説明

ICコインのための読込・書込装置

【課題】
本発明の第1の目的は、ICコインの読込・書込装置を小型にすることである。
本発明の第2の目的は、ICコインの読込・書込装置を安価に提供することである。
【解決手段】
ICコインの面を顧客に向けた状態で受け入れ、かつ、所定方向への移動によっ前記ICコインを読込・書込部に移送する受け入れ部、前記受け入れたICコインの面を顧客が視認可能な状態で保持する前記読込・書込部、前記読込・書込部に配置したICコインの読込・書込ユニット、及び、前記読込・書込部に保留された前記ICコインを返却部へ振り分ける振り分け部、とを備えるICコインのための読込・書込装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICコインに記憶された情報を読込・書込するための装置に関する。
詳細には、遊技機に適した価値情報を記憶したICコインのための読込・書込装置に関する。
さらに詳細には、児童が使用するゲーム機に適したICコインのための読込・書込装置に関する。
なお、本明細書で使用する「遊技機」は、パチンコ機、パチスロ機、スロットマシン及びアミューズメント用ゲーム機等を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、遊技用媒体を購入するため、価値情報を記憶したICコインを投入するためのICコイン投入口、ICコインを排出するためのICコイン排出口、前記ICコイン投入口から前記ICコイン排出口へと至るICコイン通路と、前記ICコイン通路に設けられた通信手段よりなる遊技媒体貸与機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
第2の従来技術として、遊技用媒体を購入するため、非接触状態で通信可能なICコインが外周方向に出し入れ可能に保持される凹状の保持部を、回動可能な保持回動体の円周上の位置に複数形成し、前記保持回動体の外周と対向する位置にICコインの投入口を対設し、上記保持回動体の保持部の回動軌跡上の所定位置に、保持回動体に保持されたICコインと非接触状態で通信を行う通信手段を対設した遊技機用ICコイン処理装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004-141490(図3-5、2頁―5頁)
【特許文献2】特開2001-327747(図3、9頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の従来技術においては、ICコインが立った状態で投入口に投入され、ICコインが転がって通信手段と通信可能なICコイン通路に到達し、その位置において通信手段によりICコインに記憶された価値情報の読込・書込を行う。
したがって、ICコインが転動するコイン通路が必要であり、ICコインのための読込・書込装置が大型化する問題がある。
また、ICコインがコイン通路に保持されていることを顧客は視認することができない。
このため、顧客が追加のICコインを投入口に投入しないよう電気的に作動されるシャッタが配置されている。
結果として、第1従来技術の読込・書込装置は、高価である問題がある。
第2の従来技術においては、同様にICコインは、立てた状態で投入放出口に投入されて保持回転体の保持部に受け入れられ、その後、保持回転体が所定角度回動されて前記投入ICコインが通信手段に相対され、その状態において、通信手段によりICコインの記憶部と通信が行われる。
この第2従来技術においては、保持回転体が所定角度回動されることにより保持部のICコインが通信手段と通信可能になる。
したがって、複数のICコインが通信手段と通信可能になることはない。
しかし、保持回転体はICコインの二倍以上の直径が必要であり、装置が大型化すると共に保持回転体を回転させるための装置が必要であり、高価であるという問題がある。
【0005】
本発明の第1の目的は、ICコインの読込・書込装置を小型にすることである。
本発明の第2の目的は、ICコインの読込・書込装置を安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、請求項1の発明にかかるICコイン読込・書込装置は次のように構成されている。
ICコインの面を顧客に向けた状態で受け入れ、かつ、所定方向への移動によって前記ICコインを読込・書込部に移送する受け入れ部、前記受け入れたICコインの面を顧客が視認可能な状態で保持する前記読込・書込部、前記読込・書込部に配置したICコインの読込・書込ユニット、及び、前記読込・書込部に保留された前記ICコインを返却部へ振り分ける振り分け部とを備えるICコインのための読込・書込装置である。
