。その形態は、特に限定されるものではなく、例えば、食品の製造例としては、アミノ酸バランスのとれた栄養価の高い乳蛋白質、大豆蛋白質、卵アルブミンなどの蛋白質、これらの分解物、卵白のオリゴペプチド、大豆加水分解物などの他、アミノ酸単体の混合物などを、常法に従って使用することができる。また、ソフトカプセル、タブレットなどの形態で利用することもできる。
【0040】
栄養補助食品或いは機能性食品の例としては、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、化剤、香料などが配合された流動食、半消化態栄養食、成分栄養食、ドリンク剤、カプセル剤、経腸栄養剤などの加工形態を挙げることができる。上記各種食品には、例えば、スポーツドリンク、栄養ドリンクなどの飲食物は、栄養バランス、風味を良くするために、更にアミノ酸、ビタミン類、ミネラル類などの栄養的添加物や組成物、香辛料、香料、色素などを配合することもできる。
【0041】
医薬品の甘味を付与する例として糖衣錠を挙げることができる。糖衣錠は、薬品の味やにおいを表面の糖衣層で隠蔽しているため服用が容易で外観にも優れており、しかも防湿効果もあるため、固形製剤等の医薬品や食品として広く用いられている。糖衣錠の製造は、一般にショ糖溶液を錠剤に塗布して乾燥させる工程を繰り返して糖衣層の形成を終了させ、錠剤の形状を楕円状に整えてからワックスを塗布し、艶出しを行って糖衣錠とするものである。
一般に糖衣用ショ糖溶液としては、基剤となるショ糖に、糖衣錠の糖衣層の強度を高めるために結合剤としてゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドンなどを添加したものが使用されている。また必要に応じてタルク、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムなどの粉剤が添加されている。医薬品で特に内服薬で臭いが強くて飲みにくいもの、苦みが強くて飲みにくいものを糖衣錠にして改善している。糖衣錠に用いられる糖に換えて、あるいはその糖に加えて本発明の低カロリー甘味料を用いることができる。医薬品にはよく知られているように他にも飲みにくいものはいろいろとある。バリウムは独特の臭いと味がするので、すでに何らかの添加物で飲みやすくしているが、さらに改善できる可能性がある。こうした液状の薬や診断補助剤で飲みにくいものに甘味を与えて飲みやすくするのに、本発明の低カロリー甘味料を利用することも可能である。薬では粉末状のものもあり、同様に本発明の低カロリー甘味料を添加すると飲みやすくなる可能性がある。
【0042】
口腔用組成物の甘味を付与する場合、本発明の低カロリー甘味料を配合し、常法により製造することができ、練歯磨、液状歯磨、洗口液の甘味付けに最適である。本発明において、口腔用組成物とは、口中で咀嚼したり、含嗽したりするものをいい、例えば、チューインガム、キャンディー、錠菓、フィルム菓子などの食品;練り歯磨き剤、液状歯磨き剤、洗口剤などの医薬品などが挙げられる。
【0043】
本発明の組成物は、食品、保健用食品、患者用食品、食品素材、保健用食品素材、患者用食品素材、食品添加物、保健用食品添加物、患者用食品添加物、飲料、保健用飲料、患者用飲料、飲料水、保健用飲料水、患者用飲料水、薬剤、製剤原料、飼料、患畜および/または患獣用飼料になど、生体機能の改善効果を必要とするものすべてに使用することができる。
【0044】
本発明の組成物を食品に利用する場合、そのままの形態、オイルなどに希釈した形態、乳液状形態食、または食品業界で一般的に使用される担体を添加した形態などのものを調製してもよい。飲料の形態は、非アルコール飲料またはアルコール飲料である。非アルコール飲料としては、例えば、炭酸系飲料、果汁飲料、ネクター飲料などの非炭酸系飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、茶、コーヒー、ココアなど、また、アルコール飲料の形態では薬用酒、酎ハイ、梅酒、ビール、発泡酒、第3ビールなどの一般食品の形態を挙げることができる。
本発明の組成物の、前記生体作用改善を目的とした食品素材あるいは食品添加物としての使用形態としては、錠剤、カプセル剤、飲料などに溶解させる粉末あるいは顆粒などの固形剤、ゼリーなどの半固形体、飲料水などの液体、希釈して用いる高濃度溶液などがある。
さらに、本発明の組成物を適宜食品に添加して生体機能改善などを目的とした保健食または病人食とすることができる。任意的成分として、通常食品に添加されるビタミン類、炭水化物、色素、香料など適宜配合することができる。食品は液状または固形の任意の形態で食することができる。ゼラチンなどで外包してカプセル化した軟カプセル剤として食することができる。カプセルは、例えば、原料ゼラチンに水を加えて溶解し、これに可塑剤(グリセリン、D-ソルビトールなど)を加えることにより調製したゼラチン皮膜でつくられる。
