説明

I.A.性機能障害の治療においてドパミンアゴニストとして使用するためのモルホリン誘導体

【課題】女性性的機能不全、男性性的機能障害の治療及び/又は予防並びに精神医学的障害及び神経変性障害の治療に有用な、D2よりもD3に対して選択的なクラスのドパミンアゴンストを提供する。
【解決手段】式(Ia)又は(Ib)により表される化合物、ここで、Aは、C-X、Bは、C-Y、R1は、H及び(C1‐C6)アルキルから選ばれ、R2は、H及び(C1‐C6)アルキルから選ばれ、Xは、H、HO、C(O)NH2、NH2から選ばれ、Yは、H、HO、NH2、Br、Cl及びFから選ばれ、Zは、H、HO、F、CONH2及びCNから選ばれる;並びにその薬剤として許容可能な塩、溶媒和物。ただし、X、Y、及びZのうちの少なくとも1つはOHでなくてはならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あるクラスのドパミンアゴニスト、より特別にはD2よりもD3に対して選択的なクラスのアゴニスト、に関する。これらの化合物は、女性性機能障害(FSD)、特に女性の性的興奮障害(FSAD)及び男性性機能障害、特に男性の勃起障害(MED)などの性機能障害の治療及び/又は予防に有用である。本明細書中で言及される男性性機能障害は、早漏のような射精障害、アノルガスミア(anorgasmia)(オルガズムに達することができないこと)又は性的欲求低下障害(HSDD;性交に興味のないこと)のような欲求障害を含むことを意味する。これらの化合物はまた、神経精神医学的障害及び神経変性障害の治療に有用である。
【発明の開示】
【0002】
本発明は、以下の式(I)、(Ia)及び(Ib):
【化1】

{式中、
Aは、C-X及びNから選ばれ、
Bは、C-Y及びNから選ばれ、
R1は、H及び(C1‐C6)アルキルから選ばれ、
R2は、H及び(C1‐C6)アルキルから選ばれ、
Xは、H、HO、C(O)NH2、NH2から選ばれ、
Yは、H、HO、NH2、Br、Cl及びFから選ばれ、
Zは、H、HO、F、CONH2及びCNから選ばれる。
但し:
式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物に関しては、AがC-X、BがC-Y、R1がH又は(C1‐C6)アルキル且つR2がH又は(C1‐C6)アルキルである場合には、X、Y、及びZのうちの少なくとも1つはOHでなくてはならず;
式(I)の化合物に関しては、AがC‐X且つBがC‐Y、YがH、ZがH、R1がH且つR2がHである場合には、XはOHであることはできない。}
により表される化合物並びに薬剤として許容可能なその塩、溶媒和化合物及びプロドラッグを提供する。
【0003】
式(I)の化合物の薬剤として許容可能な塩は、その酸付加塩及び塩基付加塩を含む。
【0004】
式(I)の化合物の薬剤として許容可能な塩は、適宜、式(I)の化合物の溶液を所望の酸又は塩基と混合することによって容易に製造されることができる。塩は溶液から沈殿し、そしてろ過によって捕集されることができ、又は溶媒の蒸発によって回収されることができる。
【0005】
好適な酸付加塩は、無毒性の塩を形成する酸から形成されることができ、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サッカラート、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩、及びパモアート塩である。
【0006】
好適な塩基付加塩は、無毒性の塩を形成する塩基から形成されることができ、例えば、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、銅、及びジエタノールアミンの塩である。
【0007】
好適な塩についての総説は、Berge et al, J. Pharm. Sci., 66, 1-19, 1977を参照のこと。
【0008】
式(I)の化合物の薬剤として許容可能な溶媒和化合物は、その水和物を含む。
【0009】
式(I)の化合物の範囲には、その多形も含まれる。
【0010】
式(I)の化合物は、1つ以上の非対称な炭素原子を含むため、2つ以上の立体異性体が存在する。ジアステレオマーの分離は、慣用技術、例えば、式(I)の化合物又はその好適な塩若しくは誘導体の立体異性体混合物の分別再結晶、クロマトグラフィー又はH.P.L.C.によって達成されることができる。式(I)の化合物の個々のエナンチオマーもまた、対応する光学的に純粋な中間体から、または好適なキラル支持体を使用する対応するラセミ体のH.P.L.C.のような分割によって、または対応するラセミ体と光学活性のある好適な酸若しくは塩基との反応によって形成されたジアステレオマーの塩の分別再結晶により、適宜製造されることができる。
【0011】
本発明の好ましい化合物は、式(Ia)及び(Ib)の化合物である。
【0012】
特別に好ましいのは、式(Ia)の化合物である。
【0013】
式中、好ましくは、AはC-XまたはN、且つBはC-Yであり、より好ましくは、AはN、且つBはC-Yであり、さらに好ましくは、AはC-X且つBはC-Yである。
【0014】
好ましくは、R1はH及び(C1‐C4)アルキルから選ばれ、より好ましくは、R1はH、メチル及びエチルから選ばれ、さらにより好ましくは、R1はH又はメチルである。最も好ましくは、R1はHである。
【0015】
好ましくは、R2はH及び(C1‐C4)アルキルから選ばれ、より好ましくは、R2はH、メチル及びエチルから選ばれ、最も好ましくは、R2はH及びメチルから選ばれる。
【0016】
特別に好ましい実施態様においては、R2はHである。さらに特別に好ましい実施態様においては、R2はメチルである。
【0017】
好ましくは、XはH、OH及びNH2から選ばれる。最も好ましくは、XはH及びOHから選ばれる。
【0018】
特別に好ましい実施態様においては、XはHである。さらに特別に好ましい実施態様においては、XはOHである。
【0019】
好ましくは、YはH、NH2、Cl及びFから選ばれる。最も好ましくは、YはH及びNH2から選ばれる。
【0020】
特別に好ましい実施態様においては、YはHである。さらに特別に好ましい実施態様においては、YはNH2である。
【0021】
好ましくは、ZはH、OH及びFから選ばれる。最も好ましくは、ZはH又はHOから選ばれる。
【0022】
特別に好ましい実施態様においては、ZはHである。さらに好ましい実施態様においては、ZはHOである。
【0023】
本明細書中に例示された本発明の化合物(及びその塩)が特別に好ましく;より好ましいのは以下の化合物である。
【0024】
R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール (実施例7A)
S‐(+)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール (実施例7B)
R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノールハイドロクロライド (実施例8)
R‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)ベンゼン‐1,3‐ジオール
(実施例15A)
S‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)ベンゼン‐1,3‐ジオール
(実施例15B)
R‐(+)‐2‐フルオロ‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール
(実施例23A)
S‐(−)‐2‐フルオロ‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール
(実施例23B)
2‐ブロモ‐4‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール (実施例30)
2‐ヒドロキシ‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)ベンズアミド
(実施例35)
2‐ニトロ‐4‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール (実施例36)
2‐アミノ‐4‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール (実施例37)
5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)ピリジン‐2‐イルアミン
(実施例44A及び44B)
2‐クロロ‐5‐(4‐プロピル‐モルホリン‐2‐イル)フェノール(実施例54)
3‐[(5S)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン‐2‐イル]フェノール
(実施例60)
5‐[(2S、5S)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン‐2‐イル]ピリジン‐2‐アミン (実施例66)
5‐[(2R,5S)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン‐2‐イル]ピリジン‐2‐アミン (実施例67)
【0025】
最も好ましいのは、以下の化合物である:
R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール (実施例7A)
S‐(+)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール (実施例7B)
R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノールハイドロクロライド (実施例8)
R‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)ベンゼン‐1,3‐ジオール
(実施例15A)
S‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)ベンゼン‐1,3‐ジオール
(実施例15B)
R‐(+)‐2‐フルオロ‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール
(実施例23A)
S‐(−)‐2‐フルオロ‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール
(実施例23B)
5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)ピリジン‐2‐イルアミン
(実施例44A及び44B)
2‐クロロ‐5‐(4‐プロピル‐モルホリン‐2‐イル)フェノール(実施例54)
5‐[(2S、5S)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン‐2‐イル]ピリジン‐2‐アミン (実施例66)
5‐[(2R,5S)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン‐2‐イル]ピリジン‐2‐アミン (実施例67)
【0026】
本発明の化合物は、慣用方法によって様々な方法で製造されることができる。以下の経路は、式(I)の化合物の合成方法を図示しており;当業者は式(Ia)及び(Ib)の化合物が適切な分割技術によって単離されることができることを理解するであろう。
【0027】
式I(式中、AはC-X、BはC-Y、R1はH又は(C1‐C6)アルキル、R2はHであり、X、Y及びZは本明細書に記載のとおりである)の化合物は、反応スキーム1に従って製造されることができる。
【化2】

【化3】

【0028】
式(III)の化合物は、式IIのアルデヒドを、i)シアニド供給源又はニトロメタンと反応させ、続いてii)ボラン、水素化リチウムアルミニウムによる還元又は水素化によって製造されることができる。式II及び式IIIのいくつかの化合物は商業的にも入手可能である。
【0029】
式(IV)の化合物は、トリエチルアミン又は4−メチルモルホリンのような好適な塩基の存在下で、式(III)の化合物を、iii)酸クロライドと反応させることによって製造されることができる。典型的な反応条件は、ジクロロメタン中、25℃、1.0当量のアミン(III)、1.2〜2.0当量の塩基(好ましくはトリエチルアミン)、1.1〜1.3当量の酸クロライドである。
【0030】
式(V)の化合物は、式(IV)の化合物を、iv)ボラン又は水素化リチウムアルミニウムなどの還元剤で還元することによって製造されることができる。典型的な条件は、1.0当量のアミド(IV)、1.2〜3.0当量のボランをTHF中で還流することである。式(V)の化合物は、水素化シアノボロナトリウムの存在下で、式(III)の化合物を好適なアルデヒドで還元的アミノ化することによって製造されることもできる。
【0031】
式(VI)の化合物は、式(V)の化合物を、v)トリエチルアミン、炭酸ナトリウム及び水酸化カリウムなどの塩基の存在下で、クロロアセチルクロライド又は2‐置換クロロアセチルクロライド(2‐クロロプロピオニルクロライド又は2‐クロロブチリルクロライドなど)と反応させることによって製造されることができる。典型的な条件は、25℃、ジクロロメタン中、1.0当量のアミンIV、1.0〜1.3当量の酸クロライド、1.2〜2.0当量のトリエチルアミンを含み、粗反応混合物は、その後、1.2〜3.0当量の水酸化カリウム水溶液を含むIPAに溶解される。
【0032】
式(I)の化合物は、式(VI)の化合物を、vi)ボラン又は水素化リチウムアルミニウムなどの還元剤と反応させることによって製造されることができる。典型的な条件は、1.0当量のアミドVI、1.2〜3.0当量のボランをTHF中で還流することを含む。
【0033】
当業者は、X、Y又はZのうちの一つが水酸基であることによって、該水酸基をスキーム1の変換の間を通じて好適な保護基で保護し、その後、該保護基を除去することが必要であることを理解するであろう。フェノール基の脱保護方法は、保護基に依存する。保護/脱保護方法の例については、「Protective groups in Organic synthesis」、TW Greene and PGM Wutzを参照のこと。例えば、水酸基がメチルエーテルとして保護される場合には、脱保護条件は、48%HBr水溶液中で1〜24時間還流すること、又はジクロロメタン中でボラントリブロミドとともに1〜24時間攪拌することを含む。或いは、水酸基がベンジルエーテルとして保護される場合には、脱保護条件は、水素雰囲気下でのパラジウム触媒による水素化を含む。
【0034】
式(I)(式中、A又はBのうちの一つがNであり、R1がH又は(C1‐C6)アルキルであり、R2がHであり、且つX、Y、及びZが本明細書に記載のとおりであり、但し、X、Y又はZのうちの一つがNH2である。)の化合物は、反応スキーム2に従って製造されることができる。スキーム中では、BはC-Yであり、YはNH2であり;当業者は、他の化合物が同様に製造可能であることを理解するであろう。
【0035】
【化4】

【化5】

【0036】
式(VII)の化合物は、日本国特許第2001048864号に記載の方法を用いて製造されることができる。
【0037】
式(VIII)の化合物は、エポキシド(VII)を、vii)プロピラミンと反応させて製造されることができる。典型的な反応条件は、該エポキシドを過剰のアミンとそのままで、又はジメチルスルホキシド中で攪拌することを含む。
【0038】
式(IX)の化合物は、式(VIII)の化合物を、v)トリエチルアミン、炭酸ナトリウム及び水酸化カリウムなどの塩基の存在下で、クロロアセチルクロライド又は(2−クロロプロピオニルクロライド又は2‐クロロブチリルクロライドなどの)2−置換クロロアセチルクロライドと反応させることによって製造されることができる。典型的な条件は、25℃のジクロロメタン中、1.0当量のアミン(VIII)、1.2〜2.0当量のトリエチルアミンを含み、粗反応混合物はその後、1.2〜3.0当量の水酸化カリウム水溶液を含むIPAに溶解される。
【0039】
式(X)の化合物は、式(IX)の化合物を水素化リチウムアルミニウムなどの還元剤と反応させることによって製造されることができる。典型的な条件は、1.0当量のアミド(X)、1.2当量の水素化リチウムアルミニウムをTHF中で還流することを含む。
【0040】
式(I)の化合物は、ix)脱保護によって製造されることができる。典型的な条件は、エタノール中、1.0当量の化合物X、及び5当量の塩酸ヒドロキシルアミンを還流すること含む。
【0041】
式I(式中、AがC-X、BがC-Y、R1がH、そしてR2がH又は(C1-C6)アルキルであり、且つX、Y及びZが本明細書に記載のとおりである。)の化合物は、以下の反応スキーム3に従って、製造されることができる。
【0042】
【化6】

【化7】

【0043】
式(XII)の化合物は、式(XI)のアミノ酸エステルを、x)トリエチルアミン及び4‐メチルモルホリンなどの好適な塩基の存在下で、酸クロライドと反応させることにより製造されることができる。典型的な反応条件は、25℃のジクロロメタン中、1当量のアミノ酸エステル(XI)、1当量の酸クロライド及び3当量の塩基を含む。式(XI)のいくつかの化合物は商業的に入手可能である。
【0044】
式(XIII)の化合物は、式(XII)の化合物を、xi)ボラン‐THF複合体と反応させ、続いて、ボロン‐窒素複合体を酸で分解し、形成されたアミンをt‐ブチルオキシカルボニル保護することによって製造されることができる。典型的な反応条件は、1当量のアミド(XII)と3当量のBH3‐THFをTHF中で還流し、冷却し、慎重に6MのHCl水溶液を加え、さらに6時間加熱還流することを含む。続いて、溶媒を蒸発させ、メタノール:水(8:1)の混合物に再溶解し、5当量の水酸化カリウムなどの塩基及び1.5当量のジ‐tert‐ブチルジカーボネートを加え、そして混合物を72時間攪拌することを含む。
【0045】
式(XIV)の化合物は、式(XIII)の化合物を、xii)HClの有機溶媒溶液と反応させることによって製造されることができる。典型的な反応条件は、25℃のジオキサン中、1当量のカーバメート(XIII)及び1〜10当量の4M HCl溶液を含む。
【0046】
式(XV)の化合物は、式(XIV)の化合物を、xiii)トリエチルアミン又は4‐メチルモルホリンのような塩基の存在下で、2‐ブロモアセトフェノンと反応させることによって製造されることができる。2‐ブロモアセトフェノンは、商業的供給源から入手可能であり、又は代わりに当業者に周知の標準的な臭素化方法論によって親化合物であるアセトフェノンから製造されることができる。典型的な条件は、65℃で1当量のアミノアルコール(XIV)と1〜3当量のトリエチルアミン及び1当量の2‐ブロモアセトフェノンを含む。
【0047】
式(I)の化合物は、式(XV)の化合物を、xiv)トリエチルシラン及びトリメチルシリルトリフレートと反応させることによって製造されることができる。典型的な条件は、−78℃において、ジクロロメタン中の1当量のモルホリノール(XV)に5〜10当量のトリエチルシランを加えること、続いて2当量のトリメチルシリルトリフレートを加えることを含む。
【0048】
当業者は、X、Y又はZのうちの一つが水酸基であることによって、スキーム3の変換の間を通して好適な保護基で水酸基を保護し、その後、該保護基を除去することが必要であることを理解するだろう。フェノール基の脱保護方法は保護基に依存する。保護/脱保護方法論の例については、「Protective groups in Organic synthesis」、TW Greene and PGM Wutzを参照のこと。例えば、水酸基がメチルエーテルとして保護される場合、脱保護条件は、48%HBr水溶液中で1〜24時間還流すること、又はジクロロメタン中、ボラントリブロミドとともに1〜24時間攪拌することを含む。或いは、水酸基がベンジルエーテルとして保護される場合、脱保護条件は、水素雰囲気下でパラジウム触媒で水素化することを含む。
【0049】
モルホリン窒素が立体中心アルファに対して絶対的に定義されている場合の式(I)の化合物は、商業的に入手可能であるか又は化学文献における当業者にとって容易に実施できる方法によって得られることのできる、式(XI)のホモキラル化合物から出発して製造されることができる。得られた式(I)の化合物は、HPLCカラム上で分離されることのできるジアステレオ異性体混合物を含む。典型的な条件は、100%メタノール移動相を用いてChiralcel OJ-Hカラムを通して溶出することを含む。
【0050】
式(I)(式中、A又はBの一方がN、R1はH、R2はH又は(C1‐C6)アルキルであり、且つ、X、Y及びZは本明細書に記載されたとおりであり、但し、X、Y又はZのうちの一つはNH2である。)の化合物は、反応スキーム4に従って製造されることができる。該スキームは、BがC‐Yであり、YがNH2であるように示され;当業者は他の化合物も同様に実施可能であることを理解するだろう。
【0051】
【化8】

