説明

HCVのポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bを含む組成物、対応する核酸配列を含む発現ベクター、及びそれらの治療的使用

本発明は、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において被験体の生物反応を持続するためのHCV感染被験体への投与用薬物の調製のための、例えば、C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4ならびにC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物を含む、治療的有効量の活性成分の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)に対する予防的及び治療的なワクチン接種の分野に関する。それは、特に、2つの同一線上タンパク質NS3及びNS4(以下、ポリタンパク質NS3/NS4と呼ぶ)に対応するポリタンパク質及びNS5bによって構成されたポリペプチドを含む新規組成物、この組成物を発現できるアデノウイルス又はポックスウイルスなどのベクター、及びワクチンとしてのそれらの使用に関する。
【0002】
C型肝炎は、輸血による肝炎の主な原因である。C型肝炎は、他の経皮経路、例えば静脈経路による薬物の注射によっても感染されうる。医療従事者での汚染リスクはさらに無視できない。性行為伝染が記載されている。
【0003】
C型肝炎は、A、B、又はD型肝炎などのウイルスに関連する他の形状の肝疾患とは異なる。C型肝炎ウイルス(HCV又はHCV)による感染は大部分が慢性であり、多くの症例(5から20%)において肝炎、肝硬変、及び癌などの肝疾患を招き、先進国における肝移植の30%を占める。
【0004】
輸血によるウイルス伝染リスクは1990年代のスクリーニング試験の導入により緩和されたが、新しいHCV感染の頻度は高いままである。例として、最近の研究では、フランスにおいては依然として年間10,000から15,000の新しい感染例があることが示されている(S. Deuffic et al., Hepatology 1999; 29: 1596-1601)。現在、世界中の約1億7000万人がHCVにより慢性感染している(Hepatitis C: Global prevalence (update), 2000, Weekly Epidemiological Record, Vol 75(3))。高リスク集団は主に病院職員及び静注薬物使用者であるが、しかし、これらの高リスク群に属さず、循環抗HCV抗体が見いだされた無症状の献血者が存在する。後者については、感染経路はまだ同定されていない。従って、散発的感染として知られるHCV感染が存在し(5と10%の間と推定される)、その病因は未知であり、抑制できない。
【0005】
HCVは、分子生物学的技術を用いて分離された最初の肝指向性ウイルスであった。ウイルス粒子を可視化する前に、ウイルスゲノム配列がクローン化された。
【0006】
HCVは、フラビウイルス科の新属、ヘパシウイルス属に属する。それは9.5kbのプラス一本鎖RNAウイルスであり、相補的なRNAコピーにより複製され、その翻訳産物は約3,000のアミノ酸のポリタンパク質前駆体である。HCVゲノムの5’末端は、構造タンパク質、ヌクレオキャプシドのコアタンパク質、2つの外被糖タンパク質E1及びE2、ならびにp7と呼ばれる低分子タンパク質をコード化する遺伝子に隣接する非翻訳領域に対応する。5’非翻訳領域及び遺伝子コアは、異なる遺伝子型において比較的よく保存されている。外被タンパク質E1及びE2は、分離株ごとにより可変的である領域によりコード化される。タンパク質p7は極めて疎水性のタンパク質であり、イオンチャンネルを構成しうる。HCVゲノムの3’末端は、非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4、NS5)及びよく保存されたドメインを持つ3’非コード化領域をコード化する遺伝子を含む(Major ME, Feinstone SM, Hepatology, June 1997, 25 (6): 1527-1538)。
【0007】
現在、C型肝炎の処置のための最も有効な治療では、ペグ化インターフェロン及びリバビリンを併用する(Manns MP et al., The Lancet, 22nd September 2001, Vol. 358, 958-965)。この治療は、遺伝子型2及び3に属するウイルス株により感染した患者の場合において特に有効であり、それは依然として遺伝子型1a、1b、及び4に限られた効果のみを有する(Manns MP、前掲書中)。処置された患者の50%未満が「長期反応者」となる。さらに、この治療は高額な治療介入であり(10,000から15,000ユーロ/患者/年)、毒性効果と関連する。実際に、患者の5から10%が終了前に処置中止を強いられる。
【0008】
従って、全ての遺伝子型を標的とするワクチン組成物の開発が必要である。
【0009】
ここで、いくつかの研究によって、自然に(自然溶解)、又は、処置(治療回復)後のいずれかで、HCVを原因とする感染の制御が、T−CD4及びT−CD8リンパ球を含む細胞性免疫反応の誘導又は相乗作用と関連することが示されている(例えば、LECHNER, F. et al., Eur. J. Immunol., 30; 2479-2487 (2000)及びThimme R et al., 2001, J. Exp. Med., 194 (10): 1395-1406において記載される通り)。
【0010】
主要組織適合複合体(MHC、ヒトにおけるHLAとしても知られる)の分子は、クラスI又はクラスIIと呼ばれる。クラスI分子は、実質的に全ての有核細胞上に発現され、CD8細胞傷害性Tリンパ球(CTL)にエピトープ又はペプチドを提示できる。クラスII分子はCD4T細胞にエピトープを提示できるが、しかし、それらの発現は抗原提示細胞に制限される。
【0011】
現在想定されるC型肝炎ウイルスに対するワクチンは、アジュバント組み換えタンパク質、ペプチド、発現ベクターの使用に基づき、それらの中で、ウイルスもしくは細菌由来の、又はネイキッドDNAの言及したベクターが存在できる。この場合において、一つ又は複数のウイルスタンパク質又はこれらのウイルスタンパク質をコード化する一つ又は複数の遺伝子が使用される。
【0012】
いくつかのウイルスタンパク質又はこれらのウイルスタンパク質をコード化する一つ又は複数の遺伝子が選択される場合、後者は構造タンパク質の一部又は全てのいずれかにより(Makimura et al., 1996, Vaccine, 14: 28-34; Fournilier A. et al., 1999, J. Virology, 73: 7497-7504)、又は個々の非構造タンパク質もしくは少なくとも2つの連続タンパク質を含むことにより(Brinster et al., 2001, Hepatology, 34: 1206-1217)、又は構造及び非構造タンパク質の混合物により(Pancholi et al., 2003, J. Virology, 77: 382-390)構成されることが多い。
【0013】
特許出願国際公開広報第99/38880号には、ワクチン組成物中で3つのタンパク質NS3、NS4、及びNS5(a及びb)を別々にコード化する3つの遺伝子の使用について記載しており、それぞれ別々にこれら3つのタンパク質を発現する3つのDNAワクチンを含む。著者は、マウスにおける3つの抗原に特異的なTリンパ球の誘導を示す。NS5a及びbを発現するワクチンのみが、防御試験においてインビボで試験されている。
【0014】
特許出願国際公開広報第01/30812号には、必要に応じて非構造タンパク質NS5bとの併用で、非構造タンパク質NS3、NS4、及びNS5aにより構成される融合タンパク質の使用が記載されている。著者は、この併用によってHCV特異的T細胞を活性化できたことを示している。本特許出願には、融合タンパク質NS3、NS4、NS5a、又はタンパク質NS5aを発現して特定のTリンパ球により媒介される特異的免疫反応を誘発するワクチン製剤(ネイキッドDNA、組み換えアデノウイルス、又は組み換えワクシニアウイルス型)の能力について簡単に記載されている。
【0015】
国際公開広報第04/111082号には、同一線上で発現される非構造タンパク質NS3、NS4及びNS5b、NS3及びNS4の特定の併用が、より良好な免疫力、及び、これらの非構造タンパク質以外に、タンパク質NS5a及び/又はコア、E1又はE2などのHCVの他の構造タンパク質も含むワクチンで得られるものより優れた防御力を有し、ウイルス株を感染させた患者に由来する細胞が特異的免疫反応を誘導する能力に効果を有したことが記載されている。
【0016】
ここで、本発明は、抗HCV免疫反応の有効な刺激及びHCVに関連する病理の処置のための持続的生物反応を提供するためのHCV感染被験体への投与のための国際公開広報第04/111082号に記載の特定の併用の最適化した使用を特定している。
【0017】
このように、本発明の目的は、
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4ならびにC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物;
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列及びC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクター;及び
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段と、C型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段;
からなる群より選択される治療的有効量の活性成分の、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において被験体の生物反応を持続するためのHCV感染被験体への投与のための薬剤の調製のための使用であって、該投与が、
(a)1日の期間にわたり連続又は少なくとも1日1回、
(b)次に、処置の断続的欠如、又は、3から10日の期間にわたる連日の処置の欠如により該投与を中止すること、及び
(c)被験体において持続的な生物反応を達成又は維持するために、(a)投与及び(b)投与の中止のパターンを少なくとも2回繰り返すことであり、
それが治療的有効量の該活性物質への暴露を提供し、
該投与及び投与の中止のパターンの繰り返しが、好ましくは3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる、好ましくは少なくとも3連続投与に対応する。
【0018】
本発明の目的は、
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4ならびにC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物;
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列及びC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクター;及び
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段と、C型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段;
からなる群より選択される治療的有効量の活性成分の、HCVに関連する病理の処置のための薬剤の調製のための使用であって、処置は、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる該活性成分の少なくとも3連続投与を含む。
【0019】
本発明の目的は、
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4ならびにC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物;
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列及びC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクター;及び
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段、C型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段;
からなる群より選択される治療的有効量の活性成分の、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において被験体のHCVに対して特異的な細胞免疫反応を刺激するためのHCV感染被験体への投与のための薬剤の調製における使用でもあって、該投与が、
(a)1日の期間にわたり連続又は少なくとも1日1回、
(b)次に、処置の断続的欠如、又は、3から10日の期間にわたる連日の処置の欠如により該投与を中止すること、及び
(c)被験体において持続的な細胞免疫反応を達成又は維持するために、(a)投与及び(b)投与の中止のパターンを少なくとも2回繰り返すことであり、
それが、治療的有効量の該活性物質への暴露を提供し、該投与及び投与の中止のパターンの繰り返しが、好ましくは3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる、好ましくは少なくとも3連続投与に対応する。
【0020】
本発明の目的は、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において被験体のHCVに対して特異的な細胞免疫反応を刺激するための、本明細書において定義する治療的有効量の1つの活性成分の使用でもあって、処置は、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる該活性成分の少なくとも3連続投与を含む。
【0021】
本発明の目的は、最後に、
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4ならびにC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物;
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列及びC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクター;及び
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段と、C型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段;
からなる群より選択される治療的有効量の活性成分を含む、特に、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる少なくとも3連続投与の形での、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理を処置する際の治療的有効量の該活性成分の連続投与のための薬学的組成物であって、治療的有効量の該活性成分が、好ましくは3回投与のために、より好ましくは3つの異なるバイアルにおいて調整されており、該投与が、好ましくは、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる。
【0022】
本願の全体を通じて本明細書において使用される「a」及び「an」という用語は、文脈によって別段の指示がない場合、それらが「少なくとも1つ」、「少なくとも第1」、「1又は複数」、又は「複数」の言及される化合物又は工程を意味するという意味において使用される。例えば、「a cell(細胞)」という用語は、その混合物を含む一つ又は複数の細胞を含む。
【0023】
「及び/又は」という用語は、本明細書において使用する限り、「及び」、「又は」、及び「該用語により連結される要素の全て又は任意の他の組み合わせ」の意味を含む。
【0024】
本明細書において使用される「about(約)」又は「approximately(約)」は、所定の値又は範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。
【0025】
産物、組成物、及び方法を定義するために使用する場合、本明細書において使用される「含む」という用語は、産物、組成物、及び方法が、言及される成分又は工程を含むが、しかし、他を除外しないことを意味することを意図する。「本質的に成る」は、本質的重要物の他の成分又は工程を除外することを意味するものとする。このように、列挙した成分から本質的に成る組成物は、微量混入物質及び薬学的に許容可能な担体を除外しない。「成る」は、他の成分又は工程の微量元素以上を除外することを意味するものとする。例えば、ポリペプチドは、ポリペプチドが列挙したアミノ酸配列以外の任意のアミノ酸を含まない場合、アミノ酸配列から「成る」。ポリペプチドは、そのようなアミノ酸配列が、数個のみの追加アミノ酸残基、典型的には約1から約50程度の追加残基と一緒に存在する場合、アミノ酸配列から「本質的に成る」。ポリペプチドは、アミノ酸配列がポリペプチドの最後のアミノ酸配列の少なくとも一部である場合、アミノ酸配列を「含む」。そのようなポリペプチドは数個から数百の追加アミノ酸残基を有することができる。そのような追加アミノ酸残基はポリペプチド輸送において役割を果たし、ポリペプチド産生又は精製を容易し;とりわけ、半減期を延長しうる。同じことがヌクレオチド配列に適用できる。
【0026】
本発明は、従って、HCVのポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bにより構成される治療的有効量のペプチド組成物又はその発現ベクターを含む新規使用及び新規薬学的組成物を提案し、その使用又は組成物はHCVに対して特異的な細胞性免疫反応の刺激能を有し、C型肝炎ウイルスに対する予防的及び治療的なワクチン接種の分野において有用となる。
【0027】
本発明において使用するペプチド組成物のポリタンパク質NS3/NS4は、タンパク質NS3ならびにタンパク質NS4a及びbにより構成され、天然ポリタンパク質中と同様に、ペプチド配列中に中断はない。実際に、先に示した通り、HCVゲノムはポリタンパク質に転写される単一のオープンリーディングフレームを含む。このHCVポリタンパク質は、NH2−Core−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOHの順番において、少なくとも10の異なる部分を産生するために切断できる。
【0028】
一般的ガイダンスでは、タンパク質NS3は630のアミノ酸のタンパク質であり、それはおよそポリタンパク質のアミノ酸1027からアミノ酸1657までと思われる。タンパク質NS4は、314のアミノ酸のタンパク質であり、およそアミノ酸1658からアミノ酸1972までと思われる(HCV−1に関するナンバリング)(Choo et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci., vol 88: 2451-2455)。ポリタンパク質NS3/NS4は、従って、およそアミノ酸1027からアミノ酸1972までと思われる。
【0029】
本発明において使用する組成物中にも含まれるポリペプチドNS5bに関して、それは590のアミノ酸により構成され、ポリタンパク質のおよそアミノ酸2421からアミノ酸3011までと思われる(Choo et al., 1991、前掲書中)。
【0030】
明確さのために、NS3、NS4、及びNS5Bタンパク質に関連して本明細書において参照するアミノ酸ストレッチが、HCV−1ポリタンパク質前駆体中のそれらの位置に関して与えられる(Chao et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88, 2451-2455により記載、又はGenBankでの受入番号M62321)。しかし、本発明は、他のHCV株及び分離株のNS3、NS4、及びNS5Bタンパク質ならびにそのアナログ又はムテインも包含する。
【0031】
タンパク質NS3は、2つの異なる構造ドメイン、即ち、ウイルスポリタンパク質の成熟に関与する活性セリンプロテアーゼ活性を付与するN末端ドメイン、及びウイルスゲノムの複製において役割を果たすNTPase活性に関連するヘリカーゼ活性を含むC末端ドメインを含む。
【0032】
「ポリタンパク質NS3/NS4」及び「ポリペプチドNS5b」は、無論、任意のHCV株及び分離株ならびにそのアナログ、ムテイン、及びホモログに由来する天然アミノ酸配列を有するポリタンパク質及びポリペプチドを意味する。
【0033】
ポリタンパク質及びポリペプチドの「アナログ」又は「ムテイン」は、所望の活性、即ち、上で定義する細胞性免疫反応の刺激能を有する言及した分子の生物活性のある派生物を意味する。
【0034】
一般的に、「アナログ」という用語は、修飾によって免疫活性が破壊されない程度に、天然分子と比べて、一つ又は複数の付加、置換(一般的に、性質の点で保存されている)、及び/又はアミノ酸欠失を有する天然ポリペプチドの配列及び構造を有する化合物を指す。「ムテイン」という用語は、特許出願PCT国際公開広報第91/04282号において記載されるものなど、ペプチド(ペプトイド)を模倣した一つ又は複数のエレメントを有するペプチドを意味する。好ましくは、アナログ又はムテインは、少なくとも天然分子と同じ免疫活性を有する。ポリペプチドのアナログ及びムテインを調製するための方法は、当業者に公知であり、以下に記載する。
【0035】
特に好ましいアナログとしては、性質の保存された置換、即ち、アミノ酸ファミリーにおいて起こる置換が挙げられる。具体的には、アミノ酸は一般的に、4ファミリー、即ち、(1)アスパラギン酸及びグルタミン酸などの酸性アミノ酸、(2)リシン、アルギニン、及びヒスチジンなどの塩基性アミノ酸、(3)アラニン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、及びトリプトファンなどの非極性アミノ酸、ならびに(4)グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、及びチロシンなどの極性非荷電アミノ酸に分けられる。フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンは芳香族アミノ酸に分類される場合がある。例えば、イソロイシン又はバリンによるロイシンの、グルタミン酸によるアスパラギン酸の、セリンによるスレオニンの単独置換、又は構造関係を有する別のアミノ酸による1アミノ酸の同様の保存的置換は、生物活性に大きな効果を有さないと合理的に予測できる。当業者は、当技術分野において周知のホップ−ウッズ(Hopp−Woods)及びカイト−ドゥーリトル(Kyte−Doolittle)プロットを参照することにより、変化を許容できる、目的のペプチド分子の領域を容易に決定する。
【0036】
「相同性」は、ポリタンパク質及びポリペプチドなどの2つのペプチド分子間の同一性のパーセンテージを意味する。配列がペプチド分子の定義された長さにわたり少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、またより好ましくは少なくとも80−85%、またより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95−98%以上の同一性を有する場合、2つのアミノ酸配列は互いに「ほぼ相同」である。
【0037】
一般的に、「同一性」という用語は、2つのペプチド配列の正確なアミノ酸とアミノ酸の一致を指す。同一性のパーセンテージは、配列を整列させ、2つの整列した配列間での正確なミスマッチ数を数え、より短い配列の長さにより割り、結果を100倍することによる2つの分子間の配列情報の直接比較により決定できる。同一性のパーセンテージは、Dayhoff, M. O.の“Atlas of Protein Sequence and Structure M. O. Dayhoffed., 1981, 5 Suppl., 3: 482-489”におけるALIGNなどのコンピュータプログラムを使用して決定することもできる。
【0038】
一定数のHCV株及び分離株、特にタンパク質NS3の、タンパク質NS4の、及びポリペプチドNS5bの核酸及びアミノ酸配列は既に決定されている。
【0039】