【0045】
本発明の組成物は、家畜、家禽、ペット類の飼料用に応用することができる。例えば、ドライドッグフード、ドライキャットフード、ウェットドッグフード、ウェットキャットフード、セミモイストドックフード、養鶏用飼料、牛、豚などの家畜用飼料に配合することができる。飼料自体は、常法に従って調製することができる。
これらの治療剤および予防剤は、ヒト以外の動物、例えば、牛、馬、豚、羊などの家畜用哺乳類、鶏、ウズラ、ダチョウなどの家禽類、は虫類、鳥類或いは小型哺乳類などのペット類、養殖魚類などにも用いることができる。
【0046】
本発明の組成物の生体機能改善効果を生かした薬剤は、これらを単独で用いるほか、一般的賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤などの適当な添加剤を配合し、液剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、軟膏剤、貼付剤、散布剤、スプレー剤または注射剤等の適当な剤型を選んで製剤し、経口的、経鼻的、経皮的あるいは経静脈的に投与することができる。
【0047】
経口投与、経鼻投与、経皮投与または経静脈投与に適した医薬用の有機又は無機の固体、半固体又は液体の担体、溶解剤もしくは希釈剤を、本発明の組成物を薬剤として調製するために用いることができる。水、ゼラチン、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、動・植物油、ベンジルアルコール、ガム、ポリアルキレングリコール、石油樹脂、ヤシ油、ラノリン、又は医薬に用いられる他のキャリアー(担体)は全て、本発明の組成物を含む薬剤の担体として用いることができる。また、安定剤、湿潤剤、乳化剤や、浸透圧を変えたり、配合剤の適切なpHを維持するための塩類を補助薬剤として適宜用いることができる。
【0048】
また、化粧品等の製剤化に、可溶性フィルムが使用されるようになってきている。例えば、香料等を保持させたフレーバーフィルム等として気分転換、口臭予防等を目的として、可食性の可溶性フィルムが使用されている。また、保湿剤等を保持させた化粧品用フィルムを、パックとして使用したり、水に溶解して乳液として使用するといったアイディアも出されている。更に、抗炎症剤等を保持させて湿布薬として使用したりすることも検討されている。食品、医薬品等の包装材として、又食品、医薬品等の有効成分を保持する担体として、優れた溶解性とフィルム特性を示し、これらの用途に好適に用いることができる可溶性フィルムが提案されており(特開2007−91696号公報)、このようにして、本発明の組成物を医薬品もしくは医薬部外品、化粧品に適応することができる。
【0049】
本発明を試験例および実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によってなんら限定されるものではない。
試験例1−16に関しては、パネラーの構成は、30歳代〜40歳代の味覚に精通した5名であり、各パネラーが、後半の甘味の持続、甘味のバランスの良さおよび濃厚感についてそれぞれの強さおよび良さの順に加点して順位付けをした(すなわち、数値が大きいほど順位が高いことを示す)。
【0050】
試験例1
表1の処方に従い、試料を調製した(比較例1,2および試験例1〜5)。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表1〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
まず、D−ソルボースの甘味度を官能検査により調べたが、その結果、D−ソルボースの甘味度はショ糖の70%と決定した。味質は、フラクトースに近く、甘味の持続性が比較的乏しいものであった。表1の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例1−5で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0053】
試験例2
表2の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表2〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
表2の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0056】
試験例3
表3の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表3〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0057】
【表3】

