説明

EUV光源の内部構成要素をプラズマ生成デブリから保護するためのシステム

【課題】プラズマからEUV光を供給する極紫外線(EUV)光発生器を提供する。
【解決手段】EUV光源プラズマ生成チャンバ光学要素表面をプラズマ形成から生じるデブリから保護するためのシステム及び方法。本発明の実施形態の1つの態様では、光学要素とプラズマ形成部位の間に位置決めされた少なくとも1つの中空管を含むシールドを開示する。管は、光を比較的小さなグレージング入射角での反射を通じて管の内腔に通過させながらデブリを捕捉するように配向される。本発明の実施形態の別の態様では、シールド上に堆積したデブリ材料の1つ又はそれよりも多くの種を除去するのに十分な温度まで加熱されるシールドを開示する。本発明の実施形態の更に別の態様では、シールドが光源プラズマチャンバからシールドが洗浄される洗浄チャンバまで移動されるシステムを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料物質から生成され、EUV光源発生チャンバの外側での利用のために、例えば、約20nm及びそれ未満の波長での半導体集積回路製造フォトリソグラフィ処理実行機械のために、集光して焦点に方向付けられたプラズマからEUV光を供給する極紫外線(EUV)光発生器に関する。
関連出願
本出願は、代理人整理番号第2004−0117−01号である2005年2月25日出願の「EUV光源の内部構成要素をプラズマ生成デブリから保護するためのシステム」という名称の米国特許出願出願番号第11/067,099号に対する優先権を請求するものであり、かつ代理人整理番号第2004−0088−01号である2004年11月1日出願の「LPPのEUV光源」という名称の米国特許出願出願番号第10/979,945号、代理人整理番号第2004−0044−01号である2004年7月27日出願の「EUV光源」という名称の出願番号第10/900,839号、代理人整理番号第2003−0125−01号である2004年3月17日出願の「高繰返し数LPPのEUV光源」という名称の出願番号第10/803,526号、及び代理人整理番号第2003−0083−01号である2004年3月10日出願の「EUV光のための集光器」という名称の出願番号第10/798,740号にも関連しており、その各々の開示内容は、引用により組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
極紫外線(EUV)光、例えば約20nm又はそれ未満の波長を有し(軟X線と呼ばれることもある)かつ約13.5nmの波長の光を含む電磁放射線は、基板、例えばシリコンウェーハにおける極めて小さな形態を生成するためにフォトリソグラフィ処理に使用することができる。
EUV光を生成する方法は、以下に必ずしも限定されるものではないが、EUV範囲の輝線を有する元素、例えば、キセノン、リチウム、又は錫を有するプラズマ状態に材料を変換する段階を含む。放電生成プラズマ(DPP)と呼ばれることが多い1つのこのような方法では、プラズマは、1対の電極間の放電によって生成されると考えられる。別の方法では、所要のプラズマは、レーザビームで所要の線発光元素を有する材料の液滴、流れ、又はクラスターのようなターゲット材料を照射することによって生成することができる。この後者の処理は、レーザ生成プラズマ(LPP)と呼ばれる。
【0003】
これらの処理の各々に対して、プラズマは、一般的に、密封容器、例えば、真空チャンバで生成され、様々な型式の測定機器を使用してモニタされる。EUV放射線を生成するだけではなく、これらのプラズマ処理はまた、一般的に、熱、高エネルギイオン、プラズマ形成からの散乱デブリ、例えば、プラズマ形成処理において完全にはイオン化されない原料物質の原子及び/又は塊を含む可能性がある望ましくない副産物をプラズマチャンバに発生する。
【0004】
これらのプラズマ形成副産物は、以下に限定されるものではないが、測定用検出器の表面、プラズマ形成処理を撮像するのに使用される窓、及びLPPの場合のレーザ入力窓を含む様々なプラズマチャンバ光学要素の作動効率を潜在的に損傷するか又は低減する可能性がある。熱、高エネルギイオン、及び/又は原料物質デブリは、光学要素を加熱し、光透過率を低減する材料でそれらを被覆し、それらの中に貫通し、かつ例えば構造的一体性及び/又は光学特性、例えばそのような短波長で光を反射するミラーの機能を損ない、それらを腐食又は侵蝕し、及び/又はそれらの中に拡散することを含むいくつかの方法で光学要素を損傷する場合がある。更に、一部の光学要素、例えばレーザ入力窓は、真空チャンバの一部を成し、従って、真空がプラズマチャンバに存在する時に応力を受けた状態に置かれる。これらの要素に対しては、堆積物と熱が組み合わされて要素を破壊し(すなわち、亀裂)、真空の損失をもたらし、経費のかかる修復が必要になる可能性がある。
【0005】
