EBMに基づいた生活習慣病チェックプログラム及び当該EBMに基づいた生活習慣病チェックプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、並びにEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム
【課題】データの絶対数が少ないEBMのデータを有効に利用する。
【解決手段】クライアントのコンピュータ2上でリスク種別に関するアンケートを行い、アンケートの回答データをサーバーに送信し、サーバーのコンピュータ1は、アンケートに示された、回答者の生活習慣および食事の内容,性別,年齢をEBM論文データと照合し、判定に適用可能なEBM論文データを引き出し、当該資料に示される疾患の種類およびリスク値を、アンケート回答者に引き起こされる疾患とそのリスクの判定結果としてクライアントのコンピュータ2に示す。
【解決手段】クライアントのコンピュータ2上でリスク種別に関するアンケートを行い、アンケートの回答データをサーバーに送信し、サーバーのコンピュータ1は、アンケートに示された、回答者の生活習慣および食事の内容,性別,年齢をEBM論文データと照合し、判定に適用可能なEBM論文データを引き出し、当該資料に示される疾患の種類およびリスク値を、アンケート回答者に引き起こされる疾患とそのリスクの判定結果としてクライアントのコンピュータ2に示す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータでアンケートを行い、収集されたアンケートの回答データに基き、アンケート回答者についての生活習慣病のリスク(危険度)の判定を行う生活習慣病チェックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受診者の健康状態を知るためには、人間ドックや定期健康診断で様々な検査を実施し、その検査から定量的な結果や定性的なデータを収集し、得られたデータの分析によって受診者の健康状態を判断するのが一般的であった。しかしながら我々の健康や罹病は、ある日突然訪れるものではなく、長年の生活習慣(ライフスタイル)に起因しているケースが大半であることから、日頃の食生活、健康管理、生活習慣の改善が重要であるとして、健康を保つための方法としてさまざまな提案がなされてきている。
【0003】
例えば、厚生労働省・農林水産省においては、「何を」「どれだけ」食べたらよいかがわかる食事の目安である「食事バランスガイド」(http://www3.gov-online.go.jp/gov/tsushin_flash/200509/f_food_guide_s.swf)を提供している。このシステムは食品を主食,副菜,主菜,牛乳・乳製品,果物の5つのグループに分け、この5つのグループの食品を、朝食,昼食,夕食のうちにどのくらい摂取しているかによって、その摂取量に応じて警告や注意をコメントとして表示するというものである。
【0004】
また、医師や看護婦などの専門職に対面指導によらなくても、受診者の生活習慣に関するアンケートを収集し、収集したアンケートの回答データをコンピュータで分析して、その分析結果から生活習慣病を判断するシステムがいくつか考えだされている。
【0005】
例えば、特許文献1では、医師や看護婦などの専門職が対面で指導しなくても疾病者等が生活習慣改善を長期間にわたり、継続的に実施することができる生活習慣病指導システムを提案している。
【0006】
また、フィットネスに関するもので、メディカルチェックアンケートを含む会員の身体的な基礎データと、医科学検査結果データと、測定器具による体成分分析結果データと、医師・管理栄養士・トレーナーとのカウンセリングによる結果データとから身体的リスクを判定し、会員に対し身体状況別運動プログラムを処方し、運動プログラムに基づいたトレーニングの運動記憶データを含めた定量的な効果分析結果に基づいて、身体的状況別運動プログラムが再処方しながら、身体的リスクの改善を行うシステムが特許文献2に紹介されている。
【0007】
しかし、上記のシステムは、いずれも医師,栄養士あるいはインストラクター等が、得られた客観的データを医学的知識と経験に基づいて行なった医学的判断をもとに生活習慣病改善の指導をするシステムであるため、経験的判断と客観的事実が混在することになる。
【0008】
科学的根拠という点においては、EBM(Evidence Based Medicine)という概念が1990年代中盤以降、一部の臨床疫学者らによって北米からわが国に紹介された。EBMとは、「根拠に基づく医療」と訳され、「最も信頼できる根拠のある情報を使って、最善の治療を行う」ということである。EBMについては、今までに数多くの研究の成果や論文が発表あるいは公開されており、その研究結果は実験や調査を経ているため、実証性がある。
【0009】
しかし、現在EBMはわが国に根付いているとはいいがたい。その理由のひとつとしては、EBMは、さまざまな条件を決定して研究の設計を行わなければ、正確なデータ取得は期待できないが、条件を厳しく設定すると、アンケートの対象者から収集した回答データが研究のデータの条件(たとえば、調査年齢の不一致や性別のデータがない、など)に適合しないということになって、EBMの研究のデータを適用できなくなるという問題がある。つまり、システムのデータとして用いるには、すべての年齢層あるいは性別のデータが必要であるが、そのすべてのデータがそろわない、いわゆるデータの歯ぬけ状態が生じたり、EBMのデータがあるのに、そのデータの多くは外国人のものである等の事情があるため、データをそのまま使える場面が少ないといった問題がある。EBMの欠点は、「統計的事実ではあるが、適用条件が厳しすぎる」という点である。
【特許文献1】特許公開2004−326328公報
【特許文献2】特許公開2004−355617公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
医師,栄養士あるいはインストラクター等の経験的判断に基づく従来のシステムにおいては医学的な根拠として、そのままEBMデータを利用しようとすると、厳密な実験条件のために、すべての年齢層,性別のデータが揃わないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシステムは、EBMの研究論文に裏打ちされたデータに基づき、今回提示した手段を用いて判定を行い、経験的判断に基づいて作成した従来型のデータに基づく判定結果と別々の形式で表示することで、経験的判断とEBMによる実証的判断の利点を相互に補完することができるシステムであることを最大の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシステムによれば、EBM論文、特に「前向き研究」で裏打ちされたデータに基づいて実証的判断による判定を行うことができる。そのため、医師,栄養士あるいはインストラクター等の限定的知識と個人的経験に基づいて指導を行う従来の栄養指導システムと組み合わせることで、最善の判定の資料として活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートをコンピュータ(パソコン)上で行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を画面表示および印刷などで出力して、生活習慣病の判定を行う、EBMに基づいた生活習慣病チェックシステムである。
【0014】
疾患とリスク値の判定は、EBM論文データに基づいて行われる。EBM論文データは、リスク種別と疾患との因果関係が明らかな日本人を対象とした疫学論文から得られたものである。アンケートは、EBM論文データを引き出すための、日頃の生活習慣および食事に関する質問で構成される。
本発明のシステムは、アンケートに示された、回答者の生活習慣および食事の内容,性別,年齢をEBM論文データと照合し、判定に適用可能なEBM論文データを引き出し、当該EBM論文データに示される疾患の種類およびリスク値を、アンケート回答者に引き起こされる疾患とそのリスクの判定結果として出力する。本発明において、リスク値とは、何らかの要因にさらされたグループとそうでない対照グループとの死亡率や発症率などの比率を意味する。
【0015】
リスク値は「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストのお天気マークで表示される。EBM論文データは、専門の約1,000程度の疫学的研究論文の中から、生活習慣病に関連する複数のキーワードで検出された論文の中から選択されたものである。また、画面は、お天気マークとそれに関連する情報(EBM参考表示)で表示され、併せて栄養士等の経験的数値に基づいて作られた従来型の栄養指導プログラムの判定結果と共に同一のシステム上で閲覧できる。
【実施例】
【0016】
a.システムの構成
システムの構成を図1に示す。本発明のシステムは、コンピュータを用いて日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うシステムである。以下の実施例においては、コンピュータネットワークのサーバーと、クライアントとの関係において、システムの提供者であるサーバーのコンピュータ1と病院などの医療機関の契約者であるクライアントのコンピュータ2をインターネット接続回線あるいはLANで接続して使用する例を説明するが、コンピュータネットワークを介さず、スタンドアロンとしてクライアントのコンピュータ2に記憶媒体を組み込んでシステムを構成することもできる。
【0017】
サーバーのコンピュータ1の記憶装置3には、データの記憶手段として、EBM質問記憶手段3a,3b,質問関連記憶手段3c,EBM回答記憶手段3d,EBM論文データ記憶手段3eと栄養指導プログラムで用いる、栄養質問記憶手段4a,栄養回答記憶手段4b,評価記憶手段4cのほか、判定結果を記録した過去のアンケート結果記憶手段5aを有している。スタンドアロンのシステムの場合は、記憶装置3の各記憶手段3a〜3e,4a〜4c,5aおよびそのデータと、本発明のEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラムをCDなどの記憶媒体に記憶させ、これをコンピュータ2にインストールして処理を実行させる。
【0018】
EBM論文データ記憶手段3eは、リスク値を判定するための基準となるデータを保存したものである。
【0019】
本発明は、EBM論文で裏打ちされたデータを参考提示し、栄養指導の信頼性を高めるシステムである。そのために必要な作業として、まず、根拠となる資料をどのように選びだし、これをデータ化するかという点において、データを収集する手順を図2のフローチャートによって説明する。
【0020】
図2において、まず、生活習慣および食事,研究が実施された場所,研究の方法に関連のあるキーワード(お酒、食事、飲料、栄養、サプリ、食生活、偏食、運動、休暇、身体活動、肥満、コレステロール、血圧、ストレス、健康習慣、健康増進、生活習慣、リスク減少行動、日本、介入研究、コホート研究、メタ分析、多施設)を選びだす(ステップr1)。次いで、キーワードを英訳し、検索条件のキーを追加したものを検索式として記録する(ステップr2)。医学論文データベース、例えばPubMed上で検索式を入力し、生活習慣および食事,研究が実施された場所,研究の方法に関連するキーワードを含む論文を抽出する(ステップr3)。
【0021】
抽出された論文の中から、さらに採択基準を設けて、採択基準に該当する論文を選び出す。採択基準は具体的には次のとおりである。
【0022】
1.日本人を対象としているか?
食生活の生活習慣に対する影響度合いは人種によって違う。
2.前向き調査か?
前向き調査とは因果関係を検討するための疫学調査法であり、複数の集団を一定の条件をそろえた下で、時系列的に追跡し、目的とする結果が得られたかどうかについて、統計的に比較検討する調査であり、疫学統計ではもっとも信頼できる調査法であることが採択の理由である。
【0023】
3.病気でない成人した地域住民を5000人年以上追跡しているか?
