説明

ICカード用コネクタ

【課題】コンタクト端子が、リフロー半田付けにより、配線基板の導電層に対して固定される場合、ベース部材における長手方向および幅方向の反りを配線基板に対し抑制できること。
【解決手段】インサート成形されるベース部材10において、一方のコンタクト端子14aiの可動片支持部14Dにおける凹部14rには、隣接する他方のコンタクト端子14aiにおける対応する凸部14dが、所定の隙間Gaをもって挿入されるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着されるICカードと配線基板とを電気的に接続するICカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
SIMカード等のICカードが装着されるICカード用コネクタは、例えば、特許文献1にも示されるように、電子機器内の配線基板上に配される。ICカード用コネクタは、ICカードと配線基板とを電気的に接続するコンタクト端子群をカード収容部内に備えている。そのようなコンタクト端子群を構成する各コンタクト端子は、薄板金属材料で作られ、後述の固定端子部でコネクタにおける樹脂製のベース部材に支持されている。各コンタクト端子における固定端子部の一端は、カード収容部のカード挿入口またはそのカード挿入口に対向するカード収容部を形成する後壁から外部に向けて突出している。
【0003】
各コンタクト端子は、ICカードのコンタクトパッドに当接する接点部を有し弾性変位可能とされる可動片部と、その可動片部に連なりカード収容部を形成するベース部材に固定される固定端子部とを含んで構成されている。上述したように、外部に向けて突出する固定端子部の一端は、例えば、配線基板の導電層に対して半田付け固定される。
【0004】
ICカード用コネクタは比較的小型化された携帯電話機等の電子機器の内部に実装される場合、さらなる低背化が要望されるので使用されるコンタクト端子の薄板金属材料の板厚およびベース部材の底部の板厚が、より薄くなり、例えば、ベース部材の底部の板厚が1mm以下となることが要望される場合がある。
【0005】
また、上述のような薄いベース部材の場合、ベース部材が容易に折れ曲がることを防止すべく、例えば、特許文献2にも示されるように、長手方向に延びるベース部材(特許文献2においては、インシュレータと呼称される)をインサート成形するにあたり、そのベース部材に固定される各コンタクトの端子部の半田付け部が、ベース部材の長手方向に沿った両側部から突出するように配置されるものが提案されている。これにより、ベース部材の折れ曲がりが防止されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−097947号公報
【特許文献2】特開2003−331956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようなベース部材に固定される固定端子部の一端が、例えば、リフロー半田付けにより、配線基板の導電層に対して固定される。このとき、溶融した半田の熱に起因した熱応力が樹脂製のベース部材に作用することによって、ベース部材が配線基板に対しその長手方向に対し直交する幅方向にも不所望に反る場合がある。これにより、ベース部材に要求される所定の平面度以上に反った場合、固定端子部の一端が、配線基板の導電層に対して固定されない虞がある。また、各コンタクト端子の接点部がICカードのコンタクトパッドに対し確実に当接しないことにより、ICカードと電子機器との電気的接続が不安定となる虞がある。
【0008】
このような場合、上述の特許文献2にも示されるように、そのベース部材に固定される各コンタクトの端子部の半田付け部が、ベース部材の長手方向に沿った両側部から突出するように配置されるとき、ベース部材におけるその長手方向に対し直交する幅方向の反りが、その剛性が十分でないので回避できない虞がある。
【0009】
