説明

DGAT1阻害剤としての1,3,4−オキサジアゾール誘導体



アセチルCoA(アセチル補酵素A):ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)活性を阻害する式(I)の化合物、又はその塩が;その調製のための方法、これを含有する医薬組成物及び医薬としてのその使用と一緒に提供され;式中:nは、1、2又は3であり、そしてそれぞれのRは、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、エチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびジフルオロメトキシから独立に選択される。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、アセチルCoA(アセチル補酵素A):ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT1)活性を阻害する化合物、それの調製のための方法、それを活性成分として含有する医薬組成物、DGAT1活性に伴う疾病状態の治療のための方法、医薬としてのその使用、及びヒトのような温血動物におけるDGAT1の阻害における使用のための医薬の製造におけるその使用に関する。特に本発明は、ヒトのような温血動物におけるII型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能障害及び肥満症の治療のために有用な化合物に、更に特にヒトのような温血動物におけるII型糖尿病、インスリン抵抗性、耐糖能障害及び肥満症の治療における使用のための医薬の製造におけるこれらの化合物の使用に関する。
【0002】
アシルCoA:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は、細胞のミクロソームの画分中に見出される。これは、細胞中のトリグリセリド合成の主経路と考えられるグリセロールリン酸経路における最後の反応を、ジアシルグリセロールの脂肪のアシルCoAとの結合を容易にすることによって触媒し、トリグリセリドの形成をもたらす。DGATが、トリグリセリド合成の律速であるか否かは不明であるが、これは、経路のこの種の分子を産生することに拘束する工程のみを触媒する[Lehner & Kuksis(1996)Biosynthesis of triacylglycerols.Prog.Lipid Res.35:169−201]。
【0003】
二つのDGAT遺伝子をクローン化し、そして特徴づけした。コードされたタンパク質の両方は、これらが、配列の相同性を共有していないが、同じ反応を触媒する。DGAT1遺伝子は、そのアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)遺伝子との類似性のために、配列データベースの検索から確認された。[Cases et al(1998)Identification of a gene encoding an acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase,a key enzyme in triacylglycerol synthesis.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13018−13023]。DGAT1活性は、脂肪細胞を含む多くの哺乳動物の組織中に見出されている。
【0004】
従来の分子プローブの欠如のために、DGAT1の制御については、僅かしか知られていない。DGAT1は、脂肪細胞の分化中に有意に上方制御されることが知られている。
遺伝子ノックアウトマウスにおける研究は、DGAT1の活性の調節因子が、II型糖尿病及び肥満症の治療において価値を有するものであることを示している。DGAT1ノックアウト(Dgat1−/−)マウスは、生存可能であり、そして正常な空腹時血清トリグリセリドレベル及び正常な脂肪細胞組織の組成によって証明されるように、トリグリセリドを合成することが可能である。Dgat1−/−マウスは、基線において野生型マウスより少ない脂肪細胞組織を有し、そして食事誘導性肥満症に抵抗性である。代謝速度は、Dgat1−/−マウスにおいて、通常及び高脂肪食の両方において野生型マウスより約20%高い[Smith et al(2000)Obesity resistance and multiple mechanisms of triglyceride synthesis in mice lacking DGAT.Nature Genetics 25:87−90]。Dgat1−/−マウスにおける身体活動性の増加は、部分的にそのエネルギー消費の増加を説明する。Dgat1−/−マウスは、更にインスリン感受性の増加及び20%の糖処理速度の増加を示す。レプチンのレベルは、Dgat1−/−マウスにおいて、体脂肪量の50%の減少と一致して、50%減少する。
【0005】
Dgat1−/−マウスがob/obマウスと交雑した場合、これらのマウスは、ob/ob表現型を示し[Chen et al(2002)Increased insulin and leptin sensitivity in mice lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase J.Clin.Invest.109:1049−1055]、Dgat1−/−マウス表現型が、インタクトなレプチン経路を必要とすることを示す。Dgat1−/−マウスが、Agoutiマウスと交雑した場合、野生型のagouti又はob/ob/Dgat1−/−マウスと比較して、正常な糖レベル、及び70%減少したインスリンレベルを伴う体重の減少が見られる。
【0006】
Dgat1−/−マウスから野生型マウスへの脂肪細胞組織の移植は、これらのマウスの食事誘導性の肥満症に対する抵抗性及び糖代謝の改良を与える[Chen et al(2003)Obesity resistance and enhanced glucose metabolism in mice transplanted with white adipose tissue lacking acyl CoA:diacylglycerol acyltransferase J.Clin.Invest.111:1715−1722]。
【0007】
国際特許出願WO2004/047755(Tularik及び日本タバコ)及びWO2005/013907(日本タバコ及びAmgen)は、縮合二環式窒素含有ヘテロシクリルを記載し、これは、DGAT−1の阻害剤である。特開平16−67635号(大塚製薬)は、チアゾールアミド置換フェニル化合物を記載し、これは、アルキルホスホン酸塩で更に置換され、そしてこれはDGAT−1を阻害する。WO2004/100881(バイエル)は、イミダゾール、オキサゾール又はチアゾールで置換されたビフェニルアミノ化合物を記載し、これはDGAT−1を阻害する。
【0008】
本出願人等の同時係属中の国際特許出願PCT/GB2005/004726は、以下の式(I)の化合物と同様な二つの化合物を含む、DGAT−1を阻害するオキサジアゾール化合物を記載している。PCT/GB2005/004726中の化合物のいくつかは、更にACAT酵素に対する活性も示す。
【0009】
従って、本発明は、以下の式(I):
【0010】
【化1】

