説明

MHCオリゴマーおよびその作製方法

本発明は、ペプチド結合溝を有する、少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーであって、各MHC複合体がMHC複合体のペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、ここで各ペプチドがコア構造による機能性MHC複合体の高度に特異的なオリゴマー化を可能にする修飾を有するMHCオリゴマー、およびこれを作製する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個々の機能性MHC複合体単量体が該複合体のペプチド結合溝におけるそれらのペプチド結合を介してオリゴマー化されるMHCオリゴマー、ならびにこのようなMHCオリゴマーを作製する方法およびこれらを使用する様々な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
組織の細胞表面に見られる主要組織適合複合体(MHC)分子は、T細胞表面に存在するT細胞受容体(TCR)との相互作用によって、短い直鎖状のペプチドの形の細胞抗原の、T細胞に対する呈示において重要な役割を果たす。これらはα鎖およびβ鎖、ならびに適切に折りたたまれた際にこれらの鎖によって形成される溝において結合されるペプチドからなる。
【0003】
MHC-ペプチド分子の単離形態または組換え形態が、これらのT細胞が認識する特異的ペプチド抗原によるT細胞の検出、分離、および操作に有用であることが確かめられた。また、細胞表面間の、MHC分子およびTCR間の相互作用が本質的に多重結合であり、所与のTCRに対する単一MHC分子の親和性は一般的に極めて低いことも、理解された。
【0004】
結果として、上記の適用においてより有用な分子を作製するために、増加した機能性結合活性を有する多量体形態の単離または組換えMHC-ペプチド分子を開発する試みが行われている。
【0005】
欧州特許出願EP 812 331(特許文献1)は、哺乳動物T細胞をそれらの抗原受容体特異性に従って標識、検出、および分離するための多量体結合複合体を開示しており、この複合体は式(α-β-P)nを有し、式中、(α-β-P)はMHCペプチド分子であり、nは2以上であり、αはMHCクラスIまたはMHCクラスII分子のα鎖を含み、βはMHCタンパク質のβ鎖を含み、かつPは実質的に均一なペプチド抗原である。このMHCペプチド分子は、MHC分子のα鎖またはβ鎖の一つのC末端のビオチン化により、およびMHC単量体の、四価のストレプトアビジン/アビジンに対する結合により、または、多量体形成単位として機能する対応する抗体によって認識されるエピトープを含むように、α鎖またはβ鎖の一つがC末端で修飾された、MHC分子のキメラタンパク質を提供することにより、多量体化(multimerise)される。本文献はさらに、それらのTCR特異性に従って特異的T細胞を検出、標識、および分離するためのMHCオリゴマーの使用も教示する。
【0006】
WO 93/10220(特許文献2)は、免疫グロブリン定常領域に融合した、クラスIまたはクラスIIのMHCであり得るMHC分子の可溶性部分を含むキメラMHC分子を開示している。分子のMHC部分は相補的なα鎖および/またはβ鎖を含み、ペプチドは、MHC分子の各結合溝において結合される。二量体免疫グロブリンの足場の存在のため、これらのキメラMHC-Ig分子には二量体構造への自己組織化が起こる。
【0007】
欧州特許出願EP 665 289(特許文献3)は、特異的ペプチド、これらのペプチドに結合しているMHC分子、およびこれらに結合する特異的ペプチドを有する各MHC分子の架橋により得られるオリゴマーを開示している。オリゴマー化は、化学的架橋剤を使用することにより、またはIgGまたはIgMなどの免疫グロブリンによって認識されるエピトープを含むMHCキメラタンパク質を提供することにより、達成される。このMHC分子は、標識を含むことができ、それらの特異的受容体結合によりT細胞の標識、検出、および分離に使用され得、最終的に、ヒトの治療において用いられ得る。
【0008】
別の態様において、EP 665 289(特許文献3)は、MHC結合ペプチドのオリゴマー化された形態を使用することによりオリゴマー化される、オリゴマーのMHC複合体を記載している。このオリゴマーペプチドはペプチドの化学修飾によって結合される可能性があり、または、このオリゴマーペプチドは、直鎖状のオリゴマー、すなわちいくつかのMHC結合部分を有する一つのペプチド鎖をすでに形成している可能性がある。
【0009】
US 2002/0058787(特許文献4)は、柔軟な分子リンカーでつながれた少なくとも2つのMHC結合ペプチドを含むペプチドオリゴマーを開示している。このMHC結合ペプチドはMHCクラスI結合ペプチドであることができ、またはMHCクラスII結合ペプチドであることができる。さらに、このようなオリゴマーを作製するための定方向性クローニング法も開示される。開示されたオリゴマーは、例えば、CD4+またはCD8+T細胞の特異的活性化または活性化抑制のための方法と関連して使用され得る。このような方法は、腫瘍、自己免疫不全、同種移植拒絶、およびアレルギー性反応の処置に対する治療手段を提供する。しかしながら、これらのペプチドオリゴマーは過剰なモル濃度のペプチドの存在下での可溶性MHC複合体またはその鎖のインキュベーションが通常必要であるため、単離されたMHC-ペプチド多量体の形成にあまり適していない。これは、複合体の極めて不完全なオリゴマー化、および、結果として生じる複合体におけるMHC結合ペプチドの複数の区画がMHC-ペプチド複合体に結合しない状態をもたらし、その結果特異性の低下およびこのような複合体のより高いバックグラウンド結合をもたらし得る状態をもたらすと考えられる。
【0010】
MHC多量体を構築する場合、まずMHCペプチド単量体を構築し、次いでこれらの単量体を、(例えば、US 5,635,363(特許文献5)において記載されるように)多価単位(multivalent entity)に、または互いに付着させることによって多量体化することが望ましい可能性がある。しかしながら、US 5,635,363(特許文献5)に記載される方法は、エピトープ、またはMHCペプチド複合体のα鎖もしくはβ鎖上の多価単位に対する単量体の特異的付着部位を必要とする。実際、このような特異的付着部位を提供するための便利な方法は多くはない。
【0011】
最も簡単な方法は、MHC分子のC末端に抗体結合エピトープを提供し、次いでそのエピトープに特異的な一つまたは複数の抗体によって分子を多量体化する事である可能性がある。本技術の欠点は、単量体抗体エピトープの相互作用が典型的に望ましい強さほど強いものではなく、結果として生じる分子が、二段階プロセス、例えば、第一にエピトープ特異的抗体を結合させ、次いで、結果として生じるMHC抗体複合体に、第二のアイソタイプ特異的抗体を結合させるプロセスにおいて多量体化される場合に、極めて大きい可能性があることである。
【0012】
組換えタンパク質発現によって作製されるポリペプチドの任意の化学的な部位特異的修飾は、一つまたは複数のアミノ酸に特異的な大部分の公知の標的化結合法と同様に困難である。結果として、単量体複合体が形成された後にMHC分子中に結合した抗原ペプチドのアミノ酸を含むいくつかのアミノ酸は、通常同時に修飾される。これは、複合体の、その相補的なT細胞受容体に成功裏に結合する能力に対し、制御できない影響を有する。これは、任意の無秩序な架橋性プロセスに対してさらにあてはまる。
【0013】
あるいは、ビオチン-ストレプトアビジンシステムを使用してMHC複合体をオリゴマー化することが示唆されている(例えば、US 5,635,363(特許文献5)を参照)。この方法は、そのカルボキシル末端の一つの近くにあるMHC分子の部位特異的な酵素によるビオチン化を必要とする。酵素が認識する約14アミノ酸のペプチド配列は、一つのMHCペプチド鎖のC末端に融合しており、これは、この部位を認識するビオチン化酵素を使用して、複合体がビオチン化されることを可能にする。ビオチン化はしたがって、実質的な数のプロセス工程を含み、これには数回のタンパク質精製、および活性MHC複合体の有意な損失につながり得る酵素的ビオチン化反応が含まれる。さらに、単量体MHCサブユニットのビオチン化効率および最終的な多量体産物の質の制御は困難である。例えば、均質なペプチドを含む特定のMHC複合体が合成され、その合成収率が非常に低い場合、ビオチン化反応におけるタンパク質損失および100%未満のビオチン化効率は、最終産物の収率を許容可能なレベルに満たないものにする可能性がある。
【0014】
本方法また、ビオチン化複合体を四量体化するストレプトアビジンなどのアビジンファミリータンパク質、またはこのようなタンパク質の架橋変異体にビオチン化複合体を結合させるための多量体化方法を制限する。架橋アビジンファミリータンパク質変異体を用いても、複合体の結合価を正確に制御することは困難である。このような四量体の、もしくは不均一な結合価の多量体が望ましくない状況、またはストレプトアビジンもしくはストレプトアビジン関連分子の使用が不必要である状況では、本方法はさらに深刻な制約を有する。
【0015】
本発明の目的は、任意の所望の程度のオリゴマー化を可能にするMHCオリゴマーを提供することにより、先行技術に改良を提供することである。さらに、適度な収率および優れた純度で作製されるオリゴマーを提供することも、本発明の目的である。
【0016】
【特許文献1】EP 812 331
【特許文献2】WO 93/10220
【特許文献3】EP 665 289
【特許文献4】US 2002/0058787
【特許文献5】US 5,635,363
【発明の開示】
【0017】
発明の概要