【発明の効果】
【0007】
この構成において、ICコインは面を顧客に向けた状態で受け入れ部に装着される。
受け入れ部が移動されることにより、ICコインが読込・書込部に移動される。
ICコインはこの読込・書込部において、読込・書込ユニットとの間で通信し、記憶されている価値情報から利用料金を減算された価値情報を記憶する。
プレイが終了したICコインは、振り分け部の作動によって返却部へ戻される。
ICコインは、面を顧客に向けて受け入れ部、読込・書込部及び返却部に移動するので、読込・書込装置の奥行きはICコインの厚みに依存する。
したがって、本ICコインのための読込・書込装置は小型にすることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記振り分け部が、前記返却部又は収納部へ振り分けることを特徴とするICコインのための読込・書込装置である。
この構成において、読込・書込部において通信装置との通信によりICコインに記憶された価値媒体がゼロになった場合、ICコインは振り分け部によって収納部に振り分けられる。
結果として、価値情報がゼロになったICコインを顧客に戻さないので、不正に利用されることがない。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記受け入れ部が前記ICコインよりも僅かに大きい装着孔を形成したスライド板であることを特徴とする。
この構成において、ICコインは装着孔に面を顧客に向けた状態で装着される。
そしてスライド板をスライドすることにより、ICコインは読込・書込部に移動され、面を顧客に向けた状態で読込・書込部において保留される。
顧客はICコインを装着部に挿入し、スライド板をスライドするという簡単な操作によりICコインを読込・書込部に保留することができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記スライド板が顧客側から後上方へ向かって斜めに往復動可能であることを特徴とする。
この構成において、スライド板が顧客側から後ろ上方へ向かって斜めに移動することにより、装着部に装着したICコインを読込・書込部に移動することができる。
したがって、奥行方向への移動量が少なくてよいので、装置を小型化できる。
また、顧客は、スライド板を斜め上方へ移動させるだけでよいので、操作が簡単である利点を有する。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記読込・書込部のICコインが、前記装着孔を通して視認可能であることを特徴とする。
この構成において、ICコインが読込・書込部に装着されていることがスライド板の装着孔を介して視認可能である。
したがって、ICコインが既に投入されていることを顧客が確認できるので、重複投入防止のためシャッタ等を設ける必要がなく、安価に構成できる。
【0012】
請求項6の発明は、請求項2の発明において、前記振り分け部が前記読込・書込部の下方に配置した振り分け体であり、前記振り分け体は読込・書込部の真下に位置する保留位置、前記保留位置に対し前記収納部側に移動した返却位置又は前記返却部側に移動した収納位置に選択的に移動可能であることを特徴とする。
この構成において、振り分け体が保留位置にある場合、ICコインは振り分け体によって読込・書込位置に保留され、返却位置にある場合、ICコインは返却部へ案内され、収納位置にある場合、ICコインは収納部へ案内される。
したがって、振り分け体の位置によって、ICコインの位置を選択的に決定できるので、構造が簡単であり、安価に製造できる。
また、読込・書込装置を小型化することができる。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記振り分け体が、下端部をピボット運動可能に支持された板であり、前記保留位置においてその頂部が前記読込・書込部の真下に位置し、前記返却位置においてその頂部が前記収納部側にずれ、前記収納位置において前記頂部が返却部側にずれるように選択的にピボット運動されることを特徴とする。
この構成において、振り分け体がピボット運動される板であるので、構造が簡単であり、安価に製造できる。
また、読込・書込装置を小型化することができる。
【0014】
請求項8の発明は、請求項2の発明において、さらに、前記受け入れ部が顧客に対し斜め後方に移動された際、前記装着孔に進入可能な前記ICコインを押し出すための補助移動装置を備えることを特徴とする。
この構成において、通常、受け入れ部が斜め後方へ移動された際、自重により落下し、読込・書込部に保留される。
