説明

ICカードコネクタ

【課題】従来のようなシャッター部材を用いることなく、しかも、ICカードの大きさに左右されることなく、所定のICカードの誤ったカード収容部への挿入操作を規制できるとともに、誤ったICカードの裏差し挿入も回避できること。
【解決手段】ベース部材12の底部の下面から第1の段部12MRを形成する案内面12Saの開口端までの寸法Bは、案内面12Saからカバー部材10の内面までの寸法Cに比して大となるように設定されており、寸法Cは、SDカードSMCの最大厚さよりも小さい値とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに形状の異なる複数のICカードのうちの一つを選択的に装着することができるICカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器において、一般に、MMC(multi media card)カード(商標)、SD(secure digital)カード、メモリスティック(商標)等のICカードをその各機器にICカードコネクタを介して装着することにより、各種の機能拡張が行なわれている。
【0003】
また、互いに形状の異なる複数のICカードを一つの電子機器内に装着し利用するためにICカードコネクタにおいては、例えば、特許文献1にも示されるように、各ICカードが着脱される共通のスロットを有する複合のカード収容部を共通の平面上に設けたものが提案されている(図45参照)。
【0004】
このような複合のカード収容部を有するICカードコネクタにおいては、各カード収容部は、ICカードの着脱方向に沿って順次一列に形成されている。各カード収容部には、各ICカードのコンタクトパッドに対応したコンタクト端子群がそれぞれ個別に設けられている。斯かる構成においては、所定のICカードの正規のカード収容部とは異なるカード収容部への使用者による誤った挿入操作、あるいは、挿入操作のとき、そのICカードの先端部によって利用されないコンタクト端子群の損傷を回避しつつ、ICカードの円滑な着脱を可能とすることが必要とされる。
【0005】
この必要な対策として、例えば、特許文献1にも示されるように、所定のICカードの誤った挿入操作を規制するシャッター部材を、共通のスロット近傍の内部に備えるものが提案されている。そのシャッター部材は、各ICカードがカード収容部における一方側に設けられる共通のスロットを介して装着される場合、例えば、そのスロットにより近いカード収容部に装着されるべき種類のICカードの誤ったカード収容部への挿入操作を規制するものとされる。そのシャッター部材は、ICカードの着脱方向に対し略直交し跨るようにカード収容部を横切り延在している。シャッター部材の両端部は、それぞれ、回動可能に支持されている。また、シャッター部材の下方には、比較的幅の狭いICカードが通過し得る狭い開口が形成されている。
【0006】
斯かる構成において、例えば、比較的幅の狭いICカード用のカード収容部が共通のスロットに近い位置に形成される場合、比較的幅の狭いICカードがスロットを通じて装着されるとき、そのシャッター部材の下方の狭い開口を通じてそのカード収容部にICカードが装着されることとなる。即ち、ロック状態とされるそのシャッター部材により、比較的幅の広いICカード用のカード収容部への挿入操作が規制されることとなる。
【0007】
一方、比較的幅の広いICカードが装着される場合、そのICカードの先端がスロットを通過した直後に、そのシャッター部材がアンロック状態とされ、そのシャッター部材が押し倒されるように回動されるとともに、そのICカードがシャッター部材の上方を通過して比較的幅の広いICカード用のカード収容部に装着されることとなる。
【0008】
【特許文献1】特開2004−193111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、所定のICカードの挿入操作を規制するシャッター部材が設けられる場合、特に、双方のICカードの長手方向の全長が比較的短いとき、しかも、各ICカード排出用のイジェクト機構がICカードコネクタ内に設けられることが必要とされるとき、シャッター部材の回動する空間をカード収容部内に確保しつつイジェクト機構を設けることが困難となる場合がある。また、ICカードコネクタ、およびICカードの大きさのさらなる小型化により、上述のようなシャッター部材をICカードコネクタ内に配置できる空間もより少なくなる傾向にある。
【0010】
さらに、シャッター部材の回動する空間がカード収容部内に形成される場合において、共通のスロットが複合のカード収容部の開口端に形成されるとき、共通のスロットの開口面積が比較的大となる。これにより、例えば、ICカードの電極面がコンタクト端子群に接触しないようにICカードの電極面が正規の向きとは反対の方向に裏返された状態で挿入される、所謂、ICカードの裏差しが誤って行なわれる虞もある。
【0011】
以上の問題点を考慮し、本発明は、互いに形状の異なる複数のICカードを選択的に装着することができるICカードコネクタであって、従来のようなシャッター部材を用いることなく、しかも、ICカードの大きさに左右されることなく、所定のICカードの誤ったカード収容部への挿入操作を規制できるとともに、誤ったICカードの裏差し挿入も回避できるICカードコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するために、本発明に係るICカードコネクタは、形状が互いに異なる2種類のICカードが選択的に着脱可能な共通のカードスロットを有するとともに、2種類のICカードの電極部を電気的に接続する複数のコンタクト端子群を有し、ICカードを収容するICカード収容部と、を備え、カードスロットにおける2種類のICカードのうちの幅の狭い第1のICカードが通過する部分の第1のICカードの厚さ方向の寸法が、第1のICカードの裏差しを規制するように2種類のICカードのうちの幅の広い第2のICカードが通過する部分の第2のICカードの厚さ方向の寸法に比して小に設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明に係るICカードコネクタによれば、異なる種類のICカードごとの着脱に応じてICカードの進行端が正規のコンタクト端子群に向かうようにICカードを誘導するカード誘導部材の位置制御を行う位置制御機構部を備え、
カードスロットにおける2種類のICカードのうちの幅の狭い第1のICカードが通過する部分の第1のICカードの厚さ方向の寸法が、第1のICカードの裏差しを規制するように2種類のICカードのうちの幅の広い第2のICカードが通過する部分の第2のICカードの厚さ方向の寸法に比して小に設定されるので従来のようなシャッター部材を用いることなく、しかも、ICカードの大きさに左右されることなく、所定のICカードの誤ったカード収容部への挿入操作を規制できるとともに、誤ったICカードの裏差し挿入も回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図2は、それぞれ、本発明に係るICカードコネクタの一例の外観を示す。
【0015】
図2に示されるICカードコネクタは、例えば、プリンタ、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ等の電子機器内の配線基板(不図示)上に配されるものとされる。また、ICカードコネクタには、後述するように、SD(secure digital)カード、MMC(multi media card)カード(商標)、xD-Picture Card(商標)(以下、XDカードという)等の3種類のICカードがそれぞれ選択的に1枚ずつ装着可能とされる。
【0016】
ICカードコネクタは、例えば、その収納部に矢印の示す方向に沿って着脱可能に収納される各ICカードの電極部と所定の電子機器の内部に配される信号入出力用等の基板の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。
【0017】
一方の隅に面取りが施されたSDカードSMC(図6参照)の先端部には、後述されるコンタクト端子の配列に対応して複数のコンタクトパッドが一方の表面部に形成されている。また、その両側部には、それぞれ、後述する切欠部mca,切欠部mcbが相対向して形成されている。切欠部mcaの切欠きよりも幅広い切欠きを有する切欠部mcbには、ライトプロテクトボタンWBが移動可能に設けられている。図示が省略されるMMCカードは、その厚さおよびコンタクトパッド数を除き、SDカードSMCの全長、幅と同一の全長、幅を有している。MMCカードは、SDカードSMCと比べて、その厚さよりも若干薄く、コンタクトパッド数も少ないものとされる。
