説明

HDLを高める併用療法用複合物

【課題】混合型高脂血症を伴う患者の血清脂質プロフィールを改善するためのスタチン類とフィブラートの併用療法の提供。
【解決手段】ジヒドロキシ酸塩として存在する治療有効量の少なくとも1種のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、および少なくとも1種の追加の治療用薬剤を含む医薬組成物。組合せ製剤は、すべての脂質パラメータに対して全体的に有益な効果を向上させるように設計される。組合せ処方は、ジヒドロキシ開環酸スタチンの水溶性塩およびフィブラートの水溶性塩から構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2003年11月7日出願の米国特許仮出願第60/518,091号に基づく優先権を主張する。本発明は、少なくとも1種の追加の治療用薬剤を組み合わせた、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A(HMG−CoA)レダクターゼの阻害剤であるジヒドロキシ開環酸スタチンの水溶性塩の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
限定はしないが、特定形態の癌、肝機能不全、アルツハイマー病などの痴呆、および様々な脂質異常を含む各種の医学的状態は、HMG−CoAレダクターゼの阻害剤を使用して有利に治療できる。また、各種のその他疾患および医学的状態は、HMG−CoAレダクターゼを利用する経路に関連していることが仮定されている。したがって、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を利用する治療方式は、価値があり、かつ根拠がある。
【0003】
多くの事例において、医学的状態および/または治療下の状態に対する二次的な身体的影響に適切に対処するためには、2つ又はそれ以上の治療用化合物を採用する併用療法が必要となる。したがって、脂質異常に対処するために、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を、各種のその他治療用薬剤と共に採用することが可能である。2つの脂質降下用医薬を安全かつ効果的に併用すると、すべての脂質異常に対する全体的に有利な効果が向上し、かつ多発性冠状動脈性心疾患の危険因子が低下する。
【0004】
今日、冠状動脈性心疾患(CHD)は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(集合的にはスタチンとして知られている)、およびフィブラート、胆汁酸封鎖剤、ナイアシンなどのその他化合物を含む各種薬物療法によって処置されている。これらの薬物の中で、スタチン類は、総コレステロールおよび低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)を低下させるのに効果的なので、最も処方される。スタチン類は、トリグリセリドに対しては小〜中程度の効果を、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)濃度いわゆる「善玉コレステロール」を上昇させることにおいては極僅かの効果を有することが見出されている。米国コレステロール教育プログラム(National Cholesterol Education Program)(NCEP)の治療指針は、LDL−Cを予防治療の第一目標として認めると同時に、今日、主要危険因子としてHDL−C濃度に焦点を当てている。さらに、NCEPの成人治療パネル(Adult Treatment Panel)(ATP)は、現在、HDL−Cの低限界を35mg/dLから40mg/dLへ高めている。
【0005】
スタチン類は、HDL−Cを増加させるのに有効ではない。しかし、フィブラートなど、各種のその他材料が、HDL−C「善玉コレステロール」の濃度を増加させることができる。スタチン類とフィブラートの併用療法は、混合型高脂血症を伴う患者の血清脂質プロフィールを改善するのに必須であることが多い。しかし、潜在的な筋障害の危険のため、このような療法の広範な使用が制約されている。今日の併用療法は、最大投与相互作用を最小化するために、個別投与を推奨している。したがって、投与方式には、毎日のスタチン治療と共に、フィブラートなどの材料を週に1度投与することを含めることができる。その他の投与方式には、最大投与相互作用を最小化するために、朝の服用を指示されたフィブラートおよび夜の服用を指示されたスタチンを含む場合がある。このような投与の複雑性は、遵守の問題およびあまり望ましいものではない患者の投与反応につながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,231,938号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、スタチンジヒドロキシ開環酸の水溶性塩、および、コレステロール、トリグリセリド、又は関連する血中化学現象に対して適切な効果を有するその他の適切な成分からなる製剤を開発することが望ましい。また、全部の脂質異常に対処するために、単一の丸剤又は剤形でのこのような材料からなる製剤を提供することが望ましい。また、水溶性のスタチンジヒドロキシ酸塩およびその他の脂質対処材料が、望ましくない副作用を排除するために、治療上有効な低投与量で投与され得る混合薬物の製剤を可能にする形で存在する剤形を提供することが望ましい。
HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を使用できるその他の医学的状態を治療するに際しても、同様の投与の複雑性が存在する。したがって、HMG−CoAレダクターゼで緩和される又は調節される各種の病気および状態を治療するために、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤およびその他の補完用薬剤を、単一の剤形で組み合わせた治療用組成物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤と少なくとも1種のその他治療用薬剤の組合せを含む治療上有効な製剤を開示する。組合せ製剤は、すべての脂質パラメータに対して全体的に有益な効果を向上させるように設計される。組合せ処方は、ジヒドロキシ開環酸スタチンの水溶性塩およびフィブラートの水溶性塩から構成できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
脂質異常、特に冠状動脈性心疾患で生じる異常に向けて近年使用される治療用薬剤には、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が含まれる。脂質異常に向けたその他の治療用薬剤としては、限定はしないが、フィブラート、胆汁酸封鎖剤、およびナイアシンが含まれる。これら材料のそれぞれは、典型的には、複数の材料が各種の脂質異常に対処するために独立に投与される単独療法として投与される。本明細書では、少なくとも2種の治療上有効な単独体を組み合わせた、かつ、総コレステロール、LDL−C、トリグリセリドなどの因子を低減する効果、および/又は、平易には「善玉コレステロール」として知られるHDL−Cの濃度を増加させる効果を有する医薬製剤を開示する。
【0010】
脂質異常に対処する治療用薬剤としての使用に加え、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、特定形態の癌治療における効果、およびアルツハイマー病の症候に対処する潜在的効果を示している。
本明細書では、少なくとも1種の治療上有効な形態のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤以外の化合物である少なくとも1種の追加の治療用薬剤を含む治療用組合せを開示する。追加の治療用薬剤は、少なくとも1種の脂質異常に対処する能力を有する可能性がある。
【0011】
本明細書で定義する場合、用語「脂質異常」とは、総コレステロール値、LDL−C、トリグリセリド、又はHDL−C濃度の少なくとも1種の、米国コレステロール教育プログラムによって正常又は許容されるとして定められた濃度からの逸脱を意味すると解される。現在の認められた正常値を表1に挙げる。治療用組合せで利用される材料は、統計学的に許容される数の個体における少なくとも1種の脂質異常に対処する材料であると解される。したがって、本明細書で開示される治療用組成物に利用される材料は、総コレステロール、HDL−C、LDL−C、およびトリグリセリドの少なくとも1つに対処する。望むならまたは必要なら、材料は、1つを超える上述の異常に対処できることが考えられる。
【0012】
【表1】

【0013】
「少なくとも1種の脂質異常に対処する」とは、適正な機関または個人によって定められた望ましい値の方向に明確に向かう解決によって証明されると考えられる。好ましい材料は、適正な機関または個人によって許容されるとして定められた範囲内、および/または表1に定められた範囲内であっても、脂質および脂質様材料に対して効果を示す場合があることを理解されたい。
【0014】
少なくとも1種の脂質異常に対処する能力のある治療用薬剤としては、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体作用薬、阻害剤または作用薬としてのコレステロールエステル転送タンパク質修飾因子、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸エーテル化合物などの少なくとも1種を挙げることができると考えられる。このような材料の例としては、限定はしないが、フィブラート、ナイアシンなどの水溶性材料、および胆汁酸封鎖剤などの不溶性または半不溶性材料を挙げることができる。
【0015】
治療用薬剤は、適切なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤との組合せで使用されることが考えられる。組成物中のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、その生物学的活性形として存在できる。