先行技術の上記および他の不利益を克服するため、ならびに上記の目的を解決するため、本発明はしたがって、第一の局面において、ペプチド結合溝を有する少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーを提供し、各MHC複合体は、MHC複合体ペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、ここで、各ペプチドは、コア構造による機能性MHC複合体の高度に特異的なオリゴマー化を可能にする修飾を有する。
【0018】
好ましくは、MHCオリゴマーは、MHC-ペプチド複合体に結合しないMHC結合ペプチドの区画を実質的に含有しない。
【0019】
好ましくは、実質的に、MHCオリゴマー中に含まれるペプチドのMHC結合部分のアミノ酸側鎖、および/またはMHC-ペプチド複合体におけるMHCα鎖またはMHCβ鎖はいずれもオリゴマー化の過程で修飾されない。
【0020】
第一の特定の態様において、本発明は、ペプチド結合溝を有する、少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーであって、各MHC複合体がMHC複合体のペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、該MHC複合体が、該ペプチドを含む機能性単量体MHC複合体の構築後にそのペプチドにおいてオリゴマー化される、MHCオリゴマーに関する。
【0021】
第二の特定の態様において、本発明は、ペプチド結合溝を有する、少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーであって、各MHC複合体がMHC複合体のペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、ここで各ペプチドが特異的付着部位およびオリゴマー化ドメインからなる群より選択される修飾を含み、
該機能性MHC複合体のオリゴマー化が
(i)各ペプチドの、各ペプチドに提供されるまたは付着される特異的付着部位の多価単位に対する結合、または
(ii)該ペプチドの、各ペプチドに提供されるまたは付着されるオリゴマー化ドメインによるアライメント
により生じ、オリゴマー中のMHC複合体が、多価単位によってまたはペプチドのアライメントによって提供されるコア構造に結合される、MHCオリゴマーに関する。
【0022】
第二の局面において、本発明は上記で定義された、任意で薬学的に許容される担体と併用されるMHCオリゴマーを含む、薬学的または診断的組成物も提供し、各ペプチドは、オリゴマー化を可能にする修飾を有し、この修飾は、付着部位またはオリゴマー化ドメインからなる群より選択される。
【0023】
第三の局面において、本発明は、機能性MHC複合体に結合する事が可能な抗原受容体の特異性に従って、哺乳動物T細胞を標識、および/または検出、および/または分離するいくつかの方法を提供する。
【0024】
第四の局面において、本発明は、各MHC複合体がMHC複合体のペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、ここで各ペプチドが、コア構造による機能性MHC複合体の高度に特異的なオリゴマー化を可能にする修飾を有する、ペプチド結合溝を有する少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーを形成する方法であって、以下の段階を含む方法を提供する:
(i)各機能性MHC複合体のペプチド溝中で結合することが可能な一つまたは複数のペプチドを提供する段階であって、該ペプチドが
(a)特異的付着部位を提供すること、または
(b)オリゴマー化ドメインを提供すること
により修飾される段階;
(ii)段階(i)の修飾されたペプチドを含む、単量体機能性MHC-ペプチド複合体を提供する段階;
および
(iii)機能性MHC複合体を、
(a)多価単位、および、各ペプチドに提供される特異的付着部位での前記単量体機能性MHC-ペプチド複合体の該多価単位に対する結合を提供すること、または
(b)該ペプチドの、各ペプチドに提供されるまたは付着されるオリゴマー化ドメインによるアライメント
によりオリゴマー化する段階。
【0025】
好ましくは、本発明の第四の局面の方法において形成されるMHCオリゴマーは、本発明の他の適用可能な局面、および/またはこれらの各態様、および/または本明細書の一つのMHCオリゴマーであると考えられる。
【0026】
発明の詳細な説明
本発明のMHCオリゴマーは、前記ペプチドにより提供された修飾によるそれらの構築後の、機能的なペプチド含有単量体MHCペプチド複合体の高度に特異的な様式のオリゴマー化によるMHC結合ペプチドによってオリゴマー化される。オリゴマー化のために、各単量体MHCペプチド複合体に含有されるペプチドは、コア構造に対するペプチドにより高度に特異的な様式でオリゴマー化される。この目的のために、ペプチドは多価単位に付着されるか、または、ペプチドは自己組織化もしくはオリゴマー化され、それによって形成されたオリゴマーのコア構造が作られる。
【0027】
本明細書において使用される場合、「コア構造」という用語は、ペプチドおよびしたがってMHC単量体の同時の結合を可能にする任意の単位を表すことが意図される。コア構造は、ペプチドが付着した別々の多量体単位によって提供され得る。あるいは、ペプチドそれ自体は、オリゴマー化によりそのようなコア構造を作る。これには、MHC結合部分が結合し、それがつりさがる、該ペプチドのオリゴマー化ドメインが含まれる。言い換えれば、該ペプチドの修飾は、それらが自己組織化または整列することを可能にし、それによって、全てのペプチドが同時に結合する新しいコア構造が作られる。
【0028】
本明細書において使用される場合、「多量体化」または「オリゴマー化」という用語は、少なくとも2つの機能性MHC単量体を含む、少なくとも所望の時間安定な複合体が作られる事象を表す。両方の用語は、交換可能であると見なされる。
【0029】
選択されたオリゴマー化の種類に基づいて、本発明のMHCオリゴマーは、個々の単量体MHCペプチド複合体が精製され、別々に構築され、その後多量体化され得ることから、十分に制御可能な予め決定された結合価および非常に高い純度を有することができる。さらに、いくつかの態様において、本発明は周知の合成方法を使用して単量体MHCペプチド複合体を合成し、必要であれば修飾することが可能であるという利点を有する。多量体化は、その際に単量体がさらに修飾されることを必要とすることなく単量体の合成後に起こり得、したがって、その段階におけるさらなるタンパク質損失を回避する。さらに、その後の多量体化を目的とする修飾は、MHCペプチド結合溝における少ないペプチド結合上で行われることのみを必要とする。これはしかしながら、例えば、部位特異的修飾の導入のための際立った柔軟性を可能にする固相技術を使用して、好都合に達成され得る。
【0030】
結果として、本発明に従って形成されたMHCオリゴマーは、これらが、抗原特異的T細胞の表面上のT細胞受容体に面した複合体における、全てのMHCペプチド結合面を有する平面構造において容易に方向付けられるような、有利な立体配座を持つように設計することが可能である。これらはまた、正確なおよび十分に制御された化学量論により行うことも可能である。さらに、形成されたオリゴマーは、MHC分子に結合していないペプチドMHC結合部分を実質的に含まない。
【0031】
本発明に基づいて、機能性の単量体MHC複合体が最初に形成される。これは、関心対象の修飾ペプチドの存在下における、封入体物質に由来する関連するMHCα鎖およびβ鎖の再折りたたみ、または未変性の単量体MHCペプチド複合体の、好ましくは関心対象の修飾ペプチドの存在下における真核生物発現系における発現のいずれかによる。両方の場合において、再折りたたみ後、関心対象のそのような修飾ペプチドによるペプチド交換も起こる。
【0032】
MHC複合体のオリゴマー化は、機能性の単量体MHCペプチド複合体が、ペプチドに提供される修飾により一部可能となる適切な反応化学または機序により形成された後に起こる。典型的に、これは、単量体MHCペプチド複合体の結合特性を妨害または変更しない、生理学的な緩衝条件に基づいて行われる。本発明はしたがって、このオリゴマー化MHC複合体単量体の機能性を保持する、高い収率の方法も提供する。
【0033】
不確かさを回避するために、本明細書において作製される単量体MHCペプチド複合体に対する言及は、そのような単量体複合体が、そのペプチドにおいてさらなるオリゴマー化が起こる前に、既に、予めある特定の程度まで多量体化されていることを除外しない。例えば、単量体MHCペプチド複合体は、WO9310220において記載されるように、オリゴマー化されてより高い結合価のMHCペプチドオリゴマーとなる前に既にMHC-Ig融合二量体として提供されていてもよい。したがって、本明細書において使用されるような単量体MHCペプチド複合体は、単に、関心対象のペプチドを含む機能性単量体サブユニットが、このペプチドにおいてさらなるオリゴマー化が起こる前に最初に形成されるという事実に言及しているにすぎない。しかしながら、好ましくは、この本発明のオリゴマーのMHC複合体は、第一の例における真に単量体であるMHCペプチド複合体の形成により生成される。
【0034】
第一の局面において、本発明は上に述べたように、ペプチド結合溝を有する少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーを提供し、各MHC複合体はMHC複合体のペプチド結合溝においてペプチド結合を有し、各ペプチドは、高度に特異的なオリゴマー化を可能にする修飾を有する。本修飾は、好ましくは付着部位またはオリゴマー化ドメインからなる群より選択してもよい。選択した修飾に応じて、次に、(i)各ペプチドに提供されるまたは付着される特異的付着部位の多価単位に対する各ペプチドの結合、または(ii)各ぺプチドに提供されるまたは付着されるオリゴマー化ドメインによるペプチドのアライメントによって、機能性MHC複合体のオリゴマー化が起こる。任意の場合において、オリゴマー中のMHC複合体は、多価単位によってまたはペプチドのアライメントによって提供されるコア構造に結合される。
