説明

FRP製防音壁、およびFRP製防音壁の取付方法

【課題】温度差の大きな屋外環境での使用において、取付部のFRP製補強部材とFRP製スキン材との接着面に剥離が生じることがなく、2つの部材の一体化により設計上期待される強度、剛性を発揮することができ、耐久性のあるFRP製防音壁、また、位置精度の悪いアンカーボルトに合わせて、施工現場で取付部に固定用貫通孔の加工ができる取付部構造をもったFRP製防音壁を提供することである。
【解決手段】FRP製の防音パネル部と、該防音パネル部の高さの2〜20%の奥行きを有し、固定用の貫通孔を設けた取付部とを有し、前記取付部が少なくとも補強部材であるFRP製中実体とFRPスキン材から構成され、前記FRPスキン材は前記FRP製防音壁全体に亘って表面に存在し、前記FRP製中実体は少なくとも幅方向の一部において取付部から防音パネル部の下部に延在しているFRP製防音壁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音源からの騒音を遮音(防音を含む)するため、例えば鉄道用の高欄や道路などに設けられるFRP製防音壁に関する。
【背景技術】
【0002】
高架橋や高速道路に設置される防音壁は、従来、安価な場所打ち鉄筋コンクリート製や金属製のものが主体であった。しかし、場所打ち鉄筋コンクリートは骨材である砂利や砂が均一に分散していないものは強度ムラが発生したり、特に海砂を使用したものでは中性化が促進され、鉄筋に錆びが発生して膨張することにより、コンクリートに亀裂が入り、近年社会問題となっているコンクリート剥落という問題に至る場合がある。
【0003】
そこで近年では、工場でコンクリート製防音壁(プレキャストコンクリート防音壁)を製造することにより、品質が高く、しかも現場施工を短工期でおこなうことができるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、コンクリート製や金属製の防音壁は、重量物であるが故にその運搬と取り付けには、設置場所に重機類と専用の取付機械の搬入が必須となり、特に設置場所が鉄道の高架橋の場合には、線路側から防音壁設置場所に専用の建設機械を接近させることが難しいという問題や、たとえ接近し得たとしてもその取付作業は高架下からの高所作業などが避けられず、結果的に従来の非常に重い防音壁の設置作業は危険を伴う困難な作業にならざるを得なかった。
【0005】
また、近年は都市の過密化により、鉄道や道路沿線の住宅も高層化しており、防音壁もより高くする必要に迫られているが、従来のコンクリート製や金属製の防音壁では強度設計の面からますます重量が増加することになり、高架橋躯体も含めた建設工事が一層困難になるという問題がある。
【0006】
それに対して最近では、より軽量な素材、例えば繊維強化プラスチック(FRP)などを用いた防音壁が採用される例が増えてきた。材料として繊維強化プラスチックなどを用いた防音壁は、軽量性故の取付工事の容易さや、上述のコンクリートの経年劣化の問題がなく、保守の簡素化が図れるという利点もあり(例えば、特許文献2参照)、今後も採用例が増加するものと思われる。
【0007】
繊維強化プラスチックを防音壁の材料に用いる場合は、その取り扱い性や素材の管理観点から、また工事現場での作業時間を削減する観点から、工場で成形した成形品をそのまま工事現場に搬入して施工するのが一般的である。
【0008】
しかしながら、繊維強化プラスチックからなる防音壁においても、風圧を受けた防音壁は取付部を介し、力をコンクリート躯体に伝達するため、防音壁取付部には局所的に大きな応力が作用することになる。そこで、取付部に強度の高い金属部材を部分的に使用したり、繊維強化プラスチックに金属部材を内包させハイブリッド化させることにより補強する構造を採る場合が多い。
これらの場合、繊維強化プラスチックによる軽量化のメリットを損なわないようにするため、金属部材の使用を取付穴周辺のみに限定するなど、使用部位を必要最小限に抑えることが重要となる。
【0009】
例えば、繊維強化プラスチックからなるサンドイッチパネルに金属製柱体の上部を埋設し、該柱体下部に取付部を設ける構造を採ったり(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)、芯材である金属部材の両面に繊維強化プラスチック製スキン材が配置された取付部構造を採る方法である(例えば、特許文献5参照)。
【0010】
しかしながら、このように繊維強化プラスチックと金属を樹脂により一体化した場合、各材料の線膨張係数が異なるため、温度差が作用すると異種材料間界面に剪断力が作用し、剥離が発生する場合がある。
【0011】
特に防音壁のような屋外での使用環境においては防音壁製作時と使用時の温度差が50℃以上となることが想定される。
