説明

E.coliキャリアタンパク質に結合体化した多糖免疫原

E.coliタンパク質と結合体化した多糖免疫原に対する応答を改善するためのキャリアタンパク質として有用なE.coliタンパク質が同定された。特に、AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)、Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)およびSel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)が、有効であることが示された。さらに、これらのE.coliタンパク質は、グルカン、特に真菌グルカンに対する免疫応答を増進できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、E.coliキャリアポリペプチドに結合体化した多糖免疫原を用いる免疫化に関する。特に興味があるものは、細菌感染および真菌感染ならびに疾患に対するワクチンとしてのそのような組成物の使用である。
【背景技術】
【0002】
キャリアタンパク質は、多糖免疫原に対する免疫応答を改善するために用いられる。このようなキャリアタンパク質は、非常に若年のものにおける免疫応答を誘導するために特に有利であり得るので、いくつかの小児ワクチンで見出される。推奨される小児免疫化計画は、出生時B型肝炎ワクチン;生後6週で開始するジフテリア/破傷風/百日咳(DTaP)、ロタウイルス、H.influenzae b型(Hib)結合体、不活化ポリオウイルスおよび肺炎球菌結合体の全て;生後6カ月で開始する不活化インフルエンザワクチン;生後12カ月で開始する麻疹/流行性耳下腺炎/風疹(MMR)、水痘およびA型肝炎;ならびに2歳以降の髄膜炎菌結合体を含むかなりの数のワクチンを含む。このリストのうち、以下のものは多糖結合体である:Hib結合体(例えばHbOC−ジフテリアCRM197結合体);肺炎球菌結合体(例えばPrevnar−ジフテリアCRM197結合体およびSynflorix−分類不能型Haemophilus influenzae株に由来するタンパク質キャリア);および髄膜炎菌結合体(例えばMenactra−ジフテリアCRM197結合体)。
【0003】
現在の小児免疫化計画に新しいワクチンを追加することは、対処しなければならない2つの潜在的な問題に遭遇する可能性がある。まず、キャリア誘導性エピトープ抑制(または一般的に公知であるように「キャリア抑制」)、特にキャリア初回免疫(carrier priming)から生じる抑制の問題に対処しなければならない。「キャリア抑制」は、それにより、キャリアタンパク質を用いる動物の予備免疫化が、そのキャリア上に提示された新しい抗原性エピトープに対する免疫応答を後で動物が惹起することを妨げる現象である(非特許文献1)。
【0004】
非特許文献2において報告されるように、いくつかのワクチン抗原が同じタンパク質成分(結合体において免疫原および/またはキャリアタンパク質として用いられる)を含有するならば、これらの抗原間で干渉する可能性がある。Schutzeらは、破傷風トキソイド(Tt)キャリアに結合体化した抗原に対する免疫応答が、Ttに対して予め存在する免疫により抑制されたことを観察した。
【0005】
Daganらは、Hib結合体についてのキャリアがDTPワクチンからの破傷風抗原と同じである場合に、DTPワクチンとHib結合体ワクチンとの組み合わせが、有害な影響を受けたことを観察した(非特許文献3)。Daganらは、共通のタンパク質キャリアによる干渉から生じるこの「キャリア抑制」現象を、複数の結合体を含むワクチンを導入する場合に考慮すべきであると結論付けている。
【0006】
SchutzeらおよびDaganらとは対照的に、Baringtonらは、破傷風トキソイドでの初回免疫が、後で投与されたHib−Tt結合体に対する免疫応答に対して負の影響を有さないが、母体から獲得した抗Tt抗体を有する患者で抑制が見られたことを報告した((1994年)Infect Immun 62巻:9〜14頁)。しかし、Di Johnらは、破傷風ワクチン接種に起因する既存の抗Tt抗体を有する患者において、Ttベースのペプチド結合体について「エピトープ抑制」効果を観察した((1989年)Lancet 2巻(8677号):1415〜8頁)。
【0007】
Granoffらは、CRM197(ジフテリア毒素の解毒化変異体)をキャリアとして有する結合体が、ワクチンの一部として(例えばDTPまたはDTワクチンの一部として)ジフテリア毒素を以前に受けていない小児において無効であり得ることを示唆した((1993年)Vaccine Suppl 1巻:S46〜51頁)。この研究は、Granoffら(1994年)JAMA 272巻:1116〜1121頁においてさらに発展し、ここでは、D−T免疫化によるキャリア初回免疫効果が、Hib結合体でのその後の免疫化に対して持続することが観察された。
【0008】
Baringtonら(1993年)Infect Immun 61巻:432〜438頁では、著者らは、ジフテリアまたは破傷風トキソイドキャリアタンパク質での予備免疫化が、これらのキャリアに結合体化したHib莢膜糖でのその後の免疫化の後の抗Hib抗体レベルの増加を低減した(IgG1およびIgG2は等しく影響を受けた)ことを見出した。結合体のキャリア部分に対する応答も抑制された。さらに、1つの結合体を用いる予備免疫化が、4週間後に投与された第2の結合体のキャリアと糖部分との両方に対する免疫応答に影響したことが観察されたので、より全般的なエピトープ非特異的抑制が観察された。
【0009】
したがって、「キャリア抑制」の影響に関する混乱を鑑みると、結合体化のために利用可能な追加のキャリアタンパク質を有することは、このような有害な相互作用を低減するために有益である。
【0010】
次に、既に混み合った免疫化計画に鑑みると、免疫化計画に新しいワクチンを追加することは、潜在的な有害相互作用に起因するが、また、単に、必要とされる別々の注射の数のために、ますます困難になっている。したがって、DTaPまたはMMRワクチンのように単一の注射にワクチンを組み合わせることができることが有利である。多糖免疫原に対する免疫応答を増進できるとともにそれ自体に対する免疫応答を誘導できる追加のキャリアタンパク質を有することは、異なる病原体に対するワクチンを単一の注射用組成物に組み合わせることを可能にできるので、有益である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Herzenbergら、Nature(1980年)285巻:664〜667頁
【非特許文献2】Schutzeら、J Immunol(1985年)135巻:2319〜2322頁
【非特許文献3】Daganら、Infect Immun(1998年)66巻:2093〜2098頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
多糖免疫原への結合体化のためのさらなるおよび/またはよりよいキャリアポリペプチドを提供することが、本発明の目的である。多糖免疫原への結合体化のためのキャリアポリペプチドであって、病原性E.coli株、より具体的には腸内病原型(例えばEAEC株、EIEC株、EPEC株およびETEC株)およびExPEC病原型に対する免疫化において用いることができるキャリアポリペプチドを提供することも、本発明の目的である。多糖免疫原がグルカン多糖であり、いくつかの実施形態では真菌病原体に対する免疫化において用いることができる、このようなさらなるおよび/またはよりよいキャリアポリペプチドを有する結合体を提供することも、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の一態様は、E.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)およびEscherichia Sel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)からなる群より選択されるキャリアポリペプチドに結合体化したグルカン多糖を含むグルカン多糖結合体を提供する。キャリアポリペプチドがE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である場合、キャリアポリペプチドは、(a)配列番号50のアミノ酸配列を有し、(b)配列番号50と比較して1から10までの単一アミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有し、(c)配列番号50と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有し、(d)配列番号50からの少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125もしくは少なくとも150連続するアミノ酸の断片を含み、かつ/または(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号50とアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・y(ここで、xは30であり、yは0.75である)の同一のアラインメントされたアミノ酸を有するものであり得る。キャリアポリペプチドがE.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)である場合、キャリアポリペプチドは、(a)配列番号44のアミノ酸配列を有し、(b)配列番号44と比較して1から10までの単一アミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有し、(c)配列番号44と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有し、(d)配列番号44からの少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125もしくは少なくとも150連続するアミノ酸の断片を含み、かつ/または(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号44とアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・y(ここで、xは30であり、yは0.75である)の同一のアラインメントされたアミノ酸を有するものであり得る。キャリアポリペプチドがEscherichia Sel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)である場合、キャリアポリペプチドは、(a)配列番号48のアミノ酸配列を有し、(b)配列番号48と比較して1から10までの単一アミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有し、(c)配列番号48と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有し、(d)配列番号48からの少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125もしくは少なくとも150連続するアミノ酸の断片を含み、かつ/または(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号48とアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・y(ここで、xは30であり、yは0.75である)の同一のアラインメントされたアミノ酸を有するものであり得る。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、β−1,3連結および/またはβ−1,6連結を含有する。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、単一分子種である。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、キャリアタンパク質に直接結合体化しているかまたはリンカーを介して結合体化している。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、100kDa未満(例えば80kDa未満、70kDa未満、60kDa未満、50kDa未満、40kDa未満、30kDa未満、25kDa未満、20kDa未満または15kDa未満)の分子量を有する。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、60以下(例えば59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5または4)のグルコース単糖単位を有する。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、いくらかのβ−1,6分岐を有するβ−1,3グルカン多糖である。多糖がいくらかのβ−1,6分岐を有するβ−1,3グルカン多糖である、ある実施形態では、グルカン多糖は、ラミナリンである。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、β−1,3連結グルコース残基とβ−1,6連結グルコース残基の両方を、少なくとも8:1のβ−1,3連結グルコース残基対β−1,6連結残基の比で含み、かつ/またはβ−1,3連結によってのみ他の残基と連結した少なくとも5の近接非末端残基の1もしくは複数の配列が存在する。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、β−1,3連結グルコース残基とβ−1,6連結グルコース残基の両方を、少なくとも8:1のβ−1,3連結グルコース残基対β−1,6連結残基の比で含む。β−1,6連結残基を有するものを除く任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、β−1,3連結のみを有する。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖は、カードランである。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、グルカン多糖結合体は、アジュバントをさらに含む。
【0014】
本発明の別の態様は、先行する態様による、任意のその実施形態におけるグルカン多糖結合体を含むワクチン成分を提供する。
【0015】
本発明のまた別の態様は、先行する態様のワクチン成分を含むワクチンを提供する。ある実施形態では、ワクチンは、アジュバントをさらに含む。先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、ワクチンは、Neisseria meningitidis抗原、Streptococcus pneumoniae抗原、Streptococcus pyogenes抗原、Moraxella catarrhalis抗原、Bordetella pertussis抗原、Staphylococcus aureus抗原、Staphylococcus epidermis抗原、Clostridium tetani抗原、Cornynebacterium diphteriae抗原、Haemophilus influenzae B型(Hib)抗原、Pseudomonas aeruginosa抗原、Legionella pneumophila抗原、Streptococcus agalactiae抗原、Neiserria gonorrhoeae抗原、Chlamydia trachomatis抗原、Treponema pallidum抗原、Haemophilus ducreyi抗原、Enterococcus faecalis抗原、Enterococcus faecium抗原、Helicobacter pylori抗原、Staphylococcus saprophyticus抗原、Yersinia enterocolitica抗原、追加のE.coli抗原、Bacillus anthracis抗原、Yersinia pestis抗原、Mycobacterium tuberculosis抗原、Rickettsia抗原、Listeria monocytogenes抗原、Chlamydia pneumoniae抗原、Vibrio cholerae抗原、Salmonella typhi抗原、Borrelia burgdorferi抗原、Porphyromonas gingivalis抗原、Shigella抗原およびKlebsiella抗原から選択される追加のワクチン成分をさらに含む。先行する実施形態と組み合わせ得るある好ましい実施形態では、ワクチンは、Staphylococcus aureus抗原、Candida albicans抗原、Clostridium difficile抗原またはPseudomonas aeruginosa抗原を含み得る院内感染に関連する細菌から選択される追加のワクチン成分をさらに含む。
【0016】
本発明のまたさらに別の態様は、哺乳類被験体におけるグルカン多糖に対する増進した免疫応答を誘導する方法であって、哺乳類被験体に、先行する態様による、任意のその実施形態におけるグルカン多糖結合体、先行する態様によるワクチン成分、または先行する態様による、任意のその実施形態におけるワクチンを投与することを含む方法を提供する。
【0017】
本発明の別の態様は、哺乳類被験体における多糖に対する増進した免疫応答を誘導するための、先行する態様による、任意のその実施形態におけるグルカン多糖結合体、先行する態様によるワクチン成分、または先行する態様による、任意のその実施形態におけるワクチンの使用を提供する。
【0018】
本発明のまた別の態様は、E.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)およびEscherichia Sel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)からなる群より選択されるキャリアポリペプチドに結合体化した多糖を含む多糖結合体を提供する。キャリアポリペプチドがE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である実施形態では、キャリアポリペプチドは、配列番号39のE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)と比較して毒性を低減する変異および/または精製を改善する欠失を含んでよい。キャリアポリペプチドが毒性を低減する変異を有するE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、変異は、zincinメタロプロテアーゼドメインの全部または一部の欠失、およびプロテアーゼ活性を低減するzincinメタロプロテアーゼドメイン中の点変異から選択してよい。キャリアポリペプチドが毒性を低減する変異を有するE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、点変異は、いくつかの場合では、配列番号39とのアラインメントに基づくアミノ酸番号1305であり得る、亜鉛結合残基の変異または触媒残基の変異である。キャリアポリペプチドが毒性を低減する変異を有するE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、キャリアポリペプチドは、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の100のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の200のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の300のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の400のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の500のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の600のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の700のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の750のC末端アミノ酸、もしくはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の758のC末端アミノ酸を含まないか、またはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の100のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の200のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の300のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の400のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の500のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の600のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の700のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の750のN末端アミノ酸、もしくはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の760のN末端アミノ酸を含まない。キャリアポリペプチドがE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、キャリアポリペプチドは、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の100のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の125のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の150のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の175のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の200のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の210のC末端アミノ酸、またはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の217のC末端アミノ酸を含まず、場合によって、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の10のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の20のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の30のN末端アミノ酸、またはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の33のN末端アミノ酸を含まない。キャリアポリペプチドがE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、キャリアポリペプチドは、(a)配列番号26〜40のアミノ酸配列を有し、(b)配列番号26〜40と比較して1から10までの単一アミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有し、(c)配列番号26〜40と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有し、(d)配列番号26〜40からの少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125もしくは少なくとも150連続するアミノ酸の断片を含み、かつ/または(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号26〜40のいずれかとアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・y(ここで、xは30であり、yは0.75である)の同一のアラインメントされたアミノ酸を有するものであり得る。キャリアポリペプチドがE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、キャリアポリペプチドは、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較してキャリアポリペプチドの溶解度を増加するE.coli AcfD(orf3526)タンパク質に対する欠失をさらに含有する。キャリアポリペプチドが溶解度を増加する欠失を有するE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、欠失は、gly−ser領域までの実質的に全てのN末端アミノ酸の除去、N末端プロリンリッチ反復の全てもしくは一部分の除去、またはその両方である。キャリアポリペプチドが溶解度を増加する欠失を有するE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、欠失は、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の10のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の20のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の30のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の33のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の40のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の50のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の60のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の70のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の80のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の90のN末端アミノ酸、またはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の94のN末端アミノ酸の除去である。キャリアポリペプチドがE.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)である実施形態では、キャリアポリペプチドは、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)の断片であってよく、断片は、全長E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)に対する欠失を含有し、この欠失は、全長タンパク質と比較して断片の溶解度を増加する。キャリアポリペプチドが、溶解度を増加する欠失を有するE.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)である、ある実施形態では、欠失は、カルボキシル末端β−バレルドメインを含むか、またはキャリアポリペプチドは、配列番号44のアミノ酸配列に相当する。キャリアポリペプチドが、溶解度を増加する欠失を有するE.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、断片は、flu抗原43(orf1364)タンパク質の950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、440未満のアミノ酸、または430未満のアミノ酸を含む。キャリアポリペプチドがE.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、キャリアポリペプチドは、(a)配列番号1〜22のアミノ酸配列を有し、(b)配列番号1〜22と比較して1から10までの単一アミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有し、(c)配列番号1〜22と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有し、(d)配列番号1〜22からの少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125もしくは少なくとも150連続するアミノ酸の断片を含み、かつ/または(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号1〜22のいずれかとアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・y(ここで、xは30であり、yは0.75である)の同一のアラインメントされたアミノ酸を有するものであり得る。キャリアポリペプチドがE.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)である先行する実施形態と組み合わせ得る別の実施形態では、断片は、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の10のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の20のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の30のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の

40のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の50のN末端アミノ酸、もしくはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の52のN末端アミノ酸を含まず、かつ/または断片は、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の50のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の100のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の150のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の200のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の250のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の300のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の325のC末端アミノ酸、もしくはE.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の328のC末端アミノ酸を含まない。キャリアポリペプチドがEscherichia Sel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)である実施形態では、キャリアポリペプチドは、(a)配列番号23〜25のアミノ酸配列を有し、(b)配列番号23〜25と比較して1から10までの単一アミノ酸変更を有するアミノ酸配列を有し、(c)配列番号23〜25と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有し、(d)配列番号23〜25からの少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125もしくは少なくとも150連続するアミノ酸の断片を含み、かつ/またはペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号23〜25のいずれかとアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・y(ここで、xは30であり、yは0.75である)の同一のアラインメントされたアミノ酸を有するものであり得る。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、多糖は、(a)グルカン、(b)Neisseria meningitidisの血清群A、C、W135およびYのうちの少なくとも1つに由来する莢膜糖、(c)Streptococcus pneumoniaeからの糖抗原、(d)Staphylococcus aureusからの莢膜多糖、(e)Haemophilus influenzae B多糖、(f)Streptococcus aglactiaeからの糖抗原、(g)Vibrio choleraeからのリポ多糖または(h)Salmonella typhiからの莢膜多糖であってよい。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、多糖は、100kDa未満(例えば80kDa未満、70kDa未満、60kDa未満、50kDa未満、40kDa未満、30kDa未満、25kDa未満、20kDa未満または15kDa未満)の分子量を有する。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、多糖は、60以下(例えば59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5または4)の単糖単位を有する。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、多糖は、キャリアタンパク質に直接または間接的に結合体化してよい。任意の先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、多糖結合体は、アジュバントをさらに含む。
【0019】
本発明の別の態様は、先行する態様による、任意のその実施形態における多糖結合体を含むワクチン成分を提供する。
【0020】
本発明のまた別の態様は、先行する態様のワクチン成分を含むワクチンを提供する。ある実施形態では、ワクチンは、アジュバントをさらに含む。先行する実施形態と組み合わせ得るある実施形態では、ワクチンは、Neisseria meningitidis抗原、Streptococcus pneumoniae抗原、Streptococcus pyogenes抗原、Moraxella catarrhalis抗原、Bordetella pertussis抗原、Staphylococcus aureus抗原、Staphylococcus epidermis抗原、Clostridium tetani抗原、Cornynebacterium diphteriae抗原、Haemophilus influenzae B型(Hib)抗原、Pseudomonas aeruginosa抗原、Legionella pneumophila抗原、Streptococcus agalactiae抗原、Neiserria gonorrhoeae抗原、Chlamydia trachomatis抗原、Treponema pallidum抗原、Haemophilus ducreyi抗原、Enterococcus faecalis抗原、Enterococcus faecium抗原、Helicobacter pylori抗原、Staphylococcus saprophyticus抗原、Yersinia enterocolitica抗原、追加のE.coli抗原、Bacillus anthracis抗原、Yersinia pestis抗原、Mycobacterium tuberculosis抗原、Rickettsia抗原、Listeria monocytogenes抗原、Chlamydia pneumoniae抗原、Vibrio cholerae抗原、Salmonella typhi抗原、Borrelia burgdorferi抗原、Porphyromonas gingivalis抗原、Shigella抗原およびKlebsiella抗原から選択される追加のワクチン成分をさらに含む。先行する実施形態と組み合わせ得るある好ましい実施形態では、ワクチンは、Staphylococcus aureus抗原、Candida albicans抗原、Clostridium difficile抗原またはPseudomonas aeruginosa抗原を含み得る院内感染に関連する細菌から選択される追加のワクチン成分をさらに含む。
【0021】
本発明のまたさらに別の態様は、哺乳類被験体における多糖に対する増進した免疫応答を誘導する方法であって、哺乳類被験体に、先行する態様による、任意のその実施形態における多糖結合体、先行する態様によるワクチン成分、または先行する態様による、任意のその実施形態におけるワクチンを投与することを含む方法を提供する。
【0022】
本発明の別の態様は、、哺乳類被験体における多糖に対する増進した免疫応答を誘導するための、先行する態様による、任意のその実施形態における多糖結合体、先行する態様によるワクチン成分、または先行する態様による、任意のその実施形態におけるワクチンの使用を提供する。
【0023】
詳細な説明
純粋な多糖は、しばしば不十分な免疫原であり、よって、キャリアポリペプチドに結合体化する必要がある。多糖が十分な免疫原性を有する場合でさえ、キャリアタンパク質への結合体化は免疫原性を増進できるので、送達される必要がある多糖がより少ない。さらに、非常に若年のものにおける防御効力のために、キャリアポリペプチドへの結合体化が頻繁に要求される。炭水化物抗原の免疫原性を増進するための、キャリアタンパク質への結合体化の使用は、周知であり(例えばLindberg(1999年)Vaccine 17巻増刊2号:S28〜36頁、ButteryおよびMoxon(2000年)J R Coll Physicians Lond 34巻:163〜8頁、AhmadおよびChapnick(1999年)Infect Dis Clin North Am 13巻:113〜33頁、vii、Goldblatt(1998年)J. Med. Microbiol.47巻:563〜567頁、EP−B−0477508、米国特許第5,306,492号、WO98/42721、Dickら、Conjugate Vaccines(Cruseら編)Karger、Basel、1989年、10巻、48〜114頁、Hermanson Bioconjugate Techniques、Academic Press、San Diego CA(1996年)などを参照されたい)、特に小児ワクチンに用いられている(Ramsayら(2001年)Lancet 357巻(9251号):195〜6頁)。本発明者らは、3つのE.coli抗原:アクセサリーコロニー形成因子D(AcfD)前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)、Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)およびSel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)が、キャリアポリペプチドとして作用できることを、驚くべきことに見出した。
【0024】
本発明の態様は、よって、キャリアタンパク質に結合体化した多糖と、場合によってアジュバント(以下で規定されるように)とを含む多糖結合体を提供する。
【0025】
キャリアポリペプチドは、多糖に、直接またはリンカーを介して共有結合的に結合体化し得る。任意の適切な結合体化反応を、必要である場合に任意の適切なリンカーとともに用いることができる。
【0026】
多糖とキャリアポリペプチドとの付着は、好ましくは−NH基を介して、例えばキャリアポリペプチド中のリシン残基(複数可)またはアルギニン残基(複数可)の側鎖(複数可)による。多糖が遊離のアルデヒド基を有する場合、この基は、キャリアポリペプチド中のアミンと反応して、還元的アミノ化により結合体を形成できる。キャリアへの付着は、−SH基を介して、例えばキャリアポリペプチド中のシステイン残基(複数可)の側鎖(複数可)によってもよい。代わりに、多糖は、キャリアタンパク質に、リンカー分子を介して付着してよい。
【0027】
多糖は、典型的には、結合体化の前に活性化または機能化(functionalized)される。活性化には、例えば、CDAP(1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート)のようなシアニル化試薬が関与してよい。その他の適切な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p−ニトロ安息香酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、S−NHS、EDC、TSTUを用いる(例えばWO98/42721についての導入を参照されたい)。
【0028】
キャリアポリペプチドとの直接の連結は、米国特許第4,761,283号および米国特許第4,356,170号に記載されるように、多糖の酸化と、その後のキャリアポリペプチドとの還元的アミノ化とを含み得る。
【0029】
リンカー基を介する連結は、任意の公知の手順、例えば米国特許第4,882,317号および米国特許第4,695,624号に記載される手順を用いて作製してよい。典型的には、リンカーは、多糖のアノマー炭素を介して付着する。好ましい型の連結は、遊離の−NH2基(例えばアミノ化により多糖に導入される)とアジピン酸とのカップリングと(例えばジイミド活性化を用いて)、次いで得られた糖−アジピン酸中間体へのタンパク質のカップリングにより形成し得る、アジピン酸リンカーである(例えばEP−B−0477508、Mol. Immunol、(1985年)22巻、907〜919頁およびEP−A−0208375を参照されたい)。同様の好ましい型の連結は、遊離の−NH基をグルタル酸と同様の方法でカップリングすることにより形成し得る、グルタル酸リンカーである。アジピン酸およびグルタル酸リンカーは、多糖への直接カップリング(すなわち遊離の基、例えば遊離の−NH基を多糖に予め導入することなく)と、その後の得られた糖−アジピン酸/グルタル酸中間体へのタンパク質のカップリングにより形成してもよい。別の好ましい型の連結は、改変多糖の遊離のヒドロキシル基とCDIとの反応(Bethell G.S.ら(1979年)J Biol Chem 254巻、2572〜4頁およびHearn M.T.W.(1981年)J. Chromatogr 218巻、509〜18頁)と、その後のタンパク質との反応によりカルバメート連結を形成することにより形成し得る、カルボニルリンカーである。その他のリンカーは、β−プロピオンアミド(WO00/10599)、ニトロフェニル−エチルアミン(Geverら(1979年)Med Microbiol Immunol 165巻、171〜288頁)、ハロアシルハロゲン化物(米国特許第4,057,685号)、グリコシドの連結(米国特許第4,673,574号、第4,761,283号および第4,808,700号)、6−アミノカプロン酸(米国特許第4,459,286号)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオネート(SPDP)(米国特許第5,204,098号)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)(米国特許第4,965,338号)、C4〜C12部分(米国特許第4,663,160号)などを含む。カルボジイミド縮合も用いることができる(WO2007/000343)。
【0030】
二機能性リンカーを用いて、多糖中のアミン基(例えばアミノ化により多糖に導入される)とカップリングするための第1の基と、キャリアとカップリングするため(典型的には、キャリア中のアミンとカップリングするため)の第2の基とを提供してよい。代わりに、第1の基は、多糖と直接、すなわち、基、例えばアミン基を多糖に予め導入することなくカップリングできる。
【0031】
いくつかの実施形態では、二機能性リンカー中の第1の基は、よって、多糖上のアミン基(−NH2)と反応できる。この反応は、典型的には、アミンの水素の求電子置換を伴う。その他の実施形態では、二機能性リンカー中の第1の基は、多糖と直接反応できる。これら実施形態の両方のセットでは、二機能性リンカー中の第2の基は、典型的には、キャリアポリペプチド上のアミン基と反応できる。この反応もまた、典型的には、アミンの求電子置換を伴う。
【0032】
多糖およびキャリアタンパク質の両方との反応がアミンを伴うならば、二機能性リンカーを用いることが好ましい。例えば、式X−L−Xのホモ二機能性リンカー(ここで、2つのX基は、互いに同じであり、アミンと反応でき、Lは、リンカー中の連結部分である)を用いてよい。同様に、式X−L−Xのヘテロ二機能性リンカー(ここで、2つのX基は、異なり、アミンと反応でき、Lは、リンカー中の連結部分である)を用いてよい。好ましいX基は、N−オキシスクシンイミドである。Lは、好ましくは、式L’−L−L’(ここで、L’は、カルボニルである)を有する。好ましいL基は、1〜10炭素原子(例えばC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10)を有する直鎖状アルキル、例えば−(CH−または−(CH−である。
【0033】
先行する段落に記載する二機能性リンカーにおいて用いるためのその他のX基は、ノルボラン、p−ニトロ安息香酸およびスルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドのようなHO−L−OHと組み合わせた場合にエステルを形成するものである。
【0034】
本発明で用いるためのさらなる二機能性リンカーは、アクリロイルハロゲン化物(例えば塩化物)およびハロアシルハロゲン化物を含む。
【0035】
リンカーは、一般的に、多糖とのカップリング中に、多糖に対してモル過剰で加えられる。
【0036】
結合体は、過剰のキャリア(w/w)または過剰の多糖(w/w)を、例えば1:5〜5:1の比の範囲で有し得る。過剰のキャリアタンパク質を有する結合体は、例えば0.2:1〜0.9:1の範囲、または等重量が典型的である。結合体は、少量の遊離の(すなわち結合体化していない)キャリアを含んでよい。所定のキャリアタンパク質が、本発明の組成物中に遊離形態および結合体化した形態の両方で存在する場合、結合体化していない形態は、組成物全体中のキャリアタンパク質の合計量の5%以下であることが好ましく、より好ましくは2%(重量)未満で存在する。
【0037】
組成物は、遊離のキャリアタンパク質を免疫原として含んでもよい(WO96/40242)。
【0038】
結合体化の後に、遊離の多糖および結合体化した多糖を分離できる。多くの適切な方法、例えば疎水性クロマトグラフィー、タンジェンシャル限外ろ過(tangential ultrafiltration)、ダイアフィルトレーション(diafiltration)などが存在する(Leiら(2000年)Dev Biol(Basel)103巻:259〜264頁およびWO00/38711も参照されたい)。タンジェンシャルフロー限外ろ過が好ましい。
【0039】
結合体中の多糖部分は、好ましくは、以下に規定されるように(グルカンの項を参照されたい)、低分子量多糖である。オリゴ糖は、結合体化の前に典型的に分類(size)される。
【0040】
タンパク質−多糖結合体は、好ましくは、水および/または生理的緩衝液中に可溶性である。
【0041】
いくつかの多糖について、多糖とキャリアタンパク質との間にスペーサが存在するならば、免疫原性が改善されることがある。この関係において、「スペーサ」は、単一の共有結合よりも長い部分である。このスペーサは、上記のようなリンカーであってよい。代わりに、これは、多糖とリンカーとの間に共有結合した部分であってよい。典型的には、部分は、リンカーまたはキャリアとのカップリングの前に、多糖と共有結合する。例えば、スペーサは、部分Y(ここで、Yは、1〜10炭素原子(例えばC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10)、典型的には1〜6炭素原子(例えばC、C、C、C、C、C)を有する直鎖状アルキルを含む)であってよい。本発明者らは、6炭素原子を有する直鎖状アルキル(すなわち−(CH)が特に適切であり、より短い鎖(例えば−(CH)よりも大きい免疫原性を提供し得ることを見出している。典型的には、Yは、多糖のアノマー炭素に、通常、−O−連結を介して付着する。しかし、Yは、多糖のその他の部分とかつ/またはその他の連結を介して連結してよい。Yの他端は、任意の適切な連結によりリンカーと結合する。典型的には、Yは、アミン基を末端に有して、上記のような二機能性リンカーとの連結を容易にする。これらの実施形態では、Yは、よって、リンカーと、−NH−連結により結合する。よって、以下の構造を有する結合体は、本発明で用いるために具体的に構想される:n+2は、2〜60の範囲、例えば10〜50の間または2〜40の間である。好ましくは、n+2は、25〜30または11〜19、例えば13〜17の範囲である。本発明者らは、n+2=15が適切であることを見出している。Yは、上記のとおりである。
【0042】
一態様では、本発明は、キャリアタンパク質に結合体化した多糖を作製するための方法であって、結合体化のステップが、>10mMリン酸塩のリン酸緩衝液中で行われる方法、およびこの方法により得られる結合体を提供する。本発明者らは、リン酸ナトリウムが、緩衝液のためのリン酸塩の適切な形態であることを見出している。緩衝液のpHは、7.0〜7.5の間、特に7.2に調整してよい。結合体化のステップは、典型的には、20〜200mMの間のリン酸塩、例えば50〜150mMのリン酸緩衝液中で行う。特に、本発明者らは、90〜110mM、例えば約100mMのリン酸塩のリン酸緩衝液が適切であることを見出している。結合体化のステップは、通常、室温にて行う。同様に、結合体化のステップは、通常、室内の圧力で行う。典型的には、多糖は、結合体化のステップの前に、リンカーに上記のように付着する。特に、多糖は、上記のような二機能性リンカーに付着してよい。リンカーの遊離端は、キャリアタンパク質への結合体化を容易にする基を含んでよい。例えば、本発明者らは、リンカーの遊離端が、エステル基、例えばN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基を含んでよいことを見出している。
【0043】
本明細書で開示する多糖結合体は、薬学的に許容されるキャリアをさらに含むことができる。
【0044】
本明細書で開示する多糖結合体は、アジュバントをさらに含むことができる。アジュバントは、以下に記載するアジュバントの1または複数を含むことができる。
【0045】
多糖結合体は、哺乳動物(または鳥類)における免疫応答を高めるための方法で用いてよく、この方法は、哺乳動物(または鳥類)に本発明の組成物を投与することを含む。
【0046】
多糖免疫原
哺乳動物または鳥類において免疫応答を誘導できる任意の多糖(単独またはキャリアタンパク質に結合体化しているかのいずれか)を、本明細書で開示する多糖結合体(すなわち多糖免疫原)に用いてよい。好ましくは、多糖は、目的の病原体に対する免疫応答を誘導できる。多糖は、分岐状または直鎖状であってよい。
【0047】
低分子量多糖、特に100kDa未満(例えば80kDa未満、70kDa未満、60kDa未満、50kDa未満、40kDa未満、30kDa未満、25kDa未満、20kDa未満または15kDa未満)の分子量を有するものを用いてよい。例えば60以下(例えば59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5または4)の単糖単位を含有するオリゴ糖を用いることもできる。この範囲内で、10から50の間または20から40の間の単糖単位を有するオリゴ糖が好ましい。
【0048】
例示的な多糖免疫原を以下に詳述する。
【0049】
グルカン多糖:グルカンは、他の病原体のなかでも、真菌細胞壁で見出されるグルコース含有多糖である。β−グルカンは、グルコースサブユニット間の1または複数のα連結を含むが、β−グルカンは、グルコースサブユニット間の1または複数のβ連結を含む。本発明により用いるグルカンは、β連結を含み、β連結だけを含有してよい(すなわちα連結なし)。
【0050】
グルカンは、1もしくは複数のβ−1,3連結および/または1もしくは複数のβ−1,6連結を含んでよい。これは、1もしくは複数のβ−1,2連結および/またはβ−1,4連結も含んでよいが、通常、そのβ連結は、β−1,3連結および/またはβ−1,6連結だけである。
【0051】
グルカンは、分岐状または直鎖状であってよい。
【0052】
全長天然β−グルカンは、不溶性であり、メガダルトン範囲の分子量を有する。本発明の免疫原性組成物において、可溶性グルカンを用いることが好ましい。可溶化は、長い不溶性のグルカンを断片化することにより達成してよい。このことは、加水分解により、またはより簡便には、グルカナーゼを用いる(例えばβ−1,3−グルカナーゼまたはβ−1,6−グルカナーゼを用いる)消化により達成してよい。代替として、短いグルカンを、単糖基本単位(monosaccharide building block)を接合することにより合成できる。
【0053】
低分子量グルカン、特に100kDa未満(例えば80kDa未満、70kDa未満、60kDa未満、50kDa未満、40kDa未満、30kDa未満、25kDa未満、20kDa未満または15kDa未満)の分子量を有するものが好ましい。例えば60以下(例えば59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5または4)のグルコース単糖単位を含有するオリゴ糖を用いることもできる。この範囲内で、10から50の間または20から40の間の単糖単位を有するオリゴ糖が好ましい。
【0054】
グルカンは、真菌グルカンであってよい。「真菌グルカン」は、一般的に真菌から得られるが、特定のグルカン構造は、真菌および非真菌(例えば細菌、下等植物または藻類)の両方で見出され、よって、非真菌生物は、代替の供給源として用い得る。したがって、グルカンは、C.albicansのようなCandidaの細胞壁、またはCoccidioides immitis、Trichophyton verrucosum、Blastomyces dermatidis、Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Saccharomyces cerevisiae、Paracoccidioides brasiliensisまたはPythiumn insidiosumに由来し得る。真菌β−グルカンの例示的な供給源は、WO2009/077854で見出すことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、グルカンは、例えばラミナリンで見られるように、いくらかのβ−1,6分岐を有するβ−1,3グルカンである。ラミナリンは、褐藻および海藻で見出される。ラミナリンのβ(1−3):β(1−6)の比は異なる供給源の間で変動し、例えば、この比は、Eisenia bicyclisラミナリンでは3:2と低いが、Laminaria digititataラミナリンでは7:1と高い(Pangら(2005年)Biosci Biotechnol Biochem 69巻:553〜8頁)。よって、本発明で用いるグルカンは、1.5:1から7.5:1の間(例えば約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1または7:1)のβ(1−3):β(1−6)の比を有してよい。場合によって、グルカンは、末端マンニトールサブユニット、例えば1,1−α連結マンニトール残基を有してよい(Readら(1996年)Carbohydr Res.281巻:187〜201頁)。グルカンは、マンノースサブユニットを含んでもよい。
【0056】
他の実施形態では、グルカンは、カードランで見られるように、β−1,3連結のみまたはそれを主に有する。本発明者らは、これらのグルカンが、その他の連結を含むグルカン、特にβ−1,3連結とより大きい割合のβ−1,6連結とを含むグルカンよりも免疫原性が高いことがあることを見出している。よって、グルカンは、β−1,3連結グルコース残基のみで作られてよい(例えば1,3連結のみを有する直鎖状β−D−グルコピラノース)。場合によって、しかし、グルカンは、β−1,3連結グルコース残基でない単糖残基を含んでよく、例えば、これは、β−1,6連結グルコース残基を含んでよい。β−1,3連結グルコース残基対これらのその他の残基の比は、少なくとも8:1(例えば>9:1、>10:1、>11:1、>12:1、>13:1、>14:1、>15:1、>16:1、>17:1、>18:1、>19:1、>20:1、>25:1、>30:1、>35:1、>40:1、>45:1、>50:1、>75:1、>100:1など)であり、かつ/またはβ−1,3連結によってのみ他の残基と連結した少なくとも5(例えば>5、>6、>7、>8、>9、>10、>11、>12、>13、>14、>15、>16、>17、>18、>19、>20、>30、>40、>50、>60など)の近接非末端残基の1もしくは複数の(例えば>1、>2、>3、>4、>5、>6、>7、>8、>9、>10、>11、>12など)配列が存在する。「非末端」により、その残基が、グルカンの遊離端に存在しないことを意味する。いくつかの実施形態では、近接非末端残基は、以下に記載するように、キャリア分子、リンカーまたはその他のスペーサに結合体化したいずれの残基も含まないものであり得る。本発明者らは、β−1,3連結によってのみ他の残基と連結した5の近接非末端残基の存在が、例えばC.albicansに対する防御抗体応答を提供し得ることを見出している。
【0057】
さらなる実施形態では、組成物は、2つの異なるグルカン、例えば1.5:1から7.5:1の間のβ(1−3):β(1−6)の比を有する第1グルカンと、β−1,3連結のみまたはそれを主に有する第2グルカンとを含んでよい。例えば、組成物は、ラミナリングルカンとカードラングルカンとの両方を含んでよい。
【0058】
β−グルカンを調製する例示的な方法は、WO2009/077854で見出すことができる。
【0059】
ラミナリンおよびカードランは、例えば少なくとも100kDaの分子量を有する高分子量ポリマーとして天然で典型的に見出される。これらは、水性媒体中でしばしば不溶性である。それらの天然の形態では、よって、これらは、免疫化にあまり適切でない。よって、本発明は、より短いグルカン、例えば60以下のグルコース単糖単位(例えば59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4)を含有するものを用いてよい。2〜60の範囲の多数のグルコース残基、例えば10〜50の間または20〜40の間のグルコース単位を有するグルカンを用いてよい。25〜30グルコース残基を有するグルカンが、特に有用である。適切なグルカンは、例えば、天然グルカンの酸加水分解により、または例えばβ−1,3−グルカナーゼのようなグルカナーゼを用いる酵素による消化により形成してよい。11〜19、例えば13〜19および特に15または17のグルコース単糖単位を有するグルカンも有用である。特に、以下の構造(A)または(B)を有するグルカンが、本発明で用いるために具体的に構想される。
【0060】
【化1】

