説明

LED点灯制御装置及びそれを備えた電子機器

【課題】 簡単な回路構成でLEDオープンエラーを検知し、LEDオープンエラーを生じないLED電圧を決定することができるLED点灯制御装置及びそれを備えた電子機器を提供する。
【解決手段】 LED点灯制御装置220は、電源232、ドライバ238及び制御部240を備え、ドライバは、LEDアレイ230の負極端子の電圧VsdによりLEDオープンエラーを検知し、制御部は、LEDオープンエラーが検知された場合、LEDオープンエラーが解除されるまで正極端子に印加するLED電圧Vledを増大させ、LEDオープンエラーが解除されたときの電圧Vledを仮LED電圧として決定し、LEDアレイを点灯させる場合、仮LED電圧よりも所定値だけ大きいLED電圧を印加するように、電源を制御する。これにより、簡単な回路構成でLEDオープンエラーを検知し、LED点灯時のLED電圧を適切に決定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のバックライト、スキャナの光源などに使用されるLEDに印加する電圧を制御するLED点灯制御装置及びそれを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LEDは、電子機器の動作状態を示すための表示ランプとしての使用に限らず、種々の光源として使用されている。例えば、液晶表示装置のバックライト、スキャナの光源、照明用ランプなどに使用されている。
【0003】
LEDを適切に発光させるためには、所定電圧以上の順電圧を端子間に印加することが必要であり、そのための駆動回路(以下、ドライバと記す)が知られている。LEDは通電により温度が上昇し、それに伴ってLEDのオン電圧であるVF値(順電圧)が減少する。したがって、例えば図1に示すような回路を採用し、LEDの近傍にサーミスタなどを配置して、検出した温度に応じて、LEDへの印加電圧を制御することが知られている。
【0004】
図1を参照して、従来のLED点灯制御装置は、LEDが直列に接続されたLEDアレイ200、電源202、DAコンバータ204、サーミスタ206、ドライバIC208、及びCPU210を備えている。CPU210は、DAコンバータ204及びドライバIC208の制御、並びにサーミスタ206を介してLEDアレイ200の温度検知を行なう。DAコンバータ204は、CPU210から入力されるデジタル制御信号Sdに応じたレベルのアナログ制御信号Saを電源202に出力する。電源202は、DAコンバータ204からのアナログ制御信号Saの大きさに応じたLED電圧VledをLEDの正極端子に印加する。例えば、電源202の入出力比が0.1V/1レベルである場合、DAコンバータ204からのアナログ制御信号Saが0〜200レベルの範囲で変化すると、LED電圧Vledは0〜20Vの範囲で変化する。ドライバIC208は、CPUからの制御信号Sonを受けて、LEDアレイ200の点灯/消灯制御及びLEDアレイ200の定電流制御を行なう。LEDアレイ200を定電流制御するのは、LEDの電流値の変化によるVF値の変化を抑制するためである。
【0005】
図1に示した従来のLED点灯制御装置の動作を説明する。例えば、電源202の出力電圧Vledの初期値として11VがLEDアレイ200の正極端子に印加される。LEDアレイ200の温度は上昇しておらず、各LEDのVF値を2Vとすると、4つのLED全体のVF値は2V×4=8Vである。したがって、LED電圧Vledが8V+1V=9Vで、LEDが発光しないLEDオープンエラー(以下、単にオープンエラーとも記す)は解除される。この状態では、ドライバIC208のLEDドライブ端子電圧Vdsは11V−8V=3Vである。ドライバIC208は、LEDアレイ200の電流値が一定になるように制御する。例えば、LEDアレイ200の電流値が100mAになるように制御している場合、ドライバIC208の消費電力は、3V×100mA=300mWである。
【0006】
その後、LEDの発熱によりLEDの温度が上昇すると、VF値が減少する。例えば、LEDアレイ200の温度が75℃になり、各LEDのVF値が2Vから1.75Vに減少したとすると、4つのLED全体のVf値は1.75V×4=7Vに減少する。このときのドライバIC208の消費電力は、(11V−7V)×100mA=400mWとなり、初期状態よりも増大する。この状態では、オープンエラーは7V+1V=8Vで解除されるので、LED電圧Vledを1V減少させ、10Vにすることができる。
【0007】
したがって、図1において、サーミスタ206によって検出された温度が高温になれば、CPU210は、LED電圧Vledが減少するようにDAコンバータ204に制御信号を出力する。電圧を下げ過ぎるとオープンエラーが発生するので、LED電圧Vledの制御は、オープンエラーが発生しない範囲内で行なわれることが必要である。例えば、CPU210が、LEDアレイ200全体のVF値が7Vに減少する温度まで上昇したことを検知した場合、DAコンバータ204への制御電圧レベルを、LED電圧Vledが10Vになるように変更する。これによって、ドライバIC208の消費電力は、(10V−7V)×100mA=300mWとなり、初期状態と同じになる。
【0008】
また、下記特許文献1には、バックライトに使用される複数のLEDセットを駆動可能なドライバを備えた液晶表示装置が開示されている。特許文献1に記載された装置では、例えば2つのLEDの電圧制御を行なう場合、ドライバの出力電圧をモニタして、LED電圧の制御を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−118089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図1に示したLED点灯制御装置では、LEDの温度上昇を検出するために、サーミスタなどの余分な回路素子を備える必要があり、CPUにおける制御処理が複雑になる問題がある。
【0011】
特許文献1に開示されたLEDドライバでは、フィードバック回路による複数の参照電圧が必要であり、複雑な回路が必要となる。また、特許文献1に開示されたLEDドライバでは、LEDオープンエラーの検知については何ら考慮されていない。
【0012】
