説明

FLADEタービン冷却並びに出力及び熱管理

【課題】航空機ガスタービンおよび航空機を冷却するシステムを提供する。
【解決手段】航空機複合冷却システム51は、構成要素16を冷却する出力熱管理システム12と、空気サイクルシステム27、蒸気サイクルシステム29、ブリード空気58を冷却し且つ高圧タービンにおけるタービン構成要素を冷却するタービン冷却回路78を含む。空気−空気FLADEダクト熱交換器40はFLADEダクト3に配置され、バルブ調整装置125は空気−空気FLADEダクト熱交換器40をタービン冷却回路78と空気サイクルシステム27との間で切り換える。蒸気サイクルシステムは空気サイクルシステム27と蒸気サイクルシステム凝縮器32を含む。空気サイクルシステム熱交換器30及び蒸気サイクルシステム凝縮器32におけるエンジン燃焼燃料−空気熱交換器49は、蒸気サイクルシステムの冷却ループ83において作動流体79を冷却するのに用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に航空機ガスタービンエンジン及び航空機の冷却に関し、より具体的には、航空機出力及び熱管理システム並びにガスタービンエンジンタービンを冷却するためのこのようなシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
軍事用航空機設計は、現行のエンジンよりも遙かに高い全体圧力比で作動するエンジンにより開発されている。エンジンのタービン、特に高圧タービンの高温セクションにおいて空気の冷却が必要とされる。米国特許第4,187,675号、第4,254,618号、及び第7,823,389号明細書において開示されるように、圧縮機を用いてタービンを冷却することは公知である。航空機電子機器及び他の機体冷却要件のための冷却空気もまた、圧縮機により供給することができる。ロッキードF35は、圧縮機空気を使用する出力及び熱管理システムとも呼ばれる統合出力及び冷却システムを含んでいる。
【0003】
米国特許第7,624,592号は、種々の適応モジュールを統合出力及び冷却ユニットにフレキシブルに結合し、あらゆる航空機プラットフォームに適合するよう構成された出力及び冷却管理システムの提供を開示している。統合出力及び冷却ユニットは、1つ又は複数の圧縮機、1つ又は複数の冷却タービン、並びに出力及び冷却タービンのシャフトに取り付けられた1つ又は複数の統合スタータ発電機を有する。統合出力及び冷却ユニットは、追加の圧縮機及び追加のタービンを含む適応モジュールに空気圧により結合され、或いは、全出力運転モードに入った後に主出力を提供する燃料電池に電気的に結合することができる。エンジンがこれに搭載される統合スタータ発電機を含む場合、統合出力及び冷却ユニットの統合スタータ発電機は、エンジン搭載発電機から電力を受け取るよう動作可能である。或いは、モータ/発電機は、適応モジュールの追加のタービンのシャフトに装着してもよい。
【0004】
米国特許第7,624,592号において検討された統合出力及び冷却システムの他の実施例には、米国特許第4,684,081号、第4,494,372号、第4,684,081号、第4,503,666号、第5,442,905号、第5,490,645号、第6,415,595号、及び第6,845,630号が挙げられる。米国特許第7,624,592号の発明者らは、これらの設計が複雑であり、エンジン構成及びその統合出力及び冷却システムの複雑さを低減することが望ましいことを理解している。通常、これらの冷却システムはファン冷却空気を使用する。
【0005】
従って、タービン及び航空機電子機器並びに冷却を必要とする他の航空機又は機体の両方に圧縮機冷却空気を供給する必要性がある。また、できる限り燃料消費率(SFC)に対する影響を最小限にしながらこのような冷却システムを簡素で軽量なものにする必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,770,381号明細書
【発明の概要】
【0007】
航空機複合冷却システムは、空気サイクルシステムを含む出力熱管理システムと、加圧ブリード空気を冷却するため、及び該加圧ブリード空気を用いて航空機ガスタービンエンジンの高圧タービンにおけるタービン構成要素を冷却するためのタービン冷却回路と、エンジンのFLADEダクトに配置された空気−空気FLADEダクト熱交換器と、空気−空気FLADEダクト熱交換器をタービン冷却回路と空気サイクルシステムとの間で選択的に切り換えるよう動作可能なバルブ調整装置と、を含む。
【0008】
