説明

GM−CSF成分およびポリマーの複合体

本発明はGM-CSF成分および1つ又は複数の水溶性ポリマーの複合体を提供する。典型的には、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)もしくはそれらの誘導体である。複合体を含む組成物、複合体を作るための方法、および複合体を含む組成物を患者へ投与するための方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、一般的にGM−CSF成分(すなわち、GM−CSF活性を有する一部分)およびポリマーを含む複合体に関する。さらに、本発明は、(とりわけ)前記複合体を含む組成物、前記複合体を合成する方法、および前記複合体をデリバリーするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
人間の造血系の重要な機能の1つとして、種々の白血球(マクロファージ、好中球、および好塩基球/肥満細胞を含む)、赤血球(例えば、erythrocytes(赤血球))および血塊形成細胞(例えば、巨核球/肥満細胞)の補充が挙げられる。これらの特殊化した細胞は骨髄に位置している造血前駆細胞により作られる。「コロニー刺激因子」と呼ばれる特定のホルモン様の糖タンパクは、造血前駆細胞をいくつかある特殊化した細胞の1つへと分化および成熟化するのを制御する。
【0003】
このようなコロニー刺激因子の1つに顆粒球マクロファージコロニー刺激因子もしくは「GM−CSF」がある。その名称が暗示する通り、このコロニー刺激因子は顆粒球およびマクロファージ白血球の増殖、分化を促進するが、その他の細胞種類の形成も促進することもある。GM−CSFは、サイトカイン、免疫性および炎症性刺激に反応し、いくつかの異なる細胞種類(活性化したT細胞、B細胞、マクロファージ、肥満細胞、内皮細胞、および線維芽細胞)によって産生される。天然GM−CSFは127アミノ酸の糖タンパク質で、グリコシル化の範囲によって種々の分子量を有することができる。
【0004】
薬理学的には、化学療法中に殺されてしまう白血球の補充を促進させるために、GM−CSFは癌患者に投与されてきた。白血球の補充を促進させるという同様の目的にて、このコロニー刺激因子は骨髄置換治療を受けている白血病患者にも投与されてきた。創傷治癒促進など更なる応用も提案されている。例えば、米国特許番号6,689,351を参照。
【0005】
GM−CSF療法の現在の形に関連した欠点はその投薬回数にある。GM−CSF療法は、通常、連日注射を要するため、患者はこの投薬計画の不便さ、不快感を嫌う。白血球数を測定するため血液検査が頻繁に行われなければならないことに加え(これは医師を頻繁に訪れることを要する)、多くの患者は、より煩わしくなく、および/もしくは注射する回数が少なく済む選択肢を好む。
【0006】
これらの問題についての1つの解決策は、GM−CSFを持続放出形式にて提供することである。例えば、米国特許番号5,942,253にポリ(乳酸−グリコール酸共重合体)もしくはGM−CSFの他の生分解可能なポリマー微粒子について記述している。しかし、微粒子の形成は、いくつかの合成的段階を要する複雑なプロセスとなることがある。従って、この持続放出法においては理想的には避けたい複雑さに悩まされる。
【0007】
PEG化もしくは、ポリ(エチレングリコール)誘導体のタンパク質への付着は、タンパク質の生体内半減期を延期する手段とされてきた。例えば、米国特許番号5,880,255では、GM−CSFと2,2,2-トリフルオロエタンスルホン酸に誘導化された5,000ダルトンの分子量を有する線型モノメトキシポリ(エチレングリコール)との反応から形成されたポリ(エチレングリコール)との複合体について記述している。
【0008】
しかし、前述の複合体にかかわらず、例えば、5,000ダルトンよりも大きい分子量を有するポリマー、異なる構造(例えば、分岐したおよび/もしくはフォーク形の構造)、異なる付着部位、部位特定もしくは部位選択的な付着部位などを有するポリマーを有する、GM−CSFの他の複合体の必要性が残る。
【0009】
従って、更なるGM−CSF成分-ポリマーの複合体を提供する技術の必要性が残る。それ故、とりわけ、本発明の1又は複数の実施例は、かかる複合体、並びに当該複合体を含む組成分、および本明細書中に記載される関連手法に関し、当該手法は新しく、従来技術において全く提案されていないものと思われる。
【発明の開示】
【0010】
発明の要約
従って、本発明の1又は複数の態様において、以下の構造式:
【化1】

を含む複合体であって、
{式中、
POLYは、水溶性のポリマーであり、
(a)は、ゼロもしくは1であり、
1は、存在する場合、1又は複数の原子を含むスペーサー部分であり、
1は、有機ラジカルであり、
GM−CSFは、GM−CSF成分である。}、前記複合体を提供する。
【0011】
本発明の1又は複数の態様において、以下の構造式:
【化2】