したがって、本発明は、簡単な回路構成で、LEDオープンエラーを検知し、LEDが温度変化しても、LEDオープンエラーを生じない適切なLED電圧を速やかに決定することができるLED点灯制御装置及びそれを備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的は、下記によって達成することができる。
【0014】
即ち、本発明に係るLED点灯制御装置は、複数のLEDが直列に接続されたLEDアレイの正極端子に正の電圧を印加する電源と、LEDアレイの負極端子に接続され、LEDアレイの電流値を一定に制御するドライバと、電源を制御して正極端子に電圧を印加させる制御部とを備え、ドライバは、負極端子の電圧によりLEDオープンエラーを検知し、制御部は、ドライバによってLEDオープンエラーが検知された場合、電源を制御して、LEDオープンエラーが解除されるまで正極端子に印加する電圧を増大させ、LEDオープンエラーが解除されたときに正極端子に印加されている電圧を仮LED電圧として決定し、制御部は、LEDアレイを点灯させる場合、仮LED電圧よりも所定値だけ大きい電圧が正極端子に印加されるように、電源を制御する。
【0015】
好ましくは、制御部は、仮LED電圧よりも所定値だけ大きい電圧を通常LED電圧として決定した後、所定のタイミングで、電源を制御して、ドライバによってLEDオープンエラーが検出されるまで、正極端子に印加する電圧を通常LED電圧から減少させ、LEDオープンエラーが検出されたときに正極端子に印加されている電圧を新たな仮LED電圧として決定する。
【0016】
より好ましくは、制御部は、新たな仮LED電圧を決定した後、電源を制御して、LEDオープンエラーが解除されるまで正極端子に印加する電圧を増大させ、LEDオープンエラーが解除されたときに正極端子に印加されている電圧をより新たな仮LED電圧として決定する。
【0017】
さらに好ましくは、所定のタイミングは、所定時間が経過したときである。
【0018】
好ましくは、制御部は、LEDアレイの点灯のデューティ比を測定し、所定のタイミングは、デューティ比が所定値よりも増大又は減少したときである。
【0019】
より好ましくは、LED点灯制御装置は、LEDアレイの温度を測定する手段をさらに備え、所定のタイミングは、LEDアレイの温度が所定値よりも増大又は減少したときである。
【0020】
本発明に係るLED点灯制御装置は、上記のLED点灯制御装置と、直列に接続された複数のLEDを含み、LED点灯制御装置から電圧の印加を受けるように接続されたLEDアレイとを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、LEDのドライバによりLEDアレイの負極端子の電圧のみを測定する簡単な回路構成で、LEDオープンエラーを検知することができ、LEDオープンエラーを発生せず、ドライバの消費電力を増大させない適切なLED電圧を速やかに決定することができる。
【0022】
また、所定の時間が経過したときに、LEDオープンエラーを発生しないLED電圧を新たに設定することによって、LEDの温度変化によってLEDのVF値が変化しても、適切なLED電圧を使用してLEDを点灯させることができる。
【0023】
また、LEDの温度を直接測定する代わりに、LED点灯のデューティ比を測定して、LEDオープンエラーを発生しないLED電圧を新たに設定するタイミングを決定することによって、LEDの温度変化によってLEDのVF値が変化しても、適切なLED電圧を使用してLEDを点灯させることができる。
【0024】
また、LEDの温度を測定して、LEDオープンエラーを発生しないLED電圧を新たに設定するタイミングを決定することによって、LEDの温度変化によってLEDのVF値が変化しても、適切なLED電圧を使用してLEDを点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来のLED点灯制御装置を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における画像読取装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における照明装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るLED点灯制御装置を示すブロック図である。
【図6】図5に示したLED点灯制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】LED点灯のデューティ比の定義を示すグラフである。
【図8】LEDの温度とデューティ比との関係を示すグラフである。
【図9】図8に示した条件でVF測定モードを実行する動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るLED点灯制御装置を示すブロック図である。
【図11】図10に示したLED点灯制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0027】
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100は、原稿を読取って生成された画像データに応じて、所定の記録紙に多色又は単色の画像を形成する。画像形成装置100は、本体装置110と、自動原稿処理装置42とにより構成されている。本体装置110は、光走査装置1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91を備えて構成されている。画像形成装置100は、これらの他にも画像形成装置として機能するために必要な構成要素をも備えている。
【0028】
本体装置110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側には自動原稿処理装置42が取り付けられている。自動原稿処理装置42は、原稿載置台92の上に自動的に原稿を搬送する。原稿送り装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手で置くことができるようになっている。
【0029】