要素の洗浄又は交換を目的としたプラズマチャンバ内の汚損又は損傷した光学要素へのアクセスは、高価で、労働集約的で、時間を消費する可能性がある。特に、これらのシステムには、一般的に、プラズマチャンバ開放後の再起動前に、プラズマチャンバのかなり複雑で時間を消費するパージ処理及び真空ポンプダウンが必要である。この長い工程は、製造スケジュールに悪影響を与えると共に、休止時間が殆どないか又は全くない状態で作動することが一般的に望ましい光源の全体的な効率を低下させる可能性がある。
以上のことを念頭に置いて、本出願人は、様々なプラズマチャンバ光学要素の使用寿命の延長と、プラズマチャンバ開放が必要になる保守作業間の時間の増大とに有用な遮蔽システム及び方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願出願番号第11/067,099号
【特許文献2】米国特許出願出願番号第10/979,945号
【特許文献3】米国特許出願出願番号第10/900,839号
【特許文献4】米国特許出願出願番号第10/803,526号
【特許文献5】米国特許出願出願番号第10/798,740号
【特許文献6】米国特許第6,815,700号
【特許文献7】米国特許第6,625,191号
【特許文献8】米国特許第6,549,551号
【特許文献9】米国特許第6,567,450号
【発明の概要】
【0007】
EUV光源プラズマ生成チャンバ光学要素表面をプラズマ形成によって発生するデブリから保護するためのシステム及び方法を開示する。本発明の実施形態の1つの態様では、光透過シールドを開示し、これは、シールドがプラズマ形成部位と光学要素の間に挿入された初期位置から洗浄チャンバ内に移動可能である。初期位置では、シールドは、光学要素表面の方向に向けられたデブリが表面に到達するのを防止する。
【0008】
本発明の実施形態の別の態様では、プラズマチャンバ光学要素のためのシールドを開示し、これは、シールド上に堆積したデブリ材料の1つ又はそれよりも多くの種を除去するのに十分な温度まで加熱することができる。
本発明の実施形態の更に別の態様では、プラズマチャンバ光学要素のためのシールドシステムを開示し、これは、光学要素とプラズマ形成部位の間に位置決めされた少なくとも1つの中空管を含む。管は、光を比較的小さなグレージング入射角での反射を通じて管の内腔(すなわち、穴)に通過させながらデブリを捕捉するように配向される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の態様によるレーザ生成プラズマEUV光源の全体的な広義の概念の概略図である。
【図2】本発明の実施形態の態様による光学要素表面をプラズマ源デブリから保護するためのシステムの可能な実施形態の概略断面形を示す図である。
【図2A】本発明の実施形態の態様によるシールドを洗浄チャンバ内に移動させる摺動器機構の実施形態の態様の概略断面形を示す図である。
【図3】プラズマチャンバ光学要素をプラズマ原料物質デブリから保護するシールドシステムの別の可能な実施形態の態様の概略側面図である。
【図3A】中空管を通る例示的な光線の経路と中空管によって捕捉された例示的なデブリ粒子の経路とを示す複数の中空管の概略側面図である。
【図3B】1つの湾曲中空管を有するプラズマチャンバ光学要素をプラズマ原料物質デブリから保護するシールドシステムの別の可能な実施形態の態様の概略側面図である。
【図3C】1つの直線中空管を有するプラズマチャンバ光学要素をプラズマ原料物質デブリから保護するシールドシステムの別の可能な実施形態の態様の概略側面図である。
【図4】光透過シールドを加熱する加熱器を有するプラズマチャンバ光学要素をプラズマ原料物質デブリから保護するシールドシステムの別の可能な実施形態の態様の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで図1を参照すると、例示的な生成用EUV光源、例えば、本発明の実施形態の態様によるレーザ生成プラズマEUV光源20が示されている。本発明の態様は、レーザ生成プラズマ(LPP)を参照して示すが、本発明は、放電生成プラズマ(DPP)を含むプラズマを生成する他の形式の光源にも等しく適用可能であることは認められるものとし、その代表的な構成は、本出願人所有の米国特許第6,815,700号に開示されており、この特許は、本明細書において引用により組み込まれている。
【0011】
引き続き図1を参照すると、LPP光源20は、パルスレーザシステム22、例えば、高電力かつ高繰返し数で作動するガス放電エキシマ又は分子フッ素レーザを含むことができ、かつ、例えば、米国特許第6,625,191号、第6,549,551号、及び第6,567,450号に示すように、MOPA構成レーザシステムとすることができる。また、例えば、液滴、液体流、固体粒子又はクラスター、液滴内に含まれた固体粒子、又は液体流内に含まれた固体粒子の形でターゲットを送出するターゲット送出システム24を含むことができる。ターゲットは、ターゲット送出システム24によって例えばチャンバ26の内部に送出され、点火部位又は「火球」の景色としても公知のプラズマ形成部位28に至ることができる。
