LC直列回路部品
【課題】組み立て性が改善され、振動に強く、金属基板への実装にも向いたLC直列回路部品を提供する。
【解決手段】リード線11、12が導出されたコンデンサ1と、上記リード線が挿通され、または組付け時に該リード線に接続される導体を挿通し得るように設けられた少なくとも1つのインダクタを構成するコア部材2(2A、2B)と、上記リード線の先端部が露出するように上記コンデンサ及び上記コア部材の周りを包囲して一体化する樹脂材4を備えたことを特徴とするものである。
【解決手段】リード線11、12が導出されたコンデンサ1と、上記リード線が挿通され、または組付け時に該リード線に接続される導体を挿通し得るように設けられた少なくとも1つのインダクタを構成するコア部材2(2A、2B)と、上記リード線の先端部が露出するように上記コンデンサ及び上記コア部材の周りを包囲して一体化する樹脂材4を備えたことを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は例えば電力供給用回路などに好ましく用いることができるLC直列回路部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇圧電力システムや降圧電力システムはインダクタにエネルギーを充放電することで電圧を変換してきたが、近年、コンデンサにエネルギーを充電し、電圧を変換するシステムが提案されており、例えばスイッチドキャパシタ型DC/DCコンバータ装置において、コンデンサに充電したエネルギーをスイッチの切り替えにより電力を移行させ、電力変換を行うものがある(例えば特許文献1参照)。このようなコンデンサ電力変換システムにおいて、エネルギーを充電するコンデンサは、効率向上のためLC直列回路で構成され、共振動作により高い効率を実現している。従来、この回路は電力向けインダクタ(L)や電力向けコンデンサ(C)を各々の部品としてプリント基板に実装し、あるいはバスバーや、ケーブルに直接配線やねじ止めすることにより組み立てられてきた。
また、金属基板の使用量を削減するためには、実装密度の向上が必要であり、量産の効率化/実装の高密度化の技術として、コンデンサのリード線の少なくとも1本を磁性体に設けられた透孔に貫通せしめた混成部品が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−262619号公報(第5頁、図1、図7〜9)
【特許文献2】実開昭61−9829号公報(第2頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような電力回路に使用するLC直列回路部品においては、大電流を使用するためコンデンサやインダクタなどの部品の大型化や配線が太くなるため、立体配線を行う必要性から組み立て性に問題が生じ、大量生産に向かないものであった。そのため、一般に広く普及させるのが困難であった。また、近年の金属基板技術の向上により、金属基板上に大電流が流せるようになり、半導体スイッチを含む電子回路部分を金属基板上に配置されるようになり、生産性、組み立て性が向上している。コンデンサとインダクタに関しても同金属基板上に実装することが可能ではあるが、構成するLやCが表面実装に適するものが必要で、さらに平面的に配置されていたので、金属基板は広い面積が必要となる。そのため、組み立て性は向上するものの、単位面積あたり高価な金属基板を使用するため、部品コストが高価となり、一般に普及させることが困難であった。
さらに、特許文献1のコンバータにおいては、供給可能な電力は動作周波数とコンデンサ容量により決まり、効率は、電流実効値により大きく影響を受けるため、共振周波数を高くし、電流実効値を下げるとともに、コンデンサ容量をより低く抑える設計としなければならないが、供給電力が大きいとコンデンサの値は否応なく大きくなり、インダクタの値Lは、
【0005】
【数1】
【0006】
但し、f0:共振周波数、 L:インダクタンス値、 C:コンデンサ容量、
上記式1より、下記式2に示すように、
L=1/{(2πf0)2・C} ・・・・・式2
となるため、低インダクタンスのものが必要となる傾向にある。しかし、供給電力が大きいため回路電流は大きくなり、使用するコアにおいては大電流かつ低インダクタンスのものが必要となる。このようなインダクタを構成するコア部材の特徴としては、長いギャップを持ち、広い有効断面積を持つものが必要となり、大型で重量も重くなるため、コンデンサと同様に振動の影響を受け易く、実装が困難であるという課題があった。
【0007】
また、特許文献2のような技術においては、プリント基板上の実装密度の向上や、組立性等の量産に適し、組立時のコストを抑えることができるものの、電力変換回路、例えば特許文献1のようなスイッチドキャパシタ型DC/DCコンバータ装置などに使用した場合、コンデンサは容量値を大きくしなくてはならず、物理的に大型化する。この際の組み立て形態として、同文献に示された構造の場合、軽微な振動(例えば1G)であってもコンデンサは支えを持たないために、接続部分に強い応力がかかり、場合によっては接続部分の破断といった故障を起こす恐れがあった。また、これら素子に大電流を流す必要性からインダクタは、コアの飽和等によるインダクタンス特性の動的変化があり、LCの素子特性を悪化させ、回路定数を変化させてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解消するためになされたものであり、組み立て性が改善され、振動に強く、金属基板への実装にも向いたLC直列回路部品を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るLC直列回路部品は、リード線が導出されたコンデンサと、上記リード線が挿通され、または組付け時に該リード線に接続される導体を挿通し得るように設けられたインダクタを構成する少なくとも1つのコア部材と、上記リード線の先端部が露出するように上記コンデンサ及び上記コア部材の周りを包囲して一体化する樹脂材とを備えるように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、インダクタを構成するコア部材とコンデンサとを樹脂材により一体的に構成するようにしたので、実装時の組み付けを効率化できると共に、耐振動特性が向上されるという顕著な効果が得られる。また、構成も簡単で被取付部材の態様に応じて種々の形状に構成することも容易であり、実装する際に立体的に配置し、あるいは金属基板に実装することも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1、図2は本発明の実施の形態1によるLC直列回路部品を説明する図である。図1はLC直列回路部品を模式的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。図2は図1に示されたギャップ付のコア部材を用いるときのギャップに対する導体の好ましい配置(a)、好ましくない配置(b)を説明する図である。図1(a)において、LC直列回路部品10は、複数のリード線11、12が図の上方向に突出されたラジアルリード構造のコンデンサ(コンデンサエレメントあるいは簡易コーティングされたコンデンサ等)1と、一方のリード線12に挿通された磁性材からなるギャップ2a付の円筒状のコア部材2と、これらコンデンサ1及びコア部材2を収容するケース(LCケース)3と、ケース3内部に充填されコンデンサ1及びコア部材2を一体的にモールドしている耐湿性及び/または耐震動性を有する樹脂材(充填材)4によって構成されている。なお、各図において、構成の理解を容易にするために、ケース3及び樹脂材4は便宜的に透明化して表示し、ケース3は稜線部を図示している。
【0012】
上記コンデンサ1の上面1aとコア部材2の下面との間には隙間Gが設けられ充填材である樹脂材4が該隙間Gを通じてコア部材2の内部空間Aまで密に充填されている。そして、外装体を構成するケース3の図の両側面下部には、実装時に基板や構造部材等に固定するための貫通穴31aを有する取付部31が突設されている。また、リード線11、12の先端部は接続部11a、12aとしてケース3の上面から突出されている。
上記充填材としての樹脂材4は、例えば公知の各種熱硬化性樹脂などを特別な制限なく用いることができるが、熱膨張差によるコア部材2の損壊を防止する目的で熱膨張率を合わせ込んだ1種類または複数種類のフィラーなどを配合することは好ましく、得られるLC直列回路部品10の耐ヒートサイクル性やパワーサイクル性能を向上させることが可能となる。また、樹脂材4として熱伝導性の良いフィラーを使用することで、コンデンサ1の発熱や、コア部材2の発熱に対応し放熱性が改善される。また、樹脂材4として耐熱性の高い樹脂材料を使用することにより、ハンダ接合や熔接等の接合時に発生する熱により、樹脂材4の絶縁性能の劣化や損傷を防止できる。
【0013】
また、コア部材2のギャップ部分まで隙間無く充填できる流動性の良い樹脂材料を使用することで、コア部材2のギャップ2a部分やコンデンサ1のリード線11、12とコア部材2との隙間G部分、及びコア部材2の内部空間Aを埋めることが容易となるため、振動によるリード線11、12や、後述するバスバー等の導体の断裂等を防止できる。また、上記コア部材2のギャップ2aに比透磁率の低い例えばマイラシート等の板材(図示省略)を挿入し、ギャップ2aの隙間を予め埋めることで温度変化によるコア部材2のギャップ変化を最小限に抑えることが可能となる。さらにケース3としては、一般的には樹脂製の絶縁材料を好ましく使用することができるが、コンデンサ1、リード線11、12、コア部材2、及び配線用バスバー等への絶縁を確保した上で金属製のケースを使用することにより、ケース3内にこもる熱の放熱特性改善や電磁的なシールド効果を得るようにすることもできる。
【0014】
また、ギャップ2a付のコア部材2に通した導体に、概ね50kHzを超える周波数で電流が通過する場合、電磁誘導加熱現象により発熱し、想定外の銅損が発生する恐れがある。そのため、そのような場合には、図2の斜線で示すコア部材2のギャップ2a周辺の領域Bには導体等が配置されないように、コンデンサ1のリード線11、12やバスバー等の位置に配慮し、ギャップ2aの位置、あるいは導体の向き等を設定することが望ましい。なお、その禁止領域は具体的にはギャップ2aの内側部分と、ギャップ長をtとしたとき、その周辺、R=t/2 で示される図の上下の半円部分を含む長円状の領域Bである。この斜線の領域Bを外れた部分にリード線11、12やバスバー等の導体を配置することが望ましく、図2(a)は好ましい例、図2(b)は避けるべき配置を示している。なお、コア部材2としてトロイダルコアを使用した場合は、ギャップがないため上記のような電磁誘導過熱現象は生じにくく、上記配慮は不要となる。
【0015】