航空機複合冷却システムの例示的な実施形態では更に、空気サイクルシステムが蒸気サイクルシステムにおける蒸気サイクルシステム凝縮器と熱伝達冷却関係にある。エンジン燃焼燃料−空気熱交換器は、蒸気サイクルシステム凝縮器と熱伝達冷却関係にあるものとすることができる。
【0009】
空気サイクルシステム熱交換器は、蒸気サイクルシステム凝縮器内に組み込まれ、空気サイクルシステムからの冷却空気を用いて蒸気サイクルシステムの冷却ループにおいて作動流体を冷却するのに用いることができる。エンジン燃焼燃料−空気熱交換器は、エンジン燃焼燃料を用いて蒸気サイクルシステムの冷却ループにおいて作動流体を冷却するよう動作可能である。
【0010】
蒸気サイクルシステムは、液体及び/又は空気冷却される航空機構成要素を冷却するための環境制御システムに動作可能に接続されて該環境制御システムを冷却することができる。
【0011】
空気サイクルシステムは、空気サイクル機械を含むことができ、該空気サイクル機械が、空気サイクル機械の機械圧縮機及び冷却タービンに駆動可能に接続された出力タービンを有する。FLADEダクト熱交換器を含む中間冷却器は、機械圧縮機の機械圧縮機出口と冷却タービンの冷却タービン入口との間に直列空気流れ関係で動作可能に配置される。空気サイクルシステム熱交換器は、冷却タービンの冷却タービン出口と機械圧縮機の機械圧縮機入口との間に直列空気流れ関係で動作可能に配置され、出力タービンは、圧縮機吐出段のような、航空機ガスタービンエンジン高圧圧縮機の圧縮機段と加圧空気受け入れ関係で接続されている。
【0012】
航空機複合冷却システムの例示的な実施形態は更に、空気−空気FLADEダクト熱交換器との間でそれぞれつながった入口及び出口ラインを含む。バルブ調整装置は、入口及び出口ラインにそれぞれ接続された入口及び出口バルブを含む。圧縮機吐出段は、ブリードラインにより入口バルブの第1の入口に動作可能に接続され、機械圧縮機の圧縮機出口は、圧縮機流出ラインにより入口バルブの第2の入口に動作可能に接続される。空気−空気FLADEダクト熱交換器への入口ラインは、入口バルブの出口に動作可能に接続され、空気−空気FLADEダクト熱交換器からの出口ラインは、出口バルブのバルブ入口に動作可能に接続される。タービン冷却回路は、出口バルブの第1の出口に動作可能に接続される。バイパスラインは、入口バルブの第1のバイパス出口を出口バルブの第2のバイパス出口に動作可能に接続することができる。
【0013】
巻線型誘導磁石発電機は、出力タービンを機械圧縮機及び冷却タービンに接続するシャフト上にあることができる。
【0014】
冷却タービン構成要素は、第1段タービンブレードを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】タービン冷却又は航空機構成要素冷却用の空気を交互に冷却するよう動作可能なFLADEダクトに装着された熱交換器を用いて複合冷却システムを有するガスタービンエンジン駆動による航空機の概略図。
【図2】図1に示すエンジンのFLADEダクトの周り及び内部に配置されるダクト熱交換器要素の概略図。
【図3】図1に示す例示的なタービン冷却システムのより詳細な図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に概略的に示されるのは、エンジン10のFLADEダクト3内に配置された空気−空気FLADEダクト熱交換器40を含む、例示的な航空機FLADEガスタービンエンジン10である。熱交換器40は、図2において図示するようにFLADEダクト3の周りに配置された熱交換器セクション45を含むことができる。複合冷却システム51は、空気−空気FLADEダクト熱交換器40を用いて、タービン冷却用の圧縮機空気と航空機構成要素冷却用の冷却空気を交互に冷却する。複合冷却システム51は、エンジン10の高圧タービン23においてタービン構成要素を冷却するため高温の加圧ブリード空気58を冷却し、或いは、出力熱管理システム(PTMS)12を冷却するのに用いられる空気サイクルシステム27用の冷却空気46を冷却するよう交互に切り替えるよう動作することができる。加圧ブリード空気58は、航空機ガスタービンエンジン10の高圧圧縮機64の圧縮機吐出段60から抽気される。FLADEダクト3は、ファン段よりも通常はFLADE段の方がより少なく、よってFLADEダクト空気流の方がより低温であるので、ダクト熱交換器40にとって良好な場所にある。
【0017】
