説明

IAP阻害剤とFLT3阻害剤の組合せ剤

本発明は、IAP阻害剤とFLT3阻害剤の組み合わせ、当該組み合わせを含む薬理組成物、急性骨髄性白血病(AML)を含む血液学的悪性腫瘍を処置する方法であって、カスパーゼの第2ミトコンドリア由来アクチベーター(Smac)タンパク質とアポトーシス阻害剤(IAPs)(IAP阻害剤)と1種以上の薬学的に活性な薬剤の組み合わせを含む方法、および急性骨髄性白血病の処置のためのこれらの組み合わせの使用;ならびに当該組み合わせを含む商品パッケージに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IAP阻害剤とFLT3阻害剤の組み合わせ、当該組み合わせを含む医薬組成物、急性骨髄性白血病(AML)を含む血液学的悪性疾患を処置する方法であって、カスパーゼの第2ミトコンドリア由来アクチベーター(Smac)タンパク質とアポトーシス阻害剤(IAP阻害剤)と1種以上の薬学的に活性な薬剤の組み合わせを含む方法、および急性骨髄性白血病の処置のためのこれらの組み合わせの使用;ならびに当該組み合わせを含む商品パッケージに関する。
【0002】
本発明はまた、AMLを含む血液学的悪性腫瘍の処置用医薬の製造のための、1種以上の薬学的に活性な薬剤との組み合わせにおけるIAP阻害剤の使用に関する。
【0003】
1つの態様において、本発明はまた、AMLを含む血液学的悪性腫瘍の処置用医薬の製造のための、1種以上のFLT阻害剤との組み合わせにおけるIAP阻害剤の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
FLT3は、白血病の有用な治療標的であり、AML患者の約1/3において変異している。しかし、急性白血病患者の処置に使用する標的チロシンキナーゼにおける点突然変異の出現によってもたらされる薬剤抵抗性の発生についての関心が高まっている。Shah et al. (2002)およびCools et al. (2003)参照。かかる抵抗性を克服する1つのアプローチは、構造的に関連しない複数の阻害剤および/または異なるシグナル伝達経路を有する複数の阻害剤を組み合わせることである。
【発明の概要】
【0005】
発明の要約
本発明は、常套の化学療法に抵抗性である白血病、特にAMLを有する温血動物、とりわけヒトを処置する方法であって、当該動物に治療上有効量のIAP阻害剤を投与することを含む、AML処置に有用な方法に関する。
【0006】
他の態様において、本発明はAMLを含む血液学的悪性腫瘍の処置用医薬の製造におけるIAP阻害剤の使用に関する。
【0007】
1つの態様において、本発明はまた、AMLを含む血液学的悪性腫瘍の処置用医薬の製造のための、1種以上のFLT阻害剤と組み合わせたIAP阻害剤の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の詳細な説明
【図1】図1はFLT3−ITD−Ba/F3細胞をPKC412、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)またはPKC412とN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)の組み合わせでの3日間処理を示す増殖試験を示している。
【図2】図2はG697R−Ba/F3細胞をPKC412、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)またはPKC412とN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)の組み合わせでの3日間処理を示す増殖試験を示している。
【図3】図3はFLT3−ITD−Ba/F3細胞をPKC412、ドキソルビシンまたはPKC412とドキソルビシンの組み合わせでの3日間処理を示す増殖試験を示している。
【図4】図4はFLT3−ITD−Ba/F3細胞をドキソルビシン、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)またはドキソルビシンとN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)の組み合わせでの3日間処理を示す増殖試験を示している(n=1)。
【図5】図5はFLT3−ITD−Ba/F3細胞をAra−c、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)またはAra−cとN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)の組み合わせでの3日間処理を示す増殖試験を示している(n=1)。
【図6】図6はPKC412とN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)の組み合わせ効果のインビボ試験を示している;生物発光イメージングは静脈注射の7日後の腫瘍組織量を示す。
【図7】図7は%ベースラインとしての図6のグラフ図を示す。
【図8】図8はN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)、PKC412またはN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせで10日間処置したマウスの%脾臓重量を示す。
【図9】図9はMOLM13−luc+細胞を多様な濃度のPKC412での、ヒト間質細胞系HS−5の存在下または非存在下での処理を示す。
【図10】図10は変異FLT3−Ba/F3細胞対対照Ba/F3細胞におけるXIAP、CIAP、Bcl−2およびBcl−XL発現を示す免疫ブロットを示している。免疫ブロットは、ベータアクチン抗体および/またはローディング対照としてのアルファチューブリン抗体でハイブリダイズした。
【図11】図11はMOLM13−luc+細胞を(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)、PKC412または(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とPKC412の組み合わせでの3日間処理を示す増殖試験を示している。
【図12】図12はFLT3−ITD−Ba/F3細胞を(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)、PKC412または(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とPKC412の組み合わせでの2日間処理を示す増殖試験を示している。
【図13】図13はFLT3−ITD−Ba/F3細胞を(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)、Ara−c、または(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とAra−cの組み合わせでの2日間処理を示す増殖試験を示している。
【図14】図14はMOLM13−luc+細胞を(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)、Ara−cまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とAra−cの組み合わせでの3日間処理を示す増殖試験を示している。
【図15】図15はFLT3−ITD−Ba/F3細胞を(S)−N−((S)−1 −シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)、ドキソルビシンまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とドキソルビシンの組み合わせでの3日間処理を示す増殖試験を示している。
【図16】図16はマウス中のマウスFLT3−ITD−Ba/F3細胞のインビボ腫瘍増殖を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
プロテインキナーゼC(以後PKCと略す)は、細胞シグナル伝達経路における重要な酵素の1つであり、これは細胞増殖および細胞分化の制御において極めて重要な役割を有する。PKCはセリン/スレオニンキナーゼのファミリーである。
少なくとも12個のPKCアイソフォームが同定されており、これらは一般に、構造および基質要求に基づいて3つの群に分類される。FLT3タンパク質に変異を有するAML患者に対するプロテインチロシンキナーゼ阻害剤PKC412の効果を研究した臨床試験において、近年有望な結果が得られている。
【0010】
ミドスタウリンは、式(II)
【化1】

のN−[(9S,10R,11R,13R)−2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−1−オキソ−9,13−エポキシ−1H,9H−ジインドロ[1,2,3−gh:3’,2’,1’−lm]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾニン−11−イル]−N−メチルベンズアミドまたはその塩であり、以後「式IIの化合物またはミドスタウリン」と称する。
【0011】
式(II)の化合物またはミドスタウリン[国際一般的名称]は、PKC412としても知られている。
ミドスタウリンは、天然に生じるアルカロイド、スタウロスポリンの誘導体であり、欧州特許第0 296 110号(1988年12月21日公開)および米国特許第5;093,330号(1992年3月3日公開)および日本国特許第2 708 047号に具体的に記載されている。
【0012】
上記疾患および状態に使用するミドスタウリンの正確な投与量は、宿主、処置する状態の性質および重症度、投与形態を含む様々な要因にに依存する。一般に、満足のいく結果が、ミドスタウリンを非経腸的に、例えば腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内もしくは直腸的に、または経腸的に、例えば経口的に、好ましくは静脈内または好ましくは経口的、静脈内に、1日用量0.1−10mg/kg体重、好ましくは1−5mg/kg体重で投与したときに得られる。ヒト試験において、合計用量225mg/日が推定される最大耐用量(MTD)であった。好ましい静脈内1日用量は0.1−10mg/kg体重であるか、またはほとんどの大型霊長類において1日用量200−300mgである。典型的な静脈内用量は3−5mg/kg、3〜5回/週である。
【0013】
ミドスタウリンは経口的に、約300mg/日まで、例えば100−300mg/日の投与量で投与される。ミドスタウリンは単回投与で投与されるか、または1日2または3回、好ましくは2回用量に分割する。とりわけ重要な用量は200−225mg/日、特に100mg2回/日(合計200mg/日)である。投与量の上限は副作用によって生じ、そして処置する患者の試験によって決定することができる。
【0014】
PCK412は必須タンパク質がDNAと結合するのを防止することによって異常FLT機能を妨げるため、PKC412はFLT阻害剤である。FLT阻害剤は変異FLT遺伝子の作用を阻止してこれを無力化する。他のFLT阻害剤は、N−ベンゾイル−スタウロスポリン、スタウロスポリン誘導体、SU11248およびMLN518を含むが、これらの化合物に限定されない。
【0015】
PKC412はインビトロで変異FLT3発現細胞の増殖および生存能を阻害し、また変異FLT3で形質導入された骨髄を有するマウスの寿命を延長することができる。Weisberg et al. (2002)参照。患者におけるFLT3阻害に対する遺伝的抵抗性を克服するための潜在的な戦略は、構造的に関連しない複数の阻害剤および/または異なるシグナル伝達経路を有する複数の阻害剤を組み合わせることである。
【0016】
アポトーシスシグナル伝達のメディエーターは、治療的介入のための魅力的な標的である。Smacは内因性アポトーシス経路を介して生じるアポトーシスを仲介し[Du et al. (2000)参照]、IAPファミリーのタンパク質と結合して阻害する。Liu et al. (2000)およびWu et al. (2000)参照。
【0017】
AMLのアポトーシスに対する遺伝的抵抗性は、IAPがこの疾患環境における良好な治療標的であり得ること、そしてさらに、PKC412とIAP阻害剤の組み合わせが治療的に有用であり得ることを示唆した。
【0018】
本発明において使用するためのIAP阻害剤の例は、式(I)
【化2】

〔式中、
はH;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、これは非置換であるか、または置換されており;
はH;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、これは非置換であるか、または置換されており;
はH;−CF;−C;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cアルキニル;−CH−Zであるか、または
とRは窒素と一体となって、het環を形成し;
ZはH;−OH;F;Cl;−CH;−CF;−CHCl;−CHFまたは−CHOHであり;
はC−C16直鎖もしくは分枝鎖アルキル;C−C16アルケニル;C−C16アルキニル;または−C−C10シクロアルキル;−(CH1−6−Z;−(CH0−6−アリールフェニル;および−(CH0−6−hetであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびフェニルは非置換であるか、または置換されており;
【0019】
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル;−N(R)−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−N(R)−C(O)−(CH0−6−フェニル;−N(R)−C(O)−(CH1−6−het;−C(O)−N(R)(R10);−C(O)−O−C−C10アルキル;−C(O)−O−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(O)−O−(CH0−6−フェニル;−C(O)−O−(CH1−6−het;−O−C(O)−C−C10アルキル;−O−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−O−C(O)−(CH0−6−フェニル;−O−C(O)−(CH1−6−hetであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびフェニルは非置換であるか、または置換されており;
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環、または少なくとも1個のN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環を含む8〜12員縮合環系であり、当該ヘテロ環式環または縮合環系は非置換であるか、または炭素原子もしくは窒素原子上で置換されており;
はH;−CH;−CF;−CHOHまたは−CHClであり;
およびR10は各々独立して、H;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−(CH0−6−フェニルであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびフェニルは非置換であるか、または置換されているか、または
とR10は窒素と一体となって、hetを形成し;
【0020】
はH;C−C10アルキル;アリール;フェニル;C−Cシクロアルキル;−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C−C10アルキル−アリール;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル−(CH0−6−フェニル;−(CH0−4CH−((CH1−4−フェニル);−(CH0−6−CH(フェニル);−インダニル;−C(O)−C−C10アルキル;−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(O)−(CH0−6−フェニル;−(CH0−6−C(O)−フェニル;−(CH0−6−het;−C(O)−(CH1−6−hetであるか、または
はアミノ酸の残基であり、ここでアルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は非置換であるか、または置換されており;
Uは構造(III)
【化3】