人数が少ないと、調査の途中で脱落者があるので、統計的に偏りが出て、有意な差が得られない可能性がある。そのために十分な人数が必要であるが、人数が多過ぎると、統計的には有意な差が出やすくなってしまう。5000人くらいが適切な人数だと考えられる。(「有意な差がある」、とは、統計学で用いられる用語で、正しい仮説を間違いと判断してしまう確率が十分低いなら、その仮説を採用できる、ということである)。
【0024】
4.改善可能な生活習慣を扱っているか?
改善可能な生活習慣でなければ、疫学調査を行う意味がなく、生活習慣病が改善されれば、それだけ、死亡・発症率などが低下するからである。
5.総死亡のリスクまたは生活習慣病の発病や死亡のリスクが示されているか?
ガンや生活習慣病などによる死亡など、「全ての原因による死亡リスク」のことを指す。
6.リスクの信頼限界が示されているか?
リスクが出るが、統計上、信頼限界の計算を行うことができる。対象者が多いと、この範囲が狭くなる。つまり、真の値に近づくわけである。例として:0.5<リスク<0.8という形で示される。
【0025】
上述のように抽出された論文の中から、さらに、曝露の有無について、明確な差があるか?、比較する集団は曝露以外は類似しているか?、対象者の出所,取りこみ基準,除外基準があるか?、曝露の後に転帰があるという時間関係があるか?、曝露とリスクに量−反応関係があるか?、等の条件を設けて採用する論文を絞りこむ。
【0026】
これらの論文を、各論文ごとに、目的(調査の目的(例:アルコール摂取+高血圧が脳卒中発症に及ぼす影響)),追跡(調査が行われた時期),状況(調査の対象となった場所),参加者(調査の対象者の人数や、性別,年齢など),指標(疾患名とそのテーマ(例:脳梗塞と脳出血の発症)),結果(調査結果),結論(調査から得られた結論)の形式で要約したものをテキストデータ化し(ステップr4)、要約したデータから、図3(a)のようにデータ項目I1の”EBMコード”,”リスク種別”,”疾患種類”,”性別”,”年齢下限”,”年齢上限”,”リスク1の区分”,”リスク1”,”リスク2の区分”,”リスク2”,”リスク3の区分”,”リスク3”の形式に沿った数値データあるいはテキストデータを抽出して、それぞれのデータを各データ項目ごとにEBM論文データ記憶手段3eに保存する(ステップr5)。
【0027】
上記データ項目I1の中で、「EBMコード」とはEBM論文データ記憶手段3eに保存された論文データの各レコードごとにつけられた番号(コード)である。「リスク種別」とは、日頃の生活習慣および食事に関するアンケートの質問の内容から構成される項目、具体的には「疾病の原因となる要素」を云う。リスク種別の要素として、この実施例においては、BMI,運動,主食,肉,魚,大豆,牛乳,緑黄色野菜,果物,食塩,緑茶,飲酒,喫煙,レバー,加工肉,海草,イソフラボン,豆腐,味噌汁,ヨーグルト,にんじん,トマト,淡色野菜,オレンジ,果物ジュース,お吸い物,漬物,コーヒー,紅茶、等29種類を取り上げている(図7,図8参照)。
【0028】
「疾患種類」は、実際の病名である。この実施例においては、女性については糖尿病,胃癌,肝癌,大腸癌,結腸癌,直腸癌,食道癌,肺癌,胆嚢癌,乳癌,膀胱癌,膵臓癌,脳出血,脳梗塞,循環器系疾患,高血圧,高脂血圧の17種類を判定すべき項目としている(図8参照)。ただし、男性については、乳癌を除いた16種類を判定すべき項目としている(図7参照)。乳癌の男性の発生率は女性に比べておよそ1/100の頻度と低いためである。
【0029】
「性別」は参加者の性別である。男,女,男女の3種類に分類される。性別の区別なく調査を行ったものは、”男女”として分類される。「年齢下限」は、参加者の年齢の下限値、「年齢上限」は参加者の年齢の上限値である。
【0030】
「リスクの区分」とは、リスクのレベルを判定するための区分である。「リスクの区分」で使用している値の決め方として、BMI値、喫煙、飲酒それ以外の条件を取り上げている。すなわち、BMI値をもとに,喫煙は年×喫煙本数/1日をもとに,飲酒はエタノールに変換した量をもとに、それ以外は1週間に何回という値をもとにして、上記のようにいくつかの段階(リスク1,2,3)に分けるのである。「リスク」とは、リスク値のことであり、「リスクの区分」に応じて「リスク」が記録される。
【0031】
b.手順
図4は、本発明のシステムにより実行される処理のフローチャートである。
【0032】
1).ステップS1(アンケートの回答を入力する手段)
クライアントは病院などの契約者である。クライアントはクライアントのコンピュータ2からサーバーのホームページにアクセスし、ユーザ名(英数字)とパスワード(英数字)とを入力し、図5の画面に移動する。クライアントである病院は、アンケートの対象者である患者の回答データを入力するため、次に「アンケートを実施する」ボタンb1をクリックし、図6のアンケートの質問の画面に移動する。
【0033】
図6の第1頁の画面には、プロフィールに関する質問項目として、1.性別(男性or女性),2生年月日(1900年1月1日〜),3.身長(120cm〜199cm以上),4体重(30kg〜149kg以上)の項目f1があり、画面内の質問に全ての回答を入力したら、「次へ」のボタンb3で次のページへ移動して、別の質問の回答を入力する。アンケートの質問項目は、上の(1)プロフィールに関する質問をはじめ、(2)病気(既往歴、家族歴),(3)日常生活習慣,(4)嗜好品,(5)日常の食習慣、(6)主食の摂取状況、(7)魚の摂取状況、(8)肉の摂取状況、(9)大豆製品の摂取状況、(10)乳製品の摂取状況、(11)野菜の摂取状況、(12)果物の摂取状況、(13)塩分の摂取状況、(14)その他の14のカテゴリーからなる。
【0034】
EBM質問記憶手段3aは、リスク種別に関連したアンケートの質問欄の情報をテーブルとして登録しておくものである。図6の例では、EBM質問記憶手段3a内には、「3.身長」の質問について、「項目」の欄には、現在の質問が何番目のカテゴリーに該当するかを記録した、質問のカテゴリーコード(この例では1番目のプロフィールに関する質問なので「1」が記録される),質問の番号を記録した、質問コード(この例では3番目の質問なので「3」が記録される),画面に表示する質問を記録した、質問内容コード(この例では身長の質問なのでテキストデータ「身長」が記録される),回答タイプコード(回答の方法は、「1.性別」のようなラジオボタン型や「3.身長」のような数値を選択するセレクトボックス型のいずれかに分別されるが、この例ではセレクトボックス型を回答タイプのコード「1」として記録される)等の情報が収められる。
【0035】
EBM質問記憶手段3bは、リスク種別に関連したアンケートの質問欄のオプションである、回答欄の情報をテーブルとして登録しておくものである。EBM質問記憶手段3b内には、「3.身長」の質問について、「項目」の欄には、その回答欄の主となる質問のカテゴリーコード(この例では1番目のプロフィールに関する質問なので「1」が記録される),その回答欄の主となる質問の番号を記録した、質問コード(この例では3番目の質問なので「3」が記録される),質問の中の何番目の回答欄かを記録した、オプションコード(この例では1つ目の回答欄なので「1」が記録される。なお、質問の内容によっては、複数の回答欄が設けられる場合もある。),回答欄の数値が何の単位かを表す、オプション(この例ではテキストデータ「cm」が記録される)、等の情報が収められる。
【0036】
また、EBM回答記憶手段3dは、アンケートの回答の情報をテーブルとして登録しておくものであり、図6の例では、「3.身長」の質問について、「項目」の欄には、アンケートの回答欄の番号を記憶する回答コード(この例では「103」が記録される),質問の番号を記録した、質問コード(この例では3番目の質問なので「3」が記録される),質問の中の何番目の回答欄かを記録した、オプションコード(この例では1つ目の回答欄なので「1」が記録される。クライアントのシステムユーザID(この例では「55」が記録される),回答データの入力日(この例では「2006.03.02」),回答データの登録日(この例では「2006.03.02 16:10:01」)等の情報が収められている状態を示している。EBM質問記憶手段3a,3bおよびEBM回答記憶手段3dのテーブルの項目については、本実施例では、テーブル項目の構成を必要最小限のもので説明したが、テーブル項目の構成はこれに限るものではない。
【0037】
本実施例ではさらに質問が続くが、2頁以降の画面は1頁のものと画面自体は同じなので、2頁以降の画面の図示は省略する。後に続く質問は、段落0025で述べた29種類あるリスク種別に関する質問で占められる。本発明のシステムは、このリスク種別ごとに判定を行うものである。
【0038】
「リスク種別」に関する質問は、例えばリスク種別「飲酒」に関するものの場合、「1回あたり、どの種類のお酒をどのくらい飲みますか? 日本酒(180ml) (0−10以上)合程度,焼酎(180ml) (0−10以上)合程度,チューハイ (0−10以上)杯程度,ビール中瓶(500ml) (0−10以上)本程度,ビール缶 (350ml) (0−10以上)本程度,ウイスキー・ダブル(60ml) (0−10以上)杯程度,ブランデー・ダブル (60ml) (0−10以上)杯程度,グラス・ワイン(120ml) (0−10以上)杯程度」のように1つの質問の中に複数の回答を入れることもあるが、ほとんどの質問は、1つの質問の中に1つの回答を入れるものであり、内容は、リスク種別ごとに、「1日に何回食べる,飲むか」、「朝食,昼食,夕食に何回食べる,飲むか」、「1週間に何回食べる,飲むか」、のような区別になる。
【0039】
全てのアンケートの質問に回答した後にその回答のデータを送信するとサーバーのコンピュータ1のEBM回答記憶手段3dに登録される。
本実施例ではアンケートの対象者は、性別を男性,年齢38歳,BMIが22.0として説明をする。また、以下に説明するステップS2からステップS8までの処理は、質問3の「身長」と質問4の「体重」について、リスク種別「BMI」、疾患種類「糖尿病」について処理を行うものとして説明する。
【0040】
2).ステップS2(レコードを前記EBM論文データ記憶手段から抽出する手段、(リスク種別の選択(BMI,運動,主食,たばこ)))
アンケートの各質問には、前記EBM論文データ記憶手段3eにはレコードごとにEBMコード(1,2,3,など)が記憶されている。質問関連記憶手段3cには、アンケートの各質問とEBM論文データ記憶手段3eのどのレコードに関連があるかを関連付けたデータが記憶されている。例えば、論文が「BMI」に関するものについて記載されているなら、質問コードに「3」が割り当てられている。
【0041】
図6の例では、質問3の「身長」には、質問関連記憶手段3cにはEBMコードとして、EBM論文データ記憶手段3eに記憶されている「BMI」に関する論文「1」が割り当てられ、質問コードにはアンケートの質問のコードである「3」が割り当てられている。
なお、アンケートの対象者のBMIの値については、質問3の「身長」および質問4の「体重」からすでに計算されているものとして説明する。
【0042】
まず、ステップ2では、判定を行う質問のEBMコードを質問関連記憶手段3cから読み出した後に、このEBMコードと同一のEBMコードをもつレコードをEBM論文データ記憶手段3eから読み出し、次に、読み出したレコードのリスク種別コードに合致するレコードを図3(a)の前記EBM論文データ記憶手段3eから抽出する。図3(b)は、図3(a)の状態から、質問3の「EBMコード」の「1」と、リスク種別コードが「BMI」の回答データを処理するときに、リスク種別コード「BMI」を含むレコードR1〜R4が選択された例である。なお、説明の都合上リスク種別コードを「BMI」と文字型のデータで表記しているが、実際のデータは整数型のデータ(「1」、「2」など)として記憶される。