以上の問題点を考慮し、本発明は、装着されるICカードと配線基板とを電気的に接続するICカード用コネクタであって、コンタクト端子が、リフロー半田付けにより、配線基板の導電層に対して固定される場合、ベース部材における長手方向および幅方向の反りを配線基板に対し抑制できるICカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、本発明に係るICカード用コネクタは、ICカードが着脱可能に収容されるカード収容部と、ICカードの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、可動片部の端部に連なりカード収容部を形成する底部の内部に一体化される可動片支持部と、外部に突出する半田付け端子部を有し可動片支持部に連なり底部の内部を通じてICカードの着脱方向に沿って延在する連結端部と、をそれぞれ、有する複数のコンタクト端子とを備え、複数のコンタクト端子は、互いに平行に配され、コンタクト端子の可動片支持部は、ICカードの着脱方向に対し直交する方向に延びる凸部および凹部を相対向して有し、隣接する一方のコンタクト端子の凸部が隣接する他方のコンタクト端子の凹部内に所定の隙間をもって挿入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るICカード用コネクタによれば、外部に突出する半田付け端子部を有し可動片支持部に連なり底部の内部を通じてICカードの着脱方向に沿って延在する連結端部をそれぞれ、有する複数のコンタクト端子は、互いに平行に配され、コンタクト端子の可動片支持部は、ICカードの着脱方向に対し直交する方向に延びる凸部および凹部を相対向して有し、隣接する一方のコンタクト端子の凸部が隣接する他方のコンタクト端子の凹部内に所定の隙間をもって挿入されるのでコンタクト端子の半田付け端子部が、リフロー半田付けにより、配線基板の導電層に対して固定される場合、ベース部材における長手方向および幅方向の反りを配線基板に対し抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るICカード用コネクタの一例を配線基板とともに概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示される一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】図1に示される例に用いられるコンタクト端子群を示す斜視図である。
【図4】図1に示される例に用いられるコンタクト端子群の他の一例を示す斜視図である。
【図5】図1に示される例に用いられるコンタクト端子群のさらなる他の一例を示す斜視図である。
【図6】図1に示される例に用いられるコンタクト端子群のさらなる他の一例の要部を部分的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明に係るICカード用コネクタの一例の外観を示す。
【0014】
図1に示されるICカード用コネクタは、例えば、そのカード収容部10Aに着脱可能に収容されるICカードとしてのメモリカードSCの電極部と所定の電子機器の内部に配される配線基板の接続端子部とを電気的に接続するものとされる。ICカード用コネクタは、例えば、携帯電話機、電話機、PDA、カメラ等の電子機器の内部に配されるものとされる。薄板状のメモリカードSCは、例えば、SIMカードとされ、後述されるコンタクト端子の配列に対応して6個の電極パッドが一方の表面部に形成されている。
【0015】
ICカード用コネクタは、収容されるメモリカードSCに対する電気的接続を行う複数のコンタクト端子が配列されるベース部材10を含んで構成されている。
【0016】
メモリカードSCの収容室は、ICカード用コネクタが配される電子機器の筐体(不図示)の内周部とベース部材10とによって形成される。即ち、ベース部材10が、その筐体の内周部により覆われることとなる。なお、筐体の内周部に限らず、ベース部材10を覆うカバー部材とベース部材10とによって収容室を形成しても良い。
【0017】
カード収容部10Aの一方の端部には、図1に示されるように、矢印の示す方向に沿って着脱されるメモリカードSCが通過する開口部(以下、カードスロットともいう)10Sが形成されている。また、カード収容部10Aの他方の端部には、その開口部10Sに対向して切欠部10Kが形成されている。
【0018】
ベース部材10の底部10Bの中央部には、所定の間隔で配される二つの矩形の開口部10aおよび10bが3列、形成されている。開口部10aおよび10bは、側壁10RWおよび10LWに対して略平行に細長く形成されている。各同一列の開口部10aおよび10bは、共通の直線上に形成されている。同一列における各開口部10aおよび10bは、図1に示されるように、その中間に形成される隔壁により仕切られている。また、隣接する列における開口部10aおよび10bは、仕切り壁により仕切られている。
【0019】