{式中、
n=0−5;
Xは−CHまたはNであり;
RaおよびRbは独立して、O、SもしくはN原子、またはC0−アルキルであり、ここで当該アルキル鎖の1個以上の炭素原子がO、SまたはNから選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、そして当該アルキルは非置換であるか、または置換されていてもよく;
【0021】
Rdは:
(a) −Re−Q−(Rf)(Rg);または
(b) Ar−D−Ar;または
(c) Ar−D−Arであり;
RcはHであるか、またはRcとRdは一体となって、シクロアルキルまたはhetを形成してもよく;ここでRdとRcがシクロアルキルまたはhetを形成するとき、RはCまたはN原子で形成された環と結合しており;
pおよびqは独立して0または1であり;
ReはC1−アルキルまたはアルキリデンであり、そして当該Reは非置換であるか、または置換されていてもよく;
QはN、O、S、S(O)またはS(O)であり;
ArおよびArは置換または非置換アリールまたはhetであり;
RfおよびRgは互いに独立して存在しないか、またはH;−C−C10アルキル;C−C10アルキルアリール;−OH;−O−C−C10アルキル;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル;−O−(CH0−6−アリール;フェニル;アリール;フェニル−フェニル;−(CH1−6−het;−O−(CH1−6−het;−OR11;−C(O)−R11;−C(O)−N(R11)(R12);N(R11)(R12);−S−R11;−S(O)−R11;−S(O)−R11;−S(O)−NR1112;−NR11−S(O)−R12;S−C−C10アルキル;アリール−C−Cアルキル;het−C−Cアルキル(ここでアルキル、シクロアルキル、hetおよびアリールは非置換であるか、または置換されている);−SO2−1−アルキル;−SO2−1−アルキルフェニル;−O−C−Cアルキルであるか、または
RgとRfはhetまたはアリールから選択される環を形成し;そして
【0022】
Dは−CO−;−C(O)−またはC1−アルキレンもしくはアリーレン;−CF−;−O−;−またはS(O)nr(ここでrnは0−2である);1,3ジオキソラン;またはC−Cアルキル−OHであり、ここでアルキル、アルキレンもしくはアリーレンは非置換であるか、またはハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルもしくは−CFの1個以上で置換されていてもよいか、または
Dは−N(Rh)であり、ここでRhはH;C1−アルキル(置換もしくは非置換);アリール;−O(C1−シクロアルキル)(置換もしくは非置換);C(O)−C10−C10アルキル;C(O)−C−C10アルキル−アリール;C−O−C−C10アルキル;C−O−C−C10アルキル−アリールまたはSO−C10−C10−アルキル;SO−(C−C10−アルキルアリール)であり;
、R、R’およびR’は各々独立して、H;−C−C10アルキル;−C−C10アルコキシ;アリール−C−C10アルコキシ;−OH;−O−C−C10アルキル;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル;−O−(CH0−6−アリール;フェニル;−(CH1−6−het;−O−(CH1−6−het;−OR11;−C(O)−R11;−C(O)−N(R11)(R12);−N(R11)(R12);−S−R11;−S(O)−R11;−S(O)−R11;−S(O)−NR1112;−NR11−S(O)−R12であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されており;そしてR、R、R’とR’は一体となって環系を形成してもよく;そして
11およびR12は独立してH;C−C10アルキル;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル;−(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2;−C(O)−C−C10アルキル;−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(O)−O−(CH0−6−アリール;−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル;−C(O)−NH−(CH0−6−アリール;−C(O)−(CH0−6−アリール;−C(O)−(CH1−6−het;−C(S)−C−C10アルキル;−C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(S)−O−(CH0−6−アリール;−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル;−C(S)−NH−(CH0−6−アリール;−C(S)−(CH0−6−アリール;−C(S)−(CH1−6−hetであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されているか、または
【0023】
11およびR12は当該分子の細胞膜の通過を促進する置換基であるか、または
11とR12は窒素原子と一体となって、hetを形成し、
ここでR11およびR12のアルキル置換基は非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルまたは−CFから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基はC−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;−O−C−Cアルキル;−S−C−Cアルキルまたは−CFから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
11およびR12の置換フェニルまたはアリールはハロゲン;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;ニトロ;−CN;−O−C(O)−C−Cアルキルおよび−C(O)−O−C−Cアリールから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい}
で示される〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0024】
本発明において使用するためのさらなるIAP阻害剤の例は、PCT/US2007/074790に記載の式(Ia)
【化4】

〔式中、
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、Rは非置換であるか、または置換されていてもよく;
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、Rは非置換であるか、または置換されていてもよく;
はH、CF、C、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、CH−Zであるか、または
とRはそれらが結合している窒素と一体となって、ヘテロ環式環を形成し;当該アルキル、アルケニル、アルキニルまたはhet環は非置換であるか、または置換されていてもよく;
ZはH、OH、F、Cl、CH、CHCl、CHFまたはCHOHであり;
はC−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、ここでC−C10アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、または置換されており;
【0025】
Aはhetであり、これは非置換であるか、または置換されていてもよく;
DはC−CアルキレンまたはC−Cアルケニレン、C(O)、O、NR、S(O)、C(O)−C−C10アルキル、O−C−C10アルキル、S(O)−C−C10アルキル、C(O)C−C10アリールアルキル、OC−C10アリールアルキルまたはS(O)−C10アリールアルキルであり、当該アルキルおよびアリール基は非置換であるか、または置換されていてもよく;
rは0、1または2であり;
は置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換hetであり、当該アリールおよびhet上の置換基はハロ、アルキル、低級アルコキシ、NR、CN、NOまたはSRであり;
各Qは独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、アリールC−C10アルコキシ、OH、O−C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、アリール、アリールC−C10アルキル、O−(CH0−6アリール、(CH1−6−het、het、O−(CH1−6het、−OR11、C(O)R11、−C(O)N(R11)(R12)、N(R11)(R12)、SR11、S(O)R11、S(O)11、S(O)−N(R11)(R12)またはNR11−S(O)−(R12)であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されており;
nは0、1、2または3、4、5、6または7であり;
【0026】
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ環原子を含む5〜7員単環式ヘテロ環式環、または1個のN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む5〜7員単環式ヘテロ環式環を含む8〜12員縮合環系であり、hetは非置換であるか、または置換されており;
11およびR12は独立して、H、C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6−アリール、−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(O)−NH−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH1−6−het、−C(S)−C−C10アルキル、C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、C(S)−O−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(S)−NH−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−アリールまたはC(S)−(CH1−6−het、C(O)R11、C(O)NR1112、C(O)OR11、S(O)11、S(O)NR1112(m=1または2)、C(S)R11、C(S)NR1112、C(S)OR11であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されているか;またはR11とR12は当該分子の細胞膜の通過を促進する置換基であるか;または
11とR12は窒素原子と一体となって、hetを形成し、
ここでR11およびR12のアルキル置換基は非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキル、CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基はC−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;O−C−Cアルキル;S−C−Cアルキル、−CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
11およびR12の置換hetまたは置換アリールはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−CNO−C(O)−C−CアルキルおよびC(O)−O−C−Cアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
【0027】
R5、R6およびR7は独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキル低級アルキル、C(O)R;S(O)R、C(O)OR、C(O)NRであり、そして
、R、R、R、QおよびAならびにA基上の置換基は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級アルコキシ、アリール、アリール低級アルキル、アミノ、アミノ低級アルキル、ジ低級アルキルミノ、低級アルカノイル、アミノ低級アルコキシ、ニトロ、シアノ、シアノ低級アルキル、カルボキシ、低級カルボアルコキシ、低級アルカノイル、アリーロイル(aryloyl)、低級アリールアルカノイル、カルバモイル、N−モノもしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルキルカルバミン酸エステル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、スルホアミノ、スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、スルホネート、スルファニル、低級アルキル、アリールスルホンアミド、ハロゲン置換アリールスルホネート、低級アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アリール−低級アルキルスルフィニル、低級アルキルアリールスルフィニル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−低級アルキルスルホニル、低級アリールアルキル低級アルキルアリールスルホニル、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ヒドロキシ−低級アルコキシホスホリルまたはジ−低級アルコキシホスホリル、(R)NC(O)−NR1013、低級アルキルカルバミン酸エステルまたはカルバメートまたは−NR14であり、
ここで
およびR14は同一または異なって、独立してHまたは低級アルキルであるか、またはRとR14はN原子と一体となって、所望により窒素、酸素および硫黄から選択される1または2個のさらなるヘテロ環原子を含んでいてもよい窒素ヘテロ環原子含有3〜8員ヘテロ環式環を形成し、当該ヘテロ環式環は非置換であるか、または低級アルキル、ハロ、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、低級カルボアルコキシ、ホルミル、低級アルカノイル、オキソ、カルバモイル、N−低級もしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、メルカプトまたは低級アルキルチオで置換されていてもよく;そして
、R10およびR13は独立して水素、低級アルキル、ハロゲン置換低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アリール低級アルキルである〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0028】
好ましい化合物は:
・(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;
・(S)−N−[(S)−シクロヘキシル−(エチル−{(S)−1−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イル]−プロピル}カルバモイル)−メチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;
・(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[5−(4−フルオロ−フェノキシ)−ピリジン−3−イル]−ピロリジン−1−イル}−2−オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;および
・N−[1−シクロヘキシル−2−(2−{2−[(4−フルオロフェニル)−メチル−アミノ]−ピリジン−4−イル}ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド;
およびその薬学的に許容される塩から成る群から選択される。
【0029】
他のIAP阻害剤の例は、WO 05/097791(2005年10月20日公開、出典明示により本明細書の一部とする)に記載の化合物を含む。式(I)の範囲に含まれる好ましい化合物は、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドである。
【0030】
さらなるIAP阻害剤は、WO 04/005284、PCT/US2006/013984およびPCT/US2006/021850に記載の化合物を含む。本発明において使用するための他のIAP阻害剤化合物は、WO 06/069063、WO 05/069888、US2006/0014700、WO 04/007529、US2006/0025347、WO 06/010118、WO 05/069894、WO 06/017295、WO 04/007529およびWO 05/094818に記載のものを含む。
【0031】
好ましい化合物の1つは、化合物A、(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドである。
【0032】
化合物Aは例えば、下記反応スキームに従って製造することができる:
【化5】

