説明

EGRバルブ

【課題】高いシール性を確保すると共に、弁体の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくする。
【解決手段】EGRガスが流通するガス通路3を開閉する弁体4と、この弁体が着座する弁座5と、弁体に開閉動作を行わせる回転軸6とを備え、弁体は、この弁体が閉鎖するガス通路の面10に対して直交する方向に移動可能に回転軸に保持され、弁体を全閉させる回転軸の角度位置において、弁体の上流側と下流側との差圧によって弁体が弁座に押し付けられるようにする。特に、弁体を弁座から離間させる向きに付勢するばね8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される排気ガスの一部を吸気側に戻す還流路の途中に設けられて排気ガスの還流量を制御するEGRバルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の内燃機関においては、燃費の向上などを目的として、内燃機関から排出される排気ガスの一部を吸気側に戻す、いわゆるEGR(Exhaust Gas Recirculation)が採用されている。このEGRでは、排気ガスの還流量を制御するEGRバルブが設けられているが、近年、排気ガスの還流量を大きくする要望から、EGRバルブにはガス流れをできるだけ阻害しない構造のものが望まれている。
【0003】
このようなガス流れを阻害しない構造のものとしては、ボールバルブやバタフライバルブがある。また、弁体の回転軸を弁座の中心線から偏心して設けた構成のものが知られている(特許文献1参照)。この構成では、開弁時に弁体がガス通路から待避した状態となるため、弁体が流れを阻害し難くなり、流量を増大することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−172211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ボールバルブでは、上流側と下流側との2箇所に弁座を設ける必要があるため、弁体の開閉動作に伴う摺動抵抗が大きく、また、オルダム継ぎ手と可動弁座とを組み合わせた弁体の調芯機構を設けることで、閉弁時のシール性を改善することができるが、その反面、構造の複雑化及び大型化を招くという問題が生じる。
【0006】
また、バタフライバルブでは、僅かな開度で弁体が弁座から離れるため、開閉時の摺動抵抗がボールバルブより小さくなる利点があるものの、組み付け誤差や熱変形などに起因してシール性が低下する問題があり、これを改善するため、C字形状として弾性を備えたシールリングを弁体の外周部に装着したものもあるが、シールリングの隙間からガスが漏出する問題があり、高いシール性を確保することができない。
【0007】
また、弁体の回転軸を弁座の中心線から偏心して設けた構成のものでは、バタフライバルブと同様に、開閉時の摺動抵抗が小さくなる利点があるものの、組み付け誤差や熱変形などに起因してシール性が低下する問題があり、高いシール性を確保することができない。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、高いシール性を確保すると共に、弁体の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくすることができるように構成されたバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、EGRガスが流通するガス通路(3・23)を開閉する弁体(4・24)と、該弁体が着座する弁座(5・25)と、前記弁体に開閉動作を行わせる回転軸(6・26)とを備えたEGRバルブ(1・21)であって、前記弁体は、該弁体が閉鎖する前記ガス通路の面(10・30)に対して直交する方向に移動可能に前記回転軸に保持され、前記弁体を全閉させる前記回転軸の角度位置において、前記弁体の上流側と下流側との差圧によって前記弁体が前記弁座に押し付けられるようにした構成とする。
【0010】
これによると、弁体の全閉時に、弁体の上流側と下流側との差圧によって弁体が弁座に押し付けられて、高い圧力で弁体が弁座に当接するため、高いシール性を確保することができる。また、弁体の開閉時には、ガス通路が開放されるのに応じて弁体に作用する差圧が小さくなることで、弁体を弁座に押し付ける力も小さくなることから、弁体が弁座から離れる、また弁体が弁座から離れずとも弁体と弁座との接触圧が低くなるため、弁体の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくすることができる。
【0011】
この場合、弁体が下流側に変位することで弁体を弁座に密着させるようにするため、弁座面を、下流側に向かって次第に縮径したテーパー形状に形成すると共に、弁体の弁座当接面を、球帯状をなすように形成した構成とすると良い。
