説明

LED発光装置および電子機器

【課題】外部からLED発光部を覗き見たとしても、内部の蛍光体含有部(12)の着色が観視しにくくすることで、LED発光装置(1)およびそれを搭載した携帯電話機(100)の美観を損なわないようにする。
【解決手段】LED発光部(10)の前面にレンズ(20)を設ける。レンズ(20)のLED発光部(10)と対向する入光面(21)に多数のコーナーキューブプリズム(30)を設ける。レンズ(20)の出射面(25)からレンズ(20)を通してLED発光部(10)を観たときには、コーナーキューブプリズム(30)により反射し、蛍光体含有部(12)が観察され難くなる。一方、LED発光部(10)から照射した光は、コーナーキューブプリズム(30)から入射し、出射面(25)から出射して照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光源に発光ダイオード(以下、LEDという。)などの発光素子を用いた発光装置、特に、携帯電話用カメラやデジタルカメラおよびコンパクトカメラなどの電子機器に搭載した小型撮影機器のカメラ照明用に搭載された発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンパクトカメラなどの撮影機器には、ストロボなどの発光装置が備えられている。近年では、携帯電話機のカメラ照明用およびストロボ光源としてLEDが用いられている。このLEDが発光素子として搭載された発光装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
図10および図11は、特許文献1に記載の発光装置を示すものである。特許文献1の発光装置100は、基板200と、基板200上に配置されたLEDチップ300と、リフレクタ400が一体に構成されたレンズ保持部600とレンズ500とを備える。
【0004】
LEDチップ300は、図11に示すように凹面状反射鏡380を有する第2のLEDパッケージ370と、その凹面状反射鏡の上に設けた回路基板310と、回路基板310の照射方向側の表面(上側)に搭載した青色の発光素子320および第1のLEDパッケージ350と、回路基板裏面(下側)に搭載し凹面状反射鏡に対向する赤色の発光素子330を有する。青色の発光素子320は、YAG蛍光体を含有する蛍光体塗布領域360にて覆われている。また、回路基板には開口部390を設け、赤色の発光素子330から発した光は凹面状反射鏡380にて反射し、開口部390から青色の発光素子側に導く。これにより、青色の発光素子からの光と、青色の発光素子を吸収し黄色の光を発光する蛍光体塗布領域からの光の混色による白色発光に、さらに、赤色発光素子の光を混合して照射することができる。赤色発光の光を青みを帯びた照射面に照射することで、照射面全体の色温度や色ムラを改善することを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−192582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、青色発光素子から発せられた光と蛍光体塗布領域からの光の混色により得られる白色光による照射面の色ムラは改善されるものの、上記したLED発光装置は、周囲光によって黄色に見える。この黄色は、蛍光体塗布領域の蛍光体の色であり、デジタルカメラや携帯電話機の本体ケースのデザインによっては、本体ケースの色とLED発光装置の黄色(蛍光体色)の色がミスマッチなため、外観上見栄えが悪く、美観を損ねることがある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、封止樹脂部に蛍光体を含有させた白色発光可能なLED発光装置において、この封止樹脂部の着色によってLED発光装置全体の美観が損なわれないLED発光装置およびこの発光装置がカメラ照明用に搭載された電子機器を、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のLED発光装置は、次の点を最も主要な特徴とする
基板(13)と、
前記基板(13)上に配置されるLED発光部(10)と、
前記LED発光部(10)の上に配置される樹脂レンズ(20)と、
前記LED発光部(10)とレンズ(20)の間であって、前記レンズ(20)に接する空気層(16)と、を備え、
前記LED発光部(10)には蛍光体を添加した封止樹脂部(12)が形成され、
前記レンズには、前記LED発光部(10)の上面(14)と対向する位置に、前記LED発光部上面(14)の投影面積よりも大きな投影面積を有する入光面(21)と、入光面(21)に連続する傾斜面(23)を有し、
前記入光面(21)は、コーナーキューブアレイ(22)の凹凸面を有し、
前記傾斜面(23)は、前記LED発光部(10)の発光中心軸を通る平面と鋭角に交差する接線を有する反射面(24)を備える。
【0009】