本画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像データ、即ち、これら4色の成分に分解された画像データである。したがって、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、及びクリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれ4個ずつ設けられ、これらによって、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローを処理する4つの画像ステーションが構成されている。
【0030】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための装置であり、図2に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0031】
光走査装置1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。光走査装置1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズ及びミラー等の光学要素とが配置されている。光走査装置1としては、このような構成以外に、発光素子をアレイ状に並べた例えばEL又はLED書込みヘッドを用いるものも採用できる。
【0032】
光走査装置1は、帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化する。クリーナユニット4は、現像及び画像転写後に感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去及び回収する。
【0033】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、YMCKの各色に対応して4本設けられている。
【0034】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。各中間転写ローラ64は、対応する感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するために、後述する転写バイアスを供給する。
【0035】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0036】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行なわれる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなどを用いることも可能である。
【0037】
上述の様に各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト61上で積層される。このように積層された画像情報(トナーの濃淡分布)は、中間転写ベルト61が回転されて、記録紙と中間転写ベルト61との接触位置に配置される転写ローラ10によって記録紙上に転写される。
【0038】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10とは所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーを記録紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方には硬質材料(金属等)が用いられ、他方には弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、発泡性樹脂ローラ等)が用いられる。
【0039】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、又は転写ローラ10によって記録紙上に転写が行なわれずに中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去されて回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、クリーニング部材として、例えば中間転写ベルト61に接触するクリーニングブレードが配置されており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0040】
給紙カセット81は、画像形成に使用する記録紙を蓄積しておくためのトレイであり、本体装置110の光走査装置1の下側に設けられている。また手差し給紙カセット82にも画像形成に使用する記録紙を置くことができる。また、本体装置110に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みの記録紙をフェイスダウンで、即ち印刷面を下にして集積するためのトレイである。
【0041】
本体装置110には、給紙カセット81及び手差し給紙カセット82の記録紙を、転写ローラ10及び定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るために、略鉛直方向に記録紙搬送路Sが形成されている。給紙カセット81又は手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの記録紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a、11b、複数の搬送ローラ12a〜12d、レジストローラ13、転写ローラ10、及び定着ユニット7等が配置されている。
【0042】
搬送ローラ12a〜12dは、記録紙の搬送を促進及び補助するための小型のローラであり、記録紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に配置され、給紙カセット81から記録紙を1枚ずつピックアップして記録紙搬送路Sに供給する。同様に、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に配置され、手差し給紙カセット82から記録紙を1枚ずつピックアップして記録紙搬送路Sに供給する。
【0043】
レジストローラ13は、記録紙搬送路Sを搬送される記録紙を一旦保持する。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と記録紙の先端とが一致するタイミングで記録紙を転写ローラ10に搬送する。
【0044】
