説明

ICタグ監視回路収納ボックス及び遊技機

【課題】 ICタグ監視装置に対する不正な改造を防止することができるICタグ監視回路収納ボックスを提供すること。
【解決手段】 ICタグ監視回路が設けられた第一基板組50をのせたベース32に第一カバー64を組み付けることによって第一基板組50を格納する。さらに第二カバー80を第一カバー64の上からベース32に組み付け、ベース32の爪部34が第二カバー80の段差82に係止される。このとき、第二カバー80の段差82が、第一基板組50内の基板実装用コネクタ52に挿入されるケーブルコネクタの引き抜き方向線上の近傍に位置するので不正なケーブルコネクタの引き抜きが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機、例えばパチンコ機等の所定箇所を監視するICタグ監視回路収納ボックス及び同ICタグ監視回路収納ボックスによって監視される遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機のうちパチンコ機においては、不当に遊技球を獲得する不正行為が後を絶たず、種々の防止策が施されている。特に、遊技機の制御を司る制御基板の不正改造、例えば、不正ROMへの交換等を防止するために、制御基板を収納する制御基板ボックスには様々な工夫が施されている。
【0003】
その一例として、制御基板ボックスが不正に開放されたことが察知できるように、制御基板ボックスにICタグを設置して制御基板ボックスの開放状態を監視するものがある(例えば、特許文献1参照)。具体的には、制御基板ボックスの収納部と蓋部にそれぞれに近距離間でのみ互いに無線の送受信が可能なICタグである監視タグとアンテナをそれぞれに設置する。そして、常時、両者間で送受信を行うことで、送受信が途切れた際には、監視タグとアンテナとの距離が広がったこと、すなわち制御基板ボックスが開放されたことを察知するものである。
【0004】
また、これら監視タグ及びアンテナは制御基板ボックスのみならず、パチンコ機の前面枠及び本体枠にそれぞれ取り付けられることにより、外部からパチンコ機の大入賞口を不正に操作するためにパチンコ機の前面枠が開放されたことも察知できる。そして、これら監視タグ及びアンテナの監視を行うものがICタグ監視装置である。
【特許文献1】特開2004−065801
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、今度はこのICタグによるパチンコ機の監視を阻止するために、このICタグ監視装置に不正な改造が施されることが考えられる。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ICタグ監視装置を収納し、同ICタグ監視装置に対する不正な改造を防止することができるICタグ監視回路収納ボックス及び同ICタグ監視回路収納ボックスによって監視された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明のICタグ監視回路収納ボックスでは、遊技機の所定の箇所に設置されたICタグとアンテナとの通信状態を監視するICタグ監視回路が設けられた第一の基板と、前記第一の基板が設置されるベース部材と、前記第一の基板を覆い、前記ベース部材と組み合わされることによって前記第一の基板を収納する第一のカバー部材と、前記第一のカバー部材を覆い、前記ベース部材に嵌合される第二のカバー部材と、前記第二のカバー及び前記ベース部材のうちの一方に備えられた第二カバー監視用ICタグと、前記第二のカバー及び前記ベース部材のうちの他方に備えられ、前記第二カバー監視用ICタグと通信を行うことによって、前記ベース部材と前記第二のカバー部材との嵌合状態を監視する第二カバー監視用アンテナとを備えている。
【0008】
また、請求項2に係る発明のICタグ監視回路収納ボックスでは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記第一の基板に設けられた基板実装用コネクタと、前記第一のカバー部材の一部分で、前記基板実装用コネクタを覆う部分に開口された第一の開口部と、前記第二のカバーが前記ベース部材と嵌合した際に、前記基板実装用コネクタに接続され、前記第一の開口部から突出しているケーブルコネクタの引き抜き方向線上の近傍に配置され、前記第二のカバー部材の内側に突出して形成された段差部とを備えている。
【0009】
また、請求項3に係る発明のICタグ監視回路収納ボックスでは、請求項1または2に記載の発明の構成に加えて、前記第一のカバー部材の上面に開口された第二の開口部と、前記第一のカバー部材の外側に設けられ、前記第二の開口部を通じて前記第一の基板と電気的に接続される第二の基板とを備えている。
【0010】
また、請求項4に係る発明のICタグ監視回路収納ボックスでは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記ICタグ監視回路収納ボックスの底面に設けられ、前記ICタグ監視回路収納ボックスによって得られた前記遊技機の監視情報を、前記遊技機を統括管理する外部の管理機へ無線送信する無線ユニットが固定される第一設置部と、前記ICタグ監視回路収納ボックスの底面において、前記無線ユニットが前記第一設置部に固定された場合に対して前記無線ユニットが90度回転された方向に固定される第二設置部とを備えている。
【0011】
また、請求項5に係る発明の遊技機では、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の構成を備えたICタグ監視回路収納ボックスによって所定の箇所が監視されている。
【0012】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明のICタグ監視回路収納ボックスでは、不正改造の対象とされるICタグの状態を監視するICタグ監視回路が設けられた第一の基板を第一のカバー及び第二のカバーの2つのカバーで二重に覆うことができ、さらに第二のカバーにも監視用のICタグを設けた。したがって、外部からの不正な改造を試みる者による第一の基板への接触を困難にし、ICタグ監視回路の不正な改造を防ぐことができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明のICタグ監視回路収納ボックスでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、ICタグ監視回路収納ボックスを組み上げた際に第二のカバーに形成された段差部を第一の基板に接続されるケーブルコネクタの引き抜き方向線上の近傍に位置するように配置することができる。したがって、不正な改造を試みる者が第一の基板からケーブルコネクタを引き抜こうとする場合でも、第二のカバーの段差部がケーブルコネクタの引き抜き動作の障害となって、ケーブルコネクタが引く抜かれることを防止できる。
