説明

H−ARQプロセスを動的に割り当てる方法および装置

【課題】H−ARQプロセスのプリエンプションは、送信の優先度付けの問題を解決することができるが、結合による利益を失い、それに付随して無線リソースの使用効率が低減するという問題があった。
【解決手段】拡張上りリンク(EU:enhanced uplink)送信を支援するために、無線送受信ユニットにおいてハイブリッド自動再送要求(H−ARQ:hybrid-automatic repeat request)プロセスを動的に割り当てる方法および装置である。WTRUにおけるH−ARQプロセスは、異なるデータ送信優先度クラスに関連付けられた個々のトランスポートチャネル、専用チャネル媒体アクセス制御フローまたは論理チャネルに対して確保されている。WTRUは、これらの確保されている利用可能なH−ARQプロセスからH−ARQプロセスを割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの無線送受信ユニット(WTRU:wireless transmit/receive unit)、少なくとも1つのノードBおよび無線ネットワークコントローラ(RNC:radio network controller)を含む無線通信システムにおけるハイブリッド自動再送要求(H−ARQ:hybrid-automatic repeat request)動作に関する。より詳細には、本発明は、拡張上りリンク(EU:enhanced uplink)送信を支援するためにWTRUにおいてH−ARQプロセスを動的に割り当てる方法およびシステムである。
【0002】
EU動作は、アップリンク(UL:uplink)のレイテンシを低減し、スループットを向上させ、物理的な無線リソースのより効率的な使用を提供する。EU動作中、H−ARQプロセスを使用して、EUデータ送信の成功または不成功を報告するフィードバックプロセスの円滑化を含む、WTRUとノードBとの間のEU送信の支援を行う。
【0003】
EU H−ARQプロセスの数をWTRUごとに定義し、各WTRUは、H−ARQプロセスの複数のインスタンスを同時に支援する。各EUデータ送信のフィードバックサイクルは、UL送信時間に比べて比較的長く、かつ、各EU送信を成功裡に送信するために異なる数の送信が要求される場合があるので、WTRUは、幾つかのH−ARQプロセスを同時に稼動してデータレートを向上させ、レイテンシを低減する必要がある。
【0004】
どのWTRU接続にも、複数の論理チャネルが存在する。これらの論理チャネルは、異なるスループット、レイテンシ、エラーレートおよびサービス品質(Qos:quality of service)要求を有する。これらの要求を満足させるために、RNCは、媒体アクセス制御(MAC:medium access control)論理チャネル優先度(MLP:MAC Logical channel Priority)として知られる各論理チャネルごとの優先度を設定する。MLPは、EU−MAC(MAC−e)に接続されている専用チャネルMAC(MAC−d:dedicated medium access control)フローにマッピングされ、EU H−ARQプロセスを管理する。
【0005】
類似の設計が、ダウンリンク(DL:downlink)チャネルの高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA:high speed downlink packet access)についても存在する。優先度の高いデータの送信が要求され、H−ARQプロセスが全て優先度の低いデータの送信に既に割り当てられているとき、優先度の低い既存のH−ARQ送信を優先度の高い送信でプリエンプトすることが可能になっている。プリエンプションが発生すると、優先度の低いデータは、後のH−ARQ送信のために再スケジュールされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
H−ARQプロセスのプリエンプションに伴う問題は、結合による利益を失うことである。EU H−ARQ動作の1つの重要な利点は、前の送信から受信したデータを記憶し、前の送信とそれに続く送信を結合してデータ送信成功の確率を上げる能力である。しかしながら、H−ARQプロセスをプリエンプトすると、前の送信の記憶データ、ひいてはH−ARQプロセスの結合による利点を失うことになる。
【0007】
H−ARQプロセスのプリエンプションを実施するのは、WTRUにおいて構成できるH−ARQプロセスの数が限られているからである。各H−ARQプロセスは、受信処理に多量のメモリを要するが、WTRUのメモリ量は、限られている。
【0008】
