説明

IP端末装置

【課題】 ENUMサーバに登録されたIP端末装置のNAPTRレコードを利用して、発信側と着信側の各IP端末装置の通信機能を照合し、発信側のIP端末装置に選択可能な通信機能を明示すること。
【解決手段】 CPU201は、他のIP端末102への発呼に際して、IPネットワーク制御部210を制御してENUMサーバ103から発呼先IP端末のNAPTRレコードを取得する取得処理と、このNAPTRレコードに設定された発呼先IP端末102の通信機能に基づいて、自装置の通信機能に対応する通信機能が設定されているか否かを判別する判別処理と、発呼先IP端末102に設定されていると判別した1つ又は複数の通信機能を表示部206に表示する表示処理と、を実行する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP端末装置に関し、特に、ENUMサーバを利用するIP端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの急速な普及に伴い、遠隔地の電話装置と低料金での通話や登録会員同士のIP電話装置間で無料通話が可能なIP電話システムが注目されている。また、インターネットを利用したサービスやインターネット上のリソースと電話番号を結びつけるプロトコルとして、IETF(Internet Engineering Task Force )やITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)などで検討が進められているRFC2916(非特許文献1)で規定される「ENUM(tElephone Number Mapping)」プロトコルがある。
【0003】
この「ENUM」プロトコルは、ITU−Tで定められたE.164の体系に合うよう変換された電話番号を元に、DNS(Domain Name System)の仕組みを利用してそれをIPアドレス、もしくはURI(Uniform Resource Identifier )を検索できるようにするものである。
【0004】
また、ENUMプロトコルに対応するIP端末装置では、IP電話機能だけではなく、ファクシミリ機能やメール機能等の複数の通信機能を搭載し、更に、プリンタやスキャナ等の機能を搭載した、複合機と呼ばれるものも提供されている。
【非特許文献1】ENUMトライアルジャパン発行「ENUMトライアルジャパン第一次報告書」、2004年5月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複合機と呼ばれるIP端末装置では、複合機同士で通信を行う場合に以下のような問題があった。
【0006】
複合機同士が通信を行う場合は、IP電話機能、ファクシミリ機能及びメール機能を任意に選択して通信することが可能であるが、双方のIP端末装置が全ての通信機能を搭載しているとは限らない。このため、送信側の複合機のユーザが、受信側の複合機が搭載していない通信機能を選択してしまうと通信不可能となり、選択可能な受信側の複合機の通信機能を判別するまでに手間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ENUMサーバに登録されたIP端末装置のNAPTRレコードを利用して、発信側と着信側の各IP端末装置の通信機能を照合し、発信側のIP端末装置に選択可能な通信機能を明示するIP端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ENUMサーバとIPネットワークを介して接続されるIP端末装置であって、各種通信機能に対応する複数の通信制御プログラムを記憶する記憶手段と、発呼に際して、前記ENUMサーバから発呼先IP端末装置の端末情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した端末情報に基づいて、自装置の通信機能に対応する通信機能が前記発呼先IP端末装置に設定されているか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記発呼先IP端末装置に設定されていると判別した1つ又は複数の通信機能を表示する表示手段と、前記表示手段に表示した通信機能に対応する操作が行われると、該通信機能に対応する前記通信制御プログラムに基づいて前記発呼先IP端末装置との間の通信を制御する通信制御手段と、を具備する構成を採る。