【0012】
レーザパルスは、パルスレーザシステム22からレーザ光軸55に沿ってチャンバ26内のレーザ入力窓57を通って照射部位に送出され、適切に集束され、ターゲットの材料に従って、生成されるEUV光の波長、点火中又は点火後にプラズマから放出されるデブリの種類及び量を含むある一定の特性を有するプラズマを形成する点火又は火球を生成することができる。
光源はまた、集光器30、例えば、レーザ光が通過して点火部位28に到達することを可能にする開口を有する例えば先端が切り取られた楕円の形態の反射体を含むことができる。集光器30は、例えば、点火部位28で第1の焦点、及びEUV光が光源20から出力されて例えば集積回路リソグラフィツール(図示せず)に入力されるいわゆる中間点40(中間焦点40とも呼ばれる)で第2の焦点を有する楕円鏡とすることができる。また、システム20は、ターゲット位置検出システム42を含むことができる。
【0013】
パルスシステム22は、発振器レーザシステム44のためのパルス電力タイミングモニタリングシステム54と増幅器レーザシステム48のためのパルス電力タイミングモニタリングシステム56と共に、例えば、発振器レーザシステム44のための磁気反応器切換式パルス圧縮及びタイミング回路50と増幅器レーザシステム48のための磁気反応器切換式パルス圧縮及びタイミング回路52とを備えた例えば発振器レーザシステム44及び増幅器レーザシステム48を有する主発振器電力増幅器(MOPA)構成二重チャンバガス放電レーザシステムを含むことができる。また、システム20は、EUV光源コントローラシステム60を含むことができ、これは、例えば、レーザビーム位置決めシステム66共に、例えば、ターゲット位置検出フィードバックシステム62と発射制御システム65を含むこともできる。
【0014】
ターゲット位置検出システムは、ターゲット液滴の位置に関する例えば点火部位に関する入力を供給し、これらの入力をターゲット位置検出フィードバックシステムに供給する複数の液滴撮像器70、72、及び74を含むことができ、ターゲット位置検出フィードバックシステムは、例えば、ターゲット位置及び軌道を計算し、ターゲット位置及び軌道から、ターゲット誤差を液滴単位ではないにしても平均値で計算することができ、次に、ターゲット誤差は、入力としてシステムコントローラ60に供給され、これは、例えば、レーザタイミング回路を制御し、及び/又はレーザ位置及び方向変更器68を制御し、及び/又はレーザビームの焦点を異なる点火位置28に変えるために、レーザビーム位置決めシステムが使用することができるレーザ位置、方向、及びタイミング補正信号を例えばレーザビーム位置決めシステム66に供給することができる。
【0015】
撮像器74は、例えば、撮像線75に沿って狙いを形成し、例えば、ターゲット送出機構92から望ましい点火部位28までのターゲット液滴94の望ましい軌道経路に整列させることができ、撮像器72と76は、例えば、望ましい軌道経路に沿って交差するそれぞれの交差撮像線76と78に沿って例えば望ましい点火部位28前の軌道経路に沿った何らかの点に狙いを定めることができる。
ターゲット送出制御システム90は、システムコントローラ60からの信号に応答して、例えば、ターゲット送出機構92によって放出されるようなターゲット液滴94の放出スポットを修正し、望ましい点火部位28に到達するターゲット液滴内の誤差を補正することができる。また、中間焦点40で又はその近くに位置決めされたEUV光源検出器100は、例えば、レーザパルスのタイミング及び焦点のような事柄の誤差を示すことができるフィードバックをシステムコントローラ60に供給し、有効かつ効率的なEUV光生成のための正しい場所及び時間にターゲット液滴を適正に捕捉することができる。
【0016】
図1に概略的に示し、かつ以下でより詳細に説明するように、本発明の実施形態の態様は、それぞれのプラズマチャンバ光学要素表面104aから104eをプラズマ形成部位28で発生するデブリから保護する遮蔽システム102aから102eを含む。特に、図示のように、遮蔽システム102aは、レーザ入力窓57の表面104aを保護し、遮蔽システム102b、102c、102dは、撮像器70、72、74のそれぞれの撮像窓のそれぞれの表面104b、104c、104dを保護し、遮蔽システム102eは、EUV光源検出器100の表面104eを保護する。
【0017】
