説明

HIP法による容器を含む処理物の処理方法

【課題】 内容物同士および内容物と容器との間の界面を拡散接合するに際して、処理後に除去しなければならない容器部分を減らすとともに、冷却段階における熱応力および使用時の残留応力による不具合を解消すること。
【解決手段】 容器1内に含包される内容物は、主軸受の構成材である軸受材となるA40の粉末1A、および裏金1Bとなるステンレス鋼SUS304である。内容物1Bであるステンレス鋼SUS304は容器の一部である外管2を兼ねる構造で、内管3の界面には剥離材6としてステンレス鋼SUS304製で厚さ50μmの金属箔が2重巻きされて、粉末である内容物1Aが金属箔の間隙や金属箔と内管3との隙間に侵入しないようにできるだけ隙間なく挿入され、内管3に点溶接で固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器と容器で包含される内容物で構成される処理物のHIP法による処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HIP法は、複雑な界面を有するバルク体同士の界面における拡散接合、粉末同士の高密度焼結、鋳造材の内部欠陥除去など広い用途範囲に機能を発揮できる、高精度の接合とニアネットシェイプ成形品の製造には有効な手段である。
【0003】
ところが、HIP法は、圧力媒体である雰囲気ガスによる加圧によるものであるため、バルク体同士の界面における拡散接合、粉末同士の高密度焼結のように、内容物が加圧された雰囲気ガスが侵入するような界面を有している場合には、ガスの侵入を防ぐために、容器によって内容物の全体または一部を含包し、かつ容器は製品対象外であるため、処理後においては容器を製品から除去する必要がある。
【0004】
HIP法において容器によって内容物を含包することをキャニングと呼び、容器で含包しないHIP法をキャンレスHIP法とも呼び、上記の鋳造材の内部欠陥除去などはキャンレスによって行われることが多い。
【0005】
このキャニングは、技術的にも経済的にも負担となり、キャニング方案によっては処理物の品質および特性のみならず製造工程数、製造コストや納期にも強く影響を与えることになる。
【0006】
つまり、キャニングに用いられる容器の構造および材質によっては、容器内部に含包された内容物に必要な温度および圧力を与えることができないばかりではなく、HIP処理中の冷却段階での過剰な熱応力の作用によって接合界面の剥離などの原因ともなり、残留応力による使用中における界面劣化などの不具合が発生したり、所定の品質および特性を得られないことがある。
【0007】
また、特に容器が製品対象外となり、処理後に除去する必要がある場合には、容器の製作、充填、脱気、封入および除去などの工程は製造工程数と製造コストの増加につながり、HIP法が経済的には不利な製造方法となってしまうことにもなる。
【0008】
さらには、HIP処理の冷却段階において、熱応力によって製品界面の剥離や母材内での割れの発生などの不具合を起こしやすいという製品品質上の重大な問題原因ともなる。
【0009】
このHIP法の欠点を解消するために、例えば、特許文献1には真空しゃ断器の接点の製造法として、処理材を金属容器の一部を残した複合材として形成することが、また、特許文献2には、ヒートシンク複合部材の製造法として、金属単体からなる容器内に複合合金粉末を装入して容器と複合合金粉末を拡散接合により一体化することが開示されているが、これらの場合の容器は、内容物と共通する組成で、界面接合が比較的容易な銅成分に限られる。
【0010】
ところが、HIP法により容器内の特性の異なる内容物同士を接合界面で拡散接合する場合は、接合すべき容器内の内容物のみならず、容器も含めて、これらの材料特性が処理物の品質に強く影響を与える。例えば、熱膨張係数やヤング率は材料の高低温における弾性的特性を示す代表的な指標であるが、これらの材料特性が異なることによる熱応力の発生は界面特性に強く影響を与える。つまり、HIP法により複数の内容物が界面接合された処理物は、冷却時に熱応力が接合界面に作用するため、内容物母材内における母材強度や接合界面における界面接合強度を劣化させることがあり、室温となった後も熱応力の一部は残留応力として接合界面に作用し続け、この残留応力が、処理物の製品としての品質と特性に極めて大きい影響を与える。つまり熱応力や残留応力が接合界面や材料内に作用すると、接合強度を弱めて界面剥離を起こし、さらには、残留応力として材料内の有害欠陥に作用すると耐疲労強度を低下させることもある。