【0015】
また、請求項3に係る発明のICタグ監視回路収納ボックスでは、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、第一のカバーの外側で第二のカバーの内側に第二の基板を備えることができる。したがって、第二の基板に不正改造の対象とはされにくい、単に遊技機監視装置の維持に要する回路を設けることにより、遊技機の管理者は二重のカバーのうちの外側のカバーである第二のカバーを外すだけで第二の基板に達することができ、部品交換等の遊技機監視装置の維持管理を容易に行うことができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明のICタグ監視回路収納ボックスでは、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、無線ユニットを設置する第一設置部と、同第一設置部に対して90度回転させた第二設置部を備えたことにより、ICタグ監視回路収納ボックスが遊技機設置島に対して、縦向き、横向きのいずれかの姿勢で取り付けられても、第一設置部若しくは第二設置部を使い分けることによって常に無線ユニットの内部に設けられたアンテナの指向特性を良好に維持できる姿勢で設置できる。
【0017】
また、請求項5に係る発明の遊技機では、請求項1乃至4のいずれかに記載のICタグ監視回路収納ボックスによって監視されているため、請求項1乃至4のいずれかに記載の効果を有することにより、不正な改造を試みる者による遊技機に対する改造を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態である各パチンコ機(遊技機)の状態をICタグを通じて監視するICタグ監視装置であるリーダライタユニット(以下、「R/Wユニット」と称する)について、図面を参照して説明する。
【0019】
まず、R/Wユニットの概要を説明するために、R/Wユニットを備えた遊技機の管理システムの構成について説明する。図1は遊技場等に設置されるパチンコ機1の監視システムの構成を示すブロック図であり、図2は同遊技場の遊技機設置島200の斜視図である。図1に示されるように、遊技場内にある複数台のパチンコ機1は背中合わせに2列に並べて設置されて遊技機設置島を構成する。各遊技機設置島200には中継機100が設置されている。また、各パチンコ機1の状態を監視するR/Wユニット30がそれぞれ遊技機設置島200に備えられている。
【0020】
一方、パチンコ機1において、不正な開閉・操作等がされないか監視を行うべき箇所には、後述するような監視タグ14(図3参照)及び同監視タグ14に対応する監視アンテナ12(図3参照)が設けられている。各パチンコ機1に対応するR/Wユニット30は、これら監視アンテナ12から監視タグ14に呼出波を送信させ、その監視タグ14からの反射波を監視アンテナ12で受信し、反射波に含まれたIDコードを読み取ることにより、設置箇所の状況を監視している。そして、R/Wユニット30によって得られたパチンコ機1の監視情報は、無線ユニット90によって各遊技機設置島200に設置された中継機100に送信され、さらに各中継機100が接続された遊技場を管理する管理機300に送信される。また、中継機100では、R/Wユニット30から受信した監視情報を報知し、その監視情報に対して遊技場内で係員が対応できるように構成されている。以上の様に、遊技場を管理する管理機300は遊技場に設置されている全てのパチンコ機1の監視情報を中継機100を介して収集し、蓄積できるように構成されている。なお、R/Wユニット30は、図2に示されるように、各パチンコ機1の背面側の上部、即ち遊技機設置島200の内側の上部に備えられている。
【0021】
次に、パチンコ機1の構成について図3及び図4を参照して説明する。図3はパチンコ機1の前面枠111及び本体枠110を開いた状態をパチンコ機1の前面から見た斜視図であり、図4はパチンコ機1の背面図である。
【0022】
図3に示されるように、パチンコ機1は、外枠112と、本体枠110と、前面枠111とから構成されている。外枠112は、パチンコ機1の外形形状に即した略長方形状の枠体であり、パチンコ機1を遊技機設置島200に固定するためのものである。また、本体枠110は外枠112の内枠に沿った形状を成している。本体枠110には、遊技盤2がはめ込まれている他、パチンコ機1の動作を制御する種々の基板、図示外の発射機に遊技球を供給するとともに遊技球を受ける上皿5及び下皿6、遊技球を発射するための発射ハンドル7が設置されている。なお、遊技盤2は略正方形を成しており、本体枠110の正面の上半分の部分に設けられている。また、前述した上皿5は遊技盤2の下方部に設けられ、下皿6は上皿5の直下に設けられ、発射ハンドル7は下皿6の右横に設けられている。
【0023】
前面枠111も略長方形状をなした枠体であり、遊技盤2の外形に即した形状の透明なガラス板111aを保持し、遊技盤2を保護するために覆っている。遊技盤2には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が設けられており、発射ハンドル7を操作することにより発射された遊技球がガイドレール3に導かれて、遊技領域4へ侵入し、流下する。なお、遊技領域4の各所には種々の入賞口、電飾ランプ、風車、障害釘及び図柄表示装置等が設けられている。また、遊技領域4の下部には、大入賞口8が設けられている。
【0024】