定着ユニット7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、記録紙を挟んで回転する。また、ヒートローラ71は、温度検出器(図示せず)からの信号に基づいて、制御部によって所定の定着温度に設定されており、加圧ローラ72とともにトナーを記録紙に熱圧着することにより、記録紙に転写された多色トナー像を溶融、混合、及び圧接し、記録紙に対して熱定着させる機能を有している。また、ヒートローラ71を外部から加熱するための外部加熱ベルト73が設けられている。
【0045】
次に記録紙搬送経路を詳細に説明する。上述のように、画像形成装置100には予め記録紙を収納する給紙カセット81、及び手差し給紙カセット82が設けられている。これら給紙カセット81,82から記録紙を給紙するために、各々ピックアップローラ11a,11bが配置され、記録紙を1枚ずつ記録紙搬送路Sに導くようになっている。
【0046】
給紙カセット81,82から搬出される記録紙は、記録紙搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、記録紙の先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端とが整合するタイミングで転写ローラ10に投入され、記録紙上に画像情報が書き込まれる。その後、記録紙は定着ユニット7を通過することによって記録紙上の未定着トナーが熱で溶融、及び固着され、記録紙搬送路Sの最後に配置された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
【0047】
上記の搬送経路は、記録紙に対する片面印字要求のときのものである。両面印字要求のときには、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過した記録紙の後端部分が、搬送経路の最終の搬送ローラ12bによって把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによって記録紙を搬送ローラ12c,12dに導く。その後記録紙は、レジストローラ13まで搬送され、上記と同様に記録紙裏面に印字が行なわれた後に排紙トレイ91に排出される。
【0048】
次に、画像読取装置41及び自動原稿処理装置42について説明する。図3を参照して、自動原稿処理装置42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により画像読取り装置41の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。自動原稿処理装置42が開かれたときには、画像読取装置41のプラテンガラス44が開放され、プラテンガラス44上に原稿が載置される。
【0049】
画像読取装置41は、プラテンガラス44、第1走査ユニット45、第2走査ユニット46、結像レンズ47、及びCCD(Charge Coupled Device)48等を備えている。
【0050】
第1走査ユニット45は、照明装置51及び第1反射ミラー52を備えている。第1走査ユニット45は、副走査方向Yへと原稿サイズに応じた距離だけ一定速度Vで移動しながら、プラテンガラス44上の原稿を照明装置51によって露光し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。これにより原稿表面の画像(カラー又は白黒の文字、図形、写真などを含む)を副走査方向Yに走査する。第2走査ユニット46は、第2反射ミラー53及び第3反射ミラー54を備えている。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して速度V/2で移動しつつ、原稿からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿からの反射光をCCD48に集光して、原稿表面の画像をCCD48上に結像させる。CCD48は、原稿の画像を繰り返し主走査方向(図3の紙面に垂直な方向)に走査し、1回走査する度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。
【0051】
第1及び第2走査ユニット45、46には、それぞれのプーリー(図示せず)が設けられている。これらのプーリーにワイヤー(図示せず)が架け渡され、ワイヤーがステッピングモータにより駆動されることによって、第1及び第2走査ユニット45、46が同期して移動する。
【0052】
画像読取装置41は、プラテンガラス44上の静止原稿だけではなく、自動原稿処理装置42により搬送されている原稿表面の画像を読取ることができる。この場合には、図3に示すように第1走査ユニット45を原稿読取ガラス84下方の読取領域に移動させ、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を配置する。この状態で、自動原稿処理装置42による原稿の搬送を開始する。
【0053】
自動原稿処理装置42では、ピックアップローラ55を原稿トレイ56上の原稿に押し当てた状態で回転させて1枚の原稿を引き込み、搬送し、原稿の先端をレジストローラ85に突き当てて、原稿の先端を揃えてから、原稿を原稿読取ガラス84と読取ガイド板86との間を通過させ、原稿を排紙ローラ58から排紙トレイ49へと排出する。
【0054】
原稿の搬送に際し、第1走査ユニット45の照明装置51により、原稿読取ガラス84を介して原稿表面を照明し、原稿表面からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、原稿表面からの反射光を結像レンズ47によりCCD48に集光させ、原稿表面の画像をCCD48上に結像させる。これにより原稿表面の画像を読取る。
【0055】
原稿の裏面を読取る場合には、中間トレイ67をその軸69の周りに、1点鎖線で示すように回転させておき、原稿を排紙ローラ58から排紙トレイ49へと排出する途中で、排紙ローラ58を停止させて、原稿を中間トレイ67上に受ける。この状態で、排紙ローラ58を逆回転させて、反転搬送路68を介して原稿をレジストローラ85へと導いて、原稿の表裏を反転させる。原稿表面の画像の読取と同様に、原稿裏面の画像を読取り、中間トレイ67を、実線で示す元の位置に戻して、原稿を排紙ローラ58から排紙トレイ49へと排出する。
【0056】
