説明

IL−1媒介疾患を処置するためにIL−1インヒビターを使用する組合せ療法

【課題】関節の炎症性状態の処置のための治療方法および組成物を提供すること。
【解決手段】急性または慢性の炎症性疾患を処置するための方法であって、該方法は、急性または慢性の炎症性疾患の処置を必要とする患者に治療有効量のIL−1インヒビターおよびさらなる抗炎症薬物を投与する工程を包含し、ここで、該IL−1インヒビターおよび少なくとも1つのさらなる抗炎症化合物は分離して、または組み合わせて投与される、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、IL-1媒介疾患の分野に関する。より詳細には、本発明は、IL-1媒介疾患を予防または処置する目的のための組合せ療法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
炎症は、機械的傷害、感染、または抗原刺激によって引き起こされる損傷のような損傷に対する体の防御反応である。炎症反応は、炎症が自己抗原のような不適切な刺激によって誘導されるか、悪化した様式で発現されるか、または有害な薬剤の除去後に十分に持続する場合、病理学的に発現され得る。このような炎症反応は、あるサイトカインの産生を含み得る。
【0003】
炎症の病因はほとんど理解されていないが、かなりの情報が、最近、炎症の分子局面に関して得られている。この調査は、炎症の仲介において顕著に現れると考えられるあるサイトカインの同定を導いた。サイトカインは、細胞、特に、サイトカインの合成および放出の直接的領域にある細胞の行動を改変する細胞外タンパク質である。今までに発見された最も強力な炎症性サイトカインのひとつであり、そして多くの疾患および医学的状態における重要なメディエーターであると考えられるサイトカインは、インターロイキン−1(IL-1)である。マクロファージ/単球系列の細胞により(しかし排他的にではない)製
造されるIL-1は、二つの形態:IL-1アルファ(IL-1α)およびIL-1ベータ(IL-1β)で産生され得る。
【0004】
疾患または医学的状態は、自発的または実験的疾患または医学的状態、体液もしくは組織中のIL-1の上昇したレベルに関連するか、または身体から採取した細胞もしくは組織が、培養中に上昇したレベルのIL-1を産生するならば、「インターロイキン-1媒介疾患」であると考えられる。多くの場合、このようなインターロイキン-1媒介疾患はまた、以下のさらなる2つの状態によって認識される:(1)疾患または医学的状態に関連する病理学的
所見は、IL-1の投与によって動物において実験的に模倣され得る、および(2)疾患または
医学的状態の実験動物モデルで誘導された病理は、IL-1の作用を阻害する薬剤での処置によって阻害または破壊され得る。インターロイキン-1媒介疾患の大半では、3つの状態のうち少なくとも2つが満たされ、そしてインターロイキン-1媒介疾患の多くでは、3つの状態全てが満たされる。
【0005】
慢性関節リウマチおよび乾癬性関節炎のようなIL-1媒介疾患は、世界中の数百万のヒトを種々の程度まで苦しめそして無能にする、慢性の関節疾患である。慢性関節リウマチは、滑膜に由来する、パンヌスと呼ばれる増殖性の侵襲性結合組織によって軟骨および骨がゆっくり腐食される関節の疾患である。この疾患は、包、腱鞘、および腱のような関節周囲構造、ならびに皮下組織、心臓血管系、肺、脾臓、リンパ節、骨格筋、神経系(中枢および末梢)、および眼のような関節外組織を含み得る(非特許文献1)。
【0006】
慢性関節リウマチが、免疫遺伝学的に感受性の宿主に対する関連の抗原の提示から生じると考えられる。慢性関節リウマチで生じる免疫応答を潜在的に開始し得る抗原は、内因性または外因性であり得る。可能な内因性抗原には、コラーゲン、ムコ多糖、およびリウマチ因子が挙げられる。外因性抗原には、マイコプラズマ、ミコバクテリア、スピロヘータ、およびウイルスが挙げられる。免疫反応の副産物は、滑膜(すなわち、プロスタグランジンおよび酸素ラジカル)に炎症を起こし、そして破壊性関節変化(すなわち、コラゲ
ナーゼ)を誘発する。
【0007】
広い範囲の疾患の重篤度があるが、多くの患者は、ゆっくりした進行性関節破壊および変形の全体のパターンを伴って間欠性再発および寛解傾向の経過をたどる。臨床的症状発現は、影響を受けた関節の疼痛、圧痛、腫脹、および機能の喪失を伴う末梢関節の対称性多発性関節炎;早朝硬直;ならびに、軟骨の喪失、骨物質の腐食、および持続した炎症の後の関節の亜脱臼を含み得る。関節外症状発現は、リウマチ小結節、リウマチ様脈管炎、胸膜肺炎症、強膜炎、乾燥症候群、Felty症候群(巨脾腫および好中球減少症)、骨粗鬆
症、および体重減少を含む(非特許文献2、および非特許文献3)。臨床的症状発現は、患者の乱れた日常生活で生じる高程度の羅患率を生じる。
【0008】
IL-1と関節炎との間の原因のつながりを説明するために使用される一般的に認められている一つの学説は、IL-1が種々の細胞型(例えば、線維芽細胞および軟骨細胞)を刺激して、炎症誘発性もしくは分解性の化合物(例えば、プロスタグランジンE2およびメタロプロテイナーゼ)を産生および分泌させることである。関節炎でのインターロイキン-1の
関与は、2個の異なる系統の証拠により関連付けられている。
【0009】
第一に、インターロイキン−1、およびそれをコードするmRNAのレベルの増加は滑膜組織および関節の体液中で見い出された。例えば、非特許文献4;非特許文献5;および非
特許文献6を参照のこと。
【0010】
第二に、インターロイキン−1の健康な関節組織への投与は、軟骨および骨の侵食を生じる多くの根拠が示されている。一つの実験では、ウサギへのIL-1の関節内注入は軟骨の破壊をインビボで生じることを示した(非特許文献7)。他の研究では、IL-1は組織外植
片において軟骨および骨の両方の分解を生じることが示された(非特許文献8および非特許文献9)。さらに、IL-1のインヒビターを用いる慢性関節リウマチにおける最近の予備
的なヒトの臨床試験は有望な結果を示した(非特許文献10および非特許文献11)。
【非特許文献1】Silberberg (1985),Anderson's Pathology,Kissane(編),II:1828
【非特許文献2】Katz (1985),Am. J. Med.,79:24
【非特許文献3】KraneおよびSimon (1986),Advances in Rheumatology,Synderman (編),70(2):263-284
【非特許文献4】Buchanら、“Third Annual General Meeting of the British Society for Rheumatology”,London,England,1988年11月19〜21日,J.Rheumatol.,25(2)
【非特許文献5】Fontanaら、(1982),Rheumatology Int.,2:49-53
【非特許文献6】Duffら、(1988),Monokines and Other Non-Lymphocytic Cytokines,M.Powandaら、(編)、387-392頁(Alan R.Liss,Inc.)
【非特許文献7】Pettipherら、(1986),Proc.Nat'l Acad.Sci.U.S.A.,83:8749-8753
【非特許文献8】Saklatavalaら、(1987),Development of Diseases of Cartilage and Bone Matrix,SenおよびThornhill(編),291-298頁(AlanR.Liss,Inc)
【非特許文献9】Stashenkoら、(1987),The American Association of Immunologists,183:1464-1468
【非特許文献10】Bresnihanら、(1996),Arthritis and Rheumatism,39(9):S73
【非特許文献11】Wattら、(1996),Arthritis and Rheumatism,39(9):S123
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、関節の炎症性状態の処置のための治療方法および組成物を提供することである。本発明のこの目的および他の目的は、本明細書の以下の説明から明らかになる

【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明により、以下が提供される。
(項目1)急性または慢性の炎症性疾患を処置するための方法であって、該方法は、急性または慢性の炎症性疾患の処置を必要とする患者に治療有効量のIL−1インヒビターおよびさらなる抗炎症薬物を投与する工程を包含し、ここで、該IL−1インヒビターおよび少なくとも1つのさらなる抗炎症化合物は分離して、または組み合わせて投与される、方法。
(項目2)前記抗炎症性化合物がメトトレキセート(N-[4-[(2,4-ジアミノ-6-プテリジ
ニル)メチルアミノ]ベンゾイル]-L-グルタミン酸)である、項目1に記載の方法。
(項目3)前記IL-1インヒビターがIL-1レセプターアンタゴニストである、項目1に記載の方法。
(項目4)前記IL-1レセプターアンタゴニストが、IL-1raα、IL-1raβ、およびIL-1rax
からなる群からの少なくとも1つの化合物を含む、項目3に記載の方法。
(項目5)前記IL-1raが、ヒトの組換えIL-1raである、項目4に記載の方法。
(項目6)前記炎症性疾患が、関節の炎症性疾患である、項目1〜5のいずれかに記載の方法。
(項目7)前記関節の炎症性疾患が、慢性関節リウマチである、項目6に記載の方法。
(項目8)前記IL-1インヒビターおよび前記メトトレキセートが、薬学的に受容可能なキャリア中で投与される、項目2に記載の方法。
(項目9)IL-1インヒビターおよび少なくとも1つのさらなる抗炎症性化合物を含む、薬学的組成物。
(項目10)前記抗炎症性化合物がメトトレキセート(N-[4-[(2,4-ジアミノ-6-プテリ
ジニル)メチルアミノ]ベンゾイル]-L-グルタミン酸)である、項目9に記載の薬学的組成物。
(項目11)前記IL-1インヒビターがIL-1レセプターアンタゴニストである、項目9に記載の薬学的組成物。
(項目12)前記IL-1レセプターアンタゴニストが、IL-1raα、IL-1raβ、およびIL-1raxからなる群からの少なくとも1つの化合物を含む、項目11に記載の薬学的組成物。
(項目13)前記IL-1レセプターアンタゴニストが、ヒトの組換えIL-1raである、項目12に記載の薬学的組成物。
(項目14)前記ヒトの組換えIL-1raが約200mgまでの量で存在する、項目13に記載の
薬学的組成物。
(項目15)前記メトトレキセートが約25mgまでの量で存在する、項目10に記載の薬学的組成物。
(項目16)IL-1インヒビターの投与と組合せた、哺乳動物の急性または慢性の疾患を処置するための薬物の調製における、IL-1インヒビター以外の抗炎症性化合物の使用。
(項目17)前記抗炎症性化合物がメトトレキセートである、項目16に記載の使用。
(項目18)前記薬物における前記メトトレキセートの量が、約25mgまでである、項目17に記載の使用。
(項目19)前記メトトレキセートが経口投与される、項目16〜18に記載の使用。
(項目20)さらなる抗炎症性化合物の投与と組み合わせた、哺乳動物で急性または慢性炎症性疾患を処置するための薬物の調製における、IL-1インヒビターの使用。
(項目21)前記抗炎症性化合物がメトトレキセートである、項目20に記載の使用。
(項目22)前記IL-1インヒビターがIL-1レセプターアンタゴニストである、項目20に記載の使用。
(項目23)前記IL-1レセプターアンタゴニストが、IL-1raα、IL-1raβ、およびIL-1raxからなる群から選択される少なくともひとつの化合物を含む、項目22に記載の使用。
(項目24)前記IL-1レセプターアンタゴニストがヒトの組換えIL-1raである、項目23
に記載の方法。
(項目25)前記薬物中のIL-1インヒビターが約200mgまでの量で存在する、項目20〜
24に記載の使用。
(項目26)前記メトトレキセートが経口投与される、項目21〜25に記載の使用。
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、患者においてIL-1媒介疾患の予防および処置するための組合せ療法に関する。本発明は、詳細には、リウマチ病を含むIL-1媒介疾患および全身性炎症、ならびにそれらに関連する体重減少を、予防および処置するためのIL-1インヒビターを使用する組合せ療法に関する。本明細書で言及される処置のタイプは、ヒトを含む哺乳動物について意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の組成物および方法は、IL-1媒介の疾患に苦しむ動物への任意の一つ以上の抗炎症性の薬物と組合せたIL-1インヒビターの有効量の投与および/もしくは療法を含む。好ましい動物被験体はヒトである。
【0015】
インターロイキン−1インヒビターは、IL-1の細胞レセプターの活性化を特異的に防止し得る任意のタンパク質由来であり得る。インターロイキン−1インヒビターのクラスは以下を含む:インターロイキン−1レセプターのアンタゴニスト(例えば、IL-1ra、以下に記載される);抗IL-1レセプターモノクローナル抗体(例えば、EP623674、この開示は本明細書中に参考として援用される);IL-1結合タンパク質(例えば、可溶性のIL-1レセプター(例えば、米国特許第5,492,888号、米国特許第5,488,032号、米国特許第5,484,937号、米国特許第5,319,071号、および米国特許第5,180,812号、これらの開示は本明細書
中に参考として援用される));抗IL-1モノクローナル抗体(例えば、WO 9501997、WO
9402627、WO 9006371、米国特許第4,935,343号、EP364778、EP267611およびEP220063
、これらの開示は本明細書中に参考として援用される);IL-1レセプター付属(accessory)タンパク質(例えば、WO96/23067、これの開示は参考として援用される)、ならびにIL-1のインビボ合成または細胞外放出をブロックする他の化合物およびタンパク質が含まれ
る。
【0016】
インターロイキン-1レセプターアンタゴニスト(IL-1ra)はインターロイキン1の天然のインヒビターとして作用するヒトのタンパク質であり、これはIL-1αおよびIL-1βを含むIL-1ファミリーのメンバーの一員である。好ましいレセプターアンタゴニスト、ならびにその作製方法および使用方法は、米国特許第5,075,222号;WO 91/08285;WO 91/17184;AU 9173636;WO 92/16221;WO 93/21946;WO 94/06457;WO 94/21275;FR 2706772;WO 94/21235;DE 4219626,WO 94/20517;WO 96/22793およびWO 97/28828に記載され、これ
らの開示は本明細書中に参考として援用される。このタンパク質は、グリコシル化されたIL-1レセプターアンタゴニスト、およびグリコシル化されていないIL-1レセプターアンタゴニストを含む。
【0017】
具体的には、3個の有用な形態のIL-1raおよびその改変体が5,075,222号特許で開示お
よび記載されている。これらのうちの第一のもの、IL-1raαは、Mono Q FPLCカラムか
らTris緩衝液(pH7.6)中の約52mM NaClで溶出する4.8のおよその等電点を有する、SDS-PAGEで22〜23kDの分子として特徴付けられる。第二のもの、IL-1raβは、48mM NaClでMono Qカラムから溶出する、22〜23kDのタンパク質として特徴付けられる。IL-1raαのIL-1raβの両方はグリコシル化されている。第三のもの、IL-1raxは、48mM NaClでMono Qカラムから溶出する、20kDのタンパク質として特徴付けられ、そしてグリコシル化されていない。5,075,222号特許もまた、インヒビターをコードする遺伝子の単離方法、適切なベ
クターおよび細胞型の遺伝子のクローニング方法、ならびに遺伝子を発現させインヒビターを産生するための方法を開示する。
【0018】
本発明の目的のため、IL-1raのアミノ酸が、(1)欠失されている(「欠失改変体」)か、(2)挿入されている(「付加改変体」)か、または(3)置換されている(「置換改変体」)IL-1raおよびIL-1raの改変された形態は、まとめて「IL-1raタンパク質」と呼ばれる。[他に指示がなければ、本明細書に記載の分子についてのアミノ酸番号付けは、配列番号2のアミン酸Arg-Glu152によって示されるように、分子の成熟形態(すなわ
ち、シグナル配列がない)について示されるものに対応し、このような配列のそれぞれの最初のMETは、残基番号「0」である。]
欠失、挿入、および置換の多くの組み合わせ(個々にまたはまとめて「改変体」)が、IL-1raのアミノ酸配列内で作製され得る(但し、得られる分子が生物学的に活性である(例えば、IL-1を阻害する能力を有する))ことは、当業者に理解される。
【0019】
IL-1ra改変体は、その物理学的特性を評価するために迅速にスクリーニングされ得る。このような改変体が、類似のIL-1阻害特性を示すが、IL-1raとすべて同じ特性を示す必要も、IL-1raと同じ程度の特性を示す必要も必ずしもないことが、理解される。
【0020】
アミノ酸配列改変体の構築において2つの主な変更がある:変異部位の位置および変異の性質。改変体を設計するにおいて、各変異部位の位置および各変異の性質は、改変されるべき生化学的特徴に依存する。各変異部位は、例えば、(1)標的アミノ酸残基を欠失さ
せること、(2)位置決めした部位に隣接する1つ以上のアミノ酸残基を挿入すること、ま
たは(3)まず保存的アミノ酸選択で、次いで、達成された結果に依存して、よりラジカル
な選択で置換することによって、個々にまたは連続して改変され得る。
【0021】
アミノ酸配列欠失は、一般的に、約1〜30アミノ酸残基、好ましくは約1〜20アミノ酸残基、より好ましくは約1〜10アミノ酸残基、および最も好ましくは約1〜5の連続する残基の範囲である。アミノ末端、カルボキシ末端、および内部配列内欠失が意図される。IL-1raのアミノ酸配列内の欠失は、例えば、IL-1ファミリーの他のメンバーの配列と相同性が低い領域で、作製され得る。IL-1ファミリーの他のメンバーの配列と実質的な相同性がある領域でのIL-1raのアミノ酸配列内の欠失は、生物学的活性を顕著に改変する可能性がより高い。
【0022】
アミノ酸配列付加は、1残基から100以上の残基までの長さの範囲のアミノおよび/ま
たはカルボキシル末端融合物の挿入、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の内部配列内挿入を含み得る。内部付加は、一般的に、約1〜20アミノ酸残基、好ましくは約1〜10アミノ酸残基、より好ましくは約1〜5アミノ酸残基、および最も好ましくは約1〜3アミノ酸残基の範囲であり得る。IL-1raのアミノ酸配列内の付加は、IL-1ファミリーの他のメンバーの配列との相同性が低い領域で作製され得る。IL-1ファミリーの他のメンバーの配列と実質的な相同性がある領域でのIL-1raのアミノ酸配列内の付加は、生物学的活性を顕著に改変する可能性がより高い。付加は、好ましくは、IL-1ファミリーメンバーの配列に由来するアミノ酸配列を含む。
【0023】
アミノ末端付加は、メチオニンの付加を(例えば、細菌組換え細胞培養物中での直接発現の人工物として)含むことが意図される。アミノ末端付加のさらなる例は、組換え宿主細胞からのタンパク質の分泌を容易にするために、シグナル配列のIL-1raのアミノ末端への融合を含む。このようなシグナル配列は、一般的に、目的の宿主細胞種から得られ、したがってこれに相同である。IL-1raの天然のままのシグナル配列を認識しない原核生物宿主細胞については、シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダー配列の群から選択される原核生物シグナル
配列によって置換され得る。酵母細胞における発現については、各ポリペプチドは、例えば、酵母インベルターゼ、α因子、または酸性ホスファターゼリーダー配列の群から選択されるシグナル配列を有し得る。哺乳動物細胞の発現では、IL-1raの自然のシグナル配列(米国特許第5,075,222号)は十分だが、他の哺乳動物のシグナル配列は適切であり得る
(例えば、他のIL-1ファミリーのメンバーに由来する配列)。
【0024】
アミノまたはカルボキシ末端付加の例には、ヒト免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常ドメイン(個々にまたはまとめて、「IL-1ra Fc」)のすべてまたは一部とのIL-1raタンパク質のアミノ末端またはカルボキシ末端融合物を含むキメラタンパク質が含まれる。それぞれの免疫グロブリン部分が、IgG(例えば、IgG1またはIgG3)、IgA、IgM、またはIgEのようなヒト免疫グロブリンの重鎖の定常領域の第1ドメイン以外のドメインのすべてを含む、このようなキメラポリペプチドが好ましい。当業者は、IL-1raタンパク質部分がなおIL-1を阻害しそして免疫グロブリン部分が1つ以上のその特徴的特性を示す限り、免疫グロブリン部分の任意のアミノ酸が、欠失されるかまたは1つ以上のアミノ酸と置換され得ること、または、1つ以上のアミノ酸が付加され得ることを理解する。