【0011】
の化合物又はその塩を提供し、式中:
それぞれのRは、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシから独立に選択され;
nは、1、2又は3である。
【0012】
本出願人等は、上記の式(I)のもののような化合物が、良好なDGAT活性及び好都合な物理化学的特性(例えば溶解度)及び/又は好都合な薬理学的特性を有することを見出した。
【0013】
式(I)の化合物が、シクロヘキシル環を横切って、カルボキシ基及びオキシ連結が、それぞれ他方に対してcis又はtrans配置のいずれかである化合物を含むことは認識されるものである。
【0014】
疑義の回避のために、本明細書中で、一つの基が‘本明細書中で先に定義された’又は‘先に本明細書中で定義された’によって規定された場合、この基が、最初に現れた、そして元も幅広い定義を、並びにこの基のための特定な定義のそれぞれ及び全てを包含することは理解されることである。
【0015】
どこにも記述されていない場合、特定の基のために適した所望による置換基は、本明細書中で同様な基のための記述されたようなものである。
式(I)の化合物は、安定な酸又は塩基の塩を形成することができ、そしてこのような場合、塩としてのこのような化合物の投与が、適当であることができ、そして医薬的に受容可能な塩は、以下に記載されるもののような慣用的な方法によって製造することができる。
【0016】
適した医薬的に受容可能な塩は、メタンスルホン酸塩、トシル酸塩、α−グリセロリン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩及び(やや好ましくないが)臭化水素酸塩のような酸付加塩を含む。更に適したものは、リン酸及び硫酸と形成された塩である。もう一つの側面において、適した塩は、(I)族(アルカリ金属)塩、(II)族(アルカリ土類)金属塩、有機アミン、例えばトリエチルアミン、モルホリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルエチルアミン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−メチル−d−グルカミン及びリシンのようなアミノ酸塩のような塩基塩である。荷電された官能基の数及びカチオン又はアニオンのイオン価によるが、一つより多いカチオン又はアニオンが存在することができる。
【0017】
然しながら、調製中に、塩の単離を容易にするために、医薬的に受容可能であるか否かに関わらず、選択された溶媒中により可溶性ではない塩が好ましいものであることができる。
【0018】
本発明において、式(I)の化合物又はその塩が、互変異性の現象を示すことができ、そして本明細書内の式の図面が、可能な互変異性の形態の一つのみを表すことができることは理解されることである。本発明が、DGAT1活性を阻害するいずれもの互変異性の形態を包含し、そして式の図面に使用されたいずれか一つの互変異性の形態に単に制約されるものではないことは理解されることである。
【0019】
式(I)の化合物のプロドラッグ、又は医薬的に受容可能なその塩も、更に本発明の範囲内である。
プロドラッグの各種の形態は、当技術において既知である。このようなプロドラッグ誘導体の例については:
a)Design of Prodrugs,edited by H.Bundgaard,(Elsevier,1985)and Methods in Enzymology,Vol.42,p.309−396,edited by K.Widder,et al.(Academic Press,1985);
b)A Textbook of Drug Design and Development,edited by Krogsgaard−Larsen and H.Bundgaard,Chapter 5“Design and Application of Prodrugs”,by H.Bundgaard p.113−191 (1991);
c)H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews,,1−38(1992);
d)H.Bundgaard,et al.,Journal of Pharmaceutical Sciences,77,285(1988);及び
e)N.Kakeya,et al.,Chem Pharm Bull,32,692(1984)
を参照されたい。
【0020】
このようなプロドラッグの例は、本発明の化合物のin vivoで開裂可能なエステルである。カルボキシ基を含有する本発明の化合物のin vivoで開裂可能なエステルは、例えば、ヒト又は動物の体内で開裂して、母体酸を産生する医薬的に受容可能なエステルである。カルボキシのために適した医薬的に受容可能なエステルは、(1−6C)アルキルエステル、例えばメチル又はエチル;(1−6C)アルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル;(1−6C)アルカノイルオキシメチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル;フタリジルエステル;(3−8C)シクロアルコキシカルボニルオキシ(1−6C)アルキルエステル、例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソラン−2−イルメチルエステル、例えば5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル;(1−6C)アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば1−メトキシカルボニルオキシエチル;アミノカルボニルメチルエステル及びそのモノ−又はジ−N−((1−6C)アルキル)変種、例えばN,N−ジメチルアミノカルボニルメチルエステル及びN−エチルアミノカルボニルメチルエステルを含み;そして本発明の化合物中のいずれものカルボキシ基において形成することができる。ヒドロキシ基を含有する本発明の化合物のin vivoで開裂可能なエステルは、例えばヒト又は動物の体内で開裂して、母体ヒドロキシ基を産生する医薬的に受容可能なエステルである。ヒドロキシのために適した医薬的に受容可能なエステルは、(1−6C)アルカノイルエステル、例えばアセチルエステル;及びフェニル基がアミノメチル或いはN−置換されたモノ−又はジ−(1−6C)アルキルアミノメチルで置換されていることができるベンゾイルエステル、例えば4−アミノメチルベンゾイルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノメチルベンゾイルエステルを含む。
【0021】
式(I)のある種の化合物が、不斉的に置換された炭素及び/又は硫黄原子を含有し、そして従って光学的に活性な及びラセミの形態で存在し、そして単離することができることは当業者によって認識されるものである。いくつかの化合物は、多形を示すことができる。本発明が、いずれものラセミ、光学的に活性、多形又は立体異性体の形態、或いはこれらの混合物を包含し、これらの形態が、DGAT1活性の阻害において有用である特性を保有することは理解されることであり、光学的に活性な形態を調製するための方法(例えば、再結晶技術によるラセミの形態の分割、光学的に活性な出発物質からの合成、キラル合成、酵素的分割、生体内変換、又はキラル固定相を使用するクロマトグラフ的分離によって)及び本明細書中で以下に記載される標準的な試験によりDGAT1活性の阻害のための効力を決定するための方法は、当技術において公知である。
【0022】
式(I)のある種の化合物及びその塩が、例えば水和された形態のような溶媒和された、並びに溶媒和されていない形態で存在することができることも更に理解されることである。本発明が、DGAT1活性を阻害する全てのこのような溶媒和された形態を包含することは理解されることである。
【0023】
先に記述したように、本出願人等は、良好なDGAT1阻害活性を有するある範囲の化合物を発見した。これらは、一般的に、良好な物理的及び/又は薬物動態学的特性を有する。以下の化合物は、好ましい医薬的及び/又は物理的及び/又は薬物動態学的特性を保有する。これらは、更にACATに対する良好な選択性も保有する。
【0024】
一つの側面において、カルボキシ基及びオキシ連結は、シクロヘキシル環を横切ってcis立体配置であって、以下の式(IA):
【0025】
【化2】

【0026】
の化合物を与える。
もう一つの側面において、カルボキシ基及びオキシ連結は、シクロヘキシル環を横切ってtrans立体配置であって、以下の式(IB):
【0027】
【化3】

【0028】
の化合物を与える。
式(I)の化合物に対する本明細書中の先の又は以下の言及は、式(IA)及び(IB)の化合物にも、更に適用されると解釈されるべきである。
【0029】
本発明の一つの態様において、式(I)、(IA)及び(IB)の化合物が提供され、別の態様において、塩、特に式(I)、(IA)及び(IB)の化合物の医薬的に受容可能な塩が提供される。更なる態様において、プロドラッグ、特に式(I)、(IA)及び(IB)の化合物のin−vivoで開裂可能なエステルが提供される。更なる態様において、塩、特に式(I)、(IA)及び(IB)の化合物のプロドラッグの医薬的に受容可能な塩が提供される。式(I)、(IA)及び(IB)の化合物中の置換基の特別な意義は、以下のとおりである。このような意義は、本明細書中で先に又は以下に定義される他の意義、定義、特許請求の範囲又は態様のいずれかで、適宜に使用することができる。
【0030】
1)nは、1、2又は3であり、そしてそれぞれのRは、フルオロである。
2)n>1である場合、少なくとも一つのRは、フルオロである。
3)Rは、フルオロ及びトリフルオロメチルから選択される。
【0031】
4)nは、1である。
5)nは、2である。
6)nは、3である。
【0032】
本発明の更なる好ましい化合物は、実施例のそれぞれであり、そのそれぞれは、本発明の更なる独立の側面を提供する。更なる側面において、本発明は、更に実施例の化合物のいずれか二つ又はそれより多くを含んでなる。
【0033】
本発明の更なる側面において、以下のもの:
4−(3−フルオロ−4−{[5−(2,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸;
4−(3−フルオロ−4−{[5−(3,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸;
のいずれか一つ又はそれより多く、或いはその塩が提供される。
【0034】
製法
式(I)の化合物及びその塩は、化学的に関連する化合物の調製に対して適用可能なことが知られているいずれかの方法によって調製することができる。このような方法は、式(I)の化合物、又は医薬的に受容可能なその塩を調製するために使用された場合、本発明の更なる特徴として提供される。
【0035】
更なる側面において、本発明は、更に式(I)の化合物及びその塩が、以下のとおりの方法a)ないしb)によって調製することができることを提供する(ここにおいて、全ての可変基及び変数は、他に記述しない限り、式(I)の化合物のために本明細書中で先に定義したとおりである):
a)以下の式(2)のアミンの、以下の式(3):
【0036】
【化4】

【0037】
[式中、Rは、(1−4C)アルキル基(メチル、エチル、イソプロピル、又はtert−ブチルのような)である]
のカルボン酸塩との反応、それに続くR基の加水分解;
b)以下の式(4):
【0038】
【化5】

【0039】
[式中、Rは、(1−4C)アルキルである]
の化合物(ここでXは、S又はOである)の環化、それに続くR基の加水分解;
そしてその後、必要な場合:
1)いずれもの保護基を除去する;及び/又は
2)塩(医薬的に受容可能な)を形成する。
【0040】
製法a)
式(2)の化合物は、当技術において公知の標準的な合成法の適用によって製造することができる。特に、式(2)の化合物は、以下の式(2A):
【0041】
【化6】

【0042】
の化合物の還元によって調製することができる。
式(2A)の化合物は、以下のスキーム1:
【0043】
【化7】

【0044】
中に例示するようにSAr化学反応によって製造することができ、ここにおいて、Rは、例えばアルキル基であり、そしてXは、例えばフルオロである。Xがフルオロである場合、2−及び4−フルオロ置換基の競合的置換は、生成物の混合物をもたらす。然しながら、要求する生成物は、標準的な技術によって容易に分離することができる。
【0045】
式(3)の化合物は、刊行された方法(J.Het.Chem.1977,14,1385−1388)を使用して調製したような以下の式(5a)のエステルのアルカリ性の加水分解によって製造することができる。エステル(5a)は、以下の式(5b):
【0046】
【化8】

【0047】
の化合物(ここで、Xは、O又はSである)の環化によって、式(4)の化合物のために方法b)に記載したものと同様な方法で製造することができる。
式(5a)の化合物を製造するための別の方法を、以下の式:
【0048】
【化9】

