説明

MMAクロスポリマー粒子を含有する高SPFの非粘着性または非グリース性のUV光保護組成物

【課題】太陽放射の有害な影響から皮膚または毛髪を保護するための局所適用可能な化粧用、皮膚科用組成物の提供。
【解決手段】ヒトの皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてをUV光保護するのに好適な局所適用可能な化粧用または皮膚科用の組成物で、(a)UV光保護有効量の少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤と、(b)該組成物の適用時に、そのグリース性または拡散性を低下させ、乾燥性を改善するのに有効な量のメチルメタクリレートクロスポリマーとを、(c)局所適用可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中に含有して製剤化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV放射、特に太陽輻射の有害な影響から皮膚または毛髪あるいはそれらの両方を紫外線(UV)光から保護するための、局所適用用の新規な化粧用または皮膚科用の組成物と、前記化粧用または皮膚科用の適応のためのこれの用途とに関する。
【0002】
本発明は、さらに特に、メチルメタクリレート(MMA)クロスポリマー粒子を含有する局所適用可能な高SPFのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め組成物に関し、このような組成物は「スポーツ」製品として十分に好適であり、すなわち、本発明の製剤は眼に拡散せず、適用時に乾性で、心地よく、光沢が少なく、防水性であり、触れたとき非粘性で、グリース性がなく、ワックス状でない。
【背景技術】
【0003】
波長280nm〜400nmの光放射はヒトの表皮の日焼けを促進すること、および波長280nm〜320nmの放射、すなわち、UV−B光は、自然な日焼けの形成を妨害することがある皮膚の紅斑および火傷を生じることは当該技術上周知である。従って、このようなUV−B光は皮膚から遮蔽されなければならない。
【0004】
皮膚を日焼けさせる波長320nm〜400nmのUV−A光も、特に敏感な皮膚または太陽輻射に連続的に暴露されている皮膚に対しては、皮膚に有害であることも当該技術上周知である。
【0005】
UV−A光線は、特に、皮膚の弾性の低下およびしわの出現を生じ、皮膚の早期老化を促進する。このような放射は紅斑性反応の誘発を促進したり、ある個人ではこの反応を増強し、光毒性または光線アレルギー反応源になることもある。従って、UV−A光を遮蔽することも望ましい。
【0006】
ヒトの皮膚の光保護(UV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する)を意図した多種多様の化粧用組成物が当該技術上周知である。
【0007】
これらの光保護または光遮蔽のための組成物は、有害または有毒なUV放射を選択的に吸収することができる1つ以上の標準的な親グリース性または親水性あるいは両方の性質を有する有機日焼け止め化合物を種々の濃度で含有する水中油型エマルジョン(すなわち、水性連続分散相とグリース性不連続分散相を含有する化粧的に許容されうる基剤、担体または希釈剤)であることが多い。これらの日焼け止め化合物(およびそれらの量)は、望ましい太陽光線保護因子(太陽光線保護因子(SPF)は、UV日焼け止め剤が存在しない場合に紅斑を形成する閾値に達するのに必要な時間に対する、UV日焼け止め剤を用いた場合に紅斑を形成する閾値に達するのに必要な放射時間の比によって数学的に表される)の関数として選択される。
【0008】
また、SPFがより高いサンケア製品の需要が増加している。高SPFは、高濃度のより多量の日焼け止め剤を組み入れることによって達成することができる。しかし、日焼け止め剤は日焼け止め製剤の価格をかなり高くし、高濃度の日焼け止め剤は刺激を増すことがあるので、このようなことはいつも可能なわけではない。
【0009】
その結果、例えば、ジベンゾイルメタン日焼け止め剤が特に有用な化学的なUV吸収剤またはUVフィルターである。しかし、日焼け止め製剤がアボベンゾン(avobenzone)を含有する場合には、高SPF日焼け止め製品を製剤化することはさらに困難になる。
【0010】
高SPFアボベンゾン噴霧式組成物の製剤化はさらにもっと困難である。実際、高SPF日焼け止めスプレーは購入できるが、これらはアボベンゾンを含有していない。典型的には、高SPF値は、オクチルメトキシシンナメートなどの高濃度のUV−B吸収性日焼け止め剤を製剤化することによって得られる。にもかかわらず、これらの製剤は長波長のUV−A光に対する保護がない。
【0011】
また、「スポーツ」製品として具体的に販売されている日焼け止め組成物も当該技術上周知である。これらは、例えば、以下の利点を提供または約束するものである。すなわち、高SPF、防水性、製品が眼に拡散してはいけない、および製品は手にグリース状の残留物を残すことなく適用時に乾燥していなければならない。
【0012】
例えば、油相が疎水性表面を有するサブミクロンシリカ粒子を含有する、高SPF耐汗性スポーツ用日焼け止め組成物に関する、Schering−Ploughの米国特許第5,914,102号と比較すること。
【0013】
にもかかわらず、「スポーツ用」用途に好適な従来技術のSPF日焼け止め組成物は、適用時に、少なくともいくぶんかの好ましくない粘着性、グリース性またはワックス状の感じあるいはそれらのすべてが消えないという点において、総合的な需要者の承認を得るためには少なくともいくぶんか欠点が残っている。
【0014】
【特許文献1】特開2001−172463号公報
【特許文献2】特開2001−106858号公報
【特許文献3】特開2000−351721号公報
【特許文献4】特開2000−016913号公報
【特許文献5】特開平10−259117号公報
【特許文献6】特表平11−513036号公報
【特許文献7】特開平08−059446号公報
【特許文献8】特開平05−238924号公報
【特許文献9】特開平04−117315号公報
【特許文献10】特開昭62−093220号公報
【発明の開示】
【0015】