を含む複合体であって、
{式中、
POLYは、水溶性のポリマーであり、
Xは、1又は複数の原子を含むスペーサー部分であり、
(b)は、ゼロまたは1〜10までの値を有する整数(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)であり、
(c)は、ゼロまたは1〜10までの値を有する整数(すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10)であり、
2は、各々存在する場合、独立して、Hまたは有機ラジカルであり、
3は、各々存在する場合、独立して、Hまたは有機ラジカルであり、
GM−CSFはGM−CSF成分である。}複合体を提供する。
【0012】
本発明の1又は複数の態様において、分岐水溶性ポリマーに、直接あるいは1又は複数の原子を含むスペーサー部分を介してのいずれかで、共有結合した内部アミンを含むGM−CSF成分を含む複合体を提供する。
【0013】
本発明の1又は複数の態様において、本願明細書に提供される複合体を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明の1又は複数の態様において、医薬組成物であって、(i)水溶性ポリマーに直接、あるいは1又は複数の原子を含むスペーサー部分を介してのいずれかで、共有結合したヒトGM−CSFを含む複合体であって、ここで、前記水溶性ポリマーが5,000ダルトンを越える重量平均分子量を有し、但し、前記水溶性ポリマーが分岐水溶性ポリマーの場合、前記分岐水溶性ポリマーはリジン残基を含まない、前記複合体、及び(ii)医薬として許容される賦形剤を含み、ここで前記医薬組成物における前記複合体の少なくとも85%はヒトGM−CSFに結合した計1〜2のポリマーを有するであろう、上記医薬組成物生物を提供する。
【0015】
本発明の1又は複数の態様において、本明細書に提供される医薬組成物を患者に投与するためのステップを含む複合体を患者にデリバリーする方法を提供する。
【0016】
本発明の1又は複数の態様において、複合体を作成する方法であって、共役条件下、GM−CSF成分とポリマー試薬とを接触させ、本明細書に提供される複合体および/もしくは組成物を生じさせるステップを含む、前記方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明の一つまたは複数の実施例を説明する前に、本発明が特定のポリマー、合成技術、GM−CSF成分等に限定されないものであり、変更可能であることを理解されたい。
【0018】
留意しなければならないのは、本明細書および請求項で使用されるように、単数形は、その内容が明らかにそうではないことを指示しない限り、複数の指示対象も含むものとする。従って、例えば「ポリマー」とは、単一のポリマーのみではなく二つまたはそれ以上の同一または異なったポリマーを示し、「医薬として許容される賦形剤」とは、単一の医薬として許容される賦形剤のみではなく二つまたはそれ以上の同一または異なった医薬として許容される賦形剤を示す等である。
【0019】
本発明を説明および請求する上で、次の専門用語は以下に示される定義に従って使用される。
【0020】
本明細書中に使用される「PEG」、「ポリエチレングリコール」および「ポリ(エチレングリコール)」は、置き換え可能である。一般的に、本発明に従って使用されるPEGは、(n)が2〜4000である以下の構造:「−(OCH2CH2n−」を含んでいる。また、本明細書中に使用されるPEGも、末端酸素が置換されたか否かによって「−CH2CH2−O(CH2CH2O)n−CH2CH2−」および「−(OCH2CH2nO−」を含んでいる。本明細書および請求項にわたり、「PEG」という用語は、様々な末端基または「末端キャッピング」基を有する構造を含んでいることに注意しなければならない。また「PEG」という用語は、大部分、つまり50%超が−OCH2CH2−または−CH2CH2O−反復サブユニットであるということを意味する。特定の形状に関し、さらに詳細な説明をする上で、PEGは、「分岐」、「線状」、「フォーク形状」、「多機能」などといった構造または配置ばかりでなく、さまざまな分子量の数を取ることが可能である。
【0021】
「エンドキャップ型」および「末端キャップ型」という用語は、本明細書中では置き換え可能であり、エンドキャッピング部分を有するポリマーの末端またはエンドポイントを指す。必ずしもそうとは限らないが、一般的に、末端キャッピング基はヒドロキシまたはC1-20アルコキシ基、さらに好ましくはC1-10アルコキシ基、さらに一層好ましくはC1-5アルコキシ基を含む。従って、末端キャッピング基の例では、アリール、ヘテロアリール、シクロ、ヘテロシクロ等だけでなくアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、およびベンジルオキシ)も含む。注意しなければならないのは、末端キャッピング基は、ポリマー内の末端モノマーの一つまたは複数の原子を含み得る(例えば、CH3(OCH2CH2n−内の末端キャッピング基「メトキシ」)。また、前述したそれぞれの飽和、不飽和、置換および非置換体が企図される。さらに当該末端キャッピング基は、シランであることも可能である。また有利には、当該末端キャッピング基は、検出可能な標識を含むことも可能である。当該ポリマーが、検出可能な標識を含む末端キャッピング基を有している場合、ポリマーおよび/またはポリマーが連結されている成分(例えば、活性剤)の量および/または位置は適切な検出器を使用することによって決定することが可能である。このような標識は、非制限的に、蛍光物質、化学発光物質、酵素標識に使用される成分、比色成分(例えば、染料)、金属イオン、放射能部分等を含む。適切な検出器とは、光度計、フィルム、分光器等を含む。また、当該末端キャッピング基は、有利に、リン脂質を含むことも可能である。ポリマーがリン脂質を含む末端キャッピング基を有している場合、独自の特性がポリマーに与えられ、結果として複合体となる。例示的なリン脂質とは、非制限的に、ホスファチジルコリンと呼ばれるリン脂質の種類から選択されるものを含む。特定のリン脂質には、非制限的に、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステロイルホスファチジルコリン、ベヘノイルホスファチジルコリン、アラキドイルホスファチジルコリン、およびレシチンから成る群から選択されるものを含む。
【0022】
本明細書中に記載されるポリマーに関する「非天然的発生」とは、天然にはその全体が見受けられないポリマーを意味する。しかし、非天然的発生ポリマーは、全体的ポリマー構造が天然に見受けらない限り、一つまたは複数の天然発生するモノマーまたはモノマー断片を含み得る。
【0023】
「水溶性ポリマー」の「水溶性」という用語は、室温で水に溶けるポリマーである。一般的に水溶性ポリマーは、ろ過後の同一溶液によって伝送された光の少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約95%を伝送する。重量ベースで、水溶性ポリマーは、好ましくは少なくとも約35%(重量)が水に溶け、さらに好ましくは少なくとも約50%(重量)が水に溶け、さらに一層好ましくは約70%(重量)が水に溶け、さらにより一層好ましくは約85%(重量)が水に溶ける。しかし、水溶性ポリマーの約95%(重量)が水に溶ける、または完全に水に溶けることが最も好ましい。
【0024】
PEGの如き水溶性ポリマーの内容における分子量は、数平均分子量または重量平均分子量のいずれかで表記され得る。特段の指示が無い限り、本明細書内のすべての分子量とは、重量平均分子量を示す。数平均分子量および重量平均分子量の両者の分子量決定は、ゲル透過クロマトグラフィーまたはその他の液体クロマトグラフィー技術を使用して測定することが可能である。分子量値を測定するためのその他の方法として、数平均分子量を決定するためには、末端基分析の使用または束一性の測定(例えば、凝固点降下、沸点上昇、または浸透圧)、または重量平均分子量を決定するためには、光散乱技術、超遠心分離法または粘度測定を使用することも可能である。本発明のポリマーは、一般的に、好ましくは約1.2未満、より好ましくは約1.15未満、さらに好ましくは約1.10未満、さらにより一層好ましくは約1.05未満、そして最も好ましくは1.03未満の低多分散性値を有する多分散系(すなわち、当該ポリマーの数平均分子量および重量平均分子量は、等しくない)である。本明細書内で使用されるように、折に触れて、重量平均分子量または数平均分子量のいずれかを有する単一水溶性ポリマーに対し言及されるが、かかる言及が、安定した分子量を有する水溶性ポリマーの組成から得られたことを意味する旨を理解されたい。
【0025】
特定の官能基と結合する際の「活性」または「活性化」という用語は、他の粒子における求電子試薬または求核試薬に直ちに反応する反応官能基を示す。これは、反応するために強力な触媒または非常に実用的でない反応条件を必要とするそれらの基(すなわち、「非反応性」または「不活性」基)とは対照的である。
【0026】
本明細書内で使用されるように、「官能基」という用語またはその同義語は、非保護形態だけでなくその保護形態を含むことを意味する。
【0027】
「スペーサー部分」、「結合」、または「リンカー」という用語は、本明細書中で、ポリマーの末端およびGM−CSF成分またはGM−CSF成分の求電子試薬もしくは求核試薬の如き相互接続部分に結合するために使用される原子または原子の集まりを示す。当該スペーサー部分は、加水分解に安定となり得、または生理的に加水分解可能もしくは酵素的に分解可能な結合を含み得る。
【0028】
「アルキル」は、炭化水素鎖を示し、一般的に長さが約1から15原子である。かかる炭化水素鎖は、一般的には直鎖が好ましいけれども、必ずしもそうである必要は無く好ましくは飽和状態であり、分岐または直鎖となり得る。例示的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、3−メチルペンチル等を含む。本明細書中に使用されるように、「アルキル」とは、シクロアルキル含有アルキルだけでなくシクロアルキルも含む。
【0029】
「低アルキル」とは、1から6の炭素原子を含むアルキル基を示し、直鎖または分岐であり得る。低アルキルの非制限的な例においては、メチル、エチル、n−ブチル、i−ブチル、およびt−ブチルを含む。
【0030】
「シクロアルキル」とは、架橋、融解、またはスピロ環状化合物を含む飽和または不飽和環状炭化水素鎖を示し、好ましくは3から約12の炭素原子、さらに好ましくは3から約8の炭素原子から成る。「シクロアルキレン」とは、環状系におけるいずれか二つの炭素で、鎖に結合することによってアルキル鎖に挿入されたシクロアルキル基を示す。
【0031】
「アルコキシ」は−O−R基を示し、ここで、Rは、アルキルまたは置換アルキル、好ましくはC1-6アルキル(例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシなど)である。
【0032】
例えば「置換アルキル」などの「置換」という用語は、一つまたは複数の非干渉性置換基で置換された基(例えば、アルキル基)といい、例えば、非制限的に、アルキル、シクロプロピル、シクロブチル等の如きC3-8シクロアルキル、またフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードの如きハロ、シアノ、アルコキシ、低フェニル、置換フェニル等である。「置換アリール」とは、一つまたは複数の非干渉性置換基を有するアリールを示す。フェニル環上での置換について、置換基は、どのような配向(すなわち、オルト、メタ、パラ)であってもよい。
【0033】
「非干渉性置換基」とは分子内に存在する場合、一般的に分子に含まれる他の官能基と非反応である基のことを示す。
【0034】
「アリール」とは、それぞれが5または6の核炭素原子である、一つまたは複数の芳香環を意味する。アリールは、ナフチルにおけるように融合され得、またはビフェニルにおけるように融合され得ない複数のアリール環を含む。アリール環は、一つまたは複数の環状炭化水素、ヘテロアリールまたは複素環と融合され得るかまたは融合され得ない。本明細書中に使用されるように、「アリール」はヘテロアリールおよび複素環を含む。
【0035】
「ヘテロアリール」とは、1から4のヘテロ原子を含むアリールであり、当該ヘテロ原子は、好ましくは、硫黄、酸素、または窒素、あるいはそれらの組み合わせである。また、ヘテロアリール環は、一つまたは複数の環状炭化水素、複素環、アリールまたはヘテロアリール環と融合され得る。本明細書中で使用されるように「ヘテロアリール」とは、置換されたヘテロアリールを含む。
【0036】
「複素環」または「複素環の」とは、不飽和または芳香特性の有無に関わらず、炭素ではない少なくとも一つの環原子を有する5〜12の原子、好ましくは5〜7の原子の一つまたは複数の環を意味する。好ましいヘテロ原子は硫黄、酸素、および窒素を含んでいる。本明細書中に使用されるように、「複素環」とは、置換された複素環も含む。
【0037】
「置換されたヘテロアリール」とは、置換基として一つまたは複数の非干渉基を有するヘテロアリールである。
【0038】
「置換された複素環」とは、非干渉性置換基から形成された一つまたは複数の側鎖を有する複素環である。
【0039】
本明細書中で使用される「有機ラジカル」とは、アルキル、置換アルキル、アリール、および置換アリールを含むものとする。
【0040】
「求電子試薬」および「求電子基」とは、求電子中心、すなわち、求核試薬に反応することが可能な、電子を探索する求電子中心を有するイオン又はイオンされた原子若しくは原子の集まりを示す。
【0041】
「求核試薬」および「求核基」とは、求該中心、すなわち、求電子中心を探索し、求電子試薬に反応することが可能な当該中心を有するイオン又はイオン化された原子若しくは原子の集まりを示す。
【0042】
「加水分解可能な」または「加水分解性」結合または連結とは、生理学的条件の下で水に反応する(例えば、加水分解される)連結を示す。pH8、25℃で約30分未満の加水分解半減期を有する連結が好ましい。水中で加水分解するための連結の傾向は、二つの所定の原子を結合する一般型だけではなく、当該二つの所定の原子に結合した置換基にも依存するだろう。加水分解的に適した不安定または弱い結合には、非制限的に、カルボン酸エステル、リン酸エステル、無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、ペプチドおよびオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0043】
「酵素的に分解可能な結合」とは、一つまたは複数の酵素による分解能に左右される結合を意味する。
【0044】
「加水分解的に安定している」結合または連結とは、化学的な連結を示し、一般的には、実質上水中で安定しており、言い換えると、長時間に渡る相当な範囲に及ぶ生理学的条件の下での加水分解を被らない共有結合である。加水分解的に安定した結合の例においては、非制限的に、以下のもの:炭素―炭素結合(例えば、脂肪族鎖)、エーテル、アミド、ウレタン等を含む。概して、加水分解的に安定した結合は、生理学的条件の下、1日約1〜2%未満の加水分解率を呈するものである。代表的な化学結合の加水分解率は、ほとんどの標準的な化学の教科書で見受けられる。
【0045】
「医薬として許容される賦形剤」とは、場合により組成物の中に含まれ得る、および投与患者に対して顕著に有害な毒性効果を引き起こさない賦形剤を示す。
【0046】
本明細書中で使用される「治療有効量」とは、血流内または対象組織内において、複合体(または対応する非複合GM−CSF成分)の所望のレベルを提供するために必要なポリマー―(GM−CSF)成分の複合体の量を意味する。正確な量は特定のGM−CSF成分、治療組成物の成分および物理的特性、対象となる患者数、デリバリー形態、患者個人の配慮等といった多くの要因に依存し、当業者によって容易に決定され得る。
【0047】
「多機能」とは、それに含まれる3つまたはそれ以上の官能基を有するポリマーを示し、ここでそれらの官能基は同一または異なったものである。多機能ポリマー試薬は、一般的に、当該ポリマー骨格内に、約3〜100の官能基、または3〜50の官能基、または3〜25の官能基、または3〜15の官能基、または3から10の官能基、または3、4、5、6、7、8、9、あるいは10の官能基を含む。
【0048】
本明細書中に使用される「GM−CSF成分」とは、GM−CSF活性を有する部分を示す。また当該GM−CSF成分は、少なくとも1つのポリマー試薬との反応に適切な求電子基または求核基をも有する。当該GM−CSF成分は、すなわち、アミノ酸から成る一連のモノマーを含み、場合により一つまたは複数の位置でグリコシル化されたタンパク質である。さらに「GM−CSF成分」という用語は、結合後のGM−CSF成分残基だけでなく、結合前のGM−CSF成分をも包含する。以下にさらなる詳細を説明するが、当業者はいかなる所定の成分がGM−CSF活性を有するか否かを決定することができる。GM−CSF成分は、配列番号ID番号:1、配列番号ID番号:2、および配列ID番号:3から成る群から選択された配列に対応するアミノ酸配列を含むタンパク質であり、並びに、実質上それらと相同であって、GM−CSFの活性をもたらすいずれかのタンパク質またはポリペプチド、およびメチオニル残基から始まる配列ID番号:1、2、若しくは3のいずれかであって、GM−CSFの活性をもたらすいずれかのタンパク質またはポリペプチドである。本明細書中に使用される「GM−CSF成分」という用語は、例えば、部位特異的突然変異誘発法といった故意に修飾されたタンパク質または偶然の変異により修飾されたタンパク質を含む。当該用語「GM−CSF成分」とは、1〜6の付加的な糖鎖修飾部位を有する誘導体、付加的なアミノ酸が少なくとも1つの糖鎖修飾部位を有する場合、タンパク質のカルボキシ末端で少なくとも1つの付加的なアミノ酸を有する誘導体、および少なくとも1つの糖鎖修飾部位を含むアミノ酸配列を有する誘導体を含む。
【0049】
当該用語「実質上同種の」は、例えば、変異配列のような特定の対象配列が、1つまたは複数の置換、欠失、または追加により基準配列と異なり、その正味の影響が、結果として基準配列と対象となる配列との間の有害な機能的相違とはならないことを意味する。本発明の目的において、95%を上回る相同性、同等な生物学的特性(活性度が異なる可能性があるが)、および同等の発現特性を有する配列は、実質上同種であると考えられる。相同性を決定するため、成熟配列の切断は無視するべきである。より低い相同性、同程度の生物活性、および同等の発現特性を有する配列は根本的に同等であると考えられる。本明細書中に使用される例示的なGM−CSF成分は、配列ID番号:1、配列ID番号:2、および配列ID番号:3から成る群より選択される1つまたは複数の配列と実質上相同の配列を有するタンパク質を含む。
【0050】
「断片(フラグメント)」という用語は、ある程度のGM−CSF活性を保持するGM−CSF成分の一部のタンパク質のアミノ酸配列を有するタンパク質またはポリペプチドを意味する。断片は、GM−CSFタンパク質のタンパク質分解により作られた、または本分野における所定の方法による化学合成によって作られた、タンパク質またはポリペプチドを含む。当業者は特定の断片がGM−CSF活性を有するか否かを決定を行うことが可能である。かかる活性を実証するために用いられる適切な試験を本明細書中に記載する。
【0051】
GM−CSF成分の「欠損変異体」は、当該GM−CSF成分の1つのアミノ酸残基が削除され、当該削除されたアミノ酸残基に先立つおよび後続するアミノ酸残基が、アミド結合を介し、結合されたペプチドまたはタンパク質のことである(削除されたアミノ酸残基がペプチドまたはタンパク質の末端に位置している場合を除く)。欠損変異体とは、単一のアミノ酸残基のみが削除された場合のみでなく、2つのアミノ酸が削除された場合、3つのアミノ酸が削除された場合、4つのアミノ酸が削除された場合等も含む。しかしそれぞれの欠損変異体は、ある程度のGM−CSF活性を保持しなければならない。
【0052】
GM−CSF成分の「置換変異体」は、当該GM−CSF成分のアミノ酸残基1つが欠失し、別のアミノ酸残基に置換されたペプチドあるいはタンパク質である。置換変位体には、アミノ酸残基1つのみが置換された場合、さらにアミノ酸残基2つ、アミノ酸残基3つ、アミノ酸残基4つなど置換された場合も含まれる。しかし、各置換変異体は、ある程度のGM−CSF活性を有していなければならない。
【0053】
GM−CSF成分の「付加変異体」は、当該GM−CSFのアミノ酸残基1つがアミノ酸配列に付加され、近接したアミノ酸残基が当該付加されたアミノ酸残基に、アミド結合によって結合されたペプチドあるいはタンパク質である(付加されたアミノ酸残基がペプチドあるいはタンパク質の末端に位置し、アミド結合1つのみが付加されたアミノ酸残基を結合する場合を除く)。付加変異体には、アミノ酸残基1つのみが付加された場合、さらにアミノ酸残基2つ、アミノ酸残基3つ、アミノ酸残基4つなど付加された場合も含まれる。しかし、各付加変異体は、ある程度のGM−CSF活性を有していなければならない。
【0054】
「患者」という表現は、活性剤(複合体など)の投与によって予防または治療することのできる状態を患うあるいはそのような状態に陥りやすい生体を表すが、これには人間と動物の双方が含まれる。
【0055】
「任意の」または「任意に」とは、以降に述べる状況が発生することもあればしないこともあるので、当該記載にはその状況が発生する場合と発生しない場合が含まれる。
【0056】
