説明

DC/DCコンバータ及び車両用電源装置

【課題】一つの出力部に対して複数の入力系統が設けられ、かつ各入力系統で使用されるチョークコイル全体としての体格を小さくして、コンバータ全体として小型化をする。
【解決手段】DC/DCコンバータは一つの出力部10に対して、フルブリッジ型DC/DCコンバータからなる第1入力系統11及び昇圧チョッパ型DC/DCコンバータからなる第2入力系統12が並列に接続されている。第1入力系統11に設けられた第1のチョークコイル17及び第2入力系統12に設けられた第2のチョークコイル19が共通のコア20に巻回されている。制御装置21により通常は第1入力系統11から入力が行われ、第1入力系統11からの入力が不能なときに第2入力系統12から入力が行われるように切換えられる。第2入力系統12にはリレーRyが設けられ、第1入力系統11の動作時にはリレーRyは開状態に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DCコンバータ及び車両用電源装置に係り、詳しくは一つの出力部に複数の入力系統を備えたDC/DCコンバータ及び車両用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジン及びモータを駆動源として備えたハイブリッド自動車が実用化されている。ハイブリッド自動車では、車両駆動用モータの電源としての高圧電源と、他の電装品の電源としての低圧電源とを備えている。本願発明者は、一部の電装品への電力供給を通常は高圧電源から行い、高圧電源からの供給ができなくなったときに低圧電源から行うことを考えた。その場合、一つの出力部に対して複数の入力系統が互いに並列に接続された構成のDC/DCコンバータを設けるのが好ましく、各入力系統にチョークコイルが必要になる。1kW〜2kW級のDC/DCコンバータで使用するチョークコイルは体格が大きく、同一筐体内に二つのチョークコイルを収容するとDC/DCコンバータの筐体の体格が大きくなる。
【0003】
トランスの二次側に第1二次巻線及び第1チョークコイルを備えた第1二次側回路と、第2二次巻線及び第2チョークコイルを備えた第2二次側回路とを備え、第1チョークコイル及び第2チョークコイルが単一のコアに巻回された構成の多出力直流電源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、回路の部品点数の削減及び装置の小型化を図った絶縁スイッチングDC/DCコンバータが提案されている(特許文献2参照。)。このDC/DCコンバータは、図2に示すように、絶縁トランス61の一次コイル62と並列に入力チョークコイル63が接続されている。絶縁トランス61の二次コイル64と直列に出力チョークコイル65が接続されている。入力チョークコイル63及び出力チョークコイル65は絶縁トランス61と一体化されており、共通のコアに入力チョークコイル63、出力チョークコイル65、一次コイル62及び二次コイル64が巻回されている。
【特許文献1】特開平5−15152号公報(明細書の段落[0002]、[0003]、図1,3)
【特許文献2】特開2004−297995号公報(明細書の段落[0024]、[0025]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの出力部に対して複数の入力系統が互いに並列に接続された構成のDC/DCコンバータにおいて、各入力系統のチョークコイルを独立した構成にすると、チョークコイルの体格が大きな場合、DC/DCコンバータを収容する筐体の体格も大きくなる。
【0006】
特許文献1及び特許文献2には二つのチョークコイルを共通のコアに巻回する構成は開示されている。しかし、特許文献1及び特許文献2は、いずれも一つの出力部に対して複数の入力系統が互いに並列に接続された構成のDC/DCコンバータを示唆することはなんら記載されていない。
【0007】
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は一つの出力部に対して複数の入力系統が設けられ、かつ各入力系統で使用されるチョークコイル全体としての体格を小さくして、DC/DCコンバータ全体として小型化をすることができるDC/DCコンバータ及び車両用電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、一つの出力部に対して複数の入力系統が互いに並列に接続されたDC/DCコンバータであって、前記各入力系統に設けられたチョークコイルが共通のコアに巻回されており、前記複数の入力系統のいずれか一つの入力系統から入力を行う状態に切換える入力系統切換え手段を備えている。