【0033】
本明細書において使用するとき、「アリール」なる用語は、6〜14個の環炭素原子を有し、ヘテロ原子を有さない芳香族性基として定義される。該アリール基は単環式または縮合二環式もしくは三環式であってよい。これは非置換であるか、または1個以上、好ましくは1もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、ここで当該置換基は本明細書に記載されている。本明細書に定義のとおり、該アリール基は単環式であるか二環式であるかに拘わらず、完全に芳香族性であってよい。しかし、これが本明細書に定義のとおり1個以上の環を含むとき、アリールなる用語は少なくとも1個の環が完全に芳香族性であるが、他の環(複数であってもよい)が部分的に不飽和または飽和、または完全に芳香族性であってよい。好ましい「アリール」は、フェニル、ナフチルまたはインダニルである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0034】
「het」は、本明細書において使用するとき、少なくとも1個のS、OまたはN環ヘテロ原子を含むヘテロアリールおよびヘテロ環式化合物を意味する。より具体的には、「het」はN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環、または少なくとも1個のN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環を含む8〜12員縮合環系である。本明細書において使用するとき、hetの例には置換もしくは非置換ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチオフリル、ピペリジル、ピペラジル、プリニル、テトラヒドロピラニル、モルホリノ、1,3−ジアザパニル、1,4−ジアザパニル、1,4−オキサゼパニル、1,4−オキサチアパニル、フリル、チエニル、ピリル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピロリジル、ピロリジニル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、ピリドピラジニル、ピロロピリジル、フロピリジル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフリル、ベンゾインドリル、ベンゾチエニル、ピラゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、インドリニル、モルホリニル、ベンゾオキサゾリル、ピロロキノリル等が含まれる。ヘテロアリールはhetの定義の範囲に含まれる。ヘテロアリールの例は、ピリジル、ピリミジニル、キノリル、チアゾリルおよびベンゾチアゾリルである。最も好ましいhetはピリジル、ピリミジニルおよびチアゾリルである。
【0035】
hetは非置換であるか、または本明細書に定義のとおりに置換されていてもよい。非置換であるか、または置換されているときこれは炭素原子上でハロゲン、とりわけフッ素または塩素、ヒドロキシ、C−Cアルキル、例えばメチルおよびエチル、C−Cアルコキシ、とりわけメトキシおよびエトキシ、ニトロ、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−Cアルキル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルキルカルバミン酸エステル、アミジノ、グアニジノ、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、スルホアミノ、スルホンアミド、スルホネート、スルファニル、SCNまたはニトロで、または窒素原子上でC−Cアルキル、とりわけメチルまたはエチル、−O−C(O)−C−Cアルキルまたは−C(O)−O−C−Cアルキル、例えばカルボメトキシまたはカルボエトキシで置換されていることが好ましい。2個の置換基が共通して結合している窒素と一体となってhetであるとき、当該ヘテロ環式環は窒素含有環、例えばアジリジン、アゼチジン、アゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルフィリン、ピロール、ピラゾール、チアゾール、オキサゾール、ピリジン、ピリミジン、イソキサゾール等であり、当該hetは非置換であるか、または上記定義のとおりに置換されていてもよいと理解される。
【0036】
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素、とりわけフッ素および塩素である。
異なることが記載されていない限り、「アルキル」は、上記または組み合わせのいずれかにおいて、直鎖または分枝鎖アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよび分枝鎖ペンチル、n−ヘキシルおよび分枝鎖ヘキシル等を含む。
【0037】
「シクロアルキル」基は、3−10個の環炭素原子を有するC−C10シクロアルキルを意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル、シクロノニル等であってよい。シクロアルキル基は単環式または縮合二環式であってよい。単環式のものが好ましい。さらに、好ましいシクロアルキル基はシクロペンチルまたはシクロヘキシルである。最も好ましくは、シクロアルキルはシクロヘキシルである。シクロアルキル基は完全飽和または部分不飽和であり得るが、好ましくは完全飽和である。本明細書に定義のとおり、これはアリール基を除外する。シクロアルキル基は非置換であるか、下記定義の置換基、好ましくはハロ、ヒドロキシまたはC−Cアルキル、例えばメチルのいずれかで置換されていてもよい。
【0038】
分子の細胞膜の通過を容易にする置換基は、医薬品化学の分野における当業者に既知である[例えば、Gangewar S. et al., Drug Discov Today, Vol. 2, pp. 148-155 (1997); and Bundgaard H. and Moss J., Pharma Res, Vol. 7, p. 885 (1990)参照]。一般に、当該置換基は親油性置換基である。かかる親油性置換基は、飽和、モノ不飽和、ポリ不飽和であるC−C30アルキル、例えばメチレン中断ポリエン、フェニル、1または2個のC−Cアルキル基で置換されたフェニル、C−Cシクロアルキル、1または2個のC−Cアルキル基で置換されたC−Cシクロアルキル、−Xフェニル、フェニル環において1または2個のC−Cアルキル基で置換された−Xフェニル、X−C−Cシクロアルキルまたは1または2個のC−Cアルキル基で置換されたX−C−Cシクロアルキルを含み;ここでXは飽和、モノ不飽和またはポリ不飽和であり、直鎖または分枝鎖C−C24アルキルである。
非置換は、水素のみが置換基であることを意味している。
【0039】
本明細書に記載されているものを除き、上記定義のアリール、het、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルのいずれかは非置換であるか、またはハロ、例えばClまたはBr;ヒドロキシ;低級アルキル、例えばC−Cアルキル;本明細書に定義のいずれかの置換基で置換されていてもよい低級アルキル;低級アルケニル;低級アルキニル;低級アルカノイル;低級アルコキシ、例えばメトキシ;アリール、例えばフェニルまたはナフチル;置換アリール、例えばフルオロフェニルまたはメトキシフェニル;アリール低級アルキル、例えばベンジル、アミノ、モノもしくはジ−低級アルキル、例えばジメチルアミノ;低級アルカノイルアミノ、アセチルアミノ;アミノ低級アルコキシ、例えばエトキシアミン;ニトロ;シアノ;シアノ低級アルキル;カルボキシ;低級カルボアルコキシ、例えばメトキシカルボニル;n−プロポキシカルボニルまたはイソプロポキシカルボニル、低級アリーロイル、例えばベンゾイル;カルバモイル;N−モノ−もしくはN、Nジ−低級アルキルカルバモイル;低級アルキルカルバミン酸エステル;アミジノ;グアニジン;ウレイド;メルカプト;スルホ;低級アルキルチオ;スルホアミノ;スルホンアミド;ベンゾスルホンアミド;スルホネート;スルファニル低級アルキル、例えばメチルスルファニル;スルホアミノ;アリールスルホンアミド;ハロゲン置換もしくは非置換アリールスルホネート、例えばクロロフェニルスルホネート;低級アルキルスルフィニル;アリールスルフィニル;アリール低級アルキルスルフィニル;低級アルキルアリールスルフィニル;低級アルカンスルホニル;アリールスルホニル;アリール低級アルキルスルホニル;低級アリールアルキル;低級アルキルアリールスルホニル;ハロゲン低級アルキルメルカプト;ハロゲン低級アルキルスルホニル;例えばトリフルオロメタン アルコキシホスホリル;ウレアおよび式(R)NC(O)N(R10),(R13)の置換ウレア(式中、R、R10およびR13は本明細書に定義のとおりである)、例えば3−トリフルオロ−メチル−フェニルウレア;アルキルカルバミン酸エステルまたはカルバメート、例えばエチル−N−フェニル−カルバメート;または−NR14(ここで、RおよびR14は同一または異なっていてよく、独立してH;低級アルキル、例えばメチル、エチルまたはプロピルであるか;またはRとR14はN原子と一体となって、1個の窒素ヘテロ環原子と所望により窒素、酸素および硫黄から成る群から選択される1または2個のさらなるヘテロ環原子を含む3〜8員ヘテロ環式環を形成する)(例えばピペラジニル、ピラジニル、低級アルキル−ピペラジニル、ピリジル、インドリル、チオフェニル、チアゾリル、ベンゾチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジノまたはイミダゾリニル)(当該ヘテロ環式環は上記定義のいずれかの置換基で置換されていてもよい)から成る群から選択される、独立して4個まで、好ましくは1、2または3個の置換基で置換されていてもよい。
【0040】
好ましくは上記アルキル、シクロアルキルおよびアリール基は独立して、非置換であるか、または低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、カルボキシ、低級カルボアルコキシおよびとりわけハロゲン、−OH、−SH、−OCH、−SCH、−CN、−SCNまたはニトロで置換される。
本明細書に定義のとおり、「低級アルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて使用するとき、1〜6個の炭素原子を含むアルキルを意味する。当該アルキル基は分枝鎖または直鎖であってよく、上記定義のとおりである。
【0041】
「低級アルケニル」なる用語は、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基を意味する。アルケニル基は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含むヒドロカルビル基である。本明細書に定義のとおり、これは非置換であるか、または本明細書に記載の置換基で置換されていてもよい。炭素−炭素二重結合はアルケニル基のいずれかの2個の炭素原子間に存在していてよい。これは1または2個の炭素−炭素二重結合、より好ましくは1個の炭素−炭素二重結合を含むことが好ましい。アルケニル基は直鎖または分枝鎖であってよい。例は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、1,3−ブタジエニル等を含む。好ましいアルケニル基はエテニルである。
【0042】
「低級アルキニル」なる用語は、本明細書において使用するとき、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基を意味する。アルキニル基は少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含むヒドロカルビル基である。炭素−炭素三重結合はアルキニル基のいずれかの2個の炭素原子間に存在していてよい。アルキニル基は1または2個の炭素−炭素三重結合、より好ましくは1個の炭素−炭素三重結合を含むことが好ましい。アルキニル基は直鎖または分枝鎖であってよい。例はエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル等を含む。好ましいアルキニルはエチニルである。
【0043】
本明細書において使用するとき、「アリールアルキル」なる用語は、主鎖と架橋アルキレン基で結合したアリール基を意味する。例は、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等を含む。好ましいアリールアルキルはベンジルである。同様に、シアノアルキル基は主鎖と架橋アルキレン基で結合したシアノ基を意味する。
【0044】
他方、「アルキルアリール」なる用語は、主鎖とフェニレン基を介して架橋しているアルキル基を意味する。例は、メチルフェニル、エチルフェニル等を含む。
【0045】
本明細書において使用するとき、「低級アルカノイル」なる用語は、1個の炭素原子がC=O基で置換されている低級アルキル鎖を意味する。C=O基は該置換基の一方の末端に存在するか、または該基の中に存在し得る。例は、ホルミル、アセチル2−プロパノイル、1−プロパノイル等を含む。
【0046】
「アルコキシ」なる用語は、主鎖と酸素原子によって結合している本明細書に定義のアルキル基を意味する。例は、メトキシ、エトキシ等を含む。
【0047】
「低級チオアルキル」なる用語は、主鎖と硫黄原子によって結合している本明細書に定義のアルキル基を意味する。例は、チオメチル(またはメルカプトメチル)、チオエチル(メルカプトエチル)等を含む。
【0048】
「低級カルボアルコキシ」なる用語またはその同義語は、主鎖との結合がアリール基を介しているアルコキシカルボニル基(C(O))を意味する。例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等を含む。
【0049】
用語C(O)は、ケトン、アルデヒドまたは酸もしくは酸誘導体であれ−C=O基を意味していると理解される。同様に、S(O)は−S=O基を意味する。
【0050】
本明細書において使用するとき、用語S(O)は硫黄原子と結合した数個の酸素原子を意味する。r=2であるとき、S(O)=SO2であり;rが1であるとき、S(O)はSOであり;r=0であるとき、S(O)はSである。
【0051】
「C」なる用語は、本明細書においてアルキルの定義の一部として、例えばC0−10として使用するとき、0個の炭素原子を意味する。したがって、「C−C10アリールアルキル」は、アリール基が主鎖と直接結合しているか(C)、または主鎖とアリール基を架橋するC−C10アルキレンが存在することを意味する。
【0052】
より大きな基、例えば(CH0−6−Cシクロアルキルの定義の一部としての(CH0−6なる用語は、存在しない基(CHまたは1〜6個の炭素原子を含む基(CH1−6を意味する。
【0053】
R11およびR12の定義における「(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2」なる用語は、(CH1−6−アリール、アリール、−CH(アリール)、または(CH1−6(CH)(アリール)の1個の意味することを意図する。
【0054】
本明細書において使用するとき、変数「n」はピロリジニル(テトラヒドロピロリル)環上の置換基の数を意味する。「n」なる用語は0〜7と定義され、これはピロリジニル(テトラヒドロピロリル)環上のQ置換基の数を決定する。Qはピロリジニル環の2、3、4または5位、すなわちピロリジニル環の炭素原子にのみ存在し得る。1個の置換基を許容する炭素番号2を除き、他の炭素原子は各々飽和であり、これらは各々2個の置換基を有していてもよい。nが7であるとき、各炭素原子は本明細書に定義のQと結合する。各Qは同一または異なっていてよい。しかし、nが6であるとき、7個の可能な置換基の1個がHであり、他の5個が同一または異なっていてよいQである。さらに、nが5であるとき、可能な置換基の2個がHであり、他の5個が独立して本明細書に定義のQである。nが4であるとき、7個の可能な置換基の3個がHであり、残りが独立して本明細書に定義のQである。nが3であるとき、7個の可能な置換基の4個がHであり、他の3個が本明細書に定義のQである。nが2であるとき、7個の可能な置換基の2個がQであり、残りがHである。nが1であるとき、7個の可能な置換基の1個のみがQであり、残りがHである。最後に、nが0であるとき、7個の置換基全てがHである。
【0055】
各Q置換基が同一であってもよく、またはそれらが異なっていてもよいことが理解される。
【0056】
化合物、塩、医薬組成物について複数形を用いるとき、これは1個の化合物、1個の医薬組成物、塩等を意味することをも意図している。
【0057】
同様に含まれるものは、上記化合物の薬学的に許容される塩、対応するラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー、互変異性体ならびに対応する結晶修飾物、存在するとき、例えば溶媒和物、水和物および多型であり、これらは本明細書において開示される。
【0058】
上記疾患および状態に使用するIAP阻害剤化合物の正確な投与量は、宿主、処置する状態の性質および重症度、投与形態を含む様々な要因に依存する。IAP阻害剤化合物は経口、非経腸、例えば腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内もしくは直腸、または経腸を含む何れかの投与経路で投与することができる。好ましくは、IAP阻害剤化合物を経口的に、好ましくは1日用量1−300mg/kg体重、またはほとんどの大型霊長類において1日用量50−5,000、好ましくは500−3,000mgで投与することができる。好ましい経口1日用量は、1−75mg/kg体重またはほとんどの大型霊長類において1日用量10−2,000mgであり、単回投与または複数回投与、例えば1日2回投与に分割して投与する。
【0059】
通常、小用量を最初に投与し、処置下で宿主に最適な投与量が決定されるまで投与量を漸増する。投与量の上限は副作用によって生じ、そして処置する宿主の試験によって決定することができる。
【0060】
投与レジメンは具体的な適応症、患者の年齢、体重および一般的な健康状態ならびに望まれる応答に漸増されるべきであるが、一般に、用量は単回または複数回1日投与に必要なものとして、約10mg/日〜約500mg/日である。
【0061】
1つの局面において、本発明は(a)式(I):
【化6】