【0011】
この接合界面への残留応力の作用を除くための手段として、特許文献3には、HIP法による多軸複合シリンダーの製造法として、シリンダー構成金属材料より熱膨張係数の大きな金属材料からなる単一中子に、イオンプレーティングやセラミックスめっきのような離型材の被着を介して挿入し、中子の外周面とシリンダーの内径面との空間に内径面ガード用金属粉末を一体に被着することが記載されている。
【0012】
この離型材の形成には、イオンプレーティングやセラミックスめっきという特殊な表面処理によらねばならないという問題がある。また、セラミックスなど耐熱性粉体のスプレー塗布膜は容器内部を汚染したりして、最悪の場合処理物の接合界面に侵入して良好な界面接合を阻害することがあるため、剥離材として望ましくない。
【特許文献1】特開平08−124462
【特許文献2】特開平11−323409
【特許文献3】特開平05−338009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明における解決課題は、内容物を容器によって含包した処理物をHIP法によって処理する場合において、内容物同士および内容物と容器との間の界面を拡散接合するに際して、処理後に除去しなければならない容器部分を減らすとともに、冷却段階における熱応力および使用時の残留応力による不具合を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、容器でバルク体または粉粒体の内容物を含包して、材料特性の異なる異種材料同士をHIPによって拡散接合して一体化接合するに際して、HIP処理の冷却段階においては内容物同士の材料特性の差異が材料母材内や界面特性に強く影響を与えることが多々ある。例えば、熱膨張係数やヤング率は内容物の高低温における弾性的特性を示す代表的な指標であるが、これらの材料特性が異なることによる熱応力および残留応力の発生は、特に複数の内容物で構成された処理物の場合においては界面特性に強く影響を与える。
【0015】
つまり、HIP法により複数の内容物が界面接合された処理物は、冷却時に熱応力が作用するため、内容物の母材内における母材強度や接合界面における界面接合強度を劣化させることがあり、室温になった後にも残留応力として接合界面に作用し続け、母材および界面の疲労強度を低下させることにもなる。
【0016】
ところで、Δαを熱膨張係数差、ΔEをヤング率差、そして、ΔTを室温との温度差で、Kは定数とすると、一般に、異なる2つの材料で構成される材料間の熱応力σTは、下記の(1)式で表される。
【0017】
σT=K×Δα×ΔE×ΔT (1)
したがって、熱応力および残留応力を緩和または低減する方法としては、HIP法における製造条件としては先ず保持温度を低下させることであり、これが(1)式のΔTを低減させることが必要になる。
【0018】
ただし、HIP法における拡散接合は保持温度における拡散現象での界面反応と直接に関係するため、界面反応は熱応力や残留応力が発生および作用する温度域よりも高温における現象であり、拡散接合が熱応力や残留応力のみで決定できない側面もある。
【0019】
しかしながら、例えば、内容物が異なる複数の材料で構成される場合には、材料間の熱膨張係数差(Δα)とヤング率差(ΔE)をできるだけ小さく設定できれば、(1)式から明らかに、熱応力は緩和できる。そして、結局は、温度および拘束状態が定常状態となった場合の残留応力も低減できる。
【0020】
つまり、アルミ軸受を対象とする場合、軸受材をヤング率が低くかつ熱膨張係数が大きいアルミ合金とすれば、裏金となる鋼としてヤング率が高くかつ熱膨張係数が低い炭素鋼に代えて、炭素鋼よりヤング率が低く、かつ炭素鋼より熱膨張係数が大きいステンレス鋼を選定すれば、ΔαとΔEの両方を小さくできるため、保持温度の変更よりも比較的容易に熱応力を緩和できることになる。
【0021】
まず、内容物が複数の場合に手段が単純で効果が明白であるのが、容器と内容物を共通化して、容器と内容物との界面面積を減らすことである。