図1を参照すると、タービン冷却回路78は、圧縮機吐出段60からの加圧ブリード空気58をFLADEダクト熱交換器40に通してエンジン10の高圧タービン23に送る。圧縮機吐出段60からの加圧ブリード空気58は、CDP空気又はブリードと呼ばれることが多い。CDPは、圧縮機吐出圧の頭文字として公知である。出力熱管理システム12は、空気サイクルシステムACS27を含む。ACS27は、空気サイクル機械(ACM)34と、空気−空気ダクト熱交換器40を含む中間冷却器36とを含む。ACS27は、環境制御システム(ECS)14と呼ばれることが多いものを通じて、液体及び/又は空気冷却される航空機構成要素16及び機器を冷却し、並びにコックピットの熱制御及び加圧を行うのに使用される。例示的な冷却航空機構成要素16は、指向性エネルギー兵器(DEW)20、航空機電子機器22、交流(AC)電子機器24、機上不活性ガス発生システム(OBIGGS)26、及び機上酸素ガス発生システム(OBOGS)28を含む。
【0018】
タービン冷却回路78は、加圧ブリード空気58を冷却し、冷却された加圧ブリード空気58を使用して高圧タービン23におけるタービン構成要素を冷却する。出力熱管理システム12は、環境制御システム14を冷却するのに使用されるサイクルシステム27において冷却空気46を使用する。バルブ調整装置125は、タービン冷却回路78と空気サイクルシステム27との間で空気−空気FLADEダクト熱交換器40を選択的に切り替える。
【0019】
FLADEエンジン(FLADEは、「ファンオンブレード」の頭文字である)は、1つの特定のタイプの可変サイクルエンジンであり、半径方向内側ファンによって駆動され外側ファンによって特徴付けられ、該外側ファンは、内側ファンを囲む内側ファンダクトとほぼ同心環状で該内側ファンダクトを囲む外側ファンダクト内にFLADE空気を吐出する。Thomas他による「Two Spool Variable Cycle Engine」の名称の米国特許第4,043,121号において開示されている1つのこのようなエンジンは、FLADEファンと外側ファンダクトとを備え、該外側ファンダクト内で、可変ガイドベーンがFLADE外側ファンダクトを通過する空気の量を制御することによってサイクル変動を制御している。
【0020】
FLADEエンジンは、高度及び飛行マッハ数のような亜音速飛行周囲条件の所定のセットにおける比較的広い推力範囲にわたって本質的に一定の入口空気流量を維持してスピレージ抗力を回避し、また飛行条件の範囲全体にわたってそのようにすることができる。この性能は、特に亜音速部分出力エンジン運転状態にとって必要とされる。これらの実施例は、「Spillage Drag and Infrared Reducing FLADE Engine」の名称の米国特許第5,404,713号、「Acoustically Shielded Exhaust System for High Thrust Jet Engines」の名称の米国特許第5,402,963号、「Variable Specific Thrust Turbofan Engine」の名称の米国特許第5,261,227号、及び「Bypass Injector Valve For Variable Cycle Aircraft Engines」の名称の欧州特許第EP0,567,277号に開示されている。「Flade gas turbine engine with fixed geometry inlet」の名称の米国特許第7,395,657号は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0021】
エンジン10は、三段式ファン119と、FLADEダクト3にわたって半径方向に延びるFLADEファンブレード5の少なくとも1つの列を有するFLADEファン4とを備えたファンセクション115を含む。FLADEファン4及びFLADEファンブレード5は、ファン119の半径方向外向きに配置されて接続され、該ファン119の周りを囲む。エンジン入口13は、ファンセクション115に対するファン入口11と、FLADEダクト3に対する環状FLADE入口8とを含む。FLADE空気流80は、FLADEファンブレード5によって排出される。FLADEファンブレード5の列は、三段式ファン119の第1のファン段111の半径方向外向きに配置されて且つ動作可能に接続され、該第1のファン段111によって駆動される。FLADEファンブレード5の列は、可変の第1のFLADEベーン6の軸方向前方列と、任意選択的に、可変の第2のFLADEベーン7の軸方向後方列との間に配置される。
【0022】
ファン119の下流側の軸方向後方には、環状コアエンジン入口17を有するコアエンジン19がある。ファン119の下流側の軸方向後方に位置するファンバイパスダクト41は、コアエンジン19を囲む。FLADEダクト3は、ファン119及びファンバイパスダクト41を囲む。ファン入口11は、可変の第1のFLADEベーン6及び可変の第2のFLADEベーン7を閉じることによりFLADE入口8が本質的に閉鎖された状態で、全出力条件にてエンジンの全エンジン空気流量15を本質的に受け入れるようなサイズにされる。エンジンは更に、所定の部分出力飛行条件でFLADEダクト3の入口を全開し、離陸のような全出力条件で本質的に閉鎖するように設計され動作する。