優先度の低いデータを多量に有し、優先度の高いデータを少量有するのが一般的なので、優先度の低い送信を処理するとき、優先度の高いデータのQos要求を維持するために優先度の高い送信を遮断しないことが必要である。優先度の低いデータがH−ARQプロセスを独占する場合、システム全体の性能を低下させることがある。さらに、優先度の低いデータによってレイテンシが長くなるので、H−ARQプロセスの保持時間が長くなる。
【0009】
H−ARQプロセスのプリエンプションは、送信の優先度付けの問題を解決することができるが、結合による利益を失い、それに付随して無線リソースの使用効率が低減するという犠牲を伴う。最初の、およびおそらくは2番目の送信が高い比率で失敗するとき、要求する物理リソースがさらに少ないあまりロバストでない変調符号化方式(MCS:modulation and coding scheme)を適用できるので、H−ARQシステム全体として最高の性能を達成すると思われる。この場合には、H−ARQプロセスのプリエンプションを採用すると、送信を成功させるため、この初期の送信および再送信を頻繁に繰り返すことが必要となり、最初にプリエンプトされた送信のために利用される無線リソースを浪費する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、EU送信を支援するためにWTRUにおいてH−ARQプロセスを動的に割り当てる方法および装置である。WTRUにおけるH−ARQプロセスは、異なるデータ送信優先度クラスに関連付けられた、特定のトランスポートチャネル(TrCH:transport channel)、専用チャネル媒体アクセス制御(MAC−d:dedicated medium access control)フロー、または論理チャネル用に確保(Reserved)されている。WTRUは、これら確保されている利用可能なH−ARQプロセスからH−ARQプロセスを割り当てる。選択肢として、優先度の高いチャネルを優先度の低いチャネル用に確保されているH−ARQプロセスに割り当てることを可能にしても良い。優先度の低いH−ARQプロセスはプリエンプトしてもよい。プリエンプションは、データ送信の緊急度(例えば、ライフスパンタイマの期限が迫っている)によって制限してもよく、H−ARQプロセスのRNC構成によって制限してもよい。代替として、H−ARQプロセスの共通プールを構成し、各チャネルの優先度に従ってH−ARQプロセスを共通プールから割り当て、優先度の低いH−ARQは、プリエンプトしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、本発明によると、優先度の低いデータは最大データレートを達成することができ、優先度の高い送信は、H−ARQプロセスのプリエンプションの必要性を要求しないでいつでも開始することができる。特定のチャネル用にH−ARQプロセスを確保し、これら確保したH−ARQプロセスをWTRUが動的に割り当てることを可能にすることによって、これらのチャネルのEUデータレートおよび送信レイテンシが、そのQos要求に合うことをより確実に保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による無線通信システムのブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態による、図1のシステムのH−ARQプロセスを割り当てるプロセスのフロー図である。
【図3】本発明の第2実施形態による、図1のシステムのH−ARQプロセスを割り当てるプロセスのフロー図である。
【図4】本発明の第3実施形態による、図1のシステムのH−ARQプロセスを割り当てるプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
例として、また添付の図面と共に理解されるように、以下に記述された好ましい実施形態から本発明をさらに詳しく理解できるだろう。
【0014】
以後、「WTRU」という用語は、ユーザ機器(UE:user equipment)、移動局、固定もしくは移動加入者ユニット、ページャ、または無線環境で動作可能な任意の他の種類の装置を含むが、これらに限定されるものではない。以後、「ノードB」という用語は、基地局、サイトコントローラ、アクセスポイント、または無線環境における任意の他の種類のインタフェース装置を含むが、これらに限定されるものではない。
【0015】
本発明の機能は、集積回路(IC:integrated circuit)に組み込んでもよく、多数の相互接続コンポーネントを備える回路内で構成してもよい。
【0016】