【0012】
繊維強化プラスチックと金属間に剥離が発生すると、本来ハイブリッド化により設計された高い強度、剛性を発揮できなくなるという問題がある。
【0013】
また、取付孔部が繊維強化プラスチックと金属部材のハイブリッド構成の場合には両部材の界面が屋外環境に露出するため、雨水の界面からの内部浸入による劣化対策や金属部材が鉄の場合には金属部材の事前防錆処理(溶融亜鉛メッキ等)が必要となる。
【0014】
また防音壁の高架橋等への設置時、高架橋躯体に予め埋設されたアンカーボルトの位置精度が悪い場合は、アンカーボルト位置に合わせて現場で防音壁の固定用貫通孔を加工・修正する必要がでてくるが、上述の取付部に強度の高い金属部材を部分的に使用したり、繊維強化プラスチックに金属部材を内包させハイブリッド化させる補強構造を採った場合は、溶融亜鉛メッキ等の防錆膜がなくなるといった問題や現場での作業性に問題があるため、アンカーボルトを打設し直すか、固定用貫通孔位置をアンカーボルトに合わせた特注品を工場で製作し直す等の方法しかなかった。
【特許文献1】特開平8−144227号公報
【特許文献2】特許第3628276号公報
【特許文献3】特開2003−129427号公報
【特許文献4】特開2003−155712号公報
【特許文献5】特開2003−155713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決しようとするものであり、高い強度、剛性が発揮できるとともに、屋外環境での使用においても劣化が少なく耐久性があり、しかも大きな温度差の屋外使用環境においても、取付部のFRP製補強部材とFRP製スキン材との接着面に剥離が生じることがなく、2つの部材の一体化により設計上期待される強度、剛性を発揮させることができ、さらに錆びなどの腐食が発生しない安価なFRP製防音壁を提供することにある。
【0016】
また、位置精度の悪いアンカーボルトに合わせて、施工現場で取付部に固定用貫通孔を孔開け・修正ができるような取付部構造をもったFRP製防音壁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)FRP製の防音パネル部と、該防音パネル部の高さの2〜20%の奥行きを有し、固定用の貫通孔を設けた取付部とを有するFRP製防音壁であって、前記取付部が少なくとも補強部材であるFRP製中実体とFRPスキン材から構成され、前記FRPスキン材は前記FRP製防音壁全体に亘って表面に存在し、前記FRP製中実体は少なくとも幅方向の一部において取付部から防音パネル部の下部に延在していることを特徴とするFRP製防音壁。
【0018】
(2)前記防音パネル部の前記貫通孔直近部分において、貫通孔幅の1〜10倍の幅に亘って前記FRP製中実体が取付部から防音パネル部の下部に延在していることを特徴とする(1)に記載のFRP製防音壁。
【0019】
(3)前記FRP製中実体が、幅方向全体に亘って取付部から防音パネル部の下部に延在していることを特徴とする(1)または(2)に記載のFRP製防音壁。
【0020】
(4)前記FRP製中実体が前記防音パネル部のパネル面と平行な方向に軸方向を持ち、かつ少なくとも一対の相対する平行な面を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【0021】
(5)前記貫通孔が前記FRP製中実体の前記一対の相対する平行な面間を貫通するように設けられていることを特徴とする(4)に記載のFRP製防音壁。
【0022】
(6)前記防音パネル部が、前記FRPスキン材の内部に芯材を有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【0023】
(7)前記取付部の厚さが、前記防音パネル部の高さの1〜3%であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【0024】
(8)前記防音パネル部のパネル面における単位面積当たりの重量が、10〜60kg/mの範囲内にあることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【0025】
(9)前記FRP製中実体および/または前記FRPスキン材のマトリクス樹脂が、難燃剤および/または制振剤を含むことを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【0026】
(10)前記FRPスキン材が、前記取付部下部に設けられたスカート部を構成することを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【0027】
(11)前記スカート部が、前記FRPスキン材の内部に芯材を有することを特徴とする(10)に記載のFRP製防音壁。
