説明

LED照明器具

【課題】LED照明器具の色ムラを目立たなくできるLED照明器具を提供する。
【解決手段】LED照明器具10は、ケース12に設けられた取付部14と、取付部14に設けられた複数のLEDパッケージ16とを備えている。LEDパッケージ16は、縦横整列された複数のLEDチップ28と、複数のLEDチップ28の前面28A側に設けられた半球形状の蛍光材29とを有する。そして、複数のLEDパッケージ16のうち、隣り合うLEDパッケージ16に設けられた複数のLEDチップ28の整列方向が異なるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケース内に複数のLEDパッケージが設けられ、各LEDパッケージに縦横整列された複数のLEDチップを有するLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LED照明器具として、複数のLEDパッケージを備えたものが知られている。このLEDパッケージは、基板に複数のLEDチップが縦横に整列されて設けられ、縦横に整列された複数のLEDチップの前面に蛍光材が設けられている。
このLED照明器具によれば、複数のLEDチップから照射された光が蛍光材を経て照光される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−193938号公報(段落番号0003,0018、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数のLEDパッケージを備えたLED照明器具の一例を図8に示す。
図8に示すように、LED照明器具100は、ケース101内に複数のLEDパッケージ102が同一方向を向くように配列されている。
LEDパッケージ102は、複数のLEDチップ103(図9参照)が縦横整列されている。
【0005】
図9に示すように、縦横に整列されているLEDチップ103から発光した光104で照射面105を照射した際に、LEDチップ103の配列により照度が高い箇所のなかに照度が低い箇所106が所定間隔をおいて帯状に生じる。
【0006】
ここで、図8に示すように、LED照明器具100は、ケース101内に複数のLEDパッケージ102が同一方向を向くように配列されている。
よって、各LEDパッケージ102に備えた複数のLEDチップ103(図9参照)が同一方向を向くように配置されている。
【0007】
このため、図10に示すように、隣接するLEDパッケージ102のLEDチップ103から発光した光104で照射面105を照射した際に、照度が低い箇所106が同一方向を向いて互いに重なり合う。
このように、隣接するLEDパッケージ102から光104を発光した際に、照度が低い箇所106が同一方向を向いて互いに重なり合うことにより、照度が低い箇所106がハロー現象で増幅されて照射面105に色ムラが発生することが考えられる。
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、LED照明器具の色ムラを目立たなくできるLED照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、縦横整列された複数のLEDチップと、前記複数のLEDチップの前面に設けられた半球形状の蛍光材とを有する複数のLEDパッケージと、前記複数のLEDパッケージが同一面上に設けられた取付部と、前記複数のLEDチップから照射された光を集光させるために前記蛍光材の前面に、前記蛍光材に対して空間をおいて設けられたレンズと、を備え、前記複数のLEDパッケージのうち、隣り合うLEDパッケージに設けられた前記複数のLEDチップの整列方向が異なるように配置された。
【発明の効果】
【0010】
本発明のLED照明器具によれば、隣り合うLEDパッケージに設けられた複数のLEDチップの整列方向を異なるように配置することにより、LEDチップの配列による照度が低い箇所を照度が高い箇所と混ぜ込むことができる。
このように、照度が低い箇所を照度が高い箇所と混ぜ込むことができるのでLED照明器具の色ムラを目立たなくできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るLED照明器具を示す平面図
【図2】図1のLED照明器具を示す側面図
【図3】本発明に係るLED照明器具のLEDパッケージを示す平面図