【0058】
表3の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
試験例4
【0059】
表4の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表4〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0060】
【表4】

【0061】
表4の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0062】
試験例5
表5の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表5〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0063】
【表5】

【0064】
表5の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0065】
試験例6
表6の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表6〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0066】
【表6】

【0067】
表6の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0068】
試験例7
表7の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表7〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0069】
【表7】

【0070】
表7の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0071】
試験例8
表8の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表8〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0072】
【表8】

【0073】
表8の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0074】
試験例9
表9の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表9〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0075】
【表9】

【0076】
表9の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0077】
試験例10
表10の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表10〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0078】
【表10】

【0079】
表10の結果より、試験例得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0080】
試験例11
表11の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表11〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0081】
【表11】

【0082】
表11の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0083】
試験例12
表12の処方に従い、試料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表12〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0084】
【表12】

【0085】
表12の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0086】
これらのことから、D−ソルボース100重量部に対し、糖アルコール、ショ糖および/もしくはヘキソースの使用量は、5〜2,000重量部、高甘味度甘味料の使用量は、0.003〜5重量部程度の組み合わせで使用すると単独で使用するよりも味質の改善された甘味料が得られることが明らかとなった。
【0087】
試験例13
表13の処方に従い、酸性飲料を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜3を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表13〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0088】
【表13】

【0089】
表13の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例1〜3で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0090】
試験例14
表14の処方に従い、冷菓を調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜5を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表14〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0091】
【表14】

【0092】
表14の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例2〜4で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0093】
試験例15
表15の処方に従い、ヨーグルトを調製した。得られた比較例1〜2と試験例1〜3を、パネラーに試飲させ官能評価を行った。甘味料官能試験結果を表15〔処方および結果(単位:g)〕に示す。
【0094】
【表15】

【0095】
表15の結果より、試験例で得られた甘味料は、組み合わせていない比較例1、2と比較すると試験例1〜3で後半の甘味の持続、甘味のバランス、濃厚感が改善されていることが判った。
【0096】
これらのことから、飲料、冷菓、ヨーグルトの甘味料として、D−ソルボースを糖アルコール、高甘味度甘味料、ヘキソース、ショ糖と組み合わせて使用すると味質が改善されることが明らかとなった。
【実施例1】
【0097】
〈D−ソルボースを含有する組成物の生体機能改善効果〉
D−ソルボースを含有する組成物の生体改善効果について、ラットを用いて検討を行った。
【0098】
[実験方法]
実験動物としては、3週齢の雄性Sprague-Dawley ラットを用いた。餌組成を表1に示す。群としては、コントロール群、D−ソルボース群(3%添加)とした。実験飼料(表16)と水を自由摂取とし4週間飼育した。体重は毎週測定した。飼育終了後、解剖を行った。解剖時に採血および、内臓および体脂肪を採取しその重量を測定した。また、盲腸を取り出し、pH及び重量を測定した。
【表16】

【0099】
結果を表17(体重の変化)、表18(体脂肪値の比較)、表19(盲腸内pH及び重量の比較)、表20(尿酸値の低下作用)、表21(肝機能改善作用)、表22(糖代謝改善機能)に示す。
【0100】
【表17】

