説明

IL−21受容体との結合が変化したインターロイキン−21変異体

本発明は、IL-21受容体共通γ鎖(c)への結合が変化したIL-21ポリペプチド変異体および療法におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、共通γ鎖 (γc)との結合が変化した新規のIL-21変異体および療法におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
インターロイキン-21(IL-21)は最近特定された1型サイトカインであり、133個のアミノ酸のタンパク質として活性化CD4+T細胞により分泌される(Parrish-Novak, J. et al., Nature 408, 57-63 (2000)(非特許文献1))。IL-21サイトカインは、B細胞、T細胞、およびNK細胞を含むいくつかのクラスの造血細胞の増殖、分化、および活性化に対して強力な刺激効果を有することが証明されている。IL-21の生物学的効果はIL-21受容体複合体の活性化によって媒介される。IL-21受容体複合体は、IL-21プライベート(private)受容体鎖(IL-21Rα)と、サイトカインIL-2、IL-4、IL-7、IL-9、およびIL-15のシグナル伝達受容体複合体の必須の成分を同様に構成する共通γ鎖(γc)の複合体からなる。従って、これらのサイトカインは、共通γ鎖サイトカインと呼ばれるサブファミリーを構成し、IL-21は一番新しく加えられたメンバーである。
【0003】
IL-2およびIL-4のX線結晶学およびNMR分光学によって、共通γ鎖サイトカインファミリーの中から高分解構造情報が得られている(Brandhuber.B.J. et al., Science 238, 1707-1709 (1987)(非特許文献2), Mott, H.R. et al., Journal of Molecular Biology 247, 979-994 (1995)(非特許文献3), Powers, R. et al., Science 256, 1673-1677 (1992)(非特許文献4), Wlodaver, A. et al., Febs Letters 309, 59-64 (1992)(非特許文献5)。これらの研究から、IL-2およびIL-4と、IL-1β、IL-2、IL-4、およびGM-CSFを含む他の1型サイトカインは、一次配列の相同性が離れているのにもかかわらず構造において共通の総トポロジーを有することが明らかになっている。これらのタンパク質の共通の構造モチーフは、アップ-アップ-ダウン-ダウン(up-up-down-down)トポロジーで配置され、ループによってつながれた中央4ヘリックスバンドルからなる。ループは、構造自由度が高いこと、ループ長の差がかなり大きいこと、ならびに安定化ジスルフィド結合の数および位置にばらつきがあることを特徴とする。SEQ ID No.1に示したIL-21アミノ酸配列(162aa長のポリペプチド)では、ヘリックスAはアミノ酸残基41-56によって規定され、ヘリックスBはアミノ酸残基69-84によって規定され、ヘリックスCはアミノ酸残基92-105によって規定され、ヘリックスDはアミノ酸残基135-148によって規定される。
【0004】
IL-2およびIL-4と対応するプライベート鎖との複合体、IL-2の場合では共通γ鎖との複合体の結晶構造も報告されている(Wang, X.Q. et al., Science 310, 1159-1163 (2005)(非特許文献6), Hage, T. et al., Cell 97, 271-281 (1999)(非特許文献7))。IL-2は、2本のプライベート受容体鎖IL-2RαおよびIL-2Rβを有する点でIL-4およびIL-21とは異なる。IL-2RβはIL-4RαおよびIL-21Rαと相同である。遊離型および受容体結合型のIL-2およびIL-4の間には、軽微な構造差しか観察されない。このことから、これらのサイトカインが複合体を形成をする際には、わずかな構造変化しか生じないことが分かる。これらの研究は、受容体結合に関与するサイトカイン残基を正確に特定し、突然変異誘発研究から得られた先の結果をよく反映している。
【0005】
プライベート受容体鎖への結合を保持しながらγcへの結合が消失している変異体を作成することによって、IL-4アンタゴニストが設計されている。これは、ヘリックスDにおける二重変異[R121D,Y124D]によって達成された(Tony, H.P. et al., European Journal of Biochemistry 225, 659-665 (1994)(非特許文献8))。γc結合のためのIL-4エピトープは、IL-4変異体を用いたバイアコア(biacore)分析によってさらに調査されている(Zhang, J. L. et al., European Journal of Biochemistry 269, 1490-1499 (2002)(非特許文献9)。最近、IL-4およびIL-21は、γcの部分的に重複するエピトープに結合することが示された(Zhang, J. L. et al., Biochemical and Biophysical Research Communications 300, 291-296 (2003)(非特許文献10))。
【0006】
IL-4アンタゴニスト([R121D,Y124D]-IL-4)との類似性によって、IL-4のR121およびY124に対応するヘリックスD残基を突然変異させることによって、アンタゴニスト特性を有するIL-21変異体が作成されている(WO2003040313(特許文献1))。
【0007】
このように、IL-21のアゴニズムおよびアンタゴニズムは、疾患および障害を治療するための潜在的に有用な機構として意味づけられてきた。このような疾患および障害をさらに解明するために、活性が変調したIL-21変異体を作成することは有用なツールである可能性があり、潜在的な創薬標的となり得る。従って、IL-21変異体およびIL-21変異体を設計する方法が引き続き必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2003040313号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Parrish-Novak, J. et al., Nature 408, 57-63 (2000)
【非特許文献2】Brandhuber.B.J. et al., Science 238, 1707-1709 (1987)
【非特許文献3】Mott, H.R. et al., Journal of Molecular Biology 247, 979-994 (1995)
【非特許文献4】Powers, R. et al., Science 256, 1673-1677 (1992)
【非特許文献5】Wlodaver, A. et al., Febs Letters 309, 59-64 (1992)
【非特許文献6】Wang, X.Q. et al., Science 310, 1159-1163 (2005)
【非特許文献7】Hage, T. et al., Cell 97, 271-281 (1999)
【非特許文献8】Tony, H.P. et al., European Journal of Biochemistry 225, 659-665 (1994)
【非特許文献9】Zhang, J. L. et al., European Journal of Biochemistry 269, 1490-1499 (2002)
【非特許文献10】Zhang, J. L. et al., Biochemical and Biophysical Research Communications 300, 291-296 (2003)
【発明の概要】
【0010】
本発明は、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して、1つまたは複数のアミノ酸残基において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、前記ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチドに関する。
【0011】
本発明は、IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、前記ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチドに関する。
【0012】
本発明は、IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、IL-21ペプチドとIL-21受容体との結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチドに関する。
【0013】
本発明はまた、IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、IL-21ペプチドとIL-21受容体γcとの結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチドに関する。
【0014】
本発明はまた、このようなペプチドを含む薬学的組成物、ならびに療法における前記ペプチドおよび/または前記調製物の使用に関する。
【0015】
本発明はまた、疾患または障害の治療において使用するための、本発明のペプチドまたは本発明の薬学的組成物の使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストであり、前記疾患または障害がIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用に関する。
【0016】
本発明はまた、疾患または障害の治療用の薬学的組成物を調製するための、本発明のペプチドの使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストであり、前記疾患または障害がIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用に関する。
【0017】
本発明はまた、疾患または障害を治療する方法であって、前記疾患または障害がIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得、前記治療が有効量の本発明のIL-21ペプチドの投与を含み、前記IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストである、方法に関する。
【0018】
本発明はまた、疾患または障害の治療において使用するための、本発明のペプチドの使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストであり、前記疾患または障害がIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用に関する。
【0019】
本発明はまた、疾患または障害の治療用の薬学的組成物を調製するための、本発明のペプチドの使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストであり、前記疾患または障害がIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用に関する。
【0020】
本発明はまた、疾患または障害を治療する方法であって、前記疾患または障害がIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得、前記治療が、有効量の本発明のペプチドを、治療を必要とする患者に投与する工程を含み、前記IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストである、方法に関する。
【0021】
本発明はまた、本発明のペプチドをコードする単離された核酸構築物に関する。
【0022】
本発明はまた、本発明の核酸構築物を含む宿主細胞に関する。
【0023】
本発明はまた、本発明のペプチドと特異的に結合する抗体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ランダムコイルについて観察されたCA化学シフト値と表中の化学シフト値との差を配列番号に対してプロットしたもの。Ser57からGly84については、27℃でのメジャー型およびマイナー型をそれぞれ黒色および赤色で示した。星印はプロリンの前にある残基を示す。
【図2】Cyanaからの最低エネルギーを有する20個の構造のアンサンブルの重ね合わせ。重ね合わせには残基Met7-Ser80およびCys93-Ser124の主鎖原子を使用した。主鎖原子のみを示した。分かりやすくするために、N末端残基Met0-His6およびC末端残基Ser125-Ser133は取り除いた。
【図3】(A)手で調整された、構造アラインメントに基づくhIL-2、hIL-4、およびhIL-21の配列アラインメント。番号付けはhIL-21に従う。(B)hIL-2β、hIL-4Rα、およびhIL-21Rαの配列アラインメント。このアラインメントは、出発点としてhIL-2βおよびhIL-4Rαの構造アラインメントを用いて手作業で行った。番号付けはhIL-21Rαに従う。
【発明を実施するための形態】
【0025】
配列の説明
SEQ ID No.1:完全長IL-21(1-162aa)のアミノ酸配列。この配列において、ヘリックスAはアミノ酸残基36-55によって規定され、ヘリックスBはアミノ酸残基73-81によって規定され、ヘリックスCはアミノ酸残基88-102によって規定され、ヘリックスDはアミノ酸残基133-153によって規定される。
【0026】
SEQ ID No.2:hIL-21(SEQ ID No.1の残基30-162)のアミノ酸配列。この配列において、ヘリックスAはアミノ酸残基7-26によって規定され、ヘリックスBはアミノ酸残基44-52によって規定され、ヘリックスCはアミノ酸残基59-73によって規定され、ヘリックスDはアミノ酸残基104-124によって規定される。
【0027】
SEQ ID No.3:Met-hIL-21(付加N末端メチオニン残基を有するSEQ ID No.2) のアミノ酸配列。
【0028】
発明の説明
IL-21受容体複合体の活性化は、2つの受容体サブユニットIL-21Rおよびγcによって構成される機能的ヘテロ二量体受容体複合体とIL-21が結合することによって進む。3つからなるIL-21受容体複合体が形成すると細胞内受容体ドメインの再配向が誘導され、これにより細胞内シグナル経路が活性化される。IL-21アンタゴニストは、IL-21とγcの結合が消失することによって作成されてもよい。結合の消失は、例えば、IL-21とγcの結合界面を破壊することによって達成することができる。このようなIL-21変異体は受容体複合体を活性化することができないと同時に、IL-21RサブユニットにおいてネイティブIL-21となお競合するので非常に特異的なアンタゴニストである。このような変異体は、γc結合に関与するIL-21残基を突然変異させることによって構築することができる。これらの残基の正体は今まで未知であった。本発明は、IL-21とγcの相互作用に重要な全てのIL-21残基を特定し、一つ一つアラニンで置換された対応するIL-21変異体を機能的に特徴付けることによって、γc結合に対するこれらの残基の重要性を確かめる。
【0029】
Met-hIL-21(SEQ ID No.3, SEQ ID No.1の断片30-162と付加N末端メチオニン)の高分解三次元構造を異種核NMR分光法によって分解した。全体的にみて、Met-hIL-21構造は、他のサイトカインについて観察されたように、アップ-アップ-ダウン-ダウントポロジーで配置され明確に定義された中央4ヘリックスバンドルが優位を占めている。IL-2/γc/IL-2Rα/IL-2Rβ受容体複合体の結晶構造とMet-hIL-21のNMR構造に基づいて、IL-21とγcの複合体の3Dモデルを作成した。この3Dモデルを用いて、γc結合に関与するIL-21残基を特定した。γc結合に対する個々の残基の重要性を確かめるために、γc結合に関与するIL-21残基セットについてアラニンスキャンを行った。
【0030】
これらの個々の残基の知識は、γcへの結合が変調したIL-21変異体の作成において用いられる。例えば、γcへの結合を消失させると、前述のアンタゴニスト特性を有するIL-21変異体が作成され得るのに対して、γcへの結合が改善したIL-21変異体は過度の活性のあるIL-21アゴニストにつながり得る。
【0031】
本発明は、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して、1つまたは複数のアミノ酸残基において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、前記ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチドに関する。
【0032】
本発明はまた、IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、前記ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチドに関する。
【0033】
前記ペプチドによって媒介される活性化は、例えば、本明細書のアッセイ(Ia)または(Ib)を使用することによって確かめられてもよい。
【0034】
1つの態様において、本発明は、IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、IL-21ペプチドとIL-21受容体との結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチドに関する。IL-21ペプチドとIL-21受容体との結合は、例えば、本明細書に記載のアッセイ(II)を使用することによって確かめられてもよく、アッセイ(Ia)および(Ib)に記載のように活性化を測定することによって間接的に測定されてもよい。
【0035】
1つの態様において、本発明は、IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、前記IL-21ペプチドとIL-21受容体γcの結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチドに関する。
【0036】
IL-21ペプチドとIL-21受容体または共通γ鎖(γc)との結合は、例えば、本明細書に記載のアッセイ(II)を使用することによって確かめられてもよい。
【0037】
ペプチドという用語は任意の適切なペプチドを含み、特に定めのない限り、または文脈と矛盾しない限り、ポリペプチドおよびタンパク質という用語と同義に用いることができる。ただし、それぞれのアミノ酸重合体を含有する分子のそれぞれのタイプは有意な差と関連してもよく、それによって本発明の個々の態様を形成してもよいことが読者に認められる(例えば、複数のポリペプチド鎖からなる抗体などのペプチドは、例えば、単鎖抗体、ペプチドイムノアドヘシン、または単鎖免疫原性ペプチドとは有意に異なる)。従って、本明細書のペプチドという用語は、(タンパク質分子中のアミノ酸の数および関連する鎖の数に関して)任意の適切なペプチドを指していると一般に理解されるはずである。さらに、本明細書に記載の本発明の方法および組成物の文脈におけるペプチドは、特に定めのない限り、または文脈と矛盾しない限り、非天然のアミノ酸および/または非Lアミノ酸の残基を含んでもよい。
【0038】