もし、ICコインが受け入れ部の装着孔に引っかかって自重で落下できない場合、補助移動装置により装着孔から外されて読込・書込部へ移動される。
したがって、ICコインは補助移動装置によって確実に読込・書込部へ移動される。
【0015】
請求項8の発明は、請求項2の発明において、前記振り分け体は、前記振り分け体の下方であって、前記返却部への経路と前記収納部への経路の間に配置した一対のソレノイドからリンクを介して選択的に移動されることを特徴とする。
この構成において、振り分け体の保持位置、返却位置又は収納装置への移動は、一対のソレノイドの選択的励磁により行われる。
したがって、振り分け体は一対のソレノイドとリンクによる簡単な構造により選択的に位置決めされるので、安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ICコインの面を顧客に向けた状態で受け入れ、かつ、所定方向への移動によって前記ICコインを読込・書込部に移送する受け入れ部、前記受け入れ部が前記ICコインよりも僅かに大きい装着孔を形成したスライド板であり、前記スライド板が顧客側から後上方へ向かって斜めに往復動可能であり、前記受け入れたICコインの面を顧客が視認可能な状態で保持する前記読込・書込部、前記読込・書込部のICコインが、前記装着孔を通して視認可能であり、前記読込・書込部に配置したICコインの読込・書込ユニット、及び、前記読込・書込部に保留された前記ICコインを返却部又は収納部へ振り分ける振り分け部、前記振り分け部が前記読込・書込部の下方に配置した振り分け体であり、前記振り分け体は、下端部をピボット運動可能に支持された板であり、前記保留位置においてその頂部が前記読込・書込部の真下に位置し、前記返却位置においてその頂部が前記収納部側にずれ、前記収納位置において前記頂部が返却部側にずれるように選択的にピボット運動され、前記振り分け体は、前記振り分け体の下方であって、前記返却部への経路と前記収納部への経路の間に配置した一対のソレノイドからリンクを介して選択的に移動され、さらに、前記受け入れ部が顧客に対し斜め後方に移動された際、前記装着孔に進入して前記ICコインを押し出すための補助移動装置とを備えるICコインのための読込・書込装置である。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置を備えたゲーム機の斜視図である。
図2は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の正面図((A)はスライド板が装着位置にある状態、(B)はスライド板が装填位置にある状態)である。
図3は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の平面図である。
図4は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の底面図である。
図5は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の左側面図((A)は左カバーが装着された状態、(B)は左カバーが取り外された状態)である。
図6は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の右側面図((A)は右カバーが装着された状態、(B)は右カバーが取り外された状態)である。
図7は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の背面図((A)はカバーが装着された状態、(B)はカバーが取り外された状態)である。
図8は、図2におけるA―A線断面図である。
図9は、図6におけるB―B線断面図である。
【0018】
図1において、ゲーム機100はICコイン102の処理ユニット104が付加されている。
ICコイン処理ユニット104は、ボックス形であり、その垂立前壁106にICコイン読込・書込装置108が取り付けられている。
換言すれば、ICコイン処理ユニット104は、ゲーム機100に後付可能である。
しかし、ICコイン読込・書込装置108は、ゲーム機100の垂立前壁109に取り付けることができる。
【0019】
次にICコイン読込・書込装置108を図2から図9を参照して説明する。
ほぼ垂直に伸びる矩形のフロントパネル110の中央に前下がりに傾斜するスライド部112を底部とする凹部114が形成されている。
この凹部114は、後述の通信装置よりも小さな矩形の開口116の奥に形成される。
【0020】
スライド部112の前側にスライド部112に沿ってスライド可能に受け入れ部118、本実施例ではスライド板120が配置されている。
