説明

IDカード発行システム及び暗証番号管理方法

【課題】IDカード交付業務の効率とセキュリティ性を向上させること。
【解決手段】IDカードの発行又は更新申請を受け付ける受付手段(20)と、前記受付情報に基づいてIDカードを作成して発行する発行手段(30)と、を備え、前記受付手段は、申請者がPIN情報を入力するための専用のPIN入力部(22)と、前記PIN情報を暗号化して前記申請書に出力する出力手段(24)とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDカード発行における暗証番号(PIN)の秘密保持に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
免許証等のIDカードのICカード化が画策されている(特許文献1参照)。このIDカードでは、登録データの読取り時に、PIN(暗証番号)情報の照合により本人確認を行うことにより、セキュリティが保たれるものとなっている。このPIN情報は、免許証の仕様上、IDカードの発行ごとに登録しておく必要がある。なお、カード作成後には、PIN情報の変更が行えないものとなっている。
【0003】
このようなIDカードの発行システムでは、申請書に記載されたPIN情報を他の記載情報とともに係員(オペレータ)の入力により、ホスト(情報管理コンピュータ)に登録され、顔画像の撮影時に、ホストから読み出した記載情報と顔画像データにPIN情報を付加してICカード内に登録するようになっている。
【0004】
この場合、申請者のPIN情報を係員である第3者が知り得る状況にあり、セキュリティ上問題がある。また、事前にPIN情報をホストへ登録する必要があり、すでに登録されている内容で更新処理を行うシステムであっても、その処理が余計にかかるものとなっている。
【0005】
このように、申請者が申請書に記入した保有者PIN情報を係員がホストコンピュータ10に登録し、その情報を基にIDカードの発行を行っている。また、IDカードに格納されている情報についてもデータが正しく登録されているか係員による確認が必要である。
【0006】
しかし、係員によるPIN情報の登録や確認には以下の問題点がある。
【0007】
(1)PIN情報の誤入力
(2)PIN情報を入力する時間がかかる
(3)作成後のIDカードのPIN情報を確認する時間がかかる
(4)個人のPIN情報を第三者である係員が知り得る
等の問題がある。
【特許文献1】特開2001−088478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、IDカード交付業務の効率とセキュリティ性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
また、保有者PIN情報の受け渡し(ID発行装置への取り込み)を撮影部読み取り用帳票(申請書等)に暗号化したサイン(バーコード等)を印字することで安全性の高いオフライン登録を実現する。
【0010】
本発明の局面に係る発明は、IDカードの発行又は更新申請を受け付ける受付手段と、前記受付情報に基づいてIDカードを作成して発行する発行手段と、を備え、前記受付手段は、申請者がPIN情報を入力するための専用のPIN入力部と、前記PIN情報を暗号化して前記申請書に出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、申請者によるPIN情報の管理を行うことにより、
(1)IDカード更新時のPIN情報の誤入力の防止
(2)IDカード更新時のPIN情報の入力の時間省略
(3)IDカード作成後のIDカード情報確認時間の短縮(PIN情報確認)
(4)基本的に係員は保有者PIN情報を知らずに済む
という効果があり、IDカード発行業務の省力化、セキュリティの向上、ひいては、係員誤入力によるトラブルの回避が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るIDカード発行システムの概略構成を示すブロック図である。
本発明の一実施形態に係るIDカード発行システムは、ホストコンピュータ10と、IDカード更新申請受付端末20と、IDカード発行装置(撮影部/印刷部)30とを備えている。
【0013】
ホストコンピュータ10はIDカードを作成するために必要な情報を格納するデータベースを有した装置である。
【0014】
IDカード更新申請受付端末20はIDカードの更新申請を受け付ける端末であり、旧IDカードからIDカード更新に必要な情報(ID番号等)を読み取るカードリーダ21と、PIN(暗証番号:本明細書では、「PIN」と称する)を入力するためのキー入力装置22、申請者保管用にPINを印字するプリンタ23、申請書等に暗号化し人間では読み取りにくいサイン(バーコード等)に変換したPIN情報を印字するプリンタ24を有している。
【0015】
IDカード発行装置30はIDカードに印画する顔写真を撮影する撮影部とIDカードの券面印刷及びIC等の記録媒体にデータの書き込みを行う印刷部から構成され、撮影部には暗号化されたバーコード等を読み取るバーコードリーダ31とPIN読み取り不可時に申請者によるPIN入力を行うための、キーボード等からなるキー入力装置32を有している。
【0016】
上記のように構成されたIDカード発行システムの動作を、図2及び図3を参照して説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るIDカード発行システムの申請受付に係る基本動作を示すフローチャートである。なお、図2に示すフローチャートは、IDカード更新申請受付端末20の基本動作(IDカード情報入力、PIN入力、保有者保管用PIN印字、撮影部読み取り用帳票(申請書等)印字)を示している。
【0017】
まず、更新申請する申請者は旧IDカードをIDカード更新申請受付端末20のカードリーダにセットする(ステップS21)。すると、IDカード更新申請受付端末20は、IDカード更新に必要な情報(例えば、ID番号等)を旧IDカード券面またはIDカード記録媒体(IC等)に格納されている情報から入力する。
【0018】
そして、申請者は、新IDカードに必要なPINをキー入力装置32より入力する(ステップS22)。この場合において、複数のPINを有するIDカードの場合は、申請者は、複数のPIN入力を行えるものとする。