【0028】
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載のFRP製防音壁に設けられた貫通孔に、予め建築物躯体に埋設されたアンカーボルトを挿入し、さらにナットを用いて固定することを特徴とするFRP製防音壁の取付方法。
【0029】
(13)前記FRP製防音壁の取付部に設けられている固定用の貫通孔を施工現場で孔開け加工した後に、建築物躯体に固定することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載のFRP製防音壁の取付方法。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、以下に説明するとおり、防音壁取付部の補強部材と、防音壁全体に亘って表面に存在するFRPスキン材との密着力が大幅に改善され、高い強度、剛性が発揮できるとともに、屋外環境での使用においても劣化の少ない耐久性のあるFRP製防音壁を安価に得ることができる。
【0031】
本発明の防音壁は、取付部がFRP製中実体である補強部材とFRPスキン材から構成され、該FRPスキン材がFRP製防音壁全体に亘って表面に存在する構造を採用することにより、取付部の補強部材と防音パネル部のFRPスキン材との線膨張係数差を小さくすることができる。
【0032】
それにより大きな温度差の屋外使用環境においても、FRP製中実体とFRP製スキン材の接着面に剥離を生じることがなく、2つの部材の一体化により設計上期待される強度、剛性を発揮させることができる。
【0033】
また、取付部の補強部材であるFRP製中実体と防音壁全体に亘って表面に存在するFRPスキン材の界面の一部が屋外に露出している場合でも、界面の密着性が確保されているため、雨水などが取付部の内部まで浸入することがなく、さらには金属部材を使用していないため、錆びなどの腐食の心配もない。
【0034】
また取付部は補強部材であるFRP製中実体とFRPスキン材から構成されるFRP中実構造とすることにより、施工現場で固定用貫通孔を取付部の任意の位置に加工することができるため、建築物躯体への取付の自由度が大きくなる。
【0035】
さらに、取付部の補強部材であるFRP製中実体は、取付部から防音パネル部の下部に延在しているため、取付部に設けられた固定用貫通孔直近部分において発生する剪断応力集中を緩和することができ、防音壁に必要な強度を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の最良の実施形態の例を、図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1は本発明の一実施態様に係るFRP製防音壁の斜視図であり、図2は図1の防音壁のA−A矢視の縦断面図である。
【0038】
図3は図1の防音壁を建築物躯体14に取り付けた状態の斜視図であり、図4は図3の防音壁のB−B矢視の縦断面図である。
【0039】
図1において、本発明の防音壁1は、防音パネル部2と、該防音パネル部2の高さHの2〜20%の奥行きDを有する取付部3とからなり、前記防音パネル部2はパネル面16と、該パネル面16を補強するスティフナ7とからなり、前記取付部3には固定用の貫通孔4が設けられている。
【0040】
図3において、前記取付部3は建築物躯体14への接合のための取付部であり、取付部3の奥行きDは、高さHの防音パネル部2が受けた風圧により発生する曲げモーメントを建築物躯体14に十分伝達できる距離が必要である。取付部3の奥行きDが小さすぎると曲げモーメントを建築物躯体14に十分伝えることができないし、大き過ぎると取付部3の奥行きDに対応する建築物躯体14側の取付部の寸法D’も大きくする必要があり、建築物躯体14が大きくなり、建築物の建設費用が高くなるという問題がある。
【0041】
したがって、取付部3の奥行きDは防音パネル部2の高さHの2〜20%とするものである。好ましくは10〜15%である。
【0042】
図2に示すように、取付部3は補強部材であるFRP製中実体5とFRPスキン材6から構成され、FRPスキン材6は防音壁1の全体に亘って表面に存在している。
【0043】
FRP製中実体5のマトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が好適であり、これらの樹脂中に層状化合物(例えば、マイカ、二硫化モリブデン、窒化硼素など)や針状化合物(例えば、ゾノトライト、チタン酸カリ、炭素繊維など)、粒状および板状化合物(例えば、フェライト、タルク、クレーなど)などの制振剤を添加することができる。制振剤を添加することによって、無機物結晶同士あるいは無機物とマトリクスとの相互運動による摩擦熱への変換がなされ、上記フィラーを充填することによって弾性率と密度が増大し、振動物体の運動エネルギーを消散させて、パネルの振動を軽減することができる。かかる制振剤は、その添加量に比例し制振効果が大きくなるが、添加量がマトリクス樹脂の全体積の5体積%より小さいとその制振効果が小さくなることがあり、70体積%を越えるとマトリクス樹脂の補強繊維への含浸性が悪化することがあるため、添加量はマトリクス樹脂の全体積の5〜70体積%含まれていることが好ましく、より好ましくは10〜50体積%である。