スライド板120は矩形の板状であり、板厚はICコイン102の厚みの二倍以下であり、その中央部にはICコイン102より僅かに大きい直径を有する円形のICコイン装着孔122が設けられている。
このように形成することにより、ICコイン102が二個同時に装着孔122に装着されることを防止する。
【0021】
ICコイン装着孔122は、円形でなくとも、矩形、三角形、ひし形又は楕円形であってもよい。
スライド板120の下端部前面には台形状の操作突起124がスライド板120に対し直交方向に突出している。
スライド板120は、自重によりフロントパネル110の下部に位置するストッパ126(図8)に係止され、装着孔122が凹部114に位置する所定位置で停止される。
スライド板120が自重で落下しない場合、スプリング等の付勢手段により強制的に移動させることができる。
【0022】
スライド板120は、凹部114の上部に位置するフロントパネル110の開口128を通って筐体129内に移動し、装着孔122が筐体129内に位置可能である。
スライド板120の下端がストッパ126に係止されている状態が、スライド板120の装着待機位置である。
図8に示すように、スライド板120が筐体129内に移動された状態が、スライド板120の装着位置である。
【0023】
補助移動装置130は、筐体129内にその上端部から横方向へ伸びるシャフト132を支点にピボット運動可能に設けられている。
補助移動装置130の下端部には、後方に向かってドーム形の押出部132が形成されている。
この押出部132は、スライド板120が上方に移動された際、装着孔122に進入するよう自重或いは付勢手段(図示せず)により図8において反時計方向に付勢されている。
【0024】
漏斗状の読込・書込部134が顧客に対しスライド部112の後方に配置されている。
すなわち、前下がりの後方プレート136とスライド部112に隣接する後方において後ろ下がりに傾斜する前方プレート138とにより、上下方向に伸び、かつ、下方に向かって収斂する通路である。
【0025】
この読込・書込部134の下端の下方に振分部140が設けられている。
振分部140は、ICコイン102を後述の返却部である返却口156又は収納部149に選択的に振り分ける機能を有する。
本実施例において、振分部140は、振分部通路141と振分体142を含んでいる。
振分部通路141は、読込・書込部134の直下において上下方向に伸びている。
この振分部通路141に振分体142が位置している。
【0026】
振分体142は、矩形板状であり、その下端部の両サイドに突出し、かつ、筐体129にピボット運動可能に支持されたシャフト144を中心に、図8において時計方向又は反時計方向にピボット運動可能である。
振分部通路140に続いてフロントパネル110側に斜め下方に伸びる返却通路146及び後方に斜め下方に伸びる収納通路148が形成されている。
【0027】
収納通路148はICコイン102を保留する収納部149に連通している。
読込・書込部134及び振分部通路141は、ほぼ垂直方向に連なり、ICコイン102の通路を構成している。
返却通路146及び収納通路148は、振分部通路141の下端から図8において左右に斜め下方に伸びている。
これら読込・書込部134、振分部通路141、返却通路146及び収納通路148はICコイン102の直径よりもその幅が僅かに大きく形成されている。
さらに、これら通路の厚み(図8において左右方向)は、ICコイン102の厚みの2倍以上に形成されている。
ICコイン102が自重によって落下した場合、ジャムすることなく落下させるためである。
さらに、読込・書込部134の上端に続いてICコイン102の自動投入口151が設けられている。
この自動投入口151を介して自動的にICコイン102が読込・書込部134に供給される。
【0028】
また、これら通路を画定する壁面にはICコイン102の移動方向、すなわち、上下方向に所定間隔で平行に伸びる突条を設け、軽量のICコイン102との間の摩擦抵抗を減少し、ICコイン102がスライドし易いように構成することが好ましい。
返却通路146を画定する前方プレート138の下方において、返却通路146を横切るように筐体129に着脱可能に取り付けられたプレート147に、返却通路146の左右端部に相対して一対の係止片148L、148Rが形成されている。
【0029】
これら係止片148L、148Rは、図8に示すように、ほぼ直角三角形であり、斜辺150は返却通路146の厚みを減少するように形成され、その頂部152と下方のスライドパネル154との間隔は、ICコイン102の厚みよりも僅かに小さくなるよう設定されている。