【0018】
XDカードXMC(図7参照)は、後述されるコンタクト端子の配列に対応して複数のコンタクトパッドを一方の表面部に有するとともに、その一方の側部に切欠部mcbを有している。XDカードXMCの幅は、SDカードSMCの幅に比べて約1mm程度大である。XDカードXMCの全長および厚さは、SDカードSMCの全長、厚さに比べてかなり短く薄いものとされる。
【0019】
ICカードコネクタは、図1および図2に示されるように、収容されるSDカードSMC、MMCカード、およびXDカードXMCに対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子等が配列されるベース部材12と、ベース部材12と協働してカード収容部を形成するカバー部材10とを含んで構成されている。
【0020】
門形状断面形状を有するカバー部材10は、薄板の金属材料で形成されている。カバー部材10の一方の側面部には、後述するベース部材12の爪部がそれぞれ、係合される係合孔がその爪部に対応して複数個形成されている。カバー部材10の他方の側面部にも、そのベース部材12の爪部がそれぞれ、係合される係合孔が相対向して複数個形成されている。
【0021】
従って、カバー部材10は、その各係合孔と、ベース部材12の各爪部とがそれぞれ係合されることにより、ベース部材12に対し固定されることとなる。
【0022】
図2に示されるように、カバー部材10における両側面部を連結する上面における一方の側面近傍部には、後述するイジェクト機構におけるカムレバーを移動可能に支持する押さえバネ10CLが設けられている。弾性を有する押さえバネ10CLの基端部は、カバー部材10に一体に形成されている。押さえバネ10CLはプレス加工により打ち抜かれて形成されるのでその周囲の部分には、開口が形成されている。
【0023】
ベース部材12におけるカード収容部は、例えば、成形樹脂材料で一体に成形され、図4に示されるように、上方、および、下方の一部と、後述するコンタクト端子固定部側とは反対側の端部とが、開口している。従って、上述のカバー部材10によりベース部材12全体が覆われることにより、カード収容部の一方の端部にSDカードSMC、MMCカード、およびXDカードXMCが選択的に挿入される共通の1つのカードスロット40(図1参照)が形成されることとなる。カード収容部は、カードスロット40に近い側に形成されるXDカードXMCを収容する第1の部分と、SDカードSMC、またはMMCカードを収容する第2の部分とを含んだ複合のカード収容部とされる。その第2の部分は、第1の部分の上部に一部重複して重なり形成されている。
【0024】
カードスロット40は、図1に示されるように、SDカードSMC、またはMMCカードの両側部を案内する一対の側壁端部12TRと、側壁端部12TRの真下に形成されSDカードSMCの底面部の端部またはXDカードXMCの両側部を案内する一対の第1の段部12MRと、第1の段部12MRに連なり下方に形成され、互いに内側に向けて突出する一対の第2の段部12NRと、第2の段部12NRの下端から真下に向けて形成される一対の側壁下端部12LRと、カバー部材10と、ベース部材12の底部とにより囲まれて形成されることとなる。また、側壁端部12TRと第1の段部12MRとの間には、溝部12URが形成されている。
【0025】
溝部12URを形成する下壁面12Scと、第1の段部12MRを形成する案内面12Saとは、図3に示されるように、カードスロット40から上述のカード収容部の第1の部分の底壁に向けて所定の勾配で互いに平行に傾斜している。カバー部材10の内面からベース部材12の底部の下面までの全寸法Aは、図8に示されるように、ベース部材12の底部の下面から第1の段部12MRを形成する案内面12Saの開口端までの寸法Bと
案内面12Saからカバー部材10の内面までの寸法Cとの合計とされる。また、ベース部材12の底部の下面から第1の段部12MRを形成する案内面12Saの開口端までの寸法Bは、案内面12Saの端からカバー部材10の内面までの寸法Cに比して大となるように設定されている。なお、寸法Cは、SDカードSMCの最大厚さよりも小さい値とされる。
【0026】
また、第2の段部12NRを形成する下壁面12Sbは、図3に示されるように、カード収容部の第1の部分の底壁に向けて所定の勾配で下壁面12Scに対し平行に延在している。第2の段部12NRを形成する下壁面12Sbの終端は、下壁面12Scの終端の位置よりもカードスロット40から遠い位置にあるように離隔している。
【0027】
カード収容部における第2の部分は、図4および図5に示されるように、その両側部をそれぞれ形成する側壁12WR、12WLと、コンタクト端子18ai(i=1〜9)、および接地用コンタクト18G等が配されるコンタクト端子固定壁部12WBとにより形成されている。
【0028】
側壁12WR、および、側壁12WLの外面には、図4に示されるように、それぞれ、爪部12Ra、12Rb、12Rc、12Rd,12Re,12Rf、12Rg,および、12Rhが形成されている。側壁12WRおよび12WLに連なる底部には、略中央に開口部が形成されている。
【0029】
ベース部材12のコンタクト端子固定壁部12WBには、複数のコンタクト端子18ai(i=1〜9)が設けられている。例えば、9本のコンタクト端子18aiは、所定の相互間隔で側壁12WR,12WLに対して略平行に配列されている。
【0030】
コンタクト端子18aiは、弾性を有しSDカードSMC、またはMMCカードのコンタクトパッド(電極部)に当接し電気的に接続される接点部と、配線基板の電極部に半田付け固定され電気的に接続される半田付端子部と、その接点部と半田付端子部とを相互に連結し、ベース部材12に固定される固定部とを含んで構成されている。
【0031】
薄板金属材料、例えば、バネ用燐青銅で作られるコンタクト端子18aiの固定部は、コンタクト端子固定壁部12WBに連なる底部に形成される溝に、コンタクト端子固定壁部12WBに形成される透孔を通じてSDカードSMC等の挿入方向とは反対方向の側から圧入されることにより、ベース部材12に固定されている。
【0032】
コンタクト端子18aiの固定部が圧入される各溝の周囲には、図5に示されるように、SDカードSMCを案内する案内壁12BWが形成されている。案内壁12BWは、SDカードSMCに形成される複数の溝に係合される。隣接する案内壁12BW相互間には、隙間が形成されている。その隙間には、挿入されるSDカードSMCの各隔壁、および、後述するイジェクト部材の櫛歯状片36ai(図4参照)が移動可能に係合される。
【0033】
なお、その左端の案内壁12BWと側壁12WLとの間には、上述のライトプロテクトボタンを検出する検出用コンタクトユニット30が設けられている。また、一方の端のコンタクト端子18aiに隣接して接地用コンタクト18Gが設けられている。
【0034】
カード収容部における第1の部分は、その両側部をそれぞれ形成する側壁12WR、12WLと、側壁12WR、12WLを連結する底部とにより形成されている。側壁12WRの側壁下端部12LRと、側壁12WLの側壁下端部12LRとの間には、複数のコンタクト端子16ai(i=1〜20)が設けられている。コンタクト端子16aiは、所定の相互間隔で側壁12WR,12WLに対して略平行に配列されている。また、コンタクト端子16aiは、上述のコンタクト端子18aiおよび案内壁12BWに対し所定距離、離隔して配されている。
【0035】
コンタクト端子16aiは、弾性を有しXDカードXMCのコンタクトパッド(電極部)に当接し電気的に接続される接点部と、配線基板の電極部に半田付け固定され電気的に接続される半田付端子部と、その接点部と半田付端子部とを相互に連結し、ベース部材12に固定される固定部とを含んで構成されている。
【0036】
薄板金属材料、例えば、バネ用燐青銅で作られるコンタクト端子16aiの固定部は、ベース部材12の底部に形成される溝に、XDカードXMCの挿入方向側から圧入されることにより、ベース部材12に固定されている。コンタクト端子16aiの半田付端子部は、カードスロット40に向けて底部の端部から突出している。
【0037】