例えば、分離株HCV−J1は“Okamoto H. et al.,1992, Nucleic Acids Res., 20: 6410-6410”において記載されている。2つの独立したHCV分離株、即ち分離株HCV−J及び−BKの完全なコード配列は、“Kato et al., 1990, Proc. Natl. Acad., Sci., 87: 9524-9528”及び“Takamizawa et al., 1991, J. Virol., 65: 1105-1113”においてそれぞれ記載されている。分離株HCV−1に関して、それは“Choo et al., 1990, Brit. Med. Bull., 46: 423-441”及び“Choo et al., 1991、前掲書中”において記載されている。分離株HVC−Hは、“Inchauspe G. et al.;, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci., 88: 10292-10296”において記載されている。分離株HCV−G9は、“Okamoto H., et al., 1994, J. Gen. Virol., 45: 629-635”において記載されている。分離株HCV−J6及び−J8は、“Okamoto H., et al., 1991, J. Gen. Virol., 72: 2697-2704”及び“Okamoto H., et al., 1992, Virology, 188: 331-341”においてそれぞれ記載されている。分離株HVC−BEBE1は、“Nako H., et al., 1996, J. Gen. Virol., 141: 701-704”において記載されており、分離株HCV−NZL1は、“Sakamoto M., et al., 1994, J. Gen. Virol., 75: 1761-1768”において記載されている。分離株HCV−Trに関して、それは“Chayama K., et al., 1994, J. Gen. Virol., 75: 3623-3628”において記載されている。分離株HCV−ED43及び−EUH1480は、“Chamberlain R. W., et al., 1997, J. Gen. Virol., 78: 1341-1347”及び“Chamberlain R. W., et al., 1997, Biochem. Biophys. Res. Commun., 236: 44-49”においてそれぞれ記載されている。分離株HCV−EUHK2は、“Adams A., et al., 1997, Biochem. Biophys. Res. Commun., 234: 393-396”において記載されている。分離株HCV−VN235、−VN405、及び−VN004は、“Tokita H., et al., 1998, J. Gen. Virol., 79: 1847”において記載されている。最後に、分離株HCV−JK049及び−JK046に関して、それらは“Tokita H. et al., 1996, J. Gen. Virol., 77: 293-301”において記載されている。
【0040】
HCV株及び分離株は、上で例証する通り、異なる遺伝子型、即ち遺伝子型1a(分離株HCV−1、−J1及び−H)、1b(分離株HCV−J及びBK)、1c(分離株HCV−G9)、2a(分離株HCV−J6)、2b(分離株HCV−J8)、2c(分離株HCV−BEBE1)、3a(分離株HCV−NZL1)、3b(分離株HCV−Tr)、4a(分離株HCV−ED43)、5a(分離株HCV−EUH1480)、6a(分離株HCV−EUHK2)、7b(分離株HCV−VN235)、8b(分離株HCV−VN405)、9a(分離株HCV−VN004)、10a(分離株HCV−JK049)及び11a(分離株HCV−JK046)を有しうる。
【0041】
有利なことに、NS3及び/又はNS4及び/又はNS5bは異なる遺伝子型のウイルスに由来する。例えば、NS3/NS4ポリタンパク質及びNS5bポリペプチドは、異なる遺伝子型、例えば遺伝子型1bに由来するNS3/NS4及び遺伝子型4からのNS5bもしくはその逆、又は、代わりに遺伝子型1aに由来するNS3/NS4及び遺伝子型1bからのNS5bもしくはその逆のウイルスに由来しうる。
【0042】
別の代替法によると、NS3及び/又はNS4及び/又はNS5bは同じ遺伝子型、好ましくは遺伝子型1bのウイルスに由来する。本発明の好ましい態様では、遺伝子型1b HCV JA株に由来するポリタンパク質NS3/NS4ならびにポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物を使用する(Kato et al., 1990, Proc. Natl. Acad., Sci. 87, 9524-9528)。より好ましくは、ポリタンパク質NS3/NS4は、配列番号2において示すアミノ酸配列を含む、又は、代わりに本質的に成る、又は、代わりに成り、及び/又は、NS5bポリペプチドは、配列番号4において示すアミノ酸配列を含む、又は、代わりに本質的に成る、又は、代わりに成る。
【0043】
本発明において使用するペプチド組成物中に含まれるポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bは、天然由来又は組み換え由来のいずれかでありうる。
【0044】
天然由来のポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bは、標的ウイルス遺伝子型により感染された患者の血清から、又は、例えば患者の血液もしくは肝臓から、のいずれかに由来する既に精製されたウイルスRNAから、又は、遊離の、もしくは、事前に発現ベクター中にクローニングされた相補DNAから、又は、生物サンプルもしくはインビトロ増殖系から精製したウイルス粒子からのいずれかより、天然ウイルス配列の増幅に役立ちうる合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用により、HCV株又は分離株から入手される。
【0045】
本発明において使用するポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bは組み換え由来で、遺伝子工学技術により得ることもでき、それは以下の工程を含む:
− 該ポリタンパク質NS3/NS4又は該ポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を使用した微生物又は真核細胞の培養、及び
− 該微生物又は該真核細胞により産生されるペプチドの回収。
【0046】
この技術は当業者に周知である。これに関する詳細については、以下の研究を参照できる:Recombinant DNA Technology I, Editors Ales Prokop, Raskesh K Bajpai;Annals of the New-York Academy of Sciences, Volume 646, 1991。
【0047】
ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列は、当業者に周知であり、例えば、“Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 1989”において記載の技術を使用して、遺伝子工学的アプローチを併用した化学合成により、又は、遺伝子工学のみにより調製できる。
【0048】
ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列は、本発明に従って使用されるペプチド組成物又は発現ベクターを提供するために、適切な発現系に挿入できる。
【0049】
本明細書において使用する“発現ベクター”という用語は、染色体外ベクター(例、多コピープラスミド)及び宿主染色体に組み入れられるように設計された組み込みベクターを含む、ウイルスならびに非ウイルスのベクターを指す。本発明との関連で特に重要なのは、NS3/NS4及びNS5bをコード化するヌクレオチド配列を宿主生物に送達できる遺伝子治療において使用するためのベクターならびに様々な発現系において使用するための発現ベクターである。“ウイルスベクター”を指す場合、この用語は、以下に記載する完全ウイルスゲノム、その一部、又は改変ウイルスゲノムならびに生成されたそのウイルス粒子(例、感染性ウイルス粒子を産生するためにウイルスキャプシド中にパッケージしたウイルスベクター)を含む、ウイルス由来の少なくとも1つのエレメントを含む任意のベクターを包含する。
【0050】
無論、ヌクレオチド配列を単一の発現ベクター又は2つの異なる発現ベクター中に挿入できる。後者の場合、ポリタンパク質NS3/NS4をコード化する配列は2つのベクターの内の1つに挿入され、ポリペプチドNS5bをコード化する配列は他のベクターに挿入され、これら2つのベクターは性質において同じ、又は、異なる、のいずれかである。
【0051】
好ましくは、本発明に従って使用する発現ベクターは、ポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列及びポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列、ならびにそれらの発現に必要な手段を含む。
【0052】
ペプチドの発現に必要な手段は、ペプチドという用語がタンパク質、ポリタンパク質、ポリペプチドなどの任意のペプチド分子のために使用されており、特にプロモーター、転写ターミネーター、複製起点、及び選択マーカーなどのペプチドを得ることを可能にする任意の手段を意味する。
【0053】
ペプチドの発現に必要な手段は、目的のペプチドをコード化するヌクレオチド配列に機能的に連結される。“機能的に連結される”は、発現に必要な該エレメント及び目的のペプチドをコード化する遺伝子の近位を意味し、それらは、それらが期待される様式で機能可能であるような関係にある。例えば、追加塩基が、プロモーターとヌクレオチド配列の間で、それらの機能的関係が保存される範囲で存在できる。
【0054】
ペプチドの発現に必要な手段は、同種の手段、即ち、使用するベクターのゲノム中に含まれる、又は異種でありうる。後者の場合、該手段は、発現させる目的のペプチドと共にクローン化する。
【0055】
異種プロモーターの例としては、(i)SV40プロモーター(サルウイルス40)、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(TK−HSV−1)のプロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のLTR、サイトメガロウイルス(CMV)の前初期プロモーター(immediate first promoter)、アデノウイルスの主要後期プロモーター(MLP:major last promoter)などのウイルスプロモーター、ならびに(ii)ジホスホグリセレートキナーゼ遺伝子(PGK)の構成的プロモーター(Adra et al., 1987, Gene, 60: 65-74)、肝特異的アルファ−1アンチトリプシン及びFIX遺伝子のプロモーター、及び平滑筋細胞に特異的なSM22プロモーター(Moessler et al., 1996, Development, 122: 2415-2425)などの上位真核生物においてペプチドをコード化する遺伝子の転写を制御する任意の細胞プロモーターが挙げられる。
【0056】
1つの代替法によると、該ポリタンパク質NS3/NS4及び該ポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列は、異なる遺伝子型に由来する。
【0057】
別の代替法によると、該ポリタンパク質及び該ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列は、同じ遺伝子型、好ましくは遺伝子型1bに由来する。好ましい態様において、ポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列は、配列番号1において示す配列を含む、又は、代わりに本質的に成る、又は代わりに成り、及び、ポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列は、配列番号3において示す配列を含む、又は、代わりに本質的に成る、又は、代わりに成る。
【0058】
ここでも、“ヌクレオチド配列”は、天然ポリタンパク質NS3/NS4及び天然ポリペプチドNS5b、ならびに先に定義したそれらのアナログ、ムテイン、及びホモログをコード化する全ての配列を意味する。
【0059】
発現ベクター中に含まれる該配列は、単一のプロモーター及び/又は単一の発現調節エレメントの制御下で直接連結できる、又は、それらは別々でよく、各々が、独立した、同一の、もしくは、異なる発現プロモーター及び/又はレギュレーターに依存する。
【0060】
本発明の目的のために適切である発現ベクターとして、例えば、プラスミド、アデノウイルス型ウイルスベクター、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、サルモネラ型細菌ベクター、BCGに言及できる。
【0061】
アデノウイルスは多数の動物種において検出されており、組み込まれず、病原性は弱い。それらは様々な細胞型、分裂中の細胞、及び静止中の細胞に感染できる。それらは気管支上皮への自然指向性を持つ。さらに、それらは長年にわたり安全プロファイルの優れた腸内生ワクチンとして使用されてきた。最後に、それらは簡単に増殖させ、大量に精製できる。これらの特性は、アデノウイルスが、発現ベクターとして、特に治療目的のための遺伝子治療用ベクターとして、及び、ワクチンのための使用に特に適当であることを意味してきた。
【0062】
好ましい態様によると、本発明において使用するベクターはアデノウイルスである。
【0063】
本発明において使用するアデノウイルスの例は、ヒト又は動物由来、特にイヌ由来(例えば、CAV−1又はCAV−2;それぞれ参照Genbank CAV1GENOM及びCAV77082)、トリ由来(参照Genbank AAVEDSDNA)、ウシ由来(BAV3など、Seshidhar Reddy et al., 1998, J. Virol., 72: 1394-1402)、ヒツジ、ネコ、ブタ由来、サル由来、又はそれらの雑種由来の任意の源に由来してよい。任意の血清型を使用できる。しかし、ヒト由来のアデノウイルスが好ましく、特にアデノウイルス5(Ad5)、アデノウイルス2(Ad2)、及びアデノウイルス35(Ad35)である。
【0064】
一般的に、言及したウイルスはATCCコレクションから入手可能であり、それらの配列、それらの組織、及びそれらの生物学について記載した多数の論文の主題であり、それよって当業者はこれらを容易に使用できる。例えば、アデノウイルス5型の配列はGenbankデータベース(M73260及びM29978)において記載されており、参照により本明細書に組み入れられる。
【0065】
アデノウイルスのゲノムは、ウイルスサイクルを終結させるために必要な約30を超える遺伝子を持つ約36kbの二本鎖の直鎖DNA分子により構成される。第1の遺伝子は、アデノウイルスのゲノム中に分散する4つの領域に分けられる(E1からE4)。E1、E2、及びE4の領域はウイルス複製に必須である。E3領域は、変異ウイルスが自然に現れる、又は、このE3領域を失った雑種ウイルスが培養細胞中で野生型ウイルスと同様に複製を続ける、との観察に基づき、非必須領域と見なされる(Kelly and Lewis, 1973, J. Virol., 12: 643-652)。後期遺伝子(L1からL5)は大部分がウイルスキャプシドを構成する構造タンパク質をコード化する。それらは第1の転写単位と少なくとも部分的に重なり、単一プロモーターから転写される(主要後期プロモーターはMLP)。さらに、アデノウイルスゲノムは、DNA複製に必須のシス作用領域の2つの末端に、それぞれ5’及び3’逆位末端配列(ITR)及びパッキング配列を持つ。
【0066】
遺伝子治療プロトコールにおいて現在使用されるアデノウイルスは、E1領域の大部分が取り除かれており、それによって、環境及び宿主生物におけるそれらの播種を回避するために、それらの複製レベルで欠損したウイルスが与えられる。さらに、アデノウイルスの大半が、それらのクローン化能を増大するために、E3領域も取り除かれている。これらのベクターを使用した遺伝子移入の実行可能性は、様々な組織においてインビボで実証されている(例えば、Yei et al., 1994, Hum. Gene Ther., 5: 731-744; Dai et al., 1995, Proc. Natl. Acad Sci. USA, 92: 1401-1405; US6,099,831; 及びUS6,013,638を参照)。
【0067】
好ましくは、発現ベクターとしてアデノウイルスにおいて使用するプロモーターは、CMV及びSV40プロモーターなどの異種プロモーターである。
【0068】
また好ましくは、CMVプロモーターは、ポリタンパク質NS3/NS4のプロモーターであり、発現ベクターは該ポリタンパク質をコード化するヌクレオチド配列として発現カセットCMV−NS3/NS4を含む。
【0069】
“発現カセット”は、ベクター中に挿入する、目的のペプチドの発現のためのプロモーター及びオープンリーディングフレームを含むDNA配列を意味する。
【0070】
また好ましくは、SV40プロモーターは、ポリペプチドNS5bのプロモーターであり、発現ベクターは該ポリペプチドをコード化するヌクレオチド配列として発現カセットSV40−NS5bを含む。
【0071】
本発明の一態様によると、アデノウイルスのゲノムは、E1領域を発現カセットCMV−NS3/NS4により置換し、E3領域を発現カセットSV40−NS5bにより置換するために改変する。
【0072】
抑制及び発現ベクター中へのDNA配列の挿入の方法は、当業者に広く知られており、特に酵素消化及びライゲーション又は相同組み換えの工程から成る(Chartier et al., 1996, J. Virol. 70, 4805-4810)。
【0073】
本発明の目的のために特に適当な別の発現ベクターはポックスウイルスであり、それは本発明の別の態様を構成する。
【0074】
ポックスウイルスはエンベロープ糖タンパク質複合ウイルス(enveloped complex virus)群を構成し、主にそれらの異常な形態、それらの大きなDNAゲノム、及びそれらの細胞質複製部位において異なる。ワクシニアウイルス(VV)のコペンハーゲン株(Goebel et al., 1990, Virol. 179: 247-266, 517-563)及び改変ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)株(Antoine et al., 1998, Virol., 244: 635-396)を含む、ポックスウイルスのいくつかのエレメントのゲノムが、マッピングされ、配列決定されている。VV株は、約200のタンパク質をコード化する約192kpの二本鎖DNAゲノムを持ち、その内の約100がウイルスの組立に関与する。MVA株はワクシニアウイルスの高度弱毒化株であり、ニワトリ胚線維芽細胞上での一連のワクシニアウイルスアンカラ株(CVA)における500を超える継代により生成される(Mayr et al., 1975, Infection, 3: 6-16)。MVAウイルスはCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)においてNumber1−721で寄託されている。MVAゲノムの完全配列の決定及びVVのそれとの比較によって、ウイルスゲノム中に現れた変化の正確な同定ならびに7つの欠失(IからVII)及び断片化したオープンリーディングフレームを導く多数の突然変異の定義が可能になる(Antoine et al., 1998, Virology, 244: 365-396)。
【0075】
本発明の目的のために適当であるポックスウイルスの他の例として、アヒル痘(duck pox)、鶏痘、牛痘、昆虫痘(entomopox)、サル痘、豚痘、及びペンギン痘(penguin pox)が挙げられる。
【0076】
ポックスウイルスは、細胞内成熟ウイルス(IMV)及びエンベロープ細胞外ウイルス(EEV)と呼ばれる2つの形態学的に異なる形状で見いだされる。
【0077】
本発明の発現ベクターとして使用されるポックスウイルスは、以下の特性の少なくとも1つを、単独又は組み合わせで有する:
(i)ポックスウイルスがMVAウイルスである、
(ii)ポックスウイルスがIMV形態学的形状である、ならびに、
(iii)ポックスウイルスのゲノムが、発現カセットNS3/NS4を挿入し、及び、発現カセットNS5bを挿入するように改変される。
【0078】
好ましくは、発現ベクターとしてのポックスウイルスベクター中で使用するプロモーターは、相同プロモーター(例、ポックスウイルス由来)である。代表例として、限定されないが、ワクシニアプロモーター7.5K、H5R、TK、p28、p11、及びK1L、初期及び後期ポックスウイルスプロモーターの間のキメラプロモーターならびにChakrabarti et al.(1997, Biotechniques 23, 1094-1097)、Hammond et al.(1997, J. Virological Methods 66, 135-138)、及びKumar and Boyle(1990, Virology 179, 151-158)において記載されるものなどの合成プロモーターが挙げられる。ポックスウイルスのゲノムが、目的の2つのカセットを挿入するように改変される場合、それらの発現に必要な手段はいずれも同種である。このように、MVAウイルスを使用する場合、NS3/NS4の発現は、例えば、対応する発現カセットがph5r−NS3/NS4であるようにプロモーターph5rの制御下でよく、NS5bの発現は、例えば、対応する発現カセットがp7.5−NS5bであるようにプロモーターp7.5の制御下でよく、及び、その逆でよい。発現カセットをポックスウイルスゲノム中の同じ又は異なる位置に挿入できる。好ましい態様において、ph5r−NS3/NS4及びp7.5−NS5b発現カセットのいずれも、MVAゲノムの欠失II中又は欠失III中、特に好ましくは欠失IIIに挿入する。
【0079】
特定の態様によると、ポックスウイルスのゲノムは、目的の2つのカセットを挿入するように改変し、2つの該発現カセットは同じ方向に向ける。
【0080】
別の特定の態様によると、それらは反対方向に向ける。
【0081】
ここでも、発現カセットは、先に示した通り、当業者に公知の方法でポックスウイルスのゲノム中に挿入する。
【0082】
本発明において使用するベクターは、特定の細胞コンパートメントに向けたペプチドを標的とするために必要な配列も含んでよい。標的の例は、アデノウイルスのタンパク質E3に由来するリーダー配列型のアドレス配列を使用して得られる小胞体に向けた標的化でよい(Ciernik I. F., et al., The Journal of Immunology, 1999, 162, 3915-3925)。
【0083】
それらは、樹状細胞に向けた標的化及び細胞の膜への標的化のために必要な配列を含んでもよい。
【0084】
発現ベクターにより形質転換した微生物及び真核細胞は、例えば、本発明の使用において活性成分を提供するために使用できる。
【0085】
本発明の目的に適する微生物の例として、以下の属のものなどの酵母に言及できる:サッカロミセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)、クリベロミセス属(Kluveromyces)、ピキア属(Pichia)、ハンセルナ属(Hanseluna)、ヤロウイア属(Yarrowia)、シワントミセス属(Schwantomyces)、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、及びクルイベロミセス・ラクチス(Kluveromyces lactis)が好ましい;大腸菌及び以下の属のものなどの細菌:ラクトバシラス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、サルモネラ菌(Salmonella)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、バシラス属(Bacillus)、及びストレプトミセス属(Streptomyces)。
【0086】
真核細胞の例として、哺乳動物、爬虫類、昆虫、及び同等のものなどの動物に由来する細胞に言及できる。それらは、唯一の細胞型又は異なる細胞型の群であり、培養細胞株、初代細胞、及び増殖細胞を包含する。好ましい真核細胞は、チャイニーズハムスター(CHO細胞)、サル(COS及びVero細胞)、ハムスター乳児腎臓(BHK細胞)、ブタ腎臓(PK15細胞)、及びウサギ腎臓(RK13細胞)、ヒト骨肉腫細胞株(143B)、HeLaヒト細胞株、及びヒトヘパトーマ細胞(Hep G2型細胞)、ならびに昆虫細胞株(例えば、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda))に由来する細胞である。
【0087】
宿主細胞は、浮遊又はフラスコ中の培養物、組織培養、器官培養、及び同等のものにおいて提供できる。宿主細胞はトランスジェニック動物でもよい。
【0088】