図1は、本発明に従って動作する無線通信システム100のブロック図である。システム100は、少なくとも1つのWTRU102、少なくとも1つのノードB104およびRNC106を含む。RNC106は、例えば、WTRU102におけるH−ARQプロセス、初期送信電力レベル、最大許容EU送信電力、または利用可能な物理リソースの構成等、ノードB104およびWTRU102に対するEUパラメータを構成することによって、Iub/Iur112を介してEU動作全体を制御する。EU送信を容易にするためにWTRU102とノードB104との間にUL EUチャネル108が確立される。UL EUチャネル108は、E−DCHデータ送信用の拡張専用チャネル(E−DCH:enhanced dedicated channel)を含み、別個のUL EUシグナリングチャネルも含んで良い。UL EUシグナリングは、E−DCHを介して送信しても良い。
【0017】
WTRU102は、コントローラ122、複数のH−ARQプロセス124、メモリ126、および送受信機128を含む。コントローラ122は、H−ARQ割り当ておよびE−DCH送信の手順全体を制御する。さらに、コントローラ122は、H−ARQプロセスに関連付けられた各送信の状態を追跡する。メモリ126は、送信のためのE−DCHデータを記憶する。H−ARQプロセス124およびメモリ126は、複数の優先度クラスを支援するように分割してもよい。これについては、次に詳述する。
【0018】
E−DCH送信では、WTRU102は、チャネル割り当て要求をUL EUチャネル108を介してノードB104に送る。それに応答して、ノードB104は、DL EUシグナリングチャネル110を介してチャネル割り当て情報をWTRU102に送る。EUの物理リソースがWTRU102に割り当てられた後、WTRU102はUL EUチャネル108を介してE−DCHデータを送信する。E−DCH送信に応答して、ノードBは、DL EUシグナリングチャネル110を介してH−ARQ動作に対する肯定確認応答(ACK:acknowledge)または非確認応答(NACK:non-acknowledge)メッセージを送る。
【0019】
H−ARQ動作のメモリ要求は、主に受信機にとって問題となる。HSDPAに対しては、H−ARQプロセスおよび各H−ARQプロセスごとに確保されるメモリの数は最小化される。EUに対しては、WTRUのメモリ要求は、HSDPAの場合ほど制限されていない。H−ARQのプロセスおよびメモリ要求の最小化を制限するのは最大データレートである。「止まって待つ」H−ARQプロセス送信ごとに、送信を生成し、その送信に対する処理フィードバックを待つサイクルがある。連続送信の能力を有するためには、いくつかのH−ARQプロセスが連続して動作することが要求される。
【0020】
WTRU102のメモリ要求は、EUにおいてほど懸念材料ではないので、H−ARQプロセス124および各優先度クラスごとに確保されているメモリ126の数が、各優先度クラスの特定のデータレートを達成するために必要なH−ARQプロセスの数を超えることがある。WTRU102は、一度に使用できるH−ARQプロセスより多い数のH−ARQプロセスに対して構成することができる。一実施形態によると、H−ARQプロセスは、いつでもWTRU102が動的に割り当てることができる特定のTrCH、MAC−dフローまたは論理チャネル用に確保され、その結果、既に割り当てられたH−ARQプロセスのプリエンプション、およびそれに伴う結合の利益の損失を回避することができる。
【0021】
H−ARQ動作は、WTRU102とノードB104との間で同期的であってもよく非同期的であってもよい。非同期的H−ARQ動作においては、WTRU102でH−ARQプロセスを選択する機構は、ノードB104には知られていない。従って、H−ARQプロセスを各送信で識別する必要がある。同期的H−ARQ動作においては、WTRU102でH−ARQプロセスを選択する機構は、予め決められており、ノードB104に知られている。ノードB104は、所定の送信スケジュールに基づいてWTRU102で使用されるH−ARQプロセスを識別することができる。各E−DCH送信は、その送信が「新規送信」か、または「再送信」であるかを示す新規データインジケータ(NDI:new data indicator)を含む。NDIの初期値は、その送信が「新規送信」であることを示す。各H−ARQ送信の再送信シーケンス番号は、同様の情報を提供する。同期的H−ARQ動作においては、ノードB104は、送信時に基づいて、どちらのH−ARQプロセスがWTRU102で使われたか、およびどの送信を以前のどの送信と結合するべきかを判定することができる。
【0022】
図2は、本発明の第1実施形態による、WTRU102においてH−ARQプロセス124を割り当てるプロセス200のフロー図である。RNC106は、WTRU102を構成する。例えば、各論理チャネル、MAC−dフロー、トランスポートチャネル(TrCH:transport channel)、あるいはデータ優先度クラスに関連付けられたH−ARQプロセス124および/またはメモリの分割の数等を構成する(ステップ202)。これは、レイヤ3の無線リソース制御(RRC:radio resource control)シグナリング手順を通して行われることが好ましい。