式中、n+2は、2〜60の範囲、例えば10〜50の間または2〜40の間である。好ましくは、n+2は、25〜30または11〜19、例えば13〜17の範囲である。本発明者らは、n+2=15が適切であることを見出している。
【0061】
【化2】

式中、nは、0〜9の範囲、例えば1〜7の間または2〜6の間である。好ましくは、nは、3〜4または1〜3の範囲である。本発明者らは、n=2が適切であることを見出している。
【0062】
グルカン(上記で規定されるような)は、好ましくは、単一分子種である。この実施形態では、全てのグルカン分子は、配列の点で同一である。したがって、全てのグルカン分子は、分子量などを含むそれらの構造特性の点で同一である。典型的には、この形態のグルカンは、例えば上記の方法を用いる化学合成により得られる。例えば、Jamoisら(2005年)Glycobiology 15巻(4号):393〜407頁は、単一β−1,3連結種の合成について記載している。代わりに、その他の実施形態では、グルカンは、天然グルカン、例えば上記のようにL.digitata、AgrobacteriumまたはEuglenaからのグルカンから得ることができる(グルカンは、要求される単一分子種が得られるまで精製される)。この方法で精製された天然グルカンは、商業的に入手可能である。単一分子種であるグルカンは、グルカン試料の多分散性(Mw/Mn)を測定することにより同定できる。このパラメータは、例えばBardottiら(2008年)Vaccine 26巻:2284〜96頁に記載されるようにSEC−MALLSにより簡便に測定できる。本発明のこの実施形態で用いるために適切なグルカンは、約1、例えば1.01以下の多分散性を有する。
【0063】
カードランのような天然グルカンの溶解度は、イオン性の基を導入することにより増加できる(例えば特にカードラン中のO−6での硫酸化により)。このような改変を本発明で用いてよいが、これらはグルカンの抗原性を変更し得るので、回避するのが理想的である。
【0064】
グルカンを天然供給源から単離する場合、これらは、混入物と組み合わせて単離してよい。例えば、本発明者らは、グルカンに、紫外−可視(UV/VIS)分光法により同定できるフロロタンニンが混入してよいことを見出している。この問題は、グルカンを褐藻または海藻から単離する場合に特に一般的である。例えば、Laminaria digitataから抽出された商業的に入手可能なラミナリンのUVスペクトルは、フロロタンニン混入の存在に起因する吸収ピークを含む。同様に、Artie laminarialis、Saccorhiza dermatodeaおよびAlaria esculentaから抽出したグルカンは、フロロタンニン混入に起因する吸収ピークを含むUVスペクトルを有する。
【0065】
グルカンの試料中のフロロタンニンの存在は、グルカンの生物学的特性に影響し得る。したがって、グルカンが本発明の多数の態様において、医療用途のためである場合は特に、試料からフロロタンニンを除去することが望ましいことがある。β−グルカンからフロロタンニンを除去する例示的な方法は、WO2009/077854で見出すことができる。
【0066】
N.meningitidis:ある実施形態では、結合体組成物は、Neisseria meningitidisの血清群A、C、W135およびYの少なくとも2つからの莢膜糖を含んでよい。その他の実施形態では、このような組成物は、以下の1または複数からの抗原をさらに含む:(a)N.meningitidis;(b)Haemophilus influenzae B型;Staphylococcus aureus、AおよびB群streptococcus、病原性E.coliならびに/または(c)Streptococcus pneumoniae。
【0067】
ある実施形態では、結合体組成物は、N.meningitidisの血清群C、W135およびYからの莢膜多糖を含む。ある実施形態では、結合体組成物は、N.meningitidisの血清群A、C、W135およびYからの莢膜多糖を含む。ある実施形態では、結合体組成物は、H.influenzae B型ならびにN.meningitidisの血清群C、W135およびYからの莢膜多糖を含む。ある実施形態では、結合体組成物は、H.influenzae B型ならびにN.meningitidisの血清群A、C、W135およびYからの莢膜多糖を含む。ある実施形態では、結合体組成物は、S.pneumoniaeならびにN.meningitidisの血清群C、W135およびYからの莢膜多糖を含む。ある実施形態では、結合体組成物は、S.pneumoniaeならびにN.meningitidisの血清群A、C、W135およびYからの莢膜多糖を含む。ある実施形態では、結合体組成物は、H.influenzae B型、S.pneumoniaeならびにN.meningitidisの血清群C、W135およびYからの莢膜多糖を含む。ある実施形態では、結合体組成物は、H.influenzae B型、S.pneumoniaeならびにN.meningitidisの血清群A、C、W135およびYからの莢膜多糖を含む。
【0068】
Streptococcus pneumoniae:Streptococcus pneumoniae多糖結合体は、糖(多糖またはオリゴ糖を含む)と、場合によって、Streptococcus pneumoniaeからの1または複数のタンパク質とを含んでよい。糖抗原は、血清型1、2、3、4、5、6B、7F、8、9N、9V、10A、HA、12F、14、15B、17F、18C、19A、19F、20、22F、23Fおよび33Fから選択してよい。任意選択のタンパク質抗原は、WO98/18931、WO98/18930、米国特許第6,699,703号、米国特許第6,800,744号、WO97/43303およびWO97/37026で同定されたタンパク質から選択してよい。Streptococcus pneumoniaeタンパク質は、ポリヒスチジントリアドファミリー(Poly Histidine Triad family)(PhtX)、コリン結合タンパク質ファミリー(CbpX)、CbpX切断型、LytXファミリー、LytX切断型、CbpX切断型−LytX切断型キメラタンパク質、ニューモリシン(Ply)、PspA、PsaA、Spl28、SpIOl、Spl30、Spl25またはSpl33から選択してよい。
【0069】
Staphylococcus aureus:Staphylococcus aureus多糖結合体は、S.aureus 5、8および336型莢膜多糖およびその断片と、場合によって、表面タンパク質、インベイシン(ロイコチジン、キナーゼ、ヒアルロニダーゼ)、食作用性貪食を阻害する表面因子(莢膜、プロテインA)、カロテノイド、カタラーゼ生成、プロテインA、コアグラーゼ、凝固因子および/または真核生物細胞膜を溶解する膜損傷性毒素(場合によって解毒化されている)(溶血素、ロイコトキシン、ロイコチジン)に由来するタンパク質抗原とを含んでよい。S.aureus莢膜多糖の断片を作製する例示的な解重合方法は、2009年9月30日に出願された「Conjugation of Staphylococcus Aureus Type 5 and Type 8 Capsular Polysaccharides」との表題の米国特許出願第61/247,518号の5頁6行目から6頁23行目までで見出すことができる(これは、このような解重合技術の教示について、本明細書に参照により組み込まれる)。
【0070】
Haemophilus influenzae B(Hib):Hib多糖結合体は、Hib糖抗原を含んでよい。
【0071】
Streptococcus agalactiae(B群Streptococcus):B群Streptococcus多糖結合体は、WO04/041157で同定されるような血清型Ia、Ib、Ia/c、II、III、IV、V、VI、VIIおよびVIIIに由来する糖抗原と、場合によって、限定することなくWO02/34771、WO03/093306、WO04/041157またはWO05/002619で同定されるものを含む1または複数のタンパク質抗原(例えば、タンパク質GBS80、GBS104、GBS276およびGBS322を含む)とを含んでよい。
【0072】
Vibrio cholerae:V.cholerae多糖結合体は、LPS、特にVibrio cholerae II、O1 Inaba O−特異的多糖のリポ多糖を含んでよい。
【0073】
Salmonella typhi(腸チフス):多糖結合体は、Viのような莢膜多糖を含んでよい。
【0074】
キャリアポリペプチド
E.coliからのいくつかの見込みのある抗原を、キャリアポリペプチドとしてのそれらの効力について試験した。あるこのような抗原は、細菌Ig様ドメイン(群1)タンパク質(「orf405」としても、参考文献1の配列番号809および810)として注釈されており、これは、E.coli NMEC株IHE3034からの「orf284」、E.coli CFT073株からの「c0415」およびE.coli 536株からのecp_0367としても公知である。またさらに別のそのような抗原は、Flu抗原43タンパク質(「orf1364」としても、参考文献1の配列番号2727および2728)として注釈されており、これは、E.coli NMEC株IHE3034からの「orf1109」、E.coli CFT073株からの「c1273」およびE.coli 536株からのecp_3009としても公知である。またさらに別のこのような抗原は、アクセサリーコロニー形成因子D(AcfD)前駆体タンパク質(「orf3526」としても、参考文献1の配列番号7051および7052)として注釈されており、これは、E.coli UPEC株536からの「ECP_3050」、E.coli共生株W3110からの「yghJ」、E.coli ETEC株E24377Aからの「EcE24377A_3432」およびE.coli共生株HSからの「EcHS_A3142」としても公知である。またさらに別のそのような抗原は、線毛タンパク質(「orf3613」としても、参考文献1の配列番号7225および7226)として注釈されており、これは、E.coli NMEC株IHE3034からの「orf3431」およびE.coli CFT073株からの「c3791」としても公知である。また別のそのような抗原は、Sel1反復含有タンパク質(「upec−5211」としても、参考文献2に配列番号577で開示される)として注釈されており、CFT073からの「c5321」、ED1aからの「ECED1_5081」およびE.fergusonii ATCC35469からの「EFER_4303」としても公知である。特に、AcfD前駆体(orf3526)、Flu抗原43タンパク質(orf1364)およびSel1反復含有タンパク質(upec−5211)は全て、結合体化でき、結合体として可溶性であり、結合体化多糖に対する免疫応答の増進において有効であることが証明された。
【0075】
本発明で用いるキャリアポリペプチドは、様々な形態をとることができる(例えば、天然、融合、グリコシル化、非グリコシル化、脂質化、非脂質化、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化(myristoylated)、非ミリストイル化、モノマー状、マルチマー状、粒子状、変性など)。例えば、本発明のポリペプチドは、脂質化N末端システインを有してよい。
【0076】
本発明で用いるキャリアポリペプチドは、様々な手段により調製できる(例えば組換え発現、細胞培養物からの精製、化学合成など)。組換え発現されたタンパク質が好ましい。
【0077】
本発明で用いるキャリアポリペプチドは、精製または実質的に精製された形態、すなわち他のポリペプチドを実質的に含まない(例えば天然に存在するポリペプチドを含まない)形態、特にその他のE.coliまたは宿主細胞ポリペプチドを含まない形態で提供されることが好ましく、一般的に、少なくとも約50%純粋(重量)、通常少なくとも約90%純粋であり、すなわち組成物の約50%未満、より好ましくは約10%未満(例えば5%)が、その他の発現されたポリペプチドから構成される。よって、組成物中の抗原は、分子が発現される生物全体から分離される。疑念を回避するために、多糖に結合体化した精製されたまたは実質的なキャリアタンパク質が、ワクチンの成分として用いられる場合、キャリアタンパク質は、その他のタンパク質抗原および細胞成分(例えばその他の多糖、外膜小胞(outer membrane vesicle)など)の存在にかかわらず、依然として「精製されて」いるかまたは「実質的に精製され」ている。
【0078】
本発明で用いるキャリアポリペプチドは、好ましくは、E.coliポリペプチドである。このようなポリペプチドは、NMEC、APEC、UPEC、EAEC、EIEC、EPECおよびETEC E.coliポリペプチドからさらに選択してよい。
【0079】
「ポリペプチド」との用語は、任意の長さのアミノ酸ポリマーのことをいう。ポリマーは、直鎖状または分岐状であってよく、これは、改変アミノ酸を含んでよく、これは、非アミノ酸により中断されてよい。この用語は、天然で改変されたか、または介在、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化または標識成分との結合体化のような任意のその他の操作もしくは改変により改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、アミノ酸の1または複数の類似体(例えば非天然アミノ酸などを含む)および当該技術分野において公知のその他の改変を含有するポリペプチドも含まれる。ポリペプチドは、単一鎖または会合した鎖として生じることができる。
【0080】
本発明は、配列P−Q−または−Q−P−(ここで、−P−は、上記で規定されるアミノ酸配列であり、−Q−は、上記で規定される配列でない)を含むキャリアポリペプチドも含み、すなわち本発明は、融合タンパク質を提供する。−P−のN末端コドンがATGでなく、このコドンがポリペプチドのN末端に存在しない場合、これは、Metとしてではなくそのコドンについての標準的なアミノ酸として翻訳される。このコドンがポリペプチドのN末端にある場合、しかし、これは、Metとして翻訳される。−Q−部分の例は、それらに限定されないが、ヒスチジンタグ(すなわちHis(ここで、n=3、4、5、6、7、8、9、10以上))、マルトース結合タンパク質、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)を含む。
【0081】
本発明は、本発明のキャリアポリペプチドを含むオリゴマータンパク質も含む。オリゴマーは、ダイマー、トリマー、テトラマーなどであってよい。オリゴマーは、ホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーであってよい。オリゴマー中のポリペプチドは、共有結合的または非共有結合的に会合してよい。
【0082】
キャリアポリペプチドにより被験体において生じる免疫応答と、全長タンパク質により生じる免疫応答との比較は、当業者が利用可能な任意の手段により行ってよい。以下の実施例で用いる1つの単純な方法は、マウスのようなモデル被験体を免疫化する工程と、次いで、致死量のE.coliで抗原投与する(challenge)工程とを含む。妥当な比較のために、当業者は、フロイントの完全アジュバントのような同じアジュバントを本質的に選択する。このような試験では、本発明のキャリアポリペプチド断片は、例えば、ポリペプチドが全長タンパク質により提供される防御の少なくとも70%、全長タンパク質により提供される防御の少なくとも80%、全長タンパク質により提供される防御の少なくとも85%、全長タンパク質により提供される防御の少なくとも90%、全長タンパク質により提供される防御の少なくとも95%、全長タンパク質により提供される防御の少なくとも97%、全長タンパク質により提供される防御の少なくとも98%または全長タンパク質により提供される防御の少なくとも99%を提供するならば、被験体において実質的に同様の免疫応答を生じる(すなわち、致死抗原投与に対して実質的に同じ防御を提供する)。
【0083】
本発明は、本発明のポリペプチドを生成するためのプロセスであって、本発明の核酸で形質転換された宿主細胞を、ポリペプチド発現を誘導する条件下で培養するステップを含むプロセスも提供する。ポリペプチドは、次いで、例えば培養上清から精製してよい。
【0084】
本発明は、本発明のキャリアポリペプチドをコードするプラスミドを含有するE.coli細胞を提供する。E.coli細胞の染色体は、キャリアポリペプチドの相同体を含んでよいか、またはそのような相同体は存在しなくてよいが、両方の場合において、本発明のポリペプチドはプラスミドから発現できる。プラスミドは、マーカーなどをコードする遺伝子を含んでよい。適切なプラスミドについてのこれらおよびその他の詳細は以下に示す。
【0085】
本発明のキャリアポリペプチドの発現は、E.coli株で生じ得るが、本発明は、発現のための異種宿主を通常用いる。異種宿主は、原核生物(例えば細菌)または真核生物であり得る。適切な宿主は、それらに限定されないが、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、Mycobacteria(例えばM.tuberculosis)、酵母などを含む。
【0086】
本発明は、ポリペプチドの少なくとも一部分を化学的手段により合成するステップを含む、本発明のキャリアポリペプチドを生成するためのプロセスを提供する。
【0087】
上記のタンパク質、ポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、エピトープおよび免疫原性断片のいずれもそして全ては、限定することなく、組換え、単離または実質的に精製された(このようなタンパク質、ポリペプチド、ハイブリッドポリペプチド、エピトープおよび免疫原性断片とそれらの天然の状態で共存する物質から)形態を含むいくつかの形態のいずれか1つであり得る。
【0088】
Orf1364ポリペプチド
Flu抗原43タンパク質は、本明細書で「orf1364」という。E.coli NMECからの「orf1364」ポリペプチドは、参考文献1に開示され(配列番号2727および2728)、E.coli NMEC株IHE3034からの「orf1109」、CFT073からの「c1273」および536からのecp_3009としても公知である。
【0089】
本発明に従って用いる場合、orf1364ポリペプチドは、様々な形態をとり得る。好ましいorf1364配列は、配列番号1〜22と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、87.5%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより高い)を有する。これは、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、相同体、オルソログ、パラログ、変異体など)を含む。代わりに、orf1364配列は、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号1〜22のいずれかとアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのx個のアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウ(p個のアミノ酸まで伸長するアラインメントについて、p>xの場合、p−x+1のこのようなウィンドウが存在するように)が、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸(ここで、xは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合、最も近い整数まで切り上げる)を有する。
【0090】
好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムは、デフォルトパラメータ(例えばEBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いてギャップ開始ペナルティ=10.0およびギャップ伸長ペナルティ=0.5)を用いるNeedleman−Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム(3)である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージのneedleツールに簡便に実装されている(4)。
【0091】
Orf1364ポリペプチド配列は、配列番号1〜22と比較して、離れた位置にあり得るかまたは連続的であり得る1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(またはそれより多く)の単一アミノ酸変更(欠失、挿入、置換)を有してよい。
【0092】
Orf1364ポリペプチド配列は、配列番号1〜22のいずれか1つと比較して、保存置換(すなわちあるアミノ酸の、関連する側鎖を有する別のアミノ酸での置換)のような1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)のアミノ酸置換を含んでよい。遺伝子によりコードされるアミノ酸は、一般的に4つのファミリーに分けられる:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、時折、一緒に芳香族アミノ酸として分類される。一般的に、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物学的な活性に対して大きな影響を有さない。
【0093】
Orf1364ポリペプチド配列は、配列番号1〜22のいずれか1つに対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9など)の単一アミノ酸欠失を含んでよい。同様に、ポリペプチドは、配列番号1〜22のいずれか1つに対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の挿入(例えば、それぞれ1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸または5アミノ酸)を含んでよい。
【0094】
その他の好ましいorf1364配列は、配列番号1〜22からの少なくともn連続するアミノ酸(ここで、nは、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い)である)を含む。好ましい断片は、orf1364からのエピトープまたは免疫原性断片を含む。その他の好ましい断片は、配列番号1〜22のC末端および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、52以上)を喪失している。例示的な断片は、以下のアラインメントの下に#により示す。例示的な断片は、flu抗原43(orf1364)タンパク質の950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、440未満のアミノ酸または430未満のアミノ酸を含んでよい。さらに、例示的な断片は、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の10のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の20のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の30のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の40のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の50のN末端アミノ酸、またはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の52のN末端アミノ酸を含まないものであり得る。最後に、例示的な断片は、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の50のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の100のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の150のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の200のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の250のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の300のC末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の325のC末端アミノ酸、またはE.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の328のC末端アミノ酸を含まないものであり得る。
【0095】
株E110019(配列番号1)
群A:株Sakai、EDL933、EC508、EC869、EC4024、EC4042、EC4045、EC4076、EC4113、EC4115、EC4196、EC4206、EC4401、EC4486、EC4501およびTW14588(配列番号2)
株B171(配列番号3)
株E22(配列番号4)
株B171(配列番号5)
株B171(配列番号6)
株E24377AおよびO42(配列番号7)
株E24377A(配列番号8)
群B:株UTI89、RS218およびIHE3034(配列番号9)
株E110019(配列番号10)
株E22(配列番号11)
株H10407(配列番号12)
株F11および536(配列番号13)
株SECEC(配列番号14)
株H10407(配列番号15)
株W3110およびDH10B(配列番号16)
株MG1655(配列番号17)
株O42(配列番号18)
株B7A(配列番号19)
株CFT073(配列番号20)
株O42(配列番号21)
株CFT073(配列番号22)
【0096】
【化3−1】