上記のように構成された実施の形態1の第1の例において、LC直列回路部品10は、コンデンサ1のリード線12にギャップ付のコア部材2を挿入し、外装であるケース3に格納後、樹脂材4を充填して樹脂封止することで容易に製造できる。コンデンサ1のリード線12はギャップ付のコア部材2に挿通されているので、インダクタンス特性としては、1つのコア部材2で構成されたインダクタであり、コアに導体を1ターン巻いたものと同等である。従って、等価的にはコンデンサ1の容量をC、コア部材2によるインダクタンスをL1としたとき、図1(a)の下部に併記されているようにLC直列回路を構成する。また、このLC直列回路部品10は、コア部材2がコンデンサ1、リード線11、12の導出部分と共に樹脂材4によって包囲され一体化されているので、耐湿性及び耐振動性を有する。なお、コア部材2に関しては、ギャップなしのものを使用しても良い。
【0016】
また、取付部31は組み込む機器などに応じて任意の場所に設定できる。さらに、取付部31の形状は図1(a)のように側面から突出されたものに限定されるものではなく、例えばケース3の外表面の一部を金属バンド等で組み付けるための係合部とし、あるいはスナップフィットを利用した係合部などを設け、それらの係合部を取付部としても良い。さらにまた、ケース3は必ずしも具備する必要はなく、例えばモールド金型などの成形型を用いてコンデンサ1とコア部材2を樹脂料4により一体的に注型するようにしても差し支えない。その場合には、樹脂材4自体がLC直列回路部品10の外表面を形成する。また、取付部31なども該樹脂材4により任意の位置に一体的に形成することができる。
【0017】
一方、図1(b)に示す実施の形態1の第2の例は、コンデンサ1のリード線11、12の双方にギャップ付のコア部材2A、2Bをそれぞれ挿入し、外装であるケース3に格納した後、第1の例と同様に樹脂封止してLC直列回路部品10Aとしたものである。図1(b)のLC直列回路部品10Aのインダクタンス特性としては、2倍の断面積を持つコアであるため、インダクタンスとしてはコアに導体を1ターン巻いたものを2直列したものと同等であり、LCLの直列構成であるが、コア部材2AによるインダクタンスL1、コア部材2BによるインダクタンスL2としたとき、等価的には図1(b)の下部に示すように(L1+L2)のインダクタと容量Cのコンデンサの直列体からなるLC直列回路となる。なお、コア部材2A、2Bとして、ギャップなしのものを使用できるなど、その他は第1の例と同様に適宜変更できるものであるので説明を省略する。
【0018】
上記のように実施の形態1のLC直列回路部品10(10A)は、複数のリード線11、12が導出されたコンデンサ1と、該リード線11、12の一方、または双方に挿通されるように設けられたインダクタを構成するコア部材2(コア部材2A、2B)と、コンデンサ1及びコア部材2(2A、2B)を収容するケース3と、リード線11、12の先端部が露出するようにコンデンサ1及びコア部材2の周りを包囲して一体化する樹脂材4を備えるようにした特に電力変換回路など大電流回路に使用する場合に適したものである。該実施の形態1によれば、コンデンサ製作時にコア部材2(2A、2B)をリード線11、12の任意の一方または双方に挿入することで、容易にLC直列回路部品10(10A)を構成できる。
【0019】
また、コア部材2(2A、2B)とコンデンサ1が一体的に固体化された一つの機能部品として扱うことができるので、組立作業が効率化され、組立時間も短縮でき、量産にも対応できる。また、ケース1の上方に接続部11a、12aが導出されているので、立体構造配置、特にバスバー配線によって立体構造の配置とすることが容易となる。また、樹脂材4によって一体的にモールドされていることにより耐振動特性の向上が可能となる。特にLC直列共振回路に適用した場合、配線バスバーや、プリント基板の配線抵抗、プリント基板への接続部分で発生する接続抵抗等、配線に関わる抵抗成分等による損失の発生が削減され、バスバーインダクタンスを最小限にできるため、回路の性能が向上するなど顕著な効果が得られる。
【0020】
また、コンデンサ1の許容リップル電流に応じた条件でインダクタンスを設計できるため、コンデンサとインダクタが共に好適な設計条件で構成できる。そして、ケース3には、構造体等被取付部材への取り付けを目的とした取付部31が設けられているので、組立性と耐振動性が確保できる。また、コンデンサ1と、コア部材2との間に隙間Gが設けられていることで、充填材である樹脂材4がコア部材2の内部空間Aまで充填でき、リード線11、12が確実に固定され、リード線11、12にかかるストレスを軽減できる。また、図1(b)に示す第2の例においては、第1の例と比較し、インダクタの実効断面積が約2倍となるため、大電流動作においてインダクタの飽和を防止できるインダクタ設計値をとることも可能となる。そのため、構造的にも電気的にもコンデンサとインダクタをともに好適な設計条件で構成できる。
【0021】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2による特に電力回路向けに適したLC直列回路部品を概念的に示す斜視図である。なお、各図を通じて同一符号は同一または相当部分を示すものとし、重複する説明を省略している。図において、LC直列回路部品10Bに用いた磁性体からなるコア部材2Cは、中足21aを有するE字形の第1部材21と、この第1部材21に対してギャップを介して配置されたI字形の第2部材22から構成される分割コアからなり、実施の形態1と同様のコンデンサ1から図の上方向に導出されたリード線11、12が該分割コアからなるコア部材2Cの2つの窓部21bにそれぞれ挿通されるように配設されている。なお、コンデンサ1及びコア部材2Cを収容するケース3、及びこれらをモールドする樹脂材4の構成、製造法等は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0022】
上記のように構成された実施の形態2に係るLC直列回路部品10Bは、インダクタンス特性としては、1つのコアで構成されたインダクタであり、コアに1ターン巻いたものと同等であり、等価的には図2の下部に併記されている通り、L1とCのLC直列回路を構成している。なお、分割コアからなるコア部材2Cに関しては、EI形に限定されるものではなく、EE形等、組合せタイプのコアを適宜選択して用いることができる。またギャップなしとしても差し支えない。なお、この実施の形態2においてはギャップを高精度に管理するため、中足21aを持つコア形状のものを使用した例であり、製造過程で中足21aを削りギャップを高精度に管理できるようにして特性のバラツキを抑制したことを特徴の一つとしている。また、コンデンサ1と、コア部材2Cとの間に隙間Gを設けることで、充填材としての樹脂材4をコア部材2Cの窓部21b内部まで充填でき、リード線11、12が確実に固定されるので、リード11、12にかかるストレスが軽減される。また、ケース3に設けた取付部31は、構造体への取り付け時の組立て性と耐振動性を確保している。
【0023】
上記のように実施の形態2によれば、インダクタを構成するコア部材として例えばEI形等、中足21aを有する組合せタイプのコア部材2Cを用いたので、コア部材2Cの中足を削ることでギャップの管理を高精度に行うことができ、実施の形態1と比較してインダクタンス特性を一層高精度に保持できる。このため、コンデンサ1の許容条件に応じたインダクタンス値を高精度に設計でき、コンデンサとインダクタがともに最適な条件を、大量生産においても特性上のバラツキ少なく実現できるという顕著な効果が得られる。また、実施の形態1と同様、コンデンサ1としてラジアルリード構造のものを用いているので高さ方向に立体的に組み立てることも容易であり、部品の実装面積を削減できるなど、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0024】
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3によるLC直列回路部品を模式的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。図4(a)に示す第1の例に係るLC直列回路部品10Cは、図の左右方向に導出されたアキシャルリード構造のコンデンサ1のリード線11にギャップなしのコア部材2を挿入し、外装であるケース3に格納、樹脂材4によって実施の形態1と同様に封止したものである。なお、ケース3は細長い直方体状に形成され、LC直列回路部品10Cのリード線の接続部11a、12aはコンデンサ1のリード線11、12をコンデンサ1からストレートに同一方向に導出され、また、構造体への取付けを目的とした取付部31が両端部に設けられ、組立て性と耐振動性が確保されている。該LC直列回路部品10Cのインダクタンス特性としては、1つのコアで構成されたインダクタであり、コアに導体を1ターン巻いたものと同等である。
【0025】
一方、図4(b)に示す第2の例に係るLC直列回路部品10Dは、コンデンサ1からアキシャル方向に導出されたリード線11、12の双方にギャップなしのコア部材2A、2Bを挿入し、第1の例と同様に外装であるケース3に格納、樹脂封止したものである。インダクタンス特性としては、2倍の断面積を持つコアであるため、インダクタンスとしてはコアに導体を1ターン巻いたものを2直列したものと同等であり、構成はLCLの直列構成であるが、等価的には、例えば図1(b)等の例と同様にLCの直列回路となる。なお、コア部材2(2A、2B)に関しては、ギャップ付のものを使用しても良い。また、取付部31は図4に示された場所、形状に限定されるものでは無く、組み込む機器に応じて任意の場所、形状に構成できる。また、コンデンサ1とコア部材2(2A、2B)との間に隙間Gを設けることで、樹脂材4がコア部材の内部まで充填されることなどは、実施の形態1と同様である。
【0026】
上記のように構成された実施の形態3によれば、アキシャルリード構造のコンデンサ1のリード線11、12にコア部材2(2A、2B)を挿入し、アキシャル方向にリードを取り出す構造としてケース3に組み入れた上、樹脂材4を充填して固体化したので、アキシャル構造であることから平面配置が可能となり、部品の高さ方向を削減できる。さらに、実施の形態1と比較し、長手方向に最短配線とすることが可能となるため、多数のLC直列回路部品を使用する場合において、高密度の配置が可能となる。そのため、構造的にも電気的にもコンデンサとインダクタをともに好適な設計条件で構成できる。また図4(b)に示す第2の例においては、図4(a)の第1の例と比較してインダクタの実効断面積が約2倍となるため、大電流動作においてインダクタの飽和を防止できるインダクタ設計値をとることが可能となる。
【0027】
実施の形態4.