有利なことに、NS3/NS4及び/又はNS5bをコード化するヌクレオチド配列は、特定の宿主細胞、例えば、哺乳動物、酵母、又は細菌宿主細胞において高レベルの発現を提供するために独立的に最適化できる。1を超えるコドンを所定のアミノ酸をコード化するために利用可能な場合、生物のコドン使用パターンは高度に非ランダムであり(例えば、Wada et al., 1992, Nucleic Acids Res.20, 2111-2118を参照)、異なる宿主間で顕著に異なりうる(例えば、Nakamura et al., 1996, Nucleic Acids Res. 24, 214-215を参照)ことが実際に観察されている。このように、ウイルス(HCV)由来のヌクレオチド配列は、宿主細胞、特に細菌又は酵母の細胞における効率的な発現のために不適当なコドン使用パターンを有しうる。典型的に、コドン最適化は、この特定の宿主細胞において稀に使用されるコドンに対応する一つ又は複数の“天然”(例、HCV)コドンを、より頻繁に使用される同じアミノ酸をコード化する一つ又は複数のコドンにより置換することにより実施する。これは、従来の突然変異誘発により、又は、化学合成技術(例、合成核酸分子をもたらす)により達成できる。稀に使用されるコドンに対応する全ての天然コドンを置換する必要はなく、発現増大は部分置換でも達成できるためである。さらに、最適化したコドン使用への厳密な順守からの一部の逸脱が、結果として得られるヌクレオチド配列中への制限酵素部位の導入に対応するために作られうる。
【0089】
コドン使用の最適化に加えて、宿主細胞中での発現は、追加の改変を通じてさらに改善できる。例えば、NS3/NS4及び/又はNS5bをコード化するヌクレオチド配列は、集中領域中に存在する稀な非最適コドンのクラスターを妨げ、及び/又は、発現レベルにネガティブに影響すると予想される少なくとも部分的にネガティブな配列エレメントを抑制又は修飾するように改変できる(例、ATリッチ又はGCリッチ配列ストレッチ;不安定な直接又は逆方向反復配列;RNA二次構造;及び/又は内部TATAボックス、カイ部位(chi−site)、リボソーム侵入部位、及び/又はスプライシングドナー/アクセプター部位などの内部の潜在性調節エレメント)。
【0090】
一態様によると、ペプチド組成物、発現ベクター、及び本明細書において定義する該ポリタンパク質NS3/NS4及び該ポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列は、HCVウイルスを持つ患者の感染の阻害、予防、及び抑制のために特に有効であり、薬剤の調製のためのそれらの使用は本発明の別の目的を構成する。
【0091】
本発明は、本明細書において定義するペプチド組成物から成る群より選択される治療的有効量の活性成分、又は本明細書において定義する発現ベクター、又は、ペプチドの構成的及び/又は誘導的な発現に必要なエレメントの制御下に置かれたポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターとポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含む薬学的組成物、特にワクチン;C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置における治療的有効量の該活性成分の連続投与、特に3から10日間まで変動する期間により互いに隔てられた少なくとも3連続投与に関する。
【0092】
ペプチドの構成的な発現に必要なエレメントは、真核細胞に偏在する、又は、特異的であるプロモーターを意味する。
【0093】
ペプチドの誘導的な発現に必要なエレメントとして、テトラサイクリン耐性のための大腸菌オペロンの調節エレメントに言及できる(Gossen M. et al., Proc Natl Acad Sci USA, 89: 5547-5551 (1992))。
【0094】
本発明の特定の態様によると、薬学的組成物は薬学的に適当な賦形剤も含む。無論、当業者は、薬学的に適当な賦形剤の性質及び薬学的組成物の構成物の機能として使用される活性成分の量を容易に決定できる。
【0095】
薬学的に適当な賦形剤の量及び性質は、当業者により容易に決定できる。それらは、所望の薬学的形状及び投与の方法に従って選ばれる。
【0096】
加えて、本発明によると、活性成分は、ヒトにおいて全身又は粘膜適用に適した一つ又は複数のアジュバントと併用できる。好ましくは、アジュバントは、HCVタンパク質又は1つのエピトープに対する免疫、特にT細胞媒介性免疫を刺激できる。特に本発明のペプチド組成物との併用のために適したアジュバントの代表例として、ミョウバン、フロイント完全及び不完全(IFA)などの鉱油乳剤、リポ多糖類又はその派生物(Ribi et al., 1986, Immunology and Immunopharmacology of Bacterial Endotoxins, Plenum Publ. Corp., NY, p407-419)、QS21などのサポニン(Sumino et al., 1998, J.Virol.72, 4931-4939;国際公開広報第98/56415号)、イミキモド(Suader, 2000, J.Am Acad Dermatol 43, 86-811)及び関連化合物S−27609(Smorlesi, 2005, Gene Ther.12, 1324-1332)などのイミダゾキノリン化合物、CpG(Chu et al., 1997, J. Exp. Med. 186: 1623; Tritel et al., 2003, J. Immunol. 171: 2358-2547)などのシトシングアノシンリン酸オリゴデオキシヌクレオチド、及びIC−31(Kritsch et al., 2005, J. Chromatogr Anal. Technol Biomed Life Sci 822, 263-270)などのカチオン性ペプチドが挙げられる。
【0097】
本発明によると、活性成分は好ましくは経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、局所的、気管内、鼻腔内、経皮的、直腸、眼内、耳介内投与により投与され、該活性成分は単位用量の投与形態で投与できる。
【0098】
単位用量の投与形態は、例えば、錠剤、ゼラチンカプセル、粒剤、粉剤、液剤又は注射剤、経口懸濁剤、経皮貼剤、舌下、舌下錠、気管内、眼内、鼻腔内、耳介内の形状、又は吸入投与により、局所、経皮、皮下、筋肉内又は静脈内投与の形態、直腸内投与の形態、又はインプラントでよい。局所投与では、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、ローション剤、又は洗眼剤を想定できる。
【0099】
これらの調剤形態は、考察する分野の通常の方法により調製される。
【0100】
通常の実施によると、各患者に適当な本発明において使用する活性成分の投与量は、様々なパラメーター、特に投与の方法、患者の年齢、体重、及び反応;用いる活性成分;症状の性質及び程度;併用処置の種類;処置の頻度;及び/又は予防又は治療の必要性の関数として医師により決定される。一般的にガイダンスでは、アデノウイルス含有組成物及びアデノウイルスベクターを、約10から約1013iu(感染単位)、望ましくは約10から約1012iu、及び好ましくは約108から約1011iuを含む用量中で使用できる。ポックスウイルス含有組成物又はポックスウイルスベクターでの適切な投与量は、約10から約1010pfu(プラーク形成単位)、望ましくは約10から約10、及び好ましくは約10から約10pfuまで変動する。10pfu、5x10pfu、又は10pfuの用量が1回の投与には好ましい。ベクタープラスミドは、10μgと20mgの間、有利には約100μgから約2mgまでの用量で投与できる。ペプチド組成物は、10ngと20mgの間の一つ又は複数の用量、特に好ましくは体重1kg当たり約0.1μgから約2mgまでの活性成分の投与量で投与できる。投与は、単回投与又は一定の時間間隔後での複数回の反復投与で起こりうる。投与の好ましいパターンは、
(a)1日の期間にわたり連続、又は少なくとも1日1回、
(b)次に、処置の断続的欠如、又は、3から10日の期間にわたる連日の処置の欠如により該投与を中止すること、及び
(c)被験体において持続的な生物反応を達成又は維持するために、(a)投与及び(b)投与の中止のパターンを少なくとも2回繰り返すことであり、
それによって治療的有効量の活性成分への暴露が提供され、
該投与及び投与の中止のパターンの繰り返しが、好ましくは3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる、好ましくは少なくとも3連続投与に対応する。
【0101】
好ましくは、本発明は、活性成分として、本明細書において定義するベクターの1つ、又は、ポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターとポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含む発現ベクターを使用し、それらが予防的及び治療的なワクチン接種において有用となる。
【0102】
予防的及び治療的なワクチン接種は、発現ベクター又はベクターが活性成分としてポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bを最終的にコード化する程度に、本明細書において定義する一つ又は複数の発現ベクターの注射により実施でき、該注射には追加免疫が続く、又は、続かない。それは、最初に宿主の免疫反応を初回刺激するためのアデノウイルス、次に初回刺激した免疫反応に追加免疫するためのポックスウイルスを同時に、又は、異なる時間に、及びその逆(例、初回刺激としてポックスウイルスベクター及び追加免疫としてアデノウイルスベクター)により、本明細書において定義する2つの異なる種類の発現ベクターの1又は複数の用量を注射することによっても実施できる。
【0103】
これらのベクターは薬学的キット中に含まれてよい。
【0104】
また、本発明の別の目的は、薬学的キット、特にワクチンであり、それは、好ましくは、本明細書において定義する治療的有効量の活性成分の少なくとも3回投与用、より好ましくは少なくとも3つの異なるバイアル中に調整されており、該投与が好ましくは3から10日間まで変動する期間により互いに隔てられている。
【0105】
一態様によると、本発明の薬学的キットは、活性成分として先に定義したアデノウイルス型の発現ベクターを含む少なくとも3つのバイアルを含む。
【0106】
別の態様によると、本発明の薬学的キットは、活性成分として先に定義したポックスウイルス型の発現ベクターを含む少なくとも3つのバイアルを含む。
【0107】
別の態様によると、本発明の薬学的キットは、活性成分として、ポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターと、ポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含む少なくとも3つのバイアルを含む。
【0108】
予防的及び治療的なワクチン接種は、好ましくは、本発明において使用する少なくとも1つの発現ベクター、又は、ポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターと、ポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクター、及び、本発明において使用するペプチド組成物により構成される本発明の少なくとも1つの薬学的組成物に基づくワクチンの注射により実施される。
【0109】
また、本発明の別の目的は、本明細書において定義する有効量の活性成分を含む少なくとも4つの異なるバイアルを含む薬学的キットであり、ここで3つのバイアルが3から10日間まで変動する期間により互いに隔てられる3連続投与用であり、第4のバイアルが3連続投与の最後から少なくとも4週間後に実施されるリコール投与用である。
【0110】
また、本発明の別の目的は、本明細書において定義する有効量の活性成分を含む少なくとも5つの異なるバイアルを含む薬学的キットであり、ここで3つのバイアルが3から10日間まで変動する期間により互いに隔てられる3連続投与用であり、第4及び第5のバイアルは3連続投与の最後から少なくとも4週間後に実施されるリコール投与用である。
【0111】
好ましい態様によると、活性成分は、本発明において使用する発現ベクター、又はポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターと、ポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターである。
【0112】
別の好ましい態様によると、3連続投与は、約1週間間隔により隔てられる。
【0113】
別の好ましい態様によると、リコール投与は、3連続投与の最後から少なくとも6週間後、例えば、約2ヶ月、約3ヶ月、約3.5ヶ月、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月又は約6ヶ月、好ましくは最初の連続から約2ヶ月後から約6ヶ月後、特に好ましくは約4ヶ月に対して、適切に実施される。2回のリコール投与が実施される場合は、第1及び第2の投与は上記の通りに適当に実施される。好ましくは、第1のリコールは、最初の連続から約2ヶ月後から約4ヶ月後までに実施され、第2は好ましくは最初の連続から約4ヶ月後から約6ヶ月後までである。
【0114】
本発明の別の目的は、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置の方法に関し、それは、宿主生物への有効量の上記の活性成分(本発明のペプチド組成物、ベクター、抗体、及び/又は薬学的組成物)のいずれか、又は、その任意の組み合わせの少なくとも1回投与を含む。本発明は、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理を処置するための薬剤の調製のための上記の活性成分の少なくとも1つ又はその任意の組み合わせの使用も提供する。本明細書において使用する“処置”又は“処置する”という用語は、C型肝炎ウイルスに感染した宿主生物の予防的及び治療的なワクチン接種を包含する。“宿主生物”という用語は、任意のマウス、ラット、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ウマ、サル、又はヒトの被験体、例えば、HCVに感染したヒトなどの任意の哺乳動物を包含することを意図する。
【0115】
本発明の方法又は使用は、HCV感染患者におけるHCV持続感染及び肝臓癌を処置するために特に有用である。“癌”という用語は、びまん性又は限局性の腫瘍、転移、癌性ポリープならびに前癌病変(例、肝硬変)を含む任意の癌状態を包含する。望ましくは、有効量の本発明のペプチド組成物、ベクター、薬学的組成物、及び/又は抗体は、それは、それが投与された宿主生物に治療的恩典を提供する。治療的恩典は、多くの方法、例えば、処置前と比較した、処置済み生物の血液、血漿、又は血清中において検出されるHCVウイルス血症の低下により、及び/又は、抗HCV抗体免疫反応(例、抗HCV抗体の産生及び/又は細胞免疫)の検出により、又は、HCV感染に関連する症状の遅延(例、肝硬変又は癌の発生における遅延)、又は、典型的にHCV感染に関連する肝臓の炎症/脂肪症/線維症の状態の低下又は減速により、又は、従来の治療への個人の反応の改善により証明できる。
【0116】
好ましくは、本発明において使用するペプチド組成物、発現ベクターにより、及び/又は、本発明の薬学的組成物中に含まれる、又は、コード化されるNS3/NS4ポリタンパク質及び最終的にNS5bポリペプチドは、遺伝子型1bに由来し、遺伝子型1bのC型肝炎ウイルスに関連する病理を処置するために本明細書において記載する様式に従って使用する。あるいは、それは、遺伝子型1bに由来し、遺伝子型1a、3、又は4のC型肝炎ウイルスなどの1b以外の遺伝子型、特に好ましくは遺伝子型1aに関連する病理を処置するために、本明細書に記載のモダリティに従って使用する。
【0117】
適宜、本発明の方法又は使用は、一つ又は複数の従来の治療様式(例、放射線、化学療法、及び/又は外科手術)との併用で実施できる。一態様において、本発明の方法又は使用は、HCV感染、HCV関連の病理を処置又は予防するために従来使用される一つ又は複数の薬物での化学療法と関連する。HCV薬物の代表例として、限定はされないが、プロテアーゼインヒビター(例、VertexのVX950などのセリンプロテアーゼインヒビター)、ポリメラーゼインヒビター、ヘリカーゼインヒビター、抗線維化剤(antifibrotic)、ヌクレオシドアナログ、TLRアゴニスト、N−グリコシル化インヒビター、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、免疫調節剤(immune modulator)、治療用ワクチン、及びHCVに関連する肝細胞癌の処置において通常使用される抗腫瘍剤(例、肝動脈中の化学塞栓術により通常投与されるアドリアマイシン又はアドリアマイシン・リピオドールの混合物及びスポンゼル(spongel))が挙げられる。そのようなHCV薬物は、数時間、数日、及び/又は数週間にわたり標準的なプロトコール、投与量、及び計画に従って単回用量、又は、代わりに複数回用量で提供できる。それらの投与は、活性成分として本明細書において定義するペプチド組成物、発現ベクター、及び/又は薬学的組成物の投与のための本発明の使用に先行しうる、併用されうる、又は続きうる。好ましい併用には、最終的に24から48週間にわたるリバビリン(例、800から1200mg/日)との併用で、本発明の方法又は使用の前、並行して、又は続く、ペグ化IFN−α2a又はIFN−α2b(例、10μg/週の用量)での宿主生物の処置が挙げられる。本発明において使用する活性成分は、免疫反応を増強するようにデザインされた他の処置との併用で、例えば、当技術分野において周知のアジュバント又はサイトカイン(又はサイトカインをコード化するベクター)との同時投与により投与することもできる。
【0118】
別の態様において、本発明の方法又は使用は、本明細書において定義するペプチド組成物、発現ベクター、又は薬学的組成物の少なくとも3(例、3から10)連続投与を含む強化免疫スケジュールに従って実施する。好ましくは、少なくとも3連続投与は、3日から10日まで変動するが、15日以内の期間により独立的に隔てられる。本発明の方法又は使用は、好ましくは、それぞれ約1週間間隔での、本明細書において定義する1つの活性成分の3連続投与を含む。さらにより好ましくは、本発明の方法又は使用は、上で定義するポックスウイルス発現ベクター(例、NS3/NS4及びNS5Bをコード化するMVA)又はそのようなベクターを含む薬学的組成物の約1週間間隔での筋肉内又は皮下経路による3連続投与を含む。あるいは、本発明の方法又は使用は、上で定義するアデノウイルス発現ベクター(例、NS3/NS4及びNS5Bを発現するE1及びE3欠失アデノウイルスベクター)又はそのようなベクターを含む薬学的組成物の約1週間間隔での筋肉内又は皮下経路による3連続投与を含む。
【0119】
さらに別の態様において、本発明の方法又は使用は、少なくとも3連続投与の終了時での少なくとも1回の“リコール”投与をさらに含んでよい。リコール投与の回数は1から10まで変動でき、連続投与の第1の連続の最後と第1のリコール投与の間の期間は、少なくとも約4週間程度である。リコール投与は、連続投与の第1の連続の最後から約6週間後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約3.5ヶ月後、約4ヶ月後、約4.5ヶ月後、約5ヶ月後、約5.5ヶ月後、約6ヶ月後、又はさらにそれ以上の後に適当に実施できる。有利なことに、方法及び使用は、約1週間間隔での3連続投与、及び、少なくとも3連続投与の最後から約2ヶ月後から約6ヶ月後まで、好ましくは約4ヶ月に対して起こる1回のリコール投与を含む。あるいは、本発明の方法又は使用は、2回のリコール投与を含み、連続投与の第1の連続の最後から、第1は約2ヶ月後から約4ヶ月後まで、第2は約4ヶ月後から約6ヶ月後まであり、特に好ましくは第1のリコールは約4ヶ月、第2のリコールは約6ヶ月である。リコール投与では、連続投与の第1の連続と同じ、又は、異なる活性成分を使用でき、同じ、又は、異なる投与経路を使用できる。一局面によると、リコール投与は、連続投与の第1の連続と同じ活性成分及び同じ経路を使用してなされる。この局面の好ましい方法又は使用は、約1週間間隔での3連続投与、及び第3の連続投与から約4ヶ月及び/又は約6ヶ月後の1又は2回のリコール投与を含み、全てが皮下経路により、及び、上で定義するポックスウイルスベクター(例、NS3/NS4及びNS5Bをコード化するMVA)又はそのようなベクターを含む薬学的組成物による。
【0120】
別の局面によると、連続投与及びリコール投与では、異なる活性成分及び/又は異なる投与経路を使用できる。例えば、少なくとも3連続投与は、ポックスウイルスベクター(例、NS3/NS4及びNS5Bをコード化するMVA)又は先に定義するベクターを含む薬学的組成物での皮下又は筋肉内経路によりなされ、リコール投与は欧州特許出願第N° EP 06 36 0014.2号において記載されるポリペプチドなどのNS3、NS4、及び/又はNS5bを含む任意の先行技術のポリペプチドでの皮下又は筋肉内経路による。
【0121】
本発明の目的は、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる該活性成分の少なくとも3連続投与を含む、本明細書において定義する治療的有効量の1つの活性成分の使用も包含し、該活性成分の少なくとも3連続投与は一組の投与に対応し、該一組の投与は少なくとも1回反復される傾向があり、各組の投与は4週間から6ヶ月間まで変動する期間により互いに隔てられる。
【0122】
本発明は、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において該被験体のHCVに対して特異的な細胞免疫反応を刺激するための、HCV感染被験体への投与のための薬剤の調製において、本明細書において定義する治療的有効量の1つの活性成分を使用した使用又は方法も提供し、
該投与が、
(a)1日の期間にわたり連続又は少なくとも1日1回、
(b)次に、処置の断続的欠如、又は、3から10日の期間にわたる連日の処置の欠如により該投与を中止すること、及び
(c)被験体において持続的な細胞免疫反応を達成又は維持するために、(a)投与及び(b)投与の中止のパターンを少なくとも2回繰り返すことであり、それが治療的有効量の該活性物質への暴露を提供し、
該投与及び投与の中止のパターンの繰り返しが、好ましくは3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる、好ましくは少なくとも3連続投与に対応する。
【0123】
本発明は、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において該被験体のHCVに対して特異的な細胞免疫反応を刺激するための、HCV感染被験体への本明細書において定義する治療的有効量の活性成分の投与による治療方法も提供し、該投与が、
(a)1日の期間にわたり連続又は少なくとも1日1回、
(b)次に、処置の断続的欠如、又は、3から10日の期間にわたる連日の処置の欠如により該投与を中止すること、及び
(c)被験体において持続的な細胞免疫反応を達成又は維持するために、(a)投与及び(b)投与の中止のパターンを少なくとも2回繰り返すことであり、それが治療的有効量の該活性物質への暴露を提供し、
該投与及び投与の中止のパターン繰り返しが、好ましくは3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる、好ましくは少なくとも3連続投与に対応する。
【0124】
本発明の別の目的は、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において該被験体のHCVに対して特異的な細胞免疫反応を刺激するための、本明細書において定義する治療的有効量の1つの活性成分を使用した使用又は方法であり、ここで該処置は、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる該活性成分の少なくとも3連続投与を含む。
【0125】
好ましい態様によると、本発明の使用又は方法は、約1週間間隔での3連続投与、及び、本明細書において定義する同じ、又は、異なる活性成分での、同じ、又は、異なる投与経路による1又は2回のリコール投与を含む。好ましい使用では、ポックスウイルス発現ベクター(例、NS3/NS4及びNS5Bを発現するMVA)又は上で定義するベクターを含む薬学的組成物の1週間間隔での3連続皮下投与、それに続く、3回目の注射から約2ヶ月後から約6ヶ月後まで、特に好ましくは3回目の注射から約4ヶ月に対して、皮下経路による同じ活性成分の1回のリコール投与を実施する。
【0126】