樹脂で成形されるベース部材10には、コンタクト端子14aiおよび16ai(i=1〜3)が上述の各開口部10aおよび10bに対応してインサート成形により配設されている。コンタクト端子14aiおよび16aiは、装着されるメモリカードSCの電極パッドに当接しメモリカードSCと配線基板PBとを電気的に接続するものとされる。
【0020】
各コンタクト端子14aiは、図3に拡大されて示されるように、薄板金属材料でプレス加工によって作られる。コンタクト端子14aiは、上述のメモリカードSCの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部14bcを有する可動片部14Bと、配線基板PBの導電層に半田付け固定される半田付端子部14sfを有する後端部14Fと、可動片部14Bに連なる可動片支持部14Dと、可動片支持部14Dと後端部14Fとを連結する連結部14Cとを含んで構成されている。
【0021】
弾性変位可能な可動片部14B、および、半田付端子部14sfは、それぞれ、ベース部材10の底部から突出している。可動片支持部14D、連結部14C、および、後端部14Fの一部は、それぞれ、ベース部材10の底部の内部に鋳込まれている。また、半田付端子部14sfは、切欠部10Kを介してカードスロット側とは逆方向となるように外部に向けて突出している。これにより、半田がベース部材10におけるカードスロット周縁に付着することがないのでメモリカードSCの着脱において半田によって支障が生じる虞がない。
【0022】
可動片部14Bは、その先端部に湾曲状の接点部14bcを有している。接点部14bcは、挿入されたメモリカードSCの電極パッドの配置に対応して形成されている。可動片支持部14Dは、ベース部材10においてカードスロットの一部を形成する底部の端面に対し略平行に延びるように形成されている。可動片支持部14Dにおける可動片部14Bの端部が連結される部分には、凹部(切欠部)14rが形成されている。また、可動片支持部14Dにおける連結部14Cの一端部が連結される部分には、凹部14rが形成される共通の端面に、凹部14rと向き合って凸部14dが形成されている。凹部14rには、図2に拡大されて示されるように、隣接するコンタクト端子14aiにおける対応する凸部14dが、所定の隙間Gaをもって挿入されている。隙間Gaは、コンタクト端子14aiの板厚に応じて設定されている。
【0023】
これにより、隣接したコンタクト端子14ai相互間において、凸部14dおよび凹部14rによって形成される重複部分がベース部材10に補強金具を鋳込んだ場合と同様な効果を奏するのでインサート成形されるベース部材10においてカードスロットの一部を形成する底部の端部の曲げ剛性が高められる。従って、ベース部材10は、各コンタクト端子14aiの配列方向、即ち、図1における直交座標のX座標軸に沿った方向において、熱応力に起因したZ座標軸方向の撓みが抑制される。なお、図1における直交座標の座標軸Yは、ベース部材10の側壁10LWおよび10RWに対し平行に設定されている。
【0024】
図3において、可動片支持部14Dの端面から後端部14Fの折り曲げ部までの距離Laは、図1に示されるように、ベース部材10の底部10BのY座標軸に沿った長さLa´に等しく設定されている。また、連結部14Cは、上述のY座標軸方向に沿って延びている。その際、連結部14Cと後端部14Fとにより、連結端部が形成されることとなる。
【0025】
これにより、ベース部材10は、図1における直交座標のY座標軸に沿った方向において、熱応力に起因したZ座標軸方向の撓みが抑制される。
【0026】
各コンタクト端子16aiは、図3に拡大されて示されるように、薄板金属材料でプレス加工によって作られる。各コンタクト端子16aiは、上述のメモリカードSCの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部16bcを有する可動片部16Bと、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部16sfを有する後端部16Fと、可動片部16Bに連なる可動片支持部と後端部16Fとを連結する連結部16Cとを含んで構成されている。
【0027】
可動片部16Bは、その先端部に湾曲状の接点部16bcを有している。接点部16bcは、挿入されたメモリカードSCの電極パッドの配置に対応して形成されている。その可動片支持部は、突起部16eを一端に有している。上述のY座標軸方向に延びる連結部16Cは、隣接するコンタクト端子14aiの連結部14Cに対し略平行に配置されている。
【0028】