用語「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」とは、本明細書で使用する場合、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ経路の阻害剤を含むことを意味する。詳細には、スタチン類、すなわち、3−ヒドロキシラクトン環として、または対応するジヒドロキシ開環酸として存在できる部分を含む化合物の構造部類が含まれる。
【0016】
上述のジヒドロキシ開環部分を有するHMG−CoAレダクターゼ阻害剤のすべての水和物、溶媒和物、および多形結晶形態が、用語「スタチン」の範囲に含まれる。ジヒドロキシ開環酸スタチンの薬学上許容される塩およびエステルは、この用語の範囲に含まれる。
スタチン類は、ジヒドロキシ開環酸形でHMG−CoAレダクターゼを阻害する。
HMG−CoAレダクターゼに対する阻害活性を有する化合物は、当技術分野で周知のアッセイ法を用いて容易に同定できる。このようなアッセイの例は、米国特許第4,231,938号に記載され、または引用されている。そこで開示されているように、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、有利には、ジヒドロキシ開環酸スタチンでよい。
【0017】
用語「ジヒドロキシ開環酸スタチン(類)」とは、薬学上許容されるそれらの塩およびエステルを含め、ジヒドロキシ開環酸部分を含むスタチンと定義されることを意味する。語句「ジヒドロキシ開環酸スタチン(類)」および「ジヒドロキシ開環スタチン(類)」および「薬学上許容されるそれらの塩およびエステル」は、本明細書で互換的に使用され、特記しない限り、すべて、スタチンの開環酸、ならびに開環酸の塩およびエステル形を包含することを意味する。すべての水和物、溶媒和物、および多形結晶形態は、用語「ジヒドロキシ開環酸スタチン(類)」の範囲に包含される。最も広義には、任意のヒドロキシ開環酸スタチンまたは薬学上許容されるそれらの塩もしくはエステルが本発明で使用可能である。HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、一般式
【0018】
【化1】

を有するラクトン形から誘導されるものでよく、式中、Rは、それぞれの化合物のスタチン発色団である。本明細書で採用されるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤化合物は、一般式
【0019】
【化2】

を有するその生物学的活性形で存在し、式中、Rは、それぞれの化合物のスタチン発色団である。スタチン発色団の例には、限定はしないが、シンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトロバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチン、およびロスバスタチンの少なくとも1種が含まれる。好ましい材料は、一般に水溶性を示す。
【0020】
本明細書中で使用する場合、「水溶解性」は、材料の少なくとも一部が水によって溶解される、または可溶化される能力として定義される。したがって、本発明で使用できるジヒドロキシ開環酸スタチンの例としては、限定はしないが、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトロバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチン、およびロスバスタチンなどの材料の、ジヒドロキシ開環酸形ならびに薬学上許容される塩およびエステルが挙げられる。
【0021】
広義には、スタチンジヒドロ酸の薬学上許容される塩としては、限定はしないが、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、およびテトラメチルアンモニウムのカチオン塩、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、n−メチルグルカミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イル−メチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、モルホリン、2,4,4−トリメチル−2−ペンタミン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアミン類から形成されるそれらの塩、ならびにC14アルキル、およびフェニル、ジメチルアミノ、およびアセチルアミノで置換されたC14アルキルを含む薬学上許容されるエステルが含まれる。本明細書中で使用する場合、用語「C14アルキル」は、1〜4個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖の脂肪族鎖を含む。例としては、限定はしないが、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、iso−プロピル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。
【0022】
ジヒドロキシ開環酸スタチンは、そのラクトン対応物なしにジヒドロキシ開環酸スタチンの送達を可能にする方式での経口投与用に製剤されることが考えられる。希望するまたは必要なら、ジヒドロキシ開環酸スタチンを、小腸の吸収粘膜に直接的に送達されるように製剤することが可能であり、したがって、開環酸部分からなる最大効力の増強および全身性暴露を達成するための、開環酸スタチンの門脈循環内への吸収、開環活性スタチンによる肝細胞内への浸透が可能になる。ある理論に拘束されるものではないが、体内でスタチンをその開環形で維持すると、スタチン(その代謝はCYP3A4介在性である)とその他の有効薬剤(これは、CYP3A4酵素経路を阻害する)の間の薬物相互作用の可能性が低下し、それによって本明細書に開示する組成物の最大効力が増強されると考えられる。
【0023】
本明細書で開示するように、医薬組成物は、少なくとも1種の抗−高コレステロール血効果を示す少なくとも1種の追加の材料をさらに含む。好ましい材料は、脂質降下化合物またはその他の薬剤活性を有する薬剤、あるいは脂質降下効果およびその他の薬剤活性の双方を有する薬剤でよい。適切な材料は、好ましくは水溶性である。本明細書に開示される製剤に有利に採用できる追加の有効薬剤の例は、限定はしないが、水溶性であって、かつHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤としても知られる)、アシル−コエンザイムA、ACAT−1またはACAT−2の選択的阻害剤およびACAT−1およびACAT−2の二重阻害剤を含むコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)阻害剤、プロブコール、ナイアシン、米国特許第5,727,115号および5,846,966号に記載の、エゼチミブおよび4(S)−4−ヒドロキシフェノール(−2−アゼチジノン)としても知られているSCH−58235などのコレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤、LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘導物質、血小板凝集阻害剤(例えば、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体拮抗薬およびアスピリン)を含むことができる。ヒトのペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)作用薬は、通常グリタゾンと呼ばれる化合物、例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、およびロシグリタゾン、ならびにチアゾリジンジオンとして知られる構造部類に含まれるそれらの化合物、およびチアゾリジンジオンの部類に属さないそれらのPPARγ作用薬、クロフィブラート、フェノフィブラート、ジェムフィブロジル、ベザフィブラート、およびシプロフィブラートなどのPPARα作用薬、PPARα/γ二重作用薬、ビタミンB6(ピリドキシンとしても知られる)、ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られる)、ナトリウム塩およびメチルグルカミン塩など、その水溶性薬剤塩またはエステル状の葉酸、ビタミンCおよびEならびにβ−カロテンなどの抗酸化剤ビタミン、β−遮断剤、ロサルタンなどのアンギオテンシンII拮抗薬、エナラプリルおよびカプトプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤、ニフェジピンおよびジルチアゼムなどのカルシウムチャネル拮抗薬、内皮拮抗薬などを含めて採用することもできる。水溶性の治療用薬剤のその他の例としては、限定はしないが、AIDS感染患者の治療でそのような治療に関連した脂質異常を治療するのに採用される療法など、抗レトロウイルス療法と関連した化合物が含まれる。これらの化合物としては、インジナビル、フェルフィナビル、リチナビルおよびサキナビルなどのHIVプロテアーゼ阻害剤が挙げられる。
【0024】
より詳細には、適切なスタチンのジヒドロキシ開環酸と結び付けて使用される治療用薬剤には、フィブラート、胆汁酸封鎖剤、およびニコチン酸またはナイアシンの少なくとも1種を含めることが考えられる。本明細書中で使用する場合、「フィブラート」とは、高コレステロール血症に関連する可能性のある各種形態の高脂肪血症(血清トリグリセリドの上昇)を治療するのに使用される脂質降下薬の部類を指す。好ましいフィブラートは、脂質分解に対するリポタンパク質リパーゼを介する効果を通して、および肝臓中でのトリグリセリド産生を低下させることによって、極めて高いトリグリセリド濃度を伴った人を治療する効果を有する水溶性化合物である。好ましいフィブラートは、アポリポタンパク質(アポ)AIおよび(アポ)AII遺伝子の発現を調節することによってHDL−Cを増加させることもできる。好ましいフィブラートは、血漿HDL−C濃度の修正に加え、大型のコレステリルエステルに富んだHDLの出現を誘導できる。フィブラートは、フィブリン酸誘導体、およびクロフィブラート、p−クロロフェノキシイソ酪酸のエチルエステルなど、このようなフィブリン酸誘導体の薬学上許容される塩またはエステルを含む、PPAR−α作用薬(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α作用薬)として定義できる。フィブリン酸誘導体は、VLDLなどのトリグリセリドに富んだリポタンパク質の濃度を低下させ、HDL濃度を上昇させ、かつLDL濃度に対して変動可能な影響を与える。VLDL濃度に対する効果は、リポタンパク質リパーゼ活性の特に筋肉内での増加に主として由来すると思われる。このことは、VLDLトリグリセリド内容物の加水分解の増加およびVLDL異化作用の増大に繋がる。フィブリン酸薬剤は、VLDLの組成を、例えば、アポC−III、リポタンパク質リパーゼ活性の阻害剤の肝内産生を低下させることによって変えることもできる。これらの化合物は、おそらく、脂肪酸合成を阻害することによって、さらにペルオキシソーム増殖の結果としての脂肪酸酸化の促進によって、肝内VLDLトリグリセリド合成を減少させることも報告されている。