側壁12WRの内側部分には、SDカードSMC、MMCカード、または、XDカードXMCをカード収容部における第1の部分または第2の部分に保持するとともに、選択的にカード収容部から外部に向けて排出するイジェクト機構が設けられている。
【0038】
イジェクト機構は、図4、および、図5に示されるように、SDカードSMCの着脱操作に応じてベース部材12に対し相対的に移動可能に支持され、SDカードSMC、またはMMCカードを選択的に保持するイジェクタ部材20と、イジェクタ部材20と一体に形成されXDカードXMCを選択的に保持するイジェクタ部材36と、ベース部材12の内周部およびイジェクタ部材20の端部相互間に介装され、イジェクタ部材20をSDカードSMC等の排出方向に付勢するコイルスプリング28と、ベース部材12の内周部およびイジェクタ部材36の端部相互間に介装され、イジェクタ部材36をXDカードXMCの排出方向に付勢するコイルスプリング32と、SDカードSMC、またはMMCカード、XDカードXMCの着脱操作に応じてイジェクタ部材20および36を選択的にベース部材12に対し保持または解放する制御を行う各ICカード共通のイジェクト部材制御部24と、を含んで構成されている。
【0039】
コイルスプリング28の一端は、ベース部材12の内周部に支持され、コイルスプリング28の他端は、イジェクタ部材20に連結されている。
【0040】
イジェクタ部材20は、例えば、樹脂材料で成形され、ベース部材12上にSDカードSMC等の着脱方向に沿って摺動可能にベース部材12の内周部により支持されている。
【0041】
また、イジェクタ部材20は、挿入されたSDカードSMC等の先端部に係合される被係合部を有している。その被係合部は、SDカードSMC等の先端部における一方の角および側面部を支持するカード受け部20Rと、カード受け部20Rに連なりその斜面部を支持する斜面部20Iと、SDカードSMCの着脱方向に対し略直交するように斜面部20Iに連なりSDカードSMC等の先端面を保持するアーム部20Lと、を含んで構成されている。
【0042】
カード受け部20Rに連なりカードスロット40側に向けて延在する延在部分には、挿入されたSDカードSMCの切欠部mcaに係合する湾曲部を有する板ばね52が設けられている。側壁12WLの内側部分には、その延在部分に相対向してSDカードSMC等の側面をその延在部分と協働して案内支持する支持面が形成されている。
【0043】
アーム部20Lには、イジェクタ部材20が移動せしめられるとき、上述の各案内壁12BWに係合される溝が複数個形成されている。その各溝の相互間の隔壁には、それぞれ、イジェクタ部材36の櫛歯状部36aiが一体に連結されている。
【0044】
イジェクタ部材36は、イジェクタ部材20に対しカードスロット40側に向かって所定距離、離隔して形成されている。イジェクタ部材36は、XDカードXMCの先端部を取り囲み保持するように略溝形に形成されている。
【0045】
イジェクタ部材36におけるイジェクタ部材20のアーム部20Lに対向した辺には、複数の櫛歯状部36ai(i=1〜5)が上述のアーム部20Lの各隔壁に対応して延在している。また、櫛歯状部36aiを有する部分におけるコンタクト端子16aiに対向する側には、挿入されたXDカードXMCの先端部を保持する保持部36Rが形成されている。
【0046】
これにより、SDカードSMC等がカード収容部の第2の部分に挿入されるとき、SDカードSMC等の先端が斜面部20Iおよびアーム部20Lに当接しつつ押され、イジェクタ部材20が所定距離、移動される。その際、板ばね52の湾曲部がSDカードSMCの切欠部mcaに係合せしめられる。一方、SDカードSMC等がカード収容部の第2の部分から排出されるとき、イジェクタ部材20がカードスロット40側に向けて移動され、SDカードSMC等がイジェクト部材20から強制的に引き抜かれることにより、SDカードSMC等が取り出されることとなる。
【0047】
また、XDカードXMCがカード収容部の第1の部分に挿入されるとき、XDカードXMCの先端がイジェクタ部材36の保持部36Rに当接しつつ押され、イジェクタ部材36が所定距離、移動される。一方、XDカードXMCがカード収容部の第1の部分から排出されるとき、イジェクタ部材36がカードスロット40側に向けて移動され、XDカードXMCがイジェクト部材36から強制的に引き抜かれることにより、XDカードXMCが取り出されることとなる。
【0048】
イジェクト部材制御部24は、図4に示されるように、イジェクタ部材20における側壁12WR側に一体に形成された略ハート形状のカム要素(ハートカム)24Cと、ハートカム24Cの周囲に形成された複数の段差部からなるレバー案内溝24Gと、一方の端部がコンタクト端子固定壁部12WBの孔に連結され、他方の端部がレバー案内溝24Gに沿って摺動せしめられる略門形形状のカムレバー26と、上述のカバー部材10の押えバネ10CL(図2参照)とを含んで構成されている。
【0049】
押えバネ10CLは、カムレバー26の屈曲された先端をレバー案内溝24Gの案内面に対し摺接するようにカムレバー26を付勢するものとされる。
【0050】
樹脂で成形されるハートカム24Cは、カムレバー26の一端部が選択的に係合する略V字状のカム面を有している。
【0051】
レバー案内溝24Gは、例えば、ハートカム24Cの一方の傍を側壁12WRに沿って直線的に延在する第1の案内溝と、ハートカム24Cの他方の傍を第1の案内溝の途中から分岐するように側壁12WRに向って斜めに延びた後、第1の案内溝に対し平行に延びる第2の案内溝と、そのカム面に対向する第1の案内溝の一端と第2の案内溝の一端との間であってカム面に対向する部分を連結する第3の案内溝とから形成されている。
【0052】
これにより、カムレバー26の一端部は、イジェクト部材20または36の動作に追従して第1の案内溝、第3の案内溝、および第2の案内溝を順次、経由して案内されることとなる。
【0053】
さらに、図5に示されるように、上述のカードスロット40の一部を形成する一対の側壁端部12TR近傍には、それぞれ、カードスロット40を通じて挿入されるSDカードSMC等を各カード収容部の第1または第2の部分に誘導する誘導部材としてのガイドブロック44および48が、設けられている。また、ガイドブロック44および48に隣接してガイドブロック44および48の姿勢をそれぞれ所定位置にロック状態またはアンロック状態とするロックばね46および50と、ガイドブロック44および48の姿勢を初期の位置に戻すようにガイドブロック44および48をそれぞれ、付勢するガイドリターンばね54(図1参照)とが設けられている。
【0054】
側壁12WR側に設けられるガイドブロック44は、摺接されるSDカードSMCまたはXDカードXMCにおける電極部が形成される表面を誘導する誘導面と、誘導面に連なる一方の端部にガイドリターンばね54の一端が係止される窪みと、ベース部材12の側壁12WRに固定される支持軸(不図示)が挿入される孔とを有している。
【0055】
ガイドブロック44は、側壁12WRと一体に形成されるリブ42と上述の側壁端部12TRとの間であってその内周部に連なる平坦部12Tにより囲まれた部分に設けられている。ガイドブロック44は、その支持軸により所定の角度だけ回動可能に設けられている。
【0056】
上述の誘導面は、側壁12WRに対向する両側面に対し略直交し、かつ、カバー部材10に対向するように形成されている。誘導面には、摺接されるXDカードXMCの側面を誘導する突起が形成されている。ガイドブロック44における一方の側面における窪みに対向する一端側には、ロックばね46の一端の係合部46Sに選択的に係合される突起44Sが形成されている。
【0057】
側壁12WL側に設けられるガイドブロック48は、摺接されるSDカードSMCまたはXDカードXMCにおける電極部が形成される表面を誘導する誘導面と、誘導面に連なる一方の端部にガイドリターンばね54の一端が係止される窪みと、ベース部材12の側壁12WLに固定される支持軸(不図示)が挿入される孔とを有している。
【0058】
ガイドブロック48は、側壁12WLと一体に形成されるリブ42と上述の側壁端部12TRとの間であって内周部に連なる平坦部12Tにより囲まれた部分に設けられている。ガイドブロック48は、支持軸により所定の角度だけ回動可能に設けられている。
【0059】