〔式中、
はH;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、これは非置換であるか、または置換されており;
はH;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、これは非置換であるか、または置換されており;
はH;−CF;−C;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cアルキニル;−CH−Zであるか、または
とRは窒素と一体となって、het環を形成し;
ZはH;−OH;F;Cl;−CH;−CF;−CHCl;−CHFまたは−CHOHであり;
はC−C16直鎖もしくは分枝鎖アルキル;C−C16アルケニル;C−C16アルキニル;または−C−C10シクロアルキル;−(CH1−6−Z;−(CH0−6−アリールフェニル;および−(CH0−6−hetであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびフェニルは非置換であるか、または置換されており;
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル;−N(R)−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−N(R)−C(O)−(CH0−6−フェニル;−N(R)−C(O)−(CH1−6−het;−C(O)−N(R)(R10);−C(O)−O−C−C10アルキル;−C(O)−O−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(O)−O−(CH0−6−フェニル;−C(O)−O−(CH1−6−het;−O−C(O)−C−C10アルキル;−O−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−O−C(O)−(CH0−6−フェニル;−O−C(O)−(CH1−6−hetであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびフェニルは非置換であるか、または置換されており;
【0062】
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環、または少なくとも1個のN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環を含む8〜12員縮合環系であり、当該ヘテロ環式環または縮合環系は非置換であるか、または炭素原子もしくは窒素原子上で置換されており;
はH;−CH;−CF;−CHOHまたは−CHClであり;
およびR10は各々独立して、H;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−(CH0−6−フェニルであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびフェニルは非置換であるか、または置換されているか、または
とR10は窒素と一体となって、hetを形成し;
はH;C−C10アルキル;アリール;フェニル;C−Cシクロアルキル;−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C−C10アルキル−アリール;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル−(CH0−6−フェニル;−(CH0−4CH−((CH1−4−フェニル);−(CH0−6−CH(フェニル);−インダニル;−C(O)−C−C10アルキル;−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(O)−(CH0−6−フェニル;−(CH0−6−C(O)−フェニル;−(CH0−6−het;−C(O)−(CH1−6−hetであるか、または
はアミノ酸の残基であり、ここでアルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は非置換であるか、または置換されており;
【0063】
Uは構造(III)
【化7】

{式中、
n=0−5;
Xは−CHまたはNであり;
RaおよびRbは独立して、O、SもしくはN原子、またはC0−アルキルであり、ここで当該アルキル鎖の1個以上の炭素原子がO、SまたはNから選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、そして当該アルキルは非置換であるか、または置換されていてもよく;
Rdは:
(a) −Re−Q−(Rf)(Rg);または
(b) Ar−D−Ar;または
(c) Ar−D−Arであり;
RcはHであるか、またはRcとRdは一体となって、シクロアルキルまたはhetを形成してもよく;ここでRdとRcがシクロアルキルまたはhetを形成するとき、RはCまたはN原子で形成された環と結合しており;
pおよびqは独立して0または1であり;
ReはC1−アルキルまたはアルキリデンであり、そして当該Reは非置換であるか、または置換されていてもよく;
QはN、O、S、S(O)またはS(O)であり;
ArおよびArは置換または非置換アリールまたはhetであり;
【0064】
RfおよびRgは互いに独立して存在しないか、またはH;−C−C10アルキル;C−C10アルキルアリール;−OH;−O−C−C10アルキル;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル;−O−(CH0−6−アリール;フェニル;アリール;フェニル−フェニル;−(CH1−6−het;−O−(CH1−6−het;−OR11;−C(O)−R11;−C(O)−N(R11)(R12);N(R11)(R12);−S−R11;−S(O)−R11;−S(O)−R11;−S(O)−NR1112;−NR11−S(O)−R12;S−C−C10アルキル;アリール−C−Cアルキル;het−C−Cアルキル(ここでアルキル、シクロアルキル、hetおよびアリールは非置換であるか、または置換されている);−SO2−1−アルキル;−SO2−1−アルキルフェニル;−O−C−Cアルキルであるか、または
RgとRfはhetまたはアリールから選択される環を形成し;そして
Dは−CO−;−C(O)−またはC1−アルキレンもしくはアリーレン;−CF−;−O−;−またはS(O)nr(ここでrnは0−2である);1,3ジオキソラン;またはC−Cアルキル−OHであり、ここでアルキル、アルキレンもしくはアリーレンは非置換であるか、またはハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルもしくは−CFの1個以上で置換されていてもよいか、または
Dは−N(Rh)であり、ここでRhはH;C1−アルキル(置換もしくは非置換);アリール;−O(C1−シクロアルキル)(置換もしくは非置換);C(O)−C10−C10アルキル;C(O)−C−C10アルキル−アリール;C−O−C−C10アルキル;C−O−C−C10アルキル−アリールまたはSO−C10−C10−アルキル;SO−(C−C10−アルキルアリール)であり;
、R、R’およびR’は各々独立して、H;−C−C10アルキル;−C−C10アルコキシ;アリール−C−C10アルコキシ;−OH;−O−C−C10アルキル;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル;−O−(CH0−6−アリール;フェニル;−(CH1−6−het;−O−(CH1−6−het;−OR11;−C(O)−R11;−C(O)−N(R11)(R12);−N(R11)(R12);−S−R11;−S(O)−R11;−S(O)−R11;−S(O)−NR1112;−NR11−S(O)−R12であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されており;そしてR、R、R’とR’は一体となって環系を形成してもよく;そして
【0065】
11およびR12は独立してH;C−C10アルキル;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル;−(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2;−C(O)−C−C10アルキル;−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(O)−O−(CH0−6−アリール;−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル;−C(O)−NH−(CH0−6−アリール;−C(O)−(CH0−6−アリール;−C(O)−(CH1−6−het;−C(S)−C−C10アルキル;−C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(S)−O−(CH0−6−アリール;−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル;−C(S)−NH−(CH0−6−アリール;−C(S)−(CH0−6−アリール;−C(S)−(CH1−6−hetであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されているか、または
11およびR12は当該分子の細胞膜の通過を促進する置換基であるか、または
11とR12は窒素原子と一体となって、hetを形成し、
ここでR11およびR12のアルキル置換基は非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルまたは−CFから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基はC−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;−O−C−Cアルキル;−S−C−Cアルキルまたは−CFから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
11およびR12の置換フェニルまたはアリールはハロゲン;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;ニトロ;−CN;−O−C(O)−C−Cアルキルおよび−C(O)−O−C−Cアリールから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい}
で示される〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩、または
【0066】
式(Ia)
【化8】