【0025】
改変体の他の群は、IL-1raのアミノ酸配列のアミノ酸置換改変体である。これらは、IL-1raの少なくとも1つのアミノ酸残基が除去されそして異なる残基が代わりに挿入される改変体である。置換改変体は、アミノ酸変化を生じても生じなくてもよい種集団の天然に存在するヌクレオチド配列変化によって特徴づけられる、対立遺伝子改変体を含む。当業者は、可能な変異部位の選択において、ポリペプチドの結合または活性部位について公知の任意の情報を使用し得る。例示的な置換改変体は、WO 91/17184,WO 92/16221,WO 96/09323で教示される。
【0026】
タンパク質の変異誘発のためのアミノ酸残基または領域を同定するための1つの方法は、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれ、CunninghamおよびWells (1989),Science,244:1081-1085に記載され、この開示は参考として本明細書に援用される。この方法で
は、タンパク質のアミノ酸残基または標的残基群は、同定され(例えば、Arg、Asp、His
、Lys、およびGluのような荷電残基)、そして細胞中または細胞外の周囲の水性環境とのアミノ酸の相互作用に影響を及ぼすために、中性または負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)によって置換される。次いで、置換に対して機能的感受性を示すドメイン/残基は、置換部位で付加または代替残基を導入することによって特定される。したがって、アミノ酸配列改変を導入するための部位は、予め決定される。所定の部位での変異の性能を最適にするために、アラニンスキャニングまたはランダム変異誘発が行われ得、そして改変体は、所望の活性および活性の程度の最適な組み合わせについてスクリーニングされ得る。IL-1raのレセプター結合部位は、広範な部位特異的変異誘発法によりマッピングされた(Evansら、(1994),The Journal of Biological Chemistry,270(19):11477-11483)。
【0027】
置換変異誘発のための最大の目的の部位は、IL-1ra内に見出される特定のアミノ酸が、側鎖のかさ高さ、電荷、および/または疎水性の点で、IL-1ファミリーの他の多様な種または他のメンバーとは実質的に異なる部位を含む。目的の他の部位は、IL-1raの特定の残基が、他の種または他のIL-1ファミリーメンバーの中で同一である部位を含む。なぜなら、このような位置は、一般的に、タンパク質の生物学的活性に重要であるからである。当業者は、最初にこれらの部位が比較的保存的な方法での置換によって改変されるべきであることを理解する。
【0028】
このような保存的置換を、「好ましい置換」の表題の下で表1に示す。このような置換が生物学的活性の変化を生じるならば、より実質的な変化(代表的置換)が導入され得、そして/または他の付加/欠失が作製され得そして得られるポリペプチドがスクリーニン
グされる。
【0029】
(表1:アミノ酸置換)
【0030】
【表1】

このような変化を作成するにおいて、アミノ酸のハイドロパシーインデックスが考慮され得る。相互作用する生物学的機能をタンパク質に与えることにおけるハイドロパシーアミノ酸インデックスの重要性は、一般的に、当該技術分野で理解される(KyteおよびDoolittle (1982),J. Mol. Biol.,157:105-131、この開示は参考として本明細書に援用さ
れる)。あるアミノ酸が、類似のハイドロパシーインデックスまたはスコアを有する他のアミノ酸と置換され、そしてなお類似の生物学的活性を保持し得ることは公知である。
【0031】
類似のアミノ酸の置換が、親水性に基づいて、特に、それによって生成される機能的に等価なタンパク質またはペプチドが、本発明の場合のように、免疫学的実施態様での使用について意図される場合、効果的に行われ得る。米国特許4,554,101(この開示は参考と
して本明細書に援用される)は、隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるように、タンパク質の最大の局所的平均親水性が、その免疫原性および抗原性と、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関すると述べる。
【0032】
米国特許4,554,101はまた、親水性に基づいて一次アミノ酸配列からのエピトープの同
定および調製を教示する。米国特許4,554,101に開示された方法によって、当業者は、例
えば、IL-1raのアミノ酸配列内の、エピトープを同定し得る。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」とも呼ばれる。多くの科学刊行物が、アミノ酸配列の分析からの、二次構造の予測およびエピトープの同定に関している(ChouおよびFasman (1974),Biochemistry,13(2):222-245;ChouおよびFasman (1974),Biochemistry,13(2):221-222;Chouお
よびFasman (1978),Adv. Enzymol. Relat. Areas Mol. Biol.,47:45-148;Chouお
よびFasman (1978),Ann. Rev. Biochem.,47:251-276、およびChouおよびFasman (1979),Biophys. J.,26:367-384、これらの開示は参考として本明細書に援用される)。さらに、タンパク質の抗原性部分およびエピトープコア領域を予測することを助けるためのコンピュータプログラムが、現在利用可能である。例としては、Jameson-Wolf分析に基づくプログラム(JamesonおよびWolf (1988),Comput. Appl. Biosci.,4(1):181-186、およびWolfら (1988),Comput. Appl. Biosci.,4(1):187-191、これらの開示は参考として
本明細書に援用される);プログラムPepPlot(登録商標)(Brutlagら (1990),CABS,6:237-245、およびWeinbergerら (1985),Science,228:740-742、これらの開示は参考とし
て本明細書に援用される);およびタンパク質三次構造予測のための他のプログラム(FetrowおよびBryant (1993),BIOTECHNOLOGY,11:479-483、この開示は参考として本明細書
に援用される)が挙げられる。
【0033】
逆に、IL-1raの機能的および/または化学的特徴の実質的改変は、(a)例えば、シート
またはヘリカルコンホメーションのような、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位でのタンパク質の相対電荷または疎水性、または(c)側鎖のバルク、を維持することにおける効果が著しく異なる置換を選択することによって達成され得る。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて群に分けられる:
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
5)芳香族:Trp、Tyr、Phe;および
6)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro。
【0034】
非保存的置換は、これらの群の1つのメンバーのもう1つへの交換を包含し得る。このような置換された残基は、例えば、他のIL-1ファミリーメンバーと相同的であるIL-1raの領域に、またはタンパク質の非相同的領域に、導入され得る。
【0035】
種々のアミノ酸置換または欠失は、N結合またはO結合したグリコシル化部位を改変または付加するために作成され得、変化したグリコシル化を有するタンパク質を生じる。配列は、グリコシル化部位を付加するために、あるいはIL-1raからのN結合またはO結合したグリコシル化部位を欠失するために、改変され得る。アスパラギン結合したグリコシル化認識部位は、適切な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列を含む。これらのトリペプチド配列は、Asn-Xaa-ThrまたはAsn-Xaa-Serのいずれかであり、ここでXaaはPro以外の任意のアミノ酸であり得る。
【0036】
IL-1raの配列の特異的変異は、アミノ末端、カルボキシ末端、またはN結合またはO結合した炭水化物の付加によって改変されるタンパク質の任意の部位で非天然アミノ酸の置換を包含し得る。このような改変は、アミノ酸(例えば、システイン)の付加に特に有用であり得、これは誘導体を形成するために水溶性ポリマーの連結に有利である。例えば、WO 92/16221は、IL-1raムテインの調製を記載し、例えば、ここで、天然の残基は、システインに変化される。
【0037】
特定の実施態様において、好ましくは種々のポリペプチドは、IL-1ra(配列番号2)の
アミノ酸に実質的相同である。本明細書中で用いられる用語「実質的に相同」は、80%を
超える、好ましくは90%を超える、より好ましくは95%を超える、最も好ましくは99%さえ
も超える、相同の程度を意味する。本明細書中に記載される相同のパーセンテージは、100アミノ酸長の4つのギャップがDayhoff(1972) Atlas of Protein Sequence and Structure,5: 124,National Biochemical Research Foundation,Washington,D. C.(
この開示は参考として本明細書中で援用される)により示されるように、このアライメン
ト中で補助されるように導入され得る場合、比較される配列中の同一のアミノ酸残基と整列する2つの配列のうちより小さい配列中に見出されるアミノ酸残基のパーセンテージとして計算される。抗体と配列番号2のアミノ酸配列との交差反応の効力により単離され得るか、または遺伝子が配列番号1のDNAまたはそのセグメントとのハイブリダイゼーショ
ンを介して単離され得るIL-1raの変異体もまた、用語「実質的に相同」内に含まれる。
【0038】
ポリペプチド誘導体
タンパク質(本明細書中で「誘導体」として表される)の修飾特性のためにポリマーに連結されるタンパク質であるIL-1raタンパク質の化学的に修飾された誘導体は、本発明の範囲内に含まれ得る。このような誘導体は、本明細書中の開示が提供される場合、当業者により調製され得る。結合体は、グリコシル化、非グリコシル化または脱グリコシル化IL-1raタンパク質および適切な化学部分を使用して調製され得る。代表的には、非グリコシル化タンパク質および水溶性ポリマーが使用される。
【0039】
水溶性ポリマーは、各々の関連するタンパク質が生理学的な環境のような、水溶液環境中で沈澱しないために所望される。好ましくは、このポリマーは、治療物質または組成物の調製に製薬学的に許容である。当業者は、ポリマー/タンパク質結合体が治療的に、そしてもしそうならばタンパク質(例えば、徐放期間、タンパク質分解に対する抵抗性、効果、例えあったにしても、投薬量について、;生物学的活性;扱いやすさ;抗原性の程度または欠失;および治療タンパク質についての水溶性ポリマーの他の公知の効果)の治療側面が使用されるかどうかのような考慮に基づいて、所望のポリマーを選択し得る。
【0040】
適切な、臨床的許容性の、水溶性のポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ
エチレングリコールプロピオンアルデヒド、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、モノメトキシポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ−1、3−ジオ
キソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(β−アミノ酸)(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのどちらか)、ポリ(n−ビニルピ
ロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー(PPG)およ
び他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(POG)(例えば、グリセロール)および他のポリオキシ
エチル化ポリオール、ポリオキシエチル化ソルビトール、またはポリオキシエチル化グルコース、コロン酸(colonic acid)または他の炭水化物ポリマー、Ficollまたはデキスト
ランおよびその混合物を含有するが、これらに限定されない。本明細書中で使用されるように、ポリエチレングリコールは、モノ-(C1〜C10)アルコキシポリエチレングリコールまたはアリロキシポリエチレングリコールのような他のタンパク質を誘導するために使用される任意の形体を包含することを意味する。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水溶液中のその安定性のために、製造における利点を有し得る。
【0041】
水溶性ポリマーはそれぞれ、いかなる分子量のポリマーであり得、そして枝分かれし得、または枝分かれし得ない。一般に、より大きい分子量、またはより多い枝分かれ、より大きいポリマー:タンパク質比。水溶性ポリマーはそれぞれ、代表的に、約2kDaと約100kDaとの間の平均分子量を有する(用語「約」は、述べられた分子量と比較して、水溶性
ポリマーの処理において、いくつかの分子がより重く、いくつかはより軽いことを示す)。各々の水溶性ポリマーの平均分子量は、好ましくは、約5kDaと約40kDaとの間であり、
より好ましくは約10kDaと約35kDaとの間であり、そして最も好ましくは、約15kDaと約30kDaとの間である。
【0042】
反応性水溶性分子とのアシル化反応またはアルキル化反応(好ましくは、アミノ末端側
化学的修飾タンパク質を生産する)を含む、当業者に利用可能な多くの結合方法がある。例えば、EP 0 401 384; Malikら、(1992),Exp. Hematol.,20:1028ー1035; Francis
(1992),Focus on Growth Factors,3(2): 4-10,Mediscriptにより出版,Mountain Court,Friern Barnet Lane,London N20 OLD,UK; EP 0 154 316; EP 0 401 384; WO 92/16221;WO 95/ 34326; WO 95/13312; WO 96/11953; WO 96/19459 およびWO 96/19459およびポリエチレングリコール化(pegylation)に関する本明細書中で引用される他の出版物を参照のこと、これらの開示は、参考として本明細書中に引用される。
【0043】
本発明の特別な実施態様は、約20kDaまたは約33kDaのどちらかの平均分子量(例えば、30kDaと35kDaとの間)を有する枝分かれしないモノメトキシポリエチレングリコールアルデヒド分子であるか、またはIL-1raタンパク質に還元性アルキル化を介して結合する約33kDaの平均分子量(例えば、30kDaと35kDaとの間)を有するターシャルブチルポリエチレング
リコールアルデヒドである。
【0044】
ポリエチレングリコール化はまた、少なくとも1つの反応性ヒドロキシル基(例えば、ポリエチレングリコール)を有する水溶性ポリマーを使用して特に実施され得る。水溶性ポリマーは活性化された基と反応され得、それによって、修飾された種々のタンパク質に有用な、「活性化されたリンカー」が形成される。活性化されたリンカーは、単官能性、二官能性、または多官能性であり得る。
【0045】
2つまたはそれ以上のタンパク質に対する水溶性ポリマーに結合させるために使用され得る活性化された基は、以下を含有する:スルホン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフレート、トレシレート、アジジリン、オキシランおよび5−ピリジル。この方法で使用され得る反応性スルホン基を有する有用な試薬は、クロロスルホン、ビニルスルホン、およびジビニルスルホンを含むが、これらに限定されない。これらのPEG誘導体
は、約11またはそれ未満のpHの水性環境の拡張した期間加水分解に対して安定であり、そして加水分解的に安定である結合体を形成するための分子と結合を形成し得る。2つの特に有用なホモ二官能性の誘導体は、PEG-ビス−クロロスルホンおよびPEG-ビス−ビニルスルホンである(WO 95/13312)。
【0046】
多価型
多価型(すなわち1つ以上の活性部分からなる分子)を、構築し得る。1つの実施態様において、この分子は、複数のインターロイキン−1レセプターアンタゴニスト部位を有し得る。さらに、この分子は少なくとも1つのインターロイキン−1レセプターアンタゴニスト部位、そして、多価型の所望される特徴に依存して、別の分子の少なくとも1つの部分(例えば、IL-1raタンパク質、および以下に記載するようなTNFbp生成物)を所有し
得る。
【0047】
1つの実施態様において、多価型は、例えば、少なくとも1つのIL-1raタンパク質または臨床的に受容可能な任意のリンカー(例えば、水溶性ポリマー)を有する別の部分との化学的カップリングにより構築され得る。原則として、このリンカーは新たな免疫原性を提供してはならず、また、新たなアミノ酸残基の性質により、その体内分布およびクリアランスに影響する構造の疎水性および電荷バランスを変えてはならない。
【0048】
水溶性ポリマーは、本明細書に列挙したモノマーに基づいて、ホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマー、ターポリマー(terpolymer)直鎖または枝、置換、非置換であり得る。このポリマーは、任意の長さもしくは分子量であり得るが、これらの特徴は生物学的特性に影響し得る。薬学的な適用での減少するクリアランスの速度について特に有用なポリマーの平均分子量は、2,000〜35,000ダルトンの範囲である。さらに、
ポリマーの長さは、所望される生物学的活性を最適化もしくは与えるように変化され得る。
【0049】
活性成分は従来のカップリング技術を使用して結合され得る(WO 92/16221,WO 95/13312およびWO 95/34326を参照のこと、これらの開示は本明細書中で参照により援用され
る)。例えば、WO 92/16221およびWO 95/34326は、種々の二量体化されたIL-1ra分子の調製を記載する。
【0050】
あるいは、二価の分子は、ポリペプチドリンカー領域により分離されるIL-1raタンパク質(複数)の2つのタンデム反復から成り得る。ポリペプチドリンカーの設計は、タンパク質のデノボ設計においてドメイン間の短いループ配列の挿入物の設計に類似する(Mutter(1988),TIBS,13:260-265ならびにReganおよびDeGrado(1988),Science,241:976-978、
これらの開示は本明細書中で参照により援用をされる)。いくつかの異なるリンカー構築物がアセンブルされ、そして単鎖抗体を形成するために有用であることが示された;最も機能的なリンカーは、疎水性配列を共に構成する12〜15のアミノ酸(非反応性側基を有するアミノ酸、例えば、アラニン、セリン、およびグリシン)のサイズで変動し、可溶性を増強するための反対の電荷を持ついくつかの残基を有し、そして可撓性である(Whitlow
およびFilpula(1991),Methods:A Companion to Methods in Enzymology,2:97-105;
ならびにBrigidoら、(1993)J.Immunol.,150:469-479、これらの開示は本明細書中で参照
により援用がされる)。
【0051】
さらに、IL-1raタンパク質はビオチンと化学的にカップリングし得、次いで生じる結合体は、アビジンと結合し、三価のアビジン/ビオチンIL-1raタンパク質分子を生じ得る。IL-1raタンパク質はまた、ジニトロフェノール(DNP)またはトリニトロフェノール(TNP)に共有結合し得、そして、得られる結合体は、抗DNPまたは抗TNP-IgMで沈澱させて、十量体の結合体を形成し得る。
【0052】
なお別の実施態様において、組換え融合タンパク質がまた産生され得、ここで、各々の組換えキメラ分子は、ヒト免疫グロブリンの重鎖または軽鎖の定常ドメインの全てまたは部分、しかし少なくとも1つの定常ドメインのアミノ末端またはカルボキシル末端に融合したIL-1raタンパク質配列を有する。例えば、キメラ型IL-1raタンパク質/IgG1(またはIgG1/IL-1raタンパク質)融合タンパク質は、軽鎖含有キメラ遺伝子:IL-1raタンパク質/ヒ
トκ軽鎖キメラ(IL-1raタンパク質/Ck)またはヒトκ軽鎖/IL-1raタンパク質キメラ(Ck/IL-1raタンパク質);または重鎖含有キメラ遺伝子:IL-1raタンパク質/ヒトγ−1重鎖キメラ(IL-1raタンパク質/Cg-1)またはヒトγ−1重鎖/IL-1raタンパク質キメラ(Cg-1/IL-1raタンパク質)から産生され得る。重鎖キメラ遺伝子、または軽鎖含有遺伝子および重鎖キ