【図4】図1のLED照明器具を示す断面図
【図5】第一行の第一列に設けられたLEDパッケージで照射面を照射した状態を示す平面図
【図6】第二行の第一列に設けられたLEDパッケージで照射面を照射した状態を示す平面図
【図7】第一行の第一列に設けられたLEDパッケージおよび第二行の第一列に設けられたLEDパッケージで照射面を照射した状態を示す平面図
【図8】従来のLED照明器具を示す平面図
【図9】従来のLEDパッケージで照射面を照射した状態を示す側面図
【図10】従来の複数のLEDパッケージで照射面を照射した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るLED照明器具について図面を参照して説明する。
図1、図2に示すように、本発明の実施形態であるLED照明器具10は、略矩形体状に形成されたケース12と、ケース12に設けられた取付部14と、取付部14に設けられた複数のLEDパッケージ16と、複数のLEDパッケージ16の前面16A(図3、図4参照)側に設けられたレンズ18とを備えている。
ケース12にはアーム21がボルト22で取り付けられ、アーム21でケース12が支えられている。
【0013】
取付部14は、ケース12内に設けられ、複数のLEDパッケージ16を取付可能な平坦面14Aを有する。
この平坦面14Aに複数のLEDパッケージ16が取り付けられることにより、複数のLEDパッケージ16が同一面上に設けられている。
【0014】
図3に示すように、LEDパッケージ16は、取付部14に取付可能なセラミック本体25と、セラミック本体25に設けられた基板26と、基板26に縦横整列された複数のLEDチップ28と、複数のLEDチップ28の前面28A(図4参照)側に設けられた蛍光材29とを有する。
ここで、縦方向を矢印Aで示し、横方向を矢印Bで示す。
【0015】
図1に示すように、複数のLEDパッケージ16は、第一行35の第一列41〜第四列44に一定間隔L1をおいて設けられ、さらに、第二行36の第一列41〜第四列44に一定間隔L1をおいて設けられている。
第一行35および第二行36は所定間隔L2をおいて配置されている。
なお、第一行35および第二行36は横列を示し、第一列41〜第四列44は縦列を示す。
【0016】
LEDチップ28は、基板26に縦横に整列された状態に実装された発光ダイオードである。このLEDチップ28に基板26を通じて通電することにより、LEDチップ28から青色の光が発光される。
【0017】
図4に示すように、蛍光材29は、基板26に端部29Aが設けられ、複数のLEDチップ28を覆うように半球形状に形成され、複数のLEDチップ28の前面28A側に頂部28Bが設けられている。
蛍光材29は、緑色蛍光体、黄色蛍光体および赤色蛍光体が投光性のシリコーン樹脂に分散された状態で、シリコーン樹脂が硬化されたものである。
【0018】
蛍光材29を複数のLEDチップ28の前面28A側に設けることにより、複数のLEDチップ28から発光された青色の光を蛍光材29を透過させることができる。
蛍光材29に青色の光を透過させることにより青色の光を蛍光材29で緑色光、黄色光や赤色光に変換させ、これらの光が混合されて白色光が生成される。
生成された白色光が蛍光材29を経て蛍光材29の外方に向けて照射される。
【0019】
レンズ18は、蛍光材29の前面29B側に設けられ、蛍光材29の前面29B側に対向する部位に凹部18Aが形成されている。
図1に示すように、レンズ18は、平面視で略楕円状に形成され、楕円状の長軸が第一行35および第二行36に沿って設けられている。
【0020】
また、図4に示すように、レンズ18の凹部18Aは、蛍光材29に対して空間32をおいて設けられている。
このレンズ18は、蛍光材29の前面29B側に設けることにより、複数のLEDチップ28から照射(発光)された光を集光できる。
【0021】
図1に示すように、複数のLEDパッケージ16のうち、半数のLEDパッケージ16が第一行35の第一列41〜第四列44に一定間隔L1をおいて設けられている。
また、複数のLEDパッケージ16のうち、残りの半数のLEDパッケージ16が第二行36の第一列41〜第四列44に一定間隔L1をおいて設けられている。
第一行35に設けられた半数のLEDパッケージ16と、第二行36に設けられた残り半数のLEDパッケージ16とは所定間隔L2をおいて設けられている。
【0022】