〔式中、
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、Rは非置換であるか、または置換されていてもよく;
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、Rは非置換であるか、または置換されていてもよく;
はH、CF、C、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、CH−Zであるか、または
とRはそれらが結合している窒素と一体となって、ヘテロ環式環を形成し;当該アルキル、アルケニル、アルキニルまたはhet環は非置換であるか、または置換されていてもよく;
ZはH、OH、F、Cl、CH、CHCl、CHFまたはCHOHであり;
はC−C10アルキル;C−C10アルケニル;C−C10アルキニル;またはC−C10シクロアルキルであり、ここでC−C10アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、または置換されており;
Aはhetであり、これは非置換であるか、または置換されていてもよく;
【0067】
DはC−CアルキレンまたはC−Cアルケニレン、C(O)、O、NR、S(O)、C(O)−C−C10アルキル、O−C−C10アルキル、S(O)−C−C10アルキル、C(O)C−C10アリールアルキル、OC−C10アリールアルキルまたはS(O)−C10アリールアルキルであり、当該アルキルおよびアリール基は非置換であるか、または置換されていてもよく;
rは0、1または2であり;
は置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換hetであり、当該アリールおよびhet上の置換基はハロ、アルキル、低級アルコキシ、NR、CN、NOまたはSRであり;
各Qは独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、アリールC−C10アルコキシ、OH、O−C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、アリール、アリールC−C10アルキル、O−(CH0−6アリール、(CH1−6−het、het、O−(CH1−6het、−OR11、C(O)R11、−C(O)N(R11)(R12)、N(R11)(R12)、SR11、S(O)R11、S(O)11、S(O)−N(R11)(R12)またはNR11−S(O)−(R12)であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されており;
nは0、1、2または3、4、5、6または7であり;
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ環原子を含む5〜7員単環式ヘテロ環式環、または1個のN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む5〜7員単環式ヘテロ環式環を含む8〜12員縮合環系であり、hetは非置換であるか、または置換されており;
【0068】
11およびR12は独立して、H、C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6−アリール、−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(O)−NH−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH1−6−het、−C(S)−C−C10アルキル、C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、C(S)−O−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(S)−NH−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−アリールまたはC(S)−(CH1−6−het、C(O)R11、C(O)NR1112、C(O)OR11、S(O)11、S(O)NR1112(m=1または2)、C(S)R11、C(S)NR1112、C(S)OR11であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されているか;またはR11とR12は当該分子の細胞膜の通過を促進する置換基であるか;または
11とR12は窒素原子と一体となって、hetを形成し、
ここでR11およびR12のアルキル置換基は非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキル、CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基はC−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;O−C−Cアルキル;S−C−Cアルキル、−CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
11およびR12の置換hetまたは置換アリールはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−CNO−C(O)−C−CアルキルおよびC(O)−O−C−Cアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R5、R6およびR7は独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキル低級アルキル、C(O)R;S(O)R、C(O)OR、C(O)NRであり、そして
【0069】
、R、R、R、QおよびAならびにA基上の置換基は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級アルコキシ、アリール、アリール低級アルキル、アミノ、アミノ低級アルキル、ジ低級アルキルミノ、低級アルカノイル、アミノ低級アルコキシ、ニトロ、シアノ、シアノ低級アルキル、カルボキシ、低級カルボアルコキシ、低級アルカノイル、アリーロイル(aryloyl)、低級アリールアルカノイル、カルバモイル、N−モノもしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルキルカルバミン酸エステル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、スルホアミノ、スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、スルホネート、スルファニル、低級アルキル、アリールスルホンアミド、ハロゲン置換アリールスルホネート、低級アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アリール−低級アルキルスルフィニル、低級アルキルアリールスルフィニル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−低級アルキルスルホニル、低級アリールアルキル低級アルキルアリールスルホニル、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ヒドロキシ−低級アルコキシホスホリルまたはジ−低級アルコキシホスホリル、(R)NC(O)−NR1013、低級アルキルカルバミン酸エステルまたはカルバメートまたは−NR14であり、
【0070】
ここで
およびR14は同一または異なって、独立してHまたは低級アルキルであるか、またはRとR14はN原子と一体となって、所望により窒素、酸素および硫黄から選択される1または2個のさらなるヘテロ環原子を含んでいてもよい窒素ヘテロ環原子含有3〜8員ヘテロ環式環を形成し、当該ヘテロ環式環は非置換であるか、または低級アルキル、ハロ、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、低級カルボアルコキシ、ホルミル、低級アルカノイル、オキソ、カルバモイル、N−低級もしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、メルカプトまたは低級アルキルチオで置換されていてもよく;そして
、R10およびR13は独立して水素、低級アルキル、ハロゲン置換低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アリール低級アルキルである〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩と、
【0071】
(b) 式(II):
【化9】