図5は本発明の実施の形態4による電力回路向けのLC直列回路部品を概念的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。この実施の形態4は、アキシャルリード構造のコンデンサ1の左右に導出されたリード線11、12を所定部で直角に図の下方向に曲げ、その曲げられたリード線11、12が上下方向に延在する部分にギャップ付のコア部材2(2A、2B)をコンデンサ1に対して隙間が空くように挿入し、外装であるケース3に格納し、樹脂材4によって封止したものである。なお、第1の例に係るLC直列回路部品10Eは、図5(a)に示すように一方のリード線11にのみ1つのコア部材2を装着したもの、第2の例に係るLC直列回路部品10Fは、図5(b)に示すように左右のリード線11、12の双方にそれぞれ1つずつコア部材2A、2Bを装着したものである。なお、ここでもコア部材2はギャップなしのものを使用することができる等、その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0028】
上記のように構成された実施の形態4においては、上記実施の形態1と同様の効果が得られることに加えて、実施の形態1と比較して、高さ方向の寸法を抑えた上で、他の部品との立体配線、特にLC直列回路部品下方に部品が配置される階層型配置などにおいても好ましく使用できるため、高密度の実装が可能となる。そのため、構造的にも電気的にもコンデンサとインダクタをともに好適な設計条件で構成できる。また、図5(b)に例示した第2の例では図5(a)の第1の例と比較して、インダクタの実効断面積が約2倍となるため、大電流動作においてインダクタの飽和を防止できるインダクタ設計値をとることが可能となる。
【0029】
実施の形態5.
図6〜図9は本発明の実施の形態5によるLC直列回路部品を説明する図であり、図6はLC直列回路部品をバスバーからなる導体が立設された基板に組み付けるときの位置関係を模式的に示す斜視図、図7は図6に示された被組付部が構造部材である場合の変形例を模式的に示す斜視図、図8は図6に示されたコア部材の位置を変更した場合の第2の変形例を模式的に示す斜視図、図9は図6に示されたコア部材の位置を更に変更した場合の第3の変形例を模式的に示す斜視図である。上記実施の形態1〜4までの例では、コンデンサ1から導出されたリード線11(12)にコア部材2(2A、2B)を挿通させる構成としたのに対し、この実施の形態5においては、被取付部材側のプリント基板5等に立設されたバスバー等の導体6(6A、6B)をコア部材2(2A、2B)の貫通孔32A、32Bに挿通してインダクタを構成するようにしたものである。図6において、LC直列回路部品10Gはケース3内の中央部に収容されたラジアルリード構造のコンデンサ1と、該コンデンサ1の両側部にそれぞれ配設された円筒状のコア部材2A、2Bと、これらコンデンサ1とコア部材2A、2Bの周りを包囲するように充填された樹脂材4からなり、コア部材2A、2Bに対応する位置には該コア部材2A、2Bの中心を上下に貫く貫通孔32A、32Bがそれぞれ設けられている。
【0030】
コンデンサ1のリード線11、12は図6に示すように、コンデンサ1本体からラジアル方向上方に導出された後、ケース3の外部で貫通孔32A、32Bの軸心O、P方向に略−90度(+90度)それぞれ折曲され、貫通孔32A、32B部分に先端部が達したところで、上記軸心O、Pに略平行な方向にさらに+90度(−90度)折曲され、該先端部が被取付部材側のプリント基板5等の所定位置に突出されたバスバーを構成する導体6A、6Bとの接続部11a、12aとして形成されている。そして、導体6A、6Bの基部には該導体6A、6Bを構成する銅板などの素材を例えばジグザグ状、あるいは連続S字カーブ状等に折曲形成した応力緩和手段61が設けられている。
【0031】
なお、図7の変形例に係るLC直列回路部品10Hは、取付部31Aをケース3の4隅に設けた貫通孔によって構成したものであり、該取付部31Aを有するLC直列回路部品10Hは、ケースやフレームなどの構造部材からなる被取付部材7に設けられたプリント基板5用の固定部7aに対して段差を設けて所定寸法高い位置に設けられた固定部7bに立体的に組み付けられる。その他は図6と略同様である。また、図8に示す第2の変形例に係るLC直列回路部品10Iは、2つのコア部材2A、2Bをコンデンサ1の側方部に並設し、コア部材2A、2B相互の間隔を短縮したもの、さらに図9に示す第3の変形例に係るLC直列回路部品10Jは、2つのコア部材2A、2Bがコンデンサ1の一側部及び他側部に斜め位置となるように配設したものである。
【0032】
上記のように構成された実施の形態5においては、LC直列回路部品を、プリント基板5上に突出された導体6A、6Bがコア部材2A、2Bの貫通孔32A、32Bを貫通するように図の上から下方向に移動させ、図6、図8、図9の例では図示省略している締結バンド等によりプリント基板5に固定する。図7の変形例では取付部31Aにボルト等の締結具を挿通して被取付部材7の固定部7bに固定する。そして、何れの場合も導体6A、6Bとリード線11、12の接続部11a、12aをハンダ付、熔接、クリップ接合等で接続することでLC直列回路が形成される。なお、応力緩和手段61は各種機械的な振動あるいはヒートサイクルによるストレスなどを吸収する機能を有する。また、プリント基板5としては、特に限定されるものではないが、例えば放熱効果の高い金属基板なども好ましく使用することができ、その場合には基板上にパワー部品(パワーMOS−FET等)を実装できるので、より高性能なパワー回路を構成することが可能となる。また、プリント基板5上に突出された導体6A、6Bの間隔が狭い場合、あるいは導体6A、6B相互が斜め位置に設けられている場合は図8に示す第2の変形例、あるいは図9に示す第3の変形例を用いることで、同様に効率的に実装される。
【0033】
上記のように、実施の形態5によれば、プリント基板5等から突設されたバスバー等の導体6A、6Bが、LC直列回路部品の貫通孔32A、32Bを貫通するように組付け、接続部11a、12aと導体6A、6Bを接続するだけでLC直列回路を構成できるので、組み立てを効率よく行うことができ、組立工程に要する時間を短縮できる。また、コア部材2A、2Bと導体6A、6Bとを組付け時まで別部材として扱うことができるので周辺構造部材への組み込みが容易となり、立体組み立てが容易となると共に耐振動特性も大幅に向上する。また、LC直列共振回路に適用した場合、配線バスバーや、プリント基板の配線抵抗、プリント基板への接続部分で発生する接続抵抗等、配線に関わる抵抗成分等による損失の発生を削減することも容易であり、回路の性能が向上する。また、バスバー配線抵抗及びバスバーインダクタンスを最小限にできるという顕著な効果が得られる。さらに、プリント基板5からスペーサ、構造部材の段差等によって浮かせて実装することも容易にできるので、プリント基板5上に実装された他の部品との干渉を防止することも容易となり、複数階建て構造とすることで実装面積を一層削減することもできる。
【0034】
さらに、特に図7の変形例などでは取付部31Aが貫通孔によって形成されているので、構造部材に対して強固に組み付けできるため、振動の厳しい例えば自動車、鉄道車両等の車載機器などにも好適に使用できる。また、プリント基板5等に設置される導体6(6A、6B)には、応力緩和手段61を設けたので、LC直列回路部品とプリント基板の振動条件が違う場合においても、接続部分の破断等物理的な故障を防止できる。加えて、電気的にはコンデンサの許容リップル電流に応じた条件でインダクタンスを設計できるため、コンデンサとインダクタが共に好適な設計条件で構成できるといった従来にない効果を奏するものである。なお図6では1つのコンデンサ1と2つのコア部材2A、2Bを配置しているが、コア部材は例えば必要に応じて1個としても良い。また、図7の変形例ではLC直列回路部品1回路のみの構成であるが、2回路以上を直列に構成し、あるいは並列に配置して構成することも可能であり、この場合さらに実装密度が向上し、小型化が可能となる。
【0035】
また、図8のように2つのコア部材2A、2Bが隣り合うように配置することで、プリント基板もしくは金属基板上の部品配置ピッチに合わせることも容易であり、また、図9の様に2つのコア部材2A、2Bをクロスする様に配置することで、プリント基板上の電流ループと、LC回路部品の電流ループを整合させることができる。上記、図6〜図9に示された例においては、実施の形態1と比較し、図7の組み立て構造例に示すように被取付部となる構造部材への取り付けが容易となり、しかも梁構造の梁としての機能を兼ねることも可能となる。また、組み立てにおいては上方からの組み立てが可能となるため、例えば異形部品自動機による組み立ても可能となり、量産することも容易である。なお、図8のコア部材2A、2Bは、実施の形態3のように中足を持つコア形状とすることもでき、その中足を削ることでギャップを高精度に管理できる。このとき、インダクタンスとしてはコアに1ターン巻いた物と同等である。
【0036】
実施の形態6.