【0023】
ステップ204の各送信時間間隔(TTI:transmit time interval)に対して、WTRU102は、提供されているTrCH、MAC−dフローまたは論理チャネルに関連付けられたH−ARQプロセスを動的に割り当てることができる。WTRU102は、ノードB104が物理リソースを割り当てたか否かを判定する(ステップ206)。物理リソースが割り当てられていない場合、プロセス200は、ステップ204に戻り、次のTTIを待つ。物理リソースが割り当てられている場合、WTRU102は、現在のTTIで送信するために最も優先度の高いクラスにおけるデータを選択する(ステップ208)。WTRU102は、好ましくは絶対優先度に基づいて、選択したH−ARQプロセス124を用いてどのデータを送信すべきかを判定する。この場合、新しいH−ARQプロセスが割り当てられるたびに、最も優先度の高いデータが、優先度の低いクラスにおけるデータに先行する。
【0024】
送信を待っているデータがない場合、プロセス200は、ステップ204に戻って次のTTIを待つ。送信すべきデータがあり、最も優先度の高いクラスデータがステップ208で選択される場合、WTRU102は、H−ARQプロセス124が「送信不成功」状態を有する他のデータに既に割り当てられているか否かを判定する(ステップ210)。H−ARQプロセス124が送信に成功しなかった他のデータに既に割り当てられており、(すなわち、NACKメッセージを含むフィードバック情報を受信しており)、かつデータフィードバック情報を待っていない場合、ステップ212でこの優先度クラスに関連付けられて最初に割り当てられたH−ARQプロセスが選択され、そのH−ARQプロセスが現在のTTIで送信される(ステップ214)。最初に割り当てられたH−ARQプロセスは、最小の送信シーケンス番号(TSN:transmission sequence number)、または同じ優先度データに割り当てられた他のH−ARQプロセスと比較して最大の再送信番号のどちらかで判定することができる。
【0025】
現在、「送信不成功」状態を有する他のデータに割り当てられたH−ARQプロセスがない場合、WTRU102は、この優先度クラスにおけるデータ送信を支援するのに利用できる、TrCH、MAC−dフローまたは論理チャネルに関連付けられたH−ARQプロセスがあるか否かを判定する(ステップ216)。利用可能なH−ARQプロセスがある場合、WTRU102は、選択したデータの優先度クラスに関連付けられた、確保されているH−ARQプロセス124の1つを割り当てる(ステップ218)。その優先度クラスを、論理チャネル、MAC−dフローおよびTrCHのうち少なくとも1つに関連付けられて構成されたH−ARQプロセスにマッピングしてもよい。選択したデータのTrCH、MAC−dフローまたは論理チャネルに利用可能なH−ARQプロセスがない場合、その優先度クラスは、現在のTTIに対して遮断されているとしてマーク付けされる(ステップ220)。その後、プロセス200はステップ208に戻り、次に優先度の高いデータを選択する。優先度の低いクラスを支援するTrCH、MAC−dフローまたは論理チャネルに関連付けられたH−ARQプロセスは、物理リソースが割り当てられ、かつ全ての未送信の送信準備ができた優先度の高いH−ARQプロセスを提供し終えたTTIを待つ。
【0026】
各論理チャネル、MAC−dフローまたはTrCHの最大データレートを達成するために必要なH−ARQプロセスの数を制限することが必要である。RNC106は、論理チャネル、MAC−dフローおよびTrCHのうち少なくとも1つに対して確保されるH−ARQプロセスの最大数を制限することができる。これによって、優先度の低いH−ARQプロセスが既に割り当てられているとき、各論理チャネル、MAC−dフローまたはTrCHの最大データレートを有効に制限する。優先度の高いデータは、最大データレートを制限するが低い送信レイテンシを提供する限られた数のH−ARQプロセスを有することができる。例えば、シグナリング無線ベアラ(SRB: signaling radio bearer)が必要とするのは、低いレイテンシと、高くないトラフィックチャネルのデータレートである。SRB、TrCH、MAC−dフローまたは論理チャネルは、その後、高い優先度とこのチャネル専用の1つまたは複数のH−ARQプロセスに対して、RRC手順を有するRNCによって構成してもよい。
【0027】