【0022】
つまり、アルミ軸受を対象とする場合、裏金となる鋼としてヤング率が高くかつ熱膨張係数が低い炭素鋼に代えて、炭素鋼よりヤング率が低く、かつ炭素鋼より熱膨張係数が大きいステンレス鋼を選定し、さらに容器の一部に裏金となるステンレス鋼を共通化して採用する容器方案を採用すれば、容器としてヤング率と熱膨張係数が炭素鋼と同等の軟鋼を採用する場合よりも、容器と内容物の界面面積を確実に減らせるため、処理物全体における熱応力および残留応力を低減できることになる。
【0023】
また、上記の容器と内容物の共通化は、処理物における部品点数の低減、HIP処理後に除去する容器としての材料ロスの低減に繋がるため、材料コスト、工程数低減、および納期短縮など多方面での効果が明白であり、容器方案や製品仕様の許容範囲で大いに活用されるべきである。
【0024】
さらには、容器と内容物との、および複数の内容物間の熱膨張係数差(Δα)とヤング率差(ΔE)を小さくするために、処理物における材料構成を変更して、上記(1)式の材料間の熱応力(σT)を小さくすること以外にも、従来の容器方案を大幅に変更することなく、さらにはより汎用性が高く、安価な炭素鋼および軟鋼を従来通り容器として用いながら、容器と内容物を剥離させることによって熱応力および残留応力の低減を行うことも可能である。
【0025】
つまり、熱応力および残留応力を低減する目的で容器界面を剥離するために、処理物内の容器界面の容器側表面に剥離処理を施すか、または容器界面に剥離材として金属箔を配置することも有効な方法である。
【0026】
ところで熱応力や残留応力の作用は単体などの連続体内、または一体化された複数構成材間で作用するものであり、不連続体もしくは剥離界面を通じては作用しないことは明白である。したがって、処理物の一部にでも剥離した界面が存在すればその界面での応力伝達は不十分になるはずである。
【0027】
したがって、製品に含まれる接合界面には適用できないが、製品の対象外として除去される容器界面であれば、積極的に界面を剥離させることによって熱応力や残留応力を低減させることが可能となる。
【0028】
具体的には、容器界面におけるなじみ性や反応性を阻害するために、剥離処理として容器側表面に非金属膜を被覆し、かつ粗面化することであり、酸化物、窒化物、炭化物などの非金属薄膜を被覆し、さらに表面粗さを大きくすれば目的を達することができる。それらの中でも最も簡便なのは、該当する容器側表面について大気中で加熱して酸化膜を設け、さらに容器表面においてショットブラスト処理を行って表面粗さが粗くなるようにする処理があり、両者を複合化することはさらに効果的である。
【0029】
非金属膜については膜厚には特定されないが、表面粗さの程度の膜厚を被覆すれば機能は発揮する。ただし、HIP処理中に容器が変形して容器表面の剥離処理を施した表面に亀裂が発生することは許容されるが、容易に非金属膜が全面剥離しない程度の接合強度が剥離処理には必要である。
【0030】
また、粗面化に際しての表面粗さには、格別の要件はないが、容器表面が曲面の場合でも処理面全体において表面粗さがほぼ均一であることが、HIP処理中に容器表面が変形しても表面粗さの凸部において容器表面の非金属膜が破壊して新生面が現出しないことが必要となる。
【0031】
そして、金属箔は可撓性があるため容器界面に密着させることが容易で、所定寸法への切断も容易で、剥離と関与しない接合界面への侵入の可能性がなく、耐熱性金属箔であれば複数枚重ねることで、HIP処理後における取り出し時には容器と内容物の剥離を促進する効果が得られるためより望ましい。ここで言う耐熱性金属箔とは高融点金属であるクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)単体もしくは、これらを単独または複数を含有する鉄(Fe)合金であれば機能的に満足する。特に、汎用性からすると、Fe−Cr系鉄合金であるステンレス鋼が好適であり、ニッケル(Ni)が含まれていても機能的にはほぼ同等であり、容器界面でのなじみを阻害することによる剥離性を付与することのほかにも、鉄と比べても熱膨張係数が低くなるため熱応力緩和の点からも複合効果が期待できる。つまり、Cr、Mo,Wは融点が高いためなじみ性が低いという性質のほかに、共通して熱膨張係数が低いという特性もある。