すなわち、ICコイン102が返却通路146を落下した場合、ICコイン102の周縁下部の2点が斜辺150によって係止され、ICコイン102の落下を阻止される。
【0030】
この場合、ICコイン102の下部はプレート147の下端部とスライドパネル154との間に形成される返却口156から露出する。
ICコイン102を取り出す場合、露出しているICコイン102の下端部を指先でつまんで下方にスライドさせることにより、斜辺150を移動させ、換言すれば、プレート147は樹脂で作られ、弾性を有するので、ICコイン102によってたわめられ、移動される。
結果として、ICコイン102は頂部152とスライドパネル154との間を通過することができる。
このプレート147は、ICコイン102に対する摩擦抵抗を小さくするため、ポリアセタール樹脂により係止片148L、148Rと共に一体成型することが好ましい。
ICコイン102の厚みが変更された場合、高さの異なる頂部152を有するプレート147に交換することにより、容易に対応することができる。
【0031】
読込・書込部134の後方プレート136の背面にICコイン102に対する読込・書込ユニット158が配置されている。
読込・書込部134は、フロントパネル110から可及的に遠く、かつ、読込・書込ユニット158は、読込・書込部134に近接配置することが好ましい。
ICコイン102に対する外部からの不正アクセスを防止するためである。
【0032】
図8に図示するように、ICコイン102を斜め後上方に移動させて後、その後方の読込・書込部134に移動させる構造は、自然にICコイン102がフロントパネル110から遠ざかる方向に移動されるので、不正を防止する観点で好ましい構造である。
また、スライド部112及び前方プレート138は透明材料にて作ることが好ましい。
【0033】
読込・書込部134に保留されているICコイン102が装着孔122、スライド部112及び前方プレート138を介して目視することができ、利用者に安心感を与えられると共に、ICコイン102の追加投入を防止できるからである。
図2に図示するように、フロントパネル110の返却口156の上縁をアーチ状に切り欠くことにより、ICコイン102の下端をつまみやすくなり、返却口156から取り出し易くなる。
【0034】
次に振分体142の駆動機構160を図5、6及び9を参照して説明する。
L形の左駆動プレート162Lが、筐体129の左側壁に沿って移動可能に取り付けられている。
左駆動プレート162Lは筐体129の左側壁から突出する左ガイドピン164Lが左ガイド孔166Lに上下方向スライド可能に取り付けられている。
【0035】
これら左ガイドピン164Lおよび左ガイド孔166Lは少なくとも二箇所配置し、左駆動プレート162Lが直線運動するよう構成されている。
左駆動プレート164Lの中間にその移動方向に対し斜めに左カム孔168Lが形成されている。
左カム孔168Lには、振分体142の上部側面から横方向に突出する左被動ピン170Lが摺動可能に挿入されている。
【0036】
左駆動プレート164Lの下部において水平に伸びる端部は、左ソレノイド172Lの左プランジャ174Lに固定されている。
左プランジャ174Lは左スプリング176Lによって突出方向に付勢されている。
左ソレノイド172Lが消磁されている場合、左駆動プレート164Lは最も下方に位置し、左スプリング168Lの左前側ストッパ178Lに係止される。
【0037】
左駆動プレート162Lは、左側壁に形成された倒立U形のリブ180Lによって形成された長溝182L内において往復動可能である。
また、この長溝182Lは、外縁リブ184Lを有する鍋形の左カバー186Lによって覆われている。
左カバー186Lは、左側壁に着脱自在に取り付けられ、左駆動プレート162Lがベンドしないよう案内される。
【0038】
右駆動プレート162Rは、左駆動プレート164Lと対称に形成され、同様に構成されている。
同一機能部には同一数字に添付のLをRに代えて参照記号を付し、詳述説明は省略する。
したがって、右ソレノイド172Rが消磁されている場合、右被動ピン170Rは右後側ストッパ178Rに係止されている。
左ソレノイド172Lが励磁された場合、左駆動プレート164Lは上方へ移動される。
【0039】
これにより、左被動ピン170Lは左カム孔168Lによって図8において右方へ移動される。
結果として、振分体142が図8に点線で示した収納位置Sに移動され、振分部通路140を介して読込・書込部134と収納通路148とが連通される。
このとき、右被動ピン170Rは右カム孔168Rに連続し、かつ、ほぼ水平に伸びる右逃げ孔188Rに移動するので、何ら制約を受けない。