図3は、本発明の第2実施形態による、WTRU102においてH−ARQプロセスを割り当てるプロセス300のフロー図である。RNC106は、WTRU102を構成する。例えば、各論理チャネル、MAC−dフロー、TrCHまたはデータ優先度クラスに関連付けられたH−ARQプロセスおよび/またはメモリの分割の数を構成する(ステップ302)。これは、RRC手順を通して行うことが好ましい。
【0028】
ステップ304の各TTIに対して、WTRU102は、H−ARQプロセスを動的に割り当てる。WTRU102は、ノードB104が物理リソースを割り当てたか否かを判定する(ステップ306)。物理リソースが割り当てられていない場合、プロセス300は、ステップ304に戻って次のTTIを待つ。物理リソースが割り当てられている場合、新しいH−ARQプロセスを割り当てるたびに、WTRU102は、最も優先度の高いデータを判定し、現在のTTIにおいて送信する(ステップ308)。
【0029】
送信を待っているデータがない場合、プロセス300は次のTTIのためにステップ304に戻る。送信すべきデータがある場合、WTRU102は、H−ARQプロセスが、「送信不成功」状態を有する他の最も優先度の高いデータに既に割り当てられているか否かを判定する(ステップ310)。H−ARQプロセスが、送信に成功しなかった(すなわち、NACKフィードバックを受信した状態の)他の最も優先度の高いアクティブデータに割り当てられており、かつ、データフィードバック情報を待っていない場合、ステップ312でその優先度クラスに関連付けられて最初に割り当てられたH−ARQプロセスが選択され、そのH−ARQプロセスが現在のTTIで送信される(ステップ314)。
【0030】
最も優先度の高いデータに割り当てられたH−ARQプロセスが現在ない場合、WTRU102は、この優先度クラスに対してTrCH、MAC−dフローまたは論理チャネルに関連付けられた利用可能なH−ARQプロセスがあるか否かを判定する(ステップ316)。選択したデータの優先度クラスに対して利用可能なH−ARQプロセスがある場合、WTRU102は、この優先度クラスに対して確保したH−ARQプロセスの1つを割り当て(ステップ318)、そのH−ARQプロセスはステップ314で送信される。
【0031】
選択したデータの優先度クラスに対して利用可能なH−ARQプロセスがない場合、WTRU102は、優先度の低いクラスに対して利用可能なH−ARQプロセスがあるか否かを判定する(ステップ320)。優先度の低いクラスに関連付けられた利用可能なH−ARQプロセスがある場合、プロセス300は、ステップ318に分岐し、その優先度の低いクラスに関連付けられたH−ARQプロセスを割り当て、割り当てられたH−ARQプロセスを送信する(ステップ314)。ステップ320で、優先度の低いクラスに関連付けられた利用可能なH−ARQプロセスはないと判定された場合、この優先度クラスは現在のTTIに対して遮断され(ステップ322)、プロセス300はステップ308に戻って次に優先度の高いデータを選択する。
【0032】
選択肢として、優先度の低いクラスに関連付けられた利用可能なH−ARQプロセスがない場合、優先度の低いクラスに割り当てられたH−ARQプロセスをプリエンプトしても良い。RNC106は、各優先度クラスに対して確保されるH−ARQプロセスの数を構成する。優先度の高いデータに対して多数のH−ARQプロセスを確保する場合、プリエンプションは少なくなる。優先度の高いデータに対して確保されるH−ARQプロセスが少なくなると、プリエンプションは多くなる。
【0033】
図4は、本発明の第3実施形態による、WTRU102のH−ARQプロセスを割り当てるプロセス400のフロー図である。RNC106は、H−ARQプロセスの共通プールを構成し、その数は、WTRU102がいつでも(at any time)使用できるH−ARQプロセスの最大数を超える(ステップ402)。
【0034】
ステップ404の各TTIに対し、WTRU102は、H−ARQプロセスを動的に割り当てる。WTRU102は、ノードB104が物理リソースを割り当てたか否かを判定する(ステップ406)。物理リソースが割り当てられていない場合、プロセス400は、ステップ404に戻り次のTTIを待つ。物理リソースが割り当てられている場合、WTRU102は、最も優先度の高いクラスデータを選択し、現在のTTIにおいて送信する(ステップ408)。
【0035】
送信を待っているデータがない場合、プロセス400はステップ404に戻り、次のTTIを待つ。送信すべきデータがあり、最も優先度の高いデータが選択された場合、WTRU102は、H−ARQプロセスが「送信不成功」状態を有する他の最も優先度の高いデータに既に割り当てられているか否かを判定する(ステップ410)。H−ARQプロセスが、送信に成功しなかった(すなわち、NACKフィードバックを受信した状態の)他の最も優先度の高いアクティブデータに割り当てられており、データのフィードバック情報を待っていない場合、ステップ412でその優先度クラスに関連付けられて最初に割り当てられたH−ARQプロセスを選択し、そのH−ARQプロセスを現在のTTIで送信する(ステップ414)。
