説明

IL13に対するヒト抗体および治療的使用

本発明は、ヒト抗IL-13結合分子、特に、抗体、ならびにIL-13関連障害、例えば、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、線維症、炎症性腸疾患およびホジキンリンパ腫の診断または処置における抗IL-13抗体分子を使用するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
使用の分野
本発明は、特異的結合メンバー、特に、ヒト抗IL-13抗体分子およびとりわけIL-13活性を中和するものに関する。それはさらに、IL-13関連障害、例えば、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、線維症、炎症性腸疾患およびホジキンリンパ腫の診断または処置における抗IL-13抗体分子を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
インターロイキン(IL)-13は、およそ12 kDaの非修飾分子量を有する114個のアミノ酸のサイトカインである[McKenzie, A. N., et al. J Immunol, 1993.150 (12): p. 5436-44、およびMinty, A., et al. Nature, 1993.362 (6417): p. 248-50.]。IL-13は、アミノ酸レベルで30%の配列類似性を共有するIL-4と最も密接に関連する。ヒトIL-13遺伝子は、IL-4遺伝子に隣接した染色体5q31に位置する。染色体5qのこの領域は、GM-CSFおよびIL-5を含む他のTh2リンパ球由来サイトカインのための遺伝子配列を含み、IL-4と共にそのレベルは、喘息患者およびアレルギー性炎症の齧歯類モデルにおいて疾患重篤度と相関することが示された[Nakamura, Y., et al. Am J Respir Cell Mol Biol, 1996. 15 (5): p. 680-7, Robinson, D. S., et al. N Engl J Med, 1992.326 (5): p. 298-304, Walker, C., et al. Am J Respir Crit Care Med, 1994. 150 (4): p. 1038-48, Humbert, M., et al. Am J Respir Crit Care Med, 1996,154 (5): p. 1497-504, Corrigan, C. J. and A. B. Kay Int Arch Allergy Appl Immunol, 1991. 94 (1-4): p.270-1, Bentley, A. M., et al. Am J Respir Cell Mol Biol, 1993.]。
【0003】
最初、IL-13は、Th2 CD4+リンパ球由来サイトカインとして同定されたが、それはまた、Th1 CD4+T細胞、CD8+Tリンパ球NK細胞、および非T細胞集団、例えば、肥満細胞、好塩基球、好酸球、マクロファージ、単球および気道平滑筋細胞により産生される。
【0004】
IL-13は、それ自身は、IL-13ではなくIL-4に結合できるIL-4受容体a鎖(IL-4Rα)-、ならびに少なくとも2つの他の細胞表面タンパク質、IL-13Rα1およびIL-13Rα2を含む受容体系を介して、その効果を仲介することが報告されている[Murata, T., et al. Int J Hematol, 1999. 69(1) : p.13-20, Andrews, A.L., et al. J Biol Chem, 2002.277(48) : p. 46073-8.]。IL-13Rα1は、IL-13に低い親和性で結合し、次いで、IL-4Rαをリクルートし、高い親和性の、シグナルを送る機能的受容体を形成する[Miloux, B., et al. FEBS Lett, 1997.401 (2-3): p. 163-6, Hilton, D. J., et al. Proc Natl Acad Sci U S A, 1996. 93 (1): p. 497-501]。Genbankデータベースは、IL-13Rα1のアミノ酸配列および核酸配列をそれぞれNP 001551およびY10659として記載している。STAT6(転写6のシグナルトランスデューサーおよびアクチベーター)欠損マウスでの研究は、IL-4と同様の方法で、IL-13が、JAK-STAT6経路を利用することによりシグナルを送ることを明らかにした[Kuperman, D., et al. J Exp Med, 1998. 187 (6): p. 939-48, Nelms, K., et al. Annu Rev Immunol, 1999.17 : p. 701-38.]。IL-13Rα2は、アミノ酸レベルで、IL-13Rα1と37%の配列同一性を共有し、IL-13に高い親和性をもって結合する[Zhang, J. G., et al. J Biol Chem, 1997.272 (14): p. 9474- 80, Caput, D., et al. J Biol Chem, 1996.271 (28): p. 16921-6.]。しかしながら、IL-13Rα2は、既知のシグナル伝達モチーフを欠いた、より短い細胞質テールを有する。IL-13Rα2を発現する細胞は、IL-4Rαの存在下でさえ、IL-13に応答しない[Kawakami, K., et al. Blood, 2001.97 (9): p. 2673-9]。したがって、IL-13Rα2は、IL-13機能を制御するが、IL-4機能を制御しないおとり受容体として作用することが仮説立てられる。これは、表現型が、IL-13の増加した応答性と一致した、IL-13Rα2欠損マウスでの研究により支持される[Wood, N., et al. J Exp Med, 2003.197 (6): p. 703-709, Chiaramonte, M. G., et al. J Exp Med, 2003.197 (6): p. 687-701]。Genbankデータベースは、IL-13Rα2のアミノ酸配列および核酸配列を、それぞれNP000631およびY08768として記載している。
【発明の開示】
【0005】
発明の要約
本発明の態様は、抗原結合領域を有し、標的タンパク質IL-13に特異的な単離したヒトもしくはヒト化抗体またはその機能的断片およびIL-13に結合する抗体またはその機能的断片を提供する。関連する態様では、IL-13への結合は、少なくとも、炎症性メディエーター放出を妨げる、細胞表面IL-13受容体結合により決定される。
【0006】
また他の態様では、本発明は、抗体の単離した抗原結合領域またはその機能的断片を提供する。ある態様では、単離した抗原結合領域は、配列番号9-10から選択されるアミノ酸配列を有するH-CDR3領域、およびその保存的変異型を含む。本明細書に記載したとおり、保存的変異型は、同定したアミノ酸配列のいずれかのアミノ酸残基を含む。関連する態様では、単離した抗原結合領域は、配列番号8のアミノ酸配列を有するH-CDR2領域、およびその保存的変異型である。他の関連する態様では、単離した抗原結合領域は、配列番号6-7から選択されるアミノ酸配列を有するH-CDR1領域、およびその保存的変異型である。
【0007】
他の態様では、単離した抗原結合領域は、配列番号20-22から選択されるアミノ酸配列を有するL-CDR3領域、およびその保存的変異型である。また他の関連する態様では、単離した抗原結合領域は、配列番号16-18から選択されるアミノ酸配列を有するL-CDR1領域、およびその保存的変異型である。また他の関連する態様では、単離した抗原結合領域は、配列番号19のアミノ酸配列を有するL-CDR2領域、およびその保存的変異型である。
【0008】
ある態様では、単離した抗原結合領域は、配列番号16-22から選択されるアミノ酸配列を有する可変軽鎖、およびその保存的変異型である。
【0009】
他の態様では、単離した抗原結合領域は、配列番号6-10の1〜3個から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号6-10を有するCDR領域と、CDR領域で少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列である。関連する態様では、単離した抗原結合領域は、配列番号16-22の1〜3個から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖、および配列番号16-22を有するCDR領域と、CDR領域で少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列である。
【0010】
ある態様では、単離した抗体は、IgGである。他の態様では、単離した抗体は、IgG1またはIgG4である。
【0011】
他の態様では、本発明は、抗原結合領域を有し、IL-13のエピトープに特異的である、単離したヒトもしくはヒト化抗体またはその機能的断片、および細胞上のIL-13表面受容体に結合する抗体または機能的断片を提供する。関連する態様では、本発明は、抗原結合領域を有し、標的IL-13のエピトープに特異的である、単離したヒトもしくはヒト化抗体またはその機能的断片を提供し、エピトープは、標的IL-13のアミノ酸残基1-112の1個またはそれ以上のアミノ酸残基を含む。関連する態様では、エピトープは、立体構造エピトープである。
【0012】
また他の態様では、抗体または機能的断片は、FabまたはscFv抗体断片である。関連する態様では、単離した抗体は、IgGである。他の関連する態様では、単離した抗体は、IgG1またはIgG4である。
【0013】
他の態様では、本発明は、少なくとも上記の抗体または機能的断片または保存的変異型のいずれか1つ、およびその薬学的に許容される担体または賦形剤を有する、医薬組成物を提供する。
【0014】
また他の態様では、本発明は、上記の抗体またはその機能的断片のいずれかをコードする遺伝子を有するトランスジェニック動物を提供する。
【0015】
ある態様では、本発明は、IL-13に関する受容体標的を有する細胞の存在と関連する障害または状態を処置するための方法を提供する。該方法は、それを必要とする対象に、上記の医薬組成物のいずれかの有効量を投与することを含む。関連する態様では、処置される障害または状態は、呼吸器障害である。
【0016】
他の態様では、処置される障害または疾患は、気管支喘息であり、それは、気道過剰応答(AHR)、粘液過剰産生、線維症および上昇した血清IgEレベルにより特徴づけられる、通常持続する肺の炎症性疾患である。Li et alは、喘息の慢性マウスモデルにおける中和抗マウスIL-13抗体の効果を報告した(The American Thoraics Society Annual Meeting, 2003, Seattleに提出するポスターのための要約)。
【0017】
他の態様では、処置される障害または疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。Zheng et al J Clin Invest, 2000.106 (9): p. 1081-93は、ヒトCOPDの特徴を反映する、マウス肺気腫におけるIL-13の過剰発現、高められた粘液産生および炎症を証明した。IL-13のmRNAのレベルは、報告された肺疾患を有しない対象からの肺サンプルと比較して、COPDの病歴を有する対象からの剖検組織サンプルでより高められることが示された(J. EliasによるAmerican Thoracic Society Annual Meeting 2002での口頭発表)。他の研究では、IL-13の上昇したレベルは、COPD患者からの末梢肺切片での免疫組織化学により証明された[Wardlaw, A. J., Clin Med, 2001.1 (3): p. 214-8.]。
【0018】
他の態様では、処置される障害または疾患は、他の炎症性または閉塞性気道疾患および状態、例えば、肺損傷(ALI)、急性/成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、呼吸困難、アレルギー性気道炎症、末梢気道疾患、肺癌、鎌状赤血球病および肺高血圧症を有する患者での急性胸部症候群、および他の薬剤治療、特に、他の吸入薬治療に対する気道過剰反応性結果の再燃から選択される。
【0019】
他の態様では、処置される障害または疾患は、例えば、急性の、アラキン酸の、カタル性の、クループ性(croupus)、慢性または結核様(phthinoid)気管支炎を含む、あらゆる型または起源の気管支炎である。
【0020】
他の態様では、処置される障害または疾患は、あらゆる型または起源の塵肺症(炎症性の通常は職業的な肺の疾患であり、しばしば気道閉塞を伴い、慢性または急性を問わず、そして繰り返される粉塵の吸入により引き起こされる疾患)を含み、例えば、アルミニウム肺症、炭粉沈着症、石綿症、石肺症、羽毛肺、鉄沈着症、珪肺症、タバコ症および綿肺症を含む。
【0021】
他の態様では、処置される障害または疾患は、アトピー性鼻炎(枯草熱)、アレルギー性皮膚炎(湿疹)および慢性副鼻腔炎から選択される。IL-13の上昇したレベルは、アトピー性鼻炎(枯草熱、アレルギー性皮膚炎(湿疹)および慢性副鼻腔炎を有するヒト対象で測定した。例えば、IL-13のレベルは、コントロール対象と比較して、喘息患者からの気管支生検、痰および気管支肺胞洗浄(BAL)細胞でより高いことが分かった[Humbert, M., et al. J Allergy Clin Immunol, 1997.99 (5): p. 657-65, Kotsimbos, T. C., P. Ernst, and Q. A. Hamid, Proc Assoc Am Physicians, 1996.108 (5): p. 368-73, Komai-Koma, M., F. Y.Liew, and P. C. Wilkinson, J Immunol, 1995.155 (3): p. 1110-6, Naseer, T., et al. Am J Respir Crit Care Med, 1997]。
【0022】
他の態様では、処置される障害または疾患は、他の皮膚の炎症性状態、例えば、乾癬または紅斑性狼瘡から選択される。
【0023】
他の態様では、処置される障害または疾患は、炎症性腸疾患、例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病である。Heller et al. (2002) Immunity, 17 (5): 629-38は、可溶性IL-13Ra2の投与によるIL-13の中和が、ヒト潰瘍性大腸炎のマウスモデルで結腸炎症を改善することを報告している。同様に、IL-13発現は、コントロールと比較したとき、潰瘍性大腸炎患者からの直腸生検標本でより高かった。
【0024】
他の態様では、処置される障害または疾患は、他の線維性状態、例えば、全身性硬化症、肺線維症、特発性肺線維症または肺線維症から選択される。IL-13の増加したレベルは、全身性硬化症を有する患者の血清で[Hasegawa, M., et al. J Rheumatol, 1997. 24 (2): p. 328-32]および肺線維症の他の形態に罹患した患者からのBALサンプルで測定した[Hancock, A., et al. Am J Respir Cell Mol Biol, 1998]。
【0025】
他の態様では、処置される障害または疾患は、肝線維症である。IL-4産生の除去ではなく、可溶性IL-13Ra2の投与またはIL-13遺伝子破壊によるIL-13の特異的阻害は、肝臓での線維成長を妨げた[Fallon, P. G., et al. J Immunol, 2000.164 (5): p. 2585-91, Chiaramonte, M.G., et al. J Clin Invest, 1999.104 (6): p.
777-85, Chiaramonte, M. G., et al. Hepatology, 2001.34(2) : p. 273-82.]。
【0026】
他の態様では、処置される障害または疾患は、ホジキン病である。ホジキン病は、しばしばB細胞に由来する腫瘍性リードスタンバーグ細胞が、臨床的に検出可能な集団のわずかな割合のみを占めるという点で、悪性腫瘍の中で一般的ではない。ホジキン病由来細胞株および初代リードスタンバーグ細胞は、しばしば、IL-13およびその受容体を発現する[Skinnider, B. F., et al. Blood, 2001.97(1) : p. 250-5]。IL-13は、正常なB細胞で生存および増殖を促進するので、IL-13が、リードスタンバーグ細胞のための増殖因子として作用し得ることが提案された。Skinnider et al.は、IL-13に対する中和抗体が、インビトロでホジキン病由来細胞株の成長を阻害し得ることを証明した[Kapp, U., et al. J Exp Med, 1999. 189 (12): p. 1939-46.]。この発見は、リードスタンバーグ細胞が、IL-13自己分泌および傍分泌サイトカインループにより、それら自身の生存を促進し得ることを示した。この仮説と一致して、正常なコントロールと比較たとき、IL-13の上昇したレベルを、あるホジキン病患者の血清で検出した[Fiumara, P., F. Cabanillas, and A. Younes, Blood, 2001. 98 (9): p.2877-8.]。IL-13阻害剤は、したがって、悪性リードスタンバーグ細胞の増殖を阻害することにより、疾患進行を妨げ得る。
【0027】
他の態様では、処置される障害または疾患は、腫瘍再発または転移である。IL-13の阻害は、動物モデルで抗ウイルスワクチンを増強することが示され、HIVおよび他の感染性疾患の処置において有益であり得る[Ahlers, J. D., et al. Proc Natl Acad Sci U S A, 2002]。多くのヒト癌細胞は、免疫原性腫瘍特異的抗原を発現する。しかしながら、多くの腫瘍は、自然に退行するが、いくつかは、T細胞仲介免疫を抑制することにより、免疫系(免疫監視)を回避する。Terabe et al. Nat Immunol, 2000.1 (6): p. 515-20は、マウスモデルでの免疫抑制におけるIL-13の役割を証明し、そこでは、腫瘍は、初期成長および再発後、自然に退行する。可溶性IL-13Ra2を用いたIL-13の特異的阻害は、腫瘍再発からこれらのマウスを保護した。Terabe et alは、IL-13が、抗腫瘍免疫応答を仲介する腫瘍特異的CD8+細胞毒性リンパ球の分化を抑制することを続けて示した。
【0028】
他の態様では、処置される障害または疾患は、呼吸器ウイルス感染症であり、それは、内在する慢性状態、例えば、喘息、慢性気管支炎、COPD、中耳炎、および静脈洞炎を悪化させる。処置される呼吸器ウイルス感染症は、二次的細菌感染、例えば、中耳炎、静脈洞炎または肺炎と関連し得る。
【0029】
他の態様では、処置される障害または疾患は、他の疾患または状態、特に、炎症性コンポーネントを有する疾患または状態、例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎および他の疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、ならびに急性および慢性同種移植の拒絶反応、例えば、心臓、腎臓、肝臓、肺または骨髄の下記の移植を含む、骨および関節の疾患から選択される。
【0030】
他の態様では、処置される障害または疾患は、内毒素性ショック、糸球体腎炎、脳および心虚血、アルツハイマー病、嚢胞線維症、ウイルス感染およびそれらと関連する憎悪、後天性免疫不全症候群(AIDS)、多発性硬化症(MS)、ヘリコバクター・ピロリ関連胃炎、および癌、特に、卵巣癌の成長である。
【0031】
他の態様では、処置される障害または疾患は、ヒトでウイルス感染により引き起こされる症状であり、それは、ヒトライノウイルス、他のエンテロウイルス、コロナウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルスまたはアデノウイルスにより生じる。
【0032】
本発明にしたがう処置は、対症的であるか、または予防的であり得る。
【0033】
炎症性状態を阻害することにおける、例えば、炎症性気道疾患における本発明の薬剤の有効性は、気道炎症または他の炎症性状態の動物モデルで、例えば、マウス、ラットまたはウサギモデルで、例えば、Wada et al, J. Exp. Med (1994) 180:1135-40; Sekido et al, Nature (1993) 365:654-57; Modelska et al., Am. J. Respir. Crit. Care. Med (1999) 160:1450-56; and Laffon et al (1999) Am. J. Respir. Crit. Care Med. 160:1443-49に記載されたとおり証明し得る。
【0034】
他の態様では、本発明は、IL-13の受容体を有する細胞を同定するための方法を提供する。この方法は、細胞を、さらに検出可能標識を有する上記の抗体または抗体断片のいずれかと接触させることを含む。標識は、放射性、蛍光性、磁性、常磁性、または化学発光である。さらに、該方法は、標識した細胞の上記のいずれかのイメージングか、または分離することを含む。
【0035】
他の態様では、上記のいずれかのヒトもしくはヒト化抗体または抗体断片は、合成される。
【0036】
他の態様では、本発明は、医薬組成物およびさらなる治療剤を提供する。
【0037】
さらなる治療剤は、とりわけ、閉塞性または炎症性気道疾患、例えば、上記したようなものの処置において、例えば、そのような薬剤の治療活性の増強剤として、または必要な用量もしくはそのような薬剤の潜在的な副作用を減少させる手段として、抗炎症性、気管支拡張、抗ヒスタミンまたは抗咳薬剤物質からなる集団から選択し得る。本発明の治療剤は、固定医薬組成物で他の薬剤物質と混合し得るか、または他の薬剤物質と、別々に、前に、同時に、後に、投与し得る。したがって、本発明は、上記したとおり、抗炎症性、気管支拡張、抗ヒスタミンまたは抗咳薬剤物質と本発明の薬剤の組合せを含み、本発明の該薬剤および該薬剤物質は、同じであるか、または異なる医薬組成物である。
【0038】
適当な抗炎症剤は、ステロイド、特に、グルココルチコステロイド、例えば、ブデソニド、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸、プロピオン酸フルチカゾン、シクレソニドもしくはフランカルボン酸モメタゾン、またはWO 02/88167、WO 02/12266、WO 02/100879、WO 02/00679 (特に、実施例3、11、14、17、19、26、34、37、39、51、60、67、72、73、90、99および101のそれら)、WO 03/35668、WO 03/48181、WO 03/62259、WO 03/64445、WO 03/72592、WO 04/39827およびWO 04/66920に記載されたステロイド; 非ステロイド性グルココルチコイド受容体アゴニスト、例えば、DE 10261874、WO 00/00531、WO 02/10143、WO 03/82280、WO 03/82787、WO 03/86294、WO 03/104195、WO 03/101932、WO 04/05229、WO 04/18429、WO 04/19935およびWO 04/26248に記載されたもの; LTB4アンタゴニスト、例えば、BIIL 284、CP-195543、DPC11870、LTB4エタノールアミド、LY 293111、LY 255283、CGS025019C、CP-195543、ONO-4057、SB 209247、SC-53228および米国特許第5451700号に記載されたもの; モンテルカスト、プランルカスト、ザフィールカスト(zafirlukast)、アコレート、SR2640、Wy-48,252、ICI 198615、MK-571、LY-171883、Ro 24-5913およびL-648051のようなものを含むLTD4アンタゴニスト; PDE4阻害剤、例えば、シロミラスト(Ariflo(登録商標) GlaxoSmithKline)、ロフルミラスト(Byk Gulden)、V-11294A (Napp)、BAY19-8004 (Bayer)、SCH-351591 (Schering-Plough)、Arofylline (Almirall Prodesfarma)、PD189659 / PD168787 (Parke-Davis)、AWD-12-281 (Asta Medica)、CDC-801 (Celgene)、SelCID(TM) CC-10004 (Celgene)、VM554/UM565 (Vernalis)、T-440 (Tanabe)、KW-4490 (Kyowa Hakko Kogyo)、ならびにWO 92/19594、WO 93/19749、WO 93/19750、WO 93/19751、WO 98/18796、WO 99/16766、WO 01/13953、WO 03/104204、WO 03/104205、WO 03/39544、WO 04/000814、WO 04/000839、WO 04/005258、WO 04/018450、WO 04/018451、WO 04/018457、WO 04/018465、WO 04/018431、WO 04/018449、WO 04/018450、WO 04/018451、WO 04/018457、WO 04/018465、WO 04/019944、WO 04/019945、WO 04/045607およびWO 04/037805に記載されたもの; A2Aアゴニスト、例えば、EP 1052264、EP 1241176、EP 409595A2、WO 94/17090、WO 96/02543、WO 96/02553、WO 98/28319、WO 99/24449、WO 99/24450、WO 99/24451、WO 99/38877、WO 99/41267、WO 99/67263、WO 99/67264、WO 99/67265、WO 99/67266、WO 00/23457、WO 00/77018、WO 00/78774、 WO 01/23399、WO 01/27130、WO 01/27131、WO 01/60835、WO 01/94368、 WO 02/00676、WO 02/22630、WO 02/96462、およびWO 03/086408に記載されたもの;ならびにA2B アンタゴニスト、例えば、WO 02/42298に記載されたものを含む。
【0039】
適当な気管支拡張剤は、抗コリン剤または抗ムスカリン剤、特に、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、チオトロピウム塩およびCHF 4226 (Chiesi)、およびグリコピロレート、またはEP 424021、米国特許第3714357号、米国特許第5171744号、WO 01/04118、WO 02/00652、WO 02/51841、WO 02/53564、WO 03/00840、WO 03/33495、WO 03/53966、WO 03/87094、WO 04/018422およびWO 04/05285に記載されたもの;ならびにベータ2アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、アルブテロール(サルブタモール)、メタプロテレノール、テルブタリン、サルメテロール、フェノテロール、プロカテロール、およびとりわけ、フォルモテロール、カルモテロールおよび薬学的に許容されるその塩、ならびにWO 00/75114(該文書は、引用により本明細書の一部とする)の式Iの化合物(遊離または塩または溶媒和物形)、好ましくは、その実施例の化合物、とりわけ、式:
【化1】