【0035】
本明細書において使用される場合、「高度に特異的な」オリゴマー化という用語は、好ましくは10を上回る、より好ましくは100を上回る、最も好ましくは1000を上回る、単量体MHCペプチド複合体のα鎖もしくはβ鎖のアミノ酸、またはMHC結合ペプチドのMHC結合部分のアミノ酸に対してオリゴマー化反応において行われる任意の修飾を回避する、好ましくは予め決定された様式における生理学的な条件でのオリゴマー形成(付着またはアライメントによる)の特異性および/または選択性を意味する。
【0036】
例示を目的として、抗原ペプチド結合をその溝に有する、対応する単量体MHCクラスII複合体が、図1に示される。本図面は、MHCα鎖およびβ鎖の、それぞれα1、α2、およびβ1、β2ドメインを示す。それぞれのポリペプチド鎖のアミノ末端およびカルボキシ末端は、それぞれNおよびCと名称付けられる。ジスルフィド結合の位置は、S-Sにより示される。MHCα鎖は、タグトメイン(E)を有するように示される。抗原またはペプチド(P)のMHC結合部分は、リンカー(非表示)および付着部位またはオリゴマー化ドメインの形のそのようなリンカーの末端における修飾(H)とともに終末部の一つにおいて合成される。
【0037】
結合ペプチドがMHC結合溝外に伸長可能であることが公知であるMHCクラスII結合ペプチドに対して、ペプチドのN末端もしくはC末端上またはその近傍で修飾を行ってもよい。
【0038】
図2は、図1と同様に、その溝に結合した、修飾された抗原ペプチドを有する単量体MHCクラスI複合体を示す(本図は、図1に対応する名称により示される)。MHCクラスI分子の場合、特異的付着部位またはオリゴマー化ドメインの形の修飾(H)は、好ましくは、リンカーを含むMHC結合ペプチドがN末端よりもMHC結合溝のオーバーハングに対しより柔軟性を有する、ペプチドのC末端またはC末端近傍に位置する。
【0039】
ある態様において、オリゴマー化は、ペプチドの多価単位に対する付着により起こる。そのような付着は、ペプチドに提供されるまたは付着される特異的付着部位の、多価単位上に提供される相補的認識部位による認識により起こり得る。この認識部位は、ペプチドの、それぞれ特異的付着部位および相補的認識部位の多価単位に対する共有結合または非共有結合を可能にする。多価単位の結合価は、多価単位に提供されかつ結合に利用可能な相補的認識部位の数およびこれらの個々の結合価により決定される。
【0040】
付着が非共有結合である場合、特異的付着部位および認識部位は特異的結合対のメンバーから選択される。必要な特異性の好適な結合対が、当技術分野において公知である。そのような結合対の非限定的な例は、ハプテン/抗体、エピトープ/抗体、リガンド/受容体、基質または基質アナロゴン(analogon)/酵素、補助因子または補助因子アナロゴン/酵素、核酸/相補的な核酸、糖/レクチン、ビオチン/アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンなどのアビジンファミリータンパク質、Streptag(登録商標)/Streptactin(登録商標)である。
【0041】
例えばビオチン/ストレプトアビジン結合対の場合、ビオチンは、煩雑な酵素的ビオチン化の必要性を排除する簡便な化学合成により、予め決定されたアミノ酸位置でMHC結合ペプチド中に導入することが可能である。ストレプトアビジンを用いたオリゴマー化は、次に四量体のMHC複合体をもたらす。
【0042】
あるいは、多価単位に対するペプチドの付着は、多価単位に対するペプチドの共有結合により生じる。このような場合、付着部位および認識部位は、好ましくは生理学的条件下で共有結合を生じさせることまたは互いに結合することが可能な、相補的部分である。特異的結合アプローチには、限定されるものではないが、以下の種類の共有結合が含まれる:(a)オキシム、(b)ヒドラゾン、(c)チアゾリジン、(d)オキサゾリジン、(e)チオエーテル、(f)ジスルフィド、および(g)ペプチド。当技術分野において公知であるいくつかの化学的性質が、そのような種類の結合を形成させるために利用可能である。
【0043】
好ましい態様において、共有結合を生じさせることが可能な、または結合することが可能な部分は、(i)天然のアミノ酸側鎖、および/または(ii)アミノ酸カルボキシル末端基もしくはアミノ末端基、ならびに(iii)(i)および(ii)の組み合わせとは異なるものである。
【0044】
別の好ましい態様において、N末端のシステインは、アミノ末端およびシステインのチオール基の組み合わせが、相補的なチオエステル部分に選択的に結合させてペプチド結合を形成させるため、相補的なマレイミド部分に選択的に結合させてチオエーテル結合を形成させるため、または相補的なアルデヒド部分に選択的に結合させてチアゾリジン結合を形成させるために使用され得ることから、ペプチドに導入される。マレイミドの化学的性質を用いて、ペプチドのN末端ではなくその近傍、好ましい場合はC末端またはその近傍にシステインを導入することもまた可能である。
【0045】
より好ましい態様において、より最近になって発達した、チオールの化学的性質またはカルボニルの化学的性質を使用する特異的な化学選択的ライゲーションケミストリーの任意の一つが適用される。さらなる詳細については、Weng C. Chan and Peter D. White Eds., "Fmoc solid phase peptide synthesis, A Practical Approach" Oxford University Press (2000) 11章のJ.P. Tam and Y.A. Lu 「Chemoselective and orthogonal ligation techniques」を参照すべきであり、これは参照として本明細書に組み入れられる。本発明に適用することが可能である、市販されている特異的な架橋ツールは、例えばEMD BioSciences, Inc., Darmstadt, Germanyから、HydraLinK(登録商標)という商品名で入手可能である。
【0046】
特徴的に、そのような化学選択的ライゲーションは、(i)保護されていないペプチドセグメントを使用し、かつ、(ii)この反応は水性条件において実施される。これらのケミストリーを達成するために、求核基および求電子体からなる反応性の対が、これらそれぞれの合成のあいだペプチドPおよび多価単位上に配置される。通常、この求核基は弱塩基であり、ライゲーションが約7のpHの緩衝溶液において選択的である事ができるように、これは天然のアミノ酸中のαアミンまたはεアミンよりも有意に低いpKa、またはこのようなαアミンよりも非常に強い求核基のいずれかを有する。化学選択性は、そのような互いに反応性の基が共に水溶液中に存在し、単独の求核基としての弱塩基が求電子体と反応する場合に達成される。含まれるペプチド上の他の官能基の保護は、したがって不要となる。
【0047】
一般に、MHC結合ペプチド上の特異的付着部位として、および多価単位上の相補的認識部位として提供される相補的部分を反応させる化学選択的ライゲーションケミストリーを使用することが好ましく、その、それ以外との反応は、天然のアミノ酸のアミノ酸側鎖がこの反応において修飾されず、未変性のMHCペプチド複合体の機能的な完全性を実質的に除去しないような環境条件下で行われる。
【0048】
好ましい態様において、特異的付着部位または相補的認識部位はアルデヒド基を含み、これは、前記のTamおよびLuに記載されるように、ポリペプチドバックボーン中に導入することが可能である。さらに好ましい態様において、特異的付着部位または相補的認識部位のもう一方は、アルデヒド基と反応して(a)オキシム、(b)ヒドラゾン、(c)チアゾリジン、(d)オキサゾリジン、(e)チオエーテル結合を形成することが可能な基を含む。最も好ましい態様において、ペプチド(P)上に提供される特異的付着部位は、アルデヒド基を含む。
【0049】
上記(a)から(d)の種類の結合を形成する反応化学の例は、以下の通りである。
(a)オキシム

(b)ヒドラゾン

(c)チアゾリジン

(d)オキサゾリジン

式中、R1は(a)保護されていない修飾ペプチド(P)または(b)多価単位のいずれか一つであり、R2は他方である。
【0050】
いずれの場合も、前記多価単位は、制御された数の認識部位のコピーを組み込むために修飾することが可能である。相補的結合パートナーの系は、高度な特異性および選択性を有すると考えられる。各部位は、個々に一価または多価であり得る。特に、付着部位に対する認識部位の結合は、単量体MHCペプチド複合体の安定性および活性を損なわない条件下で起こるような結合であり、これは、該結合が水性条件下でかつ中性に近いpHで典型的に行われることを意味する。
【0051】
オリゴマー化プロセスがペプチドPのMHC結合部分またはMHCα鎖もしくはβ鎖のいかなる残基も修飾しないように、両方の部位が選択されることも好ましい。
【0052】
認識部位と付着部位との間の共有結合が、オリゴマーのMHC複合体の安定性を最大にするために好ましい可能性がある。これらの共有結合ケミストリーを利用するために、必要な反応性部分の一つがペプチドの付着部位に提供されるのに対し、もう一方は多価単位上の認識部位に提供される。そのような反応性部分の組み込みの簡単なアプローチは、ペプチド合成中またはペプチド合成後に、TamおよびLu(前記)により考察されているプロトコルを使用して、多価単位および/またはペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端あるいはそれらの近傍に好適な修飾を組み込むことである。