【0097】
【化3−2】

【0098】
【化3−3】

【0099】
【化3−4】

【0100】
【化3−5】

【0101】
【化3−6】

【0102】
【化3−7】

【0103】
【化3−8】

【0104】
【化3−9】

【0105】
【化3−10】

【0106】
【化3−11】

Upec−5211ポリペプチド
Sel1反復含有タンパク質は、本明細書において、「upec−5211」という。E.coliからの「upec−5211」ポリペプチドは、CFT073からの「c5321」、ED1aからの「ECED1_5081」およびE.fergusonii ATCC35469からの「EFER_4303」としても公知である。
【0107】
本発明に従って用いる場合、upec−5211ポリペプチドは、様々な形態をとり得る。好ましいupec−5211配列は、配列番号23〜25と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、87.5%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより高い)を有する。これは、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、相同体、オルソログ、パラログ、変異体など)を含む。
【0108】
代わりに、upec−5211配列は、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号23〜25のいずれかとアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのx個のアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウ(p個のアミノ酸まで伸長するアラインメントについて、p>xの場合、p−x+1のこのようなウィンドウが存在するように)が、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸(ここで、xは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合、最も近い整数まで切り上げる)を有する。
【0109】
好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムは、デフォルトパラメータ(例えばEBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いてギャップ開始ペナルティ=10.0およびギャップ伸長ペナルティ=0.5)を用いるNeedleman−Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム(3)である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージのneedleツールに簡便に実装されている(4)。
【0110】
Upec−5211ポリペプチド配列は、配列番号23〜25と比較して、離れた位置にあり得るかまたは連続的であり得る1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(またはそれより多く)の単一アミノ酸変更(欠失、挿入、置換)を有してよい。
【0111】
Upec−5211ポリペプチド配列は、配列番号23〜25のいずれか1つと比較して、保存置換(すなわちあるアミノ酸の、関連する側鎖を有する別のアミノ酸での置換)のような1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)のアミノ酸置換を含んでよい。遺伝子によりコードされるアミノ酸は、一般的に4つのファミリーに分けられる:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、時折、一緒に芳香族アミノ酸として分類される。一般的に、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物学的な活性に対して大きな影響を有さない。
【0112】
Upec−5211ポリペプチド配列は、配列番号23〜25のいずれか1つに対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9など)の単一アミノ酸欠失を含んでよい。同様に、ポリペプチドは、配列番号23〜25のいずれか1つに対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の挿入(例えば、それぞれ1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸または5アミノ酸)を含んでよい。
【0113】
その他の好ましいupec−5211配列は、配列番号23〜25からの少なくともn連続するアミノ酸(ここで、nは、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い)である)を含む。好ましい断片は、upec−5211からのエピトープまたは免疫原性断片を含む。その他の好ましい断片は、配列番号23〜25のC末端および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を喪失している。
【0114】
株CFT073および83972(配列番号23)
株ED1a(配列番号24)
Escherichia fergusonii ATCC35469(配列番号25)
【0115】
【化4】

Orf3526ポリペプチド
アクセサリーコロニー形成因子D(AcfD)前駆体タンパク質は、本明細書において、「orf3526」という。E.coli NMECからの「orf3526」ポリペプチドは、参考文献1に開示され(配列番号7051および7052)、E.coli UPEC株536からの「ECP_3050」、E.coli共生株W3110からの「yghJ」、E.coli ETEC株E24377Aからの「EcE24377A_3432」およびE.coli共生株HSからの「EcHS_A3142」としても公知である。
【0116】
本発明に従って用いる場合、orf3526ポリペプチドは、様々な形態をとり得る。好ましいorf3526配列は、配列番号26〜40と50%以上の同一性(例えば60%、65%、70%、75%、80%、85%、87.5%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより高い)を有する。これは、改変体(例えば、対立遺伝子改変体、相同体、オルソログ、パラログ、変異体など)を含む。
【0117】
代わりに、orf3526配列は、ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号26〜40のいずれかとアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのx個のアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウ(p個のアミノ酸まで伸長するアラインメントについて、p>xの場合、p−x+1のこのようなウィンドウが存在するように)が、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸(ここで、xは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、x・yが整数でない場合、最も近い整数まで切り上げる)を有する。
【0118】
好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムは、デフォルトパラメータ(例えばEBLOSUM62スコアリングマトリックスを用いてギャップ開始ペナルティ=10.0およびギャップ伸長ペナルティ=0.5)を用いるNeedleman−Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム(3)である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージのneedleツールに簡便に実装されている(4)。
【0119】
Orf3526ポリペプチド配列は、配列番号26〜40と比較して、離れた位置にあり得るかまたは連続的であり得る1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(またはそれより多く)の単一アミノ酸変更(欠失、挿入、置換)を有してよい。
【0120】
Orf3526ポリペプチド配列は、配列番号26〜40のいずれか1つと比較して、保存置換(すなわちあるアミノ酸の、関連する側鎖を有する別のアミノ酸での置換)のような1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)のアミノ酸置換を含んでよい。遺伝子によりコードされるアミノ酸は、一般的に4つのファミリーに分けられる:(1)酸性、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわちリシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは、時折、一緒に芳香族アミノ酸として分類される。一般的に、これらのファミリー内での単一アミノ酸の置換は、生物学的な活性に対して大きな影響を有さない。
【0121】
Or3526ポリペプチド配列は、配列番号26〜40のいずれか1つに対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9など)の単一アミノ酸欠失を含んでよい。同様に、ポリペプチドは、配列番号26〜40のいずれか1つに対して1または複数(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)の挿入(例えば、それぞれ1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸または5アミノ酸)を含んでよい。
【0122】
その他の好ましいorf3526配列は、配列番号26〜40からの少なくともn連続するアミノ酸(ここで、nは、7以上(例えば8、10、12、14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれより多い)である)を含む。好ましい断片は、orf3526からのエピトープまたは免疫原性断片を含む。その他の好ましい断片は、配列番号26〜40のC末端および/またはN末端から1または複数のアミノ酸(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25以上)を喪失している。gly−ser領域の程度は、以下のアラインメントの下に「G」により示す。N末端プロリンリッチ反復の程度は、以下のアラインメントの下に「P」により示す。orf3526A、orf3526Bおよびorf3526Cと称する3つの好ましい断片は、アラインメントの下にそれぞれ「A」、「B」または「C」により示す。
【0123】
EAEC株101−1(GI:83587587)(配列番号26)
UPEC株536(GI:110643204)(配列番号27)
EAEC株O42(配列番号28)
EPEC株E2348/69(配列番号29)
EIEC株53638(GI:75515237)(配列番号30)
共生株W3110(GI:89109748)(配列番号31)
ETEC株B7A(GI:75227618)(配列番号32)
EPEC株E22(GI:75259912)(配列番号33)
ETEC株E24377A(GI:157156747)(配列番号34)
ETEC株H10407(配列番号35)
EPEC株E110019(GI:75239450)(配列番号36)
共生株HS(GI:157162442)(配列番号37)
抗生物質耐性株SECEC(配列番号38)
NMEC株IHE3034(配列番号39)
UPEC株F11(GI:75241179)(配列番号40)
【0124】
【化5−1】