【化9】

【化10】

【0052】
式(XVIII)の化合物は、式(XVI)の化合物を、xv)トリエチルアミン又は4‐メチルモルホリンのような塩基の存在下で、式(XIV)のアミノアルコールと反応させることによって製造されることができる。典型的な条件は、室温以上の温度で、トルエンを溶媒として使用して、1当量のアミノアルコール(XIV)と1〜3当量のトリエチルアミン及び1当量の式(XVI)の化合物を含む。式(XVI)の化合物は商業的に入手可能である。
【0053】
式(IXX)の化合物は、式(XVIII)の化合物を、xvi)式(XVII)のブロミドから形成された有機金属試薬と反応させることによって製造されることができる。好適な有機金属試薬は、グリニヤール(有機マグネシウム)又は有機リチウム試薬を含み、これらはブロミドからハロゲン金属交換によって製造されることができる。典型的な条件は、室温で、テトラヒドロフランのような無水エーテル溶媒中のブロミド(XVII)にイソプロピルマグネシウムクロライドを加え(て、ハロゲン金属交換を実施し)、続いてモルホリノン(XVIII)を加えることを含む。ブロミド(XVII)は、PCT国際特許出願公開第WO9932475号に記載の方法を使用して製造されることができる。
【0054】
モルホリノール(IXX)は、xvii)メタノールのようなアルコール溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムのような水素化物還元試薬との反応によってジオール(XX)に還元されることができる。
【0055】
式(XXI)の化合物は、ix)脱保護によってジオール(XX)から製造されることができる。典型的な条件は、1.0当量の化合物(XX)及び5当量の塩酸ヒドロキシルアミンをエタノール中で還流することを含む。
【0056】
式(I)の化合物は、xviii)酸処理することによって、式(XXI)の化合物を環化することによって製造されることができる。典型的な条件は、室温以上の温度で、濃硫酸及びジクロロメタンを溶媒として使用することを含む。
【0057】
すべての上記反応及び先の方法において使用する新規な出発物質の製造のすべては慣用法であり、それらの実施又は製造のための適切な試薬及び反応条件並びに所望の生成物の単離方法は、先行文献及び本明細書中の実施例及び製造法を参照することによって当業者に周知であろう。
【0058】
本発明の化合物は、病気の状態の治療における選択的D3アゴニストとして有用である。D2及びD3両方のアゴニストとしての活性を有する化合物は多数あるが、そのような化合物の使用は、悪心、嘔吐、失神、低血圧及び徐脈を含む多数の副作用と結びついており、そのうちのいくつかは深刻な関心事の原因である。
【0059】
従来の化合物の有効性はそれらのD2への作用から生じているということが以前は支持されていたが、D2への作用は、上記で詳述された副作用の原因に含まれる。
【0060】
本発明は、選択的D3アゴニストのクラスを提供する。これらは、非選択的な従来の化合物に結びついた副作用を低減させる一方、有効であることが新たに発見された。
【0061】
本発明の化合物は、性的機能不全、性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガズム障害、及び性的疼痛障害を含む女性の性的機能不全;男性勃起機能不全、高血圧、神経変性、精神医学的障害、うつ病(例えば、癌患者におけるうつ病、パーキンソン病患者におけるうつ病、心筋梗塞後のうつ病、亜症候群性の症候性うつ病(subsyndromal symptomatic depression)、不妊女性におけるうつ病、小児科のうつ病、大うつ病、単回発症のうつ病、再発性のうつ病、児童虐待により誘発されたうつ病、産後のうつ病、不機嫌な老人症候群)、全般性不安障害、恐怖(例えば、広場恐怖、社会恐怖、及び単純恐怖)、外傷後ストレス症候群、回避性人格障害、早漏、摂食障害(例えば、拒食症、神経性過食症)、肥満、薬物依存症(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、ニコチン及びベンゾジアゼピンへの依存)、群発性頭痛、偏頭痛、疼痛、アルツハイマー病、強迫性障害、パニック障害、記憶障害(例えば、痴呆症、健忘症、及び加齢関連認知低下(ARCD))、パーキンソン病(例えば、パーキンソン病における痴呆症、神経遮断薬により誘発されたパーキンソニズム、及び遅発性ジスキネジア)、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、(特に、脳脈管構造の)血管攣縮、小脳失調症、(運動性及び分泌における変化を含む)胃腸管障害、統合失調症の陰性症状、月経前症候群、線維筋痛症症候群、ストレス失調症、トゥーレット症候群、抜毛癖、窃盗癖、男性のインポテンス、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性片偏頭痛、(血管障害に関連する)頭痛、情緒不安定、病理学的な泣き、睡眠障害(脱力発作)並びにショックの治療に有用である。
【0062】
本発明の化合物は、女性の性的機能不全、男性の勃起不全、神経変性、うつ病及び精神医学的障害の治療に特に有用である。
【0063】
本発明の化合物は、男性の性的機能不全、特に男性の勃起障害において有用である。男性勃起障害としても知られている、男性の勃起不全(MED)は、「満足のいく性交行為のためにペニスの勃起を達成し及び/または維持することができないこと」と、定義される(NIH Consensus Development Panel on Impotence, 1993)。
【0064】
40歳〜70歳の男性における全ての程度(最小の、中程度の、及び完全なインポテンス)の勃起不全(ED)の罹患率は、52%と推定され、それは、70歳よりも高齢の男性よりも高い比率であった(Melman et al 1999, J. Urology, 161, p5-11)。その状態は、個人及びそのパートナーの生活の質に顕著な負の影響を及ぼし、しばしば、うつ病及び自尊心の低下につながる不安及び緊張の増大を引き起こす。20年前にはMEDは主に精神的障害であると考えられていた(Benet et al 1994 Comp. Ther. , 20: 669-673)にもかかわらず、現在は大多数の人においては器質性の原因が潜んでいることが知られている。その結果、正常のペニスの勃起のメカニズム及びMEDの病態生理の同定において多大な進歩がなされた。
【0065】
ペニスの勃起は、ペニスの海綿体平滑筋及び血管の収縮及び弛緩のバランスに依存する血行動態学的事象である(Lerner et al 1993 J. Urology, 149 1256-1255)。本明細書中で、海綿体平滑筋は、体部平滑筋又は複数の意味の海綿体平滑筋も意味する。(ペニスの)海綿体平滑筋の弛緩は、(ペニスの)海綿体の柵上織空間への血流を増加させ、周囲の膜に対して膨張してそこから流れ出る静脈を圧迫する。これは、血圧を非常に上昇させて勃起を引き起こす(Naylor, 1998, J. Urology, 81, 424-431)。
【0066】
勃起過程の間に起こる変化は複雑で末梢及び中枢神経系並びに内分泌系を含む高度に協同的な制御を必要とする(Naylor, 1998, J. Urology, 81, 424-431)。(ペニスの)海綿体平滑筋の収縮は、シナプス後α1アドレノセプターの活性化を介する交感神経性のノルアドレナリン作動性神経支配によって調節される。MEDは、(ペニスの)海綿体の内因性の平滑筋緊張の増加と関連している。しかしながら、(ペニスの)海綿体平滑筋弛緩の過程は、非アドレナリン作動性、非コリン作動性(NANC)の神経伝達によって部分的に仲介される。ペニス中には、NO以外の多数の他のNANC神経伝達物質が見出されており、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)及び血管作用性小腸ペプチド(VIP)などがある。この弛緩の原因となる主な弛緩因子は、ニトリックオキシドシンターゼ(NOS)によってL-アルギニンから合成される酸化窒素(NO)である(Taub et al 1993 Urology, 42, 698-704)。体部平滑筋の緊張を減少させることは、NOが(ペニスの)海綿体の弛緩を誘発することを助けると考えられる。男性における性的興奮の間、神経及び内皮からNOが放出され、平滑筋細胞及び内皮中にある可溶性グアニレートシクラーゼ(sGC)に結合しそして活性化し、細胞内のサイクリックグアノシン3',5'‐モノホスフェート(cGMP)レベルを上昇させる。cGMPのこの上昇は、細胞内カルシウム濃度([Ca2+]i)の低下による(ペニスの)海綿体の弛緩を起こし、これは、(おそらく、Ca2+ポンプ及びCa2+‐活性化K+チャンネルの活性化による)プロテインキナーゼGの活性化を含むと考えられる未知のメカニズムを介する。
【0067】
性的行動の調節のための複数の潜在的部位が中枢神経系内に同定された。主要な神経伝達物質はセロトニン、ノルエピネフリン、オキシトシン、酸化窒素及びドパミンであると考えられる。これらの主要神経伝達物質のうちの一つの作用を擬態することによって、性的機能は調節可能である。ほとんどのドパミンD3受容体は、報酬、感情及び認知過程に関与する脳の領域である大脳辺縁系においてのみ発現される。
【0068】
理論にとらわれることなく、「運動の制御におけるその役割によって、黒質線条体のドパミン作動性経路の完全性もまた、交尾行動のディスプレイに必須なものである。ともかくも、性的機能に関してより特異的には、ドパミンは、視床下部の室傍核中にあるオキシトシン作動性ニューロン、及びおそらく勃起前の軸索内の仙椎の副交感神経神経核に作用することによって、ペニスの勃起を誘発することができる」らしい。重要な部位は、以前に考えられていたD2とは異なり、D3であるらしい。
【0069】
つまり、D3は、性的行動のイニシエーターである。
【0070】
したがって、本発明は、勃起不全の治療又は予防のための医薬の製造における式(I)の化合物の使用を提供する。
【0071】
軽度〜中程度のMEDを有する患者は、本発明の化合物による治療によって利益を得るはずであり、重度のMEDを有する患者もまた応答するかもしれない。しかしながら、初期の研究によれば、軽度、中程度及び重度のMEDを有する患者の応答者率は、選択的D3アゴニスト/PDE5阻害剤の併用でより高いことが示唆された。軽度、中程度及び重度のMEDは、当業者に知られた用語であるが、The Journal of Urology, Vol. 151, 54-61(Jan 1994)中に説明がある。
【0072】
初期の研究は、以下に示されたMED患者群が選択的D3アゴニスト及びPDE5i(又は以下に記載される他の組み合わせ)による治療から利益を受けるに違いないことを示唆した。Clinical Andrology vol.23, no.4, p773-782及びMosby-Wolfeから出版されたI.Eardley and K. Sethia著「Erectile Dysfunction-Current Investigation and Management」の第3章中により詳細に記載されたこれらの患者群は、以下の:心因性の、器質性の、血管性の、内分泌性の、神経因性の、動脈性の、薬物誘発性の性的不全(乳腺刺激性)及び海綿体因子、特に静脈性の原因に関連する性的不全の患者群である。
【0073】
したがって、本発明は、勃起不全の治療のためにPDE5阻害剤と併用される医薬の製造における、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物の使用を提供する。
【0074】
好適なPDE5阻害剤を本明細書中に記載する。
【0075】
本発明の化合物は、女性の性機能不全(FSD)、特にFSADの治療又は予防のために有用である。
【0076】
本発明によれば、FSDは、女性が性的表現において満足を見出すことが困難であるか又は不可能であること、と定義されることができる。FSDは、いくつかの異なる女性性的障害の集合名詞である(Leiblum, S.R. (1998)-Definition and classification of female sexual disorders Int. J. Impotence Res., 10, S104-S106; Berman, J.R., Berman, L. & Goldstein, I. (1999)-Female sexual dysfunction: Incidence, pathophysiology, evaluations and treatment options. Urology, 54, 385-391)。その女性は、欲求の欠如、興奮又はオルガズムの困難性、性交痛又はこれらの問題の組み合わせを有することができる。いくつかのタイプの病気、薬物、負傷、又は精神的問題がFSDを引き起こすことができる。開発中の治療法は、特別なサブタイプのFSD、主に欲求及び興奮における障害を治療することを目的とする。
【0077】
FSDのカテゴリーは、それらを以下の正常な女性の性的応答面:欲求、興奮及びオルガズムと比較することによって最もよく定義される(Leiblum, S.R. (1998)-Definition and classification of female sexual disorders. Int. J. Impotence Res., 10, S104-S106)。欲求又はリビドーは、性的表現のための衝動である。それが現れるときは、興味のあるパートナーとともにある時又は他の性愛的刺激に曝されたときのいずれかにおける性的思考を含む。興奮は、性的刺激に対する血管の応答であり、そこで重要なのは生殖器の怒張であり、膣の潤滑性の増加、膣の伸長及び生殖器の感覚/感受性の増大を含む。オルガズムは、興奮の間に蓄積した性的緊張の開放である。
【0078】
したがって、FSDは、女性がこれらの面、通常は欲求、興奮又はオルガズム、のいずれかにおいて不適切な又は不満足な応答を有する場合に起こる。FSDのカテゴリーは、性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガズム障害、及び性的疼痛障害を含む。本発明の化合物は(女性性的興奮障害におけるように)性的刺激に対する生殖器の応答を改善するが、それはまた、関連する疼痛、悩み、及び性交に伴う不快感をも改善し、他の女性性的障害を同様に治療することができる。
【0079】
性的欲求低下障害は、女性が性的でありたいと全く又はほとんど欲求しないか、或いは性的思考又は空想を全く又はほとんどもたない場合に、存在する。このタイプのFSDは、自然の更年期又は手術による更年期によるテストステロンレベルの低さが原因となることができる。他の原因は、病気、投薬、疲労、うつ病及び不安を含む。
【0080】
女性性的興奮障害(FSAD)は、性的刺激に対する不適切な生殖器の応答に特徴を有する。生殖器は、正常の性的興奮に特徴的な怒張をしない。膣壁は潤滑性が低く、したがって、性交は痛みを伴う。オルガズムは妨害されるかもしれない。興奮障害は、更年期又は出産後及び授乳中における減少したエストロゲン、並びに糖尿病及び動脈硬化などの血管構成成分の病気によって引き起こされることができる。他の原因は、利尿薬、抗ヒスタミン剤、選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)などの抗うつ剤又は抗高血圧剤による治療から生じる。
【0081】
(性交疼痛症及び膣痙攣を含む)性的疼痛障害は、貫通から生じる痛みに特徴を有し、そして潤滑性を低下させる薬物、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患、炎症性大腸疾患又は尿路の問題によって引き起こされることができる。
【0082】
先に述べたように、D3は性的行動のイニシエーターと考えられる。クリトリスはペニスの相同体であると考えられ(Levin, R.J. (1991), Exp. Clin. Endocrinol. 98, 61-69);男性において勃起応答を起こすのと同じメカニズムが、女性において生殖器の血流を増加させFSDに対する付随する効果を及ぼす。さらに、前進性及び能動性が変化する。
【0083】
したがって、本発明の好ましい側面によれば、女性性的機能不全、より特別には性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガズム障害及び性的疼痛障害の治療又は予防のための医薬の製造における、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物の使用が提供される。
【0084】
好ましくは、式(I)の化合物は性的興奮障害、オルガズム障害、及び性的欲求低下障害の治療又は予防、最も好ましくは性的興奮障害の治療又は予防に有用である。
【0085】
好ましい実施態様においては、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物は女性性的興奮障害及び付随する性的欲求低下障害を有する対象の治療において有用である。
【0086】
American Psychiatric AssociationのDiagnostic and Statistical Manual(DSM) IVは、女性性的興奮障害(FSAD)を以下の:「…性的活動の完結までの間に、性的興奮に対する潤滑‐膨潤応答を達成又は維持することの持続性又は再発性の不可能性。この障害は、顕著な悩み又は個人的な問題の原因となり…」として定義する。
【0087】
興奮応答は、骨盤内の血管うっ血、膣の潤滑及び外部生殖器の膨張及び膨潤から成る。その妨害は、顕著な悩み又は個人的な問題の原因となる。
【0088】
FSADは、閉経前、閉経中、及び閉経後(±ホルモン補充療法(HRT))の女性に発症する、広く蔓延している性的障害である。それは、うつ病、冠血管障害、糖尿病及び泌尿生殖器(UG)の障害などの付随性の障害と関連している。
【0089】
FSADの主要な結果は、怒張/膨潤の欠如、潤滑性の欠如及び喜ばしい生殖器の感覚の欠如である。FSADの二次的な結果は、性的欲求の低下、性交中の疼痛及びオルガズムを達成することの困難性である。
【0090】
FSADの症状を有する患者の少なくとも一部分は、血管に原因があるという仮説が最近立てられ(Goldstein et al., Int. J. Impot. Res. 10, S84-S90, 1998)、動物実験はこの見解を支持している(Park et al., Int. J. Impot. Res. 9, 27-37, 1997)。
【0091】
R.J. Levinは、「…男性及び女性生殖器は、共通の組織原基から発生学的に発達するため、男性及び女性生殖器の構造はお互いに相同であると論じられている。したがって、クリトリスはペニスの相同体であり、陰唇は陰嚢の相同体であり…」と教示する(Levin, R.J. (1991), Exp. Clin. Endocrinol. , 98, 61-69)。
【0092】
現在有効性試験中の、FSADの治療のための候補薬物は、主に男性生殖器への循環を促進する勃起不全の治療用である。
【0093】
本発明の化合物は、正常の性的興奮応答を回復するための手段−すなわち、膣の、クリトリスの、そして陰唇の怒張に導く生殖器の血流増加を提供することによって有益である。これは、血漿浸出物を介する膣の潤滑性の増大、膣の伸展性の増大、及び生殖器の感受性の増大をもたらす。したがって、本発明は、正常の性的興奮応答を回復又は強化するための手段を提供する。
【0094】
したがって、本発明の好ましい側面によれば、女性性的興奮障害の治療又は予防のための医薬の製造における、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物の使用が提供される。
【0095】
本明細書中の女性生殖器によって、我々は、以下の:「内部群及び外部群からなる生殖器官。内部器官は、骨盤内に位置し、卵巣、輸卵管、子宮、及び膣から成る。外部器官は、尿生殖膜の表面上及び骨盤弓の下にある。それらは、恥丘、大陰唇、小陰唇、クリトリス、膣前庭、前庭球、及び大前庭腺を含む。」を意味する(Gray's Anatomy, C.D. Clemente, 13th American Edition)。
【0096】
本発明の化合物は、FSD患者の以下の亜個体群における適用を見出す:若年、壮年、閉経前、閉経中、ホルモン補充療法を受けているか又は受けていない閉経後の女性。
【0097】
本発明の化合物は、以下の:
i) 冠血管又は動脈硬化疾患、高コレステロール血症、喫煙、糖尿病、高血圧、放射線及び会陰の外傷、腸骨下腹陰部血管系への外傷などの血管性の病因;
ii) 軸索の損傷又は多発性硬化症、糖尿病、パーキンソニズム、脳血管のアクシデント、末梢のニューロパチー、外傷若しくは骨盤の根治手術を含む中枢神経系の病気のような神経因性の病因;
iii) 視床下部/下垂体/性腺の軸椎の機能不全又は卵巣機能不全、膵臓の機能不全、外科的又は医薬による去勢、アンドロゲン欠乏、高プロラクチン血症などの循環中の高レベルのプロラクチン、自然の閉経、早発卵巣不全、甲状腺機能亢進症及び甲状腺機能低下症などのようなホルモン/内分泌の病因;
iv) うつ病、強迫性障害、不安障害、産後うつ/「ベビーブルー」、感情的な及び関係する事柄、遂行不安、夫婦間の不和、抑うつスキーマ、性的恐怖、信仰による妨害又は過去の外傷の経験のような心理学的病因;
v) 選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)及び他の抗うつ薬(三環系抗うつ薬及び神経安定薬)、抗高血圧薬、交感神経遮断薬、慢性の経口避妊薬による治療により生じた薬物性の性的機能不全;
から生じるFSDを有する患者への適用を見出す。
【0098】
本発明の化合物はまた、うつ病の治療においても有用である。
【0099】
ドパミンD3受容体は、報酬、感情及び認知過程に関与する領域である、脳の辺縁系においてほとんど独占的に発現される。いくつかのクラスの抗うつ薬による慢性の治療が、辺縁系におけるD3の発現を増加させ、そしてデシプラミンの抗うつ効果が、スルプリド(D2/D3アンタゴニスト)を側坐核(D3に富む領域)に注入した場合にはブロックされるが、尾状核(caudate-putamen)(ドパミンD2受容体に富む領域)に注入した場合ではブロックされることができないことが知られている。さらに、うつ病の前臨床モデル及びD3選択的アゴニストであるプラミペキソール(pramipexol)で治療される患者において、抗うつ効果が観察された。利用可能な情報は、D3受容体が抗うつ活性を仲介し、選択的D3受容体アゴニストが抗うつ薬の新しいクラスを代表することを示唆する。抗うつ薬が他の精神医学的疾患において有効であることが知られているため、D3アゴニストは精神医学的疾患を治療する可能性を有するであろう。
【0100】
本発明は、うつ病及び精神医学的疾患の治療のための医薬の製造における選択的D3アゴニストの使用を提供する。
【0101】
好ましくは、前記D3アゴニストは、EC50で表して、1000nM未満、より好ましくは100nM未満、さらにより好ましくは50nM未満、最も好ましくは10nM未満のD3受容体における機能的作用を示す。
【0102】
好ましくは、前記D3アゴニストは、D2よりもD3に対して選択的であり、ここで、前記ドパミンD3受容体アゴニストは少なくとも約15倍、好ましくは少なくとも約27倍、より好ましくは少なくとも約30倍、最も好ましくは少なくとも約100倍、ドパミンD2受容体に比べてドパミンD3受容体に対して機能上、選択的である。
【0103】
適した状態は、うつ病(例えば、癌患者におけるうつ病、パーキンソン病患者におけるうつ病、心筋梗塞後のうつ病、亜症候群性症候性うつ病(subsyndoromal symptomatic depression)、不妊女性におけるうつ病、小児科のうつ病、大うつ病、単回発症のうつ病、再発性のうつ病、児童虐待により誘発されたうつ病、産後のうつ病及び不機嫌な老人症候群)、全般性不安障害、恐怖(例えば、広場恐怖、社会恐怖、及び単純恐怖)、外傷後ストレス症候群、回避性人格障害、摂食障害(例えば、拒食症、神経性過食症)、肥満、薬物依存症(例えば、アルコール、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、ニコチン及びベンゾジアゼピンへの依存)、アルツハイマー病、強迫性障害、パニック障害、記憶障害(例えば、痴呆、健忘症、及び加齢関連認知低下(ARCD))、パーキンソン病、(例えば、パーキンソン病における痴呆、神経遮断薬により誘発されたパーキンソニズム、及び遅発性ジスキネジア)、内分泌の障害(例えば、高プロラクチン血症)、(特に、脳の脈管構造の)血管攣縮、小脳失調症、統合失調症の陰性症状、ストレス失調症、トゥーレット症候群、抜毛癖、窃盗癖、注意欠陥多動性障害(ADHD)、慢性発作性片偏頭痛、情緒不安定、病理学的な泣き、睡眠障害(脱力発作)並びにショックを含む。
【0104】
好ましい実施態様において、本発明は、うつ病又は精神医学的障害の治療のための医薬の製造における、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物の使用を提供する。
【0105】
好適なうつ状態及び精神医学的障害は上で記載した。
【0106】
本発明の化合物はまた、神経変性の治療において有用であり;神経変性の原因は神経毒;例えば網膜、視神経及び/又は後頭葉視覚経路中の視覚経路中の発作などの神経変性によって引き起こされた視覚の喪失;てんかんの失神発作;並びにグルコース及び/又は酸素の脳への供給に関連する機能障害を含む。
【0107】
したがって、本発明は、神経変性の治療のための医薬の製造における選択的D3アゴニストの使用を提供する。
【0108】
好ましくは、前記D3アゴニストはD3受容体において機能的作用を示し、それはEC50で表して、1000nM未満、より好ましくは100nM未満、さらにより好ましくは50nM未満、最も好ましくは10nM未満である。
【0109】
好ましくは、前記D3アゴニストは、D2よりもD3に対する選択性を有し、ここで、前記ドパミンD3受容体アゴニストは、ドパミンD2受容体に比べてドパミンD3受容体に対しては少なくとも約15倍、好ましくは少なくとも約27倍、より好ましくは少なくとも約30倍、最も好ましくは少なくとも約100倍、機能的に選択性である。
【0110】
好ましい実施態様においては、D3アゴニストは式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物である。
【0111】
性的機能不全、うつ病、神経変性及び精神医学的障害の治療におけるそれらの役割に加えて、本発明の化合物は多数のさらなる適応症において有効であると考えられる。
【0112】
したがって、本発明は、高血圧、早漏、肥満、群発性頭痛、偏頭痛、疼痛、内分泌障害(例えば、高プロラクチン血症)、(特に、脳脈管構造の)血管攣縮、小脳失調症、(運動及び分泌における変化を含む)胃腸管障害、月経前症候群、線維筋痛症症候群、ストレス失調症、抜毛癖、慢性発作性片偏頭痛、(血管障害に関連した)頭痛の治療のための医薬の製造における、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物の使用を提供する。
【0113】
D3/D2アゴニスト結合アッセイ
Gonazalez ら(Eup. J Pharmacology 272(1995) R1-R3)は、化合物のD3及び/又はD2ドパミン受容体における結合能、そしてそのような化合物の結合選択性の測定法を開示する。したがって、このアッセイは本明細書中で結合アッセイと呼ばれる。
【0114】
D3/D2アゴニスト機能性アッセイ
化合物のD3及び/又はD2ドパミン受容体における活性を機能的に測定する好適なアッセイが以下に詳述される。
【0115】
それぞれヒトD2及びD3受容体を発現するGH4C1及びCHO細胞株におけるcAMPレベルを見ることによって、化合物はドパミンD2及びD3受容体におけるアゴニスト又はアンタゴニストとして評価される。
【実施例】
【0116】
実験手順
フォルスコリン刺激によるアデニレートシクラーゼ活性のドパミンD3受容体を介する阻害
【0117】
材料
細胞培養培地:
【表1】

