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MMP2およびMMP9を阻害する化合物および方法
説明

MMP2およびMMP9を阻害する化合物および方法

本発明は、MMP2およびMMP9の特異的阻害剤と、免疫抑制におけるそれらの使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、合衆国法典第35巻米国特許法第119条(e)に基づき、米国仮特許出願第61/152,512号(出願日:2009年2月13日)の優先権を主張し、本仮特許出願は、参照によってその全体を本出願に援用する。
【0002】
(連邦政府の利益に関する記載)
本発明は、国立衛生研究所によって供与された助成金NHLBI RO1 HL081350−03のもとに、米国政府の援助下で行われたものである。米国政府は、この発明において一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤およびその使用方法に関する。詳細には、本発明は、MMP2およびMMP9の阻害剤と、免疫抑制におけるそれらの使用とに関する。
【背景技術】
【0004】
細胞外マトリックスの中での細胞の特異的相互作用は、有機体が正常に機能するうえで極めて重要である。細胞外マトリックスの変化は、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)と称される亜鉛依存性エンドペプチダーゼのファミリーによってもたらされる。この変化は、さまざまな細胞過程、例えば、器官の形成、排卵、子宮内の胎児着床、胚発生、創傷治癒、血管形成などにおいて行われる(非特許文献1、非特許文献2)。MMPは、酵素の主たる5種類のグループ、すなわち、ゼラチナーゼ、コラゲナーゼ、ストロメライシン、膜型MMP、およびマトリリシンからなる。正常な組織機能におけるMMPの活性は、一連の複雑な酵素前駆体の活性化プロセスと、マトリックスメタロプロテイナーゼに対するタンパク質組織インヒビター(「TIMP」)による阻害によって、厳密に制御されている(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。制御プロセスがうまくいかない場合における過度なMMP活性は、癌の成長、腫瘍転移、腫瘍における血管形成、関節炎および結合組織系の障害、循環器疾患、炎症、および自己免疫疾患に関連している(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献6)。ヒトのゼラチナーゼMMP2およびMMP9の活性レベルの上昇は、腫瘍転移のプロセスに関連している(非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10)。結果として、MMP(例:MMP2およびMMP9)の優れた阻害剤が強く求められている。
【0005】
さらには、肺癌患者において異常なMMP2レベルが検出されており、ステージIVの患者、および遠隔転移のある患者では、血清MMP2レベルが正常な血清値と比較して大幅に上昇していることが観察された(非特許文献11、参照によって本出願に援用する)。さらに、結腸癌患者および乳癌患者において、血漿MMP9レベルが上昇していることが観察された(非特許文献12、参照によって本出願に援用する)。
【0006】
ゼラチナーゼMMPは、腫瘍の成長および拡散にもっとも密接に関与していることが示されている。ゼラチナーゼの発現のレベルは悪性腫瘍において上昇すること、および、ゼラチナーゼは基底膜を分解することができ、これが腫瘍転移につながることが知られている。充実性腫瘍の成長に必要な血管形成でも、病理学的にはゼラチナーゼ成分が含まれることが最近示された。さらには、アテローム性動脈硬化症に関連付けられる粥腫崩壊にゼラチナーゼが関与することを示唆する証拠が存在する。MMPが介在する他の病気・状態としては、動脈再狭窄、MMP介在性骨減少症、中枢神経系の炎症性疾患、皮膚の老化、腫瘍の成長、変形性関節症、リウマチ性関節炎、敗血症性関節炎、角膜潰瘍、異常な創傷治癒、骨疾患、タンパク尿、大動脈瘤疾患、外傷性関節損傷の後の変成軟骨の消失、神経系の脱髄疾患、肝硬変、腎臓の糸球体疾患、早期破裂羊膜、炎症性大腸疾患、歯周疾患、加齢性の黄斑変性、糖尿病性網膜症、増殖性硝子体網膜症、未熟児網膜症、眼の炎症、円錐角膜、シェーグレン症候群、近視、目の腫瘍、眼球血管形成/新血管形成、角膜移植拒絶反応が挙げられる。最近の状況については、(1)非特許文献13、(2)非特許文献14、(3)非特許文献15、(4)非特許文献16、(5)非特許文献17を参照されたい。炎症過程におけるMMPの関与については、非特許文献18に記載されている。
【0007】
