説明

ICタグ設けた物流資材及びICタグを設けた物流資材の管理システム

【課題】工場、倉庫、小売等の複数の拠点で相互に利用される、物流資材をバーコードで管理することは困難であり、また、バーコードは容易に作成され不正に利用されることがあった。
【解決手段】外部衝撃、環境、改竄、複製、転用が困難であり、物流物に影響が無く、物流資材にも影響が無く、情報を追加できる標識としてICタグを取りつけた物流資材、さらに、ICタグを設けた物流資材の管理システムシステムを提供することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグを利用して流通する資材を管理すためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、本などの印刷物や食品等の流通物は、トラック等に乗せられて工場から卸等の倉庫、倉庫から小売等へと2拠点以上の間で流通する物品が増加している。これらの流通物は、通常、カゴテナー、物流パレット、通箱等の物流資材にのせられて運ばれている。
流通物の管理は、流通物自体で行われる場合もあるが、流通物自体ではなく流通物がのせられて運ばれる物流資材で行われている。
そして、この物流資材は、最初に搬送される工場から倉庫、倉庫から小売そして、再度、最初の工場に戻ってきて、また、工場からは搬送されるというような使い方がされている。
【0003】
従来は、このような物流資材はバーコードにより管理されていた。具体的には、バーコードが物流資材に貼り付けられ、このバーコードが工場、倉庫、小売でバーコードリーダにより読み取られて現状確認がされていた。
【特許文献1】特開2002−279022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、バーコードを利用して物流資材を管理しようとすると、バーコード自体に必要とするデータが記録されていない場合があった。
また、バーコードが記憶できるデータ量が少ないため、工場から倉庫、倉庫から倉庫、倉庫から小売と多くの拠点を動かされる場合は、必要なデータをバーコードに記憶できないので、複数のバーコードを物流資材に貼り付ける必要があった。そして、複数のバーコードを貼り付けると、どのバーコードに必要なデータが記録されているかを確認する必要があり、確認作業が煩雑になり、必要なデータをバーコードから読み出せない場合があった。さらに、バーコードが物流資材から剥がれてしまうこともあり、必要な情報を読み出せない場合があった。
【0005】
また、バーコードは最初に物流資材が搬送される場所、例えば、工場で物流資材に貼り付ける必要があり、次の搬送先である倉庫では、バーコードに情報を追加することができなかった。搬送先の倉庫などで新しい情報を追加する場合は、新しいバーコードを物流資材に貼り付ける必要があった。
このように、工場、倉庫、小売等の複数の拠点で相互に利用される物流資材をバーコードで管理することは、困難であった。
【0006】
また、バーコードは容易に作成することができるので、データを改竄されたバーコードが作成され不正に利用されることが多く、流通途中で物流資材が管理する物流物に何らかの問題が発生しても、対応することができなかった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてされたもので、その目的は、外部衝撃、環境、改竄、複製、転用が困難であり、物流物に影響が無く、物流資材にも影響が無く、情報を追加できる標識としてICタグを取りつけた物流資材、さらに、ICタグを設けた物流資材の管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、個別識別情報を格納したICタグを物流資材に貼着していることを特徴とするICタグ付き物流資材である。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のICタグ付き物流資材であって、この個別識別情報が少なくとも物理資材の固体ID、管理元ID等からなるステータスID、入庫、出庫、保管等の日時からなることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のICタグ付き物流資材であって、物流資材がカゴテナー、パレット、折畳コンテナー、通箱等からなることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3に記載のICタグ付き物流資材を管理するICタグを設けた物流資材の管理システムであって、
ICタグに格納する個別識別情報を格納する格納データベース、
ICタグ付き物流資材に取り付けられたICタグからICタグリーダにより読み取られた情報をネットワークにより受信し格納データベースの個別識別情報を更新する更新手段と、
を含むことを特徴とするICタグを設けた物流資材の管理システム。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の物流資材の管理システムであって、ICタグリーダによりICタグに新規に登録される新規登録情報をネットワークにより受信し格納データベースの個別識別情報に追記する追記手段と、
を含むことを特徴とするICタグを設けた物流資材の管理システム。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、物流資材にICタグを付けているので、外部衝撃、環境、改竄、複製、転用が困難であり、物流物に影響が無く、物流資材にも影響が無く、情報を追加できるので、物流資材の管理が容易になる。
【0014】
また、ICタグを付けられた物流資材の情報をデータベースに格納し、ネットワークを用いて各拠点で常に管理しているので、複数の拠点を物流資材が移動しても、容易に情報を確認することができる。
したがって、流通物が不正に流用されることを防止し、物流資材の滞留を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態によるICタグ2を貼り付けた物流物3が置かれている、物流資材1の例を示す図である。
1は物流資材であり、物流物3が置かれ、側面にICタグ2が貼り付けれられている。この物流資材1はパレットであるが、このパレットに限定されることはなく、カゴテナー、折畳コンテナー、通箱等形態は特に限定されたない。ただし、物流物3を図1のように上に置けたり、内部に置けたりするような形状である必要がある。
2はICタグであり、個別識別情報を格納するものである。ICタグ2に格納される個別識別情報は以下のシステムの説明の際に説明をするので、ここでは詳細に説明をしない。
ICタグ2が貼り付けられる位置は限定されることはなく、ICタグ3に格納された個別識別情報を読み取るICタグリーダが読み取れる場所に貼り付けられていればよい。