ヒトドパミンD3受容体を発現するhD3CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を自分で作製した。これらの細胞はジヒドロフォレートレダクターゼ遺伝子を欠いている。
【0118】
培地は、毎週新たに以下のように作り、0.22μMフィルターで使用前にろ過する。培地を4℃で保存し、細胞への添加の前に37℃に温める。
【0119】
細胞解離溶液(CDS):(Sigma C-5914)
225cm2のフラスコから細胞を収集するために5mlを用いた(37℃で、hD2LGH4C1細胞については5分及びhD3CHO細胞については10分)。
【0120】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS):(Gibco. 14040-091)
【0121】
トリパンブルー(Sigma T8154)
【0122】
フォルスコリン(Calbiochem 344273)
蒸留水に20mMの濃度となるように溶解する(この原液を+4℃で保存する)。PBS緩衝液で500倍に希釈し、40μMの4倍アッセイ原液を作る。上記40μMの原液25μlを加えて最終アッセイ容積100μlとし、最終アッセイ濃度10μMとする。
【0123】
試験化合物
100%DMSO中に溶解して、10mMの原液濃度とする。
【0124】
プラミペキソール標準液
100%DMSO中に溶解して、10mMの原液濃度とする。
【0125】
シクラーゼ活性化フラッシュプレートアッセイ(NEN SMP004B)
Perkin-Elmer Life Sciences, Incより供給される。
【0126】
[125I]‐サイクリックアデノシンモノホスフェート(cAMP)(NEX 130)
Perkin-Elmer Life Sciences, Incより供給される。
【0127】
特別な機器
Westbartマイクロタイタープレートシェーカー/インキュベーター
Packard Topcount NXT (ECADA適合プログラム)
Tecan Genesis
Labsystems Multi-drop DW
【0128】
hD3CHO細胞による化合物活性試験のプロトコール
化合物の希釈液
・プラミペキソールを参照標準物質として含めた。10ポイントの片対数曲線を4つのプレートそれぞれについて作成した。化合物の結果は、細胞によって生じた最小の応答(0nM プラミペキソール)及び最大の応答(100nM プラミペキソール)に対して正規化する。すべての試験化合物を10ポイント(片対数)曲線によって試験してもよい。
・試験化合物を100%DMSOに溶解して10mMの原液濃度とする。これらをさらに100%DMSOで10倍希釈して1mMとする(1000×最終アッセイ濃度では、例えば1mMは1μMの濃度を与える。)
・プラミペキソールを100%DMSOに溶解して、10mMの濃度とする。プラミペキソールを、100%DMSOでさらに100倍希釈して、0.1mMとする。
・さらなる希釈及び添加は、3.159倍(片対数単位)の連続的な希釈を行うことのできる適切なTecan Genesisプロトコールを用いて、0.4%DMSO/PBS中で行う。
【0129】
TECAN GENESIS希釈
・10μlの試験化合物をマイクロプレートの列1に加える。240μLの0.4%DMSO/PBSをこれに加え、25倍希釈する(0.04mM)。20μLの0.04mM希釈液を列2のウエルに移し、ここへ180μLの0.4%DMSO/PBSを加え、さらに10倍希釈して4x最高アッセイ濃度を達成する(0.004mM)。
・連続的に希釈を行って(3.159倍)、以下の一連の片対数希釈:4μM、1.27μM、400nM、127nM、40nM、13nM、4nM、1.27nM、0.4nM、0.1nM、を達成する。
・(二連で)25μLの連続的な希釈液をフラッシュプレートの列2〜11に移す。最終的なアッセイ体積が100μLであるため、最終的なアッセイ濃度は、以下の:1000nM、317nM、100nM、32nM、10nM、3.2nM、1nM、0.3nM、0.1nM、0.03nM、になる。
・最小の対照(低濃度対照):25μLの0.4%DMSO/PBS(ビヒクル)を、以下のウエル(列1のウエルE〜H及び列12のウエルA〜D)に加える。細胞+フォルスコリンを後に加える。
・最大の対照(高濃度対照):10mMのプラミペキソールを、PBS中で250倍希釈して(10μL+2490μL PBS)、40μMのプラミペキソールを生成する。40μLのプラミペキソールを、0.4%DMSO/PBSでさらに希釈して(100μL+9900μL ビヒクル)、400nMを生成する(4xアッセイ濃度の標準プラミペキソール)。25μLの400nMプラミペキソールをフラッシュプレートの以下のウエル:列1のウエルA〜D及び列12のウエルE〜Hに加えて最終的に100nMのプラミペキソールを得る。細胞+フォルスコリンを後に加える。
【0130】
シクラーゼ活性化フラッシュプレートアッセイ(NEN SMP004B)
・材料のセクションで説明したように、フォルスコリンを蒸留水に溶解して20mMの原液濃度とする。PBSを用いてこれをさらに40μMに希釈する(4xアッセイ濃度)。40μMの原液25μLをMulti-dropを用いてすべてのウエルに加え、10μMとする。その後、プレートを密封し、Westbartインキュベーター中、37℃でインキュベートする一方、細胞を収集する。
・70%〜80%コンフルエントなフラスコから細胞を収集する。細胞に加えるすべての成分を37℃に温めることは必須である。T225フラスコあたり、5mLのCDSを加えて37℃で5分インキュベートした後、5mLのPBSで中和する。そして、細胞を160g(1000rpm)で5分間、遠心分離する。得られた上清を捨て、細胞を(37℃に温めた)刺激用緩衝液(Stimulation Buffer)に再懸濁して、5×105細胞/mlとする。そして、50μlの細胞懸濁液をフラッシュプレートのすべてのウエルに分注する。
・プレートを直ちに振とうインキュベーター上で37℃、15分間インキュベートする。すべてのウエルにおいて、100μlの検出用混合物(Detection Mix)で反応を終了させる(1プレートあたり100μL125IcAMP:11mL検出用緩衝液)。
・プレートを再び密封して、暗所で3時間インキュベートして、(ウエルをコーティングしている)抗‐cAMP抗体、[125I]‐cAMPトレーサー及び細胞内cAMPの間を平衡化させる。
・好適なECADA適合プロトコール(プロトコール75)を用いて、プレートをPackard Topcount NXT上で計数する。
【0131】
凍結アンプルの蘇生
アンプル液体窒素中から取り出し、2分間平衡化させる。なぜなら、トラップされた気体又は液体がアンプルを急速に膨張させそして破裂させるかもしれないからである。融解の前にそれらを2分間−20℃におくことも可能である。
【0132】
37℃の水浴中でアンプルを迅速にそして完全に融解する。
【0133】
細胞懸濁液を、10mLの培地を含む75cm2のフラスコに移し、37℃、5%CO2で24時間インキュベートする。細胞が付着した後(3〜6時間)、培地を除去し、そして(DMSOを除去するために)新鮮な培地と交換する。24時間後、コンフルエントになってきたら、細胞を225cm2フラスコに移す。そうでなければ、70〜80%コンフルエントになるまで細胞を維持する。
【0134】
細胞収集及び分割
月曜日及び火曜日のアッセイのために、細胞を金曜日に分割する。週の残りの日のために必要な細胞は月曜日に分割する。
【0135】
細胞の増殖性の応答に対して有害な影響を与え、そして結果的にアッセイにおける細胞の能力に影響を与えることとなるため、hD3CHO細胞を80%超のコンフルエントまで増殖させないこと、又は1:20を超える分割をおこなうことが必須である。
【0136】
細胞を225cm2フラスコ(Jumbos)中で増殖させる。細胞に添加された各成分は、使用前に37℃まで温められなければならない。
【0137】
細胞収集
増殖用培地をフラスコから除去し、細胞を温めたPBS(Gibco. 14040-091)で洗浄し、取り出す。
・5mLの細胞解離用緩衝液を細胞に加え、約5分間インキュベーター中に置く。
・組織培養プラスチックから残った細胞を取り除くためにフラスコを強く叩く。
・5mLのPBSを細胞に加え、底部及びフラスコを洗うために使用する。細胞を160g(1000回転/分)で5分間遠心分離し、細胞を沈殿させる。
・上清を捨て、5mLの刺激用緩衝液を使用して細胞を再懸濁する。生細胞数を測定するために、トリパンブルー排除アッセイを行う。
・細胞を刺激用緩衝液で希釈して、5×105細胞/mLの濃度とする。
・細胞の継代培養のためには、遠心分離ステップは省くことができ、そして細胞懸濁液を50mLの培地を含む新たなT225フラスコに注ぎこむ。
【0138】
分割比
hD3CHOを1:5〜1:10の間で分割する。細胞株の特性が継代数の増加に伴って失われるため、30を超える継代数で培養を持続することはできない。
【0139】
細胞株の凍結保存
さらなる使用のための蘇生のためにあなたの所有する細胞の細胞バンクを作成することが必要である。
・先のセクションにおける記載のとおり、細胞を収集する。トリパンブルー排除アッセイに続いて、10%DMSOを含む培地で細胞を希釈して2〜4×106細胞/mlとする。
・細胞を1mlのアリコートに分割し、すぐに(新鮮なIPAを含む)「Mr Frosty」中、−80℃で徐々に凍結し、気相液体窒素貯蔵容器へ移す(細胞は2日間までは「Mr Frosty」中で貯蔵することができる)。
【0140】
凍結後に一つのアンプルを融解することによって、細胞生存率を試験することを薦める。70%未満の生存率は、細胞数の低さ及び死細胞の細片の存在によって回収率に問題を起こすかも知れない。
【0141】
データ分析
データをECADAを使用して分析する。
以下の式によって、すべての化合物についての(プラミペキソロールに関する)正規化%を計算する:
正規化%=(X−B0)/(Max−B0)×100
ここで、X=試験化合物の所定の濃度についての純計測数の平均
B0=最小の対照(0nMのプラミペキソール)の純計測数の平均、及び
Max=最大の対照(100nMのプラミペキソロール)についての純計測数の平均
を表す。
【0142】
曲線は、正規化%(y)対nMで表したアゴニスト濃度(x)をプロットすることによって作成されることができる。1に制限された傾斜を有する非線形回帰を用いてデータを当てはめる。これにより、試験化合物についてのEC50及び%Emaxを決定する。
【0143】
アッセイプレートの配置(10点法のEC50):
【表2】

【0144】
ドパミンD2受容体を介するフォルスコリン刺激性アデニレートシクラーゼ活性の阻害
材料
細胞培地:
【表3】

以下のようにして培地を毎週新たに作製し、使用前に0.22μMフィルターを通してろ過する。培地を4℃で貯蔵し、細胞に加えるために37℃に温める。
【0145】
細胞解離用溶液(CDS):(Sigma C-5914)
225cm2のフラスコから細胞を収集するために5mLを使用する。
【0146】
リン酸緩衝生理食塩水(PBS):(Gibco. 14040-091)
【0147】
トリパンブルー:(Sigma T8154)
【0148】
フォルスコリン(Calbiochem 344273)
20mMの濃度になるように蒸留水に溶解する(この原液を+4℃で貯蔵する)。
PBS緩衝液中で1000倍希釈して20μMの4×アッセイ原液を作製する。25μlの20μM原液を最終アッセイ容積100μlになるように加え、最終アッセイ濃度である5μMとする。
【0149】
試験化合物
10mMの濃度となるように、100%DMSOに溶解する。
【0150】
プラミペキソール標準液
10mMの最終原液濃度となるように、100%DMSOに溶解する。
【0151】
シクラーゼ活性化フラッシュプレートアッセイ(NEN SMP004B)
Perkin-Elmer Life Sciences, Incより供給される。
【0152】
125I]−サイクリックアデノシンモノホスフェート(cAMP)(NEX 130)
Perkin-Elmer Life Sciences, Incより供給される。
【0153】
特別な機器
Westbartマイクロタイタープレートシェーカー/インキュベーター
Packard Topcount NXT(ECADA 適合プログラム)
Tecan Geneis
Labsystems Multi-drop DW
【0154】
プロトコール
化合物の希釈
・プラミペキソールは、参照標準として含まれる。10点の片対数曲線を4つのプレートごとに作成する。化合物の応答を細胞によって生じた最小の(0nMプラミペキソール)及び最大の(1000nMプラミペキソール)応答に対して正規化する。すべての試験化合物は、10点(片対数)曲線を介して試験してもよい。
・試験化合物を100%DMSOに溶解して10mM濃度の原液とする(最終的に必要なアッセイ濃度の1000倍、例えば、10mMでは、最高濃度10000nMとなる)。
・プラミペキソールを100%DMSOに溶解し、10mMの濃度とする。10倍希釈によってプラミペキソールをさらに希釈して、100%DMSO中1mMとする。
・さらなる希釈及び添加は、3.159倍(片対数単位)の連続的な希釈を行うことのできる好適なTecan Genesis Protocolを用いて実施する。
【0155】
TECAN GENESIS希釈
・10μlの試験化合物をマイクロプレートの第1列に加える。240μlの0.4%DMSO/PBSをこれに添加して25倍希釈液とする(0.4mM)。20μlの0.4mM希釈液を第2列のウエルに移し、ここへ180μlの0.4%DMSO/PBSを添加して、さらに10倍希釈し、4×最高アッセイ濃度(0.04mM)とする。
・連続的な希釈を行い(3.159倍)、以下の一連の片対数希釈:40μM、12.7μM、4μM、1.27μM、400nM、130nM、40nM、13nM、4nM、1.3nMを達成する。
25μlの(二連の)連続的希釈液をフラッシュプレートの第2列〜第11列に移す(添付書類を参照のこと)。最終アッセイ容量は100μlであるため、最終的なアッセイ濃度は、以下の:10,000nM、3170nM、1000nM、320nM、100nM、32nM、10nM、3nM、1nM、0.3nMとなる。
・最小対照(低対照):25μlの0.4%DMSO/PBS(ビヒクル)を以下のウエル(第1列のウエルE〜H及び第2列のウエルA〜D)に添加する。細胞及びフォルスコリンは後で加える。
・最大対照(高対照):10mMのプラミペキソールをPBS中で250倍希釈(10μl+2490μL PBS)して、40μMのプラミペキソールを作成する。40μMのプラミペキソールは、0.4%DMSO/PBS中でさらに10倍希釈して(100μL+990μLビヒクル)4000nM(4×アッセイ濃度のプラミペキソール標準)とする。25μLの4000nMプラミペキソールをフラッシュプレートの以下のウエルに添加して、最終的に1000nMのプラミペキソールとする;第12列のウエルA〜D及び第12列のウエルE〜H。細胞+フォルスコリンは後で加える。
【0156】
シクラーゼ‐活性化フラッシュプレートアッセイ(NEN SNP004B)
・材料のセクションで述べたとおり、フォルスコリンを蒸留水に溶解して20mMの原液を作成する。PBSを用いてこれをさらに20μM(4×アッセイ濃度)に希釈する。マルチ・ドロップ(Multi-drop)を用いて25μLをすべてのウエルに添加し、5μMの最終濃度とする。その後、プレートを密封し、Westbartインキュベーター中、37℃でインキュベートする一方、細胞を収集する。
・70%〜80%コンフルエントなフラスコから細胞を収集する。細胞に添加するすべての成分を37℃にあたためておくことは必須である。225cm2のフラスコあたり5mLのCDSを添加し、5分間37℃でインキュベート後、5mLのPBSで中和する。その後、細胞を160g(1000rpm)で5分間遠心分離する。得られた上清を捨て、細胞を(37℃にあたためた)刺激用緩衝液に再懸濁して1×105細胞/mlとする。そして、50μlの細胞懸濁液をフラッシュプレートのすべてのウエルに入れる。
・ただちにプレートを振とうインキュベーター上、37℃で15分間インキュベートする。すべてのウエルにおいて、100μlの検出用混合液(Detection Mix)で反応を停止させる(プレートあたり100μL125I cAMP:11ml検出用緩衝液)。
・プレートを再密封し、暗所で3時間インキュベートし、(ウエルをコーティングする)抗−cAMP抗体、[125I]-cAMPトレーサー及び細胞内cAMPを平衡化させる。
・好適なECADA適合プロトコール(プロトコール75)を用いてPackard Topcount NXT上でプレートを計数する。
【0157】
凍結アンプルの蘇生
液体窒素からアンプルを取り出し、トラップされた気体又は液体がアンプルを急速に膨張させ、そして破裂させるかも知れないため、2分間平衡化させる。それらを融解前に−20℃に2分間置くこともできる。
【0158】
37℃の水浴中でアンプルを迅速にかつ完全に融解する。
【0159】
細胞懸濁液を10mLの増殖培地を含む75cm2のフラスコに移し、37℃、5%CO2で24時間インキュベートする。細胞が付着した後(3〜6時間)、(DMSOを除くために)培地を除去し、新鮮な培地に交換する。24時間後、もしコンフルエントになってきたら、細胞を225cm2フラスコに移す。もしコンフルエントになっていなかったら、60%コンフルエントになるまで細胞を保持する。
【0160】
細胞収集及び分割
月曜日及び火曜日にアッセイ用の細胞を提供するために、金曜日に細胞を分割する。週のそれ以外の日に必要な細胞は月曜日に分割する。細胞を60%コンフルエントを超えて増殖させないことは必須である。なぜなら、それは細胞の増殖応答に有害な効果を及ぼし、その後の細胞のアッセイにおける挙動能力に影響するからである。
【0161】
細胞を225cm2フラスコ(Jumbos)中で増殖させる。細胞に添加される各成分は使用前に37℃に温めなければならない。
【0162】
細胞収集
増殖培地をフラスコから除去し、細胞を温めたPBS(Gibco.14040-091)で洗浄し、そして取り出す。
・5mLの細胞解離用緩衝液を細胞に添加し、約5分間インキュベーター中に置く。
・フラスコを強く叩いて、いかなる残りの細胞も組織培養プラスチックから取り外す。
・細胞に5mLのPBSを添加して、底部及びフラスコを洗浄するために使用する。細胞を160g(1000rpm)で5分間遠心分離し、細胞を沈殿させる。
・上清を捨て、5mLの刺激用緩衝液を細胞を再懸濁するために使用する。トリパンブルー排除アッセイを行って生細胞数を測定する。
・細胞を刺激用緩衝液で希釈し、1×105細胞/mlの濃度とする。
・細胞を継代培養するためには、遠心分離ステップを除き、細胞懸濁液を50mLの培地を含む新たなT225フラスコ中で懸濁する。
【0163】
分割比
GH4C1/D2は、1:3〜1:5の間で分割する。
【0164】
細胞株の凍結保存
さらなる用途のために蘇生するためのあなたが所有する細胞の細胞バンクを作成することが必須である。
・先のセクションにおいて説明したとおりに細胞を収集する。トリパンブルー排除アッセイに続いて、10%DMSOを含む培地中で細胞を希釈し、2〜4×106細胞/mlとする。
・細胞を1mlのアリコートに分割し、直ちに(新鮮なIPAを含む)「Mr Frosty」中で−80℃で徐々に凍結し、気相液体窒素保存容器へ移す(細胞は「Mr Frosty」中で2日間まで貯蔵されることができる)。
【0165】
凍結後に1つのアンプルを融解することによって、細胞の生存度を試験することが薦められる。70%未満の生存率は、細胞数の低さ及び死細胞の細片の存在によって回収率に問題を生じさせるかもしれない。
【0166】
データ分析
データをECADAを用いて分析する。
【0167】
以下の式によって、すべての化合物についての(プラミペキソールに関する)正規化%を計算する:
正規化%=(X−B0)/(Max−B0)×100
ここで、X=試験化合物の所定の濃度についての純計測数の平均
B0=最小の対照(0nMのプラミペキソール)の純計測数の平均、及び
Max=最大の対照(100nMのプラミペキソール)の純計測数の平均、
を表す。
【0168】
曲線は、正規化%(y)対nMで表したアゴニスト濃度(X)をプロットすることによって、作成することができる。1に制限された傾斜を有する非線形回帰を用いてデータを当てはめる。これにより、試験化合物についてのEC50及び%Emaxを決定する。
【0169】
アッセイプレートの配置(10点法のEC50)
【表4】