【発明の効果】
【0032】
従来にくらべて、本発明のHIP法は、工程数が少なく、コストおよび納期的にもさらに有利で、安定した品質で、かつ信頼性の高い製品が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態の一つを、アルミ軸受として軸受材がアルミ合金A40(Al−40重量%Sn−1重量%Cu)と鋼を構成材としたジャーナル軸受タイプの舶用主軸受に適用した実施例で示す。
【実施例1】
【0034】
HIP法においては処理容器中に処理品を真空封入して処理するものであるが、本発明においては、軟鋼、炭素鋼またはステンレス鋼を処理容器の材質として選定して、本発明によるHIP処理を施した。
【0035】
図1は、実施例として主軸受製作のための処理物1における構造および寸法を示した簡略図面であり、容器内に含包される内容物は、主軸受の構成材である軸受材となるA40の粉末1A、および裏金1Bとなるステンレス鋼SUS304である。アルミ合金A40の粉末は球状をしたガスアトマイズ粉であり、粒度分布は#100メッシュ未満である。因みに、図1では、内容物1Bであるステンレス鋼SUS304は容器の一部である外管2を兼ねる構造で、外径φ480mm×内径φ448mm×高さ約400mmの寸法である。そして、外管以外に容器を構成する内管3はステンレス鋼SUS304(板厚4mm)で、ふた4は炭素鋼S25Cである。HIP処理前に、真空雰囲気に保たれた電子ビーム溶接装置内で、内容物を含包した容器を構成する外管2、内管3、およびふた4は溶接部5で溶接組立されて、内容物は容器内に真空封入されることになる。
【0036】
また、容器界面には剥離材6としてステンレス鋼SUS304製で厚さ50μmの金属箔が2重巻きされて、粉末である内容物1Aが金属箔の間隙や金属箔と内管3との隙間に侵入しないようにできるだけ隙間なく挿入され、内管3に点溶接で固定されている。金属箔の2重巻きはより確実に剥離効果が達成できるためである。
【0037】
そして、処理物1はHIP装置に配置されて適当な条件でHIP処理されるが、HIP処理条件としては保持温度500℃×保持圧力98MPa×保持時間90分を採用した。また、加圧および冷却パターンには特別な配慮は必要がなく、装置としても一般的な機能を有するHIP装置であれば十分に適用できる。
【0038】
HIP処理後に製品対象外となる、内管2、ふた4、溶接部5、剥離材6、および内容物1Bが兼ねる外管1Bの一部を切削除去すれば、容器内に含包されて一体化された内容物は製品として容易に取り出すことができる。
【0039】
HIP処置直後において処理物について非破壊試験として超音波探傷試験を行い、接合界面および容器界面の状況を検査したところ、内容物1Aと内容物1Bからなる接合界面は全面接合して、剥離材を挿入した内容物1Aと内管3からなる容器界面は容器界面の95%以上が剥離していた。
【0040】
またA40粉末からなる内容物1Aのバルク内も十分に焼結し、ステンレス鋼からなる内容物1Bと一体化していた。破壊試験用として各種試験片を採取して、金属組織観察、断面硬さ測定、および剥離試験を実施した。光学顕微鏡による倍率100倍での金属組織観察の結果、接合界面には何ら界面欠陥はなく、A40粉末も焼結し一体化していた。また断面硬さ測定の結果、A40粉末の焼結部におけるビッカース硬さはHv(1)=37〜42という、客先仕様であるHv=45以下を満足する値が得られた。そして接合界面における接合強度として、接合界面に対して直角に押し抜く方式の試験方法である剥離試験で、引張強さに相当する剥離強さを製品内となる5ヶ所で調べたところ、剥離強さは7.7〜8.8kgf/mmという、十分な値が得られた。
【実施例2】
【0041】
図1における内管3が軟鋼STKM13Aで、剥離材が1重巻きであることを除けば、実施例1と同じ場合である。
【0042】
HIP処置直後において処理物について非破壊試験として超音波探傷試験を行い、接合界面および容器界面の状況を検査したところ、内容物1Aと内容物1Bからなる接合界面は全面接合したが、剥離材を挿入した内容物1Aと内管3からなる容器界面は容器界面の60%以上が剥離していた。
【0043】