図2は、本発明の実施形態の態様による光学要素、例えばレーザ入力窓57の表面104aをプラズマ形成から生じるデブリから保護するための、概略的に示して全体的にシステム102で指定したシステムを示す。レーザ入力窓57を保護するためのシステム102が図2で示されているが、示されているシステム102を使用して、以下に限定されるものではないが、撮像窓及び光検出器入力表面を含む他の光学構成要素を保護することができることは認められるものとする。図2に示すように、システム102は、プラズマチャンバ26の近くに位置決めすることができる洗浄チャンバ106を含むことができる。
【0018】
透明材料、例えばレーザビーム109(又は、外部測定装置によってサンプリングされる光、例えば、EUV光又は可視光)に対して透明である材料で作られた個別のシールド108a、108bは、各シールド108をプラズマチャンバ26から洗浄チャンバ106に順次移動させ、次に、プラズマチャンバ26などの中に戻すように構成された機構上に取り付けることができる。より具体的には、この機構は、各シールド108を第1の位置(シールド108aに対して示す位置に対応)に設置することができ、そこで、シールド108は、レーザ入力窓57の方向に向けられたデブリ112が窓57に到達するのを防止するために、プラズマ形成部位28とレーザ入力窓57の間に挿入される。機構110を起動させ、次に、シールド108を上述の第1の位置から第2の位置(シールド108bに対して示す場所に対応)に移動させることができ、そこで、シールド108を洗浄チャンバ106内に配置して、堆積したデブリをシールド108から除去することができる。2つのシールド108が図2に示されているが、2つよりも多いシールド108及び僅かに1つのシールド108を使用することができることは認められるものとする。更に、360°に及ぶ透明材料製の連続的な環状形状のストリップを使用することができ、いかなる時点でもストリップの一部分のみがプラズマ形成部位28とレーザ入力窓57の間に挿入されている。この場合、連続的なストリップの挿入された部分は、本発明の開示の目的上「シールド」を成し、従って、ストリップは、複数のシールドを構成する。
【0019】
図2に示すように、機構110は、車軸116を形成するホイール114を含むことができる。シールド108は、図示のように、ホイール114に取り付けることができる。起動された時、機構110内の回転アセンブリは、車軸116周りにシールド108(矢印118を参照されたい)を回転させ、シールド108をプラズマチャンバ26から洗浄チャンバ106に移動させ、洗浄後、プラズマチャンバ26内に戻す。この回転は、区分的に行うことができ、又は連続的なものとすることができる。この構造的な配置を用いて、ホイール114上の1つ又はそれよりも多くのシールド108を洗浄チャンバ106内で洗浄することができ、同時に、ホイール114上の別のシールド108を使用して、プラズマ源デブリ112がプラズマチャンバ26内のレーザ入力窓57に到達するのを防止することができる。
【0020】
洗浄チャンバ106では、エッチング液供給源120を設置して、デブリをシールド108から除去するHBrのようなエッチング液の濃度を確立することができる。代替的に、適切なエッチング液としては、Br2、Cl2、HCl、H2、及びHCF3のようなエッチング液を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されない。例えば、数トルのHBr濃度を洗浄チャンバ内で使用して、シールドを洗浄することができる。一部の場合では、比較的小さなHBr濃度、例えば10ミリトルをプラズマチャンバ46内で維持して構造体をエッチングすることができる。この配置を用いると、必要と考えられるのは、機構110付近のチャンバ26と106の間の適度に緊密なシールだけである。一部の実施例では、機械的にシールド108を洗浄するための装置(図示せず)を洗浄チャンバ内に含めることができる。代替的に又は機械式洗浄、エッチングのいずれか又はその両方に加えて、熱源(図示せず)を用いて、堆積した材料をシールド108から除去することができる(加熱による堆積デブリ除去に関して以下に更に説明する内容を参照されたい)。更に別の変形では、プラズマエッチング又はプラズマ支援エッチング、例えば、約1mトルの圧力でアルゴンを用いるrfプラズマを洗浄チャンバ106内で用いることができる。
【0021】
図2Aは、システムが、プラズマチャンバ26から洗浄チャンバ106までの直線経路に沿って(矢印124の方向に)シールド108を移動させる摺動アセンブリ122を含む機構110’を含む本発明による実施形態の別の態様を示している。示していないが、1つ又はそれよりも多くのシールド108が洗浄チャンバ106内で同時に洗浄されると共に、プラズマチャンバ26内で1つのシールド108の使用を可能にする複数の摺動アセンブリ(各々が異なるシールド上で作動可能)を用いることができることは認められるものとする。
【0022】