刺激免疫反応は、好ましくは、T細胞媒介性免疫反応、及び、特にCD8+T細胞反応、CD4+T細胞反応又はCD8+及びCD4+T細胞反応である。望ましくは、本発明の方法又は使用により刺激したT細胞媒介性免疫反応によって、感染C型肝炎ウイルス中に存在するNS3及び/又はNS4及び/又はNS5B中に位置する少なくとも1つのエピトープを標的にできる。好ましくは、本発明の方法又は使用により提供されるT細胞媒介性免疫反応は、少なくとも1つのHLA−B制限エピトープ、及び、特に感染肝炎ウイルスのNS3ポリペプチド中に位置する少なくとも1つのHLA−B7エピトープに特異的である。あるいは、又は、組み合わせで、刺激されたT細胞媒介性免疫反応は、少なくとも1つのHLA−A2制限エピトープ、及び、特に感染肝炎ウイルスのNS3及び/又はNS5bタンパク質中に位置する少なくとも1つのHLA−A2エピトープに特異的である。
【0127】
好ましい態様において、本発明による方法又は使用は、上に記載する強化免疫スケジュールに従って宿主生物に提供され、本明細書において定義する活性成分の少なくとも3連続投与及び任意に1又は2回のリコール投与を含む。
【0128】
望ましくは、刺激された免疫反応は持続性であり、活性成分の最後の投与後の少なくとも1ヶ月間、処置した宿主生物において検出できる。好ましくは、刺激された免疫反応は、少なくとも2ヶ月間、望ましくは少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、検出できる。
【0129】
抗HCV細胞免疫反応を刺激するための本発明の方法又は使用の能力は、当技術分野において標準である様々なアッセイを使用してインビトロ又はインビボのいずれかで評価できる。免疫反応の開始及び活性化を評価するために利用可能な技術の一般的な記載については、例えば、Coligan et al.(1992 and 1994, Current Protocols in Immunology; ed J Wiley & Sons Inc, National Institute of Health)を参照すること。細胞免疫の測定は、CD4+及びCD8+T細胞に由来するものを含む活性化エフェクター細胞により分泌されるサイトカインプロファイルの測定により(例、ELIspotによるIL−10又はIFNg産生細胞の定量)、免疫エフェクター細胞の活性化状態の測定により(例、典型的な[H]チミジン取り込みによるT細胞増殖アッセイ)、感作された被験体における抗原特異的Tリンパ球についてアッセイ(例、細胞傷害性アッセイにおけるペプチド特異的溶解)により実施できる。本発明の方法は、適当な感染病原体(例、HCV遺伝子を発現する細菌又はワクシニアウイルス)で攻撃した動物モデルにおいてさらに検証することもでき、感染病原体の中和及び最終的に関連する症状に対する部分耐性を判断し、それは抗HCV細胞免疫反応の誘導又は増強を反映する。本発明のベクター組成物の試験及び検証は、添付の実施例の項においても説明する。
【0130】
本発明は、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる該活性成分の少なくとも3連続投与を含む、本明細書において定義する治療的有効量の1つの活性成分の使用も包含し、該活性成分の少なくとも3連続投与は一組の投与に対応し、該一組の投与は少なくとも1回反復される傾向があり、各組の投与は4週間から6ヶ月間まで変動する期間により互いに隔てられる。
【0131】
本発明は、説明としてのみ与えられ、非限定的である以下の実施例を使用して、ならびに、添付の図1から16を使用してより良く理解される:
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1A】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1B】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1C】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1D】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1E】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1F】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1G】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1H】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1I】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1J】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図1K】図1Aから1Kは、本発明のアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位及びNS3/NS4ならびにNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図2A】図2Aから2Hは、本発明のポックスウイルスMVA NS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位ならびにNS3/NS4及びNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図2B】図2Aから2Hは、本発明のポックスウイルスMVA NS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位ならびにNS3/NS4及びNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図2C】図2Aから2Hは、本発明のポックスウイルスMVA NS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位ならびにNS3/NS4及びNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図2D】図2Aから2Hは、本発明のポックスウイルスMVA NS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位ならびにNS3/NS4及びNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図2E】図2Aから2Hは、本発明のポックスウイルスMVA NS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位ならびにNS3/NS4及びNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図2F】図2Aから2Hは、本発明のポックスウイルスMVA NS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位ならびにNS3/NS4及びNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図2G】図2Aから2Hは、本発明のポックスウイルスMVA NS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位ならびにNS3/NS4及びNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図2H】図2Aから2Hは、本発明のポックスウイルスMVA NS3NS4NS5bを得るために使用される異なるプラスミドのマップを表し、ここには異なる制限酵素の部位ならびにNS3/NS4及びNS5bをコード化する配列断片の位置が示されている。
【図3A】図3は、エピトープGLLが培養中の脾細胞を刺激するため、及び、CTL標的を負荷するために使用され、その結果がエフェクター/標的の比率の関数としての特異的溶解パーセンテージとして表わされるCTL試験(図3A)に従って、又は、結果がスポット/10個細胞の数に与えられる、エピトープGLLに特異的なELISPOT試験(図3B)に従ってのいずれかで、アデノウイルスAdNS3NS4により誘導される細胞反応を与える。
【図3B】図3は、エピトープGLLが培養中の脾細胞を刺激するため、及び、CTL標的を負荷するために使用され、その結果がエフェクター/標的の比率の関数としての特異的溶解パーセンテージとして表わされるCTL試験(図3A)に従って、又は、結果がスポット/10個細胞の数に与えられる、エピトープGLLに特異的なELISPOT試験(図3B)に従ってのいずれかで、アデノウイルスAdNS3NS4により誘導される細胞反応を与える。
【図4】図4は、エピトープALY及びKLQに特異的な試験ELISPOTに従って、アデノウイルスAdNS3NS4により誘導される細胞反応を与える。
【図5】図5は、エピトープDLMを培養中の脾細胞を刺激するため、及び、CTLの標的を負荷するために使用し、その結果がエフェクター/標的の比率の関数としての特異的溶解パーセンテージとして表わされるCTL試験に従って、アデノウイルスAdCE1E2により誘導される細胞反応を与える。
【図6】図6は、異なる組み合わせのアデノウイルスにより免疫したマウス8匹の4群についてのトライアル試験に起因する、pfu/ml/mg卵巣での組み換えワクシニアウイルスの力価を与える:AdNS3NS4+AdNS5b(第1群)、アデノウイルスAdNS3NS4+AdNS5b+AdNS5a(第2群)、アデノウイルスAdNS3NS4+AdNS5b+AdCE1E2(第3群)、及びアデノウイルスAdβGal(第4群)、ならびに
【図7】図7は、以下の異なる組み合わせのアデノウイルスにより免疫したマウス8匹の3群についてのトライアル試験に起因する、pfu/ml/mg卵巣での組み換えワクシニアウイルスの力価を与える:AdNS3NS4NS5b(第1群)、AdNS3NS4+AdNS5b(第2群)、及びAdβGal(第3群)。
【図8】図8は、MVA NS3/4−NS5BによるHuh−7感染後のフローサイトメトリーによるNS3、NS4、及びNS5b発現のインビトロ分析を説明する。MVA NS3/4−NS5b感染Huh−7細胞は、MOIの1での感染から24時間後に回収し、マウスモノクローナル抗NS3(8D8E1)、抗NS4B(1B12A3)、及び抗NS5B(5B12B7)抗体を使用して染色する。結果は、MVA N33(MVA野生型)感染細胞と比較した陽性細胞のパーセンテージとして表わす。太線:MVA NS34−NS5B感染細胞、細線:MVA N33感染細胞、影付きヒストグラム:非感染細胞。MFI:平均蛍光強度
【図9A】図9は、MVA NS34−NS5Bでの2つの異なる免疫スケジュール後にHLA−A2トランスジェニックマウスにおいて誘導されるNS3 HLA−A2制限エピトープに特異的なIFNγ産生CD8+T細胞の頻度の比較を提供する。スケジュール1:1、4、7週目に実施した3回の皮下(sc)注射。スケジュール2:1、2、3、及び6週目に実施した4回のsc注射。(A)6週目(スケジュール1)又は5週目(スケジュール2)に実施したIFNγ ELISPOTアッセイ。(B)9週目(スケジュール1)又は8週目(スケジュール2)に実施したIFNγ ELISPOTアッセイ。IFNγ ELISPOTアッセイは、材料及び方法において記載の通りに実施した。M1、M2、及びM3は、MVA NS34−NS5Bで免疫した3匹のマウスを表す。N33は、代表的なMVA N33注射対照マウスである。NS3 HLA−A2制限エピトープGLL及びKLT又は無関係ペプチドを再刺激のために使用した。各バーは単回免疫マウスの反応を表す。水平破線はカットオフを表し、それ以上ではIFNγ産生T細胞の頻度は陽性と見なされる。
【図9B】図9は、MVA NS34−NS5Bでの2つの異なる免疫スケジュール後にHLA−A2トランスジェニックマウスにおいて誘導されるNS3 HLA−A2制限エピトープに特異的なIFNγ産生CD8+T細胞の頻度の比較を提供する。スケジュール1:1、4、7週目に実施した3回の皮下(sc)注射。スケジュール2:1、2、3、及び6週目に実施した4回のsc注射。(A)6週目(スケジュール1)又は5週目(スケジュール2)に実施したIFNγ ELISPOTアッセイ。(B)9週目(スケジュール1)又は8週目(スケジュール2)に実施したIFNγ ELISPOTアッセイ。IFNγ ELISPOTアッセイは、材料及び方法において記載の通りに実施した。M1、M2、及びM3は、MVA NS34−NS5Bで免疫した3匹のマウスを表す。N33は、代表的なMVA N33注射対照マウスである。NS3 HLA−A2制限エピトープGLL及びKLT又は無関係ペプチドを再刺激のために使用した。各バーは単回免疫マウスの反応を表す。水平破線はカットオフを表し、それ以上ではIFNγ産生T細胞の頻度は陽性と見なされる。
【図10A】図10は、2つの異なる免疫スケジュールに従ったMVA NS3/4−NS5Bの投与後にHLA−A2トランスジェニックマウスにおいて誘導されるNS3又はNS5B HLA−A2制限エピトープに特異的な細胞傷害性CD8+T細胞反応を説明する。スケジュール1:1、4、7週目に実施した3回のsc注射。スケジュール2:1、2、3、及び6週目に実施した4回のsc注射。(A)6週目(スケジュール1)又は5週目(スケジュール2)に実施したCTLアッセイ。(B)9週目(スケジュール1)又は8週目(スケジュール2)に実施したCTLアッセイ。CTLアッセイは材料及び方法において記載の通りに実施した。データは、異なるエフェクター対標的細胞(E/T)の比率で得られる特異的溶解の%を表す。標的細胞をパルスするために使用するHLA−A2制限ペプチドは、各グラフの上に示す:NS3はGLL、NS5BはALY。各バーは単回免疫マウスの反応を表す。
【図10B】図10は、2つの異なる免疫スケジュールに従ったMVA NS3/4−NS5Bの投与後にHLA−A2トランスジェニックマウスにおいて誘導されるNS3又はNS5B HLA−A2制限エピトープに特異的な細胞傷害性CD8+T細胞反応を説明する。スケジュール1:1、4、7週目に実施した3回のsc注射。スケジュール2:1、2、3、及び6週目に実施した4回のsc注射。(A)6週目(スケジュール1)又は5週目(スケジュール2)に実施したCTLアッセイ。(B)9週目(スケジュール1)又は8週目(スケジュール2)に実施したCTLアッセイ。CTLアッセイは材料及び方法において記載の通りに実施した。データは、異なるエフェクター対標的細胞(E/T)の比率で得られる特異的溶解の%を表す。標的細胞をパルスするために使用するHLA−A2制限ペプチドは、各グラフの上に示す:NS3はGLL、NS5BはALY。各バーは単回免疫マウスの反応を表す。
【図11A】図11は、強化免疫スケジュールに従ったHLA−A2トランスジェニックマウスにおけるMVA NS3/4−NS5B投与後のICS及びCTLアッセイにより特徴付けられるCD8+T細胞反応を説明する。(A)ICSアッセイ。図の左部分は、MVA NS34−NS5B免疫動物及びMVA N33免疫動物の代表的なIFNγ+CD8+細胞ドットプロット、及びそれに続く、材料及び方法において記載した通りに実施したCD3+CD4+細胞でのゲーティングを表す。GLLペプチド又はTT(無関係刺激)を再刺激のために使用した。右のヒストグラムは、GLL再刺激後の4匹のMVA NS34−NS5B免疫マウス及び2匹のMVA N33免疫マウスで検出されたIFNγ+CD8+細胞のパーセンテージを表す。空白バー:単回免疫マウスの反応、黒バー:中央値。(B)インビボCTLアッセイ。GLLパルスCFSEhigh及び未パルスCFSElow標的細胞を材料及び方法において記載の通りにレシピエントマウスに注射した。24時間後、殺された標的細胞のパーセンテージを膵臓において評価した。特異的溶解のパーセンテージを各MVA NS34−NS5Bマウス(M1からM4)について示す。
【図11B】図11は、強化免疫スケジュールに従ったHLA−A2トランスジェニックマウスにおけるMVA NS3/4−NS5B投与後のICS及びCTLアッセイにより特徴付けられるCD8+T細胞反応を説明する。(A)ICSアッセイ。図の左部分は、MVA NS34−NS5B免疫動物及びMVA N33免疫動物の代表的なIFNγ+CD8+細胞ドットプロット、及びそれに続く、材料及び方法において記載した通りに実施したCD3+CD4+細胞でのゲーティングを表す。GLLペプチド又はTT(無関係刺激)を再刺激のために使用した。右のヒストグラムは、GLL再刺激後の4匹のMVA NS34−NS5B免疫マウス及び2匹のMVA N33免疫マウスで検出されたIFNγ+CD8+細胞のパーセンテージを表す。空白バー:単回免疫マウスの反応、黒バー:中央値。(B)インビボCTLアッセイ。GLLパルスCFSEhigh及び未パルスCFSElow標的細胞を材料及び方法において記載の通りにレシピエントマウスに注射した。24時間後、殺された標的細胞のパーセンテージを膵臓において評価した。特異的溶解のパーセンテージを各MVA NS34−NS5Bマウス(M1からM4)について示す。
【図12】図12は、強化免疫スケジュールに従ったHLA−B7トランスジェニックマウスにおけるMVA NS3/4−NS5b投与後のIFNγ産生T細胞反応を説明する。IFNγ ELISPOTアッセイは、材料及び方法において記載の通りに実施した。M1−5はMVA NS34−NS5Bで免疫した5匹のマウス、M6−7はMVA N33で免疫した2匹のマウスを表す。斜線、点、及び空白のバーは、個々のマウスについて得られた値を表し、それぞれHLA−B7制限WPA10、LSP10、又は無関係ペプチドのエピトープに特異的である。中央値は、MVA NS34−NS5B注射マウスについて、黒色(WPA10ペプチド)及び灰色(LSP10ペプチド)のバーで示す。水平破線はカットオフを表し、それ以上ではIFNγ産生T細胞の頻度は陽性と見なされる。
【図13】図13は、強化免疫スケジュールに従ったBalb/CマウスにおけるMVA NS3/4−NS5B投与後のNS3、NS4、及びNS5B抗原に特異的なIFNγ+CD4+T細胞反応を説明する。CD4+T細胞は、個々のMVA NS34−NS5B免疫マウス又はMVA N33免疫マウスの脾臓からポジティブ選択した。全脾細胞、CD4+画分、及び溶出画分を生成し、IFNγ ELISPOTアッセイを材料及び方法において記載の通りに個々のマウスの各画分について実施した。HCV NS3、NS4、NS5B組み換え抗原又はTT(無関係刺激)を再刺激のために使用した。結果は、4匹のMVA NS34−NS5B(斜線バー)免疫マウス又は2匹のMVA N33(空白バー)免疫マウスの群について得られた、10個の脾細胞についての中央スポット値を表すバーとして示す。バー内において、各マウスについて得られた結果を黒色点として表わす。水平破線はカットオフを表し、それ以上ではIFNγ産生T細胞の頻度は陽性と考えられる。
【図14】図14は、強化免疫スケジュールに従ったHLA−A2トランスジェニックマウスにおけるMVA NS3/4−NS5B投与後のCTL反応の寿命を説明する。マウスは1、2、3、及び27週目に4回のMVA NS34−NS5B注射を受け、CTLアッセイを材料及び方法において記載の通りに5、10、27、及び29週目に実施した。4匹のMVA NS34−NS5B注射マウス及び2匹のMVA N33注射マウスを分析する各時間点で殺した。斜線バー:MVA NS34−NS5B注射マウスについての溶解値の中央値%、白色バー:異なるエフェクター対標的(E/T)の比率でのMVA N33注射マウスについての溶解値の中央値%。
【図15A】図15は、強化免疫スケジュールに従ったMVA NS34−NS5B投与後のHLA−A2トランスジェニックマウスにおけるIFNγ ELISPOT反応の寿命を説明する。マウスは1、2、3、及び27週目に4回のMVA NS34−NS5B注射を受け、Elispotアッセイを材料及び方法において記載の通りに5、10、27、及び29週目に実施した。4匹のMVA NS34−NS5B及び2匹のMVA N33注射マウスを分析する各時間点で殺した。NS3 HLA−A2制限ペプチドGLL(A)、CVN(B)、もしくはKLT(C)又は無関係ペプチドを再刺激のために使用した。斜線及び白色のバーは、それぞれ特異的及び無関係のペプチドについて個々のマウスで得られた値を表す。中央値は、MVA NS34−NS5B注射マウスについて、黒色(特異的ペプチド)及び点線のバー(無関係ペプチド)で表す。水平破線はカットオフを表し、それ以上ではIFNγ産生が陽性と見なされる。
【図15B】図15は、強化免疫スケジュールに従ったMVA NS34−NS5B投与後のHLA−A2トランスジェニックマウスにおけるIFNγ ELISPOT反応の寿命を説明する。マウスは1、2、3、及び27週目に4回のMVA NS34−NS5B注射を受け、Elispotアッセイを材料及び方法において記載の通りに5、10、27、及び29週目に実施した。4匹のMVA NS34−NS5B及び2匹のMVA N33注射マウスを分析する各時間点で殺した。NS3 HLA−A2制限ペプチドGLL(A)、CVN(B)、もしくはKLT(C)又は無関係ペプチドを再刺激のために使用した。斜線及び白色のバーは、それぞれ特異的及び無関係のペプチドについて個々のマウスで得られた値を表す。中央値は、MVA NS34−NS5B注射マウスについて、黒色(特異的ペプチド)及び点線のバー(無関係ペプチド)で表す。水平破線はカットオフを表し、それ以上ではIFNγ産生が陽性と見なされる。
【図15C】図15は、強化免疫スケジュールに従ったMVA NS34−NS5B投与後のHLA−A2トランスジェニックマウスにおけるIFNγ ELISPOT反応の寿命を説明する。マウスは1、2、3、及び27週目に4回のMVA NS34−NS5B注射を受け、Elispotアッセイを材料及び方法において記載の通りに5、10、27、及び29週目に実施した。4匹のMVA NS34−NS5B及び2匹のMVA N33注射マウスを分析する各時間点で殺した。NS3 HLA−A2制限ペプチドGLL(A)、CVN(B)、もしくはKLT(C)又は無関係ペプチドを再刺激のために使用した。斜線及び白色のバーは、それぞれ特異的及び無関係のペプチドについて個々のマウスで得られた値を表す。中央値は、MVA NS34−NS5B注射マウスについて、黒色(特異的ペプチド)及び点線のバー(無関係ペプチド)で表す。水平破線はカットオフを表し、それ以上ではIFNγ産生が陽性と見なされる。
【図16】図16は、TC−LNS3細菌で攻撃したMVA NS34−NS5B免疫マウスの脾臓及び肝臓における残留細菌力価を説明する。(A)ワクチン接種済みHLA−A2トランスジェニックマウスにおける細菌力価。4匹のマウスを、攻撃の15日前に、”強化”ワクチン接種スケジュールに従ってMVA NS34−NS5BもしくはMVA N33(陰性対照)、又は、低免疫用量(0.05から0.1 LD50)(陽性対照)を使用して2週間間隔での2回のTC−LNS3のいずれかで免疫した。攻撃は1 LD50用量のTC−LNS3細菌で実施し、マウスは2日後に殺した。残留細菌力価は、肝臓及び脾臓の連続希釈の滴定により評価した。各群の個々のマウスは円記号により表わし、各群について得られた中央値は黒色の太線により表わす。P値はマンホイットニーのノンパラメトリック検定に従って算出し、p<0.05の場合、値が統計的に異なると見なす。(B)ワクチン接種済みBalb/cマウスにおける細菌力価。攻撃は、6匹のマウスが各動物群に含まれたことを除き、(A)に記載の通りに実施した。
【0133】
実施例1:本発明のタンパク質NS3/NS4及びNS5bの発現を可能にするアデノウイルスの調製
1.アデノウイルス
組み換えアデノウイルスは、PacIによるゲノムの線形化後に相補系統293(Graham, Smiley, et al., 1977)のトランスフェクション(CaPO)により生成する。組み換えウイルスは、この同じ系統で増殖及び増幅し、それらの精製は感染細胞から実施する。細胞を遠心分離(1500rpm、10分間)により回収し、3回の凍結/融解サイクルにより溶解する。細胞ライセートを2回の遠心分離(2000rpm、10分間;8000rpm、15分間)により浄化し、次に2回連続の超遠心分離により精製する。1回目は塩化セシウム勾配(密度1.4及び1.25)で30,000rpm、1時間実施する。2回目は塩化セシウムクッション(密度1.34)で35,000rpm、18時間実施する。ビリオンを含む相を除去し、60%サッカロース緩衝液中で半分に希釈する。ウイルス浮遊液は次に製剤緩衝液(10リットルに対して:3423g サッカロース;12.11g Tris;2.033g MgCl;87.7g NaCl)に対して透析し、次に分注する。それらの滴定は、異なるウイルス希釈液による293細胞での間接免疫蛍光法により実施し、アデノウイルスDNA結合タンパク質(α72K B6−8)に特異的な抗体により標識する(Reich, Sarnow, et al., 1983)。
【0134】
2.アデノウイルスAdNS3NS4の調製
このアデノウイルスによって、CMVプロモーターの制御下でポリタンパク質NS3/NS4をコード化する遺伝子(配列番号1及び2)の発現が可能になる。
【0135】
2.1 ポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列のPCR増幅
これを行うために、以下のオリゴヌクレオチドを使用した:
【表1】