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るIP端末装置によれば、発呼元IP端末装置のユーザは、発呼先IP端末装置の通信機能を調べる手間を省略することができ、誤った通信機能を選択するといった事態を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の第1の態様に係るIP端末装置は、ENUMサーバとIPネットワークを介して接続されるIP端末装置であって、各種通信機能に対応する複数の通信制御プログラムを記憶する記憶手段と、発呼に際して、前記ENUMサーバから発呼先IP端末装置の端末情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した端末情報に基づいて、自装置の通信機能に対応する通信機能が前記発呼先IP端末装置に設定されているか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記発呼先IP端末装置に設定されていると判別した1つ又は複数の通信機能を表示する表示手段と、前記表示手段に表示した通信機能に対応する操作が行われると、該通信機能に対応する前記通信制御プログラムに基づいて前記発呼先IP端末装置との間の通信を制御する通信制御手段と、を具備する構成を採る。
【0011】
この構成によれば、発呼元IP端末装置のユーザは、発呼先IP端末装置の通信機能を調べる手間を省略することができ、誤った通信機能を選択するといった事態を防止することができる。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様に係るIP端末装置において、前記判別手段は、前記発呼先IP端末装置に設定されていると判別した1つ又は複数の通信機能毎に有効であることを示す有効情報を前記記憶手段に記憶し、前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された有効情報に基づいて、1つ又は複数の通信機能を表示する構成を採る。
【0013】
この構成によれば、発呼元IP端末装置において、発呼元IP端末装置と発呼先IP端末装置の双方に設定されている通信機能の表示制御を容易にすることができ、その表示制御負担を軽減することができる。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1の態様に係るIP端末装置において、前記通信制御手段は、前記表示手段に表示した複数の通信機能から第1の通信機能に対応する操作が行われると、当該第1の通信機能に対応する前記通信制御プログラムに基づいて前記発呼先IP端末装置との間の第1の通信を制御し、続いて、前記複数の通信機能から第2の通信機能に対応する操作が行われると、当該第2の通信機能に対応する前記通信制御プログラムに基づいて前記発呼先IP端末装置との間の第2の通信を制御する構成を採る。
【0015】
この構成によれば、発呼元IP端末のユーザは、第1の通信から第2の通信に容易に移行することができ、第1の通信から第2の通信に移行する際の手間を軽減することができる。
【0016】
本発明の第4の態様は、第2の態様に係るIP端末装置において、前記判別手段は、前記通信機能毎の有効情報を前記取得手段により取得した前記発呼先IP端末装置の端末情報と対応付けて前記記憶手段に保存する構成を採る。
【0017】
この構成によれば、同一の発呼先IP端末装置に再度発呼する際に、保存した有効情報に基づいて直ちに通信機能を表示することができ、ENUMサーバから端末情報を取得する処理を再度実行することを省略することも可能である。
【0018】
本発明の第5の態様は、第2の態様に係るIP端末装置において、前記判別手段は、前記表示手段に表示した通信機能が実行された後、前記記憶手段に記憶した端末情報と有効情報を削除する構成を採る。
【0019】
この構成によれば、記憶手段の記憶領域を端末情報と有効情報によって占有することなく、有効に利用することが可能になる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態1のIP電話システムの全体構成を示す図である。図1において、IP通信システム100は、IP端末装置(以下、IP端末という)101,102と、ENUMサーバ103と、DNSサーバ104と、WEBサーバ105がIP網106を介して相互に接続されている。
【0022】
IP端末101(102)は、IP電話機能、ファクシミリ機能及びメール機能等の複数の通信機能と、プリンタやスキャナ等の機能を搭載した複合機である。IP端末101(102)は、IP電話機能によりIP網106を介して他のIP電話との間で音声通話を行い、ファクシミリ機能及びメール機能によりIP網106を介して他の複合機との間でファクシミリ通信やメール通信を行う。
【0023】
ENUM(tElephone Number Mapping)サーバ103は、NAPTR(The Naming Authority Pointer)リソースレコード(以下、NAPTRレコードという)を登録するデータベースを備える。ENUMサーバ103は、IP端末101(102)の問い合わせに応じて、データベースに登録されたNAPTRレコードをIP端末101(102)に返送する。