上述の誘導面は、側壁12WLに対向する両側面に対し略直交し、かつ、カバー部材10に対向するように形成されている。誘導面には、摺接されるXDカードXMCの側面を誘導する突起が形成されている。突起は、ガイドブロック44の突起に対向する位置に設けられている。ガイドブロック48における一方の側面における窪みに対向する一端側には、ロックばね50の一端の係合部(不図示)に選択的に係合される突起48Sが形成されている。
【0060】
ロックばね46および50は、互いに同一の構造とされるのでロックばね46について説明し、ロックばね50の説明を省略する。
【0061】
ロックばね46は、例えば、側壁12WRの内側に形成される凹部に圧入されている固定部と、ガイドブロック44の突起44Sに選択的に係合する係合部46Sを有し固定部に連なり弾性変位可能な可動部とからなる。なお、図5は、ロックばね46のロック状態を示す。
【0062】
その可動部には、係合部46Sに連なり側壁12WRの内側から離隔する方向に湾曲した湾曲部46Bが形成されている。なお、ロックばね46および50の湾曲部46Bおよび50B相互間距離は、SDカードSMCの幅よりも若干大となる値、もしくは、その幅と略同一となる値に設定されている。
【0063】
各ガイドリターンばね54は、ベース部材12の側壁12WRおよび12WLの溝部12URの真下に形成される凹部12k内に配置されている。板ばねであるガイドリターンばね54の一端は、凹部12k内に固定され、ガイドリターンばね54の他端は、ガイドブロック44の窪みに係止されている。これにより、ガイドリターンばね54は、ガイドブロック44の窪みの位置を初期の位置に戻すように付勢するものとされる。従って、ガイドリターンばね54、ロックばね46および50により、ガイドブロック44および48についての位置制御機構部が形成されることとなる。
【0064】
また、ガイドリターンばね54が凹部12k内に配置されているのでカード収容部を狭めることなくICカードコネクタの小型化および薄型化を図ることができる。
【0065】
挿入されるXDカードXMCの側面部によって、ロックばね46の湾曲部46Bが側壁12WRに近接する方向に押圧される場合、係合部46Sがガイドブロック44の突起44Sに対し離隔されることとなる。従って、アンロック状態とされるガイドブロック44は、その誘導面とリブ42に形成される直角面とが一致するように倒される。これにより、XDカードXMCの両側部がそれぞれ、リブ42の直角面上に摺動可能とされる
一方、ロックばね46の湾曲部46Bが押圧されない場合、係合部46Sがガイドブロック44の突起44Sを保持することとなる。従って、ロック状態とされるガイドブロック44は、その誘導面がリブ42の直角面に対し所定の角度をもって交差するようにコンタクト端子16aiに平行な平面から離れコンタクト端子18aiに臨むこととなる。なお、ガイドブロック48における動作もガイドブロック44の動作と同様とされる。
【0066】
このような構成において、SDカードSMC、またはMMCカードの装着にあたり、図6に示されるように、先ず、SDカードSMCの先端部がカードスロット40を通じて上述のカード収容部内における第1の部分を介して第2の部分に挿入される。その際、SDカードSMCの両側面部は、ロックばね46および50の湾曲部46Bおよび50Bを押し広げることなく、ロックばね46とロックばね50との間を通過することとなる。また、SDカードSMCの両側面部がそれぞれ一対の側壁端部12TRに案内され、進行方向に対し所定の角度だけ上方に向けて傾けられたロック状態のガイドブロック44および48の各誘導面に誘導される。従って、従来のようなシャッター部材を用いることなく、SDカードSMC等がカード収容部における第1の部分に誤って装着されることが強制的に回避されることとなる。その際、SDカードSMCが誤って第1の部分に挿入されることが回避されるのでコンタクト端子16aiを損傷させる虞もない。
【0067】
次に、さらに挿入されたSDカードSMCの先端部がイジェクト部材20のアーム部20Lに保持された状態で、イジェクト部材20とともにコイルスプリング28および32の付勢力に抗して押圧された後、その押圧力が解放されるとき、カムレバー26の一端部は、第1の案内溝から離脱し第3の案内溝のカム面に係合される。
【0068】
その際、イジェクト部材制御部24がイジェクタ部材20を保持状態とする。これにより、SDカードSMCが、カード収容部の第2の部分内で保持され、かつ、SDカードSMCのコンタクトパッドとコンタクト端子18aiとが当接され電気的に接続される。
【0069】
一方、SDカードSMCが取り外される場合、先ず、装着されたSDカードSMCが若干さらに押し込まれる。その際、イジェクト部材20が前進せしめられることにより、カムレバー26の一端部がカム面から解放され、かつ、離脱されて第2の案内溝に移動せしめられるのでコイルスプリング28および32の付勢力により後退せしめられる。そして、外部に露出したSDカードSMCの端部がさらにカード排出方向に引かれることにより、SDカードSMCが取り出される。
【0070】
さらに、XDカードXMCの装着にあたっては、図7に示されるように、先ず、XDカードXMCの先端部がカードスロット40を通じて上述のカード収容部内における第1の部分に向けて挿入される。その際、XDカードXMCの両側面部は、図9に示されるように、第2の段部12NRを形成する下壁面12Sbに案内されることにより斜めに挿入され、ロックばね46および50の湾曲部46Bおよび50Bを押し広げ、ロックばね46とロックばね50との間を通過することとなる。これにより、図3に示されるように、進行方向に対し所定の角度だけ上方に向けて傾けられたロック状態のガイドブロック44および48がアンロック状態となる。
【0071】
次に、さらにXDカードXMCが挿入されるとき、ガイドブロック44および48がXDカードXMCの先端により押圧されることにより、ガイドブロック44および48の誘導面が、平坦部12Tに略平行となるようにガイドリターンばね54の付勢力に抗して倒されることとなる。
【0072】
従って、従来のようなシャッター部材を用いることなく、XDカードXMCがカード収容部における第2の部分に誤って装着されることが強制的に回避されることとなる。
【0073】
次に、さらに挿入されたXDカードXMCの先端部がイジェクト部材36の保持部36Rに保持された状態で、イジェクト部材36とともにコイルスプリング28および32の付勢力に抗して押圧された後、その押圧力が解放されるとき、カムレバー26の一端部は、第1の案内溝から離脱し第3の案内溝のカム面に係合される。
【0074】
その際、イジェクト部材制御部24がイジェクタ部材36を保持状態とする。これにより、XDカードXMCが、カード収容部の第1の部分内で保持され、かつ、XDカードXMCのコンタクトパッドとコンタクト端子16aiとが当接され電気的に接続される。
一方、XDカードSMCが取り外される場合、先ず、装着されたXDカードSMCが若干さらに押し込まれる。その際、イジェクト部材36が前進せしめられることにより、カムレバー26の一端部がカム面から解放され、かつ、離脱されて第2の案内溝に移動せしめられるのでコイルスプリング28および32の付勢力により後退せしめられる。そして、外部に露出したXDカードXMCの端部がさらにカード排出方向に引き抜かれることにより、XDカードXMCが取り出される。
【0075】
図8に示されるように、仮に、SDカードSMCが誤って裏差し挿入される場合、即ち、SDカードSMCの複数のコンタクトパッドが形成される一方の表面部がカバー部材10の内面に対向する状態で、SDカードSMCの先端部がカードスロット40を通じて上述のカード収容部内における第1の部分を介して第2の部分に挿入される場合、上述したように、寸法CがSDカードSMCの最大厚さよりも小さい値とされ、かつ、寸法Bよりも小に設定されているのでSDカードSMCの先端部がカバー部材10の端部に接触し、従って、SDカードSMCの誤った裏差し挿入が規制されることとなる。
【0076】