の化合物またはその塩;
(c) ドキソルビシン;および
(d) シタラビン;
の1種以上を含む、組合せ剤を提供する。
【0072】
他の局面において、本発明は化合物(I)と化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビンを含む組合せ剤を提供する。化合物(I)はN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであり得る。
【0073】
さらなる局面において、本発明は化合物(Ia)と化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビンを含む組合せ剤を提供する。化合物(Ia)は(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであり得る。
【0074】
さらなる局面において、本発明は化合物(I)または(Ia)と化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビンを含む医薬組成物を提供する。化合物(I)はN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであり得て、化合物(Ia)は(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであり得る。
【0075】
他の局面において、本発明は化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビンを含む医薬組成物と組み合わせる化合物(I)または(Ia)を含む医薬組成物を提供する。化合物(I)はN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであり得て、化合物(Ia)は(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであり得る。
【0076】
プロアポトーシス性IAP阻害剤、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドは、PKC412または標準的な細胞毒性剤(ドキソルビシンおよびAra−c)と組み合わせたとき変異FLT3を発現するPKC412感受性細胞系および抵抗性細胞系の死滅をインビトロおよびインビボで増加させる。
【0077】
さらに、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドとPKC412の組み合わせは、PKC412に対する耐性を与える間質介在生存シグナル伝達を阻害する。
【0078】
N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドはまた、標準的な化学療法剤、例えばドキソルビシンを含むトポイソメラーゼ阻害剤、およびシタラビン(Ara−cとも知られる)を含む代謝拮抗剤の抗増殖性効果を増強する。
【0079】
N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドはPKC412感受性細胞および抵抗性細胞におけるドキソルビシンまたはAra−cの抗増殖性効果を増強する。
【0080】
「トポイソメラーゼ阻害剤」なる用語は、トポイソメラーゼI阻害剤とトポイソメラーゼII阻害剤を含む。トポイソメラーゼI阻害剤の例は、トポテカン、ギマテカン、イリノテカン、カンプトテシンおよびそのアナログ、9−ニトロカンプトテシンおよび巨大分子カンプトテシン複合体PNU−166148;10−ヒドロキシカンプトテシン酢酸塩;エトポシド;塩酸イダルビシン;塩酸イリノテカン;テニポシド;塩酸トポテカン;ドキソルビシン;塩酸エピルビシン;塩酸ミトキサントロン;および塩酸ダウノルビシンを含むが、これらに限定されない。イリノテカンは、例えばCAMPTOSARの商品名で、例えば市販されている形態で投与することができる。トポテカンは、例えばHYCAMTIN、例えばCAMPTOSARの商品名で、例えば市販されている形態で投与することができる。「トポイソメラーゼII阻害剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、アントラサイクリン、例えばリポソーム製剤を含むドキソルビシン、例えばCAELYX、リポソーム製剤を含むダウノルビシン、例えばDAUNOSOME、エピルビシン、イダルビシンおよびネモルビシン;アントラキノン類であるミトキサントロンおよびロソキサントロン;およびポドフィロトキシン類であるエトポシドおよびテニポシドを含むが、これらに限定されない。エトポシドはETOPOPHOSとして;テニポシドはVM 26−BRISTOLとして;ドキソルビシンはADRIBLASTINまたはADRIAMYCINとして;エピルビシンはFARMORUBICINとして;イダルビシンはZAVEDOSとして;そしてミトキサントロンはNOVANTRONとして市販されている。
【0081】
「代謝拮抗剤」なる用語は、本明細書において使用するとき、DNAの合成を阻害または阻止して細胞死を惹起する化合物に関する。代謝拮抗剤の例は、6−メルカプトプリン;シタラビン;フルダラビン;フレキシウリジン;フルオロウラシル;カペシタビン;ラルチトレキセド;メトトレキセート;クラドリビン;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;チオグアニン;ヒドロキシウレア;DNA脱メチル化剤、例えば5−アザシチジンおよびデシタビン;エダトレキセート;および葉酸アンタゴニスト、例えば限定されないがペメトレキセドを含むが、これらに限定されない。カペシタビンは例えばXELODAの商品名で;そしてゲムシタビンはGEMZARとして、例えば市販されている形態で投与することができる。シタラビンはシトシンアラビノシドの短縮形であり、一般に化学療法剤として使用され、主として白血病および非ホジキンリンパ腫の処置に使用される。これはAra−C、Cytosar(登録商標)−U、Tarabine(登録商標)PFSまたは他の現地の商品名としても知られる。
【0082】
「処置」または「治療」なる用語は、緩和、治癒、症状軽減、症状減少、制御および/または阻害、疾患、とりわけ下記疾患の処置を含むが、これらに限定されない予防または好ましくは治療に関する。
【0083】
「AML」なる用語は、本明細書において使用するとき、骨髄性細胞、例えば顆粒球、ならびに赤血球および巨核球性細胞および幹細胞の制御されていない、速やかに進行する増殖に関する。AMLを有する患者において、未熟骨髄細胞、赤血球または巨核球性細胞が赤血球の数を大幅に超えて、疲労感および出血、また感染受容性の上昇を招く。小児および成人において、AMLは積極的化学療法プロトコルの使用にも拘わらず、不良な予後を示す。全体的な生存率は40−60%である。骨髄機能廃絶化学療法が先行する自己骨髄移植は生存率を変化させないが、積極的化学療法が先行する異種骨髄移植は生存率を70%まで上昇させ得る。残念ながら、マッチする同胞ドナーの入手可能性は限られている。したがって、AML処置における新たな治療戦略が必要である。
【0084】
温血動物(または患者)は、好ましくは哺乳類、とりわけヒトである。
【0085】
N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドは、変異FLT3発現細胞に対するPKC412の抗増殖性効果を相乗的に増強する。N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドとPKC412を含む組み合わせ実験において、2種の化合物間で相加乃至相乗効果が、組み合わせにおいて、多様なPKC412感受性細胞系および抵抗性細胞系に対してインビトロで観察される。マウスをN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドとPKC412の組合せ剤で処置したとき、正の共同的効果が急性白血病のインビボイメージングモデルにおいて観察され;FLT3−ITD−Ba/F3−luc+発現細胞を静脈注射し、薬剤の組合せ剤、比較としてビークルまたは各薬剤単独で処置したNCrヌードマウスにおいて、腫瘍組織量の減少が観察される。
【0086】
少数の白血病性CD34+細胞が、イマチニブで数年治療後のCML患者の髄微小環境において残存し得る。同様に、FLT3キナーゼ阻害剤を投与されている進行性AMLを有する患者での臨床試験で、応答の共通パターンが、保護的環境を示唆する骨髄芽球の最小の、もしくは遅延した減少と共に、循環芽球数の劇的な減少であることが判明した。これらの観察結果は、間質細胞と白血球細胞の相互作用のより深い理解が必須であることを示している。変異FLT3発現細胞のPKC412に対する間質介在化学抵抗性は細胞をIAP阻害剤で処理することによって克服することができ、これはPKC412耐性を導く増殖因子介在シグナル伝達におけるIAPの可能な役割を示す。
【0087】
Bcl−2、Bcl−XLおよび強いN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドIAP基質、XIAPおよびCIAP1を含むアポトーシスシグナル伝達タンパク質のパネルのFLT3制御を試験する。FLT3形質転換細胞のXIAP、Bcl−2およびBcl−XLにおいて、親細胞と比較して、わずかのみ変化する。これらのタンパク質発現におけるわずかな変化は、FLT3形質転換細胞の、プロテインチロシンキナーゼ、例えばPKC412またはIAP阻害剤、例えばN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの細胞毒性効果の受容性、ならびに2種の薬剤の組み合わせによる細胞毒性効果の上昇にいくらかの意味を有し得る。
【0088】
すなわち、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドは、生理的に達成可能であり十分に耐容性である用量で、変異FLT3に対してインビボで有効である。N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドはまた、PKC412ならびに標準的な化学療法剤、例えばドキソルビシンおよびAra−cの変異FLT3発現細胞に対する阻害効果をインビトロで、相加−相乗様式で作用して上昇させる。PKC412抵抗性変異FLT3発現細胞において相加的または相乗的に組み合わせるN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドとPKC412(またはドキソルビシンもしくはAra−c)の能力は、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドのようなIAP阻害剤が潜在的に、他の薬剤と組み合わせて用いることによって薬剤抵抗性FLT3変異の出現を抑制してより高い程度の患者応答性を得ることができると示している。
【0089】
したがって、他の局面において、本発明は、急性骨髄性白血病(AML)または常套の化学療法に抵抗性である急性骨髄性白血病(AML)を有する温血動物を処置する方法であって、当該動物に治療上有効量の化合物(I)または(Ia)と化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビンの組合せ剤を投与することを含む方法を提供する。化合物(I)はN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであってよく、化合物(Ia)は(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであってよい。
【0090】
さらなる局面において、本発明は、化合物(I)または(Ia)と化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビンを含む、急性骨髄性白血病(AML)または常套の化学療法に抵抗性である急性骨髄性白血病(AML)の処置用組合せ剤または医薬組成物を提供する。化合物(I)はN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであってよく、化合物(Ia)は(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであってよい。
【0091】
さらなる局面において、本発明は、急性骨髄性白血病(AML)または常套の化学療法に抵抗性である急性骨髄性白血病(AML)の処置用医薬の製造のための、化合物(I)または(Ia)と化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビンを含む組合せ剤または医薬組成物の使用を提供する。化合物(I)はN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであってよく、化合物(Ia)は(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであってよい。
【0092】
他の局面において、化合物(I)または(Ia)と化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビン、そしてAMLの処置におけるその同時、個別または逐次的使用のための指示書を含む商品パッケージ。化合物(I)はN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであってよく、化合物(Ia)は(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドであってよい。
【0093】
下記実施例において、PKC412およびN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたは(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドをNovartis Pharma AG, Basel, Switzerlandによって合成し、DMSO中に溶解させて10mM原液とする。連続希釈をDMSOで行って、細胞アッセイのための最終希釈物を得る。
【実施例】
【0094】
実施例1:細胞系および細胞培養物の製造
IL−3−依存性マウス造血細胞系Ba/F3を、FLT3−ITDまたはFLT3−D835Y含有、ネオマイシン選択マーカーを含むMSCVレトロウイルスで形質導入し、ネオマイシン抵抗性について選択した。Kelly et al. (2002)参照。FLT3−ITD形質導入細胞をG418(1mg/mL)中での増殖について選択した。ATP結合ポケットの変異(F691L、A627T、G697R、N676D)を含むFLT3−ITDを発現するPKC412−抵抗性Ba/F3細胞型を既報の通りに作成した。Cools et al. (2004)参照。ヒトAML由来FLT3−ITD発現細胞系、MV4;11[Quentmeier et al. (2003)参照]をDr. Scott Armstrong(Dana Farber Cancer Institute, Boston, MA)から入手した。ヒトAML由来FLT3−ITD発現細胞系MOLM−13を修飾してルシフェラーゼを発現させ、MOLM13−luc+として、Dr. Andrew Kung(Dana Farber Cancer Institute, Boston, MA)から入手した。全細胞系を5%CO、37℃で、濃度2×10〜5×10で10%胎児ウシ血清を含む1%グルタミンを補ったRPMI(Mediatech, Inc., Herndon, VA)中で培養した。野生型FLT3を発現する親Ba/F3細胞をIL−3源として15%WEHI調節培地で同様に培養した。全トランスフェクト細胞系を1mg/mlのG418を補った培地中で培養した。
【0095】
実施例2:抗体および免疫ブロッティング
XIAP(クローン28?)抗体(BD Sciences, Franklin Lakes, NJ)、CIAP1抗体(Cell Signaling Technology, Danvers, MA)、Bcl−2(c−2)抗体(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)、およびBcl−XL(H−5)抗体(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA)を各々1:200の希釈で用いた。モノクローナル抗βアクチン抗体(クローンAC−15)をSigma-Aldrich(St. Louis, MO)から購入し、1:2000の希釈で用いた。αチューブリン(クローンDM1A)抗体をSigma Aldrich(St. Louis, MO)から購入し、1:2000の希釈で用いた。タンパク質溶解前処理および免疫ブロッティングを既報の通り行った。Weisberg et al. (2002)参照。
【0096】
実施例3:細胞生存率およびアポトーシス分析
トリパンブルー排除アッセイは既に記載されており[Weisberg et al. (2002)参照]、これを用いてPKC412とN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)の存在下および非存在下で培養した細胞の増殖を測定した。細胞生存率は対照(未処理)細胞の%として表す。エラーバーは各データポイントについての平均の標準誤差を示す。薬剤処理細胞のアポトーシスを、Annexin-V-Fluos Staining Kit(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)を用いて既報の通りに測定した。Weisberg et al. (2002)参照。
【0097】
実施例4:ヒト間質試験
HS−5ヒト間質細胞(10,000/ウェル)を24時間播種し、その後MOLM13−luc+細胞(40,000/ウェル)を播種し、そして多様な濃度のN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC単独または組み合わせで処理した。細胞をルシフェラーゼ発現について、Xenogen造影剤を用いて分析した。
【0098】
実施例5:薬剤組み合わせ試験
薬剤組み合わせ試験のために、PKC412とN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)を固定された比でFLT3−ITD−Ba/F3細胞およびPKC412抵抗性変異FLT3発現細胞に同時に加える。細胞生存率をトリパンブルー排除アッセイを用いて測定し、薬剤処理細胞対対照細胞の増殖効果の関数(FA)として表す;データをCalcusynソフトウェア(Biosoft, Ferguson, MO and Cambridge, UK)で、Chou-Talalay法を用いて分析する。Chou and Talalay et al. (1984)参照。組み合わせ指数=[D][D+[D]/[D(ここで、[D]および[D]は各薬剤単独の濃度[Dおよび[Dと同じ効果を得るために組み合わせでの各薬剤が要求する濃度である)。1未満の値は相乗効果を示し、1より大きい値は拮抗作用を示す。
【0099】
実施例6:マウス試験およびインビボイメージング
FLT3−ITD−Ba/F3細胞をホタルルシフェラーゼ(MSCV−Luc)をコード化したレトロウイルスでトランスフェクトし、ネオマイシンで選択してFLT3−ITD−Ba/F3−ルシフェラーゼ(luc+)細胞系を製造した。マイコプラズマおよびウイルス汚染のない細胞を、Hank’s Balanced Salt Solution(HBSS;Mediatech, Inc., VA)に再懸濁させて、マウスに静脈内投与した。Gelucire(登録商標)44/14(Gattefosse, France)中6% w/w PKC412を1×PBSで希釈し、42℃水浴中で液体になるまで温めた。該溶液をマウスの胃管栄養処置に用いるまで4℃で貯蔵した。まず10mg粉末原薬を30μL水で濡らし、2当量(化合物の0.73μL/mg)の6.0N HClに溶解させて、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)を前処理した。得られた(透明)溶液をpH4.6 酢酸バッファーで1mLにして、得られた源液をマウスの胃管栄養処置に用いるまで−20℃で凍結貯蔵した。
【0100】
オスNCrヌードマウス(5−6週齢; Taconic, NY)に合計800,000個のFLT3−ITD−Ba/F3−luc+細胞を尾静脈注射によって投与した。マウスを造影し、総体蛍光を既報の通り定量した。Armstrong et al. (2003)参照。腫瘍細胞接種後1日目のベースラインイメージングを用いて対応腫瘍組織量の処置コホートを確立した。マウスのコホートをビークル、40mg/kg/日 N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)(上記のとおり製剤)、50mg/kg N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)(上記のとおり製剤)、またはPKC412とN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)の組み合わせを経口投与して処置した。多様な間隔で反復造影を行った。試験の予定終点(FLT3−ITD−Ba/F3−luc+細胞の当初静脈注射後約1週間)で、マウスを殺し、体重および脾臓重量を記録し、組織病理学的分析のために組織を10%ホルマリンで保存した。
【0101】
実施例7:PKC412感受性細胞および抵抗性細胞に対するN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせ効果
N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)をPKC412と組み合わせて、FLT3−ITD−Ba/F3細胞について試験する。正の上昇効果が2種薬剤間に観察され(図1、ならびに図1および2に示す用量応答曲線について計算した組み合わせ指数を示す下記表1参照)。Calcusynソフトウェアを用いて行ったN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせ効果の分析は、表1に示すとおり、用量範囲で(ED50−ED90)相乗効果を示す。N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412を組み合わせにおいて、ヒト急性白血病、FLT3−ITD発現細胞系、MV4;11細胞系についても試験したところ、表1に示すとおり、各薬剤単独と比較して、比較的高用量でのみ、両薬剤が細胞増殖の阻害を上昇させることを見出した。N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせ効果のCalcusyn分析は、表Iに示すとおり、比較的高用量(ED75−ED90)でわずかに相乗効果乃至相乗効果を示すが、低用量(ED50)では拮抗作用が観察される。N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせ効果を、PKC412抵抗性、変異FLT3発現細胞系A627T−FLT3−Ba/F3、F691I−FLT3−Ba/F3、G697R−FLT3−Ba/F3、およびN676D−FLT3−Ba/F3についても試験する。相乗的効果がN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412について、A627T−FLT3−Ba/F3およびF691I−FLT3−Ba/F3系に対して観察され(ED50−ED90)、相乗効果がN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412について、G697R−FLT3−Ba/F3系に対して観察される(ED50−ED90)(図2および表1を参照されたい)。N676D−FLT3−Ba/F3細胞系について、組み合わせ結果は、表Iに示すとおりN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412間の相加効果を示す(ED50−ED90)。
【表1】

【0102】
実施例8:N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とドキソルビシンまたはAra−cのPKC412感受性および抵抗性FLT3発現細胞それぞれに対する組み合わせ効果を示す増殖試験
PKC412と標準的な化学療法剤、例えばドキソルビシンおよびAra−c間のFLT3−ITD−Ba/F3細胞に対する組み合わせ効果は、PKC412とドキソルビシンの組み合わせについて用量範囲(ED50−ED90)で相乗効果を示す(図3、ならびに図3と4に示す用量応答曲線について計算した組み合わせ指数を示す表II参照)。N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とドキソルビシンのFLT3−ITD−Ba/F3細胞に対する組み合わせ効果のCalcusyn分析は、用量範囲(ED50−ED90)で相乗的効果を示す(図4および表II参照)。N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とドキソルビシンのF691I−FLT3−Ba/F3細胞に対する組み合わせ効果のCalcusyn分析の結果は、比較的高用量(ED75−ED90)でのみ相加乃至相乗効果を示す(表II参照)。A627T−FLT3−Ba/F3細胞について、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とドキソルビシンが相乗的に作用することが見出された(ED50−ED90)(表II参照)。相乗効果は、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とAra−c間で、FLT3−ITD−Ba/F3細胞について(ED50−ED90)(図5および表II参照)、そしてF691I−FLT3−Ba/F3細胞およびA627T−FLT3−Ba/F3細胞について(ED50−ED90)(表II参照)観察される。
【表2】