このようにして、CCD48により読取られた原稿表面の画像は、CCD48からアナログ画像信号として出力され、アナログ画像信号がA/D変換されてデジタル画像信号が生成される。デジタル画像信号は、種々の画像処理を施されてから画像形成装置100の光走査装置(レーザ露光装置)1へと入力され、画像が記録紙に記録され、この記録紙が複写原稿として出力される。
【0057】
なお、プラテンガラス44又は原稿読取ガラス84上の原稿を第1走査ユニット45の照明装置51により照明するときには、LEDアレイ77の射出光の殆ど全てが原稿に入射するように、射出光の損失を低減させるのが望ましい。そこで、図3に示した照明装置51では、LEDアレイ77の射出光を原稿側に直接導くと共に、原稿に直接照射できない方向の射出光を反射板79へと導く導光部材78と、導光部材78により導かれた光を原稿側に反射させる反射板79とを備えている。これにより、LEDアレイ77の射出光の損失を低減させて、射出光の殆ど全てを原稿に入射させている。
【0058】
図4を参照して、照明装置51は、基板75、基板75上に搭載されたLEDアレイ77、基板75に固定支持された導光部材78、及び反射板79を備えている。基板75、LEDアレイ77、導光部材78、及び反射板79のいずれも、長手方向が原稿を読取るときの主走査方向Xに沿うように配置され、主走査方向Xの読取領域と同程度の長さを有する。
【0059】
LEDアレイ77は、基板75上で主走査方向Xに沿って1列に配置された複数のLED76からなる。各LED76が基板75の配線パターンに接続され、基板75の配線パターンがハーネス(図示せず)を通じて移動走査フレーム(図示せず)に搭載されたドライバ回路(図示せず)に接続されている。このドライバ回路は、ハーネス及び基板75の配線パターンを通じて各LED76へと電力を供給し、各LED76を点灯及び消灯制御する。
【0060】
[第1の実施の形態]
図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るLED点灯制御装置220は、複数のLEDが直列に接続されたLEDアレイ230、電源232、DAコンバータ234、ドライバIC238、及びCPU240を備えている。図5のLED点灯制御装置220は、上記したドライバ回路として移動走査フレーム(図示せず)に搭載される。
【0061】
CPU240は、DAコンバータ234及びドライバIC238の制御を行なう。CPU240は、ドライバIC238からのエラー信号Sopに応じてエラー処理をも行なう。DAコンバータ234は、CPU240から入力されるデジタル制御信号Sdに応じたレベルのアナログ制御信号Saを電源232に出力する。電源232は、DAコンバータ234からの制御信号Saの大きさに応じたLED電圧Vledを、LEDアレイ230の正極端子に印加する。例えば、電源232の入出力比が0.1V/1レベルである場合、DAコンバータ234からの制御信号Saが0〜200レベルの範囲で変化すると、LED電圧Vledは0〜20Vの範囲で変化する。ドライバIC238は、LEDアレイ230の点灯/消灯制御及びLEDアレイ230の定電流制御を行なう。ドライバIC238は、LEDドライブ端子電圧Vsdが所定値(例えば1V)以下になるとエラー信号SopをCPU240に出力する。
【0062】
図6を参照して、LED点灯制御装置220によるLED電圧制御について説明する。以下の説明において、各LEDのVF値は2Vであり、デジタル制御信号Sdの値が1増大すればVledは0.1V増大することとする。また、デジタル制御信号Sdの値は、レジスタ(図示せず)などの記憶手段に一時的に記憶され、CPU240によって変更されて上書きされることとする。
【0063】
ステップ300において、CPU240が初期設定を行なう。具体的には、CPU240は、レジスタに“0”をセットし、タイマを“0”にセットする。この状態では、DAコンバータ234からアナログ制御信号Saは出力されないので、LEDアレイ230にはLED電圧Vledが印加されない。
【0064】
ステップ302において、CPU240は、レジスタからデータ(Sd)を読出し、読出した値に対応するデジタル制御信号Sdを出力し、かつドライバIC238を制御するための制御信号Sonを出力した状態で、オープンエラーが発生しているか否かを判定する。オープンエラーが発生している場合、ステップ304に移行し、発生していなければ、ステップ306に移行する。具体的には、ドライバIC238が、LEDドライブ端子電圧Vdsが1V未満か否かを判定し、1V未満であればエラー信号Sopを出力し、1V以上であればエラー信号Sopを出力しない。CPU240は、エラー信号Sopを受信した場合、オープンエラーが発生したと判定する。初期設定直後は、LED電圧Vled=0であるので、オープンエラーが発生している。
【0065】
ステップ304において、CPU240は、レジスタからデータ(Sd)を読出し、その値を1増大させてレジスタに上書きする。その後、処理はステップ302に戻る。これによって、ステップ302において、再びCPU240がデジタル制御信号Sdを出力する場合、DAコンバータ234から出力されるアナログ制御信号Saが増大し、それに応じてLED電圧が0.1V増大する。
【0066】
ステップ306において、CPU240は、レジスタからデータ(Sd)を読出し、その値に20を加算して、レジスタに上書きする。
【0067】
ステップ302での処理が繰返し実行されて、LED電圧Vledが0Vから徐々に増大し、ある電圧(以下、しきい値電圧という)Vthになれば、オープンエラーが発生しないようになる。そのときのレジスタのデータ(Sd)を20増大させてレジスタに上書き記憶しておけば、LEDを点灯させる場合に、LED電圧Vledは、オープンエラーが発生しないしきい値電圧Vthよりも2V大きい値になり、LEDは安定して点灯する。このように、ステップ302〜306によって、デジタル制御信号Sdの初期値、即ちオープンエラーが発生しないLED電圧Vledの初期値が決まる。
【0068】
その後、ステップ308において、画像形成装置100は、ユーザによって操作を受けて通常動作を行なう。例えば、原稿をスキャンする場合、CPU240はレジスタからデータ(Sd)を読み出して、デジタル制御信号SdをDAコンバータ234に出力し、LEDアレイ230が点灯して原稿を照明する。
【0069】
通常動作を行なっていない状態で、ステップ310において、画像形成装置100を停止する操作(例えば電源OFF)がなされたか否かが判定される。停止する操作がなされた場合終了し、そうでなければ、ステップ302に移行する。