上述の例におけるカードスロット40は、側壁端部12TRの真下に形成されSDカードSMCの底面部の端部またはXDカードXMCの両側部を案内する一対の第1の段部12MRと、第1の段部12MRに連なり下方に形成され、互いに内側に向けて突出する一対の第2の段部12NRと、を含んで形成されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、図10に示されるように、カードスロット61が、SDカードSMC、またはMMCカードの両側部を案内する一対の側壁端部62TRと、側壁端部62TRの真下に形成されSDカードSMCの底面部の端部またはXDカードXMCの両側部を案内する一対の段部62NRと、段部62NRの下端から真下に向けて形成される一対の側壁下端部62LRと、カバー部材10と、ベース部材12の底部とにより囲まれて形成されてもよい。また、側壁端部62TRと段部62NRとの間には、溝部62URが形成されてもよい。なお、図1に示される例と同様に、溝部62URを形成する下壁面62Scと、段部62NRを形成する案内面62Sbとは、カードスロット61から上述のカード収容部の第1の部分の底壁に向けて所定の勾配で互いに平行に傾斜している。ベース部材62の底部の下面から溝部62URを形成する下壁面62Scの開口端までの寸法Bは、下壁面62Scからカバー部材10の内面までの寸法Cに比して大となるように設定されている。寸法Cは、SDカードSMCの最大厚さよりも小さい値に設定される。
【0077】
なお、上述の例においては、本発明の一例がSDカード等とXDカードXMCとの組み合わせで装着されるICカードコネクタに対して適用されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、他の種類のICカードとの組み合わせ、例えば、SDカードとメモリスティック(商標)との組み合わせ、あるいは、XDカードXMCとメモリスティックデュオ(商標)との組み合わせで装着されるICカードコネクタに適用されてもよいことは勿論である。
【0078】
図11は、本発明に係るICカードコネクタの他の一例を示す。
【0079】
図11に示されるICカードコネクタは、例えば、プリンタ、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ等の電子機器内の配線基板(不図示)上に配されるものとされる。また、ICカードコネクタには、後述するように、第1のICカードとしてのxD-Picture Card(商標)(以下、XDカードという)、第2のICカードとしてのSDカード、MMCカード(商標)、第3のICカードとしてのメモリスティック(登録商標)等の4種類のICカードがそれぞれ選択的に1枚づつ装着可能とされる。
【0080】
メモリスティックMS(図17参照)は、その横幅が、上述のSDカードSMCの横幅に比べて細く、また、メモリスティックMSの縦方向の長さがSDカードSMCのそれに比べて大なるものとされる。
【0081】
ICカードコネクタは、収容されるメモリスティックMS、SDカードSMC、MMCカード、およびXDカードXMCに対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子等が配列されるベース部材70と、ベース部材70と協働してカード収容部を形成するカバー部材72とを含んで構成されている。
【0082】
図12に示されるように、門形断面形状を有するカバー部材72は、薄板の金属材料で形成されており、その側面の複数の係合孔と、ベース部材70の側壁の各爪部とがそれぞれ係合されることにより、ベース部材70に対し固定されている。
【0083】
ベース部材70におけるカード収容部は、例えば、成形樹脂材料で一体に成形され、図11に示されるように、上方、および、下方の一部と、後述するコンタクト端子固定部側とは反対側の端部とが、開口している。従って、上述のカバー部材72によりベース部材10全体が覆われることにより、カード収容部71の一方の端部に、メモリスティックMS、SDカードSMC、MMCカード、およびXDカードXMCが選択的に挿入される共通の1つのカードスロット71CS(図12参照)がカード挿入口として形成されることとなる。
【0084】
カードスロット71CSは、図12に示されるように、メモリスティックMSの両側部を案内する一対の側壁端部72TRと、SDカードSMC、またはMMCカードの両側部を案内する一対の側壁端部70URと、側壁端部70URの真下に形成されSDカードSMCの底面部の端部またはXDカードXMCの両側部を案内する一対の溝部70MRと、溝部70MRの端に連なり下方に形成され、互いに内側に向けて突出する一対の段部70NRと、カバー部材72と、ベース部材70の底部とにより囲まれて形成されることとなる。
【0085】
溝部70MRを形成する下壁面70Scと、段部70NRを形成する案内面70Sbとは、図14に示されるように、カードスロット71CSから上述のカード収容部71の第1の部分の底壁に向けて所定の勾配で互いに平行に傾斜している。
【0086】
カード収容部71は、カードスロット71CSに最も近い側に形成されXDカードXMCを収容する第1の部分と、第1の部分に一部重複して形成されSDカードSMC、またはMMCカードを収容する第2の部分と、その第1の部分および第2の部分に一部重複して延在し形成されメモリスティックMSを収容する第3の部分とを含んだ複合のカード収容部とされる。
【0087】
即ち、その第1の部分乃至第3の部分は、各カードの着脱方向に沿って一列に一部重複し形成されている。
【0088】
カード収容部71における第1および第2の部分は、カバー部材72と、その両側部をそれぞれ形成する側壁70WR、70WLと、その側壁70WR、70WLを連結する底壁とにより形成されている。また、その第3の部分は、カバー部材72と、上述の側壁70WR、70WL、底壁、および、後述するコンタクト端子固定壁部70WBとにより形成されている。
【0089】
ベース部材70の第3の部分を形成するコンタクト端子固定壁部70WBには、複数のコンタクト端子78ai(i=1〜10)が設けられている。コンタクト端子78aiは、所定の相互間隔で側壁70WR,70WLに対して略平行に配列されている。
【0090】
第3のコンタクト端子群としてのコンタクト端子78aiは、薄板金属材料、例えば、バネ用燐青銅で作られ、弾性を有しメモリスティックMSのコンタクトパッド(電極部)に当接し電気的に接続される接点部と、配線基板の電極部に半田付け固定され電気的に接続される半田付端子部と、その接点部と半田付端子部とを相互に連結し、ベース部材70に固定される固定部とを含んで構成されている。
【0091】
コンタクト端子78aiに隣接した位置には、図14に示されるように、誤ったメモリスティックMSの裏差し挿入がなされた場合、そのメモリスティックMSの先端が突き当てられることにより、裏差し挿入を規制する突起片70Pが設けられている。
【0092】
カード収容部における第1の部分には、複数のコンタクト端子76ai(i=1〜20)が設けられている。コンタクト端子76aiは、所定の相互間隔で側壁70WR,70WLに対して略平行に配列されている。また、コンタクト端子76aiは、上述のコンタクト端子78aiに対し所定距離、離隔して配されている。
【0093】
第1のコンタクト端子群としてのコンタクト端子76aiは、薄板金属材料、例えば、バネ用燐青銅で作られ、弾性を有しXDカードXMCのコンタクトパッド(電極部)に当接し電気的に接続される接点部と、配線基板の電極部に半田付け固定され電気的に接続される半田付端子部と、その接点部と半田付端子部とを相互に連結し、ベース部材10に固定される固定部とを含んで構成されている。
【0094】
コンタクト端子76aiの接点部の底部からの高さは、側壁70WRおよび70WLにおける案内面70Sbと同一の高さ位置またはそれよりも若干低い位置とされる。これにより、第2および第3の部分に収容されるメモリスティックMS、SDカードSMC、またはMMCカードの装着のとき、コンタクト端子76aiの接点部が、案内面70Sbにより案内されるメモリスティックMS、SDカードSMC、またはMMCカードの先端に衝突し損傷する虞がない。
【0095】
複合カード収容部における第2の部分には、複数のコンタクト端子74ai(i=1〜9)が幅方向に互いに略平行に設けられている。コンタクト端子74aiは、上述のコンタクト端子78aiとコンタクト端子76aiとの中間位置に配されている。コンタクト端子74aiの接点部の下方となる位置には、その接点部が通過する開口部がベース部材70の底部に形成されている。
【0096】
第2のコンタクト端子群としてのコンタクト端子74aiは、SDカードSMC、またはMMCカードのコンタクトパッド(電極部)に当接し電気的に接続される弾性変位可能な接点部と、配線基板の電極部に半田付け固定され電気的に接続される半田付端子部と、その接点部と半田付端子部とを相互に連結し、ベース部材70に固定される固定部とを含んで構成されている。薄板金属材料、例えば、バネ用燐青銅で作られるコンタクト端子74aiの固定部は、底部に形成される溝に、SDカードSMC等の挿入方向側から圧入されることにより、ベース部材70に固定されている。その半田付端子部は、上述のコンタクト端子78aiの半田付端子部と一列となるように、コンタクト端子固定壁部70WBから外部に突出している。その接点部の先端は、メモリスティックMS、SDカードSMCが挿入されていない場合、図14に示されるように、メモリスティックMS、SDカードSMCが通過する通路内に突出している。