ペプチドという用語は、特に定めのない限り、または文脈と矛盾しない限り(ポリペプチドおよび/またがタンパク質という用語の個々の態様として議論されるのであれば)誘導体化ペプチド分子も含む。簡単には、本発明の文脈において、誘導体は、ペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基が、(例えば、アルキル化、アシル化、エステル形成、もしくはアミド形成によって)化学修飾されているペプチド、または1つもしくは複数の有機のおよび/もしくは無機の非アミノ酸原子置換基もしくは非アミノ酸分子置換基(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)基、親油性置換基(任意で、スペーサー残基もしくはスペーサー基、例えば、β-アラニン、γ-アミノ酪酸(GABA)、L/D-グルタミン酸、コハク酸などでペプチドのアミノ酸配列に連結されてもよい)、フルオロフォア、ビオチン、放射性核種など)と結合しているペプチドである。誘導体は、特に定めのない限り、または文脈と矛盾しない限り、非必須のアミノ酸、非天然のアミノ酸、および/または非Lアミノ酸の残基も含んでもよく、または代替として、非必須のアミノ酸、非天然のアミノ酸、および/または非Lアミノ酸の残基を含んでもよい(しかしながら、このような誘導体はそれ自身およびそれだけで本発明の独立した特徴とみなされてもよく、このような分子をペプチドの意味に含めることは、裸のペプチドとこのような誘導体とが等価であることを意味するのではなく、本発明の説明において便宜のためになされていると認められるはずである)。このようなアミノ酸残基の非限定的な例には、例えば、2-アミノアジピン酸、3-アミノ-アジピン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2'-ジアミノピメリン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルグリシン、N-メチル-イソロイシン、6-N-メチルリジン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、およびスタチン(statine)ハロゲン化アミノ酸が含まれる。
【0039】
IL-21ペプチドは、抗原に関連する生理学的効果を誘導、促進、増強、および/または他の方法で変調するのに十分な時間、ELISA、ウエスタンブロット、または本明細書に記載のおよび/もしくは当技術分野において公知の同様に適切な他のタンパク質結合法によって検出するのに十分な時間、ならびに/あるいは関連する期間(例えば、少なくとも約15分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、約1〜24時間、約1〜36時間、約1〜48時間、約1〜72時間、約1週間、またはそれ以上)の後に別の方法で検出可能に結合させるのに十分な時間、細胞条件下および/または生理学的条件下でIL-21受容体と特異的に結合する任意のペプチドを意味する。IL-21ペプチドとIL-21受容体との結合は、例えば、本明細書に記載のアッセイ(II)を使用することによって確かめられてもよく、アッセイ(Ia)および(Ib)に記載の活性化を測定することによって間接的に測定されてもよい。
【0040】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドはヒトIL-21の類似物である。
【0041】
ポリペプチドを指す、本明細書で使用する「類似物」という用語は、ペプチドの1つもしくは複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換されている、および/または1つもしくは複数のアミノ酸残基がペプチドから欠失されている、および/または1つもしくは複数のアミノ酸残基がペプチドに付加されている、改変ペプチドを意味する。アミノ酸残基のこのような付加または欠失は、ペプチドのN末端および/またはペプチドのC末端および/または鎖内で起こってもよい。光学異性体が述べられていないアミノ酸は全てL-異性体を意味すると理解されるはずである。
【0042】
本明細書で使用する「IL-21類似物」または「IL-21の類似物」または「ヒトIL-21の類似物」という用語は、IL-21受容体、特に、IL-21受容体共通γ鎖(γc)に結合する能力を有する、IL-21(またはヒトIL-21)類似物を指す。
【0043】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.1またはSEQ ID No.2との同一性が少なくとも80%のアミノ酸配列を有する。1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.1またはSEQ ID No.2との同一性が少なくとも85%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%のアミノ酸配列を有する。
【0044】
当技術分野において公知の「同一性」という用語は、2つまたはそれ以上のペプチドの配列を比較することによって求められた配列間の関係を指す。当技術分野において「同一性」はまた、2つまたはそれ以上のアミノ酸残基の配列間のマッチ数によって求められたペプチド間の配列関係性の程度も意味する。「同一性」は、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって対処された、 (ギャップアラインメントもしあれば)ギャップアラインメントの付いた2つまたはそれ以上の配列のうち短い配列間の同一マッチのパーセントである。関連ペプチドの同一性は公知の方法によって容易に計算することができる。このような方法には、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1 , Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991 ; およびCarillo et al., SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載の方法が含まれるが、これに限定されない。
【0045】
同一性を求める好ましい方法は、試験される配列間で最大マッチを生じるように設計される。同一性を求める方法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を求める好ましいコンピュータプログラム法には、GAPを含むGCGプログラムパッケージ(Devereux et al., Nucl. Acid. Res. 12, 387 (1984); Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA (Altschul et al., J. Mol. Biol. 215, 403-410 (1990))が含まれる。BLASTX プログラムが米国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)および他の情報源から公的に利用可能である(BLAST Manual, Altschul et al. NCB/NLM/NIH Bethesda, Md. 20894; Altschul et al., 前記)。同一性を求めるために、周知のSmith Watermanアルゴリズムも使用することができる。
【0046】
例えば、コンピュータアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group, University of Wisconsin, Madison, Wis.)を使用すると、パーセント配列同一性を求めようとする2つのペプチドは、それぞれのアミノ酸が最適にマッチするようにアラインメントされる(「マッチドスパン(matched span)」がアルゴリズムによって求められる)。ギャップオープニングペナルティー(平均ダイアゴナルの3倍として計算される。「平均ダイアゴナル」は、使用している比較マトリックスのダイアゴナルの平均である。「ダイアゴナル」は、特定の比較マトリックスによって、それぞれの完全アミノ酸マッチに割り当てられたスコアまたは数である)およびギャップ伸長ペナルティー(通常、ギャップオープニングペナルティーの{分数(1/10)}である)ならびにPAM250またはBLOSUM62などの比較マトリクスが、前記アルゴリズムと共に使用される。標準的な比較マトリクス(PAM250比較マトリクスについては、Dayhoff et al., Atlas of Protein Sequence and Structure, vol. 5, supp.3 (1978)、BLOSUM62比較マトリクスについては、Henikoff et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 89, 10915-10919 (1992)を参照されたい)も前記アルゴリズムによって用いられる。
【0047】
ペプチド配列比較のための好ましいパラメータには、以下が含まれる。
【0048】
アルゴリズム:Needleman et al., J. Mol. Biol. 48, 443-453 (1970);比較マトリクス:Henikoff et al., PNAS USA 89, 10915-10919 (1992)からのBLOSUM 62;ギャップペナルティー:12、ギャップ長ペナルティー:4、類似性の閾値:0。
【0049】
GAPプログラムと前記パラメータは有用である。前述のパラメータは、GAPアルゴリズムを用いたペプチド比較のためのデフォルトパラメータ(エンドギャップに対するペナルティーを伴わない)である。
【0050】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.1またはSEQ ID No.2との類似性が少なくとも80%のアミノ酸配列を有する。1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.1またはSEQ ID No.2との同一性が少なくとも85%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも99%のアミノ酸配列を有する。
【0051】
「類似性」という用語は、同一性に関連するが「同一性」とは対照的な概念であり、同一マッチおよび保存的置換マッチの両方を含む配列関連性を指す。2つのポリペプチド配列が、例えば、(分数(10/20))の同一のアミノ酸を有し、残りが全て非保存的置換であれば、パーセント同一性および類似性は両方とも50%になる。同じ例において、保存的置換のある位置がもう5つあれば、パーセント同一性は50%のままであるが、パーセント類似性は75%((分数(15/20)))になる。従って、保存的置換がある場合、2つのポリペプチド間の類似性の程度は、これらの2つのポリペプチド間のパーセント同一性より高くなる。
【0052】
SEQ ID No.1またはSEQ ID No.2のアミノ酸配列を含むペプチドの保存的改変(およびコード核酸に対する対応する改変)は、SEQ ID No.1またはSEQ ID No.2のアミノ酸配列を含むペプチドの機能的特徴および化学的特徴に類似する機能的特徴および化学的特徴を有するペプチドを生じる。対照的に、SEQ ID No.1またはSEQ ID No.2のアミノ酸配列を含むペプチドと比較した、本発明のペプチドの機能的特徴および/または化学的特徴の大幅な改変は、(a)置換領域における分子主鎖構造、例えば、シートもしくはヘリックスコンホメーション、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルク(bulk)の維持に及ぼす影響が大きく異なるアミノ酸配列内置換を選択することによって達成することができる。
【0053】
例えば、「保存的アミノ酸置換」は、ネイティブなアミノ酸残基から、その位置にあるアミノ酸残基の極性または電荷への影響がほとんど無い、または影響が無いような非ネイティブな残基への置換を伴ってもよい。さらに、「アラニンスキャニング変異誘発」(例えば、アラニンスキャニング変異誘発について議論している、MacLennan et al., Acta Physiol. Scand. Suppl. 643, 55-67 (1998); Sasaki et al., Adv. Biophys. 35, 1-24 (1998)を参照されたい)について以前に述べられたように、ポリペプチド内のどのネイティブ残基もアラニンで置換することができる。
【0054】
望ましいアミノ酸置換は(保存的置換でも非保存的置換でも)、このような置換が望ましい時に当業者によって決定することができる。例えば、アミノ酸置換は、本発明のペプチドの重要な残基を特定するのに用いられてもよく、既に述べられている突然変異に加えて、受容体に対する本明細書に記載のペプチドの親和性を増加または減少させるのに用いられてもよい。
【0055】
天然の残基は、共通の側鎖特性に基づいてクラスに分けることができる。
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖の方向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0056】
このような変化を加える際に、アミノ酸のハイドロパシー指数が考慮されることがある。それぞれのアミノ酸には、その疎水性および電荷の特徴に基づいてハイドロパシー指数が割り当てられている。これらのハイドロパシー指数は、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);およびアルギニン(-4.5)である。
【0057】
タンパク質への相互作用的生物機能の付与におけるアミノ酸ハイドロパシー指数の重要性が当技術分野において理解されている。Kyte et al., J. Mol. Biol., 157, 105-131(1982)。ある特定のアミノ酸は、類似のハイドロパシー指数またはスコアを有し、類似の生物学的活性をなお維持している他のアミノ酸で置換できることが知られている。ハイドロパシー指数に基づいて変化を加える際に、ハイドロパシー指数が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸の置換が特に好ましく、±0.5以内のアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。
【0058】
似ているアミノ酸の置換は、この場合と同様に、特に、置換によって作成される生物学的、機能的に等価なタンパク質またはペプチドが免疫学的態様における使用を目的とする場合に、親水性に基づいて効果的になされ得ることも当技術分野において理解されている。隣接するアミノ酸の親水性によって支配される、タンパク質の最大局所平均親水性は、免疫原性および抗原性、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関する。
【0059】
アミノ酸残基には、以下の親水性値:アルギニン(+3.0);リジン(’3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタミン酸(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)が割り当てられている。類似する親水性値に基づいて変化を加える際に、親水性値が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸の置換が特に好ましく、±0.5以内のアミノ酸の置換がさらに特に好ましい。親水性に基づいて一次アミノ酸配列からエピトープを特定することもできる。これらの領域は「エピトープコア領域」とも呼ばれる。
【0060】
本発明のペプチドはまた非天然のアミノ酸を含んでもよい。
【0061】
1つの態様において、IL-21受容体を介して媒介される前記ペプチドの活性化は、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して減少している。1つの態様において、前記ペプチドとIL-21受容体との結合は、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドとIL-21受容体との結合と比較して、少なくとも1/2、例えば、少なくとも1/5、例えば、少なくとも1/10、例えば、少なくとも1/20、例えば、少なくとも1/50、例えば、少なくとも1/100、例えば、少なくとも1/500、例えば、少なくとも1/1000に減少している。
【0062】
1つの態様において、IL-21受容体を介して媒介される前記ペプチドの活性化は、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して増加している。1つの態様において、前記ペプチドとIL-21受容体との結合は、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドとIL-21受容体との結合と比較して、少なくとも2倍、例えば、少なくとも5倍、例えば、少なくとも10倍、例えば、少なくとも20倍、例えば、少なくとも50倍に増加している。
【0063】
受容体を介した活性化の減少または増加は、例えば、アッセイ(Ia)または(Ib)として本明細書に記載のアッセイを使用することによって確かめることができる。
【0064】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、IL-21受容体のアンタゴニストである。本明細書において、アンタゴニストは、部分アゴニストでもよく、完全アンタゴニストでもよい。部分アゴニストは、アッセイ(Ia)または(Ib)を用いて分析された時に、有効性の低い活性化を生じるIL-21ペプチドを意味し、完全アンタゴニストは、アッセイ(Ia)または(Ib)を用いて分析された時に、測定可能な活性化を生じないIL-21ペプチドを意味する。有効性の低い活性化は、天然アゴニストhIL-21の対応する用量で達成される活性化の50%未満に相当する活性化を意味する。さらに、アンタゴニストは、アンタゴニストが1nMまたはそれ以下の濃度で存在する時に、天然アゴニストhIL-21によって媒介される受容体活性化を阻害しなければならない。
【0065】
1つの態様において、本発明の突然変異の導入は、IL-21ペプチドのアンタゴニスト活性を担うものであるか、またはIL-21ペプチドのアンタゴニスト活性の一因となるものである。
【0066】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドはIL-21受容体のアゴニストである。本明細書の目的では、IL-21アゴニストは、本明細書に記載のアッセイ(Ia)または(Ib)などのアッセイにおいてIL-21受容体を活性化する分子である。
【0067】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.1のヘリックスDに対応する領域内の1つまたは複数のアンタゴニスト突然変異、例えば、Brandt, C et al., Journal of Leukocyte Biology Suppl. S 119, 46-46 (2001)に記載の突然変異を保持する。1つの態様において、ヘリックスDにおける前記アンタゴニスト突然変異の1つまたは複数は、WO2003040313に記載のような、SEQ ID No.2における位置Gln-116およびIle-119に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数における突然変異である。1つの態様において、Gln-116はAspで置換されている。1つの態様において、Ile-119はAspで置換されている。1つの態様において、位置Ile-119からSer-133に対応するアミノ酸残基は欠失されており、これもWO2003040313に記載されている。