図10、図11は本発明の実施の形態6による電力回路向けのLC直列回路部品を示す図であり、図10はLC直列回路部品をバスバーが立設されたインサートモールド部品に組み付けるときの位置関係を模式的に示す斜視図、図11は図10に示されたLC直列回路部品をインサートモールド部品に組み付け後の状態を模式的に示す斜視図である。図において、LC直列回路部品10Kは図5に示す実施の形態4と同様に構成されている。そして、該LC直列回路部品10Kが組み付けられる被取付部材7Aはインサートモールド部品からなり、該被取付部材7Aには、出力端子等外部との接続に必要な配線(何れも図示省略)の他、LC直列回路部品10Kの接続部11a、12aに接続するインダクタを構成するためのバスバー配線である導体6A、6Bと、プリント基板5への配線となるバスバー8などがインサート成型されている。また、プリント基板5(金属基板を使用しても良い)には、図示省略している必要な部品が実装され、上面には上記バスバー8との接続部51、52が設けられている。
【0037】
上記のような被取付部材7Aに対して組み付けるときは、プリント基板5とインサートモールド部品からなる被取付部材7Aを組み立て、プリント基板5への配線を行っておき、その後、被取付部材7Aに突設されたバスバーである導体6A、6BにLC直列回路部品10Kを図の上方部から挿入し、図示省略しているボルト等の締結具で被取付部材7Aに固定した後、LC直列回路部品10Kの接続部11a、12aと導体6A、6Bをハンダ付け、熔接、クリップ接合等で接合することでLC直列回路を完成させる。なお、被取付部材7Aの高さは、プリント基板5上に実装された図示省略している各種電子部品類の高さよりも寸法を大きくしておく必要があるが、LC直列回路部品10Kを組付けたときに相互に干渉しない部分では、該実装された電子部品類の高さが被取付部材7Aの高さより高くても差し支えないことは言うまでもない。また、プリント基板5は放熱効果の高い金属基板を使用することで、基板上にパワー部品(パワーMOS−FET等)を実装でき、より生産性を高めることが可能となる。
【0038】
上記のように実施の形態6によれば、インサートモールド部品からなる被取付部材7Aにはプリント基板5の場合よりも太いバスバーを組み付けることが可能となるため、配線抵抗を大幅に削減することが可能となり、LC直列共振回路に適用した場合、回路の性能がさらに向上する。さらにLC直列回路部品10Kは構造部材としているため、強固に被取付部材7Aに組み付けでき、振動条件の厳しい自動車機器や電鉄機器等においても使用できる。さらに、実施の形態5と比較し、プリント基板5にバスバーを構成する導体6A、6Bを取り付けなくて良くなるため、基板組み立て時にバスバーの位置決め精度を管理しなくても良くなり、組み立て性がさらに向上する。また、導体6A、6Bに容易に応力緩和手段61を設けることができ、LC直列回路部品10Kとプリント基板5や、インサートモールド部品からなる被取付部材7A、導体6A、6Bとの振動条件が違う場合においても、接続部分の破断等物理的な故障を防止できる。加えて、電気的にはコンデンサの許容リップル電流に応じた条件でインダクタンスを設計できるため、コンデンサとインダクタがともに好適な設計条件で構成できる。
【0039】
なお図10ではコンデンサ1個とコア部材2個を配置しているが、コア部材は必要数に応じて決めればよく、例えば1個でも良い。また、図10ではLC直列回路部品10Kを1回路のみ組み付けた構成を例示したが、2回路以上を直列に構成することや並列に配置して構成することも可能であり、この場合さらに実装密度が向上し、小型化が可能となる。また、実施の形態5に係る図8に示すように複数のコア部材2A、2Bを隣り合うように配置し、あるいは図9の様に配置することも可能であり、プリント基板サイズに合わせることやプリント基板上の電流ループと、LC直列回路部品の電流ループを必要に応じて整合させることもできる等、種々の変更、変形、組合せが可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1によるLC直列回路部品を模式的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図2】図1に示されたギャップ付のコア部材を用いるときのギャップに対する導体の好ましい配置(a)、好ましくない配置(b)を説明する図。
【図3】本発明の実施の形態2によるLC直列回路部品を模式的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図4】本発明の実施の形態3によるLC直列回路部品を概念的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図5】本発明の実施の形態4によるLC直列回路部品を概念的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図6】本発明の実施の形態5によるLC直列回路部品をバスバーからなる導体が立設された基板に組み付けるときの位置関係を模式的に示す斜視図。
【図7】図6に示された被組付け部が構造部材である場合の変形例を模式的に示す斜視図。
【図8】図6に示されたコア部材の位置を変更した場合の第2の変形例を模式的に示す斜視図。
【図9】図6に示されたコア部材の位置を更に変更した場合の第3の変形例を模式的に示す斜視図。
【図10】本発明の実施の形態6によるLC直列回路部品をバスバーが立設されたインサートモールド部品に組み付けるときの位置関係を模式的に示す斜視図。
【図11】図10に示されたLC直列回路部品をインサートモールド部品に組み付け後の状態を模式的に示す斜視図。
【符号の説明】
【0041】
1 コンデンサ、 1a 上面、 11、12 リード線、 11a、12a 接続部、 2、2C コア部材、 2a ギャップ、 21 第1部材、 21a 中足、 21b 窓部、 22 第2部材、 3 ケース(LCケース)、 31、31A 取付部、 31a 貫通穴、 32A、32B 貫通孔、 4 樹脂材(充填材)、 5 プリント基板、 6(6A、6B) 導体、 61 応力緩和手段、 7、7A 被取付部材、 7a、7b 固定部、 10、10A〜10K LC直列回路部品、 G 隙間、 A 内部空間。
【技術分野】
【0001】
この発明は例えば電力供給用回路などに好ましく用いることができるLC直列回路部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇圧電力システムや降圧電力システムはインダクタにエネルギーを充放電することで電圧を変換してきたが、近年、コンデンサにエネルギーを充電し、電圧を変換するシステムが提案されており、例えばスイッチドキャパシタ型DC/DCコンバータ装置において、コンデンサに充電したエネルギーをスイッチの切り替えにより電力を移行させ、電力変換を行うものがある(例えば特許文献1参照)。このようなコンデンサ電力変換システムにおいて、エネルギーを充電するコンデンサは、効率向上のためLC直列回路で構成され、共振動作により高い効率を実現している。従来、この回路は電力向けインダクタ(L)や電力向けコンデンサ(C)を各々の部品としてプリント基板に実装し、あるいはバスバーや、ケーブルに直接配線やねじ止めすることにより組み立てられてきた。
また、金属基板の使用量を削減するためには、実装密度の向上が必要であり、量産の効率化/実装の高密度化の技術として、コンデンサのリード線の少なくとも1本を磁性体に設けられた透孔に貫通せしめた混成部品が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−262619号公報(第5頁、図1、図7〜9)
【特許文献2】実開昭61−9829号公報(第2頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような電力回路に使用するLC直列回路部品においては、大電流を使用するためコンデンサやインダクタなどの部品の大型化や配線が太くなるため、立体配線を行う必要性から組み立て性に問題が生じ、大量生産に向かないものであった。そのため、一般に広く普及させるのが困難であった。また、近年の金属基板技術の向上により、金属基板上に大電流が流せるようになり、半導体スイッチを含む電子回路部分を金属基板上に配置されるようになり、生産性、組み立て性が向上している。コンデンサとインダクタに関しても同金属基板上に実装することが可能ではあるが、構成するLやCが表面実装に適するものが必要で、さらに平面的に配置されていたので、金属基板は広い面積が必要となる。そのため、組み立て性は向上するものの、単位面積あたり高価な金属基板を使用するため、部品コストが高価となり、一般に普及させることが困難であった。
さらに、特許文献1のコンバータにおいては、供給可能な電力は動作周波数とコンデンサ容量により決まり、効率は、電流実効値により大きく影響を受けるため、共振周波数を高くし、電流実効値を下げるとともに、コンデンサ容量をより低く抑える設計としなければならないが、供給電力が大きいとコンデンサの値は否応なく大きくなり、インダクタの値Lは、
【0005】
【数1】
【0006】
但し、f0:共振周波数、 L:インダクタンス値、 C:コンデンサ容量、
上記式1より、下記式2に示すように、
L=1/{(2πf0)2・C} ・・・・・式2