ならびに以下の試薬:Taq DNAポリメラーゼ、PCR緩衝液、1.5mM MgCl2、及び10mM dNTP(Invitrogen)。PCR条件は以下であった:
94℃で5分間、次に
連続の30サイクル:94℃で45秒間、62℃で45秒間、及び72℃で1分間、次に
72℃で10分間
【0136】
2.2 トランスファープラスミドpTG13387中へのPCR断片NS3/NS4の挿入
以下の工程を実施した:
− NheI/MluI(React 4 Buffer(Invitrogen)中のNheI及びReact 3 Buffer(Invitrogen)中のMluI)によるプラスミドpTG13387(図1A、Transgene)の酵素消化
− NheI/MluIによる断片NS3/NS4の酵素消化
− ライゲーション(反応緩衝液(Invitrogen)中のT4DNAリガーゼ(Invitrogen))
− 細菌の形質転換(5K株(Transgene))
− LB培地(Difco)+アンピシリン(100μg/ml、Duchefa)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析後の陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen、製造業者のプロトコールによる)
− 制限酵素分析:SmaI(Invitrogen、React 4 Buffer)による消化及び断片の入手:5450、2164、909、214、及び180pb
− そのE1領域から欠失させ、CMVプロモーターの制御下の配列NS3/NS4を含むプラスミドpIV315の入手(図1B)
【0137】
2.3 プラスミドpTG6624中に含まれる、そのE3領域から欠失された完全アデノウイルスゲノムとの相同組み換え
以下の工程を実施した:
− PacI/PvuI(NEB1 buffer(Biolabs)中のPacI及びReact 7 Buffer(Invitrogen)中のPvuI)による上で得られたプラスミドpIV315の酵素消化;カセットpCMV−NS3−NS4を含む断片のアガロースゲルでの単離
− ClaI(React 1 Buffer、Invitrogen)によるプラスミドpTG6624(図1C)の酵素消化
− 細菌の形質転換(2つのプラスミド断片の間で相同組み換えを実施するためのBJ株(Transgene))
− LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析後の陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen)
− 制限酵素分析:SmaIによる消化及び断片の入手:2263、621、3814、214、2164、909、180、2463、6480、1398、4456、1455、3540、3386、230、及び3685pb
− そのE3及びE1領域から欠失させた完全アデノウイルスゲノムアデノウイルスAdNS3NS4の入手、後者は発現カセットpCMV−NS3−NS4(PIV317、図1D)により置換されている。
【0138】
3.アデノウイルスAdNS3NS4NS5bの調製
このアデノウイルスによって、CMVプロモーターの制御下でポリタンパク質NS3/NS4をコード化する遺伝子の発現及びSV40プロモーターの制御下でポリペプチドNS5bをコード化する遺伝子の発現が可能になる。
【0139】
3.1 アデノウイルスのE3領域中へのCMVプロモーターの制御下のコード配列のクローニングを可能にするトランスファープラスミドの構築
以下の工程を実施した:
− BglII(React 3 Buffer中、Invitrogen)によるプラスミドpTG4664(図1E、Transgene)の酵素消化
− BamHI/BglII(React 3 Buffer中、Invitrogen)によるプラスミドpTG3074(図1F、Transgene)の酵素消化
− ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(5K株)
− LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析後の陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen)
− 制限酵素分析:SmaIによる消化及び断片の入手:4940、1305、及び230pb
− プラスミドpIV267の入手(図1G)
− このようにして得られたプラスミドpIV267のClaI/MunI(React 1 Buffer中、Invitrogen)による消化
− DNA ポリメラーゼ I、ラージ(Klenow)フラグメント(React 2 Buffer中、Invitrogen)による処置
− ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)
− 細菌の形質転換(5K株)
− LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− プラスミドmaxi調製(Qiagen)
− 制限酵素分析:SmaIによる消化及び断片の入手:4692、1305、及び230pb
− プラスミドpIV270、アデノウイルスのE3領域中へのCMVプロモーターの制御下のコード配列のクローニングを可能にするトランスファープラスミドの入手(図1H)
【0140】
3.2 pIV270中のCMVプロモーターのSV40プロモーターによる置換
以下の工程を実施した:
− 以下のオリゴヌクレオチドを使用した、市販プラスミドpcDNAHygro(Clonetech)からのSV40プロモーターに対応するヌクレオチド断片のPCR増幅:
【表2】


62℃の代わりに温度58℃を使用することを除き、上のポイント2.1において記載する手順に従う。
− BglII/SalI(React 10 Buffer中、Invitrogen)によるpIV270の酵素消化
− BglII/SalIによるPCR断片の酵素消化
− ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(5K株)
− LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析後の陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen)
− 制限酵素分析:SmaIによる消化及び断片の入手:4692、719、80、及び230pb
− プラスミドpIV330、アデノウイルスのE3領域中へのSV40プロモーターの制御下のコード配列のクローニングを可能にするトランスファープラスミドの入手(図1I)
【0141】
3.3 トランスファープラスミドpIV330中へのPCR断片NS5bの挿入
以下の工程を実施した:
− 以下のオリゴヌクレオチドを使用したタンパク質NS5bをコード化するヌクレオチド配列(配列番号3及び4)のPCR増幅:
【表3】


62℃の代わりに温度60℃を使用したことを除き、上のポイント2.1において記載する手順に従う。
− XbaI(React 2 Buffer中、Invitrogen)による上で得られたプラスミドpIV330の酵素消化
− XbaIによるPCR断片の酵素消化
− ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(5K株)
− LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析後の陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen)
− 制限酵素分析:SmaIによる消化及び断片の入手:4692、1505、760、719、及び230pb
− プラスミドpIV336、E3欠失中にSV40プロモーターの制御下の配列NS5bを含むトランスファープラスミドの入手(図1J)
【0142】
3.4 表題のアデノウイルスを得るための、組み換えアデノウイルスゲノムpIV317との相同組み換え
以下の工程を実施した:
− SrfI(Universal Buffer中、Stratagene)による上のポイント2.3において得られたプラスミドpIV317の消化
− NheI/SacII(Buffer T中、Amersham Pharmacia Biotech)によるポイント3.3において得られたプラスミドpIV336の消化及びカセットpSV40
−NS5bを含む断片のアガロースゲルでの単離
− 2つのプラスミド断片の間で相同組み換えを実施するための細菌の形質転換(BJ株)
− LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析後の陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen)
− 制限酵素分析:SmaIによる消化及び断片の入手:6480、4456、3814、3540、3386、2739、2463、2263、2164、1455、1398、1105、909、760、719、621、230、214、及び180pb
− E1領域から欠失され、後者が発現カセットpCMV−NS3−NS4により置換されている、及び、E3領域から欠失され、後者が発現カセットpSV40−NS5Bにより置換されている、所望の完全アデノウイルスゲノムの入手(プラスミドPIV342、図1K)。
【0143】
4.異なるアデノウイルス中に挿入された抗原の発現の確認
アデノウイルスAdNS3NS4、AdNS5b、及びAdNS3NS4NS5bによりコード化されるHCV抗原の発現は、Huh7細胞の感染後にウェスタンブロットにより検証した。予想通り、全ての抗原が発現された。
【0144】
実施例2:本発明のタンパク質NS3/NS4及びNS5bの発現を可能にするポックスウイルスの調製
1.MVAポックスウイルス
改変ウイルス Ankara MVATO N33株はTRANSGENE S. A.(Strasbourg, France)により供給された。
【0145】
2.ph5rプロモーターの制御下で遺伝子NS3/NS4の発現を可能にするトランスファープラスミドの調製
2.1 MVAの組み換えアームBRG2及びBRD2、ならびにプロモーターph5r(MVA)の制御下にある選択遺伝子GPT、それに続く目的の遺伝子の発現を可能にするための第2プロモーターph5rを含むpIV250ベクターの構築
この時点で、断片ph5r−GPT−BRG3−ph5r(プラスミドpTG9997(Transgene)に由来する)の組み換えアームBRG2及びBRD2を含むプラスミドpTG6018(Transgene)への挿入が望まれる。
【0146】
これを行うために、以下の工程を実施した:
− ベクターpTG6018(図2A)のBamHI/SacI(React 2 Buffer中、Invitrogen)による酵素消化
− プラスミドpTG9997(図2B)のBamHIによる酵素消化、次にSacIによる部分消化
− ph5r−GPT−BRG3−ph5rをコード化する配列を含む1047pbの制限酵素断片のQiagenプロトコールによる精製
− ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(TG1株(Statagene))
− アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析(EcoRV + HindIII (React 2 Buffer中、Invitrogen)後の陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen):246、439、476、826、及び2789 pbの断片;SacI:915及び3861 pbの断片。
− pIV250(図2C)を目的としたプラスミドの入手
【0147】
2.2 ポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列のPCR増幅
以下のオリゴヌクレオチドを使用した:
【表4】


62℃の代わりに温度52℃を使用することを除き、実施例1、上のポイント2.1において記載する手順に従う。
【0148】
2.3 プラスミドpIV250におけるPCR NS3−NS4断片の挿入
これを行うために、以下の工程を実施した:
− PstI(React 2 Buffer中、Invitrogen)/XbaIによる上のポイント2.1で得られたプラスミドpIV250の酵素消化
− PstI/XbaIによるPCR断片NS3/NS4の酵素消化
− ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(TG1株)
− アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析後の陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen):(HindIII(React 2 Buffer中、Invitrogen):4763及び2789pbの断片;SphI(React 6 Buffer中、Invitrogen):1534及び5991pb;NcoI(React 3 Buffer中、Invitrogen):2764及び4761pb)。
− プロモーターph5rの制御下でポリタンパク質NS3/NS4をコード化する配列を含むトランスファープラスミドの入手(pIV327、図2D)
【0149】
3. p7.5プロモーターの制御下でタンパク質NS5bの発現を可能にするプラスミドpIV328の調製
3.1 タンパク質NS5bをコード化するヌクレオチド配列のPCR増幅
以下のヌクレオチドを使用した:
【表5】


62℃の代わりに温度52℃を使用することを除き、実施例1、上のポイント2.1において記載する手順に従う。
【0150】
3.2 プラスミドの入手
以下の工程を実施した:
− SalI/SphIによるNS5bをコード化するPCR断片の酵素消化
− SalI/SphIによるpTG186(図2E、Transgene)の酵素消化
− ベクターpTG186の脱リン酸化(ROCHEアルカリフォスファターゼ)
− ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(TG1株)
− アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析後の陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen):(HindIII:1984、2627、及び4437pbの断片;BglII:321、557、1361、1451、2237、及び3121pbの断片;KpnI(React 4 Buffer中、Invitrogen):2787及び6261pbの断片)。
− p7.5プロモーターの制御下でポリペプチドNS5bをコード化する配列を含むトランスファープラスミドの入手(pIV328、図2F)
【0151】
4.ph5rプロモーターの制御下のポリタンパク質NS3/NS4をコード化する遺伝子及びp7.5プロモーターの制御下のポリタンパク質NS3/NS4をコード化する遺伝子の発現を可能にするトランスファープラスミドpIV329及びpIV344の調製
これを行うために、以下の工程を実施した:
− 以下のオリゴヌクレオチドを使用した、上のポイント3.2において得られたプラスミドpIV328からの、タンパク質NS5bをコード化するヌクレオチド配列のPCR増幅:
【表6】


62℃の代わりに温度52℃を使用することを除き、実施例1、上のポイント2.1において記載する手順に従う。
− XbaIによるPCR断片の酵素消化
− XbaIによる上のポイント2.3において得られたプラスミドpIV327の酵素消化
− ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(TG1株)
− アンピシリン(100μg/ml)での細菌クローンの選択
− 制限酵素分析後の2つの陽性クローンのプラスミドmaxi調製(Qiagen):(PstI:pIV329:3033及び6466pbの断片、pIV344:4641及び4858pb;ApaI(React 4 Buffer中、Invitrogen):pIV329:454、960、及び8085pb、pIV344:454、1418、及び7627pb;NcoI:pIV329:4269、469及び4761pb、pIV344:3053、1685、及び4761pb;SmaI:pIV329:214、2164、1444、及び5677pb、pIV344:214、2164、928、及び6193pb)。
− ph5rプロモーターの制御下のポリタンパク質NS3/NS4及びp7.5プロモーターの制御下のタンパク質NS5bの発現を可能にする、2つの発現カセットが同じ方向に向いているトランスファープラスミド(pIV329、図2G)、又は、ph5rプロモーターの制御下のポリタンパク質NS3/NS4及びp7.5プロモーターの制御下のタンパク質NS5bの発現を可能にする、2つの発現カセットが反対の方向に向いているトランスファープラスミド(pIV344、図2H)のいずれかの入手。
【0152】
5.異なるポックスウイルスに挿入された抗原の発現の確認
該当するポックスウイルスでのHuh7細胞の感染後、ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコード化する配列を含むポックスウイルスpIV329及びpIV344が該HCV抗原を発現することを、ウェスタンブロットにより検証した。
【0153】
実施例3:NS3/NS4及びNS5bの併用の免疫原性の実証
1.マウスの免疫
HLA−A2.1トランスジェニックマウスを以下のアデノウイルスから選ばれる少なくとも1つのアデノウイルスの筋肉内注射により1回免疫した:
− 上の実施例1(ポイント2.3)において調製したAdNS3NS4、
− 上の実施例1(ポイント3.3)において調製したAdNS5、
− ポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列(配列番号5及び6)を増幅するために以下のヌクレオチドプライマーを使用したことを除き、実施例1、ポイント2の手順に従って調製したAdNS5a:
【表7】


PCRにおいて、温度62℃を56℃により置換し、pTG13387及び断片NS5aの酵素消化をKpnI/XbaIにより実施し、pTG13387のSmaIによる消化による制限酵素分析は180及び7251pbの断片を産生し、pTG6624では2263、621、5615、180、2463、6480、1398、4456、1455、3540、3386、230、及び3685pbの断片を産生した。
− コアE1−E2ポリタンパク質(別名CE1CE2)をコード化するヌクレオチド配列(配列番号7及び8)を増幅するために以下のヌクレオチドプライマーを使用したことを除き、実施例1、ポイント2の手順に従ったAdCE1E2:
【表8】


PCRにおいて、温度62℃を56℃により置換し、pTG13387及び断片CE1CE2の酵素消化をNheI/XbaIにより実施し、pTG13387のSmaIによる消化による制限酵素分析は163、435、2270、180、及び5254pbの断片を産生し、pTG6624では2263、621、3618、163、435、2270、180、2463、6480、1398、4456、1455、3540、3386、230、及び3685pbの断片を産生した。
− 上の実施例1(ポイント3)において調製したAdNS3NS4NS5b、及び
− AdβGal(Transgene)、
以下のプロトコールに従った:
− 10pfuのAdNS3NS4又は
− 10pfuのAdNS5b又は
− 10pfuのAdCE1E2又は
− 10pfuのAdNS3NS4及び10pfuのAdNS5b又は
− 10pfuのAdNS3NS4、10pfuのAdNS5b、及び10pfuのAdNS5a
− 10pfuのAdNS3NS4、10pfuのAdNS5b、及び10pfuのAdCE1E2
− 10pfuのAdNS3NS4 NS5b又は
− 対照として10pfuのAdβ−Gal
【0154】
免疫前に、免疫のために使用した異なるアデノウイルスによるHCV及びβ−Gal抗原の発現をウェスタンブロットにより検証した。
【0155】
2.CTL及びELISPOT試験
注射から15日後、細胞反応を、マウスの脾臓細胞(脾細胞)を単離することにより分析し、CTL試験及びELISPOT試験を以下の通りに実施した:
【0156】
CTL試験では、これらの脾細胞を以下の存在下で、24ウェルプレートで培養した:
− AdNS3NS4を受けたマウスに由来する脾細胞の場合の5μMのエピトープGLL(GLLGCIITSL、配列番号24)、AdNS5bを受けたマウスに由来する脾細胞の場合の5μMのエピトープALY(ALYDVVSTL、配列番号25)又は5μMのエピトープKLQ(KLQDCTMLV、配列番号26)、又はAdCE1E2を受けたマウスに由来する脾細胞の場合の5μMのエピトープDLM(DLMGYIPLV、配列番号27)、該エピトープが合成ペプチド型(Eurogentex)であり、及び、
− アルファ最小必須培地(αMEM)1ml当たり10Uのマウス組み換えインターロイキン2(Brinster et al., Hepatology 2001)で5日間。5日目、再刺激工程を実施し、これは該エピトープの存在下での2日間にわたる天然マウス脾細胞の培養中の脾細胞への添加からなる。7日目、CTL試験を実施し、これは培養7日後の免疫マウスからの脾細胞(エフェクター細胞)と、10μMの該エピトープを負荷し、Cr51で標識したEL4 S3−Rob HDD細胞(標的細胞)を接触させることからなる。エフェクター細胞の特異的細胞傷害性は、標的細胞との4時間のインキュベーション後、γ−Cobra II計数装置(packard, Rungis, France)を使用して標的細胞の溶解後に放出されるCr51を測定することにより決定した。培地のみ又は溶解緩衝液(1N HCl)のいずれかを含むウェルからの最高自然放出量を決定した。細胞傷害性の特異的パーセンテージは、以下の式により算出した:
(試験における放出量−自然放出量)/(最高放出量−自然放出量)×100。
エピトープ特異的溶解は、該エピトープの存在下又は非存在下で得られた特異的溶解のパーセンテージの間の差により決定した。
【0157】
ELISPOT試験は、先に抗インターフェロンガンマ抗体(IFNγ)(最終10μg/ml)でコーティングしたマルチスクリーン96ウェルプレート(Millipore)中で48時間脾細胞を培養することにより実施した。脾細胞は、上に示した通りに、αMEM中で、1ml当たり10μMの適当なエピトープ及び10Uのマウス組み換えインターロイキン2の存在下で培養した。陽性対照では、脾細胞はコンカナバリンA(5μg/ml)の存在下で培養した。陰性対照では、脾細胞は、HCVのキャプシドタンパク質に属する配列DLMGYIPLVの非特異的ペプチド(別名、無関係ペプチド)の存在下、又は、エピトープなしの培地のみのいずれかにおいて培養した。ウェルは、0.05% PBS−Tween、次にPBSでそれぞれ3回洗浄し、この操作の後にビオチン化マウスからの抗IFNγ抗体での2時間のインキュベーションが続く。洗浄後、ウェルをストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体と1時間インキュベートし、酵素活性はAEC(アミノエチルカルバゾール)基質の分解により発生した。得られたスポットは、Zeiss ELISpotリーダー(KS−ELISpotソフトウェアを併用したZeiss顕微鏡)を使用して計数した。
【0158】
結果を図3から5において示し、ここでMはマウスに対応し、Mnegは対照マウスに対応する。
【0159】
これらの結果は以下を実証する。
− AdNS3NS4は発現抗原に特異的な細胞性反応を明らかに誘導したが、NS3中に含まれるエピトープGLLに特異的なTリンパ球の検出により図3A及び3Bにおいて説明される通りである。
− AdNS5bは発現抗原に特異的な細胞性反応を明らかに誘導したが、NS5b中に含まれるエピトープALY及びKLQに特異的なTリンパ球の検出により図4において説明される通りである。
− AdCE1E2は発現抗原に特異的な細胞性反応を明らかに誘導したが、コアタンパク質中に含まれるエピトープDLMに特異的なTリンパ球の検出により図5において説明される通りである。
【0160】
3.組み換えワクシニアウイルスを使用したインビボでのトライアル試験
異なるアデノウイルスにより誘導される特異的免疫反応が感染性疾患トライアルに対する防御(“インビボ防御”)を誘導できるか否かを評価するために、我々はワクチン接種マウスをそのようなトライアルに供した。
【0161】