【0068】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、CN1513993Aに記載の突然変異の1つまたは複数を保持する。1つの態様において、前記突然変異の1つまたは複数は、SEQ ID No.2における位置Lys-21、Arg-83、およびLeu-123に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数における突然変異である。1つの態様において、Lys-21はHisで置換されている。1つの態様において、Arg-83はGlyで置換されている。1つの態様において、Leu-123はIleで置換されている。1つの態様において、Lys-21はHisで置換され、Arg-83はGlyで置換され、Leu-123はIleで置換されている。
【0069】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、WO2004112703に記載の突然変異の1つまたは複数を保持する。
【0070】
1つの態様において、前記ペプチドは、WO2004112703に記載の突然変異の1つまたは複数を保持する。1つの態様において、前記アゴニストIL-21ペプチドは、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が国際特許出願番号第PCT2006EP061635号に記載のように欠失または置換されている配列を有する。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜86に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜90に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基82〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基71〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜86に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜90に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基82〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基71〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。1つの態様において、SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている。
【0071】
IL-21受容体共通γ鎖(γc)との結合の変調は、例えば、下記の1つまたは複数のアミノ酸残基を突然変異させることによって達成することができる。
【0072】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.2におけるMet-7、Arg-11、Ile-14、Asp-18、Glu-36、Asp-37、Thr-40、Glu-100、Glu-109、Ser-113、Gln-116、Lys-117、Ile-119、His-120、Lys-123、Ser-125、Arg-126、Thr-127、His-128、Gly-129、Ser-130、Glu-131、Asp-132、およびSer-133に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する。
【0073】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.2におけるMet-7、Arg-11、Ile-14、Asp-18、Glu-100、Glu-109、Ser-113、Gln-116、Lys-117、Ile-119、His-120、およびLeu-123に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する。
【0074】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.2におけるMet-7、Arg-11、Ile-14、Asp-18、Glu-36、Asp-37、Thr-40、Glu-100、Ser-125、Arg-126、Thr-127、His-128、Gly-129、Ser-130、Glu-131、Asp-132、およびSer-133に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する。
【0075】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.2におけるArg-11、Glu-36、Asp-37、Thr-40、Glu-100、Ser-113、Lys-117、およびHis-120に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する。
【0076】
1つの態様において、本発明のIL-21ペプチドは、SEQ ID No.2におけるIle-14、Gln-116、およびLys-117に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する。
【0077】
1つの態様において、前記ペプチドは、SEQ ID No.1におけるヘリックスAに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む。1つの態様において、前記ペプチドは、位置Met-7、Arg-11、Ile-14、およびAsp-18に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む。
【0078】
1つの態様において、前記ペプチドは、SEQ ID No.1におけるループA/Bに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む。本明細書の目的では、ループA/Bは、SEQ ID No.1ではアミノ酸残基56〜72からなり、SEQ ID No.2ではアミノ酸残基27〜43に対応する。1つの態様において、前記ペプチドは、SEQ ID No.2における位置Glu-36、Asp-37、およびThr-40に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む。
【0079】
1つの態様において、前記ペプチドは、SEQ ID No.1におけるループC/Dに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数におい突然変異を含む。本明細書の目的では、ループC/Dは、SEQ ID No.1ではアミノ酸残基103〜132からなり、SEQ ID No.2ではアミノ酸残基74〜103に対応する。1つの態様において、前記ペプチドは、SEQ ID No.2における位置Glu-100の突然変異を含む。
【0080】
1つの態様において、前記ペプチドは、SEQ ID No.1におけるヘリックスDに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む。1つの態様において、前記ペプチドは、SEQ ID No.2における位置Glu-109、Ser-113、Gln-116、Lys-117、Ile-119、His-120、およびLys-123に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む。
【0081】
1つの態様において、前記ペプチドは、C末端から10個のアミノ酸残基におけるアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む。1つの態様において、前記ペプチドは、SEQ ID No.2における位置Ser-125、Arg-126、Thr-127、His-128、Gly-129、Ser-130、Glu-131、Asp-132、およびSer-133に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む。
【0082】
1つの態様において、述べられた位置における突然変異はAlaによる置換である。
【0083】
本発明のペプチドは様々なやり方で調製することができる。ペプチドは、当技術分野において公知のタンパク質合成法によって調製することができる。これは、ペプチドの大きさのために、ペプチドのいくつかの断片を合成し、次いで、断片を組み合わせて本発明のペプチドを得ることによって、さらに都合よく行うことができる。しかしながら、特定の態様では、本発明のペプチドは、本発明のペプチドをコードする核酸構築物を含む適切な宿主を発酵することによって調製される。これは当業者に周知である。
【0084】
本発明のペプチドは、IL-21活性の変調(例えば、増加または減少)が患者にとって有益であると分かり得る様々な疾患および障害の治療において使用することができる。本発明のペプチドはIL-21アゴニストでもIL-21アンタゴニストでもよく、従って、様々な疾患および障害の治療において有用であり得る。
【0085】
従って、本発明は、療法において使用するための本発明のペプチドを提供する。
【0086】
本発明はまた、療法において使用するための本発明のペプチドの使用も提供する。
【0087】
本明細書で使用する「治療」および「治療する」という用語は、疾患または障害などの状態と戦う目的での患者の管理および医療を意味する。この用語は、患者が罹患している特定の状態に対する全範囲の治療、例えば、活性化合物を投与して、症状もしくは合併症を軽減すること、疾患、障害、もしくは状態の進行を遅らせること、症状および合併症を軽減もしくは緩和すること、および/または疾患、障害、もしくは状態を治癒させるか、もしくは無くすこと、ならびに状態を予防することを含むことが意図される。ここで、予防は、疾患、状態、または障害と戦う目的での患者の管理および医療と理解されるはずであり、活性ペプチドを投与して症状または合併症の発症を予防することを含む。治療しようとする患者は、哺乳動物、特に、ヒトでもよいが、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、およびブタなどの動物も含んでよい。治療法および予防(防止)法は本発明の別々の局面であると理解されるはずである。
【0088】
本明細書で使用する、ペプチドの「治療的有効量」は、ある特定の疾患およびその合併症の臨床的発現を治癒させる、軽減する、または部分的に阻止するのに十分な量を意味する。これを達成するのに十分な量が「治療的有効量」と定義される。それぞれの目的での有効量は、疾患または傷害のタイプおよび重篤度ならびに被験体の体重および一般状態によって決まる。適切な投与量の決定は、日常的な実験を用いて、数値のマトリックスを構築し、マトリックス内の様々な点を試験することによって達成され得ると理解されるだろう。これらは全て、訓練を受けた医師または獣医の通常の技術の範囲内である。
【0089】
IL-21アンタゴニストである本発明のペプチドおよび本発明の薬学的組成物は多数の疾患および障害の治療において使用することができる。
【0090】
結果として、本発明はまた、疾患または障害の治療において使用するための、本発明のペプチドの使用であって、IL-21ペプチドはIL-21受容体のアンタゴニストであり、前記疾患または障害はIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用も提供する。本発明はまた、疾患または障害の治療用の薬学的組成物を調製するための、本発明のペプチドの使用であって、IL-21ペプチドはIL-21受容体のアンタゴニストであり、前記疾患または障害はIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用も提供する。本発明はまた、疾患または障害を治療する方法であって、前記疾患または障害はIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得、前記治療は、有効量の本発明のペプチドを、治療を必要とする患者に投与する工程を含み、前記IL-21ペプチドはIL-21受容体のアンタゴニストである、使用も提供する。
【0091】
1つの態様において、このような疾患または障害は自己免疫疾患および/または炎症性疾患である。このような自己免疫疾患および/または炎症性疾患の例が、全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性関節リウマチ(RA)、および炎症性腸疾患(IBD)(潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含む)、多発性硬化症(MS)、硬皮症、ならびに1型糖尿病(T1D)、ならびに他の疾患および障害、例えば、PV(尋常性天疱瘡)、乾癬、アトピー性皮膚炎、セリアック病、kol、橋本甲状腺炎、グレーブス病(甲状腺)、シェーグレン症候群、ギラン-バレー症候群、グッドパスチャー症候群、アジソン病(additon's disease)、ウェゲナー肉芽腫症、原発性胆汁性硬化症(primary biliary sclerosis)、硬化性胆管炎、自己免疫肝炎、リウマチ性多発筋痛、レイノー現象(paynaud's phenomenon)、側頭動脈炎、巨細胞性動脈炎、自己免疫溶血性貧血、悪性貧血、結節性多発動脈炎、ベーチェット病、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、心筋炎、リウマチ熱、強直性脊椎炎、糸球体腎炎(glomerulenephritis)、類肉腫症、皮膚筋炎、重症筋無力症、多発性筋炎、円形脱毛症、および白斑(vitilgo)である。他の例は、PCT出願WO01/46420において見つけることができる。WO01/46420は、自己免疫疾患および/または炎症性疾患を治療するためのIL-17の使用に向けられており、このような疾患の数例が示されている。
【0092】
1つの態様において、このような疾患または障害は、SLE、RA、またはIBDである。
【0093】
1つの態様において、このような疾患または障害はMSである。
【0094】
IL-21アゴニストである本発明のペプチドおよび本発明の薬学的組成物は、多数の疾患および障害の治療において使用することができる。
【0095】
結果として、本発明はまた、疾患または障害の治療において使用するための、本発明のペプチドの使用であって、IL-21ペプチドはIL-21受容体のアゴニストであり、前記疾患または障害はIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用も提供する。本発明はまた、疾患または障害の治療用の薬学的組成物を調製するための、本発明のペプチドの使用であって、IL-21ペプチドはIL-21受容体のアゴニストであり、前記疾患または障害はIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用も提供する。本発明はまた、疾患または障害を治療する方法であって、前記疾患または障害はIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得、前記治療は、有効量の本発明のペプチドを、治療を必要とする患者に投与する工程を含み、前記IL-21ペプチドはIL-21受容体のアゴニストである、方法も提供する。
【0096】
1つの態様において、疾患または障害は癌である。1つの態様において、このような癌は、非転移性および転移性の新生物障害、例えば、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頚部癌、内分泌系癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部消化管癌、結腸直腸癌、肝臓癌および胆管癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、骨および軟部組織の肉腫、中枢神経系癌、リンパ腫、白血病、ならびに原発不明癌より選択される。1つの態様において、癌は悪性黒色腫である。
【0097】
本発明のIL-21ペプチドは、当技術分野において公知の他の医用薬剤と組み合わせて投与することができる。
【0098】
アンタゴニストIL-21ペプチドおよび自己免疫疾患治療に関して、このような併用療法は、本発明のIL-21ペプチドと医用薬剤の投与を含んでもよい。投与は、IL-21ペプチドと共に、このような自己免疫疾患を予防または治療するための有効量を含む。自己免疫疾患が1型糖尿病である場合、併用療法は、膵臓β細胞の増殖を促進する薬剤またはβ細胞の移植を強化する薬剤、例えば、β細胞の増殖因子もしくは生存因子または免疫調節性抗体の1つまたは複数を含んでもよい。自己免疫疾患が慢性関節リウマチである場合、併用療法は、メトトレキセート、抗TNF-α抗体、TNF-α受容体-Ig融合タンパク質、抗IL-15抗体、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の1つまたは複数を含んでもよい。例えば、さらなる薬剤は、生物学的薬剤、例えば、抗TNF剤(例えば、Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、およびアダリムマブ(Humira(登録商標))またはリツキシマブ(Rituxan(登録商標))でもよい。自己免疫疾患が造血性移植片拒絶である場合、造血増殖因子(例えば、エリスロポエチン、G-CSF、GM-CSF、IL-3、IL-11、トロンボポエチンなど)または抗菌剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤)が投与されてもよい。自己免疫疾患が乾癬である場合、さらなる薬剤は、タール(tar)およびその誘導体、光線療法、コルチコステロイド、シクロスポリンA、ビタミンD類似体、メトトレキセート、p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)阻害剤、ならびに生物学的薬剤、例えば、抗TNF-α剤およびRituxan(登録商標)の1つまたは複数でもよい。自己免疫疾患が炎症性腸疾患(IBD)、例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎である場合、さらなる薬剤は、アミノサリチル酸、コルチコステロイド、免疫調節剤、抗生物質、または生物学的薬剤、例えば、Remicade(登録商標)およびHumira(登録商標)の1つまたは複数でもよい。
【0099】
アゴニストIL-21ペプチドおよび癌治療に関して、このような併用療法は、本発明のIL-21ペプチドと、癌の治療に有用な医用薬剤、例えば、
従来の化学療法剤、例えば、代謝拮抗物質(例えば、アザチオプリン、シタラビン、リン酸フルダラビン、フルダラビン、ゲムシタビン、シタラビン、クラドリビン、カペシタビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、およびヒドロキシウレア)、アルキル化剤(例えば、メルファラン、ブスルファン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、イフォスファミド、ダカルバジン、プロカルバジン、クロランブシル、チオテパ、ロムスチン、テモゾロミド)、有糸分裂阻害剤(例えば、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドセタキセル、パクリタキセル)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ドキソルビシン、アムサクリン、イリノテカン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、イダルビシン、テニポシド、エトポシド、トポテカン)、抗生物質(例えば、アクチノマイシンおよびブレオマイシン)、アスパラギナーゼ、またはアントラサイクリンもしくはタキサン;