フィブラート誘導体には、限定はしないが、クロフィブラート、ジェムフィブロジル、フェノフィブラート、シプロフィブラート、およびベザフィブラートの塩が含まれる。それぞれの構造を以下に示す。
【0025】
【化3】

【0026】
フェノフィブラートは、トリコール(Tricor)カプセルとして商業的に入手できる。各カプセルは、67mgの微粉化フェノフィブラートを含有する。フェノフィブラートは脂質を調節する。フェノフィブラートの活性代謝物であるフェノフィブリン酸は、明らかに、トリグリセリドの合成を阻害すること、その結果循環中に放出されるVLDLを低下させることによって、さらにトリグリセリドに富んだリポタンパク質(すなわち、VLDL)の代謝を賦活することによって血漿トリグリセリドを低下させる。フェノフィブラートの推奨される1日当たり用量は67mgである。
【0027】
クロフィブラートは、アトロミド−S(Atromid−S)カプセルとして商業的に入手できる。各カプセルは、500mgのクロフィブラートを含有する。クロフィブラートは、トリグリセリドに富んだ超低密度リポタンパク質画分を減らすことによって上昇した血清脂質を低下させる。血清コレステロールを低減できる可能性もある。これは、リポタンパク質(特にVLDL)の肝放出を阻害し、かつリポタンパク質リパーゼの作用を増強できる。クロフィブラートの推奨される1日当たり用量は、2gであり分割した用量で投与される。
【0028】
ジェムフィブロジルは、ロピッド(Lopid)錠剤として商業的に入手できる。各錠剤は、600mgのジェムフィブロジルを含有する。ジェムフィブロジルは、血清トリグリセリドおよび超低密度リポタンパク質コレステロールを低下させ、かつ高密度リポタンパク質コレステロールを増加させる脂質調節剤である。ジェムフィブロジルの推奨される1日当たり用量は1200mgであり、2回の分割用量で投与される。
フィブラートには、PPAR−γおよび/またはPPAR−δサブタイプに対する作用薬としても作用できるPPAR−α作用薬が含まれる。PPAR−α、PPAR−δ作用薬は、米国特許第6,008,239号に記載のアッセイ法に従って同定可能であり、PPAR作用薬の薬学上許容される塩は、同様に本発明の範囲に含まれる。
【0029】
希望ならまたは必要なら、その他のフィブラートを採用できる。これらのフィブラートとしては、限定はしないが、ベザフィブラートおよびシプロフィブラートなどの材料が挙げられる。本明細書で開示する組成物で採用されるフィブラートは、フィブラート(2−[4−]4−クロロベンゾイル)フェノキシ)−2−メチル−プロピオン酸−1−メチルエチルエステルの水溶性誘導体でよい。フェノフィブラートは、本質的に水に不溶のプロドラッグである。フェノフィブラートは、典型的には、組織および血漿エステラーゼによって、吸収され次いで活性代謝物であるフェノフィブリン酸に加水分解される。フェノフィブラートの薬学的活性の原因である活性種がこのフェノフィブリン酸である。本明細書に開示する組成物においては、フェノフィブラートの酸誘導体を、1種のスタチンまたは複数のスタチンのジヒドロキシ酸塩と結び付けて採用可能であることが考えられる。広い実施形態において、フィブリン酸の適切な薬学上許容される塩には、限定はしないが、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、およびテトラメチルアンモニウムのカチオン塩、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、3−p−クロロベンジル−2−ピロリドン−1’−イル−メチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、モルホリン、2,4,4−トリメチル−2−ペンタミン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどのアミンから形成されるそれらの塩、ならびに限定はしないがC14アルキル、およびフェニル−ジメチルアミノ−N−アセチルアミノで置換されたC14アルキルを含む薬学上許容されるエステルが含まれるものとする。
【0030】
臨床診療で見られるフェノフィブリン酸の効果は、in−vivoでのトランスジェニックマウスおよびin−vitroでのヒト肝細胞培養において、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α(PPARα)の活性化によって説明されてきた。この機構により、フェノフィブラートは、リポタンパク質リパーゼの活性化およびアポタンパク質C−III(リポタンパク質リパーゼ活性の阻害剤)産生の低減によって、脂肪分解および血漿からのトリグリセリドに富む粒子の排除を強める。結果としてのトリグリセリドの降下は、LDL−Cの大きさおよび組成における小型稠密粒子(これは、その酸化され易さのためアテローム発生性と考えられる)から大型の軽い粒子への変化を生み出す。これらの大型粒子は、コレステロール受容体に対してより大きな親和性を示し、急速に代謝される。また、PPARαの活性化が、さらに、アポタンパク質A−I、A−II、およびHDL−C合成の増加を誘導することも考えられる。
【0031】
治療用薬剤は、胆汁酸封鎖剤でもよい。胆汁の主要成分である胆汁酸は、肝臓内で産生され、コレステロールから作り出される。いったん小腸に分泌されると、胆汁酸の大部分は再吸収され、中和される。そこで、身体は、この胆汁酸減少を、より多く製造すること、したがって供給されるコレステロールのより多くを使用して補充しなければならない。胆汁酸封鎖剤は、腸内で胆汁酸と結合し、結果として胆汁酸の再吸収を妨害し、それによって、再吸収効率を約90%の量からそれより低いレベルに低下させる。利用できる胆汁酸封鎖剤の例としては、限定はしないが、米国特許第3,383,281号に記載のコレスチラミン、コレスチポール、およびコレセベラムが挙げられる。
【0032】
哺乳動物群に対して経口的に投与すると、これらのおよびその他の適切な材料は、腸内で胆汁酸抱合体と錯体を形成し、腸よりの胆汁酸の再吸収を遮断するのに有効である。その化合物および封鎖された胆汁酸は、続いて、身体から糞便体で排泄され、それによって胆汁酸が身体から排除される速度を増加させる。他の要因が等しいなら、胆汁酸が身体から排除される速度が増加すると、胆汁酸の一定供給を維持するために、コレステロールから胆汁酸への変換を加速ことによって血漿コレステロール濃度を低下させる傾向がある。この胆汁酸合成の増加に向けたコレステロール部分は、血漿からコレステロールを取り出すことによって供給される。
【0033】
経口的に投与される単一化合物である胆汁酸封鎖剤は、典型的には、腸内で負に帯電した胆汁酸に結合する正に帯電した樹脂である。この樹脂は、腸から吸収されることができないので、樹脂で胆汁酸を収容して排泄される。このような樹脂を普通に使用すると、20%以下の血清コレステロール濃度の低下が達成される。胆汁酸封鎖剤は決して体内に吸収されないので、全身性の副作用はほとんどない。しかし、胆汁酸を結合する樹脂は、典型的には、水またはジュース類と完全に混合し、および1日に2〜3回摂取する必要のある顆粒として入手される。これらの樹脂は、摂取されるその他の薬物に結合することもできる。したがって、最大の治療利益を獲得し、他の薬物との有害な相互作用を避けるために、患者および医師は、注意深く計画された投与方式を開発しなければならない。
【0034】
まったく意外なことに、スタチンのジヒドロキシ開環酸塩などのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と協調して使用される胆汁酸封鎖剤は、特に、LDL−Cの著しく上昇した血漿濃度を有する患者における血清コレステロール濃度を低下させる用量効力の増加を示すことができることが見出された。まったく意外なことに、胆汁酸封鎖剤およびスタチンのジヒドロキシ開環酸塩を含む本明細書中で製剤されるような製剤は、HDL−Cを量で10〜20%上昇させると同時に、LDL−Cを濃度で50%近く低下させる相乗作用を示すことが見いだされた。製剤に、さらにニコチン酸を配合すると、特にHDLコレステロール濃度の上昇に関して、性能をさらに強化できる。
【0035】
ナイアシンまたは3−ピリジンカルボン酸としても知られるニコチン酸は、抗コレステロール血症の応用分野においてスタチンのジヒドロキシ開環酸塩と結び付けて使用できる。したがって、ニコチン酸またはナイアシンなどのB複合ビタミンは、高用量で利用すると、コレステロール合成の速度を低下させることができることが知られている。ナイアシンは、脂質代謝に対して様々な影響を与えることができる。それは、HDL−CからVLDLへのコレステロールの脂質転送を低下させることによって、およびHDL−Cクリアランスを遅延させることによって、HDL−Cレベルを30〜35%程度上昇させる。ニコチン酸またはナイアシンのもう1つの好ましい特性は、血漿フィブリノーゲン濃度の低減である。ニコチン酸は、高コレステロール血症を伴う患者において、および正常および低濃度のHDLCに関連した複合脂血症(低αリポタンパク質血症)において有効である。典型的には、単独で使用した場合でのニコチン酸のHDL−Cを上昇させる特性は、1〜1.5グラム/日の投与量で現われ、VLDLおよびLDLを低下させる効果は、典型的にはより高い投与量(例えば3グラム/日)で認められる。