【0043】
3).ステップS3(判定する疾患のレコードを抽出する手段(疾患の選択(胃癌,脳梗塞,循環器系疾患等))
ステップ2で抽出されたレコードの中から、判定する疾患のレコードを抽出する。図3(c)は、図3(b)の状態から、疾患種類コード「糖尿病」を含むレコードR1〜R3が抽出された例である。
【0044】
4).ステップS4(アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段)
ステップ3で抽出されたレコードの中から、アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する。図3(c)の状態では、レコードR1〜R3の「性別」はいずれも「男」であるので、レコードR1〜R3をそのまま抽出している。もし、対象者の性別に該当するレコードがなければ、適用可能な資料として、反対のまたは男女全体の性別のレコードを抽出する。
【0045】
ここでいう、反対の性別のレコードを抽出するとは、今回の例で言えば、アンケートの対象者が、男性だった場合に、項目I1の「性別」の欄が”女”の女性のレコードを抽出することである。また、男女全体のレコードを抽出するとは、項目I1の「性別」の欄が”男女”のレコードを抽出することである。
【0046】
5).ステップS5(アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段)
ステップ4で抽出されたレコードの中から、アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する。図3(d)のように、今回の男性の例では、「糖尿病」を含むレコードは、年齢が38歳を含むレコードR1〜R2が抽出される。もし、対象者の年齢に該当するレコードがなければ、参考資料として、最も近い年齢階級のレコードを抽出する。
【0047】
6).ステップS6(回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段)
ステップ5で抽出されたレコードと、回答データを参照し、回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する。図3(d)のうち、今回の男性の例では、BMIが22.0であり、リスク3の区分の範囲に該当するので、レコードR1のリスク3の数値0.72とレコードR2のリスク3の数値0.63が選択される。
【0048】
7).ステップS7(複数のリスク値が選択された場合)
なお、リスク値抽出処理で得られたリスクの区分及びリスク値が複数ある場合にはリスク値の数値の悪いほうを選択する。EBMの論文によっては、ほぼ同じ条件でも、リスクが異なることがある。本発明ではこのような場合は、生活上の注意を喚起して生活指導を行えるようにする意味で、「程度の悪い方を表示する」ようにした。今回の男性の例では、図3(e)のようにリスク3の数値0.72が選択される。
【0049】
8).ステップS8(「お天気マーク」に変換して出力する手段、表形式のリストで出力する手段)
図7の画面上部には「EBMについて」として、28項目のリスク種別を横軸、17項目の疾患種類の項目を縦軸とした表T1がある。ステップ6あるいはステップ7で選択されたリスク値は、表T1の横軸と縦軸の項目を結んだ第1のお天気マーク表示用領域ea1,ea2・・・ea29・・・eo1・・・eo29のうち、判定の処理を行っているリスク種別と疾患種類の交差する箇所に格納される。本実施例では、リスク種別「BMI」、疾患種類「糖尿病」について処理を行っているので、エリアea1にリスク値が格納される。格納されたリスク値は、リスクのレベルとして視覚的にわかりやすく示すために、「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストのお天気マークに変換して表示する。リスク値とお天気マークの関係は、「お日様」はリスク値が1.0未満のもの、「曇り」はリスク値が1.0以上1.5未満のもの、「雨」はリスク値が1.5以上2.0未満のもの、「雷」はリスク値が2.0以上のもの、として扱う。なお、リスクには「発症リスク」と「死亡リスク」があるが、表示の際、「死亡」などの表現が、生活指導ソフトとしては印象として良くないため、データ上の「発症」と「死亡」は区別せず、「発症」と「死亡」のいずれも「リスク」として表示する。
【0050】
また、図8の「EBMについて」の表において「糖尿病」の交差したお天気マーク表示用領域ea13にはお日様マークが表示されているが、ほかのお天気マークの表示用領域と異なり、マークの背景が一定の色で塗りつぶされている。これは、アンケート対象者(例えば女性)と同じ性別に該当するレコードがない場合であり、対象となる性別と反対の性別(この場合は男性)のリスク値を参照するということを、お天気マークを表示するときに背景を「ブルー」色に変換して示したものである。
また、対象者と同じ年齢に該当するレコードがなく、最も近い年齢のレコードのリスク値を参照(例えば70歳の人が40< <50歳のデータを参照)している場合は、背景表示を「オレンジ」色に変換して示すようになっている。
また、対象者と同じ性別に該当するレコードがなく、反対の性別で、なおかつ同じ年齢に該当するレコードがなく、最も近い年齢階級のレコードのリスク値を参照している場合は、背景表示を「グリーン」色に変換して示すようになっている。
【0051】
また、表T1の下には、「EBMのコメント」と、「調査項目」,「あなたに最も近い条件」,「RRレベル」(相対危険度)の項目で構成される表T2が表示される。調査項目には、該当するレコードのリスク種別が、「あなたに最も近い条件」には近い条件のレコードの性別,年齢が、「RRレベル」はリスクのレベルの値をもとに変換されたお天気マークが、第2のお天気マーク表示用領域ep1,ep2,ep3に格納され、格納した値を表示する。
【0052】
9).ステップS9,S10(処理の繰返し)
ステップS2からステップ8までの処理を、まず1つの疾患種類について、リスク種別の数だけ繰返す(ステップS9)。図7の「EBMについて」の表において、最初の疾患種類は糖尿病であるので、(BMI、糖尿病)、(運動、糖尿病)の順番で処理を行う。次いで、次の疾患種類について、リスク種別の数だけ繰返す。次の疾患種類は胃癌であるので、(BMI、胃癌)、(運動、胃癌)の順番で処理を行う。このように全ての疾患種類について処理を行い(ステップS10)、最終判定結果を、クライアントのモニタに表示する。
【0053】
本発明において、サーバーのコンピュータは、アンケートに示された、回答者の生活習慣および食事の内容,性別,年齢をEBM論文データと照合し、判定に適用可能なEBM論文データを引き出し、当該論文データに示される疾患の種類およびリスク値が、アンケート回答者に引き起こされる疾患とそのリスクの判定結果としてクライアントのコンピュータに表示され、表示された判定結果は、根拠のあるEBM論文データに基づいているので、信頼性が高い。また、判定に用いる資料は、単純にアンケートの回答者の性別、現時点の年齢に合致した疾患とそのリスクだけでなく、性別,年齢を超えた資料であっても、年齢の近い資料はもとより、加齢時の判定資料として、さらには、男女の違いがあっても、参考資料として積極的に活用され得るため、少ないEBMのデータを有効に利用することが可能となる。
【0054】
c.栄養指導プログラムとの連携
以上、本発明のシステムの処理内容について述べた。お天気マークの表示結果は、従来型の栄養士等の経験的数値に基づいて作られた栄養指導プログラムの判定結果と共に同一のシステムとして閲覧することで、受診者に対して、より明確な指導が可能となる。図10に、栄養指導プログラムの判定結果の画面の一例を示すが、本発明において画面の例はこれに限るものではない。
【0055】
(c−1). 栄養指導プログラムの画面構成の例
図10は、生活習慣病指導表の例である。生活習慣病指導表は、受診番号,氏名,性別,生年月日,受診日の5項目から構成されるプロフィール表T3と、身長,体重,BMI,理想体重の4項目から構成される身体表T4と、患者の8つの生活習慣病(糖尿病、癌、脳出血、脳梗塞、循環器系疾患、肥満、高血圧、高脂血圧)に対する評価をグラフ(番号),疾患名,評価ポイントの3項目を表形式にした総合評価表T5と、総合評価表T5の結果を、総合評価チャートとしてレーザーチャートで表すための総合評価チャートT6と、関連病名,栄養コメントの2項目から構成される栄養コメント表T7で構成された例を示している。
【0056】
(c−2). 栄養指導プログラムに用いられる人体図とお天気マーク
図7のボタンb4をクリックすると、図9の人体図画面が表示され、図9からさらに細かい情報を得ることができる。図9の人体図の例では、脳,食道,肺,心臓,肝臓,胆嚢,膵臓,胃,大腸,結腸,直腸,膀胱の体の各部位ごとの状態をお天気マークで表示している。ここでのお天気マークの表示は、本発明のEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラムで得られたリスク値に対応している。
【0057】
(c−3). 栄養指導プログラムに関連のある質問の表示
本発明は、従来の栄養指導プログラムを補強する役割のプログラムであるため、栄養指導プログラムの処理の詳細については、説明を省略するが、本発明のシステム上では、図1のように、栄養指導についての質問内容を記憶した栄養質問記憶手段4aと、質問の回答を記憶する栄養回答記憶手段4bと、評価ポイントと栄養コメントを記憶した評価記憶手段4c記憶装置3に格納されている。
【0058】
栄養質問記憶手段4aと栄養回答記憶手段4bで使われるテーブルは、EBM質問記憶手段3aやEBM回答記憶手段3dとほぼ同じ構成であるため、アンケートを行う際には、必要に応じてEBM質問記憶手段3aあるいは、栄養質問記憶手段4aから質問内容を読み出し、同一の画面で質問を表示することもでき、アンケートの対象者は従来の栄養指導プログラムと本発明のEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラムを別々に意識することがない。アンケートの回答は読み出した質問内容に応じて本発明のEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラム側のEBM回答記憶手段3dあるいは、栄養指導プログラム側の栄養回答記憶手段4bのそれぞれに記憶される。
【0059】
d.過去のアンケート結果記憶手段
過去に実施したアンケートの回答データおよびアンケートの判定結果は、過去のアンケート結果記憶手段5bに記録される。結果を参照したいときは、図5のボタンb2をクリックし、図11のアンケートの過去の実施履歴の画面にアクセスする。参照したい実施日の閲覧ボタンb5をクリックすることでEBMコメント,栄養コメント,人体図の閲覧ができる。以上、実施例においては、、コンピュータネットワークを介さず、コンピュータ1台のスタンドアロンのシステムとしても使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
EBMは、実験計画の持つ厳密性のために、実験の結果が適用できる範囲が狭く、折角得られた実験の結果を生かす分野が限られてしまうという問題があったが、今回の本発明のシステムのように、健康指導の分野、つまり、生活習慣病の指導や判定を行うに際しては、適応条件を明示した上でのEBMの論文データの適用が可能であり、よって、「他の医師,栄養士あるいはインストラクター等の個人的知識と経験に基づいて指導を行う従来型の栄養指導,運動指導のシステムと連携するシステムとして用いることができる。また、本発明のようなEBMの利用の仕方を提供することで、EBMデータの利用が一般化し、普及することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の構成を示す図である。