ある特定のモノクローナル抗体(mAb)、例えば、リツキシマブ、アレムツズマブ、トラスツズマブ、ゲムツズマブ、ゲムツズマブ-オゾガマイシン(Myelotarg(登録商標), Wyeth)、セツキシマブ(Erbitux(商標))、ベバシズマブ、HuMax-CD20、HuMax-EGFr、Zamyl、およびペルツズマブ、ならびに/または、例えば、組織因子、キラーIg様受容体(KIR)、ラミニン-5、EGF-R、VEGF-R、PDGF-R、HER-2/neuに対する抗体、もしくは腫瘍抗原、例えば、PSA、PSCA、CEA、CA125、KSAに対する抗体など;
細胞周期制御/アポトーシスレギュレーター、例えば、レギュレーターを標的とする化合物、例えば、(i)cdc-25を標的とする化合物、(ii)細胞周期を過剰に刺激するサイクリン依存性キナーゼを標的とする化合物(例えば、フラボピリドール(L868275, HMR1275;Aventis)、7-ヒドロキシスタウロスポリン(UCN-01, KW-2401;Kyowa Hakko Kogyo)およびロスコビチン(R-ロスコビチン, CYC202;Cyclacel))、ならびに(iii)テロメラーゼを標的とする化合物(例えば、BIBR1532およびSOT-095、ならびアポトーシス経路を妨害する薬物、例えば、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)/アポトーシス-2リガンド(Apo-2L)、TRAIL受容体、IFNα、およびアンチセンスBcl-2を活性化する抗体;
増殖因子阻害剤、例えば、上皮細胞増殖因子受容体(EGF-R)ファミリーの受容体の細胞外リガンド結合ドメインに対する抗体、ならびにこれらの受容体のチロシンキナーゼドメインを阻害する低分子量分子、例えば、Herceptin、セツキシマブ、Tarceva、およびIressa;
腫瘍血管新生の阻害剤(抗血管形成薬および抗転移剤)、例えば、エンドスタチン、アンギオスタチン、血管形成を開始する因子をブロックする抗体(例えば、抗VEGF-Avastin)、および関連するシグナル伝達経路の重要な要素を阻害することによって血管形成を阻害する低分子化合物;
抗血管形成薬、例えば、avastin、ネオバスタット(neovastat)、サリドマイド、PTK787、ZK222584、ZD-6474、SU6668、PD547,632、VEGF-Trap、CEP-7055、NM-3、SU11248、
ホルモン剤、例えば、リン酸エストラムスチン、リン酸ポリエストラジオール、エストラジオール、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、タモキシフェン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、オクトレオチド、酢酸シプロテロン、ビカルタミド、フルタミド、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、またはゴセレリン;
腫瘍細胞またはウイルス感染細胞に対する免疫応答を増強する薬剤、例えば、アジュバント、例えば、ワクチンアジュバント、例えば、QS21、GM-CSF、およびCpGオリゴデオキシヌクレオチド、リポ多糖、ポリイノシン:ポリシチジン酸、α-ガラクトシルセラミドもしくはその類似物、二塩酸ヒスタミン、または水酸化アルミニウム;
サイトカイン、例えば、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-2、PEG-IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-12、IL-13、IL-15、IL-18、IL-23、IL-27、IL-28a、IL-28b、IL-29、GM-CSF、Flt3リガンドもしくは幹細胞因子、またはこれらのいずれかの類似物もしくは誘導体;
シスプラチン、タモキシフェン、DTIC、カルムスチン、カルボプラチン、ビンブラスチン、ビンデシン、サイモシン-α、自己由来LAK細胞、ゲムシタビン;
免疫系における阻害シグナル伝達をブロックする薬剤、例えば、CTLA-4に特異的なmAb(抗CTLA-4)、KIRに特異的なmAb(抗KIR)、LIRに特異的なmAb(抗LIR)、CD94に特異的なmAb(抗CD94)、またはNKG2Aに特異的なmAb(抗NKG2A);
抗アネルギー剤、例えば、MDX-010(Phan et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100, 8372 (2003));
NK細胞、T細胞、またはNKT細胞上で発現する抑制性受容体に対する抗体;
治療用ワクチン;
腫瘍の成長、転移、またはウイルス感染細胞の蔓延を妨害する薬剤;ならびに
免疫抑制剤/免疫調節剤、例えば、Tリンパ球ホーミングに影響を及ぼす薬剤、例えば、FTY-720、カルシニューリン阻害剤、例えば、バルスポダール(valspodar)、PSC833、TOR阻害剤、シロリムス、エベロリムス、およびラプマイシン(rapmycin)の投与を含んでもよい。
【0100】
このような併用療法はまた、本発明のIL-21ペプチドと放射線療法、例えば、外部ビーム放射線療法(EBRT)または内用療法(internal radiotherapy)(近接照射療法(BT))の投与を含んでもよい。使用されてきた代表的な放射性原子には、ラジウム、セシウム-137、イリジウム-192、アメリシウム-241、金-198、コバルト-57、銅-67、テクネチウム-99、ヨウ素-123、ヨウ素-131、およびインジウム-111が含まれる。
【0101】
このような併用療法はまた、本発明のIL-21ペプチドと細胞免疫療法の投与を含んでもよい。細胞免疫療法は、抗癌応答を刺激または発揮することができる細胞を患者から単離し、これらの細胞を大量に増やし、同じ患者または別の患者に再導入することを含んでもよい。
【0102】
このような併用療法はまた、本発明のIL-21ペプチドと内部ワクチン接種(internal vaccination)の投与を含んでもよい。内部ワクチン接種は、薬物または放射線によって誘導される腫瘍細胞細胞死であって、(i)腫瘍細胞全体に対する免疫応答、あるいは(ii)(a)分泌型のタンパク質、糖タンパク質、または他の産物を含む腫瘍細胞の一部に対する免疫応答、(b)膜結合型のタンパク質もしくは糖タンパク質、または膜と結合している他の成分もしくは膜に挿入されている他の成分に対する免疫応答、および(c)細胞内タンパク質または他の細胞内成分に対する免疫応答の誘発につながる、腫瘍細胞細胞死を指す。
【0103】
このような併用療法はまた、本発明のIL-21ペプチドと遺伝子療法の投与を含んでもよい。遺伝子療法は、遺伝物質を細胞に導入して、一過的または永久に細胞表現型を変えることを含む。
【0104】
IL-21を用いたこのような併用治療はまた、国際特許出願番号第PCT2006EP061635号、WO2003103589、WO2005/037306、およびWO2005113001に記載されている。
【0105】
併用治療は、当業者が必要または便利だと思われ、かつ本明細書の目的に合った任意のやり方で実施することができ、併用しようとする化合物の順番、量、繰り返し、または相対量に関して制限は意図されない。
【0106】
従って、療法において使用するための本発明のIL-21ペプチドは薬学的組成物に処方することができる。本発明はまた、本発明のペプチドを含む薬学的組成物に関する。本発明の薬学的組成物は、単独で、または薬学的に許容される担体もしくは賦形剤と組み合わせて、単回投与または複数回投与で投与することができる。組み合わせの製剤は、化合物を組み合わせた1投与単位としてでもよく、分割投与として処方されてもよい。本発明のIL-21変異体を含む薬学的組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤ならびに従来の技法に従う他の任意の公知のアジュバントおよび賦形剤、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995に開示されるものを用いて処方することができる。組成物は、従来の形、例えば、カプセル、錠剤、エアロゾル、溶液、または懸濁液の形をしてもよい。
【0107】
薬学的組成物は、具体的には、任意の適切な経路、例えば、経口経路、直腸経路、鼻経路、肺経路、局所経路(頬経路および舌下経路を含む)、経皮経路、槽内経路、腹腔内経路、腟経路、ならびに非経口経路(皮下経路、筋肉内経路、くも膜下腔内経路、静脈内経路、および皮内経路)による投与用に処方することができる。好ましい経路は、治療しようとする被験体の全身状態および年齢、治療しようとする状態の内容、ならびに選択された活性成分によって決まることが理解されるだろう。投与経路は、活性化合物を適切な作用部位または望ましい作用部位に効果的に輸送する任意の経路でよい。
【0108】
経口投与用の薬学的組成物には、固体剤形、例えば、硬カプセルまたは軟カプセル、錠剤、トローチ、糖衣錠、丸剤、ロゼンジ、散剤、および顆粒剤が含まれる。適宜、経口投与用の薬学的組成物は、コーティング、例えば、腸溶コーティングを用いて調製されてもよく、活性成分が徐放するように、例えば、持続的にまたは長期間放出されるように当技術分野において周知の方法に従って処方されてもよい。
【0109】
経口投与用の液体剤形には、液体、エマルジョン、水性懸濁液または油性懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。
【0110】
非経口投与用の薬学的組成物には、滅菌した水性注射液および非水性注射液、分散液、懸濁液、またはエマルジョン、ならびに使用前に滅菌注射液または滅菌分散液で再構成される滅菌散剤が含まれる。蓄積注射用製剤も本発明の範囲内であると意図される。
【0111】
他の適切な投与形態には、坐剤、噴霧剤、軟膏、クリーム、ゲル、吸入剤、皮膚パッチ、移植片などが含まれる。
【0112】
代表的な経口投与量は、1回または複数回投与、例えば、1〜3回の投与で投与される、約0.001〜約100mg/kg体重/日、例えば、約0.01〜約50mg/kg体重/日、例えば、約0.05〜約10mg/kg体重/日の範囲である。厳密な投与量は、選択されたIL-21ポリペプチドの内容、投与頻度および投与方法、治療を受けている被験体の性別、年齢、体重および全身状態、治療されている状態および治療しようとする任意の随伴疾患の内容および重篤度、ならびに当業者に明らかな他の要因によって決まる。
【0113】
製剤は、都合よく、当業者に公知の方法によって単位剤形で提示されてもよい。1日に1回または複数回、例えば、1日に1〜3回の経口投与の場合、代表的な単位剤形は、0.05〜約1000mg、例えば、約0.1〜約500mg、例えば、約0.5mg〜約200mgを含有してもよい。
【0114】
非経口経路、例えば、静脈内経路、くも膜下腔内経路、筋肉内経路、および同様の投与の場合、用量は、典型的には、経口投与に用いられる用量のほぼ半分である。
【0115】
ペプチドが固体または結晶の形をしている場合、本発明のIL-21変異体の塩が特に関連している。
【0116】
非経口投与の場合、本発明のIL-21変異体を滅菌水溶液、水性プロピレングリコール、またはゴマ油もしくはピーナッツ油で溶解した溶液が用いられてもよい。このような水溶液は、必要に応じて適切に緩衝化すべきであり、まず最初に、液体希釈剤が十分な食塩水またはグルコースで等張にされる。水溶液は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、および腹腔内投与に特に適している。使用される滅菌水性媒体は全て、当業者に公知の標準的な技法によって容易に入手することができる。
【0117】
適切な薬学的担体には、不活性の固体希釈剤または増量剤、滅菌水溶液および様々な有機溶媒が含まれる。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびセルロースの低級アルキルエーテルである。液体担体の例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン、および水である。同様に、担体または希釈剤は、当技術分野において公知の任意の持効性材料、例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートを単独で、またはろうと混合して含んでもよい。次いで、本発明のIL-21変異体および薬学的に許容される担体を組み合わせることによって形成される薬学的組成物は、開示された投与経路に適した様々な剤形で容易に投与される。製剤は、都合よく、薬学の技術分野において公知の方法によって単位剤形で提示されてもよい。
【0118】
鼻投与の場合、調製物は、エアロゾル用の液体担体、特に、水性担体に溶解または懸濁された本発明のIL-21変異体を含有してもよい。担体は、添加物、例えば、可溶化剤、例えば、プロピレングリコール、界面活性剤、吸収促進剤、例えば、レシチン(ホスファチジルコリン)もしくはシクロデキストリン、または防腐剤、例えば、パラベンを含有してもよい。
【0119】
本発明のIL-21変異体と、任意で、経口投与に適した併用薬剤との製剤は、別々の単位、例えば、カプセルまたは錠剤として提示されてもよい。それぞれの単位は所定量の活性成分を含有し、適切な賦形剤を含んでもよい。さらに、経口で利用可能な製剤は、散剤もしくは顆粒剤、水性液体もしくは非水性液体で溶解した溶液または懸濁液、または水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョンの形をとってもよい。
【0120】
経口使用を目的とする組成物は任意の公知の方法に従って調製することができる。このような組成物は、薬学的に洗練され、かつ味のよい調製物を提供するために、甘味剤、フレーバー剤、着色剤、および防腐剤からなる群より選択される1つまたは複数の薬剤を含有してもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した薬学的に許容される無毒の賦形剤と混合して、活性成分を含有してもよい。これらの賦形剤は、例えば、不活性の希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム;ならびに潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクでもよい。錠剤はコーティングされなくてもよく、胃腸管内での崩壊および吸収を遅らせ、それによって長期間にわたって持続的に作用させるために公知の技法によってコーティングされてもよい。例えば、時間遅延材料、例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートが用いられてもよい。錠剤はまた、徐放用の浸透圧治療用錠剤を形成するために、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,356,108号;同第4,166,452号;および同第4,265,874号に記載の技法によってコーティングされてもよい。
【0121】
経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性の固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンと混合された硬ゼラチンカプセル、あるいは活性成分が、水または油性媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセルとして提示されてもよい。
【0122】
水性懸濁液は、本発明のIL-21変異体と、任意で、併用薬剤を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して含有してもよい。このような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアラビアゴムであり、分散剤または湿潤剤は、天然のホスファチド、例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、または酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシエタノール、または酸化エチレンと、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、または酸化エチレンと、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートでもよい。水性懸濁液はまた、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数のフレーバー剤、および1つまたは複数の甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリンを含有してもよい。
【0123】
油性懸濁液は、活性成分を植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはヤシ油、または鉱油、例えば、流動パラフィンに懸濁することによって処方されてもよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィン、またはセチルアルコールを含有してもよい。味のよい経口調製物を提供するために、甘味剤、例えば、前記で示した甘味剤、およびフレーバー剤が添加されてもよい。これらの組成物は、酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸を添加することによって保存されてもよい。
【0124】
水添加による水性懸濁液の調製に適した分散可能な粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1つまたは複数の防腐剤と混合した活性化合物を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤は、既に前述されたものによって例示される。さらなる賦形剤、例えば、甘味剤、フレーバー剤、および着色剤も存在してよい。
【0125】
本発明のIL-21変異体と、任意で併用薬剤との薬学的組成物は、水中油型エマルジョンの形をとってもよい。油相は、植物油、例えば、オリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱油、例えば、流動パラフィン、あるいはその混合物でもよい。適切な乳化剤は、天然のゴム、例えば、アラビアゴムまたはトラガカントゴム、天然のホスファチド、例えば、ダイズレシチン、ならびに脂肪酸とヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、および前記部分エステルと酸化エチレンとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートでもよい。エマルジョンはまた甘味剤およびフレーバー剤を含有してもよい。
【0126】
シロップおよびエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースを用いて処方されてもよい。このような製剤はまた、粘滑薬、防腐剤およびフレーバー剤および着色剤を含有してもよい。薬学的組成物は、滅菌した注射用の水性懸濁液または油性懸濁液の形をとってもよい。この懸濁液は、公知の方法に従って、前記の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて処方することができる。滅菌した注射用の調製物はまた、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒に溶解した滅菌注射液または滅菌懸濁液、例えば、1,3-ブタンジオールに溶解した溶液でもよい。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌した不揮発性油が溶媒または懸濁媒体として都合よく用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを用いて、任意のブレンド不揮発性油を使用することができる。さらに、脂肪酸、例えば、オレイン酸が注射液の調製において用いられる。
【0127】
組成物はまた、本発明の化合物を直腸に投与するために坐剤の形をとってもよい。これらの組成物は、常温では固体であるが直腸温度では液体になり、従って、直腸では融解して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤を、薬物と混合することによって調製することができる。このような材料には、例えば、カカオ脂およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0128】
局所使用の場合、本発明の化合物を含有する、クリーム、軟膏、ゼリー、または懸濁液の溶液などが意図される。この用途の目的では、局所適用は口内洗浄剤およびうがい剤を含むものとする。
【0129】
本発明のIL-21変異体はまた、任意で併用薬剤と共に、小さな単層小胞、大きな単層小胞、および多層小胞などのリポソーム送達系の形で投与されてもよい。リポソームは、コレステロール、ステアリル-アミン、またはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0130】
さらに、本発明のIL-21変異体の一部は、水または一般的な有機溶媒と溶媒和化合物を形成してもよい。このような溶媒和化合物もまた本発明の範囲内に包含される。
【0131】
経口投与のために固体担体が用いられる場合、調製物は錠剤にされてもよく、散剤またはペレットの形にして硬ゼラチンカプセルに入れられてもよく、トローチまたはロゼンジの形にしてもよい。固体担体の量は多種多様であるが、通常、約25mg〜約1gである。液体担体が用いられる場合、調製物は、シロップ、エマルジョン、軟ゼラチンカプセル、または滅菌注射液、例えば、水性または非水性の液体懸濁液または溶液の形でもよい。
【0132】
本発明のIL-21変異体は、任意で併用薬剤と共に、このような治療を必要とする哺乳動物、特に、ヒトに投与することができる。このような哺乳動物は動物を含み、動物には、家畜、例えば、家庭のペットと、非家畜、例えば、野生動物の両方がある。
【0133】
本発明のIL-21変異体を含有する薬学的組成物は、1日または1週間に1回または複数回、例えば、食事時に投与することができる。このような薬学的組成物の有効量は、臨床的に意味のある効果をもたらす量である。このような量は、一部には、治療しようとする特定の状態、患者の年齢、体重、および身体全体の健康、ならびに当業者に明らかな他の要因によって決まる。
【0134】
本発明はまた、本発明のペプチドをコードする単離された核酸構築物を提供する。
【0135】
本明細書で使用する「核酸構築物」という用語は、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、またはRNAに由来する任意の核酸分子を示すことが意図される。「構築物」という用語は、一本鎖または二本鎖でもよく、関心対象のペプチドをコードする完全または部分的な天然ヌクレオチド配列に基づいてもよい核酸セグメントを示すことが意図される。構築物は、任意で、他の核酸セグメントを含有してもよい。
【0136】
本発明の核酸構築物は、適宜、ゲノムまたはcDNAに由来してもよく、例えば、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーを調製し、標準的な技法(J. Sambrook et al, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d edition, Cold Spring Harbor, New Yorkと比較されたい)に従う合成オリゴヌクレオチドプローブを用いたハイブリダイゼーションにより、および当技術分野において公知の関連する変異の導入により、ペプチドの全てまたは一部をコードするDNA配列をスクリーニングすることによって得られてもよい。
【0137】
本発明の核酸構築物はまた、確立された標準的方法、例えば、Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letters 22, 1859-1869 (1981 )に記載のホスホアミダイト(phosphoamidite)法、またはMatthes et al., EMBO Journal 3, 801-805 (1984)に記載の方法によって合成により調製することもできる。ホスホアミダイト法によれば、オリゴヌクレオチドは、例えば、自動DNA合成機において合成され、精製され、アニールされ、連結され、適切なベクターにクローニングされる。
【0138】
さらに、核酸構築物は、標準的な技法に従って、(適宜)合成、ゲノム、またはcDNAに由来し、核酸構築物全体の様々な部分に対応する断片を連結することによって調製された、合成およびゲノムの混合物、合成およびcDNAの混合物、またはゲノムおよびcDNAの混合物に由来してもよい。
【0139】
核酸構築物はまた、特定のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応によって、例えば、US4,683,202またはSaiki et al., Science 239, 487-491 (1988)に記載のように調製されてもよい。
【0140】
1つの態様において、本発明の核酸構築物はDNA構築物であり、この用語は以下において便宜のためだけに用いられる。以下における文言はまた、当業者に明らかになるように、適切な適応を加えて本発明の他の核酸構築物に読んでもよい。
【0141】
1つの態様において、本発明は、本発明のDNAまたは核酸構築物を含む組換えベクターに関する。本発明のDNA構築物が挿入された組換えベクターは、組換えDNA手順に都合よく供され得る任意のベクターでよく、ベクターの選択は、しばしば、ベクターを導入しようとする宿主細胞によって決まる。従って、ベクターは、自己複製ベクター、すなわち、染色体外の物として存在し、複製が染色体複製とは独立しているベクター、例えば、プラスミドでもよい。または、ベクターは、宿主細胞に導入されると宿主細胞ゲノムに組み込まれ、ベクターが組み込まれている染色体と共に複製されるベクターでもよい。
【0142】
ベクターは、本発明のペプチドをコードするDNA配列が、DNA転写に必要なさらなるセグメントに機能的に連結された発現ベクターでもよい。一般的に、発現ベクターはプラスミドまたはウイルスDNAに由来するか、両要素を含有してもよい。「機能的に連結された」という用語は、意図したように協力して機能するように、例えば、転写がプロモーターにおいて開始し、ペプチドをコードするDNA配列を進むように、セグメントが配置されていることを示している。
【0143】
プロモーターは、えり抜きの宿主細胞において転写活性を示す任意のDNA配列でよく、宿主細胞に対して同種または異種のタンパク質をコードする遺伝子に由来してもよい。
【0144】
酵母宿主細胞における使用に適したプロモーターの例には、酵母解糖遺伝子に由来するプロモーター(Hitzeman et al., J. Biol. Chem. 255, 12073-12080 (1980); Alber and Kawasaki, J. Mol. Appl. Gen. 1, 419-434 (1982))もしくはアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子に由来するプロモーター(Young et al., in Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals (Hollaender et al, eds.), Plenum Press, New York, 1982)、またはTPI1(US4,599,311)もしくはADH2-4c(Russell et al., Nature 304, 652-654 (1983))のプロモーターが含まれる。
【0145】
糸状菌宿主細胞における使用に適したプロモーターの例は、例えば、ADH3プロモーター(McKnight et al., The EMBO J. 4, 2093-2099 (1985))またはtpiAプロモーターである。他の有用なプロモーターの例は、A.オリザ(A.oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、A.ニガー(A. niger)中性αアミラーゼ、A.ニガー耐酸性αアミラーゼ、A.ニガーまたはA.アワモリ(A. awamori)グルコアミラーゼ(gluA)、リゾムコール・ミエヘイリパーゼ、A.オリザアルカリプロテアーゼ、A.オリザトリオースリン酸イソメラーゼ、またはA.ニデュランス(A. nidulans)アセトアミダーゼをコードする遺伝子に由来するプロモーターである。1つの態様において、本発明のベクターのプロモーターは、TAKAアミラーゼまたはgluAのプロモーターより選択される。
【0146】
細菌宿主細胞における使用に適したプロモーターの例には、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトース生成型アミラーゼ遺伝子、リケニホルミス菌(Bacillus licheniformis)αアミラーゼ遺伝子、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)BANアミラーゼ遺伝子、枯草菌(Bacillus subtilis)アルカリプロテアーゼ遺伝子、もしくはバチルス・プミルス(Bacillus pumilus)キシロシダーゼ遺伝子のプロモーター、あるいはλファージPRもしくはPLプロモーターまたは大腸菌(E.coli)lac、trp、もしくはtacプロモーターが含まれる。
【0147】
本発明のペプチドをコードするDNA配列はまた、必要であれば、適切なターミネーター、例えば、ヒト成長ホルモンターミネーター(Palmiter et al., 前掲)または(真菌宿主の場合)TPI1(Alber and Kawasaki, 前掲)もしくはADH3(McKnight et al., 前掲)ターミネーターに機能的に接続されてもよい。ベクターは、ポリアデニル化シグナル(例えば、SV40またはアデノウイルス5 EIb領域に由来するもの)、転写エンハンサー配列(例えば、SV40エンハンサー)および翻訳エンハンサー配列(例えば、アデノウイルスVA RNAをコードするもの)などのエレメントをさらに含んでもよい。
【0148】
本発明の組換えベクターは、問題となっている宿主細胞においてベクターの複製を可能にするDNA配列をさらに含んでもよい。
【0149】
宿主細胞が酵母細胞である場合、ベクターの複製を可能にする適切な配列は、酵母プラスミド2μ複製遺伝子REP1-3および複製起点である。
【0150】
宿主細胞が細菌細胞である場合、ベクターの複製を可能にする配列は、DNAポリメラーゼIII複合体をコードする遺伝子および複製起点である。
【0151】
ベクターはまた、選択マーカー、例えば、宿主細胞における欠陥を補う生成物の遺伝子、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードする遺伝子もしくは分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)TPI遺伝子(P. R. Russell, Gene 40, 125-130 (1985)に記載)、または薬物、例えば、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン、もしくはメトトレキセートに対する耐性を付与する遺伝子を含んでもよい。糸状菌の場合、選択マーカーには、amdSpyrGargBniaD、およびsCが含まれる。
【0152】
本発明のペプチドを宿主細胞の分泌経路に向けるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列、またはプレ配列とも知られる)が組換えベクターに設けられてもよい。分泌シグナル配列は、ペプチドをコードするDNA配列に正しい読み枠でつながれる。分泌シグナル配列は、一般的に、ペプチドをコードするDNA配列の5'側に配置される。分泌シグナル配列は、ペプチドと通常関連するものでもよく、別の分泌タンパク質をコードする遺伝子に由来するものでもよい。
【0153】
酵母細胞から分泌させるためには、分泌シグナル配列は、発現されたペプチドを細胞の分泌経路に効率的に向ける任意のシグナルペプチドをコードしてよい。シグナルペプチドは天然のシグナルペプチドでもよく、その機能的部分でもよく、合成ペプチドでもよい。適切なシグナルペプチドは、α因子シグナルペプチド(US4,870,008と比較されたい)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(O. Hagenbuchle et al., Nature 289, 643-646 (1981)と比較されたい)、改変カルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(L.A. Valls et al., Cell 48, 887-897 (1987)と比較されたい)、酵母BAR1シグナルペプチド(WO87/02670と比較されたい)、または酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(M. Egel-Mitani et al., Yeast 6, 127-137 (1990)と比較されたい)であることが見出されている。
【0154】
酵母において効率的に分泌させるためには、シグナル配列の下流およびペプチドをコードするDNA配列の上流に、リーダーペプチドをコードする遺伝子も挿入することができる。リーダーペプチドの機能は、培地へ分泌させるために、発現されたペプチドを小胞体からゴルジ体へ、さらには分泌小胞へ向けることである(すなわち、ペプチドが細胞壁を通過するか、または少なくとも細胞膜を通り、ペプチドを酵母細胞の細胞周辺腔に輸出することである)。リーダーペプチドは酵母α因子リーダーでもよい(この使用は、例えば、US4,546,082、EP16201、EP123294、EP123544、およびEP163529に記載されている)。または、リーダーペプチドは、合成リーダーペプチド、つまり、天然では見られないリーダーペプチドでもよい。合成リーダーペプチドは、例えば、WO89/02463またはWO92/11378に記載のように構築されてもよい。
【0155】
糸状菌において使用するためには、シグナルペプチドは、都合よく、アスペルギルス属の種(Aspergillus sp.)のアミラーゼもしくはグルコアミラーゼをコードする遺伝子、リゾムコール・ミエヘイリパーゼもしくはプロテアーゼをコードする遺伝子、またはフミコラ・ラヌギノザ(Humicola lanuginosa)リパーゼをコードする遺伝子に由来してもよい。シグナルペプチドは、A.オリザTAKAアミラーゼ、A.ニガー中性α-アミラーゼ、A.ニガー耐酸性アミラーゼ、またはA.ニガーグルコアミラーゼをコードする遺伝子に由来してもよい。
【0156】
本ペプチドをコードするDNA配列、プロモーター、任意で、ターミネーターおよび/または分泌シグナル配列をそれぞれ連結し、これらを、複製に必要な情報を含有する適切なベクターに挿入するのに用いられる手順は、当業者に周知である(例えば、Sambrook et al., 前掲と比較されたい)。
【0157】
本発明のDNA構築物または組換えベクターが導入される宿主細胞は、本発明のペプチドを産生することができる任意の細胞でよく、細菌、酵母、菌類、および高等真核細胞を含む。本発明はまた、本発明の核酸構築物または本発明のベクターを含む宿主細胞に関する。
【0158】
培養すると本発明のペプチドを産生することができる細菌宿主細胞の例は、グラム陽性細菌、例えば、バチルス属(Bacillus)の株、例えば、枯草菌、B.リケニフォルミス(B. licheniformis)、B.レンタス(B. lentus)、B.ブレビス(B. brevis)、B.ステアロサーモフィルス、B.アルカロフィラス(B. alkalophilus)、B.アミロリクエファシエンス(B. amyloliquefaciens)、B.コアグランス(B. coagulans)、B.サークランス(B. circulans)、B.ロータス(B. lautus)、B.メガテリウム(B. megatherium)、もしくはB.チューリンゲンシス(B. thuringiensis)の株、またはストレプトマイセス属(Streptomyces)の株、例えば、S.リビダンス(S. lividans)もしくはS.ムリナス(S. murinus)の株、あるいはグラム陰性細菌、例えば、大腸菌である。細菌の形質転換は、プロトプラスト形質転換によって、またはコンピテント細胞をそれ自体は公知のやり方で用いることによって行われてもよい(Sambrook et al., 前記と比較されたい)。他の適切な宿主には、S.モバラエンス(S. mobaraense)、S.リビダンス、およびC.グルタミクム(C. glutamicum)(Appl. Microbiol. Biotechnol. 64, 447-454 (2004))が含まれる。
【0159】
ペプチドを大腸菌などの細菌において発現させた時に、ペプチドは、細胞質内に、典型的には、(封入体として知られる)不溶性顆粒として保持されてもよく、細菌分泌配列によって細胞周辺腔に向けられてもよい。前者の場合、細胞は溶解され、顆粒は回収および変性された後に、ペプチドは、変性剤を希釈することによってリフォールディングされる。後者の場合、ペプチドは、細胞周辺腔の内容物を放出させるために、例えば、超音波処理または浸透圧衝撃によって、細胞を破壊し、ペプチドを回収することによって細胞周辺腔から回収されてもよい。
【0160】
適切な酵母細胞の例には、サッカロミセス属の種(Saccharomyces spp.)またはシゾサッカロミセス属の種、特に、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはサッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)の株の細胞が含まれる。酵母細胞を異種DNAで形質転換し、それから異種タンパク質を産生する方法は、例えば、US4,599,311、US4,931,373、US4,870,008、5,037,743、およびUS4,845,075に記載されている。これらは全て参照により本明細書に組み入れられる。形質転換細胞は、選択マーカーによって決められる表現系、一般的には、薬物耐性、または特定の栄養分、例えば、ロイシンの非存在下で増殖する能力によって選択される。酵母において使用するためのベクターの一例は、US4,931,373に開示されるPOT1ベクターである。本発明のペプチドをコードするDNA配列の前には、シグナル配列、任意で、リーダー配列、例えば、前記のリーダー配列があってもよい。適切な酵母細胞のさらなる例は、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、例えば、K.ラクティス(K. lactis)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、例えば、H.ポリモルファ(H. polymorpha)、またはピキア属(Pichia)、例えば、P.パストリス(P. pastoris)(Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. 132, 3459-3465 (1986); US4,882,279と比較されたい)の株である。