メラ遺伝子の転写および翻訳に続いて、遺伝子産物は、二価で示されたIL-1raタンパク質を有する単一のキメラ分子へアセンブリされ得る。このようなキメラ分子の構築に関連するさらなる詳細は、米国特許第5,116,964号、WO 89/09622,WO 91/16437およびEP315062に開示される。これらの開示は本明細書中で参考として援用される。
【0053】
なおさらなる実施態様において、組換え融合タンパク質がまた産生され得、ここで各組換えキメラ分子は、本明細書中に記載される、少なくとも1つのIL-1raタンパク質、およびヨーロッパ特許出願第96309363.8号(この開示は本明細書中で参考として援用される)で開示されるオステオプロトゲリン(osteoprotogerin)の186〜401の領域の少なくとも一
部分を有する。IL-1raタンパク質またはオステオプロトゲリン(osteoprotogerin)部分の
いずれかは、キメラ分子のアミノ末端またはカルボキシ末端にあり得る。
【0054】
IL-1raタンパク質の合成
IL-1raタンパク質の産生は、以下においてさらに詳細に記載される。このようなタンパ
ク質は、例えば、組換え技術によりまたはインビトロ化学合成タンパク質により調製され得る。
【0055】
ポリヌクレオチド
本明細書に基づいて、そして普遍的コドン表を使用して、当業者は、IL-1raタンパク質のアミノ酸配列をコードする全ての核酸配列を容易に決定し得る。
【0056】
以下に示す説明書に従って行われる組換え発現技術は、個々のこのようなポリヌクレオチドを産生するため、およびコードされたタンパク質を発現するために、従われ得る。例えば、IL-1raタンパク質をコードする核酸配列を有用なベクターへ導入することにより、当業者は、多量の所望のヌクレオチド配列を容易に生産し得る。次いで、この配列は、検出プローブまたは増幅プライマーを生成するために使用し得る。あるいは、IL-1raタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、発現ベクター中に挿入し得る。有用な宿主中へ発現ベクターを導入することにより、所望されるタンパク質が、大量に産生され得る。
【0057】
本明細書でさらに記載されるように、所望の核酸配列の伝搬および/または所望されるタンパク質の産生に利用し得る多数の宿主/ベクター系が存在する。これは、プラスミド、ウイルスおよび導入ベクター、ならびに原核生物および真核生物宿主が含まれるが、これらに限定されない。当業者は、本発明の配列を産生または発現するために、異種DNAを
伝達または発現し得る宿主/ベクター系を適合させ得る。
【0058】
さらに、本発明の開示を鑑みて、本発明の範囲内の核酸配列には、図1の核酸配列、ならびにその縮重核酸配列、IL-1raの改変体をコードする核酸配列、および(以下のcDNAライブラリースクリーニングセクションに開示されるハイブリダイゼーション条件またはそれに等価な条件またはよりストリンジェントな条件下で)図1の核酸配列の相補物にハイブリダイズする核酸配列が含まれることが当業者に明らかである。
【0059】
所望のタンパク質をコードするDNA配列とともにベクターDNAを含む組換えDNA構築物も
また、本発明によって提供される。各々のこのようなDNA構築物には、所望のタンパク質
をコードする核酸配列が(シグナルペプチドありまたはなしで)、選択された宿主においてその所望のタンパク質の複製および/または発現を指向し得る適切な発現制御配列また
は調節配列と作動可能に結合している。
【0060】
組換え発現
ポリヌクレオチドの調製
IL-1raタンパク質をコードする核酸配列は、化学合成、cDNAもしくはゲノムライブラリースクリーニング、発現ライブラリースクリーニング、および/またはcDNAのPCR増幅を含むが、これらに限定されない種々の様式で容易に得られ得る。これらの方法およびこのような核酸配列を単離するのに有用な他の方法は、その開示が本明細書中で参考として援用されるSambrookら (1989),Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring
Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY; Ausubelら(1994),Current Protocols in Molecular Biology,Current Protocols Press;ならびにBergerおよびKimmel (1987),Methods in Enzymology: Guide to Molecular Cloning Techniques,Vol. 152,Academic Press,Inc.,San Diego,CAに示される。
【0061】
所望のタンパク質をコードする核酸配列の化学合成は、当該分野で周知の方法(例えば、Engelsら(1989),Angew. Chem. Intl.編、28:716-734およびWellsら(1985),Gene,34:315、その開示が本明細書中で参考として援用される)によって達成され得る。これらの方法には、とりわけ、核酸配列合成のホスホトリエステル、ホスホルアミダイト、およびH-ホスホネート法が含まれる。大きな核酸配列(例えば、約100ヌクレオチド長より大き
いもの)が、いくつかのフラグメントとして合成され得る。次いで、フラグメントは、一緒に連結されて適切な核酸配列を形成し得る。好ましい方法は、標準的なホスホルアミダイト化学を使用するポリマー支持合成である。
【0062】
あるいは、適切な核酸配列は、適切なcDNAライブラリー(すなわち、タンパク質を発現すると考えられる1つ以上の組織供給源から調製されるライブラリー)またはゲノムライブラリー(総ゲノムcDNAから調製されるライブラリー)をスクリーニングすることによって得られ得る。cDNAライブラリーの供給源は、代表的には、適切な量の所望のタンパク質を発現すると考えられる任意の種由来の組織または細胞の供給源である。ゲノムライブラリーの供給源は、所望のタンパク質をコードする遺伝子を保有すると考えられる任意の哺乳動物または他の種由来の任意の組織であり得る。
【0063】
ハイブリダイゼーション培地は、ライブラリーに存在するcDNAまたは遺伝子と選択的にハイブリダイズする1つ以上の核酸プローブ(クローン化されるcDNAまたは遺伝子に対して受容可能なレベルの相同性を有するオリゴヌクレオチド、cDNA、またはゲノムDNAフラ
グメント)を使用して所望のタンパク質をコードするDNAの存在についてスクリーニング
され得る。このようなスクリーニングに代表的に使用されるプローブは、ライブラリーが調製される種と同一または類似の種のDNA配列の小さい領域をコードする。あるいは、プ
ローブが本明細書中で議論されるように縮重であり得る。
【0064】
代表的には、ハイブリダイゼーションは、非特異的結合を予防するが、プローブまたはプライマーとの有意なレベルの相同性を有するクローンの結合を可能にするストリンジェンシーの条件下でクローンにオリゴヌクレオチドプローブまたはcDNAをアニーリングすることによって達成される。代表的なハイブリダイゼーションおよび洗浄ストリンジェンシー条件は、cDNAまたはオリゴヌクレオチドプローブのサイズ(すなわち、ヌクレオチド長の数)に、およびプローブが縮重であるか否かに部分的に依存する。クローンを同定する確率はまた、ハイブリダイゼーション培地の設計において考慮される(例えば、cDNAまたはゲノムライブラリーがスクリーニングされているか否か)。
【0065】
DNAフラグメント(例えば、cDNA)がプローブとして使用される場合、代表的なハイブ
リダイゼーション条件には、Ausubelら(1994)(前出)に示されるものが含まれる。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイゼーション培地は、プローブサイズ、プローブのクローンに対する予想される相同性、スクリーニングされるハイブリダイゼーション培地、スクリーニングされるクローンの数などのようないくつかの因子に依存して、適切なストリンジェンシーで洗浄される。
【0066】
例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSC中での62〜67℃
でのハイブリダイゼーション、続いて0.1×SSC中での62〜67℃での約1時間の洗浄である。あるいは、例示的なストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、45〜55%ホルムアミド、6×SSC、40〜45℃でのハイブリダイゼーション、続いて0.1×SSC中での62〜67
℃での約1時間の洗浄である。図1に示される核酸配列に、リラックスしたハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし、かつIL-1raタンパク質をコードするDNA配列もま
た含まれる。このようなリラックスしたストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例には、45〜55℃での6×SSCまたは30〜40%ホルムアミドでの40〜45℃でのハイブリ
ダイゼーション、続いて1〜2×SSC中での55℃での約30分間の洗浄である。Maniatisら
(1982),Molecular Cloning (A Laboratory Manual),Cold Spring Harbor Laboratory,第387〜389頁(その開示が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0067】
オリゴヌクレオチドプローブがハイブリダイゼーション培地をスクリーニングするために使用されるストリンジェントな洗浄条件についての例示的なプロトコルがまた存在する
。例えば、第一のプロトコルは、6×SSCを0.05パーセントのピロリン酸ナトリウムとと
もに、プローブの長さに依存して約35℃と63℃との間の温度で使用する。例えば、14塩基プローブは35〜40℃、17塩基プローブは45〜50℃で、20塩基プローブは52〜57℃で、そして23塩基プローブは57〜63℃で洗浄される。温度は、バックグラウンド非特異的結合が高いと見られる場合には、2〜3℃増加させ得る。第二のプロトコルは、テトラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)を洗浄のために使用する。1つのこのようなストリンジェン
ト洗浄条件は、3M TMAC、50mM Tris-HCl(pH8.0)、および0.2%SDSである。
【0068】
IL-1raタンパク質をコードする適切な核酸配列を得るための別の方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。この方法において、cDNAは、ポリ(A)+RNAまたは総RNAから、逆
転写酵素を使用して調製される。次いで、2つのプライマー(代表的には、所望のタンパク質をコードするcDNA(オリゴヌクレオチド)の2つの別々の領域に相補的である)が、TaqポリメラーゼのようなポリメラーゼとともにcDNAに添加され、そしてそのポリメラー
ゼは2つのプライマー間のcDNA領域を増幅する。
【0069】
プローブまたはプライマーとして選択されるオリゴヌクレオチド配列は、スクリーニングまたはPCR増幅の間に生じ得る非特異的な結合の量を最小にするように、適切な長さで
あり、そして充分に明確であるべきである。プローブまたはプライマーの実際の配列は、通常保存されたかまたは高度に相同な配列または領域に基づいている。必要に応じて、プローブまたはプライマーは、完全に、または部分的に縮重し得(すなわち、プローブ/プ
ライマーの混合物(全て同じアミノ酸配列をコードするが、そうするのに異なるコドンを使用する)を含有し得る)。縮重するプローブを調製するための代替は、それらのコドン位置(種によって異なる)のいくつかまたは全てにイノシンを配置することである。オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーは、本明細書中に記載される化学合成法によって調製され得る。
【0070】
ベクター
所望のタンパク質をコードするDNAは、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のためにベクターに挿入され得る。適切なベクターは、市販されているか、または特別に構築され得る。適切なベクターの選択または構築は、(1)DNA増幅またはDNA発現に使用されるべきか否か、(2)ベクターに挿入されるべきDNAのサイズ、および(3)ベクタ
ーで形質転換されるべき挿入される宿主細胞、に依存する。
【0071】
ベクターはそれぞれ、代表的には、選択された宿主細胞による所望のタンパク質の発現を指向、制御し得るか、またはさもなければその発現をもたらし得る1つ以上の以下の発現制御配列または発現調節配列に作動可能に連結した所望のタンパク質をコードする核酸配列を含む。各ベクターは、その機能(DNAの増幅またはDNAの発現)およびその意図される宿主細胞との適合性に依存して種々の成分を含有する。ベクター成分は、一般に以下の1つ以上を含むが、これらに限定されない:シグナル配列、複製起点、1つ以上の選択またはマーカー遺伝子、プロモーター、エンハンサーエレメント、転写終結配列など。これらの成分は、天然の供給源から得られ得るか、または公知の手順によって合成され得る。
【0072】
適切な原核生物クローニングベクターの例には、λ誘導体のようなバクテリオファージまたはE. coli(例えば、pBR322、col E1、pUC、F-因子、およびBluescript(登録商標)プラスミド誘導体(Stratagene,La Jolla,CA))由来のプラスミドが含まれる。以下に記載される宿主細胞について当該分野で公知の数多くの型の他の適切な発現ベクターもまた、この目的のために使用され得る。
【0073】
シグナル配列
シグナル配列をコードする核酸は、所望のタンパク質をコードする配列の5'側に挿入さ
れ得る。例えば、それはベクターの一構成要素であり得るか、または所望のタンパク質をコードする核酸の一部であり得る。IL-1raの天然のシグナル配列をコードする核酸は公知である(米国特許第5,075,222号)。
【0074】
複製起点
発現およびクローニングベクターは、各々一般に、ベクターを1つ以上の選択された宿主細胞中で複製し得るようにする核酸配列を含む。クローニングベクターにおいて、この配列は、代表的には、ベクターを宿主染色体DNAとは独立に複製し得るようにするベクタ
ーであり、そして複製起点または自己複製配列を含む。このような配列は周知である。プラスミドpBR322由来の複製起点は、ほとんどのグラム陰性の細菌にとって適切であり、そして種々の起点(例えば、シミアンウイルウ40(SV40))、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、またはBPV)が、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般に
、複製起点は、哺乳動物発現ベクターに必要ではない(例えば、SV40起点は、初期プロモーターを含まないという理由だけで、しばしば使用される)。
【0075】
選択遺伝子
発現およびクローニングベクターは、各々、代表的には選択遺伝子を含む。この遺伝子は、選択培養培地にて増殖される場合、形質転換宿主細胞の生存または増殖に必要な「マーカー」タンパク質をコードする。ベクターで形質転換されない宿主細胞は、選択遺伝子を含まず、それゆえ培養培地において生存しない。代表的な選択遺伝子は、(a)抗生物
質または他のトキシン(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、またはテトラサイクリン)に対する耐性を与えるか、(b)栄養要求性欠乏を補充するか、ま
たは(c)培養培地から利用可能でない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする

【0076】
他の選択遺伝子は、発現される遺伝子を増幅するために使用され得る。増幅は、成長に重要なタンパク質の産生に対する需要がより大きい遺伝子が、組換え細胞の連続的な世代の染色体内でタンデムに反復されるプロセスである。哺乳動物細胞のための適切な選択マーカーの例には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)およびチミジンキナーゼが含まれる。細胞の形質転換体は、形質転換体のみが、ベクター中に存在するマーカーのために生存するように独特に適合されている選択圧力下に置かれる。選択圧力は、形質転換細胞を、培地中の選択因子の濃度が連続的に変化する条件下で培養することによってかけられ、それにより選択遺伝子および所望のタンパク質をコードするDNAの両方の増幅を導く。結果
として、所望のタンパク質の増大した量が増幅したDNAから合成される。
【0077】
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞が、メトトレキセート(DHFRの競合的アンタゴニスト)を含む培養培地において、まず形質転換体の全てを培養することによって同定される。野生型DHFRが使用される場合、適切な宿主細胞は、DHFR活性が欠損しているチャイニーズハムスター卵巣細胞系統である(UrlaubおよびChasin (1980),Proc. Natl. Acad. Sci.,USA,77(7):4216-4220、その開示が本明細書中で参考として援用される)。次いで、形質転換された細胞は、増加したレベルのメトトレキセートに曝露される。これは、DHFR遺伝子の複数のコピー、および同時に、発現ベクター中に存在する他のDNA(
例えば、所望のタンパク質をコードするDNA)の複数のコピーの合成に導く。
【0078】
プロモーター
発現ベクターおよびクローン化ベクターは各々、代表的には、宿主生物に認識されかつ所望のタンパク質をコードする核酸配列に作動可能に連結されるプロモーターを含む。プロモーターは、特定の核酸配列の転写および翻訳を制御する構造遺伝子(一般に約100〜1000bp以内)の開始コドンの上流(5'側)に位置する非翻訳配列である。プロモーターは
、慣習的には、2つのクラス(誘導性プロモーターおよび構成性プロモーター)のうちの
1つにに分けられる。誘導性プロモーターは、その制御下のDNAからの増加したレベルの
転写を、培養条件の何らかの変化(例えば、栄養素の存在もしくは非存在、または温度の変化)に応答して開始する。種々の潜在的な宿主細胞により認識される多数のプロモーターが周知である。プロモーターは、供給源DNAから制限酵素消化によりプロモーターを除
去しそして所望のプロモーター配列を挿入することにより、所望のタンパク質をコードするDNAに作動可能に連結される。IL-1raの天然のプロモーター配列は、所望のタンパク質
をコードするDNAの直接増幅および/または発現のために用いられ得る。しかし、異種プ
ロモーターが、天然のプロモーターと比較して、発現されるタンパク質のより多くの転写およびより高い収量を可能にし、そしてこのプロモーターが使用のために選択された宿主細胞系に適合するならば、異種プロモーターが好ましい。例えば、他のIL-1ファミリーメンバーの天然のプロモーター配列の任意の1つは、所望のタンパク質をコードするDNAの
直接増幅および/または発現のために用いられ得る。
【0079】
原核生物宿主での使用のために適切なプロモーターは、β-ラクタマーゼおよびラクト
ースプロモーター系;アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系
;細菌発光(luxR)遺伝子系、ならびにハイブリッドプロモーター(例えば、tacプロモ
ーター)を含む。他の公知の細菌プロモーターもまた適切である。これらのヌクレオチド配列は公開されており、それにより、当業者が各々の選択された配列を、任意の要求される制限部位を供給するために必要に応じてリンカーまたはアダプターを用いて所望のヌクレオチド配列に連結することが可能にする。
【0080】
酵母宿主での使用のために適切なプロモーター配列もまた当該技術分野で周知である。哺乳動物宿主細胞での使用のために適切なプロモーターは周知であり、そしてウイルス(例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシ乳頭腫ウイルス、ニワトリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、そして最も好ましくはSV40)のゲノムから得られるプロモーターを含む。他の適切な哺乳動物プロモーターは、異種哺乳動物プロモーター(例えば、熱ショックプロモーターおよびアクチンプロモーター)を含む。
【0081】
エンハンサーエレメント
発現ベクターおよびクローン化ベクターは各々、代表的には、所望のタンパク質をコードするDNA配列の高等真核生物による転写を増加させるためのエンハンサー配列を含む。
エンハンサーは、プロモーターに作用してその転写を増加させる、DNAのシス作用性エレ
メント(通常、約10〜300bp長)である。エンハンサーは、比較的、配向および位置に非