【0070】
ステップ302において、上記と同様に、CPU240はレジスタから読出したデータ(Sd)を用いて、オープンエラーが発生しているか否かを判定する。オープンエラーが発生している場合、ステップ314に移行し、オープンエラーが発生していない場合、ステップ316に移行する。
【0071】
ステップ314において、エラー処理を行ない、ステップ308に戻る。エラー処理は、例えば、上記したステップ302〜306の処理である。
【0072】
ステップ316において、CPU240は、タイマから現在時刻を取得し、タイマの値を“0”にセットしたとき(例えば、ステップ300)から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過してれば、ステップ318に移行し、そうでなければステップ308に戻る。
【0073】
ステップ318において、CPU240は、レジスタからデータ(Sd)を読出し、その値から1を減算し、レジスタに上書きする。
【0074】
ステップ302において、上記と同様に、CPU240はレジスタから読出したデータ(Sd)を用いて、オープンエラーが発生しているか否かを判定する。オープンエラーが発生するまで、ステップ318及びステップ302を繰返す。オープンエラーが発生している場合、ステップ304に移行する。
【0075】
これによって、LEDの温度変化によってVF値が変化していても、オープンエラーが発生するときのしきい値電圧Vthに対応するデジタル制御信号Sdを決定し、その値を20増大させて、新たなデジタル制御信号Sdをレジスタに記録することができる。したがって、LED電圧Vledをしきい値電圧Vthよりも2V大きい値に設定することができ、オープンエラーを発生させずに、LED電圧Vledを低減できる。
【0076】
例えば、ステップ318を実行する直前に、Sd=110(Vled=11V)に対応)であり、LEDが75℃(各LEDのVF値が1.75V)であるとすると、LED全体のVF値は7Vである。したがって、ステップ318を繰返しても、Sdが約80(Vledが約8V、Vdsが約1V)になるまでは、オープンエラーは発生しない。さらにステップ318を実行してSd<80(Vled<8V)になると、ドライバ電圧Vdsが1Vよりも小さくなるのでオープンエラーが発生する。オープンエラーが発生すると、ステップ304に移行し、オープンエラーが発生しなくなるまでステップ302及び304を繰返し、デジタル制御信号Sdを増大させる。その後、オープンエラーが発生しなくなれば、ステップ306において、デジタル制御信号Sdを20増大させて新たなデジタル制御信号Sd(例えば、Sd=100)としてレジスタに保存する。その後、ステップ308において、LEDを点灯させる場合には、レジスタからSd=100が読出されて使用され、LEDにはVled=10Vが印加される。よって、LED電圧Vledを初期電圧11Vよりも低くし、ドライバIC238の消費電力を初期状態と同じにすることができる。
【0077】
上記では、ステップ318に続くステップ302において、オープンエラーが発生した場合、ステップ304に移行するが、ステップ304に移行せずに、ステップ306に移行して、新たなデジタル制御信号Sdを決定してもよい。
【0078】
上記では、通常動作していないときに、ステップ316を実行し、所定の時間が経過していれば、VF測定モード(ステップ318及びステップ302)を実行する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、時間以外の要因からVF測定モードを実行する条件を定めてもよい。例えば、LEDの点灯時間のデューティ比Dによって、VF測定モードを実行するか否かを判定してもよい。デューティ比Dは、例えば図7に示したように、所定時間Tc中のLEDの点灯時間Ton(消灯時間はTc−Ton)から、D=Ton/Tcによって定める。例えば、Tcを比較的長い時間に設定し、Tcの間に複数回LEDが点灯/消灯を繰返す場合、点灯時間Tonを加算して求めたデューティ比Dの値が所定値以上になったときに、VF測定モードを実行する。また、点灯及び消灯の1サイクル毎にデューティ比Dを求め、これを累積加算した値が所定値以上になったときに、VF測定モードを実行するようにしてもよい。
【0079】
図8に示すように、デューティ比Dが増大するとLEDの温度は上昇する。したがって、D=0〜100(%)を複数のエリアに区分し、デューティ比Dが含まれるエリアが変わったときに、VF測定モードを実行してもよい。例えば、図8に示したように、3つの領域(第1エリア〜第3エリア)に区分し、第1エリアに含まれていたDが33%を超えて、第2エリアに含まれるようになったとき、又は、第2エリアに含まれていたDが66%を超えて、第3エリアに含まれるようになったときに、VF測定モードを実行する。また、第2エリアに含まれていたDが33%未満になり、第1エリアに含まれるようになったとき、又は、第3エリアに含まれていたDが66%未満になり、第2エリアに含まれるようになったときに、VF測定モードを実行してもよい。
【0080】
CPU240は、図6のフローチャートと同様にデジタル制御信号Sdの初期値を決定する処理(ステップ300〜306)を実行し、通常動作(ステップ308)が可能になった後に、図9に示す処理を実行する。
【0081】
図9を参照して、ステップ400においてCPU240は初期設定を行なう。具体的には、該当エリアを記録するレジスタR1に、第1エリアを示す値(例えば“1”)を記録する。ステップ400の処理は、ステップ300において実行されてもよい。
【0082】
ステップ402において、CPU240はデューティ比Dを測定する。
【0083】
ステップ404において、CPU240は、デューティ比Dが33%未満か否かを判定する。デューティ比Dが33%未満であれば、ステップ406において、CPU240は、仮エリアを示すレジスタR2に第1エリアを示す値“1”を記録して、ステップ416に移行する。デューティ比Dが33%未満でなければ、ステップ408に移行する。
【0084】