となるため、低インダクタンスのものが必要となる傾向にある。しかし、供給電力が大きいため回路電流は大きくなり、使用するコアにおいては大電流かつ低インダクタンスのものが必要となる。このようなインダクタを構成するコア部材の特徴としては、長いギャップを持ち、広い有効断面積を持つものが必要となり、大型で重量も重くなるため、コンデンサと同様に振動の影響を受け易く、実装が困難であるという課題があった。
【0007】
また、特許文献2のような技術においては、プリント基板上の実装密度の向上や、組立性等の量産に適し、組立時のコストを抑えることができるものの、電力変換回路、例えば特許文献1のようなスイッチドキャパシタ型DC/DCコンバータ装置などに使用した場合、コンデンサは容量値を大きくしなくてはならず、物理的に大型化する。この際の組み立て形態として、同文献に示された構造の場合、軽微な振動(例えば1G)であってもコンデンサは支えを持たないために、接続部分に強い応力がかかり、場合によっては接続部分の破断といった故障を起こす恐れがあった。また、これら素子に大電流を流す必要性からインダクタは、コアの飽和等によるインダクタンス特性の動的変化があり、LCの素子特性を悪化させ、回路定数を変化させてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解消するためになされたものであり、組み立て性が改善され、振動に強く、金属基板への実装にも向いたLC直列回路部品を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るLC直列回路部品は、リード線が導出されたコンデンサと、上記リード線が挿通され、または組付け時に該リード線に接続される導体を挿通し得るように設けられたインダクタを構成する少なくとも1つのコア部材と、上記リード線の先端部が露出するように上記コンデンサ及び上記コア部材の周りを包囲して一体化する樹脂材とを備えるように構成したものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、インダクタを構成するコア部材とコンデンサとを樹脂材により一体的に構成するようにしたので、実装時の組み付けを効率化できると共に、耐振動特性が向上されるという顕著な効果が得られる。また、構成も簡単で被取付部材の態様に応じて種々の形状に構成することも容易であり、実装する際に立体的に配置し、あるいは金属基板に実装することも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1、図2は本発明の実施の形態1によるLC直列回路部品を説明する図である。図1はLC直列回路部品を模式的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。図2は図1に示されたギャップ付のコア部材を用いるときのギャップに対する導体の好ましい配置(a)、好ましくない配置(b)を説明する図である。図1(a)において、LC直列回路部品10は、複数のリード線11、12が図の上方向に突出されたラジアルリード構造のコンデンサ(コンデンサエレメントあるいは簡易コーティングされたコンデンサ等)1と、一方のリード線12に挿通された磁性材からなるギャップ2a付の円筒状のコア部材2と、これらコンデンサ1及びコア部材2を収容するケース(LCケース)3と、ケース3内部に充填されコンデンサ1及びコア部材2を一体的にモールドしている耐湿性及び/または耐震動性を有する樹脂材(充填材)4によって構成されている。なお、各図において、構成の理解を容易にするために、ケース3及び樹脂材4は便宜的に透明化して表示し、ケース3は稜線部を図示している。
【0012】
上記コンデンサ1の上面1aとコア部材2の下面との間には隙間Gが設けられ充填材である樹脂材4が該隙間Gを通じてコア部材2の内部空間Aまで密に充填されている。そして、外装体を構成するケース3の図の両側面下部には、実装時に基板や構造部材等に固定するための貫通穴31aを有する取付部31が突設されている。また、リード線11、12の先端部は接続部11a、12aとしてケース3の上面から突出されている。
上記充填材としての樹脂材4は、例えば公知の各種熱硬化性樹脂などを特別な制限なく用いることができるが、熱膨張差によるコア部材2の損壊を防止する目的で熱膨張率を合わせ込んだ1種類または複数種類のフィラーなどを配合することは好ましく、得られるLC直列回路部品10の耐ヒートサイクル性やパワーサイクル性能を向上させることが可能となる。また、樹脂材4として熱伝導性の良いフィラーを使用することで、コンデンサ1の発熱や、コア部材2の発熱に対応し放熱性が改善される。また、樹脂材4として耐熱性の高い樹脂材料を使用することにより、ハンダ接合や熔接等の接合時に発生する熱により、樹脂材4の絶縁性能の劣化や損傷を防止できる。
【0013】
また、コア部材2のギャップ部分まで隙間無く充填できる流動性の良い樹脂材料を使用することで、コア部材2のギャップ2a部分やコンデンサ1のリード線11、12とコア部材2との隙間G部分、及びコア部材2の内部空間Aを埋めることが容易となるため、振動によるリード線11、12や、後述するバスバー等の導体の断裂等を防止できる。また、上記コア部材2のギャップ2aに比透磁率の低い例えばマイラシート等の板材(図示省略)を挿入し、ギャップ2aの隙間を予め埋めることで温度変化によるコア部材2のギャップ変化を最小限に抑えることが可能となる。さらにケース3としては、一般的には樹脂製の絶縁材料を好ましく使用することができるが、コンデンサ1、リード線11、12、コア部材2、及び配線用バスバー等への絶縁を確保した上で金属製のケースを使用することにより、ケース3内にこもる熱の放熱特性改善や電磁的なシールド効果を得るようにすることもできる。
【0014】
また、ギャップ2a付のコア部材2に通した導体に、概ね50kHzを超える周波数で電流が通過する場合、電磁誘導加熱現象により発熱し、想定外の銅損が発生する恐れがある。そのため、そのような場合には、図2の斜線で示すコア部材2のギャップ2a周辺の領域Bには導体等が配置されないように、コンデンサ1のリード線11、12やバスバー等の位置に配慮し、ギャップ2aの位置、あるいは導体の向き等を設定することが望ましい。なお、その禁止領域は具体的にはギャップ2aの内側部分と、ギャップ長をtとしたとき、その周辺、R=t/2 で示される図の上下の半円部分を含む長円状の領域Bである。この斜線の領域Bを外れた部分にリード線11、12やバスバー等の導体を配置することが望ましく、図2(a)は好ましい例、図2(b)は避けるべき配置を示している。なお、コア部材2としてトロイダルコアを使用した場合は、ギャップがないため上記のような電磁誘導過熱現象は生じにくく、上記配慮は不要となる。
【0015】
上記のように構成された実施の形態1の第1の例において、LC直列回路部品10は、コンデンサ1のリード線12にギャップ付のコア部材2を挿入し、外装であるケース3に格納後、樹脂材4を充填して樹脂封止することで容易に製造できる。コンデンサ1のリード線12はギャップ付のコア部材2に挿通されているので、インダクタンス特性としては、1つのコア部材2で構成されたインダクタであり、コアに導体を1ターン巻いたものと同等である。従って、等価的にはコンデンサ1の容量をC、コア部材2によるインダクタンスをL1としたとき、図1(a)の下部に併記されているようにLC直列回路を構成する。また、このLC直列回路部品10は、コア部材2がコンデンサ1、リード線11、12の導出部分と共に樹脂材4によって包囲され一体化されているので、耐湿性及び耐振動性を有する。なお、コア部材2に関しては、ギャップなしのものを使用しても良い。
【0016】
また、取付部31は組み込む機器などに応じて任意の場所に設定できる。さらに、取付部31の形状は図1(a)のように側面から突出されたものに限定されるものではなく、例えばケース3の外表面の一部を金属バンド等で組み付けるための係合部とし、あるいはスナップフィットを利用した係合部などを設け、それらの係合部を取付部としても良い。さらにまた、ケース3は必ずしも具備する必要はなく、例えばモールド金型などの成形型を用いてコンデンサ1とコア部材2を樹脂料4により一体的に注型するようにしても差し支えない。その場合には、樹脂材4自体がLC直列回路部品10の外表面を形成する。また、取付部31なども該樹脂材4により任意の位置に一体的に形成することができる。
【0017】
一方、図1(b)に示す実施の形態1の第2の例は、コンデンサ1のリード線11、12の双方にギャップ付のコア部材2A、2Bをそれぞれ挿入し、外装であるケース3に格納した後、第1の例と同様に樹脂封止してLC直列回路部品10Aとしたものである。図1(b)のLC直列回路部品10Aのインダクタンス特性としては、2倍の断面積を持つコアであるため、インダクタンスとしてはコアに導体を1ターン巻いたものを2直列したものと同等であり、LCLの直列構成であるが、コア部材2AによるインダクタンスL1、コア部材2BによるインダクタンスL2としたとき、等価的には図1(b)の下部に示すように(L1+L2)のインダクタと容量Cのコンデンサの直列体からなるLC直列回路となる。なお、コア部材2A、2Bとして、ギャップなしのものを使用できるなど、その他は第1の例と同様に適宜変更できるものであるので説明を省略する。
【0018】
上記のように実施の形態1のLC直列回路部品10(10A)は、複数のリード線11、12が導出されたコンデンサ1と、該リード線11、12の一方、または双方に挿通されるように設けられたインダクタを構成するコア部材2(コア部材2A、2B)と、コンデンサ1及びコア部材2(2A、2B)を収容するケース3と、リード線11、12の先端部が露出するようにコンデンサ1及びコア部材2の周りを包囲して一体化する樹脂材4を備えるようにした特に電力変換回路など大電流回路に使用する場合に適したものである。該実施の形態1によれば、コンデンサ製作時にコア部材2(2A、2B)をリード線11、12の任意の一方または双方に挿入することで、容易にLC直列回路部品10(10A)を構成できる。