【0053】
化学選択的な非アミドライゲーションは、これが部位特異的である場合に、結合に対して好ましく、反応は、未変性のMHCペプチド複合体の構造に障害を与えないように、水性条件においてpH7もしくは十分に7に近いpHでまたは実施される。
【0054】
好ましい態様において、付着部位および認識部位は、最適にはpH4.7で反応し、ビス-芳香族ヒドラゾンを形成することが可能である、それぞれ2-ヒドラジノピリジルおよびベンズアルデヒドである。より高いpHではよりゆっくりと起こるが、この反応は7.3までのpHで行うことも可能であり、MHCペプチド単量体の安定性を保証する。反応動態の速さを、MHC分子の安定性を損なわない結合条件と組み合わせるため、約6.5〜6.8の緩衝剤のpHが最適であると考えられる。
【0055】
もう一つの好ましい態様において、付着部位および認識部位は、固相合成技術により、ペプチド(P)および多価単位の少なくとも一つの中に導入される。好適な基を導入するためのいくつかの方法が、同様にTamおよびLu(前記)に記載されている。
【0056】
上記のケミストリーを、多価単位がポリペプチドではなくむしろオリゴヌクレオチドである状況に適合させる方式は、当業者にとって明らかであると思われる。
【0057】
本発明のオリゴマー化のための第一のおよび第二の別のアプローチにおいて使用される多価単位は、それがMHC複合体単量体のT細胞受容体結合を過度に妨害しない限り、任意の多価単位であることができる。多価単位の結合価、すなわち多価単位上の認識部位または反応性部分の数およびそれらの間隔は、オリゴマー化の程度を決定すると考えられる。例えば、ストレプトアビジンのような四価の単位は、結果として四量体をもたらす。しかしながらさらに高い結合価も可能である。好ましくは、この単位の結合価は、2〜20の範囲であり、より好ましくは4〜10の範囲である。
【0058】
好ましくは、前記の多価単位は、タンパク質、分岐ポリペプチド(デンドリマー)、多量体タンパク質、核酸、デキストラン、デンプン、セルロース、ヒアルロン酸、キチン、もしくはアルギン酸などの多糖またはこれらの多糖の誘導体、オリゴヌクレオチド、環状オリゴヌクレオチドなどの天然ポリマーまたはその誘導体;ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)などの合成ポリマー;小胞またはリポソームなどのリン脂質膜、および無機粒子、例えばポリスチレンビーズもしくはアクリルビーズ、または磁気ビーズである。認識部位は、例えばそのバックボーンによって、多価単位により提供され得るか、またはそれに付着される。
【0059】
好ましい態様において、多価単位は天然ポリマー(タンパク質もしくは多量体タンパク質、例えばストレプトアビジン、アビジン、免疫グロブリン、ヒアルロン酸、セルロースなど)、または合成ポリマー(例えばポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリ乳酸)であり、認識部位は、多価単位のバックボーンによって提供されるか、またはそれに付着される。
【0060】
より好ましい態様において、多価単位は分岐ポリペプチド(いわゆるデンドリマー)である。これらのデンドリマーは、例えばTamおよびLu(前記)に開示されるようなプロトコルに従って作製され得る。分岐ポリペプチドを合成するためのいくつかの他の方法は、十分に当業者に公知である。
【0061】
好ましくは、分岐ポリペプチドは、その分岐の二つまたはそれ以上の予め決定された部位に組み込まれた、特異的認識部位または特異的結合対のメンバーを有する。ペプチドの各分岐は、所望の長さを有し得る。好ましくは、各分岐は24アミノ酸長未満である。公知の方法により、ペプチドの分岐は、合成中のペプチドの分岐によってLys残基上に生じる。この様式において、ペプチドは第一のリジン残基上で二つの分岐に分岐し、さらに、さらなるリジン残基上で分岐して四価の単位をそれ以降に形成する。八量体などの他の結合価は、幾らかの分岐段階を含むことにより生じる。奇数の結合価もまた、合成ペプチドを単に部分的に分岐させることによって、達成可能である。
【0062】
多価単位としてのデンドリマーの全体的な化学合成は、オリゴマーの性質および化学量論の非常に正確な制御を可能にすると考えられる。これは次に、T細胞標識または検出などのオリゴマーの様々な使用において、より高い精度で適合する。
【0063】
図3は、本発明の、そのペプチドにおけるMHC複合体モノマーの多量体化に適した分岐ペプチドまたはデンドリマーを示す。本図面は、四量体構造を生じるよう二回分岐したポリペプチドバックボーンを示す。前記デンドリマーは、各末端分岐上に相補的認識部位(H')を組み込むように合成され、これは、MHC複合体の安定性に影響を及ぼさない条件下で特異的付着部位(H)に結合することが可能であり、したがって、四価の単位を生じる。本図面は、蛍光標識化部分(F)をさらに示し、これは、デンドリマーの分岐していない部分の中に組み込まれている。
【0064】
別の態様において、前記の多価単位はオリゴヌクレオチドまたは環状オリゴヌクレオチドである。このオリゴヌクレオチドは典型的に核酸50〜150個の長さであるが、核酸3個の短さである場合もある。好ましくは、これは環状オリゴヌクレオチドであり、さらにより好ましくは周の長さが150塩基未満である。この別の態様は図4に示されており、これはそのような環状オリゴヌクレオチドのバックボーンを示している。図3に類似して、ここではオリゴヌクレオチドはその合成中または合成後に六つの異なるヌクレオチド上に相補的認識部位(H')を含むように修飾され、このようにして、六価の単位を生じる。さらに、この環状オリゴヌクレオチドは、二つの蛍光標識化部分(F)も含む。
【0065】
オリゴマー化に対する第二の選択肢に従って、MHCオリゴマーは、それらのオリゴマー化ドメイン中のペプチドのアライメントを経る。アライメントについて、本発明者らは最も広い意味で、(高)分子間の任意の自律形成結合事象を述べており、これは結果として二つまたはそれ以上のそのような(高)分子の、少なくとも一時的な結合をもたらす。この種類の例は、核酸のハイブリダイゼーション、免疫グロブリンFcドメインなどの二つまたはそれ以上タンパク質(タンパク質ドメイン)の自己組織化、コイルドコイルドメイン;ケラチン繊維などの自己組織化、ならびに化学的部分の共有結合である。このオリゴマー化ドメインは、実際にはペプチド性バックボーンの一部を形成していても、またはそれに付着されてもよい。これらは、ペプチドまたは核酸の特徴のものでもよい。したがって、第一の態様において各ペプチドはペプチド性オリゴマー化ドメインを含み、これは好ましくはペプチドバックボーンに融合する。別の態様において、各ペプチドはそれに付着されたオリゴマー化ドメインを有する。この場合、オリゴマー化ドメインはペプチド性オリゴマー化ドメインおよび核酸からなる群より選択してもよい。
【0066】
このペプチド性オリゴマー化ドメインは、抗体定常ドメイン、酵素モノマー、およびオリゴマー形成コイルドコイルタンパク質のオリゴマー化ドメインからなる群より選択してもよい。好ましくは、これはコラーゲン、C型レクチン、およびトロンボスポンジンファミリータンパク質のタンパク質ファミリーからなる群より選択されるオリゴマー形成コイルドコイルタンパク質のオリゴマー化ドメインである。
【0067】
オリゴマー形成コイルドコイルタンパク質の例には、様々な種類のコラーゲン、マンノース結合タンパク質(MBP)などの、C型レクチンの三重のコイルドコイルドメイン;p53、GCN4、バクテリオファージP22 Mntリプレッサーに生じるようなC1q、ミオシン、ロイシンジッパー;ならびにCOMPなどのトロンボスポンジンファミリータンパク質が含まれる。好ましくは、オリゴマー化ドメインは、軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質(COMP)に由来する。より好ましくは、オリゴマー化ドメインはヒトのCOMPである。
【0068】
本発明のMHCオリゴマーに含まれるMHC複合体の数(m)は、典型的にペプチドのオリゴマー化ドメインの種類に左右されるコイルドコイルタンパク質の場合、2またはそれ以上、好ましくはm=2〜10、最も好ましくはm=3または5から導かれ、一般にこれらであり得る。オリゴマー化するペプチドの修飾が、例えばCOMPのペンタメリゼーション(pentamerisation)ドメインから生じる場合、この数は典型的に、オリゴマーが五量体であるような5である(m=5)と考えられ、一方これらのオリゴマー化ドメインがコラーゲンから生じる場合は、この数は3である(m=3)と考えられる。
【0069】
ある態様において、各ペプチドは連続的に二つの非オーバーラップオリゴマー化ドメインを含む。例えば、オリゴマー中のn番目のペプチドの第二のオリゴマー化ドメインを、次にオリゴマー中の(n+1)番目のペプチドの第一のオリゴマー化ドメインを用いて二量体化または整列する。オリゴマー中の(n+1)番目のペプチドの第二のオリゴマー化ドメインを、次にオリゴマー中の(n+2)番目のペプチドの第一のオリゴマー化ドメインを用いて二量体化または整列する。最も好ましくは、この場合、オリゴマー中の最後のペプチドの第二のオリゴマー化ドメインをオリゴマー中の第一のペプチドの第一のオリゴマー化ドメインにより二量体化して、環状の構造を提供する。たとえこの態様が原則として二量体化することができる任意の種類のオリゴマー化ドメインを使用することが可能であっても、第一のおよび第二のオリゴマー化ドメインは、好ましくはオリゴマー化がそのハイブリダイゼーションにより生じる核酸である。
【0070】