【0009】
この発明では、一つの出力部に対して複数の入力系統があるが、入力系統切換え手段により、いずれか一つの入力系統からのみ入力され、故障等の異常によりその入力系統からの入力が不能になると、他の入力系統から入力されるように入力系統が切換えられる。各入力系統のチョークコイルが共通のコアに巻回されているため、各チョークコイルが別々のコアに巻回されている場合に比較して、チョークコイル全体としての体格を小さくして、DC/DCコンバータ全体として小型化をすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、各入力系統のうち動作中でない入力系統のチョークコイルに電流経路が形成されるのを遮断する遮断手段を備えている。この発明では、動作中の入力系統以外の入力系統のチョークコイル側にエネルギーが逃げるのが遮断手段によって防止される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記入力系統の少なくとも一つに絶縁型の多石式のコンバータが使用され、前記多石式のコンバータのチョークコイルに直列にリレーが接続され、前記多石式のコンバータを備えた入力系統以外の入力系統の動作時は前記リレーが開状態に保持される。この発明では、多石式のコンバータが使用された入力系統以外の入力系統が動作しているときは、前記多石式のコンバータのチョークコイルに直列に接続されたリレーが開状態に保持される。従って、その入力系統のチョークコイルと動作中の他の入力系統のチョークコイルの結合による漏れによる損失が防止される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記入力系統は2系統設けられ、第1入力系統は高圧電源に接続され、第2入力系統は低圧電源に接続されるとともに昇圧チョッパで構成され、第2入力系統に前記遮断手段が設けられている。高圧電源を備えた第1入力系統は一般にトランスにより降圧するとともに整流用のダイオードを備えているため、ダイオードが遮断手段の役割を果たす。第2入力系統を構成する昇圧チョッパは、前記遮断手段として機能するダイオードが存在しないが、遮断手段を別に設けることにより、動作中の入力系統以外の入力系統のチョークコイル側にエネルギーが逃げるのが遮断手段によって防止される。
【0013】
請求項5に記載の発明は、一つの出力部に対して第1入力系統及び第2入力系統が互いに並列に接続されたDC/DCコンバータを備えた車両用電源装置であって、前記第1入力系統は高圧電源に接続され、前記第2入力系統は低圧電源に接続されるとともに昇圧チョッパで構成されて、前記第1入力系統及び前記第2入力系統に設けられたチョークコイルが共通のコアに巻回されている。そして、前記第1入力系統及び前記第2入力系統のいずれか一つの入力系統から入力を行う状態に切換える入力系統切換え手段と、両入力系統のうち動作中でない入力系統のチョークコイルに電流経路が形成されるのを遮断する遮断手段とを備え、前記第2入力系統に前記遮断手段が設けられている。この発明では、電気自動車やハイブリッド自動車などの高入力電圧を有する車両用電源装置に有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一つの出力部に対して複数の入力系統が設けられ、かつ各入力系統で使用されるチョークコイル全体としての体格を小さくして、DC/DCコンバータ全体として小型化をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を2系統の入力系統を備えたDC/DCコンバータに具体化した一実施形態を図1に従って説明する。
図1に示すように、DC/DCコンバータは、一つの出力部10に対して第1入力系統11及び第2入力系統12の2系統の入力系統を備えている。第1入力系統11は絶縁型の多石式のコンバータとしてのフルブリッジ型DC/DCコンバータで構成され、第2入力系統12は昇圧チョッパとしての昇圧チョッパ型DC/DCコンバータで構成されている。
【0016】