マウスはHCVにより直接感染できないため、特異的免疫反応の誘導と感染に対する耐性を関連付けるために、我々はHCVの非構造タンパク質(NS2からNS5b)をコード化する組み換えワクシニアウイルス(WR株)を使用して、このトライアルを実施した。この組み換えワクシニアウイルスは、マウスにおける10pfuの腹腔内注射後、動物において複製する。このウイルスの複製はワクシニア抗原及びHCV抗原のいずれにも特異的免疫反応を誘導するが、それがHCVのNSタンパク質も発現するためである。HCV抗原に対するこの特異的反応は、一層有効で、活発であるが、マウスがHCV抗原を発現するワクチンを既に受けているためであろう。換言すると、ワクチン接種(この場合、組み換えアデノウイルスで実施される)が有効であるほど(即ち、マウスの免疫系がワクチンにより有効に“初回刺激”される)、トライアル後に組み換えワクシニアウイルスにより生成する抗HCV反応は強くなり、結果的に、マウスはこのトライアルに対してより“防御”される。実際に、マウスにおける残留ワクシニアウイルス数が低いほど、ワクチン接種に起因する防御又は中和はより有効であった。ワクシニアウイルスの中和は、HCVタンパク質により、及び、ワクシニアウイルスにより誘導される両方の細胞反応を反映する。
【0162】
中和は、以下の通りに、動物の卵巣からの残留ワクシニアウイルスの滴定により評価した:卵巣を治験後4日目に除去し、超音波処理し、3回凍結融解し、次に遠心分離後、上精の連続希釈液をHutk−細胞上で溶解プラーク技術(Murata et al., PNAS, vol.100, p. 6753-6758)に従って滴定した。ウイルス力価は卵巣のpfu/ml/mgで決定する。
【0163】
4.ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bの併用によるワクチン接種の優れた防御の実証
ワクチンの組み換えウイルス力価を、以下のアデノウイルスの組み合わせにより免疫したマウス8匹の4群について決定した:AdNS3NS4+AdNS5b(第1群)、AdNS3NS4+AdNS5b+AdNS5a(第2群)、AdNS3NS4+AdNS5b+AdCE1E2(第3群)、及びAdβGal(第4群)。
【0164】
図6に与えた結果は、ウイルコクソン・マンホイットニー・ノンパラメトリック検定(Methodes Statistiques a I'usage des medecins et des biologistes, Collection Statistique en Biologie et en Medecine, Flammarion Medecine Sciences, (D. Schwarz), 1977)に基づいて統計的に処置し、それは平均値の比較に基づき、2つの独立したサンプルx及びyの値の比較を可能にする。
【0165】
この試験は以下の通りに実施する:比較する2群x及びyの値の全てを漸増様式で分類する。順位を次に各値に割り当て、順位和を算出する。Wx及びWyを次に得る。(Wx)tと呼ばれる参照値(WxがWyと異ならない帰無仮説における理論値)を次に算出し、以下の比率により関連付けた:n(N+1)/2、n=x群において試験したマウスの数及びN=x及びy群において試験したマウスの数。
【0166】
Wxが(Wx)t(マウスにおけるワクシニアウイルスの低残留レベル)未満である場合、ワクチン接種に起因する中和が有意に有効であると結論付けることができる。
【0167】
我々が、yと表示するAdβGal群と比較し、xと表示するAdNS3NS4S5b群の例を取る場合、我々は以下の値を得る:
Wx=1+2+4+6+8+11+13+14=59(試験した8匹のマウス)
Wy=3+5+7+9+10+12+15+16=77(試験した8匹のマウス)
【0168】
帰無仮説の下で、WxはWyと違わず、期待値は:(Wx)t=(1/2)*8*17=68である。
【0169】
Wx<(WX)rは、AdNS3NS4NS5b群において得られる値がAdβGal群において得られるものより小さく、ワクチン接種に起因する中和が有意に有効であることを意味する。
【0170】
他のマウス群での統計値を下表1において示す:
【表9】

【0171】
上表1の値は、アデノウイルスNS3NS4及びアデノウイルスNS5bの併用によるマウスのワクチン接種のみが、AdβGalによりワクチン接種した対照マウス群に関して、トライアルにおいて使用したワクシニアウイルスの複製の有意な中和を誘導できることを示す。(AdNS3NS4+AdNS5b+AdNS5a)又は(AdNS3NS4+AdNS5b+AdCE1E2)を含む組み合わせを使用して実施するワクチン接種は、AdβGalにより免疫した対照マウス群と比較して有意差をもたらさない。
【0172】
これらの結果は、従って、ポリタンパク質NS3NS4及びポリペプチドNS5bを併用したワクチン接種の予想外に優れた防御を実証可能である。
【0173】
5.同じベクターにより結合させて発現させたポリタンパク質NS3NS4及びポリペプチドNS5bを併用したワクチン接種の防御の確認
組み換えワクシニアウイルスの力価を、以下のアデノウイルスの組み合わせにより免疫したマウス8匹の3群について決定した:AdNS3NS4AdNS5b(第1群)、AdNS3NS4+AdNS5b(第2群)、及びAdβGal(第3群)。
【0174】
図7に与える結果は、先の実験において記載したウイルコクソン・マンホイットニー・ノンパラメトリック検定に基づいて統計的に処置する。
【0175】
対照群AdβGalと比較した1及び2群での統計値を下表2において示す:
【表10】

【0176】
上表2の値は、アデノウイルスNS3NS4及びアデノウイルスNS5bの併用と同様に、3つの抗原NS3、NS4、及びNS5bのいずれもコード化するアデノウイルスによるマウスのワクチン接種が、AdenoβGalによりワクチン接種した対照マウス群に関して、トライアルにおいて使用したワクシニアウイルスの複製の有意な中和を誘導できることを示す。この結果によって、同じベクターにより結合させて発現されたポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bを併用したワクチン接種の防御が確認される。
【0177】
実施例4:強化免疫スケジュールによって、強力で持続的な交差防御T細胞反応が誘導される
実施例2において記載する3つのウイルス抗原を発現するMVAベクターワクチンの候補を、C型肝炎ウイルス(HCV)のCD8+及びCD4+媒介性反応の刺激能について、HLAクラスIトランスジェニックマウスモデルにおいて評価した。強化(3週間)ワクチン接種によって、2つのエフェクター機能(細胞溶解活性 − インビトロ及びインビボでのIFN−γ産生)を持つ特異的CD8+T細胞ならびに3つ全てのウイルス抗原を認識する特異的CD4+T細胞が誘導された。反応は持続性(6ヶ月間)であり、4回目のMVAワクチン接種により追加免疫でき、代替リステリアを用いた攻撃アッセイにおいて実証された通り、交差防御性を有する。
【0178】
1.序論
世界人口の約3%がC型肝炎ウイルス(HCV)に感染しており(Shepard et al., 2005, Lancet 5558-5567)、感染者の約80%が慢性感染症を発症し、4%の症例において肝不全を招く。インターフェロンα(IFNα)及びリバビリンを併用した標準的処置は、処置された患者の約半数において有効であるが、しかし、相当な毒性及び費用に関連し、無視できない症例数において依然として禁忌を示す。新規治療法が開発中であり、主にウイルスプロテアーゼ又はポリメラーゼを標的とする(Dev et al., 2004, Current Gastroenterology Reports 677-686)。しかし、予備臨床データでは、これらの新しい抗ウイルス剤が、単剤治療として使用される場合には低効率を呈することが示されており、HCV治療分野が複数の費用のかかる薬物の複雑な関連に向けて動いているのが明らかになりつつある。抗ウイルス分子候補により現在活用されるものの補完機構に依存する代替治療戦略の必要性が十分に認識されている。
【0179】
ヒト及びチンパンジーにおける研究によって、感染急性期中での広範な持続性のHCV特異的CD4+及びCD8+Tリンパ球媒介性免疫反応の生成の失敗は、慢性化の発生と相関することが示されている(Shoukry et al., 2004, Annual Review of Microbiology, 58391-58424)。反対に、成熟した多機能エフェクターCD8+Tリンパ球の増大に関連する、機能的な維持されたTh1 CD4+Tリンパ球媒介性反応を呈する患者は、ウイルス血症のより効率的な制御を発揮し、回復に発展する傾向がある(Lauer et al., 2004, Gastroenterology 127(3), 924-936); Urbani et al., 2001, Hepatology 33, 1533-1543; Lechner et al., 2000, J. Exp. Med. 191, 499-512; Thimme et al., 2001, J. Exp. Med. 194, 1395-406; Bowen et al., 2005, Nature 436, 946-52; Cox et al., 2005, Hepatology 42, 104-112)。複数の研究によって、非構造抗原、特にNS3は、自然又は治療的なウイルスクリアランスに関連する反応の優先的な標的であることが確証されている(Vertuani et al., 2002, Eur. J. Immunol. 32, 144-54; Diepolder et al., 1997, J. Virol. 71, 6011-9; Smyk-Pearson et al., 2006, J. infect. Dis. 194, 454-63)。対照的に、この分野は最近開発された新規アッセイのために急速に動いているが、感染の転帰における抗HCV抗体の寄与には依然として議論の余地があり、これらの抗体が典型的に進行中の慢性化に直面して存在するためである(Bartosch et al., 2003, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100, 14199-204; Logvinoff et al., 2004, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101, 10149-54; Maunier et al., 2005, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102,4560-5)。
【0180】
過去10年間にわたり、多種多様なHCVワクチンの試みが追及されてきた。古典的なアジュバント組み換えタンパク質から樹状細胞を用いたワクチンまで、様々な製剤がマウス、マカク、及び、数例では、チンパンジーにおいて試験されてきた(Martin et al., 2006, Drug Discovery Today 3206-9)。組み換えDNA(Foms et al., 1999, Vaccines 17, 1992-2002; Rollier et al., 2004 J. Virol.78, 187-96)、組み換え細菌(Wedemeyer et al., 2001, Gastroenterology 121, 1158-66)、又はアデノウイルス(Arribillaga et al., 2002, Vaccine 21, 202-210; Folgori et al., 2006, Nature Medicine 12, 1907)など、少数のベクターを用いたワクチンしか今までに評価されていないことを観察することは印象的である。最も驚くべきことに、診療所において今まで使用されている最も安全な既知のワクチンベクターの1つ、即ち、改変非複製ワクシニアウイルスアンカラ(Ankara)株(MVA)が、HCVワクチンの開発に向けてほとんど評価されていない。ワクシニアウイルスのこの高度弱毒化株は、天然痘の根絶のためのキャンペーンにおいて使用されており、100,000を超える人において安全性プロファイルが実証されている(Mayr et al., 1978, Zentralbl. Bakteriol. 167, 375-90; Mahnel et al., 1994, Bert. Muench. Tieraerztl. Wochenschr. 107, 2536)。HCVの場合において、わずか2例のMVAワクチンに基づく前臨床試験が今までに報告されている:1例は、野生型又は膜標的のいずれかの免疫原として、HCV外被糖タンパク質E1及びE2を発現するMVA候補について記載しており(Abraham et al., 2004, Vaccine 22, 3917-28)、他は、3つの構造タンパク質(コア、E1、及びE2)ならびに非構造タンパク質3を発現する2つのMVAを併用したワクチンについて報告している(Rollier et al., 2004, J. Virol 78, 187-96)。しかし、MVAを用いたワクチンでの励みとなる結果が観察されており、例えば、HIV又はマラリアのワクチン開発の分野において、ここでは多数の研究に、単剤又はプライムブースト併用のいずれかで使用されるMVAワクチン候補が含まれる(Hanke et al., 1998, J. Gen. Virol; 79, 83-90; Gilbert et al., 2002, Vaccine 20, 1039-45; Prieur et al., 2004, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101, 290-5)。これらの研究では、HLA−A2トランスジェニックマウスモデルから小型の非ヒト霊長類において実施された評価から、臨床試験まで実行されている(Hanke et al., 2007, J. Gen. Virol. 88, 1-12; Webster et al., 2005, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102, 4836-41)。HCVワクチン分野において試験されてきた別のポックスウイルスは、強力なT細胞免疫反応を誘導することが報告されているHCV組み換えカナリアポックスウイルスであるが、もっとも、この候補はDNAプライム‐カナリアポックスウイルス追加免疫計画においてのみ試験されてきた(Pancholi et al., 2000, J. Infect. Dis. 182, 18-27)。その強力な免疫原性と組み合わせたMVAの優れた安全性プロファイルでは、予防及び治療の両方の用途のための、強力なHCV MVAを用いたワクチンの開発に明白に賛成して議論された。
【0181】
安全なポリ抗原T細胞に基づくHCVワクチンを開発する目的で、我々は、HCV非構造(NS)タンパク質NS3、NS4、及びNS5Bをコード化する組み換えMVAワクチン候補を操作し、前臨床的に評価した。我々は、本明細書において、このワクチンを使用した強化ワクチン接種スケジュールによって、3つ全てのワクチン免疫原を標的とし、自然感染中に認識されるクラスI T細胞エピトープを認識するCD4+及びCD8+Tリンパ球媒介性反応を誘導できることを報告する。強力で特異的なCD8+T細胞媒介性反応は持続性があり(最長6ヶ月間まで検出可能)、その後の時間での元のMVA NS34−NS5Bでの追加免疫時に効率的にリコール(recall)できる。肝臓に感染できるHCV組み換えリステリア・モノサイトゲネスに基づく攻撃モデルを使用して、我々は、MVA NS34−NS5Bでの強化ワクチン接種スケジュールがインビボでの交差防御反応をもたらすことを示す。
【0182】
2.材料及び方法
2.1.合成ペプチド及び組み換えタンパク質
使用する全ての合成ペプチド及び組み換えタンパク質は、遺伝子型1b配列(HCV−JA)に由来した(Kato et al., 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 9524-8)。ペプチド(Eurogentec)はNS3に由来した:CVNGVCWTV(CVNと呼び、HCVポリタンパク質のアミノ酸1073から1081に対応する;配列番号28)、GLLGCIITSL(GLL、アミノ酸1038から1047;配列番号24)、KLTGLGLNAV(KLT、アミノ酸1406から1415;配列番号29)、WPAPPGARSM(WPA10、アミノ酸1111から1121:配列番号30)、LSPRPVSYLK(LSP10、アミノ酸1152から1162;配列番号31)又はNS5B:ALYDVVSTL(ALY、アミノ酸2594から2602;配列番号25)抗原。HCV コアに由来するペプチド:DLMGYIPLV (DLM、アミノ酸132から140;配列番号27)は、無関係ペプチドとして使用した。ペプチドを100% DMSO中に10mMの濃度で溶解し、使用まで−20℃で保存した。組み換えNS3ヘリカーゼ(アミノ酸1192から1457)及びNS5B(アミノ酸2420から2989)タンパク質は、社内で大腸菌において発現させ、エンドトキシンを含まず純度>95%で産生された。組み換えNS4タンパク質はMikrogenから入手した。破傷風トキソイド(TI, Sanofi Pasteur)は無関係タンパク質として使用した。
【0183】
2.2.組み換えMVANS34−NS5Bの構築
MVAゲノムのいわゆる欠失III対応部位における相同組み換えのために使用するプラスミドは、プラスミドpTGIEに基づく(Braun et al., 2000, Gene Ther. 7, 1447-57)。欠失IIIを囲む隣接配列(BRG3及びBRD3)は、MVA N33 DNAからPCRにより増幅した(Sutter and Moss, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 10847-51)。トランスファープラスミドは、オワンクラゲ(Aequorea victoria)増強緑色蛍光タンパク質(eGFP遺伝子、pEGP−C1から単離(Clontech))及び初期/後期ワクシニアウイルス合成プロモーターp11K7.5(R. Wittek, University of Lausanneより供与)の制御下にある大腸菌キサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt遺伝子)の間に融合物も含んだ。キサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼの合成によって、GPT+組み換えMVAが、ミコフェノール酸、キサンチン、及びヒポキサンチンを含む選択培地中でプラークを形成でき、eGFPによって組み換えMVAプラークの可視化が可能になる。クローン選択が達成された場合、2つの相同配列間に同じ方向で置いた選択マーカーeGFP−GPTを、選択なしに、数継代により除去した。HCV遺伝子型1b HCV−JA株からのNS3NS4及びNS5B遺伝子をコード化する配列をPCRにより増幅した。NS3NS4遺伝子をトランスファープラスミド中のpH5Rプロモーター(Rosel et al., 1986, J. Virol. 60 436-49)の下流に挿入し、pTG16639を生じた。NS5B遺伝子を、pTG16639中のNS3NS4遺伝子と同じ方向でp7.5Kプロモーター(Cochran el al., 1985, J. Virol. 54, 30-7)の下流に挿入し、最終的なトランスファープラスミドpTG16643を生じた。MVA NS34−NS5B(MVATG16643)の生成は、初代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)中での相同組み換えにより実施した。pTG16643は、標準的リン酸カルシウムDNA沈殿法に従い、先にMOIの0.1pfu/細胞でMVA N33に感染させたCEF上にトランスフェクトした。ウイルス選択は、CEF上で、ミコフェノール酸、キサンチン、及びヒポキサンチンを含む選択培地の存在下における3回のプラーク精製により実施し、次に選択マーカーを非選択培地中での継代により除去した。親MVAによる汚染の非存在をPCRにより検証した。
【0184】
2.3.インビトロでの発現研究
NS3、NS4、及びNS5B抗原の発現は、ヒトHuh−7ヘパトーマ細胞のMVA NS34−NS58感染後の免疫蛍光及びフローサイトメトリーにより調べた。免疫蛍光分析では、ガラスカバースリップを、Huh−7細胞(106個/ウェル)をウェル中にプレーティングする前に0.2%ゼラチンで10分間処置した6ウェルプレート中に置いた。細胞単層は、MOIの0.33でMVAベクター(MVA NS34−NS5B又は陰性対照としてMVA N33)に感染させた。24時間後、カバースリップをPBS中で洗浄し、4%PFAで固定し、PBS中0.1%Triton X−100で透過処理した。一次抗体を1時間室温で適用した(ウサギポリクローナル抗NS4B血清及びマウスモノクローナル抗NS5B抗体5B12b7、それぞれR. Bartenschlager及びD. Moradpourが供与した)。Alexa−Fluor 488ニワトリ抗マウスIgG(Molecular Probes)及びCy3抱合抗ウサギIgGヒツジ(Fab)(Sigma)を次に30分間添加した。カバースリップを10μg/ml Hoechstの存在下で80%グリセロール中に乗せ、ストライプをCarl Zeiss Axioplan顕微鏡で観察した。画像はAxioCam Colorデジタルカメラで撮った。フローサイトメトリー分析では、1ウェル当たり10個のHuh−7細胞を6ウェルプレート中にプレーティングし、MOIの1でMVAベクターと感染させた。24時間後、細胞を回収し、Cytofix/Cytoperm試薬(Becton Dickinson)で10分間固定し、PermWash試薬(Becton Dickinson)で洗浄した。染色は、2.10個の細胞に30分間室温で添加したモノクローナル抗NS3抗体8D8E1(bioMerieux)、抗NS4B抗体1B12A3(bioMerieux)、及び抗NS5B抗体5B12b7(D. Moradpourより供与)を使用して実施した。RPE抱合ウサギ抗マウスIgG(Dako)を次に30分間室温で添加した。細胞を1%FCS−PBS中に再懸濁し、FacsCalibur血球計算器(Becton Dickinson)を使用してフローサイトメトリーにより分析した。
【0185】
2.4.マウス
市販のBalb/c(Charles River)ならびにH−2クラスIノックアウトHLA−A2.1及びHLA−B7.2トランスジェニックマウスを使用した。HLA−A2.1マウスはトランスジェニック単鎖組織適合性クラスI分子を発現したが、その中でヒトβ2mのC末端はキメラ重鎖のN末端(HLA−A2.1 α1−α2、H−2D α3膜貫通及び細胞質内ドメイン)に共有結合する(Pascolo et al., 1997, J. Expo Med. 185, 2043-51)。HLA−B7.2マウスは、ヒトHLA−B*0702 α1−α2ドメインとマウスH−2D α3ドメインから成るキメラHLA−B*0702重鎖を発現した(Rohrlich et al., 2003, International Immunol. 15, 765-72)。マウスはPBES(Plateau de Biologie Experimentale de la Souris, Lyon)で適当な動物飼育施設において飼育し、動物での実験に必要とされる国際ガイドラインに従って扱った。
【0186】
2.5.免疫プロトコール
6から8週齢のマウス(2から6匹/群)を各実験において使用した。最初に、2つのMVA免疫スケジュールを比較した。マウスは、3週間間隔での3回の注射(スケジュール1)、又は、4回の注射、即ち1週間間隔での3回及び3週間後の4回目(スケジュール2)のいずれかで10pfuのMVA NS34−NS5B又はMVA N33での皮下(sc)注射を尾基部に受けた。1週間間隔での3回の注射を含むスケジュールを次に追加実験において選択した。リコール記憶反応の分析では、マウスは最初の免疫から6ヶ月後(27週目)に4回目のMVA注射を受けた。
【0187】
2.6.ELISPOTアッセイ
脾細胞(2x10個細胞/ウェル)は、赤血球溶解緩衝液(Sigma)で処置し、陰性対照として10U/mlのマウス組み換えIL−2(Pedro-Tech EC LTD)のみ、又は、陽性対照として10μMのペプチドもしくは2μg/mlのタンパク質もしくは5μg/mlのコンカナバリンAを添加した完全αMEM培養液(GIBCO BRL)中で、抗マウスIFNγモノクローナル抗体(Pharmingen)でコーティングしたマルチスクリーンニトロセルロース支持プレート(Millipore)において40時間3個のウェル中で培養した。IFNγ産生細胞は、先に記載した通り、IFNγ特異的な酵素結合免疫スポット(ELISPOT:enzyme linked immunospot assay)により定量した(Martin et al., 2004, J. Med. Virol. 74, 397-405)。CD4+T細胞のポジティブ選択は、製造者の使用説明書に従い、CD4(L3T4)マイクロビーズ(Myltenyi Biotech)を使用して磁気細胞分離により実施し、ポジティブ選択の効率はフローサイトメトリーにより評価し、CD4+T細胞のパーセンテージは常に88%を上回り、CD8+T細胞は2.1%未満であることが見出された。全画分、CD4+画分、及び溶出画分は別々に分析した。IFN(産生T細胞に対応する、陰性対照ウェル中で検出されたスポット数を、実験ウェル中で検出されたスポット数から引いた。結果は、3個のウェルについて得られた平均値として示す。反応は、スポット数が40スポット/10個細胞よりも高い場合、陽性と見なした。
【0188】
2.7.細胞内サイトカイン染色(ICS)