【0024】
DNS(Domain Name System)サーバ104は、NAPTRレコードに指定されるURI(Uniform Resource Identifier )とIPアドレスとが対応付けて登録されるデータベースを備える。DNSサーバ104は、IP端末101(102)の問い合わせに応じて、データベースに登録されたIPアドレスをIP電話101(102)に返送する。
【0025】
WEBサーバ105は、HTML(HyperText Markup Language )文書や画像などの情報を蓄積しておき、WEBブラウザなどのクライアントソフトウェアの要求に応じて、IP網106を通じて、これらの情報をIP端末101(102)に送信する。
【0026】
図2は、本実施の形態のIP端末101の構成を示すブロック図である。図2において、IP端末101は、CPU201、ハンドセット202、キー入力部203、RAM204、FROM205、表示部206、読取部207、記録部208、IPネットワーク制御部210及びPSTN制御部211が接続された外部I/F選択部209がバス212を介して相互に接続されて構成されている。なお、IP端末102もIP端末101と同様の構成を有する。
【0027】
CPU(Central Processing Unit )201は、FROM205に記憶されたIP電話制御プログラム、ファクシミリ通信制御プログラム、メール制御プログラムに基づいて、IP網106を介して他のIP端末との間で、IP電話、ファクシミリ通信、メール通信を行う際に必要となる全ての動作を制御する。従って、CPU201は、SIP(Session Initiation Protocol )やH.323に代表される呼制御プロトコルに従って、宛先IP端末との間の呼制御を実行する。また、CPU201は、表示部206、外部I/F選択部209、IPネットワーク制御部210及びPSTN制御部211に必要な指示を与える。
【0028】
また、CPU201は、他のIP端末102への発呼に際して、IPネットワーク制御部210を制御してENUMサーバ103から発呼先IP端末102のNAPTRレコードを取得する取得処理と、このNAPTRレコードに設定された発呼先IP端末102の通信機能に基づいて、自装置の通信機能に対応する通信機能が設定されているか否かを判別する判別処理と、設定されていると判別した1つ又は複数の通信機能を表示部206に表示する表示処理と、を実行する機能を有する。
【0029】
また、CPU201は、設定されていると判別した1つ又は複数の通信機能毎に発呼先IP端末に対して有効であることを示すフラグ情報(有効情報)を取得したNAPTRレコードと対応付けてRAM204に記憶する。なお、CPU201は、取得手段、判別手段及び通信制御手段として機能する。
【0030】
ハンドセット202は、ユーザによるオフフック操作又はオンフック操作に応じてオフフック信号又はオンフック信号をCPU201に出力する。また、ハンドセット202は、マイクとスピーカを備え、宛先IP端末との間の通話開始時にユーザの送話音声をマイクにより送話音声信号に変換してCPU201に出力するとともに、CPU201から入力される受話音声信号をスピーカにより受話音声として出力する。
【0031】
キー入力部203は、テンキーや各種ファンクションキー等を備え、ユーザによる発呼先IP端末のダイヤル操作や通信機能の選択操作等に用いられる。
【0032】
RAM(Random Access Memory)204は、CPU201がプログラムを実行する際のワークメモリとして利用される。また、RAM204は、CPU201の上記抽出処理により抽出した1つ又は複数の通信機能毎に発呼先IP端末に対して有効であることを示すフラグ情報(有効情報)を記憶する。
【0033】
FROM(Flash Read Only Memory)205は、IP電話制御プログラム、ファクシミリ通信制御プログラム、メール制御プログラム等を記憶する。なお、RAM204及びFROM205は、記憶手段として機能する。
【0034】
表示部206は、液晶パネル等により構成され、IP端末101の現在のステータスを表示するとともに、CPU201から入力された電話番号、発呼先IP端末に対して選択可能な通信機能等を表示する。なお、表示部206は、表示手段として機能する。
【0035】
読取部207は、原稿読取台(図示せず)にセットされた原稿の画像を読み取り、その読取画像をデジタル画像データに変換してCPU201に送出する。記録部208は、CPU201から入力されるデジタル画像データを記録可能な形態に展開して、記録用紙に記録する。
【0036】