【0161】
他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えば、アスペルギルス属の種、アカパンカビ属の種(Neurospora spp.)、フザリウム属の種(Fusarium spp.)、またはトリコデルマ属の種(Trichoderma spp.)、特に、A.オリザ、A.ニデュランス、もしくはA.ニガーの株の細胞である。タンパク質発現のためのアスペルギルス属の種の使用は、例えば、EP272277およびEP230023に記載されている。F.オキシスポルム(F. oxysporum)の形質転換は、例えば、Malardier et al. Gene 78, 147-156 (1989)に記載のように行うことができる。
【0162】
糸状菌が宿主細胞として用いられる場合、都合よく、DNA構築物を宿主染色体に組み込んで組換え宿主細胞を得ることによって、本発明のDNA構築物を用いて糸状菌を形質転換することができる。このことによって、DNA配列は細胞内に安定して維持される可能性がさらに高くなる。宿主染色体へのDNA構築物の組込みは、従来の方法に従って、例えば、相同組換えまたは非相同組換えによって行うことができる。
【0163】
次いで、前記の形質転換細胞またはトランスフェクトされた宿主細胞は、本ペプチドの発現を可能にする条件下で適切な栄養培地において培養され、この後に、結果として生じたペプチドは培養物から回収される。
【0164】
細胞を培養するのに用いられる培地は、宿主細胞を増殖させるのに適した任意の従来の培地、例えば、最小培地または適切な添加物を含有する複合培地でよい。適切な培地は商業的供給業者から入手可能であり、または公開された配合表(例えば、American Type Culture Collectionのカタログにある配合表)に従って調製されてもよい。次いで、細胞によって産生されたペプチドは、遠心分離または濾過による培地からの宿主細胞の分離、塩、例えば、硫安による上清または濾液のタンパク質成分の沈殿、様々なクロマトグラフィー手順、例えば、問題になっているペプチドのタイプに応じてイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーなどによる精製を含む従来の手順によって培地から回収することができる。
【0165】
本発明のペプチドは、本発明のペプチドと特異的に結合する抗体を産生するために用いられてもよい。本文脈において、「抗体」は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびにその抗原結合フラグメント、例えば、遺伝子操作された抗体およびヒト化抗体を含む、F(ab') 2フラグメントおよびFabフラグメントを含む。抗体は、107M-1またはそれ以上のKaで本発明のペプチドに結合すれば特異的であると言われる。抗体を調製する方法は、例えば、Hurrell J. G. R. (Ed.) Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications, CRC Press, Boca Raton, Florida, 1982およびSambrok, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbour, New York, 1989において開示される。
【0166】
1つの態様において、本発明は、本発明のペプチドに対する特異的な抗体に関する。1つの態様において、抗体はhIL-21にもMet-hIL-21にも結合せず、国際公開公報第2004/112703号に記載のポリペプチドのいずれにも結合せず、本明細書に記載の他の先行技術IL-21ペプチドのいずれにも結合しない。
【0167】
以下のリストは、態様の非限定的なリストである。
【0168】
態様1:SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して、1つまたは複数のアミノ酸残基において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、前記ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチド。
【0169】
態様2:IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、前記ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化がSEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチド。
【0170】
態様3:IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、IL-21ペプチドとIL-21受容体との結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチド。
【0171】
態様4:IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、前記IL-21ペプチドとIL-21受容体γcの結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチド。
【0172】
態様5:態様1または態様2の単離されたIL-21ペプチドであって、前記ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して減少している、単離されたIL-21ペプチド。
【0173】
態様6:態様3の単離されたペプチドであって、前記ペプチドとIL-21受容体との結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して減少している、単離されたペプチド。
【0174】
態様7:態様4の単離されたペプチドであって、前記ペプチドとIL-21受容体γcの結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して減少している、単離されたペプチド。
【0175】
態様8:IL-21受容体のアンタゴニストである、態様5〜7のいずれかの単離されたペプチド。
【0176】
態様9:前記突然変異の導入がIL-21ペプチドのアンタゴニスト活性を担うか、またはアンタゴニスト活性の一因となる、態様8の単離されたペプチド。
【0177】
態様10:SEQ ID No.1のヘリックスDに対応する領域において1つまたは複数のアンタゴニスト突然変異を保持する、態様8または態様9の単離されたペプチド。
【0178】
態様11:ヘリックスDにおけるアンタゴニスト突然変異の1つまたは複数が、SEQ ID No.2の位置Gln-116およびIle-119に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数における突然変異である、態様10の単離されたペプチド。
【0179】
態様12:Gln-116がAspで置換されている、態様11の単離されたペプチド。
【0180】
態様13:Ile-119がAspで置換されている、態様11または態様12の単離されたペプチド。
【0181】
態様14:位置Ile-119〜Ser-133に対応するアミノ酸残基が欠失している、態様8〜12のいずれかの単離されたペプチド。
【0182】
態様15:IL-21受容体のアゴニストである、態様5〜7のいずれかの単離されたペプチド。
【0183】
態様16:WO2004112703に記載のIL-21突然変異の1つまたは複数を保持する、15の単離されたペプチド。
【0184】
態様17:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様15または態様16の単離されたペプチド。
【0185】
態様18:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜86に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0186】
態様19:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0187】
態様20:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜90に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0188】
態様21:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基82〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0189】
態様22:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0190】
態様23:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基71〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0191】
態様24:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0192】
態様25:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0193】
態様26:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜86に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0194】
態様27:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0195】
態様28:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜90に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0196】
態様29:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基82〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0197】
態様30:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0198】
態様31:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基71〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0199】
態様32:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0200】
態様33:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様17の単離されたペプチド。
【0201】
態様34:態様1または態様2の単離されたIL-21ペプチドであって、前記ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して増加している、単離されたIL-21ペプチド。
【0202】
態様35:態様3の単離されたペプチドであって、前記ペプチドとIL-21受容体との結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して増加している、単離されたペプチド。
【0203】
態様36:態様4の単離されたペプチドであって、前記ペプチドとIL-21受容体γcの結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して減少している、単離されたペプチド。
【0204】
態様37:IL-21受容体のアンタゴニストである、態様34〜36のいずれかの単離されたペプチド。
【0205】
態様38:SEQ ID No.2のヘリックスDに対応する領域において1つまたは複数のアンタゴニスト突然変異を保持する、態様37の単離されたペプチド。
【0206】
態様39:ヘリックスDにおけるアンタゴニスト突然変異の1つまたは複数が、SEQ ID No.2の位置Gln-116およびIle-119に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数における突然変異である、態様38の単離されたペプチド。
【0207】
態様40:Gln-116がAspで置換されている、態様39の単離されたペプチド。
【0208】
態様41:Ile-119がAspで置換されている、態様39または態様40の単離されたペプチド。
【0209】
態様42:位置Ile-119〜Ser-133に対応するアミノ酸残基が欠失している、態様37〜40のいずれかの単離されたペプチド。
【0210】
態様43:IL-21受容体のアゴニストである、態様34〜36のいずれかの単離されたペプチド。
【0211】
態様44:WO2004112703に記載の突然変異の1つまたは複数を保持する、態様43の単離されたペプチド。
【0212】
態様45:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様43または態様44の単離されたペプチド。
【0213】
態様46:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜86に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0214】
態様47:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0215】
態様48:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜90に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0216】
態様49:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基82〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0217】
態様50:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0218】
態様51:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基71〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0219】
態様52:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0220】
態様53:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0221】
態様54:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜86に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0222】
態様55:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0223】
態様56:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基83〜90に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0224】
態様57:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基82〜88に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0225】
態様58:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0226】
態様59:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基71〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0227】
態様60:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜92に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0228】
態様61:SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基77〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、態様45の単離されたペプチド。
【0229】
態様62:SEQ ID No.2におけるMet-7、Arg-11、Ile-14、Asp-18、Glu-36、Asp-37、Thr-40、Glu-100、Glu-109、Ser-113、Gln-116、Lys-117、Ile-119、His-120、Lys-123、Ser-125、Arg-126、Thr-127、His-128、Gly-129、Ser-130、Glu-131、Asp-132、およびSer-133に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する、態様1〜44のいずれかの単離されたIL-21ペプチド。
【0230】
態様63:SEQ ID No.2におけるMet-7、Arg-11、Ile-14、Asp-18、Glu-100、Glu-109、Ser-113、Gln-116、Lys-117、Ile-119、His-120、およびLeu-123に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する、態様62の単離されたIL-21ペプチド。
【0231】
態様64:SEQ ID No.2におけるMet-7、Arg-11、Ile-14、Asp-18、Glu-36、Asp-37、Thr-40、Glu-100、Ser-125、Arg-126、Thr-127、His-128、Gly-129、Ser-130、Glu-131、Asp-132、およびSer-133に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する、態様62の単離されたIL-21ペプチド。
【0232】
態様65:SEQ ID No.2におけるArg-11、Glu-36、Asp-37、Thr-40、Glu-100、Ser-113、Lys-117、およびHis-120に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する、態様62の単離されたIL-21ペプチド。
【0233】
態様66:SEQ ID No.2におけるIle-14、Gln-116、およびLys-117に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する、態様65の単離されたIL-21ペプチド。
【0234】