上記した発明によれば、LED発光部からの照射光を照射すると共に、外部から封止樹脂を観察され難くして封止樹脂部の着色によって美観が損なわれないLED発光装置を提供することができるという効果が得られる。
【0010】
また、LED発光装置(1)は、前記コーナーキューブアレイ(22)は、三つの面からなり互いに二つ面が直角を成しているコーナーキューブプリズム(30)が整列しており、
前記レンズ(20)の反射面(24)は、空気層に接しており、複数の楕円面系の多数を接続した曲面であることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、整列したコーナーキューブプリズムの何れかの面から入射した光の一部を反射面にて所望の方向に再反射することができ、LED発光部から照射された光の利用効率を高めることができる、という利点がある。
【0012】
本発明の照明付き電子機器は、上記したいずれかのLED発光装置(1)を搭載した電子機器(100)であって、前記レンズ(20)には、前記入光面(21)と対向する平坦出射面(25)を有し、前記電子機器(100)は開口部(104)を備え、当該開口部(104)に前記レンズ(20)が嵌合していることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、外部からLED発光装置を観察しても、レンズを介して封止樹脂を観察され難くして、封止樹脂部の着色により電子機器全体の美観が損なわれることがない電子機器を提供することができるという、という利点がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、LED発光部からの照射光を照射すると共に、外部から封止樹脂を観察され難くすることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は第1の実施の形態のLED発光装置を設けた電子機器の一例を示す携帯電話機の概略正面図および背面図である。
【図2】図2は図1のLED発光装置を用いたカメラ用照明を示す概略斜視図である。
【図3】図3は図1の携帯電話機にLED発光装置が取付られた状態を示す概略断面図である。
【図4】図4は図1のLED発光装置を説明する概略断面図である。
【図5】図5はコーナキューブアレイの一部を面実装LED側から見た概略斜視図である。
【図6】図6はコーナキューブプリズムを拡大して説明する概略斜視図である。
【図7】図7は、面実装LEDから出射した光線についてシュミュレーションを行なったときの光路を示す説明図である。
【図8】図8は、シュミレーションに用いた面実装LEDの指向特性を示す配光パターンを示す図である。
【図9】図9は、他の実施の形態のLED発光装置を示す概略断面図である。
【図10】従来の発光装置の説明図で、(a)は概略正面図、(b)は概略断面図である。
【図11】従来のLEDの説明図で、(a)は概略正面図、(b)は概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態である灯具について図1〜図9を参照しながら説明する。
【0017】
図1は本発明のLED発光装置を設けた電子機器の一例を示す携帯電話機の概略正面図および背面図、図2は図1のLED発光装置を用いたカメラ用照明を示す概略斜視図。図3は図1の携帯電話機にLED発光装置が取付られた状態を示す概略断面図である。
【0018】
本発明に係るLED発光装置1は、例えば携帯電話機100のカメラ102を用いた撮影の際に用いるカメラ用照明101として用いる。図1に示すように携帯電話機100は、表側に液晶表示装置などからなる表示部と数字キー等の操作ボタン部を備え、背面側にカメラ102とカメラ用照明101を備える。カメラ用照明101は、カメラのレンズ周囲、特にカメラ102のレンズの斜め上方に横長に設ける。
【0019】
カメラ用照明101は、図2及び図3に示すように透明な樹脂材料により形成されるレンズ20を備えたLED発光装置10およびLED発光装置をストロボ光源として瞬時点灯および/または照明用光源として連続点灯する点灯制御回路40からなる。点灯制御回路40は、LED発光装置10の実装基板13の裏面に近接して設けられる。
【0020】
図4は、LED発光装置1を説明する概略断面図である。
【0021】
LED発光装置1は、図示しない配線電極が設けられた実装基板13と、実装基板13上に搭載し、図示しない配線電極に接続された面実装LED10と、実装基板13に取付固定したレンズ20からなり、レンズ20と実装基板13の間に形成された光源室15内に面実装LED10が位置している。また、本実施の態様においては、レンズ20の面実装LED10に対向する入射面21には、後述するコーナーキューブアレイ22が設けられている。LED発光装置1は、携帯電話機100の本体ケース103のケース開口104に嵌合している。
【0022】