可動片部16B、および、半田付端子部16sfは、それぞれ、ベース部材10の底部から突出している。可動片支持部、連結部16C、および、後端部16Fの一部は、それぞれ、ベース部材10の底部の内部に鋳込まれている。
【0029】
図4は、本発明に係るICカード用コネクタの一例に用いられるコンタクト端子の他の一例を示す。
【0030】
図3に示される例においては、隣接するコンタクト端子14aiが、互いに同一形状とされ、その凹部14rには、隣接するコンタクト端子14aiにおける対応する凸部14dが、所定の隙間Gaをもって挿入される構成とされる。一方、図4に示される例においては、隣接するコンタクト端子18aiおよびコンタクト端子20aiが、互いに異なる形状とされ、コンタクト端子20aiの両脇に設けられる各コンタクト端子18aiの凹部18rには、それぞれ、コンタクト端子20aiにおける対応する凸部20dが、それぞれ、所定の隙間をもって挿入されるものとされる。
【0031】
なお、図4において示される例および後述する他の一例においては、図3に示される例における構成要素と同一とされる構成要素について同一の符号を付して、その重複説明を省略する。
【0032】
コンタクト端子群は、ベース部材10の各開口部10aに対応して配されるコンタクト端子18aiおよびコンタクト端子20ai(i=1〜3)と、各開口部10bに対応して配されるコンタクト端子16ai(i=1〜3)とを含んで構成されている。
【0033】
各コンタクト端子18aiは、薄板金属材料でプレス加工によって作られる。コンタクト端子18aiは、上述のメモリカードSCの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部18bcを有する可動片部18B1と、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部18sf1を有する後端部18F1と、可動片部18B1に連なる可動片支持部18Dと、可動片支持部18Dと後端部18F1とを連結する連結部18C1とを含んで構成されている。
【0034】
弾性変位可能な可動片部18B1、および、半田付端子部18sf1は、それぞれ、ベース部材10の底部から突出している。可動片支持部18D、連結部18C1、および、後端部18F1の一部は、それぞれ、ベース部材10の底部の内部に鋳込まれている。また、半田付端子部18sf1は、切欠部10Kを介してカードスロット側とは逆方向となるように外部に向けて突出している。
【0035】
可動片部18B1は、その先端部に湾曲状の接点部18bcを有している。可動片支持部18Dは、ベース部材10においてカードスロットの一部を形成する底部の端面に対し略平行に延びるように形成されている。可動片支持部18Dにおける可動片部18B1の端部が連結される部分には、凹部(切欠部)18rが形成されている。また、可動片支持部18Dにおける連結部18C1の一端部が連結される部分にも、凹部18rが形成される共通の端面に、凹部18rと向き合って同様な形状の凹部18rが形成されている。二つの凹部18r相互間には、突起部18dが形成されている。
【0036】
各凹部18rには、図4に示されるように、後述する隣接するコンタクト端子20aiにおける対応する凸部20dが、それぞれ、所定の隙間をもって挿入されている。その隙間は、コンタクト端子18aiおよび20aiの板厚に応じて設定されている。
【0037】
これにより、隣接したコンタクト端子20aiおよびコンタクト端子18ai相互間において、後述する一対の凸部20dおよび凹部18rによって形成される重複部分がベース部材10に補強金具を鋳込んだ場合と同様な効果を奏するのでインサート成形されるベース部材10においてカードスロットの一部を形成する底部の端部の曲げ剛性が高められる。従って、ベース部材10は、各コンタクト端子18aiの配列方向、即ち、図1における直交座標のX座標軸に沿った方向において、熱応力に起因したZ座標軸方向の撓みが抑制される。
【0038】
図4において、連結部18C1は、図1に示されるY座標軸方向に沿って延びている。これにより、ベース部材10は、図1における直交座標のY座標軸に沿った方向において、熱応力に起因したZ座標軸方向の撓みが抑制される。
【0039】