【0023】
コアエンジン19は、下流側への直列軸方向流れ関係で、高圧圧縮機220、燃焼器222、及び高圧タービンブレード25の列を有する高圧タービン23を含む。高圧シャフト31は、エンジン10の中心線212の周りで同軸に配置され、高圧圧縮機220及び高圧タービンブレード25を固定して相互接続する。コアエンジン19は、燃焼ガスを発生させるのに有効である。高圧圧縮機220からの加圧空気は、燃焼器222において燃料と混合されて点火され、これにより燃焼ガスを発生する。高圧タービンブレード25により一部の仕事がこれらのガスから取り出され、これが高圧圧縮機220を駆動する。高圧シャフト31は、高圧圧縮機220を回転させる。
【0024】
コアエンジン19から燃焼ガスが吐出され、低圧タービン151を有する低圧タービンセクション150に流入する。低圧タービン151は、低圧シャフト152によりファン119に駆動可能に接続される。FLADEファンブレード5は、主として、入口空気流量要件にフレキシブルに適合させるのに使用される。低圧タービンセクション150、FLADEダクト3、及びファンバイパスダクト41からのエンジン排出流153は、排気ノズル156を通って排出される。
【0025】
空気−空気FLADEダクト熱交換器40は、圧縮機排出段60からの高温の加圧ブリード空気58を冷却し、これを加圧冷却空気179として排出するよう動作可能である。或いは、空気−空気FLADEダクト熱交換器40は、空気サイクル機械(ACM)34用のACS27の中間冷却器36において冷却空気46を冷却するよう動作可能である。
【0026】
図1及び3を参照すると、タービン冷却回路78は、高温の加圧ブリード空気58を圧縮機吐出段60から抽気し、該高温の加圧ブリード空気58を空気−空気FLADEダクト熱交換器40に流して冷却して加圧冷却空気179を形成し、圧縮機222の内側及び外側燃焼器ケーシング172、174を貫通して半径方向に延びる複数の円周方向に離間した移送管180に低温の加圧空気179を流すようにする。複数の円周方向に離間した移送管180は、タービン冷却回路78の一部である。次いで、加圧冷却空気179は、環状流れインデューサー84に流れ、流れインデューサーは、加圧冷却空気179を高圧タービンにおける支持ロータディスク147から半径方向外向きに延びる第1段タービンブレード143の列に送る。第1段タービンブレード143は、タービン冷却回路78によって冷却することができる高圧タービン23におけるタービン構成要素の実施例である。
【0027】
流れインデューサー84は、通常はベーンの列を含む固定構成要素であり、加圧冷却空気179を接線方向に加速し、流量調整し、及び/又は更に加圧して回転する第1段ロータディスク147に加圧冷却空気179を噴射する。これは、加圧冷却空気179をディスク147の軸方向ダブテールスロットに効率的に送り流量調整し、タービンブレード143のダブテール内に見られる入口に流すようにするための従来の構成要素である。加圧冷却空気179は、タービンブレード143及びその中の冷却チャンネル165を通って半径方向外向きに流れ、ブレード翼形部の正圧側面及び負圧側面における吐出孔168の複数の列を通じて吐出される。
【0028】
図1を参照すると、環境制御システム(ECS)14は、空気サイクルシステムACS27及び蒸気サイクルシステム(VCS)29によって冷却される。ACS27は、空気サイクル機械(ACM)34と、空気−空気ダクト熱交換器40を含む中間冷却器36とを含む。中間冷却器36は、ACM34によって冷却される冷却空気46を冷却するのに使用される。空気サイクルシステムACS27内の空気サイクルシステム熱交換器30を用いて、蒸気サイクルシステム(VCS)29の冷却を促進する。
【0029】
ダクト熱交換器40は、機械圧縮機50とACM34の冷却タービン52との間に流れる冷却空気46を冷却するのに使用される。冷却空気46は、機械圧縮機50から中間冷却器36を通って冷却タービン52に送られる。次に、冷却タービン52から出た冷却空気46は、蒸気サイクルシステム(VCS)29のVCS凝縮器32において作動流体を冷却するのに使用される。作動流体79は、R−134aのような公知の冷媒とすることができる。
【0030】