の化合物、すなわち、(5-[(R)-2-(5、6-ジエチル-インダン-2-イルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン)およびその薬学的に許容される塩、ならびにWO 04/16601の式Iの化合物(遊離または塩または溶媒和物形)、ならびにまた、EP 1440966、JP 05025045、WO 93/18007、WO 99/64035、US 2002/0055651、WO 01/42193、WO 01/83462、WO 02/66422、WO 02/ 70490、WO 02/76933、WO 03/24439、WO 03/42160、WO 03/42164、WO 03/72539、WO 03/91204、WO 03/99764、WO 04/16578、WO 04/22547、WO 04/32921、WO 04/33412、WO 04/37768、WO 04/37773、WO 04/37807、WO 04/39762、WO 04/39766、WO 04/45618 WO 04/46083 、WO 04/80964、EP1460064、WO 04/087142、WO 04/089892、EP 01477167、US 2004/0242622、US 2004/0229904、WO 04/108675、WO 04/108676、WO 05/033121、WO 05/040103およびWO 05/044787の化合物を含む。
【0040】
適当な二重の抗炎症性および気管支拡張剤は、例えば、米国特許第2004/0167167号、WO 04/74246およびWO 04/74812で開示したような二重ベータ-2アドレナリン受容体アゴニスト/ムスカリンアンタゴニストを含む。
【0041】
適当な抗ヒスタミン薬剤物質は、塩酸セチリジン、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラタジン、デスロラチジン、ジフェンヒドラミンおよび塩酸フェキソフェナジン、アクチバスチン、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテルフェナジンならびにJP 2004107299、WO 03/099807およびWO 04/026841に記載されたものを含む。
【0042】
本発明の治療剤および抗コリン作用薬または抗ムスカリン作用薬、ステロイド、ベータ-2アゴニスト、PDE4阻害剤、ドーパミン受容体アゴニスト、LTD4アンタゴニストまたはLTB4アンタゴニストの組合せを使用し得る。本発明の薬剤の抗炎症性薬剤との他の有用な組合せは、ケモカイン受容体の他のアンタゴニスト、例えば、CCR-1、CCR-3、CCR-4、CCR-5、CCR-6、CCR-7、CCR-8、CCR-9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特に、CCR-5アンタゴニスト、例えば、Schering-PloughアンタゴニストSC-351125、SCH-55700およびSCH-D、Takedaアンタゴニスト、例えば、N-[[4-[[[6,7-ジヒドロ-2-(4-メチルフェニル)-5H-ベンゾシクロヘプテン-8-イル]カルボニル]アミノ]フェニル]-メチル]-テトラヒドロ-N,N-ジメチル-2H-ピラン-4-塩化アミニウム(TAK-770)、米国特許第6166037号(特に、請求項18および19)、WO 0066558 (特に、請求項8)、WO 0066559 (特に、請求項9)、WO 04/018425およびWO 04/026873に記載されたCCR-5アンタゴニストとの組合せである。
【0043】
さらなる治療剤はまた、他のサイトカイン結合分子、とりわけ他のサイトカインの抗体からなる群から選択され得て、特に、PCT/EP2005/00836に記載されたような抗IL4抗体、Xolair(登録商標)のような抗IgE抗体、抗IL31抗体、抗IL31R抗体、抗TSLP抗体、抗TSLP受容体抗体、抗エンドグリン抗体、抗IL1 抗体またはWO05/007699に記載されたような他の抗IL-13抗体との組み合わせであり得る。
【0044】
ある態様では、本発明は、第1の配列番号6-10の1から3個から選択される重鎖であるアミノ酸配列、および配列番号6-10を有するCDR領域とCDR領域で少なくとも60、70、80、90または95%配列同一性を有する配列;ならびに第2の配列番号16-22の1から3個から選択される軽鎖であるアミノ酸配列、および配列番号16-22で示されたCDR領域とCDR領域で少なくとも60、70、80、90または95%配列同一性を有する配列を有する抗体を提供する。
【0045】
また他の態様では、本発明は、抗体またはその断片である第1コンポーネントおよび第2のアミノ酸配列を有する第2コンポーネントからなる免疫抱合体を提供する。例えば、免疫抱合体は、細胞毒素であるか、または免疫抱合体は、IL-13とは異なる標的への結合特異性を有する結合タンパク質もしくは抗体である。
【0046】
ある態様では、本発明は、二重特異性抗体を提供する。
【0047】
他の態様では、本発明は、抗体またはその抗体断片を有するキットを提供する。したがって、ある態様では、キットはさらに、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。他の関連する態様では、キット中の抗体は、単位容量で存在する。また、他の関連する態様では、キットは、対象への投与における使用のための指示を含む。
【0048】
発明の詳細な説明
本発明は、IL-13に特異的に結合し、IL-13の機能的特性を阻害する、単離した抗体、特に、ヒト抗体に関する。ある態様では、本発明の抗体は、特定の重鎖および軽鎖配列に由来し、そして/または、例えば、特定のアミノ酸配列を含むCDR領域のような特定の構造的特徴を含む。本発明は、単離した抗体、そのような抗体を製造する方法、免疫抱合体および二重特異性分子を提供し、そのような抗体および本発明の抗体、免疫抱合体または二重特異性分子を含む医薬組成物を含む。本発明はまた、細胞受容体標的IL-13の存在に関連する障害または疾患を阻害するために、例えば、炎症性またはアレルギー性疾患、とりわけ、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において抗体を使用する方法に関する。
【0049】
本発明をより容易に理解するために、ある用語を、最初に定義する。さらなる定義は、詳細な説明を通して説明する。
【0050】
‘インターロイキン-13’または‘IL-13’なる用語は、本明細書で他に記載している場合を除き、ヒトIL-13のことを言う。本発明は、ヒトIL-13に対する抗体、とりわけ、カニクイザルおよびアカゲザルIL-13を含む非ヒト霊長類IL-13と交差反応する、ヒト抗体を提供する。本発明のある態様にしたがって、抗体は、130位のアミノ酸のアルギニン残基が、グルタミンで置換されている、IL-13の変異型を認識する。他の局面および態様では、本発明は、ネズミ科IL-13、とりわけ、マウスIL-13に対する特異的結合メンバーを提供する。
【0051】
“免疫応答”なる用語は、例えば、リンパ球、抗原提示細胞、食細胞、顆粒球、および上記細胞または肝臓により産生される可溶性巨大分子(抗体、サイトカイン、および補体を含む)のことを言い、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、癌細胞、または自己免疫もしくは病的炎症の場合には、正常なヒト細胞もしくは組織の選択的な損傷、破壊、またはヒト身体からの除外を生じる。
【0052】
“シグナル伝達経路”は、細胞のある部分から細胞の他の部分へのシグナルの伝達において役割を果たす、様々なシグナル伝達分子間の生化学的関係のことを言う。本明細書で使用するとき、“細胞表面受容体”なる句は、例えば、シグナルを受けることができ、そのようなシグナルを細胞の細胞膜を超えて伝達することができる、分子および分子の複合体を含む。本発明の“細胞表面受容体”の例は、IL-13タンパク質分子が結合するIL-13受容体である。
【0053】
本明細書で言及するとき、“抗体”なる用語は、全抗体および任意の抗原結合断片(すなわち、“抗原結合部分”)またはその一本鎖を含む。自然に生じる“抗体”は、ジスルフィド結合により内部結合した少なくとも2個の重(H)鎖および2個の軽(L)鎖を含む、糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、VHと略す)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3個のドメイン、CH1、CH2およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、VLと略す)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1個のドメイン、CLからなる。VHおよびVL領域は、さらに、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域に散在した、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域に再分割し得る。各VHおよびVLは、下記の順番で、アミノ末端からカルボキシ末端に配列した3個のCDRおよび4個のFRからなる: FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫グロブリンの、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1コンポーネント(Clq)を含む宿主組織または因子への結合を仲介し得る。
【0054】
本明細書で使用するとき、抗体の“抗原結合部分”(または、単に、“抗原部分”)なる用語は、抗原(例えば、IL-13)に特異的に結合する能力を保持する1個またはそれ以上の抗体の断片のことを言う。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片により行われ得ることが示された。抗体の“抗原結合部分”なる用語の範囲内に包含される結合断片の例は、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片である、Fab断片; ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合した2個のFab断片を含む二価断片である、F(ab)2断片; VHおよびCH1ドメインからなる、Fd断片; 抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなる、Fv断片; VHドメインからなる、dAb断片(Ward et al., 1989 Nature 341:544-546); ならびに、単離した相補性決定領域(CDR)を含む。
【0055】
さらに、Fv断片の2個のドメイン、VLおよびVHは、別々の遺伝子によりコードされているが、それらを、組み換え法を用いて、VLおよびVH領域が、一価分子を形成するために一対になる一本鎖タンパク質として製造することを可能にする合成リンカーにより、加え得る(一本鎖Fv (scFv)として既知である;例えば、Bird et al., 1988 Science 242:423-426;およびHuston et al., 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. 85:5879-5883を参照のこと)。そのような一本鎖抗体はまた、抗体の“抗原結合部分”なる用語の範囲内に包含されることを意図する。これらの抗体断片は、当業者に既知の慣用的な技術を用いて取得し、該断片は、インタクト抗体のときと同じ方法で利用のためにスクリーニングされる。
【0056】
“単離した抗体”は、本明細書で使用するとき、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的に存在しない抗体のことを言う(例えば、特異的にIL-13に結合する単離した抗体は、IL-13以外の抗原に特異的に結合する抗体が存在しない)。しかしながら、IL-13に特異的に結合する単離した抗体は、他の種からのIL-13分子のような他の抗原と、交差反応を有し得る。さらに、単離した抗体は、実質的に、他の細胞材料および/または化学物質が存在し得ない。
【0057】
本明細書で使用するとき、“モノクローナル抗体”または“モノクローナル抗体組成物”なる用語は、単一分子組成物の抗体分子の調製物のことを言う。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープのための単一結合特異性および親和性を示す。
【0058】
本明細書で使用するとき、“ヒト抗体”なる用語は、フレームワークおよびCDR領域の両方が、ヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことを意図する。さらに、抗体が定常領域を含むとき、該定常領域はまた、そのようなヒト配列、例えば、ヒト生殖細胞配列、またはヒト生殖細胞配列の突然変異型に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでの無作為もしくは部位特異的突然変異生成またはインビボでの体細胞突然変異により導入される突然変異)を含み得る。しかしながら、本明細書で使用するとき、“ヒト抗体”なる用語は、他のほ乳類種、例えば、マウスの生殖細胞由来のCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に移植された抗体を含むことを意図しない。
【0059】
“ヒトモノクローナル抗体”なる用語は、フレームワークおよびCDR領域の両方が、ヒト配列に由来する可変領域を有する、単一結合特異性を示す抗体のことを言う。1つの態様では、ヒトモノクローナル抗体は、トランスジェニック非ヒト動物、例えば、不死化細胞に融合したヒト重鎖トランスジーンおよび軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有するトランスジェニックマウスから取得したB細胞を含む、ハイブリドーマにより産生する。
【0060】
本明細書で使用するとき、“組み換えヒト抗体”なる用語は、組み換え的手段により調製し、発現させ、作製し、単離するあらゆるヒト抗体、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックであるか、もしくはトランスクロモソームである動物(例えば、マウス)またはそこから調製したハイブリドーマから単離した抗体、ヒト抗体を発現させるように形質転換させた宿主細胞から、例えば、形質転換体から単離した抗体、リコンビナントコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離した抗体、および他のDNA配列に対するヒト免疫グロブリン遺伝子配列の全部または一部のスプライシングを含む任意の他の手段により、調製し、発現させ、作製し、単離した抗体を含む。そのような組み換えヒト抗体は、フレームワークおよびCDR領域が、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかしながら、ある態様では、そのような組み換えヒト抗体は、インビトロ突然変異生成を受け得て(または、ヒトIg配列に関するトランスジェニックである動物を、インビボ体細胞突然変異生成で使用するとき)、したがって、組み換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞VHおよびVL配列に由来し関連するが、自然には、インビボでヒト抗体生殖細胞レパートリーの中に存在し得ない配列である。
【0061】
本明細書で使用するとき、“アイソタイプ”は、重鎖定常領域遺伝子にコードされる抗体クラス(例えば、IgM、IgE、IgG1またはIgG4のようなIgG)のことを言う。
【0062】
“抗原を認識する抗体”および“抗原に特異的な抗体”なる句は、本明細書では、“抗原に特異的に結合する抗体”なる用語と、交換可能に使用する。
【0063】
本明細書で使用するとき、“ヒトIL-13に特異的に結合する”抗体は、ヒトIL-13に5 x 10-9 Mまたはそれ以下のKDで抗体のことを言うことを意図する。“ヒトIL-13以外の抗原と交差反応する”抗体は、5 x 10-9 Mまたはそれ以下でその抗原に結合する抗体のことを言うと意図する。“特定の抗体と交差反応しない”抗体は、1.5 x 10-8 Mもしくはそれ以上のKDを有するか、または5-10 x 10-8 Mもしくは1 x 10-7 Mもしくはそれ以上のKDを有する抗原に結合する抗体のことを言う。ある態様では、抗原と交差反応をしないそのような抗体は、標準的な結合アッセイでこれらのタンパク質に対する、基本的に検出不可能な結合を示す。
【0064】
本明細書で使用するとき、“IL-13受容体へのIL-13の結合を阻害する”抗体は、5 nMまたはそれ以下のKDで受容体へのIL-13結合を阻害する抗体のことを言う。
【0065】
本明細書で使用するとき、“炎症性メディエーター放出を阻害する”抗体は、10 nM、5 nM、2.5 nM、1.0 nM、0.5 nM、またはそれ以下のIC50で、ヒト肺繊維芽細胞からのIL-13誘導エオタキシン放出を阻害する抗体を言うことを意図する。
【0066】
本明細書で使用するとき、Kassoc”または“Ka”なる用語は、特定の抗体抗原相互作用の結合速度を言うことを意図し、一方で、本明細書で使用する“Kdis”または“KD”は、特定の抗体抗原相互作用の解離速度を言うことを意図する。“KD”なる用語は、本明細書で使用するとき、解離定数のことを言うと意図し、それは、KdとKaの割合(すなわち、Kd/Ka)から取得し得て、モル濃度(M)として表現する。抗体のためのKD値は、当分野で、十分に確立された方法を用いて決定し得る。抗体のKDを決定するための方法は、表面プラズモン共鳴を用いることによるか、またはBiacore(登録商標)系のようなバイオセンサー系を用いることによる。
【0067】
本明細書で使用するとき、IgG抗体のための“高親和性”なる用語は、標的抗原に関して、10-8 Mまたはそれ以下、10-9 Mまたはそれ以下、または10-10 Mまたはそれ以下のKDを有する抗体のことを言う。
【0068】
本明細書で使用するとき、“対象”なる用語は、すべてのヒトまたは非ヒト動物を含む。“非ヒト動物”なる用語は、あらゆる脊椎動物、例えば、ほ乳類および非ほ乳類、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、は虫類などを含む。
【0069】
本発明の様々な局面は、下記のサブセクションでさらに詳細に記載している。
【0070】
様々な種のIL-13に対する抗体の結合能力を評価する標準アッセイは、当分野で既知であり、例えば、ELISA、ウエスタンブロッテイングおよびRIAを含む。適当なアッセイは、実施例で詳細に記載している。抗体の結合動態(例えば、結合親和性)は、また、当分野で既知の標準的なアッセイ、例えば、Biacore解析により評価し得る。IL-13の機能的特性に関する抗体の効果を評価するためのアッセイは、実施例でさらに詳細に記載している。
【0071】
したがって、1個またはそれ以上のこれらのIL-13の機能的特性(例えば、生化学的、免疫学的、細胞の、生理学的または他の生物学的活性など)を“阻害する”抗体は、当分野で既知のおよび本明細書に記載した方法論にしたがって決定したとおり、抗体の非存在(例えば、または無関係の特異性のコントロール抗体が、存在するとき)で見られたものと比較して、統計的に有意な特定の活性の減少に関すると理解されるであろう。IL-13活性を阻害する抗体は、測定したパラメーターの少なくとも10%まで、少なくとも50%、80%または90%まで、そのような統計的に有意な減少に影響を与え、ある態様では、本発明の抗体は、IL-13機能的活性の95%、98%または99%以上を阻害し得る。
【0072】
モノクローナル抗体
本発明の抗体は、単離し、上記で構造的に特徴づけられた、実施例1-5のヒトモノクローナル抗体である。抗体のVHアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号6-10で示す。抗体のVLアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号16-22で示す。本発明の他の抗体は、突然変異したアミノ酸を含み、また上記の配列に記載したCDR領域と、CDR領域で少なくとも60、70、80、90または95%同一性を有する。
【0073】
これらの抗体の各々がIL-13に結合し得るので、VHおよびVL配列は、本発明の他の抗IL-13結合分子を作製するために“混合し、そして適合させ”得る。そのような“混合し、そして適合させた”抗体のIL-13結合は、上記および実施例(例えば、ELISA)に記載した結合アッセイを用いて試験し得る。VH鎖およびVL鎖を、混合し、そして適合させるとき、特定のVH/VL対からのVH配列は、構造的に類似したVH配列と置換されるだろう。同様に、特定のVH/VL対からのVL配列は、構造的に類似したVL配列と置換されるだろう。本発明の抗体のVHおよびVL配列は、これらの抗体が、同じ生殖細胞配列に由来するVHおよびVL配列を使用し、したがって、構造的な類似性を示すので、特に、混合および適合を受けやすい。
【0074】
他の局面では、本発明は、抗体の重鎖および軽鎖CDRl、CDR2およびCDR3、またはその組み合わせを含む、抗体を提供する。抗体のVH CDR1のアミノ酸配列は、配列番号6-7で示す。抗体のVH CDR2のアミノ酸配列は、配列番号8で示す。抗体のVH CDR3のアミノ酸配列は、配列番号9-10で示す。抗体のVL CDR1のアミノ酸配列は、配列番号16-18で示す。抗体のVL CDR2のアミノ酸配列は、配列番号19で示す。抗体のVL CDR3のアミノ酸配列は、配列番号20-22で示す。CDR領域は、Kabat系(Kabat, E. A., et al., 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)を用いて記載する。
【0075】
これらの抗体の各々は、IL-13に結合し得て、抗原結合特異性が、主に、CDR1、2および3領域により提供されることを考えると、VH CDR1、2および3配列ならびにVL CDR1、2および3配列は、“混合しそして適合させ”得て、本発明の他の抗IL-13結合分子を作製し得る(すなわち、各抗体は、VH CDR1、2および3ならびにVL CDR1、2および3を含まなければならないが、異なる抗体からのCDRを、混合しそして適合させ得る)。そのような“混合しそして適合させた”抗体のIL-13結合は、上記のおよび実施例(例えば、ELISA)の結合アッセイを用いて、試験し得る。VH CDR配列を混合し、そして適合させるとき、特定のVH配列からのCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は、構造的に類似したCDR配列(複数もある)と置換される。同様に、VL CDR配列を混合し、そして適合させるとき、特定のVL配列からのCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は、構造的に類似したCDR配列(複数もある)と置換される。新規VHおよびVL配列が、1個またはそれ以上のVHおよび/またはVL CDR領域配列を、本発明のモノクローナル抗体のために本明細書で示したCDR配列からの構造的に類似した配列と置換することにより作製し得ることは、当業者にとって容易に明らかである。
【0076】
単離したモノクローナル抗体は、: 配列番号6-7からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域CDR1; 配列番号8のアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域; 配列番号9-10からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域; 配列番号16-18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域; 配列番号19のアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域 CDR2;および配列番号20-22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域を有し、ここで、抗体は、特に、IL-13に結合する。
【0077】
ある態様では、抗体は: 配列番号6を含む重鎖可変領域 CDR1; 配列番号8を含む重鎖可変領域 CDR2;を含む重鎖可変領域 CDR3; 配列番号16を含む軽鎖可変領域 CDR1; 配列番号19を含む軽鎖可変領域 CDR2;および配列番号20を含む軽鎖可変領域からなる。
【0078】
他の態様では、抗体は: 配列番号7を含む、重鎖可変領域 CDR1; 配列番号8を含む、重鎖可変領域 CDR2;配列番号10を含む、重鎖可変領域 CDR3; 配列番号17を含む、軽鎖可変領域 CDR1; 配列番号19を含む、軽鎖 可変領域 CDR2;および配列番号21を含む、軽鎖可変領域 CDR3からなる。
【0079】
また他の態様では、抗体は: 配列番号7を含む、重鎖可変領域 CDR1; 配列番号8を含む、重鎖可変領域 CDR2; 配列番号10を含む、重鎖可変領域 CDR3; 配列番号18を含む、軽鎖可変領域 CDR1; 配列番号19を含む、軽鎖可変領域 CDR2;および配列番号22を含む、軽鎖可変領域 CDR3からなる。
【0080】
本明細書で使用するとき、ヒト抗体は、該抗体の可変領域が、ヒト生殖細胞免疫グロブリン遺伝子を用いる系から取得するとき、特定の生殖細胞配列“の産物”であるか、または“に由来する”重鎖または軽鎖可変領域を含む。そのような系は、ヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスを、関心のある抗原で免疫付与するか、またはファージ上で示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーを、関心のある抗原でスクリーニングすることを含む。配列が、ヒト生殖細胞免疫グロブリン“の産物”または“に由来する”ヒト抗体は、例えば、ヒト生殖細胞免疫グロブリンのアミノ酸配列とヒト抗体のアミノ酸配列を比較し、ヒト抗体の配列と配列が最も近い(すなわち、最大の%同一性)ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列を選択することにより、同定し得る。特定のヒト生殖細胞免疫グロブリン配列“の産物”または“に由来する”ヒト抗体は、生殖細胞配列と比較したとき、例えば、自然に生じる体細胞突然変異または部位特異的突然変異の意図的導入のために、アミノ酸差異を含み得る。しかしながら、選択したヒト抗体は、典型的には、ヒト生殖細胞免疫グロブリン遺伝子によりコードされたアミノ酸配列と、アミノ酸配列が少なくとも90%同一であり、他の種の生殖細胞免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、マウス生殖細胞配列)と比較したとき、ヒトであるものとしてヒト抗体を同定するアミノ酸残基を含む。ある場合には、ヒト抗体は、生殖細胞免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列に対して、アミノ酸配列が少なくとも60%、70%、80%、90%、または少なくとも95%、またはさらに少なくとも96%、97%、98%、または99%同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖細胞配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列と、わずか10個のアミノ酸差異を示す。ある場合には、ヒト抗体は、生殖細胞免疫グロブリン遺伝子によりコードされるアミノ酸配列と、わずか5個、またはさらに、わずか4個、3個、2個、または1個のアミノ酸差異を示し得る。
【0081】
同種抗体
また他の態様では、本発明の抗体は、本明細書に記載した抗体のアミノ酸配列に相同なアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖可変領域を有し、ここで、該抗体は、本発明の抗IL-13抗体の望む機能的特性を保持する。
【0082】
例えば、本発明は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む単離したモノクローナル抗体またはその抗原結合タンパク質を提供し、ここで:該重鎖可変領域は、配列番号6-10からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含み;軽鎖可変領域は、配列番号16-22からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%相同であるアミノ酸配列を含み;抗体は、特異的にIL-13に結合し、そして抗体は、下記の機能的特性の少なくとも1個を示し:抗体は、IL-13タンパク質のIL-13受容体への結合を阻害するか、または抗体IL-13受容体結合を阻害し、炎症性もしくはアレルギー性状態、特に、炎症性もしくは閉塞性気道疾患を予防するか、もしくは改善するか、または抗体は、IL-13受容体結合を阻害し、喘息を予防するか、もしくは改善するか、または抗体は、IL-13受容体結合を阻害し、COPDを予防するか、もしくは改善する。
【0083】