【0170】
上記のアッセイを用いて、本発明の化合物はすべて、1000nM未満のEC50で表されるD3受容体における機能性を示し、D2よりもD3に対して10倍選択性が高い。
【0171】
実施例8の化合物は、7.6nMのEC50で表されるD3受容体における機能性を有し、D2よりもD3に対して1315.8倍選択性が高い。選択性は、D2に対するEC50値をD3に対するEC50値で除して計算する。D2に対するEC50値が10000超である場合、10000という数を計算に使用する。
【0172】
治療に関するすべての言及は、治癒的療法、対症療法及び予防的療法を含む。
【0173】
本発明の組み合わせにおいて使用する好適な補助的活性物質は、以下のものを含む:
1)天然又は合成のプロスタグランジン或いはそのエステル。本発明において使用される好適なプロスタグランジンは、アルプロスタジル、プロスタグランジンE1、プロスタグランジンE0、13,14‐ジヒドロプロスタグランジンE1、プロスタグランジンE2、エプロスチノール、そのすべてが参考文献として本明細書に援用されているPCT国際出願公開第WO‐00033825号及び/又は2000年3月14日に付与された米国特許第6,037,346号に記載されたものを含む、天然の、合成の及び半合成のプロスタグランジン及びその誘導体、PGE0、PGE1、PGA1、PGB1、PGF1α、19−ヒドロキシPGA1、19−ヒドロキシ‐PGB1、PGE2、PGB2、19−ヒドロキシ‐PGA2、19‐ヒドロキシ‐PGB2、PGE3α、カルボプロストトロメタミン、ジノプロストトロメタミン、ジノプロストン、リポプロスト、ゲメプロスト、メタノプロスト、サルプロステューン(sulprostune)、チアプロスト(tiaprost)及びモキシシレート(moxisylate)を含む。
【0174】
2)α‐アドレナリン受容体アンタゴニスト化合物は、α‐アドレノセプター又はα‐レセプター又はα‐ブロッカーとしても知られている。本発明において使用される好適な化合物は、以下の:α‐アドレナリン受容体に関する開示が参考文献として本明細書中に援用されている、1998年6月14日に公開されたPCT国際出願公開第WO99/30697号に記載されたα‐アドレナリン受容体ブロッカーを含み、そして選択的α1‐アドレノセプター又はα2アドレノセプターブロッカー及び非選択的アドレノセプターブロッカーを含み、好適なα1‐アドレノセプターアブロッカーは以下の:フェントラミン、フェントラミンメシレート、トラゾドン、アルフゾシン、インドラミン、ナフトピジル、タンスロシン、ダピプラゾール、フェノキシベンザミン、イダゾキサン、エファラキサン、ヨヒンビン、ラウウオルファ、アルカロイド、レコルダーチ(Recordati)15/2739、SNAP1069、SNAP5089、RS17053、SL 89.0591、ドキサゾシン、テラゾシン、アバノキル及びプラゾシンを含み;米国特許第6,037,346号(2000年3月14日)からのα2‐ブロッカーであるジベナルニン、トラゾリン、トリマゾシン、及びジベナルニン;それぞれが参考文献として本明細書中に援用されている、米国特許第4,188,390号、同第4,026,894号、同第3,511,836号、同第4,315,007号、同第3,527,761号、同第3,997,666号、同第2,503,059号、同第4,703,063号、同第3,381,009号、同第4,252,721号、及び同第2,599,000号に記載されたα‐アドレナリン受容体、を含みα2−アドレノセプターブロッカーは、場合によりピルキサミン(pirxamine)のような強心剤の存在下においてクロニジン、パパベリン、パパベリンハイドロクロライドを含む。
【0175】
3)NO‐ドナー(NO‐アゴニスト)化合物。本発明において使用するための好適なNO‐ドナー化合物は、モノ‐、ジ‐又はトリ‐硝酸塩などの有機硝酸塩或いは(ニトログリセリンとしても知られる)グリセリルトリニトレート、イソソルビド5−モノニトレート、イソソルビドジニトレート、ペンタエリスリトールテトラニトレート、エリスリチルテトラニトレート、ソディウムニトロプルシド(SNP)、3−モルホリノシドノニミン、モルシドミン、S−ニトロソ‐N−アセチルペニシリラミン(SNAP)、S-ニトロソ‐N-グルタチオン(SNO-GLU)、N−ヒドロキシ‐L−アルギニン、アミルニトレート、リンシドミン(linsidomine)、リンシドミンクロロハイドレート(SIN-1)、S−ニトロソ‐N−システイン、ジアゼニウムジオレート(NONOエート)、1,5−ペンタンジニトレートを含む有機硝酸エステル、L−アルギネン(L-arginene)、ジンセン(ginseng)、ジズフィフラクタス(zizphifructus)、モルシドミン(molsidomine)、Re-2047、PCT国際特許出願公開第WO00/12075号中に記載されたNMI-678-11及びNMI-937のようなニトロシル化マキシシライト誘導体を含む。
【0176】
4)カリウムチャンネルオープナー又は調節剤。本発明において使用されるための好適なカリウムチャンネルオープナー/調節剤は、ニコランジル、クロモカリム(cromokalim)、レブクロマカリム(levcromakalim)、レマカリム(lemakalim)、ピナシディール(pinacidil)、クリアゾキシド(cliazoxide)、ミノキシジル、カリブドトキシン(charybdotoxin)、グリブリド、4−アミニピリジン、BaCl2を含む。
【0177】
5)血管拡張剤。本発明において使用されるための好適な血管拡張剤は、ニモデピン(nimodepine)、ピナシディール、シクランデラート、イソクスプリン、クロロプルマジン、ハロペリドール、Rec 15/2739、トラゾドンを含む。
【0178】
6)トロンボキサンA2アゴニスト。
【0179】
7)中枢神経活性化剤。
【0180】
8)麦角アルカロイド。好適な麦角アルカロイドは、2000年3月14日に付与された米国特許第6,037,346号に記載されており、アセテルガミン(acetergamine)、ブラゼルゴリン(brazergoline)、ブロメルグリド(bromerguride)、シアネルゴリン(cianergoline)、デロルゴトリル(delorgotrile)、ディスレルギン(disulergine)、エルゴノビンマレート(ergonovine maleate)、エルゴタミンタータレート(ergotamine tartrate)、エティスルギン(etisulergine)、レルゴトリル(lergotrile)、リセルギド(lysergide)、メスレルギン(mesulergine)、メテルゴリン(metergoline)、メテルゴタミン(metergotamine)、ニセルゴリン(necergoline)、ペルゴリド(pergolide)、プロピセルギド(propisergide)、プロテルグリド(proterguride)、及びテルグリド(terguride)を含む。
【0181】
9)ナトリウム利尿因子、特別には(心房性ナトリウム利尿ペプチドとしても知られる)心房性ナトリウム利尿因子、B型及びC型ナトリウム利尿因子の作用を調節する、阻害剤又は中性エンドペプチダーゼなどの化合物。
【0182】
10)エナプリルのようなアンギオテンシン変換酵素を阻害する化合物並びにオマパトリラートのようなアンギオテンシン変換酵素及び中性エンドペプチダーゼの両方に対する阻害剤。
【0183】
11)ロサルタンのようなアンギオテンシン受容体アンタゴニスト。
【0184】
12)L−アルギニンのようなNO‐シンターゼの基質。
【0185】
13)アムロジピンのようなカルシウムチャンネルブロッカー。
【0186】
14)エンドセリン受容体のアンタゴニスト及びエンドセリン変換酵素の阻害剤。
【0187】
15)スタチンのようなコレステロール低下剤(例えば、アトルバスタチン/商標リピトール)及びフィブレート。
【0188】
16)tPA、uPA、ワーファリン、ヒルジン及び他のトロンビン阻害剤、ヘパリン、トロンボプラスチン活性化因子阻害剤などの抗血小板剤及び抗血栓剤。
【0189】
17)レズリンのようなインスリン抵抗性改善薬及びグリピジドのような血糖降下薬。
【0190】
18)L−DOPA又はカルビドーパ。
【0191】
19)ドネジピルのようなアセチルコリンエステラーゼ阻害剤。
【0192】
20)ステロイド性または非ステロイド性抗炎症剤。
【0193】
21)エストロゲン受容体調節剤及び/又はエストロゲンアゴニスト及び/又はエストロゲンアンタゴニスト、好ましくは、ラロキシフェン又はラソフォキシフェン、その合成方法がPCT国際出願公開第WO96/21656号に記載されている(−)‐シス‐6‐フェニル‐5‐[4‐(2‐ピロリジン‐1‐イル‐エトキシ)‐フェニル]‐5,6,7,8‐テトラヒドロナフタレン‐2‐オル及び薬剤として許容可能なその塩。
【0194】
22)PDE阻害剤、より具体的にはPDE2、3、4、5、7又は8の阻害剤、好ましくはPDE2又はPDE5の阻害剤、そして最も好ましくはPDE5阻害剤(以下を参照のこと)、ここで、上記阻害剤は、好ましくは(PDE3及び4の阻害剤は局所投与又はペニスに注射されるのみであるという条件で)各酵素に対するIC50が100nM未満である。
【0195】
23)血管作用性小腸タンパク質(VIP)、VIP擬態、VIPアナログ、より具体的には、VIP受容体サブタイプVPAC1、VPAC又はPACAP(下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ペプチド)の1以上、VIP受容体アゴニスト又はVIPアナログ(例えば、RO-125-1553)又はVIP断片の1以上、α‐アドレナリン受容体アンタゴニストとVIPの組み合わせ(例えば、インビコープ(Invicorp)、アビプタディール(Aviptadil))の1以上により仲介されるもの。
【0196】
24)メラノコルチン受容体アゴニスト又は調節剤或いはメラノタンII、PT-14、PT-141またはPCT国際出願公開第WO‐09964002号、同第WO‐00074679号、同第WO‐09955679号、同第WO‐00105401号、同第WO‐00058361号、同第WO−00114879号、同第WO‐00113112号、同第WO‐09954358号において権利請求された化合物などのメラノコルチンエンハンサー。
【0197】
25)セロトニン受容体アゴニスト、アンタゴニスト又は調節剤、より具体的には、PCT国際出願公開第WO‐09902159号、同第WO‐00002550号及び/又は同第WO‐00028993号に記載されたものを含む5HT1A(VML 670を含む)、5HT2A、5HT2C、5HT3及び/又は5HT6受容体のアゴニスト、アンタゴニスト又は調節剤。
【0198】
26)(デヒドロアンドロステンジオンを含む)テストステロン補充剤、テストステルノン(トストレール)、ジヒドロテストステロン又はテストステロンインプラント。
【0199】
27)エストロゲン、エストロゲン及びメドロキシプロゲステロン又はメドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)(すなわち、組み合わせとして)、或いはエストロゲン及びメチルテストステロンホルモン補充療法剤(例えば、HRT特別にはプレマリン、セネスチン(Cenestin)、エストロフェミナール(Oestrofeminal)、エクイン(Equin)、エストレース(Estrace)、エストロフェン(Estrofem)、エレステソロ(EllesteSolo)、エストリング(Estring)、イーストラデルム(Eastraderm)TTS、イーストラデルムマトリックス、デルメストリル(Dermestril)、プレンフェーズ(Premphase)、プレエンプロ(Preempro)、プレンパック(Pempak)、プレミーク(Premique)、エストラテスト(Estratest)、エストラテストHS、チボロン(Tibolone))。
【0200】
28)ブプロピオン、GW−320659のような、ノルアドレナリン、ドパミン及び/又はセロトニントランスポーターの調節剤。
【0201】
29)プリン受容体アゴニスト及び/又は調節剤。
【0202】
30)PCT国際出願公開第WO‐09964008号に記載されたものを含む、ニューロキニン(NK)受容体アンタゴニスト。
【0203】
31)オピオイド受容体アゴニスト、アンタゴニスト又は調節剤、好ましくはORL- 1受容体のアゴニスト。
【0204】
32)オキシトシン/バソプレシン受容体アゴニスト又は調節剤、好ましくは選択的オキシトシンアゴニスト又は調節剤。
【0205】
33)カンナビノイド受容体の調節剤。
【0206】
34)SEP阻害剤(SEPi)、例えば、100ナノモル未満、より好ましくは50ナノモル未満のIC50を有するSEPi。
【0207】
本発明によるSEP阻害剤は、好ましくは、中性エンドペプチダーゼNEP EC 3.4.24.11及びアンギオテンシン変換酵素(ACE)よりも30倍超、より好ましくは50倍超の高い選択性をSEPに対して有する。好ましくは、SEPiはまた、エンドセリン変換酵素(ECE)に対するよりも100倍超の選択性を有する。
【0208】
本発明に従って使用されることのできる特許および特許出願に含まれる化合物への相互参照として、我々は請求項(特に請求項1)及び(そのすべてが参考文献として本明細書中に援用されている)特別な例に定義された治療的活性を有する化合物を意味する。
【0209】
活性作用物質が併用投与された場合、それらは同時に、別々に又は連続的に投与されることができる。
【0210】
補助剤−PDE5阻害剤
いかなる特別なcGMP PDE5阻害剤の好適性も、文献記載の方法を用いたその能力及び選択性の評価及びそれに続く標準的な薬学的研究による毒性、吸収、代謝、薬物動態などの評価によって容易に決定されることができる。
【0211】
cGMP PDE5阻害剤のIC50値は、PDE5アッセイを用いて決定されることができる(以下を参照のこと)。
【0212】
本発明による薬剤の併用において使用されるcGMP PDE5阻害剤は、好ましくはPDE5酵素に対して選択的である。好ましくは(経口で使用された場合)、それらはPDE3に対してよりも、より好ましくはPDE3及びPDE4に対してよりも選択的である。好ましくは(経口の場合)、本発明のcGMP PDE5阻害剤は、PDE3に対してよりも100超、より好ましくは300超の選択性の比率、そしてさらに好ましくはPDE3及びPDE4に対してよりも選択的である。
【0213】
選択性の比率は当業者によって容易に決定されることができる。PDE3及びPDE4酵素に対するIC50は、確立された文献的方法論を用いて決定されることができ、S A Ballard et al, Journal of Urology, 1998, vol. 159, pages 2164-2171及び以下の記載を参照のこと。
【0214】
本発明にしたがって使用されるための好適なcGMP PDE5阻害剤は以下のものを含む:
ヨーロッパ特許出願第0463756号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;同第0526004号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;PCT国際特許出願公開第WO93/06104号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;同第WO93/07149号に開示された異性体であるピラゾロ[3,4‐d]ピリミジン‐4‐オン;同第WO93/12095号に開示されたキナゾリン‐4‐オン;同第WO94/05661号に開示されたピリド[3,2‐d]ピリミジン‐4‐オン;同第WO94/00453号に開示されたプリン‐6‐オン;同第WO98/49166号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;同第WO99/54333号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;ヨーロッパ特許出願第0995751号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐4‐オン;PCT国際特許出願公開第WO00/24745号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;ヨーロッパ特許出願第0995750号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐4‐オン;PCT国際特許出願公開第95/19978号に開示された化合物;同第WO99/24433号に開示された化合物;及び同第WO93/07124号に開示された化合物。PCT国際特許出願公開第WO01/27112号中に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;同第WO01/27113号中に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;ヨーロッパ特許出願第1092718号に開示された化合物及び同第1092719号中に開示された化合物。
【0215】
本発明にしたがって使用されるための更なる好適なPDE5阻害剤は以下のものを含む:1‐[[3‐(6,7‐ジヒドロ‐1‐メチル‐7‐オキソ‐3‐プロピル‐1H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐5‐イル)‐4‐エトキシフェニル]スルホニル]‐4‐メチルピペラジンとしても知られる5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐メチル‐1‐ピペラジニルスルホニル)フェニル]‐1‐メチル‐3‐n‐プロピル‐1,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(シルデナフィル)(ヨーロッパ特許出願第0463756号を参照のこと);5‐(2‐エトキシ‐5‐モルホリノアセチルフェニル)‐1‐メチル‐3‐n‐プロピル‐1,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(ヨーロッパ特許出願第0526004号を参照のこと);3‐エチル‐5‐[5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)‐2‐n‐プロポキシフェニル]‐2‐(ピリジン‐2‐イル)メチル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(PCT国際特許出願公開第WO98/49166号を参照のこと);3‐エチル‐5‐[5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)‐2‐(2‐メトキシエトキシ)ピリジン‐3‐イル]‐2‐(ピリジン‐2‐イル)メチル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(同第WO99/54333号を参照のこと);3‐エチル‐5‐{5‐[4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル]‐2‐([(1R)‐2‐メトキシ‐1‐メチルエチル]オキシ)ピリジン‐3‐イル}‐2‐メチル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オンとしても知られる(+)‐3‐エチル‐5‐[5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)‐2‐(2‐メトキシ‐1(R)‐メチルエトキシ)ピリジン‐3‐イル]‐2‐メチル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン‐7‐オン(同第WO99/54333号を参照のこと);1‐{6‐エトキシ‐5‐[3‐エチル‐6,7‐ジヒドロ‐2‐(2‐メトキシエチル)‐7‐オキソ‐2H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐5‐イル]‐3‐ピリジルスルホニル}‐4‐エチルピペラジンとしても知られる5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)ピリジン‐3‐イル]‐3‐エチル‐2‐[2‐メトキシエチル]‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(同第WO01/27113号、実施例8を参照のこと);5‐[2‐イソ‐ブトキシ‐5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)ピリジン‐3‐イル]‐3‐エチル‐2‐(1‐メチルピペリジン‐4‐イル)‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(同第WO01/27113号、実施例15を参照のこと);5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)ピリジン‐3‐イル]‐3‐エチル‐2‐フェニル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(同第WO01/27113号、実施例66を参照のこと);5‐(5‐アセチル‐2‐プロポキシ‐3‐ピリジニル)‐3‐エチル‐2‐(1‐イソプロピル‐3‐アゼチジニル)‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(同第WO01/27112号、実施例124を参照のこと);5‐(5‐アセチル‐2‐ブトキシ‐3‐ピリジニル)‐3‐エチル‐2‐(1‐エチル‐3‐アゼチジニル)‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(同第WO01/27112号、実施例132を参照のこと);(6R,12aR)‐2,3,6,7,12,12a‐ヘキサヒドロ‐2‐メチル‐6‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4‐b]インドール‐1,4‐ジオン(IC-351)、すなわち、PCT国際特許出願公開第WO95/19978号の実施例78及び95の化合物並びに実施例1、3、7及び8の化合物;1‐[[3‐(3,4‐ジヒドロ‐5‐メチル‐4‐オキソ‐7‐プロピルイミダゾ[5,1‐f]‐as‐トリアジン‐2‐イル)‐4‐エトキシフェニル]スルホニル]‐4‐エチルピペラジンとしても知られる2‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチル‐ピペラジン‐1‐イル‐1‐スルホニル)‐フェニル]‐5‐メチル‐7‐プロピル‐3H‐イミダゾ[5,1‐f][1,2,4]トリアジン‐4‐オン(バルデナフィル)、すなわち、PCT国際特許出願公開第WO99/24433号の実施例20、19、337及び336に記載の化合物;及び同第WO93/07124号(EISAI)の実施例11に記載の化合物;並びにRotella D P, J. Med. Chem., 2000, 43, 1257に記載の化合物3及び14。
【0216】
他の好適なPDE5阻害剤は以下のものを含む:
4−ブロモ‐5‐(ピリジルメチルアミノ)‐6‐[3‐(4‐クロロフェニル)‐プロポキシ]‐3(2H)ピリダジノン;1‐[4‐(1,3‐ベンゾジオキソール‐5‐イルメチル)アミノ]‐6‐クロロ‐2‐キノゾリニル]‐4‐ピペリジン‐カルボキシリックアシッド、モノソディウムソルト;(+)‐シス‐5,6a,7,9,9,9a‐ヘキサヒドロ‐2‐[4‐(トリフルオロメチル)‐フェニルメチル‐5‐メチル‐シクロペント‐4,5]イミダゾ[2,1‐b]プリン‐4(3H)オン;フラゾロシリン;シス‐2‐ヘキシル‐5‐メチル‐3,4,5,6a,7,8,9,9a‐オクタヒドロシクロペント[4,5]‐イミダゾ[2,1‐b]プリン‐4‐オン;3‐アセチル‐1‐(2‐クロロベンジル)‐2‐プロピルインドール‐6‐カルボキシレート;3‐アセチル‐1‐(2‐クロロベンジル)‐2‐プロピルインドール‐6‐カルボキシレート;4‐ブロモ‐5‐(3‐ピリジルメチルアミノ)‐6‐(3‐(4‐クロロフェニル)プロポキシ)‐3‐(2H)ピリダジノン;1‐メチル‐5(5‐モルホリノアセチル‐2‐n‐プロポキシフェニル)‐3‐n‐プロピル‐1,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ(4,3‐d)ピリミジン‐7‐オン;1‐[4‐[(1,3‐ベンゾジオキソール‐5‐イルメチル)アミノ]‐6‐クロロ‐2‐キナゾリニル]‐4‐ピペリジンカルボキシリックアシッド、モノソディウムソルト;ファーマプロジェクトNo.4516(Glaxo Wellcome);ファーマプロジェクトNo.5051(Bayer);ファーマプロジェクトN0.5064(Kyowa Hakko、PCT国際特許出願公開第WO96/26940号を参照のこと);ファーマプロジェクトNo.5069(Schering Plough);GF-196960(Glaxo Wellcome);E‐8010及びE‐4010(Eisai);Bay-38-3045及び38-9456(Bayer)並びにSch-51866。
【0217】
式(I)の化合物は単独で投与されることができるが、一般的には意図する投与経路及び標準的な薬務に関して好適な医薬賦形剤、希釈剤又は担体と混合して投与される。
【0218】
したがって、本発明は、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物及び薬剤として許容可能な希釈剤又は担体を含む組成物を提供する。
【0219】
例えば、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物は、経口、頬側、又は舌下に、フレーバー剤又は着色剤を含むことのできる錠剤、カプセル、オブール(ovule)、エリキシル、溶液又は懸濁液の形態で、即時、遅延型、改変された、持続型、パルス型又は徐放性の放出によって適用される。
【0220】
そのような錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及びグリシンのような賦形剤、(好ましくはコーン、ポテト、又はタピオカでんぷんである)でんぷん、ソディウムスターチグリコラート、クロスカルメロースナトリウム、及び一定の珪酸を含む錯塩のような崩壊剤、並びにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、シュークロース、ゼラチン及びアカシアのような造粒結合剤を含むことができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及びタルクのような潤滑剤も含まれることができる。
【0221】
同様のタイプの固体組成物も、ゼラチンカプセル中の賦形剤として使用されることができる。この点に関して好ましい賦形剤は、ラクトース、でんぷん、セルロース、乳糖、又は高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液及び/又はエリキシルに関しては、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物は多様な甘味料又はフレーバー剤、着色物質又は染料と、乳化剤及び/又は懸濁剤並びに水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリンのような希釈剤、そしてそれらの混合物と併合されることができる。
【0222】
式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物はまた、腸管外に、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内または皮下にも投与されることができ、或いはそれらは輸注技術によって投与されることができる。そのような腸管外投与のためには、それらは他の物質、例えば該溶液を血液と等張にするために十分な塩又はグルコースを含むことができる滅菌水溶液の形態で使用されるのが最良である。水溶液は、必要に応じて(好ましくは3〜9のpHに)適切に緩衝化される。滅菌条件下での好適な腸管外製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技術によって容易に達成される。
【0223】
式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物はまた、鼻腔内又は吸入によって、典型的には(単独で、或いは例えば、ラクトースとの乾燥混合物として、又はリン脂質と混合されるなどの混合成分粒子の混合物として)乾燥粉末の形態で、ジクロロフルオロメタンなどの好適な噴霧剤を使用して又は使用せずに乾燥粉末吸入器から、或いはエアロゾルスプレーとして加圧された容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは微小の霧を作るために使用される電気流体力学を使用するアトマイザー)、又はネブライザーから投与されることができる。
【0224】
加圧された容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー又はネブライザーは、例えば、(場合により水性エタノールである)エタノール又は活性物質の分散、溶解又は放出を拡大するための好適な他の剤、溶媒としての噴霧剤及び場合によりトリオレイン酸ソルビタン又はオリゴ乳酸などの界面活性剤を含む活性化合物の溶液又は懸濁液を入れている。
【0225】
乾燥粉末又は懸濁製剤中での使用の前に、薬品は吸入による送達に好適な大きさ(典型的には5ミクロン未満)に微小化される。これは、スパイラルジェットミリング(spiral jet milling)、フルイドベッドジェットミリング(fulid bed jet milling)、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング(supercritical fluid processing)、高圧ホモジェナイゼーション、又はスプレー乾燥などのいかなる好適な粉砕法によっても達成されることができる。
【0226】
電気流体力学を用いて微小な霧を作製するアトマイザー中で使用されるための好適な溶液製剤は、1作動あたり1μg〜10mgの本発明の化合物を含み、作動体積は1μl〜100μlで可変であることができる。典型的な製剤は、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール及び塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに使用されることのできる他の溶媒は、グリセロール及びポリエチレングリコールを含む。
【0227】
吸入器又は吹き入れ器中で使用されるための(例えば、ゼラチン又はHPMCから作られる)カプセル、ブリスター及びカートリッジは、本発明の化合物の粉末混合物、ラクトース又はでんぷんなどの好適な粉末基剤、及びl−ロイシン、マンニトール、又はステアリン酸マグネシウムのような性能調節剤(performance modifier)を含むように製剤されることができる。
【0228】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、即時的に及び/又は変更された放出をされるように製剤されることができる。
【0229】
或いは、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物は、坐剤又はペッサリーの形態で投与されることができ、或いは、それらはゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏又は散剤の形態で局所的に適用されることができる。式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物はまた、例えば、皮膚パッチを使用することによって経皮的に投与されることができる。それらはまた、肺又は直腸経路で投与されることもできる。
【0230】
それらはまた、眼内経路で投与されることもできる。眼科での使用のためには、上記化合物は等張の、pH調整された、滅菌生理食塩水中の微小化懸濁液、又は好ましくは等張の、pH調整された滅菌生理食塩水中の溶液として、場合により塩化ベンザルコニウムのような保存剤と併せて製剤されることができる。或いは、それらはワセリンのような軟膏に製剤されることができる。
【0231】
皮膚への局所適用のためには、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物は、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水のうちの1つ以上などに懸濁又は溶解されて混合された活性化合物を含む好適な軟膏に製剤されることもできる。或いは、それらは鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール(cetearyl alcohol)、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水のうちの1つ以上の混合物などに懸濁又は溶解されて、好適なローション又はクリームとして製剤されることができる。
【0232】
式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物はまた、シクロデキストリンとともに使用されることもできる。シクロデキストリンは、薬物分子と包摂化合物又は非包摂化合物を形成することが知られている。薬物‐シクロデキストリン複合体の形成は、薬物分子の溶解度、崩壊速度、バイオアベイラビリティ、及び/又は安定性を改変することができる。薬物‐シクロデキストリン複合体は、一般的にはほとんどの剤型及び投与経路において有用である。薬物との直接的な複合体形成の代わりに、シクロデキストリンは、担体、希釈剤又は溶解剤などとしての補助的付加剤として使用されることができる。アルファ‐、ベータ‐、及びガンマ‐シクロデキストリンは最も一般的に使用され、そして好適な実施例は、PCT国際特許出願公開第WO-A-91/11172号、同第WO-A-94/02518号、及び同第WO-A-98/55148号に記載されている。
【0233】
本発明は以下の非制限的な実施例によってさらに例証される:
本発明は、以下の略語及び定義が使用される、以下の非制限的な実施例によって例解される。
【0234】
【表5】