コンタクト端子20aiは、その両脇に一列に配されるコンタクト端子18aiおよび16aiに対して隣接している。コンタクト端子20aiにおいて、可動片部20B1、および、半田付端子部20sf1は、それぞれ、ベース部材10の底部から突出している。可動片支持部、連結部20C1、および、後端部20F1の一部は、それぞれ、ベース部材10の底部の内部に鋳込まれている。また、半田付端子部20sf1は、切欠部10Kを介してカードスロット側とは逆方向となるように外部に向けて突出している。
【0040】
弾性変位可能な可動片部20B1は、その先端部に湾曲状の接点部20bcを有している。可動片支持部20Dは、ベース部材10においてカードスロットの一部を形成する底部の端面に対し略平行に延びるように形成されている。可動片支持部20Dにおける可動片部20B1の端部が連結される部分には、凸部20dが形成されている。
【0041】
可動片支持部20Dにおける可動片部20C1の端部が連結される部分にも、凸部20dが形成されている。相対向して形成される一対の凸部20dは、それぞれ、その両脇に隣接する各コンタクト端子18aiの凹部18r内に所定の隙間をもって挿入されている。従って、斯かる例においても、上述した曲げ剛性が高められ、かつ、熱応力に起因したZ座標軸方向の撓みが抑制される。
【0042】
図5は、本発明に係るICカード用コネクタの一例に用いられるコンタクト端子のさらなる他の一例を示す。
【0043】
図3に示される例においては、隣接するコンタクト端子14aiが、互いに同一形状とされ、凸部14dおよび凹部14rが、可動片支持部14Dの平坦面と共通の平面上に形成されている。一方、図5に示される例においては、隣接するコンタクト端子24aiが、互いに同一形状とされ、相対向して形成される凸部24dおよび凹部24rが、可動片支持部24Dの平坦面に対し直交する屈曲面に形成されるものとされる。
【0044】
ベース部材10における各開口部10aに対応して配される各コンタクト端子24aiは、図5に示されるように、薄板金属材料でプレス加工によって作られる。コンタクト端子24aiは、上述のメモリカードSCの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部24bcを有する可動片部24Bと、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部24sfを有する後端部24Fと、可動片部24Bに連なる可動片支持部24Dと、可動片支持部24Dと後端部24Fとを連結する連結部24Cとを含んで構成されている。
【0045】
弾性変位可能な可動片部24B、および、半田付端子部24sfは、それぞれ、ベース部材10の底部から突出している。可動片支持部24D、連結部24C、および、後端部24Fの一部は、それぞれ、ベース部材10の底部の内部に鋳込まれている。また、半田付端子部24sfは、切欠部10Kを介してカードスロット側とは逆方向となるように外部に向けて突出している。弾性変位可能な可動片部24Bは、その先端部に湾曲状の接点部24bcを有している。
【0046】
可動片支持部24Dは、ベース部材10においてカードスロットの一部を形成する底部の端面に対し略平行に延びるように形成されている。可動片支持部24Dは、可動片部24Bの端部が連結される平坦面の端部が上述のZ座標軸方向に折り曲げられて形成される屈曲面を有している。また、その屈曲面において、可動片支持部24Dにおける可動片部24Bの端部が連結される側には、凹部(切欠部)24rが形成されている。また、その屈曲面における連結部24Cの一端部が連結される側には、凹部24rに向かい合って凸部24dが形成されている。凹部24rには、隣接するコンタクト端子24aiにおける対応する凸部24dが、所定の隙間をもって挿入されている。隙間は、コンタクト端子24aiの板厚に応じて設定されている。
【0047】
これにより、上述の例と同様に、ベース部材10においてカードスロットの一部を形成する底部の端部の曲げ剛性が高められる。また、図3に示される例に比べてベース部材10における上述のY座標軸方向の長さの縮小化が図られる。
【0048】
従って、ベース部材10は、各コンタクト端子24aiの配列方向、即ち、図1に示されるX座標軸に沿った方向において、熱応力に起因したZ座標軸方向の撓みが抑制される。
【0049】
また、連結部24Cは、上述のY座標軸方向に沿って延びている。これにより、ベース部材10は、図1に示されるY座標軸に沿った方向において、熱応力に起因したZ座標軸方向の撓みが抑制される。
【0050】