VCS29は更に、VCS圧縮機81及びVCS蒸発器82を含む。作動流体79は、VCS凝縮器32からVCS圧縮機81、及び航空機構成要素16を冷却するのに使用される空気を冷却するVCS蒸発器82に、次いでVCS凝縮器32に戻る冷却ループ83にて再循環される。ACS27の空気サイクルシステム熱交換器30は、蒸発サイクルシステム凝縮器32において使用され、冷却タービン52から出る冷却空気46を用いて冷却ループ83内の作動流体79を冷却するようにする。
【0031】
エンジン燃焼燃料−空気熱交換器49もまた、VCS29の蒸気サイクルシステム凝縮器32内の作動流体79を冷却するのに使用される。エンジン燃焼燃料−空気熱交換器49は、航空機ガスタービンエンジン10の燃料に使用されるエンジン燃焼燃料38と熱連通している。エンジン燃焼燃料−空気熱交換器49は、冷却ループ83内で再循環する作動流体79を冷却するのに使用されるポリアルファオレフィン(PAO)ループ48内にある。エンジン燃焼燃料−空気熱交換器49は、VCS凝縮器32内にあるものとして図示されているが、作動流体79を冷却するため他の場粗に位置することもできる。
【0032】
ACM34は、シャフト56を介して機械圧縮機50及び冷却タービン52を駆動するためのACM出力タービン54を含む。ACM出力タービン54は、航空機ガスタービンエンジン10の高圧圧縮機64の圧縮機吐出段60からの加圧ブリード空気58により動力が供給される。圧縮機吐出段60からの加圧ブリード空気58は、出力タービン54の出力タービン入口102に流入する。加圧ブリード空気58は、ACM出力タービン54から出力タービン出口104を通じて排出され、排気ノズル156のスロート57の上流側にあるエンジン排気口86に放出される。
【0033】
本明細書で示される例示的なACM34は、機械圧縮機入口72及び圧縮機出口73を有する遠心機械圧縮機50と、冷却タービン入口74及び冷却タービン出口75を有する半径方向流入冷却タービン52と、半径方向流入ACM出力タービン54とを含む。ACS27における空気サイクルシステム熱交換器30は、冷却タービン出口75と機械圧縮機入口72との間に空気流関係で作動可能に配置される。本明細書で示される例示的な冷却タービン52は、固定冷却タービンノズル68を有するが、失速マージンに対する作動ライン上で機械圧縮機を維持するような可変ノズルであってもよい。
【0034】
ACM34はまた、機械圧縮機50及び冷却タービン52と同じシャフト56が駆動する発電機120を含むことができる。発電機120は、ACS27がAPU(補助出力ユニット)として作動するときにエンジン10を始動させるための電力を供給する。発電機始動磁気誘導電流がバッテリ(図示せず)から供給される。双発航空機では、このAPU機能は、グラウンドカート(ground cart)でエンジンが始動できる限りは必要ではない可能性がある。或いは、発電機120は、電気スタータ/発電機とすることができる。
【0035】
複合冷却システム51は、空気−空気FLADEダクト熱交換器40とそれぞれつながった入口及び出口ライン122、124を含む。入口及び出口ライン122、124への入口及び出口三方弁126、128は、空気−空気FLADEダクト熱交換器40をタービン冷却回路78と空気サイクルシステム27との間で選択的に切り換えるための例示的なバルブ調整装置125を提供する。圧縮機吐出段60は、ブリードライン130により入口バルブ126の第1の入口132に接続される。機械圧縮機50の圧縮機出口73は、圧縮機流出ライン134により入口バルブ126の第2の入口136に接続される。空気−空気FLADEダクト熱交換器40への入口ライン122は、入口バルブ126の出口138に接続される。
【0036】
空気−空気FLADEダクト熱交換器40からの出口ライン124は、出口バルブ128のバルブ入口140に接続される。図3に示される高圧圧縮機220の内側及び外側燃焼ケーシング172、174を通って半径方向に延びる複数の円周方向に離間した移行管180は、出口バルブ128の第1の出口142に接続される。
【0037】
バイパスライン190は、入口バルブ126の第1のバイパス出口192を出口バルブ128の第2のバイパス出口194に接続する。出力熱管理システム(PTMS)12で使用するために複合冷却システム51が冷却空気46を冷却するよう切り替えられたときに、バイパスライン190により、タービン冷却回路78は、FLADEダクト熱交換器40をバイパスしながら加圧ブリード空気58を圧縮機吐出段60からエンジン10の高圧タービンに送ることができるようになる。また、エンジン10の高圧タービンにおけるタービン構成要素を冷却するために複合冷却システム51が高圧の加圧ブリード空気58を冷却するよう切り替えられたときに、バイパスライン190により、出力熱管理システム(PTMS)12は、FLADEダクト熱交換器40をバイパスしながら冷却空気46を圧縮機50の圧縮機出口73から、冷却タービン52の冷却タービン入口74を含む半径方向流入冷却タービン52に送ることができるようになる。