メチルメタクリレートクロスポリマー粒子をUV光保護日焼け止め組成物中に製剤化すると、製品の拡散性を有意に低下し、またはその粘着性、グリース性、ワックス状の感じを低下させ、ヒトの皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてに適用時に乾燥するようになり、心地よくなることが予期せず驚くべきことに判明した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に関してさらに詳細には、メチルメタクリレートクロスポリマーは、グリコールジメタクリレートが架橋したメチルメタクリレートの合成コポリマーである。それは、以下の実験式、
(C10144・C582x
を有し、Chemical Abstract Service(CAS)No.25777−71−3が与えられている。それは、The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association(ワシントン,D.C.)によって発行されている、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第7版、1997年)、1巻、808ページにも記載されている。
【0017】
本発明による1つのメチルメタクリレートクロスポリマーは、商品名Ganzpearl GMP−0820としてニュージャージー州ピッツバーグのPresperse Incorporatedから購入可能である。Ganzpearl GMP−0820の製品仕様には、4〜10.5μm、好ましくは4〜8μmの粒子サイズ、高油状物質吸収性、クリーミー感、良好な滑り性、1.10〜1.25の比重、フィルム形成性、粘性増加を有する球形で白色の微細粉末が含まれる。灼熱減量(400℃)は0.1%未満で、乾燥時(105℃、2時間)は2.0%未満である。Ganzpearl GMP−0820の表面残存モノマー含量は20ppm未満で、総残存モノマー含量は100ppm未満である。また、この超高分子量ポリマーの架橋密度は43重量%程度である[架橋モノマー/(架橋モノマー+ベースモノマー)]。
【0018】
メチルメタクリレートクロスポリマーはまた、商品名Jurymer MB−1PとしてNihon Junyakuから、および商品名Microsphere M−305としてTomerからも購入可能である。
【0019】
特徴的に、本発明によるメチルメタクリレートクロスポリマー粒子は、20μm未満、好ましくは10μm未満の粒子サイズを有する。
【0020】
同様に、乾燥性で、グリース性がなく、非粘着性で、ワックス性がない日焼け止め製剤は、メチルメタクリレートクロスポリマーを多種多様の日焼け止め組成物中に添加することによって提供され、従来の局所適用時可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中で製剤化される。
【0021】
光安定化されている組成物が、粘着性で、ねばねばした油状物質である、オクトクリレンを10%程度含有する場合には、適用時に乾燥性で、グリース性がなく、審美的に良好な日焼け止め製品を製剤化することは特に困難である。
【0022】
任意の特定の理論に結び付けられたり、縛りつける意図はないが、メチルメタクリレートクロスポリマーは油状物質吸収剤として機能または作用し、最終製品のグリース性を低下させると考えられている。
【0023】
にもかかわらず、メチルメタクリレートクロスポリマーは、例えば、疎水性シリカを含有し、上記の市販のスポーツ用日焼け止め剤のような、当該技術に周知の「油状物質吸収剤」とは全く異なる物質である。実際、「油状物質吸収剤」であると主張されている種々の物質は、日焼け止め組成物中に製剤化されると、挙動または機能が全く異なる。一例として、ポリメチルメタクリレート(Seppic Inc.によって販売されているMicropearl M100)が製剤化されている。それは供給業者によって油状物質吸収剤と名づけられているが、製剤の油相に簡単には分散せず、最終組成物はきめ粒子が粗く、不快である。
【0024】
本発明による光安定性日焼け止め製剤では、メチルメタクリレートクロスポリマーは、有利なことに、約1重量%〜10重量%、さらに特には約1重量%〜5重量%の範囲で存在している。
【0025】
本発明による本発明の組成物は、UV光保護有効量の少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方を含有し、局所適用可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中で製剤化されている。
【0026】
「UV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤」は、機序的には、UV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方の光の吸収または反射または散乱あるいはそれらのすべてが周知であり、このような放射と、この、またはこれらの化合物が適用されている表面(皮膚、毛髪)との接触を妨げる、あるいは少なくとも制限する、任意の化合物または化合物の任意の組み合わせを意図している。言い換えると、これらの化合物は、UV放射を散乱おまたは反射あるいはそれらの両方をするUV吸収性の有機遮蔽剤または無機(ナノ)顔料並びにそれらの混合物であってもよい。
【0027】
本発明によると、少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤は、1つ以上の親水性有機遮蔽剤または1つ以上の親油性有機遮蔽剤または1つ以上の鉱物または無機(ナノ)顔料あるいはそれらのすべてを含有してもよい。
【0028】
本発明による1つの好ましいUV光保護剤は、当該技術上周知であり、購入可能であり、例えば、Givaudanによって商品名「PARSOL 1789」として販売されている、ジベンゾイルメタン日焼け止めアボベンゾン、すなわち、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンである。それは、以下の構造式、
【化1】

を有する。
【0029】