右ソレノイド172Rが励磁された場合、右駆動プレート162Rは上方へ移動され、右カム孔168Rによって右被動ピン170Rが図8において右方へ移動される。
【0040】
これにより、振分体142が図8において鎖線で示す返却位置Rに移動するので、振分部通路140を介して読込・書込部134と返却通路146とが連通する。
なお、右ソレノイド172Rおよび左ソレノイド172Lが消磁されている場合、振分体142は図8において実線で示す保留位置Tに位置している。
保留位置Tは、振分体142の頂部が読込・書込部134の真下に位置し、ICコイン102の落下を阻止し、読込・書込部134にICコイン102を保留する。
また、右被動ピン170Rは右後ストッパ178Rに係止され、左被動ピン170Lは左前ストッパ178Lに係止され、その位置を保持される。
【0041】
次に、操作選択部190を図2を参照して説明する。
操作選択部190は、ICコイン102の返却、ゲーム料金等の処理を選択する機能を有する。
フロントパネル110の上部には、横一列に三個の選択ボタンが配置されている。
【0042】
これら選択ボタンは、押しボタン式のスイッチであって、フロントパネル110から突出するボタンを前側から押すことにより、1つのパルス信号が出力され、さらに、選択されたことを顧客に知らせるため、内蔵のLEDが点灯または消灯する。
右側のスイッチ192は、読込・書込部134に保留されたICコイン102を返却口156に戻す機能を有するキャンセルスイッチである。
【0043】
すなわち、キャンセルスイッチ192を押した場合、右ソレノイド172Rが励磁され、前述のように振分体142が返却位置Rに移動され、ICコイン102を返却通路146に誘導することにより返却口156に戻す。
このスイッチ192は、例えば赤色にする。
【0044】
中央の選択ボタンは、例えばICコイン102の価値情報の全額を選択する全プレイ用のスイッチ194であり、ICコイン102の価値情報が全額減算され、価値情報ゼロが新たに記憶される。
このスイッチ194は、例えば白色にする。
左側の選択ボタンスイッチ196は、1プレイ用のスイッチであり、一回押すことにより、一回のプレイ料金が課金される。
【0045】
換言すれば、スイッチ196を一回オンすることにより、ICコイン102に記憶されている価値情報から一回のゲームに必要な価値情報が減算され、その減算された新たな価値情報が読込・書込ユニット158によってICコイン102の記憶部に書込まれる。
このスイッチ196は、例えば緑色にする。
色分けにより、誤選択を防止するためのである。
【0046】
これら課金スイッチは、例えば一回のプレイ料金を課金するスイッチ196のみでもよい。
さらに、1回若しくは全額の課金に加えて別料金のスイッチを配置しても良い。
すなわち、課金スイッチは少なくとも一つ配置されていればよい。
操作選択部190と凹部114との間には、液晶等の表示器198が配置されている。
【0047】
この表示器198には、ICコイン102に記憶されている価値情報が読込・書込ユニット158によって読み込まれた価値情報を表示する。
この価値情報は、例えば、ICコイン102に記憶された金額、または、ゲームすることが可能な回数を表す数字である。
ICコインセンサ200が読込・書込部134に配置されている。
読込・書込部134に位置するICコイン102を検知するためである。
【0048】
ICコインセンサ200は、例えば、後方プレート136に配置した投光部202、および、前方プレート138に配置した受光部204とからなる透過型光電センサである。
しかし、透過型のほか反射式センサを使用することができ、また、機械式センサを使用することができる。
また、誤検知を防止するため、センサ200を複数配置することが好ましい。
【0049】
図8に示すように、ICコイン102が読込・書込部134に保留された場合、センサ200がICコイン102を検知する。
この検知によって、スイッチ192、194および196のLEDが点灯される。
この点灯によって、ICコイン102が読込・書込部134に保留されたことを顧客に報知する。
これにより、顧客の注意を喚起し、更なるICコイン102の装着を防止する。
【0050】
また、センサ200によるICコイン102の検知により、読込・書込ユニット158が作動し、ICコイン102と通信を行い、記憶されている価値情報を読み込む。
そして、その価値情報を表示部198に表示する。
これにより、顧客は表示部198の表示を確認し、1プレイのスイッチ196または全プレイのスイッチ194を選択することができる。
【0051】