態様67:SEQ ID No.1におけるヘリックスAに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、態様1〜66のいずれかの単離されたIL-21ペプチド。
【0235】
態様68:位置Met-7、Arg-11、Ile-14、およびAsp-18に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、態様67の単離されたIL-21ペプチド。
【0236】
態様69:SEQ ID No.1におけるループA/Bに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、態様1〜68のいずれかの単離されたIL-21ペプチド。
【0237】
態様70:SEQ ID No.2における位置Glu-36、Asp-37、およびThr-40に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、態様69の単離されたIL-21ペプチド。
【0238】
態様71:SEQ ID No.1におけるループC/Dに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、態様1〜70のいずれかの単離されたIL-21ペプチド。
【0239】
態様72:SEQ ID No.2における位置Glu-100において突然変異を含む、態様71の単離されたIL-21ペプチド。
【0240】
態様73:SEQ ID No.1におけるヘリックスDに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、態様1〜72のいずれかの単離されたIL-21ペプチド。
【0241】
態様74:SEQ ID No.2における位置Glu-109、Ser-113、Gln-116、Lys-117、Ile-119、His-120、およびLys-123に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、態様73の単離されたIL-21ペプチド。
【0242】
態様75:C末端から10個のアミノ酸残基にあるアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、態様1〜72のいずれかの単離されたIL-21ペプチド。
【0243】
態様76:SEQ ID No.2における位置Ser-125、Arg-126、Thr-127、His-128、Gly-129、Ser-130、Glu-131、Asp-132、およびSer-133に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、態様75の単離されたIL-21ペプチド。
【0244】
態様77:述べられた位置における突然変異がAlaによる置換である、態様1〜76のいずれかの単離されたIL-21ペプチド。
【0245】
態様78:療法において使用するための、態様1〜77のいずれかの単離されたIL-21ペプチド。
【0246】
態様79:態様1〜78のいずれかのペプチドを含む、薬学的組成物。
【0247】
態様80:療法において使用するための、態様1〜78のいずれかのペプチドまたは態様79の薬学的組成物の使用。
【0248】
態様81:疾患または障害の治療において使用するための、態様1〜78のいずれかのペプチドまたは態様79の薬学的組成物の使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストであり、前記疾患または障害がIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用。
【0249】
態様82:疾患または障害の治療用の薬学的組成物を調製するための、態様1〜78のいずれかのペプチドの使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストであり、前記疾患または障害がIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用。
【0250】
態様83:疾患または障害が自己免疫疾患および/または炎症性疾患である、態様81または態様82の使用。
【0251】
態様84:疾患または障害が全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、または多発性硬化症である、態様83の使用。
【0252】
態様85:疾患または障害を治療する方法であって、治療が、有効量の態様1〜78のいずれかのペプチドを、治療を必要とする患者に投与する工程を含み、前記疾患または障害がIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得、前記IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストである、方法。
【0253】
態様86:疾患または障害が自己免疫疾患および/または炎症性疾患である、態様85の方法。
【0254】
態様87:疾患または障害が全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、または炎症性腸疾患である、態様86の方法。
【0255】
態様88:疾患または障害の治療において使用するための、態様1〜78のいずれかのペプチドまたは態様79の薬学的組成物の使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストであり、前記疾患または障害がIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用。
【0256】
態様89:疾患または障害の治療用の薬学的組成物を調製するための、態様1〜78のいずれかのペプチドの使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストであり、前記疾患または障害がIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用。
【0257】
態様90:疾患または障害が癌である、態様88または89の使用。
【0258】
態様91:癌が、非転移性および転移性の新生物障害、例えば、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頚部癌、内分泌系癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部消化管癌、結腸直腸癌、肝臓癌および胆管癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、骨および軟部組織の肉腫、中枢神経系癌、リンパ腫、白血病、ならびに原発不明癌より選択される、態様90の使用。
【0259】
態様92:癌が悪性黒色腫である、態様91の使用。
【0260】
態様93:疾患または障害を治療する方法であって、有効量の態様1〜78のいずれかのペプチドを治療を必要とする患者に投与する工程を含み、前記疾患または障害がIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得、前記IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストである、方法。
【0261】
態様94:疾患または障害が癌である、態様93の方法。
【0262】
態様95:癌が、非転移性および転移性の新生物障害、例えば、悪性黒色腫、非黒色腫皮膚癌、腎細胞癌、頭頚部癌、内分泌系癌、卵巣癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、食道癌、上部消化管癌、結腸直腸癌、肝臓癌および胆管癌、膵臓癌、前立腺癌、膀胱癌、精巣癌、子宮頚癌、子宮内膜癌、骨および軟部組織の肉腫、中枢神経系癌、リンパ腫、白血病、ならびに原発不明癌より選択される、態様94の方法。
【0263】
態様96:癌が悪性黒色腫である、態様95の方法。
【0264】
態様97:態様1〜78のいずれかのペプチドをコードする単離された核酸構築物。
【0265】
態様98:態様97の核酸構築物を含むベクター。
【0266】
態様99:態様97の核酸構築物または態様98のベクターを含む宿主細胞。
【0267】
態様100:態様1〜78のいずれかのペプチドと特異的に結合する抗体。
【0268】
態様101:hIL-21にもMet-hIL-21にも結合しない、態様100の抗体。
【0269】
本明細書において引用された、刊行物、特許出願、および特許を含む全ての参考文献は、本明細書の他の場所でなされた特定の文書の別々に提供された組み入れに関係なく、その全体が参照により本明細書に組み入れられ、それぞれの参考文献が参照により組み入れられるように個々にかつ具体的に示され、本明細書においてその全体が述べられるのと同じ程度に(法律が許す最大の範囲まで)参照により本明細書に組み入れられる。
【0270】
本発明の説明の文脈における「a」および「an」および「the」という用語および同様の指示物の使用は、本明細書において特に定めのない限り、または文脈によってはっきりと否定されない限り、単数および複数の両方を含むと解釈しなければならない。例えば、「化合物」という句は、特に定めのない限り、本発明または特定の説明された局面の様々な「化合物」を指していると理解しなければならない。
【0271】
特に定めのない限り、本明細書において提供された全ての厳密値は、対応する近似値を表している(例えば、特定の因子または測定に関して提供された全ての例示的な厳密値は、適宜、「約」によって修飾されて、対応する近似測定値も示すとみなすことができる)。
【0272】
構成要素に関する用語、例えば、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、または「含有する(containing)」を用いた、本発明の任意の局面の本明細書における説明は、特に定めのない限り、または文脈によってはっきりと否定されない限り、その特定の構成要素「からなる(consists of)」、「から本質的になる(consists essentially of)」、または「実質的に含む(substantially comprises)」本発明の同様の局面を裏付けることが意図される(例えば、特定の構成要素を含むと本明細書において説明された組成物は、特に定めのない限り、または文脈によってはっきりと否定されない限り、その構成要素からなる組成物も説明していると理解すべきである)。
【0273】
実施例
実施例1
Met-hIL-21のNMR構造
タンパク質の発現および精製
Met-hIL-21(SEQ ID No. 3)は、哺乳動物細胞培養における発現によって決定された成熟ヒトIL-21と、N末端に付加された余分なメチオニン残基の配列からなる。SEQ ID No.2の残基1が、哺乳動物細胞において組換え発現された時のタンパク質について決定されたN末端と一致するので、SEQ ID No.2の残基1に対応するSEQ ID No.1のGln30から、このタンパク質の番号を付けた。従って、タンパク質が大腸菌の細胞内で発現された時にN末端に存在する付加メチオニン残基は、残基Met0になる。
【0274】
ベクターpET11c(この発現ベクターに挿入した配列は、成熟IL-21タンパク質と、N末端に付加された余分なメチオニンのcDNAに対応する-この目的のために制限部位NdeIおよびBamHIを使用した)を使用し、主要な窒素源および炭素源として15NH4SO4または/および[13C6]-グルコースを含む最小培地中で、Met-hIL-21を大腸菌において不溶性封入体として発現させた。封入体を、pH8の6M HClグアニジウム、100mM TRIS、40mM DTT中で可溶化し、0.75M L-アルギニン、40mM Tris、0.005%PEG 3350、1.5mM DTT、4mMシスチン、20mM NaCl、4mM MgCl2、1mM KCl、4mM CaCl2 pH7.5を含有するリフォールディング緩衝液で希釈することによってリフォールディングし、ゆっくりと攪拌しながら15℃で一晩放置した。pHを酢酸で5.5に調節し、その後に、25mM酢酸ナトリウムpH5.5で4倍に希釈することによって、リフォールディングを止めた。誤って折り畳まれたMet-hIL-21を沈殿させ、濾過によって除去した。
【0275】
リフォールディングされたMet-hIL-21をTosoHaas SP550Cカラムで捕獲し、段階勾配を用いてpH5.5の1M NaClを用いて溶出した。Met-hIL-21を含む画分をプールし、10mM Tris pH8.5で10倍に希釈した後に、Sepharose SPカラムにロードした。Met-hIL-21を、pH5.5の25mM Trisに溶解した0.1M〜1M NaClの直線勾配を用いて溶出した。Met-hIL-21を含む画分をプールし、MilliporeのCentriprep遠心フィルター(カットオフ10kDa)を用いて濃縮した。濃縮Met-hIL-21を、pH5.5の20mMリン酸、50mM NaClで平衡化したSuperdex75ゲル濾過カラムにロードした。全てのクロマトグラフィー工程を4℃で行った。
【0276】
15Nおよび15N/13Cで均一に標識したNMR試料(0.2〜2.0mM)は、Amicon Ultra-4(カットオフ10kDa)を用いて、pH5.5の50mM NaCl、20mMリン酸、1mM NaN3 (90%H2O/10%D2O)に溶解して調製した。試料の均一性をSDS PAGEで分析し、全ての試料について>95%であった。
【0277】
NMR実験
特に定めのない限り、NMRスペクトルは、5mm1H{15N, 13C}TXIプローブを備えたBruker Avance 600MHz分光計において27℃で得た。濃度が範囲0.2〜2.0mMのMet-hIL-21試料について、1D1Hスペクトルを得た。
【0278】
Yamazaki, T. et al., Journal of the American Chemical Society 116, 11655-11666 (1994)およびHyberts.S.G. et al., Journal of Biomolecular NMR 26, 335-344 (2003)に記載の確立した方法を用いて、連続主鎖帰属を行った。側鎖共鳴の帰属は、HN(CO)HAHB、H(C)(CCCO)NH、(H)C(CCCO)NH、H(C)CH-TOCSY、および(H)CCH-TOCSYスペクトル、ならびに15N-および13C-エディティッド(edited)NOESY-HSQCスペクトルの使用を含んだ。15N-および13C-エディティッドNOESY-HSQCスペクトルは、それぞれ、3mm三重共鳴プローブを備えたVarian Inova 800 MHz分光計および5mm1H{15N, 13C}TXIクライオプローブを備えたBruker Avance 600MHz分光計で得た。
【0279】
温度研究は、10〜50℃の温度で15N-HSQCスペクトルを得ることによって行った。実験の前後に27℃で対照スペクトルを得た。15N-HSQC型交換実験は、0〜1000msの時間を混ぜることによって得た。主鎖アミド15N T1およびT2緩和時間ならびに異種核{1H}-15N NOEを測定する実験は、5mm1H{15N, 13C}TXIクライオプローブを備えたBruker Avance 600MHz分光計で得た。T1値およびT2値は、最小二乗法によるシグナル強度の指数曲線へのあてはめによって求めた。異種核({1H}-15N NOEは、プロトン飽和ありで記録された15N-HSQCスペクトルとプロトン飽和なしで記録された15N-HSQCスペクトルの強度比として計算した。
【0280】
NMRによるMet-hIL-21構造の分解
Met-hIL-21について記録された15N HSQCスペクトルは、ランダムコイル化学シフト値の多数のシグナルにもかかわらず、かなり良好な分散を示す。これらの後者のシグナルは、Met-hIL-21分子内の可動性領域の存在によるものである。希釈実験から、0.2〜2.0mM Met-hIL-21の範囲では凝集の徴候は無いことが分かっている。異なるpH値および塩濃度(pH5.0〜7.0およびNaCl 0〜100mM)で得られた15N HSQCスペクトルには、ごくわずかな変化しか観察されなかった。
【0281】
主鎖共鳴の帰属は、標準的な一組の三次元実験(Yamazaki, T. et al., Journal of the American Chemical Society 116, 11655-11666 (1994))に基づいて行った。この三次元実験は、15N/13Cで均一に標識したIL-21試料を用いて得た。主鎖共鳴(N、HN、CA、HA、およびCO)の96%超の帰属を行った。驚くべきことに、残基Ser57-Gly84について、それぞれの残基の2つの別個のシグナルが観察された。このことは2つの異なるIL-21種の存在を証明している。側鎖共鳴の帰属はほぼ完璧であり(27℃でマイナー型のSer57-Gly87を除く)、非不安定プロトン(non-labile proton)は23個しか欠けていない。
【0282】
主鎖CA原子のランダムコイル化学シフトの観察された化学シフトと表中の値(Wishart, D.S. et al. Journal of Biomolecular NMR 5, 67-81 (1995)との差を配列番号に対してプロットしたものを図1に示した。図1の正の二次化学シフトを示す4つの領域から、メジャー型のMet-hIL-21の中で観察された4つのαへリックス(A、B、C、およびD)の存在および位置が分かる。へリックスA(Met7-Asp26)およびD(Pro104.Ser124)は、へリックスB(Trp44-Lys52)およびC(Asn63-Lys73)よりかなり長い。27℃でマイナー型のMet-hIL-21において、セグメントSer57-Gly84はヘリックス構造の徴候を示さない(図1)。このことは、ヘリックスC配列を含む、このセグメントの伸びた無秩序なコンホメーションが、この配座異性体に採用されていることを示唆している。
【0283】
15N-セパレイティッドNOESYスペクトル、13C-セパレイティッドNOESYスペクトル、および2D NOESYスペクトルからそれぞれ合計1235、2994、および449のピークを構造計算に含めた。アンフォールディング型のヘリックスCからのピーク(以下を参照されたい)はこれらの計算に含めなかった。帰属された共鳴の化学シフトと共に、Cyanaと自動NOE帰属・構造計算のためのcandidプロトコール(Herrmann, T. Journal of Molecular Biology 319, 209-227 (2002))を用いて、NOEを分析した。距離上限を較正するために、初回構造計算を使用した。その後に、アンフォールディング型の存在によるピーク強度への影響を避けるために、全てのピーク強度を1/2に小さくした。
【0284】
さらなる構造情報源を計算に含めた。従って、Cys42とCys93の間、Cys49とCys96の間に2つのジスルフィド結合を強制した。このジスルフィドパターンは、プロテアーゼ切断、エドマン分解、およびMSを組み合わせた分析によってMet-hIL-21分子について証明されている。ジスルフィド結合拘束(constraint)のない試験計算によって、このパターンが裏付けられた(示さず)。コンピュータプログラムTalos(Cornilescu, G., et al., Journal of Biomolecular NMR 13, 289-302(1999))を用いてφおよびψ主鎖角を予測するために、HA、CA、CB、N、およびCO原子の化学シフト値を分析した。Talosから78の残基が良好に予測され、156の角度φ/ψの角度拘束を±30度の不確定度で計算に含めた。HNHAスペクトルから72のJ(HA-HN)スカラー結合定数を取り出し、構造計算に含めた。重水素交換実験においてゆっくりと交換する20の主鎖アミドプロトンについて、水素結合の拘束を加えた。水素結合の拘束を受けずに計算した構造に基づいて、水素結合パターンを特定した。