物理的な遮断剤である本発明による日焼け止め剤は紫外線を反射または散乱する。物理的な遮断剤の典型的な例には、赤色のワセリン(red perolatum)、二酸化チタンおよび酸化亜鉛が挙げられる。これらの物理的な遮断剤は種々の懸濁液および粒子サイズで使用されており、化粧用製剤に含有されることが多い。物理的遮断剤の総説は、引用することにより本明細書に組み入れられている、S.Nakada&H.Konishiによる「Sun Protection Effect of Nonorganic Materials」、Fragrance Journal,15巻、64−70ページ(1987)に見出すことができる。
【0030】
アボベンゾンと同様に、化学的な吸収剤である本発明による日焼け止め剤は実際に有害な紫外線を吸収する。化学的な吸収剤は、それらが保護する放射線の種類に応じて、UV−AまたはUV−Bの吸収剤として分類されることが周知である。UV−A吸収剤は、一般に、320〜400nmの領域の紫外線スペクトルの放射線を吸収する。UV−A吸収剤には、アントラニレート類、ベンゾフェノン類およびジベンゾイルメタン類が含まれる。UV−B吸収剤は、一般に、280〜320nmの領域の紫外線スペクトルの放射線を吸収する。UV−B吸収剤には、p−アミノ安息香酸誘導体、カンファー誘導体、シンナメート類(cinnamates)およびサリチレート類(salicylates)が含まれる。
【0031】
UV−AまたはUV−Bの吸収剤として化学的吸収剤を一般に分類することが当業界で認められている。しかし、より正確な分類は、日焼け止め剤の化学的特性に基づいたものである。N.Shaathらによる「Sunscreens−Development,Evaluation and Regulatory Aspects」,第2版、269−273ページ、Marcel Dekker,Inc.(1997)に詳細に考察されている日焼け止め剤の化学的特性の8つの主な分類がある。この考察は全体の内容が引用することにより本明細書に組み入れられている。
【0032】
本発明により製剤化することができる日焼け止め剤は、典型的には、化学的吸収剤を含有するが、物理的遮断剤を含有してもよい。本発明の組成物に製剤化することができる例示的な日焼け止め剤は、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニレート類、ベンゾフェノン類、カンファー誘導体、ケイヒ酸誘導体、ジベンゾイルメタン類、β,β−ジフェニルアクリレート誘導体、サリチル酸誘導体、トリアジン誘導体、ベンズイミダゾール化合物、ビス−ベンゾアゾリル誘導体、メチレンビス−(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、日焼け止めポリマーおよびシリコーンまたはそれらの混合物などの化学的吸収剤である。これらは、引用することにより本明細書に組み込まれるものであり、米国特許第2,463,264号、同第4,367,390号、同第5,166,355号および同第5,237,071号並びに欧州特許第0,863,145号、欧州特許第0,517,104号、欧州特許第0,570,838号、欧州特許第0,796,851号、欧州特許第0,775,698号、欧州特許第0,878,469号、欧州特許第0,933,376号、欧州特許第0,893,119号、欧州特許第0,669,323号、英国特許第2,303,549号、ドイツ特許第1,972,184号および国際公開公報第93/04665号に種々に記載されている。本発明の組成物に製剤化することができる日焼け止めの例は、酸化セリウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、赤色のワセリン(red petrolatum)、シリコーン処理二酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛および/または酸化ジルコニアまたはこれらの混合物などの物理的な遮断剤である。他のこのような代表的な日焼け止め剤には、ドイツ特許第198 55 649号に記載されている(アルファ)アルキルスチレン化合物から誘導されるダイマー並びに欧州特許第0,967,200号およびドイツ特許197 55 649号に記載されている、4,4−ジアリールブタジエン類(4,4−diarylbutadienes)が挙げられる。
【0033】
多種多様の日焼け止めは、それらの全てが全体の内容が本明細書に参照として組み込まれている、1992年2月11日にHaffeyらに付与された米国特許第5,087,445号、1991年12月17日にTurnerらに付与された米国特許第5,073,372号、およびSegarinらによるCosmetics and Science and Technologyの第VIII章、189ページ等に記載されている。
【0034】
本発明の組成物に製剤化することができる日焼け止め剤のなかでも、アミノ安息香酸、アミルジメチルPABA、シノキセート、ジエタノールアミンp−メトキシシンナメート、ジガロイルトリオレエート、ジオキシベンゾン、2−エトキシエチルp−メトキシシンナメート、エチル4−ビス(ヒドロキシプロピル)アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシルサリチレート、グリセリルアミノベンゾエート、ホモメチルサリチレート、ホモサレート、3−イミダゾール−4−イルアクリル酸およびエチルエステル、メチルアントラニレート、オクチルジメチルPABA、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸およびその塩、赤色のワセリン(red petrolatum)、スリソベンゾン、二酸化チタン、トリエタノールアミンサリチレート、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン(born)−3−イリデン(yliden)メチル)アニリニウムメチルサルフェートおよびそれらの混合物から選択されるものが好ましい。
【0035】
UV−AまたはUV−Bあるいはその両方の範囲において活性な同様に好ましい日焼け止め剤には、
p−アミノ安息香酸、
オキシエチレン(25mol)p−アミノベンゾエート、
2−エチルヘキシルp−ジメチルアミノベンゾエート、
エチルN−オキシプロピレンp−アミノベンゾエート、
グリセロールp−アミノベンゾエート、
4−イソプロピルベンジルサリチレート、
2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート、
メチルジイソプロピルシンナメート、