ステップ408において、CPU240は、デューティ比Dが33%以上66%未満か否かを判定する。デューティ比Dが33%以上66%未満であれば、ステップ410において、CPU240は、仮エリアを示すレジスタR2に第2エリアを示す値“2”を記録して、ステップ416に移行する。デューティ比Dが33%以上66%未満でなければ、ステップ412に移行する。
【0085】
ステップ412において、CPU240は、デューティ比Dが66%以上か否かを判定する。デューティ比Dが66%以上であれば、ステップ414において、CPU240は、仮エリアを示すレジスタR2に第3エリアを示す値“3”を記録して、ステップ416に移行する。デューティ比Dが66%以上でなければ、ステップ402に戻る。
【0086】
ステップ416において、CPU240は、レジスタR1及びR2の値が同じか否かを判定することによって、デューティ比Dが含まれるエリアが変わったか否かを判定する。デューティ比Dが含まれるエリアが変更していない(レジスタR1及びR2の値が同じ)場合、ステップ402に戻る。デューティ比Dが含まれるエリアが変わった(レジスタR1及びR2の値が異なる)場合、ステップ418において、CPU240はレジスタR1にレジスタR2の値をセットする。その後、ステップ420において、CPU240は、上記したVF測定モード(ステップ318及びステップ302)を実行する。
【0087】
ステップ422において、画像形成装置100を停止する操作がなされたか否かが判定される。停止する操作がなされた場合終了し、そうでなければ、ステップ402に戻る。
【0088】
以上によって、デューティ比Dが含まれるエリアが変更されたときに、VF測定モードが実行される。
【0089】
また、通常動作中に、VF測定モードを行なってもよい。例えば、大量の原稿をコピーする場合、LEDが長時間点灯され、LEDの温度が上昇する。その場合に、原稿のコピー動作を一時中断してVF測定モードを実行し、適切なデジタル制御信号Sdを新たに設定した後に、その値を用いてLEDを点灯させて原稿のコピー動作を再開するようにしてもよい。通常動作中にVF測定モードを行なうための条件は、画像形成装置の動作の種類及び連続動作時間などに応じて適宜定めればよい。
【0090】
また、デューティ比Dの算出及びVF測定モードの実行は、画像形成装置が通常動作を終えたときに行なっても、通常動作中に行なってもよい。
【0091】
上記した具体的な値(VF値、Sdの範囲、Vledの範囲、LED電流、エリアの数、エリアの境界値など)は一例である。例えば、VF値は使用するLEDの特性に応じた値を使用する必要がある。また、直列に接続されるLEDの数に応じて、全LEDのVF値も上記と異なる。また、通常動作時に使用するデジタル制御信号Sdの値を、しきい値電圧Vthに対応するデジタル制御信号Sdよりも“20”大きい値(ステップ306)に設定する場合を説明したが、“20”に限定されない。LEDオープンエラーが発生しないLE電圧Vledを出力できるデジタル制御信号Sdになるようにできれば、“20”以外の値であってもよい。
【0092】
また、エリアの境界値は、使用するLEDの特性、LEDの設置環境(画像形成装置100の内部構造)などを考慮して、適宜設定すればよい。また、デューティ比0〜100%の間を、2つ、又は4つ以上のエリアに区分してもよい。
【0093】
[第2の実施の形態]
図10を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るLED点灯制御装置250は、複数のLEDが直列に接続されたLEDアレイ230、電源232、DAコンバータ234、ドライバIC238、CPU260、及びサーミスタ256を備えている。図10のLED点灯制御装置250は、上記したドライバ回路として移動走査フレーム(図示せず)に搭載される。
【0094】
LED点灯制御装置250が、第1の実施の形態に係るLED点灯制御装置220と異なる点は、LEDアレイ230の近傍に配置されたサーミスタ256を備えている点と、CPU260がCPU240と異なる処理を行なう点である。即ち、CPU260は、第1の実施の形態に係るLED点灯制御装置220と同様に、デジタル制御信号Sdの初期値を決定する処理(図6のステップ300〜306)を実行し、通常動作(ステップ308)が可能になった後に、サーミスタ256によってLEDアレイ230の温度を測定し、測定値を用いてVF測定モードを実行するか否かを判定する。
【0095】
図11を参照して、ステップ500において、CPU260は初期設定を行なう。具体的には、該当する温度エリアを記録するレジスタR3に、第1エリアを示す値(例えば“1”)を記録する。ここでは、LEDの温度範囲を3つのエリアに区分する。例えば、第1エリアはLED温度が42℃未満のエリア、第2エリアはLED温度が42℃以上58℃未満のエリア、第3エリアはLED温度が58℃以上のエリアである。ステップ500の処理は、ステップ300において行なわれてもよい。
【0096】
ステップ502において、CPU260はLEDアレイ230の温度Tledを測定する。具体的には、サーミスタ256からの信号を受信し、その大きさによってLED温度Tledを決定する。
【0097】
ステップ504において、CPU260は、LED温度Tledが42℃未満か否かを判定する。LED温度Tledが42℃未満であれば、ステップ506において、CPU260は、仮エリアを示すレジスタR4に第1エリアを示す値“1”を記録して、ステップ516に移行する。LED温度Tledが42%未満でなければ、ステップ508に移行する。
【0098】
ステップ508において、CPU260は、LED温度Tledが42℃以上58℃未満か否かを判定する。LED温度Tledが42℃以上58℃未満であれば、ステップ510において、CPU260は、仮エリアを示すレジスタR4に第2エリアを示す値“2”を記録して、ステップ516に移行する。LED温度Tledが42℃以上58℃未満でなければ、ステップ512に移行する。
【0099】
ステップ512において、CPU260は、LED温度Tledが58℃以上か否かを判定する。LED温度Tledが58℃以上であれば、ステップ514において、CPU260は、仮エリアを示すレジスタR4に第3エリアを示す値“3”を記録して、ステップ516に移行する。LED温度Tledが58℃以上でなければ、ステップ502に戻る。
【0100】