【0125】
【化5−2】

【0126】
【化5−3】

【0127】
【化5−4】

【0128】
【化5−5】

【0129】
【化5−6】

【0130】
【化5−7】

【0131】
【化5−8】

【0132】
【化5−9】

【0133】
【化5−10】

【0134】
【化5−11】

【0135】
【化5−12】

【0136】
【化5−13】

ある実施形態では、E.coli AcfD(orf3526)ポリペプチドを含むキャリアポリペプチドは、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較してキャリアポリペプチドの毒性を減少するE.coli AcfD(orf3526)タンパク質に対する変異を有する。
【0137】
毒性を減少する例示的な変異は、zincinメタロプロテアーゼドメインの全部もしくは一部の欠失、およびプロテアーゼ活性を低減するzincinメタロプロテアーゼドメイン中の点変異を含む。ある場合では、点変異は、亜鉛結合残基の変異または触媒残基の変異である。好ましい点変異は、配列番号39とのアラインメントに基づくアミノ酸番号1305の置換である。
【0138】
例えばorf3526Aについての例示的な欠失は、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の100のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の200のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の300のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の400のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の500のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の600のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の700のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の750のC末端アミノ酸、もしくはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の758のC末端アミノ酸の除去を含むか、またはorf3526Bについて、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の100のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の200のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の300のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の400のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の500のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の600のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の700のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の750のN末端アミノ酸、もしくはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の760のN末端アミノ酸を含まない。
【0139】
orf3526Cのような例示的な断片は、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の100のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の125のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の150のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の175のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の200のC末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の210のC末端アミノ酸、またはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の217のC末端アミノ酸を含まず、場合によって、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の10のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の20のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の30のN末端アミノ酸、またはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の33のN末端アミノ酸を含まない。
【0140】
上記のキャリアポリペプチドは、全長E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較してキャリアポリペプチドの溶解度を増加するE.coli AcfD(orf3526)タンパク質に対する欠失をさらに含有してよいが、一方で、キャリアポリペプチドは、被験体において、結合体化多糖に対して全長E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と実質的に同様の免疫応答を依然として生じる。
【0141】
溶解度を増加する例示的な欠失は、gly−ser領域までの実質的に全てのN末端アミノ酸の除去、N末端プロリンリッチ反復の全てもしくは一部分の除去、またはその両方を含む。さらに、欠失は、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の20のN末端アミノ酸の除去、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の20のN末端アミノ酸の除去、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の30のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の33のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の40のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の50のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の60のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の70のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の80のN末端アミノ酸、E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の90のN末端アミノ酸、またはE.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の94のN末端アミノ酸を含んでよい。
【0142】
溶解度を改善し、毒性を低下することに加えて、欠失は、内因性AcfD(orf3526)タンパク質を有する共生E.coli株における発現の後の精製がより容易である。
【0143】
免疫原性組成物および医薬品
本発明の多糖結合体は、免疫原性組成物中の活性成分(免疫原)として有用であり、そのような組成物は、ワクチンとして有用であり得る。本発明によるワクチンは、予防的(すなわち感染を防ぐ)または治療的(すなわち感染を処置する)のいずれかであってよいが、典型的には予防的である。
【0144】
免疫原性組成物は、よって、薬学的に許容される。これらは、通常、抗原に加えて成分を含み、例えば、これらは、典型的には、1または複数の薬学的キャリア、賦形剤および/またはアジュバントを含む。キャリアおよび賦形剤の詳細な考察は、参考文献100で入手可能である。ワクチンアジュバントの詳細な考察は、参考文献5および6で入手可能である。
【0145】
組成物は、一般的に、哺乳動物に水性形態で投与される。しかし、投与の前に、組成物は非水性形態であってよい。例えば、いくつかのワクチンは水性形態で製造され、次いで充填および配布され、同じく水性形態で投与されるが、その他のワクチンは製造中に凍結乾燥され、使用時に水性形態に再構成される。よって、本発明の組成物は、凍結乾燥処方物のように乾燥され得る。
【0146】
組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールのような防腐剤を含んでよい。しかし、好ましくは、ワクチンは、水銀性物質を実質的に含まない(すなわち5μg/ml未満)、例えばチオメルサールを含まないようにすべきである。水銀を含まないワクチンがより好ましい。防腐剤を含まないワクチンが特に好ましい。
【0147】
熱安定性を改善するために、組成物は、温度保護剤を含んでよい。
【0148】
張度を制御するために、ナトリウム塩のような生理的な塩を含むことが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1〜20mg/ml、例えば約10±2mg/ml NaClで存在してよい。存在し得るその他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム無水物(disodium phosphate dehydrate)、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどを含む。
【0149】
組成物は、一般的に、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは240〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有し、より好ましくは、290〜310mOsm/kgの範囲内にある。
【0150】
組成物は、1または複数の緩衝剤を含んでよい。典型的な緩衝剤は、リン酸塩緩衝剤、Tris緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤(特に水酸化アルミニウムアジュバントとともに)またはクエン酸塩緩衝剤を含む。緩衝剤は、典型的には、5〜20mMの範囲で含まれる。
【0151】
組成物のpHは、一般的に、5.0〜8.1であり、より典型的には6.0〜8.0、例えば6.5および7.5、または7.0〜7.8である。
【0152】
組成物は、好ましくは滅菌されている。組成物は、好ましくは非発熱性であり、例えば用量あたり<1EU(内毒素単位、標準的な尺度)、好ましくは用量あたり<0.1EUを含有する。組成物は、好ましくは、グルテンを含まない。
【0153】
組成物は、単回の免疫化のための物質を含んでも、複数回の免疫化(すなわち「複数回用量(multidose)」キット)のための物質を含んでもよい。複数回用量の構成(arrangement)において、防腐剤を含むことが好ましい。複数回用量組成物に防腐剤を含める代わり(またはそれに加えて)に、組成物を、物質を取り出すための無菌アダプタを有する容器中に入れてよい。
【0154】
ヒトワクチンは、典型的には、約0.5mlの投与容積で投与されるが、小児には半分の用量(すなわち約0.25ml)を投与してよい。
【0155】
本発明の免疫原性組成物は、1または複数の免疫調節剤も含んでよい。好ましくは、免疫調節剤の1または複数は、1または複数のアジュバントを含む。アジュバントは、以下でさらに論じるTH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバントを含んでよい。
【0156】
本発明の組成物で使用され得るアジュバントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(A.無機質含有組成物)
本発明においてアジュバントとして用いるために適切な無機質含有組成物は、アルミニウム塩およびカルシウム塩(またはそれらの混合物)のような無機塩を含む。カルシウム塩は、リン酸カルシウム(例えば参考文献7に開示されている「CAP」粒子)を含む。アルミニウム塩は、水酸化物、リン酸塩、硫酸塩などを含み、これらの塩は任意の適切な形態(例えばゲル、結晶、非晶質など)をとる。これらの塩への吸着が好ましい。無機質含有組成物はまた、金属塩の粒子として処方されてもよい(8)。
【0157】
水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムとして公知のアジュバントを用いてよい。これらの名称は、一般的であるが、簡便さのためにのみ用いられる。なぜなら、これらはいずれも、存在する実際の化合物を正確に記載していないからである(例えば参考文献5の第9章を参照されたい)。本発明は、アジュバントとして一般的に用いられる「水酸化物」または「リン酸塩」アジュバントのいずれも用いることができる。「水酸化アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的にはオキシ水酸化アルミニウム塩(aluminum oxyhydroxide salt)であり、これは、通常、少なくとも部分的に結晶性である。「リン酸アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的には、少量の硫酸塩も頻繁に含有しているヒドロキシリン酸アルミニウム(aluminum hydroxyphosphate)である(すなわち、アルミニウムヒドロキシホスフェートサルフェート(aluminium hydroxyphosphate sulfate))。これらは、沈殿により得ることができ、沈殿中の反応条件および濃度は、塩中のヒドロキシルに対するホスフェートの置換の程度に影響する。
【0158】
水酸化アルミニウムアジュバントについて、繊維状の形態(例えば透過型電子顕微鏡写真で観察されるような)が典型的である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、典型的には約11であり、すなわちアジュバント自体が生理的pHにおいて正の表面電荷を有する。pH7.4にてAl+++1mgあたり1.8〜2.6mgのタンパク質吸着能が、水酸化アルミニウムアジュバントについて報告されている。
【0159】
リン酸アルミニウムアジュバントは、一般的に、0.3〜1.2、好ましくは0.8〜1.2、より好ましくは0.95±0.1のPO/Alモル比を有する。リン酸アルミニウムは、ヒドロキシリン酸塩については特に、一般的に非晶質である。典型的なアジュバントは、0.84〜0.92のPO/Alモル比を有する非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムであり、0.6mg Al3+/mlで含まれる。リン酸アルミニウムは、一般的に粒子状である(例えば透過型電子顕微鏡写真で観察されるようなプレート様の形態)。粒子の典型的な直径は、任意の抗原吸着後に、0.5〜20μmの範囲(例えば約5〜10μm)である。pH7.4にてAl+++1mgあたり0.7〜1.5mgのタンパク質吸着能が、リン酸アルミニウムアジュバントについて報告されている。
【0160】
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ヒドロキシルに対するホスフェートの置換の程度と反比例し、この置換の程度は、沈殿により塩を調製するために用いる反応条件および反応物の濃度に依存して変動できる。PZCは、溶液中の遊離リン酸イオンの濃度を変化させること(より多いホスフェート=より酸性側のPZC)、またはヒスチジン緩衝剤のような緩衝剤を加えること(PZCをより塩基性にする)によっても変更される。本発明に従って用いられるリン酸アルミニウムは、一般的に、4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.5、例えば約5.7のPZCを有する。
【0161】
本発明の組成物を調製するために用いられるアルミニウム塩の懸濁物は、緩衝剤(例えばリン酸塩緩衝剤またはヒスチジン緩衝剤またはTris緩衝剤)を含有してよいが、このことは常に必要というわけではない。懸濁物は、好ましくは、滅菌されており、発熱物質を含まない。懸濁物は、例えば1.0〜20mM、好ましくは5〜15mM、より好ましくは約10mMの濃度で存在する遊離の水性リン酸イオンを含んでよい。懸濁物は、塩化ナトリウムも含んでよい。
【0162】
本発明は、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物を使用することができる。この場合、水酸化アルミニウムよりも多くのリン酸アルミニウムが存在し得、例えば、少なくとも2:1、例えば≧5:1、≧6:1、≧7:1、≧8:1、≧9:1などの重量比であってよい。
【0163】
患者に投与するための組成物中のAl+++の濃度は、好ましくは10mg/ml未満、例えば≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどである。好ましい範囲は、0.3〜1mg/mlである。最大0.85mg/用量が好ましい。
【0164】
(B.油性エマルジョン(oil emulsion))
本発明においてアジュバントとして用いるために適切な油性エマルジョン組成物は、MF59(TM)[参考文献5の第10章;参考文献9も参照されたい](マイクロフルイダイザーを用いてサブミクロンの粒子に処方された5%スクアレン、0.5%TWEEN80(TM)および0.5%SPAN85(TM))のようなスクアレン−水エマルジョンを含む。完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も用いてよい。
【0165】
種々の水中油型エマルジョンアジュバントが公知であり、これらは、典型的には、少なくとも1種の油と少なくとも1種の界面活性剤とを含み、油(複数可)および界面活性剤(複数可)は、生分解性(代謝可能)であり、生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、一般的に直径5μm未満であり、理想的にはサブミクロンの直径を有し、これらの小さいサイズは、マイクロフルイダイザーを用いて達成され、安定なエマルジョンを提供する。220nm未満のサイズの液滴は、フィルタ滅菌に供することができるので好ましい。
【0166】
エマルジョンは、動物(例えば魚類)の供給源または植物の供給源からのもののような油を含むことができる。植物油の供給源は、堅果、種子および穀粒を含む。ピーナツ油、大豆油、ヤシ油およびオリーブ油が、最も一般的に入手可能な堅果油の例である。例えばホホバ豆から得られるホホバ油を用いることができる。種子油は、紅花油、綿実油、ひまわり種子油、ごま油などを含む。穀粒の群において、コーン油が最も容易に入手可能であるが、コムギ、オート麦、ライムギ、コメ、テフ、ライコムギなどのようなその他の穀類の穀粒の油も用いてよい。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10炭素脂肪酸エステルは、種子油中に天然には存在しないが、堅果油および種子油から出発する適切な材料の加水分解、分離およびエステル化により調製し得る。哺乳動物の乳からの脂肪および油は代謝可能であり、よって、本発明の実施において用いてよい。動物供給源から純粋な油を得るために必要な分離、精製、けん化およびその他の手段の手順は、当該技術分野において周知である。ほとんどの魚類は、容易に収集し得る代謝可能な油を含有する。例えば、タラ肝油、サメ肝油および鯨ろうのような鯨油は、本明細書において用い得る魚油のいくつかの例である。いくつかの分岐鎖油が、5炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、通常、テルペノイドと呼ばれる。サメ肝油は、スクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンとして公知の分岐不飽和テルペノイドを含有し、これは、本明細書において特に好ましい。スクアレンの飽和類似体であるスクアランも好ましい油である。スクアレンおよびスクアランを含む魚油は、商業的な供給源から容易に入手可能であるか、または当該技術分野において公知の方法により得ることができる。その他の好ましい油は、トコフェロールである(下記参照)。油の混合物を用いることができる。
【0167】
界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)により分類できる。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は、それらに限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にTweenと呼ばれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;直鎖状EO/POブロックコポリマーのようなDOWFAXTMの商品名の下で販売されるエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー;反復エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の数が変動し得るオクトキシノール、特にオクトキシノール−9(TritonX−100またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が興味深い;(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ホスファチジルコリン(レシチン)のようなリン脂質;TergitolTMNPシリーズのようなノニルフェノールエトキシレート;トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij30)のようなラウリル、セチル、ステアリルおよびオレイルアルコールに由来するポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として公知である);ならびにソルビタントリオレエート(SPAN85(TM))およびソルビタンモノラウレートのようなソルビタンエステル(一般的にSPANとして公知である)を含む界面活性剤とともに用いることができる。非イオン界面活性剤が好ましい。エマルジョンに含めるために好ましい界面活性剤は、TWEEN80(TM)(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、SPAN85(TM)(ソルビタントリオレエート)、レシチンおよびTritonX−100である。
【0168】
界面活性剤の混合物、例えばTWEEN80(TM)/SPAN85(TM)混合物を用いることができる。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN80(TM))のようなポリオキシエチレンソルビタンエステルと、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TritonX−100)のようなオクトキシノールとの組み合わせも適切である。別の有用な組み合わせは、ラウレス−9とポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールとを含む。
【0169】
界面活性剤の好ましい量(重量%)は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えばTWEEN80(TM))0.01〜1%、特に約0.1%;オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えばTritonX−100またはTritonシリーズのその他の洗浄剤)0.001〜0.1%、特に0.005〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(例えばラウレス9)0.1〜20%、好ましくは0.1〜10%、特に0.1〜1%または約0.5%である。
【0170】
好ましいエマルジョンアジュバントは、<1μm、例えば≦750nm、≦500nm、≦400nm、≦300nm、≦250nm、≦220nm、≦200nmまたはそれより小さい平均液滴サイズを有する。これらの液滴サイズは、マイクロフルイダイゼーションのような技術により簡便に達成できる。
【0171】
本発明で有用な具体的な水中油型エマルジョンアジュバントは、それらに限定されないが、以下のものを含む。
【0172】
・スクアレン、TWEEN80(TM)およびSPAN85(TM)のサブミクロンのエマルジョン。エマルジョンの容積での組成は、約5%スクアレン、約0.5%ポリソルベート80および約0.5%SPAN85(TM)であり得る。重量の点において、これらの比率は、4.3%スクアレン、0.5%ポリソルベート80および0.48%SPAN85(TM)になる。このアジュバントは、参考文献12の第10章および参考文献13の第12章により詳細に記載されるように、「MF59(TM)」(10〜11)として公知である。有利には、MF59(TM)エマルジョンは、クエン酸イオン、例えば10mMクエン酸ナトリウム緩衝剤を含む。
【0173】
・スクアレン、トコフェロールおよびTWEEN80(TM))のエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝食塩水を含んでよい。これは、SPAN85(TM)(例えば1%で)および/またはレシチンも含んでよい。これらのエマルジョンは、2〜10%スクアレン、2〜10%トコフェロールおよび0.3〜3%TWEEN80(TM)を有してよく、スクアレン:トコフェロールの重量比は、より安定なエマルジョンが得られるので、好ましくは≦1である。スクアレンとTWEEN80(TM)とは、約5:2の容積比で存在してよい。あるこのようなエマルジョンは、TWEEN80(TM)をPBS中に溶解して2%溶液を得て、次いで90mlのこの溶液を、(5gのDL−α−トコフェロールおよび5mlスクアレン)の混合物と混合し、次いで混合物をマイクロフルイダイズすることにより作製できる。得られるエマルジョンは、例えば、100〜250nm、好ましくは約180nmの平均直径のサブミクロンの油滴を有し得る。
【0174】
・スクアレン、トコフェロールおよびTriton洗浄剤(例えばTritonX−100)のエマルジョン。エマルジョンは、3d−MPLも含んでよい(下記参照)。エマルジョンは、リン酸塩緩衝剤を含有してよい。
【0175】
・ポリソルベート(例えばポリソルベート80)、Triton洗浄剤(例えばTritonX−100)およびトコフェロール(例えばα−コハク酸トコフェロール)を含むエマルジョン。エマルジョンは、これらの3成分を、約75:11:10の質量比で含んでよく(例えば750μg/mlポリソルベート80、110μg/ml TritonX−100および100μg/ml α−コハク酸トコフェロール)、これらの濃度は、抗原からのこれらの成分のいずれの寄与も含むべきである。エマルジョンは、スクアレンも含んでよい。エマルジョンは、3d−MPLも含んでよい(下記参照)。水相は、リン酸塩緩衝剤を含有してよい。
【0176】
・スクアラン、ポリソルベート80およびポロキサマー401(「PLURONIC(TM)L121」)のエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝食塩水、pH7.4中で処方できる。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドについての有用な送達ビヒクルであり、スレオニル−MDPとともに「SAF−1」アジュバント中で用いられている(14)(0.05〜1%Thr−MDP、5%スクアラン、2.5%PLURONIC(TM)L121および0.2%ポリソルベート80)。これは、「AF」アジュバントでのようにThr−MDPなしで用いることもできる(15)(5%スクアラン、1.25%PLURONIC(TM)L121および0.2%ポリソルベート80)。マイクロフルイダイゼーションが好ましい。
【0177】
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン界面活性剤(例えばポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)および疎水性非イオン界面活性剤(例えばソルビタンモノオレエートまたは「SPAN80(TM)」のようなソルビタンエステルまたはマンニドエステル)を含むエマルジョン。エマルジョンは、好ましくは、熱可逆性であり、かつ/または少なくとも90%の油滴(容積による)が200nm未満のサイズである(16)。エマルジョンは、アルジトール、凍結保護剤(例えばドデシルマルトシドおよび/またはスクロースのような糖)、および/またはアルキルポリグリコシドの1または複数も含んでよい。このようなエマルジョンは、凍結乾燥してよい。
【0178】
・スクアレン、ポロキサマー105およびAbil−Careのエマルジョン(17)。アジュバント添加された(adjuvanted)ワクチンにおけるこれらの成分の最終濃度(重量)は、5%スクアレン、4%ポロキサマー105(プルロニックポリオール)および2%Abil−Care85(ビス−PEG/PPG−16/16 PEG/PPG−16/16ジメチコン;カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)である。
【0179】
・0.5〜50%の油、0.1〜10%のリン脂質および0.05〜5%の非イオン界面活性剤を含むエマルジョン。参考文献18に記載されるように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリンおよびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
【0180】
・代謝不能な油(例えば軽油(light mineral oil))および少なくとも1種の界面活性剤(例えばレシチン、TWEEN80(TM)またはSPAN80(TM))のサブミクロンの水中油型エマルジョン。QuilAサポニン、コレステロール、サポニン親油性結合体(例えば脂肪族アミンをデスアシルサポニンに、グルクロン酸のカルボキシル基を介して付加することにより生成される、参考文献19に記載されるGPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(dimethyidioctadecylammonium)ブロミドおよび/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンのような添加物を含んでよい。
【0181】
・サポニン(例えばQuilAまたはQS21)およびステロール(例えばコレステロール)が、らせん状ミセルとして会合しているエマルジョン(20)。
【0182】
・鉱油、非イオン親油性エトキシ化脂肪アルコールおよび非イオン親水性界面活性剤(例えばエトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン(21)。
【0183】
・鉱油、非イオン親水性エトキシ化脂肪アルコールおよび非イオン親油性界面活性剤(例えばエトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン(21)。
【0184】
いくつかの実施形態において、エマルジョンは、送達時に抗原と即席に混合してよく、よって、アジュバントおよび抗原は、使用時の最終的な処方のために準備された、パッケージまたは分配されたワクチンにおいて別々に保持され得る。その他の実施形態において、エマルジョンは、製造中に抗原と混合され、よって、組成物は、液体アジュバント添加形態でパッケージされる。抗原は、一般的に、ワクチンが2つの液体を混合することにより最終的に調製されるように水性の形態にある。混合するための2つの液体の容積比は変動し得る(例えば5:1〜1:5)が、一般的には約1:1である。成分の濃度が具体的なエマルジョンの上記の記載において示されている場合、これらの濃度は、典型的に、希釈されていない組成物についてのものであり、抗原溶液と混合した後の濃度は、よって、減少する。
【0185】
組成物がトコフェロールを含む場合、α、β、γ、δ、εまたはξトコフェロールのいずれを用いることもできるが、α−トコフェロールが好ましい。トコフェロールは、いくつかの形態、例えば異なる塩および/または異性体をとることができる。塩は、コハク酸塩、酢酸塩、ニコチン酸塩などのような有機塩を含む。D−α−トコフェロールおよびDL−α−トコフェロールの両方を用いることができる。トコフェロールは、有利には、高齢患者(例えば60歳以上の年齢)用のワクチンに有利に含まれる。なぜなら、ビタミンEは、この患者群における免疫応答に対して正の効果を有することが報告されているからである(22)。これらは、エマルジョンを安定化する助けになり得る抗酸化特性も有する(23)。好ましいα−トコフェロールは、DL−α−トコフェロールであり、このトコフェロールの好ましい塩は、コハク酸塩である。コハク酸塩は、インビボにおいてTNF関連リガンドと一緒に働くことが見出されている。
【0186】
(C.サポニン処方物(参考文献5の第22章))
サポニン処方物を、本発明においてアジュバントとして用いてもよい。サポニンは、広範囲の種の植物の樹皮、葉、茎、根および花でさえも見出されるステロールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドの不均質な群である。Quillaia saponaria Molinaの木の樹皮からのサポニンは、アジュバントとして広く研究されている。サポニンは、Smilax ornata(サルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla paniculata(ブライズヴェイル(brides veil))およびSaponaria officianalis(ソープルート)から商業的に得ることもできる。サポニンアジュバント処方物は、QS21のような精製処方物およびISCOMのような脂質処方物を含む。QS21は、StimulonTMとして市販されている。
【0187】
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを用いて精製されている。QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含む、これらの技術を用いた具体的な精製画分が同定されている。好ましくは、サポニンはQS21である。QS21の生成方法は、参考文献24に開示されている。サポニン処方物は、コレステロールのようなステロールも含んでよい(25)。
【0188】
サポニンとコレステロールとの組み合わせを用いて、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独特の粒子を形成できる[参考文献5の第23章]。ISCOMは、典型的には、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンのようなリン脂質も含む。任意の公知のサポニンを、ISCOMで用いることができる。好ましくは、ISCOMは、QuilA、QHAおよびQHCの1または複数を含む。ISCOMは、参考文献25〜26にさらに記載されている。所望により、ISCOMSは、さらなる洗浄剤を欠いていてよい(27)。
【0189】
サポニンに基づくアジュバントの開発の概説は、参考文献28および27で見出すことができる。
【0190】
(D.ビロソームおよびウイルス様粒子)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)を、本発明においてアジュバントとして用いることもできる。これらの構造は、一般的に、所望によりリン脂質と組み合わされたかもしくはそれとともに処方されたウイルスからの1または複数のタンパク質を含有する。これらは、一般的に、非病原性で、非複製性であり、一般的に、いずれの天然ウイルスゲノムも含有しない。ウイルスタンパク質は、組換え生成されても、またはウイルス全体から単離されてもよい。ビロソームまたはVLPで用いるために適切なこれらのウイルスタンパク質は、インフルエンザウイルス(例えばHAまたはNA)、B型肝炎ウイルス(例えばコアまたはカプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒトパピローマウイルス、HIV、RNAファージ、Qβファージ(例えばコートタンパク質)、GAファージ、frファージ、AP205ファージおよびTy(例えばレトロトランスポゾンTyタンパク質p1)に由来するタンパク質を含む。VLPは、参考文献30〜31においてさらに論じられている。ビロソームは、例えば参考文献32においてさらに論じられている。
【0191】
(E.細菌誘導体または微生物誘導体)
本発明で用いるために適切なアジュバントは、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、リピドA誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチドならびにADP−リボシル化毒素およびその解毒化誘導体のような細菌誘導体または微生物誘導体を含む。
【0192】
LPSの非毒性誘導体は、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)を含む。3dMPLは、4、5または6のアシル化された鎖を有する3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAの好ましい「小粒子」の形態は、参考文献33に開示されている。3dMPLのこのような「小粒子」は、0.22μmの膜を通して滅菌ろ過されるために十分小さい(33)。その他の非毒性LPS誘導体は、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体、例えばRC−529のようなモノホスホリルリピドA模倣物を含む(34、35)。
【0193】
リピドA誘導体は、OM−174のようなEscherichia coliからのリピドAの誘導体を含む。OM−174は、例えば参考文献36および37に記載されている。
【0194】
本発明においてアジュバントとして用いるために適切な免疫刺激オリゴヌクレオチドは、CpGモチーフ(リン酸結合(phosphate bond)によりグアノシンと連結された非メチル化シトシンを含有するジヌクレオチド配列)を含有するヌクレオチド配列を含む。2本鎖RNAおよびパリンドロームまたはポリ(dG)配列を含有するオリゴヌクレオチドも、免疫刺激性であることが示されている。
【0195】
CpGは、ホスホロチオエート改変のようなヌクレオチド改変/類似体を含むことができ、2本鎖または1本鎖であり得る。参考文献38、39および40は、可能性のある類似体置換、例えば2’−デオキシ−7−デアザグアノシンでのグアノシンの置き換えを開示している。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献41〜42においてさらに論じられている。
【0196】
CpG配列は、モチーフGTCGTTまたはTTCGTT(43)のようにTLR9に向けられることがある。CpG配列は、CpG−A ODNのようにTh1免疫応答を誘導するために特異的であり得るか、またはCpG−B ODNのようにB細胞応答を誘導するためにより特異的であり得る。CpG−AおよびCpG−B ODNは、参考文献44〜45において論じられている。好ましくは、CpGは、CpG−A ODNである。
【0197】
好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、受容体認識のために5’端が近付くことができるように構築されている。所望により、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列をそれらの3’端で付着させて、「イムノマー(immunomer)」を形成してよい。例えば、参考文献43および46〜47を参照されたい。
【0198】
有用なCpGアジュバントは、ProMuneTM(Coley Pharmaceutical Group,Inc.)としても公知のCpG7909である。別のものは、CpG1826である。CpG配列を用いる代わりにまたはそれに加えて、TpG配列を用いることができ(48)、これらのオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まないことがある。免疫刺激オリゴヌクレオチドは、ピリミジンリッチであってよい。例えば、これは、1より多い連続チミジンヌクレオチド(例えば参考文献48に開示されるようなTTTT)を含んでよく、かつ/またはこれは、>25%チミジン(例えば>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)を有するヌクレオチド組成を有してよい。例えば、これは、1より多い連続シトシンヌクレオチド(例えば参考文献48に開示されるようなCCCC)を含んでよく、かつ/またはこれは、>25%シトシン(例えば>35%、>40%、>50%、>60%、>80%など)を有するヌクレオチド組成を有してよい。これらのオリゴヌクレオチドは、非メチル化CpGモチーフを含まないことがある。免疫刺激オリゴヌクレオチドは、典型的には、少なくとも20ヌクレオチドを含む。これらは、100未満のヌクレオチドを含んでよい。
【0199】
免疫刺激オリゴヌクレオチドに基づく特に有用なアジュバントは、IC−31TMとして公知である(49)。よって、本発明で用いられるアジュバントは、(i)少なくとも1つ(好ましくは複数)のCpIモチーフ(すなわち、イノシンと連結されてジヌクレオチドを形成するシトシン)を含むオリゴヌクレオチド(例えば15〜40のヌクレオチド)と、(ii)少なくとも1つ(好ましくは複数)のLys−Arg−Lysトリペプチド配列を含むオリゴペプチド(例えば5〜20のアミノ酸)のようなポリカチオンポリマーとの混合物を含んでよい。オリゴヌクレオチドは、26マーの配列5’−(IC)13−3’(配列番号51)を含むデオキシヌクレオチドであってよい。ポリカチオンポリマーは、11マーのアミノ酸配列KLKLLLLLKLK(配列番号52)を含むペプチドであってよい。
【0200】
細菌ADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体は、本発明においてアジュバントとして用いてよい。好ましくは、タンパク質は、E.coli(E.coli熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ(「CT」)または百日咳(「PT」)に由来する。解毒化ADPリボシル化毒素を粘膜アジュバントとして用いることは、参考文献50に記載され、非経口アジュバントとして用いることは、参考文献51に記載されている。毒素またはトキソイドは、好ましくは、AおよびBのサブユニットをともに含むホロ毒素の形態にある。好ましくは、Aサブユニットは解毒化変異を含有し、好ましくは、Bサブユニットは変異されていない。好ましくは、アジュバントは、LT−K63、LT−R72およびLT−G192のような解毒化LT変異体である。アジュバントとしてADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体、特にLT−K63およびLT−R72を用いることは、参考文献52〜53で見出すことができる。有用なCT変異体は、CT−E29Hである(54)。アミノ酸置換についての数字の参照は、好ましくは、参考文献55(単に、そこでのアラインメントおよびアミノ酸のナンバリングの目的のために、その全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれている)に示されるADPリボシル化毒素のAおよびBサブユニットのアラインメントに基づく。
【0201】
(F.ヒト免疫調節物質)
本発明においてアジュバントとして用いるために適切なヒト免疫調節物質は、インターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−12(56)など)(57)、インターフェロン(例えばインターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、および腫瘍壊死因子のようなサイトカインを含む。好ましい免疫調節物質は、IL−12である。
【0202】
(G.生体付着性物質(bioadhesive)および粘膜付着性物質(mucoadhesive))
生体付着性物質および粘膜付着性物質も、本発明においてアジュバントとして用いてよい。適切な生体付着性物質は、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア(58)、またはポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類およびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体のような粘膜付着性物質を含む。キトサンおよびその誘導体も、本発明においてアジュバントとして用いてよい(59)。
【0203】
(H.微小粒子)
微小粒子も、本発明においてアジュバントとして用いてよい。ポリ(ラクチド−co−グリコリド)に加えて、生分解性で非毒性の物質(例えばポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から形成された微小粒子(すなわち直径約100nm〜約150μm、より好ましくは直径約200nm〜約30μm、最も好ましくは直径約500nm〜約10μmの粒子)が好ましく、これらは、所望により、負に荷電された表面(例えばSDSで)または正に荷電された表面(例えばCTABのようなカチオン洗浄剤で)を有するように処理される。
【0204】
(I.リポソーム(参考文献5の第13および14章))
アジュバントとして用いるために適切なリポソーム処方物の例は、参考文献60〜61に記載されている。
【0205】
(J.ポリオキシエチレンエーテル処方物およびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明で用いるために適切なアジュバントは、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステルを含む(62)。このような処方物は、さらに、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(63)、およびオクトキシノールのような少なくとも1つの追加の非イオン界面活性剤と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤(64)を含む。好ましいポリオキシエチレンエーテルは、以下の群から選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9)、ポリオキシエチレン−9−ステアリル(steoryl)エーテル、ポリオキシエチレン(polyoxytheylene)−8−ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0206】
(K.ホスファゼン)
例えば参考文献65および66に記載されるようなポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン](「PCPP」)のようなホスファゼンを用いてよい。
【0207】
(L.ムラミルペプチド)
本発明においてアジュバントとして用いるために適切なムラミルペプチドの例は、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE)を含む。
【0208】
(M.イミダゾキノロン化合物)
本発明においてアジュバントとして用いるために適切なイミダゾキノロン化合物の例は、イミキモッド(「R−837」)(67、68)、レシキモド(Resiquimod)(「R−848」)(69)およびそれらの類似体、ならびにそれらの塩(例えば塩酸塩)を含む。免疫刺激イミダゾキノリンについてのさらなる詳細は、参考文献70〜71で見出すことができる。
【0209】
(N.置換尿素)
アジュバントとして有用な置換尿素は、参考文献172に定義されるような式I、IIもしくはIIIの化合物、またはそれらの塩:
【0210】
【化6】