実装基板13は、矩形形状とされ、ガラスエポキシ樹脂等を用いたプリント基板、金属基板を絶縁層にて被覆した金属基板、セラミック基板などが使用され、実装基板13表面には金属配線をメッキにより設けるなどの公知の方法で図示しない配線電極が形成されている。配線電極は、一方の端部が面実装LED10にハンダなどを用いて電気的に接続され、他方の端部がLED発光装置1の外方まで形成され、点灯制御回路40に電気的に接続されている。
【0023】
実装基板13の中央部に面実装LED10が実装され、実装基板の周辺部には、絶縁性の着色絶縁膜13aが施され、着色絶縁膜13aは、光源室15内に漏れでた迷光を反射すると共に観察者がLED発光装置1を観察した際に、本体ケース103の着色とデザイン的なミスマッチを生じない色に着色している。着色絶縁膜13aは好適には白色とし、ガラスビーズなどを混合した拡散反射膜とする。白色拡散反射膜13aを設けることで、迷光となった光をレンズ20を介してLED発光装置1外部に取り出すことができる。なお、迷光とは、面実装LED10からの照射光が、レンズ20に入射する際にその一部が表面反射またはレンズ20内面反射により、レンズ出射面25から照射することなく実装基板13もしくは面実装LED10に向かって反射およびまたは屈折してきた光の成分をいい、例えば図4に示すL4のような光をいう。本実施の形態においては、コーナーキューブアレイ22を形成しているので、面実装LED10からの照射角度、例えば左端からコーナーキューブアレイ22の右端へ向かう際の照射角度などの場合には、一部の光が迷光となり易い。そこで、白色拡散反射膜13aを設けることで、これらの光を更に外部に取り出して利用することができる。なお、白色拡散反射膜13aの代わりに、金属基板を用いた場合における基板金属の金属表面や、白色セラミック基板を用いた場合のセラミック基板表面を反射膜とすることもできる。
【0024】
面実装LED10は、表面に蛍光体含有部12を有する面実装タイプのLEDであり、蛍光体含有部12と搭載基板との間に図示しない青色発光ダイオードなどの蛍光体塗布部12に含まれる蛍光体を励起する波長光を発する半導体発光素子を備える。本実施の形態においては表面にドーム状の蛍光体含有部12を形成している。蛍光体含有部12は、シリコーン樹脂などの透明樹脂材料中に、YAG蛍光体などの有色の蛍光体粒子を分散して表面に塗布、成形もしくはディスペンサーを用いたポッティングなどの手法で形成している。面実装LED10は、最表面に蛍光体含有部12を設けることに限るものではない。例えば、面実装LEDとして上記した特許文献1に記載のLED300を用いることができ、蛍光体含有部12を透明樹脂層で覆う構成でも良い。
【0025】
レンズ20は、アクリル、ポリカーボネートなどの高い透過率を示す透光性の樹脂材料により形成され、例えば射出成形により形成される。レンズ20は正面視を矩形形状とした箱状とされ、周囲側面の固定脚27が実装基板13に取付固定されている。レンズ20の表面側には段差部26が形成され、段差部26および上段の出射面25がケース開口104に嵌合した状態にて本体ケース103が取付けられる。
【0026】
出射面25の反対側、すなわちレンズ内面側には、コーナーキューブアレイ22を設けた入光面21および傾斜面23が形成されており、入光面21は面実装LED10に対向している。入光面21に対向する面実装LED10の発光中心軸CLと直交する仮想平面上にコーナキューブアレイ22が位置している。なお、本実施の形態では一つのLED発光装置に一つの面実装LED10を設けた例にて説明し、面実装LED10の発光中心軸CLと面実装LED10の中心軸が一致しているが、一つのLED発光装置に複数の面実装LEDを配置した場合には、複数の面実装LEDの中心軸CLが存在する。本実施の形態では、入光面21に対向する面実装LED10の発光中心軸CLが、LED発光装置1の配光パターンの中心軸となる。
【0027】
光源室15は、空気により満たされている。入光面21と面実装LED10の間には空気層16が存在し、空気層16はコーナーキューブアレイ22表面および面実装LED10の出射面と接している。
【0028】
図5はコーナキューブアレイ22の一部を面実装LED10側から見た概略斜視図、図6はコーナキューブプリズムを拡大して説明する概略斜視図である。コーナーキューブアレイ22は、図5に示すようにマトリクス状に整列したコーナーキューブプリズム30からなる。図5において、一つのコーナーキューブプリズム30にのみ符号を付し、そのコーナーキューブプリズム30の底辺、すなわち谷となる辺を通る直線に符号22a、22bおよび22cを付している。谷部を示す直線22a、22bおよび22cは交差角60度で交差する。コーナーキューブプリズム30の頂点30dは、直線22a、22bおよび22cよりも面実装LED10側に突出している。
【0029】