【0036】
ナイアシンは完璧なコレステロール降下剤のように思われるが、頻度が少ないとは言え許容し難い副作用がその有用性を大きく制約する。強度の紅潮感、吐き気、および鼓張が、患者の最も一般的な愁訴である。これらの作用は、極めて低い用量で開始することおよび徐々により高い有効な用量に漸増することによって軽減できるが、この過程は、長く、かつ必ずしも完全に満足のいくあるいは有効なものではない。スタチン薬物を使用する場合には、肝機能を周期的に調べて監視するべきである。患者集団の一定割合に現われる痛風および痛風様症状は、多分、ナイアシンを避けるべきであることを示しているのであろう。ニコチン酸は、即時放出およびNiacor(登録商標)およびNiaspan(登録商標)などの徐放製剤を含む幾つかの製剤で利用できる。
【0037】
各種の化合物および製剤は、様々な経路により血清コレステロールに作用するように機能する。フィブラートおよびナイアシンは、HDL−Cを上昇させるための療法として提案されているが、フィブラートは、HDL−Cレベルを平均して5〜30%(主にHDL−3サブフラクションで)程度上昇させる。フィブラート、特にジェムフィブロジルおよびフェノフィブラートは、次にはHDL調節遺伝子アポリポタンパク質、A−IおよびA−II、リポタンパク質リパーゼ、およびABAIの発現を増強するPPARαを活性化することによってHDLレベルを上昇させると思われる。ナイアシンは、HDLアポリポタンパク質A−Iの肝内移動およびHDL−CおよびHDL2サブフラクションのより高い濃度を生じさせる肝内リパーゼ活性を低下させると思われる。これまで、このような材料をスタチン類との併用療法で使用した場合には、スタチンおよび追加される治療用薬剤は疎水性材料であった。1987年以前には、脂質を低下させる方式(全手段)は、本質的に、低飽和脂肪およびコレステロール食、コレスチラミンおよびコレスチポールなどの胆汁封鎖剤、ニコチン酸(ナイアシン)、フィブラート、およびプロブコールに限られていた。残念ながら、これらの治療は、すべて、最大効力または耐量性或いはその双方に限界がある。今日、最も述べられることの多い部類のコレステロール降下剤であるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤またはスタチンは、コレステロール合成において重要な役割を演じる酵素を阻害することによって作用する。スタチン類は、LDL−C濃度を低下させることにおいて良好に機能し、それに対応する冠状動脈性心疾患および全死亡率の減少を示した。心筋梗塞、血管再生処置、脳卒中、および末梢血管疾患の減少も明らかになった。また、スタチン類は、それらの応答速度が精度良く予測可能であり、かつそれらの副作用率が低いので、使用することが最も容易なコレステロール降下薬として広く受け入れられている。時に、痛みまたは吐き気が、これらの薬物を止める最も一般的な理由である。しかし、激しい筋肉または肝臓の炎症が起こる場合があり、筋肉痛、筋障害および/または生命を脅かす横紋筋変性まで進行する可能性がある。したがって、これらの薬物は厳重に監視しなければならない。
【0038】
1987年に登場したロバスタチンは、スタチンをベースにした最初のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤である。ロバスタチンに余分のメチル基を付け加えた半合成化合物であるシンバスタチンに加えて、類似の薬剤、プラバスタチンが、1991年に続いた。さらに、今日では、フルバスタチン、アトルバスタチン、およびロスバスタチンを含む各種の全合成HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が存在する。基本材料であるロバスタチンは、水には不溶(すなわち、親油性)で、エタノール、メタノール、およびアセトニトリルに僅かに溶ける、白色の、親油性、非吸湿性の結晶性粉末である。非活性ラクトンであるロバスタチンは、代謝的に対応する(β−)ヒドロキシ酸に変換されるプロドラッグである。このヒドロキシ酸が、HMG−CoAレダクターゼを阻害する活性代謝物である。ロバスタチンは、シンバスタチン、アトルバスタチン、およびセリバスタチンと同様、すべてCYP3A4の基質であり、肝臓を通る最初の通過で完全に代謝される。一方、フルバスタチンおよびプラバスタチンのような親水性スタチン類は、CYP2C9によって代謝され、CYPによって有意には代謝されないプラバスタチンは、筋肉痛、筋障害または生命を脅かす横紋筋変性の発生が比較的無い。
【0039】
最適LDL−C濃度は、高リスク患者に対して米国および欧州のガイドラインによってそれぞれ100mg/dLおよび115mg/dLに設定されている。LDL−Cに対するこれらの治療目標値を達成するために、スタチン類は、高脂血症の治療におけるかなめとなっている。これらの提言は、冠状動脈性心疾患(CHD)の初期または再発性発現の危険性が増大した大部分の高脂血症患者における最も優れた薬物療法として推奨される。
【0040】
本明細書中で議論する場合、アテローム性動脈硬化症が、ほとんどの冠状動脈疾患の根底にあり、したがって、現代社会の病的状態および死亡率の主要な一因となっていることを考慮している。高濃度のLDL−C(すなわち180mg/dL超)および低濃度のHDL−C(35mg/dL未満)はアテローム性動脈硬化症の重要な一因であることがわかっている。コレステロールおよびTGは、血流中のリポタンパク質複合体の一部である。これらの複合体は、超遠心によってHDL−C、LDL−C、中間密度リポタンパク質(IDL)コレステロール、および超低密度リポタンパク質(VLDL)コレステロール分画に分離できる。コレステロールおよびTGは、肝臓内で合成され、VLDL中に組み込まれ、血漿中に放出される。高濃度の総−C、LDL−C、およびアポリポタンパク質B(アポ−B)、LDL−C用膜複合体は、アテローム性動脈硬化症を促進し、かつ、HDL−Cおよびその輸送複合体、アポリポたんぱく質Aの濃度減少を促進すると考えられる。心血管性の罹患率および死亡率は、直接的に、総−CおよびLDL−C濃度に正比例して、ならびにHDL−C濃度に逆比例して変わることができる。
【0041】
アテローム性動脈硬化症は、動脈壁内部へのコレステロールの蓄積で特徴付けられる徐々に進行する疾患である。アテローム性動脈硬化の過程は、LDL−Cが血管壁内に捕捉されるようになった場合に始まる。LDL−Cが酸化されると、単球細胞の、血管壁を被覆している内皮細胞への結合が起こる。これらの単球細胞は、活性化され、内皮空間に移動し、そこでマクロファージへ変換され、LDL−Cのさらなる酸化に至る。酸化されたLDL−Cは、スカベンジャー受容体を介して泡沫細胞の形成に至るマクロファージに取り込まれる。繊維状のキャップが、動脈平滑筋の増殖および移動を通して生み出され、かくしてアテローム性動脈硬化のプラークが作り出される。アテローム性動脈硬化の集団中に堆積する脂質は、リポタンパク質を含む血漿アポB類に主として由来する。これらには、キロミクロン、LDL−C、IDL、およびVLDLが含まれる。この蓄積は、最終的には血塊ができ、動脈を遮断し、心臓発作または脳卒中を引き起こすまでに、血流を妨げる大きなプラークを形成する。
【0042】
LDL−CおよびHDL−Cは、主要なコレステロール輸送タンパク質である。LDL−Cは、コレステロールを合成しあるいは食餌源から獲得する場所である肝臓から、体内の肝外組織へのコレステロール送達を引き受ける。HDL−Cは、肝外組織から、コレステロールが代謝され除去される場所である肝臓への「コレステロール逆輸送」を引き受ける。
【0043】
したがって、独立的に使用されるスタチン類が、冠状動脈性心疾患の初期または再発性発現の危険性が増大した大部分の高脂血症患者における最も優れた薬物療法として推奨されてきたが、臨床診療においてスタチン類を使用すると、理論的に得られる濃度よりもかなり少ないLDL−C濃度低下が観察された。この残念な成績の正確な理由は不明である。しかし、多くの医師が、許容度および/または安全性に関する周知のまたは考え得る問題のために、高用量でのスタチン治療に漸増することに積極的でないのは理論的に当然である。積極的でないのは、最高のスタチン投与量でもほとんどの重症異常脂血症で十分な最大効力に欠けるという認識に帰すこともできる。安定した冠状動脈性心疾患を有する患者の危険因子管理についての若干の調査において、脂質を低下させるスタチン療法を受けているそれら患者の僅か半数のみが推奨された脂質治療目標を達成したと考えられる。
【0044】
前に示したように、スタチン類などの単一薬物は今までのところ必ずしもすべての脂質異常症に対応していない。各種の併用療法、特に、スタチン、および補完的かつ補足的であるフィブラートを採用する併用療法が、すべての脂質異常症に対処するために提案されている。しかし、前に示したように、スタチン類、およびフィブラートなどの化合物は、最大の患者の安全性を確保するために、特殊で補完的な投与方式で独立的に投与しなければならない。スタチン類はHMG−CoAレダクターゼを阻害するが、フィブラートは、肝臓中のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体α1(PPARα1)を活性化し、それによって幾つかのリポタンパク質の血漿輸送速度を向上させることによって異なる機構で作用する。フィブラートのその他の抗−アテローム性血栓効果には、凝固の抑制およびフィブリン溶解の強化、ならびにアテローム発生に関連する炎症性メディエーターの阻害が含まれる。
【0045】
スタチン/フィブラート療法方式は、単独療法が、脂質目標を達しないか、または実行不能である状況において提案されているが、これらの併用療法がLDL−Cおよびトリグリセリドを十分に低下させ、かつHDL−C濃度を増加させるにもかかわらず、スタチン−フィブラート併用療法は、投与することおよび継続することが難しい場合がある。今日のスタチン−フィブラート併用療法は、例えば、週に1回のフィブラート投与および毎日のスタチン治療、または朝の服用を指示されたフィブラートおよび夜のスタチンなど、最大投与相互作用を最小化するために2つの薬物の個別投与を強く推奨している。これとは対照的に、まったく意外なことに、水溶性フィブラートなどのフィブラートと組み合わせてジヒドロキシ開環酸スタチン塩を含む本明細書に開示される製剤は、単一剤形で投与して、LDL−Cおよびトリグリセリド濃度の有意な低下、および最も重要ことであるがHDL−C濃度の増加を達成できることが見出された。