例えば「ER803058」、「ER803732」、「ER804053」、「ER804058」、「ER804059」、「ER804442」、「ER804680」、「ER804764」、「ER803022」または「ER804057」、例えば:
【0211】
【化7】

を含む。
【0212】
(O.さらなるアジュバント)
本発明で用い得るさらなるアジュバントは、以下のものを含む。
【0213】
・RC−529のようなアミノアルキルグルコサミニドリン酸塩誘導体(73、74)。
【0214】
参考文献75に開示されているもののようなチオセミカルバゾン化合物。活性化合物についての処方、製造およびスクリーニングの方法も、参考文献75に記載される。チオセミカルバゾンは、TNF−αのようなサイトカインの生成のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0215】
参考文献76に開示されているもののようなトリプタントリン化合物。活性化合物についての処方、製造およびスクリーニングの方法も、参考文献76に記載される。チオセミカルバゾンは、TNF−αのようなサイトカインの生成のためのヒト末梢血単核細胞の刺激において特に有効である。
【0216】
・(a)イサトラビン(Isatorabine)(ANA−245;7−チア−8−オキソグアノシン):
【0217】
【化8】

およびそのプロドラッグ;(b)ANA975;(c)ANA−025−1;(d)ANA380;(e)参考文献77〜78に開示されている化合物ロキソリビン(Loxoribine)(7−アリル−8−オキソグアノシン)(79)のようなヌクレオシド類似体。
【0218】
・アシルピペラジン化合物、インドールジオン化合物、テトラヒドロイソキノリン(Tetrahydraisoquinoline)(THIQ)化合物、ベンゾシクロジオン化合物、アミノアザビニル化合物、アミノベンズイミダゾールキノリノン(ABIQ)化合物(81、82)、ヒドラフタラミド(Hydrapthalamide)化合物、ベンゾフェノン化合物、イソキサゾール化合物、ステロール化合物、キナジリノン(Quinazilinone)化合物、ピロール化合物(83)、アントラキノン化合物、キノキサリン化合物、トリアジン化合物、ピラザロピリミジン(Pyrazalopyrimidine)化合物およびベンザゾール化合物(84)を含む、参考文献80に開示されている化合物。
【0219】
・TLR4アンタゴニストE5564(85、86)のようなリン酸含有非環式骨格に連結された脂質を含有する化合物。
【0220】
・ポリオキシドニウムポリマー(87、88)またはその他のN酸化ポリエチレン−ピペラジン誘導体。
【0221】
・メチルイノシン5’−1リン酸(「MIMP」)(89)。
【0222】
・式:
【0223】
【化9】

(式中、Rは、水素、直鎖もしくは分岐鎖の、非置換もしくは置換の、飽和もしくは不飽和のアシル、アルキル(例えばシクロアルキル)、アルケニル、アルキニルおよびアリール基を含む群から選択される)を有するもののようなポリヒドロキシル化ピロリジジン化合物(90)、またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体。その例は、それらに限定されないが、カスアリン、カスアリン−6−α−D−グルコピラノース、3−epi−カスアリン、7−epi−カスアリン、3,7−ジepi−カスアリンなどを含む。
【0224】
・α−グリコシルセラミド(91〜92)(例えばα−ガラクトシルセラミド)、フィトスフィンゴシン含有α−グリコシルセラミド、OCH、KRN7000((2S,3S,4R)−1−O−(α−D−ガラクトピラノシル)−2−(N−ヘキサコサノイルアミノ)−1,3,4−オクタデカントリオール)、CRONY−101、3’’−O−スルホ−ガラクトシルセラミドなどのようなCD1dリガンド。
【0225】
・アルガムリンのようなガンマイヌリン(93)またはその誘導体。
【0226】
【化10】