第1入力系統11は、高圧電源としての第1直流電源13の出力端子13a,13b間に4つのスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4を備えたインバータ14が接続されている。各スイッチング素子Q1〜Q4にはNチャネルのMOSFETが使用されている。第1及び第3のスイッチング素子Q1,Q3のドレインは、第1直流電源13のプラス出力端子13aに接続され、第2及び第4のスイッチング素子Q2,Q4のソースは、第1直流電源13のマイナス出力端子13bに接続されている。第1のスイッチング素子Q1のソースと第2のスイッチング素子Q2のドレインとの接続点は、トランス15の一次巻線15pの一端に接続されている。第3のスイッチング素子Q3のソースと第4のスイッチング素子Q4のドレインとの接続点は、トランス15の一次巻線15pの他端に接続されている。
【0017】
トランス15の二次巻線15sは中間タップ16を備えている。中間タップ16と出力部10の一方の出力端子10aとの間に出力整流用の第1のチョークコイル17が接続されている。
【0018】
トランス15の二次巻線15sの一端には整流用のダイオードD1のカソードが接続され、二次巻線15sの他一端には整流用のダイオードD2のカソードが接続されている。両ダイオードD1,D2のアノードは互いに接続されるとともに、出力部10の他方の出力端子10bに接続されている。2つの出力端子10a,10bの間にコンデンサC1,C2が並列に接続されている。
【0019】
第2入力系統12は、低圧電源としての第2直流電源18のプラス出力端子18aが、リレーRy、昇圧用の第2のチョークコイル19、ダイオードD3を介して出力部10の出力端子10aに接続されている。第2直流電源18としては、例えば、12Vのバッテリが使用される。ダイオードD3はアノードが第2のチョークコイル19に接続され、カソードが出力端子10aに接続されている。第2直流電源18のマイナス出力端子18bは、出力部10の出力端子10bに接続されている。第2のチョークコイル19とダイオードD3との接続点と、マイナス出力端子18bとの間にはスイッチング素子Q5が接続されている。スイッチング素子Q5にはNチャネルのMOSFETが使用されており、スイッチング素子Q5は、ドレインがダイオードD3のアノードに、ソースがマイナス出力端子18bに接続されている。即ち、第1入力系統11及び第2入力系統12は、コンデンサC1,C2を共用している。
【0020】
第1のチョークコイル17及び第2のチョークコイル19は同一のコア20に巻回されている。第1のチョークコイル17及び第2のチョークコイル19の巻回方向は、同じ方向であっても異なる方向であってもどちらでもよい。この実施形態では同じ方向に巻回されている。
【0021】
第1入力系統11及び第2入力系統12は制御装置21により制御される。第1入力系統11は、各スイッチング素子Q1〜Q4の制御端子(この実施形態ではMOSFETのゲート)に制御装置21から出力される駆動信号がそれぞれ入力されるようになっている。インバータ14は、第1及び第4のスイッチング素子Q1,Q4の組と、第2及び第3のスイッチング素子Q2,Q3の組とが交互にオン・オフされることにより、第1直流電源13の直流電圧を交流に変換して、トランス15に交流電圧を出力する。
【0022】
第2入力系統12は、スイッチング素子Q5の制御端子(この実施形態ではMOSFETのゲート)に制御装置21から出力される駆動信号が入力されるようになっている。また、リレーRyは制御装置21から出力される指令信号により、開閉制御されるようになっている。
【0023】
制御装置21は、通常は第1直流電源13から電力を供給して出力部10から所定の電圧を出力するようにインバータ14を制御する。制御装置21は、故障等何らかの原因で第1直流電源13からの電力供給ができなくなった際に、第2直流電源18から電力を供給して出力部10から所定の電圧を出力するようにスイッチング素子Q5を制御する。即ち、制御装置21は、複数の入力系統のいずれか一つの入力系統から入力を行う状態に切換える入力系統切換え手段を構成する。制御装置21は、第1入力系統11が動作している際は、リレーRyを開状態(オフ状態)に保持する。リレーRyは第2入力系統12を有する昇圧チョッパ故障時に低圧電源から大電流が流れ込むのを防止すること、低圧電源との常時接続を防止すること、および第1のチョークコイル17に電圧が印加された際に第2のチョークコイル19側にエネルギーが逃げないように、第2のチョークコイル19を通る電流経路を遮断する遮断手段として構成する。