上述のようにレーザ入力窓57を熱及びデブリから保護する機能はまた、プラズマ形成部位28により近い場所(対応する無保護窓よりも)への窓57の位置決めを助けることができる。これは、次に、レーザ入力窓57がレンズとしても機能する時に有益であろう。この場合、プラズマ形成部位にレンズが近づくことにより、レーザ発散の低減と指向安定性要件とを有するレーザ源の使用を可能にすることができる。
【0023】
図3は、光学要素、例えばEUV光検出器100の表面104dをプラズマ形成から生じるデブリから保護するための、概略的に示して全体的にシステム102’で指定した本発明の実施形態の別の態様によるシステムを示す。図示のように、システム102’は、各管が管腔(すなわち、穴)を取り囲む管壁を有する複数の中空管126、例えばいわゆる毛細管を含むことができる。管126は、グレージング入射角、例えば、円滑面のEUV反射率が殆どの材料に対して比較的高い小さいグレージング入射角(<10°)でのグレージング入射反射時にEUV光を反射する材料、例えばガラス又はセラミック、例えばホウ珪酸塩材料で製造することができる。図示のように、管126は、一纏めにして、管126と類似の形状を有するステンレス鋼製ハウジング管128内に収容することができる。例示的な実施形態では、約50本の湾曲ガラス毛細管126(外径1mm、内径0.78mm、長さ150mm)を湾曲ステンレス鋼管128の内側に取り付けることができる。図3Aに示すように、管端部134、136によって構成された管軸線132から横方向にオフセットさせることができる中央部130を有する管126を成形することができる。特に、中央部130は、管126の内径よりも大きい距離だけオフセットさせることができる。
【0024】
図3Aは、管126をプラズマ形成部位28と表面104aの間に挿入することができることを示している。また、図3Aは、EUV光線の例示的な経路140とデブリ粒子の例示的な経路142とを示している。図示のように、EUV光線は、管126内壁面からの一連の小さな角のグレージング入射反射の後に管126の内腔(すなわち、穴)を通過して表面104aに到達する。他方、図示のように、デブリ粒子は、中空管内壁に衝突すると内壁に付着する。更に、一部の場合では、内壁のデブリが蓄積すると、その結果、グレージング入射角でEUV光を適度に反射する十分に滑らかな表面をもたらすであろう。管126の使用は、自動的に光を管端部の方向に向けるので、再方向付けミラーの場合と同様に複雑なアラインメントが不要であるという点で、光を検出器に向ける上で平坦なミラーの使用を凌ぐ利点を有することができる。
【0025】
図3はまた、システム102’が、各管126内を流れるようにガスを放出するサブシステム144を含むことができることを示している。各管126では、ガスは、デブリ粒子と衝突してデブリ粒子を管内壁に偏向させることができる。次に、ガスは、各管126を出ると、プラズマチャンバに入る。この目的のための例示的なガスとしては、EUV光に対して比較的透明であるアルゴン及びヘリウムのようなガスを含むことができる。図示のように、ガスは、ステンレス鋼管128及び検出器100内に導入することができる。検出器は、図示のように、1つ又はそれよりも多くの薄いEUVフィルタ箔146、多層ミラー148、及びフォトダイオード検出器150を含むことができる。
【0026】
システム102’はまた、残りのデブリ粒子が検出器100に衝突するのを阻止するために管126と検出器100の間に位置する小さな直線チャンネル(数μm径、いわゆる平行化孔)を有する部分透過(例えば、約50%透過)プレート152を含むことができる。例えば、チャンネルプレートは、約1mmから5mmの長さ及び約5μmと100μmの間の毛細管直径を有するガラス毛細管アレイで形成することができる。また、チャンネルプレート152は、チャンネルの真っ直ぐな通過を回避してグレージング入射反射を保証するために、角度θ、例えば5°から10°でステンレス鋼管128内に取り付けることができる。
【0027】
図3Bは、光学要素、例えばEUV光検出器100の表面104dをプラズマ形成から生じるデブリから保護する単一の湾曲中空管126を有する本発明の実施形態の別の態様を示している。図3Cは、光学要素、例えばEUV光検出器100の表面104dをプラズマ形成から生じるデブリから保護する単一の直線中空管126’’を有する本発明の実施形態の更に別の態様を示している。長尺直線管126’’を使用して、検出器視角を制限することができる。単一の管126’及び126’’は、ガスサブシステム144からのガス流と組み合わせて、デブリ粒子との衝突の確率を上げることができ、また、部分透過プレート152を含むことができる。複数の直線管126’’を図3に示す束ねた湾曲管126と類似の方法で束ねることができることは認められるものとする。
【0028】