光学顕微鏡による倍率100倍での金属組織観察の結果、接合界面には何ら界面欠陥はなく、アルミ合金A40粉末も焼結し一体化していた。また断面硬さ測定の結果、A40粉末の焼結部におけるビッカース硬さはHv(1)=35〜40という、客先仕様であるHv=45以下を満足する値が得られた。そして接合界面における接合強度として、接合界面に対して直角に押し抜く方式の試験方法である剥離試験で、引張強さに相当する剥離強さを製品内となる5ヶ所で調べたところ、剥離強さは5.3〜8.8kgf/mmという若干バラツキを示したが、十分な値が得られた。
【実施例3】
【0044】
図2における内管3が軟鋼STKM13Aで、容器界面における容器側表面への剥離処理が大気中での加熱およびショットブラスト処理であることを除けば、実施例1と同じ場合である。
【0045】
HIP処置直後において処理物について非破壊試験として超音波探傷試験を行い、接合界面および容器界面の状況を検査したところ、内容物1Aと内容物1Bからなる接合界面は全面接合したが、剥離材を挿入した内容物1Aと内管3からなる容器界面は容器界面の40%以下が剥離していた。
【0046】
光学顕微鏡による倍率100倍での金属組織観察の結果、接合界面には何ら界面欠陥はなく、A40粉末も焼結し一体化していた。また断面硬さ測定の結果、A40粉末の焼結部におけるビッカース硬さはHv(1)=39〜43という、客先仕様であるHv=45以下を満足する値が得られた。そして接合界面における接合強度として、接合界面に対して直角に押し抜く方式の試験方法である剥離試験で、引張強さに相当する剥離強さを製品内となる2ヶ所で調べたところ、剥離強さはどちらも5.2kgf/mmという値が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明をジャーナル軸受形式の処理物に適用した第1と第2の実施例における形態とその断面形状を示す。
【図2】本発明をジャーナル軸受形式の処理物に適用した第3の実施例における形態とその断面形状を示す。
【符号の説明】
【0048】
1 容器界面を有し、内容物を含包した処理物
1A、1B 容器内部に含包された、製品を構成する構成材となる内容物
2 外管
3 内管
4 ふた
5 溶接部
6 剥離材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器によって包含される内容物をHIP法によって拡散接合して一体化する場合において、構成する材料間の熱応力および残留応力を低減させるHIP法による処理法であって、内容物のみならず容器も含めて、異なる材料で形成される界面の一方の材料が、他方の材料とのヤング率差および熱膨張係数差を小さくするHIP法による処理法。
【請求項2】
容器で含包される内容物が複数の場合、内容物と容器を共通化することによって、容器と内容物との間の界面面積を低減させる請求項1に記載のHIP法による処理法。
【請求項3】
内容物を含包する容器の少なくとも一部が鉄を主成分とする材料であり、容器によって包含される内容物の一部がアルミニウムまたはアルミニウム合金である請求項1に記載のHIP法による処理法。
【請求項4】
材料間の熱応力および残留応力を低減させる手段が、容器側表面に施される剥離処理、もしくは剥離材としての界面への金属箔の配置である請求項1に記載のHIP法による処理法。
【請求項5】
剥離処理が、容器側表面に酸化物、窒化物、炭化物などの非金属薄膜を被覆した後の粗面化である請求項4に記載のHIP法による処理方法。
【請求項6】
金属箔は、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)単体、もしくは、これらを単独または複数を含有する鉄(Fe)合金である請求項4に記載のHIP法による処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−106351(P2010−106351A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282386(P2008−282386)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000143628)株式会社黒木工業所 (17)
【Fターム(参考)】