イソアミル4−メトキシシンナメート、
ジエタノールアミン4−メトキシシンナメート、
3−(4’−トリメチルアンモニウム)−ベンジリデン(benzyliden)−ボルナン(bornan)−2−オンメチルサルフェート、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホネート、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、
α−(2−オキソボルン(born)−3−イリデン)−トリル−4−スルホン酸およびその可溶性の塩、
3−(4’−スルホ)ベンジリデン−ボルナン−2−オンおよびその可溶性の塩、
3(4’メチルベンジリデン)−d,l−カンフル(camphor)、
3−ベンジリデン−d,l−カンフル(camphor)、
ベンゼン1,4−ジ(3−メチリデン−10−カンホスルホン)酸およびその塩(1986年4月29日にLangeらに付与された米国特許第4,585,597号に記載されている製品Mexoryl SX)、
ウロカニン酸、
2,4,6−トリス[p−(2’エチルヘキシル−1’−オキシカルボニル)−アニリノ]−1,3,5−トリアジン、
2−[(p−tertioブチルアミド)アニリノ]4,6−ビス−[(p−(2’−エチルヘキシル−1’−オキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、
2,4−ビス{[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)]−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6(4−メトキシ−フェニル)−1,3,5−トリアジン(Ciba社によって販売されている「TINOSORB S」)、
N−(2および4)−[(2−オキソボルン(born)−3−イリデン)メチル]ベンジル]−アクリルアミドのポリマー、
1,4−ビスベンズイミダゾリル−フェニレン−3,3’,5,5’−テトラスルホン酸およびその塩、
ベンザールマロネート置換ポリオルガノシロキサン、
ベンゾトリアゾール置換ポリオルガノシロキサン(Drometrizole Trisiloxane)、
Fairmount Chemicalによって商品名MIXXIM BB/100として販売されている分散型2,2’−メチレン−ビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]またはCiba−Geigyによって商品名TINOSORBとして販売されているものなどの分散型に微粉化したもの、および
Fairmount Chemicalによって商品名MIXXIM BB/200として販売されているものなどの可溶化2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(メチル)フェノール]
が挙げられる。
【0036】
本発明の日焼け止め剤のうち、典型的には、アボベンゾン、オクチルサリチレート、オクトクリレンおよびオキシベンゾンの1つ以上が好ましい。これらの日焼け止め剤の1つ以上の組み合わせも同様に好ましい。
【0037】
アボベンゾン以外のジベンゾイルメタン誘導体も、本発明による好ましい日焼け止め剤である。これらは、例えば、引用することにより本明細書に組み込まれているフランス特許第2,326,405号、フランス特許第2,440,933号および欧州特許第0,114,607号に記載されている。
【0038】
アボベンゾン以外のさらに好ましいジベンゾイルメタン日焼け止め剤には、(単品または任意の組み合わせとして)、
2−メチルジベンゾイルメタン、
4−メチルジベンゾイルメタン、
4−イソプロピルジベンゾイルメタン、
4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、
2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、
2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、
4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、
4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、
2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
2−メチル−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
が含まれる。
【0039】
本発明の少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤は、有利には、約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約6重量%の範囲の量が、本発明の組成物に製剤化される。当然のことながら、特定の製剤の性質に応じて、さらに大量または低量が好適であることがある。
【0040】
従って、本発明は、少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤とメチルメタクリレートクロスポリマーを含有して、局所適用可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中で製剤化された、局所適用可能な化粧用または皮膚科用の組成物であることを特徴とし、好ましくは水中油型エマルジョン/ローションを特徴とする。
【0041】
同時に、本発明は、(a)UV光保護有効量の少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤と、(b)乾燥または非グリース性を与える有効量のメチルメタクリレートクロスポリマーとを含有する化粧用または皮膚科用の組成物をヒト被験者の皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてに局所適用するステップを含む、紫外線放射の有害または有毒な影響からヒトの皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてを光保護する方法を特徴とする。
【0042】