【0012】
前記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記第1の発明において、前記弁体を前記弁座から離間させる向きに付勢する付勢手段(8・28)を備えた構成とする。
【0013】
これによると、弁体の開閉動作時に弁体を弁座から確実に離すことができ、特に全閉位置から開く際に弁体を弁座から即座に離すことができるため、弁体の開閉動作に伴う摺動抵抗をより一層小さくすることができる。
【0014】
この場合、付勢手段の付勢力は、弁体を全閉させる回転軸の角度位置で、弁体の上流側と下流側との差圧による押圧力より小さくなるように設定される。これにより、閉弁時に回転軸が弁体を全閉させる角度位置になると、付勢力に抗して確実に弁体を閉方向に変位させて全閉状態とすることができる。
【0015】
前記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記第1・第2の発明において、前記回転軸(26)は、全閉状態で前記弁体(24)より下流側に位置するように配置された構成とする。
【0016】
これによると、回転軸の軸受け部に異物が進入することを防止するシール部が、上流側に比較して温度が低い下流側に位置するため、熱に弱いゴム製のシール材を保護するための構造を簡素化することができ、耐熱性を向上させることができる。さらに、弁体を所要の方向に移動可能に保持する弁体保持機構も、上流側に比較して異物が進入し難い下流側に位置するため、この弁体保持機構に異物が挟み込まれることを抑制することができる。
【0017】
前記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記第3の発明において、前記回転軸は、その中心線が前記弁体が閉鎖する前記ガス通路の面(30)に対して交差するように設けられた構成とする。
【0018】
これによると、簡易な構成で弁体よりも下流側に回転軸を配置することができる。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明によれば、弁体の全閉時に、弁体の上流側と下流側との差圧によって弁体が弁座に押し付けられるため、高いシール性を確保することができ、また、弁体の開閉時には、ガス通路が開放されるのに応じて弁体に作用する差圧が小さくなることで、弁体を弁座に押し付ける力も小さくなるため、弁体の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくすることができ、これにより弁体及び弁座の摩耗を抑制して耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るEGRバルブを示す断面図である。
【図2】図1に示したEGRバルブの斜視図であり、通路部材を切断して示す。
【図3】図1に示したEGRバルブの要部断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るEGRバルブを示す断面図である。
【図5】図4に示したEGRバルブの斜視図であり、通路部材を切断して示す。
【図6】図4に示したEGRバルブの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0022】
<第1の実施形態>
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るEGRバルブ1は、内燃機関から排出される排気ガスの一部を吸気側に戻す還流路の途中に設けられてEGRガスの流量を制御するものであり、通路部材2の内部に画成されたガス通路3を開閉する円盤状の弁体4と、この弁体4が着座する弁座5と、弁体4に開閉動作を行わせる回転軸6とを備えている。また、弁体4は、この弁体4が閉鎖するガス通路3の面10に対して直交する方向、ここでは弁体4の中心線方向に移動可能に回転軸6に保持され、弁体4を全閉させる回転軸6の角度位置において、弁体4の上流側と下流側との差圧によって弁座5に押し付けられるようになっている。
【0023】
特にここでは、回転軸6が、全閉状態で弁体4より上流側に位置するように配置され、その中心線が弁体4が閉鎖するガス通路3の面10、すなわち弁座5に対する弁体4の接触部を通る平面に対して平行となるように設けられている。この回転軸6は、図示しないモータにより駆動され、通路部材2を貫通するように設けられており、回転軸6の軸受け部15に異物が進入することを防止するため、回転軸6の周囲にシール部16が設けられている。
【0024】
また、このEGRバルブ1では、弁体4を中心線方向に移動可能に回転軸6に保持させる弁体保持機構7として、回転軸6に、その軸線に対して直交する向きに取付孔11が貫設されると共に、弁体4に、その上流側の面の中心部から弁体4の中心線方向に突出した態様で、取付孔11より長寸な取付軸12が設けられており、取付軸12が取付孔11に嵌挿されて、弁体4が取付軸12の軸線方向に進退可能となっている。なお、取付孔11からの取付軸12の抜け出しが、取付軸12に先端に設けられた規制部13で規制される。