様々な態様では、抗体は、上記した機能的特性の1個もしくはそれ以上、2個もしくはそれ以上、または3個を示し得る。抗体は、例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり得る。
【0084】
他の態様では、VHおよび/またはVLアミノ酸配列は、上記で説明した配列と60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%相同であり得る。配列番号6-10および16-22のVHおよびVL領域のそれぞれと高い相同性(すなわち、80%またはそれ以上)を有するVHおよびVL領域を有する抗体は、配列番号6-10および/または16-22をコードする核酸分子の突然変異生成(例えば、部位特異的またはPCR仲介突然変異生成)により取得し得て、その後、本明細書に記載した機能的アッセイを用いて、保持する機能(すなわち、上記で説明した機能)に関して、コードされた変えられた抗体の試験を行う。
【0085】
本明細書で使用するとき、2個のアミノ酸配列間の相同性割合は、2個の配列間の同一性割合に等しい。2個の配列間の同一性割合は、配列により共有される同一の位置の数の関数であり(すなわち、%相同性 = 同一位置の#/位置の全# x 100)、2個の配列の最適なアラインメントを導入するのに必要とされるギャップの数、および各ギャップの長さを考慮する。配列の比較および2個の配列間の同一性割合の決定は、非限定的な例として下記に示した数学的アルゴリズムを用いて達成し得る。
【0086】
2個のアミノ酸配列間の同一性割合は、ALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれたE. Meyers and W. Millerのアルゴリズム(Comput. Appl. Biosci., 4:11-17, 1988)を用いて、すなわち、PAM120残基重量表、12のギャップ長ペナルティおよび4のギャップペナルティを用いて決定し得る。さらに、2個のアミノ酸配列間の同一性割合は、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(available at http://www.gcg.com)に組み込まれたNeedleman and Wunsch (J. Mol, Biol. 48:444-453, 1970)アルゴリズムを用いて、すなわち、Blossom 62マトリックスまたはPAM250マトリックス、および16、14、12、10、8、6、または4のギャップ重量ならびに1、2、3、4、5、または6の長さ重量を用いて決定し得る。
【0087】
さらにまたはあるいは、本発明のタンパク質配列は、さらに、例えば、同一性関連配列に対する公開データベースに対する検索を行うために、“クエリー配列”として使用し得る。そのような検索は、Altschul, et al., 1990 J.Mol. Biol. 215:403-10のXBLASTプログラム(version 2.0)を用いて行い得る。BLASTタンパク質検索は、本発明の抗体分子に相同なアミノ酸配列を取得するために、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3を用いて行い得る。比較目的のためのギャップアラインメントを取得するために、Gapped BLASTを、Altschul et al., 1997 Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載されたとおり、利用し得る。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用するとき、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用し得る。http:Ilwww.ncbi.nhn.nih.gov.を参照のこと。
【0088】
保存的修飾を有する抗体
ある態様では、本発明の抗体は、CDR1、CDR2、およびCDR3配列からなる重鎖可変領域ならびにCDR1、CDR2、およびCDR3配列からなる軽鎖可変領域を有し、ここで、これらのCDR配列の1個またはそれ以上が、本明細書に記載の抗体またはその保存的修飾に基づく特定のアミノ酸配列を有し、そしてここで、該抗体は、本発明の抗IL-13抗体の望む機能的特性を保持する。したがって、本発明は、CDR1、CDR2、およびCDR3配列からなる重鎖可変領域ならびにCDR1、CDR2、およびCDR3配列からなる軽鎖可変領域からなる単離したモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分を提供し、ここで:CDR1の重鎖可変領域は、配列番号6-7のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる配列、およびその保存的修飾であり; CDR2の重鎖可変領域は、配列番号8のアミノ酸配列からなる配列、およびその保存的修飾であり; CDR3の重鎖可変領域は、配列番号9-10のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる配列、およびその保存的修飾であり; CDR1の軽鎖可変領域は、配列番号16-18のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる配列、およびその保存的修飾であり; CDR2の軽鎖可変領域は、配列番号19のアミノ酸配列からなる配列、およびその保存的修飾であり; CDR3の軽鎖可変領域は、配列番号20-22のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる配列、およびその保存的修飾であり;抗体は、IL-13に特異的に結合し;そして抗体は、IL-13受容体結合を阻害し、炎症性メディエーター放出を妨げる。
【0089】
様々な態様では、抗体は、上記した、1個またはそれ以上の、2個またはそれ以上の、3個またはそれ以上の機能的特性を示し得る。そのような抗体は、例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体であり得る。
【0090】
本明細書で使用するとき、“保存的配列修飾”なる用語は、アミノ酸配列を含む抗体の結合特性に、特に、影響を与えないか、または変えないアミノ酸修飾のことを言うと意図する。そのような保存的修飾は、アミノ酸置換、付加および欠失を含む。修飾は、当業者に既知の標準的な技術により、例えば、部位特異的突然変異誘発法およびPCR仲介突然変異誘発法により、本発明の抗体に導入し得る。
【0091】
保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸のファミリーは、当分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β鎖側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、本発明の抗体のCDR領域内の1個またはそれ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置換し得て、変えられた抗体は、本明細書に記載した機能的アッセイを用いて、保持した機能に関して試験し得る。
【0092】
本発明の抗IL-13抗体と同じエピトープに結合する抗体
他の態様では、本発明は、本明細書で提供した本発明の様々な抗IL-13抗体が結合するのと同じエピトープに結合する抗体を提供する。そのようなさらなる抗体は、標準的なIL-13結合アッセイで本発明の他の抗体とそれらの交差競合する(cross-compete)(例えば、統計的に有意な方法で、競合的に結合を阻害する)能力に基づいて同定し得る。ヒトIL-13への本発明の抗体の結合を阻害する試験抗体の能力は、試験抗体が、ヒトIL-13への結合に関して該抗体と競合し得る;例えば、抗体は、非限定的な見解にしたがって、同じであるか、または関連する(例えば、構造的に類似しているか、または空間的に近接している)ヒトIL-13上のエピトープに、それが競合する抗体として結合し得ることを証明する。ある態様では、本発明の抗体とヒトIL-13上の同じエピトープに結合する抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。そのようなヒトモノクローナル抗体は、実施例に記載したとおり、製造し、単離し得る。
【0093】
改変および修飾された抗体
本発明の抗体はさらに、修飾抗体を設計するために、出発物質として、本明細書に示した1個またはそれ以上のVHおよび/またはVL配列を有する抗体を用いて製造し得て、その修飾抗体は、出発抗体からの変えられた特性を有し得る。抗体は、1個または両方の可変領域(すなわち、VHおよび/またはVL)内の、例えば、1個またはそれ以上のCDR領域内のまたは1個またはそれ以上のフレームワーク内の、1個またはそれ以上の残基を修飾することにより設計し得る。さらにまたはあるいは、抗体は、定常領域(複数もある)内の残基を修飾することにより設計し得て、例えば、抗体のエフェクター機能(複数もある)を変える。
【0094】
行い得る可変領域設計の1つの型は、CDR移植である。抗体は、主に、6個の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を介して標的抗原と相互作用する。この理由に関しては、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外側の配列よりも個々の抗体間でより多様性がある。CDR配列は、抗体-抗原相互作用に最も関与するので、異なる特性を有する異なる抗体からのフレームワーク配列に移植した特定の自然に生じる抗体からのCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより、特定の自然に生じる抗体の特性を模倣する組み換え抗体を発現させることは可能である(例えば、Riechmann, L. et al., 1998 Nature 332:323-327; Jones, P. et al., 1986 Nature 321:522-525; Queen, C. et al., 1989 Proc. Natl. Acad. See. U.S.A. 86:10029-10033; winterの米国特許第5,225,539号、ならびにQueen et al.の米国特許第5,530,101; 第5,585,089号; 第5,693,762号および第6,180,370号を参照のこと)。
【0095】
したがって、本発明の他の態様は、単離したモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分に関し、それぞれ、配列番号6-7からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCDR1配列; 配列番号8のアミノ酸配列を有するCDR2配列; 配列番号9-10からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3配列を含む重鎖可変領域;ならびに、それぞれ、配列番号16-18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCDR1配列; 配列番号19のアミノ酸配列を有するCDR2配列; および配列番号20-22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む。したがって、そのような抗体は、モノクローナル抗体のVHおよびVL CDR配列を含むが、これらの抗体からの異なるフレームワーク配列を含み得る。
【0096】
そのようなフレームワーク配列は、公開されたDNAデータベースまたは公開された文献から取得し得て、生殖細胞抗体遺伝子配列を含む。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子のための生殖細胞DNA配列は、“VBase”ヒト生殖細胞配列データベース(www.mrc- cpe.cam.ac.uk/vbaseのインターネットで利用可能である)およびKabat, E. A., et al., 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242; Tomlinson, I. M., et al., 1992 J. fol. Biol. 227:776-798;ならびにCox, J. P. L. et al., 1994 Eur. J Immunol. 24:827-836に見出し得て、その内容は、引用により本明細書の一部とする。
【0097】
本発明の抗体での使用のためのフレームワーク配列の例は、本発明の選択した抗体により使用されるフレームワーク配列、例えば、本発明のモノクローナル抗体により使用されるコンセンサス配列および/またはフレームワーク配列に、構造的に類似している。VH CDR1、2および3配列、ならびにVL CDR1、2および3配列は、フレームワーク配列が由来する生殖細胞免疫グロブリン遺伝子中に見出される配列と同一の配列を有するフレームワーク領域に移植し得るか、またはCDR配列は、生殖細胞配列と比較して、1個またはそれ以上の突然変異を含むフレームワーク領域に移植し得る。例えば、ある例では、抗体の抗原結合能力を維持するか、または増強するために、フレームワーク領域内の残基を突然変異させることが有益であることが見出された(例えば、Queen et alの米国特許第5,530,101号; 第5,585,089号; 第5,693,762号および第6,180,370号を参照のこと)。
【0098】
他の型の可変領域修飾は、VHおよび/またはVL CDR1、CDR2および/またはCDR3領域内のアミノ酸残基を突然変異させ、それにより、関心のある抗体の1個またはそれ以上の結合特性(例えば、親和性)を改良することである(“親和性成熟”として既知である)。部位特異的突然変異誘発またはPCR仲介突然変異誘発は、突然変異(複数もある)を導入するために行い得て、抗体結合、または関心のある他の機能的特性における効果は、本明細書に記載したおよび実施例で提供した、インビトロまたはインビボアッセイで評価し得る。保存的修飾(上記の)を導入し得る。突然変異は、アミノ酸置換、付加または欠失であり得る。さらに、典型的には、CDR領域内のわずか1個、2個、3個、4個または5個の残基を変える。
【0099】
したがって、他の態様では、本発明は、単離した抗IL-13モノクローナル抗体、またはその抗原結合部分を提供し: 配列番号6-7を有する群から選択されるアミノ酸配列または配列番号6-7と比較して1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換、欠失もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるVH CDR1領域: 配列番号8のアミノ酸配列、または配列番号8と比較して1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換、欠失もしくは付加を有するアミノ酸配列を有するVH CDR2領域; 配列番号9-10からなる群から選択されるアミノ酸配列または配列番号9-10と比較して1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換、欠失もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるVH CDR3領域を有する重鎖可変領域;配列番号16-18からなる群から選択されるアミノ酸配列または配列番号16-18と比較して1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換、欠失もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるVL CDR1領域; 配列番号19のアミノ酸配列、または配列番号19と比較して1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換、欠失もしくは付加を有するアミノ酸配列を有するVL CDR2領域; および配列番号20-22からなる群から選択されるアミノ酸配列または配列番号20-22と比較して1個、2個、3個、4個または5個のアミノ酸置換、欠失もしくは付加を有するアミノ酸配列からなるVL CDR3領域からなる。
【0100】
本発明の改変抗体は、例えば、抗体の特性を改善するために、修飾がVHおよび/またはVL内のフレームワーク残基で為されたものを含む。典型的なそのようなフレームワーク修飾は、抗体の免疫原性を減少させるために為される。例えば、1つの方法は、相当する生殖細胞配列に1個またはそれ以上のフレームワーク残基を“突然変異させる”ことである。より特には、体細胞突然変異を受けた抗体は、抗体が由来する生殖細胞配列とは異なるフレームワーク残基を含み得る。そのような残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体が由来する生殖細胞配列と比較することにより同定し得る。フレームワーク領域配列をそれらの生殖細胞形態に戻すために、体細胞突然変異を、例えば、部位特異的突然変異誘発またはPCR仲介突然変異誘発により、生殖細胞配列に“突然変異させ”得る。そのような“突然変異させた”抗体は、また、本発明に包含されることを意図する。
【0101】
他の型のフレームワーク修飾は、T細胞エピトープを改良し、それにより抗体の潜在的な免疫原性を減少させるために、フレームワーク領域内の1個またはそれ以上の残基またはさらに1個またはそれ以上のCDR領域内の残基を突然変異させることを含む。この方法はまた、“脱免疫付与”と呼ばれ、Carr et al.による米国特許公開番号20030153043に、さらに詳細に記載されている。
【0102】
フレームワークまたはCDR領域内に為された修飾に加えて、本発明の抗体は、典型的には、1個またはそれ以上の抗体の機能的特性、例えば、血清半減期、補体固定、Fc受容体結合、および/または抗原依存性細胞毒性を変えるために、Fc領域内に修飾を含むように改変し得る。さらに、本発明の抗体は、化学的に修飾し得る(例えば、1個またはそれ以上の化学的部分が、抗体に結合し得る)か、またはそのグリコシル化を変えるために修飾し得て、再び、1個またはそれ以上の抗体の機能的特性を変える。これらの態様の各々は、下記でさらに詳細に記載している。Fc領域における残基の番号付けは、KabatのEU指標のそれである。
【0103】
1つの態様では、CH1のヒンジ領域は修飾され、その結果、ヒンジ領域におけるシステイン残基の数が変えられ、例えば、増加するか、または減少する。この方法はさらに、Bodmer et al.による米国特許第5,677,425号に記載されている。CH1のヒンジ領域におけるシステイン残基の数は変えられ、例えば、軽鎖および重鎖の集合を促進するか、または抗体の安定性を増加させるか、もしくは減少させる。
【0104】
他の態様では、抗体のFcヒンジ領域を、抗体の生物学的半減期を減少させるように突然変異させる。より特には、1個またはそれ以上のアミノ酸突然変異を、Fcヒンジ断片のCH2-CH3ドメインインターフェース領域に導入し、その結果、該抗体は、天然のFcヒンジドメインStaphylococcylプロテインA(SpA)結合と比較して、SpA結合を減少させる。この方法はさらに、Ward et al.による米国特許第6,165,745号に詳細に記載されている。
【0105】
他の態様では、抗体を、生物学的半減期を増加させるように修飾する。様々な方法が可能である。例えば、下記の突然変異の1個またはそれ以上を導入し得る: Wardによる米国特許第6,277,375号に記載されたT252L、T254S、T256F。あるいは、生物学的半減期を増加させるために、抗体は、Presta et al.により米国特許第5,869,046号に記載されたとおり、IgGのFc領域のCH2ドメインの2個のループから取られたサルベージ受容体結合エピトープを含むように、CH1またはCL領域内で変え得る。
【0106】
また他の態様では、Fc領域を、少なくとも1個のアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基と置換することにより変え、抗体のエフェクター機能を変更する。例えば、1個またはそれ以上のアミノ酸残基を、異なるアミノ酸残基と変え得て、その結果、抗体は、エフェクターリガンドのための変えられた親和性を有するが、もとの抗体の抗原結合能力を保持する。親和性が変えられたエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1コンポーネントであり得る。この方法は、Winter et al.による米国特許第5,624,821号および第5,648,260号に、さらに詳細に記載されている。
【0107】
他の態様では、アミノ酸残基から選択される1個またはそれ以上のアミノ酸は、異なるアミノ酸残基で置換し得て、その結果、抗体は、変えられたC1q結合および/または減少したもしくは廃止された補体依存性細胞毒性(CDC)を有する。この方法は、Idusogie et at.による米国特許第6,194,551号に、さらに詳細に記載されている。
【0108】
他の態様では、1個またはそれ以上のアミノ酸残基を変え、それにより、補体を固定する抗体の能力を変える。この方法は、Bodmer et al.によるPCT公開WO 94/29351に、さらに記載されている。
【0109】
また他の態様では、Fc領域を、抗体依存性細胞毒性(ADCC)を仲介する抗体の能力を増加させる、および/または1個またはそれ以上のアミノ酸を修飾することにより、Fcγ受容体のための抗体の親和性を増加させるように修飾する。この方法は、PrestaによるPCT公開WO 00/42072に、さらに記載されている。さらに、FcγRl、FcγRII、FcγRIIIおよびFcRnのためのヒトIgG1上の結合部位がマップされ、改善した結合を有する変異型が、記載されている(Shields, R.L. et al., 2001 J. Biol. Chen. 276:6591-6604を参照のこと)。
【0110】
また他の態様では、抗体のグリコシル化を修飾する。例えば、グリコシル化抗体を作製し得る(すなわち、抗体は、グリコシル化を欠いている)。グリコシル化は、例えば、“抗原”のための抗体の親和性を増加させるように変え得る。そのような糖質修飾は、例えば、抗体配列内の1個またはそれ以上のグリコシル化の部位を変えることにより、達成し得る。例えば、1個またはそれ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の脱離を生じ、それによりその部位でのグリコシル化を排除する、1個またはそれ以上の置換基を作製し得る。そのようなグリコシル化は、抗原のための抗体の親和性をを増やし得る。そのような方法は、Co et al.による米国特許第5,714,350号および第6,350,861号に、さらに詳細に記載されている。
【0111】
さらにまたはあるいは、変えられた型のグリコシル化を有する抗体、例えば、減少した量のフコシル残基を有する低フコシル化抗体または増加した交差GlcNac構造を有する抗体
を製造し得る。そのような変えられたグリコシル化パターンは、抗体のADCC能力を増加させることが証明されている。そのような糖鎖修飾は、例えば、変えられたグリコシル化機構を有する宿主細胞で、抗体を発現させることにより達成し得る。変えられたグリコシル化機構を有する細胞は、当分野で記載されていて、本発明の組み換え抗体を発現させる宿主細胞として使用し得て、それにより、変えられたグリコシル化を有する抗体を産生する。例えば、Hang et al.によるEP 1,176,195は、機能的に破壊されたフコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子を有する細胞株を記載していて、その結果、そのような細胞株で発現した抗体は、低フコシル化を示す。PrestaによるPCT公開WO 03/035835は、Asn(297)結合糖鎖にフコースが結合する減少した能力を有する変異型CHO細胞株、Lecl3細胞を記載していて、それはまた、宿主細胞で発現する抗体の低フコース化を生じる(また、Shields, R.L. et al., 2002 J. Biol. Chem. 277:26733-26740を参照のこと)。Umana et al.のPCT公開WO 99/54342は、糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、ベータ(1,4)-NアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII (GnTIII))を発現するように改変した細胞株を記載していて、その結果、改変細胞株で発現した抗体は、抗体の増加したADCC活性を生じる、増加した交差GlcNac構造を示す(また、Umana et al., 1999 Nat. Biotech. 17:176-180を参照のこと)。
【0112】
本発明により意図される本明細書の抗体の他の修飾は、PEG化である。抗体は、例えば、抗体の生物学的半減期(例えば、血清)を増加させるようにPEG化し得る。抗体をPEG化するために、抗体、またはその断片を、典型的には、1個またはそれ以上のPEG基が、抗体または抗体断片に結合する条件下で、ポリエチレングリコール(PEG)、例えば、反応性エステルまたはPEGのアルデヒド誘導体と反応させる。グリコシル化は、反応性PEG分子(または類似体反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応により行い得る。本明細書で使用するとき、“ポリエチレングリコール”なる用語は、他のタンパク質を誘導体化するのに使用するPEGの形態のいずれか、例えば、モノ(C1-C10)アルコキシ-またはアリールオキシ-ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール-マレイミドを包含することを意図する。ある態様では、PEG化される抗体は、アグリコシル化抗体である。タンパク質をPEG化する方法は、当分野で既知であり、本発明の抗体に適用し得る。例えば、Nishimura et al.によるEP 0 154 316およびIshikawa et al.によるEP 0 401 384を参照のこと。
【0113】
抗体を改変する方法
上記に記載したとおり、本明細書で示されたVHおよびVL配列を有する抗IL-13抗体は、VHおよび/またはVL配列、またはそれに結合した定常領域(複数もある)を修飾することにより、新規抗IL-13抗体を作製し得る。したがって、本発明の他の局面では、本発明の抗IL-13抗体の構造的特徴を、少なくとも1個の本発明の抗体の機能的特性、例えば、ヒトIL-13に結合し、また、IL-13の1個またはそれ以上の機能的特性を阻害する(例えば、受容体結合、メディエーター放出の阻害)機能的特性を保持する、構造的に関連した抗IL-13抗体を作製するために使用する。
【0114】
例えば、本発明の抗体の1個もしくはそれ以上のCDR領域、またはその突然変異を、既知のフレームワーク領域および/または他のCDRと、組み換え的に結合し得て、上記したとおり、本発明のさらなる組み換え改変抗IL-13抗体を作製し得る。他の型の修飾は、上記の節に記載したものを含む。改変法のための出発物質は、本明細書で提供する1個またはそれ以上のVHおよび/もしくはVL配列、またはその1個もしくはそれ以上のCDR領域である。改変抗体を作製するために、実際に、本明細書で提供する1個またはそれ以上のVHおよび/もしくはVL配列、またはその1個もしくはそれ以上のCDR領域を有する抗体を製造する(すなわち、タンパク質として発現させる)必要はない。むしろ、配列(複数もある)に含まれる情報は、元の配列(複数もある)に由来する“第2世代”配列(複数もある)を作製するために、出発物質として使用し、次いで、“第2世代”配列(複数もある)を製造し、タンパク質として発現させる。
【0115】
したがって、他の態様では、本発明は、配列番号6-7からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号8のCDR2配列および/または配列番号9-10からなる群から選択されるCDR3配列を有する重鎖可変領域抗体;および配列番号16-18からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号19のCDR2配列および/または配列番号20-22からなる群から選択されるCDR3配列を有する軽鎖可変領域抗体配列からなる抗IL-13抗体を製造し; 重鎖可変領域抗体配列および/または軽鎖可変領域抗体配列内の少なくとも1個のアミノ酸残基を変え、少なくとも1個の変えられた抗体配列を作製し;そしてタンパク質として、変えられた抗体配列を発現させるための方法を提供する。
【0116】
標準的な分子生物学技術を、変えられた抗体配列を製造し、発現させるために使用し得る。変えられた抗体配列(複数もある)によりコードされた抗体は、本明細書に記載した抗IL-13抗体の機能的特性の1個、複数個またはすべてを保持するものであり、その機能的特性は、非限定的に、ヒトIL-13への特異的結合を含み;そして、抗体は、少なくとも1個の下記の機能的特性を示し:抗体は、IL-13タンパク質のIL-13受容体への結合を阻害するか、または抗体は、IL-13受容体結合を阻害し、炎症性、線維性まもしくはアレルギー状態、特に、炎症性、もしくは閉塞性気道疾患を予防するか、もしくは軽減するか、または抗体は、IL-13受容体結合を阻害し、それにより喘息を予防するか、もしくは軽減する。