【0049】
に例示する。
式(2)の化合物を、式(3)の化合物と、アミド結合の形成のための標準的な条件下でカップリングすることができる。例えばEDACと共に、所望によりDMAPの存在中で、DCM、クロロホルム又はDMFのような適した溶媒中で室温で行われるカルボジイミドカップリング反応のような適当なカップリング反応を使用する。
【0050】
基は、エステルの加水分解のための、当技術において既知のいずれもの方法によって除去することができる。
製法b)
XがSである式(4)及び(5b)の化合物は、アミノカルボニルアシルヒドラジン又はエトキシカルボニルアシルヒドラジンの、チオイソシアン酸塩又はアミノチオカルボニルイミダゾールのようなチオイソシアン酸塩等価物との、DMF又はMeCNのような適した溶媒中の0ないし100℃間の温度における反応によって製造することができる。アニリンからのアミノカルボニルアシルヒドラジン及びエトキシカルボニルアシルヒドラジンの調製は、当技術において公知である。例えばアニリンのクロロオキソ酢酸メチルとの、ピリジンの存在中のDCMのような適した溶媒中の反応、それに続くヒドラジンとの、エタノールのような適した溶媒中の0ないし100℃間の温度の反応を使用する。
【0051】
次いで式(4)の化合物を、例えばカルボニルジイミダゾール、又は塩化トシルのような薬剤及び適した塩基(トリエチルアミンのような)を使用して、当技術において既知の条件下で環化することができる。
【0052】
イソ(チオ)シアン酸塩R−NCX(ここで、Xは、O又はSである)は、商業的に入手可能であるか、又は酸塩化物R−NHの、例えば(チオ)ホスゲン又は(チオ)ホスゲン等価体、それに続く適した塩基(トリエチルアミンのような)との反応によって調製することができる。R基は、エステルの加水分解のための、当技術において既知のいずれもの方法によって除去することができる。
【0053】
本発明の化合物中の各種の環の置換基のあるもの、例えばRを、標準的な芳香族置換反応によって導入するか、或いは上述の方法の前又は直後のいずれかの慣用的な官能基改変によって産生することができ、そしてこのようなことが、本発明の方法の側面に含まれることは認識されるものである。このような反応は、式(I)の一つの化合物を、式(I)のもう一つの化合物に転換することができる。このような反応及び改変は、例えば、芳香族置換反応による置換基の導入、置換基の還元、置換基のアルキル化及び置換基の酸化を含む。このような方法のための試薬及び反応条件は、化学技術において公知である。芳香族置換反応の特別な例は、濃硝酸を使用するニトロ基の導入、例えば、アシルハロゲン化物及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)を使用するフリーデルクラフツ条件下のアシル基の導入;アルキルハロゲン化物及びルイス酸(三塩化アルミニウムのような)を使用するフリーデルクラフツ条件下のアルキル基の導入;及びハロゲン基の導入を含む。改変の特別な例は、例えばニッケル触媒による接触水素化、又は加熱を伴う塩酸の存在中の鉄による処理によるニトロ基のアミノ基への還元;アルキルチオのアルカンスルフィニル又はアルカンスルホニルへの酸化を含む。
【0054】
商業的に入手可能でない場合、先に記載したもののような方法のために必要な出発物質は、標準的な有機化学の技術、既知の構造的に同様な化合物の合成と類似である技術、上記に与えた参考文献中に記載又は例示されている技術、或いは先に記載した方法又は実施例中に記載される方法に類似である技術から選択される方法によって製造することができる。読者は、反応条件及び試薬の一般的指導に関して、Advanced Organic Chemistry,5th Edition,by Jerry March and Michael Smith,published by John Wiley & Sons 2001を更に参照されたい。
【0055】
式(I)の化合物へのいくつかの中間体も更に新規であり、そしてこれらは、本発明の別個の独立な側面を提供することは認識されるものである。特に、式(4)の化合物は、本発明の更なる側面を形成する。更に、式(I)の化合物のエステル誘導体は、本発明の更なる側面を形成する。
【0056】
本明細書中で記述した反応のいくつかにおいて、化合物中のいずれもの感受性の基を保護することが必要/好ましいことであることができることも更に認識されるものである。保護が必要である又は所望される場合は、このような保護のために適した方法のように、当業者にとって既知である。慣用的な保護基は、標準的な慣例によって使用することができる(例示として、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,1991を参照されたい)。
【0057】
保護基は、文献中に記載されているような、又は当業者にとって当該保護基の除去のために適当であることが知られたいずれもの慣用的な方法によって除去することができ、このような方法は、保護基の除去が、分子中の他の場所の基に最小の妨害を伴って行われるように選択される。
【0058】
従って、反応物が、例えば、アミノ、カルボキシ又はヒドロキシのような基を含む場合、本明細書中に記述された反応のいくつかにおいて、これらの基を保護することが好ましいことであることができる。
【0059】
ヒドロキシ基のために適した保護基の例は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アロイル基、例えばベンゾイル、トリメチルシリルのようなシリル基、又はアリールメチル基、例えばベンジルである。上記の保護基のための脱保護条件は、保護基の選択により必然的に変化するものである。従って、例えば、アルカノイル基のようなアシル基又はアロイル基は、例えばアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような適した塩基による加水分解によって除去することができる。別の方法として、トリメチルシリル又はSEMのようなシリル基は、例えば、フッ化物又は酸水溶液によって除去することができ;或いはベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、炭素上のパラジウムのような触媒の存在中の水素化によって除去することができる。
【0060】
アミノ基のために適した保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチル、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はtert−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニルのようなアルカノイル基、又はアロイル基、例えばベンゾイルである。上記の保護基に対する脱保護条件は、保護基の選択により必然的に変化する。従って、例えば、アルカノイル又はアルコキシカルボニル基のようなアシル基或いはアロイル基は、例えばアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム又はナトリウムのような適した塩基による加水分解によって除去することができる。別の方法として、t−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば塩酸、硫酸又はリン酸或いはトリフルオロ酢酸のような適した酸による処理によって除去することができ、そしてベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば炭素上のパラジウムのような触媒上の水素化によって、或いはルイス酸、例えばトリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素による処理によって除去することができる。第一アミノ基のために適した別の保護基は、例えばフタロイル基であり、これは、アルキルアミン、例えばジメチルアミノプロピルアミン又は2−ヒドロキシエチルアミンによる、或いはヒドラジンによる処理によって除去することができる。
【0061】
カルボキシ基のために適した保護基は、例えば、例えば水酸化ナトリウムのような塩基による加水分解によって除去することができるエステル化基、例えばメチル又はエチル基、或いは例えば、例えば酸、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸による処理によって除去することができるt−ブチル基、或いは例えば、例えば炭素上のパラジウムのような触媒上の水素化によって除去することができるベンジル基である。
【0062】
樹脂も、更に保護基として使用することができる。
保護基は、合成のいずれもの都合のよい段階で、化学技術において公知の慣用的な技術を使用して除去することができるか、或いはこれらは、後の反応工程又は仕上げ中に除去することができる。
【0063】
当業者は、上記の参考文献内に含有され、そして言及されている情報、並びにその中に付属された実施例を、そして更に本明細書中の実施例を使用及び適合して、必要な出発物質、及び生成物を得ることが可能であるものである。
【0064】
いずれもの保護基の除去及び医薬的に受容可能な塩の形成は、標準的な技術を使用する当業者の技術の範囲内である。更に、これらの工程の詳細は、本明細書中で以下に与えられる。
【0065】
本発明の化合物の光学的に活性な形態が必要である場合、これは、光学的に活性な出発物質(例えば、適した反応工程の不斉導入によって形成される)を使用して上記の方法の一つを行うことによって、或いは標準的な方法を使用する化合物又は中間体のラセミの形態の分割によって、或いはジアステレオ異性体(生成された場合)のクロマトグラフ的分離によって得ることができる。酵素的技術も、更に光学的に活性な化合物及び/又は中間体の調製のために有用であることができる。
【0066】
同様に、本発明の化合物の純粋な位置異性体が必要な場合、これは、純粋な位置異性体を出発物質として使用して上記の方法の一つを行うことによって、或いは位置異性体又は中間体の混合物の標準的な方法を使用する分割によって得ることができる。
【0067】
本発明の更なる側面によれば、本明細書中で先に定義したとおりの式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩を、医薬的に受容可能な賦形剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0068】
本発明の組成物は、経口使用(例えば錠剤、ロゼンジ、硬質又は軟質カプセル、水性又は油性懸濁液、乳液、分散性粉末又は顆粒、シロップ又はエリキシルとして)、局所使用(例えばクリーム、軟膏、ゲル、或いは水性又は油性溶液若しくは懸濁液として)、吸入による投与(例えば微細に分割された粉末又は液体エアゾールとして)、通気による投与(例えば微細に分割された粉末として)、又は非経口投与(例えば静脈内、皮下、筋肉内若しくは筋肉内投与のための滅菌水性又は油性溶液として、或いは直腸投与のための座薬として)のために適した形態であることができる。
【0069】
本発明の組成物は、慣用的な方法によって、当技術において公知の慣用的な医薬的な賦形剤を使用して得ることができる。従って、経口使用を意図した組成物は、例えば一つ又はそれより多い着色剤、甘味剤、芳香剤及び/又は保存剤を含有することができる。
【0070】
錠剤の製剤のために適した医薬的に受容可能な賦形剤は、例えば、ラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム又は炭酸カルシウムのような不活性な希釈剤、コーンスターチ又はアルギン酸のような顆粒化及び崩壊剤;デンプンのような結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような潤滑剤;−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルのような保存剤、及びアスコルビン酸のような抗酸化剤を含む。錠剤の製剤は、被覆されていないか、或いはその崩壊及び胃腸管内における活性成分のその後の吸収を改変するか、或いはその安定性及び/又は外観を改良するいずれかのために、いずれの場合も、慣用的な被覆剤及び当技術において公知の方法を使用して被覆することができる。
【0071】
経口使用のための組成物は、活性成分が不活性な固体の希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合されている硬質ゼラチンカプセル、或いは活性成分が水或いはラッカセイ油、液体パラフィン、又はオリーブ油のような油と混合された軟質ゼラチンカプセルの形態であることができる。
【0072】
水性懸濁液は、一般的に活性成分を、微細に分割された粉末の形態で、一つ又はそれより多い、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムのような懸濁剤;レシチン、或いはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン);又はエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールのようなエチレンオキシドの脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、又はエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールのようなエチレンオキシドの脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、或いはエチレンオキシドの脂肪酸及びヘキシトール酸無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンのような分散又は湿潤剤と一緒に含有する。水性懸濁液は、更に一つ又はそれより多い保存剤(−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルのような、抗酸化剤(アスコルビン酸のような)、着色剤、芳香剤、及び/又は甘味剤(スクロース、サッカリン又はアスパルテームのような)を含有することもできる。
【0073】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油(ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はヤシ油のような)又は鉱油(液体パラフィンのような)中に懸濁することによって調合することができる。油性懸濁液は、更に蜜蝋、硬質パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含有することもできる。先に記載したような甘味剤及び芳香剤を加えて、口当たりのよい経口製剤を得ることができる。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0074】