ステップ516において、CPU260は、レジスタR3及びR4の値が同じか否かを判定することによって、LED温度Tledが含まれるエリアが変わったか否かを判定する。LED温度Tledが含まれるエリアが変更していない(レジスタR3及びR4の値が同じ)場合、ステップ502に戻る。LED温度Tledが含まれるエリアが変わった(レジスタR3及びR4の値が異なる)場合、ステップ518において、CPU260はレジスタR3にレジスタR4の値をセットする。その後、ステップ520において、CPU260は、上記したVF測定モードを実行する。
【0101】
ステップ522において、画像形成装置100を停止する操作がなされたか否かが判定される。停止する操作がなされた場合終了し、そうでなければ、ステップ502に戻る。
【0102】
以上によって、LED温度Tledが含まれるエリアが変更されたときに、VF測定モードが実行される。
【0103】
上記において、LED温度の境界値が、42℃及び58℃である場合を説明したが、これに限定されない。境界値は、使用するLEDの特性、LEDの設置環境(画像形成装置100の内部構造)などを考慮して、適宜設定すればよい。
【0104】
LED温度範囲を3つのエリアに区分する場合を説明したが、これに限定されない。LED温度範囲を2つ、又は4つ以上のエリアに区分してもよい。
【0105】
LEDの温度測定(ステップ502)は、所定時間が経過したときに行なってもよい。
【0106】
また、図11に示した処理は、画像形成装置が通常動作していないときに行なっても、通常動作中に行なってもよい。
【0107】
また、LEDアレイの温度を測定する手段は、サーミスタに限定されない。LEDアレイの温度を測定できれば、温度センサなどであってもよい。
【0108】
また、VF測定モードを実行するタイミングが、所定時間を経過したとき、デューティ比が含まれるエリアが変更されたとき、又は、LED温度が含まれるエリアが変更されたときである場合を説明したが、これらを任意に組合せたタイミングでVF測定モードを実行してもよい。例えば、LEDの温度を検出する手段を備えていれば、所定時間を経過したとき、デューティ比が含まれるエリアが変更されたとき、及び、LED温度が含まれるエリアが変更されたときのうち、何れのタイミングで実行してもよい。LED温度を検出する手段を備えていなければ、所定時間を経過したとき、及び、デューティ比が含まれるエリアが変更されたときのうち、何れのタイミングで実行してもよい。
【0109】
また、画像形成装置100に使用されるLED点灯制御装置220、250について説明したが、本願発明は、画像形成装置に限定されず、LEDを光源として使用する電子機器に適用することができる。
【0110】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0111】
220、250 LED点灯制御装置
230 LEDアレイ
232 電源
234 DAコンバータ
256 サーミスタ
238 ドライバIC
240、260 CPU


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDが直列に接続されたLEDアレイの正極端子に正の電圧を印加する電源と、
前記LEDアレイの負極端子に接続され、前記LEDアレイの電流値を一定に制御するドライバと、
前記電源を制御して前記正極端子に電圧を印加させる制御部とを備え、
前記ドライバは、前記負極端子の電圧によりLEDオープンエラーを検知し、
前記制御部は、前記ドライバによってLEDオープンエラーが検知された場合、前記電源を制御して、LEDオープンエラーが解除されるまで前記正極端子に印加する電圧を増大させ、LEDオープンエラーが解除されたときに前記正極端子に印加されている電圧を仮LED電圧として決定し、
前記制御部は、前記LEDアレイを点灯させる場合、前記仮LED電圧よりも所定値だけ大きい電圧が前記正極端子に印加されるように、前記電源を制御することを特徴とするLED点灯制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記仮LED電圧よりも所定値だけ大きい電圧を通常LED電圧として決定した後、所定のタイミングで、前記電源を制御して、前記ドライバによってLEDオープンエラーが検出されるまで、前記正極端子に印加する電圧を前記通常LED電圧から減少させ、LEDオープンエラーが検出されたときに前記正極端子に印加されている電圧を新たな仮LED電圧として決定することを特徴とする請求項1に記載のLED点灯制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、新たな前記仮LED電圧を決定した後、前記電源を制御して、LEDオープンエラーが解除されるまで前記正極端子に印加する電圧を増大させ、LEDオープンエラーが解除されたときに前記正極端子に印加されている電圧をより新たな仮LED電圧として決定することを特徴とする請求項2に記載のLED点灯制御装置。
【請求項4】
前記所定のタイミングは、所定時間が経過したときであることを特徴とする請求項2又は3に記載のLED点灯制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記LEDアレイの点灯のデューティ比を測定し、
前記所定のタイミングは、前記デューティ比が所定値よりも増大又は減少したときであることを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載のLED点灯制御装置。
【請求項6】
前記LEDアレイの温度を測定する手段をさらに備え、
前記所定のタイミングは、前記LEDアレイの温度が所定値よりも増大又は減少したときであることを特徴とする請求項2から5の何れか1項に記載のLED点灯制御装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載のLED点灯制御装置と、
直列に接続された複数のLEDを含み、前記LED点灯制御装置から電圧の印加を受けるように接続されたLEDアレイとを備えることを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−160413(P2012−160413A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21307(P2011−21307)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】