一方、各種基板は、図4に示されるようにパチンコ機1の背面に備えられている。パチンコ機1の背面左下部には、パチンコ機1の主制御を司る主制御基板21を収納した主基板ボックス20が設けられている。その主基板ボックス20の右隣には音源基板23が設けられており、その音源基板23の右隣上方には電源基板22が設けられている。その電源基板22の下方には、払出制御基板24が配置されている。音源基板23はパチンコ機1から発せられる音楽、音声等のデータを備えており、電源基板22はパチンコ機1の動作に要する電力の供給及び制御を行う。払出制御基板24は、パチンコ機1の前面に設けられている下皿6への遊技球の払い出しの制御を行う。なお、電源基板22、音源基板23及び払出制御基板24はそれぞれ透明な樹脂製のボックスに収められている。
【0025】
主基板ボックス20の上方には、遊技盤2の裏面を保護し、各種配線を覆う透明な樹脂で形成されたセンターカバー25が配置されている。なお、センターカバー25は透明な樹脂で形成されているため、その外部からセンターカバー25の内部を視認することが可能である。また、センターカバー25の上部には、遊技球タンク26が設けられている。遊技球タンク26は、遊技機設置島200からパチンコ機1へ供給された遊技球を貯留し、その遊技球を下皿6へ供給する。
【0026】
このようなパチンコ機1において、不正な行為を試みる者による不正な開閉がされないか監視を行う対象とする場所には監視タグ14及び監視アンテナ12が対になって設置されている。具体的には、図3に示されるように、外枠112の右側枠の内面には監視タグ14bが貼り付けられており、本体枠110の右側面には監視アンテナ12bが備えられている。監視タグ14bと監視アンテナ12bとは本体枠110と外枠112とが閉じられた場合に、向き合う位置に配置されている。そして、本体枠110と外枠112とが閉じられている状態(正常な状態)では、監視タグ14bと監視アンテナ12bとの距離が近いため通信可能となり、本体枠110と外枠112とが開けられた状態(異常な状態)では、監視タグ14bと監視アンテナ12bとの距離が広がるため通信不能となる。R/Wユニット30は、監視タグ14bと監視アンテナ12bとが通信不能となると異常と判断し、その異常の発生を発生時刻に関連付けて監視情報として記録する。そして、これらの監視情報は前述したように、R/Wユニット30から無線ユニット90により中継機100へ送信され、更に管理機300に送信される。
【0027】
本実施例ではこの他に、主基板ボックス20の開閉状態を監視するために、監視タグ14a(図4参照)及び監視アンテナ12a(図示せず)が、また、前面枠111と本体枠110との開閉状態を監視するために、監視タグ14c及び監視アンテナ12cが設置されており(図3参照)、R/Wユニット30が各所の開閉状態を監視している。
【0028】
次に、図5を用いてR/Wユニット30の構成について説明する。図5は、R/Wユニット30の分解斜視図である。以下にR/Wユニット30を構成する各部材について詳述する。
【0029】
R/Wユニット30の底部を構成するベース32は平面視略長方形状を成し、上面が開放された底の浅い箱型形状の部材であり、後述する第二カバー80に形成された段差82に係止する爪部34を備えている。爪部34はベース32の一方の短辺上の2箇所に立設されており、内側に突出して形成された返しを備えている。
【0030】
また、ベース32の底部は長辺方向に沿って3つに仕切られ、各設置部が形成されている。具体的には、爪部34が形成された短辺側から順に、第一設置部36、第二設置部38、第三設置部40が形成されている。各設置部36,38,40には後述する第一基板組50、駆動用バッテリー58及びR/Wユニット用電源基板60がそれぞれ設置される。
【0031】
さらに、ベース32には、後述する第二カバー監視用アンテナ62が設置される袋状のアンテナ設置部42が形成されている。アンテナ設置部42は略長方形状を成したベース32の一方の長側面の面上で、かつ、前述した爪部34が形成された短辺寄りに形成されている。
【0032】
加えて、ベース32の一方の長側面にはR/Wユニット30を取り付けるために略長方形状を成した板状の取り付け部44aが底面の延設方向に沿って2個凸設されている。両取り付け部44aには長方形状の係止用穴46aが開口されている。また、ベース32の底部には、両取り付け部44aが設けられた長側面の縁から所定の距離をおいた位置に係止用穴46aと等しい形状の係止用穴46cが2個開口されている。
【0033】
同様に、ベース32の一方の短側面にも係止用穴46bが開口された取り付け部44bが底面の延設方向に沿って2個凸設されている。そして、やはり同様に、両取り付け部44bが設けられた短側面の縁から所定の距離をおいたベース32の底部には、係止用穴46bと等しい形状の係止用穴46dが2個開口されている。ここで、各係止用穴46a,46cの配置間隔と、各係止用穴46b,46dの配置間隔は互いに等しく、各係止用穴46a,46b,46c,46dの形状は同一である。
【0034】
なお、他にベース32の底面には後述する無線ユニット90を取り付ける際に使用される第一L字フック組98a(図11参照)及び第二L字フック組98b(図14参照)が形成されているが、これらについては後に述べる。
【0035】
次に、第一設置部36に設置される第一基板組50について説明する。第一基板組50は、ICタグ監視回路基板50aと後述する通信回路基板50bとから成る。ICタグ監視回路基板50aは、パチンコ機1の各所に設けられた監視タグ14の状態を監視するICタグ監視回路が設けられた基板である。ICタグ監視回路基板50aの上面には複数個の基板実装用コネクタ52が、コネクタ挿入口を上方に向けて立設されている。各基板実装用コネクタ52には、後述するように、パチンコ機1の各所に設けられた監視アンテナ12a〜cとICタグ監視回路とを接続するケーブル16が接続される。なお、基板実装用コネクタ52は、ケーブル16との接続の都合上、ICタグ監視回路基板50aの一方の短辺に沿って設けられている。なお、ICタグ監視回路は各種電子部品により形成されているが、図5においては、理解を容易とするためにICタグ監視回路基板50aには基板実装用コネクタ52以外の部品は図示していない。
【0036】
続いて、通信回路基板50bについて説明する。図5に示されるように、通信回路基板50bは平面視略長方形状に形成され、同通信回路基板50bにはICタグ監視回路によって得られたパチンコ機1の監視情報を、無線ユニット90を介して中継機100へ送るための通信回路が設けられている。通信回路基板50bの上面には第二基板接続用コネクタ54が、そのコネクタ挿入口を通信回路基板50bの上方に向けて設けられている。第二基板接続用コネクタ54には、後述する第二基板76に設けられた第一基板組接続用コネクタ78が接続される。なお、通信回路基板50bについても理解を容易とするために、図5においてはその基板上の第二基板接続用コネクタ54以外の部品は図示していない。通信回路基板50bは、その四隅をスペーサ56によって前述のICタグ監視回路基板50aと接続されることにより第一基板組50を構成する。