【0046】
本発明の薬剤の組合せは、両方の材料を含む単一の薬剤投与製剤で投与できる追加の水溶性治療用材料と組み合わせた水溶性HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を含む。この本発明の薬剤の組合せは、これら方式のすべてを含むと解される。これらの各種方式での投与は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤およびその他の治療用薬剤の有益な薬剤効果が患者によって実質上同時に実現されるなら、本発明に適している。このような有益な効果は、好ましくは、各有効薬物の目標血中標準濃度が実質上同時に維持される場合に達成される。材料は1日に1回の投与計画で同時に共−投与されることが考えられるが、1日に1回、2回またはそれ以上などの異なる投与計画も本発明に包含される。単一投与製剤は、患者に対して、特に、既に冠状動脈性心疾患に罹患し、かつ複数の薬物を必要とする可能性のある患者に対する重要な配慮である便益を提供することが考えられる。
【0047】
用語「患者」には、哺乳動物、特に、本明細書に記載の使用のいずれかに関して他の治療用薬剤と組み合わせてHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を摂取するヒトが含まれる。患者への薬剤組合せの投与には、自己投与、および他の人による患者への投与が含まれる。
用語「治療有効量」は、研究者、医学博士またはその他の臨床医が求めている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する薬物または薬剤の量を意味することを意図している。用語「予防有効量」は、研究者、医学博士またはその他の臨床医が、組織、系、動物またはヒトにおいて予防することを求めている生物学的または医学的事象の発生を予防または発生の危険を低減する薬剤の量を意味することを意図している。他の水溶性治療用薬剤と組み合わせて水溶性HMG−CoAレダクターゼ阻害剤を利用する投与方式は、型、種、年齢、体重、性、および患者の医学的状態、治療すべき状態の重症度、投与経路、患者の腎および肝機能、および特定の化合物またはそれらの塩もしくはエステル含む各種の因子を伴って採用される。併用療法では2つの異なる有効薬剤が一緒に使用されるので、各薬剤の用量効力およびそれらを一緒に組み合わせて達成される相互作用効果を考慮しなければならない。
【0048】
本明細書中で使用する場合、適切な剤形は、使用者に対して使用者が取り込むのに適した方式で有効成分を送達できる任意の様式でよい。したがって、剤形は、経口用剤形、埋込み用剤形、時間放出型剤形などでよいと考えられる。さらに明確には、剤形は経口用剤形でよいことと考えられる。剤形当たりの投与量は、限定はしないが、標準的なアテローム性動脈硬化症因子、化合物の用量効力などを含む因子に応じて異なる。また、有効薬剤は、希望または必要なら、例えば1日に1〜4回の分割投与で投与できることが考えられる。しかし、多くの適用において、有効化合物を1日1回で投与するのが好ましい場合がある。
【0049】
投与を決定するのに使用できる標準的なアテローム性動脈硬化症因子の例には、限定はしないが、高血圧、喫煙、糖尿病、低濃度の高密度リポタンパク質(HDL)、コレステロール、およびアテローム性動脈硬化性心血管疾患の家族歴などの既知因子が含まれる。アテローム性動脈硬化症を発症する危険にある人を判断するための公表ガイドラインは、米国コレステロール教育プログラム、成人における高血中コレステロールの発見、評価、および治療に関する専門家パネルの第二次報告(成人治療パネルII)、米国衛生研究所、米国心肺血液研究所、NIH公表番号93−3095(1993年9月短縮版)、成人における高血中コレステロールの発見、評価、および治療に関する専門家パネル、米国コレステロール教育プログラム(NCEP)、成人における高血中コレステロールの発見、評価、および治療に関する専門家パネルの第二次報告(成人治療パネルII)の要約、JAMA,1993年、269号、3015〜23頁など、各種の情報源に見出される。上に記載された危険因子の1つまたは複数を有すると認められた人は、アテローム性動脈硬化症を発症する危険にあると考えられる人の群に含まれることを意味する。上に記載された危険因子の1つまたは複数を有すると認められた人、および既にアテローム性動脈硬化症に罹患している人は、アテローム性動脈硬化症事象に罹患する危険にあると考えられる人の群に含まれることを意味する。
【0050】
本発明の治療で採用される有効薬物化合物は、限定はしないが、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、エレキシル剤、チンキ剤、懸濁剤、シロップ剤、および乳剤を含む各種経口形態で投与できる。有効薬物化合物は、任意の薬学上許容される経路、および任意の薬学上許容される剤形で投与可能であると考えられる。これらには、限定はしないが、経口の簡便な速放性、時間制御放出性、および徐放性の薬剤剤形が含まれる。有効薬物成分は、適切な医薬希釈剤、予定した投与の形態に関して適切に選択された賦形剤または担体(本明細書では集合的に「担体」材料と呼ぶ)との混合物で投与できる。指摘したように、経口投与を効果的に採用可能であると考えられる。したがって、錠剤、カプセル剤、シロップ剤など、および通常の薬剤実務と両立するその他の様式を採用できる。
【0051】
経口投与が錠剤またはカプセル剤の形態である場合には、有効薬物成分を、乳糖、デンプン、蔗糖、ブドウ糖、修飾糖類、修飾デンプン類、メチルセルロースおよびその誘導体、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、マニトール、ソルビトール、ならびにその他の還元および非還元糖、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウムなど、非毒性の薬学上許容される不活性担体と組み合わせることができる。液体形態での経口投与の場合には、有効薬物成分を、エタノール、グリセロール、水など、非毒性の薬学上許容される不活性担体と組み合わせることができる。希望または必要なら、混合物に、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色料および着香料を組み込むことができる。抗酸化剤などの安定化剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、メタ重亜硫酸カルシウム、ヒドロキノン、および7−ヒドロキシクマリンをさらに添加して剤形を安定化できる。その他の適切な化合物としては、ゼラチン、甘味料、アラビアゴム、トラガカントゴムなどの天然または合成ゴム、またはアルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを挙げることができる。
【0052】
希望または必要なら、有効薬物は、小型単一膜小胞、大型単一膜小胞、および多重膜小胞などのリポソーム送達システムの形態でも投与できる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなど、各種のリン脂質で形成できる。
また、化合物分子を結合した特有の担体としてのモノクロナール抗体を使用することによって有効成分を送達可能であると考えられる。有効薬物を、標的化可能な薬物担体などの溶性ポリマーと結合させることもできる。このようなポリマーの例としては、限定はしないが、ポリビニル−ピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシ−プロピル−メチルアクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチル−アスパルタミド−フェノールまたはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリシンを挙げることができる。さらに、有効薬物を、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーの部類、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーと結合させることができる。
【0053】
いったん投与されると、有効薬物は、様々な方式で肝内代謝に作用する。肝内代謝は、シトクロムP450として知られるオキシゲナーゼのスーパーファミリーによって推進される。これらの酵素は、薬物、化学物質または内在性分子に官能基を付加し、極性、体からの排泄または類似酵素との相互作用の少なくとも1つを増加させる。シトクロムP450ファミリーの最も顕著な特徴は、その大きな多様性およびほとんど任意の化学種と反応する能力である。CYP酵素と呼ばれるスーパーファミリーは、アミノ酸配列の相同性の程度に従って再分される。ファミリーはさらにサブファミリーに再分され、サブファミリーは数字の後の文字であらわされ、それらの例にはCYP2CおよびCYP2Dサブファミリーが含まれる。各ファミリーの構成員は、典型的には、互いに55%を超える相同性を有する。最終的に、個々の構成員は、特定の酵素経路を明らかにするためにさらなる数字を付与される(例えばCYP3A4)。今まで70を超えるCYPファミリーが確認されており、その14はすべての哺乳動物中に存在することが知られている。哺乳動物の26サブファミリーの中で、CYP2C、CYP2D、およびCYP2Aサブファミリーが、臨床上最も関連のある薬物の代謝に関与している。
【0054】
CYP2D6と同様、CYP3Aサブファミリーは、多数の薬物およびその他の化学薬品の代謝に関与しており、多くの薬物−薬物および薬物−食物の相互作用に関与している。これはヒト肝臓中のすべてのシトクロムP450中で最も豊富なものであり、25〜28%の酵素量が普通であり、特定の例では70%程度に及ぶ量が見出される。さらに、CYP3Aは、胃腸管、腎臓および肺のいたるところで広範に発現する。アヘン系鎮痛剤、ステロイド、抗不整脈剤、三環系抗欝剤、カルシウムチャネル遮断剤、マクロライド系抗生物質および特定のスタチンを含む、150種を超える薬物が、主要なCYP3AアイソザイムであるCYP3A4の既知基質である。