依存性である。これらは、転写単位に対して5'側および3'側に見出されている。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターで有利に用いられる。哺乳動物遺伝子から入手可能ないくつかのエンハンサー配列が公知である(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインスリン)。さらに、ウイルスエンハンサー(例えば、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエ
ンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサー)は、原核生物プロモーターの活性化の例示的な増強エレメントである。エンハンサーは、所望のタンパク質をコードするDNAの5'側および3'側の位置でベクターに挿入され得るが、代表的には、エンハンサーは、プロ
モーターの5'側の部位に位置する。
【0082】
転写終結
真核宿主細胞において用いられる発現ベクターは各々、代表的には、転写終結およびmRNAの安定化に必要な配列を含む。このような配列は、通常、真核生物DNAまたはcDNAの5'
側、そして時には3'側の非翻訳領域から利用可能である。これらの領域は、所望のタンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグメントを含む。
【0083】
ベクター構築
本明細書中で列挙する成分の1つ以上を(所望のコード配列とともに)含む適切なベクターの構築は、標準的な連結技術により達成され得る。単離されたプラスミドまたはDNA
フラグメントは、必要なベクターを作製するために所望の順番で切断、調整、および連結される。適切な配列が構築されたことを確認するために、連結混合物を用いてE.coliを形質転換し得、そして好結果の形質転換体が本明細書中に記載されるような公知の技術により選択され得る。次いで、形質転換体から多量のベクターが調製され、制限エンドヌクレアーゼ消化および/または配列決定により分析されて所望の構築物の存在が確認される。
【0084】
哺乳動物細胞において所望のタンパク質をコードするDNAの一過性発現を提供するベク
ターもまた使用され得る。一般に、一過性発現は、宿主細胞において効率的に複製し得、その結果、宿主細胞は、多コピーの発現ベクターを蓄積し、次いで、発現ベクターによりコードされる所望のタンパク質を高レベルに合成する発現ベクターの使用を含む。各々の一過性発現系(適切な発現ベクターおよび宿主細胞を含む)は、クローン化されたDNAに
よりコードされるタンパク質の便利なポジティブ同定、ならびに所望の生物学的または生理学的特性について、このようなタンパク質の迅速なスクリーニングを可能にする。
【0085】
宿主細胞
任意の種々の組換え体宿主細胞(各々は、所望のタンパク質を発現させる際の使用のための核酸配列を含む)もまた、本発明により提供される。例示的な原核生物および真核生物の宿主細胞は、細菌、哺乳動物、真菌類、昆虫、酵母、または植物の細胞を含む。
【0086】
原核生物宿主細胞は、グラム陰性またはグラム陽性の生物のようなユーバクテリア(eubacteria)(例えば、E.coli(HB101、DH5a、DH10、およびMC1061);B.subtilisのよう
なBacillus spp.;P.aeruginosaのようなPseudomona spp.;Streptoyces spp.; S.typhimuriumのようなSalmonella spp.;またはS.marcescansのようなSerratia spp.)を
含むがこれらに限定されない。特定の実施態様では、所望のタンパク質は、E.coliにおいて発現され得る。
【0087】
原核生物宿主細胞に加えて、IL-1raタンパク質は、多細胞生物由来の適切な多数の宿主細胞のうちの任意の1つにより、グリコシル化された形態で発現され得る。このような宿主細胞は、複雑なプロセッシングおよびグリコシル化活性をし得る。原理的に、任意の高等真核生物細胞培養物は、このような培養物が、脊椎動物細胞または(植物および昆虫の細胞を含む)無脊椎動物細胞を含んだとしても、用いられ得る。真核生物微生物(例えば、糸状菌または酵母)は、所望のタンパク質の発現のために適切な宿主であり得る。Saccharomyces cerevisiae(すなわち、通常のパン酵母)は、下等真核生物宿主微生物の中
で最も通常に用いられるが、多くの他の属、種、および株が周知であり、そして通常入手可能である。
【0088】
培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は周知の手順であるので、脊椎動物細胞が用いられ得る。有用な哺乳動物細胞株の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1
株(COS-7)、ヒト胚腎臓株(293細胞または懸濁培養における増殖についてサブクローン化された293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞、およびチャイニーズハムスター卵巣細
胞を含むがこれらに限定されない。他の適切な哺乳動物細胞株は、HeLa、マウスL-929細
胞、Swiss、Balb-cまたはNIHマウスに由来する3T3株、およびBHKまたはHaKハムスター細
胞株を含むがこれらに限定されない。特定の実施態様では、所望のタンパク質は、COS細
胞またはバキュロウイルス細胞において発現され得る。
【0089】
宿主細胞は、核酸の発現を可能にする適切な条件下で、所望の核酸でトランスフェクト
および好ましくは形質転換され得る。形質転換、培養、増幅、スクリーニング、ならびに産物の生成および精製のために適切な宿主細胞および方法は、当該分野で周知である(GethingおよびSambrook(1981),Nature,293:620-625、あるいはKaufmanら,(1985),Mol. Cell. Biol.,5(7):1750-1759、米国特許第4,419,446号(これらの開示は、本明細書により
参考として援用される))。例えば、細胞壁を有さない哺乳動物細胞については、リン酸
カルシウム沈降法が用いられ得る。エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、および他の公知の技術もまた使用され得る。
【0090】
所望のタンパク質が、所望のタンパク質をコードするDNAを既に含む細胞中に導入され
た制御エレメントを利用する、相同組換えまたは組換え生成方法により生成され得ることもまた可能である。相同組換えは、遺伝子を標的化して転写が活性な遺伝子の変異を誘導するかまたは訂正するために最初に開発された技術である(Kucherlapati (1989),Prog.
in Nucl. Acid Res. and Mol. Biol.,36:301(この開示は本明細書により参考と
して援用される))。基本的技術は、特定の変異を哺乳動物のゲノムの特定の領域に導入
するため(Thomasら (1986),Cell,44:419-428; ThomasおよびCapecchi(1987),Cell,51:503-512、ならびにDoetschmanら(1988),Proc. Natl. Acad. Sci.,85:8583-8587(この開示は本明細書により参考として援用される))、または欠損遺伝子内の特定の変異を訂正するため(Doetschmanら(1987),Nature,330:576-578(この開示は本明細書により参考
として援用される))の方法として開発された。例示的技術は、米国特許第5,272,071号
;WO 92/01069; WO 93/03183; Wo 94/12650;およびWO 94/31560(これらの開示は本明細書により参考として援用される)に記載される。
【0091】
宿主細胞の培養
生成のための1つ以上の組換え宿主細胞の各々を培養するための方法は、多くの因子および考慮に依存して変化する;所定の状態についての最適な生成手順は、最低限の実験により当業者に明らかになる。このような組換え宿主細胞は、適切な培地において培養され、次いで発現されたタンパク質は必要に応じて、培養培地(または細胞内に発現される場合は細胞)から、当業者に公知の適切な手段により回収、単離、および精製される。
【0092】
具体的には、所望のタンパク質を生成するために用いられる組換え細胞の各々は、プロモーターを誘導するためか、適切な組換え宿主細胞を選択するためか、または所望のタンパク質をコードする遺伝子を増幅するために適切な培養培地において培養され得る。培地は、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩)、緩衝剤(例えば、HEPES)、ヌクレオシド(例えば、アデノ
シンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン)、微量元素(通常、マイクロモル濃度の範囲の最終濃度で存在する無機化合物と定義される)、ならびにグルコースまたは他のエネルギー源が補充され得る。当業者により理解されるように、他の補充物もまた、適切な濃度で含まれ得る。適切な培養条件(例えば、温度、pHなど)もまた、選択された宿主細胞について当業者に周知である。
【0093】
次いで、得られた発現産物は当業者に公知の手順の使用により、ほぼ均質にまで精製され得る。例示的な精製技術は、米国特許第5,075,222号および同WO 91/08285(これらの
開示は本明細書により参考として援用される)において教示される。好ましくは、発現産物は、実質的に純粋な形態で産生される。「実質的に純粋」とは、未改変形態のIL-1raを意味し、比較的高い比活性を有し、好ましくは、Hannumら(1990),Nature,343: 336-340
およびEisenbergら(1990)Nature,343:341-346(これらの開示の両方は本明細書により参
考として援用される)に定義されるように約150,000〜500,000のレセプターユニット/mg
の範囲で有する。
【0094】
薬学的組成物
本発明は、治療有効量または予防有効量のIL-1raタンパク質またはその化学的誘導体(総称して、「IL-1raタンパク質産物」)を、ビヒクルとの混合物において各々含む薬学的調製物を包含する。ビヒクルは、好ましくは、1つ以上の薬学的および生理学的に受容可能な処方物材料を、IL-1raタンパク質産物との混合物において含む。
【0095】
ビヒクル中の主要な溶媒は、自然状態で水性または非水性のいずれかであり得る。さらに、ビヒクルは、以下の目的のための薬学的に受容可能な賦形剤:pHを好ましくは6.0と7.0との間、より好ましくは6.5に調節または維持する(例えば、クエン酸塩またはリン酸
塩のような緩衝剤、およびグリシンのようなアミノ酸);粘度;透明度;色;無菌性;安定性(例えば、スクロースおよびソルビトール);香り;解離速度(アルコール、ポリエチレングリコール、および塩化ナトリウムのような溶解剤(solubilizerまたはsolubilizing agent));放出速度;ならびに凍結乾燥処方物のための増量剤(bulking agent)(例えば、マンニトールおよびグリシン);界面活性剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、TritonおよびPluronic);抗酸化剤(例えば、亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウム);保存剤(例えば、安息香酸およびサリチル酸);香味料および希釈剤;乳化剤;懸濁剤;溶媒;賦形剤(filler);送達ビヒクルならびに他の薬学的アジュバントおよび/または賦形剤を含み得る。他の有効な投与形態(例えば、非経口徐放処方物、霧状吸入剤、経口活性処方物、または坐剤)もまた意図される。組成物はまた、ポリマー化合物の粒状調製物(例えば、容積侵食性(bulk erosion)ポリマー(例えば、
ポリ(乳酸-コ−グリコール酸)(PLGA)コポリマー)、PLGAポリマーブレンド、PEGのブロックコポリマー、ならびに乳酸およびグリコール酸、ポリ(シアノアクリル酸));表面侵食性ポリマー(例えば、ポリ(無水物)およびポリ(オルトエステル));ヒドロゲルエステル(例えば、Pluronicポリエステル、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、マレイン酸無水物-アルキルビニルエーテルコポリマー、セルロース、ヒア
ルロン酸誘導体、アルギン酸塩、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、ならびにデンプンおよびデキストラン)、ならびにそれらの組成物系;またはリポソームもしくはミクロスフェアの調製物を含み得る。このような組成物は、物理的状態、安定性、インビボでの放出速度、および存在するタンパク質および誘導体のインビボでのクリアランス速度に影響を与え得る。所望のタンパク質についての最適な薬学的処方物は、投与経路および所望の投薬に依存して当業者により決定される。例示的な薬学的組成物は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版(1990),Mack Publishing Co.,Easton,PA 18042,1435-1712頁;GombotzおよびPettit(1995),Bioconjugate Chem.,6:332-351; WO 94/06457; Leone-Bayら(1995),Journal of Medical Chemistry,38:4263-4269; Haasら,(1995),Clinical Immunology and Immunopathology,76(1):93; WO 94/21275; FR 2706772、WO 94/21235、およびWO 97/28828に開示される(これらの開示は本明細書により参考として援用される)。
【0096】
特定の持続性放出組成物は、以下の供給業者から入手可能である:Depotech (DepofoamTM、多小胞リポソーム)およびAlkermes (ProLeaseTM、PLGAミクロスフェア)。ヒアル
ロナンの例示的な形態は、PeyronおよびBalazs (1974) ,Path.Biol.,22(8):731-736; Isdaleら、(1991),J. Drug Dev.,4(2) :93-99; Larsenら、(1993),Journal of Biomedical Materials Research,27:ll29-ll34: Namikiら、(1982),International Journal of Clinical Pharmacology. Therapy and Toxicology,20(11): 501-507; Meyerら、(1995),Journal of Controlled Release,35:67-72; Kikuchiら、(1996),Osteoarthritis and Cartilage,4:99-llO; Sakakibaraら、 (1994),Clinical Orthopaedics and Related Research,299:282-292; Meyers and Brandt (1995),22(9):1732-1739; Laurentら、(1995),Acta Orthop Scand,66(266) :116-1201; Casconeら、(1995),Biomaterials,16(7):569-574; Yerashalmiら、(1994),Archives of Biochemistry and Biophysics,313(2):267-273,Bernatchezら、(1993),Journal of Biomedical
Materials Research,27(5):677-681; Tanら、(1990),Australian Journal of Biotechnology,4(1)38-43; GombotzおよびPettit (1995),Bioconjugate Chem.,6:332-351;
米国特許第4,582,865号,同第4,605,691号,同第4,636,524号,同第4,713,448号,同第4,716,154号,同第4,716,224号,同第4,772,419号,同第4,851,521号,同第4,957,774号,同第4,863,907号,同第5,128,326号,同第5,202,431号,同第5,336,767号,同第5,356,883号; 欧州特許出願第O 507 604 A2号および同第O 718 312 A2号;ならびにWO 96/05845、それらの開示は、本明細書によって参考として援用される。特定のヒアルロナン組成物は、以下の供給業者から入手可能である:BioMatrix,Inc. Ridgefield,NJ (SynviscTM,ヒラン液体およびヒランゲルの90:10混合物);Fidia S.p.A.、Abano Terme,Italy (HyalganTM,雄鶏のトサカ由来のヒアルロン酸のナトリウム塩(分子量約500,000〜約700,000);Kaken Pharmaceutical Co.,Ltd.,Tokyo,Japan (ArtzTM,雄鶏のトサカ由来のヒアルロ
ン酸の1%塩(分子量約700,000);Phamacia AB,Stockholm,Sweden (HealonTM,雄鶏のトサカ由来のヒアルロン酸、分子量約4×106);Genzyme Corporation,Cambridge,MA (SurgicoatTM,組換えヒアルロン酸);Pronova Biopolymer,Inc. Portsmouth,NH(ヒアルロン酸 FCH,Streptococcus zooepidemicusの培養物から調製された高分子量(例えば、分子量約1.5〜2.2×106)のヒアルロン酸;ヒアルロン酸ナトリウム MV,約1.0〜1.6×106分子量、およびヒアルロン酸ナトリウム LV,分子量約1.5〜2.2×106;Calbiochem-Novabiochem AB,Lautelfingen,Switzerland (Streptococcus sp. から調製された、ヒ
アルロン酸、ナトリウム塩(1997年度会社カタログ番号385908));Intergen Company,Purchase,NY (雄鶏のトサカ由来のヒアルロン酸、分子量>1×106);Diosynth Inc.,Chicago,IL; Amerchol Corp.,Edison,NJおよびKyowa Hakko Kogyo Co,. Ltd,. Tokyo,Japan。
【0097】
別の特定の薬学的処方物は、pH6.5の水溶液中に10mMのクエン酸ナトリウム、140mMの塩化ナトリウム、0.5mMのEDTA、0.1%のポリソルベート(W/W)である(クエン酸緩衝液処方物)。別の特定の処方物は、pH6.5の水溶液中に10mMのリン酸ナトリウム、140mMの塩化ナトリウム、0.1重量%と0.01重量%の間のポリソルベート、そして必要に応じて、0.5mMのEDTA pH6.5(「リン酸緩衝液処方物」)である。さらなる特定の処方物は、100mg/ml IL-1ra
および2%のヒアルロン酸(Mr3 4×106)を達成するためのH-10TMヒラン液(hylan fluid)
、架橋したヒアロン酸(Biomatrix,Inc.,Ridgefield,Inc.)である。
【0098】
一旦薬学的組成物が処方されると、薬学的組成物は、溶液、懸濁液、ゲル、乳濁液、固体、または脱水粉末もしくは凍結乾燥粉末として滅菌バイアルに貯蔵され得る。そのような組成物はそれぞれ、そのまま使用可能な(ready-to-use)形態、または投与前に再構成を必要とする形態(例えば、凍結乾燥)のいずれかで貯蔵され得る。
【0099】
特定の実施態様において、本発明は、単一用量投与単位を生じるためのキットに関する。キットは、それぞれ、第1の容器(乾燥したタンパク質を有する)および第2の容器(水性処方物を有する)の両方を含み得る。本発明の範囲内に含まれるキットは、単一のチャンバーを有する前充填シリンジ、および複数のチャンバーを有する前充填シリンジであり;例示的な前充填シリンジ(例えば、液体シリンジ、およびLyo-Ject(登録商標)(2チャンバー前充填分散シリンジ(lyosyringe))のような分散シリンジ)は、Vetter GmbH,Ravensburg,Germanyから入手可能である。
【0100】
使用
IL-1raタンパク質産物は、研究試薬として、ならびに治療薬および診断薬として有用であり得る。従って、IL-1raタンパク質産物は、組織もしくは器官のサンプル中のIL-1の量を定量するため、またはIL-1を発現する細胞を決定および/もしくは単離するために、インビトロおよび/またはインビボでの診断アッセイにおいて使用され得る。組織または器官のアッセイにおいて、125I-IL-1raタンパク質産物の標準結合曲線と比較した場合、IL
-1に結合する標識化していない天然のIL-1raに起因して、IL-1に結合する125I- IL-1raタンパク質産物からの放射能はより少ない。同様に、125I-IL-1raタンパク質産物の使用は、種々の細胞型におけるIL-1の存在を検出するために使用され得る。
【0101】