「実質上」(特定の文脈に対して他で特に定義している場合、あるいはその文脈が明確に別の意味を示す場合以外)とは、ほぼ全体的あるいは完全に、例えば以下のうち一つ以上を満たすことである。条件の50%を超える、51%又は51%超、75%又は75%超、80%又は80%超、90%又は90%超、および95%又は95%超である。
【0057】
その文脈が明確に別の意味を示さない限り、「約」という表現は数値の前に置かれ、その数値は提示された数値の±10%を指すと理解される。
【0058】
ペプチドにおけるアミノ酸残基は、以下のように省略される。
フェニルアラニンはPheまたはF、ロイシンはLeuまたはL、イソロイシンはIleまたはI、メチオニンはMetまたはM、バリンはValまたはV、セリンはSerまたはS、プロリンはProまたはP、トレオニンはThrまたはT、アラニンはAlaまたはA、チロシンはTyrまたはY、ヒスチジンはHisまたはH、グルタニンはGln、またはQ、アスパラギンはAsnまたはN、リジンはLysまたはK、アスパラギン酸はAspまたはD、グルタミン酸はGluまたはE、システインはCysまたはC、トリプトファンはTrpまたはW、アルギニンはArgまたはR、及びグリシンはGlyまたはGである。
【0059】
本発明の一又は複数の実施例によると、直接あるいは一又は複数の原子を含むスペーサー部分を介してのいずれかで水溶性ポリマーと共有結合したGM−CSF成分を含む複合体を提供する。本発明の複合体は、以下の特徴のうち一又は複数を有する。
【0060】
GM−CSF成分
前述のように、「GM−CSF成分」という用語は、結合前、並びに当該GM−CSF成分が水溶性ポリマーに連結(直接あるいはスペーサー部分を介してのいずれかで)する前のGM−CSF成分も含む。しかし、GM−CSM成分が(直接あるいはスペーサー部分を介してのいずれかで)水溶性ポリマーに連結されると、当該GM−CSF成分は当該ポリマー(あるいは当該ポリマーに連結するスペーサー部分)との連結に関わる一又は複数の共有結合の存在によってわずかに変化する。しばしば、他の分子と結合した当該GM−CSF成分のこのわずかに変化した形態は、当該GM−CSF成分の「残留物」と呼ばれる。
【0061】
当該GM−CSF成分は、非組み換え方法あるいは組み換え方法のどちらに由来していてもかまわず、本発明はこの点において制限されない。
【0062】
当該GM−CSF成分は、非組み換え的に抽出することができる。例えば、当該GM−CSF成分は、血液由来の供給源から取得することができる。具体的には、GM−CSF成分を、ヒトの血漿や組織から、当業者に周知の技術を使用して(例えば、沈殿技術、遠心分離法、クロマトグラフ法など)単離することができる。
【0063】
当該GM−CSF成分は、組み換え方法から抽出することがきる。例えば、ヒトGM−CSF(好ましくはGM−CSF成分)をコードするcDNAを分離し、特徴付け、そして発現ベクター内でクローン化する。例として、米国特許番号第5078996号、同第5891429号、およびWongらによる(1985)「Human GM−CSF: Molecular Cloning of the Complementary DNA and Purification of the Natural and Recombinant Proteins」Science 218:819、またCantrellらによる(1985)「Cloning, Sequence, and Expression of a Human Granulocyte/Macrophage Colony−Stimulating Factor」Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A.Vol. 82:6250を参照のこと。細菌(大腸菌)、哺乳類(チャイニーズハムスター卵巣細胞など)、酵母(出芽酵母など)の発現系において発現したGM−CSF成分を使用することができる。
【0064】
いったん発現すると、内因性ヒトGM−CSFは、分子量22,000ダルトンの単量体の糖タンパク質である。当該発現したアミノ酸配列は、SEQIDNO:1として提供される。本明細書においてGM−CSF成分として使用するには、任意のアミノ酸配列番号のヒトGM−CSFが好ましい。少なくとも3つの異なるヒトGM−CSFタンパク質が、様々な発現系において産生され、これにはサルグラモスチム、モルグラモスチム、レグラモスチム、およびエコグラモスチムが含まれる。サルグラモスチムは出芽酵母において発現し、内因性ヒトGM−CSFと比較すると、23の位置(配列ID番号:2)のロイシンのアミノ酸置換を有し、O−グリコシル化される。モルグラモスチムは、大腸菌において発現し、グリコシル化されない。レグラモスチムは、ハムスター卵巣細胞(CHO)において産生され、完全にグリコシル化される。メチオン残基が完全なアミノ酸配列の前にくる場合に、これらのタンパク質のメチオニル型も企図される。特段の記載がない限り、本明細書で提示されるアミノ酸残基の数値的位置の割り当ては、配列ID番号:1を基本とする。
【0065】
GM−CSF成分を作成するために使用された例示的な組み換え方法(ヒトGM−CSFまたはGM−CSF活性を有する別のタンパク質)を簡単に説明する。かかる方法では、所望のポリペプチドまたはフラグメントをコードする核酸を構成し、発現ベクター内で当該核酸をクローン化し、宿主細胞、(例えば植物、大腸菌などの細菌、出芽酵母などの酵母、またはチャイニーズハムスター卵巣細胞やハムスター仔の腎細胞などの哺乳類細胞など)を形質転換し、そして所望のポリペプチドまたはフラグメントを産生するために核酸を発現することを含む。当該発現は外因性の発現(宿主細胞が天然に所望の遺伝コードを有する場合)を介して、又は内因性発現を介して生じ得る。生体外で、及び原核生物において、及び真核宿主細胞において、組み換え型のポリペプチドを産生し、発現する方法は、当業者に周知である。例として、米国特許第4868122号を参照すること。
【0066】
組み換え型ポリペプチドの識別および精製を促進するために、エピトープ標識あるいはその他の親和結合配列をコードする核酸配列を、当該コード配列と一緒にフレーム単位で付加あるいは挿入することが可能である。それ故、所望のポリペプチドおよび結合に適したポリペプチドから成る融合タンパク質が産生される。融合タンパク質は、まず融合タンパク質を含む混合物を、融合タンパク質におけるエピトープ標識あるいは結合配列に対する結合部分(例えば、抗体など)を有する親和性カラムに通すことで識別および精製することができ、それによりカラム内に融合タンパク質を結合することができる。その後、結合した融合タンパク質を放つのに適当な溶液(例えば、酸など)で当該カラムを洗浄することで、当該融合タンパク質を回収することができる。当該組み換え型ポリペプチドは、宿主細胞を溶解し、サイズ排除クロマトグラフィーなどによりポリペプチドを分離し、ポリペプチドを採取することによっても、識別および精製することができる。組み換え型ポリペプチドを識別および精製するためのこれらの、および他の方法は、当業者に周知である。しかしながら、本発明の一又は複数の実施例において、当該GM−CSF成分は融合タンパク質の形態でないことが望ましい。
【0067】
GM−CSF活性を有するタンパク質を発現するために用いられる方法に依存して、当該GM−CSF成分は、非グリコシル化またはグリコシル化され得、及びそのどちらであっても使用することができる。つまり、GM−CSF成分は、非グリコシル化され、またはグリコシル化され得る。本発明の一又は複数の実施例において、当該GM−CSF成分は、グリコシル化されることが好ましい。糖鎖修飾の例としては、O−グリコシル化およびN−グリコシル化がある。内因性ヒトGM−CSF糖鎖修飾部位は、セリン9(O−グリコシル化)、トレオニン10(O−グリコシル化)、アスパラギン27(N−グリコシル化)、およびアスパラギン37(N−グリコシル化)である。好ましいいずれのGM−CSF成分の糖鎖修飾配置は、これらの部位(あるいは所定のGM−CSF成分におけるこれらの位置に対応した部位)で発生するだろう。したがって、当該GM−CSF成分は、糖鎖修飾なし、1部位での糖鎖修飾、2部位での糖鎖修飾、3部位での糖鎖修飾、及び4部位での糖鎖修飾の中から選択されたある程度の糖鎖修飾を有することができる。特に好ましい糖鎖修飾配置は、N−グリコシル化を含まない、セリン9およびトレオニン10のみにおけるO−グリコシル化である。
【0068】
当該GM−CSF活性を有する成分は、有利なことに、ポリマーをアミノ酸内の原子に容易に結合させるために、例えば、リジン、システイン、および/またはアルギニンの如き一又は複数のアミノ酸残基を有するよう、改変することができる。例えば、米国特許第6608183号には、GM−CSF成分として使用可能なGM−CSFの「システイン付加」配列、またかかる「システイン付加」配列を作成する方法が記述されている。さらに、当該GM−CSF成分は、非天然的発生のアミノ酸残基を有するよう改変することができる。アミノ酸残基および非天然的発生のアミノ酸残基を付加する技術は、当業者に周知である。例として、米国特許第5393870号、およびJ.Marchによる「Advanced Organic Chemistry:Reactions Mechanisms and Structure」4版(New York: Wiley−Interscience、1992年)参照すること。
【0069】
さらに、当該GM−CSF成分は、官能基の結合(アミノ酸残基を含む官能基の付加による以外に)を有するよう、有利に改変することができる。例えば、当該GM−CSF成分は、チオール基を有するように改変することができる。また、当該GM−CSF成分は、N−末端アルファ炭素を有するように改変することができる。また、当該GM−CSF成分は、一つ以上の炭水化物成分を有するように組み換えることができる。アミノキシ、アルデヒド、またはその他の官能基を有するように組み換えられたGM−CSF成分も、使用することができる。さらに、GM−CSFの酸化変異体は、GM−CSF成分として使用することができる。例として、米国特許第5358707号参照のこと。GM−CSFの誘導体は、GM−CSF成分としても含まれる。例として、米国特許第5298603号参照のこと。
【0070】
GM−CSF成分の例として、非制限的に、ヒトGM−CSF、GM−CSF活性を有するハイブリッドタンパク質、及びGM−CSF活性を有するペプチド模倣薬が挙げられる。少なくともある程度のGM−CSF活性を維持する前記のいずれかの生物活性断片、欠損変異体、置換変異体、または付加変異体もまた、GM−CSF成分の役割を果たす。
【0071】
任意の所定成分について、その成分がGM−CSF活性を有するかどうか判断することは可能である。例えば、米国特許第5393870号の記述にあるように、健常人提供者の腸骨稜由来のヒト骨髄を、回収し、溶液に移し、その後の培養のために回収して希釈された細胞とともに遠心分離機にかける。培養後、細胞の各コロニーを識別し、提供されたGM−CSF成分を適当なコロニーに付加し、対照と比較して増殖促進をテストする。当業者に周知のその他の方法も、所定の成分がGM−CSF活性を有するかどうか判断するために用いることができる。かかる方法は、当該成分自体(したがって「GM−CSF成分」として使用される)、および対応するポリマー成分複合体のGM−CSF活性を判断するのに有用である。
【0072】
GM−CSF成分の例として、非制限的に配列ID番号:1、配列ID番号:2および配列ID番号:3のいずれかと同一であるヒトGM−CSF、それらの切断型、ハイブリッド変異体、およびGM−CSF活性を有するペプチド模倣薬が挙げられる。前述の少なくともある程度のGM−CSF活性を維持する前記いずれかの生物活性断片、欠損変異体、置換変異体、または付加変異体もまたGM−CSF成分の役割を果たす。
【0073】
GM−CSF活性を有するタンパク質を発現するために用いられる方法に依存し、当該GM−CSF成分は、非グリコシル化またはグリコシル化され得、そしてそのいずれも使用され得る。つまり、当該GM−CSF成分は、非グリコシル化され得、またはグリコシル化され得る。
【0074】
水溶性ポリマー
前述のように、各複合体は、直接的あるいは一つ又は複数の原子を含むスペーサー部分を介してのいずれかで、水溶性ポリマーに結合したGM−CSFを含む。当該水溶性ポリマーに関しては、水溶性ポリマーは非ペプチド性、無毒性、非天然的発生であり、及び生体適合性である。生体適合性に関しては、ある物質を単独であるいは他の物質(例えば、GM−CSF成分の如き活性剤)と併せて、生体組織に関連して(例えば、患者への投与)使用することによる有益な効果が、いかなる悪影響にも勝ると医師などの臨床医学者が評価する場合、当該物質は生体適合性であると判断される。非免疫原性に関しては、生体内においてある物質の意図した使用が、望ましくない免疫応答(例えば抗体の形成)を引き起こさない場合、または免疫応答が引き起こされるが、その応答が臨床的に意義がある、または重大な免疫応答とみなされないと臨床医学者が評価する場合、その物質は非免疫原性であると判断される。生体適合性であり、また非免疫原性である水溶性ポリマーが、特に好ましい。
【0075】
さらに、当該水溶性ポリマーは、一般的に2〜約300までの末端を有することを特徴とする。かかるポリマーの例は、非制限的にポリエチレングリコール(PEG)などのポリ(アルキレングリコール類)、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、エチレングリコール、及びプロピレングリコールなどの共重合体、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシアルキル)、ポリ(サッカリド)、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリ(N−アクリロイルモルホリン)、および前記の任意の組み合わせを含む。
【0076】
当該ポリマーは、特定の構造に限定されず、線状(例えば、アルコキシPEGまたは二官能性PEG)でも、または分岐、分枝、複数分岐(ポリオール核に結合したPEGなど)、及び樹枝状などの非線状でもよい。さらに、当該ポリマーの内部構造は、任意の数の異なる型に編成することができ、そしてホモポリマー、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互トリポリマー、ランダムトリポリマー、およびブロックトリポリマーからなる群から選択され得る。
【0077】
当該GM−CSFとの複合体を形成するために使用される活性化PEGおよびその他の活性化水溶性ポリマー類(総称して「ポリマー試薬」)は、GM−CSF成分の所望の部位に結合するのに適した活性化官能基を含む。したがって、ポリマー試薬は、GM−CSF成分との反応のための官能基を含む。代表的なポリマー試薬及びこれらのポリマーを活性化成分と結合させる方法は、当技術分野で周知であり、Zalipsky, S., et ah, 「Use of Functionalized Poly( Ethylene Glycols) for Modification of Polypeptides」 in Polyethylene Glycol Chemistry: Biotechnical and Biomedical Applications, J. M. Harris, Plenus Press, New York (1992)、およびZalipsky (1995) Advanced Drug Reviews l6: 157−182に詳細な記述がある。
【0078】
一般的に、当該複合体の水溶性ポリマーの重量平均分子量は、約100ダルトンから約150,000ダルトンである。しかし、例示的な範囲は、5,000ダルトン超約150,000ダルトンまでの範囲、5,000ダルトン超約100,000ダルトンまでの範囲、約6,000ダルトン超約100,000ダルトンまでの範囲、約6,000ダルトン超約90,000ダルトンまでの範囲、約10,000ダルトン〜約85,000ダルトンまでの範囲、約10,000ダルトン超約85,000ダルトンまでの範囲、約15,000ダルトン〜約85,000ダルトンまでの範囲、約20,000ダルトン〜約85,000ダルトンまでの範囲、約20,000ダルトン〜約60,000ダルトンまでの範囲、約53,000ダルトン〜約85,000ダルトンまでの範囲、約25,000ダルトン〜約120,000ダルトンまでの範囲、約29,000ダルトン〜約120,000ダルトンまでの範囲、約35,000ダルトン〜約120,000ダルトンまでの範囲、及び約40,000ダルトン〜約120,000ダルトンまでの範囲の重量平均分子量を含む。任意の所定の水溶性ポリマーについて、これらの範囲のうち一又は複数の分子量を有するPEGが好ましい。
【0079】
例示的な水溶性ポリマーの重量平均分子量は、約100ダルトン、約200ダルトン、約300ダルトン、約400ダルトン、約500ダルトン、約600ダルトン、約700ダルトン、約750ダルトン、約800ダルトン、約900ダルトン、約1,000ダルトン、約1,500ダルトン、約2,000ダルトン、約2,200ダルトン、約2,500ダルトン、約3,000ダルトン、約4,000ダルトン、約4,400ダルトン、約4,500ダルトン、約5,000ダルトン、約5,500ダルトン、約6,000ダルトン、約7,000ダルトン、約7,500ダルトン、約8,000ダルトン、約9,000ダルトン、約10,000ダルトン、約11,000ダルトン、約12,000ダルトン、約13,000ダルトン、約14,000ダルトン、約15,000ダルトン、約20,000ダルトン、約22,500ダルトン、約25,000ダルトン、約30,000ダルトン、約35,000ダルトン、約40,000ダルトン、約45,000ダルトン、約50,000ダルトン、約55,000ダルトン、約60,000ダルトン、約65,000ダルトン、約70,000ダルトン、および約75,000ダルトンを含む。前述のいずれかの総分子量を有する水溶性ポリマーの分岐型(例えば、2つの20,000ダルトンのポリマーからなる、分岐40,000ダルトン水溶性ポリマー)も使用することができる。一又は複数の態様において、当該複合体は、直接的あるいは間接的のいずれかで、約6,000未満の重量平均分子量を有するPEGと結合したPEG成分を有しないだろう。
【0080】
当該ポリマーとして使用される場合、通常、PEGは、多数の(OCH2CH2)モノマー[または、PEGの定義方法によっては(CH2CH2O)モノマー]を含む。本明細書中の記載で用いられているように、繰返し単位の数は、「(OCH2CH2n」などのように、下付きの「n」によって認識される。したがって、通常、(n)の値は、以下の範囲のうちの一又は複数に含まれる。それは、約2〜約3400まで、約100〜約2300まで、約100〜約2270まで、約136〜約2050まで、約225〜約1930まで、約450〜約1930まで、約1200〜約1930まで、約568〜約2727まで、約660〜約2730まで、約795〜約2730まで、約795〜約2730まで、約909〜約2730まで、また約1200〜約1900までである。当該分子量の分かっている任意の所定のポリマーについては、当該ポリマーの重量平均分子量の総量を繰返しモノマーの分子量で割ることで、単位の数(すなわち「n」)が求められる。
【0081】
当該水溶性ポリマーの分子量に関しては、本発明の一又は複数の態様において、直接的あるいは一又は複数の原子を含むスペーサー部分を介してのいずれかで、水溶性ポリマーと共有結合したGM−CSF成分を含む、複合体を提供し、ここで、当該水溶性ポリマーの分子量は、5,000ダルトン超である。
【0082】
本発明で使用されるのに特に好ましいポリマーは、末端キャップ型ポリマーであり、つまり、ヒドロシキ基も使用することができるけれども、低アルコキシル基(すなわち、C1-6アルコキシル基)の如き、比較的不活性の基でキャップをした少なくとも一つの末端を有するポリマーである。ポリマーがPEGの場合は、例えば、当該ポリマーの一つの末端がメトキシ(−OCH3)基を有し、他方の末端が、場合により化学的に組み換えられ得るヒドロキシ基またはその他の官能基である、PEGの線状型であるメトキシ―PEG(通称mPEG)を使用することが好ましい。
【0083】
本発明に有用な一つの形態では、遊離型または結合されていないPEGは、両端がヒドロキシ基で末端となる線状ポリマーであって、
HO−CH2CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−OH
{式中、(n)は、通常、0〜約4,000の範囲である。}の前記ポリマーである。
【0084】
上記のポリマー、アルファ―、オメガ―ジヒドロキシポリ(エチレングリコール)は、HO−PEG−OHとして短縮形で表され得、ここで、−PEG−記号が以下の構造単位:
−CH2CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2
{式中(n)は、上記の定義通りとする。}を示すことが理解される。
【0085】
本発明で有用な他の型のPEGは、一方の末端は比較的不活性なメトキシ基で、もう一方の末端がヒドロキシ基であるメトキシ−PEG−OH、または、短縮するとmPEGである。mPEGの構造は以下の通り:
CH3O−CH2CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−OH
{式中(n)は、上記の定義通りとする。}である。
【0086】
米国特許第5,932,462号に記述されている如き、複数のアームが付いたもしくは分岐したPEG分子は、PEGポリマーとしても使用され得る。例えば、PEGは、下記構造式:
【化3】