【0019】
また、コア部材2(2A、2B)とコンデンサ1が一体的に固体化された一つの機能部品として扱うことができるので、組立作業が効率化され、組立時間も短縮でき、量産にも対応できる。また、ケース1の上方に接続部11a、12aが導出されているので、立体構造配置、特にバスバー配線によって立体構造の配置とすることが容易となる。また、樹脂材4によって一体的にモールドされていることにより耐振動特性の向上が可能となる。特にLC直列共振回路に適用した場合、配線バスバーや、プリント基板の配線抵抗、プリント基板への接続部分で発生する接続抵抗等、配線に関わる抵抗成分等による損失の発生が削減され、バスバーインダクタンスを最小限にできるため、回路の性能が向上するなど顕著な効果が得られる。
【0020】
また、コンデンサ1の許容リップル電流に応じた条件でインダクタンスを設計できるため、コンデンサとインダクタが共に好適な設計条件で構成できる。そして、ケース3には、構造体等被取付部材への取り付けを目的とした取付部31が設けられているので、組立性と耐振動性が確保できる。また、コンデンサ1と、コア部材2との間に隙間Gが設けられていることで、充填材である樹脂材4がコア部材2の内部空間Aまで充填でき、リード線11、12が確実に固定され、リード線11、12にかかるストレスを軽減できる。また、図1(b)に示す第2の例においては、第1の例と比較し、インダクタの実効断面積が約2倍となるため、大電流動作においてインダクタの飽和を防止できるインダクタ設計値をとることも可能となる。そのため、構造的にも電気的にもコンデンサとインダクタをともに好適な設計条件で構成できる。
【0021】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2による特に電力回路向けに適したLC直列回路部品を概念的に示す斜視図である。なお、各図を通じて同一符号は同一または相当部分を示すものとし、重複する説明を省略している。図において、LC直列回路部品10Bに用いた磁性体からなるコア部材2Cは、中足21aを有するE字形の第1部材21と、この第1部材21に対してギャップを介して配置されたI字形の第2部材22から構成される分割コアからなり、実施の形態1と同様のコンデンサ1から図の上方向に導出されたリード線11、12が該分割コアからなるコア部材2Cの2つの窓部21bにそれぞれ挿通されるように配設されている。なお、コンデンサ1及びコア部材2Cを収容するケース3、及びこれらをモールドする樹脂材4の構成、製造法等は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0022】
上記のように構成された実施の形態2に係るLC直列回路部品10Bは、インダクタンス特性としては、1つのコアで構成されたインダクタであり、コアに1ターン巻いたものと同等であり、等価的には図2の下部に併記されている通り、L1とCのLC直列回路を構成している。なお、分割コアからなるコア部材2Cに関しては、EI形に限定されるものではなく、EE形等、組合せタイプのコアを適宜選択して用いることができる。またギャップなしとしても差し支えない。なお、この実施の形態2においてはギャップを高精度に管理するため、中足21aを持つコア形状のものを使用した例であり、製造過程で中足21aを削りギャップを高精度に管理できるようにして特性のバラツキを抑制したことを特徴の一つとしている。また、コンデンサ1と、コア部材2Cとの間に隙間Gを設けることで、充填材としての樹脂材4をコア部材2Cの窓部21b内部まで充填でき、リード線11、12が確実に固定されるので、リード11、12にかかるストレスが軽減される。また、ケース3に設けた取付部31は、構造体への取り付け時の組立て性と耐振動性を確保している。
【0023】
上記のように実施の形態2によれば、インダクタを構成するコア部材として例えばEI形等、中足21aを有する組合せタイプのコア部材2Cを用いたので、コア部材2Cの中足を削ることでギャップの管理を高精度に行うことができ、実施の形態1と比較してインダクタンス特性を一層高精度に保持できる。このため、コンデンサ1の許容条件に応じたインダクタンス値を高精度に設計でき、コンデンサとインダクタがともに最適な条件を、大量生産においても特性上のバラツキ少なく実現できるという顕著な効果が得られる。また、実施の形態1と同様、コンデンサ1としてラジアルリード構造のものを用いているので高さ方向に立体的に組み立てることも容易であり、部品の実装面積を削減できるなど、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0024】
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3によるLC直列回路部品を模式的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。図4(a)に示す第1の例に係るLC直列回路部品10Cは、図の左右方向に導出されたアキシャルリード構造のコンデンサ1のリード線11にギャップなしのコア部材2を挿入し、外装であるケース3に格納、樹脂材4によって実施の形態1と同様に封止したものである。なお、ケース3は細長い直方体状に形成され、LC直列回路部品10Cのリード線の接続部11a、12aはコンデンサ1のリード線11、12をコンデンサ1からストレートに同一方向に導出され、また、構造体への取付けを目的とした取付部31が両端部に設けられ、組立て性と耐振動性が確保されている。該LC直列回路部品10Cのインダクタンス特性としては、1つのコアで構成されたインダクタであり、コアに導体を1ターン巻いたものと同等である。
【0025】
一方、図4(b)に示す第2の例に係るLC直列回路部品10Dは、コンデンサ1からアキシャル方向に導出されたリード線11、12の双方にギャップなしのコア部材2A、2Bを挿入し、第1の例と同様に外装であるケース3に格納、樹脂封止したものである。インダクタンス特性としては、2倍の断面積を持つコアであるため、インダクタンスとしてはコアに導体を1ターン巻いたものを2直列したものと同等であり、構成はLCLの直列構成であるが、等価的には、例えば図1(b)等の例と同様にLCの直列回路となる。なお、コア部材2(2A、2B)に関しては、ギャップ付のものを使用しても良い。また、取付部31は図4に示された場所、形状に限定されるものでは無く、組み込む機器に応じて任意の場所、形状に構成できる。また、コンデンサ1とコア部材2(2A、2B)との間に隙間Gを設けることで、樹脂材4がコア部材の内部まで充填されることなどは、実施の形態1と同様である。
【0026】
上記のように構成された実施の形態3によれば、アキシャルリード構造のコンデンサ1のリード線11、12にコア部材2(2A、2B)を挿入し、アキシャル方向にリードを取り出す構造としてケース3に組み入れた上、樹脂材4を充填して固体化したので、アキシャル構造であることから平面配置が可能となり、部品の高さ方向を削減できる。さらに、実施の形態1と比較し、長手方向に最短配線とすることが可能となるため、多数のLC直列回路部品を使用する場合において、高密度の配置が可能となる。そのため、構造的にも電気的にもコンデンサとインダクタをともに好適な設計条件で構成できる。また図4(b)に示す第2の例においては、図4(a)の第1の例と比較してインダクタの実効断面積が約2倍となるため、大電流動作においてインダクタの飽和を防止できるインダクタ設計値をとることが可能となる。
【0027】
実施の形態4.
図5は本発明の実施の形態4による電力回路向けのLC直列回路部品を概念的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。この実施の形態4は、アキシャルリード構造のコンデンサ1の左右に導出されたリード線11、12を所定部で直角に図の下方向に曲げ、その曲げられたリード線11、12が上下方向に延在する部分にギャップ付のコア部材2(2A、2B)をコンデンサ1に対して隙間が空くように挿入し、外装であるケース3に格納し、樹脂材4によって封止したものである。なお、第1の例に係るLC直列回路部品10Eは、図5(a)に示すように一方のリード線11にのみ1つのコア部材2を装着したもの、第2の例に係るLC直列回路部品10Fは、図5(b)に示すように左右のリード線11、12の双方にそれぞれ1つずつコア部材2A、2Bを装着したものである。なお、ここでもコア部材2はギャップなしのものを使用することができる等、その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0028】
上記のように構成された実施の形態4においては、上記実施の形態1と同様の効果が得られることに加えて、実施の形態1と比較して、高さ方向の寸法を抑えた上で、他の部品との立体配線、特にLC直列回路部品下方に部品が配置される階層型配置などにおいても好ましく使用できるため、高密度の実装が可能となる。そのため、構造的にも電気的にもコンデンサとインダクタをともに好適な設計条件で構成できる。また、図5(b)に例示した第2の例では図5(a)の第1の例と比較して、インダクタの実効断面積が約2倍となるため、大電流動作においてインダクタの飽和を防止できるインダクタ設計値をとることが可能となる。
【0029】
実施の形態5.