【0044】
また、上記のマトリクス樹脂中に難燃剤を添加して、難燃性を向上させることができる。フェノール樹脂はそれ自体で難燃性に優れており、かつ安価であるため好ましく使用される。かかる難燃剤は、使用するマトリクス樹脂によって適宜選定することができ、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン等の臭素系難燃剤の他、トリフェニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル、ポリリン酸塩類、赤リン系等のリン系難燃剤や三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤を使用することができる。塩素系難燃剤も使用可能であるが、燃焼時の有害物質発生の問題から環境面を考慮した上での使用が望ましい。難燃剤の種類によりその難燃効果は異なるが、添加量がマトリクス樹脂の全重量の0.1重量%未満では難燃効果がほとんどなく、50重量%以上では耐熱性、耐光性の低下や機械物性の低下を引き起こすことがあるため、添加量は0.1〜60重量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜40重量%である。
【0045】
なお、上記これらの添加物は、取り付ける箇所つまり、火災による延焼を防ぐところ、振動伝播が著しいところなどの状況に合わせて、両方またはいずれか一方を適宜選択すればよい。
【0046】
前記FRP製中実体5の補強繊維としては、用途、使用条件に応じて適宜、ガラス繊維や炭素繊維などからなる無機繊維や、アラミド繊維、ナイロン繊維あるいはポリエステル繊維などの有機繊維などを用いることができる。また、用いられる繊維の形態としては、例えば、繊維長が1〜3mmである短繊維やマット、連続繊維からなるクロス、ストランドなどを好適に用いることができる。
【0047】
ここで、軽量で高強度のFRPを得るためには、炭素繊維が最も好ましいが、コストとのバランスを取るため、ガラス繊維/炭素繊維のハイブリッド、あるいはガラス繊維のものも好ましい。
【0048】
炭素繊維を入れることにより、振動減衰性が向上するため、特に鉄道高架橋での使用に適している。さらに用いる炭素繊維の種類は、炭素繊維の高い強度および弾性率を考えると、どんなものでも良いが、より低コスト化のためには、いわゆるラージ・トウの炭素繊維を用いるのが最も好ましい。例えば、炭素繊維糸1本のフィラメント数が通常の10,000本未満のものではなく、10,000〜300,000本の範囲、より好ましくは50,000〜150,000本の範囲にあるトウ状の炭素繊維フィラメント糸を使用するほうが樹脂の含浸性、補強繊維基材としての取り扱い性、さらには補強繊維基材の経済性おいて、より優れるため、好ましい。また、必要に応じて、あるいは要求される機械特性などに応じて、補強繊維の層を複数層に積層して補強繊維基材を形成し、その補強繊維基材に樹脂を含浸する。積層する補強繊維層には、一方向に引き揃えた繊維層や織物層を適宜積層でき、その繊維配向方向も、要求される強度の方向に応じて適宜選択できる。
【0049】
防音壁1に風圧が作用すると、取付部3に設けられた固定用の貫通孔4による断面欠損により、貫通孔4周辺のFRP中実体5およびFRPスキン材6に大きな剪断力が作用することになる。この剪断力に対する十分な強度を付与するため、図1〜図4に示すように前記FRP製中実体5は少なくとも幅方向の一部において取付部3から防音パネル部2の下部に延在している。
【0050】
図5に図1〜図4の防音壁1のFRP製中実体5を示す。
【0051】
図1〜4に示すようにFRP製中実体5は防音壁幅方向全体に亘って取付部3から防音パネル部2の下部に延在していることが本発明の好ましい一態様でり、この場合図5に示すような形状をしている。
【0052】
また、図6に本発明の別の実施態様に係るFRP製防音壁の斜視図を、図7に図6の防音壁1のFRP製中実体5を示す。すなわち、FRP製中実体5は、図6に示すようにFRP製中実体5およびFRP製スキン材6に作用する剪断力の応力集中が最も大きい貫通孔4直近部分のみ、取付部3から防音パネル部2の下部に延在しても良い。この場合、図7に示すように延在させる幅Wp,iは、対応する直近部分の貫通孔4一箇所につき貫通孔幅Wh,iの1〜10倍であることが好ましい。