【図2】論文抽出の処理を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、EBM論文データ記憶手段の構成を示す図、(b)〜(e)は、本発明のシステムにより、レコードが選択される例を示す図である。
【図4】本発明のシステムの処理を示すフローチャートである。
【図5】システムの初期画面の例を示す図である。
【図6】アンケートの回答がEBM回答記憶手段および栄養指導プログラム回答記憶手段に記録されるイメージを示す図である。
【図7】男性の判定結果を画面で表示した例を示す図である。
【図8】女性の判定結果を画面で表示した例を示す図である。
【図9】人体図画面の例を示す図である。
【図10】栄養指導プログラムの判定結果の画面の例を示す図である。
【図11】アンケートの過去の実施履歴の画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 サーバーのコンピュータ
2 クライアントのコンピュータ
3 記憶装置
3a,3b EBM質問記憶手段
3c 質問関連記憶手段
3d EBM回答記憶手段
3e EBM論文データ記憶手段
4a 栄養質問記憶手段
4b 栄養回答記憶手段
4c 評価記憶手段
5a 過去のアンケート結果記憶手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータでアンケートを行い、収集されたアンケートの回答データに基き、アンケート回答者についての生活習慣病のリスク(危険度)の判定を行う生活習慣病チェックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受診者の健康状態を知るためには、人間ドックや定期健康診断で様々な検査を実施し、その検査から定量的な結果や定性的なデータを収集し、得られたデータの分析によって受診者の健康状態を判断するのが一般的であった。しかしながら我々の健康や罹病は、ある日突然訪れるものではなく、長年の生活習慣(ライフスタイル)に起因しているケースが大半であることから、日頃の食生活、健康管理、生活習慣の改善が重要であるとして、健康を保つための方法としてさまざまな提案がなされてきている。
【0003】
例えば、厚生労働省・農林水産省においては、「何を」「どれだけ」食べたらよいかがわかる食事の目安である「食事バランスガイド」(http://www3.gov-online.go.jp/gov/tsushin_flash/200509/f_food_guide_s.swf)を提供している。このシステムは食品を主食,副菜,主菜,牛乳・乳製品,果物の5つのグループに分け、この5つのグループの食品を、朝食,昼食,夕食のうちにどのくらい摂取しているかによって、その摂取量に応じて警告や注意をコメントとして表示するというものである。
【0004】
また、医師や看護婦などの専門職に対面指導によらなくても、受診者の生活習慣に関するアンケートを収集し、収集したアンケートの回答データをコンピュータで分析して、その分析結果から生活習慣病を判断するシステムがいくつか考えだされている。
【0005】
例えば、特許文献1では、医師や看護婦などの専門職が対面で指導しなくても疾病者等が生活習慣改善を長期間にわたり、継続的に実施することができる生活習慣病指導システムを提案している。
【0006】
また、フィットネスに関するもので、メディカルチェックアンケートを含む会員の身体的な基礎データと、医科学検査結果データと、測定器具による体成分分析結果データと、医師・管理栄養士・トレーナーとのカウンセリングによる結果データとから身体的リスクを判定し、会員に対し身体状況別運動プログラムを処方し、運動プログラムに基づいたトレーニングの運動記憶データを含めた定量的な効果分析結果に基づいて、身体的状況別運動プログラムが再処方しながら、身体的リスクの改善を行うシステムが特許文献2に紹介されている。
【0007】
しかし、上記のシステムは、いずれも医師,栄養士あるいはインストラクター等が、得られた客観的データを医学的知識と経験に基づいて行なった医学的判断をもとに生活習慣病改善の指導をするシステムであるため、経験的判断と客観的事実が混在することになる。
【0008】
科学的根拠という点においては、EBM(Evidence Based Medicine)という概念が1990年代中盤以降、一部の臨床疫学者らによって北米からわが国に紹介された。EBMとは、「根拠に基づく医療」と訳され、「最も信頼できる根拠のある情報を使って、最善の治療を行う」ということである。EBMについては、今までに数多くの研究の成果や論文が発表あるいは公開されており、その研究結果は実験や調査を経ているため、実証性がある。
【0009】
しかし、現在EBMはわが国に根付いているとはいいがたい。その理由のひとつとしては、EBMは、さまざまな条件を決定して研究の設計を行わなければ、正確なデータ取得は期待できないが、条件を厳しく設定すると、アンケートの対象者から収集した回答データが研究のデータの条件(たとえば、調査年齢の不一致や性別のデータがない、など)に適合しないということになって、EBMの研究のデータを適用できなくなるという問題がある。つまり、システムのデータとして用いるには、すべての年齢層あるいは性別のデータが必要であるが、そのすべてのデータがそろわない、いわゆるデータの歯ぬけ状態が生じたり、EBMのデータがあるのに、そのデータの多くは外国人のものである等の事情があるため、データをそのまま使える場面が少ないといった問題がある。EBMの欠点は、「統計的事実ではあるが、適用条件が厳しすぎる」という点である。
【特許文献1】特許公開2004−326328公報
【特許文献2】特許公開2004−355617公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
医師,栄養士あるいはインストラクター等の経験的判断に基づく従来のシステムにおいては医学的な根拠として、そのままEBMデータを利用しようとすると、厳密な実験条件のために、すべての年齢層,性別のデータが揃わないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のシステムは、EBMの研究論文に裏打ちされたデータに基づき、今回提示した手段を用いて判定を行い、経験的判断に基づいて作成した従来型のデータに基づく判定結果と別々の形式で表示することで、経験的判断とEBMによる実証的判断の利点を相互に補完することができるシステムであることを最大の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシステムによれば、EBM論文、特に「前向き研究」で裏打ちされたデータに基づいて実証的判断による判定を行うことができる。そのため、医師,栄養士あるいはインストラクター等の限定的知識と個人的経験に基づいて指導を行う従来の栄養指導システムと組み合わせることで、最善の判定の資料として活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートをコンピュータ(パソコン)上で行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を画面表示および印刷などで出力して、生活習慣病の判定を行う、EBMに基づいた生活習慣病チェックシステムである。
【0014】
疾患とリスク値の判定は、EBM論文データに基づいて行われる。EBM論文データは、リスク種別と疾患との因果関係が明らかな日本人を対象とした疫学論文から得られたものである。アンケートは、EBM論文データを引き出すための、日頃の生活習慣および食事に関する質問で構成される。
本発明のシステムは、アンケートに示された、回答者の生活習慣および食事の内容,性別,年齢をEBM論文データと照合し、判定に適用可能なEBM論文データを引き出し、当該EBM論文データに示される疾患の種類およびリスク値を、アンケート回答者に引き起こされる疾患とそのリスクの判定結果として出力する。本発明において、リスク値とは、何らかの要因にさらされたグループとそうでない対照グループとの死亡率や発症率などの比率を意味する。
【0015】
リスク値は「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストのお天気マークで表示される。EBM論文データは、専門の約1,000程度の疫学的研究論文の中から、生活習慣病に関連する複数のキーワードで検出された論文の中から選択されたものである。また、画面は、お天気マークとそれに関連する情報(EBM参考表示)で表示され、併せて栄養士等の経験的数値に基づいて作られた従来型の栄養指導プログラムの判定結果と共に同一のシステム上で閲覧できる。
【実施例】
【0016】
a.システムの構成
システムの構成を図1に示す。本発明のシステムは、コンピュータを用いて日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うシステムである。以下の実施例においては、コンピュータネットワークのサーバーと、クライアントとの関係において、システムの提供者であるサーバーのコンピュータ1と病院などの医療機関の契約者であるクライアントのコンピュータ2をインターネット接続回線あるいはLANで接続して使用する例を説明するが、コンピュータネットワークを介さず、スタンドアロンとしてクライアントのコンピュータ2に記憶媒体を組み込んでシステムを構成することもできる。
【0017】
サーバーのコンピュータ1の記憶装置3には、データの記憶手段として、EBM質問記憶手段3a,3b,質問関連記憶手段3c,EBM回答記憶手段3d,EBM論文データ記憶手段3eと栄養指導プログラムで用いる、栄養質問記憶手段4a,栄養回答記憶手段4b,評価記憶手段4cのほか、判定結果を記録した過去のアンケート結果記憶手段5aを有している。スタンドアロンのシステムの場合は、記憶装置3の各記憶手段3a〜3e,4a〜4c,5aおよびそのデータと、本発明のEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラムをCDなどの記憶媒体に記憶させ、これをコンピュータ2にインストールして処理を実行させる。
【0018】
EBM論文データ記憶手段3eは、リスク値を判定するための基準となるデータを保存したものである。
【0019】
本発明は、EBM論文で裏打ちされたデータを参考提示し、栄養指導の信頼性を高めるシステムである。そのために必要な作業として、まず、根拠となる資料をどのように選びだし、これをデータ化するかという点において、データを収集する手順を図2のフローチャートによって説明する。
【0020】
図2において、まず、生活習慣および食事,研究が実施された場所,研究の方法に関連のあるキーワード(お酒、食事、飲料、栄養、サプリ、食生活、偏食、運動、休暇、身体活動、肥満、コレステロール、血圧、ストレス、健康習慣、健康増進、生活習慣、リスク減少行動、日本、介入研究、コホート研究、メタ分析、多施設)を選びだす(ステップr1)。次いで、キーワードを英訳し、検索条件のキーを追加したものを検索式として記録する(ステップr2)。医学論文データベース、例えばPubMed上で検索式を入力し、生活習慣および食事,研究が実施された場所,研究の方法に関連するキーワードを含む論文を抽出する(ステップr3)。
【0021】
抽出された論文の中から、さらに採択基準を設けて、採択基準に該当する論文を選び出す。採択基準は具体的には次のとおりである。
【0022】
1.日本人を対象としているか?