水の添加による水性懸濁液の調製のために適した分散性粉末及び顆粒は、一般的に活性成分を、分散又は湿潤剤、懸濁剤及び一つ又はそれより多い保存剤と一緒に含有する。適した分散又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に上述したものによって例示される。甘味剤、芳香剤及び着色剤のような更なる賦形剤も、更に存在することができる。
【0075】
本発明の医薬組成物は、更に水中油乳液の形態であることもできる。油相は、オリーブ油若しくはラッカセイ油のような植物油、又は例えば液体パラフィンのような鉱油或いはこれらの混合物であることができる。適した乳化剤は、例えば、アラビアゴム又はトラガカントゴムのような天然に存在するゴム、ダイズ、レシチンのような天然に存在するリン脂質、脂肪酸及びヘキシトール酸無水物から誘導されるエステル又は部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)並びにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンのような前記の部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物であることができる。乳液は、更に甘味剤、芳香剤及び保存剤を含有することもできる。
【0076】
シロップ及びエリキシルは、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルターム又はスクロースのような甘味剤と調合することができ、そして更に粘滑剤、保存剤、芳香剤及び/又は着色剤を含有することもできる。
【0077】
医薬組成物は、更に滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態であることもでき、これは、既知の方法によって、上述した適当な分散又は湿潤剤の一つ若しくはそれより多く及び懸濁剤を使用して調合することができる。滅菌注射用製剤は、更に非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であることもできる。
【0078】
吸入による投与のための組成物は、活性成分を、微細に分割された固体又は液滴を含有するエアゾールのいずれかとして分配するために手配された慣用的な加圧式エアゾールの形態であることができる。揮発性のフッ素化炭化水素又は炭化水素のような慣用的なエアゾール噴射剤を使用することができ、そしてエアゾールデバイスは、都合よくは活性成分の計量された量を分配するために手配される。
【0079】
製剤に関する更なる情報については、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board),Pergamon Press 1990の5巻の25.2章を参照されたい。
【0080】
単一の剤形を製造するために一つ又はそれより多い賦形剤と混合される活性成分の量は、治療される宿主及び投与の特定の経路によって必然的に変化するものである。例えば、ヒトへの経口投与を意図する製剤は、一般的に、例えば、0.5mgないし2gの活性剤を、全組成物の約5ないし約98重量パーセントで変化することができる適当な、そして都合のよい量の賦形剤と配合されて含有するものである。単位剤形は、一般的に約1mgないし500mgの活性成分を含有するものである。投与の経路及び投与管理に関する更なる情報については、読者は、Comprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board),Pergamon Press 1990の5巻の25.3章を参照されたい。
【0081】
本発明の更なる側面によれば、療法によるヒト又は動物の身体の治療の方法における使用のための、本明細書中で先に定義したとおりの式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩が提供される。
【0082】
本出願人等は、本発明の化合物が、DGAT1活性を阻害し、そして従ってその血糖値低下の効果のために興味あるものであることを見出した。
本発明の更なる特徴は、医薬としての使用のための、式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩である。
【0083】
都合よくは、これは、ヒトのような温血動物における、DGAT1活性の阻害を産生するための医薬としての使用のための、式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩である。
【0084】
特に、これは、ヒトのような温血動物における、糖尿病及び/又は肥満症を治療するための医薬としての使用のための、式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩である。
【0085】
従って、本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物におけるDGAT1活性の阻害の産生における使用のための医薬の製造における、式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩の使用が提供される。
【0086】
従って、本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物における糖尿病及び/又は肥満症の治療における使用のための医薬の製造における、式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩の使用が提供される。
【0087】
本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物におけるDGAT1の阻害を産生することにおける使用のための、本明細書中で先に定義したとおりの式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩を、医薬的に受容可能な賦形剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0088】
本発明の更なる側面によれば、ヒトのような温血動物における糖尿病及び/又は肥満症の治療における使用のための、本明細書中で先に定義したとおりの式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩を、医薬的に受容可能な賦形剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物が提供される。
【0089】
本発明の更なる側面によれば、DGAT1活性の阻害を産生するための、そのような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0090】
本発明の更なる側面によれば、糖尿病及び/又は肥満症を治療する、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の本明細書中で先に定義したとおりの式(I)、(IA)及び/又は(IB)の化合物又は医薬的に受容可能なこれらの塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0091】
先に記述したように、特定の疾病状態の療法的又は予防的治療のために必要な投与量のサイズは、治療される宿主、投与の経路及び治療される病気の重篤度によって必然的に変化するものである。好ましくは1−50mg/kgの範囲の日量が使用される。然しながら、日量は、治療される宿主、投与の経路、及び治療される病気の重篤度によって必然的に変化するものである。従って、最適な投与量は、いずれかの特定の患者を治療する医師によって決定されることができる。
【0092】
先に記述したように、本発明中で定義された化合物は、DGAT1の活性を阻害するその能力のために興味あるものである。従って本発明の化合物は、糖尿病、更に具体的には2型糖尿病(T2DM)及びそれから起こる合併症(例えば網膜症、神経障害及び腎症)、耐糖能障害(IGT)、空腹時血糖異常、代謝性アシドーシス、ケトーシス、代謝異常症候群、関節炎、骨粗鬆症、肥満症及び肥満関連疾患(これは、末梢血管性疾患(間欠性跛行症を含む)、心不全及びある種の心筋症、心筋虚血、脳虚血及び血流再開、高脂質血症、アテローム性動脈硬化症、不妊症並びに多嚢胞性卵巣症候群を含む)を含むある範囲の疾病状態の予防、遅延又は治療のために有用であることができ;本発明の化合物は、更に筋力低下、挫瘡のような皮膚の疾病、各種の免疫調節性疾病(乾癬のような)、HIV感染、炎症性大腸症候群並びにクローン病及び潰瘍性大腸炎のような炎症性大腸炎のために有用であることもできる。
【0093】
特に、本発明の化合物は、糖尿病及び/又は肥満症及び/又は肥満関連疾患の予防、遅延又は治療のために興味あるものである。一つの側面において、本発明の化合物は、糖尿病の予防、遅延又は治療のために使用される。もう一つの側面において、本発明の化合物は、肥満症の予防、遅延又は治療のために使用される。更なる側面において、本発明の化合物は、肥満症関連疾患の予防、遅延又は治療のために使用される。
【0094】
本明細書中に記載されるDGAT1活性の阻害は、単独の療法としてか、或いは治療される兆候のための一つ又はそれより多い他の物質及び/又は治療との組合せで適用することができる。このような併用治療は、治療の個々の成分の同時、連続又は別個投与によって達成することができる。同時治療は、単一の錠剤又は別個の錠剤であることができる。例えばこのような併用治療は、代謝症候群[腹部肥満(民族及び性別に特定的な分割点に対して腰周りによって測定される)、並びに次のいずれか二つ:高トリグリセリド血症(>150mg/dl;1.7mmol/l);低HDLc(男性に対して<40mg/dl、又は<1.03mmol/l及び女性に対して<50mg/dl又は1.29mmol/l)又は低HDL(高密度リポタンパク質)に対する治療中;高血圧(SBP≧130mmHg、DBP≧85mmHg)又は高血圧に対する治療中;及び高血糖(空腹時血漿糖≧100mg/dl若しくは5.6mmol/l又は耐糖能障害或いは先在の糖尿病)として定義される−国際糖尿病連合及びIAS/NCEPから提供]の治療において利益があることができる。
【0095】
このような併用治療は、以下の主要な分類:
1)食物摂取、栄養吸収又はエネルギー消費による影響による体重減少を起こすもののような、オルリスタット、シブトラミン等のような抗肥満療法。
【0096】
2)スルホニル尿素(例えばグリベンクラミド、グリピジド)、食後血糖調節剤(例えばレパグリニド、ナテグリニド)を含むインスリン分泌促進物質;
3)インクレチンの作用を改良する薬剤(例えばジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、及びGLP−1アゴニスト);
4)PPARガンマアゴニスト(例えばピオグリタゾン及びロシグリタゾン)を含むインスリン増感剤、並びに組合されたPPARアルファ及びガンマ活性を持つ薬剤;
5)肝臓の糖バランスを調節する薬剤(例えばメトホルミン、フルクトース1、6ビスホスファターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グリコーゲンシンターゼキナーゼ阻害剤、グルコキナーゼ活性化剤);
6)腸からの糖の吸収を減少するために設計された薬剤(例えばアカルボーズ);
7)腎臓による糖の再吸収を防止する薬剤(SGLT阻害剤);
8)長期の高血糖の合併症を治療するために設計された薬剤(例えばアルドースレダクターゼ阻害剤);
9)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えばスタチン)、PPARα−アゴニスト(フィブラート、例えばゲムフィブロジル);胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン);コレステロール吸収阻害剤(植物スタノール、合成阻害剤);胆汁酸吸収阻害剤(IBATi)並びにニコチン酸及び類似体(ナイアシン及び徐放製剤)のような抗異脂質血症剤;
10)β−遮断剤(例えばアテノロール、インデラル);ACE阻害剤(例えばリシノプリル);カルシウムアンタゴニスト(例えばニフェジピン);アンジオテンシン受容体アンタゴニスト(例えばカンデサルタン)、αアンタゴニスト及び利尿剤(例えばフロセミド、ベンズチアジン)のような血圧降下剤;
11)抗血栓剤、線維素溶解の活性化剤及び抗血小板剤;トロンビンアンタゴニスト;活性化第Xa因子阻害剤;活性化第VIIa因子阻害剤);抗血小板剤(例えばアスピリン、クロピドグレル);抗凝血剤(ヘパリン及び低分子量類似体、ヒルジン)及びワルファリンのような止血調節剤;
12)グルカゴンの作用と拮抗する薬剤;並びに
13)非ステロイド系抗炎症性薬物(例えばアスピリン)及びステロイド系抗炎症剤(例えばコルチゾン)のような抗炎症剤;
を含むことができる。
【0097】
その治療的薬剤における使用に加えて、式(I)の化合物及びその医薬的に受容可能な塩は、更に、新しい治療剤のための探査の一部としてのネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラット及びマウスのような実験室動物におけるDGAT1活性の阻害剤の効果の評価のためのin virto及びin vivoの試験系の開発及び標準化における薬理学的手段としても有用である。
【0098】
上記で示したように、化合物の全て、及びその対応する医薬的に受容可能な塩は、DGAT1を阻害することにおいて有用である。DGAT1を阻害する式(I)の化合物、及びその対応する医薬的に受容可能な酸付加塩の能力は、以下の酵素アッセイを使用して証明することができる:
ヒト酵素アッセイ
DGAT1阻害剤を確認するためのin vitroのアッセイは、酵素源として昆虫細胞膜中に発現したヒトDGAT1を使用する(Proc.Natl.Acad.Sci.1998,95,13018−13023)。簡単には、sf9細胞を、ヒトDGAT1をコードする配列を含有する組換えバキュロウイルスで感染させ、そして48時間後に収穫した。細胞を超音波処理によって溶解し、そして膜を遠心によって28000rpmで1時間4℃で41%のスクロースの勾配で単離した。界面における膜画分を収集し、洗浄し、そして液体窒素中で保存した。
【0099】