本発明はまた、抗体の産生におけるIL-1raタンパク質産物の使用、および得られる抗体(特に、天然のIL-1raにもまた結合する抗体を含む)の使用を意図する。IL-1raタンパク質産物に結合する抗体は、開発され得る。当業者は、周知の公開された手順を使用して、本発明のアミノ酸配列によってコードされる種々のタンパク質を特異的に認識し、そしてそれに結合するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または組換え抗体が得られ得る。次いで、そのような抗体を使用して、天然のIL-1raを精製および特徴付けし得る。
【0102】
本発明はまた、IL-1によって媒介される特定の疾患および医学的状態(その多くは、炎症性疾患として特徴付けられ得る)、ならびに関連する続発症およびそれと共に関連する症状の処置のための方法に関する。急性および慢性のインターロイキン(IL-1)媒介性疾患の非排他的な列挙は、以下を含むが、これらに限定されない:ALS;アルツハイマー病;喘息;アテローム性動脈硬化症;悪液質/食欲不振;慢性疲労症候群、うつ病;糖尿病(例えば、若年発症性1型および真性糖尿病);熱;線維筋痛または無痛;糸球体腎炎;対宿主移殖片拒絶;出血性ショック;痛覚過敏;炎症性腸疾患;大脳虚血を含む虚血性損傷(例えば、外傷、癇癪、出血、または脳卒中の結果としての脳損傷、この各々は、神経変性を導き得る);肺疾患(例えば、ARDSおよび肺性線維症);多発性骨髄腫;多発性硬化症;骨髄性(例えば、AMLおよびCML)ならびに他の白血病;ミオパシー(例えば筋肉タンパク質代謝、とりわけ敗血症);眼性疾患;骨粗鬆症;パーキンソン病;疼痛;膵炎;pre-term骨折;乾癬;再灌流障害;リウマチ性疾患(例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節症、若年性(リウマチ)関節炎、セロネガティブ多発性関節炎、強直性脊椎炎、ライター症候群、および反応性関節炎、乾癬性関節炎、腸性関節炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、全身性硬化症、脈管炎、大脳脈管炎、ライム病、ブドウ球菌誘導性(「敗血症性」)関節炎、シェーグレン症候群、リウマチ熱、多発性軟骨炎、ならびにリウマチ性多発性筋痛および巨細胞性動脈炎);敗血症性ショック;放射能治療からの副作用;側頭下顎関節疾患;腫瘍転移;または過労、捻挫、軟骨損傷、外傷、整形外科的手術、感染、もしくは他の疾患プロセスから生じる炎症性状態。
【0103】
IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)は、リウマチ性疾患を含むIL-1媒介疾患の予防または処置について治療有効量で患者に投与され得る。用語「患者」は、動物(例えば、ネコ、イヌ、およびウマ)およびヒトを含むことが意図される。
【0104】
さらに、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質およびより好ましくはIL-1ra)は、以下を含むが、これらに限定されない局所的、経腸的、または非経口的投与を介して投与され得る:注入、動脈内、関節内、嚢内、心臓内、皮内、筋肉内、眼窩内、クモ膜下内、静脈内、腹腔内、脊髄内、胸骨内注射、脳室内、皮下内、角質下、被膜下、くも膜下、および経気管。IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)はまた、経口投与を介して投与され得るか、または粘膜を介して(すなわち、全身性投与のために、頬的、鼻腔内、直腸的、または舌下に)投与され得る。
【0105】
IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)は、関節内注射、皮下注射、筋肉内注射、または静脈内注射を介して投与されることが好ましい。さらに、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)は、投与の持続期間について、血液中のIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の所望のレベル
を継続的に提供するために、連続注入(例えば、定常または断続的な、移植または外部注入の流れ調節デバイス)によって投与され得る。これは、浸透圧性ミニポンプのようなミニポンプによって達成され得る。これらの方法において、薬物の量が所望のレベルに維持されることを確実にし得、そして血液サンプルを得て、血流中の薬物の量をモニタリングし得る。種々のポンプが、例えばMiniMed Inc. Sylmar,CA (例えば、MT507)およびAlza Corp.,Palo Alto,CA (例えば、Alzet浸透圧性ポンプ、モデル2MLI)のような供給
業者から市販されている。
【0106】
連続的または連続的に近い投薬の他の様態が実施され得ることもまた意図される。例えば、化学的誘導体は、決定した投薬量管理に基づいた予測可能な量で、血流中に継続的に存在する効果を有するタンパク質の放出形態を維持を生じ得る。
【0107】
リウマチ性疾患(例えば、変形性関節炎、乾癬性関節炎、および慢性関節リウマチ)を含むIL-1媒介疾患の処置のための、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)を用いる形態は、豪州特許出願AU9173636に示さ
れており、その教示は、本明細書によって参考として援用される。限定ではないが、例示として、1つの特定の実施態様において、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)は、慢性関節リウマチおよび変形性関節炎の処置のために、関節内投与され得る。限定ではないが、例示として、別の特定の実施態様において、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)は、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、多発性骨髄腫、または骨髄性(例えばAMLおよびCML)および他の白血病の処置のために皮下または筋肉内投与され得る。限定ではないが、例示として、なおさらなる特定の実施態様において、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)は、外傷、てんかん、出血、もしくは発作の結果としての脳損傷の処置のために、あるいは、対宿主移植片疾患の処置のために静脈内投与され得るか;または、外傷の結果としての脳損傷の処置のために脳室内投与され得る。
【0108】
別の実施態様において、細胞治療(例えば、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)を生じる細胞の移植)もまた意図される。本発明の本実施態様は、患者に、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)を合成および分泌し得る細胞を移植する工程を含み得る。IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)を産生するそのような細胞は、通常にはIL-1インヒビターを産生しないが、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)を産生するように改変された細胞であり得る。細胞はまた、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)を産生する能力が、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の発現および分泌に適切なポリヌクレオチドで形質転換することによって増強されている細胞であり得る。外来種のIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)を投与することによって、患者における潜在的な免疫学的反応を最小化するために、細胞が患者(例えば、ヒト)と同じ種のものであること、または細胞が、免疫認識に対する障壁を提供する物質でカプセル化されること、または細胞が、免疫学的に許可された解剖学的位置(例えば、精巣、目、または中枢神経系)に置かれることが好ましい。
【0109】
ヒトまたは非ヒト動物細胞は、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の放出を可能にするが、患者の免疫系または周囲の組織由来の他の有害な因子による細胞の破壊を予防するために、生体適合性の、半透過性重合体の封入物または膜で患者に移植され得る。あるいは、IL-1インヒビター(例えば、
好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)を生じるようにエキソビボで形質転換した患者自体の細胞は、そのようなカプセル化なしで患者に直接的に移植され得る。生細胞の膜カプセル化のための方法論は、当業者によく知られており、そしてカプセル化された細胞の調製および患者への移植が、達成され得る。
【0110】
なお別の実施態様において、インビボでの遺伝子治療もまた想定され、ここでIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)をコードする核酸配列は、患者に直接的に導入される。例えば、 IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)をコードする核酸配列は、適切な送達ベクター(例えば、アデノ随伴ウイルスベクター)を用いるか、または用いることなく、核酸構築物の局所的注入を介して標的細胞に導入される。代替のウイルスベクターには、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、およびパピローマウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されない。物理的な移入は、所望の核酸構築物または所望の核酸配列を含む他の適切な送達ベクターの局所的注入、リポソーム媒介移入、直接的注入(裸のDNA)、レセプター媒介移入(リガンド−DNA複合体)、または微粒子ボンバードメント(遺伝子銃)によってインビボで達
成され得る。
【0111】
例示的な細胞および遺伝子治療技術は、米国特許第4,892,538号;米国特許第5,011,472号;米国特許第5,106,627号;DE 4219626,WO 94/20517、および96/22793に開示されて
おり、その開示は、本明細書によって参考として援用される。
【0112】
投与の様式に関係なく、IL-1媒介疾患の処置は、その疾患の症状を減ずるかまたは除去するに有効な用量または総用量養生法のIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)を必要とする。適切な用量または総用量養生法を決定する因子としては、処置されるかまたは予防されるべき疾患または状態、疾患の重篤度、投与経路、および患者の年齢、性別、および医学的状態が挙げられ得る。
【0113】
処置に対する適切な投薬を決定するに必要な計算のさらなる改良は、特に、本明細書中で開示された投薬情報およびアッセイを鑑みて、当業者によって日常的になされる。投薬の頻度はまた、使用される処方物中のIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の薬物動態学的パラメーターに依存する。 IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)は、一回投与され得るか、あるいは重篤かつ長期の障害の場合には毎日より少ない頻度の用量で投与され得るか、または最初のボーラス用量に続いて連続投薬もしくは徐放送達で投与され得る。連続的またはほぼ連続的な投薬の他の態様が実施されることもまた意図される。例えば、化学誘導体化は、所定の投薬または総投薬養生法に基づいて予測可能な量で、血流中に連続的に存在する効果を有する徐放形態をもたらし得る。投薬または総用量養生法はまた、適切な用量応答データに関連して使用される投薬を決定するための公知のアッセイの使用によって決定され得る。
【0114】
非経口的に投与される場合、各単位投与量は、例えば、200mgまでであり得、一般に、150mgまでであり得、そしてより一般には100mgまでであり得る。動脈腔へ投与される場合
、薬学的組成物、好ましくは、等張性リン酸緩衝生理食塩水中に溶解した、例えば、200mg/mlまでの、一般的には150mgまでの、およびより一般的には100mgまでのIL-1産物の用量を含有する3〜10mlのシリンジからの単回注射として投与される。調製物は、動脈腔に、例えば、7〜10日に一回の頻度で投与され得る。このような様式において、投与は連続的に、(例えば、必要に応じて用量を変更しながら4〜5回)行われる。
【0115】
本発明によって意図されるように、 IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタ
ンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)は、他の治療の補助として投与され、そしてまた処置されている適応症に適した他の薬学的処方物とともに投与され得る。 IL-1インヒビター産物(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)および1つ以上の任意のさらなる治療または薬学的処方物は、分離して、または組み合わせて投与され得る。
【0116】
特定の実施態様において、本発明は、IL-1媒介性疾患(悪液質/摂食障害のような急性炎症および慢性炎症;慢性疲労症候群、うつ病;糖尿病(例えば、若年発症性1型および真性糖尿病);線維筋痛または痛覚脱失症;対宿主移植片拒絶;痛覚過敏、炎症性腸疾患;虚血傷害(脳虚血(例えば、外傷、癲癇、脳溢血または脳卒中の結果としての脳傷害、これらは各々神経変性をもたらし得る);肺疾患(例えば、ARDSおよび肺線維症);多発性硬化症、眼疾患;疼痛;膵臓炎;再灌流傷害;リウマチ病(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、若年性(リウマチ)関節炎、セロネガティブ多発性関節炎、強直性脊椎炎、ライター症候群および反応性関節炎、乾癬性関節炎、腸性関節炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、全身性硬化症、脈管炎、大脳脈管炎、ライム病、ブドウ球菌誘導性(「敗血症性」)関節炎、シェーグレン症候群、リウマチ熱、多発性軟骨炎、およびリウマチ性多発性筋痛および巨細胞関節炎を含む);敗血症性ショック;放射線治療からの副作用;側頭下顎関節疾患;腫瘍転移;または過労、捻挫、軟骨損傷、外傷、整形手術、感染または他の疾患経過から生じる炎症状態を含む)の処置のための、 IL-1インヒビター産物(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)と1つ以上のNIFイ
ンヒビターとを組み合わせて(前処置、後処置、または同時処置)の使用に関する。このようなTNFインヒビターにはインビボで合成を、またはTNFの細胞外への放出を妨害する化合物およびタンパク質が含まれる。特定の実施態様においては、本発明は1つ以上の以下のTNFインヒビターとの組合せた場合の(前処置、処置後、または同時処置)IL-1インヒ
ビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物、およびより好ましくはIL-1ra)の使用に関する:TNF結合タンパク質(本明細書中で定義したように、可溶性TNFレセプターI型、および可溶性TNFレセプターII型(「sTNFR」))、抗TNF抗体、顆粒球コロニー刺激
因子;サリドマイド;BN 50730;テニダプ;E 5331;チアパファント(tiapafant)PCA4248;ニメスリド;パナビール(panavir);ロリプラム;RP 73401;ペプチドT;MDL 201,449A;(1R,3S)-シス-1-[9-(2,6-ジアミノプリニル)]-3-ヒドロキシ-4-シクロペンテン
ヒドロクロリド;(1R,3R)-トランス-1-[9-(2,6-ジアミノ)プリン]-3-アセトキシシクロ
ペンタン;(1R,3R)-トランス-1-[9-アデニル)-3-アジドシクロペンタンヒドロクロリド
、および(1R,3R)-トランス-1-[6-ヒドロキシ−プリン-9-イル)-3-アジドシクロペンタン。
【0117】
TNF結合タンパク質は当業者に開示されている(EP 308 378、EP 422 339、GB 2 218 101、EP 393 438、WO 90/13575、EP 398 327、EP 412 486、WO 91/03553、EP 418 014、JP 127,800/1991、EP 433 900、米国特許出願第5,136,021号、GB 2 246 569、EP 464 533、WO 92/01002、WO 92/13095、WO 92/16221、EP 512 528、EP 526 905、WO 93/07863、EP 568 928、WO 93/21946、WO 93/19777、EP 417 563、PCT国際出願番号PCT/US97/12244、これらの開示は本明細書中に参考として援用され
る)。
【0118】
例えば、EP 393 438およびEP 422 339は、sTNFR-I(本出願において「30kDa TNF
インヒビター」という)、およびsTNFR-II(本出願において「40kDa TNFインヒビター」という)ならびにそれらの改変型(例えば、フラグメント、機能的誘導体、および改変体)のアミノ酸配列、ならびに核酸配列を教示する。EP 393 438およびEP 422 339はまた、インヒビターをコードするのを担う遺伝子を単離し、適切なベクターおよび細胞型に遺伝子クローニングし、そして遺伝子を発現させインヒビターを産生する方法を開示する。さらに、sTNFR-IおよびsTNFR-IIの多価形態(すなわち、1つより多い活性部分を含む
分子)もまた、開示されている。一つに実施態様において、多価形態は、例えば、少なくとも1つのTNFインヒビター、および任意の臨床的に受容可能なリンカーを有する別の部
分と化学的に結合させることによって(例えば、ポリエチレングリコール(WO 92/16221およびWO 95/34326))、ペプチドリンカー(Neveら、(1996)Cytokine、8(5):365-370、この開示は本明細書中に参考として援用される)によって、ビオチンとの化学的結合、次いでアビジンとの結合によって(WO 91/03553、これは本明細書中に参考として援用される)、そして最終的に、キメラ抗体分子を構築することによって(米国特許番号 5,116,964、WO 89/09622、WO 91/16437、およびEP 315062、これらの開示は本明細書中に
参考として援用される)、構築され得る。
【0119】
抗TNF抗体には、MAK 195F Fab抗体(Hollerら、(1993)1st International Symposium on Cytokines in Bone Marrow Transplantation、147);CDP 571 抗TNFモノクローナル抗体(Rankinら、(1995)、British Journal of Rheumatology、34:334-342);BAY X 1351 マウス抗腫瘍壊死因子モノクローナル抗体(Kieftら、(1995)、7th
European Congress of Clinical Microbiology and Infectious Diseases、9
);CenTNF cA2 抗TNFモノクローナル抗体(Elliottら、(1994)Lancet、344:1125-1127およびElliottら、(1994)Lancet、344:1105-1110)が含まれる。
【0120】
特定の実施態様において、本発明は、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、分泌型または可溶性ヒトfas抗原または
その組換えバージョン(WO 96/20206およびMountzら、J.Immunology、155:4829-4837;およびEP 510 691、これらの開示は本明細書中において参考文献として援用される)と組み合わせた(前処理、後処理または同時処理)使用に関する。WO 96/20206は、分泌されたヒトfas抗原(天然型タンパク質、および組換え型タンパク質、これにはIg融合タンパ
ク質を含まれる)、可溶性組換え型ヒトfas抗原をコードする遺伝子を単離する方法、適
切なベクターおよび細胞型中の遺伝子をクローニングする方法、ならびにインヒビターを産生する遺伝子を発現する方法を開示する。EP 510 691は、ヒトfas抗原(可溶性fas抗原を含む)をコードするDNA、このDNAを発現するベクター、およびベクターでトランスフェクトした形質転換体を教示する。非経口的に投与する場合、分泌型または可溶性fas抗
原融合タンパク質各々の投与量は、通常約1μg/kgから約100μg/kgである。
【0121】
IL-1媒介疾患(リウマチ病のような急性および慢性の炎症を含む)の現在の処置は、非ステロイド性の抗炎症性薬物(NSAID)に分類される、疼痛および炎症の制御のための最