図6〜図9は本発明の実施の形態5によるLC直列回路部品を説明する図であり、図6はLC直列回路部品をバスバーからなる導体が立設された基板に組み付けるときの位置関係を模式的に示す斜視図、図7は図6に示された被組付部が構造部材である場合の変形例を模式的に示す斜視図、図8は図6に示されたコア部材の位置を変更した場合の第2の変形例を模式的に示す斜視図、図9は図6に示されたコア部材の位置を更に変更した場合の第3の変形例を模式的に示す斜視図である。上記実施の形態1〜4までの例では、コンデンサ1から導出されたリード線11(12)にコア部材2(2A、2B)を挿通させる構成としたのに対し、この実施の形態5においては、被取付部材側のプリント基板5等に立設されたバスバー等の導体6(6A、6B)をコア部材2(2A、2B)の貫通孔32A、32Bに挿通してインダクタを構成するようにしたものである。図6において、LC直列回路部品10Gはケース3内の中央部に収容されたラジアルリード構造のコンデンサ1と、該コンデンサ1の両側部にそれぞれ配設された円筒状のコア部材2A、2Bと、これらコンデンサ1とコア部材2A、2Bの周りを包囲するように充填された樹脂材4からなり、コア部材2A、2Bに対応する位置には該コア部材2A、2Bの中心を上下に貫く貫通孔32A、32Bがそれぞれ設けられている。
【0030】
コンデンサ1のリード線11、12は図6に示すように、コンデンサ1本体からラジアル方向上方に導出された後、ケース3の外部で貫通孔32A、32Bの軸心O、P方向に略−90度(+90度)それぞれ折曲され、貫通孔32A、32B部分に先端部が達したところで、上記軸心O、Pに略平行な方向にさらに+90度(−90度)折曲され、該先端部が被取付部材側のプリント基板5等の所定位置に突出されたバスバーを構成する導体6A、6Bとの接続部11a、12aとして形成されている。そして、導体6A、6Bの基部には該導体6A、6Bを構成する銅板などの素材を例えばジグザグ状、あるいは連続S字カーブ状等に折曲形成した応力緩和手段61が設けられている。
【0031】
なお、図7の変形例に係るLC直列回路部品10Hは、取付部31Aをケース3の4隅に設けた貫通孔によって構成したものであり、該取付部31Aを有するLC直列回路部品10Hは、ケースやフレームなどの構造部材からなる被取付部材7に設けられたプリント基板5用の固定部7aに対して段差を設けて所定寸法高い位置に設けられた固定部7bに立体的に組み付けられる。その他は図6と略同様である。また、図8に示す第2の変形例に係るLC直列回路部品10Iは、2つのコア部材2A、2Bをコンデンサ1の側方部に並設し、コア部材2A、2B相互の間隔を短縮したもの、さらに図9に示す第3の変形例に係るLC直列回路部品10Jは、2つのコア部材2A、2Bがコンデンサ1の一側部及び他側部に斜め位置となるように配設したものである。
【0032】
上記のように構成された実施の形態5においては、LC直列回路部品を、プリント基板5上に突出された導体6A、6Bがコア部材2A、2Bの貫通孔32A、32Bを貫通するように図の上から下方向に移動させ、図6、図8、図9の例では図示省略している締結バンド等によりプリント基板5に固定する。図7の変形例では取付部31Aにボルト等の締結具を挿通して被取付部材7の固定部7bに固定する。そして、何れの場合も導体6A、6Bとリード線11、12の接続部11a、12aをハンダ付、熔接、クリップ接合等で接続することでLC直列回路が形成される。なお、応力緩和手段61は各種機械的な振動あるいはヒートサイクルによるストレスなどを吸収する機能を有する。また、プリント基板5としては、特に限定されるものではないが、例えば放熱効果の高い金属基板なども好ましく使用することができ、その場合には基板上にパワー部品(パワーMOS−FET等)を実装できるので、より高性能なパワー回路を構成することが可能となる。また、プリント基板5上に突出された導体6A、6Bの間隔が狭い場合、あるいは導体6A、6B相互が斜め位置に設けられている場合は図8に示す第2の変形例、あるいは図9に示す第3の変形例を用いることで、同様に効率的に実装される。
【0033】
上記のように、実施の形態5によれば、プリント基板5等から突設されたバスバー等の導体6A、6Bが、LC直列回路部品の貫通孔32A、32Bを貫通するように組付け、接続部11a、12aと導体6A、6Bを接続するだけでLC直列回路を構成できるので、組み立てを効率よく行うことができ、組立工程に要する時間を短縮できる。また、コア部材2A、2Bと導体6A、6Bとを組付け時まで別部材として扱うことができるので周辺構造部材への組み込みが容易となり、立体組み立てが容易となると共に耐振動特性も大幅に向上する。また、LC直列共振回路に適用した場合、配線バスバーや、プリント基板の配線抵抗、プリント基板への接続部分で発生する接続抵抗等、配線に関わる抵抗成分等による損失の発生を削減することも容易であり、回路の性能が向上する。また、バスバー配線抵抗及びバスバーインダクタンスを最小限にできるという顕著な効果が得られる。さらに、プリント基板5からスペーサ、構造部材の段差等によって浮かせて実装することも容易にできるので、プリント基板5上に実装された他の部品との干渉を防止することも容易となり、複数階建て構造とすることで実装面積を一層削減することもできる。
【0034】
さらに、特に図7の変形例などでは取付部31Aが貫通孔によって形成されているので、構造部材に対して強固に組み付けできるため、振動の厳しい例えば自動車、鉄道車両等の車載機器などにも好適に使用できる。また、プリント基板5等に設置される導体6(6A、6B)には、応力緩和手段61を設けたので、LC直列回路部品とプリント基板の振動条件が違う場合においても、接続部分の破断等物理的な故障を防止できる。加えて、電気的にはコンデンサの許容リップル電流に応じた条件でインダクタンスを設計できるため、コンデンサとインダクタが共に好適な設計条件で構成できるといった従来にない効果を奏するものである。なお図6では1つのコンデンサ1と2つのコア部材2A、2Bを配置しているが、コア部材は例えば必要に応じて1個としても良い。また、図7の変形例ではLC直列回路部品1回路のみの構成であるが、2回路以上を直列に構成し、あるいは並列に配置して構成することも可能であり、この場合さらに実装密度が向上し、小型化が可能となる。
【0035】
また、図8のように2つのコア部材2A、2Bが隣り合うように配置することで、プリント基板もしくは金属基板上の部品配置ピッチに合わせることも容易であり、また、図9の様に2つのコア部材2A、2Bをクロスする様に配置することで、プリント基板上の電流ループと、LC回路部品の電流ループを整合させることができる。上記、図6〜図9に示された例においては、実施の形態1と比較し、図7の組み立て構造例に示すように被取付部となる構造部材への取り付けが容易となり、しかも梁構造の梁としての機能を兼ねることも可能となる。また、組み立てにおいては上方からの組み立てが可能となるため、例えば異形部品自動機による組み立ても可能となり、量産することも容易である。なお、図8のコア部材2A、2Bは、実施の形態3のように中足を持つコア形状とすることもでき、その中足を削ることでギャップを高精度に管理できる。このとき、インダクタンスとしてはコアに1ターン巻いた物と同等である。
【0036】
実施の形態6.