【0037】
第二設置部38には駆動用バッテリー58が設置される。駆動用バッテリー58は、夜間や遊技場の定休日など遊技機設置島200から電力が供給されない場合に、R/Wユニット30中の各基板に電力を供給するバッテリーである。
【0038】
そして、第三設置部40にはR/Wユニット用電源基板60が設置される。R/Wユニット用電源基板60は、R/Wユニット30が備え付けられた遊技機設置島200から供給される電力を受け、R/Wユニット30中の各基板に電力の供給を行う。
【0039】
第二カバー監視用アンテナ62は、パチンコ機1の各所に備え付けられた監視タグ14a〜cと同種のものであり、アンテナ設置部42内に設置される。第二カバー監視用アンテナ62は後述する第二カバー監視用タグ対応して動作するものであるが、その具体的な動作については後で述べる。
【0040】
第一カバー64は、ベース32の外縁形状に対応した略長方形状の薄い蓋状を成しており、ベース32と組み合わされることによって収納容器を構成する。略長方形状を成した第一カバー64の上面には、その短辺に沿って伸びた長方形状の第二開口部68が形成されている。また、第一カバー64の一方の短辺側には薄く形成された薄部分70が形成されており、同薄部分70には同短辺に沿って伸びた第一開口部66が形成されている。また、第一カバー64の上面には、ベース32に組み付ける際に使用される固定用の座ぐり穴72が形成されている。さらに、第一カバー64の両長側面上において、薄部分70が形成された短辺と反対側の短辺寄りに凸部74が突出形成されている。凸部74は後述する第二カバー80との嵌め合わせの際の回動軸として使用される。
【0041】
第一カバー64の上面には第二基板76が設置される。第二基板76にはICタグによる監視情報を出力したり、パチンコ機1の大当たり回数等の遊技情報を何系統かに分岐させて出力するためのコネクタや回路等が設けられている。具体的には、第二基板76の上面に、ホールコンピュータ用コネクタ77及び無線ユニット用コネクタ79が備えられている。ホールコンピュータ用コネクタ77には遊技場内で従来より使用されるホールコンピュータと接続されるケーブルが挿入され、無線ユニット用コネクタ79には後述する無線ユニット90と接続されるケーブルが挿入される。それゆえ、第二基板76においてはコネクタの抜差作業が頻繁に行われることで、同第二基板76上の各部品に影響を与えることがある。そのため、第二基板76上の各部品は交換する可能性が高いといえる。なお、前述の遊技情報は第二基板76上で二系統に分岐されて、一方はホールコンピュータ用コネクタ77からホールコンピュータへ送信され、もう一方は、無線ユニット90によって監視情報と共に中継機100へ送信される。さらに、第二基板76の下面には、前述した通信回路基板50bの第二基板接続用コネクタ54と電気的に接続するための第一基板組接続用コネクタ78が備えられている。なお、第二基板76についても理解を容易とするために、第一基板組接続用コネクタ78以外の部品は図示していない。
【0042】
第二基板76の上からは第二カバー80が取り付けられる。第二カバー80は、ベース32の外縁形状にほぼ即した略長方形の深い蓋状を成しており、光を通さない光非透過性の合成樹脂により形成されている。略長方形状を成した第二カバー80の一方の短側面には、蓋部の天井面から一段低くなった段差82が形成されている。第二カバー80がベース32及び第一カバー64に組み付けられた際には、段差82は第一カバー64の薄部分70の直上付近に位置するように形成されている。
【0043】
また、段差82の短側面には、蓋の開口部とつながった切り欠き84が形成されている。第二カバー80がベース32及び第一カバー64に組み付けられた際に、切り欠き84には各監視アンテナ12a〜cと接続するケーブル16が通される。
【0044】
また、第二カバー80の内側には第二カバー監視用タグ86が設置されている。より具体的には、第二カバー80がベース32及び第一カバー64に組み付けられた際に、ベース32のアンテナ設置部42が形成された長側面に対応する側面の内側において、段差82が形成された短辺寄りに設置されている。さらに、第二カバー80の両長側面の内側において、段差82が形成された短辺と反対側の短辺寄りには、前述した凸部74を受ける凹部88が形成されている。
【0045】
次に、以上の構成部品から成るR/Wユニット30の組み上げ手順について説明する。まず、ICタグ監視回路基板50aと通信回路基板50bとがスペーサ56を介して接続され、第一基板組50が組み上げられる。つぎに、ベース32上の第一設置部36に組み上げられた第一基板組50が設置される。同様に第二設置部38に駆動用バッテリー58が、第三設置部40にR/Wユニット用電源基板60がそれぞれ設置される。また、ベース32のアンテナ設置部42には第二カバー監視用アンテナ62が挿入される。
【0046】
続いて、各部品が設置されたベース32の上から第一カバー64が組み付けられ、座ぐり穴72を通じて、第一カバー64がベース32にネジ等で固定される。これにより、第一基板組50、駆動用バッテリー58及びR/Wユニット用電源基板60が、ベース32及び第一カバー64によって形成された容器内に収納される。なお、第一基板組50がベース32及び第一カバー64によって収納された際には、第一カバー64に開口された第一開口部66からICタグ監視回路基板50a上に設けられた基板実装用コネクタ52が突出する。また、第二開口部68には通信回路基板50b上に設けられた第二基板接続用コネクタ54が位置する。
【0047】
次に、第二基板76と第一基板組50の通信回路基板50bとが接続される。具体的には、第一カバー64の第二開口部68を通じて第一基板組接続用コネクタ78が第二基板接続用コネクタ54に接続されることにより、第二基板76と通信回路基板50bとが電気的に接続される。
【0048】