を有し、式中、
polyaおよびpolybは、メトキシポリ(エチレングリコール)の如きPEG骨格(同様もしくは異なるもののいずれか)であり、
R゛は、H、メチル、もしくはPEG骨格の如き非反応性部分であり、および
PおよびQは、非反応性の結合である。場合によっては、当該分岐したPEG分子はリジン残基を含む。場合によっては、当該リジン残基を含んだ分岐PEG試薬は、次の構造(サクシニミジルを含んだ構造が示されているが、サクシニミジル以外の反応基をこれに代わって置き換えることも可能である。):
【化4】

を有する。
場合によっては、ポリマー試薬(および当該ポリマー試薬より作成された対応する複合体)が、ポリマーの一部分が「−OCH2CONHCH2CO−」基を介して、リジンのアミン基に結合している当該リジン残基を欠くことが望ましい。その他の場合においては、当該ポリマー試薬(および当該ポリマー試薬より作成された対応する複合体)が、リジン残基(当該リジン残基は分岐をもたらすために使用される)を含む分岐水溶性ポリマーを欠くことが望ましい。
【0087】
さらに、当該PEGはフォーク形PEGを含み得る。フォーク形PEGの例は、次の構造式:
【化5】

により示され、
ここで、式中、Xは1つ又は複数の原子のスペーサー部分であり、各Zは定義された長さの原子鎖によりC-Hの炭素原子に結合した活性化末端基である。国際出願番号PCT/US99/05333は、使用可能な種々のフォーク形構造を、本発明の1つ又は複数の態様にて公開している。当該Z官能基を分岐炭素原子に結合している原子鎖は連結基の役割を果たし、例えばアルキル鎖、エーテル鎖、エステル鎖、アミド鎖およびこれらの組み合わせを含み得る。
【0088】
当該PEGポリマーは、カルボキシルなど、PEG鎖の端よりもむしろPEG の長さに沿って共有結合した反応基を有する吊り下げ型のPEG分子を含み得る。吊り下げ型反応基は、当該PEGに、直接的もしくはアルキレン基の如きスペーサー部分、を介して結合され得る。
【0089】
上記PEG形態に加え、当該ポリマーは、上記いずれのポリマーを含み、当該ポリマー内の1又は複数の弱いもしくは分解可能な結合(例えば、加水分解的に分解可能な結合)によっても作成され得る。例えば、PEGは、加水分解に供されるポリマー内のエステル結合により作成され得る。下記が示す通り、この加水分解は、ポリマーを分裂させ、低分子量の断片をもたらす。
【化6】

【0090】
ポリマー骨格内にて分解可能な結合として有用な、他の加水分解的に分解可能な結合は、以下の:炭酸塩結合、例えばアミンおよびアルデヒド反応(例えば、Ouchiおよびその他(1997)Polymer Preprints38(:582-3を参照のこと)の結果、生じたイミン結合、例えばアルコールをリン酸基と反応させることにより、形成されたリン酸エステル結合、ヒドラジドおよびアルデヒドの反応により典型的に形成されたアセタール結合、例えばギ酸塩およびアルコールを反応させることにより、形成されたオルトエステル結合、例えばPEGの如きポリマーの端部およびもう1つのPEG鎖のカルボキシル基において、アミン基により形成された一部のアミド結合、例えば末端イソシアネート基を有するPEGおよびPEGアルコール付きのPEGの反応により形成されたウレタン結合、例えばPEGの如きポリマー末端におけるアミン基およびペプチドのカルボキシル基により形成されたペプチド結合、そして例えばポリマー端部におけるホスホラミダイド基、およびオリゴヌクレオチドの5’ヒドロキシル基により形成されたオリゴヌクレオチド結合を含む。
【0091】
ポリマー鎖への1又は複数の分解可能な結合の存在は、投与における当該複合体の最終的に望ましい薬理学的特性に追加制御を与えることがある。例えば、大きい、比較的不活性な複合体(例えば、GM−CSF成分に結合した1又は複数の高分子量のPEG鎖、約20,000超の分子量を有する1又は複数のPEG鎖を有する、ここで当該複合体は本質的に生物活性を保有しない)を投与することが可能であり、そして原型のPEG鎖の一部分を保有する生物活性複合体を発生させるため加水分解されている。これにより、当該複合体の特性は、時間とともに当該複合体の生物活性のバランスをとるため、より効果的に調整される得る。
【0092】
当業者であれば、実質的な水溶性ポリマー断片に関連した先の議論は決して包括的ではなく、単に実例のためのものであり、上記に記述された品質を有する全てのポリマー材料が企図されることが分かるであろう。本明細書中に使用される「ポリマー試薬」は、一般的に、全分子のことであり、そして水溶性のポリマー断片および官能基を含み得る。
【0093】
複合体
上述のとおり、本発明の複合体は、GM−CSF成分に共有結合(直接もしくはスペーサー部分を介して)している水溶性ポリマーを含む。一般に、いずれかの複合体について、GM−CSF成分に共有結合する1〜4つの水溶性ポリマーがある(ここで、それぞれの水溶性ポリマーについて、当該水溶性ポリマーは、直接もしくはスペーサー部分を介し、当該GM−CSF成分と結合し得る)。しかしながら、場合によっては、当該複合体は、GM−CSF成分と独立して結合している1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、もしくはそれ以上の水溶性ポリマーを有し得る(同様に、各水溶性ポリマーに関して、当該水溶性ポリマーは、直接的又はスペーサー部分を介して結合している)。さらに、当該複合体はGM−CSF成分と独立して結合した最高でも8つの水溶性ポリマー、GM−CSF成分と独立して結合した最高でも7つの水溶性ポリマー、GM−CSF成分と独立して結合した最高でも6つの水溶性ポリマー、GM−CSF成分と独立して結合した最高でも5つの水溶性ポリマー、GM−CSF成分と独立して結合した最高でも4つの水溶性ポリマー、GM−CSF成分と独立して結合した最高でも3つの水溶性ポリマー、GM−CSF成分と独立して結合した最高でも2つの水溶性ポリマー、GM−CSF成分と独立して結合した最高でも1つの水溶性ポリマーを、含み得る。
【0094】
当該GM−CSF成分と当該水溶性ポリマー(または当該水溶性ポリマーと結合しているスペーサー部分)の間の特定の結合は、多くの要因による。かかる要因は、例えば、化学的手段による特定の結合、特定のGM−CSF成分、GM−CSF成分内の有効な官能基(ポリマーへの結合または好適な結合部位への変換のいずれか)、GM−CSF成分内の追加的反応官能基の存在の可能性などである。
【0095】
本発明の1つ又は複数の実施例において、当該GM−CSF成分とポリマー(またはポリマーと結合しているスペーサー部分)との結合は、アミド、ウレタン(別名、カルバメート)、アミン、チオエーテル(別名、硫化物)または尿素(別名、カルバミド)といった加水分解的に安定している結合である。1つ又は複数の態様において、当該結合は、GM−CSF成分を有する官能基を有するポリマー試薬の反応の結果によるものではない、ここで当該官能基は、トリアジン、ヒドラジン、ヒドラジド、アルデヒド、セミカルバジド、マレイミド、ビニルスルホン、フェニグリオキサール、イソシアネート、イソチオシアン酸塩、アミンそして当該GM−CSF成分を有するトレシル官能基からなる群より選択される。
【0096】
本発明の1又は複数の態様において、当該GM−CSF成分と当該水溶性ポリマー(または水溶性ポリマーと結合しているスペーサー部分)の結合は、分解可能な結合である。このように、当該GM−CSF成分に結合している結合は「分解可能」である。すなわち、当該水溶性ポリマー(および、存在する場合には、スペーサー部分)は開裂し(加水分解、酵素による過程、もしくは他の方法を通じて)、その結果、天然もしくは結合していないGM−CSF成分を生じる。望ましくは、分解可能な結合が当該水溶性ポリマー(およびスペーサー部分)のいかなる断片をも出すこと無しに、当該GM−CSF成分から当該水溶性ポリマーを分離することである。例示的な分解可能な結合は、炭酸塩、カルボン酸エステル、リン酸エステル、チオールエステル、無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミンおよびオルトエステルである。かかる結合は、当該GM−CSF成分(例えば、タンパク質のカルボキシ基C末端または当該タンパク質に含まれるセリン若しくはトレオニンの如きアミノ酸の側鎖水酸基)および/または、本分野において通常使用される合成手法を使ったポリマー試薬のいずれかの適切な改変により、容易に製造される。しかしながら、最も好ましいのは、当該GM−CSF成分内に含まれる非改変官能基と、適切に活性化されたポリマーとの反応により容易に形成される加水分解型結合である。
【0097】
結合に関し、本発明の1つ又は複数の態様において、直接または1つ以上の原子を有するスペーサー部分を介してのいずれかで水溶性ポリマーにアミノ酸の残基で共有結合しているGM−CSF成分を含む複合体を提供する。
【0098】
当該複合体(複合していないGM−CSF成分とは対照的に)は、GM−CSF活性のかなりの程度を有し得、または有し得ない。すなわち、本発明に関する複合体は、0%から100%までの、もしくはそれ以上の改変されていない元のGM−CSF成分の生物活性を有する。望むべくは、ほとんど、もしくは全くGM−CSF活性を有さない化合物は、一般的にポリマーとその部分をつなぐ分解可能な結合を含み、そのため、当該複合体における活性の欠如に関わらず、当該元の活性分子(もしくはGM−CSF活性を有するそれらの誘導体)は、当該結合の分解(例えば、当該結合の水性誘発性関裂における加水分解)によって放出される。かかる活性は、使用されるGM−CSF活性を有する特定の部分の既知の活性に依存して、好適な生成内又は生成外モデルを使用して決定される。
【0099】
場合により、分解可能な結合の分開は、加水分解性の開裂および/またはウレタン、アミド、炭酸塩もしくはエステル含有結合といった酵素性の分解可能結合の使用を通じて、促進される。このような場合、複合体の浄化値[独立した水溶性ポリマーの開裂を通して]は、ポリマー分子の大きさと、所望の浄化特性を供給する官能基の種類の選択によって調整される。当業者は、開裂可能な官能基と同様に適切なポリマー分子の大きさを決定することができる。例えば、通常の実験を使用し、当業者は、異なる重量平均分子量と分解可能な官能基を有する様々なポリマー(GM−CSF)複合体の初期調合、そして患者に当該複合体を投与すること、及び定期的な採血および/または採尿によりそれぞれの複合体の浄化値の分析結果を入手することで、適切な分子の大きさと開裂可能な官能基を決定することができる。いったん、一連の浄化値の分析結果がそれぞれの試験された複合体から得られると、所望の浄化値の分析結果を有する合体が決定される。
【0100】
当該GM−CSF成分を水溶性ポリマーに連結する加水分解的に安定している結合を有する複合体にとって、当該複合体は一般的に相当量のGM−CSF活性を有する。例えば、かかる複合体は、結合していないGM−CSF成分の割合と比較して、以下の1又は複数の割合を満たす生物活性を有するとして一般的に特徴づけられるここで当該割合は、最低約2%、最低約5%、最低約10%、最低約15%、最低約25%、最低約30%、最低約40%、最低約50%、最低約60%、最低約80%、最低約85%、最低約90%、最低約95%、最低約97%、最低約100%、及び105%超(例えば、本明細書の記載、及び/又は本分野においてよく知られた好適モデルで計測した場合の値である。))である。好ましくは、加水分解的に安定している結合を有する複合体(例えば、アミド結合)は、改変されていない元のGM−CSF成分の少なくともある程度の生物活性を有する。
【0101】
例示的な複合体についてここに記述する。当該GM−CSF成分は、ヒトGM−CSFと類似しているか、もしくは関連しているアミノ酸配列を共有している(少なくとも部分的には)ことが予想される。したがって、前述のように、特定の場所またはヒトGM−CSF内の原子に関連するであろうが、かかる関連は単なる便宜上のものであり、また当業者はそれに対応する場所、またはGM−CSF活性を有する他の成分内の原子を容易特定することできる。特に、ヒトGM−CSFに関して本明細書中に提供される記載は、しばしばヒトGM−CSFのみならず、断片、欠損変異体、置換変異体、そして前述のいかなる付加変異体にも適用される。
【0102】
GM−CSF成分上のアミノ基は、当該GM−CSF成分と当該水溶性ポリマーとの結合点を提供する。当該各ヒトGM−CSF成分は、14のリジン残基で構成され、各リジン残基には、一つのアミノ末端と同様に結合のために用いられ得るε−アミノ基を含有する配列 ID 番号: 1、配列 ID 番号: 2 そして配列 ID 番号: 3を提供する。配列 ID 番号: 1、配列 ID 番号: 2および配列 ID 番号: 3を参照のこと。したがって、例示的な結合点は、位置25、26、28、49、55、59、61、66、64、73、77、110、114そして115の1又は複数でのアミノ酸(リジン残基のアミン含有側鎖を通じて)での結合を含む。さらに、他のGM−CSF成分は、15アミン含有リジン残基を含む。(配列 ID 番号: 3を参照のこと)したがって、このGM−CSFの好ましい結合点は、23、25、26、28、49、55、59、61、66、64、73、77、110、114そして115の位置のいずれか1つにおけるリジンと結合しているアミン残基での結合を含む。
【0103】
GM−CSF成分の有するアミンとの共有結合を形成するために有効な好適な水溶性ポリマー試薬の例は、多く存在する。対応する複合体とともに特徴的な例を、下記表1に記載する。かかる表において、当該変数(n)は、反復する単量体(モノマー)単位の数を表し、また「(GM−CSF)」は、当該水溶性ポリマーと結合した後のGM−CSF成分を表す。表1に記載される各ポリマー部分[例えば、(OCH2CH2n または(CH2CH2O)n]は、「CH3」基において終了し、他の基(Hおよびベンジルなど)は、それらと置換され得る。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
【表3】

【0107】
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
【表7】

【0111】
【表8】

【0112】
GM−CSF成分のアミン基へのポリマー試薬の複合体は、多様な技術によって完成することができる。一つの方法としては、GM−CSF成分を、スクシニミジル誘導体(もしくは他の活性化したエステル基、ここで、スクシニミジル誘導体についての記載と類似する手法は、他の活性化したエステル基含有ポリマー試薬として使用され得る)によって官能化されたポリマー試薬に結合することができる。この手法において、スクシニミジル基を有する当該ポリマー試薬は、pH 7.0から9.0の水溶性媒体中で当該GM−CSF成分と結合することができるが、異なる反応状件(例えば、6から7というような低いpH、または異なる温度、及び/または15℃未満)は、GM−CSF成分の異なった場所へのポリマーの結合という結果を生ずる。
【0113】
例えば、反応性エステルを有するポリマー試薬を使用して提供され得る例示的複合体は、以下の構造式:
【化7】

{式中:
POLYは、水溶性ポリマーであり、
(a)は、ゼロもしくは1であり;
1は、存在する場合に1又は複数の原子を含むスペーサー部分であり;
1は、水素の有機ラジカルであり;及び
GM−CSFは、GM−CSF成分でる。}を含む。
【0114】
前節で述べた対応する構造に関して、ここで提供されるいかなる水溶性ポリマーもPOLYとして定義することができ、ここで提供されるいかなるスペーサー部分もX1(存在するときには)として定義することができ、ここで提供されるいかなる有機基もR1(R1が水素ではない場合)として定義され、そしてここで提供されるいかなるGM−CSF成分もGM−CSFとして定義される。前節で述べた対応する構造に関して、以下のことが好ましい: POLYは、H3CO(CH2CH2O)n−の如きポリ(エチレングリコール)であり、ここで(n)は、3〜4000の値を持つ整数であり; (a)は、1であり; X1は、C1-6アルキレンであり、さらに好ましいのはメチレン(すなわち−CH2−)、エチレン(すなわち −CH2−CH2−)、およびプロピレン(すなわち −CH2−CH2−CH2−)からなる群から選ばれたものである; R1 は、 H、またはメチルもしくはエチルをいうような低アルキル基であり;そしてGM−CSFはヒトGM−CSFである。
【0115】
一般的なGM−CSF成分とポリマー試薬を結合するための有益なその他の手法は、還元的アミノ化反応的アミノ化を使用し、GM−CSF成分の1級アミンと、ケトン、アルデヒド、もしくはそれらの水和物(例えば、ケトン水和物およびアルデヒド水和物)によって官能化されたポリマー試薬を結合させることである。この手法においては、当該GM−CSF成分の1級アミンがアルデヒドもしくはケトン(または水和したアルデヒドもしくはケトンの水酸基含有基に対応するもの)のカルボニル基と反応し、その結果シッフ塩基を形成する。当該シッフ塩基は、水素化ホウ素ナトリウムの如き還元剤の使用を通じて、次々と安定結合へと還元的に変換することができる。選択的反応(例えば、N−末端においては可能性のある)は、特にケトンまたはアルファメチル分岐アルデヒドによって官能化されたポリマーと一緒におよび/または特定の反応条件(例えば、還元pH)において可能性がある。
【0116】
アルデヒド(もしくはアルデヒド水和物)またはケトン(もしくはケトン水和物)を含むポリマー試薬を使用して製造され得る例示的な複合体は、以下の構造式:
【化8】