上述の図3、図4、および、図5にそれぞれ示されるコンタクト端子14ai,18ai,20ai,24aiは、隣接したコンタクト端子相互間において、凸部および凹部によって形成される重複部分が、その可動片支持部のみに形成されている。なお、斯かる例に限られることなく、図6に部分的に示されるように、そのような重複部分が、加えて、コンタクト端子28aiの後端部28Fと隣接する他の列におけるコンタクト端子30aiの後端部30Fとの相互間においても、形成されてもよい。
【0051】
図6において、コンタクト端子28aiは、ベース部材10における各開口部10aに対応して配されるものとされる。また、コンタクト端子30aiは、ベース部材10における各開口部10bに対応して配されるものとされる。
【0052】
コンタクト端子28aiは、薄板金属材料でプレス加工によって作られ,上述のメモリカードSCの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部28sfを有する後端部28Fと、可動片部に連なる可動片支持部と、可動片支持部と後端部28Fとを連結する連結部28Cとを含んで構成されている。
【0053】
なお、図示が省略される可動片部および可動片支持部は、それぞれ、例えば、図3、図4、および、図5に示される例のうちのいずれかの可動片部および可動片支持部と同様な構成を有するものであってもよい。
【0054】
連結部28Cは、上述のY座標軸方向に沿って延びている。連結部28Cにおける後端部28F近傍には、凸部28Pが、連結部28Cの軸線方向に対し略垂直方向に所定長さだけ側壁10RWに向かって突出するように形成されている。凸部28Pは、他の列において隣接するコンタクト端子30aiの凹部30r内に所定の隙間をもって挿入される。
【0055】
これにより、隣接したコンタクト端子28aiおよび30ai相互間において、凸部28Pおよび凹部30rによって形成される重複部分がベース部材10に補強金具を鋳込んだ場合と同様な効果を奏するのでインサート成形されるベース部材10において切欠部10K近傍を形成する底部の曲げ剛性も高められる。また、同時に、ベース部材10は、図1に示されるY座標軸に沿った方向において、連結部28Cにより、熱応力に起因したZ座標軸方向の撓みが抑制される。
【0056】
ベース部材10の各開口部10bに対応して配される各コンタクト端子30aiは、図6に示されるように、薄板金属材料でプレス加工によって作られる。コンタクト端子30aiは上述のメモリカードSCの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部30bcを有する可動片部30Bと、配線基板の導電層に半田付け固定される半田付端子部30sfを有する後端部30Fと、可動片部30Bに連なる可動片支持部と後端部30Fとを連結する連結部30Cとを含んで構成されている。
【0057】
弾性変位可能な可動片部30Bは、その先端部に湾曲状の接点部30bcを有している。その可動片支持部は、突起部30eを一端に有している。上述のY座標軸方向に延びる連結部30Cは、隣接するコンタクト端子28aiの連結部28Cに対し略平行に配置されている。後端部30Fと連結部30Cの端部との結合部には、隣接する他の列におけるコンタクト端子28aiの凸部28Pが挿入される凹部30rが形成されている。
【0058】
可動片部30B、および、半田付端子部30sfは、それぞれ、ベース部材10の底部から突出している。可動片支持部、連結部30C、および、後端部30Fの一部は、それぞれ、ベース部材10の底部の内部に鋳込まれている。また、半田付端子部30sfは、切欠部10Kを介してカードスロット側とは逆方向となるように外部に向けて突出している。
【0059】
なお、上述の図1に示される例において、必要ならば、ベース部材10のインサート成形において、図1に示されるように、帯状の補強金具12が、コンタクト端子14aiと側壁10RWの内周部との間、または、コンタクト端子14aiと側壁10LWの内周部との間にさらに設けられてインサート成形されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 ベース部材
10B 底部
14ai,16ai,18ai,20ai, コンタクト端子
24ai,28ai,30ai コンタクト端子
14d、20d、24d、28P 凸部
14r、18r、24r、30r 凹部
SC メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードが着脱可能に収容されるカード収容部と、