【0025】
弁座面5aは、下流側に向かって次第に縮径したテーパー形状に形成されており、これにより弁体4が下流側に変位することで弁体4を弁座面5aに密着させることができる。また、弁体4は、その弁座当接面4aが球帯状をなす、すなわち中心線を通る平面で切断した断面が円弧状をなすように形成されており、これにより弁体4は、図2に示すように、回転軸6を中心にして円滑に開閉動作を行うことができる。ここで、図2(A)は全閉状態を示し、図2(B)は中間開度の状態を示し、図2(C)は全開状態を示している。
【0026】
特にここでは、弁座面5aが、円錐台形状、すなわち中心線を通る平面で切断した断面が直線となるように形成されている。これにより、弁体4の開閉動作時に、弁体4の弁座当接面4aと弁座面5aとの間に隙間が形成されるため、摺動抵抗を低減することができる。なお、弁座面5aは、弁体4の弁座当接面4aと同様に、球帯状、すなわち中心線を通る平面で切断した断面が円弧状をなすように形成することも可能である。
【0027】
また、図1に示したように、弁体保持機構7では、弁体4に設けた取付軸12が、回転軸6に設けた取付孔11に遊挿されている、すなわち取付孔11の内径を取付軸12の外径より僅かに大きく形成して、取付軸12と取付孔11との間に遊びが設けられており、これにより弁体4、弁座5、及び回転軸6の組み付け誤差や熱変形に影響されることなく、弁体4の弁座当接面4aを全周に渡って弁座面5aに確実に密着させる調芯機能が得られる。
【0028】
弁体4の弁座当接面4aを形成する球帯の中心Oと回転軸6の中心線との位置関係は、図3に示すように、2通りある。図3(A)に示す例では、弁体4が弁座5に密接した全閉状態において、弁体4の弁座当接面4aを形成する球帯の中心Oが回転軸6の中心線を通るように設定されている。このようにすると、シール性を向上させる利点が得られる。図3(B)に示す例では、弁体4が弁座5から離れて回転軸6に当接した状態において、弁体4の弁座当接面4aを形成する球帯の中心Oが回転軸6の中心線を通るように設定されている。このようにすると、弁体4の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくする利点が得られる。
【0029】
なお、弁体4の弁座当接面4aを形成する球帯の中心Oと回転軸6の中心線との位置関係は、これに限定されない。例えば図3(A)に示す全閉位置と図3(B)に示す開位置との間に弁体4が位置する状態において、弁体4の弁座当接面4aを形成する球帯の中心Oが回転軸6の中心線を通るように設定することも可能である。
【0030】
このように構成されたEGRバルブ1では、弁体4の全閉時に、弁体4の上流側と下流側との差圧によって弁体4が弁座5に押し付けられて、高い圧力で弁体4が弁座5に当接するため、高いシール性を確保することができる。また、弁体4の開閉時には、ガス通路3が開放されるのに応じて弁体4に作用する差圧が小さくなることで、弁体4を弁座5に押し付ける力も小さくなることから、弁体4が弁座5から離れる、また弁体4が弁座5から離れずとも弁体4と弁座5との接触圧が低くなるため、弁体4の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくすることができる。
【0031】
ちなみに、このEGRバルブ1では、ボールバルブと同様に、弁体4の弁座当接面4aが球面状をなすが、ボールバルブでは、上流側と下流側との2箇所に弁座を設ける必要があるのに対して、このEGRバルブ1では、弁座5が1箇所のみで済み、ボールバルブと比べて接触抵抗が小さくなる。また、このEGRバルブ1では、弁体4が弁座5に全周に渡って密着するため、バタフライバルブにおいてC字形状をなすシールリングを設けた構成と比べて、ガス漏出量が少なく、高いシール性を確保することができる。また、ボールバルブでは、弁体の調芯機構として、オルダム継ぎ手や可動弁座を設けた構成が採用されているが、このEGRバルブ1では、弁体4側の取付軸12を回転軸6側の取付孔11に遊挿する構造が採用されており、ボールバルブと比べて弁体の調芯機構を小型で簡素なものとすることができる。
【0032】
さらに図1に示したように、このEGRバルブ1は、弁体4を弁座5から離間させる向きに付勢するばね(付勢手段)8を備えている。このばね8は、コイルばねであり、取付軸12に外嵌された状態で、取付軸12に先端に設けられた規制部13と回転軸6との間に圧縮状態で取り付けられている。
【0033】
このように構成すると、弁体4の開閉動作時に弁体4を弁座5から確実に離すことができ、特に全閉位置から開く際に弁体4を弁座5から即座に離すことができるため、弁体4の開閉動作に伴う摺動抵抗をより一層小さくすることができる。