ICSは、個々の動物からの脾細胞で実施した。簡単に説明すると、赤血球の溶解後、平底96ウェルプレートの1ウェル当たり2x10個の細胞を、陰性対照として10U/mlのマウス組み換えIL−2のみ、又は、10μMのペプチドもしくは2μg/mlのタンパク質を添加した完全(MEM培養液中でインキュベートした。一晩インキュベーション後、GolgiStop(Becton Dickinson)を0.67μl/mlの最終濃度で6時間加えた。細胞を次にV底96ウェルプレート中に回収し、1% FCS−PBSで洗浄した。染色は、1% FCS−PBS中のCD3(ハムスターMAb抗CD3e−PE)及びCD8(ラットMAb抗CD8a−APC)に対するモノクローナル抗体(MAb)(全てBecton Dickinsonから)を室温で15分間使用して実現した。洗浄後、細胞はCytofix/Cytoperm(Becton Dickinson)で固定及び透過処理し、Perm/Wash溶液で2回洗浄した。抗マウスIFN(−Alexa488抗体(Becton Dickinson)を室温で15分間加え、洗浄後、細胞をPBS中に再懸濁し、フローサイトメトリーにより分析した。CD3e+、CD8a+細胞をゲーティングし、IFN(−サイドスキャッタードットプロット上に表し、IFN(+CD8+T細胞集団のパーセンテージを決定した。
【0189】
2.8.インビトロ及びインビボ細胞傷害性T細胞(CTL)アッセイ
インビトロCTLアッセイでの条件は先に記載されている(Brinster et al., 2001, Hepatology 34, 1206-17)。簡単に説明すると、5日目の再刺激後、CTLアッセイは、エフェクターとして刺激細胞を使用して、7日目に実施した。標的細胞として、51Cr染色EL4S3−Rob HHD細胞を、10μMの選択ペプチドを負荷又は無負荷(陰性対照)のいずれかで使用した。自然溶解及び全溶解は、それぞれ培地のみ又は溶解緩衝液(1N HCl)のいずれかにおいてペプチド負荷又は無負荷の標的細胞を含むウェルから決定した。特異的な細胞傷害性は以下の式を使用して算出した:(アッセイ中の放出量−自然放出量)/(全溶解量−自然放出量)×100。エフェクター/標的の各比率について、データは2回の結果の平均として表わした。反応は、特異的溶解のパーセンテージがMVAN33免疫マウスで得られたものよりも20%高く、少なくとも10%上回る場合、陽性と見なした。
【0190】
インビボCTLアッセイは、微修正し、記載の通りに(Beloeil et al., 2003, J. Immunol. 171, 2995-02)実施した。簡単に説明すると、脾細胞浮遊液をシンジェニックマウスから得て、赤血球の溶解後に20x10個細胞/mlに調整した。細胞の半分を最終濃度10μMのGLLペプチドと共に37℃で1時間インキュベートしたが、第2の画分は未パルスで放置した。5(6)−カルボキシフルオレセイン・ジアセテート・サクシニミジル・エステル(CFSE)(Molecular Probes)を次に未パルス細胞に1μM(CFSElow)で、ペプチドパルス細胞に10μM(CFSEhigh)で10分間加えた。洗浄後、両方の集団を混合し、20x10個の全細胞を眼窩後(retro−orbital)静脈内注射によりマウスに移した。このように、CFSEhigh集団はCTLにより溶解されると思われる特異的標的を表し、CFSElow集団はアッセイの標準化を可能にする内部基準であった。レシピエントマウスからの脾細胞は、フローサイトメトリーにより24時間後に分析し、CFSE標識標的細胞を検出した。所与のマウスにおける注射されたペプチドパルス標的と未パルス標的の間の比率(比率R=CFSEhigh細胞数/CFSElow細胞数)を算出した。MVA NS34−NS5B免疫マウスとMVA N33免疫マウス(対照)の間での細胞溶解活性を標準化する特異的溶解のパーセンテージは、以下の式により決定した:特異的溶解の%=[1−(R免疫/R対照)]x100%、ここでR対照は2匹のMVA N33注射マウスで得られた最高比率Rである。
【0191】
2.9.代替攻撃モデルにおける防御免疫
防御は、遺伝子型1a配列(HCV−1分離株)に由来するHCV NS3タンパク質を産生する組み換えリステリア・モノサイトゲネス株に基づく代替攻撃モデルを使用して評価した。TC−LNS3(Simon et al., 2003, Infection and Immunity 71, 6372-80)MVA NS34−NS5B免疫マウスは、最後のMVA免疫後2週間、100μlのPBS中の1 LD50(HLA−A2マウスと同様のC57BL6バックグラウンドを伴うマウスでは9.10コロニー形成単位(CFU)、Balb/cマウスでは3.10CFU)のTC−LNS3での静脈内注射を受けた。陰性対照としてMVA N33免疫マウスを使用し、陽性対照として我々は2週間隔で1又は2回、0.05から0.1 LD50のTC−LNS3(免疫用量)で免疫したマウスを使用した。細菌攻撃から2日後、脾臓及び肝臓を個々のマウスから除去し、重量を量り、ホモジナイズし、PBS/0.1%Triton中で連続希釈した。これらの希釈物をブレインハートインフュージョン寒天培地上にプレーティングした。室温で2から3日後、CFU数を算出し、結果は、個々のマウスからの組織値のLog CFU/mgで与えた。
【0192】
2.10.統計分析
CTL反応、IFNγ ELISPOT反応、及び防御効果の分析は、マンホイットニー検定を使用して実施した。
【0193】
3.結果
3.1.HCV NS3、NS4、及びNS5Bタンパク質をコード化する単一の組み換えMVAのデザイン及びインビトロ発現
ph5rプロモーター下のHCV NS3NS4タンパク質及びp7.5プロモーター下のNS5Bタンパク質をそれぞれコード化する2つの組み換えMVAベクターをデザインした。両方の発現カセットを、同じ又は反対いずれかの方向で、MVA骨格の欠失III中にクローニングした。ウェスタンブロット分析によって、2つの発現カセットが同じ方向で挿入された場合、3つ全てのクローン化抗原の発現増強が明らかにされた(データ未掲載)。このように、同じ方向で両方の発現カセットを含むMVAベクターは、MVA NS34−NS5Bと呼び、さらなる研究のために選択した。インビトロでのNS3、NS4、及びNS5B抗原の発現は、Huh−7細胞のMVA NS34−NS5B感染後のフローサイトメトリー及び免疫蛍光分析により特性付けした。フローサイトメトリー分析によって、3つの抗原の明確な発現が示された(図8)。感染後の発現細胞のパーセンテージは3つのコード化抗原について同じに思われたが、平均蛍光強度(MFI)の測定値は、恐らくはph5rプロモーターと比較したp7.5プロモーターのより低い強度のため、NS5Bのより弱い発現を示唆した。感染細胞の細胞質における発現抗原の共局在が、抗原の既知の特性に基づいて予測され(Penin et al., 2004, Hepatology 39, 5-19)、免疫蛍光分析において実際に確認された。
【0194】
3.2.MVA NS34−NS5Bでの強化ワクチン接種スケジュールによって、より長い古典的なスケジュールに従って得られるものと同程度の2つのエフェクター機能を呈する特異的CD8+T細胞が誘導された
MVAを用いたワクチン接種後の免疫反応の開始は、典型的に、2−4週間離して実施される候補ワクチンの2−3回の注射後に分析されてきた(Gilbert et al., 2002, Vaccine 20, 1039-45; Vazquez-Blomquist et al., 2004, Biotechnol. Applied Biochem. 39, 313-8)。しかしながら、特異的免疫反応を実際に迅速に開始して、ベクター開発抗免疫の影響を最小限し、ならびに、治療用ワクチン接種の場合におけるウイルス負荷に及ぼすより迅速な影響及び/又は疾患の進行を有するように試みることは価値がありうる。強化スケジュール(Transgene Abstract, EUROGIN 2006)に従って投与したHPV(ヒトパピローマウイルス)を用いたMVAで、診療所において得られた最近の非常に励みとなるデータに基づき、我々は最初に2つの異なるワクチン接種スケジュールを並べて比較することを決めた。HLA−A2トランスジェニックマウスは、皮下で、10pfuのMVA NS34−NS5B又はMVA N33(陰性対照として使用する野生型ウイルス)の3週間間隔での3回注射(スケジュール1)又は1週間間隔での3回注射、それに続く3週間後の4回目の注射(スケジュール2)のいずれかを受けた。誘導されたCD8+T細胞は、各スケジュールについて2つの時間点でインビトロCTL及びIFNγ ELISPOTアッセイにより、スケジュール1では2回目及び3回目の注射から2週間後(6及び9週目)又はスケジュール2では3回目及び4回目の注射から2週間後(5及び8週目)のいずれかに調べた(図9)。図9Aに示す通り、両方の注射スケジュールによって、NS3タンパク質中に位置し、自然感染中に認識されることが知られている2つのHLA−A2制限エピトープ(GLL及びKLT)に特異的なIFNγ産生細胞の誘導がもたらされた(Martin et al., 2004, J. Moo. Virol. 74, 397-405; Ward et al., 2002, Clin. Exp. Immunol. 128, 195-203)。同様のスポット数が両方のスケジュールで観察された:個数の上昇がGLLエピトープで観察され(1000スポットまで)、HLA−A2マウスにおけるドミナントエピトープとしてGLLを記載した観察と一致する(Martin et al., 2004, J. Med. Viral. 74, 397-405、反応はKLTエピトープに対してより弱かった(200スポットまで))。GLL特異的な陽性細胞の頻度は、両方のスケジュールで時間と共に衰退し、最後の注射から2週間後に低くなっていることが見出されたが(スケジュール1では9週目及びスケジュール2では8週目、図9B)、観察された総スポット数は両方のスケジュールで依然として同程度であった。KLT特異的反応は、その時に失われた(データ未掲載)。高い細胞傷害活性が、両方のスケジュールを使用して、試験した最初の時間点で、GLLペプチドに対して検出されたが(スケジュール1では6週目及びスケジュール2では5週目)(図10A)、より低いパーセンテージの特異的溶解が最後の追加免疫後に観察された(9及び8週目)(図10B)。サブドミナントなNS5B ALYエピトープを標的とした弱いが、しかし、特異的な細胞傷害活性が、2匹のマウスでは3回の注射後(図10A)、1匹のマウスではスケジュール2後の4回の注射後に検出された(図10B)。全体的に、これらの結果は、3週間間隔での2回の注射が、1週間間隔での3回の注射により得られたものと同様のNS3特異的な細胞傷害活性及びIFNγ産生T細胞の頻度を誘導したことを示唆する。スケジュールとは独立した追加ブースター注射(スケジュール1では3回目の注射又はスケジュール2では4回目)では、これらの反応は増強されなかった。さらなる実験を、次に、“強化”免疫スケジュールと呼ばれるワクチン接種スケジュール2に基づいて実施した。
【0195】
3.3.MVA NS34−NS5Bでの強化ワクチン接種によって、IFNγを産生し、強力なインビボでの溶解活性を呈する有意なパーセンテージのCD8+T細胞が誘導される
強化ワクチン接種スケジュールの免疫原をさらに特性付けするために、我々は、HLA−A2トランスジェニックマウスにおいて、細胞内IFNγサイトカイン染色(ICS)による誘導CD8+T細胞のIFNγ産生能ならびにそれらのインビボでの細胞傷害能を調べた。3回目の注射から2週間後に実施したICS分析(図11A)では、4匹全ての免疫動物が高いパーセンテージのIFNγを産生するGLL特異的CD8+T細胞を呈することが示された(1.13から2.3%の範囲、中央値パーセンテージ1.7%)。我々は、GLLペプチドでパルスしたCFSE標識標的脾細胞を、3回目の注射から2週間後にMVA NS34−NS5B又はMVA N33免疫マウスに移入することにより、特異的エフェクターCD8+T細胞のインビボでの殺傷能力を検証した。移入後、GLLパルス標的は、20時間アッセイにおいて、MVA NS34−NS5B免疫マウスにおいて効率的に除去されたが(図11B、各マウスについてそれぞれ15%、45%、65%、及び78%の溶解)、CTL活性は対照マウスにおいて検出不可能であった(未掲載)。全体的に、これらの結果によって、週1回、MVA NS34−NS5Bで免疫したマウスにおいて誘導されたCD8+T細胞が、IFNγを産生し、インビボでの細胞溶解活性を呈するための有意な能力を獲得していることが確認される。
【0196】
3.4.MVA NS34−NS5Bでの強化ワクチン接種は、HLA−B7制限エピトープを標的とする反応を誘導できる
HLA−B制限免疫反応が、HIV及びEBVについて記載されたこと(Frahm et al., 2005, J. Virol. 79, 10218-25; Kiepiela et al., 2004, Nature 432, 769-75; Bihl et al., 2006, J. Immunol. 176, 4094-101)と同様に、HCV感染の転帰において主要な役割を果たしうることが最近報告された(Neumann-Haefelin et al., 2006, Hepatology 43, 563-72)。HLA−B分子により制限される細胞性免疫反応をインビボで初回刺激するMVA NS34−NS5Bの能力に取り組むために、HLA−B7トランスジェニックマウスを強化スケジュール後に免疫し、CD8+T細胞反応をIFNγ ELISPOTアッセイを使用して調べた。図12に示す通り、ワクチンは、HCV感染においてこれまでに記載されたNS3 HLA−B7エピトープのみ、即ちWPA10及びLSP10である、2つのHLA−B7制限エピトープに特異的な有意なIFNγ産生T細胞を初回刺激できた(Martin et al., 2004, J. Med. Virol. 74, 397-405)。免疫動物5匹中4匹(WPA10)から5匹(LSP10)において、IFNγ産生T細胞が、WPA10では高頻度で(中央値:305スポット/10個の脾細胞)、LSP10では弱い頻度で(中央値:160スポット/10個の脾細胞)検出された。これらの結果によって、MVA NS34−NS5Bが、HLA−A2制限反応に加えて、HCV自然感染において認識されるエピトープに特異的なHLA−B7制限反応を誘導する能力が実証される。
【0197】
3.5.MVA NS34−NS5Bにより発現される3つ全ての免疫原に特異的なCD4+T細胞反応が、強化免疫後に誘導される
HCV感染の転帰を決定する際のCD4+T細胞媒介性反応の重大な役割のため、HCVワクチン候補がそのような反応を生成する能力を持つことは明らかに重要である。我々は、投与の“強化”スケジュール後に、Balb/cマウスにおいて特異的CD4+T細胞反応を誘導する能力を評価したが、そのような反応が、いずれもC57B16遺伝的バックグラウンドを呈するHLA−A2又は−B7マウスにおいて検出することが困難であったためである(データ未掲載)。CD4+T細胞反応は、IFNγ−ELISPOTによる3回目の免疫から2週間後に評価し、ICS分析は、全脾細胞、CD4+T細胞陽性画分ならびにポジティブ選択後に得られる溶出画分について実施した。図13に示す通り、各NS3、NS4、及びNS5bタンパク質に特異的なIFNγ産生細胞は、免疫マウスから得られる精製CD4+T細胞画分を使用して検出されたが、シグナルは対照動物においては認められなかった。NS4に特異的な弱いIFNγ ELISPOT反応も、全脾細胞画分を使用して検出された。ICS分析は同様の結果をもたらした(データ未掲載)。全体的に、これらのデータは、MVA NS34−NS5Bの週1回投与が3つ全ての発現抗原に特異的なCD4+T細胞を誘導できることを明らかにする。
【0198】
3.6.MVA NS34−NS5Bでの強化ワクチン接種後に誘導されるCD8+T細胞反応は、持続性があり、追加免疫できる
強力なワクチンに共通する重要な特性は、持続性の記憶反応を誘導するその能力である。強化ワクチン接種後に誘導されるMVA NS34−NS5B CD8+T細胞反応の寿命を評価するために、2工程実験を実施した。第1工程では、初回注射後1ヶ月目(5週目)、2ヶ月目(10週目)、及び6ヶ月目(27週目)にCTL及びIFNγ ELISPOTアッセイを実施することにより反応の寿命を評価した。第2工程において、4回目のMVA NS34−NS5B注射が記憶反応をリコールする能力を、同じアッセイを使用し、初回ワクチン接種後6ヶ月目(29週目)に実施したリコール注射から2週間後に探索した。5、10、27、及び29週目に誘導したCTL反応を図14において表す。GLLペプチドに特異的な強いCTL反応が、研究した各時間点で、低いエフェクター/標的の比率(E:T比率11/1での中央値:5週目での溶解68%、10週目で73%、27週目で47%)でさえ、全てのマウスにおいて検出された。4回目のMVA NS34−NS5B注射から2週間後に検出された反応は、この注射前に測定したものと依然として同様であった(E:T比率11/1での中央値:溶解51%)。明らかな既往反応は認められなかった。5、10、27、及び29週目に誘導されるIFNγ ELISPOT反応を図15において表す。ワクチンは、全ての注射マウスにおいて、研究した各時間点で、GLLペプチドに特異的な高頻度のIFNγ産生T細胞を誘導できた(図15A)。特異的細胞の数は、5週目から10週目の間で依然として統計的に同様であり(p>0.05)、減少が27週目に観察されたが(p<0.05)、反応はその時間では依然として明確に検出可能であった(中央値:5週目で655スポット/10個の脾細胞、10週目で529、27週目で230)。初回注射後6ヶ月目に実施した4回目の注射は、IFNγ産生細胞の頻度の強い増強をもたらした(中央値:29週目で1049スポット/10個の脾細胞)。加えて、NS3の2つの他のHLA−A2制限ペプチド(CVN及びKLT)に特異的なIFNγ産生T細胞が、マウス4匹中2匹において27週目に検出された(図15B及び15C)。弱いが、これらの反応は、4回目の注射後に非常に同程度のレベルに維持された(CVNでの中央値:27週目で112スポット/10個の脾細胞、29週目で145;KLTでの中央値:27週目で63スポット/10個の脾細胞、29週目で156)。これらの結果は、MVA NS34−NS5Bでの週1回のワクチン接種によって、最長6ヶ月まで検出可能な持続性のCTL及びIFNγ産生T細胞が誘導されることを明らかにする。加えて、6ヶ月目に実施した4回目の免疫は、IFNγ産生T細胞の有意なリコールをもたらす。
【0199】
リコール注射を実施するための最適な時間スケジュールを、HLA−A2−1トランスジェニックマウスにおいてさらに評価した。動物は、1週間間隔(0、1、及び2週目)での10pfuのMVA NS34−NS5B又はMVATGN33(対照群)の3回の皮下(sc)注射、及び、3回目の注射から4ヶ月後又は6ヶ月後のいずれかでの4回目の注射(リコール注射)を尾基部に受けた。CD4+及びCD8+T細胞反応は、最初の注射後の様々な時間点で、4匹のMVA NS34−NS5B注射動物(及び2匹のMVATGN33注射動物)において評価した:4回目の注射から1ヶ月後、4ヶ月後、及び6ヶ月後ならびに2週間後。CD4+T細胞は、2.7において記載の通りに、NS3又は無関係タンパク質の存在下において培養した脾細胞で実施したICSアッセイにより分析した。反応は、IFNg陽性CD4+T細胞のパーセンテージが、培地のみで得られたパーセンテージの3標準偏差よりも大きく、0.05%を超える場合に陽性と見なした。CD8反応は、先に記載した通りに、IFNg ELISPOT及びCTLアッセイによりモニターした。
【0200】
結果は、4ヶ月目又は6ヶ月目のいずれかの4回目の注射によってCD4+及びCD8+T細胞反応のいずれも増強できたことを実証する。しかし、IFNγ CD8+T細胞反応は、リコールが4ヶ月目対6ヶ月目に実施される場合に最適であったが、IFNγ CD4+T細胞反応は、リコールが4ヶ月目又は6ヶ月目である場合に同等であった。
【0201】
3.7.MVA NS34−NS5Bでの強化ワクチン接種は、代替攻撃アッセイにおいてインビボでの防御反応を誘導する
肝細胞はHCVでの主な複製部位を表すため、HCVワクチンの目的の1つは、肝臓に移動できるT細胞を誘導し、抗原発現細胞を破壊することである。我々は、HCV感染をある程度模倣する代替攻撃モデルを使用して、そのような所望の反応を生成するMVA NS34−NS5Bワクチンの能力を調べた。攻撃剤、HCV遺伝子型1a株からNS3タンパク質を発現する組み換えリステリア・モノサイトゲネス(TC−LNS3と呼ぶ(Simon et al., 2003, Infection and Immunity 71, 6372-80))を使用したが、それはこれらの細菌が肝細胞内に感染し、複製できるためである(Jiang et al., 1997, 158, 287-93)。多数の研究によって、強い抗原特異的CD8+T細胞反応がL.モノサイトゲネス感染に対する防御のために必要であることが示されている(Simon et al., 2003, Infection and Immunity 71,6372-80; Baldridge et al., 1990, Infection and Immunity 58, 654-58)。HLA−A2トランスジェニックマウスは、強化免疫スケジュールに従って、MVA NS34−NS5B又はMVAN33で免疫した。2週間間隔で1又は2回、低免疫用量(0.05から0.1 LD50)のTC−LNS3(高攻撃用量のTC−LNS3でのさらなる感染に対してマウスを防御できる(Simon et al., 2003, Infection and Immunity 71. 6372-80)で免疫したマウス群を、陽性対照免疫マウスとして含めた。MVAワクチン接種マウスは、3回目のMVA注射から2週間後に高攻撃用量のTC−LNS3(1 LD50)で静脈内攻撃した。陽性対照群では、攻撃は、報告された通り、低TC−LNS3用量の2回目の注射から1週間後に実施した(Simon et al., 2003, Infection and Immunity 71, 6372-80)。攻撃から2日後、各マウスの脾臓及び肝臓中の生菌数を決定した。実験は2系統のマウス、HLA−A2及びBalb/cマウスにおいて実施した。図16Aにおいて提示した結果は、MVA NS34−NS5B免疫マウスが、攻撃後の脾臓において、MVA N33免疫マウス(5.17Log CFU/mg)よりも有意に低い細菌負荷を呈した(中央値:3.83Log CFU/mg,p=0.02)ことを示す。これらのデータは、4回の独立した実験を代表する。示した実験において、細菌数は、MVA N33免疫動物のそれ(5.62Log CFU/mg)と比較して、MVA NS34−NS5B注射マウスの肝臓においても有意に減少していたが(4.53Log CFU/ml,p=0.02)、この臓器における減少はより低く、常に統計的に有意なわけではなく、即ち実験に左右された(データ未掲載)。MVA NS34−NS5B Balb/c免疫マウスでは、MVA N33免疫マウスと比較して、脾臓における細菌負荷の有意な減少は実証されなかった(中央値:2.28対2.89Log CFU/mg,p=0.006)。この代表的な実験において、マウスのこの系統において典型的に観察される通り、細菌数の減少は肝臓においても認められたが、しかし、差は統計的に有意ではなかった(p>0.05)。これらの元のデータによって、MVA NS34−NS5Bの週1回の投与が、2匹の異なるマウス種においてHCV NS3タンパク質を発現する組み換えL.モノサイトゲネスでのその後の攻撃に対する免疫防御を付与できる免疫反応を初回刺激できることが実証される。このモデルにおける防御機構にはエフェクターCD8+T細胞が含まれることが示されているため(Baldridge et al., 1990, Infection and Immunity 58, 654-58)、これらのデータによって、我々は、MVAワクチンがそのような細胞、特に移動して動物の肝臓においてその機能を発揮する能力を呈する細胞を誘導できると結論付ける。使用した攻撃細菌は遺伝子型1a NS3を含むが、MVAワクチンは遺伝子型1bのタンパウ質を発現しており、このように、交差防御反応はワクチンによって生成できることが実証される。
【0202】
4.考察
本研究において、我々は、遺伝子型1bのウイルス株からの3つのHCV抗原であるNS3、NS4、及びNS5Bを発現するワクチン株MVAに基づいて、HCVワクチン候補をデザインした(MVA NS34−NS5B)。様々なHLAトランスジェニック又は市販マウスモデルにおいて1週間離して実施した3回の注射に基づく“強化”免疫スケジュールに従って注射し、我々は、この候補ワクチンによって、IFNγを産生し、細胞を溶解できる特異的CD8+T細胞ならびに特異的CD4+T細胞が同時に誘導されることを示す。我々は、誘導されたCD8+T細胞反応が持続性の反応であり、初回ワクチン接種から6ヶ月まで検出可能であり、4回目の免疫で追加免疫できることを示す。最後に、MVA NS34−NS5B誘導反応の交差防御効果が、組み換えHCV NS3リステリア・モノサイトゲネスに基づく代替攻撃アッセイを使用して2つのマウス種において実証された。