も重要な薬物の使用を含む。二次処置は、コルチコステロイド、緩効性抗リウマチ薬(SAARD)、または疾患調節(DM)薬を含む。以下の化合物に関する情報は、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,第16版、Merck,Sharp & Dohme Research Laboratories,Merck & Co.,Rahway,NJ (1992)およびPharmaprojects,PJB Publications Ltd.中に見出され得る。
【0122】
特定の実施態様では、本発明は、リウマチ病および対宿主性移植片病のようなIL-1媒介疾患(急性および慢性の炎症を含む)の処置のためのIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)および任意の1つ以上のNSAID
の使用に関する。NSAIDは、その抗炎症作用を、少なくとも部分的には、プロスタグラン
ジン合成の阻害に負うている(GoodmanおよびGilman,「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,MacMillan 第7版(1985))。NSAIDは、9つのグループに特徴付けられ得る:(1)サリチル酸誘導体;(2)プロピオン酸誘導体;(3)酢酸誘導体;(4)フェナム酸(fenamic acid)誘導体;(5)カルボン酸誘導体;(6)酪酸誘導体;(7)オキシカム(oxicam);(8)ピラゾール;および(9)ピラゾロン。
【0123】
より特定の実施態様では、本発明は、サリチル酸誘導体、プロドラッグエステルまたは
薬学的に受容可能なそれらの塩の任意の1つ以上と(処置前、処置後、または処置と同時に)組み合わせたIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の使用に関する。このようなサリチル酸誘導体、プロドラッグエステル、および薬学的に受容可能なそれらの塩は、以下を含む:アセトアミノサロール、アロキシプリン、アスピリン、ベノリラート、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、アセチルサリチル酸カルシウム、コリンマグネシウムトリサリチル酸ジフルシナル(diflusinal)、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチジン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、サリチル酸モルホリン、1-ナフチルサリチル酸、オルサラジン、パルサルミド、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド、サリチルアミド O-酢酸、サルサラート、およびスルファサラジン。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する構造的に関連するサリチル酸誘導体もまた、このグループに含まれることが意図される。
【0124】
より特定の実施態様では、本発明は、プロピオン酸誘導体、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩の任意の1つ以上と(処置前、処置後、または処置と同時に)組み合わせたIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の使用に関する。プロピオン酸誘導体、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩は、以下を含む:アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、デキスインドプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、フルクロプロフェン、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロキサム、インドプロフェン、イソプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフェン、ピメプロフェン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、ピリドキシプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する構造的に関連するプロピオン酸誘導体もまた、このグループに含まれることが意図される。
【0125】
より特定の実施態様では、本発明は、酢酸誘導体、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩の任意の1つ以上と(処置前、処置後、または処置と同時に)組み合わせたIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の使用に関する。酢酸誘導体、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩は、以下を含む:アセメタシン、アルクロフェナック、アムフェナク、ブフェキサマック、シンメタシン、クロピラク、デルメタシン、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンクロジン酸、フェンティアザク、フロフェナク、グルカメタシン、イブフェナック、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパック、ロナゾラク、メチアジン酸、オキサメタシン、オキシピナク、ピメタシン、プログルメタシン、スリンダク、タルメタシン、チアラミド、チオピナク、トルメチン、ジドメタシン、およびゾメピラック。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する構造的に関連する酢酸誘導体もまた、このグループに含まれることが意図される。
【0126】
より特定の実施態様では、本発明は、フェナム酸誘導体、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩の任意の1つ以上と(処置前、処置後、または処置と同時に)組み合わせたIL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の使用に関する。フェナム酸誘導体、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩は、以下を含む:エンフェナム酸、エトフェナマート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、メドフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルマート、テロフェナマート、トルフェナム酸、およびウフェナマート。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する構造的に関連するフェナム酸誘導体もまた、このグループに含まれることが意図される。
【0127】
より特定の実施態様において、本発明は、 IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、1つ以上のカルボン酸誘導体、それらのプロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩と組み合わせた(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。使用され得る、カルボン酸誘導体、プロドラッグエステルおよび薬学的に受容可能なそれらの塩には:クリダナク、ジフルニサル、フルフェニサール、イノリジン、ケトロラクおよびチノリジンが挙げられる。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するカルボン酸誘導体もまた、この群に包含されることが意図される。
【0128】
より特定の実施態様において、本発明は、 IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、任意の1つ以上の酪酸誘導体、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩と組み合わせた(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。酪酸誘導体、プロドラッグエステルおよび薬学的に受容可能なそれらの塩には:ブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、およびキセンブシンが挙げられる。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連する酪酸誘導体もまた、この群に包含されることが意図される。
【0129】
より特定の実施態様において、本発明は、 IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の任意の1つ以上のオキシカム誘導体、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩と組み合わせた(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。オキシカム、プロドラッグエステルおよび薬学的に受容可能なそれらの塩には:ドロキシカム、エノリカム、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム、テノキシカム、および4-ヒドロキシル-1,2-ベンゾチアジン1,1-ジオ
キシド4-(N-フェニル)-カルボキシアミドが挙げられる。類似の鎮痛および抗炎症特性を
有する、構造的に関連するオキシカムもまた、この群に包含されることが意図される。
【0130】
より特定の実施態様において、本発明は、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、任意の1つ以上のピラゾール、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩と組み合わせた(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。使用され得るピラゾール、プロドラッグエステルおよび薬学的に受容可能なそれらの塩には:ジフェナミゾールおよびエピリゾールが挙げられる。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するピラゾール誘導体もまた、この群に包含されることが意図される。
【0131】
より特定の実施態様において、本発明は、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、任意の1つ以上のピラゾロン、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩と組み合わせた(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。使用され得るピラゾロン、プロドラッグエステルおよび薬学的に受容可能なそれらの塩には:アパゾン、アザプロパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾン、およびチアゾリノブタゾンが挙げられる。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するピラゾロンもまた、この群に包含されることが意図される。
【0132】
より特定の実施態様において、本発明は、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、任意の以下の1つ以上のNSAIDと組
み合わせた(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。ε-アセトアミドカプロ
ン酸、S-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、アニト
ラザフェン、アントラフェニン、ベンダザック、ベンダザックリシネート、ベンジダミン
、ベプロジン、ブロペラモール、ブコローム、ブフェゾラク、シプロカゾン、クロキシマート、ダジダミン、デボキサメト、デトミジン、ジフェンピラミド(difenpyramide)、ジ
フェンピラミド(difenpyramide)、ジフィサラミン、ジタゾール、エモルファゾン、ファ
ネチゾールメシラート、フェンフルミゾール、フロクタフェニン、フルミゾール、フルニキシン、フルプロカゾン、フォピルトリン、フォスフォサル、グアイメサール、グアイアゾレン、イソニキシン(isonixirn)、レフェタミンHCl、レフルノミド、ロフェミゾール、ロチファゾール、リシンクロニキシナート、メセクラゾン、ナブメトン、ニクチンドール、ニメスリド、オルゴテイン、オルパノキシン、オキサセプロルム、オキサパドール、パラニリン、ペリソキサール、ペリソキサールクエン酸塩、ピフォキシム、ピプロキセン、ピラゾラク、ピルフェニドン、プロカゾン、プロキサゾール、チエラビンB,チフラミゾール、チメガジン、トレクチン、トルパドール、トリプトアミド、ならびに会社コード番号で称されるNSAID(例えば、480156S、AA861、AD1590、AFP802、AFP860、AI77B、AP504
、AU8001、BPPC、BW540C、CHINOIN127、CN100、EB382、EL508、F1044、FK-506、GV3658、ITF182、KCNTEI6090、KME4、LA2851、MR714、MR897、MY309、ONO3144、PR823、PV102、PV108、R830、RS2131、SCR152、SH440、SIR133、SPAS510、SQ27239、ST281、SY6001、TA60
、TAI-901(4-ベンゾイル-1-インダンカルボン酸)、TVX2706、U60257、UR2301、およびWY41770。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するNSAID誘導体もまた、
この群に包含されることが意図される。
【0133】
より特定の実施態様において、本発明は、IL-1媒介性疾患(リウマチ病、対宿主性移植片病、および多発性嚢胞症のような急性炎症および慢性炎症を含む)の処置のための、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、任意の1つ以上のコルチコステロイド、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩と組み合わせた(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。コルチコステロイド、プロドラッグエステルおよび薬学的に受容可能なそれらの塩には:ヒドロコルチゾンおよびヒドロコルチゾンに由来する以下のような化合物が挙げられる。21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロ
メタゾン、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、プロピオン酸クロベタゾール、クロベタゾン、酪酸クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコン、デソニド、デスオキシメラゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフロコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロニド、フルメタゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルニソリド、フルシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオロシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、ヘキサン酸フルオロコルトロン、吉草酸ジフルコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランデノリド、フォルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、酢酸ナロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン21-ナトリウム、テブト酸ヒドロコルチゾン、マジプレドン、メドリゾン、
メプレドニゾン、メチルプレドニコロン、フロン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、21-ジエドリアミノ酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニ
ゾロンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、21-m-スルホ安息香酸プレドニ
ゾロンナトリウム、21-ステアログリコレートプレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレ
ドニゾロン、21-トリメチル酢酸プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニバール、プレ
ドニリデン、21-ジエチルアミノ酢酸プレドニリデン、チキソコルトール、トリアムシノ
ロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、およびトリアミシノロンヘキサセトニド。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するコルチコステロイドもまた、この群に包含されることが意図される。
【0134】
より特定の実施態様において、本発明は、IL-1媒介性疾患(リウマチ病、宿主対移植片
疾患、および多発性嚢胞症のような急性炎症および慢性炎症を含む)の処置のための、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、任意の1つ以上の遅効性の抗リウマチ薬物(SAARD)または疾患改変性抗リウマチ薬
物(DMARD)、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩と組み合わせ
た(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。SAARDまたはDMARD、プロドラッグエステルおよび薬学的に受容可能なそれらの塩には:アロクプレイドナトリウム、オーラノフィン、金チオグルコース、金チオグリカニド、アザチオプリン、ブレキナルナトリウム、ブシラミン、3-金チオ-2-プロパノール-1-スルホン酸カルシウム、クロラムブシル、クロロキン、クロブザリト、クプロキソリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、ダプソン、15-デオキシスペルグアリン、ジアセレイン、グルコサミン、金塩(例えば、シ
クロキン金塩、金チオリンゴ酸ナトリウム、金チオ硫酸ナトリウム)、ヒドロキシクロロキン、ヒドロキシ尿素、ケブゾン、レバミゾール、ロベンザリト、メリチン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、ミゾリビン、ミコフェノール酸モフェチル、ミロラール、ナイトロジェンマスタード、D-ペニシラミン、ピリジノールイミダゾール(例えば、SKNF86002およびSB203580)、ラパマイシン、チオール類、チモポイエチン、およびビンクリ
スチン。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するSAARDまたはDMARDもまた、この群に包含されることが意図される。
【0135】
より特定の実施態様において、本発明は、IL-1媒介性疾患(急性炎症および慢性炎症を含む)の処置のための、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、任意の1つ以上のCOX2インヒビター、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩と組み合わせた(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。COX2インヒビター、プロドラッグエステルおよび薬学的に受容可能なそれらの塩には、例えば、セレコキシブが挙げられる。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連するCOX2インヒビターもまた、この群に包含されることが意図される。
【0136】
より特定の実施態様において、本発明は、IL-1媒介性疾患(急性炎症および慢性炎症を含む)の処置のための、IL-1インヒビター(例えば、好ましくはIL-1raタンパク質産物およびより好ましくはIL-1ra)の、任意の1つ以上の抗菌剤、プロドラッグエステルまたは薬学的に受容可能なそれらの塩と組み合わせた(前処置、後処置、または同時処置)使用に関する。抗菌剤には、例えば、アンピシリン、アモキシシリン、オーレオマイシン、バシトラシン、セフタジジム、セフトリアキソン、セフォタキシム、セファクロル、セファレキシン、セファラジン、シプロフロキサシン、クラブラン酸、クロキサシリン、ジクロキサシラン、エリスロマイシン、フルクロキサシラン、ゲンタマイシン、グラミシジン、メチシラン、ネオマイシン、オキサシラン、ペニシリン、およびバンコマイシンが挙げられる。類似の鎮痛および抗炎症特性を有する、構造的に関連する抗菌剤もまた、この群に包含されることが意図される。