【0034】
ばね8の付勢力(ばね荷重)は、図1に示したように、弁体4を全閉させる回転軸6の角度位置で、弁体4の上流側と下流側との差圧により弁体4に作用する押圧力(差圧×受圧面積)Fより小さくなるように設定されている。これにより、閉弁時に回転軸6が弁体4を全閉させる角度位置になると、ばね8の付勢力に抗して確実に弁体4を閉方向に変位させて全閉状態とすることができる。
【0035】
また、ばね8の付勢力(ばね荷重)は、適宜な開度で、弁体4がガス流れから受ける押圧力より大きくなるように設定されている。弁体4がガス流れから受ける押圧力は弁体4の開度が大きくなるのに応じて小さくなるが、開度が小さい状態で、弁体4がガス流れから受ける押圧力よりばね8の付勢力が大きくなるように設定すると、弁体4が弁座5に高い圧力で接触した状態で弁体4が回転することを抑制して、弁体4の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくすることができる。
【0036】
なお、このEGRバルブ1においてばね8を省略した構成も可能である。このような構成でも、高いシール性を確保すると共に、弁体4の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくすることができる。
【0037】
<第2の実施形態>
図4に示すように、本発明の第2の実施形態に係るEGRバルブ21は、第1の実施形態と同様に、通路部材22の内部に画成されたガス通路23を開閉する円盤状の弁体24と、この弁体24が着座する弁座25と、弁体24に開閉動作を行わせる回転軸26とを備えている。また、弁体24は、この弁体24が閉鎖するガス通路23の面30に対して直交する方向、ここでは弁体4の中心線方向に移動可能に回転軸26に保持され、弁体24を全閉させる回転軸26の角度位置において、弁体24の上流側と下流側との差圧によって弁座25に押し付けられるようになっている。
【0038】
特にここでは、回転軸26が、全閉状態で弁体24より下流側に位置するように配置され、その中心線が弁体24が閉鎖するガス通路23の面30、すなわち弁座25に対する弁体24の接触部を通る平面に対して交差するように設けられている。
【0039】
また、このEGRバルブ21では、弁体24を中心線方向に移動可能に回転軸6に保持させる弁体保持機構27として、回転軸26に、その軸線に対して斜め向きに取付孔31が貫設されると共に、弁体24に、その下流側の面の偏心した位置から弁体24の中心線方向に突出した態様で、取付孔31より長寸な取付軸32が設けられており、取付軸32が取付孔31に嵌挿されて、弁体24が取付軸32の軸線方向に進退可能となっている。なお、取付孔31からの取付軸32の抜け出しが、取付軸32に先端に設けられた規制部33で規制される。
【0040】
弁座面25aは、下流側に向かって次第に縮径したテーパー形状に形成されており、これにより弁体24が下流側に変位することで弁体24を弁座に密着させることができる。また、弁体24は、その弁座当接面24aが球帯状をなすように形成されており、これにより弁体24は、図5に示すように、回転軸26を中心にして円滑に開閉動作を行うことができる。ここで、図5(A)は全閉状態を示し、図5(B)は中間開度の状態を示し、図5(C)は全開状態を示している。
【0041】
なおここでは、第1の実施形態と同様に、弁座面25aが、円錐台形状に形成されているが、弁体24の弁座当接面24aと同様に、球帯状に形成することも可能である。
【0042】
また、図4に示したように、弁体保持機構27では、第1の実施形態と同様に、弁体24に設けた取付軸32が、回転軸26に設けた取付孔31に遊挿されており、これにより弁体24、弁座25、及び回転軸26の組み付け誤差や熱変形に影響されることなく、弁体24の弁座当接面24aを全周に渡って弁座面25aに確実に密着させる調芯機能が得られる。
【0043】
弁体24の弁座当接面を形成する球帯の中心Oと回転軸26の中心線と位置関係は、第1の実施形態と同様に、図6に示すように、2通りある。図6(A)に示す例では、弁体24が弁座25に密接した全閉状態において、弁体24の弁座当接面24aを形成する球帯の中心Oが回転軸26の中心線を通るように設定されている。このようにすると、シール性を向上させる利点が得られる。図6(B)に示す例では、弁体24が弁座25から離れて回転軸26に当接した状態において、弁体24の弁座当接面24aを形成する球帯の中心Oが回転軸26の中心線を通るように設定されている。このようにすると、弁体24の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくする利点が得られる。
【0044】