外部I/F選択部209は、ユーザにより選択される通信機能(IP電話、ファクシミリ、メール)によりCPU201から入力される通信機能選択指示に応じて、IPネットワーク制御部210とPSTN制御部211を適宜選択する。また、外部I/F選択部209は、CPU201から入力される送信データをIPネットワーク制御部210又はPSTN制御部211に出力し、IPネットワーク制御部210又はPSTN制御部211から入力される受信信号をCPU201に出力する。
【0037】
IPネットワーク制御部210は、IP端末101が接続されるIP網106とのインターフェース機能と、CPU201の制御によりIP網106を介して他のIP端末との間のIP電話を制御するIP電話制御機能と、CPU201の制御によりIP網106を介して他のIP端末との間のファクシミリ通信を制御するファクシミリ制御機能と、CPU201の制御によりIP網106を介してWEBサーバ105にアクセスする機能を有する。
【0038】
また、IPネットワーク制御部210は、ファクシミリ通信に際して、CPU201から入力されるデジタル画像データをIP網106を介して他のIP端末に送信し、他のIP端末からIP網106を介してデジタル画像データを受信してCPU201に送出する。
【0039】
また、IPネットワーク制御部210は、キー入力部203によるダイヤル入力に応じた発呼に際して、CPU201の制御によりENUMサーバ103から発呼先IP端末のNAPTRレコードを取得する上記取得処理を実行する。
【0040】
PSTN(Public Switched Telephone Networks)制御部211は、IP端末101が接続されるPSTN網(図示せず)とのインターフェース機能と、CPU201の制御により他のPSTN通信端末との間の通信を制御する通信制御機能を有する。
【0041】
次に、図1のIP通信システム100において、IP端末101からIP端末102に発呼してIP電話を開始後に、続いて、IP端末102に対してファクシミリ通信を実行するまでの動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0042】
なお、図4の動作を説明する前提として、ENUMサーバ103内のデータベースには、図3に示すIP端末102のNAPTRレコードが登録済みであるものとする。
【0043】
同図において、IP端末102の電話番号「05012345678」から得られるドメイン名「8.7.6.5.4.3.2.1.5.1.8.e164.arpa」に対してURI「“!^.*$!sip:info@sip.dddd.com”“太郎電話”」と、「“!^.*$!mailto:mail@jp.dddd.com”“メール”」と、「“!^.*$!mailto:ifax@jp.dddd.com”“FAX”」が対応付けられている。
【0044】
1番目のURIのServiceフィールドにはsipプロトコルに対応可能であることを示す「E2U+sip」が記述されている。2番目のURIのServiceフィールドにはメールに対応可能であることを示す「E2U+message:mailto」が記述されている。また、3番目のURIのServiceフィールドにはファクシミリに対応可能であることを示す「E2U+ifax」が記述されている。
【0045】
したがって、本実施の形態のIP端末102では、IP網106を介したIP電話機能、メール機能及びファクシミリ通信機能が選択可能であるものとする。
【0046】
図4において、IP端末101のユーザが、キー入力部203からIP端末102の電話番号がダイヤル入力されると(ステップS401)、CPU201は、そのIP端末102のNAPTRレコードをENUMサーバ103から取得する取得処理を実行する(ステップS402)。
【0047】
この取得処理において、CPU201は、IP通信機能選択指示信号を外部I/F選択部209に出力してIPネットワーク制御部210を選択させる。次いで、CPU201は、IP端末102の電話番号を設定した「NAPTR問い合わせ」メッセージを外部I/F選択部209を介してIPネットワーク制御部210からENUMサーバ103に送出させる。
【0048】
ENUMサーバ103は、IP端末101から「NAPTR問い合わせ」メッセージを受け付けると、その「NAPTR問い合わせ」メッセージに設定された電話番号を参照してデータベースから該当するNAPTRレコードを読み出す。この場合、該当するNAPTRレコードは、図3に示したものである。ENUMサーバ103は、読み出したNAPTRレコードを設定した「NAPTR応答」メッセージをIP端末101に返送する。
【0049】
IP端末101は、ENUMサーバ103から送出された「NAPTR応答」メッセージをIPネットワーク制御部210により受け付ける。IPネットワーク制御部210は、「NAPTR応答」メッセージを外部I/F選択部209を介してCPU201に転送する。CPU201は、IPネットワーク制御部210から「NAPTR応答」メッセージを受け付けると、その「NAPTR応答」メッセージに設定されたNAPTRレコードを取得してRAM204に記憶する。
