説明

EVAフィルムの製造方法及び製造装置

【課題】架橋剤を含むEVA樹脂組成物のカレンダー加工によりEVAフィルムを製造するに当たり、加工中のEVA樹脂の架橋による不良品の発生を防止して、高品質のEVAフィルムを歩留り良く製造する方法及び装置を提供する。
【解決手段】架橋剤を含むEVA樹脂組成物をカレンダー加工することによりEVAフィルムを製造するに当り、練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を測定して測定結果をモニターし、該温度がEVA樹脂の架橋温度よりも低い温度となるように温度制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)フィルムの製造方法及び製造装置に係り、特に、架橋剤を含むEVA樹脂組成物のカレンダー加工によりEVAフィルムを製造するに当たり、加工中のEVA樹脂の架橋による不良品の発生を防止して、高品質のEVAフィルムを歩留り良く製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EVAフィルムは、透明性、接着性に優れることから、合わせガラス用中間膜、太陽電池用封止膜、反射防止膜等の機能性膜をPDP(プラズマディスプレイ)の前面フィルタに組み込む際の接着用中間膜等として、広く用いられている。
【0003】
これらの各種用途に用いられるEVAフィルムの製膜手法として、カレンダー加工による方法が提案されている(特開2000−84967号公報)。
【0004】
カレンダーは数本のロール群からできており、ロールの回転によって溶融樹脂にずり変形を与えて押し延ばし、シート状の製品をつくる機械である。図1に、一般的なカレンダー加工の設備の一例を示す。
【0005】
混練機11で混練された原料10は、コンベア12で練りロール13に送給され、更にコンベア14によりカレンダー15に運ばれる。即ち、カレンダーは原料を単に圧延するだけであるので、前工程として原料を可塑化するために、ブレンダーロール、バンバリーミキサー、オープンミルなどが用いられる。カレンダー15では、カレンダーロール15A〜15D間で原料樹脂が薄く圧延され、テイクオフロール16で引き剥がされ、冷却ロール18で冷却された後、フィルム20は巻き取り機19に巻き取られる。フィルム面に凹凸加工を施す必要がある場合には、テイクオフロール16のあとでエンボルロール17によりエンボス加工を行なう。
【0006】
カレンダーのロール配置については、従来、図2(a)〜(g)に示す如く、各種のものが提供されており、目的に応じて使い分けられている(図2(a)〜(g)中、10は原料であり、15A〜15Eはカレンダーロール、20はフィルムである。)。
【0007】
従来、EVAフィルムを製造するEVA樹脂原料としては、接着性、耐久性の向上を目的として架橋剤を配合したEVA樹脂組成物が用いられている。この架橋剤としては、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が用いられている。
【特許文献1】特開2000−84967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
EVA樹脂組成物のカレンダー加工によりEVAフィルムを製膜する場合、練りロール及びカレンダーロールの回転により、練りロール上及びカレンダーロール上の被圧延シートと練りロール及びカレンダーロールとの摩擦熱で被圧延シートが加熱され、シート温度が上昇する。即ち、カレンダー加工においては、加工に用いる練りロール及びカレンダーロールは、予め設定された温度となるように制御されているが、練りロール上及びカレンダーロール上の被圧延シートは必ずしも練りロール及びカレンダーロールの設定温度とはならず、練りロール及びカレンダーロールと被圧延シートとの摩擦により、被圧延シートは、練りロール及びカレンダーロールの設定温度よりも高い温度となる場合がある。
【0009】
この被圧延シートと練りロール及びカレンダーロールとの摩擦による摩擦熱は、練りロール及びカレンダーロールの回転数が高いほど高くなる。
【0010】
そして、原料のEVA樹脂組成物に架橋剤が含まれている場合、この被圧延シートがEVA樹脂の架橋温度(即ち、前述の有機過酸化物のラジカル発生温度)以上に加熱されることにより、カレンダー加工中の被圧延シート中のEVA樹脂が架橋反応を起こしてしまう場合がある。EVA樹脂が架橋反応を起こしてしまうと、もはやこのEVAフィルムは接着用フィルム等として用いることはできず、従って、架橋反応を起こしたEVAフィルムは不良品として廃棄されることとなる。
【0011】
従来は、このカレンダー加工中の被圧延シートの温度を監視することは行われておらず、被圧延シートが架橋反応を起こし始めてから加工温度を下げるといった対策を講じていたために、不良品の発生を未然に防ぐことはできなかった。
【0012】
本発明は上記従来の問題点を解決し、架橋剤を含むEVA樹脂組成物のカレンダー加工によりEVAフィルムを製造するに当たり、加工中のEVA樹脂の架橋による不良品の発生を防止して、高品質のEVAフィルムを歩留り良く製造する方法及び装置を製造することを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明(請求項1)のEVAフィルムの製造方法は、架橋剤を含むEVA樹脂組成物をカレンダー加工することによりEVAフィルムを製造するに当り、練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を測定して測定結果をモニターし、該温度がEVA樹脂の架橋温度よりも低い温度となるように温度制御することを特徴とする。
【0014】