【0285】
Cyanaを用いて20個の構造のアンサンブルを計算した(表1)。0.5Åを超える距離違反は観察されなかった。4つの場合でしか、5度を超える二面角拘束違反は無かった。N末端にあるタンパク質セグメント(Met0-His6)およびC末端にあるタンパク質セグメント(Ser124-Ser133)は、へリックスCとDをつなぐループの一部(Pro79-Thr92)のように無秩序である。これらの領域以外はアンサンブルは秩序立っており、主鎖重原子のRMSDは0.64Åである(図2)。
【0286】
(表1)hIL-21の構造統計値

aそれぞれのジスルフィド結合は3つの上界(upper bound)および3つの下界(lower bound)の拘束を受ける。
【0287】
実施例2
γcへの結合に関与するIL-21アミノ酸残基の決定
共鳴の帰属を、標準的な一組の三次元実験(Yamazaki, T. et al., Journal of the American Chemical Society 116, 11655-11666 (1994))を用いて行った。この三次元実験は、15N/13Cで均一に標識したMet-hIL-21試料を用いて得た。15N-セパレイティッドスペクトル、13C-セパレイティッドNOESYスペクトル、および2D NOESYスペクトルからそれぞれ合計1235、2994、および449のピークを構造計算に含めた。帰属された共鳴の化学シフトと共に、Cyanaと自動NOE帰属・構造計算のためのcandidプロトコール(Herrmann, T. Journal of Molecular Biology 319, 209-227 (2002))を用いて、NOEを分析した。Cyanaを用いて20個の構造のアンサンブルを計算した。N末端にあるタンパク質セグメント(Met0-His6)およびC末端にあるタンパク質セグメント(Ser124-Ser133)は、へリックスCとDをつなぐループの一部(Pro79-Thr92)のように無秩序である。これらの領域を除きアンサンブルは秩序立っており、主鎖重原子のRMSDは0.64Åである。
【0288】
Met-hIL-21/hγc受容体複合体の3Dモデルは、プログラムModeller(Sali, A. et al., Journal of Molecular Biology 234, 779-815 (1993).)と、テンプレートとしてhIL-2/hIL-2Rα/hIL-2Rβ/hγc複合体の結晶構造(Wang, X.Q. et al., Science 310, 1159-1163(2005))およびIL-21のNMR構造を用いて構築した。hIL-2およびhIL-21の構造に基づく配列アラインメントは、プログラムLSQMANと、hIL-2/hIL-2Rα/hIL-2Rβ/γc複合体の結晶構造からの構造hIL-2を用いて行い、IL-21には前述のNMR構造を使用した。その後に、このモデルにおいてγcと水素結合、塩架橋、またはvdw接触するIL-21残基を特定した。これらの残基は、SEQ ID No.2のM7、R11、I14、D18、E100、E108、S113、Q116、K117、I119、H120、およびL123である。
【0289】
実施例3
共通γ鎖結合に関与するhIL-21残基の特定
共通γ鎖への結合に関与するhIL-21残基を特定するために、2つの異なるアプローチを使用した。
【0290】
第1のアプローチ
hIL-2/hIL-2Rα/hIL-2Rβ/γc複合体およびhIL-21の構造に基づく配列アラインメントは、プログラムLSQMANと、hIL-2/hIL-2Rα/hIL-2Rβ/γc複合体の結晶構造(Wang, X.Q. et al., Science 310, 1159-1163 (2005))、および実施例1において解明したIL-21のNMR構造を用いて行った。hIL-2/hIL-2Rα/hIL-2Rβ/γc複合体においてhIL-2とγcの相互作用に関与する残基は、Wang, X.Q. et al., Science 310, 1159-1163(2005)の補助資料中の表S2_cから選んだ。配列アラインメント(図3を参照されたい)に基づいて、hIL-21の対応する残基を特定した。これらの残基は、SEQ ID No.2のM7、R11、I14、D18、E100、E109、S113、Q116、K117、I119、H120、およびL123である。
【0291】
第2のアプローチ
hIL-2/hIL-2Rα/hIL-2Rβ/γc複合体、hIL-4/hIL-4Rα、およびhIL-21の構造に基づく配列アラインメントは、プログラムLSQMANを用いて行った。hIL2Rβ、hIL-4Rα、およびhIL-21Rαの配列アラインメントは手で作成し、モデリングプロセス間に手作業で修正した。3つからなるhIL-21/hIL-21Rα/γc複合体のモデルは、プログラムModellerと、テンプレートとしてhIL-2/hIL-2Rα/hIL-2Rβ/γおよびhIL-4/hIL-4Rα複合体の結晶構造(Wang, X.Q. et al. Science 310, 1159-1163 (2005), Hage.T. et al., Cell 97, 271-281 (1999))、ならびにIL-21のNMR構造と前記の配列アラインメントを用いて構築した。その後に、プログラムMOEを用いて、このモデル内でγcと水素結合、塩架橋、またはファンデルワールス接触するIL-21残基を特定した。これらの残基は、SEQ ID No.2のR11、I14、E36、D37、T40、E106、E109、S113、Q116、K117、H120、S125、R126、T127、H128、G129、S130、E131、D132、およびS133である。
【0292】
第2のアプローチを用いて特定したC末端残基S125-S133を除いて、2組の残基がほぼ同一である。hIL-2がhIL-21と比較して切断型C末端を有するので、hIL-21のC末端残基は第1のアプローチを用いて特定することができない。共通γ鎖結合に関与するhIL-21残基の最後の組は、2組の残基の組み合わせとして定義した。これらの残基は、SEQ ID No.2のM7、R11、I14、D18、E36、D37、T40、E100、E106、E109、S113、Q116、K117、I119、H120、L123、S125、R126、T127、H128、G129、S130、E131、D132、およびS133である。
【0293】
実施例4
受容体への結合に及ぼす突然変異の影響
前述の位置をそれぞれ、IL-21と受容体複合体の結合全体への寄与について、ひとつひとつを変異交換することによって調べた。従って、PCRを介した突然変異誘発を用いて、各残基に対してala-scan変異誘発を行った。ala-scan分析では、ひとつひとつのアミノ酸位置を、変異誘発によってアラニン残基に交換する。変異体を哺乳動物HEK293細胞において一過的に発現させ、その後に、下記のアッセイを用いて上清として分析する。
【0294】
その後に、Met-hIL-21アラニン置換変異体を、HEK293 FS細胞における一過的なトランスフェクションによって発現させ、無血清培地中で増殖させた細胞からの上清を、IL-21受容体複合体を活性化する能力について分析した。このような活性分析の1つは、下記のようにルシフェラーゼに基づくレポーター系によってIL-21活性をモニタリングすることができる全細胞からなる。
【0295】
薬理学的方法
アッセイ(Ia)
IL-21ペプチドによるIL-21受容体の活性化
hIL-21および本発明のIL-21ペプチドは、stat調節性ルシフェラーゼレポーター系を用いる細胞活性アッセイを用いて分析することができる。このアッセイは、ヒトIL-21RおよびStat連結ルシフェラーゼレポーター構築物を発現するように安定にトランスフェクトされているマウスBaf3細胞株を使用する。Baf3細胞はγc共通鎖を内因的に発現する。Baf3/hIL-21Rレポーター細胞株は、刺激の前に6時間、IL-3を含まない培地において欠乏状態にした。その後に、24時間の細胞刺激を用いて、用量反応分析を行った。
【0296】
アッセイ(Ib)
IL-21ペプチドによるIL-21受容体の活性化
本発明のIL-21ペプチドをコードするcDNAは、一過的に発現させた後に、stat調節性レポーター系における活性分析によって分析することができる。cDNAを、HEK293 FreeStyle細胞(Stengaard-Pedersen et al. N. Engl. J. Med. 34, 554 (2003); Invitrogen)にトランスフェクトした。トランスフェクションして48時間後に上清を無血清培地から収集し、細胞バイオアッセイにおいて分析した。このアッセイは、ヒトIL-21RおよびStat連結ルシフェラーゼレポーター構築物を発現するように安定にトランスフェクトされているマウスBaf3細胞株を使用する。Baf3細胞は、活性IL-21受容体複合体のγc成分を内因的に発現する。Baf3/hIL-21Rレポーター細胞株は、刺激の前に18時間、IL-3を含まない培地において欠乏状態にした。HEK293-FSトランスフェクタントからの未処理上清を用いて、用量反応分析を行った。刺激期間は4時間であった。
【0297】
アッセイ(II)
IL-21ペプチドとIL-21受容体複合体のγcの結合
IL-21とγc鎖の結合は、BIAcore装置(Pharmacia Biosensor)を用いた表面プラズモン共鳴分析によって評価される。この場合、まず最初に、γc鎖、例えば、γc-Fc融合タンパク質の形をしたγc鎖をビオチン化し、その後に、ストレプトアビジンでコーティングされたバイオセンサーマトリックス上に固定化する。hIL-21ペプチドまたはその変異体を含有する緩衝液をマトリックス上に通す。結果として生じたセンソグラム(sensogram)から、オンレートおよびオフレートを反映するキネティック定数(kinetic constant)を、IL-21の濃度範囲を用いて行った少なくとも3回の独立した測定の結果とて計算した。キネティック定数(konおよびKoff)から、見かけの解離定数KDを結合親和性の尺度として計算することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して、1つまたは複数のアミノ酸残基において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、該ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチド。
【請求項2】
IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、該ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチド。
【請求項3】
IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、該IL-21ペプチドとIL-21受容体の結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチド。
【請求項4】
IL-21とIL-21受容体共通γ鎖(γc)の結合に関与するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する単離されたIL-21ペプチドであって、該IL-21ペプチドとIL-21受容体γcの結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して変化している、単離されたIL-21ペプチド。
【請求項5】
該IL-21ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して減少している、請求項1または請求項2記載の単離されたIL-21ペプチド。
【請求項6】
該IL-21ペプチドとIL-21受容体との結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して減少している、請求項3記載の単離されたペプチド。
【請求項7】
該IL-21ペプチドとIL-21受容体γcとの結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して減少している、請求項4記載の単離されたペプチド。
【請求項8】
該IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストである、請求項5〜7のいずれか一項記載の単離されたペプチド。
【請求項9】
該IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストである、請求項5〜7のいずれか一項記載の単離されたペプチド。
【請求項10】
SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、請求項8または請求項9記載の単離されたペプチド。
【請求項11】
該IL-21ペプチドによって媒介される、IL-21受容体を介した活性化が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して増加している、請求項1または請求項2記載の単離されたIL-21ペプチド。
【請求項12】
該IL-21ペプチドとIL-21受容体との結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して増加している、請求項3記載の単離されたペプチド。
【請求項13】
該IL-21ペプチドとIL-21受容体γcとの結合が、SEQ ID No.2のアミノ酸配列を有するIL-21ペプチドと比較して減少している、請求項4記載の単離されたペプチド。
【請求項14】
該IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストである、請求項11〜13のいずれか一項記載の単離されたペプチド。
【請求項15】
該IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストである、請求項11〜13のいずれか一項記載の単離されたペプチド。
【請求項16】
SEQ ID No.2におけるアミノ酸残基65〜96に対応する領域内のアミノ酸の1つまたは複数が欠失または置換されている、請求項14または請求項15記載の単離されたペプチド。
【請求項17】
SEQ ID No.2におけるMet-7、Arg-11、Ile-14、Asp-18、Glu-36、Asp-37、Thr-40、Glu-100、Glu-109、Ser-113、Gln-116、Lys-117、Ile-119、His-120、Lys-123、Ser-125、Arg-126、Thr-127、His-128、Gly-129、Ser-130、Glu-131、Asp-132、およびSer-133に対応するアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を有する、請求項1〜16のいずれか一項記載の単離されたIL-21ペプチド。
【請求項18】
該IL-21ペプチドがSEQ ID No.1におけるヘリックスAに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、請求項1〜17のいずれか一項記載の単離されたIL-21ペプチド。
【請求項19】
SEQ ID No.1におけるループA/Bに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、請求項1〜18のいずれか一項記載の単離されたIL-21ペプチド。
【請求項20】
SEQ ID No.1におけるループC/Dに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、請求項1〜19のいずれか一項記載の単離されたIL-21ペプチド。
【請求項21】
SEQ ID No.1におけるヘリックスDに対応する領域内のアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、請求項1〜20のいずれか一項記載の単離されたIL-21ペプチド。
【請求項22】
C末端から10個のアミノ酸残基にあるアミノ酸残基の1つまたは複数において突然変異を含む、請求項1〜21のいずれか一項記載の単離されたIL-21ペプチド。
【請求項23】
療法において使用するための、請求項1〜22のいずれか一項記載の単離されたIL-21ペプチド。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか一項記載のペプチドを含む、薬学的組成物。
【請求項25】
療法において使用するための、請求項1〜23のいずれか一項記載のペプチドまたは請求項24記載の薬学的組成物の使用。
【請求項26】
疾患または障害の治療において使用するための薬学的組成物を調製するための、請求項1〜23のいずれか一項記載のペプチドの使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストであり、該疾患または障害がIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用。
【請求項27】
疾患または障害の治療において使用するための、請求項1〜23のいずれか一項記載のペプチドまたは請求項24記載の薬学的組成物の使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアンタゴニストであり、該疾患または障害がIL-21アンタゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用。
【請求項28】
疾患または障害の治療において使用するための薬学的組成物を調製するための、請求項1〜23のいずれか一項記載のペプチドの使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストであり、該疾患または障害がIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用。
【請求項29】
疾患または障害の治療において使用するための、請求項1〜23のいずれか一項記載のペプチドまたは請求項24記載の薬学的組成物の使用であって、IL-21ペプチドがIL-21受容体のアゴニストであり、該疾患または障害がIL-21アゴニストの使用によって治療可能であり得る、使用。
【請求項30】
請求項1〜23のいずれか一項記載のペプチドをコードする、単離された核酸構築物。
【請求項31】
請求項30記載の核酸構築物を含む、ベクター。
【請求項32】
請求項30記載の核酸構築物または請求項31記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項33】
請求項1〜23のいずれか一項記載のペプチドと特異的に結合する、抗体。
【請求項34】
hIL-21にもMet-hIL-21にも結合しない、請求項33記載の抗体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公表番号】特表2010−512769(P2010−512769A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542064(P2009−542064)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064326
【国際公開番号】WO2008/074863
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(308022346)ノヴォ ノルディスク アクティーゼルスカブ (2)
【Fターム(参考)】