食生活の生活習慣に対する影響度合いは人種によって違う。
2.前向き調査か?
前向き調査とは因果関係を検討するための疫学調査法であり、複数の集団を一定の条件をそろえた下で、時系列的に追跡し、目的とする結果が得られたかどうかについて、統計的に比較検討する調査であり、疫学統計ではもっとも信頼できる調査法であることが採択の理由である。
【0023】
3.病気でない成人した地域住民を5000人年以上追跡しているか?
人数が少ないと、調査の途中で脱落者があるので、統計的に偏りが出て、有意な差が得られない可能性がある。そのために十分な人数が必要であるが、人数が多過ぎると、統計的には有意な差が出やすくなってしまう。5000人くらいが適切な人数だと考えられる。(「有意な差がある」、とは、統計学で用いられる用語で、正しい仮説を間違いと判断してしまう確率が十分低いなら、その仮説を採用できる、ということである)。
【0024】
4.改善可能な生活習慣を扱っているか?
改善可能な生活習慣でなければ、疫学調査を行う意味がなく、生活習慣病が改善されれば、それだけ、死亡・発症率などが低下するからである。
5.総死亡のリスクまたは生活習慣病の発病や死亡のリスクが示されているか?
ガンや生活習慣病などによる死亡など、「全ての原因による死亡リスク」のことを指す。
6.リスクの信頼限界が示されているか?
リスクが出るが、統計上、信頼限界の計算を行うことができる。対象者が多いと、この範囲が狭くなる。つまり、真の値に近づくわけである。例として:0.5<リスク<0.8という形で示される。
【0025】
上述のように抽出された論文の中から、さらに、曝露の有無について、明確な差があるか?、比較する集団は曝露以外は類似しているか?、対象者の出所,取りこみ基準,除外基準があるか?、曝露の後に転帰があるという時間関係があるか?、曝露とリスクに量−反応関係があるか?、等の条件を設けて採用する論文を絞りこむ。
【0026】
これらの論文を、各論文ごとに、目的(調査の目的(例:アルコール摂取+高血圧が脳卒中発症に及ぼす影響)),追跡(調査が行われた時期),状況(調査の対象となった場所),参加者(調査の対象者の人数や、性別,年齢など),指標(疾患名とそのテーマ(例:脳梗塞と脳出血の発症)),結果(調査結果),結論(調査から得られた結論)の形式で要約したものをテキストデータ化し(ステップr4)、要約したデータから、図3(a)のようにデータ項目I1の”EBMコード”,”リスク種別”,”疾患種類”,”性別”,”年齢下限”,”年齢上限”,”リスク1の区分”,”リスク1”,”リスク2の区分”,”リスク2”,”リスク3の区分”,”リスク3”の形式に沿った数値データあるいはテキストデータを抽出して、それぞれのデータを各データ項目ごとにEBM論文データ記憶手段3eに保存する(ステップr5)。
【0027】
上記データ項目I1の中で、「EBMコード」とはEBM論文データ記憶手段3eに保存された論文データの各レコードごとにつけられた番号(コード)である。「リスク種別」とは、日頃の生活習慣および食事に関するアンケートの質問の内容から構成される項目、具体的には「疾病の原因となる要素」を云う。リスク種別の要素として、この実施例においては、BMI,運動,主食,肉,魚,大豆,牛乳,緑黄色野菜,果物,食塩,緑茶,飲酒,喫煙,レバー,加工肉,海草,イソフラボン,豆腐,味噌汁,ヨーグルト,にんじん,トマト,淡色野菜,オレンジ,果物ジュース,お吸い物,漬物,コーヒー,紅茶、等29種類を取り上げている(図7,図8参照)。
【0028】
「疾患種類」は、実際の病名である。この実施例においては、女性については糖尿病,胃癌,肝癌,大腸癌,結腸癌,直腸癌,食道癌,肺癌,胆嚢癌,乳癌,膀胱癌,膵臓癌,脳出血,脳梗塞,循環器系疾患,高血圧,高脂血圧の17種類を判定すべき項目としている(図8参照)。ただし、男性については、乳癌を除いた16種類を判定すべき項目としている(図7参照)。乳癌の男性の発生率は女性に比べておよそ1/100の頻度と低いためである。
【0029】
「性別」は参加者の性別である。男,女,男女の3種類に分類される。性別の区別なく調査を行ったものは、”男女”として分類される。「年齢下限」は、参加者の年齢の下限値、「年齢上限」は参加者の年齢の上限値である。
【0030】
「リスクの区分」とは、リスクのレベルを判定するための区分である。「リスクの区分」で使用している値の決め方として、BMI値、喫煙、飲酒それ以外の条件を取り上げている。すなわち、BMI値をもとに,喫煙は年×喫煙本数/1日をもとに,飲酒はエタノールに変換した量をもとに、それ以外は1週間に何回という値をもとにして、上記のようにいくつかの段階(リスク1,2,3)に分けるのである。「リスク」とは、リスク値のことであり、「リスクの区分」に応じて「リスク」が記録される。
【0031】
b.手順
図4は、本発明のシステムにより実行される処理のフローチャートである。
【0032】
1).ステップS1(アンケートの回答を入力する手段)
クライアントは病院などの契約者である。クライアントはクライアントのコンピュータ2からサーバーのホームページにアクセスし、ユーザ名(英数字)とパスワード(英数字)とを入力し、図5の画面に移動する。クライアントである病院は、アンケートの対象者である患者の回答データを入力するため、次に「アンケートを実施する」ボタンb1をクリックし、図6のアンケートの質問の画面に移動する。
【0033】
図6の第1頁の画面には、プロフィールに関する質問項目として、1.性別(男性or女性),2生年月日(1900年1月1日〜),3.身長(120cm〜199cm以上),4体重(30kg〜149kg以上)の項目f1があり、画面内の質問に全ての回答を入力したら、「次へ」のボタンb3で次のページへ移動して、別の質問の回答を入力する。アンケートの質問項目は、上の(1)プロフィールに関する質問をはじめ、(2)病気(既往歴、家族歴),(3)日常生活習慣,(4)嗜好品,(5)日常の食習慣、(6)主食の摂取状況、(7)魚の摂取状況、(8)肉の摂取状況、(9)大豆製品の摂取状況、(10)乳製品の摂取状況、(11)野菜の摂取状況、(12)果物の摂取状況、(13)塩分の摂取状況、(14)その他の14のカテゴリーからなる。
【0034】
EBM質問記憶手段3aは、リスク種別に関連したアンケートの質問欄の情報をテーブルとして登録しておくものである。図6の例では、EBM質問記憶手段3a内には、「3.身長」の質問について、「項目」の欄には、現在の質問が何番目のカテゴリーに該当するかを記録した、質問のカテゴリーコード(この例では1番目のプロフィールに関する質問なので「1」が記録される),質問の番号を記録した、質問コード(この例では3番目の質問なので「3」が記録される),画面に表示する質問を記録した、質問内容コード(この例では身長の質問なのでテキストデータ「身長」が記録される),回答タイプコード(回答の方法は、「1.性別」のようなラジオボタン型や「3.身長」のような数値を選択するセレクトボックス型のいずれかに分別されるが、この例ではセレクトボックス型を回答タイプのコード「1」として記録される)等の情報が収められる。
【0035】
EBM質問記憶手段3bは、リスク種別に関連したアンケートの質問欄のオプションである、回答欄の情報をテーブルとして登録しておくものである。EBM質問記憶手段3b内には、「3.身長」の質問について、「項目」の欄には、その回答欄の主となる質問のカテゴリーコード(この例では1番目のプロフィールに関する質問なので「1」が記録される),その回答欄の主となる質問の番号を記録した、質問コード(この例では3番目の質問なので「3」が記録される),質問の中の何番目の回答欄かを記録した、オプションコード(この例では1つ目の回答欄なので「1」が記録される。なお、質問の内容によっては、複数の回答欄が設けられる場合もある。),回答欄の数値が何の単位かを表す、オプション(この例ではテキストデータ「cm」が記録される)、等の情報が収められる。
【0036】
また、EBM回答記憶手段3dは、アンケートの回答の情報をテーブルとして登録しておくものであり、図6の例では、「3.身長」の質問について、「項目」の欄には、アンケートの回答欄の番号を記憶する回答コード(この例では「103」が記録される),質問の番号を記録した、質問コード(この例では3番目の質問なので「3」が記録される),質問の中の何番目の回答欄かを記録した、オプションコード(この例では1つ目の回答欄なので「1」が記録される。クライアントのシステムユーザID(この例では「55」が記録される),回答データの入力日(この例では「2006.03.02」),回答データの登録日(この例では「2006.03.02 16:10:01」)等の情報が収められている状態を示している。EBM質問記憶手段3a,3bおよびEBM回答記憶手段3dのテーブルの項目については、本実施例では、テーブル項目の構成を必要最小限のもので説明したが、テーブル項目の構成はこれに限るものではない。
【0037】
本実施例ではさらに質問が続くが、2頁以降の画面は1頁のものと画面自体は同じなので、2頁以降の画面の図示は省略する。後に続く質問は、段落0025で述べた29種類あるリスク種別に関する質問で占められる。本発明のシステムは、このリスク種別ごとに判定を行うものである。
【0038】
「リスク種別」に関する質問は、例えばリスク種別「飲酒」に関するものの場合、「1回あたり、どの種類のお酒をどのくらい飲みますか? 日本酒(180ml) (0−10以上)合程度,焼酎(180ml) (0−10以上)合程度,チューハイ (0−10以上)杯程度,ビール中瓶(500ml) (0−10以上)本程度,ビール缶 (350ml) (0−10以上)本程度,ウイスキー・ダブル(60ml) (0−10以上)杯程度,ブランデー・ダブル (60ml) (0−10以上)杯程度,グラス・ワイン(120ml) (0−10以上)杯程度」のように1つの質問の中に複数の回答を入れることもあるが、ほとんどの質問は、1つの質問の中に1つの回答を入れるものであり、内容は、リスク種別ごとに、「1日に何回食べる,飲むか」、「朝食,昼食,夕食に何回食べる,飲むか」、「1週間に何回食べる,飲むか」、のような区別になる。
【0039】
全てのアンケートの質問に回答した後にその回答のデータを送信するとサーバーのコンピュータ1のEBM回答記憶手段3dに登録される。
本実施例ではアンケートの対象者は、性別を男性,年齢38歳,BMIが22.0として説明をする。また、以下に説明するステップS2からステップS8までの処理は、質問3の「身長」と質問4の「体重」について、リスク種別「BMI」、疾患種類「糖尿病」について処理を行うものとして説明する。
【0040】
2).ステップS2(レコードを前記EBM論文データ記憶手段から抽出する手段、(リスク種別の選択(BMI,運動,主食,たばこ)))
アンケートの各質問には、前記EBM論文データ記憶手段3eにはレコードごとにEBMコード(1,2,3,など)が記憶されている。質問関連記憶手段3cには、アンケートの各質問とEBM論文データ記憶手段3eのどのレコードに関連があるかを関連付けたデータが記憶されている。例えば、論文が「BMI」に関するものについて記載されているなら、質問コードに「3」が割り当てられている。
【0041】
図6の例では、質問3の「身長」には、質問関連記憶手段3cにはEBMコードとして、EBM論文データ記憶手段3eに記憶されている「BMI」に関する論文「1」が割り当てられ、質問コードにはアンケートの質問のコードである「3」が割り当てられている。
なお、アンケートの対象者のBMIの値については、質問3の「身長」および質問4の「体重」からすでに計算されているものとして説明する。
【0042】
まず、ステップ2では、判定を行う質問のEBMコードを質問関連記憶手段3cから読み出した後に、このEBMコードと同一のEBMコードをもつレコードをEBM論文データ記憶手段3eから読み出し、次に、読み出したレコードのリスク種別コードに合致するレコードを図3(a)の前記EBM論文データ記憶手段3eから抽出する。図3(b)は、図3(a)の状態から、質問3の「EBMコード」の「1」と、リスク種別コードが「BMI」の回答データを処理するときに、リスク種別コード「BMI」を含むレコードR1〜R4が選択された例である。なお、説明の都合上リスク種別コードを「BMI」と文字型のデータで表記しているが、実際のデータは整数型のデータ(「1」、「2」など)として記憶される。