【0038】
空気−空気FLADEダクト熱交換器40からACM34が利用できる冷却は、エンジン燃料を通って空気熱交換器49に流れる大量のエンジン燃焼燃料38が存在するときには高出力飛行中は遮断され、従って、蒸気サイクルシステム29に多量の冷却が提供される。高出力飛行条件中、圧縮機吐出段60からの高温の加圧ブリード空気58は、FLADEダクト熱交換器40において冷却され、加圧冷却空気179としてタービン冷却回路78に流れる。このことは、加圧冷却空気179により冷却されるタービン構成要素が高出力飛行条件中に極めて高温状態に曝されるので特に有用である。
【0039】
低出力飛行条件中、タービンはこのような高温状態には曝されず、空気−空気FLADEダクト熱交換器40は空気サイクルシステム27に切り替えられる。低出力飛行条件中、エンジン燃料を通って空気熱交換器49に流れるエンジン燃焼燃料38は少なく、従って、空気−空気FLADEダクト熱交換器40は、蒸気サイクルシステム29に多量の冷却を提供する。
【0040】
本明細書では本発明の好ましく例示的な実施形態であると考えられるものについて説明してきたが、当業者であれば、本明細書の教示から本発明の他の修正が明らかになる筈であり、従って、全てのこのような修正は、本発明の技術思想及び技術的内に属するものとして特許請求の範囲において保護されることが望まれる。従って、本特許により保護されることを望むものは,特許請求の範囲に記載し且つ特定した発明である。
【符号の説明】
【0041】
3 FLADEダクト
4 FLADEファン
5 FLADEファンブレード
6 第1のFLADEベーン
7 第2のFLADEベーン
8 環状FLADE入口
10 ガスタービンエンジン
11 ファン入口
12 出力熱管理システム
13 エンジン入口
14 環境制御システム
15 全エンジン空気流量
16 空気冷却航空機構成要素
17 コアエンジン入口
19 コアエンジン
20 指向性エネルギー兵器
22 航空機電子機器
23 高圧タービン
24 交流(AC)電子機器
25 高圧タービンブレード
26 機上不活性ガス発生システム
27 空気サイクルシステム
28 機上酸素ガス発生システム
29 蒸気サイクルシステム
30 空気サイクルシステム熱交換器
31 高圧シャフト
32 蒸気サイクルシステム凝縮器
34 空気サイクル機械
36 中間冷却器
38 エンジン燃焼燃料
40 ダクト熱交換器
41 ファンバイパスダクト
45 熱交換器セクション
46 冷却空気
48 PAOループ
49 エンジン燃焼燃料−空気熱交換器
50 冷却圧縮機
51 複合冷却システム
52 冷却タービン
54 出力ガスタービン
57 スロート
56 シャフト
58 加圧ブリード空気
60 圧縮機吐出段
64 高圧圧縮機
68 冷却タービンノズル
72 圧縮機入口
73 圧縮機出口
74 冷却タービン入口
75 冷却タービン出口
78 タービン冷却回路
79 作動流体
80 FLADE空気流
81 VCS圧縮機
82 VCS蒸発器
83 冷却ループ
84 流れインデューサー
86 エンジン排気口
102 出力タービン入口
104 出力タービン出口
111 第1のファン段
115 ファンセクション
119 三段式ファン
120 磁石発電機
122 入口ライン
124 出口ライン
125 バルブ調整装置
126 入口バルブ
128 出口バルブ
130 ブリードライン
132 第1の入口
134 流出ライン
136 第2の入口
138 出口
140 バルブ入口
142 第1の出口
143 第1の段タービンブレード
147 ロータディスク
150 低圧タービンセクション
151 低圧タービン
152 低圧シャフト
153 エンジン排出流
156 排気ノズル
165 冷却チャンネル
168 吐出孔
172 内側燃焼ケーシング
174 外側燃焼ケーシング
179 加圧冷却空気
180 移行管
190 バイパスライン
192 第1のバイパス出口
194 第2のバイパス出口
212 中心線
220 高圧圧縮機
222 燃焼器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機複合冷却システム(51)であって、
空気サイクルシステム(27)を含む出力熱管理システム(12)と、