【0024】
次に前記のように構成されたDC/DCコンバータの作用を説明する。DC/DCコンバータは、例えば、ハイブリッド自動車のパワーステアリング用の電源装置として使用される。第1直流電源13から電力供給が可能な状態においては、制御装置21は第1入力系統11から電力が入力されるように、リレーRyを開状態にするとともに、インバータ14の第1及び第4のスイッチング素子Q1,Q4の組と、第2及び第3のスイッチング素子Q2,Q3の組とを交互にオン・オフさせるように制御する。
【0025】
スイッチング素子Q1,Q4のオン状態では、トランス15の一次側電流は、出力端子13a、スイッチング素子Q1、一次巻線15p、スイッチング素子Q4、出力端子13bを介して流れる。このとき、トランス15の二次側電流は、ダイオードD2、二次巻線15s、第1のチョークコイル17を通る流れになる。
【0026】
スイッチング素子Q2,Q3のオン状態では、トランス15の一次側電流は、出力端子13a、スイッチング素子Q3、一次巻線15p、スイッチング素子Q2、出力端子13bを介して流れる。このとき、トランス15の二次側電流は、ダイオードD1、二次巻線15s、第1のチョークコイル17を通る流れになる。
【0027】
第1のチョークコイル17及び第2のチョークコイル19が同一のコア20に巻回されているため、第1のチョークコイル17、第2のチョークコイル19及びコア20がトランスとして作用する。そのため、第1入力系統11の動作時に第1のチョークコイル17をチョークコイルとしてのみ利用するためには、第2のチョークコイル19側にエネルギーが逃げないようにする必要がある。
【0028】
この実施形態では、第1入力系統11の動作時にはリレーRyが開状態に保持されており、第2のチョークコイル19を通る電流経路が遮断されているため、第2のチョークコイル19側にエネルギーは伝わらない。従って、第1のチョークコイル17はチョークコイルとしてのみ動作する。但し、ダイオードD3及びスイッチング素子Q5に電圧が印加されるため、印加される電圧がダイオードD3及びスイッチング素子Q5の耐圧を超えないように、第1のチョークコイル17及び第2のチョークコイル19の巻線比とレギュレート電圧を設定しておく。
【0029】
故障等何らかの原因で第1直流電源13からの電力供給ができなくなった際に、制御装置21は、第2直流電源18から電力を供給して出力部10から所定の電圧を出力するようにスイッチング素子Q5を制御する。即ち、リレーRyを閉状態にするとともに、スイッチング素子Q5を所定のデューティでオン・オフさせるように制御する。そして、第2直流電源18の電圧が昇圧されて出力部10から出力される。
【0030】
スイッチング素子Q5がオンのとき、第1のチョークコイル17にはダイオードD1,D2が存在するため電流が流れず、エネルギーが伝わらない。このとき、ダイオードD1,D2は、第2のチョークコイル19に電圧が印加された際に第1のチョークコイル17側にエネルギーが逃げないように、第1のチョークコイル17を通る電流経路を遮断する遮断手段を構成する。但し、ダイオードD1,D2に電圧が印加されるため、印加される電圧がダイオードD1,D2の耐圧を超えないように、第1のチョークコイル17及び第2のチョークコイル19の巻線比とレギュレート電圧を設定しておく。
【0031】
スイッチング素子Q5がオフのときは、第1のチョークコイル17には第1のチョークコイル17及び第2のチョークコイル19の巻線比とレギュレート電圧で決定される第1のチョークコイル17側の電圧によってダイオードD1,D2がオンする場合と、しない場合とがある。ダイオードD1,D2がオンする場合、第1のチョークコイル17側にエネルギーが伝わるが、そのエネルギーは出力部10の出力となるため、問題はない。但し磁気結合による漏れが大きいと損失が大きくなるため、漏れを低減するかもしくはダイオードD1,D2をオンさせないように巻線比とレギュレート電圧を設定しておく。また、ダイオードD1,D2がオンしない場合は、第1のチョークコイル17側にエネルギーが伝わらないため、第2のチョークコイル19はチョークコイルとしてのみ働くため問題ない。
【0032】