DGAT1活性を、Coleman(Methods in Enzymology 1992,209,98−102)によって記載された方法の改変によって分析した。化合物を、1−10μMで、0.4μgの膜タンパク質、5mMのMgCl、及び100μMの1,2ジオレオイル−sn−グリセロールと共に200μlの全アッセイ体積で、プラスチック試験管中でインキュベートした。反応を、14Cオレオイル補酵素A(30μMの最終濃度)を加えることによって開始し、そして室温で30分間インキュベートした。反応を、1.5mLの2−プロパノール:ヘプタン:水(80:20:2)を加えることによって停止した。放射性トリオレイン産物を、1mLのヘプタン及び0.5mLのpH9.5の0.1Mの炭酸塩緩衝液を加えることによって有機相に分離した。DGAT1活性を、上部のヘプタン層のアリコートを液体シンチログラフィー(scintillography)によって計数することによって定量した。
【0100】
このアッセイを使用して、化合物は、一般的にIC50<100nM、好ましくは<50nM、更に好ましくは<10nMを持つ活性を示した。実施例1は、IC50=4nMを示した。
【0101】
DGAT1を阻害する式(I)の化合物、及びその対応する医薬的に受容可能な酸塩の能力は、更に以下の全細胞アッセイ1)及び2)を使用して証明することができる:
1)3T3細胞中のトリグリセリド合成の測定
マウスの脂肪細胞3T3細胞を、6ウェルプレート中の新生ウシ血清を含有する培地中で密集まで培養した。細胞の分化を、10%の胎児ウシ血清、1μg/mLのインスリン、0.25μMのデキサメタゾン及び0.5mMのイソブチルメチルキサンチンを含有する培地中でインキュベートすることによって誘発した。48時間後、細胞を、10%の胎児ウシ血清及び1μg/mLのインスリンを含有する培地中で更に4−6日間維持した。実験のために、培地を血清を含まない培地に変更し、そして細胞を、DMSO中で可溶化した化合物(最終濃度0.1%)で30分間予備インキュベートした。新規な脂質生合成を、0.25mMの酢酸ナトリウム及び1μCi/mLの14C−酢酸ナトリウムのそれぞれのウェルへの添加によって更に2時間測定した(J.Biol.Chem.,1976,251,6462−6464)。細胞を、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、そして1%のドデシル硫酸ナトリウム中で可溶化した。アリコートを、Lowryの方法(J.Biol.Chem.,1951,193,265−275)に基づくタンパク質推定キット(Perbio)を使用するタンパク質決定のために取り出した。脂質を、ヘプタン:プロパン−2−オール:水(80:20:2)の混合物を、続いて水及びヘプタンのアリコートを使用して、Colemanの方法(Methods in Enzymology,1992,209,98−104)によって有機相に抽出した。有機相を収集し、そして溶媒を窒素の流れ下で蒸発した。抽出物を、イソ−ヘキサン:酢酸(99:1)中で可溶化し、そして脂質を、正常相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、Lichrospher diol−5、4×250mmカラム並びにイソ−ヘキサン:酢酸(99:1)及びイソ−ヘキサン:プロパン−2−オール:酢酸(85:15:1)の勾配の溶媒系を、1mL/分の流量で使用して、Silversand及びHaux(1997)の方法によって分離した。放射性標識のトリグリセリド画分への組込みを、HPLC装置に接続されたRadiomatic Flo−one Detector(Packard)を使用して分析した。
【0102】
2)MCF7細胞中のトリグリセリド合成の測定
ヒト乳腺上皮(MCF7)細胞を、6ウェルプレート中の胎児ウシ血清を含有する培地中で密集まで培養した。実験のために、培地を血清を含まない培地に変更し、そして細胞をDMSO中に可溶化した化合物(最終濃度0.1%)と共に30分間予備インキュベートした。新規な脂質生合成を、50μMの酢酸ナトリウム及び3μCi/mLの14C−酢酸ナトリウムのそれぞれのウェルへの添加によって更に3時間の測定した(J.Biol.Chem.,1976,251,6462−6464)。細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、そして1%のドデシル硫酸ナトリウム中で可溶化した。アリコートを、Lowryの方法(J.Biol.Chem.,1951,193,265−275)に基づくタンパク質推定キット(Perbio)を使用するタンパク質決定のために取り出した。脂質を、ヘプタン:プロパン−2−オール:水(80:20:2)の混合物を、続いて水及びヘプタンのアリコートを使用して、Coleman(Methods in Enzymology,1992,209,98−104)の方法によって有機相に抽出した。有機相を収集し、そして溶媒を窒素の流れ下で蒸発した。抽出物をイソ−ヘキサン:酢酸(99:1)中に可溶化し、そして脂質を正常相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、リクロスフェアジオール−5、4×250mmカラム並びにイソ−ヘキサン:酢酸(99:1)及びイソ−ヘキサン:プロパン−2−オール:酢酸(85:15:1)の勾配溶媒系を、1mL/分の流量で使用して、Silversand及びHaux(J.Chromat.B,1997,703,7−14)の方法によって分離した。放射性標識のトリグリセリド画分への組込みを、HPLC装置に接続されたRadiomatic Flo−one Detector(Packard)を使用して分析した。
【0103】
3)ACATを阻害する化合物の能力を、Billheimer(1985)Methods in Enzymology,111,286−293中に記載されている酵素アッセイの変法を使用して測定することができる。試験は、コレステロールのエステル化を阻害する試験化合物の能力を、放射性標識されたオレオイルCoAから形成される放射性標識されたオレイン酸コレステロールの量を測定することによって評価する。化合物を、10μgの膜タンパク質及び267μMのコレステロールと共にインキュベートした。5分間の37℃における予備インキュベーション後、反応を14Cオレオイル補酵素A(50μMの最終濃度)を加えることによって開始し、そして37℃で更に30分間インキュベートした。反応を2−プロパノール:ヘプタン(12:1)を加えることによって停止した。放射性コレステリルエステル産物を、ヘプタン及びpH9.5の1Mの炭酸緩衝液を加えることによって有機相に分離した。ACAT活性を上部ヘプタン層のアリコートを液体シンチログラフィーによって計数することによって定量した。
【0104】
DGATを阻害する化合物のACAT阻害に対する選択性は、特定の化合物におけるDGATおよびACAT酵素アッセイで求められるIC50値の比により定義されうる。例えば、実施例1は70倍の選択性を示した。
【0105】
上記において、他の医薬組成物、製法、方法、使用及び医薬製造の特徴、本明細書中に記載された本発明の化合物の別の及び好ましい態様も、更に適用される。
実施例
本発明は、ここに以下の実施例によって例示されるものであり、これらにおいて、他に記述しない限り:
(i)温度は、摂氏の度(℃)で与えられる。操作は、室温又は周囲温度、即ち18−25℃の範囲の温度で、そしてアルゴンのような不活性ガスの雰囲気下で行った。
【0106】
(ii)有機溶液は、無水の硫酸マグネシウムで乾燥した;溶媒の蒸発は、回転蒸発器を使用して減圧下(600−4000Pa;4.5−30mmHg)で、60℃までの浴温で行った。
【0107】
(iii)クロマトグラフィーは、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを意味する;Biotageカートリッジが言及された場合、これは、Biotage,a division of Dyax Corp.,1500 Avon Street Extended,Charlottesville,VA 22902,USAによって供給される、60Aの、粒子サイズ32−63mMのKP−SILTMシリカを含有するカートリッジを意味する。
【0108】
(iv)一般的に、反応の経過は、TLCによって追跡され、そして反応時間は、例示のみのために与えられる。
(v)収率は、例示のみのために与えられ、そして必ずしも入念な過程開発によって得ることができるものではない。調製は、更なる物質が必要な場合繰り返した。
【0109】
(vi)与えられた場合、NMRデータ(H)は、他に記述しない限り、ペルジューテリオジメチルスルホキシド(DMSO−d)を溶媒として使用する300又は400MHz(他に記述しない限り)で決定された、トリメチルシラン(TMS)に対するパーツパーミリオン(ppm)で与えられる主要な診断プロトンに対するデルタ値の形態である;ピークの多重度は:s、単一線;d、二重線;dd、二重線の二重線;dt、三重線の二重線;dm、多重線の二重戦;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、幅広線のように示す。
【0110】
(vii)化学記号は、その通常の意味を有する;SI単位及び記号が使用される。
(viii)溶媒比は、容積:容積(v/v)の表記で与えられる。
(ix)質量スペクトル(MS)(ループ)は、HP1100検出器を備えたMicromass Platform LCで記録した;他に記述しない限り、引用された質量イオンは、(MH)である。
【0111】
(x)LCMS(液体クロマトグラフィー−質量分光測定)は、Waters 996 Photodiodeアレイ検出器を備えた、Waters 2790 LC、及びPhenomenex(登録商標)Gemini 5u C18 110A 50×2mmカラムを使用し、そして1.1ml/分の流量で、5%の(水/アセトニトリル(1:1)+1%ギ酸)及びアセトニトリルの0−95%の、残部(95−0%)が水である増加する勾配で最初の4分にわたって溶出する、Micromass ZMD MSを含んでなる装置で記録され、そしてここで、HPLCの滞留時間が報告されている場合、これは、他に記述しない限り、この装置における分であり;他に記述しない限り、引用される質量イオンは、(MH)である。
【0112】
(xi)相分離カートリッジが記述された場合、Argonaut Technologies,New Road,Hengoed,Mid Glamorgan,CF82 8AU,United Kingdomによって供給されるISOLUTE Phase Separatorの70mlカラムを使用した。
【0113】
(xii)SiliCycleカートリッジが言及された場合、これは、SiliCycle Chemical Division,1200 Ave St−Jean−Baptiste,Suite 114,Quebec City,Quebec,G2E 5E8によって供給される、粒子サイズ230−400メッシュの40−63umのポアサイズのUltra Pure Silica Gelを含有するカートリッジを意味する。
【0114】
(xiii)Isco Companionが言及された場合、ISOC Inc.、住所Teledyne ISOC Inc,4700 Superior Street,Lincoln,NE 68504,USAによって供給されるCombiflashコンパニオンクロマトグラフィー装置を使用した。
【0115】
(xiv)マイクロ波が言及された場合、これは、Biotage,a division of Dyax Corp.,1500 Avon Street Extended,Charlottesville,VA 22902,USAによって供給されるBiotage Initiator sixty又はSmith Creatorマイクロ波を意味する。
【0116】
(xv)GCMSが言及された場合、ガスクロマトグラフィー−質量分光分析は、AOC 20i自働サンプラーを備え、そしてShimadzu,Milton Keynes,MK12 5RE,UKによって供給され、‘GCMS solutions’ソフトウェア、バージョン2.0で制御される、QP−2010 GC−MS装置で行なった;GCカラムは、J & W Scientific,Folsom,CA,USAによって供給された長さ25m、内径0.32mm、フィルム厚さ0.52μmのDB−5MSであった。
【0117】
(xvi)遠心分離が言及された場合、これは、Genevac Limited,The Soveriegn Centre,Farthing Road,Ipswich,IP1 5AP,UKによって供給されたGenevac EZ−2plusを意味する。
【0118】
(xvii)キラルクロマトグラフィーが言及された場合、これは、一般的に20mmのMerckの50mmのChiralpak ADカラム(Chiral Technologies Europe,Parc d’Innovation,Bd.Gonthier d’Andernach,67404 Illkirch Cedex,Franceによって供給されたChiral Stationary Phase)を使用して、MeCN/2−プロパノール/AcOH(90/10/0.1)を溶出剤として使用して、80mL/分の流量、300nmの波長で、Gilson分離用HPLC装置(200mlヘッド)を使用して行った。
【0119】
(xviii)融点は、Buchi 530装置を使用して決定し、そして未補正である。
(xix)以下の略語を、以下において、又は本明細書中の先の方法の部において使用することができる。
【0120】
DMF ジメチルホルムアミド
DCM ジクロロメタン
MeOH メタノール
THF テトラヒドロフラン
DMSO ジメチルスルホキシド
EDCI(EDAC) 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジ−イミド塩酸塩
CHCN又はMeCN アセトニトリル
h 時間
min 分
HATU へキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム
NaOH 水酸化ナトリウム
AcOH 酢酸
DMA ジメチルアセトアミド
MgSO 硫酸マグネシウム
HCl 塩酸
全ての最終の実施例の名称は、ACD NAMEコンピューターパッケージを使用して得た。
【0121】
実施例1:cis−4−(3−フルオロ−4−{[5−(2,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸
【0122】
【化10】