上述のセンサ200の検知に基づく、スイッチ192,194および196の点灯又は読込・書込ユニット158の通信は、読込・書込装置108に組み込んだマイクロコンピュータにより構成される制御装置、又は、ゲーム機制御用のマイクロコンピュータにより制御することができる。
【0052】
次に、本実施例の作用を説明する。
最初に顧客は、ICコイン102を装着孔122に挿入する。
すなわち、ICコイン102の表面又は裏面が見えるように装着孔122に置く。
これにより、ICコイン102は背面がスライド部112にもたれ、かつ、下端がスライド板120に支えられ装着孔122内に保持される。
【0053】
次に、突起124を押し上げ、スライド板120をスライド部112に沿って上方へ移動させる。
このとき、補助移動装置130はスライド板120の上端によって僅かに図8において時計方向へ回動されるので、スライド板120の移動は可能である。
装着孔122が読込・書込部134に進入した場合、ICコイン102はスライド部112に支えられないので自重により読込・書込部134内へ傾く。
【0054】
さらに、補助移動装置130が図8における反時計方向への回動力により装着孔122へ進行するので、ICコイン102は、補助移動装置130によっても読込・書込部134へ向かって押される。
そして、ICコイン102の下端が読込・書込部134に相対したところでICコイン102は、読込・書込部134に移動し、自重で落下する。
【0055】
通常、振分体142は読込・書込部134の真下の保留位置Tにおいて静止しているので、落下したICコイン102の下端は振分体142の上端により支えられ、読込・書込部134内に保持される。
ICコイン102が読込・書込部134内に位置するとき、ICコイン102は読込・書込ユニット158に近接している。
【0056】
保留されたICコイン102は、センサ200の投光部202からの投光を遮り、受光部204は受光しなくなるので、保留信号を出力する。
この保留信号によって、スイッチ192、194および196のLEDは点灯される。
顧客は、これらスイッチ192、194および196の点灯により、ICコインが読込・書込部134に保留されたことを知ることができる。
また、スライド板120は、自重又は付勢手段若しくは顧客によってストッパ126に停止されるまで引き下げられる。
【0057】
読込・書込部134に保留されたICコイン102は、装着孔122、スライド部112および前方プレート138を通して顧客に視認されることができる。
したがって、これらにより顧客に対し、既にICコイン102が保留されていることを注意喚起し、ICコイン102の更なる投入を防止することができる。
前記保留信号に基づいて読込・書込ユニット158は、キャリヤー信号を発信し、読込・書込部134に保留されたICコイン102と通信を行う。
【0058】
この通信によって、ICコイン102の記憶部に記憶されている価値情報を読み込み、表示部198に表示する。
フロントパネル110側から不正読込・書込用のICコイン読込・書込ユニットを近づけてICコイン102の価値情報を書き換えようとしても、読込・書込ユニット158に保留されているICコイン102の方が読込・書込ユニット158に近接しているため、ユニット158の電波の影響下にあるので書き換えることが出来ない。
【0059】
換言すれば、ICコイン102の価値情報の記憶を不正に書き換えることができない。
キャンセルスイッチ192が押された場合、ソレノイド172Rが所定時間励磁される。
これにより、レバー162Rが上方へ移動するのでカム孔168Rによってピン170Rが図6において右方へ移動され、図8において振分体142が返却位置Rへ移動される。
【0060】
結果として、読込・書込部134のICコイン102は振分体142によって支えられないので、振分部通路141を通って返却通路146へ重力によって落下する。
返却通路146において、ICコイン102の下端は係止片148L、148Rによって係止され、その下端部が返却口156に露出した状態で停止される。
顧客は、ICコイン102の下端部を摘んで引き下げることにより、プレート147が撓み、ICコイン102が係止片148L、148Rとスライドパネル154との間を通過できるので、返却口156から引き出すことが出来る。
【0061】
ソレノイド172Lが励磁された場合、振分体142が収納位置Sに移動するので、読込・書込部134のICコイン102は収納通路148に案内され、収納部149に収納される。