【0055】
前に指摘したように、スタチン類は、2つの稀ではあるが重大な副作用、すなわち、肝内酵素の症候性上昇および骨格筋異常と関連している。これらの骨格異常は、良性筋肉痛から筋肉の痛みまたは衰弱を伴うクレアチンキナーゼの10倍上昇を示す筋障害までに及ぶ場合がある。この異常は生命を脅かす横紋筋変性に及ぶ可能性もある。スタチンのみを摂取した患者における筋障害の発生率は、治療された集団の0.1〜0.2%と判断される。横紋筋変性はそれよりも低い。
【0056】
筋障害は、スタチン類を、シトクロムP450(CYP3A4)酵素系中でスタチンと競合し、それによってスタチン濃度を毒性域にまで高めるその他の薬物または化学物質と共に投与する場合に最も起こるようである。例えば、スタチン類をフィブラート、ジェムフィブロジル、ナイアシンなどのその他治療用材料と共に投与した場合、筋異常発生の10倍を超える増加が報告されている。スタチン類をエリスロマイシン、イトラコナゾール、シクロスポリン、およびジルチアゼムと共に投与した場合、やはり有害な筋障害が増加した。また、グレープフルーツジュース、緑茶、およびその他の食物中に見出される各種物質は、CYP3A4の強力な阻害剤であり、多くの薬物相互作用の原因であることが知られている。
【0057】
いかなる理論にも拘束されるものではないが、筋障害は、HMG−CoAレダクターゼ阻害の直接的結果であり、用量依存性である。スタチン類はHMG−CoAレダクターゼを阻害するので、コレステロール合成の過程で生じる各種調節タンパク質の翻訳後修飾のために必要な各種代謝中間体も枯渇する。このような調節タンパク質の例としては、限定はしないが、メバロン酸塩、ユビキノン、ファルネソール、およびゲラニルゲラニオールが含まれる。このような代謝中間体の枯渇は、スタチン関連筋毒性において潜在的に役割を演じることが仮定されている。さらに、脂肪親和性スタチン類は、非脂肪親和性または親水性スタチン類よりもより容易に骨格筋に入り蓄積することができる。ロバスタチンおよびシンバスタチンなどの高度に脂肪親和性のラクトンプロドラッグは、肝組織によって高度に取り込まれ、その対応するジヒドロキシ酸型は、親水性であり、組織への浸透は少ない。
本発明をさらに説明するために以下の実施例を参照する。これらの実施例は、説明の目的のために示すものであり、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
適切なHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を調製するために、材料ロバスタチンを調製した。例えばAspergillus terreusATCC20542による発酵法でロバスタチンを産生させた。したがって、適切な発酵培地、発酵槽および発酵条件を使用すると、微生物は、主として菌糸体に局在化された化合物を産生する。これに関しては、採取にあたって発酵汁を遠心または濾過して菌糸体ケーキを回収し、その濾液または上清液は薬物を含まないので廃棄した。
【0059】
汁を保管タンクに移送した後、HCl(汁容積基準で約0.75〜1.0%の濃HCl)を添加して汁のpHを2.0に調整した。HClは、撹拌しながら徐々に添加した。
菌糸体ケーキ中の薬物は、有機溶媒で抽出できる。予備データによれば、溶媒抽出は、湿潤ケーキよりも乾燥ケーキを用いた方がより効率的であることがわかる。これに関しては、溶媒抽出に先立って湿潤濾過ケーキを乾燥する。菌糸体ケーキの乾燥は、簡単な空気乾燥によってまたは熱の助け(例えばスラッジドライヤー)によって達成できる。菌糸体の色は、乾燥するにつれて黄褐色から暗褐色に変わる。乾燥の完結は物理的検査によって判断され、完結時には、サンプル中に明白な水分は存在しない。
【0060】
薬物ロバスタチンは、ほとんどの溶媒(例えば、メタノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン、メチルエチルケトンなど)に可溶である。この工程の目的のためには、乾燥菌糸体ケーキから薬物を抽出するのにメチルエチルケトン(MEK)を採用した。
乾燥菌糸体ケーキをステンレススチール製保管タンクに移送した。乾燥菌糸体1部に対してMEK4.0部を添加した(例えば、乾燥菌糸体ケーキ1kg、MEK4.0リットルまたは1ガロン)。
【0061】
乾燥菌糸体を、時々撹拌しながら、MEK中に少なくとも一夜浸漬して、薬物の十分な抽出を可能にすることができる。一定時間浸漬した後、混合物を濾過し、溶媒抽出物を回収する、廃ケーキは、2部のMEKですすぎ洗いし、MEK抽出物を1つに集めた。
MEK抽出物は、他の不要化合物と一緒に粗ロバスタチンを含有していた。抽出物を、薄膜蒸発器(例えばLuwa)を使用して真空中で濃縮し、油状物質とした。油状濃縮物に対して、濾過助剤(例えば珪藻土)を1つに集めたMEK抽出物の分量の約1.0重量%で添加した。濾過助剤をオイル中でオイルが固体の混合物になるまで混合した。残留MEKを空気乾燥によって蒸発させた。乾燥混合物に対して、30重量%の粉末活性炭(例えばCalgon社のColorsorb)を添加し、この混和物を完全に混合した。
【0062】
炭素−試料の混合物を酢酸エチル中でスラリー化した(例えば、約2〜4重量部の炭素−試料混合物/酢酸エチル容積)。
精製は、炭素および活性ボーキサイトを含むロバスタチン精製用クロマト装置など、任意の手段によって、次のような方法で達成できる。
酢酸エチルスラリーをクロマトカラムの頂部に注ぎ入れ、酢酸エチルで溶離した。スラリー中の活性炭は不溶な色(例えば、帯褐赤色)を吸収し、カラム内の活性ボーキサイトは種々の雑多な不純物をさらに吸収する。
【0063】
ポリプロピレンカラム(直径2.5cm(1.0インチ)×高さ10.2cm(4.0インチ))の清浄性および乾燥度を検査した。カラム底部には、ガラスウールまたは合成繊維の濾過ライニングを配置した。カラムは、異なるカラム構成成分(例えば、濾過助剤、活性炭、活性ボーキサイト)の各3kgを使用して作製した。まず、濾過助剤を入れ、タッピングによって圧密した。次いで、活性炭(例えば、Colorsorb)を入れ、カラムをタッピングして圧密した。活性ボーキサイトを入れ、続いてもう1つの濾過助剤層を加えた。カラムを充填したした後、カラムの上部空間に酢酸エチルスラリーを注ぎ入れた。溶媒は、カラム頂部で炭素混合物の頂部に流れ出るようにした。炭素混合物を層にするまたは「密封」するために、3kgのさらなる濾過助剤(珪藻土)をカラムの頂部に添加した。
【0064】
カラムを溶離するため、酢酸エチル20Lの追加バッチを加え、各回とも、その溶媒をカラム頂端の近くまで排出してから、次の20Lバッチを追加した。溶離液を分割して回収し、回収容積を記録した。各溶離液の薬物含有量を分析し、下に記録した。カラムに新たな酢酸エチルをすべての薬物を溶離するまで供給または添加した。
クロマトカラムから溶離される酢酸エチルのリッチカット画分は、主として純粋なロバスタチンである。薬物は、ほとんどの有機溶媒に可溶であるが、十分に濃縮すると冷酢酸エチル中で沈殿し、ヘキサンまたは石油エーテルで洗浄できる。
【0065】
酢酸エチル溶離液を真空中で濃縮した。濃縮は、丸底フラスコエバポレーター中でまたは薄膜(例えばLuwa)蒸発器を用いて実施した。
酢酸エチルを蒸発させると、ロバスタチンの結晶が生じた。結晶が生じたら、濃縮液を冷蔵室に移した。
濃縮液を、1〜3日間冷蔵し、結晶化過程を完結させた。濾過して湿潤結晶を集めた。濾液または母液を回収し、容積を記録した。母液をさらに処理してさらなる薬物を回収できる。
粗結晶にヘキサンを添加し、どんな残留色をも洗い流し、白色結晶を得た。ヘキサンを、濾過して取り除き、回収して蒸留した。
ロバスタチン結晶を空気乾燥させて残留ヘキサンを除去し、結晶を回収した。得られた結晶は、ラクトン化合物型のロバスタチンであった。
【0066】
(実施例2)
ロバスタチンの塩は、次の方法で調製できる。
実施例1で単離されたラクトン化合物は、それぞれ対応するナトリウムおよびカリウム塩を得るためにNaOHまたはKOHなどの塩基で加水分解すると好都合にジヒドロキシ酸塩に変換される。薬学上許容されるカチオンを有する塩基を使用すると、これらカチオンの塩が得られる。
実施例1により単離された10gのロバスタチンに、室温で撹拌しながら等モル量のNaOHを添加した。混合物が溶液に変わったら、溶液を真空中で乾固し、以後化合物Iと称する遊離酸型のナトリウム塩を得た。
【0067】
(実施例3)
フィブリン酸およびナイアシンのナトリウム塩の調製。出発原料のフェノフィブラート、ベザフィブラート、およびナイアシンは、Sigma Chemicals(ミズーリ州、セントルイス)から購入する。約50mlのエタノールに、10gのフェノフィブラート結晶および等モル量のNaOHを、室温で撹拌しながら添加する。混合物が溶液に変わったら、溶液を真空中で乾固し、以後化合物IIと称するフェノフィブラート遊離酸型のナトリウム塩を得た。
同様の方法で、1当量の水酸化ナトリウムを使用してベザフィブラートのナトリウム塩(化合物III)およびナイアシンのナトリウム塩(化合物IV)を調製する。
【0068】
(実施例4)
動物における抗脂血特性の評価。8週齢のゴールデンシリアンハムスター(85〜100g)(Bio(登録商標)FIB、Bio Breeders,Inc.マサチューセッツ州、Watertown)が、リポタンパク質代謝およびアテローム性動脈硬化症におけるヒトとの類似性ゆえに本研究のために選択された動物モデルである。さらに、ハムスターは、ヒトに類似した血漿コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)を有する。食餌の脂肪飽和は、ゴールデンシリアンハムスターのアポリポタンパク質遺伝子の発現および高密度リポタンパク質の大きさ分布に影響を与える。
【0069】