前記ICカードの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、該可動片部の端部に連なり前記カード収容部を形成する底部の内部に一体化される可動片支持部と、外部に突出する半田付け端子部を有し該可動片支持部に連なり該底部の内部を通じて前記ICカードの着脱方向に沿って延在する連結端部と、をそれぞれ、有する複数のコンタクト端子とを備え、
前記複数のコンタクト端子は、互いに平行に配され、該コンタクト端子の可動片支持部は、前記ICカードの着脱方向に対し直交する方向に延びる凸部および凹部を相対向して有し、隣接する一方のコンタクト端子の凸部が隣接する他方のコンタクト端子の凹部内に所定の隙間をもって挿入されることを特徴とするICカード用コネクタ。
【請求項2】
ICカードが着脱可能に収容されるカード収容部と、
前記ICカードの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、該可動片部の端部に連なり前記カード収容部を形成する底部の内部に一体化される可動片支持部と、外部に突出する半田付け端子部を有し該可動片支持部に連なり該底部の内部を通じて前記ICカードの着脱方向に沿って延在する連結端部と、を有する第1のコンタクト端子と、
前記第1のコンタクト端子に対し一列に配され、前記ICカードの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、該可動片部の端部に連なり前記カード収容部を形成する底部の内部に一体化される可動片支持部と、外部に突出する半田付け端子部を有し該可動片支持部に連なり該底部の内部を通じて前記ICカードの着脱方向に沿って延在する連結端部と、を有する第2のコンタクト端子と、を備え、
前記第1のコンタクト端子の連結端部と前記第2のコンタクト端子の連結端部とが隣接して互いに平行に配され、該第1のコンタクト端子の連結端部が、前記ICカードの着脱方向に対し直交する方向に延びる凸部を有し、該第2のコンタクト端子の連結端部が、該第1のコンタクト端子の凸部が所定の隙間をもって挿入される凹部を有することを特徴とするICカード用コネクタ。
【請求項3】
ICカードが着脱可能に収容されるカード収容部と、
前記ICカードの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、該可動片部の端部に連なり前記カード収容部を形成する底部の内部に一体化される可動片支持部と、外部に突出する半田付け端子部を有し該可動片支持部に連なり該底部の内部を通じて前記ICカードの着脱方向に沿って延在する連結端部と、を有する一対の第1のコンタクト端子と、
前記一対の第1のコンタクト端子の相互間において、互いに平行に配され、前記ICカードの電極パッドに当接し電気的に接続される接点部を有する可動片部と、該可動片部の端部に連なり前記カード収容部を形成する底部の内部に一体化される可動片支持部と、外部に突出する半田付け端子部を有し該可動片支持部に連なり該底部の内部を通じて前記ICカードの着脱方向に沿って延在する連結端部と、を有する第2のコンタクト端子と、を備え、
該第2のコンタクト端子の可動片支持部が、前記ICカードの着脱方向に対し直交する方向であって前記第1のコンタクト端子に向けて延びる一対の凸部を有し、前記一対の第1のコンタクト端子の可動片支持部が、それぞれ、該第2のコンタクト端子の各凸部が所定の隙間をもって挿入される凹部を有することを特徴とするICカード用コネクタ。
【請求項4】
前記半田付け端子部は、前記カード収容部における前記ICカードが通過するカードスロットに対向する端部を通じて外部に突出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のICカード用コネクタ。
【請求項5】
前記各コンタクト端子の可動片支持部および連結端部は、互いに同一形状であることを特徴とする請求項1記載のICカード用コネクタ。
【請求項6】
前記第1のコンタクト端子および第2のコンタクト端子の連結端部は、互いに同一形状であることを特徴とする請求項2記載のICカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−54400(P2011−54400A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201823(P2009−201823)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000177690)山一電機株式会社 (233)
【Fターム(参考)】