【0053】
貫通孔4周辺のFRP製中実体5およびFRPスキン材6に作用する剪断力の集中度合いをすべての貫通孔において同等とすることにより使用材料を最小限にした最適設計ができるという点から、前記Wh,i(i=1,2,・・・,n)の全ては、全貫通孔幅の平均値=ΣWh,i/nの0.9〜1.1倍であることが好ましく、Wh,iの全てを同じ値とすることがより好ましい。
【0054】
なお、隣接する貫通孔の間隔(Wh,iのWh,i+1側端部と、Wh,i+1のWh,i側端部の距離)は、小さすぎると貫通孔幅が広くなったのと同様に、貫通孔4周辺のFRP製中実体5およびFRPスキン材6に作用する剪断力の集中度合いが高くなる。この剪断力集中を避けるため、隣接する貫通孔の間隔は、Wh,iの1〜50倍であることが好ましく、より好ましくは2〜25倍である。
【0055】
同様に、貫通孔4周辺のFRP製中実体5およびFRPスキン材6に作用する剪断力集中に対する補強度合いをすべての貫通孔において同等とすることにより使用材料を最小限にした最適設計ができるという点から、前記Wp,i(i=1,2,・・・,n)の全ては、全延在させる幅の平均値=ΣWp,i/nの0.9〜1.1倍であることが好ましく、Wp,iの全てを同じ値とすることがより好ましい。
【0056】
図3に示すように、取付部3を構成する補強部材であるFRP製中実体5は、取付部3が建築物躯体10に対し確実に固定することができるように、防音パネル部2のパネル面と平行な方向に軸(X)方向を持ち、少なくとも一対の相対する平行な面を有することが好ましい。
【0057】
図4に示すように、FRP製中実体5の前記一対の平行な面のうち、一方の面a側に建築物躯体10が、他のもう一方の面b側に座金12、ナット13などの締結部材を配置することにより、防音壁を確実に建築物躯体14に固定することができる。なお、ここで言う一対の平行な面とは、どこまで延長しても交わらない平面と平面を意味するが、防音壁を確実に建築物躯体14に固定することができるという目的を損なわない限りにおいて、若干(例えば5°以下)の傾きがあっても差し支えが無い。
【0058】
取付部3に設けられた貫通孔4は、FRP製中実体5の前記一対の相対する並行な面間を貫通するように設けられ、図4に示すように、防音壁1は予め建築物躯体10に埋設されたアンカーボルト11に前記貫通孔4を挿入し、座金12およびナット13により建築物躯体10に固定される。
【0059】
ここで、取付部3とアンカーボルト11との相対位置がずれないように、貫通孔4の内部にはアンカーボルト11との隙間を埋めるためにグラウト材14を充填することもできる。
【0060】
図4に示す堰止め材15は、グラウト材14が充填時に漏れないようにするためのものである。
【0061】
図8に本発明のさらに別の実施態様に係るFRP製防音壁の斜視図を、図9に図8の防音壁のC−C矢視の縦断面図を示す。
【0062】
図10に図8の防音壁1のFRP製中実体5の斜視図を示す。
【0063】
図8に示す防音壁において貫通孔4は円形でアンカーボルト1本に対し貫通孔1つが開けられている。
本実施態様においても図8に示すようにFRP製中実体5は防音壁幅方向全体に亘って取付部3から防音パネル部2の下部に延在するよう図10に示すような成形加工し易い簡素化した形状としても良い。
【0064】
図11に更に別の実施態様に係わるFRP製防音壁の斜視図を、図12に図11の防音壁1のFRP製中実体5の斜視図を示す。
【0065】
本実施態様においても図11に示すようにFRP製中実体5が取付部3から防音パネル部2の下部に延在する位置は、最も応力集中する貫通孔4直近部分のみとしても良い。
【0066】
そして図12に示すように延在させる幅Wp,iは、対応する直近部分の貫通孔4一箇所につき貫通孔幅Wh,iの1〜10倍であることが好ましい。
【0067】
貫通孔4周辺のFRP製中実体5およびFRPスキン材6に作用する剪断力の集中度合いをすべての貫通孔において同等とすることにより使用材料を最小限にした最適設計ができるという点から、前記Wh,i(i=1,2,・・・,n)の全ては、全貫通孔幅の平均値=ΣWh,i/nの0.9〜1.1倍であることが好ましく、Wh,iの全てを同じ値とすることがより好ましい。
【0068】
なお、隣接する貫通孔の間隔(Wh,iのWh,i+1側端部と、Wh,i+1のWh,i側端部の距離)は、小さすぎると貫通孔幅が広くなったのと同様に、貫通孔4周辺のFRP製中実体5およびFRPスキン材6に作用する剪断力の集中度合いが高くなる。この剪断力集中を避けるため、隣接する貫通孔の間隔は、Wh,iの1〜50倍であることが好ましく、より好ましくは2〜25倍である。
【0069】