請求項2のEVAフィルムの製造方法は、請求項1において、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を非接触温度計で測定することを特徴とする。
【0015】
請求項3のEVAフィルムの製造方法は、請求項1又は2において、前記温度制御を、前記練りロール及び/又はカレンダーロールの回転数を変更することにより行うことを特徴とする。
【0016】
請求項4のEVAフィルムの製造方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記温度制御を、前記練りロール及び/又はカレンダーロールを水冷することにより行うことを特徴とする。
【0017】
請求項5のEVAフィルムの製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が所定の温度よりも高くなったときに警報を発し、この警報に基いて前記温度制御を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項6のEVAフィルムの製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が所定の温度よりも高くなったときに、自動的に前記温度制御を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明(請求項7)のEVAフィルムの製造装置は、架橋剤を含むEVA樹脂組成物をカレンダー加工することによりEVAフィルムを製造する装置において、EVA樹脂組成物を練る練りロール及び圧延するカレンダーロールと、該練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を測定する温度測定手段と、該温度測定手段の測定結果をモニターし、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が所定の温度よりも高くなったときに、警報を発する監視手段とを備えてなることを特徴とする。
【0020】
請求項8のEVAフィルムの製造装置は、架橋剤を含むEVA樹脂組成物をカレンダー加工することによりEVAフィルムを製造する装置において、EVA樹脂組成物を練る練りロール及び圧延するカレンダーロールと、該練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を測定する温度測定手段と、該温度測定手段の測定結果をモニターし、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が所定の温度よりも高くなったときに、該練りロール及び/又はカレンダーロールの回転数を下げる自動制御手段とを備えてなることを特徴とする。
【0021】
請求項9のEVAフィルムの製造装置は、請求項7又は8において、前記温度測定手段が非接触温度計で測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を測定して測定結果をモニターし、この温度がEVA樹脂の架橋温度よりも低い温度となるように温度制御することにより、カレンダー加工中のEVA樹脂の架橋反応を確実に防止して、EVA樹脂の架橋反応による不良品の発生を未然に防ぐことができる。従って、本発明によれば、高品質のEVAフィルムを歩留り良く製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明のEVAフィルムの製造方法及び製造装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
本発明においては、架橋剤を含むEVA樹脂組成物のカレンダー加工によるEVAフィルムの製造に当たり、練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を測定して測定結果をモニターし、この温度がEVA樹脂の架橋温度よりも低い温度となるように温度制御する。
【0025】
ここで、練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度は、非接触温度計で測定することがカレンダー加工に影響を及ぼさない点から好ましく、非接触温度計としては、例えば、赤外線方式、光温度方式等のものを用いることができる。
【0026】
温度測定を行う練りロール及び/又はカレンダーロールは、例えば、図1に示すカレンダーロール加工設備において、練りロール13及びカレンダーロール15A〜15Dのすべてであっても良く、これらのうち、被圧延シートの温度が上昇し易いカレンダーロールのみであっても良い。通常の場合、例えば、図1,2に示す4本のカレンダーロール15A〜15Dのうち、カレンダーロール15B,15C上の被圧延シートの温度を測定することが好ましい。
【0027】
練りロール及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度測定は連続測定であっても、1〜10分に1回の間欠測定であっても良いが、連続測定であることが、温度上昇による架橋反応を確実に防止する上で好ましい。
【0028】
被圧延シートの温度測定により、被圧延シートの温度が所定の温度よりも高くなったときには、手動又は自動にて温度制御を行う。
【0029】
この温度制御は、当該被圧延シートの温度測定を行っている練りロール及び/又はカレンダーロールの回転数を下げることにより摩擦熱を低減する、或いは、この練りロール及び/又はカレンダーロールを水冷して温度を下げる、或いは、冷却したオイルで温度を下げる、被圧延シートを空冷するなどの方法により行うことができる。
【0030】
作業員の手動にて温度制御を行う場合には、温度測定の結果をモニターし、この温度が所定の温度よりも高くなったときに警報を発する監視装置を設け、ブザー及び/又はパトライト(回転燈)により温度上昇を作業員に知らせるように構成することが好ましい。