【0235】
X線回折データは、BRUKER AXS SMART-APEX CCD二次元検出器回折計(MO Kα線照射)を使用して室温で記録した。一連の何回かの露光からの強度を積分する。各露光は、60秒の露光時間、ωで0.3°をカバーし、データセットの総計はスフィア(sphere)を超えた。
【0236】
実施例1
2‐アミノ‐1‐(3‐メトキシフェニル)エタノール
【化11】

THF(150ml)中、3‐メトキシベンズアルデヒド(27.2g、0.2モル)を、室温で攪拌しながら3N HCl(水溶液)(150ml、0.3モル)及び亜硫酸ナトリウム(37.8g、0.3モル)に添加した。10分後、青酸カリウム(19.53g、0.3モル)を分けて添加し、反応混合物を30分間攪拌した。ジエチルエーテル(800ml)及び水(300ml)を添加し、続いて層分離した。水相をジエチルエーテル(500ml)で再抽出し、有機層と併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過した後、減圧濃縮してシアノヒドリン中間体を無色のオイル(35.57g、0・22モル、>100%)として得た。ボラン‐テトラヒドロフラン複合体(THF中1M)(400ml、0.4モル)を慎重にTHF中シアノヒドリン(100ml)に添加した。泡起が終了した後、窒素雰囲気下で攪拌を続けながら1.5時間還流した。反応混合物を冷却し、そしてメタノール(40ml)で反応停止させ、減圧濃縮して無色のオイルを得た。6M HCl(水溶液)(200ml)を添加し、反応液を2時間還流しながら攪拌し、減圧濃縮して白色固体を得た。これをシリカにあらかじめ吸収させ、そしてカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール:アンモニア(90:10:1)で溶出して、標題の化合物を無色のオイル(31.3g、0.19モル、94%)として得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:1.60(bs,2H)、2.80(dd,1H)、3.02(dd,1H)、3.46(s,1H)、3.81(s、3H)、4.60(dd、1H)、6.81(d,1H)、6.91(d,1H)、6.93(s,1H)、7.22(t,1H)、LRMS:m/z 168(M-H+)。分析実測値はC,56.66;H、8.28;N,6.91%であり、C913NO2・1.33H2Oの理論値はC、56.33;H、8.27;N、7.30%。
【0237】
実施例2
N‐[2‐ヒドロキシ‐2‐(3‐メトキシフェニル)エチル]プロピオンアミド
【化12】

ジクロロメタン(400ml)中の実施例1からのアミン(31.3g、0.19モル)にトリエチルアミン(52ml、0.37モル)を加え、反応混合物を0℃、窒素雰囲気下で10分間攪拌した。塩化プロピオニル(16.3ml、0.19モル)を添加し、30分攪拌後、反応温度を室温まで上昇させ、さらに5時間攪拌した。反応混合物を1N HCl(水溶液)(100ml)で反応停止させ、ジクロロメタン(2×50ml)で抽出した。有機物画分を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を無色のオイルとして得て、これを静置すると白色結晶となった(28g、0.13モル、67%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:1.18(t,3H)、2.22(q,2H)、2.51(bs,1H)、3.31(m,1H)、3.71(dd,1H)、3.80(s,3H)、4.81(m,1H)、5,95(bs、1H)、6.80(d、1H)、6.90(d,1H)、6.91(s,1H)、7.22(t,1H)、LRMS:m/z 224。Mpt:77〜78℃。分析実測値ではC、63.86;H、7.82;N、6.28%。C1217NO3・0.1H2Oの理論値はC、64.04;H、7.70;N、6.22%。
【0238】
実施例3
1‐(3‐メトキシフェニル)‐2‐プロピルアミノエタノール
【化13】

【0239】
無水THF(100ml)中の実施例2からのアミド(28g、0.13モル)にボラン‐テトラヒドロフラン複合体(THF中1M)(376ml、0.4モル)を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下で攪拌し、2.5時間還流した。反応混合物を冷却し、メタノール(40ml)で反応停止し、減圧濃縮して不透明な白色オイルを得た。6N HCl(水溶液)(200ml)を添加し、そして反応液を攪拌しながら2時間還流した。反応混合物を冷却し、ジクロロメタン(200ml)を加え、層分離した。水層を炭酸カリウムを加えて塩基性とし、そしてジクロロメタン(2×200ml)で再抽出した。有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過して減圧濃縮して標題の化合物を無色のオイルとして得て、これを静置すると無色の結晶となった(15.3g、0.07モル、59%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.93(t,3H)、1.62(q,2H)、2.71(q,2H)、2.81(t,2H)、3.00(d,1H)、3.80(s,3H)、4.30(bs,1H)、4.89(d、1H)、6.81(d、1H)、6.91(d,1H)、6.93(s,1H)、7.22(t,1H)。LRMS:m/z 210。Mpt:50〜51℃。分析実測値ではC、67.47;H、9.02;N、6.45%。C1219NO2・0.2H2Oの理論値はC、67.70;H、9.19;N、6.58%。
【0240】
実施例4
2‐クロロ‐N‐[2‐ヒドロキシ‐2‐(3‐メトキシフェニル)エチル]‐N‐プロピルアセトアミド
【化14】

【0241】
ジクロロメタン(500ml)中の実施例3からのアミン(15.8g、0.08モル)に、水(180ml)中の水酸化ナトリウム(15.1g、0.38モル)を添加し、溶液を激しく室温で攪拌した。そして、クロロアセチルクロライド(7.22ml、0.09モル)を添加し、反応混合物をさらに30分間攪拌した。層分離し、そして水層をジクロロメタン(200ml)で再抽出した。有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を無色のオイルとして得た(17.8g、0.06モル、83%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.96(t,3H)、1.62(q,2H)、3.21(q,2H)、3.57〜3.71(m,2H)、3.82(s,3H)、4.01〜4.21(bq,1H)、4.16(s,2H)、5.00(m、1H)、6.82(m、1H)、6.91〜6.99(m,2H)、7.22(m,1H)、LRMS:m/z 286。分析実測値でC、57.38;H、6.95;N、4.67%。C1420NO3Cl・0.33H2Oの理論値はC、57.64;H、7.14;N、4.80%。
【0242】
実施例5
6‐(3‐メトキシフェニル)‐4‐プロピルモルホリン3‐オン
【化15】

【0243】
水酸化カリウム(4.2g、0.07モル)、イソプロピルアルコール(500ml)及び実施例4からのアミド(17.8g、0.06モル)を一緒にした不透明な溶液を水(15ml)とともに2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮して黄色の残渣を酢酸エチル(200ml)に溶解した。これを水(200ml)、そして塩水(200ml)で分配した。有機画分を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を黄色のオイルとして得た(15.8g、0.06モル、100%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.96(t,3H)、1.62(m,2H)、3.36(m,2H)、3.51(q,2H)、3.81(s,3H)、4.30〜4.62(bq,2H)、4.79(d,1H)、6.85(d、1H)、6.91(d、1H)、6.95(s,1H)、7.29(t,1H)。LRMS:m/z 272。分析実測値でC、66.80;H、7.78;N、5.52%。C1419NO3・0.1H2Oの理論値はC、66.96;H、7.71;N、5.58%。
【0244】
実施例6
2‐(3‐メトキシフェニル)‐4‐プロピルモルホリン
【化16】

【0245】
無水THF(100ml)中の実施例5からのモルホリン3‐オン(15.8g、0.06モル)に、窒素雰囲気下、30分間にわたって、ボラン‐テトラヒドロフラン複合体(THF中、1M)(200ml、0.19モル)を滴下して加えた。反応混合物を3時間還流し、そして冷却し、メタノール(30ml)を加えて反応停止した。反応混合物を減圧濃縮し、無色の残渣を注意深く4N HCl(水溶液)(400ml)に懸濁し、2.5時間還流した。反応混合物を冷却し、ジクロロメタン(200ml)を添加した。層分離し、水層を炭酸カリウムで塩基性とし、ジクロロメタンで再抽出した(3×100ml)。有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を無色のオイルとして得た(12.51g、0.05モル、84%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.59(q,2H)、2.05(t,1H)、2.23(t,1H)、2.40(t,2H)、2.81(d,1H)、2.98(d,1H)、3.80(s、3H)、3.85(t,1H)、4.05(d,1H)、4.60(d,1H)、6.81(d、1H)、6.91(d,1H)、7.21(t,1H)、7.23(s,1H)。LRMS:m/z 236。分析実測値でC、68.94;H、8.80;N、5.79%。C1421NO2・0.5H2Oの理論値はC、68.82;H、9.08;N、5.73%。
【0246】
実施例7A
R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)フェノール
実施例7B
S‐(+)‐3‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)フェノール
【化17】

【0247】
臭化水素酸(250ml)及び実施例6からのアニソール(8.62g、0.03モル)を加熱し、一緒にして1時間還流した。冷却後、反応混合物を水(100ml)で希釈し、NH4OH(20ml)を加えて中和した。そして、黄色の不透明な溶液をジクロロメタン(2×100ml)で抽出した。有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物のラセミ混合物を黄色のオイルとして得た(7.78g、0.03モル、96%)。エナンチオマーをキラルクロマトグラフィー(Chiralpak AD250*20mmカラム)によりヘキサン:イソプロピルアルコール:ジエチルアミン(70:30:0.05)で溶出し、エナンチオマー1(ee>99.5%)及びエナンチオマー2(ee>99%)を得た。各エナンチオマーをシリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール(95:5)で溶出し、エナンチオマー1(7a)(3.02g、0.014モル、39%)及びエナンチオマー2(7b)(3.15g、0.014モル、40%)を無色のオイルとして得た。エナンチオマー1(7a):1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.96(t,3H)、1.60(q,2H)、2.13(t,1H)、2.31(t,1H)、2.41(t,2H)、2.85(d,1H)、3.02(d,1H)、3.90(t、1H)、4.02(dd,1H)、4.60(d,1H)、6.78(d、1H)、6.80(s、1H)、6.91(d,1H)、7.20(t,1H)。LRMS:m/z 222(M−H+)。エナンチオマー2(7b):1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.96(t,3H)、1.60(q,2H)、2.13(t,1H)、2.31(t,1H)、2.41(t,2H)、2.85(d,1H)、3.02(d,1H)、3.90(t、1H)、4.02(dd,1H)、4.60(d,1H)、6.78(d、1H)、6.80(s、1H)、6.91(d,1H)、7.20(t,1H)。LRMS:m/z 222(M−H+)。
【0248】
実施例8
R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)フェノールハイドロクロライド
【化18】

【0249】
実施例7のエナンチオマー1(7a)(3.00g、0.014モル)をジエチルエーテル(180ml)に溶解し、塩化水素(ジエチルエーテル中2.0M溶液)(10ml)を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌し、溶媒をデカントし、真空中で乾燥させて、標題の化合物を白色固体として得た(3.115g、0.012モル、90%)。1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:1.06(t,3H)、1.81(m,2H)、3.02(t,1H)、3.16(t、2H)、3.20(t、1H)、3.60(t、2H)、4.01(t,1H)、4.26(d、1H)、4.71(d,1H)、6.78(d、1H)、6.82(s、1H)、6.83(d,1H)、7.21(t,1H)。LRMS:m/z 222(M−H+)。分析実測値でC、59.74;H,7.98;N,5.25%。C13H19NO2・0.18H2Oの理論値はC、59.82;H、7.86;N、5.37%。αD=−5.66°(メタノール
10.6mg/10ml)。
【0250】
標題の化合物の試料をメタノール:ジエチルエーテル混合物を用いる蒸気拡散法によって再結晶化し、そしてX線結晶構造を得た。標題の化合物の絶対的な立体化学を、Flackの方法1によって回折データから決定し、「R」構成をとることがわかった。
参考文献1:H.D.FLACK, ACTA CRYST. 1983, 439, 876-881
【0251】
実施例9
2‐アミノ‐1‐(3,5‐ジメトキシフェニル)エタノール
【化19】

【0252】
3,5‐ジメトキシベンズアルデヒド(5.00g、0.03モル)を出発物質として、実施例1と同じ方法により調製した。6M HCl(水溶液)中で還流後、反応混合物を冷却し、ジエチルエーテルで抽出した(2×80ml)。有機層を捨て、水層を炭酸カリウムを加えることによって塩基性化した。次いで、水性の残渣を酢酸エチル(3×70ml)で抽出した。有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を薄黄色のオイルとして得た(3.47g、0.018モル、59%)。1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:2.77〜2.86 (m,2H)、3.78(s,6H)、4.60(m、1H)、6.38(s、1H)、6.52(s、2H)。LRMS:m/z 198(M−H+)。
【0253】
実施例10
N‐[2‐(3,5‐ジメトキシフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル]プロピオンアミド
【化20】

【0254】
実施例9のアミン(3.41g、0.017モル)を出発物質として、実施例2と同じ方法により調製した。粗反応混合物をシリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール(95:5)で溶出して標題の化合物を明るい黄色のオイルとして得た(3.08g、0.012モル、70%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:1.18(m,3H)、2.24(m,2H)、3.34(m,1H)、3.68(m,1H)、3.81(s,6H)、4.80(dd,1H)、5.95(bs,1H)、6.39(s,1H)、6.51(s,2H)。LRMS:m/z 252(M−H-)。
【0255】
実施例11
1‐(3,5‐ジメトキシフェニル)‐2‐プロピルアミノエタノール
【化21】

【0256】
実施例10のアミド(3.06g、0.012モル)を出発物質として、実施例3の方法によって調製し、標題の化合物をオレンジ色のオイルとして得た(2.72g、0.011モル、94%)。1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.56(m,2H)、2.61(m,2H)、2.77(d,2H)、3.78(s,6H)、4.70(t、1H)、6.38(s,1H)、6.51(s、2H)。LRMS:m/z 240(M−H+)。
【0257】
実施例12
2‐クロロ‐N‐[2‐(3,5‐ジメトキシフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル]‐N‐プロピルアセトアミド
【化22】

【0258】
実施例11のアミン(2.70g、0.011モル)を出発物質として、実施例4と同じ方法によって調製し、標題の化合物を黄色のオイルとして得た(3.56g、0.011モル、100%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.92(t,3H)、1.61(m,2H)、3.20(m,2H)、3.51〜3.64(m,2H)、3.80(d,6H)、4.13(s、2H)、4.95(m,1H)、6.40(m,1H)、6.55(s、2H)。LRMS:m/z 316(M−H+)。
【0259】
実施例13
6‐(3,5‐ジメトキシフェニル)‐4‐プロピルモルホリン3‐オン
【化23】

【0260】
実施例12のアミド(3.54g、0.011モル)を出発物質として、実施例5と同じ方法によって調製し、標題の化合物を黄色のオイルとして得た(2.44g、0.009モル、78%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.94(t,3H)、1.61(m,2H)、3.30(m,2H)、3.49(m,2H)、3.80(s,6H)、4.30(d、1H)、4.42(d,1H)、4.73(dd,1H)、6.42(s,1H)、6.53(s、2H)。LRMS:m/z 280(M−H+)。
【0261】
実施例14
2‐(3,5‐ジメトキシフェニル)‐4‐プロピルモルホリン
【化24】

【0262】
実施例13のアミド(2.42g、0.009モル)を出発物質として、実施例6の方法によって調製した。6M HCl(水溶液)中で還流後、冷却した反応混合物をジエチルエーテル(2×80ml)で抽出した。有機層を捨て、水層を炭酸カリウムを加えることによって塩基性化した。水性の残渣を酢酸エチル(3×80ml)で抽出し、有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を薄いオレンジ色のオイルとして得た(2.14g、0.008モル、93%)。1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.58(m,2H)、2.01(m,1H)、2.22(dt,1H)、2.38(t,2H)、2.83(d,1H)、2.93(d,1H)、3.78(m,7H)、4.01(dd、1H)、4.45(dd,1H)、6.39(s,1H)、6.49(s、2H)。LRMS:m/z 266(M−H+)。
【0263】
実施例15A
R‐5‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)ベンゼン‐1,3‐ジオール
実施例15B
S‐5‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)ベンゼン‐1,3‐ジオール
【化25】

【0264】
実施例14の3,5‐ジメトキシフェニル化合物(1.00g、0.004モル)を出発物質として、実施例7と同じ経路によって調製し、標題のラセミ化合物を茶色のオイルとして得た(145mg、0.61ミリモル、16%)。エナンチオマーをキラルクロマトグラフィー(Chiralpak AD 250*20mmカラム)によりヘキサン:イソプロピルアルコール(80:20)で溶出して分割し、エナンチオマー1(15a)(5.2mg)(ee>98.84%)及びエナンチオマー2(15b)(5.1mg)(ee>96.46%)を茶色のオイルとして得た。エナンチオマー1(15a): 1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.96(t,3H)、1.58(m,2H)、2.01(t,1H)、2.20(dt,1H)、2.37(t,2H)、2.81〜2.92(m,2H)、3.89(dt,1H)、3.99(dd、1H)、4.38(dd,1H)、6.18(t,1H)、6.26(s、2H)。LRMS:m/z 238(M−H+)。エナンチオマー2(15b): 1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.58(m,2H)、2.01(t,1H)、2.20(dt,1H)、2.38(t,2H)、2.80〜2.92(q,2H)、3.78(dt,1H)、3.98(dd、1H)、4.38(dd,1H)、6.18(s,1H)、6.25(s、2H)。LRMS:m/z 238(M−H+
【0265】
実施例16
4‐フルオロ‐3‐メトキシベンズアルデヒド
【化26】