【0050】
そして、CPU201は、NAPTRレコードに設定された図3に示したURIスキームに基づいて、IP端末102の通信機能と自装置の通信機能を比較して、IP端末102に対して有効な通信機能を抽出する抽出処理として、図4のステップS403〜ステップS408を実行する。
【0051】
CPU201は、取得したNAPTRレコードのURIスキームに基づいて、自装置のファクシミリ通信機能に対応して、IP端末102にファクシミリ通信機能が有るか否かを判別する(ステップS403)。この場合、図3に示したNAPTRレコードのURIスキームには、「“!^.*$!mailto:ifax@jp.dddd.com”“FAX”」が登録されており、ファクシミリ通信機能に対応している。このため、CPU201は、IP端末102にはファクシミリ通信機能が有ると判別し(ステップS403:YES)、ファクシミリ通信機能が有効であることを示すフラグ情報として「FAX表示ON」情報を、上記NAPTRレコード対応付けてRAM204に記憶する(ステップS404)。
【0052】
また、CPU201は、IP端末102にはファクシミリ通信機能が無いと判別した場合(ステップS403:NO)、又は、上記ファクシミリ通信機能のフラグ情報を設定した後は、ステップS405に移行する。
【0053】
次に、CPU201は、取得したNAPTRレコードのURIスキームに基づいて、自装置のメール機能に対応して、IP端末102にメール機能が有るか否かを判別する(ステップS405)。この場合、図3に示したNAPTRレコードのURIスキームには、「“!^.*$!mailto:mail@jp.dddd.com”“メール”」が登録されており、メール機能に対応している。このため、CPU201は、IP端末102にはメール機能が有ると判別し(ステップS405:YES)、メール機能が有効であることを示すフラグ情報として「メール表示ON」情報を、上記NAPTRレコード対応付けてRAM204に記憶する(ステップS406)。
【0054】
また、CPU201は、IP端末102にはメール機能が無いと判別した場合(ステップS405:NO)、又は、上記メール機能のフラグ情報を設定した後は、ステップS407に移行する。
【0055】
次に、CPU201は、取得したNAPTRレコードのURIスキームに基づいて、IP端末102にIP電話機能が有るか否かを判別する(ステップS407)。この場合、図3に示したNAPTRレコードのURIスキームには、「“!^.*$!sip:info@sip.dddd.com”“太郎電話”」が登録されており、IP電話機能に対応している。このため、CPU201は、IP端末102にはIP電話機能が有ると判別し(ステップS407:YES)、IP電話機能が有効であることを示すフラグ情報として「IP電話表示ON」情報を、上記NAPTRレコード対応付けてRAM204に記憶する(ステップS408)。
【0056】
また、CPU201は、IP端末102にはIP電話機能が無いと判別した場合(ステップS407:NO)、又は、上記IP電話機能のフラグ情報を設定した後は、ステップS409に移行する。
【0057】
次に、CPU201は、RAM204に記憶したフラグ情報「FAX表示ON」、「メール表示ON」及び「IP電話表示ON」に基づいて、各通信機能の有効機能表示を表示部206に行う。この有効機能表示の一例を図5に示す。この有効機能表示により、IP端末101のユーザは、IP端末101に対応する発呼先IP端末102の有効な通信機能を知ることができる。
【0058】
なお、図5の表示例では、IP端末102の電話番号「05012345678」を表示した場合を示しており、IP電話による発呼が可能であることを示している。この場合、IP端末101のユーザは、キー入力部203のスタートボタン(図示せず)を押下することにより、IP端末102に対してIP電話発信が可能になる。
【0059】
次に、IP端末101のユーザによりキー入力部203のスタートボタンが押下されると、キー入力部203は、発呼指示信号をCPU201に出力する。CPU201は、キー入力部203から発呼指示信号が入力されると、FROM205に記憶されたIP電話制御プログラムに基づいて、IP端末102に対するIP電話としての発信処理を行う(ステップS410)。
【0060】
この場合、CPU201は、IP電話制御プログラムに基づいてIPネットワーク制御部210を制御し、ステップS402において取得したNAPTRレコードを参照して、IP端末102との間でSIPプロトコルに基づく呼接続手順及び通話開始手順を実行し、IP端末102との間の通話を可能にする。
【0061】