図6は、図5のコーナーキューブプリズム30について再帰反射の光路の一例を説明するための概略斜視図である。図面左側の頂点が面実装LED10側に突出している部分となる。コーナーキューブプリズム30は、直線22a、22bおよび22cにて形成される正三角形を底辺とした三角錐形状をなす。三角錐を構成する頂角を中心とした三つの面は隣接するプリズム面と直交する。すなわち第1プリズム面31は、第2プリズム面32および第3プリズム面33の夫々の平面と直交する。第2プリズム面32は、第1プリズム面31および第3プリズム面33の夫々の平面と直交する。第3プリズム面33は、第1プリズム面31および第2プリズム面32の夫々の平面と直交する。すなわち、頂点30dを中心とした直方体のコーナーに相当する。また、コーナーキューブプリズム30の各々のプリズム面31,32,33の全てが、面実装LED10との間の空気層16と接している。
【0030】
例えば図4に示す外光Oがレンズ20に入射したとき、外光Oはレンズ20内を進んでコーナキューブアレイ22に向かって進む。直線22a、22bおよび22cからなる正三角形を通って外光Oは第1プリズム面31に向かって進行する。第1プリズム面31にて内面反射した後、第2プリズム面32に向かって反射する。第2プリズム面32にて2度目の内面反射をした後に、第3プリズム面33に向かって反射する。次に第3プリズム面33にて3度目の内面反射をした後に、入射してきたときの外光Oと同一方向に向かって進んで、レンズ20の出射面25から外部に出射する。コーナーキューブプリズム30の夫々の頂点を通る中心軸は、前記発光中心軸CLと平行とされる。
【0031】
したがって、外側からLED発光装置1を観察した場合、すなわち出射面25の真上側から覗き込んだとしても、コーナーキューブプリズムの再帰性反射特性により面実装LED10は見えない。また、斜め方向から観察した場合においても、コーナーキューブプリズムの再帰性反射特性により面実装LED10が見えにくくなる。すなわち、蛍光体含有部12の着色が殆ど観察されなくなる。
【0032】
面実装LED10は、電球と異なり一般に指向性を有する(図8参照)。そこで本実施の形態においては、入光面21は面実装LED出射面14の近傍で、かつ、面実装LED出射面14から拡がった光を補足できるようにしている。具体的には、コーナーキューブアレイ22を形成した入光面21の投影面積は、面実装LED出射面14に比べて大きなものとされている。また、本実施の形態においては入光面21全体にコーナーキューブアレイ22を形成している。
【0033】
傾斜面23は、入光面21に連続して形成され、発光中心軸CLを回転中心とした回転放物面に近似する自由曲面である。傾斜面23には反射面24が形成してある。反射面24は、面実装LED10の中心点から出射した光が、コーナーキューブプリズム30に入射し、プリズム面31,32,33の何れかのプリズム面から入射した光がレンズ20内を通って、傾斜面23に到達する位置に形成され、光源室15を満たす空気と傾斜面23を構成する樹脂材料との屈折率差を利用した反射面としている。反射面24に入射する光線が臨界角を超えた入射した際に、光源室15との界面にて反射して、所定方向に反射する。
【0034】
反射面24は、微小に分割した複合反射面として設計する。反射面24は、レンズ20を成形するための金型加工および成形の精度およびコストを考慮して複合反射面をスプライン曲線などの公知の曲線で近似した曲線からなる自由曲面として傾斜面23を形成する。傾斜面23の接線は、発光中心軸CLを通る平面と交差し、その交差角度が鋭角となるような傾きとする。したがって、傾斜面23は、おおよそドーム状をなす。
【0035】
次に、面実装LED10を点灯した場合における照射光について考察する。
【0036】
図4にて点線で示す光線L1および光線L2は、面実装LED10から出射した光がコーナーキューブプリズム30に入射した後に反射面24にて反射する概略の光路を示す。図7は、面実装LED10から出射した光の一部は、空気層16を通ってコーナーキューブアレイ22に向かって進む光線についてシュミュレーションを行なったときの光路を示す説明図である。なお、図7のシュミレーションであり、面実装LEDの出射面25は、平坦面としてシュミレーションを行なっており、出射面25から出射する光線を直線にて示している。図8は、シュミレーションに用いた面実装LED10の指向特性を示す配光パターンである。
【0037】
図7および図8からわかるように、面実装LEDから出射した光は、ほぼ全てが入光面21からレンズ20内に進む。コーナーキューブプリズム30の各々のプリズム面31,32,33の何れかのプリズム面からレンズ20内に入射する。レンズ20内に入射した光の一部は、直接に出射面25に向かって進み、一部は傾斜面23に向かって進む。傾斜面23に向かった光一部は、光線L1およびL2のように反射面24にて内面反射した後に出射面25に向かって進み、一部は光線L3およびL5のように傾斜面23から光源室15内に向かって出射する。また、面実装LED10から出射した光の一部は光線L4およびL6のようにレンズ20に入射することなく光源室15内に向かって進む。図7に示したように、面実装LED10から出射した光線の大多数が出射面25から出射する。光源室15内に向かった光線L3,L4、L5およびL6は、迷光であり、実装基板13の白色塗装13aにて反射した後に、レンズ20内に入射し、その一部は、出射面25から出射する。