オリゴマー化する機能性単量体MHC複合体は、通常、それぞれ図1または図2に示される、MHCクラスIまたはクラスII複合体、好ましくはMHCクラスI複合体の細胞外部分またはMHCクラスII複合体の細胞外部分に由来し得る、可溶性の単離されたまたは組換え体のMHC複合体である。これらの複合体のそれぞれは、α鎖およびβ鎖からなる。この機能性複合体は、そのα鎖およびβ鎖により形成されたそれぞれの溝に結合した修飾ペプチドをさらに含む。
【0071】
MHCタンパク質は、任意の脊椎動物種、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラット、ハムスター、およびウサギを含む齧歯類;ウマ;ウシ;イヌ;ネコなどに由来しうる。特に関心対象のものは、ヒトHLAタンパク質およびネズミH-2タンパク質である。HLAタンパク質に含まれるものは、クラスIIサブユニットであるHLA-DPα、HLA-DPβ、HLA-DQα、HLA-DQβ、HLA-DRα、およびHLA-DRβ、ならびにクラスIタンパク質であるHLA-A、HLA-B、HLA-C、およびβ2ミクログロブリンである。ネズミH-2サブユニットに含まれるものは、クラスI H-2K、H-2D、H-2L、ならびにクラスII I-Aα、I-Aβ、I-Eα、I-Eβ、およびβ2ミクログロブリンである。いくつかの代表的なタンパク質のアミノ酸配列は、EP 812 331において参照される。本発明の範囲にさらに含まれるものは、HLA-E、HLA-F、HLA-G、Qa1、およびCD1などの、非古典的な例である。CD1モノマーは、ペプチドの代わりにその溝中に脂質結合を有する。本発明はまた、ペプチドの代わりに脂質が結合する状況に適用可能であり、当業者は上記のオリゴマー化プロトコルをこの状況に適合させることができる。
【0072】
好ましい態様において、MHCペプチド鎖は、通常膜結合タンパク質の可溶性形態に対応する。クラスIサブユニットについて、この可溶性の形態は、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインの欠失により未変性の形態から生じる。クラスIタンパク質について、この可溶性の形態は、α鎖のα1、α2、およびα3ドメインを含むと考えられる。クラスIIタンパク質について、この可溶性の形態は、α鎖またはβ鎖のそれぞれα1およびα2、またはβ1およびβ2ドメインを含むと考えられる。
【0073】
膜貫通ドメインの約10以下、通常約5以下のアミノ酸が含まれ、好ましくはアミノ酸は含まれない。前記欠失は、約10アミノ酸だけα3ドメイン中に拡大する。好ましくは、α3ドメインのアミノ酸は欠失しない。欠失は、機能性ジスルフィド結合構造に折りたたまれる、α3ドメインの能力に障害を与えないような欠失である。このクラスIβ鎖であるβ2mはその未変性の形態では膜貫通ドメインを欠いており、切断する必要がない。一般に、クラスIIサブユニットはクラスIサブユニットとの抱合に使用されない。
【0074】
上記の欠失は、クラスIIサブユニットに同様に適用可能である。これは約10アミノ酸だけα2またはβ2ドメイン中に拡大し得、好ましくはα2またはβ2ドメインのアミノ酸は欠失しない。欠失は、機能性ジスルフィド結合構造に折りたたまれる、α2またはβ2ドメインの能力に障害を与えないような欠失である。
【0075】
ポリペプチド末端に少数の、通常は25以下の、より通常には20以下のアミノ酸を導入することが望ましい場合がある。アミノ酸の欠失または挿入は、通常クローニングにおける必要条件の結果、例えば好都合な制限部位の提供の結果等であり、分子の集合における潜在的な立体的問題を扱う。さらに、同様の理由から、一つまたは複数のアミノ酸で異なるアミノ酸を置換することが望ましい場合があり、通常、任意の一つのドメインにおいて、約5個を上回るアミノ酸は置換されない。
【0076】
一般に、オリゴマーはこのようにして、これらに含まれる一つまたは複数のタンパク質またはペプチド鎖の形態で、一つまたは複数のリンカー、タギングドメイン、および精製ドメインなどの一つまたは複数の付加的なドメインをさらに含む。この付加的なドメインは、例えば多価単位またはペプチド上に提供され得るが、MHCα鎖および/またはβ鎖上にも存在し得る。
【0077】
例示を目的として、図1および図2の複合体は、融合ポリペプチドとしてそれらのタンパク質鎖の一つに融合したタンパク質タグ(E)をさらに有し、このタグは、これらのタンパク質のさらなる標識化、精製、または付着を可能にし得る。タグEはエピトープタグであってもよく、そうでなければ修飾されたタンパク質配列でもよい。このタグは、ポリペプチドリンカーによりMHCα鎖またはβ鎖のポリペプチドから分離してもよい。一般に、このリンカーおよび任意の他のリンカーは、25以下の、好ましくは20以下のアミノ酸を含む。
【0078】
上記に記載されているように任意で複合体に含まれる前記タンパク質タグ(E)は、タンパク質の標識を可能にする任意のドメインであることができる。好ましくは、このタギングドメインは標識を含む。この標識は、抗体または光検出可能標識もしくは放射性標識によって認識されるエピトープのような前記ドメインそれ自身に含まれることが可能である。好ましくは、本標識は、FITCなどの蛍光マーカー、R-フィコエリトリンもしくはB-フィコエリトリン、アロフィコシアニンなどのフィコビリタンパク質、Cy3、Cy5、Cy7、発光マーカー、125Iもしくは32Pなどの放射性標識、西洋ワサビペルオキシダーゼ、もしくは例えばアルカリエビホスファターゼといったアルカリホスファターゼなどの酵素、エピトープ、レクチン、ビオチン、またはストレプトアビジンからなる群より選択される。
【0079】
標識がそれ自身タンパク質である場合、標識に使用されるタンパク質のポリペプチド鎖は、ペプチドに融合してキメラタンパク質を好ましくはそのC末端に形成することが可能である。例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはフィコビリタンパク質のサブユニットなどの蛍光タンパク質が、このキメラタンパク質中に使用され得る。GFPキメラタンパク質技術は十分に当技術分野において公知である。フィコビリタンパク質由来の好適なドメインを含むキメラタンパク質は、例えばWO 01/46395に記載されている。
【0080】
あるいは、標識は、適切に標識された抗体、または標識されたF(ab)断片などの抗体断片の、タグ(E)上の好適なエピトープに対する結合により達成され得る。
【0081】
任意で本発明のオリゴマー中に含まれる精製ドメインは、例えば特異的結合特性を提供することにより本発明のタンパク質の精製を補助する任意のドメインであることができる。適切な配列は当業者に公知であり、これらが複合体の機能性部分に障害を与えない限り適用可能である。好ましくは、精製ドメインはヘキサヒスチジン配列である。
【0082】
オリゴマー化する機能性単量体MHC複合体は、ペプチド結合溝中にペプチド結合を含む。このペプチドは少なくとも、付着部位またはオリゴマー化ドメインの形態で修飾を形成するまたは持つMHC結合部分および別部分を含む。任意のリンカーおよび修飾を除外するこのMHC結合部分は、MHCクラスIタンパク質との複合体について約6〜14アミノ酸長であり、通常約8〜11アミノ酸である。これは、MHCクラスIIタンパク質との複合体について約6〜35アミノ酸長であり、通常約10〜20アミノ酸である。
【0083】
ペプチドは、それらのMHC結合部分に多種多様なタンパク質に由来する配列を有し得る。多くの場合、T細胞エピトープとして作用するペプチドを使用することが望ましい。複数の抗原に由来するエピトープ配列が当技術分野において公知である。あるいは、エピトープ配列は、標的配列由来の一連の推定抗原性ペプチドを合成し、次に異なるペプチドに対するT細胞反応性についてアッセイすることによって、またはこれらのペプチドを有する一連のMHCペプチド複合体を作製し、結合しているT細胞を定量化することによって、未変性のMHCタンパク質に結合したペプチドの単離および配列決定によって経験的に決定してもよい。合成ペプチドの合成、配列の同定、および関連する最小の抗原性配列の同定が含まれるペプチドの調製は、当技術分野において公知である。任意の場合において、オリゴマーのMHC複合体に含まれるペプチドは、好ましくは実質的に均質であり、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、および最も好ましくは少なくとも95%のペプチドがそれらのMHC結合部分に関して同一であることを意味する。
【0084】
典型的に、リンカーポリペプチド配列が、ペプチド(P)のMHC結合部分の配列と修飾部位(H)との間に挿入される。そのようなリンカーは、例えばプロリンまたはセリンと共に散在するグリシン残基の反復である可能性があり、柔軟性および可溶性のために、nが典型的に1〜6の範囲である(GGPGG)nまたは(GGSGG)nである。柔軟な、十分な可溶性を有し、かつ有意な二次構造を形成しない他のリンカーもこの目的に好適であることが認識されると考えられる。一般に、1〜30、好ましくは3〜20、および最も好ましくは3〜10アミノ酸長のポリペプチドリンカーが使用され得る。非ペプチド性リンカーについて、それらの長さはそれに応じて調整され得る。非ペプチド性リンカーはまた、PEGまたはポリエチレンオキシド(PEO)反復を含むことも可能である。
【0085】
固相合成によってペプチド(P)のMHC結合部分の配列と修飾部位(H)との間にリンカーを提供する代わりに、本明細書に記載されているような化学選択的ライゲーションによりこのリンカーを挿入することができる。
【0086】