ケージ当たり4匹で収容された動物に、一部比率のHeath High Energyスエット(Heath Mfg.、ミシガン州、Cooperville)、随意の水と共に、Kaytee Supreme Fortified Hamster飼料(Kaytee Products,Inc.,ウィスコンシン州、Chilton)を給餌した。動物にこの飼料を1週間給餌し、次いで、2週間の薬物治療を施した。薬物は、水不溶性薬物(例えば、アトルバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、およびフィブラート類)の場合は4:6のPEG/Cremaphore懸濁ビヒクルを使用する毎日の経口胃管栄養によって投与し、水溶性薬物(ジヒドロキシ酸塩、プラバスタチン)は水に溶解した。70kgの男子を基準にした等価投与量をハムスターに投与した。例えば、10mgの投与量は10mg/70kg(0.143mg/kg)を意味する。したがって、100gのハムスターに対する最終計算投与量は、経口胃管栄養投与用に0.25ml溶液中で処方したやはり0.143mg(0.143mg/100gハムスター×ファクター10)である。それぞれの試験物質を、2〜3匹の動物に投与し、対照動物には薬物を与えず、対照として使用した。薬物投与の前に、および試験期間中は1日おきに体重を記録した。
【0070】
終了時点で、麻酔をかけたハムスターから血液を採取し、遠心により血清を分離する。総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、およびトリグリセリド測定用のHitachi診断酵素キットを使用して総血清コレステロールを分析した(Lipid Analysis,Inc.、イリノイス州、スプリングフィールドによって実施された分析)。
【0071】
【表2】

【0072】
ジヒドロキシ酸塩(化合物I)は、水に容易に溶解することが見出され、抗脂血プロフィールについて、現在市販されているコレステロール降下薬(リピトール、メバコール、ゾコール、およびプラバコール)と比較した。化合物Iは、総コレステロールおよびトリグリセリドを低下させることにおいてリピトールに匹敵し、特に8mg投与でLDL−Cを低下させることにおいてリピトールよりも優れている(表2)。
【0073】
【表3】

【0074】
5〜20mgの投与範囲での化合物Iおよびリピトールの間の反復並立比較により、LDL−Cを低下させることにおける化合物Iの有効性が確認された。さらに、化合物Iは、5mg程度の低い投与量で有効であった(表3)。
【0075】
【表4】

【0076】
化合物Iおよびリピトールは、HDL−Cを上昇させるのに有効でない。これに関して、Iとフィブラートおよびナイシンの組合せを評価した。ナイアシンおよび現存フィブラートは水に溶解しないので、ナトリウム塩(化合物II、III、およびIV)を調製し、化合物Iとの組合せで試験した。
表4は、通常のナイアシンおよび各種のフィブリン酸塩(150〜600mg)と組み合わせた化合物I(10mg)の効果を示す。ナイアシン−化合物Iの組合せは、総コレステロール、LDL−C、およびHDL−Cの低下、およびトリグリセリドの上昇を引き起こす。一方、化合物IV(水溶性型)と化合物Iの組合せは、トリグリセリド濃度のかなりの低下を引き起こすが、LDL−C、HDL−C、および総コレステロール濃度の上昇を引き起こす。
【0077】
フィブリン酸ナトリウム(50〜200mg)と組み合わせた化合物I(10mg)に関して、化合物Iと化合物IIIは、組合せで、総コレステロール、トリグリセリド、HDL−C、およびHDL−Cの有意の低下を生み出し、化合物IとIIは、組合せで、総コレステロール、トリグリセリド、LDL−Cの低下、および最も興味深いことにHDL−Cの有意の上昇を生み出す(表3)。これらのデータに基づいて、8〜160mg領域の化合物Iは、コレステロール、トリグリセリド、およびLDL−Cを低下させることにおいてリピトールと同等またはそれよりも優れていると結論付けることができる。化合物Iは、LDL−Cを、リピトールの28.5〜54.4%に対して41.4〜59.2%程度低下させる。5〜20mgの投与量範囲を使用する反復実験で、化合物Iは、LDL−Cを、リピトールの8.9〜17.9%に対して22.4〜23.7%程度低下させるその抗脂血活性を裏付けた。化合物Iは、5mg程度の低い投与量で活性を示した。現在市販されている4種のスタチン(例えば、リピトール、メバコール、ゾコール、プラバコール)は、化合物Iとの組合せで、HDL−Cのいかなる増加も示さなかった。しかし、化合物I(10mg)を化合物II(50〜200mg)と組み合わせると、HDL−C濃度は3.4〜8.0まで上昇した。化合物Iと組み合わせた化合物IIIまたはIVも、HDL−C濃度の上昇を引き起こした。
【0078】
上記実施例の結果は、親化合物であるロバスタチンは水溶性でなく、一方、化合物Iと称するジヒドロキシ酸ナトリウムが水溶性であるという本発明の主張を裏付けている。親化合物フェノフィブラートは水溶性でないが、化合物IIと称するナトリウム塩は水溶性である。化合物Iは、プロドラッグのロバスタチンよりもより有効であり、化合物Iは、総コレステロールおよびLDL−Cを低下させるのに親のロバスタチンよりもほぼ2倍以上有効である。単独療法としての化合物Iは、総コレステロール、LDL−C、およびトリグリセリドを低下させるのに有効であり、化合物IIなどの材料と組み合わせると、総コレステロール、LDL−C、トリグリセリドを減少させることのみならず、最も重要なことに、比較的低い投与濃度および範囲でHDL−C濃度を増加させることによって、補完的相加性治療効果が観察された。
【0079】
(実施例5)
クレストールは、新規な合成スタチンであり、その低投与量での有効性ゆえに「スーパースタチン」と見なされる。臨床研究で、クレストールは、現在、スタチン類の新規なゴールド標準であることが見出され、5mgのクレストール投与量は、20mgのリピトール、40mgのゾコール、80mgのメバコールまたはプラバコールに等価である。したがって、化合物Iと化合物IIの薬物の組合せはクレストールに匹敵する。動物モデルは、シリアンゴールデンハムスター(F1B系統、BioBreeders、マサチューセッツ州、Fitchburg)とした。ほぼ8〜10週齢の動物に、実験治療の開始に先立って、ヤシ油を10重量%およびコレステロールを0.1重量%含む非精製食物をベースにした高コレステロール血食餌(HCD)2週間給餌し、この食餌を研究の残り期間も維持した。化合物IおよびIIを、1日1回で14日間経口胃管栄養(0.2mL)によって投与した。14日目に、一夜絶食した後に血液サンプルを採取した。
【0080】
望ましい全脂質プロフィール(すなわち、コレステロール、トリグリセリド、LDLの減少、およびHDLの上昇)が、化合物IおよびIIの組合せ薬剤の混合製剤を用いて達成された(表5)。この実験で見出された有効投与量は、1〜3mgの化合物Iおよび30〜40mgの化合物IIIであった。この薬物の組合せは、クレストールに比較してより優れた脂質プロフィールを示した。すなわち、クレストールはHDL濃度を押し上げず、かつコレステロールおよびLDLを調節することにおいて効果が低かった。
【0081】
【表5】

【0082】
(実施例6)
スタチン類およびフィブラート類に関連する毒性には、肝臓および腎臓障害、ならびに筋肉毒性(桿状筋変性、筋痛、筋障害、および筋炎)が含まれることが知られている。したがって、なんらかの関連毒性を評価するために、化合物IおよびIIの投与組合せの増加を、Rattus norvegicus、異系交配スプレーグドーリー(Harlanから)10ラット/群(雄性5および雌性5)で試験した。実験開始時の齢範囲は8〜14とした。実験開始時の体重範囲は225〜250gとした。隔離/順化は1週間とした。体重に基づいて動物を群にランダム化した。ケージ当たりの数は2〜3匹とした。環境条件:通常のマイクロアイソレーターケージ飼育。室温は19〜23℃に維持した。相対湿度は55〜80%に維持した。明/暗のサイクルは12時間サイクルに維持した。動物を14日間(2週間)毎日試験物質に暴露し、投与量を胃管栄養で投与した。
【0083】
実験中の動物で全体的な剖検を実施した。組織を採取し、組織変化について、例えば肝臓、肺(大動脈と共に)、胸腺、リンパ節、胃、腸、脾臓、腎臓、副腎、精巣、卵巣、子宮、脳を検査し、骨格筋は、検査の時点での自己分解の状態によって判定した。採取した組織は一夜ホルマリンに浸け、翌日に切断しカセット化した。
血液試料は、剖検計画の一部として、最終治療から24時間後の心臓穿刺によって採取した。調べたパラメータには、ヘマトクリット値(HCT)、血色素量(Hgb)、総赤血球数(RBC)、総白血球数(WBC)、白血球百分率、および血小板推定値、計算された平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球色素量(MCH)、および平均赤血球色素濃度(MCHC)が含まれる。
【0084】
また、最終治療の16〜18時間後に、動物を代謝ケージに収容し尿を採集した(剖検の直前)。ミオグロビンの存在について尿を検査した。
臨床化学。血液試料は、剖検計画の一部として、最終治療から24時間後の心臓穿刺によって採取した。臨床化学は、血液を採取したすべての動物について実施した。調べたパラメータには、クレアチン、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ(ALK)、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)、およびアルドラーゼが含まれる。
【0085】
本実験の結果は、化合物Iおよび化合物IIの有効な治療用組合せ(1〜3mgの化合物Iおよび30〜40mgの化合物II)が、比較的安全で、かつ、すべての脂質異常および冠状動脈性心疾患に関連する潜在的危険因子に対する全体的に有益な効果を増強するのに有効である合理的な証拠を提供する。表6に示すように、化合物IおよびIIの組合せに対する「無毒性量(NOAEL)」は、化合物IIに対して1,000mg、化合物IIに対して10,000mgである。1,000mgの化合物Iおよび10,000mgの化合物IIの投与量を、最大耐量(MTD)と考えることができる。MTD投与量までの併用療法は、十分に許容され、血清中肝および筋酵素の有意な増加は認められなかった。肝(ALT、ALK)、腎(クレアチン)および筋(CPK、アルドラーゼ)機能における毒性に関連した酵素濃度は、MTD量まで正常と思われた。また、すべての尿分析結果は、0.045mg/dL未満のミオグロビンであり、血液学的には、MTD濃度まで正常範囲内であった。
【0086】
【表6】

【0087】