【0103】
実施例9:N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412単独および組み合わせの効果のインビボ試験
N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)単独、PKC412単独、およびN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせのインビボでの抗腫瘍効果を直接評価するために、急性白血病のマウスモデルを試験して、腫瘍組織量を発光腫瘍細胞の非侵襲的イメージングによって定量する(図6)。
【0104】
マウスFLT3−ITD−Ba/F3細胞をホタルルシフェラーゼを安定的に発現するように操作し、NCrヌードマウスにこの細胞を接種する。非侵襲的イメージングを用いて腫瘍組織量を連続的に評価し、白血病が確立したマウスを類似の腫瘍組織量を有するコホートに分ける。
【0105】
PKC412、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)またはPKC412とN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)の組み合わせを経口胃管栄養法(それ自体はビークルである)によって投与する。両薬剤一体の投与は、一方の薬剤の胃管栄養法の約20−30分後に他の薬剤の胃管栄養法により投与して行う。
【0106】
マウスは、ビークルのみ、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)(50mg/kg)、PKC412(40mg/kg)またはN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせを投与される(図6参照)。
【0107】
生物発光によって評価した最も低い腫瘍組織量が、FLT3−ITD−Ba/F3−luc+細胞の静脈注射後5〜7日目(それぞれ薬剤処置の4〜6日目に対応する)の薬剤組み合わせ群において観察される(図6および7参照)。静脈注射後7日目に観察した生物発光結果の統計的評価のために、スチューデントt検定を用いる:p<0.056247(ビークル対N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)単独);p<0.04825(ビークル対PKC412単独);p<0.04329(ビークル対N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせ)。静脈注射後5日目の統計的評価(スチューデントt検定による)を得た:p<0.077299(ビークル対N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)単独);p<0.075852(ビークル対PKC412単独);p<0.06826(ビークル対N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせ)。最も低い%脾臓重量が、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の組み合わせで処置した、最後のイメージング日の8日後に殺したマウスにおいて観察される(図8)。
【0108】
実施例10:N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)変異FLT3発現細胞のPKC412に対する間質介在抵抗性に対する効果
WEHI(IL−3源として用いた)の存在下および非存在下で培養したBa/F3−FLT3−ITD細胞をPKC412の細胞毒性効果について試験して、IL−3の存在が細胞をPKC412細胞増殖阻害から完全に保護することを見出した(補助的データ)。
【0109】
PKC412とは対照的に、IAP阻害剤であるN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)はIL−3の存在下および非存在下の両方でBa/F3−FLT3−ITD細胞の増殖を阻害する。興味深いことに、N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)とPKC412の同時投与によって、IL−3の存在下で培養したBa/F3−FLT3−ITD細胞の増殖が相乗的に阻害され;この阻害はIL−3の非存在下で両薬剤の共投与によって得られるものと同程度である。このことはIAP阻害剤がFLT3阻害剤の効果を増強し、生存シグナルの供給による化学抵抗性を克服することができることを示している。
【0110】
ヒト間質細胞系、HS−5は、変異FLT3 AML系、MOLM−13において使用される。白血球成分のみを測定するため、ルシフェラーゼを白血球細胞に導入して、発光を用いて生存細胞数を具体的に定量する。図9に示す試験において、MOLM−13−luc+細胞(40,000/ウェル)を、HS−5間質細胞のほぼコンフルエントな単層の存在下または非存在下で、PKC412に曝露する。間質細胞系は増殖を増進させ、PKC412の阻害効果に対して部分的に保護している(図9参照)。Ba/F3−FLT3−ITDに見られるとおり、PKC412とN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)間でのヒトFLT3−ITD発現細胞系、MOLM13−luc+の死滅において正の連携が増殖因子の非存在下で観察される。N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)は同様に、MOLM13−luc+細胞に対するHS−5ヒト間質細胞の非存在下および存在下で、PKC412の細胞毒性効果を増進する(図6B参照)。これらの結果は、間質介在生存シグナルが髄で観察されるFLT3阻害剤(例えばPKC412)に対する化学抵抗性に関与しており、かかる抵抗性がIAP阻害剤処置の参加によって克服され得るという知見を支持する。
【0111】
実施例11:IAPの変異FLT3制御
N−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(LBW242)のIAP基質を含む抗アポトーシス性シグナル伝達因子のパネル、ならびにBcl−2およびBclxLの発現を、変異FLT−3発現細胞において試験する。CIAP1発現において検出可能な変化を有さず、細胞を増殖因子に曝露した2日後にタンパク質レベルでIL−3の効果が存在しない親Ba/F3細胞と比較して、FLT3−ITD発現Ba/F3細胞におけるXIAP、Bcl−2およびBclxLタンパク質発現のわずかな変動のみが観察される(図10参照)。FLT3−ITD−Ba/F3細胞を0.1μM PKC412で22時間処理すると、BclxLおよびXIAPタンパク質発現における部分的減少が導かれ、これはFLT3がこれらのタンパク質の発現を制御していることを示唆している(図10)。
【0112】
実施例12:細胞生存およびアポトーシス分析
トリパンブルー排除アッセイは既に開示されており[Weisberg et al. (2002)参照]、これを用いてPKC412と(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]− ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドの存在下および非存在下で培養する細胞の増殖を測定した。細胞生存率は対照(未処理)細胞の%として表す。エラーバーは各データポイントについての平均の標準誤差を示す。薬剤処理細胞のアポトーシスを、Annexin-V-Fluos Staining Kit(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)を用いて既報の通りに測定した。Weisberg et al. (2002)参照。
【0113】
実施例13:PKC412と(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)の薬剤組み合わせ試験
薬剤組み合わせ試験のために、PKC412と(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)を固定された比率で、FLT3−ITD−Ba/F3細胞またはAML由来MOLM13−luc+ FLT3発現細胞に同時に加える。細胞生存率をトリパンブルー排除アッセイを用いて測定し、薬剤処理細胞対対照細胞の増殖効果の関数(FA)として表す(図11参照)。
【0114】
実施例14:(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とPKC412のPKC412感受性細胞に対する組み合わせ効果
(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)をPKC412と組み合わせて、FLT3−ITD−Ba/F3細胞に対して試験する。正の上昇効果が2種の薬剤間で観察される(図12参照)。
【0115】
(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とPKC412を組み合わせて、ヒト急性白血病FLT3−ITD発現細胞系、MOLM13−luc+に対しても試験して(図11参照)、各薬剤単独のものと比較して、両薬剤が細胞増殖の阻害を比較的高用量でのみ増進することを見出した。
【0116】
実施例15:(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とドキソルビシンまたはAra−cのPKC412感受性変異FLT3発現細胞に対する組み合わせ効果を示す増殖試験
PKC412と標準的な化学療法剤、例えばドキソルビシンおよびAra−c間の、FLT3−ITD−Ba/F3細胞に対する組み合わせ効果は、PKC412とドキソルビシンの組み合わせについて、用量範囲(ED50−ED90)で正の上昇効果を示す(図13−15参照)。
【0117】
実施例16:インビボでの(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とPKC412単独および組み合わせの効果の試験
(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)単独、PKC412単独、および(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とPKC412、の組み合わせのインビボでの抗腫瘍効果を直接評価するために、急性白血病のマウスモデルを試験して、腫瘍組織量を発光腫瘍細胞の非侵襲的イメージングによって定量する(図16)。マウスFLT3−ITD−Ba/F3細胞をホタルルシフェラーゼを安定的に発現するように操作し、NCrヌードマウスにこの細胞を接種する。非侵襲的イメージングを用いて腫瘍組織量を連続的に評価し、白血病が確立したマウスを類似の腫瘍組織量を有するコホートに分ける。
【0118】
PKC412、(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドまたはPKC412と(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)の組み合わせを経口胃管栄養法(それ自体はビークルである)によって投与する。両薬剤一体の投与は、一方の薬剤の胃管栄養法の約20−30分後に他の薬剤の胃管栄養法により投与して行う。マウスにビークル単独、(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)(50mg/kg)、PKC412(40mg/kg)または(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミド(化合物Y)とPKC412の組み合わせを投与する(図16参照)。生物発光(光子/秒)によって評価した最も低い腫瘍組織量が、FLT3−ITD−Ba/F3−luc+細胞の静脈注射後8日目(それぞれ薬剤処置の8日目に対応する)の薬剤組み合わせ群において観察される(図16参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I):
【化1】

〔式中、
はH;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、これは非置換であるか、または置換されており;
はH;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、これは非置換であるか、または置換されており;
はH;−CF;−C;C−Cアルキル;C−Cアルケニル;C−Cアルキニル;−CH−Zであるか、または
とRは窒素と一体となって、het環を形成し;
ZはH;−OH;F;Cl;−CH;−CF;−CHCl;−CHFまたは−CHOHであり;
はC−C16直鎖もしくは分枝鎖アルキル;C−C16アルケニル;C−C16アルキニル;または−C−C10シクロアルキル;−(CH1−6−Z;−(CH0−6−アリールフェニル;および−(CH0−6−hetであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびフェニルは非置換であるか、または置換されており;
は−N(R)−C(O)−C−C10アルキル;−N(R)−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−N(R)−C(O)−(CH0−6−フェニル;−N(R)−C(O)−(CH1−6−het;−C(O)−N(R)(R10);−C(O)−O−C−C10アルキル;−C(O)−O−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(O)−O−(CH0−6−フェニル;−C(O)−O−(CH1−6−het;−O−C(O)−C−C10アルキル;−O−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−O−C(O)−(CH0−6−フェニル;−O−C(O)−(CH1−6−hetであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびフェニルは非置換であるか、または置換されており;
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環、または少なくとも1個のN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む5〜7員ヘテロ環式環を含む8〜12員縮合環系であり、当該ヘテロ環式環または縮合環系は非置換であるか、または炭素原子もしくは窒素原子上で置換されており;
はH;−CH;−CF;−CHOHまたは−CHClであり;
およびR10は各々独立して、H;C−Cアルキル;C−Cシクロアルキル;−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−(CH0−6−フェニルであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびフェニルは非置換であるか、または置換されているか、または
とR10は窒素と一体となって、hetを形成し;
はH;C−C10アルキル;アリール;フェニル;C−Cシクロアルキル;−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C−C10アルキル−アリール;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル−(CH0−6−フェニル;−(CH0−4CH−((CH1−4−フェニル);−(CH0−6−CH(フェニル);−インダニル;−C(O)−C−C10アルキル;−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(O)−(CH0−6−フェニル;−(CH0−6−C(O)−フェニル;−(CH0−6−het;−C(O)−(CH1−6−hetであるか、または
はアミノ酸の残基であり、ここでアルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアリール置換基は非置換であるか、または置換されており;
Uは構造(III)
【化2】