ある態様において、ペプチドのMHC結合部分は、それ自身N末端のシステインを保持する短いN末端のリンカーGGSGGと共に合成される。このペプチドを有するMHCペプチドモノマーは、本明細書の他の箇所で記載されているように形成される。モノマーの形成および精製の後、第二のより長いリンカーセグメントはR1-R2-R3の構造でシステインに結合され、式中R1は、チオエステル、アルデヒド、またはマレイミドなどのN末端のシステインに選択的に結合する部分であり、R2は、アミノ酸もしくはPEGもしくはPEOまたは他のポリマー反復リンカーであり、R3は、ビオチンまたは本明細書に記載されているような他の部分などの第二のライゲーション部分である。R1がマレイミドである場合、前記システインはペプチドのMHC結合部分のC末端に対するC末端アミノ酸と同様のリンカーを介して付加することが可能である。付加的なより長いリンカーR2を有するモノマーは、次に多価単位に結合させ、R3を介して所望の多量体を形成することが可能である。これは、MHC結合部分を含む非常に長いペプチドの合成を改善することが可能であるという利点を有する。R3がビオチンである場合、多価単位は、利用可能な結合部位の数、したがって結果として生じる多量体結合複合体の結合価を増加させるために、ストレプトアビジンまたはその架橋型などのアビジンファミリータンパク質であると考えられる。
【0087】
リンカーの長さは、それぞれのMHCペプチド複合体のTCRとの相互作用を実質的に妨害しないように、好ましくは、T細胞受容体(TCR)およびCD4、CD8、または他の補助受容体に対するMHCペプチド複合体の結合位置からオリゴマー化ドメインまたは付着部位が少なくとも十分な距離だけ離れているように選択される。前述の目的を前提として、リンカーの長さはまた、これがペプチド合成コストの低減に役立つように、可能な限り短く維持される。
【0088】
本発明のMHCオリゴマーは、標識も含み得る。そのような標識は、例えば光検出可能標識、放射性標識、酵素、エピトープ、レクチン、またはビオチンからなる群より選択され得る。他の標識が、タギングドメインEに関して上記に記載されている。これらを同様に使用してもよい。そのような単位が存在する場合、本標識はある態様において、好ましくは多価単位またはオリゴマー化ドメインのアライメントにより形成された構造に提供される。この標識は、オリゴマーの構築中もしくは構築後、または、さらにこれの適用中もしくは使用中に組み込まれてもよい。多価単位それ自身が化学的合成により形成される場合、標識は、正確な化学量論で、オリゴマーのMHC複合体の標識を可能にする多価単位上の予め決定された位置に化学的に導入され得る。標識が蛍光標識である場合、これにより、均一な高い輝度および最大の信号対雑音比を有する複合体の入手が可能になる。
【0089】
本発明はまた、上記に定義されるようなMHCオリゴマーを、任意で薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、薬学的組成物または診断的組成物に関する。
【0090】
本発明のオリゴマーを含む薬学的組成物は、例えば非経口的投与、すなわち皮下投与、筋内投与、または静脈内投与に有用である。さらに、複数の新しい薬物送達アプローチが開発中である。本発明の薬学的組成物は、同様にこれらの新しい方法を使用する投与に適している。
【0091】
非経口的投与用の組成物は、一般に、許容される担体、好ましくは水性担体に溶解したオリゴマー溶液を含む。様々な水性担体、例えば緩衝液、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン等を使用することができる。これらの溶液は、滅菌されており、一般に粒状の物体を含まない。これらの組成物は、従来の、周知の滅菌技術により滅菌してもよい。組成物は、pH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤等などの、おおよその生理学的条件に必要とされるような薬学的に許容される補助的物質、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム等を含有し得る。これらの調合物におけるオリゴマーの濃度は、幅広く、すなわち約1pg/ml未満、通常少なくとも約0.1mg/mlから10〜100mg/mlまで変化し得、選択された投与の特定の様式に従って、主に流体体積、粘度等に基づいて選択される。
【0092】
典型的な筋内注射用の薬学的組成物は、1mlの滅菌した緩衝液、および0.1mgのオリゴマータンパク質を含有するように作製され得る。静脈内注入用の典型的な組成物は、250mlの滅菌したリンゲル液および10mgのオリゴマー複合体タンパク質を含有するように作製され得る。非経口的に投与可能な組成物の調製のための実際の方法は、当業者に公知であるか明らかである。
【0093】
本発明のMHCオリゴマーは、保管のために凍結乾燥することが可能であり、かつ使用前に好適な担体中で再形成することができる。この技術は、効果的であることが示されており、通常用いられる凍結乾燥および再形成技術が使用され得る。凍結乾燥および再形成が様々な程度の活性損失をもたらし得ること、および補償するために使用レベルが調整されなければならない可能性があることが、当業者により認識されると考えられる。
【0094】
本発明はまた、それらの抗原受容体の特異性に従って哺乳動物のT細胞を標識および/または検出する方法であって、以下を含む方法に関する:
(i)本発明のMHCオリゴマーを、T細胞を含む懸濁液または生物試料と混合する段階、および
(ii)該複合体およびT細胞の特異的結合の存在を検出する段階。
【0095】
本発明はまた、それらの抗原受容体の特異性に従って哺乳動物のT細胞を分離する方法であって、以下を含む方法に関する:
(i)本発明のMHCオリゴマーを、T細胞を含む懸濁液または生物試料と混合する段階、および
(ii)該複合体に結合したT細胞を結合していない細胞から分離する段階。
【0096】
さらに、本発明はまた、上記に記載されているように細胞を標識および/または検出および/または分離する方法であって、T細胞の代わりにある種のリンパ球を、MHC分子に特異的に結合する細胞表面分子の特定の種類に従って標識、検出、または分離する方法に関する。例えば、ヒトの非古典的なMHC分子であるHLA-Eが、NK表面受容体CD94/NKG2に対する特異的な結合を介してナチュラルキラー(NK)細胞に結合可能であることが公知である(D.S.J. Allan et al., J. Immunol. Meth. 268 (2002) 43-50)。同様に、HLA-GおよびHLA-Fは、CD14+細胞上のILT2およびILT4受容体を染色することが示されており、HLA-Fはまた、CD19+の亜集団を染色することも示されている(Allan et al., 前記)。当業者は、上記に記載されている方法をこの状況に適合可能であると考えられる。
【0097】
本発明は最後に、各MHC複合体がMHC複合体のペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、ここで各ペプチドが高度に特異的なオリゴマー化を可能にする修飾を含む、ペプチド結合溝を有する少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーを形成する方法であって、以下の段階を含む方法に関する:
(i)各機能性MHC複合体のペプチド溝中で結合することが可能な一つまたは複数のペプチドを提供する段階であって、該ペプチドが
(a)特異的付着部位を提供すること、または
(b)オリゴマー化ドメインを提供すること
により修飾されている段階;
(ii)段階(i)のペプチドを含む、単量体機能性MHC-ペプチド複合体を提供する段階;
および
(iii)機能性MHC複合体を、
(a)多価単位、および、各ペプチドに提供されるもしくは付着される特異的付着部位での前記単量体機能性MHC-ペプチド複合体の該多価単位に対する結合を提供すること、または
(b)該ペプチドの、各ペプチドに提供されるまたは付着されるオリゴマー化ドメインによるアライメント
によりオリゴマー化する段階。
【0098】
好ましくは、単量体機能性MHC複合体は、段階(i)で修飾されたペプチドの存在下におけるMHCのα鎖およびβ鎖の再折りたたみによって、段階(ii)において提供される。
【0099】
MHCα鎖およびβ鎖は、例えば真核性または原核性の発現系から得てもよく、かつ任意で再折りたたみ前に精製してもよい。あるいは、α鎖およびβ鎖または折りたたまれた複合体は、他の源から単離してもよい。この方法は、望ましいまたは適切である場合、ペプチドを再折りたたみされた機能性MHC複合体と交換する段階も含み得る。段階(i)のペプチドを提供する段階は、典型的に、上記に開示されるように固相合成により起こる。これは、合成中または合成後に修飾してもよい。合成中の修飾は、例えばバックボーンに対するペプチドドメインのアミノ酸の付加によるもの、または修飾(例えばチオ-)アミノ酸の取り込みによるものであると考えられる。合成後の修飾は、例えば核酸オリゴマー化ドメインの付着によるものであり得る。
【0100】
図5において、分離した多価単位無しに多量体MHCペプチド複合体の形成を可能にする修飾ペプチド(P)が示されている。抗原性ペプチドは、オリゴマー中に十分な間隔を提供するために、典型的に10アミノ酸のグリシンセリンリンカーを有する。このペプチドは、5つの異なるオリゴヌクレオチドを含むように、5つの変異体P(1)〜P(5)で合成される。好ましくは、P(1)〜P(5)は同一のMHC結合部分を含むと考えられる。
【0101】