【0117】
変えられた抗体は、上記した1個またはそれ以上、2個またはそれ以上、または3個またはそれ以上の機能的特性を示し得る。
【0118】
変えられた抗体の機能的特性は、当分野で利用可能なおよび/または本明細書に記載した、例えば、実施例で説明した標準アッセイ(例えば、ELISA)を用いて評価し得る。
【0119】
本発明の抗体を改変する方法のある態様では、突然変異は、抗IL-13抗体をコードする配列の全部または一部に沿って、ランダムにまたは選択的に導入し得て、生じた修飾抗IL-13抗体を、本明細書に記載したとおり、結合活性および/または他の機能的特性に関してスクリーニングし得る。突然変異法は、当分野で記載されている。例えば、ShortによるPCT公開WO 02/092780は、飽和突然変異誘発、合成ライゲーション集合、またはその組合せを用いて、抗体突然変異を作製し、スクリーニングする方法を記載している。あるいは、Lazar et al.によるPCT公開WO 03/074679は、抗体の物理化学的特性を最適化するために、コンピュータースクリーニング法を用いる方法を記載している。
【0120】
本発明の抗体をコードする核酸分子
本発明のほかの局面は、本発明の抗体をコードする核酸分子に関する。核酸は、全細胞中、もしくは細胞ライセート中に存在し得るか、または特に精製されたもしくは実質的に純粋な形態の核酸であり得る。核酸は、他の細胞コンポーネントまたは他の混入物質、例えば、他の細胞核酸またはタンパク質から、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動および当分野で既知の他の技術を含む標準的な技術により、分離して精製するとき、“単離され”または“実質的に純粋”である。F. Ausubel, et al., ed. 1987 Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New Yorkを参照のこと。本発明の核酸は、例えば、DNAもしくはRNAであり得て、イントロン配列を含むか、または含み得ない。ある態様では、核酸はcDNA分子である。核酸は、ベクター、例えば、ファージディスプレイベクター中、または組み換えプラスミドベクター中に存在し得る。
【0121】
本発明の核酸は、標準的な分子生物学の技術を用いて取得し得る。ハイブリドーマ(例えば、さらに下記したとおり、ヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスから作製したハイブリドーマ)により発現した抗体に関して、ハイブリドーマにより製造される抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAを、標準的なPCR増幅またはcDNAクローニング技術により取得し得る。免疫グロブリン遺伝子ライブラリー(例えば、ファージディスプレイ技術を用いて)から取得した抗体に関して、抗体をコードする核酸を、ライブラリーのメンバーである様々なファージクローンから回収し得る。
【0122】
VHおよびVL断片をコードするDNA断片を取得すると、これらのDNA断片を、さらに標準的な組み換えDNA技術により操作し得て、例えば、可変領域遺伝子を、全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子またはscFv遺伝子に変換し得る。これらの操作で、VL-またはVH-コードDNA断片は、他のDNA分子、または他のタンパク質をコードする断片、例えば、抗体定常領域もしくは柔軟リンカーに操作可能に結合する。本明細書で使用するとき、“操作可能に結合”なる用語は、2個のDNA断片が、機能的な方法で結合し、例えば、その結果、該2個のDNA断片にコードされたアミノ酸配列が、インフレームにあるか、またはタンパク質が、望むプロモーターの制御下で発現することを意味することを意図する。
【0123】
VH領域をコードする単離したDNAは、VHコードDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする他のDNA分子に操作可能に結合させることにより、全長重鎖遺伝子に変換し得る。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当分野で既知であり(例えば、Kabat, E. A., el al., 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照のこと)、これらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅により取得し得る。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であり得る。Fab断片重鎖遺伝子のために、VHコードDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする他のDNA分子に操作可能に結合し得る。
【0124】
VL領域をコードする単離したDNA断片は、VLコードDNAを、軽鎖定常領域、すなわちCLをコードする他のDNA分子に操作可能に結合させることにより、全長軽鎖遺伝子(およびFab軽鎖遺伝子)に変換し得る。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当分野で既知であり(例えば、Kabat, E. A., et al., 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照のこと)、そしてこれらの領域を包含するDNA断片は、標準的なPCR増幅により取得し得る。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域であり得る。
【0125】
scFv遺伝子を作製するために、VH-およびVL-コードDNA断片を、フレキシブルリンカーをコードする、例えば、アミノ酸配列(Gly4-Ser)3をコードする他の断片に操作可能に結合し得て、その結果、VHおよびVL配列は、フレキシブルリンカーにより結合したVLおよびVH領域を有する連続した一本鎖タンパク質として発現し得る(例えば、Bird et al., 1988 Science 242:423-426; Huston et at., 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., 1990 Nature 348:552-554を参照のこと)。
【0126】
本発明のモノクローナル抗体の産生
モノクローナル抗体(mAb)は、慣用的なモノクローナル抗体方法論、例えば、Kohler and Milstein, 1975 Nature 256: 495の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を含む、様々な技術により産生し得る。モノクローナル抗体を産生するための多くの技術、例えば、ウイルスまたはBリンパ球の発癌性形質転換を使用し得る。
【0127】
ハイブリドーマを製造するための動物系は、マウス系である。マウスでのハイブリドーマ産生は、十分に確立された手順である。融合に関する免疫脾臓細胞の単離のための免疫付与プロトコールおよび技術は、当分野で既知である。融合パートナー(例えば、マウスミエローマ細胞)および融合手順は、また、既知である。
【0128】
本発明のキメラまたはヒト化抗体は、上記したとおりに製造したマウスモノクローナル抗体の配列に基づいて製造し得る。重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードするDNAは、標準的な分子生物学手の技術を用いて、関心のあるマウスハイブリドーマから取得し、非マウス(例えば、ヒト)免疫グロブリン配列を含むように改変し得る。例えば、キメラ抗体を作製するために、マウス可変領域を、当分野で既知の方法を用いて、ヒト定常領域と結合し得る(例えば、Cabilly et al.の米国特許第4,816,567号を参照のこと)。ヒト化抗体を作製するために、マウスCDR領域を、当分野で既知の方法を用いて、ヒトフレームワークに挿入し得る(例えば、Winterの米国特許第5,225,539号、ならびにQueen.et al.の米国特許第5,530,101号; 第5,585,089号; 第5,693,762号、および第6;180;370号を参照のこと)。
【0129】
ある態様では、本発明の抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。IL-13に対して向けられたそのようなヒトモノクローナル抗体は、マウス系よりもヒト免疫系の一部を有するトランスジェニックまたは染色体導入(transchromosomic)マウスを用いて、作製し得る。これらのトランスジェニックまたは染色体導入マウスは、HuMAbマウスおよびKMマウスとして、それぞれ本明細書に記載したマウスを含み、本明細書では、集合的に“ヒトIgマウス”と呼ぶ。
【0130】
HuMAb マウス(登録商標) (Medarex, Inc.)は、内在性μおよびκ鎖遺伝子座を不活性化する標的突然変異と共に、非再配置ヒト重鎖(μおよびγ)およびκ軽鎖免疫グロブリン配列をコードする、ヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を含む(例えば、Lonberg, et al., 1994 Nature 368(6474): 856-859を参照のこと)。したがって、該マウスは、マウスIgMまたはκの減少した発現を示し、免疫付与に応答して、導入したヒト重鎖および軽鎖トランスジーンは、クラススイッチおよび体細胞突然変異を受け、高親和性ヒトIgGκモノクローナルを作製する(上記のLonberg, N. et al., 1994; Lonberg, N., 1994 Handbook of Experimental Pharmacology 113:49-101; Lonberg, N. and Huszar, D., 1995 Intern. Rev. Immunol.13: 65-93、およびHarding, F. and Lonberg, N., 1995 Ann. N. Y. Acad. Sci. 764:536-546を参照のこと)。HuMAbの作製および使用、ならびにそのようなマウスが有するゲノム修飾は、さらに、Taylor, L. et al., 1992 Nucleic Acids Research 20:6287-6295; Chen, J. et at., 1993 International Immunology 5: 647-656; Tuaillon et al., 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:3720-3724; Choi et al., 1993 Nature Genetics 4:117-123; Chen, J. et al., 1993 EMBO J. 12: 821-830; Tuaillon et al., 1994 J. Immunol. 152:2912-2920; Taylor, L. et al., 1994 International Immunology 579-591;およびFishwild, D. et al., 1996 Nature Biotechnology 14: 845-851に記載されており、その内容のすべては、それらの全体を引用により特に本明細書の一部とする。さらに、米国特許第5,545,806号; 第5,569,825号; 第5,625,126号; 第5,633,425号; 第5,789,650号; 第5,877,397号; 第5,661,016号; 第5,814,318号; 第5,874,299号;および第5,770,429号; Lonberg and Kayのすべて; Surani et al.の米国特許第5,545,807号; Lonberg and KayのPCT公開番号WO 92103918、WO 93/12227、WO 94/25585、WO 97113852、WO 98/24884およびWO 99/45962のすべて;ならびにKorman et al.のPCT公開番号WO 01/14424を参照のこと。
【0131】
他の態様では、本発明のヒト抗体は、トランスジーンおよびトランスクロモソーム上にヒト免疫グロブリン配列を有するマウス、例えば、ヒト重鎖トランスジーンおよびヒト軽鎖トランスクロモソームを有するマウスを用いて作製し得る。そのようなマウスは、本明細書では、“KMマウス”と言い、Ishida et al.のPCT公開WO 02/43478に詳細に記載されている。
【0132】
またさらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する他のトランスジェニック動物系を当分野で利用可能であり、本発明の抗IL-13抗体を作製するために使用し得る。例えば、Xenoマウス (Abgenix, Inc.)と呼ばれる他のトランスジェニック系を使用し得て;そのようなマウスは、例えば、Kucherlapati et al.の米国特許第5,939,598号; 第6,075,181号; 第6,114,598号; 第6, 150,584号および第6,162,963号に記載されている。
【0133】
さらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する他のトランスクロモソーム動物系を当分野で利用可能であり、本発明の抗IL-13抗体を作製するために使用し得る。例えば、”TCマウス”と呼ばれるヒト重鎖トランスクロモソームおよびヒト軽鎖トランスクロモソームを有するマウスを使用し得て; そのようなマウスは、Tomizuka et al., 2000 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:722-727に記載されている。さらに、ヒト重鎖および軽鎖トランスクロモソームを有するウシが、当分野で記載されていて(Kuroiwa et al., 2002 Nature Biotechnology 20:889-894)、本発明の抗IL-13抗体を作製するために使用し得る。
【0134】
本発明のヒトモノクローナル抗体は、また、ヒト免疫グロブリン遺伝子のライブラリーをスクリーニングするためのファージディスプレイ法を用いて製造し得る。ヒト抗体を単離するためのそのようなファージディスプレイ法が、当分野で確立されている。例えば、Ladner et al.の米国特許第5,223,409号; 第5,403,484号;および第5,571,698号; Dower et al.の米国特許第5,427,908号および第5,580,717号; McCafferty et al.の米国特許第5,969,108号および第6,172,197号;ならびにGriffiths et al.の米国特許第5,885,793号; 第6,521,404号; 第6,544,731号; 第6,555,313号; 第6,582,915号および第6,593,081号を参照のこと。
【0135】
本発明のヒトモノクローナル抗体は、また、ヒト免疫細胞がその中で再構築され、その結果、ヒト抗体応答が免疫付与で産生し得る、SCIDマウスを用いて製造し得る。そのようなマウスは、例えば、Wilson et al.の米国特許第5,476,996号および第5,698,767号に記載されている。
【0136】
IL-13に対するヒトモノクローナル抗体の産生
Pan DR Tヘルパーエピトープ(PADRE)に結合した精製組み換えヒト(hr)IL-13を、抗原として使用した。IL-13に対する完全なヒトモノクローナル抗体を、ヒト抗体遺伝子を発現するHuMabトランスジェニックマウスのHCo7株を用いて製造する。このマウス株では、内在性マウスカッパ軽鎖遺伝子を、Chen et al., 1993 EMBO J.12:811-820に記載されたとおり、ホモ接合的に破壊し得て、内在性マウス重鎖遺伝子を、PCT公開WO 01109187の実施例1に記載されたホモ接合的に破壊し得る。このマウス株は、Fishwild et al., 1996 Nature Biotechnology 14:845-851に記載されたとおりのヒトカッパ軽鎖トランスジーン、KCo5および米国特許第5,545,806号; 第5,625,825号;および第5,545,807号に記載されたとおりのHCo7ヒト重鎖トランスジーンを有する。
【0137】
本発明のIL-13に対する完全なヒトモノクローナルを作製するために、HuMabマウスを、HEK-EBNA/PADRE抱合体(42ug/マウス)に由来する精製組み換えIL-13およびQuil A (15ug/マウス, Accurate Chemical)の混合物で免疫する。HuMabマウスの一般的な免疫付与スキームは、Lonberg, N. et al., 1994 Nature 368(6474): 856-859; Fishwild, D. et al., 1996 Nature Biotechnology 14:845-851およびPCT公開WO 98/24884に記載されている。トランスジェニックマウスは、1-71日の間、静脈内(IV)で、または皮下(SC)で免疫する。マウスを、殺して脾臓を摘出する2日前に、抗原(アジュバントなし)を用いて、静脈で追加免疫する。RNAを、Nucleospin RNA II単離キット(BD Biosciences/Clontech)を用いて脾臓から単離した。RNAは、米国特許第6,794,132号に記載されたとおり、Fabファージディスプレイ中に、無秩序の種々雑多なH鎖およびL鎖可変ドメインのファージディスプレイライブラリーを作製するために使用した。ファージディスプレイライブラリーは、特許明細書で記載したとおり、溶液層平衡結合プロトコールで、ビオチン化hrIL-13を用いて、5回の選択を受けた。最初の4回の選択は、hrIL-13を10-8 Mで使用し、最後の選択は、hrIL-13を10-9 Mで使用した。抗原の存在下で回収されたpfuを抗原の非存在下で回収されたpfuで割って計算することにより決定した、最後のシグナル対ノイズ比は、このライブラリーに関しては37であり、選択したファージの90%以上が、hrIL-13に結合する抗体を発現していたことを示している。ファージディスプレイライブラリーは、次いで、米国特許第 6,794,132に記載されたとおり、可溶性Fabの発現のためにプラスミドベクター中にサブクローン化する。
【0138】
モノクローナル抗体を産生する形質転換体の作製
本発明の抗体はまた、例えば、当分野で既知であるような組み換えDNA技術および遺伝子トランスフェクション法の組合せを用いて、宿主細胞形質転換体で産生し得る(例えば、Morrison, S. (1985) Science 229:1202)。
【0139】
例えば、抗体、またはその抗体断片を発現させるために、部分もしくは全長軽鎖および重鎖をコードするDNAを、標準的な分子生物学技術(例えば、関心のある抗体を発現させるハイブリドーマを用いたPCR増幅またはcDNAクローニング)により取得し得て、該DNAを発現ベクターに挿入し得て、その結果、遺伝子が、転写および翻訳制御配列に操作可能に結合される。本明細書では、“操作可能に結合”なる用語は、抗体遺伝子がベクターに連結され、その結果、ベクター内の転写および翻訳制御配列が、抗体遺伝子の転写および翻訳を制御するそれらの意図する機能を果たすことを意味すると意図する。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用する発現宿主細胞に適合するように選択する。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子を、別々にベクターに挿入し得るか、またはより典型的には、両遺伝子を、同じ発現ベクターに挿入する。抗体遺伝子は、標準的な方法により、発現ベクターに挿入する(例えば、抗体遺伝子断片およびベクター上の相補制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合には、ブラント(blunt)末端ライゲーション)。本明細書に記載した抗体の軽鎖および重鎖可変領域は、それらを、望むアイソタイプの重鎖定常および軽鎖定常領域をすでにコードする発現ベクター中に挿入することにより、あらゆる抗体アイソタイプの全長抗体遺伝子を作製するために使用し得て、その結果、VH断片は、ベクター内のCH断片(複数もある)に操作可能に結合し、VL断片は、ベクター内のCL断片に操作可能に結合する。さらにまたはあるいは、組み替え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが、抗体遺伝子のアミノ末端のフレーム中に結合するように、ベクター中にクローン化し得る。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であり得る。
【0140】
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組み換え発現ベクターは、宿主細胞での抗体鎖遺伝子の発現を制御する制御配列を有する。“制御配列”なる用語は、プロモーター、エンハンサーおよび抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御する他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。そのような制御配列は、例えば、Goeddel (Gene Expression Technology. Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Di例えば、o, CA 1990)に記載されている。制御配列の選択を含む発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択として、望むタンパク質の発現レベルなどの因子に依存し得ることは、当業者により理解されるであろう。ほ乳類宿主細胞発現のための制御配列は、ほ乳類細胞での高レベルのタンパク質発現に向けられるウイルスエレメント、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーターおよび/またはエンハンサー、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、およびポリオーマを含む。あるいは、ユビキチンプロモーターまたはP-グロビンプロモーターのような非ウイルス制御配列を使用し得る。また、さらには、制御エレメントは、異なる起源からの配列からなり、例えば、SV40早期プロモーターおよびI型ヒトT細胞白血病ウイルスの長い末端反復からの配列を含む、SRaプロモーター系である(Takebe, Y. et al., 1988 Mol. Cell. Biol. 8:466-472)。
【0141】