また、上記の構成要素(a)および(b)と、有効量の少なくとも1つの人工的または太陽光線なしの日焼け剤、特にはジヒドロキシアセトンすなわちDHAを含有する、UV光保護作用と人工的または太陽を使用しない日焼け作用を有する組成物も本明細書において特徴とする。
【0043】
これまで、多種多様の人工的日焼け剤が開発されている。人工的日焼け剤は、紫外線への有害な暴露を1度利用するだけで、需要の高い日焼けすなわち黒化応答を提供する。DHAは、特に、皮膚の人工的な日焼けを実施するために化粧品業界で広範に使用されている。表皮のタンパク質は高濃度のアルギニン、リジンおよびヒスチジンを含有しており、人工的な日焼けを生じる皮膚のDHAによる反応はこのことを利用している。日焼け反応は、皮膚タンパク質の遊離のアミノ基との組み合わせによって、特に、DHAとアルギニンの遊離のグアニド基との組み合わせによって進行する。
【0044】
本発明の組成物に有用な人工的日焼け剤の中でも、アロース、ジヒドロキシアセトンなどのαヒドロキシ置換ケトン、アルトロース、アラビノース、エリスロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グリセルアルデヒド、インドール、ラクトース、マンノース、レオース(reose)、リボース、ペントース、スクロース、タロース、キシロースおよびそれらの混合物を含む基から選択されるものが好ましい。
【0045】
本発明の組成物に有用なこれらの人工的または太陽なしの日焼け剤のうち、ジヒドロキシアセトンが最も好ましい。これに関して、DHAは製剤化が容易でなく、特に敏感で、経時的に不安定になる傾向を有する組成物であることが考慮されるべきである(カルボマーのようなごく少数の原材料以外のDHAは耐性があるので)。従って、本発明による安定な製剤、特にスプレー送達に好適なものまたはローションとして製剤化されるものは、一層予想されず、驚くべきである。
【0046】
本発明の組成物は、クリーム、分散剤、エマルジョン(水中油型、油中水型、水中油中水型およびシリコーン中水中油型)、ゲル、軟膏、ローション、ミルク、ムース、スプレー、トニック等を含む多種多様の製品型に製剤化することができる。
【0047】
本発明の特に最も好ましい実施態様において、本発明の化粧用または皮膚科用の組成物はローションとして提供される。
【0048】
本発明の局所用化粧組成物は、典型的には、担体(基剤または希釈剤)または担体の混合物を含有する。担体は化粧的または製薬学的あるいはそれらの両方に許容されなければならず、このことは、担体が皮膚への局所適用に好適であり、審美眼的特性が良好であり、本発明のコポリマーおよび任意の他の成分と相溶性であり、安全性または毒性に関する好ましくない問題を全く生じないということを反映している。このような製品を製剤化するために使用される担体および別の成分は製品の種類によって異なり、当業者によって通常選択されうる。以下は、これらの担体および別の成分の一部の説明である。
【0049】
本発明の組成物は、ヒトの皮膚に局所適用するのに好適な担体または担体の混合物を含有してもよい。担体は、典型的には、組成物の約0.5重量%〜99.5重量%、好ましくは約5.0重量%〜99.5重量%、さらに好ましくは約10.0重量%〜約98.0重量%を含有する。本明細書において使用される「ヒトの皮膚に局所適用するのに好適な」というフレーズは、担体がヒトの皮膚の審美的局面を損傷しないもしくは負に影響しない、またはヒトの皮膚に刺激を与えないことを反映している。
【0050】
本発明に使用するのに好適な担体には、例えば、クリーム、分散剤、エマルジョン、ゲル、ローション、ミルク、ムース、スプレーおよびトニックを含む、多種多様の製品の型の製剤化に使用されるものが含まれる。
【0051】
本明細書において使用される担体は、化粧用または皮膚科用の組成物に従来使用されている多種多様の成分を含んでもよい。担体は、ポリマーを溶解または分散させるための溶媒を含有してもよい。担体は、エステル(イソプロピルミリステートなど)、ハロゲン化炭化水素(フレオンなど)、炭化水素(デセン、ヘキサンおよびイソブタンなど)、リナロール(linalool)、揮発性ケイ素誘導体(特に、フェニルペンタメチルジシロキサン、メトキシプロピルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、クロロプロピルペンタメチルジシロキサン、ヒドロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロメチコン、ジメチコンなどのシロキサン)、安息香酸およびヒドロキシ安息香酸のアルキル誘導体並びにそれらの混合物を含むが、これらに限定されない多種多様の別の物質も含有してもよい。
【0052】
ムースおよびエアゾールスプレーは、ムースの場合にはフォームとして、またはエアゾールスプレーの場合には、微細で均一なスプレーとして物質を送達するための従来のプロペラントのいずれかを含有してもよい。好適なプロペラントの例には、ヒドロフッ素化化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n−ブタン、プロパンまたはトリクロロフルオロメタンなどの物質が挙げられる。低粘度のトニックまたはスプレー製品は乳化剤も含有してもよい。好適な乳化剤の例は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびそれらの混合物である。特に、製品がスプレー組成物である場合、最も特には、製品が、アルコールなどの比較的低濃度の揮発性有機溶媒と比較的高濃度の水(すなわち、約10重量%の過剰量の水)を含有するスプレー組成物である場合には、フルオロ界面活性剤が特に好ましい。このような乳化剤が含有される場合には、好ましくは、組成物の約0.01重量%〜約7.5重量%の量が含有される。プロペラントの量は適宜調節可能であるが、一般に、ムース組成物の約3重量%〜約30重量%であり、エアゾールスプレー組成物の約15重量%〜約50重量%である。
【0053】
好適なスプレー組成物は当該技術上周知であり、従来の非エアゾール型ポンプ式スプレー、すなわち、「アトマイザー」エアゾール容器または上記のプロペラントを含有するカン、プロペラントとして圧縮空気を使用するポンプ式エアゾール容器を含む。ポンプ式エアゾール容器は、例えば、共に引用することにより本明細書に組み込まれる、1978年3月7日にOlofssonに付与された米国特許第4,077,441号および1989年7月25日にTer Stegeに付与された米国特許第4,850,517号に開示されている。