それぞれの付着したオリゴヌクレオチドは、二つのドメイン、(1,2')、(2,3')、(3,4')、(4,5')、および(5,1')を有し、これらのうち、各一つは別のオリゴヌクレオチド上の一つかつ唯一の他のドメインと相補的である。五番目のオリゴヌクレオチドは、第一のオリゴヌクレオチドの第一のドメイン1に相補的な第二のドメイン1’を有する。各ドメイン対は、例えば約20℃のアニーリング温度を有し得る。非相補的ドメイン間の交差反応性は、オリゴヌクレオチド設計の公知の技術により最小化される。各オリゴヌクレオチド上の二つのドメインは、直接的に結合され得るか、またはドメイン間の間隔を増加させる非アニーリングオリゴヌクレオチドリンカーを有する。本リンカーは、本明細書の上記に記載されている標識などの合成標識を含み得る。結合したポリペプチド-オリゴヌクレオチドは、単独のプロセスで合成してもよく、または後に行われる結合を用いて別々に合成してもよく、ペプチドのオリゴヌクレオチドに対する結合は、上記に記載されているようなオリゴヌクレオチドに対する修飾ペプチドの化学選択的ライゲーションによって達成することができる。五つのオリゴ/ペプチド産物は、HPLCによりそれぞれ十分な純度に精製される。
【0102】
前記オリゴ/ペプチドは次に、30℃に5分間加熱した後20℃でアニーリングされる。オリゴ/ペプチド五量体は次に、再度精製される。オリゴ/ペプチド五量体は次に、公知のプロトコルに従って、変性したMHCα鎖およびβ鎖を用いて再び折りたたまれる。これは結果として、不均一な結合価の形成されたヘテロ多量体をもたらすと考えられ、MHC分子の再折りたたみが不完全でありかつ与えられた好適なペプチドが過剰である時、これは主に結果として、オリゴ結合を介して付着された四つの付加的なペプチドを有するMHCペプチドモノマーをもたらす(MHC-P5)。結果として生じる産物は次に、主としてMHC-P5モノマーを選択するためゲル濾過クロマトグラフィーにより濃縮および精製される。P5の相互作用は、次にモノマーが30℃に5分間加熱されることにより融解し、MHC-P'モノマーおよび遊離ペプチドを生じる。このペプチドは次に、速やかにPD10カラム(Amersham Biosciences, Chalfont St. Giles, UK)上で30℃で精製されて、取り除かれる。結果として生じるMHC-Pモノマーは次に、カラムから溶出する。個々のP(1)からP(5)のペプチドが精製産物において概ね等しいモル比で生じるため、個々のMHC-Pモノマーは次に、MHC五量体を形成させるために再度アニーリングされ得る。不適切にアニーリングされた産物は、第二のゲル濾過段階において精製されて取り除かれることにより、この精製された産物は実質的にMHC五量体のみを含む。
【0103】
実施例
実施例1:インフルエンザヘマグルチニンAペプチドがHA(306-318):PKYVKQNTLKLATが組み込まれた標識されたクラスII MHCペプチド八量体HLA-DRB1*0101の形成
HA'ペプチドを、HA-(GGGSG)2-K''が合成されるように合成した。式中、K''はベンズアルデヒドを95%を上回る純度まで含むように修飾されるリジンである。
【0104】
一般に、P'、P''が二つのポリペプチドサブセグメントであるペプチドP'-K''-P''は、以下のように合成することができる。Fmoc-Lys(Mtt)-OHまたはFmoc-Lys(ivDde)-OH残基を、修飾に望ましい位置として導入し、式中Fmocは9-フルオレニルメトキシカルボニルであり、Mttは4-メチルトリチルであり、ivDdeは1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イルイデン)-3-メチルブチルである。次にペプチドのN末端アミンをブトキシカルボニル(Boc)を用いてブロッキングし、MttまたはivDdeを選択的に取り除くことが可能である。露出したアミン基を、次にアセトン5-(スクシンイミジルオキシカルボニル)-ピリジン-2-イルヒドラゾン(SANH)またはスクシンイミジル-4-ホルミルベンゾアート(SFB)のいずれかを用いて修飾し、2-ヒドラジノピリジルまたはベンズアルデヒド基のいずれかを導入することができる。
【0105】
単量体のHLA-DRB1*0101 HA'複合体を、可溶性のα鎖HLA-DRA1*0101およびβ鎖HLA-DRB1*0101ならびにHA'ペプチドの封入体物質から、ビオチン化用の融合タグはいずれのタンパク質鎖上にも必要とされないという変更を加えた上で、Cameron et al., J. Immunol. Meth. 268: (2002) 51-69に記載されているプロトコルに従って再び折りたたむ。単量体複合体の精製は、同一のプロトコルに記載されているように達成する。複合体を、タンパク質濃度について、ブラッドフォード法により評価する。
【0106】
以下の八価のペプチド(F)MV8を合成する。
(F)MV8.1: (K'''GGSGGGGSGG)8(K'G)4(K'G)2K'GKFGA
【0107】
このペプチドの分岐は各リジンK'に起こり、数字は、各ステージでの本ペプチドにおける分岐の数を示した。KFは、蛍光マーカーを提供するためにフルオレセインイソチオシアネートFITCを用いて修飾されたリジン残基である。K'''は、安定なビス-芳香族ヒドラゾンを形成させるために、HA'ペプチド上のアルデヒド基と反応することが可能である分岐ペプチド上に八つの2-ヒドラジノピリジル基を提供する2-ヒドラジノピリジルを用いて修飾された、リジン残基である。
【0108】
単量体HLA-DRB1*0101 HA'を、pH6.8のPBS中で8:1のモル比で(F)MV8.1と混合し、FITC標識したHLA-DRB1*0101 HA'八量体を形成させる。
【0109】
結果として生じる産物を、Sephadex S 300カラム(Amersham Biosciences, Chalfont St.Giles, UK)におけるゲル濾過クロマトグラフィーにより精製し、主に八量体種を回収した。
【0110】
実施例2:CMV pp65ペプチド(495-503):NLVPMVATVが組み込まれた標識したクラスI MHCペプチド八量体HLA-A*0201の形成
ペプチドNLV':NLVPMVATV-(GGGSG)2-K''を95%を上回る純度まで合成する。式中、K''は、上記に記載されているようなものである。
【0111】
単量体HLA-A*0201 / NLV'複合体を、可溶性のα鎖HLA-A*0201およびβ2ミクログロブリンならびにNLV'ペプチドの封入体物質から、Garboci et al., PNAS 89 (1992), 3429-3433に記載されているプロトコルに従って、再び折りたたむ。単量体複合体の精製は、同一のプロトコルに記載されているように達成する。複合体を、タンパク質濃度について、ブラッドフォード法により評価する。
【0112】
(F)MV8.2: 96塩基の環状オリゴを、本明細書上記に記載されているように、好ましい方法に従って合成し、ここで、12番目毎の塩基は2-ヒドラジノピリジルを用いて修飾し、二つの2-ヒドラジノピリジル部分の間の中心にある各塩基は、標準的なオリゴヌクレオチド合成方法に従って(FITC)を含むように修飾する。塩基の選択は、これらが修飾に好都合であり、二次構造を最小限にするように行う。
【0113】
単量体HLA-A*0201 NLV'複合体を、pH6.8の反応緩衝剤中で8:1のモル比で(F)MV8.2と混合し、FITC標識したHLA-A*0201 NLV'八量体を形成させる。
【0114】
結果として生じる産物を、例えばSephadex S 300カラム(Amersham Biosciences, Chalfont St.Giles, UK)におけるゲル濾過クロマトグラフィーにより精製し、主に八量体種を回収した。
【0115】
上記の各実施例において、結果として生じる産物を、Sephacryl S-300カラム(Amersham Biosciences, Chalfont St.Giles, UK)におけるゲル濾過クロマトグラフィーにより精製し、主に八量体種を回収する。精製した産物は濃縮され得るが、そうでなければ例えばフローサイトメトリーにおいて使用可能な状態である。
【0116】
多価単位(F)MV8.1または(F)MV8.2が、それぞれクラスIおよびクラスIIのMHC複合体を多量体化するために互換的に使用可能であることが理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】その後の多量体化に適している本発明の修飾ペプチドを含む、単量体のMHCクラスIIペプチド複合体を示す。
【図2】その後の多量体化に適している本発明の修飾ペプチドを含む、単量体のMHCクラスIペプチド複合体を示す。
【図3】本発明の、その結合ペプチドにおけるMHC複合体モノマーの多量体化に適した分岐ペプチドを示す。
【図4】本発明の、その結合ペプチドにおけるMHC複合体モノマーの多量体化に適した環状オリゴヌクレオチドを示す。
【図5】分離した多価単位無しに多量体MHC複合体の形成を可能にする修飾ペプチドを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド結合溝を有する、少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーであって、各MHC複合体がMHC複合体のペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、
ここで各ペプチドがコア構造による機能性MHC複合体の高度に特異的なオリゴマー化を可能にする修飾を有する、MHCオリゴマー。
【請求項2】
ペプチド結合溝を有する、少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーであって、各MHC複合体がMHC複合体のペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、該MHC複合体が、該ペプチドを含む機能性単量体MHC複合体の構築後にそのペプチドにおいてオリゴマー化される、MHCオリゴマー。
【請求項3】