抗体鎖遺伝子および制御配列に加えて、本発明の組み換え発現ベクターは、さらなる配列、例えば、宿主細胞でのベクターの複製を制御する配列(例えば、複製開始点)および選択可能マーカー遺伝子を有し得る。選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号(すべて、Axel et al.による)を参照のこと)。例えば、典型的な選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞において、薬剤、例えば、G418、ハイグロマイシンまたはメトトレキサートへの耐性を与える。選択可能マーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅を用いたdhfr-宿主細胞での使用のための)およびneo遺伝子(G418選択のために)を含む。
【0142】
軽鎖および重鎖の発現のために、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクター(複数もある)を、標準的な技術により宿主細胞にトランスフェクションする。“トランスフェクション”なる用語の様々な形態は、外因性のDNAの原核または真核宿主細胞への導入のために通常使用される幅広い技術、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、DEAEデキストラントランスフェクションなどを包含することを意図する。理論的には、原核または真核宿主細胞で、本発明の抗体を発現させることは可能である。そのような真核細胞、および特にほ乳類細胞は、適切に折り畳まれ、免疫学的に活性な抗体を組み立て、そして分泌するために、原核細胞よりもより可能性があるので、真核細胞で、特に、ほ乳類宿主細胞での抗体の発現を記載している。抗体遺伝子の原核細胞発現は、活性化抗体の高い収量の産生のために、非効率であると報告されている(Boss, M. A. and Wood, C. R., 1985 Immunology Today 6:12-13)。
【0143】
本発明の組み換え抗体を発現させるためのほ乳類宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞) (例えば、R.J. Kaufman and P.A. Sharp, 1982 Mol. Biol. 159:601-621に記載されたDH FR選択可能マーカーと共に使用される、Urlaub and Chasin, 1980 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されたdhfr-CHO細胞を含む)、NSOミエローマ細胞、COS細胞およびSP2細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組み換え発現ベクターをほ乳類宿主細胞に導入すると、抗体は、宿主細胞中の抗体の発現または宿主細胞が増殖する培養培地中の抗体の分泌を可能にするのに十分な時間、宿主細胞を培養することにより産生される。抗体を、標準的なタンパク質精製法を用いて、培養培地から回収し得る。
【0144】
免疫抱合体
他の局面では、本発明は、治療部分に結合する抗IL-13抗体、またはその断片、例えば、細胞毒素、薬剤(例えば、免疫抑制剤)または放射性毒素を特徴とする。そのような抱合体は、本明細書では、“免疫抱合体”と言う。1個またはそれ以上の細胞毒素を含む免疫抱合体は、“抗毒素”と言う。細胞毒素または細胞毒性薬は、細胞に有害な(例えば、殺傷)すべての薬剤を含む。例えば、タキソン、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、t.コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシスジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-ジヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノール、およびピューロマイシンならびにその類似体もしくはホモログを含む。治療剤はまた、例えば、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、融除剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メイファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス-ジクロロジアミン白金(II) (DDP) シスプラチン、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(もともとは、ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(もともとは、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗増殖剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)を含む。
【0145】
本発明の抗体に結合し得る他の治療的細胞毒素の例は、デュオカルマイシン系(duocarmycins)、カリケアマイシン、マイタンシンおよびアウリスタチン、ならびにその誘導体を含む。カリケアマイシン抗体抱合体の例は、商業的に入手可能である(MylotargTm; Wyeth-Ayerst)。
【0146】
細胞毒素は、当分野で利用可能なリンカー技術を用いて、本発明の抗体に結合し得る。細胞毒素を抗体に結合させるために使用するリンカー型の例は、非限定的に、ヒドラゾン、チオエステル、エステル、ジスルフィドおよびペプチド含有リンカーを含む。リンカーは、すなわち、例えば、リソソームコンパートメント内の低pHにより切断を受けるか、またはプロテアーゼ、例えば、選択的に腫瘍組織で発現するプロテアーゼ、例えば、カテプシン(例えば、カテプシンB、C、D)により切断を受けるリンカーを選択し得る。
【0147】
細胞毒素の型、リンカーおよび治療剤を抗体に結合する方法のさらなる記載に関しては、また、Saito, G. et al., 2003 Adv. Drug Deliv. Rev. 55:199-215; Trail, P.A. et al., 2003 Cancer Immunol. Immunother. 52:328-337; Payne, G., 2003 Cancer Cell 3:207-212; Allen, T.M., 2002 Nat. Rev. Cancer 2:750-763; Pastan, I. and Kreitman, R. J., 2002 Curr. Opin. Investig. Drugs 3:1089-1091; Senter, P.D. and Springer, C.J., 2001 Adv. Drug Deliv. Rev. 53:247-264を参照のこと。
【0148】
本発明の抗体はまた、細胞毒性放射性医薬(また、放射性免疫抱合体と呼ぶ)を作製するために、放射性同位体に結合し得る。診断的または治療的使用のために抗体に結合し得る放射性同位体の例は、非限定的に、ヨウ素l31、インジウム111、イットリウム90、およびルテチウム177を含む。放射性免疫抱合体を製造する方法は、当分野で確立されている。Zevalin(商標) (DEC Pharmaceuticals)およびBexxar(商標) (Corixa Pharmaceuticals)を含む放射性免疫抱合体の例は、商業的に購入可能であり、類似の方法は、本発明の抗体を用いて放射性免疫抱合体を製造するために使用し得る。
【0149】
本発明の抗体抱合体は、特定の生物学的応答を修飾するために使用し得て、薬剤部分は、古典的な化学治療剤に限定されるものと解釈すべきではない。例えば、薬剤部分は、望む生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。そのようなタンパク質は、例えば、酵素学的に活性な毒素、またはその活性断片、例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、またはジフテリア毒素;タンパク質、例えば、腫瘍壊死因子またはインターフェロン-γ;または生物学的応答修飾剤、例えば、リンフォカイン、インターロイキン-1 (“IL-1”)、インターロイキン-2 (“IL-2”)、インターロイキン-6 (“IL-6”)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(“GM-CSF”)、顆粒球コロニー刺激因子(“G-CSF”)、または他の成長因子を含み得る。
【0150】
そのような治療部分を抗体に結合するための方法は既知であり、例えば、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985)のAmon et al., “Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy”; Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987)の Hellstrom et at., “Antibodies For Drug Delivery”; Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985)のThorpe, “Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review”; Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al. (eds.), pp. 303-16 (Academic Press 1985) の“Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy”、およびThorpe et al., “The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates”, Inmunol. Rev., 62:119-58 (1982)を参照のこと。
【0151】
二重特異性分子
他の局面では、本発明は、本発明の抗IL-13抗体、またはその断片を含む二重特異性分子を特徴とする。本発明の抗体、またはその抗原結合タンパク質は、少なくとも2個の異なる結合部位または標的分子に結合する二重特異性分子を作製するために、他の機能的分子、例えば、他のペプチドまたはタンパク質(例えば、受容体のための他の抗体またはリガンド)に誘導体化されるか、または結合し得る。本発明の抗体は、実際に、2個以上の異なる結合部位および/または標的分子に結合する多特異的分子を作製するために、2個以上の他の機能的分子に誘導体化されるか、または結合し得て;そのような多特異的分子はまた、本明細書で使用する“二重特異性分子”なる用語により包含されることを意図する。本発明の二重特異性分子を作製するために、本発明の抗体は、1個またはそれ以上の他の結合分子、例えば、他の抗体、抗体断片、ペプチドまたはペプチド模倣剤に、機能的に結合し得て(例えば、化学結合、遺伝的融合、非共有結合性会合または他のものにより)、その結果、二重特異性分子が生じる。
【0152】
したがって、本発明は、少なくとも1個のIL-13のための第1結合特異性および第2標的エピトープのための第2結合特異性を含む、二重特異性分子を含む。例えば、第2標的エピトープは、Fc受容体、例えば、ヒトFcγRl (CD64)またはヒトFcα受容体(CD89)である。したがって、本発明は、Fcγ、FcαRまたはFcεR発現エフェクター細胞(例えば、単球、マクロファージまたは多核白血球(PMN))およびIL-13を発現する標的細胞に結合可能な二重特異性分子を含む。これらの二重特異性分子は、エフェクター細胞に対するIL-13発現細胞を標的とし、Fc受容体仲介エフェクター細胞活性化、例えば、IL-13発現細胞のファゴサイトーシス、抗体依存性細胞仲介細胞毒性(ADCC)、サイトカイン放出、またはスーパーオキシドアニオンの産生を誘発する。
【0153】
さらに、二重特異性分子が多特異的である本発明に関して、分子はさらに、抗Fc結合特異性および抗IL-13結合特異性に加えて、第3の結合特異性を含み得る。例えば、第3の結合特異性は、抗増強因子(EF)部分、例えば、細胞毒性活性に関与する表面タンパク質に結合する分子であり得て、それにより、標的細胞に対する免疫応答を増加させる。“抗増強因子部分”は、特定の分子、例えば、抗原または受容体に結合する抗体、機能的抗体またはリガンドであり得て、それにより、Fc受容体または標的細胞抗原のための結合決定基の効果の増強を生じる。
【0154】
“抗増強因子部分”は、Fc受容体または標的細胞抗原に結合し得る。あるいは、抗増強因子部分は、第1および第2結合特異性が結合する部分とは異なる部分に結合し得る。例えば、抗増強因子部分は、細胞毒性T細胞に結合し得る(例えば、CD2、CD3、CD8、CD28、CD4、CD44、ICAM-1により結合するか、または標的細胞に対する増加した免疫応答を生じる他の免疫細胞に結合し得る)。
【0155】
1つの態様では、本発明の二重特異性分子は、結合特異性として、少なくとも1個の抗体、または例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、または一本鎖Fvを含むその抗体断片を含む。抗体はまた、軽鎖または重鎖ダイマー、またはそのあらゆる最小断片、例えば、Ladner et al. 米国特許第4,946,778号に記載されたとおり、Fvもしくは一本鎖構築体であり得て、その内容は、引用により明確に本明細書の一部とする。
【0156】
1つの態様では、Fcγ受容体のための結合特異性は、モノクローナル抗体により提供され、その結合は、ヒト免疫グロブリンG(IgG)により妨害されない。本明細書で使用するとき、“IgG受容体”なる用語は、第1染色体上に位置する8個のγ鎖遺伝子のいずれかのことを言う。これらの遺伝子は、全部で12個の膜貫通または可溶性受容体アイソフォームをコードし、それは、3つのFγ受容体クラスに分類される: FcγRl(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16)。他の態様では、Fγ受容体は、ヒト高親和性FcγRIである。ヒトFcγRIは、単量体IgG(108 -109 M-1)のための高親和性を示す。
【0157】
ある抗Fcγモノクローナル抗体の産生および特徴づけは、Fanger et at.のPCT公開WO 88/00052および米国特許第4,954,617号に記載されており、その教示は、引用により完全に本明細書の一部とする。これらの抗体は、受容体のFcγ結合部位とは異なる部位でFcγRI、FcγRIIまたはFcγRIIIのエピトープに結合し、したがって、それらの結合は、実質的に、IgGの生理学的なレベルにより妨害されない。本発明で有用な特異的抗FcγRI抗体は、mAb22、mAb32、mAb44、mAb62およびmAb197である。mAb32を産生するハイブリドーマは、American Type Culture Collection、ATCC受託番号HB9469から利用可能のである。他の態様では、抗Fcγ受容体抗体は、モノクローナル抗体22(H22)のヒト化形態である。H22抗体の産生および特徴づけは、Graziano, R.F. et al., 1995 J. Immunol 155 (10): 4996-5002およびPCT公開WO 94/10332に記載されている。1122抗体産生細胞株は、HA022CL1の表記で、American Type Culture Collectionに寄託されていて、受託番号CRL11177を有する。
【0158】
また他の態様では、Fc受容体のための結合特異性は、ヒトIgA受容体、例えば、Fcアルファ受容体(FcαRI (CD89))に結合する抗体により提供され、その結合は、ヒト免疫グロブリンA(IgA)により妨害されない。“ヒトIgA受容体”なる用語は、第19染色体上に位置する1個の遺伝子(FcαRI)の遺伝子産物を含むことを意図する。この遺伝子は、55から110 kDaのいくつかの二者択一スプライシング膜貫通アイソフォームをコードすることが既知である。FcαRI (CD89)は、非エフェクター細胞集団ではなく、単球/マクロファージ、好酸球および好中性顆粒球上で構成的に発現する。FcαRIは、IgAlおよびIgA2のための中間の親和性(5 x 107 M-1)を有し、それは、G-CSFまたはGM-CSFのようなサイトカインへの暴露で増加する(Morton, H.C. et al., 1996 Critical Reviews in Immunology 116:423-440)。A3、A59、A62およびA77として同定され、IgAリガンド結合ドメインの外側のFcαRIに結合する、4個のFcαRI特異的モノクローナル抗体を記載している(Monteiro, R.C. et al., 1992 J. Immunol. 148:1764)。
【0159】
FcαRIおよびFcγRIは、それらが、主に、免疫エフェクター細胞、例えば、単球、PMN、マクロファージおよび樹状細胞で発現し; 高レベルで発現し(例えば、細胞あたり5,000-100,000); 細胞毒性活性のメディエーターであり(例えば、ADCC、ファゴサイトーシス);それら自身を標的とする自己抗原を含む抗原の増強された抗原提示を仲介するので、本発明の二重特異性分子における使用のためのトリガー受容体である。
【0160】
本発明の二重特異性分子で使用し得る他の抗体は、マウス、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体である。
【0161】
本発明の二重特異性分子は、当分野で既知の技術を用いて、構成要素結合特異性、例えば、抗FcRおよび抗IL-13結合特異性を結合させることにより製造し得る。例えば、二重特異性分子の各結合特異性は、別々に作製し得て、その後、互いに結合し得る。結合特異性は、タンパク質またはペプチドであるとき、様々なカップリング剤または架橋剤を、共有結合のために使用し得る。架橋剤の例は、プロテインA、カルボジイミド、N-スクシンイミジル-S-アセチル-チオアセテート(SATA)、5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)、o-フェニルエンジマレイミド(oPDM)、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、およびスルホスクシンイミジル 4-(N-マレイミドメチル) シクロヘキサン-l-カルボキシレート(スルホ-SMCC)を含む(例えば、Karpovsky et al., 1984 J. Exp. Med. 160:1686; Liu, MA et al., 1985 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648を参照のこと)。他の方法は、Paulus, 1985 Behring Ins. Mitt. No. 78,118-132; Brennan et al., 1985 Science 229:81-83)、およびGlennie et al., 1987 J. Immunol. 139: 2367-2375)に記載されたものを含む。結合剤は、SATAおよびスルホ-SMCCであり、両方ともPierce Chemical Co. (Rockford, IL)から購入可能である。
【0162】
結合特異性が抗体であるとき、それらは、2個の重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合により結合し得る。特定の態様では、ヒンジ領域は、結合前に、奇数個のスルフヒドリル基質、例えば、1個を含むように修飾し得る。
【0163】
あるいは、両方の結合特異性を同じベクターにコードさせ、同じ宿主細胞に発現させ、集め得る。この方法は、特に、二重特異性分子がmAb x mAb、mAb x Fab、Fab x F(ab')2またはリガンド x Fabであるとき、有用である。本発明の二重特異性分子は、1個の一本鎖抗体および結合決定基を含むか、または2個の結合決定基を含む一本鎖二重特異性分子を含む、一本鎖分子であり得る。二重特異性分子を製造する方法は、例えば、米国特許第5,260,203号; 米国特許第5,455,030号; 米国特許第4,881,175号; 米国特許第5,132,405号; 米国特許第5,091,513号; 米国特許第5,476,786号; 米国特許第5,013,653号; 米国特許第5,258,498号;および米国特許第5,482,858号に記載されている。
【0164】
二重特異性分子のそれらの特定の標的に対する結合は、例えば、酵素免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(REA)、FACS解析、バイオアッセイ(例えば、成長阻害)、またはウエスタンブロットアッセイにより確認し得る。これらのアッセイの各々は、一般には、関心のある複合体に特異的な標識試薬(例えば、抗体)を使用することにより、特に関心のあるタンパク質-抗体複合体の存在を検出する。例えば、FcR-抗体複合体は、例えば、抗体-FcR複合体を認識し、特異的に結合する酵素結合抗体または抗体断片を用いることにより検出し得る。あるいは複合体は、様々な他の免疫アッセイのいずれかを用いて検出し得る。例えば、抗体は、4つの放射性標識を為し得て、ラジオイムノアッセイ(RIA)で使用し得る(例えば、Weintraub; B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986を参照し、それは、引用により本明細書の一部とする)。放射性同位体は、γカウンターまたはシンチレーションカウンターの使用のような手段によるか、またはオートラジオグラフィーにより検出し得る。
【0165】
医薬組成物
他の局面では、本発明は、組成物、例えば、薬学的に許容される担体と共に製剤し得る、モノクローナル抗体、もしくはその抗原結合部分(複数もある)の1個または組み合わせを含む、医薬組成物を提供する。そのような組成物は、本発明の(例えば、2個またはそれ以上の異なる)抗体、もしくは免疫抱合体もしくは二重特異性分子の1個または組み合わせを含み得る。例えば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合するか、または相補活性を有する抗体(もしくは免疫抱合体もしくは二重特異性分子)の組み合わせを含み得る。
【0166】
本発明の医薬組成物はまた、併用療法で、すなわち、他の薬剤と合わせて投与し得る。例えば、併用療法は、少なくとも1個のほかの抗炎症剤と合わせた本発明の抗IL-13抗体を含み得る。併用療法で使用し得る治療剤の例は、本発明の抗体の使用に関する節において、下記でより詳細に記載している。
【0167】