図10、図11は本発明の実施の形態6による電力回路向けのLC直列回路部品を示す図であり、図10はLC直列回路部品をバスバーが立設されたインサートモールド部品に組み付けるときの位置関係を模式的に示す斜視図、図11は図10に示されたLC直列回路部品をインサートモールド部品に組み付け後の状態を模式的に示す斜視図である。図において、LC直列回路部品10Kは図5に示す実施の形態4と同様に構成されている。そして、該LC直列回路部品10Kが組み付けられる被取付部材7Aはインサートモールド部品からなり、該被取付部材7Aには、出力端子等外部との接続に必要な配線(何れも図示省略)の他、LC直列回路部品10Kの接続部11a、12aに接続するインダクタを構成するためのバスバー配線である導体6A、6Bと、プリント基板5への配線となるバスバー8などがインサート成型されている。また、プリント基板5(金属基板を使用しても良い)には、図示省略している必要な部品が実装され、上面には上記バスバー8との接続部51、52が設けられている。
【0037】
上記のような被取付部材7Aに対して組み付けるときは、プリント基板5とインサートモールド部品からなる被取付部材7Aを組み立て、プリント基板5への配線を行っておき、その後、被取付部材7Aに突設されたバスバーである導体6A、6BにLC直列回路部品10Kを図の上方部から挿入し、図示省略しているボルト等の締結具で被取付部材7Aに固定した後、LC直列回路部品10Kの接続部11a、12aと導体6A、6Bをハンダ付け、熔接、クリップ接合等で接合することでLC直列回路を完成させる。なお、被取付部材7Aの高さは、プリント基板5上に実装された図示省略している各種電子部品類の高さよりも寸法を大きくしておく必要があるが、LC直列回路部品10Kを組付けたときに相互に干渉しない部分では、該実装された電子部品類の高さが被取付部材7Aの高さより高くても差し支えないことは言うまでもない。また、プリント基板5は放熱効果の高い金属基板を使用することで、基板上にパワー部品(パワーMOS−FET等)を実装でき、より生産性を高めることが可能となる。
【0038】
上記のように実施の形態6によれば、インサートモールド部品からなる被取付部材7Aにはプリント基板5の場合よりも太いバスバーを組み付けることが可能となるため、配線抵抗を大幅に削減することが可能となり、LC直列共振回路に適用した場合、回路の性能がさらに向上する。さらにLC直列回路部品10Kは構造部材としているため、強固に被取付部材7Aに組み付けでき、振動条件の厳しい自動車機器や電鉄機器等においても使用できる。さらに、実施の形態5と比較し、プリント基板5にバスバーを構成する導体6A、6Bを取り付けなくて良くなるため、基板組み立て時にバスバーの位置決め精度を管理しなくても良くなり、組み立て性がさらに向上する。また、導体6A、6Bに容易に応力緩和手段61を設けることができ、LC直列回路部品10Kとプリント基板5や、インサートモールド部品からなる被取付部材7A、導体6A、6Bとの振動条件が違う場合においても、接続部分の破断等物理的な故障を防止できる。加えて、電気的にはコンデンサの許容リップル電流に応じた条件でインダクタンスを設計できるため、コンデンサとインダクタがともに好適な設計条件で構成できる。
【0039】
なお図10ではコンデンサ1個とコア部材2個を配置しているが、コア部材は必要数に応じて決めればよく、例えば1個でも良い。また、図10ではLC直列回路部品10Kを1回路のみ組み付けた構成を例示したが、2回路以上を直列に構成することや並列に配置して構成することも可能であり、この場合さらに実装密度が向上し、小型化が可能となる。また、実施の形態5に係る図8に示すように複数のコア部材2A、2Bを隣り合うように配置し、あるいは図9の様に配置することも可能であり、プリント基板サイズに合わせることやプリント基板上の電流ループと、LC直列回路部品の電流ループを必要に応じて整合させることもできる等、種々の変更、変形、組合せが可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1によるLC直列回路部品を模式的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図2】図1に示されたギャップ付のコア部材を用いるときのギャップに対する導体の好ましい配置(a)、好ましくない配置(b)を説明する図。
【図3】本発明の実施の形態2によるLC直列回路部品を模式的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図4】本発明の実施の形態3によるLC直列回路部品を概念的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図5】本発明の実施の形態4によるLC直列回路部品を概念的に示す斜視図であり、(a)は第1の例、(b)は第2の例を示す。
【図6】本発明の実施の形態5によるLC直列回路部品をバスバーからなる導体が立設された基板に組み付けるときの位置関係を模式的に示す斜視図。
【図7】図6に示された被組付け部が構造部材である場合の変形例を模式的に示す斜視図。
【図8】図6に示されたコア部材の位置を変更した場合の第2の変形例を模式的に示す斜視図。
【図9】図6に示されたコア部材の位置を更に変更した場合の第3の変形例を模式的に示す斜視図。
【図10】本発明の実施の形態6によるLC直列回路部品をバスバーが立設されたインサートモールド部品に組み付けるときの位置関係を模式的に示す斜視図。
【図11】図10に示されたLC直列回路部品をインサートモールド部品に組み付け後の状態を模式的に示す斜視図。
【符号の説明】
【0041】
1 コンデンサ、 1a 上面、 11、12 リード線、 11a、12a 接続部、 2、2C コア部材、 2a ギャップ、 21 第1部材、 21a 中足、 21b 窓部、 22 第2部材、 3 ケース(LCケース)、 31、31A 取付部、 31a 貫通穴、 32A、32B 貫通孔、 4 樹脂材(充填材)、 5 プリント基板、 6(6A、6B) 導体、 61 応力緩和手段、 7、7A 被取付部材、 7a、7b 固定部、 10、10A〜10K LC直列回路部品、 G 隙間、 A 内部空間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード線が導出されたコンデンサと、上記リード線が挿通され、または組付け時に該リード線に接続される導体を挿通し得るように設けられたインダクタを構成する少なくとも1つのコア部材と、上記リード線の先端部が露出するように上記コンデンサ及び上記コア部材の周りを包囲して一体化する樹脂材とを備えたことを特徴とするLC直列回路部品。
【請求項2】
上記コア部材は上記リード線の周りを包囲するように設けられ、上記樹脂材に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のLC直列回路部品。
【請求項3】
上記コンデンサはアキシャルリード構造のコンデンサからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLC直列回路部品。
【請求項4】
上記リード線の先端部は上記樹脂材からアキシャル方向に導出されていることを特徴とする請求項3に記載のLC直列回路部品。
【請求項5】
上記リード線は上記コンデンサの導出部から直交方向に曲げられ、その曲げられた部分に上記コア部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のLC直列回路部品。
【請求項6】
上記樹脂材における上記コア部材に対応する位置に、該コア部材の中心部を貫く組付け時上記導体を挿通するための貫通孔が形成され、該導体と該コア部材によってインダクタが構成されることを特徴とする請求項1に記載のLC直列回路部品。
【請求項7】
上記コンデンサのリード線の先端部は上記貫通孔の中心軸部分に延出され、該リード線の先端部に上記導体との接続部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のLC直列回路部品。
【請求項8】
上記コンデンサはラジアルリード構造のコンデンサからなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6、請求項7の何れかに記載のLC直列回路部品。
【請求項9】
上記コア部材は、トロイダルコアまたはギャップ付コアからなることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載のLC直列回路部品。
【請求項10】
上記コア部材は、中足を有する分割コアからなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6〜請求項8の何れかに記載のLC直列回路部品。
【請求項11】
上記コンデンサ、及び上記コア部材を収容するケースを備え、上記樹脂材によってモールドされてなることを特徴とする請求項1〜請求項10に記載のLC直列回路部品。
【請求項12】
上記ケースに取付部が形成されていることを特徴とする請求項11に記載のLC直列回路部品。
【請求項1】
リード線が導出されたコンデンサと、上記リード線が挿通され、または組付け時に該リード線に接続される導体を挿通し得るように設けられたインダクタを構成する少なくとも1つのコア部材と、上記リード線の先端部が露出するように上記コンデンサ及び上記コア部材の周りを包囲して一体化する樹脂材とを備えたことを特徴とするLC直列回路部品。
【請求項2】
上記コア部材は上記リード線の周りを包囲するように設けられ、上記樹脂材に埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のLC直列回路部品。
【請求項3】
上記コンデンサはアキシャルリード構造のコンデンサからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLC直列回路部品。
【請求項4】
上記リード線の先端部は上記樹脂材からアキシャル方向に導出されていることを特徴とする請求項3に記載のLC直列回路部品。
【請求項5】
上記リード線は上記コンデンサの導出部から直交方向に曲げられ、その曲げられた部分に上記コア部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のLC直列回路部品。
【請求項6】
上記樹脂材における上記コア部材に対応する位置に、該コア部材の中心部を貫く組付け時上記導体を挿通するための貫通孔が形成され、該導体と該コア部材によってインダクタが構成されることを特徴とする請求項1に記載のLC直列回路部品。
【請求項7】
上記コンデンサのリード線の先端部は上記貫通孔の中心軸部分に延出され、該リード線の先端部に上記導体との接続部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のLC直列回路部品。
【請求項8】
上記コンデンサはラジアルリード構造のコンデンサからなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6、請求項7の何れかに記載のLC直列回路部品。
【請求項9】
上記コア部材は、トロイダルコアまたはギャップ付コアからなることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載のLC直列回路部品。
【請求項10】
上記コア部材は、中足を有する分割コアからなることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6〜請求項8の何れかに記載のLC直列回路部品。
【請求項11】
上記コンデンサ、及び上記コア部材を収容するケースを備え、上記樹脂材によってモールドされてなることを特徴とする請求項1〜請求項10に記載のLC直列回路部品。
【請求項12】
上記ケースに取付部が形成されていることを特徴とする請求項11に記載のLC直列回路部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−224933(P2009−224933A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65323(P2008−65323)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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