加圧ブリード空気(58)を冷却するため、及び該加圧ブリード空気(58)を用いて航空機ガスタービンエンジン(10)の高圧タービン(23)におけるタービン構成要素を冷却するためのタービン冷却回路(78)と、
前記エンジン(10)のFLADEダクト(3)に配置された空気−空気FLADEダクト熱交換器(40)と、
前記空気−空気FLADEダクト熱交換器(40)を前記タービン冷却回路(78)と前記空気サイクルシステム(27)との間で選択的に切り換えるよう動作可能なバルブ調整装置(125)と、
を備える、航空機複合冷却システム(51)。
【請求項2】
蒸気サイクルシステム凝縮器(32)を含む蒸気サイクルシステム(29)を更に備え、前記空気サイクルシステム(27)が前記蒸気サイクルシステム凝縮器(32)と熱伝達冷却関係にある、請求項1に記載の航空機複合冷却システム(51)。
【請求項3】
前記蒸気サイクルシステム凝縮器(32)と熱伝達冷却関係にあるエンジン燃焼燃料−空気熱交換器(49)を更に備える、請求項2に記載の航空機複合冷却システム(51)。
【請求項4】
前記蒸気サイクルシステム凝縮器(32)内に空気サイクルシステム熱交換器(30)を更に備え、前記空気サイクルシステム熱交換器(30)が、前記空気サイクルシステム(27)からの冷却空気(46)を用いて、前記蒸気サイクルシステム(29)の冷却ループ(83)において作動流体(79)を冷却するよう動作可能であり、前記エンジン燃焼燃料−空気熱交換器(49)が、エンジン燃焼燃料(38)を用いて前記蒸気サイクルシステム(29)の冷却ループ(83)において作動流体(79)を冷却するよう動作可能である、請求項3に記載の航空機複合冷却システム(51)。
【請求項5】
前記蒸気サイクルシステム(29)が、液体及び/又は空気冷却される航空機構成要素(16)を冷却するための環境制御システム(14)に動作可能に接続されて該環境制御システム(14)を冷却する、請求項4に記載の航空機複合冷却システム(51)。
【請求項6】
前記空気サイクルシステム(27)が、空気サイクル機械(34)を更に含み、該空気サイクル機械(34)が、機械圧縮機(50)及び前記空気サイクル機械(34)の冷却タービン(52)に駆動可能に接続された出力タービン(54)を有し、
前記航空機複合冷却システム(51)が更に、前記機械圧縮機(50)の機械圧縮機出口(73)と前記冷却タービン(52)の冷却タービン入口(74)との間に直列空気流れ関係で動作可能に配置された、前記FLADEダクト熱交換器(40)を含む中間冷却器(36)を備え、
前記空気サイクルシステム熱交換器(30)が、前記冷却タービン(52)の冷却タービン出口(75)と前記機械圧縮機(50)の機械圧縮機入口(72)との間に直列空気流れ関係で動作可能に配置され、
前記出力タービン(54)が、航空機ガスタービンエンジン高圧圧縮機(64)の圧縮機吐出段(60)と加圧空気(58)受け入れ関係で接続されている、請求項5に記載の航空機複合冷却システム(51)。
【請求項7】
前記空気−空気FLADEダクト熱交換器(40)との間でそれぞれつながった入口及び出口ライン(122、124)を更に備え、
前記バルブ調整装置(125)が、前記入口及び出口ライン(122、124)にそれぞれ接続された入口及び出口バルブ(126、128)を含み、
前記圧縮機吐出段(60)が、ブリードライン(130)により前記入口バルブ(126)の第1の入口に動作可能に接続され、
前記機械圧縮機(50)の圧縮機出口(73)が、圧縮機流出ライン(134)により前記入口バルブ(126)の第2の入口(136)に動作可能に接続され、
前記空気−空気FLADEダクト熱交換器(40)への入口ライン(122)が、前記入口バルブ(126)の出口(136)に動作可能に接続され、
前記空気−空気FLADEダクト熱交換器(40)からの出口ライン(124)が、前記出口バルブ(128)のバルブ入口(140)に動作可能に接続され、
前記タービン冷却回路(78)が、前記出口バルブ(128)の第1の出口(142)に動作可能に接続され、
前記航空機複合冷却システム(51)が更に、前記入口バルブ(126)の第1のバイパス出口(192)を前記出口バルブ(128)の第2のバイパス出口(194)に動作可能に接続するバイパスライン(192)を備える、請求項6に記載の航空機複合冷却システム(51)。
【請求項8】
前記出力タービン(54)を前記機械圧縮機(50)及び前記冷却タービン(52)並びに巻線型誘導磁石発電機(120)に接続するシャフト(56)を更に備える、請求項7に記載の航空機複合冷却システム(51)。
【請求項9】
前記冷却タービン構成要素が第1段タービンブレード(143)を含む、請求項7に記載の航空機複合冷却システム(51)。
【請求項10】