この実施形態では以下の効果を有する。
(1)一つの出力部10に対して第1入力系統11及び第2入力系統12の複数の入力系統が互いに並列に接続され、いずれか一つの入力系統から入力を行う状態に制御装置21により切換えられる。従って、第1入力系統11が故障しても第2入力系統12から入力が行われ、出力部10からの出力電圧を確保できる。
【0033】
(2)複数の入力系統(第1入力系統11及び第2入力系統12)に設けられたチョークコイル17,19が共通のコア20に巻回されている。従って、各チョークコイル17,19が別々のコアに巻回されている場合に比較して、チョークコイル17,19全体としての体格を小さくして、DC/DCコンバータ全体として小型化をすることができる。
【0034】
(3)各入力系統のうち動作中でない入力系統のチョークコイルに電流経路が形成されるのを遮断する遮断手段を備えている。従って、動作中の入力系統以外の入力系統のチョークコイルに電流経路が形成されるのが阻止されて非動作中の入力系統のチョークコイル側にエネルギーが逃げるのを防止できる。
【0035】
(4)入力系統は2系統設けられ、第1入力系統11は高圧電源としての第1直流電源13に接続され、第2入力系統12は低圧電源としての第2直流電源18に接続されるとともに昇圧チョッパ型DC/DCコンバータで構成され、第2入力系統12にリレーRyが設けられている。そして、第2入力系統12の非動作時にはリレーRyが開状態に保持されるため、動作中の第1入力系統11の第1のチョークコイル17に電流が流れる際に、第2入力系統12のチョークコイル19側にエネルギーが逃げるのがリレーRyによって防止される。リレーRyに代えてダイオードを用いることも可能であるが、ダイオードの場合は耐圧性を考慮する必要がある。しかし、リレーRyの場合は耐圧性を考慮する必要がない。
【0036】
(5)第1入力系統11は整流用のダイオードD1,D2を備えているため、ダイオードD1,D2が遮断手段の役割を果たす。従って、第2入力系統12の動作時に第1のチョークコイル17側からエネルギーが逃げるのを防止するための遮断手段を特に設ける必要はない。
【0037】
(6)一つの出力部10に対して第1入力系統11及び第2入力系統12が互いに並列に接続されたDC/DCコンバータがハイブリッド自動車の電装品の電源装置として使用されている。従って、通常使用される第1直流電源13からの入力が不能な場合でも、直ちに第2入力系統12から出力部10に必要な電圧を供給することができる。
【0038】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1入力系統11の第1のチョークコイル17と直列にリレーを接続し、第2入力系統12の動作時は、リレーを開状態とするように構成してもよい。第2入力系統12の動作時において、スイッチング素子Q5がオフのとき、第1のチョークコイル17には第1のチョークコイル17及び第2のチョークコイル19の巻線比とレギュレート電圧で決定される第1のチョークコイル17側の電圧によってダイオードD1,D2がオンする場合、第1のチョークコイル17側にエネルギーが伝わる。そのエネルギーは出力部10の出力となるため問題はない。但し、第1のチョークコイル17と第2のチョークコイル19との結合により、漏れによる損失が発生する。しかし、第1のチョークコイル17と直列にリレーを接続して、第2入力系統12の動作時は、リレーを開状態とすることにより、第1のチョークコイル17に電流が流れないようにすれば、損失を防止することができる。損失が大きいか否かは予め試験で確認して、リレーを設けるか否かを判断する。
【0039】
○ 第1入力系統11に絶縁型の多石式のコンバータを使用する場合、フルブリッジ型DC/DCコンバータに限らず、ハーフブリッジ型DC/DCコンバータやプッシュプル型DC/DCコンバータを使用してもよい。これらのDC/DCコンバータも整流用の一対のダイオードを備えているため、両ダイオードが遮断手段の役割を果たす。
【0040】
○ 第2入力系統12に設けられる遮断手段としてのリレーRyに代えて、ダイオードを、カソードが第2のチョークコイル19に、アノードがプラス出力端子18aにそれぞれ接続される状態で設けてもよい。この場合、制御装置21がリレーRyの開閉を制御する必要がなくなる。
【0041】
○ 第2入力系統12として昇圧チョッパ型DC/DCコンバータ以外の昇圧コンバータを採用してもよい。