【0101】
【表18】

【0102】
【表19】

【0103】
【表20】

【0104】
【表21】

【0105】
【表22】

【0106】
[結果について]
Sprague-Dawleyラットの解剖時の平均体重は、コントロール群325.9g、D-ソルボース群320.7gであり、全ての週で、体重の増加量の減少が認められた。脂肪減少量に関しても、腹部、後腹部、精巣周囲の全ての部位で、コントロール群に比較して、D-ソルボース摂取群で、重量の減少が認められた。この内、腹部脂肪については有意傾向が認められたことから、特に内臓脂肪に対しての減少効果が大きいことが明らかとなった。また、D-ソルボースの発酵性に関しても、D-ソルボース群において、盲腸内pHの有意な低下(pH<0.05)及び重量増加(pH<0.01)が認められた。このことから、D-ソルボースの腸内細菌への有効利用(プレバイオテックス作用)が示され、ヒトが摂取した際の腸内環境改善作用が期待される。更に、血清の測定においては、尿酸値の有意な低下作用(pH<0.05)が認められたことから、尿酸値の高い場合や、それによる腎機能低下などにD-ソルボースが有効であることが明らかとなった。更に、肝機能値の指標であるGOT、GPT値の低下作用〔この内GOT値は有意な低下(pH<0.05)〕も認められたことから、D-ソルボースが肝機能の改善効果を有することが示された。
一方、随時血糖値、随時インスリン値の測定においても、コントロール群と比較して、D-ソルボース群で、低下作用が認められ、この内、血糖値は有意傾向、インスリン値が有意な低下(pH<0.05)を示した。このことから、D-ソルボースは随時インスリン値の低下作用が大きく、3%以上の投与量で肥満から誘発されるインスリン抵抗性に対して特に有効であることが示された。
血清脂質においても、トリグリセリド値の低下(コントロール群:158.3±16.3、D-ソルボース群:136.5±14.4)、HDLコレステロール値の上昇(コントロール群:49.6±1.7、D-ソルボース群:53.0±3.0)が認められ、血清脂質の改善効果も併せ持つことが示唆された。
エサの摂餌量は、両群で差は認められなく、実験中の観察からは、動物の行動にも顕著な変化は認められなかった。
以上の結果から、希少糖の一種であるD−ソルボースは、生体機能の幾つかのパラメーターを改善することが明らかとなった。更に、本実験から、D-ソルボースが小腸で全て吸収されるものではなく、盲腸に流れ込み発酵を受けていることが明らかとなった。よってカロリー的にもグルコース、フラクトースの様な資化性糖よりも低いものであり(低エネルギー)、このことは体重、体脂肪の減少からも支持される。
以上の実施例から明らかなように、本発明の組成物を含有する飲食料品は、味質が改善され違和感なしで飲食することのできるうえ、生体機能改善効果を有するものである。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明により、味質の改善されたD-ソルボース含有組成物が得られ、また、同時に生体機能改善作用を持つ新規組成物を提供することができる。
本発明にかかる甘味料等は、甘味料等含有食品と一緒に摂取すれば、生体機能が改善され、体重増加抑制、および/または内臓脂肪及び体脂肪蓄積の一以上の改善、および/またはプレバイオティックス作用、および/または血清尿酸値の低下及び肝機能改善作用の一以上の改善、および/または糖代謝改善効果が期待でき、今後の高齢化社会における医療費削減に寄与するものと考えられる。
現在、特殊な機能を強調した様々な加工食品が開発され、保健機能食品として市販されているが、本発明にかかる生体機能性甘味料等を用いれば、副作用等がなく安全性が高い、生体機能改善のための食品等の保健機能食品を開発可能であるため、その需要は高まるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
D-ソルボースおよび/またはD−ソルボースのアルコール基がNH2基で置換されたアミノ糖からなるその誘導体を有効成分とする体重増加抑制、および/または内臓脂肪及び体脂肪蓄積の一以上の改善、および/またはプレバイオティックス作用、血清尿酸値の低下及び肝機能改善作用の一以上の改善、および/または糖代謝改善剤。
【請求項2】
請求項1に記載の改善剤を組成物全体の3重量%以上含有し、体重増加抑制、および/または内臓脂肪及び体脂肪蓄積の一以上の改善、および/またはプレバイオティックス作用、および/または血清尿酸値の低下及び肝機能改善作用の一以上の改善、および/または糖代謝改善を示す生体機能改善組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の生体機能改善組成物を含有する飲食品、健康食品、医薬品、医薬部外品、口腔用組成物、または化粧品。




【公開番号】特開2012−236856(P2012−236856A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−186720(P2012−186720)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【分割の表示】特願2009−25555(P2009−25555)の分割
【原出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000188227)松谷化学工業株式会社 (102)
【Fターム(参考)】