【0043】
3).ステップS3(判定する疾患のレコードを抽出する手段(疾患の選択(胃癌,脳梗塞,循環器系疾患等))
ステップ2で抽出されたレコードの中から、判定する疾患のレコードを抽出する。図3(c)は、図3(b)の状態から、疾患種類コード「糖尿病」を含むレコードR1〜R3が抽出された例である。
【0044】
4).ステップS4(アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段)
ステップ3で抽出されたレコードの中から、アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する。図3(c)の状態では、レコードR1〜R3の「性別」はいずれも「男」であるので、レコードR1〜R3をそのまま抽出している。もし、対象者の性別に該当するレコードがなければ、適用可能な資料として、反対のまたは男女全体の性別のレコードを抽出する。
【0045】
ここでいう、反対の性別のレコードを抽出するとは、今回の例で言えば、アンケートの対象者が、男性だった場合に、項目I1の「性別」の欄が”女”の女性のレコードを抽出することである。また、男女全体のレコードを抽出するとは、項目I1の「性別」の欄が”男女”のレコードを抽出することである。
【0046】
5).ステップS5(アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段)
ステップ4で抽出されたレコードの中から、アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する。図3(d)のように、今回の男性の例では、「糖尿病」を含むレコードは、年齢が38歳を含むレコードR1〜R2が抽出される。もし、対象者の年齢に該当するレコードがなければ、参考資料として、最も近い年齢階級のレコードを抽出する。
【0047】
6).ステップS6(回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段)
ステップ5で抽出されたレコードと、回答データを参照し、回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する。図3(d)のうち、今回の男性の例では、BMIが22.0であり、リスク3の区分の範囲に該当するので、レコードR1のリスク3の数値0.72とレコードR2のリスク3の数値0.63が選択される。
【0048】
7).ステップS7(複数のリスク値が選択された場合)
なお、リスク値抽出処理で得られたリスクの区分及びリスク値が複数ある場合にはリスク値の数値の悪いほうを選択する。EBMの論文によっては、ほぼ同じ条件でも、リスクが異なることがある。本発明ではこのような場合は、生活上の注意を喚起して生活指導を行えるようにする意味で、「程度の悪い方を表示する」ようにした。今回の男性の例では、図3(e)のようにリスク3の数値0.72が選択される。
【0049】
8).ステップS8(「お天気マーク」に変換して出力する手段、表形式のリストで出力する手段)
図7の画面上部には「EBMについて」として、28項目のリスク種別を横軸、17項目の疾患種類の項目を縦軸とした表T1がある。ステップ6あるいはステップ7で選択されたリスク値は、表T1の横軸と縦軸の項目を結んだ第1のお天気マーク表示用領域ea1,ea2・・・ea29・・・eo1・・・eo29のうち、判定の処理を行っているリスク種別と疾患種類の交差する箇所に格納される。本実施例では、リスク種別「BMI」、疾患種類「糖尿病」について処理を行っているので、エリアea1にリスク値が格納される。格納されたリスク値は、リスクのレベルとして視覚的にわかりやすく示すために、「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストのお天気マークに変換して表示する。リスク値とお天気マークの関係は、「お日様」はリスク値が1.0未満のもの、「曇り」はリスク値が1.0以上1.5未満のもの、「雨」はリスク値が1.5以上2.0未満のもの、「雷」はリスク値が2.0以上のもの、として扱う。なお、リスクには「発症リスク」と「死亡リスク」があるが、表示の際、「死亡」などの表現が、生活指導ソフトとしては印象として良くないため、データ上の「発症」と「死亡」は区別せず、「発症」と「死亡」のいずれも「リスク」として表示する。
【0050】
また、図8の「EBMについて」の表において「糖尿病」の交差したお天気マーク表示用領域ea13にはお日様マークが表示されているが、ほかのお天気マークの表示用領域と異なり、マークの背景が一定の色で塗りつぶされている。これは、アンケート対象者(例えば女性)と同じ性別に該当するレコードがない場合であり、対象となる性別と反対の性別(この場合は男性)のリスク値を参照するということを、お天気マークを表示するときに背景を「ブルー」色に変換して示したものである。
また、対象者と同じ年齢に該当するレコードがなく、最も近い年齢のレコードのリスク値を参照(例えば70歳の人が40< <50歳のデータを参照)している場合は、背景表示を「オレンジ」色に変換して示すようになっている。
また、対象者と同じ性別に該当するレコードがなく、反対の性別で、なおかつ同じ年齢に該当するレコードがなく、最も近い年齢階級のレコードのリスク値を参照している場合は、背景表示を「グリーン」色に変換して示すようになっている。
【0051】
また、表T1の下には、「EBMのコメント」と、「調査項目」,「あなたに最も近い条件」,「RRレベル」(相対危険度)の項目で構成される表T2が表示される。調査項目には、該当するレコードのリスク種別が、「あなたに最も近い条件」には近い条件のレコードの性別,年齢が、「RRレベル」はリスクのレベルの値をもとに変換されたお天気マークが、第2のお天気マーク表示用領域ep1,ep2,ep3に格納され、格納した値を表示する。
【0052】
9).ステップS9,S10(処理の繰返し)
ステップS2からステップ8までの処理を、まず1つの疾患種類について、リスク種別の数だけ繰返す(ステップS9)。図7の「EBMについて」の表において、最初の疾患種類は糖尿病であるので、(BMI、糖尿病)、(運動、糖尿病)の順番で処理を行う。次いで、次の疾患種類について、リスク種別の数だけ繰返す。次の疾患種類は胃癌であるので、(BMI、胃癌)、(運動、胃癌)の順番で処理を行う。このように全ての疾患種類について処理を行い(ステップS10)、最終判定結果を、クライアントのモニタに表示する。
【0053】
本発明において、サーバーのコンピュータは、アンケートに示された、回答者の生活習慣および食事の内容,性別,年齢をEBM論文データと照合し、判定に適用可能なEBM論文データを引き出し、当該論文データに示される疾患の種類およびリスク値が、アンケート回答者に引き起こされる疾患とそのリスクの判定結果としてクライアントのコンピュータに表示され、表示された判定結果は、根拠のあるEBM論文データに基づいているので、信頼性が高い。また、判定に用いる資料は、単純にアンケートの回答者の性別、現時点の年齢に合致した疾患とそのリスクだけでなく、性別,年齢を超えた資料であっても、年齢の近い資料はもとより、加齢時の判定資料として、さらには、男女の違いがあっても、参考資料として積極的に活用され得るため、少ないEBMのデータを有効に利用することが可能となる。
【0054】
c.栄養指導プログラムとの連携
以上、本発明のシステムの処理内容について述べた。お天気マークの表示結果は、従来型の栄養士等の経験的数値に基づいて作られた栄養指導プログラムの判定結果と共に同一のシステムとして閲覧することで、受診者に対して、より明確な指導が可能となる。図10に、栄養指導プログラムの判定結果の画面の一例を示すが、本発明において画面の例はこれに限るものではない。
【0055】
(c−1). 栄養指導プログラムの画面構成の例
図10は、生活習慣病指導表の例である。生活習慣病指導表は、受診番号,氏名,性別,生年月日,受診日の5項目から構成されるプロフィール表T3と、身長,体重,BMI,理想体重の4項目から構成される身体表T4と、患者の8つの生活習慣病(糖尿病、癌、脳出血、脳梗塞、循環器系疾患、肥満、高血圧、高脂血圧)に対する評価をグラフ(番号),疾患名,評価ポイントの3項目を表形式にした総合評価表T5と、総合評価表T5の結果を、総合評価チャートとしてレーザーチャートで表すための総合評価チャートT6と、関連病名,栄養コメントの2項目から構成される栄養コメント表T7で構成された例を示している。
【0056】
(c−2). 栄養指導プログラムに用いられる人体図とお天気マーク
図7のボタンb4をクリックすると、図9の人体図画面が表示され、図9からさらに細かい情報を得ることができる。図9の人体図の例では、脳,食道,肺,心臓,肝臓,胆嚢,膵臓,胃,大腸,結腸,直腸,膀胱の体の各部位ごとの状態をお天気マークで表示している。ここでのお天気マークの表示は、本発明のEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラムで得られたリスク値に対応している。
【0057】
(c−3). 栄養指導プログラムに関連のある質問の表示
本発明は、従来の栄養指導プログラムを補強する役割のプログラムであるため、栄養指導プログラムの処理の詳細については、説明を省略するが、本発明のシステム上では、図1のように、栄養指導についての質問内容を記憶した栄養質問記憶手段4aと、質問の回答を記憶する栄養回答記憶手段4bと、評価ポイントと栄養コメントを記憶した評価記憶手段4c記憶装置3に格納されている。
【0058】
栄養質問記憶手段4aと栄養回答記憶手段4bで使われるテーブルは、EBM質問記憶手段3aやEBM回答記憶手段3dとほぼ同じ構成であるため、アンケートを行う際には、必要に応じてEBM質問記憶手段3aあるいは、栄養質問記憶手段4aから質問内容を読み出し、同一の画面で質問を表示することもでき、アンケートの対象者は従来の栄養指導プログラムと本発明のEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラムを別々に意識することがない。アンケートの回答は読み出した質問内容に応じて本発明のEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラム側のEBM回答記憶手段3dあるいは、栄養指導プログラム側の栄養回答記憶手段4bのそれぞれに記憶される。
【0059】
d.過去のアンケート結果記憶手段
過去に実施したアンケートの回答データおよびアンケートの判定結果は、過去のアンケート結果記憶手段5bに記録される。結果を参照したいときは、図5のボタンb2をクリックし、図11のアンケートの過去の実施履歴の画面にアクセスする。参照したい実施日の閲覧ボタンb5をクリックすることでEBMコメント,栄養コメント,人体図の閲覧ができる。以上、実施例においては、、コンピュータネットワークを介さず、コンピュータ1台のスタンドアロンのシステムとしても使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
EBMは、実験計画の持つ厳密性のために、実験の結果が適用できる範囲が狭く、折角得られた実験の結果を生かす分野が限られてしまうという問題があったが、今回の本発明のシステムのように、健康指導の分野、つまり、生活習慣病の指導や判定を行うに際しては、適応条件を明示した上でのEBMの論文データの適用が可能であり、よって、「他の医師,栄養士あるいはインストラクター等の個人的知識と経験に基づいて指導を行う従来型の栄養指導,運動指導のシステムと連携するシステムとして用いることができる。また、本発明のようなEBMの利用の仕方を提供することで、EBMデータの利用が一般化し、普及することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の構成を示す図である。