○ スイッチング素子Q1〜Q5としてMOSFETを使用する場合はNチャネルのトランジスタではなくPチャネルのトランジスタを使用してもよい。
【0042】
○ スイッチング素子Q1〜Q5としてMOSFETに代えてバイポーラトランジスタを使用したり、IGBTを使用したりしてもよい。
○ 出力部10に対する入力系統の数は2系統に限らず3系統以上としてもよい。
【0043】
○ 電圧の異なる複数のバッテリを搭載する自動車などのハイブリッド自動車以外の用途に使用してもよい。
○ 複数の入力系統に同じ構成のDC/DCコンバータを使用してもよい。
【0044】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記遮断手段はリレーである。
【0045】
(2)請求項4又は請求項5に記載の発明において、前記高圧側の入力系統はフルブリッジ型DC/DCコンバータで構成され、前記低圧側の入力系統は昇圧チョッパ型DC/DCコンバータで構成されている。
【0046】
(3)請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(1),(2)のいずれか一項に記載の発明において、前記DC/DCコンバータはハイブリッド自動車における電装品の電源装置として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】一実施形態のDC/DCコンバータの回路図。
【図2】従来技術の回路図。
【符号の説明】
【0048】
Ry…遮断手段としてのリレー、10…出力部、11…第1入力系統、12…第2入力系統、13…高圧電源としての第1直流電源、17…第1のチョークコイル、18…低圧電源としての第2直流電源、19…第2のチョークコイル、20…コア、21…切換え手段としての制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの出力部に対して複数の入力系統が互いに並列に接続されたDC/DCコンバータであって、前記各入力系統に設けられたチョークコイルが共通のコアに巻回されており、前記複数の入力系統のいずれか一つの入力系統から入力を行う状態に切換える入力系統切換え手段を備えているDC/DCコンバータ。
【請求項2】
各入力系統のうち動作中でない入力系統のチョークコイルに電流経路が形成されるのを遮断する遮断手段を備えている請求項1に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項3】
前記入力系統の少なくとも一つに絶縁型の多石式のコンバータが使用され、前記多石式のコンバータのチョークコイルに直列にリレーが接続され、前記多石式のコンバータを備えた入力系統以外の入力系統の動作時は前記リレーが開状態に保持される請求項1又は請求項2に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項4】
前記入力系統は2系統設けられ、第1入力系統は高圧電源に接続され、第2入力系統は低圧電源に接続されるとともに昇圧チョッパで構成され、第2入力系統に前記遮断手段が設けられている請求項2又は請求項3に記載のDC/DCコンバータ。
【請求項5】
一つの出力部に対して第1入力系統及び第2入力系統が互いに並列に接続されたDC/DCコンバータを備えた車両用電源装置であって、前記第1入力系統は高圧電源に接続され、前記第2入力系統は低圧電源に接続されるとともに昇圧チョッパで構成され、前記第1入力系統及び前記第2入力系統に設けられたチョークコイルが共通のコアに巻回されており、前記第1入力系統及び前記第2入力系統のいずれか一つの入力系統から入力を行う状態に切換える入力系統切換え手段と、両入力系統のうち動作中でない入力系統のチョークコイルに電流経路が形成されるのを遮断する遮断手段とを備え、前記第2入力系統に前記遮断手段が設けられている車両用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−340582(P2006−340582A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165807(P2005−165807)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】