【0054】
本発明の化粧用または皮膚科用の組成物は、エマルジョンとして製剤化されるとき、種々の乳化剤を含有してもよい。これらの乳化剤は、本明細書の組成物の種々の担体成分を乳化するのに有用である。好適な乳化剤には、従来の特許および他の参照文献に開示されている多種多様の非イオン性、陽イオン性、陰イオン性および双性イオン性乳化剤のいずれかを含有してもよい。Allured Publishing Corporation発行のMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition(1986)、1991年4月30日にCiottiらに付与された米国特許第5,011,681号、1983年12月20日にDixonらに付与された米国特許第4,421,769号および1973年8月28日にDickertらに付与された米国特許第3,755,560号を参照。これら4つの文献は全体の内容が本明細書に引用することにより組み込まれている。
【0055】
好適な乳化剤の種類には、アシルラクチレート、アルキルホスフェート、カルボン酸コポリマー、グルコースのエステルおよびエーテル、グリセリンのエステル、プロピレングリコールのエステル、無水ソルビタンのエステル、ソルビトールのエステル、エトキシル化エーテル、エトキシル化アルコール、脂肪酸アミド、ポリエエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテルホスフェート、これらの石鹸および混合物が挙げられる。
【0056】
好ましい乳化剤には、セテアレス(ceteareth)−20、セテス(ceteth)−10、セチルホスフェート、ジエタノールアミンセチルホスフェート、グリセリルステアレート、PEG−100ステアレート、ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール5大豆ステロール、ポリソルベート60、ポリソルベート80、カリウムセチルホスフェート、PPG−2メチルグルコースエーテルジステアレート、ステアレス(steareth)−20およびこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない
【0057】
本発明の組成物に有用なこれらの乳化剤のうち、PPG−イソセテス−20アセテート(Fogelらに付与された米国特許第4,559,226号に記載されている)が典型的に好ましい。
【0058】
本発明の化粧用または皮膚科用の組成物は種々の柔軟剤を含有してもよい。好適な柔軟材の例には、高分岐炭化水素、非極性カルボン酸およびアルコールエステル、揮発性および不揮発性シリコーン油並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。全体の内容が参照として本明細書に組み入れられている、1990年4月24日にDecknerらに付与された米国特許第4,919,934号参照。
【0059】
本発明の組成物に有用なこれらの柔軟剤のうち、以下の、オクチルドデシルネオペンタノエートおよびプロピレングリコールイソセテス−3アセテートの1つ以上が典型的に好ましい。
【0060】
種々の別の成分を、本発明の化粧用または皮膚科用の組成物に組み入れてもよい。これらの別の成分の限定するものではない例には、陽イオンポリマーおよび増粘剤、キレート剤、ゴムおよび増粘剤、低pH増粘剤、組成物のフィルム形成および防水特性並びに染色性を増強するためのポリマーおよび物質、隔離剤、皮膚浸透性助剤、懸濁化剤、ビタミンおよびこれらの誘導体、保存剤並びに審美的成分が挙げられる。
【0061】
乾燥時に、皮膚、毛髪または爪に連続フィルムを形成する(本発明のMMAクロスポリマー以外の)本発明による例示的なフィルム形成剤は、CFTA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第7版、2、1636−1638(1997)に記載されている。これらには、例えば、種々のメタ(アクリレート)(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン(コ)ポリマー等が挙げられる。
【0062】
当該技術上従来品であり、微生物の増殖を阻止または遅延することによって化粧製品を腐敗から保護する例示的な保存剤は、CFTA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第7版、2、1654&1655(1997)に記載されている。
【0063】
本発明の化粧用または皮膚科用の組成物は、望ましい利点を提供する従来の様式で適用される。このような使用方法は、一般に、有効量の組成物を皮膚に局所適用し、次いで皮膚に吸収されるまでまたは皮膚から除去されるまで放置することを含む。
【実施例】
【0064】
本発明および本発明の利点をさらに例示するために、以下の具体的な実施例が与えられており、これらは例示的のみであり、限定するものではないことが理解されるべきである。
【0065】
以下の前記の例において、全ての部および割合は、特に示さない限り、重量による。
【0066】
[例1]
以下の日焼け止め剤プラス3重量%のメチルメタクリレートクロスポリマー組成物を製剤化した。
【表1】

【0067】
相Aの成分を主タンクに入れ、均一化しながら80〜85℃まで加熱した。相Bの成分を横の容器に入れ、プロペラで中程度に混合しながら80℃に加熱した。相C(メチルメタクリレートクロスポリマー)を、プロペラで混合しながら、横の容器に徐々に添加した。メチルメタクリレートクロスポリマーが十分に分散されたら、均一化させながら水相に油相を(主容器に横の容器を)添加することによってエマルジョンを形成した。混合を15分間継続した。次いで、冷却を開始すると、均一でなくなってきた。主タンクの内容物が50℃に達したら、相Dをタンクに添加した。
【0068】
[例2]
以下の日焼け止め剤プラス5重量%のメチルメタクリレートクロスポリマー組成物を製剤化した。
【表2】

【0069】