【0036】
最も優先度の高い他のデータに割り当てられたH−ARQプロセスが現在ない場合、WTRU102は、利用可能なH−ARQプロセスがあるか否かを判定する(ステップ416)。利用可能なH−ARQプロセスがある場合、WTRU102は、利用可能なH−ARQプロセスを割り当て(ステップ418)、ステップ414で、割り当てられたH−ARQが送信される。
【0037】
ステップ416で利用可能なH−ARQプロセスがないと判定された場合、WTRU102は、優先度の低いクラスデータに既に割り当てられたH−ARQプロセスがあるか否かを判定する(ステップ420)。優先度の低いクラスデータに既に割り当てられたH−ARQプロセスがある場合、最も優先度の低いクラスデータに割り当てられたH−ARQプロセスは、プリエンプトされる(ステップ422)。プリエンプトされたH−ARQプロセスは選択されたデータに割り当てられ、割り当てられたH−ARQプロセスは送信される(ステップ418、414)。優先度の低いクラスデータに既に割り当てられたH−ARQプロセスがない場合、この優先度クラスは現在のTTIに対して遮断され(ステップ424)、プロセス400はステップ408に戻って、次に優先度の高いデータを選択する。
【0038】
本発明の特徴と要素を特定の組み合わせで好ましい実施形態において記述したが、各特徴または要素は、好ましい実施形態の他の特徴および要素と共にではなく単独で使用することができる。または、本発明の他の特徴および要素との種々の組み合わせでまたははそれらなしで使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、一般的に無線通信システムに利用することができる。特に、拡張上りリンク(EU:enhanced uplink)送信を支援するためにWTRUにおいてH−ARQプロセスを動的に割り当てる方法およびシステムに利用できる。
【符号の説明】
【0040】
102 WTRU
104 ノードB
106 RNC
122 コントローラ
124 H−ARQプロセス
126 メモリ
128 送受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張専用チャネル(E−DCH)上の送信をサポートするハイブリッド自動再送要求(H−ARQ)プロセスを提供する手段と、
いずれのH−ARQプロセスが特定の専用チャネル媒体アクセス制御(MAC−d)フローに関連付けられているかを示す構成情報を受信する手段であって、前記関連付けは、前記特定のMAC−dフローからのデータが、関連付けられたH−ARQプロセスを使用して送信されることを示している、受信する手段と、
各々の送信時間期間(TTI)に対して、前記MAC−dフローからのデータの送信に対するH−ARQプロセスを割り当てる手段であって、前記割り当てられたH−ARQプロセスは、前記関連付けられたH−ARQプロセスのうちの1つからである、割り当てる手段と、
前記割り当てられたH−ARQプロセスを使用して、前記E−DCH上で前記MAC−dフローからのデータを送信する手段と
を備えたことを特徴とする無線送受信ユニット(WTRU)。
【請求項2】
前記構成情報は、前記WTRUに対して構成されたMAC−dフローの各々に対して受信されることを特徴とする請求項1に記載のWTRU。
【請求項3】
前記構成情報は、無線リソースコントロール(RCC)シグナリングを経由して受信されることを特徴とする請求項1に記載のWTRU。
【請求項4】
前記構成情報は、無線ネットワークコントローラ(RNC)から受信されることを特徴とする請求項1に記載のWTRU。
【請求項5】
前記構成情報は、MAC−dフローと関連付けられた前記H−ARQプロセスを制限することを特徴とする請求項1に記載のWTRU。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−13107(P2013−13107A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175279(P2012−175279)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【分割の表示】特願2009−181429(P2009−181429)の分割
【原出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(596008622)インターデイジタル テクノロジー コーポレーション (871)
【Fターム(参考)】