図4は、光学要素、例えばレーザ入力窓、撮像器窓、又はEUV光検出器の表面をプラズマ形成から生じるデブリから保護するための、全体的にシステム102’’で指定した本発明の実施形態の別の態様によるシステムを示している。図示のように、システム102’’は、光透過材料、例えば、LPPレーザビームに対して(外部測定装置によってサンプリングされる光、例えば、EUV光又は可視光に対して)実質的に透明である材料、例えば、CaF2、溶融石英、又はMgF2で作られたシールド108’を含むことができる。
【0029】
使用面では、シールド108’は、プラズマチャンバ26(図1を参照されたい)の内側に位置決めされ、かつプラズマ形成部位28と光学要素の間に位置し、それによってデブリがシールド108’の表面に一時的に堆積することを可能にする。システム102’’は、シールド108’を堆積デブリの少なくとも一部を除去し、例えば、1つ又はそれよりも多くの種の一部又は全てを除去するのに十分な温度に加熱する加熱器154を更に含むことができる。
例えば、加熱器は、堆積材料の少なくとも一部を蒸発させるのに十分な温度にシールド108’を加熱することができる。Liを含むプラズマ原料物質に対しては、加熱器154は、Liをシールド表面から蒸発させるためにシールド108’を約400℃から550℃の範囲の温度まで加熱するように設計することができる。
【0030】
一部の場合では、加熱器は、堆積材料と、プラズマチャンバ内に導入されるエッチング液ガスとの間の化学反応を開始させるのに十分な温度までシールド108’を加熱することができる。Snを含むプラズマ原料物質に対しては、加熱器154は、例えば、蒸発又は例えば銅線を使用する吸い上げによってシールド表面からその後除去される反応生成物を生成するために、シールド108’を約200℃から325℃の範囲の温度まで加熱してSn堆積物とガス状エッチング液、例えばHBrとの間の反応を開始させるように設計することができる。
【0031】
図4に示すように、加熱器は、シールド108’と接触して位置決めされた導電材料、例えばMoで作られたバンド156と、電流を導電バンド156に通すための電流源とを含むことができる。また、バンド156には、バンド154がシールド108’を保持して機械的に支えることを可能にする延長部158を形成することができる。シールド108’を加熱する他の方法としては、以下に限定されるものではないが、放射加熱器、マイクロ波加熱器、rh加熱器、及びその組合せが含まれる。
【0032】
以上開示した本発明の実施形態の態様は、好ましい実施形態であるに過ぎず、本発明の開示内容をいかなる点においても、特に、特定の好ましい実施形態だけに限定することを意図したものではないことは、当業者によって理解されるであろう。本発明の実施形態の開示した態様に対して、当業者によって理解されかつ認められることになる多くの変更及び修正を行うことができる。特許請求の範囲は、その範囲及び意味において本発明の実施形態の開示した態様だけではなく、このような均等物及び当業者に明らかであると考えられる他の修正及び変更も網羅するように意図したものである。
【符号の説明】
【0033】
102’’ 本発明のシステム
108’ シールド
154 加熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUV光源プラズマ生成チャンバ光学要素表面をプラズマ形成によって発生したデブリから保護するためのシステムであって、
EUV光源プラズマ生成チャンバ光学要素表面に対して移動可能であり、かつある一定の位置内に移動可能であるシールドであって、該位置では、該シールドが、該光学要素表面に向う経路に沿って向けられたデブリが該表面に到達するのを防止するためにプラズマ形成部位と該光学要素の間に挿入されているシールド、
を含み、
前記プラズマ形成部位と前記光学要素表面の間の光の通過を可能にする、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
洗浄チャンバと、
前記シールドを前記洗浄チャンバまでそこでの洗浄のために移動させ、その後、該シールドを前記プラズマ形成部位と前記チャンバ光学要素の間に挿入するために、該シールドを該洗浄チャンバから前記プラズマチャンバまで移動させる機構と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記機構は、前記シールドを直線経路に沿って前記プラズマチャンバから前記洗浄チャンバまで移動させる摺動器を含む、
ことを更に含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記機構は、
前記シールドが取り付けられた、車軸を形成するホイールと、
前記シールドを前記車軸周りに回転させて該シールドを前記プラズマチャンバから前記洗浄チャンバまで移動させるように前記ホイールに取り付けられた回転子と、
を含む、
ことを更に含むことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