を含み、
{式中、
POLYは、水溶性ポリマーであり、
(d)は、ゼロもしくは1であり、
2は、存在する場合、1つもしくは複数の原子を含むスペーサー部分であり、
(b)は、1から10の値を持つ整数であり、
(c)は、1から10の値を持つ整数であり、
2は、各場合に、独立して、Hもしくは有機基であり、
3は、各場合に、独立して、Hもしくは有機基であり、そして
GM−CSFは、GM−CSF成分である。}、前記複合体である。
【0117】
前節で述べた対応する構造に関して、本明細書中に提供されるいかなる水溶性ポリマーは、POLYとして定義することができ、本明細書中に提供されるいかなるスペーサー部分もX2(存在するときには)として定義することができ、本明細書中に提供されるいかなる有機ラジカルもR2およびR3(R2およびR3が独立して水素ではない場合)として定義することができ、そして本明細書中に提供されるいかなるGM−CSF成分はGM−CSFとして定義することができる。前記対応する構造に関して、場合によっては以下のことが望ましい:POLYは、H3CO(CH2CH2O)n−の如きポリ(エチレングリコール)であり、式中、(n)は、3から4000の値を持つ整数であり;(d)は、1であり;X1は、アミド[例えば、−C(O)NH−]であり;(b)は、2〜6であり、さらに好ましいのは4であり;(c)は、2〜6であり、さらに好ましいのは4であり; それぞれR2およびR3は、独立して、Hもしくは低アルキル基であり、より好ましいのは、低アルキル基の場合、メチルである;そして、GM−CSFはヒトGM−CSFである。その他の場合には以下の構造式:
【化9】

を含む複合体であって、
{式中、
各(n)は、独立して3〜4000までの値を持つ整数であり、
X2は前定義と同様、
(b)は、2〜6であり、
(c)は、2〜6であり、
2は、それぞれ存在する場合、独立して、Hもしくは低アルキル基であり、そして
GM−CSFは、GM−CSF成分である。}、前記複合体である。
【0118】
カルボキシル基は、当該GM−CSF成分に結合する点として機能することができる他の官能基を示す。構造的に、当該複合体は以下:
【化10】

{式中、GM−CSFと近接したカルボニル基が、カルボキシル含有GM−CSF成分と対応し、Xは、スペーサー部分であり、好ましくは、O、N(H)、およびSから選ばれたヘトロ原子であることが好ましく、そしてPOLYはPEGの如き水溶性ポリマーであり、場合により、末端キャップ部分の末端である。}を含む。
【0119】
当該C(O)−X結合は、末端官能基を有するポリマー誘導体とカルボキシ含有GM−CSF成分との反応の結果生じる。上述のとおり、特定の結合は、使用された官能基の種類によるだろう。もし当該ポリマーが末端官能基化されたり、もしくは水酸基によって「活性化」された場合は、結果として生じる結合は、カルボン酸エステルとなり、XはOとなる。もし当該ポリマー骨格がチオールによって官能基化された場合には、結果として生じる結合はチオエステルとなり、XはSとなる。一定の多腕、分岐ポリマーが使用される場合は、当該C(O)−X部分、および特にX部分は、比較的より複雑となり得、より長い結合構造をし得る。
【0120】
ヒドラジド部分を含むポリマー試薬もまた、カルボニルにおける複合体の使用に有益である。当該GM−CSF成分がカルボニル部分を含まない範囲において、カルボニル部分は、どれかのカルボン酸(例えば、C−末端カルボン酸)を還元すること、および/またはGM−CSF成分のグリコシル化型(ここで追加の糖がカルボニル部分を持つ)を提供することにより導入され得る。対応複合体と一緒に、ヒドラジド部分を含むポリマー試薬の特定の例を、下記表2に記載する。さらに、活性化エステル(例えば、サクシニミジル基)を含む任意のポリマー試薬は、ヒドラジン(NH2−NH2)またはtert−ブチルカルバザード[NH2NHCO2C(CH33]と当該活性化エステルを含むポリマー試薬を反応させることによって、ヒドラジド部分を含有するように変換され得る。当該表において、変数(n)は反復する単肢単位の数を表し、そして「=C−(GM−CSF)」は、ポリマー試薬に結合後のGM−CSF成分を表す。場合により、当該ヒドラジド結合は、好適な還元剤の使用により、還元され得る。一方各ポリマー部分[例えば、(OCH2CH2n または (CH2CH2O)n]は、表2において、「CH3」基で終結し、他の基(Hおよびベンジルなど)は、それらと置換され得る。
【0121】
【表9】

【0122】
【表10】

【0123】
当該GM−CSF成分内に含まれるチオール基は、当該水溶性ポリマーにとって効果的な結合部位として使用することができる。当該GM−CSF成分のシステイン残基内のチオール基は、例えば、N−マレイミジル(maleimidyl)ポリマーもしくは他の誘導体の如きチオール基と反応する特定の活性化PEGと反応させられ得、例えば、米国特許第5,739,208号、国際特許出願公開番号WO 01/62827および下記表3内に示される。
【0124】
配列 ID 番号:1、配列 ID 番号:2、配列 ID 番号:3に関し、4つのチオール含有システイン残基が存在する。理論に拘束されることなく、これらの配列内の全てのシステイン残基は、ジスルフィド結合に関する。結果として、ジスルフィド結合を共有するシステイン残基への結合の複合体は、GM−CSF成分の3次構造を崩壊させ得、そして潜在的に、その全体的な活性を著しく減少させ得る。したがって、いずれかの特定のGM−CSF成分がチオール基を欠如するか、もしくはジスルフィド結合の崩壊が避けられて得る限り、従来の合成技術を使用しGM−CSF成分にシステイン残基を添加することが可能である。例として、米国特許第6,608,183号および国際特許出願公開第WO90/12874号に記述された方法を参照のこと、ここで、かかる方法はGM−CSF成分に適合させることができる。さらに、従来の遺伝子操作処理も、当該GM−CSF成分にシステイン残基を導入するために使用することができる。
【0125】
対応する複合体と共に、特定の例を下記表3に記載する。当該表において、変数(n)は反復するモノマーの単位数を表し、そして「‐S−(GM−CSF)」は、当該水溶性ポリマーに結合後の当該GM−CSF成分を表す。表3において示される各ポリマー部分[例えば、(OCH2CH2n または (CH2CH2O)n]は、「CH3」基で終結するが、その他の基(Hおよびベンジルなど)は、それらと置換され得る。
【0126】
【表11】

【0127】
【表12】

【0128】
【表13】

【0129】
【表14】

【0130】
1つもしくは複数のマレイミド官能基(当該マレイミドが当該GM−CSF成分上のアミンもしくはチオール基と反応するか否かにかかわらず)を有する水溶性ポリマーから形成される複合体に関し、当該水溶性ポリマーの対応するマレイミド酸形態は、当該GM−CSF成分とも反応し得る。一定の条件下(例えば、約7から9のpHおよび水の存在下)、当該マレイミド環は、対応するマレイミド酸を形成するために「開く」ことになる。当該マレイミド酸は徐々にGM−CSF成分のアミンもしくはチオール基と反応し得る。例示的なマレアミド酸を基礎とした反応を、以下に図式にて示す。POLYは当該水溶性ポリマーを示し、そしてGM−CSFは当該GM−CSF成分を示す。
【0131】
【化11】

【0132】
本発明に関する代表的な複合体は、以下の構造:
POLY−L0.1−C(O)Z−Y−S−S−(GM−CSF)
を有し、
式中、POLYは水溶性ポリマーであり、Lは任意のリンカー、ZはO、NH、そしてSから成る群から選択されるヘテロ原子であり、そしてYはC2-10アルキル、C2-10置換アルキル、アリール、および置換アリールから成る群から選択され、そしてGM−CSFはGM−CSF成分である。GM−CSF成分と反応でき、および複合体のこの型を生じ得るポリマー試薬は、米国特許出願公報2005/0014903号に記載される。
【0133】
ポリマー試薬に関し、本明細書中およびあらゆる箇所において記載されるものは、商業的供給源(例えば、Nektar Therapeutics、アリゾナ州ハンツビル)より購入したものである。さらに、ポリマー試薬を製造するための方法は、当該文献内に記載される。
【0134】
GM−CSF成分と水溶性ポリマーとの結合は直接的となり得、ここで、当該GM−CSF成分と当該ポリマーとの間に介在する原子は存在せず、または間接的となり得、ここで、当該GM−CSF成分とポリマーとの間に1つもしくは複数の原子が存在する。間接的結合に関し、「スペーサー部分」は、当該GM−CSF成分と当該水溶性ポリマーとの間の連結として機能する。当該スペーサー部分を作り上げる1つもしくは複数の原子は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、およびそれら原子の組み合わせの内の1つまたは複数を含み得る。当該スペーサー部分は、アミド、第2級アミン、カルバマート、チオエーテル、および/もしくはジスルフィド基を含み得る。特定のスペーサー部分(「X」、X1、およびX2を含む)の非制限的な例として、以下:
【0135】
−O−, −S−, −S−S−, −C(O)−, −C(O)−NH−, −NH−C(O)−NH−, −O−C(O)−NH−, −C(S)−, −CH2−, −CH2−CH2−, −CH2−CH2−CH2−, −CH2−CH2−CH2−CH2−, −O−CH2−, −CH2−O−, −O−CH2−CH2−, −CH2−O−CH2−, −CH2−CH2−O−, −O−CH2−CH2−CH2−, −CH2−O−CH2−CH2−,
【0136】
−CH2−CH2−O−CH2−, −CH2−CH2−CH2−O−, −O−CH2−CH2−CH2−CH2−, −CH2−O−CH2−CH2−CH2−, −CH2−CH2−O−CH2−CH2−, −CH2−CH2−CH2−O−CH2−, −CH2−CH2−CH2−CH2−O−, −C(O)−NH−CH2−, −C(O)−NH−CH2−CH2−,
【0137】
−CH2−C(O)−NH−CH2−, −CH2−CH2−C(O)−NH−, −C(O)−NH−CH2−CH2−CH2−,−CH2−C(O)−NH−CH2−CH2−, −CH2−CH2−C(O)−NH−CH2−, −CH2−CH2−CH2−C(O)−NH−, −C(O)−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−, −CH2−C(O)−NH−CH2−CH2−CH2−, −CH2−CH2−C(O)−NH−CH2−CH2−, −CH2−CH2−CH2−C(O)−NH−CH2−,
【0138】
−CH2−CH2−CH2−C(O)−NH−CH2−CH2−, −CH2−CH2−CH2−CH2−C(O)−NH−, −C(O)−O−CH2−,−CH2−C(O)−O−CH2−, −CH2−CH2−C(O)−O−CH2−, −C(O)−O−CH2−CH2−, −NH−C(O)−CH2−,−CH2−NH−C(O)−CH2−, −CH2−CH2−NH−C(O)−CH2−, −NH−C(O)−CH2−CH2−,
【0139】
−CH2−NH−C(O)−CH2−CH2−, −CH2−CH2−NH−C(O)−CH2−CH2−, −C(O)−NH−CH2−,−C(O)−NH−CH2−CH2−, −O−C(O)−NH−CH2−, −O−C(O)−NH−CH2−CH2−, −NH−CH2−,
【0140】
−NH−CH2−CH2−, −CH2−NH−CH2−, −CH2−CH2−NH−CH2−, −C(O)−CH2−, −C(O)−CH2−CH2−, −CH2−C(O)−CH2−, −CH2−CH2−C(O)−CH2−, −CH2−CH2−C(O)−CH2−CH2−, −CH2−CH2−C(O)−, −CH2−CH2−CH2−C(O)−NH−CH2−CH2−NH−,
【0141】
−CH2−CH2−CH2−C(O)−NH−CH2−CH2−NH−C(O)−,
−CH2−CH2−CH2−C(O)−NH−CH2−CH2−NH−C(O)−CH2−,
−CH2−CH2−CH2−C(O)−NH−CH2−CH2−NH−C(O)−CH2−CH2−,
【0142】
−O−C(O)−NH−[CH2h−(OCH2CH2)j−2価のシクロアルキル基、−O−、−S−、アミノ酸、−N(R6)−、および前述のものの2つもしくはそれ以上の組み合わせからなる群より選択され、ここでR6は、Hまたはアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、および置換アリールから成る群から選ばれた有機ラジカルであり、(h)は0から6であり、(j)は20である。
【0143】
その他の特定のスペーサー部分は以下の構造:−C(O)−NH−(CH21-6−NH−C(O)−、−NH−C(O)−NH−(CH21-6−NH−C(O)−、および−O−C(O)−NH−(CH21-6−NH−C(O)−であり、ここで、各メチレンの後の添え字は、当該構造に含まれるメチレンの数を示し、例えば、 (CH21-6は、当該構造が1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つのメチレンを含み得ることを意味する。さらに、上記スペーサー部分のいずれかは、1から20のエチレン・オキシドのモノマー単位[すなわち−(CH2CH2O)1-20]を含むエチレン・オキシド・オリゴマー鎖をさらに含み得る。
【0144】
つまり、当該エチレン・オキシド・オリゴマー鎖は、スペーサー部分の前、もしくは後、または、場合により、複数の原子からなるスペーサー部分ののいずれか2つ原子の間で、生じ得る。また、もし当該オリゴマーが、ポリマーセグメントに近接し、そして当該ポリマーセグメントの延長を単に示すものであれば、当該オリゴマー鎖は、当該スペーサー部分の一部と見なされることはない。当該スペーサー部分は糖もしくは炭水化物は含まない(つまり、スペーサー部分は、特にグリコシル化残基の糖を含まない。)。当該水溶性ポリマーは、グリコシル化残基(例えば、糖もしくは炭水化物)を通じて、結合され得る。かかる処理が所望される場合、本願は、かかる処理を「グリコシル化残基を介した水溶性ポリマーに共有結合しているGM−CSF成分」と呼ぶ。
【0145】
前述の通り、場合によっては、当該水溶性ポリマー(GM−CSF)複合体は、非線形水溶性ポリマーを含む。かかる非線形水溶性ポリマーは、分岐水溶性ポリマー(他の非線形水溶性ポリマーもまた企図されるが)を含む。したがって、1つもしくは複数の本発明の実施形態において、当該複合体は、分岐水溶性プラマーと、直接的にまたは1つもしくは複数の原子からなるスペーサー部分を介し、のいずれかで、共有結合されている内部アミンを含むGM−CSF成分を含む。本明細書中に使用される内部アミンは、N−末端アミノ酸の一部ではないアミンである(したがってN−末端アミンだけでなくN−末端アミノ酸の側鎖上のいかなるアミンも含む)。配列 ID 番号: 1、配列 ID 番号: 2、および配列 ID 番号: 3を含む配列を有するGM−CSF成分に関し、例えば、内部アミンは、各リジン残基の各鎖上に位置する。
【0146】
当該GM−CSF成分の内部アミノ酸においてGM−CSF成分と結合している分岐水溶性ポリマー(直接的かスペーサーを介してかのいずれかで)を、かかる複合体は含んではいるけれども、追加の分岐水溶性ポリマーも同様に、別の位置で同じGM−CSF成分と結合し得ることに留意すべきである。したがって、例えば、当該GM−CSF成分の内部アミノ酸においてGM−CSF成分と結合している分岐水溶性ポリマー(直接的かスペーサーを介してかのいずれかで)を含む複合体は、好ましくはN−末端アミンにおいて、当該N−末端アミノ酸残基と、直接的または1つもしくは複数の原子からなるスペーサー部分を介してのいずれかで、共有結合している追加の分岐水溶性ポリマーをさらに含み得る。上述の通り、場合によっては、当該分岐水溶性ポリマーは、当該ポリマー部分が「−OCH2CONHCH2CO−」基を介してリジンのアミン基と結合されるリジン残基を欠如する。他の場合において、当該分岐水溶性ポリマーは、リジン残基(ここで当該リジン残基は、分岐に効果的に使用される)を欠如していることが望ましい。好ましい分岐水溶性ポリマーは以下の構造:
【化12】