続いて、第二カバー80が第一カバー64の上からベース32に組み付けられる。具体的には、第一カバー64に形成された凸部74に第二カバー80の内側に形成された凹部88が嵌め合わされる。その結果、同嵌め合わせにより第二カバー80は、第二カバー80を覆い被せる直前のR/Wユニット30の斜視図である図6に示されるように、第一カバー64に対して回動可能となる。
【0049】
そして、ICタグ監視回路基板50a上のICタグ監視回路に、パチンコ機1の各所に取り付けられた監視アンテナ12a〜cが電気的に接続される。具体的には、第二カバー80を覆い被せる直前のR/Wユニット30の斜視図である図6に示されるように、監視アンテナ12a〜cにつながるケーブル16の先端部に備えられたケーブルコネクタ18が第一カバー64の第一開口部66から突出した、ICタグ監視回路基板50a上の基板実装用コネクタ52に接続される。
【0050】
また、通信回路基板50bに、ホールコンピュータ及び無線ユニット90が電気的に接続される。具体的には、ホールコンピュータにつながるケーブル302の先端部に備えられたケーブルコネクタ304が通信回路基板50b上のコネクタ回路に形成されたホールコンピュータ用コネクタ77に接続される。さらに、無線ユニット90につながるケーブル99の先端部に備えられたケーブルコネクタ101が通信回路基板50b上のコネクタ回路に形成された無線ユニット用コネクタ79に接続される。
【0051】
図7は組み上げが完了したR/Wユニット30の斜視図である。図7に示されるように、凸部74と凹部88との嵌合箇所を軸として第二カバー80が回動され、第一カバー64及びベース32に覆い被せられる。そして、ベース32に立設された2つの爪部34の返しが第二カバーに形成された段差82に係止され、R/Wユニット30が組み上がる。この際、ICタグ監視回路基板50aの基板実装用コネクタ52に接続されたケーブル16、第二基板76の無線ユニット用コネクタ79に接続されたケーブル99、そして第二基板76のホールコンピュータ用コネクタ77に接続されたケーブル302は切り欠き84を通じて外部に出される。
【0052】
組み上げが完了したR/Wユニット30においては、ベース32に設けられた第二カバー監視用アンテナ62と第二カバー80の内側に設けられた第二カバー監視用タグ86とが接近し、互いに向き合う位置に配置される。これら第二カバー監視用アンテナ62及び第二カバー監視用タグ86間の通信状態が監視されることにより、R/Wユニット30自体に対するにも不正な開閉の監視が可能になる。
【0053】
ここで、組み上げが完了したR/Wユニット30の内部について説明する。図8は、R/Wユニット30の部分平面図であり、図9は、R/Wユニット30の図8においてA−A線における矢視方向からみた断面図である。図9に示されるように、R/Wユニット30が組み上げられた際には、第二カバー80に形成された段差82が基板実装用コネクタ52の近傍に配置される。より具体的には、段差82は、基板実装用コネクタ52に挿入されたケーブルコネクタ18の引き抜き方向線上に位置し、ケーブルコネクタ18を引き抜くためのスペースをふさぐ様に配置される。したがって、不正行為によってケーブルコネクタ18が引き抜かれようとしても、段差82が障害となり、ケーブルコネクタ18の引き抜きが防止される。
【0054】
続いて、R/Wユニット30で得られたパチンコ機1の各所の監視情報を中継機100へ送信する無線ユニット90について説明する。図10は無線ユニット90の外形を示す斜視図である。無線ユニット90は略直方体形状を成しており、その内部には破線で示されるように無線アンテナ91及び無線モジュール93が収容されている。なお、略長方形状を成す無線アンテナ91は、略直方体を成した無線ユニット90の長手方向に沿って設置されている。また、無線ユニット90の底辺の両長側面には取り付け用片92が、また底辺の一方の短側面には係止片96がそれぞれ底面の延設方向に沿って凸設されている。さらに、係止片96が形成されている短辺には開口部95が設けられている。取り付け用片92には、無線ユニット90をR/Wユニット30へ固定するための穴94が開口されている。また、係止片96の上面の両端付近には略円柱状の係止用突部97が形成されている。さらに、開口部95には無線ユニット90の内部に設けられた無線モジュール93とR/Wユニット30の内部に設けられた通信回路基板50bとを接続するケーブル99が通される。ケーブル99の先端には前述したケーブルコネクタ101が設けられている。
【0055】
次に、無線ユニット90のR/Wユニット30への取り付け手順について、横向きのR/Wユニット30に無線ユニット90が取り付けられた状態を示す斜視図である図11を用いて説明する。R/Wユニット30の底部を構成するベース32の底面には、無線ユニット90が取り付けられる第一L字フック組98aが形成されている。第一L字フック組98aは並列に配置された二個一組のフックから成っており、両フックの鍵爪部分は、ベース32の底面において、取付け部44aが形成されている辺とは反対の辺に向けて突出するように形成されている。無線ユニット90がR/Wユニット30に取り付けられる際には、まず、無線ユニット90の係止片96が第一L字フック組98aにはめ込まれる。この際、第一L字フック組98aは係止片96の両端に形成された2つの係止用突部97によって挟まれる様にはめ込まれる。そして、無線ユニット90が取り付け用片92に開口された穴94を介してネジ等でR/Wユニット30の底面に固定されることにより、無線ユニット90のR/Wユニット30への取り付けが完了する。なお、無線ユニット90の開口部95から通されるケーブル99がR/Wユニット30の切り欠き84を介してICタグ監視回路基板と電気的に接続されるが、監視アンテナ12a〜cをつなぐケーブル16と同じであるため、その詳細な説明及び表示は省略する。
【0056】
続いて、無線ユニット90が固定されたR/Wユニット30の遊技機設置島200への取り付け方法について説明する。R/Wユニット30は係止用部材150を介して遊技機設置島200に取り付けられる。図12は、係止用部材150の斜視図である。係止用部材150は天板150aと側板150bの2面から成る略L字型の部材である。側板150bには4個の略L字型を成した係止用爪151a,bが天板150aの張り出し方向と同一方向に突出して形成されている。4個の係止用爪151a,151bは、縦2列、横2行の配置で形成されている。ここで、横2行のうち、上側の行に形成されている2つの係止用爪を係止用爪151aとし、下側の行に形成されている2つの係止用爪を係止用爪151bをとする。