第一行35の第一列41に設けられたLEDパッケージ16は、第一行35に対して反時計回り方向に傾斜されて設けられている。
一方、第二行36の第一列41に設けられたLEDパッケージ16は、第二行36に対して時計回り方向に傾斜されて設けられている。
【0023】
よって、第一行35の第一列41に設けられたLEDパッケージ16および第二行36の第一列41に設けられたLEDパッケージ16は交差角θで交差するように配置されている。
これにより、第一行35の第一列41および第二行36の第一列41に隣り合うように設けられたLEDパッケージ16のLEDチップ28(図3参照)の整列方向を異ならせることができる。
【0024】
また、第一行35の第二列42に設けられたLEDパッケージ16は、第一行35に対して時計回り方向に傾斜されて設けられている。
一方、第二行36の第二列42に設けられたLEDパッケージ16は、第二行36に対して反時計回り方向に傾斜されて設けられている。
【0025】
よって、第一行35の第二列42に設けられたLEDパッケージ16および第二行36の第二列42に設けられたLEDパッケージ16は、第一列41のLEDパッケージ16と同様に、交差角θで交差するように配置されている。
これにより、第一行35の第二列42および第二行36の第二列42に隣り合うように設けられたLEDパッケージ16のLEDチップ28(図3参照)の整列方向を、第一列41のLEDパッケージ16と同様に異ならせることができる。
【0026】
さらに、第一行35の第三列43に設けられたLEDパッケージ16は、第一行35に対して反時計回り方向に傾斜されて設けられている。
一方、第二行36の第三列43に設けられたLEDパッケージ16は、第二行36に対して時計回り方向に傾斜されて設けられている。
【0027】
よって、第一行35の第三列43に設けられたLEDパッケージ16および第二行36の第三列43に設けられたLEDパッケージ16は、第一列41のLEDパッケージ16と同様に、交差角θで交差するように配置されている。
これにより、第一行35の第三列43および第二行36の第三列43に隣り合うように設けられたLEDパッケージ16のLEDチップ28(図3参照)の整列方向を、第一列41のLEDパッケージ16と同様に異ならせることができる。
【0028】
加えて、第一行35の第四列44に設けられたLEDパッケージ16は、第一行35に対して時計回り方向に傾斜されて設けられている。
一方、第二行36の第四列44に設けられたLEDパッケージ16は、第二行36に対して反時計回り方向に傾斜されて設けられている。
【0029】
よって、第一行35の第四列44に設けられたLEDパッケージ16および第二行36の第四列44に設けられたLEDパッケージ16は、第一列41のLEDパッケージ16と同様に、交差角θで交差するように配置されている。
これにより、第一行35の第四列44および第二行36の第四列44に隣り合うように設けられたLEDパッケージ16のLEDチップ28(図3参照)の整列方向を、第一列41のLEDパッケージ16と同様に異ならせることができる。
【0030】
すなわち、複数のLEDパッケージ16のうち、隣り合うLEDパッケージ16に設けられた複数のLEDチップ28(図3参照)の整列方向が異なるように配置されている。
【0031】
次に、LEDチップ28から発光された光を照射面52に色ムラを目立たなくして照射する例を図1、図3、図5〜図7に基づいて説明する。
なお、図5〜図7においてはLEDパッケージ16を基板26(図3参照)側、すなわち裏側から見た状態を示す。
【0032】
図3に示すように、LEDパッケージ16は、複数のLEDチップ28が縦横に整列されている。
また、図1に示すように、第一行35の第一列41に設けられたLEDパッケージ16は、第一行35に対して反時計回り方向に傾斜されて設けられている。
【0033】
よって、図5に示すように、複数のLEDチップ28の光51で照射面52を照射する際に、LEDチップ28の配列に応じて照度が高い明箇所51Aと照度が低い暗箇所51Bとが傾斜した状態で交互に生じる。
すなわち、明箇所51Aおよび暗箇所51Bは、第一行35に対してθ1傾斜した状態で照射面52に色ムラ状に照射される。
【0034】
一方、図1に示すように、第二行36の第一列41に設けられたLEDパッケージ16は、第二行36に対して時計回り方向に傾斜されて設けられている。