前記蒸気サイクルシステム凝縮器(32)内に空気サイクルシステム熱交換器(30)を更に備え、
前記空気サイクルシステム熱交換器(30)が、前記空気サイクルシステム(27)からの冷却空気(46)を用いて、前記蒸気サイクルシステム(29)の冷却ループ(83)において作動流体(79)を冷却するよう動作可能であり、
前記蒸気サイクルシステム(29)が、液体及び/又は空気冷却される航空機構成要素(16)を冷却するための環境制御システム(14)に動作可能に接続されて該環境制御システム(14)を冷却し、
前記空気サイクルシステム(27)が、空気サイクル機械(34)を更に含み、該空気サイクル機械(34)が、機械圧縮機(50)及び前記空気サイクル機械(34)の冷却タービン(52)に駆動可能に接続された出力タービン(54)を有し、
前記航空機複合冷却システム(51)が更に、前記機械圧縮機(50)の機械圧縮機出口(73)と前記冷却タービン(52)の冷却タービン入口(74)との間に直列空気流れ関係で動作可能に配置された、前記FLADEダクト熱交換器(40)を含む中間冷却器(36)を備え、
前記空気サイクルシステム熱交換器(30)が、前記冷却タービン(52)の冷却タービン出口(75)と前記機械圧縮機(50)の機械圧縮機入口(72)との間に直列空気流れ関係で動作可能に配置され、
前記出力タービン(54)が、航空機ガスタービンエンジン高圧圧縮機(64)の圧縮機吐出段(60)と加圧空気(58)受け入れ関係で接続されている、請求項2に記載の航空機複合冷却システム(51)。
【請求項11】
航空機複合冷却システム(51)であって、
ファン(119)を有するファンセクション(115)を含む航空機FLADEガスタービンエンジン(10)と、
前記ファン(119)の下流側で軸方向後方に配置された環状コアエンジン入口(17)を有するコアエンジン(19)と、
前記ファン(119)の下流側で軸方向後方にあり、且つ前記コアエンジン(19)を囲むファンバイパスダクト(41)と、
前記ファン(119)及び前記ファンバイパスダクト(41)を囲むFLADEダクト(3)と、
前記FLADEダクト(3)にわたって延びるFLADEファンブレード(5)の少なくとも1つの列を有するFLADEファン(4)と、
を備え、前記FLADEファンブレード(5)が前記ファン(119)の半径方向外向きに配置されて接続され、且つ該ファン(119)を囲み、前記航空機複合冷却システム(51)が更に、
空気サイクルシステム(27)を含む出力熱管理システム(12)と、
加圧ブリード空気(58)を冷却するため、及び該加圧ブリード空気(58)を用いて航空機ガスタービンエンジン(10)の高圧タービン(23)におけるタービン構成要素を冷却するためのタービン冷却回路(78)と、
前記FLADEダクト(3)に配置された空気−空気FLADEダクト熱交換器(40)と、
前記空気−空気FLADEダクト熱交換器(40)を前記タービン冷却回路(78)と前記空気サイクルシステム(27)との間で選択的に切り換えるよう動作可能なバルブ調整装置(125)と、
蒸気サイクルシステム凝縮器(32)を含む蒸気サイクルシステム(29)を更に備え、前記空気サイクルシステム(27)が前記蒸気サイクルシステム凝縮器(32)と熱伝達冷却関係にある、航空機複合冷却システム(51)。
【請求項12】
前記蒸気サイクルシステム凝縮器(32)と熱伝達冷却関係にあるエンジン燃焼燃料−空気熱交換器(49)と、
前記蒸気サイクルシステム凝縮器(32)内に空気サイクルシステム熱交換器(30)と、
を更に備え、前記空気サイクルシステム熱交換器(30)が、前記空気サイクルシステム(27)からの冷却空気(46)を用いて、前記蒸気サイクルシステム(29)の冷却ループ(83)において作動流体(79)を冷却するよう動作可能であり、前記エンジン燃焼燃料−空気熱交換器(49)が、エンジン燃焼燃料(38)を用いて前記蒸気サイクルシステム(29)の冷却ループ(83)において作動流体(79)を冷却するよう動作可能であり、前記蒸気サイクルシステム(29)が、液体及び/又は空気冷却される航空機構成要素(16)を冷却するための環境制御システム(14)に動作可能に接続されて該環境制御システム(14)を冷却する、請求項11に記載の航空機複合冷却システム(51)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−246927(P2012−246927A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−119285(P2012−119285)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)