本明細書で使用するとき、“薬学的に許容される担体”は、任意のおよびすべての生理学的に適合する溶剤、分散媒、被覆、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを含む。担体は、静脈内、筋肉内、皮下、非経腸、脊髄または表皮投与(例えば、注射または点滴による)に関して適応させるべきである。投与の経路に依存して、活性化合物、すなわち、抗体、免疫抱合体または二重特異性分子は、酸の作用および化合物を不活性化し得る他の天然状態から化合物を保護するために、物質で覆い得る。
【0168】
本発明の医薬化合物は、1個またはそれ以上の薬学的に許容される塩を含み得る。“薬学的に許容される塩”は、親化合物の望む生物学的活性を保持し、すべての望まない毒性効果を与えない塩のことを言う(例えば、Berge, S.M., et al., 1977 J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照のこと)。そのような塩の例は、酸付加塩および塩基付加塩を含む。酸付加塩は、非毒性無機酸、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などに由来するもの、および非毒性有機酸、例えば、脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などに由来するものを含む。塩基付加塩は、アルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどに由来するもの、および非毒性有機アミン、例えば、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどに由来するものを含む。
【0169】
本発明の医薬組成物はまた、薬学的に許容される抗酸化剤を含み得る。薬学的に許容される抗酸化剤の例は: 水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなど;および金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などを含む。
【0170】
本発明の医薬組成物で使用し得る適当な水性および非水性担体の例は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適当な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、ならびに注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルを含む。適当な流動性は、例えば、レシチンのような被覆材料の使用により、分散の場合での必要とする粒子径の維持により、および界面活性剤の使用により維持し得る。
【0171】
これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤のようなアジュバントを含み得る。微生物の存在の防止は、上記の滅菌手順により、および様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含により保証し得る。それはまた、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物中に含むことを望み得る。さらに、注射用医薬型の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの包含により生じ得る。
【0172】
薬学的に許容される担体は、滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のために、滅菌水溶液または分散液および滅菌粉末を含む。そのような培地および薬学的に活性な物質のための薬剤の使用は、当分野で既知である。活性化合物に適合しない場合を除いて、すべての慣用的な培地または薬剤は、本発明の医薬組成物におけるその使用を意図する。補助的な活性化合物を、また、組成物中に組み込み得る。
【0173】
治療組成物は、主として、製造および貯蔵の状態で滅菌されおよび安定していなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬剤濃度に適した他の秩序ある構造として製剤し得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその適当な混合物を含む溶剤または分散媒であり得る。適当な流動性は、例えば、レシチンのような被覆材料の使用により、分散の場合での必要とする粒子径の維持によりおよび界面活性剤の使用により維持し得る。多くの場合には、組成物中に等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含み得る。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる組成物、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことにより生じ得る。
【0174】
滅菌注射用溶液は、上記に列挙した成分の1個または組み合わせと共に、適当な溶媒中に、必要とされる量で活性化合物を組み込むことにより、製造し得て、所望により、その後、滅菌精密ろ過を行う。一般に、分散剤は、活性化合物を滅菌ビヒクルに組み込むことにより製造し得て、それは、上記に列挙したものからの塩基性分散培地および必要とする他の成分を含む。滅菌注射用溶液の製造のための滅菌粉末の場合には、製造の方法は、以前のその滅菌ろ過溶液からの有効成分の粉末+任意のさらに望む成分を産生する、真空乾燥およびフリーズ・ドライ(凍結乾燥)である。
【0175】
単一用量形を製造するために担体材料と合わせ得る有効成分の量は、処置される対象、および特定の投与形態に依存して変わる。単一用量形を製造するために担体材料と合わせ得る有効成分の量は、一般に、治療的効果を産生する組成物のその量である。一般に、100%から、この量は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、有効成分の約0.01パーセントから約99%、約0.1パーセントから約70パーセント、または有効成分の約1パーセントから約30パーセントの範囲である。
【0176】
投与レジメンは、最適な望む応答(例えば、治療応答)を提供するために調節する。例えば、治療状況の緊急性により示されたとおり、単一ボーラスを投与し得るか、いくつかの分割した用量を時間毎に投与し得るか、または用量を比例的に減少させるか、もしくは増加させ得る。投与の容易さのために用量単位形でおよび均一の用量で、非経腸組成物を製剤することは、とりわけ有利である。本明細書で使用するとき、用量単位形は、処置される対象のための単一用量として適した、物理的に分離した単位のことを言い;各単位は、必要な医薬担体と共に、望む治療効果を生むように計算された前決定された量の活性化合物を含む。本発明の用量単位形の明細書は、活性化合物の独自の特徴および達成される特定の治療効果、ならびに、例えば、個体における過敏症の処置のための活性化合物のような調合の分野での内在する制限により影響を受け、そして直接に依存する。
【0177】
抗体の投与に関しては、用量は、宿主体重の約0.0001から100 mg/kg、およびより通常は、0.01から5 mg/kgの範囲である。例えば、用量は、0.3 mg/kg体重、1 mg/kg体重、3 mg/kg体重、5 mg/kg体重もしくは10 mg/kg体重または1-10 mg/kgの範囲内である。典型的な処置レジメンは、週1回、2週間ごとに1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、月1回、3ヶ月毎に1回または3から6ヶ月毎に1回の投与を必要とする。本発明の抗IL-13抗体のための用量レジメンは、静脈または皮下投与により、1 mg/kg体重または3 mg/kg 体重を含み得て、該抗体は、下記の用量スケジュールの1つを用いて与えられる: 例えば、6回の投与のために4週間毎、次いで、3ヶ月毎;3週間毎; 3 mg/kg 体重後、一度、3週間毎に1 mg/kg 体重が続く。
【0178】
ある方法では、異なる結合特異性を有する2個またはそれ以上のモノクローナル抗体は、同時に投与され、その場合には、投与される各抗体の用量は、示された範囲内にある。抗体は、通常、複数の機会で投与される。単一投与間の間隔は、例えば、週1回、月1回、3ヶ月毎または年1回であり得る。間隔はまた、患者の標的抗原に対する抗体の血中レベルを測定することにより示されたように、不規則であり得る。ある方法では、用量は、約1-1000 μg/mlおよびある方法では、約25-300 μg/mlの血漿抗体濃度を達成するように調節される。
【0179】
あるいは、抗体は、徐放性製剤として投与し得て、その場合には、より少ない頻度の投与が、必要とされる。用量および頻度は、患者での抗体の半減期に依存して変わる。一般に、ヒト抗体は、最も長い半減期を示し、次いで、ヒト化抗体、キメラ抗体、および非ヒト抗体と続く。投与の用量および頻度は、処置が、予防的であるか、または治療的であるかに依存して変わり得る。予防的適用では、相対的に低い用量を、長期間に渡って、比較的低頻度の間隔で投与する。ある患者は、死ぬまで処置を受け続ける。治療的適用では、相対的に短い間隔での相対的に高用量が、ときどき、疾患の進行が、軽減するか、もしくは終結するまで、または患者が、部分的もしくは完全な疾患症状の改善を示すまで必要とされる。その後、患者に、予防的レジメンで投与できる。
【0180】
本発明の医薬組成物における有効成分の実際の用量レベルは、患者に対する毒性なしに、特定の患者、組成物、および投与形態について望む治療応答を達成するのに効果的である有効成分の量を得るために変わり得る。選択した用量レベルは、使用する本発明の特定の組成物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用する特定の化合物の排泄速度、処置の持続、使用する特定の組成物との組合せで使用する、他の薬剤、化合物および/または物質、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、一般の健康および以前の病歴、および医療分野で既知の因子などを含む、様々な薬物動態要因に依存する。
【0181】
本発明の抗IL-13抗体の“治療上有効量”は、疾患症状の重篤度の軽減、疾患無症状期間の頻度および持続の増加、または疾患苦痛による機能障害または身体障害の予防を生じ得る。
【0182】
本発明の組成物は、当業者に既知の1個またはそれ以上の様々な方法を用いて、1個またはそれ以上の投与経路で投与し得る。当業者に理解されているとおり、投与の経路および/または形態は、望む結果に依存して変わる。本発明の抗体のための投与経路は、静脈の、筋肉内の、皮内の、腹腔内の、脊髄のまたは他の非経腸の投与経路、例えば、注射または点滴による投与を含む。本明細書で使用するとき、“非経腸投与”なる句は、腸内および局所投与以外の投与の形態、通常は、注射による投与を意味し、非限定的に、静脈の、筋肉内の、動脈内の、髄腔内の、嚢内の、眼窩内の、心内の、皮内の、腹腔内の、経気管の、皮下の、表皮下の、関節内の、被膜下の、くも膜下の、髄腔内の、硬膜外のおよび線条体内(intrastemal)注射および点滴を含む。
【0183】
あるいは、本発明の抗体は、経腸経路により、例えば、局所の、表皮のまたは粘膜の投与経路、例えば、鼻腔内に、経口的に、経膣的に、直腸内に、舌下でまたは局所に投与し得る。
【0184】
活性化合物は、急速な出に対して化合物を保護する担体と共に製造し得て、例えば、インプラント、経皮貼布、およびマイクロカプセル化送達系を含む放出制御製剤である。生分解性、生体適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル、およびポリ乳酸を使用し得る。そのような製剤の製造のための多くの方法は、特許権を有するか、または一般に、当業者に既知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照のこと。
【0185】
治療組成物は、当分野で既知の医療装置で投与し得る。例えば、1つの態様では、本発明の治療組成物は、無針皮下注射装置、例えば、米国特許第5,399,163号;第5,383,851号; 第5,312,335号; 第5,064,413号; 第4,941,880号; 第4,790,824号または第4,596,556号で示された装置で投与し得る。本発明で使用する既知のインプラントおよびモジュールの例は、制御した速度での投薬のための移植可能な微量注入ポンプを示す、米国特許第4,487,603号; 皮膚を介して薬剤を投与するための治療装置を示す、米国特許第4,486,194号; 正確な注入速度で薬剤を送達するための薬剤注入ポンプを示す、米国特許第4,447,233号; 連続した薬剤送達のための可変流量移植可能注入装置を示す、米国特許第4,447,224号; 多室型コンパートメントを有する浸透圧薬送達系を示す、米国特許第4,439,196号; および浸透圧薬送達系を示す、米国特許第4,475,196号を含む。これらの特許は、引用により本明細書の一部とする。多くの他のそのようなインプラント、送達系、およびモジュールは、当業者に既知である。
【0186】
ある態様では、本発明のヒトモノクローナル抗体は、インビボでの適当な分布を確保するために製剤し得る。例えば、血液脳関門(BBB)は、高親和性化合物を排除する。本発明の治療化合物が、BBB(所望により)を超えることを確保するために、それらを、例えば、リポソームで製剤し得る。リポソームを製造する方法に関しては、米国特許第4,522,811号; 第5,374,548号;および第5,399,331号を参照のこと。リポソームは、選択的に、特定の細胞または器官に送達される1個またはそれ以上の部分を含み得て、したがって、標的化薬剤送達を促進する(例えば、V.V. Ranade, 1989 J. Cline Pharmacol. 29:685を参照のこと)。典型的な標的化部分は、葉酸またはビオチン(例えば、米国特許第 5,416,016 to Low et al.を参照のこと); マンノシド(Umezawa et al., 1988 Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038); 抗体(P.G. Bloeman et al., 1995 FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al., 1995 Antimicrob. Agents Chernother. 39:180); 界面活性剤プロテインA受容体(Briscoe et al., 1995 Am. J. Physiol.1233:134); p120 (Schreier et al., 1994 J. Biol. Chem. 269:9090)を含み; また、K. Keinanen; M.L. Laukkanen, 1994 FEBSLett. 346:123; J.J. Killion; I.J. Fidler, 1994 Imrnunomethods 4:273を参照のこと。
【0187】
本発明の使用および方法
本発明の抗体(および免疫抱合体および二重特異性分子)は、インビトロおよびインビボでの診断的および治療的利用を有する。例えば、これらの分子は、様々な障害の処置、予防また診断のために、培養中の細胞に、例えば、インビトロまたはインビボで、または対象に、例えば、インビボで、投与し得る。本明細書で使用するとき“対象”なる用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことを意図する。非ヒト動物は、あらゆる脊椎動物、例えば、ほ乳類および非ほ乳類、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類、およびは虫類を含む。該方法は、特に、異常なIL-13発現と関連する障害を有するヒト患者を処置するために適当である。IL-13に対する抗体は、他の薬剤と一緒に投与されるとき、該2つの薬剤は、順にまたは同時に投与し得る。
【0188】
1つの態様では、本発明の抗体(および免疫抱合体ならびに二重特異性分子)は、IL-13のレベル、またはIL-13を含む細胞のレベルを検出するために使用し得る。これは、例えば、抗体とIL-13間の複合体の形成を可能にする条件下で、サンプル(例えば、インビトロサンプル)およびコントロールサンプルを、抗IL-13抗体と接触させることにより達成し得る。抗体とIL-13間で形成されるすべての複合体を、サンプルおよびコントロールで、検出および比較する。例えば、当分野で既知の標準的な検出法、例えば、ELISAおよびフローサイトメトリーアッセイは、本発明の組成物を用いて行い得る。
【0189】
したがって、1つの局面では、本発明はさらに、サンプル中のIL-13 (例えば、ヒトIL-13抗原)の存在を検出するか、またはIL-13の量を測定するための方法を提供し、抗体またはその断片およびIL-13間の複合体の形成を可能にする条件下で、サンプル、およびコントロールサンプルを、特異的にIL-13に結合する本発明の抗体、またはその抗原結合部分と接触させることを含む。複合体の形成は、次いで、検出され、ここで、コントロールサンプルと比較したサンプル間の複合体の形成における差異は、サンプル中のIL-13の存在を示す。
【0190】
また、本発明の組成物(例えば、抗体、ヒト抗体、免疫抱合体および二重特異性分子)および使用のための指示からなるキットは、本発明の範囲内にある。キットは、さらに、少なくとも1個の添加剤、または1個もしくはそれ以上の本発明のさらなる抗体(例えば、第1抗体とは異なる標的抗原上のエピトープに結合する相補的活性を有する抗体)を含み得る。キットは、典型的には、キットの内容の意図する使用を示すラベルを含む。ラベルなる用語は、キット上に提供されるか、またはキットと共に提供されるすべての書面、もしくは記録用物質を含むか、または、キットに付属する他のものを含む。
【0191】
本発明は、十分に記載されているが、それは、さらに下記の実施例および請求項で例示され、それは、説明に役立つものであり、さらに限定することを意味しない。当業者は、日常的な実験のみを用いて、本明細書に記載した特異的な手順の多くの同等物を認識するか、または確かめることができるであろう。そのような同等物は、本発明および請求項の範囲内にある。この出願をにわたって引用された、公表された特許および公開された特許出願を含むすべての文献の内容は、引用により本明細書の一部とする。
【実施例】
【0192】
実施例
実施例1: 免疫脾臓ライブラリーからのヒトIL-13特異的抗体の産生
脾臓からのRNAを、米国特許第6,794,132号に記載されたとおり、Fabファージディスプレイベクター中に、無秩序に詰められたH鎖およびL鎖可変ドメインのファージディスプレイライブラリーを産生するために使用した。ファージディスプレイライブラリーは、特許明細書に記載されたとおり、溶液相平衡結合プロトコールで、ビオチン化hrIL-13を用いて、5回の選択を受けた。最初の4回の選択は、10-8 MのhrIL-13を使用し、最後の回の選択は、10-9 MのhrIL-13を使用した。抗原の存在下で回収されたpfu/抗原の非存在下で回収されたpfuを計算することにより決定される最終のシグナル対ノイズは、このライブラリーに関しては、37であり、これは、選択したファージの90%以上が、hrIL-13に結合する抗体を発現したことを示している。次いで、ファージライブラリーを、米国特許第6,794,132号に記載されたとおり、可溶性Fabの発現のためにプラスミドベクター中にサブクローン化する。E. coli中にプラスミドベクターを含むライブラリーを、サブクローン化する(各プラスミドは、モノクローナルFab断片をコードする)。サブクローンライブラリーをプレートし、個々のクローンを表すコロニーを選択し、96ウェルプレートに接種した。一晩増殖後、プレート培養を、96ウェルプレートでのクローンのための凍結細胞バンクを達成し、レプリカ96ウェルプレートに播種するために使用し、モノクローナル抗体の発現を誘導した。次の日、これらの96ウェルプレート培養を、界面活性剤抽出および精製にかけ、マイクログラム量の抗体を回収した。精製した抗体は、エンドトキシンを除去するように処理し、末端を、滅菌ろ過した。ELISAアッセイは、アビジンプレート上にコートしたビオチン化rhIL-13を用いて行い、機能的にポジティブを含むウェルを同定した。抗体の定常領域を標的とするサンドウィッチアッセイは、異なるウェルでの抗体濃度を決定するために使用した。抗体を含む96ウェルプレートおよびアッセイデータを、生物学的活性に関して評価した。96ウェル凍結細胞バンクでの関心のあるクローンを、次いで、独特の抗体を発現する細胞を同定するために配列決定した。その後、これらの独特のクローンの凍結細胞バンクを、小規模振盪フラスコ培養に播種し、一晩増殖させるために使用した。大規模フラスコを、一晩培養を用いて播種し、次いで、抗体を発現するように誘導した。次の日、フラスコ培養を、機械的にホモジナイズし、精製し、ミリグラム量の抗体を生じた。精製したFabは、エンドトキシン除去のために加工し、末端滅菌ろ過を受けた。これらの抗体の機能的活性は、アビジンプレート上にコートしたビオチン化rhIL-13を用いて、ELISAにより証明した。抗体濃度は、280 nmでの吸光度測定により決定した。精製したFabは、細胞に基づくアッセイで、インビトロ結合および活性に関して評価した。
【0193】
実施例2:結合親和性の定量解析:抗ヒトIL-13 Fab候補の決定
抗IL-13 FabといくつかのhrIL-13の相互作用を定量化する表面プラズモン共鳴測定を、最適バイオセンサー、BIAcore 2000を用いて行う。BIAcoreに固定化された各IL-13 FabへのIL-13の特異的結合は、受容体における下記のリガンドの蓄積により測定し得る。顕微的結合(microscopic association) (kon)および解離速度(koff)は、チップ上の大量蓄積速度(mass accumulation rates)から、直接取得し得て、応答単位(RUs)で発現する。抗IL-13 Fabを、二次抗ヒトLκ抗体(Jackson Immunochemicals)により、チップ表面上に固定化する。この捕捉抗体を、製造者のプロトコールで推薦されたとおり、‘アミンカップリングキット’(BIAcore, Cat.No. BR-1000-50)を用いて、共有的に結合させた。250 μlの各種hrIL-13濃度を、20 μl/分の流速で注入し、動態トレースを記録した。チップ表面は、100 mM HClを用いた2回の酸洗浄工程で再生し、20 μl/分の流速で10 μlを注入した。この処理は、可逆的酸変性によるFab IL-13複合体の解離を生じた。抗体を、次のランのために再注入したとき、結合活性の重大な欠損は、観察されなかった。動態トレースは、1:1 Langmuir結合モデルを適用するBIAcoreソフトウェアで評価した。
【0194】
ヒトIL-13に関する要約した親和性データを、本明細書の表1に示す。
表1
【表1】