【0266】
(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニル)メタノール(5.00g、0.03モル)及び二酸化マンガン(33.4g、0.38モル)を窒素雰囲気下、ジクロロメタン(100ml)中で攪拌し、16時間穏やかに還流した。冷却した反応混合物をアルバセル(arbacel)を通してろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を白色固体として得た(4.18g、0.027モル、85%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:3.96(s,3H)、7.23(d,1H)、7.43(m,1H)、7.50(d,1H)、9.91(s,1H)。Mpt:61〜63℃。分析実測値でC、62.18;H、4.54%。C8H7FO2の理論値はC、62.34;H、4.58%。
【0267】
実施例17
2‐アミノ‐1‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニル)エタノール
【化27】

【0268】
4‐フルオロ‐3‐メトキシベンズアルデヒド(4.17g、0.03モル)を出発物質として、実施例1と同じ方法によって調製した。6M HCl(水溶液)中で還流後、反応混合物を冷却し、ジエチルエーテル(2×60ml)で抽出した。有機層を捨て、水層を炭酸カリウムを加えることによって塩基性化した。水性の残渣を酢酸エチル(3×80ml)で抽出し、有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物をオレンジ色のオイルとして得た(2.36g、0.013モル、47%)。1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:2.80〜2.91(m,2H)、3.86(s,3H)、4.64(m,1H)、6.89(m,1H)、7.03(t,1H)、7.11(dd,1H)。LRMS:m/z 186(M−H+)。
【0269】
実施例18
N‐[2‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル]プロピオンアミド
【化28】

【0270】
実施例17からのアミン(1.32g、0.007モル)を出発物質として、実施例2と同じ方法により調製した。粗反応混合物をシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル:ペンタン(2:1)で溶出して標題の化合物を静置すると結晶化する黄色のオイルとして得た(0.59g、0.002モル、35%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:1.18(t,3H)、2.24(q,2H)、2.58(bs,1H)、3.34(m,1H)、3.63(m,1H)、3.88(s,3H)、4.82(dd,1H)、5.98(bs,1H)、6.82(m,1H)、7.01(m,2H)。LRMS:m/z 242(M−H+)。
【0271】
実施例19
1‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニル)‐2‐プロピルアミノエタノール
【化29】

【0272】
実施例18からのアミド(585mg、2.42ミリモル)を出発物質として、実施例3と同じ方法によって調製した。6M HCl(水溶液)中で還流後、反応混合物を冷却し、ジエチルエーテル(2×50ml)で抽出した。有機層を捨て、水層を炭酸カリウムを加えることによって塩基性化した。水性の残渣を酢酸エチル(3×50ml)で抽出し、有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を薄い黄色のオイルとして得た(448mg、1.97ミリモル、81%)。1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.96(t,3H)、1.58(m,2H)、2.63(m,2H)、2.79(d,2H)、3.96(s,3H)、4.77(t、1H)、6.90(m,1H)、7.03(t,1H)、7.11(d、1H)。LRMS:m/z 228(M−H+)。
【0273】
実施例20
2‐クロロ‐N‐[2‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル]‐N‐プロピルアセトアミド
【化30】

【0274】
実施例19からのアミン(0.84g、4.00ミリモル)を出発物質として、実施例4と同じ方法によって調製し、標題の化合物を黄色のオイルとして得た(0.97g、3.00ミリモル、87%)。LRMS:m/z 304(M−H+)。これは粗生成物について得た。
【0275】
実施例21
6‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニル)‐4‐プロピルモルホリン3‐オン
【化31】

【0276】
実施例20からのアミド(0.96g、3.00ミリモル)を出発物質として、実施例5の方法によって調製し、標題の化合物を黄色のオイルとして得た(0.64g、2.40ミリモル、75%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.94(t,3H)、1.62(m,2H)、3.33(m,2H)、3.48(m,2H)、3.91(s,3H)、4.34(d、1H)、4.43(d,1H)、4.76(dd,1H)、6.85(m,1H)、7.01〜7.08(m,2H)。LRMS:m/z 268(M−H+)。
【0277】
実施例22
2‐(4‐フルオロ‐3‐メトキシフェニル)‐4‐プロピルモルホリン
【化32】

【0278】
実施例21からのモルホリン3‐オン(633mg、2.37ミリモル)を出発物質として、実施例6と同じ方法によって調製した。6M HCl(水溶液)中で還流後、反応混合物を冷却し、ジエチルエーテル(2×20ml)で抽出した。有機層を捨て、水層を炭酸カリウムを加えることによって塩基性化した。水性の残渣を酢酸エチル(3×20ml)で抽出し、有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を黄色のオイルとして得た(552mg、2.18ミリモル、92%)。1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.58(m,2H)、2.02(t,1H)、2.22(dt,1H)、2.38(t,2H)、2.85(d,1H)、2.93(d,1H)、3.80(m,1H)、3.84(s,3H)、4.01(dd、1H)、4.50(dd,1H)、6.88(m,1H)、7.02(t、1H)、7.09(d,1H)。LRMS:m/z 254(M−H+)。
【0279】
実施例23A
R‐(+)‐2‐フルオロ‐5‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)フェノール
実施例23B
S‐(−)‐2‐フルオロ‐5‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)フェノール
【化33】

【0280】
実施例22からのアニソール(200mg、0.789ミリモル)を出発物質として、実施例7と同じ方法によって調製した。粗反応混合物をシリカ上のクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン:メタノール(90:10)で溶出して、標題のラセミ化合物を濃い黄色の粘凋なオイルとして得た(149mg、0.62ミリモル、79%)。エナンチオマーをキラルクロマトグラフィー(Chiralpak AD 250*20mmカラム)によりヘキサン:イソプロピルアルコール(90:10)で溶出して分割し、エナンチオマー1(23a)を不透明のオイルとして(15mg)(ee>99.5%)、及びエナンチオマー2(23b)(16mg)(ee>99%)を結晶固体として得た。エナンチオマー1(23a): 1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.58(m,2H)、2.01(t,1H)、2.21(dt,1H)、2.37(t,2H)、2.82〜2.97(bq,2H)、3.78(dt,1H)、3.99(dd、1H)、4.43(d,1H)、6.78(m,1H)、6.89〜7.01(m、2H)。LRMS:m/z 240(M−H+)。αD=+0.91(エタノール1.10mg/ml)。エナンチオマー2(23b): 1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.96(t,3H)、1.58(m,2H)、2.01(t,1H)、2.22(dt,1H)、2.38(t,2H)、2.78(dd,2H)、3.78(dt,1H)、4.00(dd、1H)、4.43(dd,1H)、6.78(m,1H)、6.91(d、1H)、6.98(t,1H)。LRMS:m/z 240(M−H+)。αD=-0.40(エタノール1.00mg/ml)。
【0281】
実施例24
2‐アミノ‐1‐(4‐ベンジルオキシフェニル)エタノール
【化34】

【0282】
シアン化カリウム(20.15g、0.31モル)及び塩化アンモニウム(16.4g、0.31モル)を水(60ml)に溶解し、ここへ4‐ベンジルオキシベンズアルデヒド(32.9g、0.155モル)、続いてジエチルエーテル(100ml)を添加した。反応混合物を室温で48時間激しく攪拌し、酢酸エチル(2×200ml)で抽出した。併合した有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮してシアノヒドリン中間体を黄色固体として得た(34.2g、0.14モル、90%)。そして、シアノヒドリンを無水THF(300ml)に溶解し、ボラン‐メチルスルフィド複合体(26.6ml、0.28モル)を添加した。反応混合物を2時間還流し、メタノール(50ml)で反応停止した。水(50ml)に続いて濃塩酸(40ml)を添加し、発熱が鎮静化するまで反応混合物を2時間攪拌した。そして、反応混合物を減圧濃縮し、残渣を水(100ml)で希釈した。水溶液をNH4OH(30ml)を添加することによって塩基性化し、酢酸エチル(3×150ml)で抽出した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を白色固体として得た(24.8g、0.10モル、73%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:1.62(bs,3H)、2.81(dd,1H)、2.99(d,1H)、4.61(q,1H)、5.07(s,2H)、6.95(d、2H)、7.22〜7.45(m,7H)。LRMS:m/z 244(M−H+)。
【0283】
実施例25
N‐[2‐(4‐ベンジルオキシフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル)プロピオンアミド
【化35】

【0284】
実施例24からのアミン(24.8g、0.10モル)をジクロロメタン(700ml)に溶解し、これにトリエチルメタン(20.86ml、0.15モル)を添加した。反応混合物を攪拌し、0℃まで冷却し、塩化プロピオニル(7.12ml、0.082モル)を滴下して加えた。そして、反応混合物を16時間にわたって室温まで温度上昇させ、3M HCl(水溶液)(20ml)及び水(100ml)で反応停止した。そして、反応混合物をジクロロメタン(3×200ml)で抽出し、併合した有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、そして減圧濃縮して標題の化合物を清澄な粘性のゴム(27.5g、0.092モル、90%)として得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:1.10(t,3H)、2.19(q,2H)、3.32〜3.43(m,4H)、4.81(s,2H)、5.11(m,1H)、6.99(d、2H)、7.25〜7.42(m,7H)。LRMS:m/z 298(M−H-)。
【0285】
実施例26
1−(4‐ベンジルオキシフェニル)‐2‐プロピルアミノエタノール
【化36】

【0286】
無水THF(100ml)中の実施例25からのアミド(27.5g、0.092モル)にボラン‐メチルスルフィド複合体(17.5ml、0.18モル)を添加し、そして反応混合物を2時間還流した。反応混合物を冷却し、メタノール(30ml)で反応停止した。水(50ml)及び濃塩酸(35ml)を添加し、反応混合物を泡の発生がすべて終了するまで攪拌し、減圧濃縮した。残渣に水(250ml)を添加し、NH4OH(30ml)の添加により塩基性化した。水層を酢酸エチル(3×200ml)で抽出し、併合した有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して、標題の化合物を白色固体(26.1g、0.09モル、99%)として得た。1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.58(q,2H)、2.62(m,2H)、2.81(m,2H)、4.72(dd,1H)、5.05(s、2H)、6.95(d、2H)、7.24(m,3H)、7.35(t,2H)、7.41(d,2H)。LRMS:m/z 286(M−H+)。
【0287】
実施例27
6‐(4‐ベンジルオキシフェニル)‐4‐プロピルモルホリン3‐オン
【化37】

【0288】
水(100ml)中の水酸化ナトリウム(22.5g、0.56モル)を、ジクロロメタン(400ml)中の実施例26からのアミン(26.0g、0.09ml)に添加し、溶液を室温で激しく攪拌した。そして、クロロアセチルクロライド(8.6ml、0.11モル)を添加し、反応混合物をさらに60分間攪拌した。層分離し、水層をジクロロメタン(200ml)で再抽出した。有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して無色のオイルを得た。水酸化カリウム(15.0g、0.27モル)、イロプロピルアルコール(400ml)及び上記無色のオイル残渣を一緒にして不透明な溶液として、水(30ml)とともに2時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮して黄色の残渣を酢酸エチル(200ml)に溶解した。これを水(200ml)及び塩水(200ml)で分配した。有機画分を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物を白色固体として得た(19.9g、0.06モル、67%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.62(m,2H)、3.34(m,2H)、3.51(m,2H)、4.32(d,1H)、4,41(d,1H)、4.72(dd,1H)、5.04(s,2H)、6.98(d、2H)、7.31〜7.43(m,7H)。LRMS:m/z 326(M−H+)。
【0289】
実施例28
2‐(4‐ベンジルオキシフェニル)‐4‐プロピルモルホリン
【化38】

【0290】
実施例27からのモルホリン3‐オン(19.9g、0.061モル)を用いて実施例26と同じ方法にしたがって調製し、標題の化合物を無色のオイルとして得た(17g、0.055モル、90%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.55(q,2H)、2.06(t,1H)、2.21(dt,1H)、2.35(dd,2H)、2.80(d,1H)、2.91(d,1H)、3.82(dt,1H)、4.02(dd,1H)、4,52(dd,1H)、5.05(s,2H)、6.98(t、2H)、7.24〜7.42(m,7H)。LRMS:m/z 312(M−H+)。
【0291】
実施例29
4‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)フェノール
【化39】

【0292】
実施例28からのベンジルエーテル(3.0g、9.64ミリモル)をメタノール(150ml)に溶解し、活性炭(800mg)上の10%パラジウムを添加した。反応混合物を数分間攪拌し、蟻酸アンモニウム(6.17g、96.4ミリモル)を分けて添加した。反応混合物を、気体の発生が終了するまで、80℃まで慎重に加熱した。冷却後、反応混合物をアルバセル(arbacel)を通してろ過し、メタノール(50ml)で洗浄して減圧濃縮し、標題の化合物を白色結晶性固体として得た(1.51g、6.83ミリモル、71%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.91(t,3H)、1.58(q,2H)、2.10(t,1H)、2.22(t,1H)、2.40(dd,2H)、2.81(d,1H)、2.93(d,1H)、3.85(t,1H)、4.02(dd,1H)、4,57(d,1H)、6.79(d,2H)、7.21(d、2H)。LRMS:m/z 222(M−H+)。
【0293】
実施例30
2‐ブロモ‐4‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)フェノール
【化40】

【0294】
ジクロロメタン(5ml)中の実施例29からのフェノール(200mg、0.9ミリモル)に、N‐ブロモサクシニミド(161mg、0.9ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で55時間、攪拌し、減圧濃縮した。粗生成物をシリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール(95:5)で溶出して精製し、標題の化合物を白色泡状物として得た(117.5mg、0.39ミリモル、44%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.96(t,3H)、1.59(q,2H)、2.03(t,1H)、2.23(t,1H)、2.40(t,2H)、2.81(d,1H)、2.98(d,1H)、3.82(t,1H)、4.01(d,1H)、4,56(d,1H)、6.96(d,1H)、7.20(d、1H)、7.49(s,1H)。LRMS:m/z 302(M−H+、Br放射性同位体)。
【0295】
実施例31
2‐(4‐ベンジルオキシ‐3‐ブロモフェニル)‐4‐プロピルモルホリン
【化41】

【0296】
無水DMF(10ml)中の実施例30からのフェノール(117.5mg、0.39ミリモル)に窒素雰囲気下、炭酸カリウム(75mg、0.54ミリモル)及びベンジルブロミド(0.07ml、0.54ミリモル)を添加した。反応混合物を150℃まで48時間加熱した。冷却後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(50ml)と水(50ml)に分配した。水層を酢酸エチル(2×20ml)で再抽出した。併合した有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して粗生成物を茶色のオイルとして得た。これをシリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール(98:2)で溶出し、標題の化合物を無色のオイルとして得た(153mg、0.39ミリモル、100%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.93(t,3H)、1.56(q,2H)、2.05(t,1H)、2.25(t,1H)、2.37(t,2H)、2.82(d,1H)、2.92(d,1H)、3.85(t,1H)、4.02(d,1H)、4,52(d,1H)、5.15(s,2H)、6.87(d,1H)、7.20(d、1H)、7.30(d,1H)、7.37(t,2H)、7.45(d,2H)、7.58(s,1H)。LRMS:m/z 392(M−H+)。
【0297】
実施例32
2‐ベンジルオキシ‐5‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)ベンゾイックアシッドメチルエステル
【化42】

【0298】
無水DMF(4ml)中の実施例31からのブロミド(153mg、0.39ミリモル)に、トリエチルアミン(2.1ml、0.78ミリモル)及びメタノール(2ml)を添加し、反応混合物を5分間攪拌した。[1,1’‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とジクロロメタンとの複合体(1:1)(16mg、0.02ミリモル)を添加し、反応混合物中に一酸化炭素(気体)(ふくらませた風船3つ)をバブリングした。そして、一酸化炭素雰囲気下、反応混合物を100℃まで16時間加熱した。冷却後、反応混合物を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル(25ml)及び水(20ml)に分配した。有機層を分離し、塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して黒色固体を得た。シリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール:アンモニア(90:10:1)で溶出して精製し、標題の化合物を無色のオイルとして得た(105mg、0.28ミリモル、73%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.94(t,3H)、1.60(m,2H)、2.18(s,4H)、2.43(m,2H)、3.00(m,2H)、3.90(s,3H)、4.04(d,1H)、5.18 (s,2H)、5.97(d,1H)、7.26〜7.47(m,6H)、7.82(s,1H)。LRMS:m/z 370(M−H+)。
【0299】
実施例33
2‐ベンジルオキシ‐5‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)ベンゾイックアシッド
【化43】

【0300】
メタノール(5ml)中の実施例32からのメチルエステル(105mg、0.28ミリモル)に、10%水酸化ナトリウム水溶液(15ml)を添加し、乳状の白色懸濁液を2時間還流した。無色となった反応混合物を冷却し、そして2M HCl(水溶液)(数滴)を添加して中和した。反応混合物を減圧濃縮して標題の化合物をオフホワイトの固体として得た(99mg、0.28ミリモル、100%)。LRMS:m/z 355(M−H+)。この物質を粗生成物のまま実施例34で使用した。
【0301】
実施例34
2‐ベンジルオキシ‐5‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)ベンザミド
【化44】

【0302】
実施例33からの粗製ベンゾイックアシッド(99mg、0.28ミリモル)に塩化チオニル(5ml)を添加し、反応混合物を50℃まで2時間加熱した。反応混合物を冷却し、過剰の塩化チオニルを減圧により除去した。そして、残渣をジクロロメタン(10ml)に溶解し、アンモニア(気体)を反応混合物中に10分間バブリングした。得られた懸濁液を室温で1時間攪拌し、減圧濃縮した。粗製物質をシリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール:アンモニア(95:5:0.5)で溶出した標題の化合物をオフホワイトの固体として得た(88mg、0.25ミリモル、90%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.94(t,3H)、1.59(m,2H)、2.15〜2.42(m,4H)、2.87(m,1H)、3.03(m,1H)、3.96(m,1H)、4.02(d,1H)、4.67(m,1H)、5.19(s,2H)、5.72(m,1H)、7.04(d,1H)、7.41(m,5H)、7.50(d,1H)、7.70(m,1H)、8.21(s,1H)。LRMS:m/z 355(M−H+)。
【0303】
実施例35
2‐ヒドロキシ‐5‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)ベンザミド
【化45】

【0304】
実施例34からのベンジルエステル(80mg、0.22ミリモル)を用い、実施例29と同じ方法を用いて調製し、標題の化合物をオフホワイトの固体(56mg、0.21ミリモル、96%)として得た。1H NMR(CD3OD、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.55(m,2H)、2.13(t,1H)、2.29(t,1H)、2.42(m,2H)、2.88(d,1H)、2.97(d,1H)、3.81(t,1H)、4.00(d,1H)、4.49(d,1H)、6.87(d,1H)、7.42(d,1H)、7.78(s,1H)。LRMS:m/z 265(M−H+)。
【0305】
実施例36
2‐ニトロ‐4‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)フェノール
【化46】

【0306】
実施例29からのフェノール(100mg、0.45ミリモル)を硝酸;水(1:3)(2ml)に溶解し、室温で10分間攪拌した。反応混合物を水(5ml)で希釈し、NH4OH(1ml)で塩基性化し、酢酸エチル(3×10ml)中へ抽出した。有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して、標題の化合物を黄色の固体として得た(95mg、0.35ミリモル、79%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.97(t,3H)、1.33(t,2H)、1.43〜1.79(bm,4H)、2.02(d,3H)、4.06(m,2H)、7.17(d,1H)、7.60(d,1H)、8.16(s,1H)、10.55(bs,1H)。LRMS:m/z 267(M−H+)。
【0307】
実施例37
2‐アミノ‐4‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)フェノール
【化47】

【0308】
エタノール(10ml)中の実施例36からのニトロ(95mg、0.35ミリモル)に、活性炭(50mg)上の10%パラジウム及び蟻酸アンモニウム(100mg、XS)を添加した。反応混合物を穏やかに70℃まで加熱し、この温度で1時間保持したあと、室温まで冷却させた。反応混合物をアルバセルを通してろ過し、そしてエタノール(20ml)、続いてジクロロメタン(20ml)で洗浄した。有機洗浄液を併合し、減圧濃縮して標題の化合物を黄色の固体として得た(65mg、0.28ミリモル、78%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.91(t,3H)、1.55(m,2H)、2.12(t,1H)、2.25(dt,1H)、2.40(t,2H)、2.81〜2.92(dd,2H)、3.82(t,1H)、4.00(d,1H)、4.42(d,1H)、6.60(m,2H)、6.71(s,1H)。LRMS:m/z 237(M−H+)。
【0309】
実施例38
5‐ブロモ‐2‐(2,5‐ジメチルピロール‐1‐イル)ピリジン
【化48】