【0203】
HCVワクチンのデザイン及び開発のための我々の戦略は、広範で有効な持続性のT細胞を用いた免疫が、自然又は治療のいずれかにより誘導される感染の好ましい転帰に関連するとの基本的な観察に基づいた(Bowen and Walker, 2005, Nature 436, 946-52)。3つの重要な要素が我々のアプローチを導いた:複数のCD4+及びCD8+T細胞制限エピトープを含むワクチン免疫原の選択、安全で効率的なベクタープラットフォームの選択、及び効率的なT細胞免疫を急速に開始できるワクチン接種スケジュールの選択。
【0204】
我々のワクチンによりコード化される3つの免疫原は、異なる基準で選択される。NS3は必須抗原として現れたが、それは、回復した感染において見出されるHCV特異的CD4+及びCD8+T細胞反応の全体の大きさへのその寄与が不可欠のものであると思われるためである(Diepolder et al., 1997, J. Virol.71, 6011-9; Smyk-Pearson et al., 2006, J. Infect. Dis. 194, 454-63)。少なくとも1つのワクチン研究によって、チンパンジーモデルにおけるHCVウイルス血症のワクチン媒介性の抑制におけるNS3特異的Th1反応が果たす重要な役割が報告されている(Roilier et al., 2004, J. Virol. 78, 187-96)。NS3を単独免疫原として含む、NS3を用いたワクチン試験の大半(Arribillaga, 2002, Vaccine 21, 202-10; Wedemeyer et al., 2001, Gastroenterology 121, 1158-66; Jiao et al., 2003, Hepatology 37, 452-60; Wuest et al., 2004, Vaccine 22, 2717-21)とは対照的に、我々は、本レポートにおいて、2つの他の非構造タンパク質であるNS4及びNS5Bに関連してNS3を発現する単一の安定な組み換えMVA(安定性が6継代まで観察された)のデザインに成功している。NS3はNS4と同時発現させたが、NS4Aの中央部分が適切なNS3のフォールディングに必須であることが記録されているからである(Penin et al., 2004, Hepatology 39, 5-19)。これは維持することが重要な特性であり、我々が、そのような同時発現がNS3の免疫原性にポジティブに影響することを先に示した通りである(Himoudi et al., 2002, J. Virol. 76, 12735-46)。我々の配置において、NS5Bは野生型抗原として、NS5Aの非存在下で発現させた。この選択は、NS5Aではなく、NS5Bが、高度に免疫原性のHLA−A2制限T細胞エピトープを含むことを示す我々の過去の観察に基づいた(Himoudi et al., 2002, J. Virol. 76, 12735-46)。
【0205】
MVAは、様々な理由で、臨床的に使用される他のベクターから選択した。宿主DNA中のウイルスゲノムの組み込みが不可能であるが、ワクシニアウイルスの生活環が完全に細胞の細胞質中で起こるためである(Moss, 2001, pp 2849-83 in Fields Virology 4th ed. Lippincott-Raven Press)。MVAはニワトリ胚繊維芽細胞中での570を超える継代により弱毒化され、そのゲノムの約15%の喪失を招く(Meyer et al., 1991 J. Gen. Virol. 72, 1031-38)。結果的に、MVAは、ビリオン形成工程でのブロックに起因して、大半の哺乳動物細胞において成熟ビリオンの産生ができなくなり(Sutter and Moss, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 10847-51)、それは、播種リスクの減少(Carroll and Moss, 1997, Virol. 244, 365-96)、及び、いくつかの抗免疫防御遺伝子の喪失に起因する免疫原の増大をもたらす(Sutter and Moss, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 10847-51)。論議を呼ぶデータが、MVAを用いたワクチンの有効性に及ぼす、既存の抗ワクシニアウイルス免疫の影響に関して報告されている(Wedemeyer et al., 2001, Gastroenterology 121, 1158-66; Ramirez et al., 2000, J. Virol. 74, 923-33; Belyakov et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96,4512-7)。しかし、既存の免疫が実際にMVAワクチンの有効性に有害な影響を有する場合、これは、アデノウイルスベクターの場合に観察されるものと比較して最小限に思われる。広く臨床的に使用されるAd5ベクターに対する既存の抗アデノウイルス免疫は、実際に、Ad5を用いたワクチンの有効性に相当な影響を与えることが周知である(Casimoro et al., 2003, J. Virol. 77, 6305-13)。
【0206】
我々は、本明細書で、異なる議論に基づき、ワクチン接種の元の“強化”スケジュールを評価している。最初に、最近の非常に励みとなる臨床データが、週1回(3回)投与した治療用のHPVを用いたMVAワクチンで得られている。この第II相治験では、ウイルスE6及びE7タンパク質を発現するMVAでのワクチン接種から12ヶ月後までグレード2/3の異形成を伴う女性におけるHPVウイルスRNAのクリアランスが報告されている(Transgene Abstract, EUROGIN 2006)。これらの新規データは、それが、治療用ワクチン開発という観点から、長期にわたりそれを開始するよりむしろ、迅速に有効な反応を開始することが重要となりうることを示唆する。HCV MVA NS34−NS5Bの週1回の注射後、我々は、マウスモデルにおいて、強力なCD8+T細胞反応の明瞭な開始を示し、HCV複製の制御において役割を果たすと考えられる2つのエフェクター機能(IFNγを産生し、標的細胞を溶解する能力)を提示している。加えて、これらの反応、少なくともIFNγを産生する能力が、最後の週1回の注射から6ヶ月後に追加免疫できることを観察したことは特に興味深く、持続的な免疫学的記憶状態が3回の接近したMVA免疫を含むスケジュールにより発生できることを確認している。この特性は、予防及び治療の両方のためのワクチンの開発のための重要な要素である。それは、抗MVA免疫が“強化”ワクチン接種後に開始し、時間と共に衰退した、又は、ワクチン免疫に影響を与えるに十分な程度にはまだ開始されていなかった、のいずれかを示唆する。特異的CD4+T細胞反応と一緒に、持続性CD8+反応を誘導する我々のワクチンの能力、及び、誘導される全反応が脾臓又は肝臓でのHCV抗原の発現を制御できるとの事実は、極めて励みになる。実際に、チンパンジーモデルにおいて実施された最近の研究では、NS3−NS4−NS5A−NS5B抗原を発現するAd5 T細胞を用いたワクチンによって、攻撃された動物5匹中4匹において非無菌性であるが、防御的な免疫を誘発できた(Folgori et al., 2006 Nature Medicine 12, 190-7)。本試験における防御は、T細胞反応の開始、特にNS3及びNS5抗原に特異的なCD8+T細胞の肝臓内での存在と相関した。興味深いことに、その研究における免疫計画は、3回のアデノウイルスワクチン接種が最初に実施され、その後に3回のDNAワクチン注射が続くという意味において非定型的であったが、この後者のワクチンは、明らかに、Ad5ワクチン接種後に酷く弱い特異的CD4+T細胞反応の開始を改善するために加えられた。我々の観察と同様に、このAd5ワクチンは、遺伝子型1交差防御反応を誘導することも示された。Folgoriら(Folgori et al., 2006 Nature Medicine 12, 190-7)及び我々の候補ワクチンのいずれもサブタイプ1b配列を含み、明らかにサブタイプ1a決定基と交差反応する反応を誘導でき、それは、我々の研究及びFolgoriの研究において使用された攻撃株がサブタイプ1a配列を含むためである。この特性も非常に励ましとなるが、明らかに、追加評価を実施して、誘導される交差反応性の程度をより正確に測定する必要がある。
【0207】
結論として、我々は、高く、広く認識された安全性プロファイルを呈する臨床的に承認されたMVAワクチンベクターに基づくHCV候補ワクチンをデザイン及び産生した。このワクチンは、強力で、持続性があり、交差防御性のT細胞媒介性免疫反応を開始でき、現在は第I相治験に入っている。前臨床試験によって、1週間間隔(1、2、及び3週目)でのMVA NS34−NS5B(C型肝炎ウイルスのNS3NS4及びNS5Bタンパク質をコード化する)の3回の皮下注射が、HCV特異的なIFNγ産生T細胞及び細胞傷害性Tリンパ球を誘導するための最適化プロトコールを表すことが実証される。
【0208】
最初の連続から3週間後のMVA NS34−NS5Bのリコール注射は、NS3特異的なCD8+T細胞反応を増強しなかった。
【0209】
しかし、最初の連続から数ヶ月後(4ヶ月目又は6ヶ月目のいずれか)に実施したリコール注射では、CD4+及びCD8+T細胞反応のいずれも増強できた。特に、IFNγ CD8+T細胞反応は、リコールが4ヶ月目対6ヶ月目に実施される場合に最適であったが、IFNγ CD4+T細胞反応は両方の場合において同等であった。
【0210】
CD8+T細胞反応はHCV感染の回復のために優先的に必要になると思われるため、最適なプロトコールは1、2、及び3週目でのMVA NS34−NS5Bの3回の皮下注射、それに続く3回目の注射から約4ヶ月後の4回目の皮下注射を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4ならびにC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物;
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列及びC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクター;及び
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段と、C型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段;
からなる群より選択される治療的有効量の活性成分の、HCVに関連する病理の処置のための薬剤の調製のための使用であって、
処置が、好ましくは3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる該活性成分の少なくとも3連続投与を含む、使用。
【請求項2】
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4ならびにC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物;
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列及びC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクター;及び
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段と、C型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段;
からなる群より選択される治療的有効量の活性成分の、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において被験体の生物反応を持続するためのHCV感染被験体への投与のための薬剤の調製のための使用であって、該投与パターンが、
(a)1日の期間にわたり連続又は少なくとも1日1回、
(b)次に、処置の断続的欠如、又は、3から10日の期間にわたる連日の処置の欠如により該投与を中止すること、及び
(c)被験体において持続的な生物反応を達成又は維持するために、(a)投与及び(b)投与の中止のパターンを少なくとも2回繰り返すことであり、それが治療的有効量の該活性物質への暴露を提供し、
該投与及び投与の中止のパターンの繰り返しが、好ましくは3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる、好ましくは少なくとも3連続投与に対応する、使用。
【請求項3】
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4ならびにC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物;
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列及びC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクター;及び
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段、C型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段;
からなる群より選択される治療的有効量の活性成分の、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において被験体のHCVに対して特異的な細胞免疫反応を刺激するためのHCV感染被験体への投与のための薬剤の調製における使用であって、該投与パターンが、
(a)1日の期間にわたり連続又は少なくとも1日1回、
(b)次に、処置の断続的欠如、又は、3から10日の期間にわたる連日の処置の欠如により該投与を中止すること、及び
(c)被験体において持続的な細胞免疫反応を達成又は維持するために、(a)投与及び(b)投与の中止のパターンを少なくとも2回繰り返すことであり、
それが治療的有効量の該活性物質への暴露を提供し、
該投与及び投与の中止のパターンの繰り返しが、好ましくは3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる、好ましくは少なくとも3連続投与に対応する、使用。
【請求項4】
C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理の処置において被験体のHCVに対して特異的な細胞免疫反応を刺激するための、請求項1から3のいずれか一項において定義する治療的有効量の活性成分の使用であって、
該処置が、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる該活性成分の少なくとも3連続投与を含む、使用。
【請求項5】
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4ならびにC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むペプチド組成物;
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列及びC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクター;及び
− C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4をコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段と、C型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列を含む発現ベクターならびにその発現に必要な手段;
からなる群より選択される治療的有効量の活性成分を含む、特に、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる少なくとも3連続投与の形での、C型肝炎ウイルスに関連する一つ又は複数の病理を処置する際の治療的有効量の該活性成分の連続投与のための薬学的組成物であって、
治療的有効量の該活性成分が、好ましくは3回投与のために、より好ましくは3つの異なるバイアルにおいて調整されており、該投与が、好ましくは、3から10日まで変動する期間により互いに隔てられる、薬学的組成物。
【請求項6】
請求項1から3及び5のいずれかにおいて定義する治療的有効量の活性成分の少なくとも3回投与するために、好ましくは少なくとも3つの異なるバイアル中に調整されており、該投与が好ましくは3から10日間まで変動する期間により互いに隔てられていることを特徴とする薬学的キット。
【請求項7】
NS3及び/又はNS4及び/又はNS5bが同じHCV遺伝子型に由来する、又は、ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコード化するヌクレオチド配列が同じHCV遺伝子型に由来する、請求項1から4のいずれか一項記載の使用又は請求項5記載の薬学的組成物又は請求項6記載の薬学的キット。
【請求項8】
遺伝子型が遺伝子型1bである、請求項7記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項9】
ポリタンパク質NS3/NS4が配列番号2に示すアミノ酸配列を含む、請求項8記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項10】
ポリペプチドNS5bが配列番号4に示すアミノ酸配列を含む、請求項8又は9記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項11】
発現ベクターがポックスウイルスである、請求項1から4及び7から10のいずれか一項記載の使用又は請求項5から10のいずれか一項記載の薬学的組成物又は請求項6から10のいずれか一項記載の薬学的キット。
【請求項12】
ポックスウイルスがMVAである、請求項11記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項13】
発現ベクターが、発現カセットph5r−NS3−NS4を挿入し、及び、発現カセットp7.5−NS5bを挿入するように改変されるMVAゲノムを含む、請求項12記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項14】
MVAゲノムが、同じ方向で、及び、欠失IIIにおいて、発現カセットph5r−NS3−NS4を挿入し、及び、発現カセットp7.5−NS5bを挿入するように改変される、請求項13記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項15】
活性成分が10から10pfuのポックスウイルス又はMVAベクターを含む、請求項11から14のいずれか一項記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項16】
少なくとも3連続投与が約1週間間隔で実施される、請求項1から4及び7から15のいずれか一項記載の使用又は請求項5から15のいずれか一項記載の薬学的組成物又は請求項6から15のいずれか一項記載の薬学的キット。
【請求項17】
使用又は投与パターンが、一連の連続投与の最後から少なくとも4週間後に実施する少なくとも1つのリコール投与をさらに含む、請求項1から4及び7から16のいずれか一項記載の使用又は請求項5から16のいずれか一項記載の薬学的組成物又は請求項6から16のいずれか一項記載の薬学的キット。
【請求項18】
連続投与及びリコール投与が同じ活性成分を使用する、請求項17記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項19】
活性成分が請求項7から15のいずれか一項において定義される通りである、請求項18記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項20】
リコール投与が、一連の連続投与の最後から約4ヶ月後に実施される、請求項17から19のいずれか一項記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項21】
リコール投与が、一連の連続投与の最後から約6ヶ月後に実施される、請求項17から19のいずれか一項記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項22】
使用又は投与パターンが、約1週間間隔での3つの投与、及び、一連の連続投与の最後から約4ヶ月後又は6ヶ月後のいずれかの1つのリコール投与を含む、請求項17から21のいずれか一項記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項23】
使用又は投与パターンが、約1週間間隔での3つの投与、及び、一連の連続投与の最後から約4ヶ月後又は6ヶ月後のいずれかの2つのリコール投与を含む、請求項17から21のいずれか一項記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項24】
連続投与及びリコール投与が、同じ投与経路により実施される、請求項17から23のいずれか一項記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項25】
連続投与及びリコール投与が、異なる投与経路により実施される、請求項17から23のいずれか一項記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項26】
投与経路が、筋肉内、皮下、経皮、経口、舌下、及び局所的経路から成る群より選択される、請求項24又は25のいずれかに記載の使用又は薬学的組成物又は薬学的キット。
【請求項27】
薬学的に適当な賦形剤も含むことを特徴とする、請求項5から26のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項28】
請求項7から15のいずれか一項において定義する有効量の活性成分を含む少なくとも4つの異なるバイアルを含み、3つのバイアルが3から10日間まで変動する期間により互いに隔てられる3連続投与用であり、第4のバイアルが3連続投与の最後から少なくとも4週間後に実施されるリコール投与用であることを特徴とする、請求項6から26のいずれか一項記載の薬学的キット。
【請求項29】
使用又は投与パターンが、ペグ化IFN−α2a及び/又はリバビリンでの宿主生物の処置との併用で実施される、請求項1から4及び7から26のいずれか一項記載の使用又は請求項5から27のいずれか一項記載の薬学的組成物又は請求項6から26及び28のいずれか一項記載の薬学的キット。
【請求項30】
刺激免疫反応が、CD8+T細胞反応、CD4+T細胞反応又はCD8+及びCD4+T細胞反応の両方である、請求項3から4、7から26及び29のいずれか一項記載の使用。
【請求項31】
刺激免疫反応が、NS3及び/又はNS4及び/又はNS5Bタンパク質中に位置するエピトープに向けられる、請求項30記載の使用。
【請求項32】
エピトープがHLA−B7制限であり、感染肝炎ウイルスのNS3ポリペプチド中に位置する、請求項31記載の使用。
【請求項33】
エピトープがHLA−A2制限であり、感染肝炎ウイルスのNS3及び/又はNS5bタンパク質中に位置する、請求項31記載の使用。
【請求項34】
感染C型肝炎ウイルスが遺伝子型1bである、請求項1から4、7から26及び29から33のいずれか一項記載の使用又は請求項5から27及び29のいずれか一項記載の薬学的組成物又は請求項6から26及び28のいずれか一項記載の薬学的キット。
【請求項35】
感染C型肝炎ウイルスが遺伝子型1aである、請求項1から4、7から26及び29から33のいずれか一項記載の使用又は請求項5から27及び29のいずれか一項記載の薬学的組成物又は請求項6から26及び28のいずれか一項記載の薬学的キット。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図1J】
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【図1K】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−521511(P2010−521511A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553979(P2009−553979)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002300
【国際公開番号】WO2008/113606
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(501204053)トランスジェン・ソシエテ・アノニム (3)
【氏名又は名称原語表記】TRANSGENE S.A.
【Fターム(参考)】