【0097】
また、各コンタクト端子74aiの接点部の中間部分には、後述するコンタクト押え板80のスリット80ai(i=1〜9)の周縁が係合されている。
【0098】
コンタクト押え板80は、メモリスティックMSが挿入されたとき、メモリスティックMSの先端がコンタクト端子74aiに当接し、コンタクト端子74aiが変形したり、座屈したりすることがないように、コンタクト74aiを保護するための部材である。
【0099】
コンタクト押え板80は、略矩形状をなしており、前方側基端部80F、後方側末端部80R、および複数のコンタクト74aiに対応するスリット80aiを備えている。コンタクト押え板80は、前方基端部80Fの前方端に図11において矢印が示す着脱方向に対し直交する方向に延在する支持軸を介してベース部材70の底壁70B上を前後方向に移動可能に、且つ、底壁70B上で回動可能に支持されている。
【0100】
コンタクト押え板80は、さらに後述するイジェクト機構を構成するイジェクト部材82側に(図11参照)、イジェクト部材82の下方に位置するばね部材支持アーム81を備えている(図15参照)。ばね部材支持アーム81は、コンタクト押え板80と平行に延在し、且つ、後方末端部80Rの途中で一体となるように形成されている。また、ばね部材支持アーム81の後方端には、第2のばね部材87の一端が巻装される支持突起81Sが形成されている(図15参照)。
【0101】
コンタクト押え板80における左側端部であって前方寄りには、側壁70WRに向けて突出するロック用突起80Pが形成されている。ロック用突起80Pは、後述するロック/アンロック金具90の自由端に対応して形成される係合孔94に対し選択的に係合可能、または、離脱可能とされる。
【0102】
第2のばね部材87は、コンタクト押え板80を上述のカードスロット側に向けて付勢するものとされる。第2のばね部材87の他端は、ベース部材70の固定壁70WBから突出する支持突起70Sに巻装されている。
【0103】
第2のばね部材87は、圧縮コイルバネであることが望ましく、後述するイジェクト部材82の下面に形成されている凹部82Rを経由して上述の支持突起70Sまで延在している。
【0104】
コンタクト押え板80が後方に移動され、図14において反時計回り方向に回転したとき、底壁70Bに設けられた段部に係止し得る係止爪が、ばね部材支持アーム81の後方端下面に、形成されてもよい。このように構成することにより、対応するSDカードSMCが装着され、そのコンタクトパッドがコンタクト74aiの接点部に接触しているとき、第2のばね部材87によるコンタクト押え板80の戻りまたはズレを確実に防止できる。
【0105】
コンタクト押え板80は、いずれのICカードも挿入されていない場合、図14に示されるように、ばね部材支持アーム81を介して第2のばね部材87の付勢力により、コンタクト押え板80の前方基端部80Fが、所定位置に形成される底壁70Bに形成されている第1の段部70Eに押し付けられている(コンタクト押え板80の初期位置)。
【0106】
その際、コンタクト押え板80は、前方基端部80Fから後方末端部80Rに向けて傾斜して配置される(コンタクト押え板80の初期の姿勢)。従って、後方末端部80Rは、カード収容空間内に位置する。
【0107】
また、コンタクト押え板80がこの状態にあるとき、コンタクト74aiの接点部は、コンタクト押え板80のスリット80ai内に収容されている。
【0108】
なお、第2のばね部材87が伸縮可能に配置されるイジェクト部材82の凹部82Rの真下に位置するベース部材70の底壁70Bの一部分は、図15に拡大されて示されるように、その固定壁70WBに近い方の一部分が他の部分に比べて第2のばね部材87の近くまで高く形成されることが好ましい。さらに、底壁70Bは、前方に向かうにつれて下に向けて傾斜する傾斜面70Baを設けることが好ましい。傾斜面70Baは、第2のばね部材87の円形状の外周部を案内するように下に凸の円弧面を一部に有する傾斜面であることがより好ましい。
【0109】
このような傾斜面70Baを備えることにより、対応するSDカードSMCの挿入に伴い、第2のばね部材87の付勢力に抗してコンタクト押え板80が後方に向けて移動せしめられるとき、収縮される第2のばね部材87が傾斜面70Baにより案内されるのでコンタクト押え板80が図16において反時計回り方向に回動し、略水平方向に押し倒されることを容易にする。
【0110】
一方、SDカードSMCがICカード用コネクタから取り外される場合、第2のばね部材87の付勢力により、コンタクト押え板80が図16において時計回り方向に回動される。
【0111】
その結果として、第2のばね部材87は、その付勢力(復帰力)によりコンタクト押え板80を初期の姿勢である傾斜状態に戻すとともに、コンタクト押え板80の前方側基端部80Fが底壁70Bの段部70Eに当接するようにコンタクト押え板80を初期位置に戻す。
【0112】
側壁70WRの内側部分には、XDカードXMC、SDカードSMC、MMCカード、または、メモリスティックMSをカード収容部における第1の部分、第2の部分、および第3の部分に保持するとともに、選択的にカード収容部から外部に向けて排出するイジェクト機構が設けられている。
【0113】
イジェクト機構は、図11に示されるように、各ICカードの着脱操作に応じてベース部材70に対し相対的に移動可能に支持され、これらのICカードのうちの一枚のICカードを選択的に保持するイジェクト部材82と、ベース部材70の内周部およびイジェクト部材82の端部相互間に介装され、イジェクト部材82をSDカードSMC等の排出方向に付勢するコイルスプリング88と、SDカードSMC等の着脱操作に応じてイジェクト部材82を選択的にベース部材70に対し保持または解放する制御を行う各ICカード共通のイジェクト部材制御部と、を含んで構成されている。
【0114】
イジェクト部材82は、例えば、樹脂材料で成形され、SDカードSMC等の着脱方向に沿ってベース部材70上に摺動可能に側壁70WRの内周部により支持されている。
【0115】
また、イジェクト部材82は、図13に拡大されて示されるように、挿入されたメモリスティックMSの先端部の一部が係合される当接面82Eを一方の端部に有している。また、イジェクト部材82は、挿入されるXDカードXMCを案内する溝82ga、挿入されるSDカードSMCを案内する溝82gbを他方の端部に有している。溝82gaの一方側には、XDカードXMCの先端部の一部が係合される段差部82aが形成されている。当接面82Eと段差部82aとの間には、挿入されたSDカードSMCの先端部の一部が係合される当接面82bが形成されている。
【0116】
これにより、イジェクト部材82は、メモリスティックMS、XDカードXMC、SDカードSMCの先端部の一部がそれぞれ当接面82E、段差部82a、当接面82bに当接した状態で各ICカードが挿入されるとき、コンタクト端子固定壁部70WBに向かって移動せしめられることとなる。その際、挿入されるSDカードSMC、XDカードXMCは、それぞれ、先端部の一部が段差部82a、当接面82bに当接するのでSDカードSMC、XDカードXMCが誤ってカード収容部における第2の部分および第3の部分への挿入されることが回避されることとなる。
【0117】
イジェクト部材制御部は、イジェクト部材82におけるカバー部材72に対向する上面に一体に形成された略ハート形状のカム要素(ハートカム)82CAと、ハートカム82CAの周囲に形成された複数の段差部からなるレバー案内溝82CMと、一方の端部が側壁70WRの孔に連結され、他方の端部がレバー案内溝82CMに沿って摺動せしめられる略門形状のカムレバー84と、上述のカバー部材72の押えバネ(不図示)とを含んで構成されている。
【0118】
押えバネは、カムレバー84の屈曲された先端をレバー案内溝82CMの案内面に対し摺接するようにカムレバー84を付勢するものとされる。
【0119】
樹脂で成形されるハートカム82CAは、カムレバー84の一端部が選択的に係合する略V字状のカム面を有している。