ペプチド結合溝を有する、少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーであって、各MHC複合体がMHC複合体のペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、ここで各ペプチドが特異的付着部位およびオリゴマー化ドメインからなる群より選択される修飾を含み、該機能性MHC複合体のオリゴマー化が
(i)各ペプチドの、各ペプチドに提供されるまたは付着される特異的付着部位の多価単位(multivalent entity)に対する結合、または
(ii)該ペプチドの、各ペプチドに提供されるまたは付着されるオリゴマー化ドメインによるアライメント
により生じ、オリゴマー中のMHC複合体が、多価単位によってまたはペプチドのアライメントによって提供されるコア構造に結合される、MHCオリゴマー。
【請求項4】
オリゴマー化が多価単位に対するペプチドの結合により起こる、請求項3記載のMHCオリゴマー。
【請求項5】
結合が、多価単位に提供される認識部位による、ペプチドに提供される特異的付着部位の認識により起こる、請求項4記載のMHCオリゴマー。
【請求項6】
ペプチドが、修飾を持つまたは形成するMHC結合部分および別部分を含む、請求項3〜5のいずれか一項記載のMHCオリゴマー。
【請求項7】
ペプチドがそのMHC結合部分と別部分との間のポリペプチドリンカーをさらに含み、該リンカーが好ましくは3〜10アミノ酸長である、請求項6記載のMHCオリゴマー。
【請求項8】
特異的付着部位および認識部位が特異的結合対のメンバーから選択される、請求項5記載のMHCオリゴマー。
【請求項9】
特異的結合対が、ハプテン/抗体、エピトープ/抗体、リガンド/受容体、基質または基質アナロゴン(analogon)/酵素、補助因子または補助因子アナロゴン/酵素、核酸/相補的な核酸、糖/レクチン、ビオチン/アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンなどのアビジンファミリータンパク質、Streptag(登録商標)/Streptactin(登録商標)からなる群より選択される、請求項8記載のMHCオリゴマー。
【請求項10】
付着がペプチドの多価単位に対する共有結合により生じ、付着部位および認識部位が、互いに共有結合を生じさせることが可能な部分である、請求項4〜7のいずれか一項記載のMHCオリゴマー。
【請求項11】
形成された共有結合がオキシム、ヒドラゾン、チアゾリジン、オキサゾリジン、チオエーテル、ジスルフィド、およびペプチドからなる群より選択される種類の結合である、請求項10記載のMHCオリゴマー。
【請求項12】
多価単位が、タンパク質、分枝状ポリペプチド(デンドリマー)、多量体タンパク質、核酸、多糖類、例えばデキストラン、デンプン、セルロース、ヒアルロン酸、キチン質、もしくはアルギン酸、またはこれらの多糖類の誘導体、オリゴヌクレオチド、環状オリゴヌクレオチドなどの天然ポリマーまたはその誘導体;合成ポリマー;小胞またはリポソームなどのリン脂質膜;および無機粒子からなる群より選択される、請求項4〜11のいずれか一項記載のMHCオリゴマー。
【請求項13】
多価単位が天然ポリマーまたは合成ポリマーであり、認識部位が多価単位のバックボーンによって提供されるかまたはこれに付着される、請求項12記載のMHCオリゴマー。
【請求項14】
多価単位が、好ましくはその分枝の2つまたはそれ以上における所定の部位に組み込まれた認識部位を有する分枝状ポリペプチド(デンドリマー)である、請求項11記載のMHCオリゴマー。
【請求項15】
ペプチドの各分枝が24アミノ酸長未満である、請求項14記載のMHCオリゴマー。
【請求項16】
多価単位がオリゴヌクレオチドまたは環状オリゴヌクレオチドであり、該環状オリゴヌクレオチドの円周の長さが好ましくは150塩基未満である、請求項10記載のMHCオリゴマー。
【請求項17】
オリゴマー化がペプチドのアライメントにより起こる、請求項3記載のMHCオリゴマー。
【請求項18】
各ペプチドが、それに付着した、好ましくはペプチド性オリゴマー化ドメインおよび核酸からなる群より選択されるオリゴマー化ドメインを有する、請求項17記載のMHCオリゴマー。
【請求項19】
オリゴマー化ドメインがペプチド性オリゴマー化ドメインであり、該ドメインが抗体定常ドメイン、ケラチン、およびオリゴマー形成コイルドコイルタンパク質のオリゴマー化ドメインからなる群より選択される、請求項18記載のMHCオリゴマー。
【請求項20】
各ペプチドが2つの非オーバーラップオリゴマー化ドメインを連続して含み、かつ、オリゴマー中のn番目のペプチドの第二のオリゴマー化ドメインが、オリゴマー中の(n+1)番目のペプチドの第一のオリゴマー化ドメインにより二量体化する、請求項18記載のMHCオリゴマー。
【請求項21】
さらに、オリゴマー中の最後のペプチドの第二のオリゴマー化ドメインがオリゴマー中の第一のペプチドの第一のオリゴマー化ドメインにより二量体化して環状の構造を提供する、請求項20記載のMHCオリゴマー。
【請求項22】
第一および第二のオリゴマー化ドメインが核酸である、請求項20または21記載のMHCオリゴマー。
【請求項23】
MHC-結合ペプチドの、MHCペプチド複合体に結合しない区画を実質的に含有しない、前記請求項のいずれか一項記載のMHCオリゴマー。
【請求項24】
MHC複合体がMHCクラスI複合体の細胞外部分に由来する、前記請求項のいずれか一項記載のMHCオリゴマー。
【請求項25】
MHC複合体がMHCクラスII複合体の細胞外部分に由来する、前記請求項のいずれか一項記載のMHCオリゴマー。
【請求項26】
ペプチドが、それらのMHC結合部分において実質的に均一である、前記請求項のいずれか一項記載のMHCオリゴマー。
【請求項27】
少なくとも一つの単量体機能性MHC複合体がCD1であり、かつ、対応するペプチドが脂質である、前記請求項のいずれか一項記載のMHCオリゴマー。
【請求項28】
実質的に、オリゴマー中に含まれるペプチドのMHC結合部分のアミノ酸側鎖、および/またはMHC-ペプチド複合体中のMHCα鎖またはMHCβ鎖はいずれもオリゴマー化の過程で修飾されていない、前記請求項のいずれか一項記載のMHCオリゴマー。
【請求項29】
前記請求項のいずれか一項記載のMHCオリゴマーを含み、任意で薬学的に許容される担体と併用される、薬学的または診断的組成物。
【請求項30】
抗原受容体の特異性に従って、哺乳動物のT細胞を標識および/または検出する方法であって、以下を含む方法:
(i)請求項1〜28のいずれか一項に記載のMHCオリゴマーと、T細胞を含む懸濁液または生体試料とを混合する段階、ならびに
(ii)該複合体およびT細胞の特異的結合の存在を検出する段階。
【請求項31】
抗原受容体の特異性に従って、哺乳動物のT細胞を分離する方法であって、以下を含む方法:
(i)請求項1〜28のいずれか一項に記載のMHCオリゴマーと、T細胞を含む懸濁液または生体試料とを混合する段階、ならびに
(ii)該複合体に結合したT細胞を結合していない細胞から分離する段階。
【請求項32】
MHC分子に特異的に結合する細胞表面分子の特定の種類に従って、T細胞の代わりにリンパ球の種を標識、検出、または分離する、請求項30または31記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜28のいずれか一項において定義されるMHCオリゴマーであって、かつ、各MHC複合体がMHC複合体のペプチド結合溝において結合したペプチドを有し、ここで各ペプチドが、コア構造による機能性MHC複合体の高度に特異的なオリゴマー化を可能にする修飾を有する、ペプチド結合溝を有する少なくとも2つの機能性MHC複合体を含むMHCオリゴマーを形成する方法であって、以下の段階を含む方法:
(i)各機能性MHC複合体のペプチド溝中で結合することが可能な一つまたは複数のペプチドを提供する段階であって、該ペプチドが
(a)特異的付着部位を提供すること、または
(b)オリゴマー化ドメインを提供すること
により修飾されている段階;
(ii)段階(i)で修飾されたペプチドを含む、単量体機能性MHC-ペプチド複合体を提供する段階、
および
(iii)機能性MHC複合体を、
(a)多価単位、および、各ペプチドに提供されるまたは付着される特異的付着部位での前記単量体機能性MHC-ペプチド複合体の該多価単位に対する結合を提供すること、または
(b)該ペプチドの、各ペプチドに提供されるまたは各ペプチドに付着されるオリゴマー化ドメインによるアライメント
によりオリゴマー化する段階。
【請求項34】
単量体機能性MHC-ペプチド複合体が、段階(i)で修飾されたペプチドの存在下におけるMHCのα鎖およびβ鎖の再折りたたみによって、段階(ii)において提供される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
単量体機能性MHC-ペプチド複合体が、段階(i)で修飾されたペプチドの存在下における再折りたたみされた機能性MHC複合体に対するペプチド交換によって、段階(ii)において提供される、請求項33記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−529994(P2008−529994A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553686(P2007−553686)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000320
【国際公開番号】WO2006/082387
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(507263830)プロイミューン リミテッド (1)
【Fターム(参考)】