【0123】
水酸化リチウム(965mg、23.0mmol)の水(5mL)中の溶液を、4−(3−フルオロ−4−{[5−(2,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸溶エチルエステル(中間体1、1.2g、2.3mmol)のTHF及びメタノールの1:1の混合物(50mL)中の液に一度に加え、そして混合物を周囲温度で4時間攪拌した。混合物を真空中で濃縮し、クエン酸の1Mの水溶液で酸性化し、そして次いで濾過して、固体を得た。固体を水で洗浄し、乾燥し、そしてエタノール(30mL)から再結晶して、表題化合物を、白色の固体(700mg、64%)として得た。
H NMR δ 1.6−1.9(8H,m),2.35−2.44(1H,m),4.5−4.63(1H,m),6.85(1H,dd),6.98(1H,dd),7.35−7.46(1H,m),7.65−7.78(1H,m),8.1−8.26(1H,m),10.6(1H,s),11.05(1H,s),12.08(1H,s);MS m/e MH 495。
【0124】
中間体1:cis−4−(3−フルオロ−4−{[5−(2,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]−オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
i)cis−4−(3−フルオロ−4−ニトロ−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【0125】
【化11】

【0126】
水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散物、5.05g、126mmol)を、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸エチル(20.7g、120mmol)及び2,4−ジフルオロニトロベンゼン(19.1g、120.2mmol)のDMA(100mL)中の4℃の撹拌された溶液に一度に加え、そして混合物を4℃で1時間撹拌し、そして次いで反応混合物を周囲温度に温め、そして24時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、そして次いで水及び酢酸エチルを加えた。層を分離し、そして有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮して、黄色の油状物を得た。油状物をカラムクロマトグラフィーによって、イソヘキサン中の20−50%の酢酸エチルの勾配を溶出剤として精製して、表題化合物を、淡黄色の固体(4.1g、11%)として得た。
H NMR δ 1.19(3H,t),1.63−1.9(9H,m),4.07(2H,q),4.72−4.8(1H,m),6.99(1H,dd),7.22(1H,dd),8.13(1H,dd);MS m/e MH 312。
【0127】
ii)cis−4−(4−アミノ−3−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル。
【0128】
【化12】