同様に、貫通孔4周辺のFRP製中実体5およびFRPスキン材6に作用する剪断力集中に対する補強度合いをすべての貫通孔において同等とすることにより使用材料を最小限にした最適設計ができるという点から、前記Wp,i(i=1,2,・・・,n)の全ては、全延在させる幅の平均値=ΣWp,i/nの0.9〜1.1倍であることが好ましく、Wp,iの全てを同じ値とすることがより好ましい。
【0070】
上述のように取付部3に設けられた貫通孔4の形状は円形、楕円形、矩形等、特に限定されるものではない。
【0071】
図4において、取付部3はFRP製中実体5とFRPスキン材6から構成され、FRPスキン材6は防音壁1の全体に亘って表面に存在している。これにより、防音パネル部2が受けた風荷重を取付部3に伝達することができる。
【0072】
FRPスキン材6の補強繊維およびマトリクス樹脂としては、FRP製中実体5に用いられる補強繊維およびマトリクス樹脂が使用可能であるが、マトリクス樹脂はFRP製中実体5と一体化するため、FRP製中実体6と同一マトリクス樹脂であることが好ましい。
【0073】
本発明に係るFRP製防音壁の取付部3の厚さは、前記防音パネル部の高さの1〜5%であることが好ましく、1〜3%であることがより好ましい。取付部の厚さが5%を越えるとFRP中実体5を成形するのにかかる材料コスト、成形コストが増大する場合がある。一方、取付部3の厚さが1%以下であると防音パネル部2が受けた風圧による荷重を建築物躯体14に伝達できるだけの十分な強度を取付部が確保できないことがある。
【0074】
防音パネル部2は音源からの騒音を遮音することを目的としている。基本的に遮音性能の指標である音響透過損失は、質量則に従い、単位面積当たりの重量が大きいものほど大きくなり、防音性能が高くなる。しかしながら、単位面積当たりの重量を大きくすれば、防音壁1の重量が大きくなり、取り扱い性や施工性が悪化する。したがって、防音パネル部2の単位面積当たりの重量は、10〜60kg/mの範囲内であることが好ましい。
【0075】
防音パネル部2は、例えば図4に示すような、相対するFRPスキン材6間に芯材8が配置されたサンドイッチ構造、または、図13に示すようなFRPスキン材6の単板構造のいずれであってもよい。サンドイッチ構造の場合の芯材8の材質としては、発泡プラスチック、木材、金属、パルプ、無機質をバインダーで固めたものなどが選択でき、形態としては板状体、ハニカム状体などが選択できる。芯材8の材質および形態は、音響特性、機械特性、軽量性、コストなど要求される特性に応じて適宜選択できる。
【0076】
図14は本発明の更に別の実施態様に係る防音壁1を示し、図15は図14のE−E矢視の縦断面図を示している。本実施態様においては、防音壁1は高架橋などの建築物躯体10の鉛直面を覆うように、取付部3の下方にスカート部9を有している。
【0077】
スカート部9は、防音壁1の全体に亘って表面に存在するFRPスキン材6により構成される。スカート部9は図15に示すようなFRPスキン材6の内部に芯材を有する構造、いわゆるサンドイッチ構造であってもよいし、図16のような芯材のないFRP単板構造とすることもできる。スカート部9も防音パネル部2と同様に風圧を受け、スカート部9の根本には大きな曲げ荷重が作用するため、曲げ荷重に対し材料効率よく設計できるサンドイッチ構造であることがより好ましい。
【0078】
スカート部9によりコンクリート製の建築物躯体10の鉛直面が直接降雨に曝されるのを防ぐことができ、コンクリートの中性化による劣化を防止でき、建築物躯体10の耐久性の向上につながる。また、防音壁1の取付部3と建築物躯体10の境界が民家側から見えなくなり、見栄えが良くなるというメリットもある。
【0079】
図3、図4、図13、図14、図15、図16は、防音壁1の高架橋などの建築物躯体10への取付構造例を示している。例えば、建築物躯体10に予め設けられたアンカーボルト11と座金12およびナット13により防音壁1の取付部3が建築物躯体10に固定される。
【0080】
建築物躯体10に設けられたアンカーボルトの打設精度が悪い場合や配設ピッチが特殊である場合には、固定用の貫通孔4をアンカーボルトの位置に合わせて施工現場で加工した後、防音壁1を建築物躯体10に固定してもよい。
【実施例】
【0081】
以上の本発明の防音壁の実施例について説明する。
【0082】
図1および図2における防音壁に対し、マトリクス樹脂に難燃剤として水酸化アルミニウムを30重量%添加した不飽和ポリエステル樹脂を用い、ハンドレイアップ成形法により、FRP製中実体5を形成し、その後、防音壁1を形成した。
【0083】
まず以下の構成でL型断面をしたFRP製中実体5を形成した。
【0084】