【0310】
5‐ブロモピリジン‐2‐イル‐アミン(13.8g、0.08モル)アセトニルアセトン(14.1ml、0.12モル)及びp‐トルエンスルホン酸(100mg)をトルエン(180ml)に溶解し、Dean Stark条件下で14時間還流した。冷却後、茶色の溶液を水(200ml)中に注ぎ込み、トルエン(2×200ml)で抽出した。有機抽出物を併合し、塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して粗生成物を得た。これをシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル:ペンタン(1:3)で溶出して精製し、標題の化合物を茶色のオイルとして得た(18.4g、0.073モル、92%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:2.18(s,6H)、5.90(s,2H)、7.11(d,1H)、7.92(d,1H)、8.62(s,1H)。LRMS:m/z 253(M−H+、Br放射性同位体)。
【0311】
実施例39
2‐クロロ‐1‐[6‐(2,5‐ジメチルピロール‐1‐イル)ピリジン‐3‐イル]エタノン
【化49】

【0312】
無水THF(30ml)中、−78℃の実施例38からのブロモピリジン(2g、8.0ミリモル)の溶液にブチルリチウム(ヘキサン中、2.5M)(3.5ml、8.8ミリモル)を20分間にわたって滴下した。反応混合物を30分間攪拌し、そして、温度を−78℃に保持しつつ、無水THF(20ml)中の2‐クロロ‐N‐メトキシ‐N‐メチルアセタミド(1.2g、8.8ミリモル)を滴下して添加した。この温度で30分間攪拌を続けた後、1M HCl水溶液(50ml)を添加し、反応混合物を室温に温めた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(50ml)で洗浄した。有機層を併合し、そして3M NaOH水溶液(10ml)及び塩水(10ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して粗製の標題の化合物を茶色のオイルとして得た(1.34g、5.4ミリモル、67%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:2.20(s,6H)、4.68(s,2H)、5.92(s,2H)、7.32(d,1H)、8.38(d,1H)、9.16(s,1H)。LRMS:m/z 249(M−H+)。
【0313】
実施例40
2‐(2,5‐ジメチルピロール‐1‐イル)‐5‐オキシラニルピリジン
【化50】

【0314】
0℃に冷却した無水THF(20ml)に溶解した実施例39からのケトン(1.34g、5.4ミリモル)に、ナトリウムボロハイドライド(308mg、8.1ミリモル)を分けて添加した。反応混合物を2時間攪拌し、そして3M NaOH水溶液(10ml)を添加し、さらに16時間攪拌を続けた。反応混合物を酢酸エチル(2×20ml)で抽出し、併合した有機抽出物を塩水(5ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル:ペンタン(1:5)で溶出して標題の化合物を無色のオイル(900mg、4.2ミリモル、78%)として得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:2.13(s,6H)、2.91(dd,1H)、3.25(t,1H)、3.98(t,1H)、5.90(s,2H)、7.20(d,1H)、7.62(dd,1H)、8.58(s,1H)。LRMS:m/z 215(M−H+)。
【0315】
実施例41
1‐[6‐(2,5‐ジメチルピロール‐1‐イル)ピリジン‐3‐イル]‐2‐プロピルアミノエタノール
【化51】

【0316】
DMS(5ml)中の実施例40からのエポキシド(900mg、4.2ミリモル)にプロピルアミン(4ml、4.8ミリモル)を添加し、反応混合物を4日間、40℃まで加熱した。そして、反応混合物を冷却し、3M HCl(水溶液)(10ml)及び水(10ml)を添加した後、ジエチルエーテル(2×10ml)で洗浄した。この有機層を捨てた。水層をNH4OH(5ml)で塩基性化し、酢酸エチル(3×10ml)で抽出した。有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して標題の化合物をオイル(1.15g、4.2ミリモル、100%)として得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.93(t,3H)、1.62(m,2H)、2.11(s,6H)、2.69〜2.82(m,3H)、3.06(dd,1H)、3.60(bs,2H)、4.92(dd,1H)、5.84(s,2H)、7.20(d,1H)、7.88(d,1H)、8.61(s,1H)。LRMS:m/z 274(M−H+)。
【0317】
実施例42
6‐[6‐(2,5‐ジメチルピロール‐1‐イル)ピリジン‐3‐イル]‐4‐プロピルモルホリ‐3‐オン
【化52】

【0318】
実施例27と同じ方法にしたがって、実施例41からのアミン(1.15g、4.2ミリモル)を用いて調製した。シリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタホール(98:2)で溶出して精製し、標題の化合物を茶色の膜(191mg、0.61ミリモル、14%)として得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.97(t,3H)、1.65(m,2H)、2.13(s,6H)、3.38(m,1H)、3.42〜3.56(m,2H)、6.61(s,1H)、4.35(d,1H)、4.45(d,1H)、4.91(dd,1H)、6.91(s,2H)、7.22(d,1H)、7.89(d,1H)、8.61(s,1H)。LRMS:m/z 314(M−H+)。
【0319】
実施例43
6‐[6‐(2,5‐ジメチルピロール‐1‐イル)ピリジン‐3‐イル]‐4‐プロピルモルホリン
【化53】

【0320】
無水THF(5ml)中の実施例42からのモルホリン‐3‐オン(191mg、0.61ミリモル)の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(ジエチルエーテル中1M溶液)(1.25ml、0.61ミリモル)を添加し、反応混合物を2.5時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、1M NaOH(1.25ml)を添加して白色沈殿を得た。反応混合物をろ過し、減圧濃縮した。白色固体は捨てた。濃縮したろ液をシリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール(95:5)で溶出して標題の化合物を白色の膜(108mg、0.36ミリモル、59%)として得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.92(t,3H)、1.61(q,2H)、2.10(s,6H)、2.15(m,1H)、2.29(dt,1H)、2.40(t,2H)、2.82(d,1H)、3.02(d,1H)、3.90(t,1H)、4.08(d,1H)、4.71(d,1H)、5.89(s,2H)、7.20(d,1H)、7.81(d,1H)、8.60(s,1H)。LRMS:m/z 300(M−H+)。
【0321】
実施例44A及び44B
5‐(4‐プロピルモルホリン2‐イル)ピリジン‐2‐イルアミン
【化54】

【0322】
エタノール(3ml)中の実施例43からの2,5‐ジメチルピロール(45mg、0.15ミリモル)に、塩酸ヒドロキシルアミン(52mg、0.75ミリモル)を添加し、反応混合物を80℃まで20時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカ上のクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール:アンモニア(90:10:1)で溶出してラセミ化合物を無色の膜(31mg、0.14ミリモル、94%)として得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.92(t,3H)、1.60(m,2H)、2.11(t,1H)、2.25(dt,1H)、2.41(t,2H)、2.82〜2.91(dd,2H)、3.89(dt,1H)、4.01(dd,1H)、4.57(bd,3H)、6.49(d,1H)、7.42(d,1H)、8.02(s,1H)。LRMS:m/z 222(M−H+)。
【0323】
キラルHPLCによって、このラセミ生成物(580mg)の試料をそれを構成するエナンチオマーに分割した。
【0324】
使用した条件:Chiralpak ADカラム(250×21.2mm)、溶出液メタノール:エタノール(1:1)、流速15mL/分。
【0325】
より早く溶出する実施例44Aのエナンチオマー(滞留時間8.3分)を99%超のエナンチオマー過剰で得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)は、ラセミ体のものと同一であった。LRMS:m/z222。分析実測値は、C、63.54;H、8.60;N、18.38%。C12H19N3O.3H2Oの理論値はC、63.58;H、8.71;N、18.53%。
【数1】

【0326】
より遅く溶出する実施例44Bのエナンチオマー(滞留時間9.4分)を98.9%超のエナンチオマー過剰で得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)は、ラセミ体のものと同一であった。LRMS:m/z222。分析実測値は、C、63.53;H、8.57;N、18.36%。C12H19N3O.3H2Oの理論値はC、63.58;H、8.71;N、18.53%。
【数2】

【0327】
実施例45
2‐エチル‐6‐(3‐メトキシ‐フェニル)‐4‐プロピル‐モルホリン3‐オン
【化55】

【0328】
水(2mL)中の水酸化ナトリウム(0.48g、12.0ミリモル)を、ジクロロメタン(5mL)中の実施例3からの生成物(0.50g、2.4ミリモル)に添加し、混合物を室温で攪拌した。2‐クロロブチルクロライド(0.28mL、2.87ミリモル)を滴下して加え、反応混合物を60時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタン(10mL)で希釈し、水層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して粗生成物を(環化物質及び非環化物質の混合物を含む)清澄なオイル(0.57g)として得た。LRMS:m/z314(非環化物質のM-H+)、296(より水の少ないM-H+)、278(環化生成物のM-H+)。水酸化カリウム(0.13g、2.20ミリモル)を水(1mL)に溶解し、イソプロピルアルコール(5mL)中の粗生成物(0.57g、1.83ミリモル)の溶液に添加した。反応混合物を室温で一夜攪拌し、有機溶媒を減圧蒸発させた。残渣を酢酸エチル(10mL)に溶解し、水層を分離した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して粗生成物をオイルとして得た。残渣をシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル:ペンタン(1:5〜1:1)で溶出して標題の化合物をジアステレオマーの混合物である清澄なオイル(326mg、1.17ミリモル、49%)として得た。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.90(t,3H)、1.00(t,3H)、1.60(m,2H)、2.00(bm,2H)、3.01〜3.60(m,4H)、3.80(s,3H)、4.20(d,0.5H)、4.25(d,0.5H)、4.90(d,0.5H)、6.80(d,1H)、6.90(m,2H)、7.25(m,1H)。LRMS(APCI):m/z 278(MH+)、276(MH-)。
【0329】
実施例46A及び46B
2-エチル‐6-(3‐メトキシ‐フェニル)-4‐プロピル‐モルホリン
【化56】

【0330】
ボラン‐テトラヒドロフラン複合体(THF中1M)(3mL、3ミリモル)を無水THF(4mL)中の実施例45からの生成物(0.33g、1.18ミリモル)に窒素雰囲気下で滴下して加えた。反応混合物を3時間、85℃まで加熱し、そして冷却し、メタノール(1mL)を加えて反応停止させた。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を6N HCl水溶液(10mL)に懸濁し、1.5時間、60℃まで加熱した。反応混合物を冷却し、ジエチルエーテル(2×10mL)で抽出した。固体炭酸カリウムを加えることによって水層を塩基性(pH9〜10)とした後、ジクロロメタン(2×15mL)で再抽出した。ジクロロメタン抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮して粗生成物を清澄なオイルとして得た。シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル:ペンタン(1:10)で溶出して、2つの標題の化合物を単一のジアステレオマーとして得た。
【0331】
実施例46A:清澄なオイル(0.10g、0.38ミリモル、32%):1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:1.00(m,6H)、1.60(bm,3H)、1.85(m,1H)、2.25(bt,2H)、2.35(s,1H)、2.45(m,1H)、2.60(m,1H)、2.65(m,1H)、3.70(s,1H)、3.80(s,3H)、4.80(s,1H)、6.80(d,1H)、7.00(m,2H)、7.25(m,1H)。LRMS(APCI):m/z 264(M‐H+)。
【0332】
実施例46B:清澄なオイル(0.10g、0.38ミリモル、32%):1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.90(t,3H)、1.00(t,3H)、1.60(bm,4H)、1.80(bs,1H)、2.00(bs,1H)、2.35(bs,2H)、2.85(bd,1H)、2.95(bd,1H)、3.60(s,1H)、3.80(s,3H)、4.60(s,1H)、6.80(d,1H)、6.95(s,2H)、7.25(t,1H)。LRMS(APCI):m/z 264(MH+)。
【0333】
実施例47A
3‐(6‐エチル‐4‐プロピル‐モルホリン2‐イル)‐フェノール
【化57】

【0334】
臭化水素酸(48%水溶液、5mL)及び実施例46Aからの生成物(0.10g、0.38ミリモル)を16時間、80℃まで加熱した。反応混合物を冷却後、減圧濃縮した。残渣をアンモニア水溶液(0.880、15mL)及びジクロロメタン(15mL)の間で分配し、層分離し、水層をジクロロメタン(2×15mL)で再抽出した。有機抽出物を併合し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧濃縮した。粗生成物をシリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン、次いでジクロロメタン:メタノール(99:1〜95:5)で溶出して、標題の化合物を清澄なオイルである単一のジアステレオマーとして得た(65mg、0.26ミリモル、69%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(m,6H)、1.60(m,3H)、1.85(m,1H)、2.25(m,2H)、2.45(m,2H)、2.55(q,1H)、2.75(d,1H)、3.75(s,1H)、4.80(m,1H)、6.70(d,1H)、6.90(s,1H)、7.00(1H,d)7.25(t,1H)。LRMS(APCI):m/z 250(MH+)。分析実測値C、70.94%;H、9.16%;N、5.53%。C1523NO2.0.3H2Oの理論値C、70.72%;H、9.34%;N、5.50%。
【0335】
実施例47B
3‐(6‐エチル‐4‐プロピル‐モルホリン2‐イル)‐フェノール
【化58】

【0336】
実施例46Bからの生成物(0.10g、0.38ミリモル)を用いて、実施例47Aと同じ方法に従って調製した。シリカ上のカラムクロマトグラフィーによる精製は必要でなかった。標題の化合物を、単一のジアステレオマーである黄色のオイルとして得た(57mg、0.23ミリモル、60%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.90(t,3H)、1.00(t、3H)、1.60(m,4H)、1.85(t,1H)、2.00(t、1H)、2.35(m,2H)、2.90(d,1H)、3.00(d、1H)、3.65(m,1H)、4.60(m,1H)、6.75(d,1H)、6.80(s,1H)、6.90(1H,d)7.20(t,1H)。LRMS(ESI):m/z 250(MH+)、248(M‐H-)。分析実測値C、71.63%;H、9.19%;N、5.55%。C1523NO2.0.1H2Oの理論値C、71.73%;H、9.31%;N、5.58%。
【0337】
実施例48
2‐メチル‐6‐(3‐メトキシ‐フェニル)‐4‐プロピル‐モルホリン3‐オン
【化59】

【0338】
実施例3からの生成物(0.44g、2.10ミリモル)及び2‐クロロプロピオニルクロライド(0.25mL、2.50ミリモル)を用いて、実施例45と同じ方法に従って調製した。シリカ上のカラムクロマトグラフィーによる、標題の化合物の精製は必要でなかった。標題の化合物はジアステレオマー混合物である清澄なオイルとして得られた(0.42g、1.60ミリモル、76%)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.60(m,5H)、3.30(bm,2H)、3.50(bm,2H)、3.80(s,3H)、4.40(q,0.5H)、4.55(q,0.5H)、4.80(dd,0.5H)、4.95(dd,0.5H)、6.85(d,1H)、6.95(s,2H)、7.25(m,1H)。LRMS(APCI):m/z264(MH+)、262(MH-)。
【0339】
実施例49A及び49B
2‐メチル‐6‐(3‐メトキシ‐フェニル)‐4‐プロピル‐モルホリン
【化60】

【0340】
実施例48からの生成物(0.42g、1.6ミリモル)を用いて、実施例46と同じ方法に従って調製した。シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチル:ペンタン(1:6)で溶出して精製し、標題の2つの化合物を単一のジアステレオマーとして得た。
【0341】
実施例49A:清澄なオイル(0.10g、0.40ミリモル、25%):1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.30(d、3H)、1.60(m,2H)、2.20〜2.35(m,3H)、2.50(d,1H)、2.60(m,1H)、2.65(d,1H)、3.80(s,3H)、4.00(s,1H)、4.85(s,1H)、6.80(d,1H)、7.05(m,2H)7.25(m,1H)。LRMS(APCI):m/z 250(MH+)。
【0342】
実施例49B:清澄なオイル(0.10g、0.40ミリモル、25%):1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.90(t,3H)、1.25(m、3H)、1.60(m,2H)、1.80(m,1H)、2.00(bm,1H)、2.35(s,2H)、2.80(d,1H)、2.90(d,1H)、3.80(s,3H)、3.85(s,1H)、4.60(s,1H)、6.80(d,1H)、7.00(m,2H)7.25(m,1H)。LRMS(APCI):m/z 250(MH+)。
【0343】
実施例50A
3‐(6‐メチル‐4‐プロピル‐モルホリン2‐イル)‐フェノール
【化61】

【0344】
実施例49Aからの生成物(0.10g、0.4ミリモル)を用いて、実施例47Aと同じ方法にしたがって調製した。シリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン、次いでジクロロメタン:メタノール(99:1)で溶出して精製し、標題の化合物を単一のジアステレオマーである清澄なオイルとして得た(70mg、0.30ミリモル、74%)。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.35(d、3H)、1.55(m,2H)、2.25(m,2H)、2.35(m,1H)、2.50(m,1H)、2.55(m,1H)、2.75(d,1H)、4.05(s,1H)、4.85(m,1H)、6.70(d,1H)、6.90(s,1H)、7.00(1H,d)、7.20(t,1H)。LRMS(APCI):m/z 236(MH+)。分析実測値C、70.62%;H、8.89%;N、5.95%。C1421NO2.0.1H2Oの理論値C、70.91%;H、9.01%;N、5.91%。
【0345】
実施例50B
3‐(6‐メチル‐4‐プロピル‐モルホリン2‐イル)フェノール
【化62】

【0346】
実施例49Bからの生成物(0.10g、0.4ミリモル)を用いて、実施例47Aと同じ方法に従って調製した。シリカ上のカラムクロマトグラフィーによる、標題の化合物の精製は必要でなかった。標題の化合物は単一のジアステレオマーである黄色のオイルとして得られた(100mg、0.42ミリモル、103%−3%の出発物質を含む)。1H NMR(CDCl3、400MHz)δ:0.90(t,3H)、1.25(d,3H)、1.60(m,2H)、1.85(m,1H)、2.00(m,1H)、2.35(m,2H)、2.85(d,1H)、3.00(d,1H)、3.85(s,1H)、4.60(d,1H)、6.75(d,1H)、6.80(s,1H)、6.90(1H,d)、7.20(m,1H)。LRMS(APCI):m/z236(MH+)。分析実測値C、69.38%;H、8.86%;N、5.73%。C1421NO2.0.45H2Oの理論値C、69.33%;H、9.06%;N、5.78%。
【0347】
実施例51
1‐(4‐クロロ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐2‐プロピルアミノ‐エタノール
【化63】

【0348】
ソディウムトリアセトキシボロハイドライド(1.25g、5.89ミリモル)を慎重に2‐アミノ‐1‐(4‐クロロ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐エタノール(J.Med. Chem., 30(10),1887,(1987))(600mg、2.98ミリモル)及びジクロロメタン(10mL)中プロピオンアルデヒド(0.22mL、2.96ミリモル)に加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した。炭酸水素ナトリウム溶液(飽和水溶液、10mL)を滴下して加え、反応混合物をさらに水(20mL)及びジクロロメタン(20mL)で希釈した。水層を分離し、ジクロロメタン(2×20mL)で再抽出した。併合した有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、減圧濃縮した。粗生成物をシリカ上のカラムクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール:0.880アンモニア(95:5:0.5〜92:8:0.8)で溶出して、標題の化合物を固体として得た(320mg、1.31ミリモル、44%)。 1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.90(t,3H)、1.50(q,2H)、2.50〜2.70(m,5H)、2.90(dd,1H)、3.80(s,3H)、4.65(dd,1H)、6.85(d,1H)、7.00(1H,d)7.30(bd,1H)。LRMS(APCI):m/z 244(MH+)、226(MH+より少ないH2O)。
【0349】
実施例52
6‐(4‐クロロ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐4‐プロピル‐モルホリン3‐オン
【化64】

【0350】
クロロアセチルクロライド(0.11mL、1.33ミリモル)を実施例51からの生成物(0.31g、1.27ミリモル)の溶液及びジクロロメタン(10mL)中のトリエチルアミン(0.19mL、1.36ミリモル)に添加し、室温で60時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、塩酸(水溶液、1N、10mL)、水(10mL)、及び炭酸水素ナトリウム溶液(飽和水溶液、10mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、非環化生成物をオイルとして得た(0.40g)。LRMS(APCI):m/z 320(非環化生成物のMH+)、302(MH+より少ない水)、284(環化生成物のMH+)。水酸化カリウム(0.75g、1.33ミリモル)をイソプロピルアルコール(10mL)中の非環化生成物(0.40g、1.23ミリモル)及び水(0.4mL)に添加し、室温で16時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、ジクロロメタン(30mL)及び水(30)mLの間で分配した。層分離し、水層をジクロロメタン(2×20mL)で再抽出した。併合した有機層を水(30mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧して、標題の化合物をオイルとして得た(0.34g、1.19ミリモル、94%)。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.60〜1.70(m,2H)、3.30〜3.40(m,2H)、3.40〜3.55(m,2H)、3.95(s,3H)、4.35(bd,1H)、4.42(bd,1H)、4.78(dd,1H)、6.85(dd,1H)、7.00(s,1H)7.38(dd,1H)。LRMS(APCI):m/z 284(MH+)。
【0351】
実施例53
6‐(4‐クロロ‐3‐メトキシ‐フェニル)‐4‐プロピル‐モルホリン
【化65】

ボラン‐テトラヒドロフラン複合体(THF中、1M)(3.5mL、3.5ミリモル)を、窒素雰囲気下、無水THF(3mL)中の実施例52の生成物(0.33g、1.16ミリモル)の溶液に滴下して加えた。反応混合物を2.5時間還流した後に冷却し、メタノール(1mL)を加えて反応停止させた。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を4N HCl(水溶液、8mL)中に懸濁し、2時間還流した。反応混合物を冷却し、ジクロロメタン(2×10mL)で抽出した。有機層を捨てた。水層を固体炭酸カリウムを加えることによって塩基性化(pH9〜10)した後、ジクロロメタン(2×15mL)で再抽出した。ジクロロメタン抽出物を水(10mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧濃縮して、標題の化合物をオイルとして得た(0.31g、1.15ミリモル、99%)。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.45〜1.60(m,2H)、2.00(t,1H)、2.20(t,1H)、2.35(t,2H)、2.80(d,1H)、2.90(d,1H)、3.80(t,1H)、3.90(s,3H)、4.03(dd,1H)、4.55(d,1H)、6.85(dd,1H)、7.00(s,1H)7.30(dd,1H)。LRMS(APCI):m/z 270(MH+)。
【0352】
実施例54
2‐クロロ‐5‐(4‐プロピル‐モルホリン2‐イル)‐フェノール
【化66】