3は物流物であり、物流資材1により物流されるものであればどのような物でも良く、印刷物、食品、危険物等、液体、固体、気体と形態も限定されることはない。
なお、図1においてICタグ2は、実際よりも極めて大きく図示しており、実際に使われるICタグ2が図示されたものより極めて小さいことを、証明することは必要が無いものである。
【0016】
図2は、ICタグを設けた物流資材を管理するシステムの構成を示すブロック図である。
4は物流資材に貼り付けられているICタグ2に格納された個別識別情報を読み取り、ネットワーク5を通じて更新手段6、追記手段7に情報を送信するICタグリーダである。
ICタグリーダ4は、ネットワーク5に直接アクセスして情報を送信することも、コンピュータを通じてアクセスして情報を送信することも可能であり、特に特定される機能ではない。
また、ICタグリーダ4は、ICタグ2に個別識別情報を追記することができる。例えば、図1のように物流資材1の上に3つの物流物3が置かれており、この物流物3を1個物流資材1から取る場合に、ICタグリーダ4はICタグ2に直接1個取ったと追記することができるので、次の拠点でICタグ2に格納されたデータをICタグリーダ4で読み取れば、1つの物流物3がどの拠点で取られたのか分かるので、作業効率を上げることができ、不正に取られたこということが無いことが分かることと成る。
さらに、ICタグリーダ4は、ICタグ2に追記する個別識別情報を、ネットワーク5を通じて追記手段7に送信することができる。追記手段7は、格納データベース8に格納されている個別識別情報を追記することができる。
また、ICタグリーダ4はICタグ2から読み取った情報と一緒に読み取った拠点ID、日時等をネットワーク5を通じて更新手段6に送信することができる。更新手段6は、格納データベース8に格納されている個別識別情報を更新することができる。
【0017】
8はICタグ2に格納されている個別識別情報及び物流資材1の状況を管理する格納データベースである。また、図3には格納データベースに格納されている情報の例が記載さいされている。次いで、図3に記載されている格納データベース8の項目を説明する。なお、格納データベースに格納される情報は、本例に限定されることなく、システムの使用者が使用内容、使用状況い応じて独自に追加、変更することができるものである。
まず、格納データベース8に格納されている情報は、物流資材1に特定された固定ID000001である。ついで、格納されているのは管理元IDであり、システムを管理・運営者が物流資材1を最初に出荷する工場や、物流資材1を現在使用している、或いは、物流資材1が流通させている物流物3の製造、販売者、または、物流資材1を流通する流通業者等に付けているIDである。これらの固定ID、管理元ID等をステータスIDという。
次いで、倉庫a入庫1060101/2301とは物流資材1が倉庫aに入庫して、ICタグリーダ4によりICタグ2が読み取られた時間である。倉庫aで何らかの情報がICカード2に追記される場合は、上述したように格納データベース8にも追加される。また、ICタグリーダ4により読み取られたデータにより格納データベース8の情報が更新される。
なお、個別識別情報は格納データベースに格納されており、個別識別情報が少なくとも物理資材の固体ID、管理元ID等からなるステータスID、入庫、出庫、保管等の日時からなる。
図3には記載されていないが、格納データベース8には倉庫aの出庫時間、次の拠点が有る場合は、その拠点の入出庫時間等が格納されている。
また、ICタグ2に格納される情報と格納データべース8に格納されている情報はリンクしているが、格納データベース8に格納されている情報の全てが、ICタグ2に格納されているわけでなく、適宜選択されて格納されている。
【0018】
また、格納データベース8には、最初に物流資材1が搬送された、例えば、工場に戻ってきた場合に、戻り時間を格納することにより、物流資材1の使用1サイクルが終了したことになる。
そして、格納データベース8及びICタグ2のデータを書きかえれば、物流資材1を新しい物流物3を流通する手段として使用できることなり、物流資材1が再利用可能となる。このように物流資材1が再利用可能となるので、環境的にも貢献できることとなる。
さらに、このように、本発明のICタグ2を設けた物流資材1の管理システムにより、物流資材1及び物流物3の状態を把握することができるので、上述したような効果を得ることができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態によるICタグ2を貼り付けた物流物3が置かれて いる、物流資材1の例を示す図である。
【図2】この発明の一実施形態によるICタグを設けた物流資材の管理システムの 構成を示すブロック図である。
【図3】格納データベースに格納されたデータの例を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1・・・物流資材
2・・・ICタグ
3・・・物流物
6・・・更新手段
7・・・追記手段
8・・・格納データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別識別情報を格納したICタグを物流資材に貼着していることを特徴とするICタグ付き物流資材。
【請求項2】
前記個別識別情報が少なくとも物理資材の固体ID、管理元ID等からなるステータスID、入庫、出庫、保管等の日時からなることを特徴とする請求項1記載のICタグ付き物流資材。
【請求項3】
物流資材がカゴテナー、パレット、折畳コンテナー、通箱等からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のICタグ付き物流資材。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載のICタグ付き物流資材を管理するシステムであって、
ICタグに格納する個別識別情報を格納する格納データベース、
ICタグ付き物流資材に取り付けられたICタグからICタグリーダにより読み取られた情報をネットワークにより受信し格納データベースの個別識別情報を更新する更新手段と、
を含むことを特徴とするICタグを設けた物流資材の管理システム。
【請求項5】
ICタグリーダによりICタグに新規に登録される新規登録情報をネットワークにより受信し格納データベースの個別識別情報に追記する追記手段と、
を含むことを特徴とする請求項4記載のICタグを設けた物流資材の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−254031(P2007−254031A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76706(P2006−76706)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】