を含み、
ここで、各(n)は、3から4000の値を持つ個別の整数である。
【0147】
組成物
当該複合体は、一般的には組成物の一部である。一般的に当該組成物は、複合体を多数含み、必ずではないが、1つのGM−CSF成分と個々に共有結合(直接的もしくはスペーサー部分を介しているかのいずれかで)している水溶性ポリマーをそれぞれが1つ、2つ、3つ、もしくは4つ有していることが好ましい。しかしながら、当該組成物は、与えられた全てのGM−CSF成分と結合している4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、もしくはそれ以上のポリマーを有する他の複合体を含むこともできる。
【0148】
当該組成物の中の複合体に関し、当該組成物は一般的に以下の性質の中の1つもしくはそれ以上を満たしており、ここで当該性質とは:当該組成物内の複合体の少なくとも約85%は、GM−CSF成分と結合している1〜5のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約85%は、GM−CSF成分と結合している1〜4のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約85%は、GM−CSF成分と結合している1〜3のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約85%は、GM−CSF成分と結合している1〜2のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約85%は、GM−CSF成分と結合している1つのポリマーを有している(つまり、モノPEG化される);当該組成物内の複合体の少なくとも約95%は、GM−CSF成分と結合している1〜5のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約95%は、GM−CSF成分と結合している1〜4のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約95%は、GM−CSF成分と結合している1〜3のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約95%は、GM−CSF成分と結合している1〜2のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約95%は、GM−CSF成分と結合している1つのポリマーを有している(つまり、モノPEG化される);当該組成物内の複合体の少なくとも約99%は、GM−CSF成分と結合している1〜5のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約99%は、GM−CSF成分と結合している1〜4のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約99%は、GM−CSF成分と結合している1〜3のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約99%は、GM−CSF成分と結合している1〜2のポリマーを有している;当該組成物内の複合体の少なくとも約99%は、GM−CSF成分と結合している1つのポリマーを有している(つまり、モノPEG化される)。
【0149】
1つもしくは複数の態様において、当該複合体含有組成物は、アルブリンを含んでいないか、もしくは実質上含んでいないことが望ましい。また、当該組成物はGM−CSF活性を有しないタンパク質を含んでいないか、もしくは実質上含んでいないことが望ましい。したがって、当該組成物の85%、より好ましいのは95%、そして最も好ましいのは99%が、アルブリンを含んでいないことが好ましい。さらに、当該組成物の85%、より好ましいのは95%、そして最も好ましいのは99%が、GM−CSF活性を有しないタンパク質を含んでいないことが好ましい。アルブリンが当該組成物内に存在する限り、本発明の例示的組成物は、GM−CSF成分の残基とアルブリンが連結しているポリ(エチレングリコール)ポリマーを含む複合体を実質上含まない。
【0150】
1つもしくは複数の本発明の態様において、以下:
(i) 直接的かもしくは1つまたは複数の原子からなるスペーサー部分を介してのいずれかで、水溶性ポリマーと結合しているヒトGM−CSFを含む複合体、ここで当該水溶性ポリマーは、5000ダルトン超の重量平均分子量を有する;
および
(ii)医学上許容される賦形剤、
を含む医薬組成物であって、
ここで、当該組成物中の複合体の少なくとも約85%は、当該ヒトGM−CSFと結合している1〜2のポリマーを有している前記脚組成物を提供する。場合によって、当該医薬組成物は、当該水溶性ポリマーが分岐水溶性ポリマーであるとき、当該分岐水溶性ポリマーは、当該ポリマー部分が「−OCH2CONHCH2CO−」基を介して、リジンのアミン基と連結しているリジン残基を欠如するという条件を含む。他の場合には、当該医薬組成物は、当該水溶性ポリマーがリジン残基(ここで当該リジン残基は効果的な分岐に使用される)を欠如する条件を含んでいる。
【0151】
与えられた部分についての所望のポリマーの数の制御は、適切なポリマー試薬の選択、当該GM−CSF成分に対するポリマー試薬の割合、温度、pH条件、および結合反応の他の態様によって達成することができる。さらに、望ましくない複合体(例えば、4つもしくはそれ以上のポリマーを有する複合体)の減少または排除は、精製手段を通じて達成することができる。
【0152】
例えば、当該水溶性ポリマー(GM−CSF)成分複合体は、異なった複合体の種別ごとに取得/単離するために、精製することができる。特に、製品混合物は、GM−CSF成分につき1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくはそれ以上のPEGからいずれかの平均を取得するように精製され得、一般的には、GM−CSF成分につき1つ、2つ、もしくは3つのPEGを取得し得る。最終的な複合体反応混合物の精製のための戦略は、例えば、使用されるポリマー試薬の分子量、特定のGM−CSF成分、所望の投与計画、個々の複合体の残留活性および生体内特性を含む多くの要因に依存するだろう。
【0153】
異なった分子量を持つ複合体は、もし所望するならば、ゲルろ過クラマトグラフィーおよび/またはイオン交換クラマトグラフィーの使用し、単離することができる。言い換えれば、ゲルろ過クラマトグラフィーは、異なった分子量(差異は原則的に当該水溶性ポリマー部分の平均分子量に対応する)を基本として、異なった数のポリマー対(GM−CSF)成分の比[例えば、単量体(モノマー)、二量体、三量体など、ここで「単量体」は1つのGM−CSF成分に結合している1つのポリマー(もしくはポリマーがPEGのときには、モノPEG化される)を示しており、「二量体」は、1つのGM−CSF成分に結合している2つのポリマー(もしくはポリマーがPEGのときにはジPEG化される)を示しており、他も同様である]ごとに、分画するのに使用される。
【0154】
例えば、20,000ダルトンのタンパク質が、約20,000ダルトンの分子量を有するPEG試薬と不規則に結合していた状態である例示的反応において、得られた反応混合は、約20,000ダルトンの分子量を有する非変換タンパク質、約40,000ダルトンの分子量を有するモノPEG化タンパク質(もしくは「単量体(モノマー)」)、約60,000ダルトンの分子量を有するジPEG化タンパク質(もしくは「二量体」)などを含み得る。
【0155】
この手法は、PEGおよび異なる分子量を有する他の水溶性ポリマー(GM−CSF)成分複合体の単離に使用できるが、通常この手法は、当該GM−CSF成分内の異なるポリマー結合部位を有する位置の異性体の単離には有効ではない。例えば、ゲルろ過クロマトグラフィーは、単量体(モノマー)、二量体、三量体、などのそれぞれの混合物からの単離に使用できるが、回収された各PEG−mer組成物は、GM−CSF成分内の異なった活性アミノ基(例えば、リジン残基)と結合したPEGを含み得る。
【0156】
Amersham Biosciences(ニュージャージー州、ピスカタウェイ)によって提供されるSuperdex(登録商標)およびSephadex(登録商標)カラムを含むゲルろ過カラムは、この種の単離を行うために適している。特定のカラムの選択は、求められる分画範囲に依存するだろう。溶解は、通常リン酸塩、酢酸塩、または同種の好適な緩衝液を使って行われる。当該回収された画分は、多くの方法を用いて分析することができ、例えば、(i)タンパク質量について280ナノメートルの吸収度、(ii)ウシ血清アルブミンを基準として使用した染色タンパク質分析、(iii)PEG量についてのヨウ素試験(Sims et al.(1980)Anal.Biochem,107:60−63)(iv)ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS PAGE)、その後ヨウ化バリウムによる染色、及び高速液体クラマトグラフィーである。
【0157】
位置異性体の分離は、例えば、C18コラムもしくはC3コラム (Amersham Biosciences またはVydac)を使用する逆相−高速液体クラマトグラフィー(RP−HPLC)方法を使用した逆相クラマトグラフィーによって、もしくは例えば、Amersham Biosciencesが提供するSepharose(登録商標)イオン交換コラムであるイオン交換コラムを使用したイオン交換クラマトグラフィーによって行うことができる。いずれの技術も、同分子量(位置異性体)を有するポリマー活性物質の分離に使用することができる。
【0158】
当該組成物は、GM−CSFの活性を有しないタンパク質がほとんど含まれていないことが好ましい。さらに、好ましい当該組成物は、水溶性ポリマーと非共有結合している他の全てのものが、ほとんど含まれていないことである。しかしながら、ある状況においては、当該組成物は水溶性ポリマー(GM−CSF)成分複合体および非結合GM−CSFの混合物を含み得る。
【0159】
場合により、本発明の組成物は、医薬として許容される賦形剤を含み得る。もし所望するならば、当該医薬として許容される賦形剤は、当該組成物を形成するために複合体に追加され得る。
【0160】
例示的な医薬として許容される賦形剤は、非制限的に、炭水化物、無機塩類、抗菌剤、抗酸化剤、界面活性剤、緩衝剤、酸、塩基およびこれらの組み合わせから成る群から選択されたものを含む。
【0161】
糖の如き炭水化物、アルジトールの如き誘導された糖、アルドン酸、エステル糖および/又は糖ポリマーは、賦形剤として存在することができる。特に炭水化物の賦形剤は、例えば:果糖、麦芽糖、ガラクトース、ブドウ糖、D−マンノース、ソルボースなどといった単糖類;乳糖、白糖、トレハロース、セロビオースなどといった二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、澱粉などといった多糖類;およびマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ピラノシル、ミオイノシトールなどといったアルジトールが含む。
【0162】
当該賦形剤は、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、一塩基硫酸ナトリウム、二塩基硫酸ナトリウムおよびこれらの組み合わせといった無機塩類もしくは緩衝剤も含み得る。
【0163】
当該組成物は、細菌の発育を妨げるもしくは阻止するための抗菌剤も含むことができる。本発明の好適な抗菌剤の例として、非制限的に塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジル・アルコール、塩化セチルピリジウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメルソル(thimersol)およびこれらの組み合わせを含む。
【0164】
抗酸化剤もまた同様に組成物内に存在し得る。抗酸化剤は酸化を防ぐために使用され、それ故当該製剤の複合体もしくは他成分の劣化を防ぐこととなる。本発明に使用される適切な抗酸化剤には、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜酸ナトリウムおよびこれらの組み合わせを含む。
【0165】
界面活性剤は賦形剤として存在することができる。例示的な界面活性剤は以下の:「Tween 20」および「Tween 80」の如きポリソルベート、そしてF68およびF88(両方ともBASFニュージャージー州モント・オリバーより提供される)の如きプルロニック;ソルビタンエステル;レシチン及び他のホスファチジルコリンの如きリン脂質、ホスファチジルエタノールアミン(リポソーム形態は好ましくないが)、脂肪酸、そして脂肪酸エステルといった脂質;コレステロールといったステロイド;EDTA(エチレンジアミン4酢酸)、亜鉛およびその他の適正なカチオンといったキレート剤を含む。
【0166】
酸もしくは塩基は、当該組成物内で賦形剤として存在することができる。酸の例として、非制限的に、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される酸を含む。適切な塩基の例として、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウムおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される塩基を、非制限的に含む。
【0167】
当該組成物内の複合体(すなわち、複合体は活性物質とポリマー試薬から形成される)の量は、多数の要因によって変化するが、当該組成物が単位用量容器(例えば、バイアル瓶)の中に収納されたときには、好ましくは、治療有効量となる。さらに、当該医薬品は、注射器内に収容することができる。治療有効量は、臨床上要求される終点の生産量を決定するために当該複合体を増量しながらの反復投与によって実験的に決定できる。
【0168】
当該組成物の中のいずれかの個別の賦形剤の量は、賦形剤の活性と組成物の特定の必要性に依存して変化するだろう。一般的に個々の賦形剤の好ましい量は、日常の実験を通じて見極められる。すなわち賦形剤(低領域から高領域まで)の含有量を変化させた組成物を調合し、安定性および他の指標を実験し、そして任意の効果が重大な副作用を及ぼさない領域を決定するのである。
【0169】
しかしながら、通常、当該賦形剤は、組成物内の質量の約1%〜約99%の間、好ましくは質量の約5%〜約98%の間、さらに好ましくは賦形剤の質量の約15%〜約95%の間存在し、質量の30%より少ないことが最も好ましい。
【0170】
他の賦形剤と供に、前述のこれら医薬上許容される賦形剤は、Williams & Williamsの「Remington: The Science & Practice of Pharmacy」1995年、第19版、 the Medical Economicsの「Physician’s Desk Reference」1998年、第52版、ニュージャージー州モントベイル、およびAmerican Pharmaceutical AssociationのKibbe, A.H., Handbook of Pharmaceutical Excipients、2000年、第3版、ワシントンD.C.に記載されている。
【0171】
複合体を製造する方法であって、結合条件下におけるGM−CSF成分とポリマー試薬の結合を含む当該方法も提供する。本明細書中に記すとおり、当該方法は保護および脱保護段階の実行を含む必要は無い。下記の実験的部分では、複合体の製造の例示的な手法を提供する。いったん複合体が調合されれば、医薬上許容される賦形剤を、医薬組成物を提供する複合体に追加することができる。
【0172】
当該医薬組成物は、製剤の全ての形態を包含し、特に、注射に適したもの、例えば、粉末、液体と同様に再構成することができる凍結乾燥剤(lyophilates)である。注射の前に固形の組成物を溶かすために適切な希釈剤の例は、注射のための静菌性水、水中5%のD形グルコース、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、塩水、滅菌水、脱イオン水およびこれらの組み合わせが挙げられる。液体医薬組成物に関し、溶液と懸濁液が想定される。
【0173】
本発明の1つもしくは複数の態様において、患者に複合体をデリバリーすること、本明細書中に提供される医薬組成物を患者に投与するステップを含む方法を提供する。他のものの中で、この方法は、当該医薬組成物の毒性(その毒性自体が既知の基準に対するものか、他の組成物より比較的毒性を有するかのいずれかで)をスクリーニングするための方法として実用的である。さらにこの方法は、治療有効量の当該医薬組成物を投与することによって、複合体の治療に反応する状態に苦しむ患者の治療に使用することができる。投与は、例えば、静脈注射、筋肉注射、皮下注射などによって効果的となり得る。非経口投与にとって適した製剤の形態は、他のものの中でも、既成の注射溶液、使用前に溶剤と組み合わせるための乾燥粉末、既成の注射用懸濁薬、使用前に担体と組み合わせるための乾燥不溶性組成物、および乳剤、そして投与前に希釈するための濃縮液である。
【0174】
前述の通り、当該デリバリー方法は、複合体の投与によって治癒または予防することができる状態にある患者の治療に使用することができる。当業者は、症状特異的複合体が効果的に治療することができることがわかる。例えば、当該複合体を、化学療法薬剤の投与以前、同時、以後に、患者に投与することができる。さらに、当該複合体を、骨髄移植(例えば、急性骨髄性白血病を患っている患者)が行われている患者に投与することができ、ここで、投与は、進行中の骨髄移植(自家もしくは同種いずれか)の以前、同時、もしくは以後に行われる。さらにまた、当該複合体は、抹消血単球およびリンパ球の細胞毒性を強化することを通じて、癌、粘膜炎、口内炎、下痢、創傷治癒、肺胞タンパク症および高コレステロール血症の治療に使用することができる。最終的には、当該複合体を、ワクチンのアジュバントとしても使用することができる。
【0175】
投与される実際の投薬量は、治療されている症状の重症性、ヘルス・ケアの専門家の判断、および投与されている複合体と同様に、年齢、体重、および対象の一般的な状態によって変化する。治療有効量は、当業者によく知られており、そして/または付属する参照テキストおよび文献に記載されている。通常は、質量ベースで、治療効果のある量は、約0.001ミリグラム〜100ミリグラムの範囲であり、好ましくは、1日当たり0.01ミリグラム〜1日当たり75ミリグラム、そして、さらに好ましくは、1日当たり0.10ミリグラム〜1日当たり50ミリグラムである。活性ベースでは、活性の国際単位を基準とした対応する投薬量は、当業者によって計算することができる。
【0176】
与えられたいずれかの複合体(再び、医薬組成物の一部として提供されることが好ましい)の単位投薬量は、臨床医学者の判断、患者の要望などによって、多様な投薬計画において投与することができる。特定の投薬計画は、当業者に知られているか、もしくは通常の方法を使用し実験的に決定することができる。例示的な投薬計画のは、1日5回の投薬、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、週3回、週2回、週1回、月2回、月1回、およびこれらの組み合わせを非制限的に含む。いったん臨床的な終点に到達すると、組成物の投薬は停止される。
【0177】
本発明は、好ましいそれらの特定の態様と共に記載されているが、前述の記載は、後の実施例と同様に例証することを意図したものであり、本発明の範囲を制限することを意図しないことを理解すべきである。他の側面から、本発明の範囲内における優位性および改良は、本発明の属する分野の当業者にとって明らかだろう。
【実施例】
【0178】
実験
本発明の実施は、特に明記しない限り、当分野における通常の有機合成などの慣習的技術を用いるものとする。かかる技術は、文献によって十分な説明がされている。試薬および材料は、特に指定がない限り、市販のものである。例えば、J.March、Advanced Organic Chemistry:Reactions Mechanisms and Structure、第4版.(New York:Wiley‐Interscience、1992)を参照のこと。
【0179】
以下の実施例において、使用された数字(例えば、量、温度、その他)に関し、精度を確保することに努めたが、実験誤差や偏差があることも考慮されるべきである。特に指定がない限り、温度は摂氏温度であり、圧力は海面位における大気圧またはその近辺である。
【0180】
当業者に知られたその他の略語が参照され、他の試薬および材料が使用され、そして当業者に知られた他の方法も用いられるだろうけれども、以下のリストおよび方法の記述は便宜上提供される。
【0181】
略語:
NaCNBH3 シアノ水素化ホウ素ナトリウム
【0182】
HCl 塩酸
【0183】
HEPES 4‐(2‐ヒドロキシエチル)‐1-ピペラジンエタンスルホン酸
【0184】
KまたはkDa キロダルトン
【0185】
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
【0186】
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
【0187】
SDS‐PAGE ドデシル硫酸ナトリウム‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動
【0188】
SDS‐PAGE分析
表示されるサンプルを、Bio‐Radシステム(Mini‐PROTEAN III Precast Gel Electrophoresis System)を用いたドデシル硫酸ナトリウム‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS‐PAGE)によって分析した。サンプルをサンプル緩衝液と混合した。その後、当該調合されたサンプルを、ゲル上にロードし、約30分間走らせた。
【0189】
SEC‐HPLC分析
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC‐HPLC)分析を、Agilent1100 HPLCシステム(Agilent)にて実施した。サンプルを、Shodex protein KW‐804カラム(300×8mm、Phenomenex)を用いて、pH7.4で、分析した。当該カラムの流速は0.5mL/分であった。溶出されたタンパク質およびPEG‐タンパク質複合体を、280nmでUVを用いて検出した。
【0190】
アニオン交換クロマトグラフィー
実施例1〜6で調合されたPEG化GM‐CSF複合体を精製するために、AKTAprimeシステム(Amersham Biosciences)と共にHiTrap QセファロースHPアニオン交換カラム(Amersham Biosciences)を使用した。調合された各複合体溶液について、当該複合体溶液を、pH7.5の20mMトリス緩衝液(緩衝液A)中で事前に平衡されたカラムにロードし、そして、次いで、緩衝液Aの10カラム量で洗浄し、未反応のPEG試薬を除去した。その後、0〜100%の衝液B(0.5M NaCl緩衝液を有するpH7.5の20mMトリス)を有する緩衝液Aの勾配を上げた。当該溶離剤を、280nmでUV検出器により観察した。いくらかの高い量体(例えば、3量体、4量体など)がまず溶出され、次に2量体、そして1量体、そして最後に非複合体GM‐CSFが溶出された。当該画分をクロマトグラムに従って集め、SEC−HPLCまたはSDS‐PAGEにより個々の複合体の純度を測定した。
【0191】
実施例1〜6に使用した、配列ID番号:2のアミノ酸配列に対応する組み換えヒトGM‐CSF(hGM‐CSF)を商業的供給源から得た。ストックhGM‐CSF溶液を、(必要な場合)当業者に知られた緩衝液交換技術を用いて、アミンを含まない緩衝液中に組み換えヒトGM‐CSFが存在することを確保することにより調合した。
【0192】
実施例1
分岐mPEG‐N‐ヒドロキシスクシンイミド誘導体、40kDaを用いた
hGM‐CSFのPEG化
【化13】