(アジュバントの組み合わせ)
本発明は、上記で同定されるアジュバントの1または複数の態様の組み合わせも含んでよい。例えば、以下のアジュバント組成物を、本発明において用いてよい:(1)サポニンと水中油型エマルジョン(94);(2)サポニン(例えばQS21)+非毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)(95);(3)サポニン(例えばQS21)+非毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)+コレステロール;(4)サポニン(例えばQS21)+3dMPL+IL−12(所望により+ステロール)(96);(5)3dMPLと、例えばQS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合わせ(97);(6)サブミクロンのエマルジョンになるようにマイクロフルイダイズされたかまたはより大きい粒子サイズのエマルジョンを生じるようにボルテックスされた10%スクアレン、0.4%TWEEN80TM、5%PLURONIC(TM)−ブロックポリマーL121およびthr−MDPを含有するSAF、(7)2%スクアレン、0.2%TWEEN80(TM)ならびにモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(trehalose dimycolate)(TDM)および細胞壁骨格(CWS)からなる群由来の1または複数の細菌細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(DetoxTM)を含有するRibiTMアジュバント系(RAS)(Ribi Immunochem);ならびに(8)1または複数の無機塩(例えばアルミニウム塩)+LPSの非毒性誘導体(例えば3dMPL)。
【0227】
免疫刺激剤として作用するその他の物質は、参考文献5の第7章に開示される。
【0228】
水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムアジュバントの使用は、特に好ましく、抗原は、一般的に、これらの塩に吸着される。リン酸カルシウムは、別の好ましいアジュバントである。その他の好ましいアジュバントの組み合わせは、CpGおよびミョウバン(alum)、またはレシキモドおよびミョウバンのようなTh1アジュバントおよびTh2アジュバントの組み合わせを含む。リン酸アルミニウムと3dMPLとの組み合わせを用いてよい。
【0229】
本発明の組成物は、細胞媒介性免疫応答と体液性免疫応答をともに惹起し得る。この免疫応答は、好ましくは、長期持続性(例えば中和)抗体と、免疫化された病原体への曝露に際して迅速に応答できる細胞媒介性免疫とを誘導する。
【0230】
2つの型のT細胞、すなわちCD4およびCD8細胞は、一般的に、細胞媒介性免疫および体液性免疫を開始および/または増進するために必要であると考えられている。CD8 T細胞は、CD8共受容体を発現でき、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と一般に呼ばれる。CD8 T細胞は、MHCクラスI分子上に提示される抗原を認識でき、またはそれと相互作用できる。
【0231】
CD4 T細胞は、CD4共受容体を発現でき、Tヘルパー細胞と一般に呼ばれる。CD4 T細胞は、MHCクラスII分子と結合した抗原性ペプチドを認識できる。MHCクラスII分子との相互作用の際に、CD4細胞は、サイトカインのような因子を分泌できる。これらの分泌されたサイトカインは、B細胞、細胞傷害性T細胞、マクロファージおよび免疫応答に参加するその他の細胞を活性化できる。ヘルパーT細胞またはCD4+細胞は、2つの機能的に異なるサブセット、すなわちそれらのサイトカインおよびエフェクター機能が異なるTH1表現型およびTH2表現型にさらに分けることができる。
【0232】
活性化TH1細胞は、細胞性免疫を増進し(抗原特異的CTLの生成の増加を含む)、よって、細胞内感染に対する応答において特に価値がある。活性化TH1細胞は、IL−2、IFN−γおよびTNF−βの1または複数を分泌し得る。TH1免疫応答は、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞およびCD8細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化することにより局所的炎症反応をもたらし得る。TH1免疫応答は、BおよびT細胞の増殖を、IL−12を用いて刺激することにより免疫応答を拡大するように作用することもある。TH1刺激B細胞は、IgG2aを分泌し得る。
【0233】
活性化TH2細胞は、抗体生成を増進し、よって、細胞外感染に対する応答において価値がある。活性化TH2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10の1または複数を分泌し得る。TH2免疫応答は、IgG1、IgE、IgAおよび将来の防御のためのメモリーB細胞の生成をもたらし得る。
【0234】
免疫応答の増進は、TH1免疫応答の増進およびTH2免疫応答の増進の1または複数を含み得る。
【0235】
TH1免疫応答は、CTLの増加、TH1免疫応答と関連するサイトカインの1もしくは複数(例えばIL−2、IFN−γおよびTNF−β)の増加、活性化マクロファージの増加、NK活性の増加、またはIgG2aの生成の増加の1または複数を含み得る。好ましくは、TH1免疫応答の増進は、IgG2a生成の増加を含む。
【0236】
TH1免疫応答は、TH1アジュバントを用いて惹起し得る。TH1アジュバントは、一般的に、アジュバントなしの抗原での免疫化と比べて、増加したレベルのIgG2a生成を惹起する。本発明で用いるために適切なTH1アジュバントは、例えばサポニン処方物、ビロソームおよびウイルス様粒子、腸内細菌リポ多糖(LPS)の非毒性誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチドを含んでよい。CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドのような免疫刺激オリゴヌクレオチドは、本発明で用いるために好ましいTH1アジュバントである。
【0237】
TH2免疫応答は、TH2免疫応答と関連するサイトカインの1もしくは複数(例えばIL−4、IL−5、IL−6およびIL−10)の増加、またはIgG1、IgE、IgAおよびメモリーB細胞の生成の増加の1または複数を含み得る。好ましくは、TH2免疫応答の増進は、IgG1生成の増加を含む。
【0238】
TH2免疫応答は、TH2アジュバントを用いて惹起し得る。TH2アジュバントは、一般的に、アジュバントなしの抗原での免疫化と比べて、増加したレベルのIgG1生成を惹起する。本発明で用いるために適切なTH2アジュバントは、例えば無機質含有組成物、油性エマルジョンならびにADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体を含む。アルミニウム塩のような無機質含有組成物は、本発明で用いるために好ましいTH2アジュバントである。
【0239】
好ましくは、本発明は、TH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせを含む組成物を含む。好ましくは、このような組成物は、増進されたTH1応答および増進されたTH2応答を惹起し、すなわちアジュバントなしでの免疫化と比べて、IgG1生成およびIgG2a生成の両方の生成の増加を惹起する。さらにより好ましくは、TH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせを含む組成物は、単一アジュバントを用いる免疫化と比べて(すなわち、TH1アジュバントのみでの免疫化またはTH2アジュバントのみでの免疫化と比べて)、TH1免疫応答の増加および/またはTH2免疫応答の増加を惹起する。
【0240】
免疫応答は、TH1免疫応答およびTH2応答の一方または両方であってよい。好ましくは、免疫応答は、TH1応答の増進およびTH2応答の増進の一方または両方をもたらす。
【0241】
免疫応答の増進は、全身免疫応答および粘膜免疫応答の一方または両方であり得る。好ましくは、免疫応答は、全身免疫応答の増進および粘膜免疫応答の増進の一方または両方をもたらす。好ましくは、粘膜免疫応答は、TH2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答は、IgAの生成の増加を含む。
【0242】
医薬組成物
本発明の一態様は、(a)本明細書で開示する多糖結合体と、(b)薬学的に許容されるキャリアと、場合によって(c)先行する項で記載するようなアジュバントとを含む医薬組成物を含む。
【0243】
本発明の組成物は、種々の形態で調製してよい。例えば、組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれかとしての注射剤(injectable)として調製してよい。注射前に液体ビヒクルに溶解または懸濁するために適切な固体の形態も調製できる(例えば凍結乾燥組成物または噴霧凍結乾燥組成物)。組成物は、表面投与(topical administration)用に、例えば軟膏剤、クリームまたは散剤として調製してよい。組成物は、経口投与用に、例えば錠剤もしくはカプセル剤として、噴霧剤として、またはシロップ剤(所望により矯味矯臭して)として調製してよい。組成物は、肺投与用に、例えば微細粉末または噴霧剤を用いる吸入器として調製してよい。組成物は、坐剤または膣坐剤として調製してよい。組成物は、鼻、耳または眼の投与用に、例えば滴剤として調製してよい。組成物は、組み合わせ組成物が、患者への投与の直前に再構成されるように設計されたキットの形態であってよい。このようなキットは、液体の形態の1または複数の抗原と、凍結乾燥された1または複数の抗原とを含んでよい。
【0244】
組成物が使用前に即席で調製され(例えば成分が凍結乾燥された形態である場合)、かつキットとして提示される場合、キットは2つのバイアルを含んでも、1つの充填済み(ready−filled)シリンジと1つのバイアルとを含んでもよく、シリンジの内容物は、注射前にバイアルの内容物を再活性化するために用いられる。
【0245】
ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原(複数可)(例えば、多糖および/またはキャリアタンパク質)と、必要に応じて任意のその他の成分とを含む。「免疫学的有効量」により、単回用量または一連のものの一部のいずれかとしてその量を個体に投与することが、処置または予防のために有効であることを意味する。この量は、処置される個体の健康および身体の状態、年齢、処置される個体の分類群(例えば非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、所望される防御の程度、ワクチンの処方、医学的状態についての処置医師の評価、およびその他の関連する要因に依存して変動する。この量は、日常的な試験により決定できる比較的広い範囲内にあると予測される。
【0246】
(処置方法およびワクチンの投与)
本発明は、本発明の組成物の有効量を投与するステップを含む、哺乳動物における免疫応答を高めるための方法も提供する。免疫応答は、好ましくは防御的であり、好ましくは、抗体および/または細胞媒介性免疫を伴う。方法は、追加免疫応答(booster response)を高め得る。
【0247】
本発明は、例えば哺乳動物における免疫応答を高めることにおいて用いるための医薬品として使用するための本発明のポリペプチドも提供する。
【0248】
本発明は、哺乳動物における免疫応答を高めるための医薬品の製造における、本発明のポリペプチドの使用も提供する。
【0249】
本発明は、本発明の免疫原性組成物が予め充填された送達デバイスも提供する。
【0250】
グルカン(および特にβ−グルカン)は、ほぼ全ての病原性真菌、特に免疫無防備状態の被験体での感染に関与するもの、ならびに細菌病原体および原生生物の必須のおよび主な多糖構成成分であるので、抗グルカン免疫は、広い範囲の病原体および疾患に対して効力を有し得る。例えば、S.cerevisiaeでの免疫化の後に産生される抗グルカン血清は、C.albicansと交差反応性である。広いスペクトルの免疫は、特に有用である。なぜなら、これらのヒト感染性の真菌病原因子(fungal agent)について、化学療法は不十分であり、抗真菌薬耐性が出現し、予防的ワクチンおよび治療的ワクチンに対する必要性が、ますます認識されているからである。
【0251】
よって、本明細書で開示する多糖結合体の多糖免疫原がグルカンである場合、本明細書で開示するグルカン多糖結合体の使用および方法は、特に、C.albicansのようなCandidaの種;C.neoformansのようなCryptococcusの種;E.faecalisのようなEnterococcusの種;S.pneumoniae、S.mutans、S.agalactiaeおよびS.pyogenesのようなStreptococcusの種;L.majorのようなLeishmaniaの種;A.castellaniのようなAcanthamoebaの種;A.fumigatusおよびA.flavusのようなAspergillusの種;P.cariniiのようなPneumocystisの種;M.tuberculosisのようなMycobacteriumの種;P.aeruginosaのようなPseudomonasの種;S.aureusのようなStaphylococcusの種;S.typhimuriumのようなSalmonellaの種;C.immitisのようなCoccidioidesの種;T.verrucosumのようなTrichophytonの種;B.dermatidisのようなBlastomycesの種;H.capsulatumのようなHistoplasmaの種;P.brasiliensisのようなParacoccidioidesの種;P.insidiosumのようなPythiumの種;ならびにE.coliのようなEscherichiaの種の感染に対する処置/防御のために有用である。
【0252】
使用および方法は、特に、それらに限定されないが、カンジダ症(肝脾カンジダ症(hepatosplenic candidiasis)、侵襲性カンジダ症、慢性粘膜皮膚カンジダ症および播種性カンジダ症(disseminated candidiasis)を含む);カンジダ血症;アスペルギルス症、クリプトコッカス症、皮膚真菌症、スポロトリコーシス(sporothrychosis)およびその他の皮下真菌症、ブラストミセス症、ヒストプラスマ症、コクシジウム症、パラコクシジウム症、ニューモシスティス症、鵞口瘡、結核、ミコバクテリア症、呼吸器感染症、猩紅熱、肺炎、膿痂疹、リウマチ熱、敗血症(sepsis)、敗血症(septicaemia)、皮膚および内臓リーシュマニア症、角膜アカントアメーバ症、嚢胞性線維症、腸チフス、胃腸炎ならびに溶血性尿毒症症候群を含む疾患の予防/処置のために有用である。抗C.albicans活性は、AIDS患者での感染を処置するために特に有用である。
【0253】
免疫化の効力は、組成物の投与後のβ−グルカンに対する免疫応答(例えば抗β−グルカン抗体)をモニタリングすることにより試験できる。治療的処置の効力は、本発明の組成物の投与後の微生物感染をモニタリングすることにより試験できる。
【0254】
これらの使用および方法により哺乳動物において免疫応答を産生させることにより、哺乳動物を、多糖免疫原が由来する(または模倣する)病原体による感染に対して、ならびにExPECおよび非ExPEC株を含むE.coliキャリアタンパク質によるE.coli感染から防御できる。本発明は、EPEC、EAEC、EIEC、ETECおよびDAEC病原型のような腸内病原型を含む病原性E.coliに対する広い防御を提供するために特に有用である。よって、哺乳動物を、それらに限定されないが、腹膜炎、腎盂腎炎、膀胱炎、心内膜炎、前立腺炎、尿路感染症(UTI)、髄膜炎(特に新生児髄膜炎)、敗血症(またはSIRS)、脱水症、肺炎、下痢(乳児、旅行者、急性、持続性など)、細菌性赤痢、溶血性尿毒素症症候群(HUS)、心膜炎、細菌尿などを含む疾患に対して防御できる。
【0255】
哺乳動物は、好ましくはヒトであるが、例えばウシ、ブタ、ネコまたはイヌであってよい。なぜなら、E.coli疾患は、これらの種でも問題であるからである。本明細書は哺乳動物および哺乳類被験体に言及するが、本明細書で開示する多糖結合体は、ニワトリおよびアヒルのような鳥類の種についても有用であり、よって、本明細書において哺乳動物または哺乳類と記載する場合は必ず、鳥類も含むことができる。ワクチンが予防用である場合、ヒトは、好ましくは小児(例えば、よちよち歩きの幼児(toddler)または乳児)または10代の若者である。ワクチンが治療用である場合、ヒトは、好ましくは10代の若者または成人である。小児用を意図するワクチンは、例えば安全性、投与量、免疫原性などを評価するために成人に投与してもよい。
【0256】
治療的処置の効力を確認するある方法は、本発明の組成物の投与後のE.coli感染をモニタリングすることを含む。予防処置の効力を確認するある方法は、本発明の組成物中の抗原に対する全身(例えばIgG1およびIgG2a生成のレベルをモニタリングする)および/または粘膜(例えばIgA生成のレベルをモニタリングする)の免疫応答を、組成物の投与後にモニタリングすることを含む。典型的には、抗原特異的血清抗体応答は、免疫化後であるが抗原投与前に決定され、一方、抗原特異的粘膜抗体応答は、免疫化後であり、かつ抗原投与後に決定される。
【0257】
本発明の組成物の免疫原性を評価する別の方法は、患者血清もしくは粘膜分泌物をイムノブロットおよび/またはマイクロアレイによりスクリーニングするためにタンパク質を組換え発現させることである。タンパク質と患者試料との間の陽性の反応は、患者が問題のタンパク質に対する免疫応答を確立した(mount)ことを示す。この方法は、免疫優性抗原および/または抗原内のエピトープを同定するために用いてもよい。
【0258】
ワクチン組成物の効力は、E.coli感染の動物モデル、例えばモルモットまたはマウスを、ワクチン組成物を用いて抗原投与することによりin vivoで決定することもできる。ExPECおよび致死的敗血症のマウスモデルは、参考文献98に記載されている。コットンラットモデルは、参考文献99に開示されている。
【0259】
本発明の組成物は、一般的に、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内または組織の間質腔へ)、または直腸、経口(例えば錠剤、噴霧剤)、膣、表面、経皮(transdermal)もしくは経皮(transcutaneous)、鼻内、眼、耳、肺もしくはその他の粘膜投与のような粘膜投与により達成してよい。新規な直接送達形態は、本明細書で開示するポリペプチドを食物においてトランスジェニック発現させること、例えばジャガイモにおいてトランスジェニック発現させることも含むことができる。
【0260】
本発明は、全身および/または粘膜免疫を惹起するため、好ましくは増進された全身および/または粘膜免疫を惹起するために用いてよい。
【0261】
好ましくは、全身および/または粘膜免疫の増進は、TH1および/またはTH2免疫応答の増進に反映される。好ましくは、免疫応答の増進は、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgAの生成の増加を含む。
【0262】
投薬は、単回用量計画または複数回用量計画によるものであり得る。複数回用量は、一次免疫化計画および/または追加免疫化計画で用い得る。複数回用量計画において、種々の用量を、同じまたは異なる経路により与えてよく、例えば非経口による一次免疫(prime)と粘膜による追加免疫(boost)、粘膜による一次免疫と非経口による追加免疫などである。複数回用量は、典型的には、少なくとも1週間隔てて投与される(例えば約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)。
【0263】
本発明のワクチンは、小児および成人の両方を処置するために用いてよい。よって、ヒト患者は、1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳または少なくとも55歳であってよい。ワクチンを受ける好ましい患者は、高齢者(例えば≧50歳、≧60歳、好ましくは≧65歳)、年少者(例えば≦5歳)、入院患者、医療従事者、軍隊および軍の職員(military personnel)、妊娠している女性、慢性の病人または免疫不全患者である。しかし、ワクチンは、これらの群にのみ適するのではなく、集団においてより一般的に用いられることがある。
【0264】
本発明のワクチンは、外科手術が予定されている患者、またはその他の入院患者のために特に有用である。これらは、カテーテル処置される患者においても有用である。これらは、青年期の女性(例えば11歳〜18歳)および慢性尿路感染症の患者においても有用である。
【0265】
本発明のワクチンは、その他のワクチン(例えば、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチン、MMRワクチン、水痘ワクチン、MMRVワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、結合体型H.influenzae b型ワクチン、不活化ポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、髄膜炎菌結合体ワクチン(例えば4価A−C−W135−Yワクチン)、RSウイルスワクチンなどと実質的に同時に)と実質的に同時に(例えば医療専門家またはワクチン接種センターへの同じ医療相談または訪問中に)患者に投与してよい。
【0266】
(全般)
本発明の実施は、そうでないと記載しない限り、当該分野の技術の範囲内である化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来の方法を用いる。このような技術は、文献に詳細に説明されている。例えば参考文献100〜101などを参照されたい。
【0267】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」および「からなる(consisting)」を包含し、例えばXを「含む(comprising)」組成物は、Xのみからなり得るか、または何か追加のもの、例えばX+Yを含み得る。
【0268】
数値xに関する「約」との用語は、例えばx±10%を意味する。
【0269】
「GI」ナンバリングを本明細書で用いている。GI番号または「GenInfo識別子」は、そのデータベースに配列が加えられた場合に、NCBIにより処理されるそれぞれの記録された配列に連続的に割り当てられる一連の数字である。GI番号は、配列の記録のアクセッション番号に対して類似性はない。配列がアップデートされたとき(例えば修正のため、またはさらなる注釈もしくは情報を加えるため)に、新しいGI番号が与えられる。よって、与えられたGI番号に付随する配列は、決して変更されない。
【0270】
2つのアミノ酸配列間のパーセンテージ配列同一性についての言及は、アラインメントさせたときに、そのパーセンテージのアミノ酸が、2つの配列の比較において同じであることを意味する。このアラインメントおよびパーセント相同性または配列同一性は、当該技術分野において公知のソフトウェアプログラム、例えば参考文献102の7.7.18節に記載されるものを用いて決定できる。好ましいアラインメントは、12のギャップ開始ペナルティおよび2のギャップ伸長ペナルティ、62のBLOSUMマトリックスでのアフィンギャップ検索を用いるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献103に開示されている。
【0271】
当業者は、「単離された」が、その天然の状態から「人の手により」変更された、すなわち、それが天然に存在する場合、それは、その元来の環境から変化されたかもしくは取り出されたかまたはその両方であることを意味することを理解する。この用語を本開示で用いる場合、例えば、生存する生物中に天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、そのような生存する生物中にある場合に「単離」されていないが、その天然の状態の共存する物質から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離」されている。さらに、生物に形質転換、遺伝子操作または任意のその他の組換え方法により導入されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、そのような形質転換、遺伝子操作またはその他の組換え方法が、それ以外は天然に存在する生物と区別できない生物を生成する場合を除いて、それが上記の生物(生存していても生存していなくてもよい)内にまだ存在していても、「単離された」と理解される。
【図面の簡単な説明】
【0272】
【図1】図1(A)は、以下のもののSDS−Page(4〜12%勾配)を示し(左から右に):(1)結合体化前のorf405B、(2)結合体化後のorf405B、(3)結合体化前のupec−5211および(4)結合体化後のupec−5211、(B)は、以下のもののSDS−Page(4〜12%勾配)を示す(左から右に):分子量マーカー、(1)結合体化前のupec−5211、(2)結合体化後のupec−5211、(3)結合体化前のorf3526、(4)結合体化後のorf3526、(5)結合体化前のorf1364および(6)結合体化後のorf1364。
【図2】図2は、1回目のキャリアタンパク質免疫化研究の結果を示す。y軸は、ELSAにより測定した、免疫化後の抗ラミナリンIgG誘導を示す。x軸は、以下の結合体についてのELISAの結果を示す(左から右に):CRM197に結合体化したラミナリン、orf405Bに結合体化したラミナリン、およびupec−5211に結合体化したラミナリン。
【図3】図3は、2回目のキャリアタンパク質免疫化研究の結果を示す。y軸は、ELSAにより測定した、免疫化後の抗ラミナリンIgG誘導を示す。x軸は、以下の結合体についてのELISAの結果を示す(左から右に):CRM197に結合体化したラミナリン、orf3526に結合体化したラミナリン、およびorf1364に結合体化したラミナリン。
【発明を実施するための形態】
【0273】
配列表の簡単な説明
【0274】
【表1−1】

【0275】
【表1−2】

実施例
結合体化プロセス
腸外病原性E.coliの異なる株からの5つの異なる組換えタンパク質を、多糖免疫原(ラミナリンを例示的多糖免疫原として用いる)のためのキャリアタンパク質として作用するそれらの能力について比較した:orf3613(配列番号46)、upec−5211(配列番号48)、orf3526(配列番号50)、orf1364(配列番号44)およびorf405B(配列番号42)。orf3613の結合体は不溶性であることが明らかになったので、これはさらに試験しなかった。ラミナリンとの結合体化の後に、4つの残りの結合体のそれぞれを、CRM197が多糖免疫原のためのキャリアタンパク質としてのその使用においてよく特徴決定されていることに鑑みて、ラミナリン−CRM197結合体と比較した。
【0276】
これらの結合体を、それぞれのタンパク質および活性化ラミナリンの適切な溶液から出発して調製し、Torosantucciら(2005年)J. Exp. Med.202巻(5号):597〜606頁に開示される方法により調製した。簡単に言うと、結合体化の前に、糖を、アジピン酸のN−ヒドロキシスクシンイミドジエステルを用いて活性化した。次いで、upec−5211およびorf405Bについての結合体化反応を、50mM NaH2PO4、150mM NaCl、6MグアニジンHCl中でpH7.6にて、30のタンパク質に対する多糖エステル基のモル比および1.2〜1.4mg/mlのタンパク質濃度を用いて行った。これらの結合体化反応の結果を、図1(A)に示すように、勾配SDS−Page(4〜12%)上で泳動した(run)。
【0277】
結合体化反応の別のセットでは、upec−5211(再度)、orf3526およびorf1364についての結合体化反応を、PBS中で、30のタンパク質に対する多糖エステル基のモル比および5mg/mlのタンパク質濃度を用いて行った。
【0278】
5つの反応のそれぞれにおける反応混合物を室温にて混合し、1晩放置した。
【0279】
得られた結合体は、タンパク質精製のための周知の分離方法である(例えば参考文献1および2を参照されたい)固定化金属イオン親和性クロマトグラフィー(IMAC)により精製した。精製は、減圧供給源(vacuum source)を用いながら、ヒスチジンタグ付加タンパク質の小規模精製のためのプレパック96ウェルフィルタプレートであるHIS MULTITRAP HP(商標)プレート(GE Healthcare)を用いて行った。
【0280】
プレートは、イミノ二酢酸基が共有結合的に結合体化する高度に架橋されたアガロースの34μmビーズからなるIMACマトリックスNI SEPHAROSE HIGH PERFORMANCE(商標)(GE Healthcare)で事前に充填されていた(pre−packed)。イミノ二酢酸基にNi2+を負荷し、露出したヒスチジン基を有するキャリアタンパク質に対する親和性を有する基を結合体中に提供した。上記のように溶液中で調製した結合体は、IMACマトリックスと結合した。IMACマトリックスを、次いで、洗浄して、遊離の糖を除去した。洗浄の後に、精製結合体を最終的に溶出した。
【0281】
精製:
1.HIS MULTITRAP HP(商標)プレートのマトリックスを、0.5mlの蒸留水で洗浄し、次いで、6MグアニジンHCl、20mM NaPO、pH7.6からなる0.5mlの結合緩衝液で2回平衡化した。
【0282】
2.結合体(250μg/ウェルのタンパク質のために約200μl/ウェル)をプレート上に載せ、プレートを揺動プラットフォーム上に1時間、室温にて放置して、hisタグ付加タンパク質をIMACマトリックスに結合させた。プレートを、次いで、0.5mlの結合緩衝液で2回洗浄して、遊離の糖を結合した結合体から除去した。
【0283】
3.結合体を、マトリックスに0.2mlの溶出緩衝液6MグアニジンHCl、20mM NaPO、500mM NaCl、500mMイミダゾール、pH7.6を加えることにより回収した。プレートを10分間インキュベートし、結合体を含有する溶出液を集めた。この溶出手順を1回反復した。2つの溶出画分を併せ、10mM NaPO pH7.2または10mM NaPO、100mM NaCl pH7.2またはPBSに対して、spectra Porメンブレン、6〜8kDaカットオフを用いて透析した。
【0284】
本発明の精製結合体を、SDS−Page 4〜12%により特徴決定し(図1(A)および1(B)を参照されたい)、MicroBCAによりタンパク質の量を定量し、HPAEC−PADにより糖の量を定量した。表1に、MicroBCAおよびHPAEC−PADにより決定された結合体化効率をまとめる。
【0285】
【表1−3】