プラズマが、1対の電極間の放電によって前記プラズマ形成部位で発生する、
ことを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
プラズマが、ターゲット材料をレーザビームで照射することによって前記プラズマ形成部位で発生する、
ことを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プラズマチャンバは、前記レーザビームをレーザ源から前記プラズマ形成部位まで通すためのレーザ入力窓を有し、かつ前記プラズマチャンバ光学要素表面が該レーザ入力窓であるように形成される、
ことを更に含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記レーザ入力窓は、レンズである、
ことを更に含むことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
ターゲット材料が、液滴の流れである、
ことを更に含むことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記プラズマチャンバ光学要素表面は、光検出器の表面である、
ことを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記プラズマチャンバ光学要素は、撮像窓である、
ことを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
EUV光源プラズマ生成チャンバ光学要素表面をプラズマ形成によって発生したデブリから保護するためのシステムであって、
洗浄チャンバと、
透明材料で作られたシールドと、
前記光学要素表面の方向に向けられたデブリが前記表面に到達するのを前記シールドが防止するように該シールドが前記プラズマ形成部位と該光学要素表面の間に挿入された第1の位置から、該シールドが前記洗浄チャンバ内にそこでの洗浄のために配置された第2の位置まで該シールドを移動させる機構と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
前記機構は、前記シールドを直線経路に沿って前記プラズマチャンバから前記洗浄チャンバまで移動させる摺動アセンブリを含む、
ことを更に含むこと特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記機構は、
前記シールドが取り付けられた、車軸を形成するホイールと、
前記シールドを前記車軸周りに回転させて該シールドを前記プラズマチャンバから前記洗浄チャンバまで移動させるように前記ホイールに取り付けられた回転アセンブリと、
を含む、
ことを更に含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記シールドは、エッチング液を使用して前記洗浄チャンバで洗浄される、
ことを更に含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記エッチング液は、HBr、Br2、Cl2、HCl、及びH2から成るエッチング液の群から選択される、
ことを更に含むことを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記シールドは、前記洗浄チャンバに形成されたプラズマを使用して該洗浄チャンバで洗浄される、
ことを更に含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
EUV光源プラズマ生成チャンバ光学要素表面をプラズマ形成によって発生したデブリから保護するためのシステムであって、
管腔を取り囲む管壁を有する少なくとも1つの中空管を含むシールド、
を含み、
前記管は、プラズマ形成部位と光学要素の間に挿入され、かつ光学要素表面の方向に向けられたデブリの少なくとも一部分が該表面に到達することを防止するように配向され、該プラズマ形成部位で発生した光の少なくとも一部分が前記管腔を通過して該光学要素表面に到達することを可能にする、
ことを特徴とするシステム。
【請求項19】
前記シールドは、各管がそれぞれの内腔を有する複数の中空管を含み、
各管は、前記プラズマ形成部位で発生した光が前記それぞれの管腔を通過して前記光学要素表面に到達することを可能にするように前記プラズマチャンバ内で配向されている、 ことを更に含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記中空管は、第1の端部、第2の端部、及び内腔径dを有し、かつ該第1の端部から該第2の端部までの直線管軸線を形成し、
前記管は、D≧dとしてオフセット距離Dだけ前記管軸線から横方向にオフセットされた、前記第1の端部及び第2の端部の間の中央部を有して形成される、