【0193】
アルゴン下‐20°Cで保存された、40kDaのmPEG2‐NHSを、周囲温度まで暖めた。当該暖められたmPEG2‐NHSの5倍過剰(当該ストックhGM‐CSF溶液の測定された一定分量中のhGM‐CSFの量に対して)を、2mMのHClに溶解し、10%試薬溶液を形成した。当該10%試薬溶液を、ストックhGM‐CSF溶液の一定分量(pH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液中に1mg/mL)に素早く添加し、十分混ぜ合わせた。PEG試薬の添加後、当該反応混合物のpHを測定し、通常技術を用いて7.0に調整した。アミド結合を介してmPEG2‐NHSがhGM‐CSFに結合できるように、当該反応溶液を、Slow Speed Lab Rotator(低速実験回転子)に一晩置き室温で結合を促進させた。当該反応物をトリス緩衝液で急冷した。当該複合体溶液を下記のように特徴付けした。
【0194】
図1は、当該複合体溶液のSEC‐HPLC分析後のクロマトグラムを示す。当該PEG化反応は、1量体(モノ‐複合体またはhGM‐CSFに結合する一つのPEG)種を57%、および2量体(ジ‐複合体またはhGM‐CSFに付着する二つのPEG)種を13%それぞれ産生した。
【0195】
当該複合体を精製するために陰イオン交換クロマトグラフィーを用いた。図2は、陰イオン交換精製後のクロマトグラムを示す。当該複合体の画分を収集し、SDS‐PAGEにより分析した(図3)。当該精製された複合体は最高100%の純度であった。
【0196】
これと同様の手法で、他の重量平均分子量を有すmPEG2‐NHSを用いて、他の複合体を調合することができる。
【0197】
実施例2
線状mPEG‐スクシンイミジルα‐メチルブタノアート誘導体、30kDaを用いた
hGM‐CSFのPEG化
【化14】

【0198】
アルゴン下‐20°Cで保存された、30kDa のmPEG‐SMBを、周囲温度まで暖めた。当該暖められたmPEG‐SMBの10倍過剰(当該ストックhGM‐CSF溶液の測定された一定分量中のhGM‐CSFの量に対して)を、2mMのHClに溶解し、10%試薬溶液を形成した。当該10%試薬溶液をストックhGM‐CSF溶液の一定分量(pH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液に1mg/mL)に素早く添加し、十分混ぜ合わせた。mPEG‐SMBの添加後、当該反応混合物のpHを測定し、通常技術を用いて7.0に調整した。アミド結合を介してmPEG‐SMBがhGM‐CSFに結合できるように、当該反応溶液を、Slow Speed Lab Rotator(低速実験回転子)に一晩置き、室温で結合を促進させた。当該反応物をトリス緩衝液で急冷した。当該複合体溶液を下記のように特徴付けした。
【0199】
図4は、当該複合体溶液のSEC‐HPLCクロマトグラムを示す。当該SEC‐HPLC分析によって、PEG化反応が1量体(モノ‐複合体またはhGM‐CSFに結合する一つのPEG)種を58%、および2量体(ジ‐複合体またはhGM‐CSFに付着する二つのPEG)種を14%それぞれ産生したことが明らかになった。高速Qセファロースおよびトリス緩衝液を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法をも使用し複合体を精製した。当該複合体種の分離結果は図2に示したものと同様であった。
【0200】
これと同様の手法で、他の重量平均分子量を有すmPEG‐SMBを用いて、他の複合体を調合することができる。
【0201】
実施例3
mPEG‐ピペリドン、20kDaを用いたhGM‐CSFのPEG化
【0202】
20,000ダルトンの分子量を有するmPEG‐ピペリドン(mPEG‐PIP)をNektar Therapeutics(Huntsville、AL)から入手した。当該ポリマー試薬の基本構造を以下に示す。
【化15】

【0203】
アルゴン下‐20°Cで保存された、20kDaのmPEG‐PIPを、周囲温度まで暖めた。当該暖められたmPEG‐PIPの50〜100倍過剰(ストックhGM‐CSF溶液の測定された一定分量中のhGM‐CSFの量に対して)を、当該10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解し、10%試薬溶液を形成した。当該10%試薬溶液を、ストックhGM‐CSF溶液の一定分量(pH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液中に1mg/mL)に素早く添加し、十分混ぜ合わせた。mPEG‐PIPの添加後、当該反応混合物のpHを測定し、通常技術を用いて7.0に調整した後、30分間かき混ぜた。次いで、還元剤であるシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、13mMのNaCNBH3を作成した。当該反応溶液をSlow Speed Lab Rotator(低速実験回転子)に一晩置き、室温で結合を促進させた。当該反応物をトリス緩衝液で急冷した。この複合体溶液を下記のように特徴付けした。
【0204】
当該PEG化反応は、1量体(モノ‐複合体またはhGM‐CSFに結合する一つのPEG)の30%超を産生した。PEG環状構造の高い選択性により、2量体は殆ど産生されなかった。
【0205】
陰イオン交換クロマトグラフィー法も用いて複合物の精製を行った。図5は、陰イオン交換精製結果を示す。
【0206】
実施例4
線状mPEG‐ブチルアルデヒド誘導体、20kDaを用いたhGM‐CSFのPEG化
【化16】

【0207】
アルゴン下‐20°Cで保存された、20kDaのmPEG‐ButyrALDを、周囲温度まで暖めた。当該暖められたmPEG‐ButyrALDの30倍過剰(当該ストックhGM‐CSF溶液の測定された一定分量中のhGM‐CSFの量に対して)を、Milli−Q水に溶解し、10%試薬溶液を形成した。当該10%試薬溶液を、ストックhGM‐CSF溶液の一定分量(pH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液中に1mg/mL)に素早くに添加し、十分混ぜ合わせた。当該mPEG‐ButyrALDの添加後、当該反応混合物のpHを測定し、通常技術を用いて6.0に調整した後、30分間かき混ぜた。次いで、還元剤であるシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、9mMのNaCNBH3を作成した。当該反応溶液を、Slow Speed Lab Rotator(低速実験回転子)に一晩置き、室温で結合を促進させた。当該反応物をトリス緩衝液で急冷した。当該複合体溶液を下記のように特徴付けした。
【0208】
当該mPEG‐ButyrALDのアルデヒド基は、hGM‐CSFと結合する第一級アミンと反応でき、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの如きの還元剤によって還元される第二級アミンを介して、それらに共有結合する。当該PEG化反応をpH6.0で行った為、当該PEG誘導体のhGM‐CSFへの結合が、N‐末端に対して、より選択的となった。図6は、当該複合体溶液のSEC‐HPLCクロマトグラムを示す。当該PEG化反応は、1量体(hGM‐CSFに結合する一つのPEGまたはモノPEG化)種を75%、および2量体(ジ‐複合体またはhGM‐CSFに結合する二つのPEG)種を4%それぞれ産生した。高速Qセファロースおよびトリス緩衝液を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法をも使用し当該複合体を精製した。当該複合体種の分離結果は図5に示したものと同様であった。
【0209】
これと同様の手法で、他の重量平均分子量を有すmPEG‐ButyrALDを用いて他の複合体を調合することができる。
【0210】
実施例5
線状mPEG‐ブチルアルデヒド誘導体、30kDaを用いたGM‐CSFのPEG化
【化17】

【0211】
アルゴン下‐20°Cで保存された、30kDaのmPEG‐ButyrALDを、周囲温度まで暖めた。当該暖められたmPEG‐ButyrALDの30倍過剰(ストックhGM‐CSF溶液の測定された一定分量中のhGM‐CSFの量に対して)をMilliQ水に溶解し、10%試薬溶液を形成した。当該10%試薬溶液を、ストックhGM‐CSF溶液の一定分量(pH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液に1mg/mL)に素早く添加し、十分混ぜ合わせた。mPEG‐ButyrALDの添加後、当該反応混合物のpHを測定し、通常技術を用いて6.0に調整した後、30分間かき混ぜた。次いで、還元剤であるシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、9mMのNaCNBH3を作成した。当該反応溶液をSlow Speed Lab Rotator(低速実験回転子)に一晩置き、室温で結合を促進させた。当該反応物をトリス緩衝液で急冷した。当該複合体溶液を下記のように特徴付けした。
【0212】
当該mPEG‐ButyrALDのアルデヒド基は、hGM‐CSFと結合する第一級アミンと反応でき、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの如きの還元剤によって還元されると第二級アミンを介して、それらに共有結合する。当該PEG化反応がpH6.0で行われた為、PEG誘導体のhGM‐CSFへの結合がN‐末端に対して、より選択的となった。図7は、当該複合体溶液のSEC‐HPLCクロマトグラムを示す。当該PEG化反応は、1量体(hGM‐CSFに結合する一つのPEGまたはモノPEG化)種を63%、および2量体(ジ‐複合体またはhGM‐CSFに結合する二つのPEG)種を20%それぞれ生成した。高速Qセファロースおよびトリス緩衝液を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法で当該複合体を精製した。当該複合体種の分離結果は図2に示したものと同様であった。
【0213】
これと同様の手法で、他の重量平均分子量を有すmPEG‐ButyrALDを用いて他の複合体を調合することができる。
【0214】
実施例6
分岐mPEG‐ブチルアルデヒド誘導体、40kDaを用いたhGM‐CSFのPEG化
【化18】