【0129】
炭素上のパラジウム(10重量%)(500mg)を、4−(3−フルオロ−4−ニトロ−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(2.6g、8.35mmol)のエタノール(75mL)中の溶液に一度に加え、そして混合物を水素雰囲気下で6時間撹拌した。反応混合物を濾過し、そして真空中で濃縮して、残渣を得た。残渣をカラムクロマトグラフィーによって、20−50%のEtOAc及びイソヘキサンの勾配を溶出剤として使用して精製して、表題化合物を、淡黄色の固体(2.0g、85%)として得た。
H NMR δ 1.18(3H,t),1.53−1.67(4H,m),1.69−1.82(4H,m),2.38−2.48(1H,m),4.07(2H,q),4.26−4.33(1H,m),4.65(2H,s),6.54(1H,dd),6.69(1H,dd),7.0(1H,dd);MS m/e MH 282。
【0130】
iii)cis−4−[3−フルオロ−4−(メトキシオキサリル−アミノ)−フェノキシ]−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【0131】
【化13】

【0132】
クロロオキソ酢酸メチル(1.18g、9.6mmol)を、4−(4−アミノ−3−フルオロ−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(1.8g、6.4mmol)及びピリジン(1.55mL、19.2mmol)のDCM(50mL)中の4℃の撹拌された溶液に一度に加え、そして反応混合物を周囲温度で2時間攪拌した。反応混合物を真空中で蒸発して、残渣を得て、そして酢酸エチルを加えた。水を加え、そして層を分離した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空中で濃縮して、表題化合物を、無色の油状物として得て、これを更なる精製なしに使用した;MS m/e (M−H) 366。
【0133】
iv)cis−4−[3−フルオロ−4−(ヒドラジノオキサリル−アミノ)−フェノキシ]−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【0134】
【化14】

【0135】
ヒドラジン一水和物(458mg、9.15mmol)を、4−[3−フルオロ−4−(メトキシオキサリル−アミノ)−フェノキシ]−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(2.8g、7.62mmol)のエタノール(75mL)中の溶液に一度に加え、そして混合物を周囲温度で2時間攪拌した。混合物を濾過し、エタノールで洗浄し、そして乾燥して、表題化合物を、白色の固体(2.35g、84%)として得た。
H NMR δ:1.19(3H,t),1.61−1.86(8H,m),4.08(2H,q),4.43−4.53(1H,m),4.64(2H,s),6.81(1H,dd),6.98(1H,dd),7.46(1H,dd),10.1(1H,s),10.27(1H,s);MS m/e (M−H) 366。
【0136】
v)cis−4−(3−フルオロ−4−{[5−(2,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【0137】
【化15】

【0138】
イソチオシアン酸2,4,5−トリフルオロフェニル(60mg、3.0mmol)を、4−[3−フルオロ−4−(ヒドラジノオキサリル−アミノ)−フェノキシ]−シクロヘキサン−カルボン酸エチルエステル(920mg、2.5mmol)のDMA(10mL)中の撹拌された懸濁液に一度に加え、そして反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。EDCI(720mg、3.76mmol)を加え、そして混合物を90℃で10分間マイクロ波中で加熱した。反応混合物を真空中で濃縮して、残渣を得た。水を加え、そして混合物を濾過し、そして高真空下で乾燥して、表題化合物(中間体1)を、淡黄色の粉末(1.2g、92%)として得た。
H NMR δ 1.2(3H,t),1.62−1.88(8H,m),2.4−2.5(1H,m),4.08(2H,q),4.55−4.63(1H,m),6.83(1H,dd),6.99(1H,dd),7.38(1H,dd),7.68−7.79(1H,m),8.12−8.26(1H,m),10.6(1H,s),11.1(1H,s);MS m/e MH523。
【0139】
実施例2:cis−4−(3−フルオロ−4−{[5−(3,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸
【0140】
【化16】

【0141】
水酸化リチウム(1.61g、38.3mmol)の水(10mL)中の溶液を、4−(3−フルオロ−4−{[5−(3,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(中間体2、2.0g、3.83mmol)のTHF及びメタノールの1:1の混合物(60mL)中の溶液に一度に加え、そして混合物を周囲温度で4時間攪拌した。混合物を真空中で濃縮し、クエン酸の1Mの水溶液で酸性化し、そして次いで濾過して、固体を得た。固体を水で洗浄し、乾燥し、そしてエタノール(30mL)から再結晶して、表題化合物を、白色の固体(1.1g、58%)として得た。
H NMR δ 1.66−1.95(8H,m),2.38−2.53(1H,m),4.58−4.68(1H,m),6.9(1H,dd),7.04(1H,dd),7.47(1H,dd),7.49−7.6(2H,m),10.7(1H,s),11.5(1H,s),12.1(1H,s);MS m/e MH 495。
【0142】
中間体2:cis−4−(3−フルオロ−4−{[5−(3,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル
【0143】
【化17】

【0144】
イソチオシアン酸3,4,5−トリフルオロフェニル(897mg、4.74mmol)を、4−[3−フルオロ−4−(ヒドラジノオキサリル−アミノ)−フェノキシ]−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル(1.45g、3.95mmol)のDMA(20mL)中の撹拌された懸濁液に一度に加え、そして反応混合物を周囲温度で1時間撹拌した。次いでEDCI(1.14g、5.92mmol)を加え、そして混合物を周囲温度で2時間攪拌した。反応混合物を真空中で濃縮して、残渣を得た。水を加え、そして混合物を濾過し、そして高真空下で乾燥して、表題化合物(中間体2)を、淡黄色の粉末(2.0g、95%)として得た。
H NMR δ 1.2(3H,t),1.64−1.88(8H,m),2.45−2.6(1H,m),4.1(2H,q),4.54−4.6(1H,m),6.84(1H,dd),7.0(1H,dd),7.36−7.53(3H,m),10.62(1H,s),11.45(1H,s);MS m/e MH 523。
【0145】
実施例3:cis−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸
【0146】
【化18】

【0147】
中間体3から実施例1のために記載したものと類似の方法で調製した。
H NMR: δ 1.6−1.9(8H,m),2.35−2.45(1H,m),4.54−4.62(1H,m),6.83(1H,dd),6.99(1H,dd),7.2−7.3(2H,m),7.4(1H,dd),7.58−7.68(2H,m),10.75(1H,s),11.05(1H,s),12.2(1H,s);MS m/e MH 457。
【0148】
中間体3:cis−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸エチル
【0149】
【化19】