次に、IP端末101のユーザにより読取部207の原稿読取台に原稿がセットされると(ステップS411)、読取部207は、原稿セット信号をCPU201に出力する。CPU201は、読取部207から出力された原稿セット信号により、ファクシミリ通信機能を選択状態とし、表示部206の「FAX」枠を選択状態として表示する(ステップS412)。図6に「FAX」枠を選択状態(グレー表示)とした表示例を示す。この場合、IP端末101のユーザに対するメッセージとして「送信する場合はスタートボタンを押してください。」を表示している。
【0062】
そして、IP端末101のユーザによりキー入力部203のスタートボタンが押下されると(ステップS413)、キー入力部203は、読取開始信号をCPU201に出力する。CPU201は、キー入力部203から読取開始信号が入力されると、読取部207に読取開始信号を出力して、原稿読取走査を開始させる(ステップS414)。
【0063】
読取部207は、CPU201から読取開始信号が入力されると、原稿読取台にセットされた原稿を走査して原稿画像を読み取り、その原稿画像をデジタル画像データに変換してCPU201に出力する。CPU201は、読取部207から入力されるデジタル画像データをRAM204に蓄積した後、ステップS402において取得したNAPTRレコードからIP端末102のFAX送信情報を取得する(ステップS415)。
【0064】
次に、CPU201は、FROM205に記憶されたファクシミリ通信制御プログラムに基づいてIPネットワーク制御部210を制御し、RAM204に蓄積したデジタル画像データをIP端末102に送信する処理を実行して(ステップS416)、本処理を終了する。
【0065】
以上のように、本実施の形態のIP電話システムのIP端末では、他のIP端末への発呼に際して、ENUMサーバから当該発呼先IP端末のNAPTRレコードを取得し、このNAPTRレコードに設定されたURIスキームに基づいて、自装置の通信機能に対応する通信機能が発呼先IP端末に設定されているか否かを判別する。そして、IP端末は、発呼先IP端末装置に設定されていると判別した1つ又は複数の通信機能を表示部に表示し、表示した通信機能に対応する操作が行われると、該通信機能に対応するFROMに記憶した通信制御プログラムに基づいて発呼先IP端末装置との間の通信制御を開始する。
【0066】
したがって、発呼元IP端末と発呼先IP端末の双方がIP電話、ファクシミリ通信、メール通信等の複数の通信機能に対応する端末である場合、発呼元IP端末のユーザは、表示部に表示される通信機能により、自装置の通信機能に対応する発呼先IP端末の通信機能を確実に選択することができる。
【0067】
その結果、発呼元IP端末のユーザは、発呼先IP端末の通信機能を調べる手間を省略することができ、誤った通信機能を選択するといった事態を防止することができる。
【0068】
また、本実施の形態のIP電話システムのIP端末では、自装置の通信機能に対応する通信機能が発呼先IP端末に設定されていることを示すフラグ情報を、取得したNAPTRレコードと対応付けてRAMに記憶し、このフラグ情報に基づいて発呼先IP端末装置に設定されている1つ又は複数の通信機能を表示部に表示する。
【0069】
したがって、発呼元IP端末において、発呼元IP端末と発呼先IP端末の双方で設定されている通信機能の表示制御を容易にすることができ、その表示制御負担を軽減することができる。
【0070】
また、本実施の形態のIP電話システムのIP端末では、IP電話として発呼処理を実行した後、続けて読取部に原稿がセットされると、直ちにファクシミリ通信機能を選択状態にして、送信ボタンの押下によりファクシミリ通信を可能にした。
【0071】
したがって、発呼元IP端末のユーザは、IP電話発信(第1の通信機能)からファクシミリ通信(第2の通信機能)に容易に移行することができ、IP電話からファクシミリ通信に移行する際の手間を軽減することができる。
【0072】
なお、上記実施の形態のIP端末では、発呼に際して、ENUMサーバから取得したNAPTRレコードと、このNAPTRレコードに基づいて判別した発呼先IP端末の通信機能を示すフラグ情報をRAMに記憶するようにしたが、これらのNAPTRレコードとフラグ情報を発呼先IP端末との間の通信処理終了後に削除するようにしても良い。この場合、RAMの記憶領域をNAPTRレコードとフラグ情報によって占有することなく、有効に利用することが可能になる。
【0073】
また、RAMに記憶したNAPTRレコードとフラグ情報を、他の不揮発性メモリに保存するようにすれば、同一の発呼先IP端末に再度発呼する際に、保存したフラグ情報に基づいて直ちに通信機能を表示することができ、ENUMサーバからNAPTRレコードを取得する処理を再度実行することを省略することも可能である。
【0074】
また、上記実施の形態では、IP端末に設定される通信機能として、IP電話と、ファクシミリ通信と、メール通信を設定した場合を示したが、これ等の通信機能に限定するものではなく、その他の通信機能を設定する場合も本発明を適用可能である。