【図2】論文抽出の処理を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、EBM論文データ記憶手段の構成を示す図、(b)〜(e)は、本発明のシステムにより、レコードが選択される例を示す図である。
【図4】本発明のシステムの処理を示すフローチャートである。
【図5】システムの初期画面の例を示す図である。
【図6】アンケートの回答がEBM回答記憶手段および栄養指導プログラム回答記憶手段に記録されるイメージを示す図である。
【図7】男性の判定結果を画面で表示した例を示す図である。
【図8】女性の判定結果を画面で表示した例を示す図である。
【図9】人体図画面の例を示す図である。
【図10】栄養指導プログラムの判定結果の画面の例を示す図である。
【図11】アンケートの過去の実施履歴の画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 サーバーのコンピュータ
2 クライアントのコンピュータ
3 記憶装置
3a,3b EBM質問記憶手段
3c 質問関連記憶手段
3d EBM回答記憶手段
3e EBM論文データ記憶手段
4a 栄養質問記憶手段
4b 栄養回答記憶手段
4c 評価記憶手段
5a 過去のアンケート結果記憶手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うために、コンピュータを、
予めリスク種別に関連したアンケートの質問内容を記憶するEBM質問記憶手段、
アンケートの回答を入力する手段、
アンケートの回答を記憶するEBM回答記憶手段、
予めリスク種別から引き起こされる疾患とそのリスク値の判定を行うためのデータを記憶するEBM論文データ記憶手段、
予めアンケートの質問の順番が登録された質問コードと、アンケートの質問が前記論文データ記憶手段のどのレコードに関連があるかを関連付けたEBMコードを記憶する質問関連記憶手段、
判定を行う質問のEBMコードを質問関連記憶手段から読み出した後に、このEBMコードと同一のEBMコードをもつレコードをEBM論文データ記憶手段から読み出し、読み出したレコードのリスク種別コードに合致するレコードを前記EBM論文データ記憶手段から抽出する手段、
前記EBM論文データ記憶手段から抽出されたレコードの中から、判定する疾患のレコードを抽出する手段、
抽出された判定する疾患のレコードの中から、アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の性別に該当するレコードの中から、アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の年齢に該当するレコードと、EBM回答記録手段に記録されているアンケートの回答データとを参照し、回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段、
選択されたリスク値を、リスク種別の項目を横軸、疾患種類の項目を縦軸とした表の第1のお天気マーク表示用領域に格納し、格納したリスク値をリスクのレベルとして、「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストの「お天気マーク」に変換して出力する手段、
選択されたレコードのリスク種別と性別,年齢,リスクのレベルの値を、第2のお天気マーク表示用領域に格納し、格納した値を表形式のリストで出力する手段、
出力されたアンケートの判定結果を記憶する過去のアンケート結果記憶手段、
として機能させるためのEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラム。
【請求項2】
日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うために、コンピュータを、
予めリスク種別に関連したアンケートの質問内容を記憶するEBM質問記憶手段、
アンケートの回答を入力する手段、
アンケートの回答を記憶するEBM回答記憶手段、
予めリスク種別から引き起こされる疾患とそのリスク値の判定を行うためのデータを記憶するEBM論文データ記憶手段、
予めアンケートの質問の順番が登録された質問コードと、アンケートの質問が前記論文データ記憶手段のどのレコードに関連があるかを関連付けたEBMコードを記憶する質問関連記憶手段、
判定を行う質問のEBMコードを質問関連記憶手段から読み出した後に、このEBMコードと同一のEBMコードをもつレコードをEBM論文データ記憶手段から読み出し、読み出したレコードのリスク種別コードに合致するレコードを前記EBM論文データ記憶手段から抽出する手段、
前記EBM論文データ記憶手段から抽出されたレコードの中から、判定する疾患のレコードを抽出する手段、
抽出された判定する疾患のレコードの中から、アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の性別に該当するレコードの中から、アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の年齢に該当するレコードと、EBM回答記録手段に記録されているアンケートの回答データとを参照し、回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段、
選択されたリスク値を、リスク種別の項目を横軸、疾患種類の項目を縦軸とした表の第1のお天気マーク表示用領域に格納し、格納したリスク値をリスクのレベルとして、「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストの「お天気マーク」に変換して出力する手段、
選択されたレコードのリスク種別と性別,年齢,リスクのレベルの値を、第2のお天気マーク表示用領域に格納し、格納した値を表形式のリストで出力する手段、
出力されたアンケートの判定結果を記憶する過去のアンケート結果記憶手段、
として機能させるためのEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項3】
日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うシステムであって、
予めリスク種別に関連したアンケートの質問内容を記憶するEBM質問記憶手段、
アンケートの回答を入力する手段、
アンケートの回答を記憶するEBM回答記憶手段、
予めリスク種別から引き起こされる疾患とそのリスク値の判定を行うためのデータを記憶するEBM論文データ記憶手段、
予めアンケートの質問の順番が登録された質問コードと、アンケートの質問が前記論文データ記憶手段のどのレコードに関連があるかを関連付けたEBMコードを記憶する質問関連記憶手段、
判定を行う質問のEBMコードを質問関連記憶手段から読み出した後に、このEBMコードと同一のEBMコードをもつレコードをEBM論文データ記憶手段から読み出し、読み出したレコードのリスク種別コードに合致するレコードを前記EBM論文データ記憶手段から抽出する手段、
前記EBM論文データ記憶手段から抽出されたレコードの中から、判定する疾患のレコードを抽出する手段、
抽出された判定する疾患のレコードの中から、アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の性別に該当するレコードの中から、アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の年齢に該当するレコードと、EBM回答記録手段に記録されているアンケートの回答データとを参照し、回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段、
選択されたリスク値を、リスク種別の項目を横軸、疾患種類の項目を縦軸とした表の第1のお天気マーク表示用領域に格納し、格納したリスク値をリスクのレベルとして、「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストの「お天気マーク」に変換して出力する手段、
選択されたレコードのリスク種別と性別,年齢,リスクのレベルの値を、第2のお天気マーク表示用領域に格納し、格納した値を表形式のリストで出力する手段、
出力されたアンケートの判定結果を記憶する過去のアンケート結果記憶手段、
からなるEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項4】
前記アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段は、
アンケートの対象者の性別に該当するレコードがない場合には、判定に適用可能な反対のまたは男女全体の性別のレコードを選択する手段、
前記第1のお天気マーク表示用領域と前記第2のお天気マーク表示用領域の、背景をブルー色で表示するよう指定する手段、
を含む請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項5】
前記アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段は、
アンケートの対象者の年齢に該当するレコードがない場合には、判定に適用可能な最も近い年齢のレコードを抽出する手段、
前記第1のお天気マーク表示用領域と前記第2のお天気マーク表示用領域の、背景をオレンジ色で表示するよう指定する手段、
を含む請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項6】
前記回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段は、
得られたリスクの区分及びリスク値が複数ある場合にはリスク値の数値の悪いほうのリスク値を判定結果の値として選択する手段
を含む請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項7】
前記EBM論文データ記憶手段のデータを記憶する手段は、
生活習慣病に関連するキーワードを選択する手段、
キーワードから、論文を検索するための検索式を作成する手段、
検索式に基づき、論文データベースから論文を検索する手段、
論文から数値を抽出し、リスク種別,疾患種類,性別,年齢,リスクの区分,リスク値のそれぞれをコード化してEBM論文データ記憶手段に記憶する手段
を含む請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項8】
前記疾患とリスク値の判定は、EBM論文データに基づいて行われるものであり、
前記EBM論文データは、リスク種別と疾患との因果関係が明らかなEBMに関する研究論文を選び、これを数値化したものであり、
前記アンケートは、前記EBM論文データを引き出すための、日頃の生活習慣および食事に関する質問で構成されるものである請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項9】
コンピュータは、アンケートに示された、回答者の生活習慣および食事の内容,性別,年齢をEBM論文データと照合し、判定に適用可能なEBM論文データを引き出し、当該論文データに示される疾患の種類およびリスク値を、アンケート回答者に引き起こされる疾患とそのリスクの判定結果として出力する請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項10】
日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うシステムであって、
クライアントのコンピュータは、
前記アンケートの回答を入力する手段と、
アンケートの回答データをインターネット接続回線或いはLANを介してサーバーに送信する手段と、
前記お天気マークを出力する手段とを有し、
サーバーのコンピュータは、
前記EBM質問記憶手段、前記EBM回答記憶手段、前記EBM論文データ記憶手段、前記質問関連記憶手段、前記過去のアンケート結果記憶手段、前記各レコードを抽出する手段、判定結果をインターネット接続回線或いはLANを介してクライアントのコンピュータに送信する手段を有する請求項3、4、5又は6のいづれか1に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項1】