【0120】
レバー案内溝82CMは、例えば、ハートカム82CAの一方の傍を側壁70WRに沿って直線的に延在する第1の案内溝と、ハートカム82CAの他方の傍を第1の案内溝の途中から分岐するように側壁70WRに向って斜めに延びた後、第1の案内溝に対し平行に延びる第2の案内溝と、そのカム面に対向する第1の案内溝の一端と第2の案内溝の一端との間であってカム面に対向する部分を連結する第3の案内溝とから形成されている。
【0121】
これにより、カムレバー84の一端部が、イジェクト部材82の動作に追従して第1の案内溝、第3の案内溝、および第2の案内溝を順次、経由して案内される場合、イジェクト部材82は、各ICカードを伴って進入状態、保持状態、排出状態が順次とられることとなる。
【0122】
ロック/アンロック金具90は、弾性変形部92、及び、弾性変形部92と略平行に延在する固定部98とを含んでいる。弾性変形部92と固定部98とは略U字状をなすように一体に形成されている。弾性変形部92は、先端部にコンタクト押え板80のロック用突起80Pに係合する係合孔94と、その中間部にカード収容空間に向かって突出する湾曲部96とを有している。
【0123】
ロック/アンロック金具90は、ベース部材70の側壁70WRに固定部98を介して固定されている。ロック/アンロック金具90の弾性変形部92は、図11における矢印Yが示す座標軸方向に弾性変形するばかりでなく、矢印Yに直交するZ軸方向(紙面に垂直方向)にも弾性変形可能に形成されている。このように構成することで、コンタクト押え板80の前後方向のロック状態から解除され、コンタクト押え板80の回転動作を可能とする。
【0124】
従って、ロック/アンロック金具90は、ICカード(本実施例では、メモリスティックMC及びXDカードXMCの場合)が挿入されたとき、コンタクト押え板80を移動および回転不能となるようにロック状態にしている。また、ロック/アンロック金具90は、例えば、SDカードやMMCカードのような中間の大きさで幅の広い第2のICカードがカード収容空間内に挿入されたときのみ、コンタクト押え板80のロック状態を解除するように動作する。
【0125】
斯かる構成において、メモリスティックMSがカードスロット71CSを通じてカード収容空間に挿入される場合、メモリスティックMSの一方の側部は、ロック/アンロック金具90の湾曲部96に当接することがなく、コンタクト押え板80はロック状態のままである。
【0126】
後方に向けて挿入されたメモリスティックMSの先端部は、コンタクト端子76aiの接点部を押し下げつつコンタクト押え板80の前方基端部80Fに当接し、コンタクト押え板80を図14において反時計回り方向に回転させる。コンタクト押え板80の後方末端部80Rが押し下げられることにより、コンタクト端子74aiが後方末端部80Rに当接する。
【0127】
従って、コンタクト端子74aiの接点部も、コンタクト押え板80のスリット80ai内に位置した状態で下方に押し下げられる。これにより、メモリスティックMSは、コンタクト押え板80の上方を通過し、コンタクト端子78aiに到達した後、メモリスティックMSのコンタクトパッドが、対応するコンタクト78aiの接点部に接触する。
【0128】
その際、メモリスティックMSの挿入に伴い、メモリスティックMSの先端は、イジェクト部材82の当接部82Eに当接し、イジェクト部材82を第1のばね部材88の付勢力に抗して後方に移動させる。メモリスティックMSのコンタクトパッドがコンタクト端子78aiの接点部と接触するとき、イジェクト部材82は、カムレバー84の他端がハートカム82CAのカム面に係合することにより、保持状態とされる。
【0129】
次に、SDカードSMCやMMCカードが挿入される場合、挿入されるSDカードSMCの側面にロック/アンロック金具90の湾曲部96が当接する。それにより、ロック/アンロック金具90の弾性変形部92が変形し、その先端部に形成される係合孔94の周縁は、コンタクト押え板80のロック用突起80Pから外れる。即ち、コンタクト押え板80のロック状態が解除される。
【0130】
ロック状態が解除されたコンタクト押え板80は、挿入されるSDカードSMCの先端がその前方基端部80Fに当接することで、第2のばね部材87の付勢力に抗してSDカードSMCの挿入に伴って後方に向け、前進せしめられるとともに、挿入されるSDカードSMCにより図14において反時計回り方向に回動し、押し倒される。
【0131】
それにより、コンタクト押え板80の後方末端部80Rにより拘束されていたコンタクト74aiの接点部がコンタクト74ai自身の弾性力でコンタクト押え板80のスリット80ai内から上方に突出するので挿入されるSDカードSMCのコンタクトパッドにコンタクト74aiの接点部が電気的に接触する。
【0132】
その際、上述したように、コンタクト押え板80のばね部材支持アーム81の後方端に係止爪が形成され、係止爪が底壁70Bに形成されている段部などに係止するように構成されている場合、第2のばね部材87によるコンタクト押え板80の前方への移動が確実に阻止されることとなる。
【0133】
その際、挿入されるSDカードSMCまたはMMCカードの先端の一部が、当接面82bに当接しつつ押し込まれることにより、メモリスティックの場合と同様、イジェクト部材82が第1のばね部材88の付勢力に抗して後方に移動せしめられる。また、SDカードまたはMMCカードのコンタクトパッドが、コンタクト74aiの接点部と接触するとき、イジェクト部材82は、カムレバー84の他端がハートカム82CAのカム面に係合し、保持される。
【0134】
最も小さなICカードであるXDカードXMCが挿入される場合、図14においてカードスロット71CSを通じて挿入され、二点鎖線で示されるように、下壁面70Scにより斜めに案内挿入されたXDカードXMCの先端は、そのまま後方に移動し、XDカードXMCのコンタクトパッドは、最も手前に配置されるコンタクト76aiの接点部に接触する。
【0135】
その際、SDカードまたはMMCカードの場合と同様、挿入されるXDカードXMCの先端の一部が、段差部82aに当接し、イジェクト部材82が第1のばね部材88の付勢力に抗して後方に移動せしめられる。そして、XDカードXMCのコンタクトパッドがコンタクト端子76aiの接点部と接触するとき、イジェクト部材82は、カムレバー84の他端がハートカム82CAのカム面に係合し、保持される。
【0136】
一方、装着されているICカードが取り外される場合、装着されているICカードが若干後方に向けて押し込まれることにより、カムレバー84の一端とハートカム82CAのカム面との係合が非係合状態とされる。それにより、イジェクト部材82が第1のばね部材88の付勢力(復帰力)により元の位置に戻される。結果として、イジェクト部材82の当接部または段差部にその先端が当接しているICカードは、カードスロット71CSを通じて排出される。また、図14に示されるように、コンタクト押え板80も第2のばね部材87の付勢力(復帰力)により当初の姿勢である傾斜状態になるとともに初期位置に戻される。
【0137】
SDカードSMCまたはMMCカードが装着された状態において、装着されたICカードが無理抜きされた場合について説明する。
【0138】
図16に示されるように、SDカードSMCが装着されているとき、第2のばね部材87は、コンタクト押え板80の後方への移動により、圧縮される。さらに、第2のばね部材87のコンタクト押え板80側の端部は、図15に示されるように、コンタクト押え板80の回動により、ベース部材70の底壁70Bの傾斜面70Baに沿って傾斜している。言い換えると、図16の状態にある第2のばね部材87は、元の水平状態に復帰すべく、支持突起70S及びばね部材支持アーム81を介して、底壁70Bに沿って略水平に倒れているコンタクト押え板80を、前方及び上方に向けて付勢している。
【0139】
この状態において、図17に二点鎖線で示されるように、SDカードSMCが無理矢理手動によりカードスロット71CSを通じて引き抜かれたとするならば、コンタクト押え板80が第2のばね部材87の復帰力に抗してSDカードSMCによって水平に押さえつけている力から解放されることになる。
【0140】
従って、第2のばね部材87により上方及び前方に向けて付勢されているコンタクト押え板80は、図17に示されるように、当初の姿勢である傾斜状態にされ、スリット80ai内にコンタクト74aiの接点部を収容しながら、元の位置に戻される。その際、イジェクト部材82は、イジェクト機構が動作しているので、保持されたままである。