なお、弁体24の弁座当接面を形成する球帯の中心Oと回転軸26の中心線と位置関係は、これに限定されない。例えば図6(A)に示す全閉位置と図6(B)に示す開位置との間に弁体24が位置する状態において、弁体24の弁座当接面24aを形成する球帯の中心Oが回転軸26の中心線を通るように設定することも可能である。
【0045】
さらに図4に示したように、このEGRバルブ21は、弁体24を弁座25から離間させる向きに付勢するばね(付勢手段)28を備えている。このばね28は、皿ばねであり、取付軸32に外嵌された状態で、弁体24と回転軸26との間に圧縮状態で取り付けられている。ばね28の付勢力(ばね荷重)は、第1の実施形態と同様に設定される。
【0046】
なおここでは、通路部材22がEGRバルブ21の配設位置で屈曲した形状となっている、すなわち上流側通路部材22aと下流側通路部材22bとが、その軸線が互いに斜めになるように配置されている。
【0047】
このように構成されたEGRバルブ21では、第1の実施形態と同様に、弁体24の全閉時に、弁体24の上流側と下流側との差圧によって弁体24が弁座25に押し付けられて、高い圧力で弁体24が弁座25に当接するため、高いシール性を確保することができる。また、弁体24の開閉時には、ガス通路23が開放されるのに応じて弁体24に作用する差圧が小さくなることで、弁体24を弁座25に押し付ける力も小さくなることから、弁体24が弁座25から離れる、また弁体24が弁座25から離れずとも弁体24と弁座25との接触圧が低くなるため、弁体24の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくすることができる。
【0048】
特に回転軸26が、閉弁位置にある弁体24よりも下流側に配置されているため、回転軸26の軸受け部35に異物が進入することを防止するシール部36が、上流側に比較して温度が低い下流側に位置するため、熱に弱いゴム製のシール材を保護するための構造を簡素化することができ、耐熱性を向上させることができる。さらに、弁体24を中心線方向に移動可能に保持する弁体保持機構27も、上流側に比較して異物が進入し難い下流側に位置するため、この弁体保持機構27に異物が挟み込まれることを抑制することができる。
【0049】
また、弁体24を弁座25から離間させる向きに付勢するばね28が設けられているため、弁体24の開閉動作時に弁体24を弁座25から確実に離すことができ、特に全閉位置から開く際に弁体24を弁座25から即座に離すことができるため、弁体24の開閉動作に伴う摺動抵抗をより一層小さくすることができる。
【0050】
なお、このEGRバルブ21においてばね28を省略した構成も可能である。このような構成でも、高いシール性を確保すると共に、弁体24の開閉動作に伴う摺動抵抗を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 バルブ
3 ガス通路
4 弁体、4a 弁座当接面
5 弁座、5a 弁座面
6 回転軸
7 弁体保持機構
8 ばね
10 弁体が閉鎖するガス通路の面
21 バルブ
23 ガス通路
24 弁体、24a 弁座当接面
25 弁座、25a 弁座面
26 回転軸
27 弁体保持機構
28 ばね
30 弁体が閉鎖するガス通路の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EGRガスが流通するガス通路を開閉する弁体と、該弁体が着座する弁座と、前記弁体に開閉動作を行わせる回転軸とを備えたEGRバルブであって、
前記弁体は、該弁体が閉鎖する前記ガス通路の面に対して直交する方向に移動可能に前記回転軸に保持され、前記弁体を全閉させる前記回転軸の角度位置において、前記弁体の上流側と下流側との差圧によって前記弁体が前記弁座に押し付けられるようにしたことを特徴とするEGRバルブ。
【請求項2】
前記弁体を前記弁座から離間させる向きに付勢する付勢手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のEGRバルブ。
【請求項3】
前記回転軸は、全閉状態で前記弁体より下流側に位置するように配置されたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載のEGRバルブ。
【請求項4】
前記回転軸は、その中心線が前記弁体が閉鎖する前記ガス通路の面に対して交差するように設けられたことを特徴とする請求項3に記載のEGRバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−47290(P2011−47290A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194155(P2009−194155)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】