ことを更に含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
各中空管は、それぞれの第1の端部、それぞれの第2の端部、及びそれぞれの内腔径dを有し、かつ該それぞれの第1の端部から該それぞれの第2の端部までのそれぞれの直線管軸線を形成し、
各管は、D≧dとしてオフセット距離Dだけ前記それぞれの管軸線から横方向にオフセットされた、前記それぞれの第1の端部及びそれぞれの第2の端部の間のそれぞれの中央部を有して形成される、
ことを更に含むことを特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記管は、直線管である、
ことを更に含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記中空管は、ガラス、金属、及びセラミックから成る材料の群から選択された材料で作られる、
ことを更に含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記管にガスを通過させてデブリを前記管壁の中に偏向させるためのサブシステム、
を更に含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
複数の貫通孔を有して形成され、前記管と前記光学要素の間に位置決めされたプレート、
を更に含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
プラズマが、1対の電極間の放電によって前記プラズマ形成部位で発生する、
ことを更に含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項27】
プラズマが、ターゲット材料をレーザビームで照射することによって前記プラズマ形成部位で発生する、
ことを更に含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項28】
前記プラズマチャンバ光学要素表面は、光検出器の表面及び撮像窓の表面から成る表面の群から選択される、
ことを更に含むことを特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項29】
EUV光源プラズマ生成チャンバ光学要素表面をプラズマ形成によって発生したデブリから保護するためのシステムであって、
プラズマ形成部位と光学要素の間にデブリをそこに堆積させるように挿入可能なシールドと、
前記堆積したデブリの少なくとも一部分を除去するのに十分な温度まで前記シールドを加熱する加熱器と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項30】
前記シールドは、CaF2、溶融石英、及びMgF2から成る材料の群から選択された材料で作られる、
ことを更に含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記加熱器は、前記シールドに接触した導体と、該導体に電流を通過させるための電流源とを含む、
ことを更に含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記導体は、Moで作られたバンドである、
ことを更に含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
前記プラズマは、Snを含み、エッチング液が、前記プラズマチャンバ内に導入され、前記加熱器は、堆積したSnと該エッチング液の間の化学反応を開始させるために前記シールドを200℃よりも高い温度に加熱する、
ことを更に含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
前記プラズマは、Liを含み、前記加熱器は、堆積したLiを蒸発させるために前記シールドを400℃よりも高い温度に加熱する、
ことを更に含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
放射加熱器、高周波加熱器、及びマイクロ波加熱器から成る加熱器の群から選択された加熱器を含む、
ことを更に含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−99502(P2012−99502A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23033(P2012−23033)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2007−557154(P2007−557154)の分割
【原出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(504010648)サイマー インコーポレイテッド (115)
【Fターム(参考)】