【0038】
上記したように、LED発光装置1を図3のように出射面25を通して外部正面方向から観察した場合には、コーナーキューブアレイ22にて再帰性反射特性により面実装LED10の蛍光体含有部11が観察されない。観察方向を正面から斜め方向にしたときには、コーナーキューブプリズム30の頂角の設定角度によっては、蛍光体含有部11の一部が観察される角度も生じ得るが、再帰性反射特性により蛍光体含有部11は殆ど観察されないか、または観察されにくくなる。一方、面実装LED10が点灯した場合には、プリズム面31,32,33が入射面として機能する。プリズム面31,32,33および反射面24の形状を最適化することで所望の配光を得ることができる。また、出射面25にプリズム素子を設けることもできる。
【0039】
以上の結果、本発明に係るLED発光装置によれば、外部から蛍光体含有部11を観察され難くすることができるという効果が得られる。
【0040】
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。例えば、図9に示すようにレンズ20の一部、例えばコーナーキューブアレイ22の部分を別体に作成して貼付したり、紫外線硬化樹脂により作成しても良い。紫外線硬化樹脂層50とすることで、微細な金型を用いることなくスタンパを用いてコーナーキューブアレイ22の形状を転写することができる。また、固定脚27を別体とした形状のレンズ20も本発明に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る発光装置は、発光源に発光ダイオード(以下、LEDという。)などの発光素子を用いた発光装置、特に、携帯電話用カメラ、携帯型ゲーム機器、デジタルカメラ、Webカメラ、ドアホンカメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの電子機器に搭載した小型撮影機器のカメラ照明用に搭載された発光装置等の用途にも適用できる。
【0042】
1 LED発光装置
10 面実装LED
11 封止樹脂部
12 蛍光体含有部
13 実装基板
14 面実装LED出射面
15 光源室
16 空気層
20 レンズ
21 入光面
22 コーナキューブアレイ
23 傾斜面
24 反射面
25 出射面
26 段差部
27 固定脚
30 コーナーキューブプリズム
31 第1のプリズム面
32 第2のプリズム面
33 第3のプリズム面
40 点灯制御回路
50 紫外線硬化樹脂層
100 電子機器(携帯電話機)
101 カメラ用照明
102 カメラ
103 本体ケース
104 ケース開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置されるLED発光部と、
前記LED発光部の上に配置される樹脂レンズと、
前記LED発光部とレンズの間であって、前記レンズに接する空気層と、を備え、
前記LED発光部には蛍光体を添加した封止樹脂部が形成され、
前記レンズには、前記LED発光部の上面と対向する位置に、前記LED発光部上面の投影面積よりも大きな投影面積を有する入光面と、入光面に連続する傾斜面を有し、
前記入光面は、コーナーキューブアレイの凹凸面を有し、
前記傾斜面は、前記LED発光部の発光中心軸を通る平面と鋭角に交差する接線を有する反射面を備えることを特徴とするLED発光装置。
【請求項2】
請求項1記載のLED発光装置であって、
LED発光装置は、前記コーナーキューブアレイは、三つの面からなり互いに二つ面が直角を成しているコーナーキューブプリズムが整列しており、
前記レンズの反射面は、空気層に接しており、複数の楕円面系の多数を接続した曲面であることを特徴とするLED発光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかに記載のLED発光装置を搭載した電子機器であって、
前記レンズには、前記入光面と対向する平坦出射面を有し、
前記電子機器は開口部を備え、当該開口部に前記レンズが嵌合していることを特徴とする照明付き電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−169507(P2012−169507A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30349(P2011−30349)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】