換言すれば、ICコイン102は、スイッチ194又は196がオンされ、記憶している価値情報がゼロになった場合、収納通路148を自重で落下して収納部149に収納される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置を備えたゲーム機の斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の正面図((A)はスライド板が装着位置にある状態、(B)はスライド板が装填位置にある状態)である。
【図3】図3は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の平面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の底面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の左側面図((A)は左カバーが装着された状態、(B)は左カバーが取り外された状態)である。
【図6】図6は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の右側面図((A)は右カバーが装着された状態、(B)は右カバーが取り外された状態)である。
【図7】図7は、本発明の実施例のICコイン読込・書込装置の背面図((A)はカバーが装着された状態、(B)はカバーが取り外された状態)である。
【図8】図8は、図2におけるA―A線断面図である。
【図9】図9は、図6におけるB―B線断面図である。
【符号の説明】
【0063】
102 ICコイン
118 受入部
120 スライド板
122
装着孔
130 補助移動装置
134 読込・書込部
141
振分部
142
振分体
149 収納部
155
返却部
158 読込・書込ユニット
162L,162R リンク
172L,172R ソレノイド
S 収納装置
T 保留位置
R 返却位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICコイン(102)の面を顧客に向けた状態で受け入れ、かつ、所定方向への移動によって前記ICコインを読込・書込部(134)に移送する受け入れ部(118)、
前記受け入れたICコインの面を顧客が視認可能な状態で保持する前記読込・書込部(134)、
前記読込・書込部に配置したICコインの読込・書込ユニット(158)、及び、
前記読込・書込部に保留された前記ICコインを返却部(156)へ振り分ける振分部(141)と
を備えるICコインのための読込・書込装置。
【請求項2】
前記振り分け部は、前記返却部又は収納部(149)へ振り分けることを特徴とする請求項1のICコインのための読込・書込装置。
【請求項3】
前記受け入れ部が前記ICコインよりも僅かに大きい装着孔(122)を形成したスライド板(120)である請求項2のICコインのための読込・書込装置。
【請求項4】
前記スライド板が顧客側から後上方へ向かって斜めに往復動可能である請求項3のICコインのための読込・書込装置。
【請求項5】
前記読込・書込部のICコインが、前記装着孔を通して視認可能である請求項4のICコインのための読込・書込装置。
【請求項6】
前記振り分け部が前記読込・書込部の下方に配置した振り分け体(142)であり、前記振り分け体は読込・書込部の真下に位置する保留位置(T)、前記保留位置に対し前記収納部側に移動した返却位置(R)又は前記返却部側に移動した収納位置(S)に選択的に移動可能である請求項2のICコインのための読込・書込装置。
【請求項7】
前記振り分け体は、下端部をピボット運動可能に支持された板であり、前記保留位置においてその頂部が前記読込・書込部の真下に位置し、前記返却位置においてその頂部が前記収納部側にずれ、前記収納位置において前記頂部が返却部側にずれるように選択的にピボット運動される請求項6記載のICコインのための読込・書込装置。
【請求項8】
さらに、前記受け入れ部が顧客に対し斜め後方に移動された際、前記装着孔に進出して前記ICコインを押し出すための補助移動装置(130)を備える請求項2のICコインのための読込・書込装置。
【請求項9】
前記振り分け体は、前記振り分け体の下方であって、前記返却口への経路と前記収納部への経路の間に配置した一対のソレノイド(172L,172R)からリンク(162L,162R)を介して選択的に移動される請求項7のICコインのための読込・書込装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−68226(P2006−68226A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254527(P2004−254527)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】