【0019】
申請者によるPIN入力が完了したら、入力されたPINを保有者保管用に印字する(ステップS23)。更に、IDカード更新に必要な情報(ID番号等)及び新IDカードに登録するPINをIDカード発行装置30で読み取れるよう帳票(申請書等)に印字する(ステップS24)。この場合において、PINは暗号化し、人間が読み取りにくいバーコード等に変換し印字する。
【0020】
上記のようにして、更新申請の受付が完了する。次に、図3を参照して、IDカード作成の基本動作を説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るIDカード発行システムのIDカードの発行に係る基本動作を示すフローチャートである。
【0021】
IDカード発行装置30は、まず、バーコードリーダ31によりステップS24で作成した申請書を読み取り(ステップS31)、続いてID番号を読み取る(ステップS32)。ここで、ID番号が読み取れない場合には(ステップS32の不可)、キー入力装置32を用いてID番号を新たに入力して(ステップS33)、ステップS34の処理に進む。ステップS32において、ID番号が正常に読み取れた場合には、そのままステップS34の処理に進む。
【0022】
そして、バーコードリーダ31によりPINを読み取るが、PINが正常に読み取れない場合には(ステップS34の不可)、キー入力装置32を用いて、申請者が直接PINを入力した後に(ステップS35)、ステップS36の処理に進む。なお、PINが正常に読み取れた場合には(ステップS34の可)、ステップS36の処理に進む。
【0023】
そして、写真撮影を行い(ステップS36)、入力されたID番号をキーにしてホストコンピュータ10からIDカード作成に必要な情報を取得する(ステップS37)。ホストコンピュータ10から取得したIDカード情報と、IDカード発行装置30の撮影部で申請書またはキー入力装置で入力されたPIN情報と、撮影した写真とを、IDカード発行装置30の印刷部に送信して、IDカードを作成する(ステップS38)。
【0024】
上記の手順で得られた帳票例を図4に示す。図4は、本発明の一実施形態で出力される帳票例を示す図である。図4の(a)は、申請者の保管用帳票例であり、図4の(b)は、撮影部による読み取り用の帳票例である。
申請者保管用帳票は、申請者本人が保管するものであって、該帳票には、例えば、申請者自ら入力したPIN及びID番号などが印刷される。なお、PINの表示はPINの数に応じて印刷されるものとし、例えば、PINが2つであれば、例えば、
PIN1:○○○
PIN2:△△△
といったような表示が行われる。
【0025】
撮影部読み取り用帳票は、例えば、IDカードを発行するための申請書であって、ID番号や、暗号化され、かつバーコード化されたPINが印刷されている。従って、この申請書により、係員が申請者のPINを知ることはない。
【0026】
本発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。
例えば、申請者保管用帳票を申請書の代替えとして使用しても良い。なお、この場合には、申請者のPINを係員に知られることになり、セキュリティが低下する。
また、上記の実施形態では、IDカードの更新時について説明したが、IDカードの新規発行時にも適用できることはもちろんである。この場合には、旧IDカードの読み取りがなくなり、例えば、申請者が必要事項を申請書に入力すればよい。
さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【0027】
また、例えば各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係るIDカード発行システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るIDカード発行システムの申請受付に係る基本動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るIDカード発行システムのIDカードの発行に係る基本動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態で出力される帳票例を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
10…ホストコンピュータ
20…IDカード更新申請受付端末
21…カードリーダ
22…キー入力装置
23…プリンタ
24…プリンタ
30…IDカード発行装置
31…バーコードリーダ
32…キー入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IDカードの発行又は更新申請を受け付ける受付手段と、
前記受付情報に基づいてIDカードを作成して発行する発行手段と、を備え、
前記受付手段は、申請者がPIN情報を入力するための専用のPIN入力部と、前記PIN情報を暗号化して前記申請書に出力する出力手段とを備えたことを特徴とするIDカード発行システム。
【請求項2】
請求項1に記載のIDカード発行システムにおいて、前記出力手段は、前記暗号化されたPIN情報をバーコード化して前記申請書に出力することを特徴とするIDカード発行システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のIDカード発行システムにおいて、前記申請者の入力したPIN情報を暗号化せずに出力した申請者保管用帳票を申請者のみに発行する手段を更に具備することを特徴とするIDカード発行システム。
【請求項4】
IDカードの発行又は更新申請を受け付け、前記受付情報に基づいてIDカードを作成して発行する場合における暗証番号管理方法において、
申請者によるPIN情報の入力を受け付け、
前記PIN情報を、暗号化して前記申請書に出力することを特徴とする暗証番号管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−140023(P2008−140023A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324465(P2006−324465)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】