キャリアタンパク質免疫化研究−ラミナリン結合体中のキャリアとして試験したE.coliタンパク質
4〜6週齢のBalb/cマウスを、第0日、第14日および第28日に、5μg用量の多糖免疫原を150μlの注射容積で皮下注射することにより免疫した。マウスを、第0日、第27日および第42日に放血させた。
【0286】
免疫化は、1回目の免疫化研究について6匹のマウスの群で、および2回目の免疫化研究について8匹のマウスの群で行った。
【0287】
1回目の免疫化研究では、マウスに、upec−5211(上記の最初のプロトコールにより調製)、orf405Bおよび(強力な陽性対照として)CRM197に結合体化したラミナリンを注射した。
【0288】
結果は、キャリアタンパク質としてのupec−5211が、多糖部分に対して適当な抗体応答を誘導した(CRM197により誘導される応答のおよそ3分の2)が、一方で、キャリアタンパク質としてのorf405Bは、多糖部分に対して抗体応答を誘導しなかったことを示す(図2を参照されたい)。
【0289】
2回目の免疫化研究では、マウスに、orf3526、orf1364および(強力な陽性対照として)CRM197に結合体化したラミナリンを注射した。
【0290】
結果は、キャリアタンパク質としてのorf3526が、多糖部分に対して強い抗体応答を誘導した(CRM197のものと同等またはわずかにそれより大きい)が、一方で、orf1364は、より低いが依然として適当な応答を誘導した(CRM197により誘導される応答のおよそ3分の1)ことを示す(図3を参照されたい)。
【0291】
キャリアタンパク質がそれ自体に対する防御免疫を誘導する能力と、多糖結合体に対する抗体応答を誘導する能力が関連しないことは、特に注目に値する。表2は、マウスに接種するために同じタンパク質の同様の断片(またはupec−5211、orf1364およびorf405Bの場合は、全く同じ配列)を用いた以前の実験が、敗血症モデルにおいて非常に異なる応答を示したことをまとめる。upec−5211、orf1364およびorf405Bはそれぞれ、比較的同様の免疫応答を提供したが、それぞれは、結合体化多糖に対する免疫応答の誘導の程度がかなり異なる。
【0292】
【表2】

免疫原性−orf3526A、orf3526Bおよびorf3526C
上記のアラインメントにおいて記載した3つの好ましい断片が、全長AcfD(orf3526)と実質的に同じ免疫原性を有することを確認するために、配列番号39の全長配列に基づく断片を精製した。精製断片をマウスの免疫化実験において用い、フロイント完全アジュバント(orf3526Aおよびorf3526B)またはミョウバン(orf3526C)を用いてアジュバント添加した。免疫化したマウスを、次いで、致死量のE.coliを用いて抗原投与した。抗原投与の結果を、以下の表3に示す。
【0293】
【表3】

よって、断片は、マウスにおいて実質的に同様の免疫応答を生じ、よって、全長orf3526と実質的に同様の結合体化多糖に対する免疫応答の増進を提供することが期待される。
【0294】
本発明は、例としてのみ記載され、本発明の範囲および精神内に留まったまま改変を行うことができることが理解される。
【0295】
参考文献(これらの内容は、完全に本明細書に援用される)
【0296】
【化11】

【0297】
【化12】

【0298】
【化13】

【0299】
【化14】

【図1(a)】

【図1(b)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルカン多糖結合体であって、E.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)およびEscherichia Sel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)からなる群より選択されるキャリアポリペプチドに結合体化したグルカン多糖を含む、グルカン多糖結合体。
【請求項2】
前記キャリアポリペプチドが、
(a)配列番号50のアミノ酸配列;
(b)配列番号50と比較しての1から10までの単一アミノ酸変更;
(c)配列番号50との少なくとも85%の配列同一性;
(d)配列番号50からの少なくとも10連続するアミノ酸の断片;
および/または
(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号50とアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸を有し、ここで、xは30であり、yは0.75である、
を含む前記E.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である、請求項1に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項3】
前記キャリアポリペプチドが、
(a)配列番号44のアミノ酸配列;
(b)配列番号44と比較しての1から10までの単一アミノ酸変更;
(c)配列番号44のいずれか1つとの少なくとも85%の配列同一性;
(d)配列番号44からの少なくとも10連続するアミノ酸の断片;
および/または
(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号44とアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸を有し、ここで、xは30であり、yは0.75である、
を含む前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)である、請求項1に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項4】
前記キャリアポリペプチドが、
(a)配列番号48のアミノ酸配列;
(b)配列番号48と比較しての1から10までの単一アミノ酸変更;
(c)配列番号48との少なくとも85%の配列同一性;
(d)配列番号48からの少なくとも10連続するアミノ酸の断片;
および/または
(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号48とアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸を有し、ここで、xは30であり、yは0.75である、
を含む前記Escherichia Sel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)である、請求項1に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項5】
前記グルカン多糖が、β−1,3連結および/またはβ−1,6連結を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項6】
前記グルカン多糖が、単一分子種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項7】
前記グルカン多糖が、キャリアタンパク質に直接結合体化している、請求項1〜6のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項8】
前記グルカン多糖が、キャリアタンパク質にリンカーを介して結合体化している、請求項1〜6のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項9】
前記グルカン多糖が、100kDa未満(例えば、80kDa未満、70kDa未満、60kDa未満、50kDa未満、40kDa未満、30kDa未満、25kDa未満、20kDa未満または15kDa未満)の分子量を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項10】
前記グルカン多糖が、60以下のグルコース単糖単位を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項11】
前記グルカン多糖が、いくらかのβ−1,6分岐を有するβ−1,3グルカン多糖である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項12】
前記グルカン多糖が、ラミナリンである、請求項11に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項13】
前記グルカン多糖が、β−1,3連結グルコース残基とβ−1,6連結グルコース残基の両方を、少なくとも8:1のβ−1,3連結グルコース残基対β−1,6連結残基の比で含み、かつ/またはβ−1,3連結によってのみ他の残基と連結した少なくとも5の近接非末端残基の1もしくは複数の配列が存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項14】
前記グルカン多糖が、β−1,3連結グルコース残基とβ−1,6連結グルコース残基の両方を、少なくとも8:1のβ−1,3連結グルコース残基対β−1,6連結残基の比で含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項15】
前記グルカン多糖が、β−1,3連結のみを有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項16】
前記グルカン多糖が、カードランである、請求項13〜15のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項17】
アジュバントをさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載のグルカン多糖結合体。
【請求項18】
請求項1〜16に記載のグルカン多糖結合体を含むワクチン成分。
【請求項19】
請求項18に記載のワクチン成分を含むワクチン。
【請求項20】
アジュバントをさらに含む、請求項19に記載のワクチン。
【請求項21】
Neisseria meningitidis抗原、Streptococcus pneumoniae抗原、Streptococcus pyogenes抗原、Moraxella catarrhalis抗原、Bordetella pertussis抗原、Staphylococcus aureus抗原、Staphylococcus epidermis抗原、Clostridium tetani抗原、Cornynebacterium diphteriae抗原、Haemophilus influenzae B型(Hib)抗原、Pseudomonas aeruginosa抗原、Legionella pneumophila抗原、Streptococcus agalactiae抗原、Neiserria gonorrhoeae抗原、Chlamydia trachomatis抗原、Treponema pallidum抗原、Haemophilus ducreyi抗原、Enterococcus faecalis抗原、Enterococcus faecium抗原、Helicobacter pylori抗原、Staphylococcus saprophyticus抗原、Yersinia enterocolitica抗原、追加のE.coli抗原、Bacillus anthracis抗原、Yersinia pestis抗原、Mycobacterium tuberculosis抗原、Rickettsia抗原、Listeria monocytogenes抗原、Chlamydia pneumoniae抗原、Vibrio cholerae抗原、Salmonella typhi抗原、Borrelia burgdorferi抗原、Porphyromonas gingivalis抗原、Shigella抗原およびKlebsiella抗原から選択される追加のワクチン成分をさらに含む、請求項19または請求項20に記載のワクチン。
【請求項22】
哺乳類被験体における多糖に対する増進した免疫応答を誘導する方法であって、
前記哺乳類被験体に、請求項1〜16に記載のグルカン多糖結合体、請求項18に記載のワクチン成分または請求項19〜21に記載のワクチンを投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項23】
哺乳類被験体における多糖に対する増進した免疫応答を誘導するための、請求項1〜16に記載のグルカン多糖結合体、請求項18に記載のワクチン成分または請求項19〜21に記載のワクチンの使用。
【請求項24】
多糖結合体であって、E.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)およびEscherichia Sel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)からなる群より選択されるキャリアポリペプチドに結合体化した多糖を含む、多糖結合体。
【請求項25】
前記キャリアポリペプチドが、前記E.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)である、請求項24に記載の多糖結合体。
【請求項26】
キャリアポリペプチドが、配列番号39のE.coli AcfD前駆体タンパク質(orf3526ポリペプチド)と比較して毒性を低減する変異および/または精製を改善する欠失を含む、請求項25に記載の多糖結合体。
【請求項27】
前記変異が、zincinメタロプロテアーゼドメインの全部または一部の欠失、およびプロテアーゼ活性を低減するzincinメタロプロテアーゼドメイン中の点変異から選択される、請求項26に記載の多糖結合体。
【請求項28】
前記点変異が、亜鉛結合残基の変異または触媒残基の変異である、請求項26〜27のいずれか1項に記載の多糖結合体。
【請求項29】
前記亜鉛結合残基が、配列番号39とのアラインメントに基づくアミノ酸番号1305である、請求項26〜28のいずれか1項に記載の多糖結合体。
【請求項30】
前記キャリアポリペプチドが、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の100のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の200のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の300のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の400のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の500のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の600のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の700のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の750のC末端アミノ酸、もしくは前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の758のC末端アミノ酸を含まないか、または前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の100のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の200のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の300のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の400のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の500のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の600のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の700のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の750のN末端アミノ酸、もしくは前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の760のN末端アミノ酸を含まない、請求項26〜29のいずれか1項に記載の多糖結合体。
【請求項31】
前記キャリアポリペプチドが、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の100のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の125のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の150のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の175のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の200のC末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の210のC末端アミノ酸、または前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最後の217のC末端アミノ酸を含まず、場合によって、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の10のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の20のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の30のN末端アミノ酸、または前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質の少なくとも最初の33のN末端アミノ酸を含まない、請求項26〜29のいずれか1項に記載の多糖結合体。
【請求項32】
前記キャリアポリペプチドが、
(a)配列番号26〜40からなる群より選択されるアミノ酸配列;
(b)配列番頭26〜40と比較しての1から10までの単一アミノ酸変更;
(c)配列番号26〜40のいずれか1つとの少なくとも85%の配列同一性;
(d)配列番号26〜40のいずれか1つからの少なくとも10連続するアミノ酸の断片;
および/または
(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号26〜40のいずれかとアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸を有し、ここで、xは30であり、yは0.75である
を含む、請求項25〜31のいずれか1項に記載の多糖結合体。
【請求項33】
前記キャリアポリペプチドが、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して前記キャリアポリペプチドの溶解度を増加する前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質に対する欠失をさらに含有する、請求項25〜32に記載の多糖結合体。
【請求項34】
前記欠失が、gly−ser領域までの実質的に全てのN末端アミノ酸の除去、N末端プロリンリッチ反復の全てもしくは一部分の除去、またはその両方である、請求項33に記載の多糖結合体。
【請求項35】
前記欠失が、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の10のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の20のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の30のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の33のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の40のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の50のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の60のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の70のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の80のN末端アミノ酸、前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の90のN末端アミノ酸、または前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の94のN末端アミノ酸の除去である、請求項33に記載の多糖結合体。
【請求項36】
前記キャリアポリペプチドが、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)である、請求項24に記載の多糖結合体。
【請求項37】
前記キャリアポリペプチドが、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)の断片であり、前記断片が、全長E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)に対する欠失を含有し、前記欠失が、前記全長タンパク質と比較して前記断片の溶解度を増加する、請求項36に記載の多糖結合体。
【請求項38】
前記欠失が、カルボキシル末端β−バレルドメインを含む、請求項37に記載の多糖結合体。
【請求項39】
前記キャリアポリペプチドが、配列番号44のアミノ酸配列に相当する、請求項38に記載の多糖結合体。
【請求項40】
前記断片が、前記flu抗原43(orf1364)タンパク質の950未満のアミノ酸、900未満のアミノ酸、850未満のアミノ酸、800未満のアミノ酸、750未満のアミノ酸、700未満のアミノ酸、650未満のアミノ酸、600未満のアミノ酸、550未満のアミノ酸、500未満のアミノ酸、450未満のアミノ酸、440未満のアミノ酸、または430未満のアミノ酸を含む、請求項37〜39のいずれかに記載の多糖結合体。
【請求項41】
前記キャリアポリペプチドが、
(a)配列番号1〜22からなる群より選択されるアミノ酸配列;
(b)配列番頭1〜22と比較しての1から10までの単一アミノ酸変更;
(c)配列番号1〜22のいずれか1つとの少なくとも85%の配列同一性;
(d)配列番号1〜22のいずれか1つからの少なくとも10連続するアミノ酸の断片;
および/または
(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号1〜22のいずれかとアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸を有し、ここで、xは30であり、yは0.75である
を含む、請求項36〜40のいずれか1項に記載の多糖結合体。
【請求項42】
前記断片が、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の10のN末端アミノ酸、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の20のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の30のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の40のN末端アミノ酸、E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最初の50のN末端アミノ酸、または前記E.coli AcfD(orf3526)タンパク質と比較して少なくとも最初の52のN末端アミノ酸を含まない、請求項41に記載の多糖結合体。
【請求項43】
前記断片が、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の50のC末端アミノ酸、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の100のC末端アミノ酸、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の150のC末端アミノ酸、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の200のC末端アミノ酸、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の250のC末端アミノ酸、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の300のC末端アミノ酸、前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の325のC末端アミノ酸、または前記E.coli Flu抗原43タンパク質(orf1364ポリペプチド)と比較して少なくとも最後の328のC末端アミノ酸を含まない、請求項41または請求項42に記載の多糖結合体。
【請求項44】
前記キャリアポリペプチドが、前記Escherichia Sel1反復含有タンパク質(upec−5211ポリペプチド)である、請求項24に記載の多糖結合体。
【請求項45】
前記キャリアポリペプチドが、
(a)配列番号23〜25からなる群より選択されるアミノ酸配列;
(b)配列番頭23〜25と比較しての1から10までの単一アミノ酸変更;
(c)配列番号23〜25のいずれか1つとの少なくとも85%の配列同一性;
(d)配列番号23〜25のいずれか1つからの少なくとも10連続するアミノ酸の断片;
および/または
(e)ペアワイズアラインメントアルゴリズムを用いて配列番号23〜25のいずれかとアラインメントさせた場合に、N末端からC末端までのxアミノ酸のそれぞれの移動ウィンドウが、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸を有し、ここで、xは30であり、yは0.75である
を含む、請求項44に記載の多糖結合体。
【請求項46】
前記多糖が、
(a)グルカン、
(b)Neisseria meningitidisの血清群A、C、W135およびYのうちの少なくとも1つに由来する莢膜糖、
(c)Streptococcus pneumoniaeからの糖抗原、
(d)Staphylococcus aureusからの莢膜多糖、
(e)Haemophilus influenzae B多糖、
(f)Streptococcus aglactiaeからの糖抗原、
(g)Vibrio choleraeからのリポ多糖、または
(h)Salmonella typhiからの莢膜多糖
を含むリストから選択される、請求項24〜45のいずれかに記載の多糖結合体。
【請求項47】
アジュバントをさらに含む、請求項24〜46のいずれかに記載の多糖結合体。
【請求項48】
請求項24〜46に記載の多糖結合体を含むワクチン成分。
【請求項49】
請求項48に記載のワクチン成分を含むワクチン。
【請求項50】
アジュバントをさらに含む、請求項49に記載のワクチン。
【請求項51】
Neisseria meningitidis抗原、Streptococcus pneumoniae抗原、Streptococcus pyogenes抗原、Moraxella catarrhalis抗原、Bordetella pertussis抗原、Staphylococcus aureus抗原、Staphylococcus epidermis抗原、Clostridium tetani抗原、Cornynebacterium diphteriae抗原、Haemophilus influenzae B型(Hib)抗原、Pseudomonas aeruginosa抗原、Legionella pneumophila抗原、Streptococcus agalactiae抗原、Neiserria gonorrhoeae抗原、Chlamydia trachomatis抗原、Treponema pallidum抗原、Haemophilus ducreyi抗原、Enterococcus faecalis抗原、Enterococcus faecium抗原、Helicobacter pylori抗原、Staphylococcus saprophyticus抗原、Yersinia enterocolitica抗原、追加のE.coli抗原、Bacillus anthracis抗原、Yersinia pestis抗原、Mycobacterium tuberculosis抗原、Rickettsia抗原、Listeria monocytogenes抗原、Chlamydia pneumoniae抗原、Vibrio cholerae抗原、Salmonella typhi抗原、Borrelia burgdorferi抗原、Porphyromonas gingivalis抗原、Shigella抗原およびKlebsiella抗原から選択される追加のワクチン成分をさらに含む、請求項49または請求項50に記載のワクチン。
【請求項52】
哺乳類被験体における多糖に対する増進した免疫応答を誘導する方法であって、
前記哺乳類被験体に、請求項24〜46に記載の多糖結合体、請求項48に記載のワクチン成分または請求項49〜51に記載のワクチンを投与する工程
を含む方法。
【請求項53】
哺乳類被験体における前記多糖に対する増進した免疫応答を誘導するための、請求項24〜46に記載の多糖結合体、請求項48に記載のワクチン成分または請求項49〜51に記載のワクチンの使用。

【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−516401(P2013−516401A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546520(P2012−546520)
【出願日】平成22年12月30日(2010.12.30)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003484
【国際公開番号】WO2011/080595
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】