{式中、
n=0−5;
Xは−CHまたはNであり;
RaおよびRbは独立して、O、SもしくはN原子、またはC0−アルキルであり、ここで当該アルキル鎖の1個以上の炭素原子がO、SまたはNから選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、そして当該アルキルは非置換であるか、または置換されていてもよく;
Rdは:
(a) −Re−Q−(Rf)(Rg);または
(b) Ar−D−Ar;または
(c) Ar−D−Arであり;
RcはHであるか、またはRcとRdは一体となって、シクロアルキルまたはhetを形成してもよく;ここでRdとRcがシクロアルキルまたはhetを形成するとき、RはCまたはN原子で形成された環と結合しており;
pおよびqは独立して0または1であり;
ReはC1−アルキルまたはアルキリデンであり、そして当該Reは非置換であるか、または置換されていてもよく;
QはN、O、S、S(O)またはS(O)であり;
ArおよびArは置換または非置換アリールまたはhetであり;
RfおよびRgは互いに独立して存在しないか、またはH;−C−C10アルキル;C−C10アルキルアリール;−OH;−O−C−C10アルキル;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル;−O−(CH0−6−アリール;フェニル;アリール;フェニル−フェニル;−(CH1−6−het;−O−(CH1−6−het;−OR11;−C(O)−R11;−C(O)−N(R11)(R12);N(R11)(R12);−S−R11;−S(O)−R11;−S(O)−R11;−S(O)−NR1112;−NR11−S(O)−R12;S−C−C10アルキル;アリール−C−Cアルキル;het−C−Cアルキル(ここでアルキル、シクロアルキル、hetおよびアリールは非置換であるか、または置換されている);−SO2−1−アルキル;−SO2−1−アルキルフェニル;−O−C−Cアルキルであるか、または
RgとRfはhetまたはアリールから選択される環を形成し;そして
Dは−CO−;−C(O)−またはC1−アルキレンもしくはアリーレン;−CF−;−O−;−またはS(O)nr(ここでrnは0−2である);1,3ジオキソラン;またはC−Cアルキル−OHであり、ここでアルキル、アルキレンもしくはアリーレンは非置換であるか、またはハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルもしくは−CFの1個以上で置換されていてもよいか、または
Dは−N(Rh)であり、ここでRhはH;C1−アルキル(置換もしくは非置換);アリール;−O(C1−シクロアルキル)(置換もしくは非置換);C(O)−C10−C10アルキル;C(O)−C−C10アルキル−アリール;C−O−C−C10アルキル;C−O−C−C10アルキル−アリールまたはSO−C10−C10−アルキル;SO−(C−C10−アルキルアリール)であり;
、R、R’およびR’は各々独立して、H;−C−C10アルキル;−C−C10アルコキシ;アリール−C−C10アルコキシ;−OH;−O−C−C10アルキル;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル;−O−(CH0−6−アリール;フェニル;−(CH1−6−het;−O−(CH1−6−het;−OR11;−C(O)−R11;−C(O)−N(R11)(R12);−N(R11)(R12);−S−R11;−S(O)−R11;−S(O)−R11;−S(O)−NR1112;−NR11−S(O)−R12であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されており;そしてR、R、R’とR’は一体となって環系を形成してもよく;そして
11およびR12は独立してH;C−C10アルキル;−(CH0−6−C−Cシクロアルキル;−(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2;−C(O)−C−C10アルキル;−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(O)−O−(CH0−6−アリール;−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル;−C(O)−NH−(CH0−6−アリール;−C(O)−(CH0−6−アリール;−C(O)−(CH1−6−het;−C(S)−C−C10アルキル;−C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル;−C(S)−O−(CH0−6−アリール;−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル;−C(S)−NH−(CH0−6−アリール;−C(S)−(CH0−6−アリール;−C(S)−(CH1−6−hetであり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されているか、または
11およびR12は当該分子の細胞膜の通過を促進する置換基であるか、または
11とR12は窒素原子と一体となって、hetを形成し、
ここでR11およびR12のアルキル置換基は非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、−O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキルまたは−CFから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基はC−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;−O−C−Cアルキル;−S−C−Cアルキルまたは−CFから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
11およびR12の置換フェニルまたはアリールはハロゲン;ヒドロキシ;C−Cアルキル;C−Cアルコキシ;ニトロ;−CN;−O−C(O)−C−Cアルキルおよび−C(O)−O−C−Cアリールから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよい}
で示される〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩、または式(Ia)
【化3】

〔式中、
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、Rは非置換であるか、または置換されていてもよく;
はH、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−C10シクロアルキルであり、Rは非置換であるか、または置換されていてもよく;
はH、CF、C、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、CH−Zであるか、または
とRはそれらが結合している窒素と一体となって、ヘテロ環式環を形成し;当該アルキル、アルケニル、アルキニルまたはhet環は非置換であるか、または置換されていてもよく;
ZはH、OH、F、Cl、CH、CHCl、CHFまたはCHOHであり;
はC−C10アルキル;C−C10アルケニル;C−C10アルキニル;またはC−C10シクロアルキルであり、ここでC−C10アルキルまたはシクロアルキル基は非置換であるか、または置換されており;
Aはhetであり、これは非置換であるか、または置換されていてもよく;
DはC−CアルキレンまたはC−Cアルケニレン、C(O)、O、NR、S(O)、C(O)−C−C10アルキル、O−C−C10アルキル、S(O)−C−C10アルキル、C(O)C−C10アリールアルキル、OC−C10アリールアルキルまたはS(O)−C10アリールアルキルであり、当該アルキルおよびアリール基は非置換であるか、または置換されていてもよく;
rは0、1または2であり;
は置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換hetであり、当該アリールおよびhet上の置換基はハロ、アルキル、低級アルコキシ、NR、CN、NOまたはSRであり;
各Qは独立して、H、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ、アリールC−C10アルコキシ、OH、O−C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、アリール、アリールC−C10アルキル、O−(CH0−6アリール、(CH1−6−het、het、O−(CH1−6het、−OR11、C(O)R11、−C(O)N(R11)(R12)、N(R11)(R12)、SR11、S(O)R11、S(O)11、S(O)−N(R11)(R12)またはNR11−S(O)−(R12)であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されており;
nは0、1、2または3、4、5、6または7であり;
hetはN、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ環原子を含む5〜7員単環式ヘテロ環式環、または1個のN、OおよびSから選択される1、2もしくは3個のヘテロ原子を含む5〜7員単環式ヘテロ環式環を含む8〜12員縮合環系であり、hetは非置換であるか、または置換されており;
11およびR12は独立して、H、C−C10アルキル、(CH0−6−C−Cシクロアルキル、(CH0−6−(CH)0−1(アリール)1−2、C(O)−C−C10アルキル、−C(O)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、−C(O)−O−(CH0−6−アリール、−C(O)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(O)−NH−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH0−6−アリール、C(O)−(CH1−6−het、−C(S)−C−C10アルキル、C(S)−(CH1−6−C−Cシクロアルキル、C(S)−O−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−O−フルオレニル、C(S)−NH−(CH0−6−アリール、−C(S)−(CH0−6−アリールまたはC(S)−(CH1−6−het、C(O)R11、C(O)NR1112、C(O)OR11、S(O)11、S(O)NR1112(m=1または2)、C(S)R11、C(S)NR1112、C(S)OR11であり、ここでアルキル、シクロアルキルおよびアリールは非置換であるか、または置換されているか;またはR11とR12は当該分子の細胞膜の通過を促進する置換基であるか;または
11とR12は窒素原子と一体となって、hetを形成し、
ここでR11およびR12のアルキル置換基は非置換であるか、またはC−C10アルキル、ハロゲン、OH、O−C−Cアルキル、−S−C−Cアルキル、CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
11およびR12の置換シクロアルキル置換基はC−C10アルケン;C−Cアルキル;ハロゲン;OH;O−C−Cアルキル;S−C−Cアルキル、−CFまたはNR1112から選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;そして
11およびR12の置換hetまたは置換アリールはハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、−CNO−C(O)−C−CアルキルおよびC(O)−O−C−Cアルキルから選択される1個以上の置換基で置換されていてもよく;
R5、R6およびR7は独立して、水素、低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキル低級アルキル、C(O)R;S(O)R、C(O)OR、C(O)NRであり、そして
、R、R、R、QおよびAならびにA基上の置換基は、独立して、ハロ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級アルコキシ、アリール、アリール低級アルキル、アミノ、アミノ低級アルキル、ジ低級アルキルミノ、低級アルカノイル、アミノ低級アルコキシ、ニトロ、シアノ、シアノ低級アルキル、カルボキシ、低級カルボアルコキシ、低級アルカノイル、アリーロイル(aryloyl)、低級アリールアルカノイル、カルバモイル、N−モノもしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、低級アルキルカルバミン酸エステル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、メルカプト、スルホ、低級アルキルチオ、スルホアミノ、スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、スルホネート、スルファニル、低級アルキル、アリールスルホンアミド、ハロゲン置換アリールスルホネート、低級アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アリール−低級アルキルスルフィニル、低級アルキルアリールスルフィニル、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−低級アルキルスルホニル、低級アリールアルキル低級アルキルアリールスルホニル、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、ホスホノ(−P(=O)(OH))、ヒドロキシ−低級アルコキシホスホリルまたはジ−低級アルコキシホスホリル、(R)NC(O)−NR1013、低級アルキルカルバミン酸エステルまたはカルバメートまたは−NR14であり、
ここで
およびR14は同一または異なって、独立してHまたは低級アルキルであるか、またはRとR14はN原子と一体となって、所望により窒素、酸素および硫黄から選択される1または2個のさらなるヘテロ環原子を含んでいてもよい窒素ヘテロ環原子含有3〜8員ヘテロ環式環を形成し、当該ヘテロ環式環は非置換であるか、または低級アルキル、ハロ、低級アルケニル、低級アルキニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ニトロ、アミノ、低級アルキル、アミノ、ジ低級アルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、低級カルボアルコキシ、ホルミル、低級アルカノイル、オキソ、カルバモイル、N−低級もしくはN,N−ジ低級アルキルカルバモイル、メルカプトまたは低級アルキルチオで置換されていてもよく;そして
、R10およびR13は独立して水素、低級アルキル、ハロゲン置換低級アルキル、アリール、アリール低級アルキル、ハロゲン置換アリール、ハロゲン置換アリール低級アルキルである〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩と、
(b) 式(II):
【化4】

の化合物またはその塩;
(c) ドキソルビシン;および
(d) シタラビン;
の1種以上を含む、組合せ剤。
【請求項2】
請求項1に定義の化合物(I)と、請求項1に定義の化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビンを含む組合せ剤。
【請求項3】
化合物(I)がN−[1−シクロヘキシル−2−オキソ−2−(6−フェネチル−オクタヒドロ−ピロロ[2,3−c]ピリジン−1−イル−エチル]−2−メチルアミノ−プロピオンアミドである、請求項2に記載の組合せ剤。
【請求項4】
請求項1に定義の化合物(Ia)と、請求項1に定義の化合物(II)、ドキソルビシンまたはシタラビンを含む組合せ剤。
【請求項5】
化合物(Ia)が(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−{(S)−2−[4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−チアゾール−2−イル]−ピロリジン−1−イル}−2オキソ−エチル)−2−メチルアミノ−プロピオンアミドである、請求項4に記載の組合せ剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の組合せ剤を含む、医薬組成物。
【請求項7】
所望により医薬担体を含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1に定義の式(II)の化合物、ドキソルビシンまたはシタラビンを含む医薬組成物と組み合わせる、請求項1に定義の化合物(I)または(Ia)を含む医薬組成物。
【請求項9】
急性骨髄性白血病(AML)を有する温血動物を処置する方法であって、当該動物に治療上有効量の請求項1〜5のいずれかに記載の組合せ剤を投与することを含む方法。
【請求項10】
急性骨髄性白血病(AML)が常套の化学療法に抵抗性である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
温血動物がヒトである、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
ヒトが若年性である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
急性骨髄性白血病(AML)の処置のための、請求項1〜5のいずれかの組合せ剤の使用。
【請求項14】
急性骨髄性白血病(AML)の処置のための、請求項6〜8のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
【請求項15】
急性骨髄性白血病(AML)の処置用医薬の製造のための、請求項1〜5のいずれかの組合せ剤の使用。
【請求項16】
急性骨髄性白血病(AML)の処置用医薬の製造のための、請求項6〜8のいずれかの医薬組成物の使用。
【請求項17】
急性骨髄性白血病が常套の化学療法に抵抗性である、請求項13〜15のいずれかの使用。
【請求項18】
請求項1〜8のいずれかに記載の組合せ剤と、AMLの処置におけるその同時、個別または逐次的使用のための指示書を含む商品パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−511059(P2010−511059A)
【公表日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539434(P2009−539434)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/085579
【国際公開番号】WO2008/067280
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【出願人】(591183991)ダナ−ファーバー キャンサー インスティテュート,インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】DANA−FARBER CANCER INSTITUTE, INCORPORATED
【Fターム(参考)】