【0215】
アルゴン下‐20°Cで保存された、40kDaのmPEG2‐ButyrALDを、周囲温度まで暖めた。当該暖められたmPEG2‐ButyrALDの30倍過剰((ストックhGM‐CSF溶液の測定された一定分量中のhGM‐CSFの量に対して)をMilliQ水に溶解し、10%試薬溶液を形成した。当該10%試薬溶液をストックhGM‐CSF溶液の一定分量(pH7.0のリン酸ナトリウム緩衝液に1mg/mL)に素早く添加し、十分混ぜ合わせた。当該mPEG2‐ButyrALDの添加後、当該反応混合物のpHを測定し、通常技術を用いて6.0に調整した後、30分間かき混ぜた。次いで、還元剤であるシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、9mMのNaCNBH3を作成した。当該反応溶液を、Slow Speed Lab Rotator(低速実験回転子)に一晩置き、室温で結合を促進させた。当該反応物をトリス緩衝液で急冷した。当該複合体溶液を下記のように特徴付けした。
【0216】
当該mPEG2‐ButyrALDのアルデヒド基は、hGM‐CSFと結合する第一級アミンに反応でき、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの如き還元剤によって還元されると第二級アミンを介してそれらに共有結合する。当該PEG化反応をpH6.0で行った為、当該PEG誘導体のhGM‐CSFへの結合がN‐末端に対して、より選択的となった。図8は、当該複合体溶液のSEC‐HPLCクロマトグラムを示す。当該PEG化反応は、1量体(hGM‐CSFに結合する一つのPEGまたはモノPEG化)種を65%および2量体(ジ‐複合体またはhGM‐CSFに結合する二つのPEG)種を10%それぞれ産生した。高速Qセファロースおよびトリス緩衝液を用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法をも使用し当該複合体を精製した。当該複合体種の分離結果は図2に示したものと同様であった。
【0217】
これと同様の手法で、他の重量平均分子量を有すmPEG2‐ButyrALDを用いて他の複合体を調合することができる。
【0218】
実施例7
mPEG‐SBAを用いたGM‐CSFのPEG化
20,000ダルトンの分子量を有するmPEG‐スクシニミジルブタノアートをNektar Therapeutics(Huntsville、AL)から入手する。このポリマー試薬の基本構造を以下に示す。
【化19】

【0219】
GM‐CSFを脱イオン水に溶解し、そこにトリエチルアミンを加えpHを7.2〜9に上げた。次いで、この溶液に1.5〜10倍モル濃度過剰のmPEG‐SBAを添加した。こうして得た混合物を、室温で数時間攪拌した。
【0220】
当該反応混合物をSDS‐PAGEにより分析し、当該タンパク質のPEG化度を測定した。
【0221】
実施例8
mPEG‐MAL、20Kを用いたシステイン‐挿入GM‐CSFの結合
【化20】

【0222】
国際特許公開WO90/12874に記載されたプロセスに従って、GM‐CSFを1又は複数のシステイン残基と共に挿入した。
【0223】
アルゴン下‐20°Cで保存された、20KのmPEG‐MALを、周囲温度まで暖めた。当該暖められた20KのmPEG‐MALの5〜20倍過剰を脱イオン水に溶解し、10%mPEG MAL溶液を作成した。当該mPEG MAL溶液をストックGM‐CSF溶液の一定分量(pH7.0の50mM HEPESに1mg/mL)に素早くに添加し、十分混ぜ合わせた。室温で一時間反応させた後、当該反応バイアルを冷たい場所に移動し、4°CでRotomix(低速、Thermolyne)上で反応を一晩続行させた。
【0224】
当該複合体混合物を、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製した。当該反応混合物及び最終生産物を分析するために、サイズ排除クロマトグラフィー方法を開発した。SDS‐PAGE分析をもサンプルの特徴付けに使用した。
【0225】
実施例9
mPEG‐MAL、30Kを用いたGM‐CSFの結合
【化21】

【0226】
国際特許公開WO90/12874に記載されたプロセスに従って、GM‐CSFを1又は複数のシステイン残基と共に挿入した。
【0227】
アルゴン下‐20°Cで保存された、30KのmPEG‐MALを、周囲温度まで暖めた。当該暖められた30KのmPEG‐MALの5〜20倍過剰を脱イオン水に溶解し、10%mPEG MAL溶液を作成した。当該mPEG MAL溶液をストックGM‐CSF溶液の一定分量(pH7.0の50mM HEPESに1mg/mL)に素早くに添加し、十分混ぜ合わせる。室温で一時間反応させた後、当該反応バイアルを冷たい場所に移動し、4°CでRotomix(低速、Thermolyne)上で反応を一晩続行させた。
【0228】
当該複合体混合物を、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製した。当該反応混合物及び最終生産物を分析するために、サイズ排除クロマトグラフィー方法を開発した。SDS‐PAGE分析をもサンプルの特徴付けに使用した。
【0229】
実施例10
例示的な(GM‐CSF)‐PEG複合体の生体外活性
実施例1〜6に記載された複合体の生体外活性を、測定した。試験された全ての複合体は生物活性のものであった。
【0230】
実施例11〜19
配列ID番号:2のGM−CSF成分が配列ID番号:1のGM‐CSFで交換されたことを除いて、実施例1〜9のそれぞれを再現した。
【0231】
実施例20
生体外活性の複合体
実施例11〜19に記載された複合体の生体外活性を測定した。試験された全ての複合体は生物活性のものであった。
【0232】
【表15】

【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】図1は、実施例1に記載された複合体溶液のSEC−HPLC分析のクロマトグラムである。
【図2】図2は、実施例1に記載された陰イオン交換精製のクロマトグラムである。
【図3】図3は、実施例1に記載された複合体画分のSDS−PAGE結果を示している。
【図4】図4は、実施例2に記載された複合体溶液のSEC−HPLC分析のクロマトグラムである。
【図5】図5は、実施例3に記載された陰イオン交換精製のクロマトグラムである。
【図6】図6は、実施例4に記載された複合体溶液のSEC−HPLC分析のクロマトグラムである。
【図7】図7は、実施例5に記載された複合体溶液のSEC−HPLC分析のクロマトグラムである。
【図8】図8は、実施例6に記載された複合体溶液のSEC−HPLC分析のクロマトグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
【化1】

を含む複合体であって、
{式中、
POLYは、水溶性ポリマーであり、
(a)は、ゼロまたは1であり、
1は、存在する場合、1又は複数の原子を含むスペーサー部分であり、
1は、有機ラジカルであり、
GM‐CSFは、GM‐CSF成分である。}、
前記複合体。
【請求項2】
以下の構造式:
【化2】

を含み、
{式中、
(n)は、3〜4000の数値を有す整数であり、
1は、前記の通りであり、
1は、メチル、エチル、プロピル、およびイソプロピルから成る群から選択され、そして、
GM‐CSFは、ヒトGM‐CSFである。}、
請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
以下の構造式:
【化3】

を含み、
{式中、
(n)は、3〜4000の数値を有す整数であり、
GM‐CSFは、ヒトGM‐CSFである。}、請求項1に記載の複合体。
【請求項4】
以下の構造式:
【化4】

を含む複合体であって、
{式中、
POLYは、水溶性ポリマーであり、
(d)はゼロまたは1であり、
2は、存在する場合、1又は複数の原子を含むスペーサー部分であり、
(b)は、1〜10までの数値を有す整数であり、
(c)は、1〜10までの数値を有す整数であり、
2は、各々、存在する場合、独立して、Hまたは有機ラジカルであり、
3は、各々、存在する場合、独立して、Hまたは有機ラジカルであり、
GM‐CSFは、GM‐CSF成分である。}、
前記複合体。
【請求項5】
以下の構造:
【化5】

を含み、
{式中、
(n)は、3〜4000の数値を有す整数であり、
2は、前記の通りであり、
(b)は、2〜6であり、
(c)は、2〜6であり、
2は、各々、存在する場合独立して、Hまたは低アルキルであり、そして
GM‐CSFはヒトGM‐CSFである。}、請求項4に記載の複合体。
【請求項6】
以下の構造式:
【化6】

を含み、
{式中、
(n)は、3〜4000の数値を有す整数であり;
GM‐CSFは、ヒトGM‐CSFである。}、
請求項5に記載の複合体。
【請求項7】
以下の構造式:
【化7】

を含み、
{式中、
各(n)は、独立して、3〜4000の数値を有す整数であり、
Xは、前記の通りであり、
(b)は、2〜6であり、
(c)は、2〜6であり、
2は、各々、存在する場合に、独立して、Hまたは低アルキルであり、
GM‐CSFは、GM‐CSF成分である。}、
請求項4に記載の複合体。
【請求項8】
以下の構造式:
【化8】

を含み、
{式中、
各(n)は、独立して3〜4000の数値を有す整数であり、
GM‐CSFは、ヒトGM‐CSFである。}、
請求項5に記載の複合体。
【請求項9】
分岐水溶性ポリマーに、直接、あるいは、1又は複数の原子を含むスペーサー部分を介してのいずれかで共有結合した内部アミンを含む、GM‐CSF成分を含む複合体。
【請求項10】
N末端アミノ酸残基に、直接、あるいは、1又は複数の原子を含むスペーサー部分を介してのいずれかで、共有結合した追加的分岐水溶性ポリマーをさらに含む、請求項9に記載の複合体。
【請求項11】
前記分岐水溶性ポリマーが、当該ポリマーが‐OCH2CONHCH2CO‐結合を介してリジン残基のアミン基に結合するリジン残基を欠く、請求項9に記載の複合体。
【請求項12】
前記分岐水溶性ポリマーが、以下の構造式:
【化9】

を含み、
{式中、
各(n)は、独立して3〜4000の数値を有す整数である。}、
請求項9に記載の複合体。
【請求項13】
前記複合体における水溶性ポリマーが、ポリ(アルキレン酸化物)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、およびポリ(アクリロイルモルホリン)から成る群から選択される、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項14】
前記水溶性ポリマーが、ポリ(アルキレン酸化物)である、請求項13に記載の複合体。
【請求項15】
前記ポリ(アルキレン酸化物)が、ポリ(エチレングリコール)である、請求項14に記載の複合体。
【請求項16】
前記ポリ(エチレングリコール)は、ヒドロキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ(alkenoxy)、置換アルケノキシ、アルキノキシ(alkynoxy)、置換アルキノキシ、アリールオキシ、および置換アリールオキシからなる群から選択された末端キャッピング基で末端にキャップされる、請求項15に記載の複合体。
【請求項17】
前記ポリ(エチレングリコール)が、メトキシで末端にキャップされる、請求項15に記載の複合体。
【請求項18】
前記水溶性ポリマーが、5、000ダルトン超、約150、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項19】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約6、000ダルトン〜約100、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項18に記載の複合体。
【請求項20】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約15、000ダルトン〜約85、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項19に記載の複合体。
【請求項21】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約20、000ダルトン〜約85、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項20に記載の複合体。
【請求項22】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約20、000ダルトン〜約60、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項21に記載の複合体。
【請求項23】
前記水溶性ポリマーが、分岐である、請求項1または4に記載の複合体。
【請求項24】
前記GM‐CSF成分が、ヒトGM‐CSF、および生物学的に活性なフラグメント、前記のいずれかの、欠損変異体、置換変異体または付加変異体から成る群から選択される、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項25】
前記GM‐CSF成分が、組み換えによって生成される、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項26】
3つ以下の水溶性ポリマーが、前記GM‐CSF成分に結合する、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項27】
ジPEG化形態である、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項28】
モノPEG化形態である、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項29】
前記GM‐CSF成分が、非グリコシル化される、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項30】
前記GM‐CSF成分が、グリコシル化される、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体。
【請求項31】
医薬組成物であって、
(i)水溶性ポリマーに、直接、あるいは1又は複数の原子を含むスペーサー部分を介してのいずれかで、共有結合したヒトGM‐CSFを含む複合体であって、前記水溶性ポリマーが、5、000ダルトン超の重量平均分子量を有す前記複合体と、及び
(ii)医薬として許容される賦形剤、
を含み、前記医薬組成物における前記複合体の少なくとも約85%が、前記ヒトGM‐CSFに結合する1〜2のポリマーを有す、上記医薬組成物。
【請求項32】
前記複合体における各水溶性ポリマーが、ポリ(アルキレン酸化物)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、およびポリ(アクリロイルモルホリン)から成る群から選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記水溶性ポリマーが、ポリ(アルキレン酸化物)である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記ポリ(アルキレン酸化物)が、ポリ(エチレングリコール)である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記ポリ(エチレングリコール)が、ヒドロキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケノキシ、置換アルケノキシ、アルキノキシ、置換アルキノキシ、アリールオキシ、および置換アリールオキシからなる群から選択された末端キャッピング基で末端にキャップされる、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記ポリ(エチレングリコール)が、メトキシで末端にキャップされる、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約5、000ダルトン〜約150、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項34に記載の組成物。
【請求項38】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約6、000ダルトン〜約100、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約15、000ダルトン〜約85、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約20、000ダルトン〜約85、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記ポリ(エチレングリコール)が、約20、000ダルトン〜約60、000ダルトンまでの範囲の総重量平均分子量を有す、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記複合体中の各水溶性ポリマーが、線状水溶性ポリマーである、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記複合体中の各水溶性ポリマーが、分岐水溶性ポリマーである、請求項31に記載の組成物。
【請求項44】
前記分岐水溶性ポリマーが、当該ポリマーが‐CH2CONHCH2CO‐基を介してリジン残基のアミン基に結合するリジン残基を欠く、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記水溶性ポリマーが分岐水溶性ポリマーの場合に、当該分岐水溶性ポリマーが、分岐をもたらすために使用されるリジン残基を欠く、請求項31に記載の組成物。
【請求項46】
前記分岐水溶性ポリマーが、以下の構造式:
【化10】

を含み、
{式中、
各(n)は、独立して、3〜4000の数値を有す整数である。}、
請求項43に記載の組成物。
【請求項47】
前記ヒトGM‐CSFが、配列ID番号:1のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項48】
前記ヒトGM‐CSFが、配列ID番号:2のアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項49】
前記ヒトGM‐CSFが、組み換えによって生成される、請求項31に記載の組成物。
【請求項50】
前記ヒトGM‐CSFが、非グリコシル化される、請求項48に記載の組成物。
【請求項51】
前記ヒトGM‐CSFが、グリコシル化される、請求項48に記載の組成物。
【請求項52】
(i)請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体;及び
(ii)医薬として許容される賦形剤、
を含む医薬組成物。
【請求項53】
前記組成物が、アルブミンを実質上含まない、請求項31または52に記載の組成物。
【請求項54】
前記組成物が、GM‐CSF活性を有しないタンパク質を実質上含まない、請求項31または52に記載の組成物。
【請求項55】
前記組成物が、非共有結合した水溶性ポリマーを実質上含まない、請求項31または52に記載の組成物。
【請求項56】
凍結乾燥形態である、請求項31または52に記載の組成物。
【請求項57】
液体形態である、請求項31または52に記載の組成物。
【請求項58】
前記組成物中の前記複合体の少なくとも約90%が、前記ヒトGM‐CSFに結合する1〜2のポリマーを有す、請求項31または52に記載の組成物。
【請求項59】
前記組成物中の前記複合体の少なくとも約95%が、前記ヒトGM‐CSFに結合する1〜2のポリマーを有す、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
請求項31または52に記載の医薬組成物を患者に投与するステップを含む、患者へ複合体をデリバリーする方法。
【請求項61】
皮下注射によって実施される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
共役条件下、GM−CSF成分と、ポリマー試薬とを接触させ、請求項1、4または9のいずれか1項に記載の複合体をもたらすステップを含む、前記複合体を作成する方法。
【請求項63】
保護および脱保護ステップが行われない、請求項62に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−506704(P2008−506704A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521649(P2007−521649)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/025052
【国際公開番号】WO2006/019950
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(503197027)ネクター セラピューティクス アラバマ,コーポレイション (16)
【Fターム(参考)】