【0075】
また、上記実施の形態では、IP電話からファクシミリ通信に移行する場合を示したが、例えば、IP電話からメール通信に移行する場合も同様に実現可能であり、その移行する通信機能を特に限定するものではない。
【0076】
また、上記実施の形態では、IP端末101からIP端末102に発呼する場合を示したが、IP端末102からIP端末101に発呼する場合も同様の処理が実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係るIP端末装置によれば、発呼元IP端末装置のユーザが発呼先IP端末装置の通信機能を調べる手間を省略し、誤った通信機能を選択するといった事態を防止するIP端末装置を提供できる点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係るIP通信システムの構成を示すブロック図
【図2】本実施の形態に係るIP端末の構成を示すブロック図
【図3】本実施の形態に係るENUMサーバのデータベースに記憶されるNAPTRレコードの一例を示す図
【図4】本実施の形態に係るIP端末の動作を説明するためのフローチャート図
【図5】本実施の形態に係るIP端末に表示される通信機能の一例を示す図
【図6】本実施の形態に係るIP端末に表示される通信機能移行時の一例を示す図
【符号の説明】
【0079】
100 IP通信システム
101,102 IP端末
103 ENUMサーバ
104 DNSサーバ
105 WEBサーバ
106 IP網
201 CPU
202 ハンドセット
203 キー入力部
204 RAM
205 FROM
206 表示部
207 読取部
208 記録部
209 外部I/F選択部
210 IPネットワーク制御部
211 PSTN制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ENUMサーバとIPネットワークを介して接続されるIP端末装置であって、
各種通信機能に対応する複数の通信制御プログラムを記憶する記憶手段と、
発呼に際して、前記ENUMサーバから発呼先IP端末装置の端末情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した端末情報に基づいて、自装置の通信機能に対応する通信機能が前記発呼先IP端末装置に設定されているか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記発呼先IP端末装置に設定されていると判別した1つ又は複数の通信機能を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示した通信機能に対応する操作が行われると、該通信機能に対応する前記通信制御プログラムに基づいて前記発呼先IP端末装置との間の通信を制御する通信制御手段と、
を具備することを特徴とするIP端末装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記発呼先IP端末装置に設定されていると判別した1つ又は複数の通信機能毎に有効であることを示す有効情報を前記記憶手段に記憶し、
前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された有効情報に基づいて、1つ又は複数の通信機能を表示することを特徴とする請求項1記載のIP端末装置。
【請求項3】
前記通信制御手段は、前記表示手段に表示した複数の通信機能から第1の通信機能に対応する操作が行われると、当該第1の通信機能に対応する前記通信制御プログラムに基づいて前記発呼先IP端末装置との間の第1の通信を制御し、続いて、前記複数の通信機能から第2の通信機能に対応する操作が行われると、当該第2の通信機能に対応する前記通信制御プログラムに基づいて前記発呼先IP端末装置との間の第2の通信を制御することを特徴とする請求項1記載のIP端末装置。
【請求項4】
前記判別手段は、前記通信機能毎の有効情報を前記取得手段により取得した前記発呼先IP端末装置の端末情報と対応付けて前記記憶手段に保存することを特徴とする請求項2記載のIP端末装置。
【請求項5】
前記判別手段は、前記表示手段に表示した通信機能が実行された後、前記記憶手段に記憶した端末情報と有効情報を削除することを特徴とする請求項2記載のIP端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−109086(P2006−109086A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292865(P2004−292865)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】