相Aの成分を主タンクに入れ、均一化しながら80〜85℃まで加熱した。相Bの成分を横の容器に入れ、プロペラで中程度に混合しながら80℃に加熱した。相C(メチルメタクリレートクロスポリマー)を、プロペラで混合しながら、横の容器に徐々に添加した。メチルメタクリレートクロスポリマーが十分に分散されたら、均一化させながら水相に油相を(主容器に横の容器を)添加することによってエマルジョンを形成した。混合を15分間継続した。次いで、冷却を開始すると、均一でなくなってきた。主タンクの内容物が50℃に達したら、相Dをタンクに添加した。
【0070】
[例3]
スキンケア製品の評価および技術において訓練を受けた11人の熟練した感覚検査員によって、感覚研究において、5重量%のGanzpearl GMP−820を含有する実施例3の日焼け止め製剤を、MMAクロスポリマーを含有しない同様の対照と比較した。
【0071】
感覚研究の目的は、2つの日焼け止め剤の間の、適用時、運動感覚的、視覚的および触覚的特性の差を判定することであった。
【0072】
研究のプロトコールは以下のようであった。
1.検査員は、製品適用前に標準的な洗浄剤を使用して洗顔し、10分間皮膚を平衡させた。
2.次いで、広げるために25回転方法を使用して、1ccの各製品を顔の各側に適用した。対照製剤は顔の右側に適用し、本発明による製剤は顔の左側に適用した。
3.25回転方法を使用して、検査員は、最初の5回転の広がり方と最初の吸収または完全な吸収あるいはそれらの両方があるかどうかを判定した。
4.製品を広げた直後に、検査員は、各製品の適用、運動感覚、視覚的および触覚的性能に関する質問に答えた。
5.適用時から3分経過時に、検査員は、それぞれの製品のワックス性を評価した。
【0073】
このように、製品の厚さ(視覚的な厚さは11.73対9.91、触覚的な厚さは8.77対8.00)、吸収(最初の吸収は12.55対8.18、完全な吸収は20.36対17.45)、乾燥時間(12.14対13.82)、光沢(8.18対4.95)、粘着性(2.55対1.09)、ワックス性(2.73対0.91)およびグリース性(2.09対0.91)に関して2つの製剤間に有意な全体的な差が存在することが判明した。これらの数値比較は、各々15ポイントスケール(0=全くない、15=非常にそうである)とし、対照製剤の平均スコアーを最初に示し、次に本発明による製剤の平均スコアーを示した。
【0074】
同様に、このようにして、MMAクロスポリマーを含有する本発明による製剤は、光沢、粘着性、グリース感およびワックス感が対照製剤よりかなり低いことが見出された。本発明のMMAクロスポリマー製剤はまた、対照の製品と比較したとき、適用時により早く乾燥し、より容易に皮膚に吸収された。
【0075】
本発明は、種々の具体的で好ましい実施態様に関して記載されているが、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、種々の改良、置換、省略および変更を加えることができることを考慮している。従って、本発明の範囲は、その等価物を含む以下の請求の範囲によってのみ制限されることが意図されている。
【0076】
なお、本発明は、以下の実施形態を含む。
1. (a)UV光保護有効量の少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤と、(b)適用時に、グリース性または拡散性を低下させ、乾燥性を改善するのに有効な量のメチルメタクリレートクロスポリマーとを、(c)局所適用可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中に含有して製剤化されている光安定性日焼け止め製剤を局所的に適用するステップを含む、紫外線放射の有毒な影響からヒトの皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてを改善された状態でUV光保護する方法。
2. 前記メチルメタクリレートクロスポリマーがメチルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー粒子を含有する、上記1に記載のUV光保護方法。
3. 前記クロスポリマー粒子が、20ミクロン未満の粒子サイズを有する、上記2に記載のUV光保護方法。
4. 前記クロスポリマー粒子が10ミクロン未満の粒子サイズを有する、上記2に記載のUV光保護方法。
5. 前記クロスポリマー粒子が、形状が本質的に球形で、4〜8ミクロンの範囲の粒子サイズを有する、上記2に記載のUV光保護方法。
6. 前記クロスポリマー粒子が白色の微細粉末を含有する、上記2に記載のUV光保護方法。
7. (a)UV光保護有効量の少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤と、(b)適用時に、グリース性または拡散性を低下させ、乾燥性を改善するのに有効な量のメチルメタクリレートクロスポリマーと、(c)人工的日焼け有効量の少なくとも1つの人工的日焼け剤を、(d)局所適用可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中に含有して製剤化されている光安定性日焼け止め製剤を局所的に適用するステップを含む、人工的でまたは太陽光線無しの日焼けと、同時に、紫外線放射の有毒な影響からヒトの皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてを改善された状態でのUV光保護のための方法。
8. 前記少なくとも1つの人工的日焼け剤がジヒドロキシアセトンを含有する、上記7に記載の人工的でまたは太陽光線なしで日焼けさせ、同時に、UV光保護する方法。
9. (a)UV光保護有効量の少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤と、(b)適用時に、グリース性または拡散性を低下させ、乾燥性を改善するのに有効な量のメチルメタクリレートクロスポリマーとを、(c)局所適用可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中に含有して製剤化されている、紫外線放射の有毒な影響からヒトの皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてを改善された状態でUV光保護するのに好適な局所適用可能な化粧用または皮膚科用の組成物。
10. 前記メチルメタクリレートクロスポリマーが、メチルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー粒子を含有する、上記9に記載の化粧用または皮膚科用のUV光保護組成物。