【0137】
さらなる抗炎症性化合物の組成物を、投与の簡易さおよび投薬の均一性のために単位剤形中に処方することは特に有利である。本明細書中で使用される「単位剤形」とは、処置される患者について投薬単位として適切な物理的に別々の単位をいい、各単位は必要な薬学的キャリアとともに所望の治療効果をもたらすために計算された、さらなる抗炎症性化合物の所定量を含む。本明細書中でに使用される「薬学的に受容可能なキャリア」には、有効成分ならびに投与の態様および処方物の他の成分と適合し、そしてレシピエントに対して有害でない、任意のかつ全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。
【0138】
経口治療投与について、さらなる抗炎症性化合物は、賦形剤と共に組み込まれ得、そして経口摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁剤、シロッ
プ、オブラートなどの形態で使用され得る。あるいは、食餌中に食物とともに直接取り込まれ得る。錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどはまた、以下を含有し得る:トラガントガム、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、アルギン酸などのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;スクロース、ラクトース、またはサッカリンのような甘味料;あるいはペパーミント、ウインターグリーン香油、またはサクランボ香油、またはオレンジ香油のような香味料。単位剤形がカプセルである場合、本明細書中で記載された型の材料に加えて液体キャリアを含有し得る。種々の他の材料は、コーティングとしてまたは投薬単位の物理形態を他の様式で改変するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセルは、シェラック、ショ糖、またはその両方でコーティングされ得る。当然、任意の単位剤形を調製するのに使用される任意の材料は、薬学的に純粋で、そして使用される量で実質的に非毒性であるべきである。さらに、さらなる抗炎症性化合物は、徐放性調製物および処方物中に組み込まれ得る。このような治療的に有用な組成物における、さらなる抗炎症性化合物の量は、適切な投薬が得られるように存在する。
【0139】
非経口治療投与について、さらなる抗炎症性化合物の各々は、無菌の注射可能な溶液とともに組み込まれ得る。無菌の注射可能な溶液は、さらなる抗炎症性化合物を必要量で、他の種々の成分とともに適切な薬学的に受容可能なキャリア中に組込み、続いて濾過滅菌することにより調製され得る。分散剤の場合、各々は、基本の分散媒体および本明細書中に列挙された成分からの必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクル中に、さらなる抗炎症性化合物を組み込むことにより調製され得る。無菌の注射可能な溶液の場合、各々は、さらなる抗炎症性化合物の粉末、および必要に応じて、予め濾過滅菌したその溶液からの任意のさらなる所望の成分を組み込むことによって調製され得、ここで、この粉末は、任意の適切な技術(例えば、真空乾燥および凍結乾燥)によって調製される。
【0140】
このような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,第18版(1990)、Mack Publishing Co.,Easton,PA 18042,1435-1712頁を参照のこと。この開示は本明細書により参考として援用される)。補充活性成分もまた組成物中に組み込まれ得る。
【0141】
さらなる抗炎症性化合物の特定の用量は、患者のおよその体重または表面積に従って計算される。適切な投薬量を決定する他の要因には、急性炎症性疾患もしくは慢性炎症性疾患、または処置もしくは予防されるべき状態、疾患の重篤度、投与経路、ならびに患者の年齢、性別、および医学的状態が含まれ得る。本明細書中に記載される各々の処方物を含む処置に適する投薬量を決定するために必要な計算のさらなる改善は、当業者によって日常的になされる。投薬量はまた、適切な用量応答データと組合わせて使用される、投薬量を決定するための公知のアッセイの使用により決定され得る。
【0142】
従って、例えば、特定の急性炎症性疾患または慢性炎症性疾患(例えば、リウマチ病)を処置するために選択されるさらなる抗炎症性化合物の用量が、所望の治療効果を達成するために変化され得ることは、本発明の範囲内である。さらなる抗炎症性化合物の1つが副作用を有する場合、これは、組合せ療法の別の処置期間の間に患者に与えられ得る。例えば、長期的なメトトレキセート処置は、胃腸管毒性、肝毒性、骨髄毒性、および肺毒性と関連する(Sandovalら、(1995)、British Journal of Rheumatology,34:49-56、
この開示は、本明細書によって参考として援用される)。
【0143】
疾患の改善をモニタリングするための試験には、例えば、炎症に対する全身性応答の決定に関する特定の試験(これは、赤血球沈降速度(ESR)および急性期反応物(APR)を含む)が含まれ得る。例えば、身体の罹患した部分の腫脹の観察がなされる。硬直および握力(grip)(適用可能な場合)における改善、ならびに患者の痛みの軽減もまた観察され
る。患者の状態が安定である場合、患者を毎週同じ投薬量で再処置し、そして毎週評価する。患者の状態が安定である場合、処置を継続し得る。処置の6ヶ月後、骨格の解剖学的な変化を、放射線学的画像化によって(例えば、X線撮影によって)決定する。
【0144】
各期間の終わりに、患者を再評価する。処置前および処置後の放射学的評価の比較により、ESRおよびAPRは、処置の効力を示す。処置の効力および患者の状態により、投薬量は増加され得るか、または処置の間一定に維持され得る。
【0145】
好ましくは、本発明は、必要に応じて、IL-1媒介性疾患(急性炎症および慢性炎症(リウマチ病およびそれに関連した症状)を含む)を処置または予防するための、以下の組合せの1つをともなう方法に関する。1つの組合せは、メトトレキセート、レフルノミド、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン)、シプロフロキサシン、分泌型fas抗原もしくは
可溶性fas抗原、およびTNFインヒビター(例えば、sTNFR)の1つ以上をともなう、IL-1
インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物、またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくはIL-1raタンパク質産物、そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)である。好ましい組合せには、IL-1raタンパク質産物およびメトトレキセート、またはIL-1raタンパク質産物およびレフルノミドが含まれる。別の好ましい組合せは、メトトレキセート、レフルノミド、スルファサジン(sulphasazine)、およびヒドロキシクロロキンの1つ以上をともなう、IL-1raタンパク質産物である。
【0146】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、以下を含むIL-1媒介疾患を処置するためのsTNFRと(処置前、処置後、または処置と同時に)組み合わせた、IL-1インヒビター
(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物で処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、関節内、皮下または筋肉内)投与を含む:悪液質/食欲不振;慢性疲労症候群、鬱病;糖尿病(例え
ば、若年発症1型および真性糖尿病);線維筋痛(fibromyelgia)または痛覚脱失;対宿主性移植片拒絶;痛覚過敏、炎症性腸疾患;虚血性傷害(脳虚血(例えば、外傷、てんかん、出血または脳卒中(この各々は神経変性を導き得る)の結果としての脳傷害)を含む);肺疾患(例えば、ARDSおよび肺線維症);多発性硬化症、眼性疾患;疼痛;膵炎、再灌流傷害;リウマチ病(例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節症、若年性(リウマチ様)関節炎、血清陰性多発関節炎、強直性脊椎炎、ライター症候群および反応性関節炎、乾癬性関節炎、腸疾患に基づく関節炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、全身性硬化症、脈管炎、大脳脈管炎、ライム病、ブドウ球菌誘導性(敗血性)関節炎、シェーグレン症候群、リウマチ熱、多発性軟骨炎およびリウマチ性多発性筋痛および巨細胞性動脈炎);敗血症性ショック;放射線治療による副作用;側頭下顎関節疾患;腫瘍転移;または緊張、捻挫、軟骨損傷、外傷、整形外科的手術、感染または他の疾患プロセスから生じる炎症状態、のような急性炎症および慢性炎症。
【0147】
特定の好ましい実施態様において、本方法は、関節炎(例えば、変形性関節症、乾癬性関節炎および/または慢性関節リウマチ)およびこれと関連する症状を処置するためのメ
トトレキセートおよび/またはレフルノミドおよび/またはsTNFRと(処置前、処置後、ま
たは処置と同時に)組み合わせた、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、関節内、皮下または筋肉内)投与を含む。
【0148】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、外傷、てんかん、出血または脳卒中(
この各々は神経変性を導き得る)の結果としての脳傷害を処置するための組織プラスミノーゲンアクチベーターおよび/またはsTNFRと(処置前、処置後、または処置と同時に)組み合わせた、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、静脈内または脳室内)投与を含む。
【0149】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、多発性硬化症を処置するためのコルチコステロイド、シクロスポリンまたはインターフェロン(例えば、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロンおよびコンセンサスインターフェロン)の1つ以上および/またはTNFインヒビター(例えば、sTNFR)と(処置前、処置後、または処置
と同時に)組み合わせた、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、皮下または筋肉内)投与を含む。
【0150】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、対宿主性移植片拒絶を処置するためのメトトレキセート、レフルノミド、コルチコステロイド、FK506、シクロスポリン、可溶
性fasタンパク質の1つ以上および/またはsTNFRと(処置前、処置後、または処置と同時
に)組み合わせた、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、静脈内)投与を含む。
【0151】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、炎症性腸疾患を処置するためのG-CSF
および/またはsTNFRと(処置前、処置後、または処置と同時に)組み合わせた、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、皮下または筋肉内)投与を含む。
【0152】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、多発性骨髄腫または骨髄性白血病(例えば、AMLおよびCML)および他の白血病を処置するためのインターフェロン(例えば、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、およびコンセンサスインターフェロン)と(処置前、処置後、または処置と同時に)組み合わせた、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、皮下または筋肉内)投与を含む。
【0153】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、アルツハイマー病を処置するためのNSAID(例えば、インドメタシン)および/またはsTNFRと(処置前、処置後、または処置と
同時に)組み合わせた、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、皮下、脳室内、または髄腔内)投与を含む。
【0154】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、必要に応じて側頭下顎関節疾患を処置するための標準的な処置を伴う、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン
酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、局所注射、皮下または筋肉内)投与を含む。
【0155】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、骨粗鬆症またはパージェット病の処置において、オステオプロトゲリン(osteoprotogerin)(ヨーロッパ特許出願第96309363.8
号)と必要に応じて(処置前、処置後、または処置と同時に)組み合わせた、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、局所注射、皮下または筋肉内)投与を含む。
【0156】
特定の好ましい実施態様において、この方法は、ベクター抗原に対する炎症性応答(Zhangら(1997)、Arthritis & Rheumatism 40(9):S220(1138))を調節するための遺伝子
治療と(例えば、ヒトアデノウイルスを用いて)組み合わせた、IL-1インヒビター(例えば、必要に応じて、制御放出ポリマー(例えば、デキストランまたはヒアルロン酸)、クエン酸緩衝液処方物またはリン酸緩衝液処方物とともに処方された、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1raまたはIL-1ra Fc)の(例えば、局所注射、皮下または筋肉内)投与を含む。
【0157】
本明細書中に開示される驚くべきかつ予期されぬ結果は、IL-1媒介性疾患(急性炎症性状態および慢性炎症性状態を含む)と関連する種々の症状の処置において相乗的に作用するIL-1raおよびメトトレキセートの能力である。本明細書中で使用される「相乗的」は、IL-1インヒビター(例えば、好ましくは、IL-1raタンパク質産物そしてより好ましくはIL-1ra)および1つ以上のさらなる抗炎症性化合物の共同投与によってもたらされる利点が、組合せた成分の別々の投与から得られる効果の代数的合計よりも大きな状態をいうために使用される。以下の実験に示すように、アジュバント関節炎モデルにおいて、rhuIL-1ra処置およびメトトレキセート処置との組合せは、全身性炎症(すなわち、巨脾腫)の処
置および慢性関節リウマチと関連した体重減少に関して相乗的である。従って、rhuIL-1ra処置およびメトトレキセート処置との組合せ処置は、メトトレキセートの低減した用量
またはより頻度の少ない投与と同じ結果を達成する利点を有し、それによって、任意の毒性効果、および処置が終了した後でさえ潜在的に継続する活性の利点を低減する。
【0158】
メトトレキセートは、代謝拮抗および免疫抑制薬物である。メトトレキセートは、重篤および無効性の乾癬および慢性関節リウマチの処置において有用性を有する、効果的な抗炎症剤である(Hoffmeister(1983),The American Journal of Medicine,30:69-73
およびJaffe(1988),Arthritis and Rheumatism,31:299)。メトトレキセートは、N-[4-[(2,4-ジアミノ-6-プテリジニル)メチルアミノ]ベンゾイル]-L-グルタミン酸であり、
そして以下の構造式を有する:
【0159】
【化1】

以下の参考文献は、メトトレキセートの調製(Seegerら(1949),J. Am. Chem. Soc.,71:1753;メトトレキセートの代謝(Freeman(1958),J. Pharmacol. Exp. Ther,122:
154およびHendersonら(1965),Cancer Res.,25:1008);メトトレキセートの毒性(Conditら(1960),Cancer,13:222-249);メトトレキセートの薬物動態学モデル(Bischoffら(1970),J. Pharm. Sci. 59:149);メトトレキセートの代謝および薬物動態学(Evans(1980),Appl. Pharmacokinet.,Williamsら(編),518-548頁(Appl. Ther.,Inc.);メトトレキセートの臨床薬理学(Bertino(1981),Cancer Chemother.,3:359-375およびJolivetら(1983),N. Eng. J. Med.,309:1094-1104);および慢性関節リウマチにお
けるメトトレキセートの臨床体験(Weinblattら(1985),N. Eng. J. Med.,312:818-822;Furst(1985),J. Rheumatol.,12(12):1-14;Williamsら(1985),Arthritis Rheum.,28:721-730およびSeitzら(1995),British Journal of Rheumatology,34:602-609
)を記載する。さらに、活性剤メトトレキセートおよびメトトレキセートの合成方法またはメトトレキセートの合成における潜在的な中間体を開示する多数の特許が、発行されている:米国特許第2,512,572号、同第3,892,801号、同第3,989,703号、同第4,057,548号、同第4,067,867号、同第4,079,056号、同第4,080,325号、同第4,136,101号、同第4,224,446号、同第4,306,064号、同第4,374,987号、同第4,421,913号および同第4,767,859号。
【0160】
メトトレキセートの作用機構はあまりよく分かっていないが、しかしその効力におそらく寄与するこの薬物の種々の活性は実証されている(Segalら(1990)、Seminars in Arthritis and Rheumatism、20:190-198)。メトトレキセートの以下の作用機構が推定され
ている:葉酸依存経路およびタンパク質代謝の阻害(Morganら(1987)、Arthritis and Rheumatism、30:1348-1356);関節炎の関節内への好中球の移入の阻害(Van de Kerkhof
ら(1985)、British Journal of Dermatology、113:251-255;Ternowitzら(1987)、Journal of Investigative Dermatology、89:192-196およびSperling(1992)、Arthritis
and Rheumatism、35:376-384;IL-6阻害活性(Segal(1991)、Arthritis and Rheumatism、34(2):146-152)および関節炎に関与する細胞における局所特異的抗増殖効果(Rodenhuisら(1987)、Arthritis and Rheumatism、30:369-374)。メトトレキセートは、インタ
ーロイキン-1β/インターロイキン-1レセプター経路をブロックすることが示されている(Brodyら(1993)、European Journal of Clinical Chemistry and Clinical Biochemistry、31(10):667-674);しかし、メトトレキセートが特定の患者において短期間でIL-1の増殖効果を阻害し得、そして単球IL-1産生を減少し得るが、この効果は持続せず、そしてメトトレキセートの長期間の効力を説明しないようである(Barreraら(1996)、Seminars in Arthritis and Rheumatism、25(4):234-253)。
【0161】
メトトレキセートは、経口、腹腔内、皮下または静脈内に投与され得る。経口投与が好ましい。以下は、ヒト患者を処置するための、IL-1raタンパク質産物(例えば、IL-1ra)およびメトトレキセート処置の組み合わせ施術の手順の例である。患者は、メトトレキセートの錠剤またはカプセルを週3回、5〜50mg/患者/週の総週用量で服用する。患者はまた、50〜150mgの日用量でIL-1raタンパク質産物(例えば、IL-1ra)を静脈内注射される