【0057】
なお、係止用部材150の係止用爪151a,151bの合計4つの爪のそれぞれの形成位置は、ベース32に開口された係止用穴46a,46cの合計4つの開口位置、及び係止用穴46b,46dの合計4つの開口位置にそれぞれ一致している。
【0058】
また、2つの係止用爪151aの間には係止用突片152が形成されている。係止用突片152は天板150aから側板150bにかけてその一部を切り出した帯状の部材を屈曲させた形状をなしている。帯状を成す係止用突片152の一方の端部は天板150aとつながっており、他方の端部は、側板150bから完全に切り離されており、側板150bから天板150aが張り出した方向と同じ方向へ浮き上がっている。さらに、係止用突片152は天板150aと側板150bとの境界付近で屈曲して形成されることによって弾性力を有している。
【0059】
続いて、この係止用部材150を用いたR/Wユニット30の遊技機設置島200への取り付け手順に付いて説明する。まず、R/Wユニット30が取り付けられる遊技機設置島200の背面に係止用部材150が取り付けられる。係止用部材150はその側板150bが遊技機設置島200の背面に当接するようにネジ等を用いて取り付けられる。なお、R/Wユニット30の底面には無線ユニット90が取り付けられるので、R/Wユニット30の底面が遊技機設置島200の壁面に接しないようにするため、R/Wユニット30はほぼ宙吊りに近い状態で取り付けられる必要がある。したがって、係止用部材150は、遊技機設置島200の内側の壁面の下端部付近に取り付けられるのが望ましい。
【0060】
次に、遊技機設置島200に対して横向きに取り付けられたR/Wユニット30を示す参考図である図13を用いて遊技機設置島200にR/Wユニット30が取り付けられる手順について説明する。遊技機設置島200の背面に取り付けられた係止用部材150の係止用爪151にR/Wユニット30が取り付けられる。ここでは、R/Wユニット30を横向きにして遊技機設置島200に設置するために、R/Wユニット30のベース32の長辺に沿って形成された取り付け部44aに開口された係止用穴46a及びベース32の底面に開口された係止用穴46cが用いられる。即ち、係止用部材150の係止用爪151aにはR/Wユニット30の係止用穴46aが、また係止用爪151bには係止用穴46bが掛けられる。各係止用爪151に対応する係止用穴46がかけられた際には、係止用爪151aの間の係止用突片152の端部が側板150bより浮き上がっているため、同端部がR/Wユニット30の側面に引っ掛かり、R/Wユニット30の係止用部材150からの脱落を防ぐ。これにより、R/Wユニット30の遊技機設置島200への取り付けが完了する。
【0061】
なお、上述のR/Wユニット30の取り付け手順の説明では、R/Wユニット30は、ベース32の長辺側に形成された取り付け部46aの係止用穴46a及びベース32の底面の係止用穴46cを用いて、遊技機設置島200に対して横向きに取り付けられた。しかし、R/Wユニット30のベース32はその短辺にも取り付け部44aと同様に係止用穴46cを備えた取り付け部44bを備えており、またベース32の底面にも係止用穴46cと同様の係止用穴46dを備えているため、R/Wユニット30は係止用穴46b,46dを用いることにより、遊技機設置島200に対して縦向きに設置されることもできる。
【0062】
以下に、R/Wユニット30が遊技機設置島200に対して縦向きに設置される場合について説明する。図14は、係止片第二L字フック組98bを用いることで縦向きのR/Wユニット30に対して無線ユニット90が縦向きに取り付けられた状態を示す斜視図である。R/W遊技機設置島200に対して縦向きに設置される場合には、ベース32の短辺に備えられた取り付け部44bの係止用穴46bと、ベース32の底部に開口された係止用穴46dを用いて設置される。ここで、R/Wユニット30で得られた監視情報を無線送信する無線ユニット90は、その内部に治められたアンテナの指向性の特性上、縦向きに設置されることが望ましい。そのため、R/Wユニット30が遊技機設置島200に対して縦向き、即ち前述の横向きの設置状態と比べて90度回転させた状態で設置された場合には、無線ユニット90も90度回転させて、縦向きにR/Wユニット30に取り付けられることが望ましい。そのため、無線ユニット90は、ベース32の底面に形成された第二L字フック組98bを用いて、R/Wユニット30に対して縦向きに取り付けられる。なお、第二L字フック組98bは、第一L字フック組98aと同じ形状を成しており、ベース32の底面において、第一L字フック組98aに対して90度回転させた向きで形成されている。
【0063】
遊技機設置島200に対して縦向きに設置されるR/Wユニット30に無線ユニット90を縦向きに取り付ける手順は、先の設置手順と同様に、まず無線ユニット90の係止片96が第二L字フック組98bにはめ込まれる。そして、取り付け用片92の穴94を介してネジなどで無線ユニット90がR/Wユニット30の底面に固定されることによって取り付けられる。
【0064】
そして、遊技機設置島200に取り付けられた係止用部材150の係止用爪151aにR/Wユニット30の係止用穴46bが、また係止用爪151bに係止用穴46dが掛けてられることで、先と同様にR/Wユニット30が遊技機設置島200に設置される。図15は、遊技機設置島200に対して縦向きに取り付けられたR/Wユニット30を示す参考図である。
【0065】
図16は、R/Wユニット30が取り付けられた遊技機設置島200の背面の様子を示す説明図であり、図17は図16中の一点鎖線B−Bにおいて矢視方向から見た遊技機設置島200の部分断面図である。R/Wユニット30は、縦向き、横向きのいずれの方向にも設置可能であるため、図16に示されるように遊技機設置島200におけるR/Wユニット30の取り付けスペースが一定していない場合であっても、設置することができる。
【0066】