11. 前記クロスポリマー粒子が、20ミクロン未満の粒子サイズを有する、上記10に記載の化粧用または皮膚科用のUV光保護組成物。
12. 前記クロスポリマー粒子が、10ミクロン未満の粒子サイズを有する、上記10に記載の化粧用または皮膚科用のUV光保護組成物。
13. 前記クロスポリマー粒子が、形状が本質的に球形で、4〜8ミクロンの範囲粒子サイズを有する、上記10に記載の化粧用または皮膚科用のUV光保護組成物。
14. 前記クロスポリマー粒子が白色の微細粉末を含有する、上記10に記載の化粧用または皮膚科用のUV光保護組成物。
15. 水中油型エマルジョンを含有する、上記10に記載の化粧用または皮膚科用のUV光保護組成物。
16. ローションを含有する、上記15に記載の化粧用または皮膚科用のUV光保護組成物。
17. (a)UV光保護有効量の少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤と、(b)適用時に、グリース性または拡散性を低下し、乾燥性を改善するのに有効な量のメチルメタクリレートクロスポリマーと、(c)有効量の少なくとも1つの人工的日焼け剤を、(d)局所適用可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中に含有して製剤化されている、人工的でまたは太陽光線無しで日焼けし、同時に、紫外線放射の有毒な影響からヒトの皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてを改善された状態でUV光保護するのに好適な局所適用可能な化粧用または皮膚科用の組成物。
18. 前記少なくとも1つの人工的日焼け剤がジヒドロキシアセトンを含有する、上記17に記載の人工的にまたは太陽光線を使用しないで日焼けし、同時に、UV光保護する化粧用または皮膚科用の組成物。
19. 1重量%〜10重量%の前記メチルメタクリレートクロスポリマーを含有する、上記10に記載の化粧用または皮膚科用のUV光保護組成物。
20. 1重量%〜5重量%の前記メチルメタクリレートクロスポリマーを含有する、上記19に記載の化粧用または皮膚科用のUV光保護組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)UV光保護有効量の、1つまたは複数の有機日焼け止め剤を含む少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤と、(b)メチルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー粒子を含むメチルメタクリレートクロスポリマーとを、(c)局所適用可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中に含有して製剤化されている光安定性日焼け止め製剤を局所的に適用するステップを含む、紫外線放射の有毒な影響からヒトの皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてをUV光から保護する方法。
【請求項2】
前記クロスポリマー粒子が、20ミクロン未満の粒子サイズを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
前記クロスポリマー粒子が10ミクロン未満の粒子サイズを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記クロスポリマー粒子が、形状が球形で、4〜8ミクロンの範囲の粒子サイズを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記クロスポリマー粒子が白色の微細粉末を含有する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記光安定性日焼け止め製剤が、1重量%〜10重量%の前記メチルメタクリレートクロスポリマーを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記光安定性日焼け止め製剤が、1重量%〜5重量%の前記メチルメタクリレートクロスポリマーを含有する、請求項7に記載の方法。
【請求項8】
(a)UV光保護有効量の、1つまたは複数の有機日焼け止め剤を含む少なくとも1つのUV−AまたはUV−Bあるいはそれらの両方に対する日焼け止め剤と、(b)メチルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー粒子を含むメチルメタクリレートクロスポリマーと、(c)人工的日焼け有効量の少なくとも1つの人工的日焼け剤を、(d)局所適用可能な化粧的または皮膚科的に許容されうる基剤、希釈剤または担体中に含有して製剤化されている光安定性日焼け止め製剤を局所的に適用するステップを含む、人工的でまたは太陽光線無しの日焼けと、同時に、紫外線放射の有毒な影響からヒトの皮膚、毛髪または頭皮あるいはそれらのすべてをUV光から保護する方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの人工的日焼け剤がジヒドロキシアセトンを含有する、請求項7に記載の人工的でまたは太陽光線なしで日焼けさせ、同時に、UV光から保護する方法。
【請求項10】
前記光安定性日焼け止め製剤が、1重量%〜10重量%の前記メチルメタクリレートクロスポリマーを含有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光安定性日焼け止め製剤が、1重量%〜5重量%の前記メチルメタクリレートクロスポリマーを含有する、請求項11に記載の方法。

【公開番号】特開2006−290900(P2006−290900A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170098(P2006−170098)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【分割の表示】特願2002−196768(P2002−196768)の分割
【原出願日】平成14年7月5日(2002.7.5)
【出願人】(502243398)ソシエテ・ロレアル・ソシエテ・アノニム (1)
【Fターム(参考)】