【0353】
実施例53からの生成物(0.28g、1.02ミリモル)を用いて、実施例7bと同じ方法に従って(しかし、還流を1時間でなく、2.5時間続けた)調製した。シリカ上のカラムクロマトグラフィーによる精製は必要でなかった。標題の化合物を薄い茶色のゴムとして得た(0.21g、0.82ミリモル、81%)。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.93(t,3H)、1.55(q,2H)、2.00(t,1H)、2.20(dt,1H)、2.30〜2.40(m,2H)、2.80(bd,1H)、2.90(bd,1H)、3.80(dt,1H)、4.00(dd,1H)、4.30(d,1H)、6.87(dt,1H)、7.02(fd,1H)7.25(s,1H)。LRMS(APCI):m/z 256(MH+)。分析実測値C、60.71%;H、7.10%;N、5.45%。C1318NO2Clの理論値C,61.05%;H、7.09%;N、5.48%。
【0354】
実施例55
メチル(2S)‐2‐(プロピオニルアミノ)プロパノアート
【化67】

【0355】
L‐アラニンメチルエステル塩酸塩(14g、0.1モル)をジクロロメタン(150mL)に溶解し、トリエチルアミン(30.45g、0.3ミリモル)で処理した。溶液を攪拌し、塩酸プロピオニルを滴下して加えた。一夜攪拌後、1M塩酸(200mL)を添加することによって混合物を反応停止させ、有機層を分離した。水層をジクロロメタン(3×200mL)で再抽出し、併合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、蒸発させて清澄なオイルを得た(16.0g、量)。1HNMR(DMSO-d6、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.25(d,3H)、2.1(q,2H)、3.6(s,3H)、4.2(quin、1H)、8.2(bd、1H)、LRMS(ESI+)m/z160(MH+)。
【0356】
実施例56
Tert‐ブチル(1S)‐2‐ヒドロキシ‐メチルエチル(プロピル)カーバメート
【化68】

【0357】
実施例55からの生成物をテトラヒドロフラン(200mL)に溶解し、室温で攪拌しながら、ボラン‐テトラヒドロフラン複合体(300mL、0.3ミリモル)を添加した。そして、混合物を一夜、加熱還流した。室温まで冷却後、6M 塩酸(100mL)を慎重に加えることによって反応停止させ、その後、6時間加熱還流した。反応混合物を一夜、室温まで冷却させ、そして乾燥するまで蒸発させた(11.77g)。粗混合物は、所望のアミノアルコール中間体と一致するm/z118であった。粗混合物をメタノール(50mL)及び水(400mL)に溶解した後、水酸化カリウム(28.22g、0.5モル)を添加した。ジ‐tert‐ブチルジカーボネート(32.87g、0.15モル)を混合物に添加し、攪拌を3日間にわたって継続した。反応混合物をDCM(500mL)及び水(100mL)の間で分配し、有機層を分離し、水層をDCMでさらに2回再抽出した。併合した有機分画を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、そして蒸発させて粗生成物を得た。SiO2上のフラッシュクロマトグラフィーにより、ジクロロメタン:メタノール:880NH3(97:3:0.3)で溶出して、所望の生成物4.5gを清澄なオイル(21%)として、さらなる10gの部分的に精製された物質とともに得た。1HNMR(DMSO‐d6、400MHz)δ:0.8(t,3H)、1.05(bs,3H)、1.4(m,11H)、2.95(bs,2H)、3.35(bm、3H)、4.6(bs、1H)、LRMS(ESI+)m/z240(MNa+)。
【0358】
実施例57
(2S)‐2‐(プロピルアミノ)プロパン‐1‐オルハイドロクロライド
【化69】

【0359】
実施例56からの純粋な物質(4.2g、0.021ミリモル)をジオキサン(10mL)に溶解し、ジオキサン(30mL)中4M HClで処理した。混合物を室温で16時間、攪拌し、蒸発させて白色固体を得た(2.74g、92%)。1HNMR(DMSO‐d6、400MHz)δ:0.9(t,3H)、1.15(d,3H)、1.6(m,2H)、2.8(m,2H)、3.15(m、1H)、3.5(bm、1H)、3.6(m,1H)、5.4(bs、1H)、8.8(bd,2H)。LRMS(APCI+)118(MH+)。
【0360】
実施例58
(5S)‐2‐(3‐メトキシフェニル)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン2‐オル
【化70】

【0361】
実施例57からの生成物(1.0g、6.6ミリモル)をトルエン(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.38g、14ミリモル)で処理した後、2‐ブロモ‐3’‐メトキシアセトフェノン(1.5g、6.6ミリモル)を添加すした。混合物を65℃に加熱し、3日間にわたって攪拌した。室温に冷却後、混合物を塩水及び酢酸エチルの間で分配し、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、蒸発させた。残渣をSiO2上のフラッシュクロマトグラフィーにより酢酸エチルで溶出し、所望のモルホリノル化合物を立体異性体混合物である薄黄色のオイルとして得た(1.0g、58%)。1HNMR(DMSO‐d6、400MHz)δ:0.8(m,3H)、0.95(d,3H)、1.35(m,2H)、2.1(m,2H)、2.4(bm,1H)、2.6(m,1H)、2.75(m,1H)、3.5(d,1H)、3.75(m,4H)、6.0(s,0.75H)、6.1(s,0.25H)、6.85(d,1H)、7.05(m,2H)、7.25(t,1H)。LRMS(ESI+)m/z248(M‐H2O)、266(MH+)、288(MNa+)。
【0362】
実施例59
(5S)‐2‐(3‐メトキシフェニル)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン
【化71】

【0363】
実施例58からの生成物(770mg、2.9ミリモル)をジクロロメタン(20mL)中に溶解し、窒素雰囲気下、−78℃に冷却した。混合物を攪拌しながら、トリエチルシラン(3.7mL、23ミリモル)を添加し、続いてトリメチルシリルトリフレート(1.1mL、5.8ミリモル)を添加した。攪拌は一夜継続し、反応混合物を室温にする。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加することによって反応停止させ、ジクロロメタンで(3回)抽出した。併合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、蒸発させた。粗生成物をSiO2上のフラッシュクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール:880アンモニア(97:3:0.3)で溶出し、所望のモルホリン化合物を得た(600mg、83%)。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(m,3H)、1.1(b,d,3H)、1.6(bm,2H)、2.2〜3.1(5H)、3.5(bm,1H)、4.85(m,4H)、4.6(b,1H)、6.8(d,1H)、6.95(m,2H)7.25(m,1H+CHCl3)。LRMS(APCI+)m/z 250(MH+)。分析実測値C、71.53%;H、9.21%;N、5.55%。C1523NO2.0.15H2Oの理論値C,71.48%;H、9.32%;N、5.56%。
【0364】
実施例60
3‐[(5S)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン2‐イル]フェノール
【化72】

【0365】
実施例59からの物質(400mg、1.6ミリモル)を48%臭化水素酸水溶液(8mL)に溶解し、混合物を一夜、80℃に加熱した。室温に冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して混合物の反応を停止し、混合物をジクロロメタンで(3回)抽出した。併合した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、蒸発させて生成物を白色固体として得た(285mg、76%)。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.9(m,3H)、1.1+1.2(2×d,3H)、1.5(m,2H)、2.3(m,2H)、2.5(bm,1H)、2.8(bm,1H)、3.1(d,1H)、3.5(bm,1H)、3.85(bm,1H)、4.6(d,1H)、6.8(m,2H)、6.95(m,1H)7.2(t,1H)。LRMS(APCI+)m/z 236(MH+)。分析実測値C、70.61%;H、9.00%;N、5.86%。C1421NO2.0.1H2Oの理論値C,70.91%;H、9.01%;N、5.91%。
【0366】
このジアステレオマー混合物をChiralcel OJ-H (250*21.2mm)HPLCカラム上で分離する。移動相は100%メタノール、流速15ml/分。試料調製物200mgを4mlのメタノールに溶解し、250μlを注入した。2つの主要なピークが得られ、滞留時間は5.822分(実施例60A、57mg、28%)及び7.939分(実施例60B、12mg、6%)であった。
【0367】
実施例60A:1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.85(t,3H)、1.05(d,3H)、1.5(m,2H+H2O)、2.2(m,2H)、2.4(m,1H)、2.8(m,1H)、3.0(d,1H)、3.4(t,1H)、3.9(dd,1H)、4.55(d,1H)、5.6(bs,1H)、6.75(d,1H)、6.85(s,1H)、6.95(d,1H)、7.2(t,1H)。HRMSm/z 236.1643(MH+)。
【0368】
実施例60B:1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.15(d,3H)、1.55(m,2H)、2.4(m,2H)、2.55(t,1H)、2.65(dd,1H)、2.95(bm,1H)、3.8(d,1H)、3.95(d,1H)、4.55(dd,1H)、6.75(d,1H)、6.85(s,1H)、6.95(d,1H)、7.2(t,1H)。HRMSm/z 236.1643(MH+)。
【0369】
実施例61
(S)‐2‐プロピルアミノ‐プロパン‐1‐オルハイドロクロライド
【化73】

【0370】
ジクロロメタン(500ml)に溶解した(S)‐(+)‐2‐アミノ‐1‐プロパノール(19.6g,0.26モル)に、プロピオンアルデヒド(20.9ml、0.28モル)、続いて先に乾燥した粉末4Aモレキュラーシーブ(40g)を添加し、混合物を室温で一夜攪拌した。混合物をセライトパッドを通してろ過し、パッドをジクロロメタンで洗浄し、溶媒を蒸発させて清澄なオイルを得た。このオイルをメタノール(200ml)に溶解し、NaBH4を15分にわたって分けて添加した。混合物を室温で一夜攪拌し、2M HCl(水溶液)(200ml)を慎重に加えて反応停止し、2M NaOH(200ml)を添加することにより塩基性化し、メタノールを蒸発によって除去した。ジ‐tert‐ブチルジカーボネート(115g、0.52モル)、続いて1,4‐ジオキサン(200ml)を添加し、混合物を室温で一夜攪拌した。1,4‐ジオキサンを蒸発によって除去して清澄なオイルを得た。このオイルにジオキサン(200ml)中4M HClを添加し、混合物を室温で一夜攪拌した。溶媒を蒸発させて除去し、白色固体を得た(24g)。1HNMR(DMSO、400MHz)δ:0.95(t,3H)、1.2(d,3H)、1.6(m,2H)、2.8(m,2H)、3.15(m,1H)、3.5(bm,1H)、3.6(m,1H)、5.4(b,1H)、8.6〜8.9(bd,2H)。LRMS(APCI)、118(MH+)。
【0371】
実施例62
(5S)‐4‐プロピル‐5‐メチルモルホリン2‐オン
【化74】

【0372】
実施例61からの物質(4g、26ミリモル)をベンゼンに溶解し、続いてN‐エチルジイソプロピルアミン(9.07ml、52ミリモル)及びメチルブロモアセテート(2.4ml、26ミリモル)を添加した。水を共沸留去しながら、混合物を一夜加熱還流した。溶媒を蒸発によって除去し、粗製物質をメタノールに溶解し、SiO2に先に吸着させ、SiO2上のフラッシュクロマトグラフィーにより、40%酢酸エチル/ペンタンで溶出して、標題のモルホリノンを清澄なオイルとして得た(1.78g)。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.9(t,3H)、1.1(d,3H)、1.5(m,2H)、2.25(m,1H)、2.6(m,1H)、2.8(m,1H)、3.2(d,1H)、3.6(d,1H)、4.05(dd,1H)、4.3(dd,1H)。t.l.c.Rf=0.18(50%酢酸エチル/ペンタン、UV可視化)。
【0373】
実施例63
(5S)‐2‐[6‐ブロモ‐(2,5‐ジメチル‐1H‐ピロール‐1‐イル)ピリジン‐3‐イル]‐4‐プロピル‐5‐メチルモルホリン‐2‐オル
【化75】

【0374】
5‐ブロモ‐2‐(2,5‐ジメチル‐ピロール‐1‐イル)‐ピリジン(1.5g、5.9ミリモル)をトルエンと共沸させ、THF(20ml)に溶解した。この混合物を−78℃に冷却し、t‐ブチルリチウム(ペンタン中1.7M、7ml、11.9ミリモル)を、温度を−70℃未満に維持しつつ添加した。実施例62からの物質をTHF(20ml)に溶解し、t‐ブチルリチウム添加完了の直後に混合物に加えた。混合物を−78℃で30分間攪拌し、そこでNH4Cl(10%水溶液、150ml)を添加し、混合物を酢酸エチル中に抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、蒸発させた。SiO2上のフラッシュクロマトグラフィーで、25%酢酸エチル/ペンタン〜50%酢酸エチル/ペンタンの段階的グラディエントで溶出し、標題の化合物をおよそ3.5:1の比率のジアステレオ異性体の混合物として黄色のオイルとして得た(480mg)。1HNMR(CDCl3、400MHz)(ジアステレオマー)δ:0.95(m,3H)、1.1、1.2(2×d,3H)、1.5(m,2H)、2.15(s,6H)、2.4(m,1H)、2.5(d,1H)、2.6(m,1H)、2.75(m,1H)、3.85〜3.95(m,1H)、3.6、3.75、4.4(3×m,2H)、5.15(bs,1H)、5.9(s,2H)、7.2(d,1H)、8.05(dd,1H)、8.8(s,1H)。LRMS(ES+)、330(MH+)、352(MNa+)。LRMS(ES−)、328(M‐H)。
【0375】
実施例64
(2S)‐2‐[{(2RS)‐2‐[6‐(2,5‐ジメチル‐1H‐ピロール‐1‐イル)ピリジン‐3‐イル]‐2‐ヒドロキシエチル}プロピル)アミノ]プロパン‐1‐オル
【化76】

【0376】
(5S)‐2‐[6‐(2,5‐ジメチル‐1H‐ピロール‐1‐イル)ピリジン‐3‐イル]‐4‐プロピル‐5‐メチルモルホリン2‐オル(480mg、1.45ミリモル)をエタノール(5mL)及び水(2mL)に溶解し、ソディウムボロハイドライド(220mg、5.8ミリモル)で処理した。反応混合物を室温で一夜攪拌しておいた後、飽和NH4Cl水溶液(50mL)を添加して反応停止し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機抽出物を併合し、MgSO4で乾燥し、そして蒸発させて400mgのふわふわとした白色固体を400mg得て、これをさらに精製することなく使用した。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.8〜1.1(m,6H)、1.15、1.35(2×d,3H)、1.6〜2.0(m,2H)、2.1(s,6H)、2.5〜4.05(m,7H)、4.8〜5.2(m,1H)、5.9(s,2H)、7.2(m,1H)、7.8〜8.1(m,1H)、8.55(m,1H)。LRMS(ES+)、332(MH+)。
【0377】
実施例65
(2S)‐2‐[[(2RS)‐2‐(6‐アミノピリジン‐3‐イル)‐2‐ヒドロキシエチル](プロピル)アミノ]プロパン‐1‐オル
【化77】

【0378】
(2S)‐2‐[[(2RS)‐2‐(6‐アミノピリジン‐3‐イル)‐2‐ヒドロキシエチル](プロピル)アミノ]プロパン‐1‐オル(400mg、1.2ミリモル)をエタノール(5mL)に溶解し、塩酸ヒドロキシルアミン(419mg,6ミリモル)を添加し、混合物を一夜、80℃に加熱した。溶媒を減圧下、除去し、残渣をSiO2上のフラッシュクロマトグラフィーによりジクロロメタン/メタノール/880アンモニア(95:5:0.5極性を93:7:1まで増加させる)で溶出し、標題の化合物をジアステレオマー混合物として得た(300mg、98%)。1HNMR(CDCl3、400MHz)(2つのジアステレオマー)δ:0.82〜0.97(6H,m)、2.40〜2.77(2H,m)、3.27〜3.51(2H,m)、4.51(1H,m)、6.58(1H,m)、7.49(1H,m)、7.86(1H,m)。LRMS(APCI+)、254(MH+)。
【0379】
実施例66及び67
5‐[(2S,5S)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン2‐イル]ピリジン‐2‐アミン及び5‐[(2R,5S)‐5‐メチル‐4‐プロピルモルホリン2‐イル]ピリジン‐2‐アミン
【化78】

実施例65からの「ジオール」(300mg、1.2ミリモル)をジクロロメタン(3mL)に溶解し、濃硫酸(3mL)を添加した。混合物を室温で3時間攪拌した。反応液を0℃まで冷却し、6M水酸化ナトリウム溶液を注意深く加えて反応停止させ、そしてジクロロメタン(4×50mL)で抽出した。併合した抽出物を乾燥し(MgSO4)、そして蒸発させると、茶色のゴム状の固体が得られた。SiO2上のフラッシュクロマトグラフィーにより酢酸エチル中10%メタノールで溶出すると、より極性の低いジアステレオマー(およそ、80%d.e.)に富む物質を5mg、より極性の低いジアステレオマー(およそ、80%d.e.)に富む物質を12mg、及びジアステレオ異性体のおよそ1:1混合物を150mg(総収率167mg、59%)得た。最後の1:1混合物をChiralpak OD-Hカラム(250×21.2mm)を使用してHPLCによって精製し、メタノール/エタノール(1:1)で溶出した。
【0380】
より早く溶出するジアステレオ異性体(滞留時間8.1分)を99%超d.e.で得た(60mg、21%)。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.88(3H,t)、1.01(3H,d)、1.26(3H,t)、1.37〜1.58(2H,m)、2.18〜2.28(2H,m)、2.36〜2.47(1H,m)、2.69〜2.77(1H,m)、2.90(1H,m)、3.38(1H,m)、3.72(2H,d)、3.82(1H,m)、4.40(2H,brs)、4.45(1H,dd)、6.48(1H,d)、7.45(1H,dd)、8.04(1H,d)。LRMS(ES+):m/z236(MH+)。
【数3】

【0381】
より遅く溶出するジアステレオ異性体(滞留時間10.5分)を99%超d.e.で得た(62mg、22%)。1HNMR(CDCl3、400MHz)δ:0.93(3H,t)、1.11(3H,d)、1.49(2H,m)、2.38(2H,m)、2.50〜2.56(2H,m)、2.89(1H,m)、3.75(1H,m)、3.89(1H,m)、4.40(2H,brs)、4.46(1H,m)、6.50(1H,d)、7.50(1H,dd)、8.07(1H,d)。LRMS(ES+):m/z236(MH+)。
【数4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(Ia)又は(Ib):
【化1】

{式中、
Aは、C-Xであり、
Bは、C-Yであり、
R1は、H及び(C1−C6)アルキルから選ばれ、
R2は、H及び(C1−C6)アルキルから選ばれ、
Xは、H、HO、C(O)NH2、NH2から選ばれ、
Yは、H、HO、NH2、Br、Cl及びFから選ばれ、
Zは、H、HO、F、CONH2及びCNから選ばれる。
但し:
X、Y及びZのうちの少なくとも1つはOHでなくてはならない。}
により表される化合物並びに薬剤として許容可能なその塩及び溶媒和物。
【請求項2】
式中のR1が、H、メチル及びエチルから選ばれる、請求項1に記載の式(Ia)又は(Ib)により表される化合物。
【請求項3】
式中のR2が、H及びメチルから選ばれる、請求項1または2に記載の式(Ia)又は(Ib)により表される化合物。
【請求項4】
式中のXが、H、OH及びNH2から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(Ia)又は(Ib)により表される化合物。
【請求項5】
式中のYが、H、NH2、Cl及びFから選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(Ia)または(Ib)により表される化合物。
【請求項6】
式中のZが、H、OH及びFから選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の(Ia)または(Ib)により表される化合物。
【請求項7】
R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール、
S‐(+)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール、
R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノールハイドロクロライド、
R‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)ベンゼン‐1,3‐ジオール、
S‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)ベンゼン‐1,3‐ジオール、
R‐(+)‐2‐フルオロ‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール、
S‐(−)‐2‐フルオロ‐5‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール、及び
2‐クロロ‐5‐(4‐プロピル‐モルホリン‐2‐イル)フェノール
から成る群から選ばれる、請求項1に記載の式(Ia)又は(Ib)により表される化合物。
【請求項8】
R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノールである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
塩酸塩の形態である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
医薬品として使用されるための請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(Ia)又は(Ib)により表される化合物。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(Ia)又は(Ib)により表される化合物を含む医薬組成物であって、以下の:女性性的機能不全、男性勃起機能不全、神経変性、うつ病、及び精神医学的障害から選ばれる状態の治療のための前記医薬組成物。
【請求項12】
前記状態が、男性勃起機能不全である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記状態が、女性における性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガズム障害、及び性的疼痛障害である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記状態が、女性の性的興奮障害、及び付随する性的欲求低下障害である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記式(Ia)又は(Ib)により表される化合物が、R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノール、或いは薬剤として許容可能なその塩又は溶媒和物である、請求項11〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記R‐(−)‐3‐(4‐プロピルモルホリン‐2‐イル)フェノールが、塩酸塩の形態である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の式(Ia)又は(Ib)により表される化合物及び薬剤として許容可能な希釈剤又は担体を含む、組成物。

【公開番号】特開2006−232857(P2006−232857A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157609(P2006−157609)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【分割の表示】特願2005−502342(P2005−502342)の分割
【原出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】