なお、上記実施の形態において、ICタグ監視回路基板50aが本発明の「第一の基板」に相当し、ベース32が本発明の「ベース部材」に相当し、第一カバー64が本発明の「第一のカバー部材」に相当し、第二カバー80が本発明の「第二のカバー部材」に相当し、第二カバー監視用タグ86が本発明の「第二カバー監視用ICタグ」に相当し、第二カバー監視用アンテナ62が本発明の「第二カバー監視用アンテナ」に相当し、R/Wユニット30が本発明の「ICタグ監視回路収納ボックス」に相当する。また、基板実装用コネクタ52が本発明の「基板実装用コネクタ」に相当し、第一開口部66が本発明の「第一の開口部」に相当し、段差82が本発明の「段差部」に相当する。さらに、第二開口部68が本発明の「第二の開口部」に相当し、第二基板76が本発明の「第二の基板」に相当する。加えて、第一L字フック組98aが本発明の「第一設置部」に相当し、第二L字フック組98bが本発明の「第二設置部」に相当する。そして、パチンコ機1が本発明の「遊技機」に相当し、する。
【0067】
以上、本実施の形態によるパチンコ機1のR/Wユニット30によれば、不正改造の対象とされるIC監視回路が設けられたICタグ監視回路基板50aが第一カバー64及び第二カバー80で二重に覆われている上に、第二カバー監視用アンテナ62及び第二カバー監視用タグ86によって監視されている。したがって、ICタグ監視回路基板50aの不正な改造を試みる者による外からの接触をより困難にしており、不正な改造を防ぐことができる。
【0068】
また、不正な改造を試みる者が監視アンテナ12を外そうとして、ピンセット等の工具を用いてR/Wユニット30の切り欠き84から監視アンテナ12につながるケーブルコネクタ18をICタグ監視回路基板50a上の基板実装用コネクタ52から抜き取ろうとする場合がある。しかし、このような場合でも、第二カバー80に形成された段差82が基板実装用コネクタ52に挿入されたケーブルコネクタ18の引き抜きの方向線上の近傍に配置されているため、不正な改造を試みる者がケーブルコネクタ18を引き抜こうとしても段差82が障害となって引き抜くことができず、不正な改造を防止することができる。
【0069】
加えて、不正改造の対象とされるIC監視回路が設けられたICタグ監視回路基板50aは第一カバー64及び第二カバー80によって二重に覆われているが、それ以外の基板、すなわち遊技情報等を管理して、不正改造の対象とはされず、R/Wユニット30を動作させる上で、交換、修繕等を要することがある回路が設けられた基板(実施例では第二基板76)が、第一カバー64の外側に備えられている。したがって、不正改造の対象となる基板のみを二重のケースで覆い、それ以外の交換・修繕を要する基板を一重のケースで覆ったため、R/Wユニット30の維持管理を容易に行うことができる。
【0070】
なお、略長方形状を成した無線アンテナ91は、その指向特性上、縦向きに配置されることが望ましい。そのためには、同無線アンテナ91を長手方向に沿って収納した無線ユニット90は縦向きに設置される必要がある。そのため、R/Wユニット30が、遊技機設置島200に対して、横向きの姿勢で取り付けられた場合には、R/Wユニット30の底面に形成された第一L字フック組98aを使用することによって、無線ユニット90を縦向きに設置することができる。また、R/Wユニット30が、遊技機設置島200に対して、縦向きの姿勢で取り付けられた場合には、第一L字フック組98aに対して90度回転させた第二L字フック組98bを使用することによって、無線ユニット90をやはり縦向きに設置することができる。このように、R/Wユニット30が遊技機設置島200に対して、縦向き、横向きのいずれかの姿勢で取り付けられても、第一L字フック組98a若しくは第二L字フック組98bを使い分けることによって、無線ユニット90は常に縦向きに設置することができ、その内部に設けられた無線アンテナ91の良好な指向特性を維持することを可能としている。
【0071】
上述の様に構成されたR/Wユニット30によって監視されるパチンコ機1は、R/Wユニット30により不正な改造から保護されているいため、その信頼性を向上させることができる。
【0072】
なお、本実施例では、係止用部材150の側板150bがパチンコ機1の背面に当接するようにして取り付けられたが、係止用部材150の天板150aを遊技機設置島200の内側の天井面に当接させて取り付けることによって、R/Wユニット30を宙吊りにするように取り付けることも可能である。このようにすれば、遊技機設置島200の裏側の壁面にR/Wユニット30の設置スペースが十分に確保できなくても、R/Wユニット30を宙吊りにすることで設置することができる。
【0073】
また、本実施例ではR/Wユニット30を遊技機設置島200の背面に取り付けたが、取り付けスペースの都合によっては、R/Wユニット30を遊技機設置島200ではなく、パチンコ機1や、パチンコ機1に隣接して設置されている遊技球の貸出装置に取り付けてもよい。このようにすれば、遊技機設置島200の設置スペースにとらわれることなくR/Wユニット30を設置することができる。
【0074】
さらに、本実施例ではR/Wユニット30の第二カバー80が光を通さない光非透過性の合成樹脂により形成されているため、外からはR/Wユニット30の内部の構造、例えばネジの配置等が分かり難く、不正な開閉や改造を行い難くして、ICタグ監視回路基板50aのより強固に保護することができる。
【0075】
加えて、本実施例では、第二カバー80の材質は光を通さない光非透過性の合成樹脂であったが、透明の合成樹脂の表面を塗装等で着色したものでもよい。このようにしても同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、本実施例では第二カバー80の材質が光非透過性の合成樹脂であったため、第二カバー80の全体が光を通さなかったが、第二カバー80の一部のみを光透過性樹脂で形成して、その一部のみが光を通すようにしてもよい。例えば、この光透過性樹脂で形成された部分を、R/Wユニット30内に収納された基板上に設置され、装置の動作状態を点灯によって示すLEDの付近に配置すれば、R/Wユニット30の外部から容易に装置の動作状態を知ることができる。
【0077】
さらに、第二カバー80の材質をスモークガラスのような光半透過性の合成樹脂にしてもよい。このようにすれば、外部からR/Wユニット30のネジの配置等が分かり難く、かつ、外部からR/Wユニット30内に収納された基板上に設置され、装置の動作状態を点灯によって示すLEDの様子を容易に把握することができる。
【0078】