よって、第二行36の第一列41に設けられたLEDパッケージ16は、第一列35の第一列41に設けられたLEDパッケージ16に対して逆方向に傾斜されている。
【0035】
これにより、図6に示すように、複数のLEDチップ28の光51で照射面52を照射する際に、LEDチップ28の配列に応じて照度が高い明箇所51Aと照度が低い暗箇所51Bとが傾斜した状態で交互に生じる。
すなわち、明箇所51Aおよび暗箇所51Bは、第一列35の第一列41に設けられたLEDパッケージ16に対して逆方向に傾斜するように、第一行35に対してθ1傾斜した状態で照射面52に色ムラ状に照射される。
【0036】
図7に示すように、第一行35の第一列41に設けられたLEDパッケージ16、第二行36の第一列41に設けられたLEDパッケージ16を逆方向に傾斜させることにより、隣り合うLEDパッケージ16は交差角θで交差するように配置されている。
すなわち、隣り合うLEDパッケージ16に設けられた複数のLEDチップ28(図3参照)の整列方向が異なるように配置されている。
【0037】
よって、第一行35の第一列41のLEDパッケージ16から照射面52に照射された照度の低い暗箇所51B(図5参照)が、第二行36の第一列41のLEDパッケージ16から照射面52に照射された照度の高い明箇所51A(図6参照)に混ぜ込まれる。
さらに、第二行36の第一列41のLEDパッケージ16から照射面52に照射された照度の低い暗箇所51B(図6参照)が、第一行36の第一列41のLEDパッケージ16から照射面52に照射された照度の高い明箇所51A(図5参照)に混ぜ込まれる。
【0038】
すなわち、LEDチップ28の配列による照度が低い暗箇所51B(図5、図6参照)を照度が高い明箇所51A(図5、図6参照)に混ぜ込むことができる。
このように、照度が低い暗箇所51Bを照度が高い明箇所51Aに混ぜ込むことができるのでLED照明器具10で照射した照射面52の色ムラを目立たなくできる。
【0039】
図5〜図7においては、図1に示す第一行35の第一列41に設けられたLEDパッケージ16、および第二行36の第一列41に設けられたLEDパッケージ16について説明したが、その他のLEDパッケージ16も同様に色ムラを目立たなくできる。
具体的には、第一列41の隣り合うLEDパッケージ16と同様に、第二列42〜第四列44の隣り合うLEDパッケージ16も、同様に照射面52の色ムラを目立たなくできる。
【0040】
なお、本発明に係るLED照明器具は、前述した実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、実施形態では、第一行35および第二行36において第一列41〜第四列44にLEDパッケージ16を配列した例について説明したが、LEDパッケージ16の配列はこれに限定するものではない。
【0041】
また、実施形態で使用したLED照明器具、取付部、LEDパッケージ、レンズ、LEDチップおよび蛍光材等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 LED照明器具
14 取付部
16 LEDパッケージ
16A LEDパッケージの前面
18 レンズ
28 LEDチップ
28A LEDチップの前面
29 蛍光材
29B 蛍光材の前面
32 空間
51 光
θ 交差角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横整列された複数のLEDチップと、前記複数のLEDチップの前面に設けられた半球形状の蛍光材とを有する複数のLEDパッケージと、
前記複数のLEDパッケージが同一面上に設けられた取付部と、
前記複数のLEDチップから照射された光を集光させるために前記蛍光材の前面に、前記蛍光材に対して空間をおいて設けられたレンズと、
を備え、
前記複数のLEDパッケージのうち、隣り合うLEDパッケージに設けられた前記複数のLEDチップの整列方向が異なるように配置されたLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−243908(P2012−243908A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111596(P2011−111596)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】