【0031】
また、自動的に温度制御を行う場合には、温度測定の結果をモニターし、この温度が所定の温度よりも高くなったときに練りロール及び/又はカレンダーロールの回転数を下げる、或いは練りロール及び/又はカレンダーロールに水冷のための水を循環させるなどの手段を講じる自動制御手段を設けることが好ましい。なお、この場合においても、温度が所定の温度よりも高くなったときに警報を発するようにしても良いことは言うまでもない。
【0032】
上記所定の温度とは、EVA樹脂の架橋反応を確実に防止し得る温度であり、EVA樹脂組成物中に含まれる架橋剤の種類によっても異なるが、例えば、架橋剤として有機過酸化物を含む場合は、この有機過酸化物が分解してラジカルを発生する温度よりも5〜10℃低い温度、例えば90〜95℃程度の温度であることが好ましい。
【0033】
なお、このようにして、練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が低下するように練りロール及び/又はカレンダーロールの回転数を低減したり、或いは練りロール及び/又はカレンダーロールを水冷することにより、練りロール及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が低下し、練りロール及び/又はカレンダーロールの設定温度にまで下ったときには、練りロール及び/又はカレンダーロールの回転数を元の回転数にもどす、或いは水冷を停止するなどして、元の加工条件に戻すことが好ましい。このように元の加工条件に戻す際も、前述のように手動で又は自動で行うことができる。
【0034】
次に、本発明に係る製膜原料として好適なEVA樹脂組成物について説明する。
【0035】
本発明に係るEVA樹脂は、酢酸ビニル含有量が30重量%以下であることが好ましい。この酢酸ビニル含有量が30重量%を超えると、水蒸気透過率が大き過ぎて太陽電池の封止膜や合わせガラス用中間膜等として十分な防湿性を得ることが困難である。しかし、酢酸ビニル含有量が過度に少ないEVA樹脂は加工性が悪く、粘度も高くなり過ぎて、例えば太陽電池製作時、シリコン発電素子への追従性が悪くなることから、EVA樹脂の酢酸ビニル含有量は10重量%以上であることが好ましい。
【0036】
また、本発明で用いられるEVA樹脂は、メルトフローレートが0.7〜20、特に1.5〜10であることが好ましい。
【0037】
本発明で用いるEVA樹脂組成物には、耐久性の向上のために架橋剤を配合して架橋構造を持たせるが、この架橋剤としては、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が用いられ、特に、配合時の安定性を考慮に入れれば、半減期10時間の分解温度が70℃以上であるものが好ましい。このような有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ジクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド等を用いることができる。これらの有機過酸化物の配合量は、一般にEVA樹脂100重量部に対して5重量部以下、好ましくは1〜3重量部である。
【0038】
また、太陽電池の封止膜や合わせガラス用中間膜等として、接着力向上の目的で、EVA樹脂組成物にシランカップリング剤を添加することができる。この目的に供されるシランカップリング剤としては公知のもの、例えばγ−クロロプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリクロロシラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤の配合量は、一般にEVA樹脂100重量部に対して5重量部以下、好ましくは0.1〜2重量部である。
【0039】
更に、EVA樹脂のゲル分率を向上させ、耐久性を向上するためにEVA樹脂組成物に架橋助剤を添加することができる。この目的に供される架橋助剤としては、公知のものとしてトリアリルイソシアヌレート;トリアリルイソシアネート等の3官能の架橋助剤の他、NKエステル等の単官能の架橋助剤等も挙げることができる。これらの架橋助剤の配合量は、一般にEVA樹脂100重量部に対して10重量部以下、好ましくは1〜5重量部である。
【0040】
更に、EVA樹脂の安定性を向上する目的でEVA樹脂組成物にハイドロキノン;ハイドロキノンモノメチルエーテル;p−ベンゾキノン;メチルハイドロキノンなどを添加することができ、これらの配合量は、一般にEVA樹脂100重量部に対して5重量部以下である。
【0041】
更に、必要に応じ、上記以外に着色剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、変色防止剤等をEVA樹脂組成物に添加することができる。着色剤の例としては、金属酸化物、金属粉等の無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系、アヂ系、酸性又は塩基染料系レーキ等の有機顔料がある。紫外線吸収剤には、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;フェニルサルシレート;p−t−ブチルフェニルサルシレート等のヒンダートアミン系がある。老化防止剤としては、アミン系;フェノール系;ビスフェニル系;ヒンダートアミン系があり、例えばジ−t−ブチル−p−クレゾール;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル)セバケート等がある。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0043】
実施例1