また、本実施例では、ベース32に第二カバー監視用アンテナ62を設置し、第二カバー80に第二カバー監視用タグ86を設置したが、設置スペースの都合に応じて、これらを入れ換えて、ベース32に第二カバー監視用タグ86を設置し、第二カバー80に第二カバー監視用アンテナ62を設置してもよい。このようにしても、実施例とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0079】
さらに、R/Wユニット30から送信されるパチンコ機1の監視情報は、中継機100を介さず、直接、管理機300へ送信されてもよい。このようにしても、実施例とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0080】
なお、本発明のICタグ監視回路収納ボックス及び遊技機は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のICタグ監視回路収納ボックス及び遊技機は、不正な改造から保護する必要のあるICタグ監視回路収納ボックス及び遊技機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】パチンコ機1の監視システムの構成を示すブロック図である。
【図2】遊技場の遊技機設置島200の斜視図である。
【図3】パチンコ機1の前面枠111及び本体枠110を開いた状態をパチンコ機1の前面から見た斜視図である。
【図4】パチンコ機1の背面図である。
【図5】R/Wユニット30の分解斜視図である。
【図6】第二カバー80を覆い被せる直前のR/Wユニット30の斜視図である。
【図7】組み上がったR/Wユニット30の斜視図である。
【図8】R/Wユニット30の部分平面図である。
【図9】図8における一点鎖線A−Aにおいて矢視方向からみたR/Wユニット30の断面図である。
【図10】無線ユニット90の外形を示す斜視図である。
【図11】横向きのR/Wユニット30に無線ユニット90が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図12】係止用部材150の斜視図である。
【図13】遊技機設置島200に対して横向きに取り付けられたR/Wユニット30を示す参考図である。
【図14】縦向きのR/Wユニット30に対して無線ユニット90が縦向きに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図15】遊技機設置島200に対して縦向きに取り付けられたR/Wユニット30を示す参考図である。
【図16】R/Wユニット30が取り付けられた遊技機設置島200の背面の様子を示す説明図である。
【図17】図16中の一点鎖線B−Bにおいて矢視方向から見た遊技機設置島200の部分断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 パチンコ機
12a〜c 監視アンテナ
14a〜c 監視タグ
30 R/Wユニット
32 ベース
34 爪部
50 第一基板組
52 基板実装用コネクタ
54 第二基板接続用コネクタ
64 第一カバー
66 第一開口部
68 第二開口部
70 薄部分
76 第二基板
78 第一基板組接続用コネクタ
80 第二カバー
82 段差
84 切り欠き
98a 第一L字フック組
98b 第二L字フック組

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の所定の箇所に設置されたICタグとアンテナとの通信状態を監視するICタグ監視回路が設けられた第一の基板と、
前記第一の基板が設置されるベース部材と、
前記第一の基板を覆い、前記ベース部材と組み合わされることによって前記第一の基板を収納する第一のカバー部材と、
前記第一のカバー部材を覆い、前記ベース部材に嵌合される第二のカバー部材と、
前記第二のカバー及び前記ベース部材のうちの一方に備えられた第二カバー監視用ICタグと、
前記第二のカバー及び前記ベース部材のうちの他方に備えられ、前記第二カバー監視用ICタグと通信を行うことによって、前記ベース部材と前記第二のカバー部材との嵌合状態を監視する第二カバー監視用アンテナと
を備えたことを特徴とするICタグ監視回路収納ボックス。
【請求項2】
前記第一の基板に設けられた基板実装用コネクタと、
前記第一のカバー部材の一部分で、前記基板実装用コネクタを覆う部分に開口された第一の開口部と、
前記第二のカバーが前記ベース部材と嵌合した際に、前記基板実装用コネクタに接続され、前記第一の開口部から突出しているケーブルコネクタの引き抜き方向線上の近傍に配置され、前記第二のカバー部材の内側に突出して形成された段差部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のICタグ監視回路収納ボックス。
【請求項3】
前記第一のカバー部材の上面に開口された第二の開口部と、
前記第一のカバー部材の外側に設けられ、前記第二の開口部を通じて前記第一の基板と電気的に接続される第二の基板と
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のICタグ監視回路収納ボックス。
【請求項4】
前記ICタグ監視回路収納ボックスの底面に設けられ、前記ICタグ監視回路収納ボックスによって得られた前記遊技機の監視情報を、前記遊技機を統括管理する外部の管理機へ無線送信する無線ユニットが固定される第一設置部と、
前記ICタグ監視回路収納ボックスの底面において、前記無線ユニットが前記第一設置部に固定された場合に対して前記無線ユニットが90度回転された方向に固定される第二設置部と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のICタグ監視回路収納ボックス。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のICタグ監視回路収納ボックスによって所定の各所が監視される遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−212169(P2006−212169A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27278(P2005−27278)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(000241234)豊丸産業株式会社 (428)
【Fターム(参考)】