【0195】
実施例3:IgGフォーマットへの変換
抗体DNA配列決定鋳型は、QIAprepミニプレップ(Qiagen Inc.)を用いて、3 mlの培養から精製した。鋳型は、Applied Biosystems 3100 Avant Genetic Analyzerを用いて、製造者の指示に従い、配列決定した。選択したクローンの重鎖およびカッパ鎖可変領域は、別々に、配列決定鋳型からPCRにより増幅し、アガロースゲル電気泳動により精製し、そしてゲルから切り出し精製した。VHおよびVLをコードするプラスミドを、ヒトカッパ軽鎖およびヒトIgG1重鎖に関して、発現カセットにクローン化した。Sp2/0親細胞株を、2個のベクターでトランスフェクトした(軽鎖ベクターに関して1個、重鎖ベクターに関して1個)。トランスフェクト細胞は、それぞれ、G418およびメトトレキサートを用いて選択および増幅し、耐性の出現を生じ、増幅した細胞プールは、5mg/Lから30mg/Lの範囲の力価を有する抗体を産生する。次いで、希釈クローニングを使用し、6個の96ウェルプレートから127個の生存クローンの単離を生じる。生じた細胞株を、次いで、fed-batchシェーカーフォーマットで、生産性に関して試験した。発現コンストラクトの安定した統合および強固な生成物の発現を確認するための安定性試験を、また、90日の間行った。ノーザンブロットは、等しいバンド強度を有する単一完全長RNAを示し、これは、重鎖および軽鎖の両方に関して、類似した発現レベルを示す。
【0196】
実施例4:細胞に基づくアッセイでの抗IL-13完全抗体のインビトロ特徴付け
IL-13は、ヒト肺繊維芽細胞からのエオタキシン放出の有力なインデューサーである。IL-13の生物活性を中和する抗体の能力を、ヒト肺繊維芽細胞を用いて、IL-13誘導エオタキシン放出アッセイで評価した。簡潔には、細胞を、96ウェル組織培養プレートの各ウェルにプレートした(100μlの容量で、ウェルあたり2 x 104細胞)。細胞を、最大エオタキシン放出の80%を与えるIL-13の濃度で刺激し、0-100ng/ml IL-13の標準曲線を用いて、細胞の各バッチに関して前決定した。抗体の各種濃度を、細胞に共適用した。細胞を、24時間、37℃、5% CO2でインキュベートできるようにし、培養培地を収集し、必要とされるまで-20℃で保存した。培地中のエオタキシンレベルを、特異的ELISA (R&D systems)により測定し、そこでは、アッセイの感度は、15-1000 pg/mlの間であった。
【0197】
抗IL-13 Fabは、それにより、上記に記載したとおりEC50に関して解析し、表2に示した。
表2
【表2】