日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うために、コンピュータを、
予めリスク種別に関連したアンケートの質問内容を記憶するEBM質問記憶手段、
アンケートの回答を入力する手段、
アンケートの回答を記憶するEBM回答記憶手段、
予めリスク種別から引き起こされる疾患とそのリスク値の判定を行うためのデータを記憶するEBM論文データ記憶手段、
予めアンケートの質問の順番が登録された質問コードと、アンケートの質問が前記論文データ記憶手段のどのレコードに関連があるかを関連付けたEBMコードを記憶する質問関連記憶手段、
判定を行う質問のEBMコードを質問関連記憶手段から読み出した後に、このEBMコードと同一のEBMコードをもつレコードをEBM論文データ記憶手段から読み出し、読み出したレコードのリスク種別コードに合致するレコードを前記EBM論文データ記憶手段から抽出する手段、
前記EBM論文データ記憶手段から抽出されたレコードの中から、判定する疾患のレコードを抽出する手段、
抽出された判定する疾患のレコードの中から、アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の性別に該当するレコードの中から、アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の年齢に該当するレコードと、EBM回答記録手段に記録されているアンケートの回答データとを参照し、回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段、
選択されたリスク値を、リスク種別の項目を横軸、疾患種類の項目を縦軸とした表の第1のお天気マーク表示用領域に格納し、格納したリスク値をリスクのレベルとして、「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストの「お天気マーク」に変換して出力する手段、
選択されたレコードのリスク種別と性別,年齢,リスクのレベルの値を、第2のお天気マーク表示用領域に格納し、格納した値を表形式のリストで出力する手段、
出力されたアンケートの判定結果を記憶する過去のアンケート結果記憶手段、
として機能させるためのEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラム。
【請求項2】
日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うために、コンピュータを、
予めリスク種別に関連したアンケートの質問内容を記憶するEBM質問記憶手段、
アンケートの回答を入力する手段、
アンケートの回答を記憶するEBM回答記憶手段、
予めリスク種別から引き起こされる疾患とそのリスク値の判定を行うためのデータを記憶するEBM論文データ記憶手段、
予めアンケートの質問の順番が登録された質問コードと、アンケートの質問が前記論文データ記憶手段のどのレコードに関連があるかを関連付けたEBMコードを記憶する質問関連記憶手段、
判定を行う質問のEBMコードを質問関連記憶手段から読み出した後に、このEBMコードと同一のEBMコードをもつレコードをEBM論文データ記憶手段から読み出し、読み出したレコードのリスク種別コードに合致するレコードを前記EBM論文データ記憶手段から抽出する手段、
前記EBM論文データ記憶手段から抽出されたレコードの中から、判定する疾患のレコードを抽出する手段、
抽出された判定する疾患のレコードの中から、アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の性別に該当するレコードの中から、アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の年齢に該当するレコードと、EBM回答記録手段に記録されているアンケートの回答データとを参照し、回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段、
選択されたリスク値を、リスク種別の項目を横軸、疾患種類の項目を縦軸とした表の第1のお天気マーク表示用領域に格納し、格納したリスク値をリスクのレベルとして、「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストの「お天気マーク」に変換して出力する手段、
選択されたレコードのリスク種別と性別,年齢,リスクのレベルの値を、第2のお天気マーク表示用領域に格納し、格納した値を表形式のリストで出力する手段、
出力されたアンケートの判定結果を記憶する過去のアンケート結果記憶手段、
として機能させるためのEBMに基づいた生活習慣病チェックプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項3】
日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うシステムであって、
予めリスク種別に関連したアンケートの質問内容を記憶するEBM質問記憶手段、
アンケートの回答を入力する手段、
アンケートの回答を記憶するEBM回答記憶手段、
予めリスク種別から引き起こされる疾患とそのリスク値の判定を行うためのデータを記憶するEBM論文データ記憶手段、
予めアンケートの質問の順番が登録された質問コードと、アンケートの質問が前記論文データ記憶手段のどのレコードに関連があるかを関連付けたEBMコードを記憶する質問関連記憶手段、
判定を行う質問のEBMコードを質問関連記憶手段から読み出した後に、このEBMコードと同一のEBMコードをもつレコードをEBM論文データ記憶手段から読み出し、読み出したレコードのリスク種別コードに合致するレコードを前記EBM論文データ記憶手段から抽出する手段、
前記EBM論文データ記憶手段から抽出されたレコードの中から、判定する疾患のレコードを抽出する手段、
抽出された判定する疾患のレコードの中から、アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の性別に該当するレコードの中から、アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段、
抽出されたアンケートの対象者の年齢に該当するレコードと、EBM回答記録手段に記録されているアンケートの回答データとを参照し、回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段、
選択されたリスク値を、リスク種別の項目を横軸、疾患種類の項目を縦軸とした表の第1のお天気マーク表示用領域に格納し、格納したリスク値をリスクのレベルとして、「お日様」、「曇り」、「雨」、「雷」などのイラストの「お天気マーク」に変換して出力する手段、
選択されたレコードのリスク種別と性別,年齢,リスクのレベルの値を、第2のお天気マーク表示用領域に格納し、格納した値を表形式のリストで出力する手段、
出力されたアンケートの判定結果を記憶する過去のアンケート結果記憶手段、
からなるEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項4】
前記アンケートの対象者の性別に該当するレコードを抽出する手段は、
アンケートの対象者の性別に該当するレコードがない場合には、判定に適用可能な反対のまたは男女全体の性別のレコードを選択する手段、
前記第1のお天気マーク表示用領域と前記第2のお天気マーク表示用領域の、背景をブルー色で表示するよう指定する手段、
を含む請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項5】
前記アンケートの対象者の年齢に該当するレコードを抽出する手段は、
アンケートの対象者の年齢に該当するレコードがない場合には、判定に適用可能な最も近い年齢のレコードを抽出する手段、
前記第1のお天気マーク表示用領域と前記第2のお天気マーク表示用領域の、背景をオレンジ色で表示するよう指定する手段、
を含む請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項6】
前記回答データの範囲にあてはまるリスクの区分及びリスク値を選択する手段は、
得られたリスクの区分及びリスク値が複数ある場合にはリスク値の数値の悪いほうのリスク値を判定結果の値として選択する手段
を含む請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項7】
前記EBM論文データ記憶手段のデータを記憶する手段は、
生活習慣病に関連するキーワードを選択する手段、
キーワードから、論文を検索するための検索式を作成する手段、
検索式に基づき、論文データベースから論文を検索する手段、
論文から数値を抽出し、リスク種別,疾患種類,性別,年齢,リスクの区分,リスク値のそれぞれをコード化してEBM論文データ記憶手段に記憶する手段
を含む請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項8】
前記疾患とリスク値の判定は、EBM論文データに基づいて行われるものであり、
前記EBM論文データは、リスク種別と疾患との因果関係が明らかなEBMに関する研究論文を選び、これを数値化したものであり、
前記アンケートは、前記EBM論文データを引き出すための、日頃の生活習慣および食事に関する質問で構成されるものである請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項9】
コンピュータは、アンケートに示された、回答者の生活習慣および食事の内容,性別,年齢をEBM論文データと照合し、判定に適用可能なEBM論文データを引き出し、当該論文データに示される疾患の種類およびリスク値を、アンケート回答者に引き起こされる疾患とそのリスクの判定結果として出力する請求項3に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【請求項10】
日頃の生活習慣および食事といったリスク種別に関するアンケートを行い、リスク種別から引き起こされる疾患をアンケートの回答データごとに判定し、判定結果として、引き起こされる疾患とそのリスクの値を出力して、生活習慣病の判定を行うシステムであって、
クライアントのコンピュータは、
前記アンケートの回答を入力する手段と、
アンケートの回答データをインターネット接続回線或いはLANを介してサーバーに送信する手段と、
前記お天気マークを出力する手段とを有し、
サーバーのコンピュータは、
前記EBM質問記憶手段、前記EBM回答記憶手段、前記EBM論文データ記憶手段、前記質問関連記憶手段、前記過去のアンケート結果記憶手段、前記各レコードを抽出する手段、判定結果をインターネット接続回線或いはLANを介してクライアントのコンピュータに送信する手段を有する請求項3、4、5又は6のいづれか1に記載のEBMに基づいた生活習慣病チェックシステム。
【図2】
【図4】
【図1】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【図1】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−52511(P2008−52511A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228186(P2006−228186)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(500289297)株式会社 アルファ インターナショナル (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(500289297)株式会社 アルファ インターナショナル (1)
【Fターム(参考)】
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