本発明を、最も実際的でかつ好ましい実施形態であると考えられる形態と結び付けて説明してきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲に含まれる様々な修正および等価な配置を包含することを意図し、その範囲は、このような修正および等価な構成のすべてを法律の下で容認される限りにおいて包含するような広義の解釈に一致させるべきであることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の少なくとも1種のロバスタチンの水溶性ジヒドロキシ酸塩および少なくとも1種のフェノフィブラートの遊離酸型の水溶性塩を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のロバスタチンの水溶性ジヒドロキシ酸塩の塩が、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、およびテトラメチルアンモニウムのカチオン塩、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リシン、アルギニン、オルチニン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−メチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、モルホリン、2,4,4−トリメチル−2−ペンタミン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの少なくとも1種を含むアミン塩の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
ロバスタチンの水溶性ジヒドロキシ酸塩が、1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキルおよび1〜4個の炭素原子を有する置換アルキルの少なくとも1種を含み、該置換基がフェニルジメチルアミノ基およびアセチルアミノ基の少なくとも1種である、少なくとも1種のエステル誘導体をさらに含むことを特徴とする請求項2記載の医薬組成物。
【請求項4】
アルキル基が、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、sec−ブチル、およびtert−ブチルの1種であることを特徴とする請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
フェノフィブラートの遊離酸型の水溶性塩の塩が、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、およびテトラメチルアンモニウムのカチオン塩、ならびにアンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リシン、アルギニン、オルチニン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−p−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’メチルベンズイミダゾール、ジエチルアミン、ピペラジン、モルホリン、2,4,4−トリメチル−2−ペンタミン、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの少なくとも1種を含むアミン塩の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の経口用医薬品の剤形。
【請求項6】
フェノフィブラートの遊離酸型の水溶性塩が、1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキルおよび1〜4個の炭素原子を有する置換アルキルの少なくとも1種を含み、該置換基がフェニルジメチルアミノ基およびアセチルアミノ基の少なくとも1種である、少なくとも1種のエステル誘導体を含むことを特徴とする請求項5記載の経口用医薬品の剤形。
【請求項7】
アルキル基が、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、sec−ブチル、およびtert−ブチルの1種であることを特徴とする請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
ロバスタチンの水溶性ジヒドロキシ酸塩および少なくとも1種のフェノフィブラートの遊離酸型の水溶性塩が、患者への経口投与後における該剤形からの化合物の実質的放出を、投与量が胃を通過するまで遅延させた腸溶性コーティング剤形で製剤されることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
剤形が、腸溶性コーティングで包まれていることを特徴とする請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
腸溶性コーティングされた速放型医薬剤形で製剤されることを特徴とする請求項8記載の医薬組成物。
【請求項11】
腸溶性コーティングされた時間制御放出型医薬剤形で製剤されることを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
腸溶性コーティングが、ポリ酢酸ビニルフタレート、二酸化チタン、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、炭酸水素ナトリウム、精製ステアリン酸、およびアルギン酸ナトリウムからなることを特徴とする請求項8記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物は、投薬された患者の高密度リポタンパク質コレステロール濃度を上昇させることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
治療有効量のロバスタチンの水溶性ジヒドロキシ酸ナトリウム塩およびフェノフィブラートの遊離酸型の水溶性塩を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物は、投薬された患者の高密度リポタンパク質コレステロール濃度を上昇させることを特徴とする請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物は、投薬された患者の高密度リポタンパク質コレステロール濃度を上昇させ、総コレステロールおよび低密度リポタンパク質コレステロールの少なくとも1種を低下させることを特徴とする請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ロバスタチンの水溶性ジヒドロキシ酸ナトリウム塩およびフェノフィブラートの遊離酸型の水溶性塩が、患者への経口投与後における該剤形からの化合物の実質的放出を、投与量が胃を通過するまで遅延させた腸溶性コーティング剤形で製剤されることを特徴とする請求項14記載の医薬組成物。
【請求項18】
剤形が、腸溶性コーティングで包まれていることを特徴とする請求項16記載の医薬組成物。
【請求項19】
腸溶性コーティングされた速放型医薬剤形で製剤されることを特徴とする請求項16記載の医薬組成物。
【請求項20】
腸溶性コーティングされた時間制御放出型医薬剤形で製剤されることを特徴とする請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項21】
腸溶性コーティングが、ポリ酢酸ビニルフタレート、二酸化チタン、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、炭酸水素ナトリウム、精製ステアリン酸、およびアルギン酸ナトリウムからなることを特徴とする請求項14記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記組成物は、カプセル剤の剤形で提供されることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記組成物は、薬学上許容される担体をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記組成物は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリε−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーから選択される生分解性ポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
治療有効量のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤および少なくとも1種の追加の治療用薬剤を含み、
前記HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、患者の総コレステロールおよび/または低密度コレステロールの少なくとも1種を低減させる効果を有するロバスタチンの水溶性ジヒドロキシ酸ナトリウム塩であり、
前記追加の治療用薬剤は、患者の高密度リポタンパク質コレステロール濃度を上昇させる治療用薬剤であり、フェノフィブラートの遊離酸型の水溶性のナトリウム塩であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項26】
追加の治療用薬剤が、胆汁酸封鎖剤およびナイアシン化合物の少なくとも1種をさらに含むことを特徴とする請求項25記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2011−153126(P2011−153126A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216133(P2010−216133)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2006−538551(P2006−538551)の分割
【原出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(506151855)ジェイ ジェイ ファーマ,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】JJ PHARMA,INC.
【Fターム(参考)】