【0150】
中間体1、v)のために記載したものと類似の方法で調製した。
H NMR: δ 1.09(3H,t),1.6−1.9(8H,m),2.4−2.5(1H,m),4.07(2H,q),4.5−4.62(1H,m),6.81(1H,dd),6.96(1H,dd),7.2−7.3(2H,m),7.39(1H,dd),7.57−7.69(2H,m),10.56(1H,s),10.94(1H,s);MS m/e MH 487。
【0151】
実施例4:trans−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(2,4,5−トリフルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸
【0152】
【化20】

【0153】
中間体4から実施例1のために記載したものと類似の方法で調製した。
H NMR:δ 1.08(3H,t),1.32−1.62(4H,m),1.89−2.0(2H,m),2.02−2.14(2H,m),2.2−2.32(1H,m),4.27−4.4(1H,m),6.83(1H,dd),6.97(1H,dd),7.33−7.44(1H,m),7.63−7.75(1H,m),8.09−8.24(1H,m),10.6(1H,s),11.05(1H,s),12.1(1H,s);MS m/e MH 495。
【0154】
中間体4:trans−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(2,4,5−トリフルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸エチル
i)trans−4−(3−フルオロ−4−ニトロ−フェノキシ)シクロヘキサン−1−カルボン酸エチル
【0155】
【化21】

【0156】
4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸エチル(20.7g、120.19mmol)及び2,4−ジフルオロニトロベンゼン(19.125g、120.19mmol)のDMF中の約5℃の撹拌された溶液に、NaH(5.05g、126.2mmol)を一度に加え、約10℃へのゆっくりした発熱を得た。反応物を5℃で1時間撹拌し、次いで周囲温度まで温まらせ、そして24時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、そして水(約400mL)でクエンチした。混合物をEtOAc(3×約150mL)で抽出し、有機層を混合し、食塩水(2×約100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濾過し、そしてオレンジ色の油状物(36g)まで蒸発した。粗製の残渣を分離用HPLC(シリカ、4:1の酢酸エチル:イソヘキサン)によって精製して、表題化合物(4.5g、12%)を、淡いオレンジ色の油状物として得た。
H NMR: δ 1.19(3H,t),1.39−1.53(4H,m),1.9−2.0(2H,m),2.04−2.13(2H,m),2.31−2.41(1H,m),4.08(2H,q),4.51−4.61(1H,m),6.99(1H,dd),7.25(1H,dd),8.12(1H,dd);MS m/e MH 312。
【0157】
ii)trans−4−(4−アミノ−3−フルオロ−フェノキシ)シクロヘキサン−1−カルボン酸エチル
【0158】
【化22】

【0159】
中間体1、ii)のために記載したものと類似の方法で調製した。
H NMR: δ 1.19(3H,t),1.27−1.4(2H,m),1.42−1.55(2H,m),1.86−1.95(2H,m),1.96−2.05(2H,m),2.25−2.38(1H,m),4.01−4.13(1H,m),4.07(2H,q),4.63(2H,s),6.54(1H,dd),6.69(1H,dd),6.7(1H,dd)。
【0160】
iii)trans−4−[3−フルオロ−4−[(メトキシカルボニルホルミル)アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸エチル
【0161】
【化23】

【0162】
中間体1、iii)のために記載したものと類似の方法で調製した。
MS m/e MH 366。
iv)trans−4−[3−フルオロ−4−[(ヒドラジンカルボニルホルミル)アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸エチル
【0163】
【化24】

【0164】
中間体1、iv)のために記載したものと類似の方法で調製した。
H NMR: δ 1.2(3H,t),1.34−1.46(2H,m),1.48−1.61(2H,m),1.88−1.98(2H,m),2.01−2.11(2H,m),2.3−2.4(1H,m),4.07(2H,q),4.3−4.4(1H,m),4.64(2H,s),6.8(1H,dd),6.98(1H,dd),7.45(1H,dd),10.1(1H,s),10.3(1H,s);MS m/e MH 366。
【0165】
v)trans−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(2,4,5−トリフルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸エチル
【0166】
【化25】

【0167】
中間体1、v)のために記載したものと類似の方法で調製した。
H NMR: δ 1.08(3H,t),1.13−1.55(4H,m),1.79−1.91(2H,m),1.92−2.05(2H,m),2.16−2.37(1H,m),3.98(2H,q),4.2−3.35(1H,m),6.73(1H,dd),6.9(1H,dd),7.28(1H,dd),7.55−7.65(1H,m),8.0−8.15(1H,m),10.52(1H,s);MS m/e MH 523。
【0168】
実施例5:trans−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸
【0169】
【化26】

【0170】
中間体5から実施例1のために記載したものと類似の方法で調製した。
H NMR: δ 1.3−1.62(4H,m),1.85−2.12(4H,m),2.17−2.33(1H,m),4.24−4.4(1H,m),6.8(1H,dd),6.97(1H,dd),7.2−7.3(2H,m),7.37(1H,dd),7.54−7.68(2H,m),10.53(1H,s),10.97(1H,s),12.07(1H,s);MS m/e MH 457。
【0171】
中間体5:trans−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸エチル
【0172】
【化27】

【0173】
中間体4、v)のために記載したものと類似の方法で調製した。
H NMR: δ 1.19(3H,t),1.32−1.43(4H,m),1.88−2.12(4H,m),2.28−2.41(1H,m),4.05(2H,q),4.28−4.42(1H,m),6.81(1H,dd),6.96(1H,dd),7.2−7.3(2H,m),7.39(1H,dd),7.57−7.69(2H,m),10.56(1H,s),10.94(1H,s);MS m/e MH 487。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

[式中:
それぞれのRは、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシから独立に選択され;
nは、1、2又は3である]
の化合物又はその塩。
【請求項2】
以下の式(IA):
【化2】

の化合物である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその塩。
【請求項3】
以下の式(IB):
【化3】

の化合物である、請求項1に記載の式(I)の化合物、又はその塩。
【請求項4】
cis−4−(3−フルオロ−4−{[5−(2,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸;
cis−4−(3−フルオロ−4−{[5−(3,4,5−トリフルオロ−フェニルアミノ)−[1,3,4]オキサジアゾール−2−カルボニル]−アミノ}−フェノキシ)−シクロヘキサンカルボン酸;
cis−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸;
trans−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(2,4,5−トリフルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸;
trans−4−[3−フルオロ−4−[[5−[(4−フルオロフェニル)アミノ]1,3,4−オキサジアゾール−2−カルボニル]アミノ]フェノキシ]シクロヘキサン−1−カルボン酸;
又は医薬的に受容可能なこれらのいずれかの塩;
から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
医薬としての使用のための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に受容可能なその塩。
【請求項6】
ヒトのような温血動物における糖尿病及び/又は肥満症を治療するための医薬としての使用のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に受容可能なその塩。
【請求項7】
DGAT1活性の阻害を産生するための、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項8】
糖尿病及び/又は肥満症を治療する、このような治療を必要とするヒトのような温血動物における、有効な量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、前記動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項9】
ヒトのような温血動物におけるDGAT1活性の阻害の産生における使用のための医薬の製造における、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物又は医薬的に受容可能なその塩或いはプロドラッグの使用。
【請求項10】
前記医薬が、ヒトのような温血動物における糖尿病及び/又は肥満症の治療において使用される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又は医薬的に受容可能なその塩を、医薬的に受容可能な賦形剤又は担体と共に含んでなる医薬組成物。
【請求項12】
以下の工程(ここにおいて、全ての可変基及び変数は、他に記述しない限り、式(I)の化合物のために本明細書中で先に定義したとおりである):
a)以下の式(2)のアミンの、以下の式(3):
【化4】

[式中、Rは、(1−4C)アルキル基(メチル、エチル、イソプロピル、又はtert−ブチルのような)である]
のカルボン酸塩との反応、それに続くR基の加水分解;
b)以下の式(4):
【化5】

[式中、Rは、(1−4C)アルキル基である]
の化合物(ここでXは、S又はOである)の環化、それに続くR基の加水分解;
の一つを含んでなり、そしてその後、必要な場合:
1)いずれもの保護基を除去する;及び/又は
2)塩(医薬的に受容可能な)を形成する;
請求項1に記載の化合物を調製するための方法。

【公表番号】特表2009−538891(P2009−538891A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512663(P2009−512663)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001981
【国際公開番号】WO2007/138304
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】