L型断面のキャビティを持つFRP製中実体5の成形型の下型に補強繊維基材をとして(1)ガラスストランドマット基材1、(2)炭素繊維織物基材1の順に配置し、(3)ガラスストランドマット基材1を11枚、ガラスロービング織物基材1を10枚、交互に配置した後、さらに(4)炭素繊維織物基材1、(6)ガラスストランドマット基材1を配置した。その上にFRP製中実体5の成形上型を載せて加圧し、図17に示す形状のFRP製中実体5を得た。
【0085】
そして、防音壁1を以下の構成で形成した。
【0086】
防音壁1の成形型に難燃性ゲルコート樹脂を塗布し、補強繊維基材として(1)ガラスストランドマット基材1、(2)ガラスロービング織物基材1、(3)ガラスストランドマット基材1、(4)ガラスストランドマット基材1の順に配置し、樹脂を含浸させFRPスキン材6とした。その上に防音パネル部2には芯材8として比重0.3の木質系コアを、取付部3には先に成形したFRP製中実体5を配置した。
【0087】
さらにFRP製中実体5の取付用の貫通孔が設けられる面の両面には、(5)ガラス0/±45°/ストランドマット基材1、(6)炭素繊維織物基材1×2枚を配置した後、先に配置した(4)ガラスストランドマット基材1、(3)ガラスストランドマット基材1、(2)ガラスロービング織物基材1、(1)ガラスストランドマット基材1を順に折り返して取付部3を覆うように配置した。
【0088】
そして、その上に反対側のFRPスキン材として、(7)ガラスストランドマット基材1、(8)ガラスストランドマット基材1、(9)ガラスロービング織物基材1、(10)ガラスストランドマット基材1を配置して樹脂を含浸させた。
【0089】
最後に上型をセットし、型内を減圧して樹脂を硬化させた後、成形型から成形品を脱型し、防音壁1を得た。
【0090】
FRP製中実体5の貫通孔が設けられる面の両面に炭素繊維織物基材を配置したのは、防音壁1が風荷重を受けたときに取付部3が曲げ変形するのを防止するためである。
以上のようにして得られた本発明のFRP製防音壁1は、図18に示すような防音パネル部2の高さHが1690mm、幅1030mm、厚さが20mm、取付部3の奥行きが190mm、高さが25mmで、重量は55kgであった。
【0091】
このようにして得られたFRP製防音壁の強度を次の方法により評価した結果を表1に示す。
【0092】
防音パネル部2のパネル面16が水平方向となるように、実際の建築物躯体10への取り付けと同一方法で架台に固定し、大型の万能試験機(島津製作所製SERVO−PULSER EHF−UG300KN−140L形)にて防音パネル部2の高さ中央部に鉛直上方から圧縮荷重を負荷し、破壊時の荷重(最大荷重)を測定した。
【0093】
また、比較のため、このFRP製防音壁と防音パネル部2の高さH、幅および取付部の奥行き寸法がほぼ同一で、取付部3が防音壁の全体に亘って表面に存在するFRPスキン材6と、該FRPスキン材6の内部に内包された金属部材(角形鋼管)からなり、取付部3の高さが89mmの従来のFRP製防音壁を製作し、同様の方法で破壊時の荷重を測定した結果を表1に付記した。
【0094】
本発明のFRP製防音壁は防音壁に必要な強度15.3kNを保持しており、屋外環境での使用に不利な取付部を繊維強化プラスチックと金属部材とのハイブリッド構成としなくても十分な強度を確保できることが分かった。
【0095】
また、本発明のFRP製防音壁は工場製作後、防音壁設置現場で取り付け用の貫通孔を簡単な工具を使用することにより加工することができた。
【0096】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、鉄道用の防音壁や高欄、道路などに設けられる防音壁の他、屋内に設置される防音壁や、工事現場の騒音に対する防音壁、さらには屋外で腐食環境にある沿岸地域での防風板などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明のFRP製防音壁に係る一実施態様の斜視図である。
【図2】図1の防音壁のA−A矢視の縦断面図である。
【図3】図1の防音壁を建築物躯体に取り付けた状態の斜視図である。
【図4】図3の防音壁のB−B矢視の縦断面図である。
【図5】図1のFRP製中実体の斜視図である。
【図6】本発明におけるFRP製防音壁の他の実施態様に係わる防音壁の斜視図である。
【図7】図6のFRP製中実体の斜視図である。
【図8】本発明におけるFRP製防音壁のさらに他の実施態様に係わる防音壁の斜視図である。
【図9】図8の防音壁のC−C矢視の縦断面図である。
【図10】図8のFRP製中実体の斜視図である。
【図11】本発明におけるFRP製防音壁のさらに他の実施態様に係わる防音壁の斜視図である。
【図12】図11のFRP製中実体の斜視図である。
【図13】本発明におけるFRP製防音壁のさらに他の実施態様に係る断面形態を示す縦断面図である。