【0198】
実施例5:抗IL-13抗体の配列解析
すべての抗体の重鎖および軽鎖可変領域(VHおよびVL)のヌクレオチド配列を決定した。相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列は、本明細書の表3および4に記載する。Kabat定義(E. Kabat et al, 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th edition, Public Health Service, National Institute of Health, Bethesda, MD)に従うCDRは、表3aおよび4aに記載する。
【0199】
表3
【表3】

【0200】
表3a
【表4】

【0201】
表4
【表5】

【0202】
表4a
【表6】

【0203】
フレームワーク領域を含む上記の表の抗体の配列を下記に示す。全IgG1抗体軽鎖および重鎖定常領域を、また、例として、抗体01951/G12の可変領域(太字表記)を組み込んで下記に示す。
【0204】
01471/G6抗体配列
(i) HC可変領域
01471/G6のためのHC可変アミノ酸配列は、配列番号23で示し、配列番号24に示されたヌクレオチド配列によりコードされる。
【表7】

【0205】
(ii) LC可変領域
01471/G6のためのLC可変アミノ酸配列は、配列番号25で示し、配列番号26に示されたヌクレオチド配列によりコードされる。
【表8】

【0206】
03161/H2抗体
(i) HC可変領域
03161/H2のためのHC可変アミノ酸配列は、配列番号27で示し、配列番号28に示されたヌクレオチド配列によりコードされる。
【表9】

【0207】
(ii) LC可変領域
03161/H2のためのLC可変アミノ酸配列は、配列番号29で示し、配列番号30に示されたヌクレオチド配列によりコードされる。
【表10】

【0208】
01951/G12抗体配列
(i) HC可変領域
01951/G12のためのHC可変アミノ酸配列は、配列番号31で示し、配列番号32に示されたヌクレオチド配列によりコードされる。
【表11】

【0209】
(ii) LC可変領域
01951/G12のためのLC可変アミノ酸配列は、配列番号33で示し、配列番号34に示されたヌクレオチド配列によりコードされる。
【表12】

【0210】
01771/E10抗体配列
(i) HC可変領域
01771/E10のためのHC可変アミノ酸配列は、配列番号35で示し、配列番号36に示されたヌクレオチド配列によりコードされる。
【表13】

【0211】
(ii) LC可変領域
01771/E10のためのLC可変アミノ酸配列は、配列番号37で示し、配列番号38に示されたヌクレオチド配列によりコードされる。
【表14】

【0212】
抗体の可変領域(太字)を組み込む完全抗体IgG1軽鎖配列01951/G12
LCアミノ酸配列は、配列番号39で示し、配列番号40のヌクレオチド配列によりコードされる。
【表15】

【0213】
抗体の可変領域(太字)を組み込む完全抗体IgG1重鎖配列01951/G12
HCアミノ酸配列は、配列番号41で示し、配列番号42のヌクレオチド配列によりコードされる。
【表16】

【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号9および配列番号10から選択されるアミノ酸配列に記載したH-CDR3領域を含む、抗体またはその機能的断片の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項2】
配列番号8のアミノ酸配列に記載したH-CDR2領域を含む、抗体またはその機能的断片の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項3】
配列番号6および配列番号7から選択されるアミノ酸配列に記載したH-CDR1領域を含む、抗体またはその機能的断片の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項4】
さらに、配列番号9および配列番号10から選択されるアミノ酸配列に記載したH-CDR3領域を含む、請求項2または3に記載の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項5】
さらに、配列番号8のアミノ酸配列に記載したH-CDR2領域を含む、請求項1または3に記載の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項6】
さらに、配列番号6および配列番号7から選択されるアミノ酸配列に記載したH-CDR1領域を含む、請求項1または2に記載の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項7】
配列番号6および配列番号7から選択されるアミノ酸配列に記載したH-CDR1領域、配列番号8のアミノ酸配列に記載したH-CDR2領域および配列番号9および配列番号12から選択されるアミノ酸配列に記載したH-CDR3領域を含む、抗体またはその機能的断片の単離した抗原結合領域、ならびにその保存的変異型。
【請求項8】
一緒に、アミノ酸配列に記載したH-CDR1、H-CDR2およびH-CDR3領域が、(i)−(ii):
(i)配列番号6、配列番号8および配列番号9;ならびに
(ii)配列番号7、配列番号8および配列番号10
から選択される、請求項7に記載した単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項9】
さらに、配列番号20-22の群から選択されるアミノ酸配列に記載したL-CDR3領域を含む、請求項1-8のいずれか1項に記載の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項10】
さらに、配列番号19のアミノ酸配列に記載したL-CDR2領域を含む、請求項1-9のいずれか1項に記載の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項11】
さらに、配列番号16-18の集団から選択されるアミノ酸配列に記載したL-CDR1領域を含む、請求項1-10のいずれか1項に記載の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項12】
一緒に、アミノ酸配列に記載したL-CDR1、L-CDR2およびL-CDR3領域が、(i)−(iii):
(i)配列番号16;配列番号19;および配列番号20;
(ii)配列番号17;配列番号19;および配列番号21;ならびに
(iii)配列番号18;配列番号19;および配列番号22
から選択される、請求項1-11のいずれか1項に記載の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項13】
一緒に、アミノ酸配列に記載したH-CDR1、H-CDR2およびH-CDR3ならびにL-CDR1、L-CDR2およびL-CDR3領域が、(i)−(iii):
(i)配列番号6、配列番号8、配列番号9、および配列番号16、配列番号19、配列番号20;
(ii)配列番号7、配列番号8、配列番号10、および配列番号17、配列番号19、配列番号21;ならびに
(iii)配列番号7、配列番号8、配列番号10、および配列番号18、配列番号19、配列番号22
から選択される、請求項1-12のいずれか1項に記載の単離した抗原結合領域、およびその保存的変異型。
【請求項14】
請求項1-13のいずれか1項に記載したCDR領域と、CDR領域において少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列を含む、単離した抗原結合領域。
【請求項15】
請求項1-14のいずれか1項に記載の単離した抗原結合領域を含む、単離したヒトまたはヒト化IL13抗体。
【請求項16】
配列番号23、27、31および35のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するHCドメイン、またはその少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列を含んだ少なくとも1個の抗原結合部位を含む、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
配列番号25、29、33および37のいずれか1つから選択されるアミノ酸配列を有するLCドメイン、またはその少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列を含んだ少なくとも1個の抗原結合部位を含む、請求項15または請求項16に記載の抗体。
【請求項18】
請求項16のアミノ酸配列から選択される第1HCドメインおよび請求項17のアミノ酸配列から選択される第2LCドメイン、またはその少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列を含んだ少なくとも1個の抗原結合部位を含む、抗体。
【請求項19】
配列番号23に記載のHC可変領域および配列番号25に記載のLC可変領域、またはその少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項15-18のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項20】
配列番号27に記載のHC可変領域および配列番号29に記載のLC可変領域、またはその少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項15-18のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項21】
配列番号31に記載のHC可変領域および配列番号33に記載のLC可変領域、またはその少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項15-18のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項22】
配列番号35に記載のHC可変領域および配列番号37に記載のLC可変領域、またはその少なくとも60、70、80、90または95%の配列同一性を有する配列を含む、請求項15-18のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項23】
IgG1またはIgG4である、請求項15-22のいずれか1項に記載の抗体。
【請求項24】
請求項15-23のいずれか1項に記載の抗体またはその断片およびその薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項25】
細胞受容体標的IL-13の存在と関連する障害または状態を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の請求項24に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項26】
障害または状態が、喘息である、請求項25に記載の方法。

【公表番号】特表2009−512656(P2009−512656A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535972(P2008−535972)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010098
【国際公開番号】WO2007/045477
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】