。本明細書中に示される用量が好ましい用量であることは当業者に理解される。使用される特定の化合物の開始用量は、有害な反応を示す患者については減少されるか、または化合物と組み合わせて用いられる薬物が、例えば、異なる処方物、経路、用量スケジュールおよび/または当業者に公知の他の変数(例えば、個々の患者の薬物耐性、その効力および毒性)に依存して変更され得るか、あるいは減少され得る。
【0162】
好ましくは、患者は、5mgと7.5mgとの間のメトトレキセートの開始週用量で(経口または筋肉内に)処置され、そして50mgと150mgとの間のIL-1raタンパク産物(例えば、IL-1ra)の日用量で処置される(静脈内)。メトトレキセートの用量は2〜3週ごとに5mgずつ増加する。最大投薬レベルは、患者に改善が見られる点で決定され、これは一般に好ましくは1週間当たり約25mg未満のメトトレキセートであり、より好ましくは1週間あたり5〜25mgのメトトレキセートである。次いで、患者を、身体検査および広範な検査室試験により評価し得る。この試験は毒性の評価を含む。メトトレキセートの場合におけるさらな
る検査室モニタリングは、好ましくは、最初の3ヶ月間は2週間ごと、次いでその後毎月の完全な血球細胞の計数を含む。さらなる注意は、好ましくは血清アルブミン、アラニンアミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、クレアチニンおよび血液尿素窒素のレベルの毎月の評価を含む。毎月の尿検査もまた好ましい。
【0163】
上記は例としてのものであり、当業者に公知または本明細書に記載された指針を用いて当業者に想到され得る、これらの抗炎症性化合物と同時に使用される他の処置を除外しない。
【実施例】
【0164】
実施例
以下の実施例に記載される多くの手順または適切な別の手順に関する標準的な方法は、広く認められた分子生物学のマニュアル(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning、第
2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1987)およびAusabelら、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates/Wiley Interscience、New York(1990))に提供されている。全ての化学薬品は、分析グレードまたはUSPグ
レードのいずれかである。
【0165】
実施例1
アジュバントにより誘導されたリウマチ様関節炎の動物モデルを用いて、IL-1インヒビターおよびメトトレキセートの組み合わせ治療を調査した。少なくとも200gの体重の雄
性Lewisラット(Charles River,Portage,MI)(1群につき5匹)に頸静脈カテーテルを挿入し、数日間回復させた。次いで、これらのラットを注入ケージに入れて、アジュバント注射を開始する前に1週間馴化させた。
【0166】
0日目に、すべての処置されたラットに、合成アジュバントであるN,N-ジオクチルデシルデシル-N’,N-ビス(2-ヒドロキシ-エチル)プロパンジアミン、75mg/mlを添加した100μlのフロイント完全アジュバント(Sigma,Chemical Co.,St. Louis,MO)を注射した。0〜14日目に、1%カルボキシメチルセルロース(Sigma)中のメトトレキセート処置を開始し、
そして経口的に投与した(0.06mg/kg)。8日目に、薬学的組成物(水中、10mMクエン酸ナト
リウム、140mM塩化ナトリウム、0.5mM EDTA、0.1%ポリソルベート(w/w)(pH 6.5))中に処方されたE.coli由来のヒト組換えIL-1レセプターアンタゴニスト(一般的には、米国特許第5,075,222号の教示に従って調製される、rhuIL-1ra)での処置を、連続的静脈内注入により、フロイント完全アジュバントおよびメトトレキセートの両方で処置される1つのラットの群ならびにフロイント完全アジュバント単独で処置されるラットの別の群に投与した。
【0167】
体重を0日目に測定し、そして8日目から15日目の終了まで1日おきに測定した。ノギ
ス測定および臨床的評価を、8日目に行い、そして終了まで1日おきに行った。この時点での動物の体重、足の重さ、および脾臓の重さを測定した。
【0168】
図2および3に見られるように、rhuIL-1ra単独で処置したラットは、関節炎(足の腫脹
)について57%の阻害を示し、脾腫大については有意な利点を示さず、そして体重変化について25%の阻害を示した。メトトレキセートで処置したラットは、足の腫脹について55%の阻害を有し、脾臓の重さには阻害を示さず、体重変について23%の阻害を有した。この組み合わせ治療は、足の腫脹について100%の阻害、脾腫大について49%の阻害、そし
て体重変化について106%の阻害を提供した。
【0169】
実施例2
少なくとも200gの体重の雄性Lewisラット(Charles River,Portage,MI)(5〜7匹/群)
に、頸静脈カテーテルを挿入し、数日間回復させた。次いで、これらのラットを注入ケージに入れ、そしてアジュバント注射を開始する前に少なくとも1週間馴化させた。
【0170】
0日目に、すべてのラットに、合成アジュバントであるN,N-ジオクチルデシルデシル-N’,N-ビス(2-ヒドロキシ-エチル)プロパンジアミン、75mg/mlを添加した100μlのフロイ
ント完全アジュバント(Sigma,Chemical Co.,St. Louis,MO)を注射した。0〜14日目に
、1%カルボキシメチルセルロース(Sigma)中のメトトレキセート処置を開始し、そして
経口的に投与した(0.06mg/kg)。8日目に、薬学的組成物(水中、10mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、0.5mM EDTA、0.1%ポリソルベート(w/w)(pH 6.5))中に処方したrhuIL-1raでの処置を、連続的静脈内注入(5mg/kg/hr)により開始した。体重を、0日
目に測定し、そして8日目から15日目の終了まで1日おきに測定した。ノギス測定および臨床的評価を、8日目に行い、そして終了まで1日おきに行った。この時点での動物の体重、足の重さ、および脾臓の重さを測定した。
【0171】
図4および図5に見られるように、rhuIL-1ra単独で処置したラットは、足の腫脹につ
いて22%の阻害を有し、脾腫大については24%の阻害、そして体重変化の阻害を有さなかった。メトトレキセートで処置したラットは、足の腫脹について57%の阻害、脾腫大について22%の阻害、体重変化について59%の阻害を有した。rhuIL-1raおよびメトトレキセ
ートの組み合わせは、足の炎症について90%の阻害、脾腫大について77%の阻害、そして関節炎/全身性炎症と関連する体重変化について65%の阻害を生じた。
【0172】
実施例3
少なくとも250g〜300gの体重の雄性Lewisラット(Charles River,Portage,MI)(5〜7
匹/群)の、背面皮下組織中にカニューレ挿入し、そして数日間回復させた。次いで、これらのラットを注入ケージに入れ、そしてアジュバント注射を開始する前に少なくとも4日間馴化させた。
【0173】
0日目に、すべてのラットに、合成アジュバントであるN,N-ジオクチルデシルデシル-N’,N-ビス(2-ヒドロキシ-エチル)プロパンジアミン、75mg/mlを添加した100μlのフロイ
ント完全アジュバント(Sigma,Chemical Co.,St. Louis,MO)を注射した。0〜14日目に
、1%カルボキシメチルセルロース(Sigma)中のメトトレキセート処置を開始し、そして経口的に投与した(0.048mg/kg、0.06mg/kgまたは0.075mg/kg)。8日目に、薬学的組成物(水中、10mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、0.5mM EDTA、0.1%ポリソルベー
ト(w/w)(pH 6.5))中に処方されたrhuIL-1raでの処置を、連続的皮下注入(5mg/kg/hr;0.1ml/hr)により、開始した。体重を、0日目に測定し、そして8日目から15日目の終了まで1日おきに測定した。ノギス測定および臨床的評価を、8日目に行い、そして終了まで1日おきに行った。この時点での動物の体重、足の重さ、および脾臓の重さを測定した。
【0174】
アジュバント関節炎ラットにおける、5mg/ml/hrの流速での8〜15日目のrhuIL-1raの連続的皮下注入は、最終的な足の重さについて6%の阻害を生じた。0〜14日目の、メトトレキセートの経口日用量(0.075mg/kg、0.060mg/kg、0.048mg/kg)でのアジュバント関節炎ラットの処置は、最終的な足の重さについて47%、27%、または0%(それぞれ)の阻害を生じた。rhuIL-1raおよびメトトレキセートを用いたこれらの同用量での同時処置は
、最終的な足の重さの阻害を84%、44%、または21%に増加させた。それゆえ、統計学的に有意な臨床的利点は、メトトレキセートの用量が、0.075mg/kgまたは0.06mg/kgである
場合に見られた。組み合わせ治療の場合では、足の腫脹の阻害は、メトトレキセートの用量が0.075mg/kgであった場合に、rhuIL-1raまたはメトトレキセートいずれか単独で生じ
る阻害よりも有意に大きかった。連続的な、足首関節のノギス測定による足の腫脹の分析は、データが曲線下の面積として分析された場合、関節炎の阻害を明らかにした。rhuIL-1ra単独で処置したラットは、腫脹について6%の阻害を有した。一方で、0.075mg/kgメ
トトレキセートを与えたラットは、期間にわたって足首関節の直径で45%の減少を有した。対照的に、組み合わせ治療を与えられたものでは、関節炎について78%の阻害を有した。足首直径の阻害曲線下の面積について統計学的に有意な組み合わせの利点は、0.048mg/kgのメトトレキセートを与えられたラットにおいてみられたが、0.06mg/kgのメトトレキ
セートを与えられたラットでは見られなかった。
【0175】
rhuIL-1raで処置したラットからの足首関節の組織学的評価によれば、炎症について8
%の阻害および骨再吸収について53%の阻害が実証された。メトトレキセートでの処置は、0.075mg/kg(炎症について44%の阻害および骨再吸収について58%の阻害)または0.06mg/kg(炎症について26%の阻害および骨再吸収について55%の阻害)で、これらのパラ
メーターの用量応答性の有意な阻害を生じたが、0.048mg/kg(炎症について8%の阻害および骨再吸収について11%の阻害)では、生じなかった。組み合わせの利点は、rhuIL-1raとの組み合わせで0.075mg/kg用量のメトトレキセートを与えられたラットにおいて、最
も著しかった。これらのラットにおいて、炎症は85%阻害され、そして骨再吸収は、97%減少した。これらの差異は、両方のパラメーターに関して、いずれかの処置単独で見られる差異を越えて有意に増加された。類似の組み合わせの利点は、rhuIL-1raとの組み合わ
せで0.06mg/kg用量のメトトレキセート(炎症について44%の阻害および骨再吸収につい
て84%の阻害)およびrhuIL-1raとの組み合わせで0.048mg/kg用量のメトトレキセート(
炎症について23%の阻害および骨再吸収について68%の阻害)でも見られた。
【0176】
実施例4
少なくとも250g〜300gの体重の雄性Lewisラット(Charles River,Portage,MI)(5〜7匹/群)の、背面皮下組織中にカニューレ挿入し、そして数日間回復させた。次いで、こ
れらのラットを注入ケージに入れ、そしてアジュバント注射を開始する前に少なくとも4日間馴化させた。
【0177】
0日目に、すべてのラットに、合成アジュバントであるN,N-ジオクチルデシルデシル-N’,N-ビス(2-ヒドロキシ-エチル)プロパンジアミン、75mg/mlを添加した100μlのフロイ
ント完全アジュバント(Sigma Chemical Co.,St. Louis,MO)を注射した。0〜14日目に、1%カルボキシメチルセルロース(Sigma)中のメトトレキセート処置を開始し、そして経口的に投与した(0.048mg/kg、0.06mg/kgまたは0.075mg/kg)。8日目に、薬学的組成物(水中、10mMクエン酸ナトリウム、140mM塩化ナトリウム、0.5mM EDTA、0.1%ポリソルベー
ト(w/w)(pH 6.5))中に処方されたrhuIL-1raでの処置を、連続的静脈内注入(5mg/kg/hr)により、開始した。体重を、0日目に測定し、そして8日目から15日目の終了まで1日おきに測定した。ノギス測定および臨床的評価を、8日目に行い、そして終了まで1日おき
に行った。この時点での動物の体重、足の重さ、および脾臓の重さを測定した。
【0178】
アジュバント関節炎ラットにおける、5mg/ml/hrの流速での8〜15日目のrhuIL-1raの連続的皮下注入は、最終的な足の重さについて6%の阻害を生じた。0〜14日目の、メトトレキセートの経口日用量(0.075mg/kg、0.060mg/kg、0.048mg/kg)でのアジュバント関節炎ラットの処置は、最終的な足の重さについて47%、27%、または0%(それぞれ)の阻害を生じた。rhuIL-1raおよびメトトレキセートを用いたこれらの同用量での同時処置は
、最終的な足の重さの阻害を84%、44%、または21%に増加させた。それゆえ、統計学的に有意な臨床的利点は、メトトレキセートの用量が、0.075mg/kgまたは0.06mg/kgである
場合に見られた。組み合わせ治療の場合では、足の腫脹の阻害は、メトトレキセートの用量が0.075mg/kgであった場合に、rhuIL-1raまたはメトトレキセートのいずれか単独で生
じる阻害よりも有意に大きかった。連続的な、足首関節のノギス測定による足の腫脹の分析は、データが曲線下の面積として分析された場合、関節炎の阻害を明らかにした。rhuIL-1ra単独で処置したラットは、腫脹について6%の阻害を有した。一方で、0.075mg/kg
メトトレキセートを与えたラットは、期間にわたって足首関節の直径で45%の減少を有し
た。対照的に、組み合わせ治療を与えられたラットでは、関節炎について78%の阻害を有した。足首直径の阻害曲線下の面積について統計学的に有意な組み合わせの利点は、0.048mg/kgのメトトレキセートを与えられたラットにおいてみられたが、0.06mg/kgのメトト
レキセートを与えられたラットでは見られなかった。
【0179】
rhuIL-1raで処置したラットからの足首関節の組織学的評価によれば、炎症について8
%の阻害および骨再吸収について53%の阻害が実証された。メトトレキセートでの処置は、0.075mg/kg(炎症について44%の阻害および骨再吸収について58%の阻害)または0.06mg/kg(炎症について26%の阻害および骨再吸収について55%の阻害)で、これらのパラ
メーターの用量応答性の有意な阻害を生じたが、0.048mg/kg(炎症について8%の阻害および骨再吸収について11%の阻害)では、生じなかった。組み合わせの利点は、rhuIL-1raとの組み合わせで0.075mg/kg用量のメトトレキセートを与えられたラットにおいて、最
も著しかった。これらのラットにおいて、炎症は85%阻害され、そして骨再吸収は、97%減少した。これらの差異は、両方のパラメーターに関して、いずれかの処置単独で見られる差異を越えて有意に増加された。類似の組み合わせの利点は、rhuIL-1raとの組み合わ
せで0.06mg/kg用量のメトトレキセート(炎症について44%の阻害および骨再吸収につい
て84%の阻害)およびrhuIL-1raとの組み合わせで0.048mg/kg用量のメトトレキセート(
炎症について23%の阻害および骨再吸収について68%の阻害)でも見られた。
【0180】
実施例4
材料:コンセンサスインターフェロン(r-metIFN-con1)(合成インターフェロン)を
実質的に米国特許第4,659,623号の教示に従って作製した。
【0181】
方法:雌性の系統13モルモット(175〜200g)を、24mlのリン酸緩衝化生理食塩水中に12gの脳および脊髄(モルモット)を含み、2.5mg/mlのM.Tuberculosis H37Raを含む24ml
の完全フロイントアジュバントの乳濁液の0.5mlで免疫した。この乳濁液を、モルモット
の頸部領域に皮内注射した(4〜5ヶ所)。r-metIFN-con1、ビヒクルまたはrhuIL-1raのすべての注射を、皮下に行った。
【0182】
臨床的疾患の評価は、標準的な0〜5評価系に基づいた。そして14日間の期間にわたって、毎日行った。格付けの幅は、0、正常;1、後肢虚弱;2、両後肢の不全麻痺(pareisis)または片方の後肢の麻痺;3、両後脚の麻痺;4、瀕死;5、死亡であった。生存したモルモットを、14日目に屠殺し、そしてその脊髄および脳を組織学的試験用に摘出した。
【0183】
疾患の経過全体にわたって、各モルモットについて統合した臨床的評価を、日毎の臨床的評価対時間(任意の単位)の曲線下の面積として算出した。この処置群の値を、Mann-Whitney検定を用いてビヒクルコントロール群の値に対して統計学的に比較した。
結果:0日目に開始した、1日に3回の100mg/kgまたは10mg/kg s.c.のrhuIL-1raによって、臨床的症状がそれぞれ53%および49%減弱した(図6)。0日目に開始した、r-metIFN-con1を毎日与えられた同じ研究では、臨床的徴候が30%減弱した。rhuIL-1ra(100mg/kg 皮下)とr-metIFN-con1(0.03mg/kg皮下)またはrhuIL-1ra(10mg/kg皮下)とr-metIFN-con1n(0.03mg/kg皮下)の組み合わせは、臨床的徴候を、それぞれ73%および84%減弱した(図7)。さらに、この組み合わせは、ビヒクル処置動物と比較して、これらの動物における体重増加を有意に改善した(図8)。
【0184】
本発明の先の記載は、実例および説明の目的のための例示である。変更および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることが、当業者に明らかである。以下の請求の範囲は、このような変更および改変の全てを包含することを解釈されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0185】
本発明の多くの局面および利点は、図面を概観すれば明らかになる。
【図1】図1は、Arg1-Glu153(成熟した組換えヒトIL-1ra(rhuIL-1ra))をコードする核酸配列(配列番号1)を示す。最初のアミノ酸がMnであるrhuIL-1raのアミノ酸配列(配列番号2)もまた示され、ここでnは0もしくは1と等価である。
【図2】図2は、実施例1でのアジュバントの関節炎ラットの関節の直径についてのrhuIL-1ra単独、メトトレキセート単独、ならびにrhuIL-1raおよびメトトレキセートの組合せによる影響を示す。
【図3】図3は、実施例1でのアジュバントの関節炎ラットの、最終的な足蹠重量(関節炎の指標)、巨脾腫(全身性炎症の指標)および体重の変化についてのrhuIL-1ra単独、メトトレキセート単独、ならびにrhuIL-1raおよびメトトレキセートの組合せによる影響を示す。
【図4】図4は、実施例2でのアジュバントの関節炎ラットの関節の直径についてのrhuIL-1ra単独、メトトレキセート単独、ならびにrhuIL-1raおよびメトトレキセートの組合せによる影響の最終的な分析(終了時の阻害)を示す。
【図5】図5は、実施例2でのアジュバントの関節炎ラットの、最終的な足蹠重量(関節炎の指標)、巨脾腫(全身炎症の指標)および体重の変化についてのrhuIL-1ra単独、メトトレキセート単独、ならびにrhuIL-1raおよびメトトレキセートの組合せによる影響を示す。
【図6】図6は、実施例4でのEAEモデルにおけるrhuIL-1raもしくはr-metIFN-con1の臨床的重篤度についての影響を示す。
【図7】図7は、実施例4でのEAEモデルにおけるrhuIL-1raおよびr-metIFN-con1の組合せ療法での臨床的な重篤度についての影響を示す。
【図8】図8は、実施例4でのEAEモデルにおけるrhuIL-1raおよびr-metIFN-con1の組合せ療法の体重増加についての影響を示す。
【0186】
(配列表)
【0187】
【表2】

【0188】
【表3】

【0189】
【表4】

【0190】
【表5】

【0191】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載されるような、方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−7380(P2009−7380A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222907(P2008−222907)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【分割の表示】特願平10−525892の分割
【原出願日】平成9年12月8日(1997.12.8)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】