【図14】本発明におけるFRP製防音壁のさらに他の実施態様に係る防音壁を建築物躯体に取り付けた状態の斜視図である。
【図15】図14の防音壁のE−E矢視の縦断面図である。
【図16】本発明におけるFRP製防音壁のさらに他の実施態様に係わる防音壁を建築物躯体に取り付けた状態の断面形態を示す縦断面図である。
【図17】本発明におけるFRP製防音壁の一実施例に係わるFRP製中実体を示す。
【図18】本発明におけるFRP製防音壁の一実施例に係わる防音壁を示す。
【符号の説明】
【0099】
1:FRP製防音壁
2:防音パネル部
3:取付部
4:貫通孔
5:FRP製中実体
6:FRPスキン材
7:スティフナ
8:芯材
9:スカート部
10:建築物躯体
11:アンカーボルト
12:座金
13:ナット
14:グラウト材
15:堰止め材
16:パネル面
D:防音パネル部の奥行き
D’:建築物躯体側の取付部の寸法
H:防音パネル部の高さ
:貫通孔の幅
:FRP製中実体の取付部から防音パネル部の下部に延在する部分の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRP製の防音パネル部と、該防音パネル部の高さの2〜20%の奥行きを有し、固定用の貫通孔を設けた取付部とを有するFRP製防音壁であって、前記取付部が少なくとも補強部材であるFRP製中実体とFRPスキン材から構成され、前記FRPスキン材は前記FRP製防音壁全体に亘って表面に存在し、前記FRP製中実体は少なくとも幅方向の一部において取付部から防音パネル部の下部に延在していることを特徴とするFRP製防音壁。
【請求項2】
前記防音パネル部の前記貫通孔直近部分において、貫通孔幅の1〜10倍の幅に亘って前記FRP製中実体が取付部から防音パネル部の下部に延在していることを特徴とする請求項1に記載のFRP製防音壁。
【請求項3】
前記FRP製中実体が、幅方向全体に亘って取付部から防音パネル部の下部に延在していることを特徴とする請求項1または2に記載のFRP製防音壁。
【請求項4】
前記FRP製中実体が前記防音パネル部のパネル面と平行な方向に軸方向を持ち、かつ少なくとも一対の相対する平行な面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【請求項5】
前記貫通孔が前記FRP製中実体の前記一対の相対する平行な面間を貫通するように設けられていることを特徴とする請求項4に記載のFRP製防音壁。
【請求項6】
前記防音パネル部が、前記FRPスキン材の内部に芯材を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【請求項7】
前記取付部の厚さが、前記防音パネル部の高さの1〜3%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【請求項8】
前記防音パネル部のパネル面における単位面積当たりの重量が、10〜60kg/mの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【請求項9】
前記FRP製中実体および/または前記FRPスキン材のマトリクス樹脂が、難燃剤および/または制振剤を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【請求項10】
前記FRPスキン材が、前記取付部下部に設けられたスカート部を構成することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のFRP製防音壁。
【請求項11】
前記スカート部が、前記FRPスキン材の内部に芯材を有することを特徴とする請求項10に記載のFRP製防音壁。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のFRP製防音壁に設けられた貫通孔に、予め建築物躯体に埋設されたアンカーボルトを挿入し、さらにナットを用いて固定することを特徴とするFRP製防音壁の取付方法。
【請求項13】
前記FRP製防音壁の取付部に設けられている固定用の貫通孔を施工現場で孔開け加工した後に、建築物躯体に固定することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のFRP製防音壁の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−184803(P2008−184803A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19020(P2007−19020)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】