下記配合のEVA樹脂組成物を用いて、EVAフィルムを製膜した。
[EVA樹脂組成物配合(重量部)]
EVA樹脂(酢酸ビニル含有量25重量%、メルトフローレート2.0):100
架橋剤(100℃でラジカルを発生する架橋剤):2.5
シランカップリング剤(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン):0.5
架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート):2.0
【0044】
図1に示す如く、まず、泥練機11(60℃)にて上記EVA樹脂組成物を得、このEVA樹脂組成物を練りロール13で60℃で混練し、その後、カレンダー加工し、次いでエンボス加工して冷却し、巻き取った。このカレンダー加工は、図2(d)に示す逆L型4本カレンダーロール15(15A〜15D)で行い、各ロールの回転数及び温度として、下記に示す条件を採用した。
〈第1ロール15A〉
回転数:3rpm
温度:70℃
〈第2ロール15B〉
回転数:4rpm
温度:72℃
〈第3ロール15C〉
回転数:6rpm
温度:80℃
〈第4ロール15D〉
回転数:7rpm
温度:80℃
【0045】
このとき、第2ロール15B上の被圧延シートの温度を、非接触温度計((株)キーエンス社製「放射温度計IT2−50」)で連続的に測定してモニターした。用いたEVA樹脂組成物のEVA樹脂は100℃になると架橋反応を起こすため、測定温度が95℃に達したら、自動的にこのロールの回転数を下げて3rpmとし、この温度が90℃に低下したら、再び元の回転数に戻す自動制御を行ったところ、カレンダー加工中の架橋反応による不良品は全く発生せず、100%の歩留りでEVAフィルムを製造することができた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】カレンダー加工によるフィルムの製膜方法を説明する模式図である。
【図2】一般的なカレンダーロールを示す模式図である。
【符号の説明】
【0047】
11 混練機
13 練りロール
15 カレンダー
15A,15B,15C,15D,15E カレンダーロール
16 テイクオフロール
17 エンボスロール
18 冷却ロール
19 巻き取り機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋剤を含むEVA樹脂組成物をカレンダー加工することによりEVAフィルムを製造するに当り、練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を測定して測定結果をモニターし、該温度がEVA樹脂の架橋温度よりも低い温度となるように温度制御することを特徴とするEVAフィルムの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を非接触温度計で測定することを特徴とするEVAフィルムの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記温度制御を、前記練りロール及び/又はカレンダーロールの回転数を変更することにより行うことを特徴とするEVAフィルムの製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記温度制御を、前記練りロール及び/又はカレンダーロールを水冷することにより行うことを特徴とするEVAフィルムの製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が所定の温度よりも高くなったときに警報を発し、この警報に基いて前記温度制御を行うことを特徴とするEVAフィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が所定の温度よりも高くなったときに、自動的に前記温度制御を行うことを特徴とするEVAフィルムの製造方法。
【請求項7】
架橋剤を含むEVA樹脂組成物をカレンダー加工することによりEVAフィルムを製造する装置において、
EVA樹脂組成物を練る練りロール及び圧延するカレンダーロールと、
該練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を測定する温度測定手段と、
該温度測定手段の測定結果をモニターし、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が所定の温度よりも高くなったときに、警報を発する監視手段と
を備えてなることを特徴とするEVAフィルムの製造装置。
【請求項8】
架橋剤を含むEVA樹脂組成物をカレンダー加工することによりEVAフィルムを製造する装置において、
EVA樹脂組成物を練る練りロール及び圧延するカレンダーロールと、
該練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度を測定する温度測定手段と、
該温度測定手段の測定結果をモニターし、前記練りロール上及び/又はカレンダーロール上の被圧延シートの温度が所定の温度よりも高くなったときに、該練りロール及び/又はカレンダーロールの回転数を下げる自動制御手段と
を備えてなることを特徴とするEVAフィルムの製造装置。
【請求項9】
請求項7又は8において、前記温度測定手段が非接触温度計で測定することを特徴とするEVAフィルムの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−160740(P2007−160740A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360626(P2005−360626)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】