【0141】
以上説明したように、カード収容空間からSDカードSMCを無理抜きした場合であっても、イジェクト部材82の位置に関わらず、コンタクト押え板80は、当初の姿勢である傾斜した状態に、且つ前方の所定位置に戻される。従って、コンタクト端子74aiがカード収容空間に突出することがないので、再度,いずれのICカードが挿入されても、ICカードの先端がコンタクト74ai、特に,その接点部に当接し、コンタクト74aiを変形または座屈させる虞がない。
【0142】
さらに、仮に、SDカードSMCが誤って裏差し挿入される場合、即ち、SDカードSMCの複数のコンタクトパッドが形成される一方の表面部がカバー部材72の内面に対向する状態で、SDカードSMCの先端部がカードスロット71CSを通じて上述のカード収容部内における第1の部分を介して第2の部分に挿入される場合、図12に二点鎖線で示されるように、SDカードSMCが下壁面70Scにより傾斜した状態で案内されることにより、その先端部がカバー部材72の開口端に当接し、従って、SDカードSMCの誤った裏差し挿入が規制されることとなる。
【0143】
また、図14に二点鎖線で示されるように、仮に、メモリスティックMSが誤って裏差し挿入される場合、メモリスティックMSの先端部が、上述の突起片70Pに突き当たることにより、メモリスティックMSの誤った裏差し挿入が規制されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明に係るICカードコネクタの一例のカードスロットを示す正面図である。
【図2】本発明に係るICカードコネクタの一例の外観を示す平面図である。
【図3】図2に示される例における断面図である。
【図4】図2に示される例においてカバー部材を外した状態で示す平面図である。
【図5】図4において、イジェクト機構を取り外した状態で示す平面図である。
【図6】図2に示される例においてSDカードの装着動作の説明に供される平面図である。
【図7】図2に示される例においてXDカードの装着動作の説明に供される平面図である。
【図8】図2に示される例において、裏差しされた状態のSDカードの装着動作の説明に供される正面図である。
【図9】図2に示される例においてXDカードの装着動作の説明に供される断面図である。
【図10】本発明に係るICカードコネクタの一例に用いられる他のベース部材のカードスロット一例を示す正面図である。
【図11】本発明に係るICカードコネクタの他の一例を示す平面図である。
【図12】図11に示される例におけるカードスロットを示す正面図である。
【図13】図11に示される例において用いられるイジェクト部材を概略的に示す斜視図である。
【図14】図11に示される例における断面図である。
【図15】図11に示される例における要部を拡大して示す部分断面図である。
【図16】図11に示される例における動作説明に供される断面図である。
【図17】図11に示される例における動作説明に供される断面図である。
【符号の説明】
【0145】
12 ベース部材
16ai,18ai コンタクト端子
20,36 イジェクト部材
40、61 カードスロット
44,48 ガイドブロック
46,50 ロックばね
54 ガイドリターンばね
SMC SDカード
XMC XDカード
MS メモリスティック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状が互いに異なる2種類のICカードが選択的に着脱可能な共通のカードスロットを有するとともに、該2種類のICカードの電極部を電気的に接続する複数のコンタクト端子群を有し、該ICカードを収容するICカード収容部と、
前記異なる種類のICカードごとの着脱に応じて該ICカードの進行端が正規のコンタクト端子群に向かうように該ICカードを誘導するカード誘導部材の位置制御を行う位置制御機構部と、を備え、
前記カードスロットにおける前記2種類のICカードのうちの幅の狭い第1のICカードが通過する部分の該第1のICカードの厚さ方向の寸法が、該第1のICカードの裏差しを規制するように前記2種類のICカードのうちの幅の広い第2のICカードが通過する部分の該第2のICカードの厚さ方向の寸法に比して小に設定されることを特徴とするICカードコネクタ。
【請求項2】
前記カードスロットにおける第2のICカードが通過する部分を形成する内周面は、前記ICカード収容部内に形成され該第2のICカードを案内する傾斜面に連なっていることを特徴とする請求項1記載のICカードコネクタ。
【請求項3】
前記第2のICカードの電極部を電気的に接続する複数のコンタクト端子群の位置が、前記第1のICカードの電極部を電気的に接続する複数のコンタクト端子群の位置よりも前記カードスロットに近いことを特徴とする請求項1記載のICカードコネクタ。
【請求項4】
前記ICカード収容部を形成する側壁部に、前記ICカードの着脱方向に沿って回動可能に設けられ、前記2種類のICカードのうちの一方のICカードが前記カードスロットを通じて前記ICカード収容部に装着されるとき、該ICカードの進行端が一方のコンタクト端子群に向かうように該ICカードにおける前記側壁部に対向する部分を誘導する第1の位置の状態をとり、前記2種類のICカードのうちの他方のICカードが前記カードスロットを通じて該ICカード収容部に装着されるとき、該ICカードの進行端が他方のコンタクト端子群に向かうように前記側壁部に対向する部分を誘導する第2の位置の状態をとるカード誘導部材と、
前記異なる種類のICカードごとの着脱に応じて前記カード誘導部材に前記第1の位置または第2の位置をとらせる位置制御機構部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のICカードコネクタ。
【請求項5】
前記位置制御機構部は、前記カード誘導部材の一方の端部に選択的に係合し該カード誘導部材を前記第1の位置にロック状態とし、または該カード誘導部材の一方の端部から離隔し該カード誘導部材をアンロック状態とするロックばねと、該カード誘導部材の他方の端部に係合し該カード誘導部材を前記第1の位置に戻すように一方向に付勢するガイドリターンばねと、を含んでなることを特徴とする請求項4記載のICカードコネクタ。
【請求項6】
前記形状が互いに異なる2種類のICカードのうちの少なくとも一方を選択的に前記
ICカード収容部から排出するイジェクト機構部をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のICカードコネクタ。
【請求項7】
前記ガイドリターンばねは、前記ICカード収容部を形成する側壁部の溝部の下に形成される凹部内に配されていることを特徴とする請求項5記載のICカードコネクタ。
【請求項8】
共通のカード挿入口を介して形状が互いに異なる複数のICカードのうちの一枚の第1のICカードを着脱可能に収容する第1の部分と、該第1の部分よりもカード挿入口から離隔した位置に一部重複して一列状に形成され第2のICカードを収容する第2の部分と、第1の部分および第2の部分よりもさらに該カード挿入口から離隔した位置に一部重複し一列状に形成され第3のICカードを収容する第3の部分とからなる複合カード収容部と、
前記ICカードの着脱方向に沿って前記第1の部分、第2の部分、および、第3の部分に対応して順次配され、前記第1のICカード、第2のICカード、第3のICカードについてそれぞれ電気的接続を行う第1のコンタクト端子群、第2のコンタクト端子群、および、第3のコンタクト端子群と、
前記第1のコンタクト端子群と前記第2のコンタクト端子群との中間に摺動および回動可能に配され、前記第2のICカード、または第3のICカードの着脱操作に応じて該第2のコンタクト端子群の接点群を所定位置まで押し下げ、あるいは、該接点群を該所定位置から解放するコンタクト押え板と、を備え、
前記カード挿入口を形成するとともに通過する前記第2のICカードを案内する壁面が、該第2のICカードの裏差しの挿入を規制するように傾斜面であることを特徴とするICカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−242297(P2007−242297A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59991(P2006−59991)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】