現在、MMPのいくつかの競合的阻害剤が知られている。MMPのこれらの阻害剤は、活性部位の亜鉛のキレート化を利用して活性を阻害する。MMPのためのこれらの競合的阻害剤は、この一般的な特性のため、亜鉛に依存する多くの生物学的経路に影響を及ぼし、宿主に対してしばしば毒性であり、このことが臨床用途において大きな障害となっている(非特許文献19、非特許文献20、非特許文献21)。したがって、1種類または複数の特定のMMPに対して、公知の競合的阻害剤よりも高い選択性を有するMMP阻害剤を使用することは有利である。このような方法は、長期的な負の副作用を含まないことが好ましい。
【0008】
免疫調節剤は、全身性自己免疫疾患(例えば、エリテマトーデス、糖尿病)および免疫不全症の治療に有用であることが判明している。さらには、癌の免疫療法、あるいは臓器移植における他人の臓器または他の組織(例:腎臓、心臓、骨髄)の拒絶反応を防ぐ目的に、免疫調節剤は有用であり得る。
【0009】
さまざまな免疫調節性化合物が発見されており、例えば、FK506、ムラミル酸ジペプチド誘導体、レバミソール、ニリダゾール、オキシスラン、フラジルのほか、インターフェロン、インターロイキン、ロイコトリエン、コルチコステロイド、シクロスポリンが挙げられる。しかしながら、これらの化合物の多くは、望ましくない副作用もしくは高い毒性、またはその両方を有することが判明している。したがって、特定の領域において広範囲の免疫調節機能を提供し、望ましくない副作用が最小限である新規の免疫調節性化合物が必要とされている。
【0010】
したがって、免疫抑制剤およびMMP阻害剤の毒性を考えると、この技術分野では、MMPの調節不全が関与する免疫介在性疾患の有効な治療のための方法および化合物が必要とされている。本発明は、これらの方法および化合物、ならびにその他の利点を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第06/036928号
【特許文献2】国際特許出願PCT/US第91/08694号
【特許文献3】国際特許出願PCT/US第91/04666号
【特許文献4】国際特許出願PCT/US第94/08542号
【特許文献5】欧州特許第0774464号明細書
【特許文献6】米国特許第5,798,035号明細書
【特許文献7】米国特許第5,789,172号明細書
【特許文献8】米国特許第5,751,629号明細書
【特許文献9】米国特許第5,168,053号明細書(Altmanら)
【特許文献10】米国特許第5,190,931号明細書(Inouye)
【特許文献11】米国特許第5,135,917号明細書(Burch)
【特許文献12】米国特許第5,087,617号明細書(Smith)
【特許文献13】米国特許第5,176,996号明細書(Hoganら)
【特許文献14】米国特許第5,272,262号明細書
【特許文献15】米国特許第5,168,053号明細書
【特許文献16】米国特許第5,180,818号明細書
【特許文献17】米国特許第5,116,742号明細書
【特許文献18】米国特許第5,093,246号明細書(Cechら)
【特許文献19】国際公開第99/32619号
【特許文献20】国際公開第01/75164号
【特許文献21】米国特許第6,506,559号明細書
【特許文献22】国際公開第01/75164号
【非特許文献】
【0012】
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【非特許文献3】Forget, M.-A.; Desrosier, R. R.; Beliveau, R. Can., J. Physiol. Pharmacol. 1999, 77, 465-480
【非特許文献4】Brew, K.; Dinakarpandian, D.; Nagase, H., Biochim. Biophys. Acta 2000, 1477, 267-283
【非特許文献5】Westermarck, J.; Kahari, V. M., FASEB J. 1999, 13, 781-792
【非特許文献6】Nelson, A. R.; Fingleton, B.; Rothenberg, M. L.; Matrisian, L. M., J. Clin. Oncol. 2000, 18, 1135
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【非特許文献80】Sakaguchi, et al., Immunol. Rev. 2001, 182:18
【非特許文献81】Inflamm Allergy Drug Targets. 2008 Dec;7(4):217-23
【非特許文献82】Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition (Philadelphia College of Pharmacy and Science, 2000)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる方法であって、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩、の治療有効量を臓器移植患者に投与することを含む方法を提供する。
【化1】

式(I)
[式中、
mが0、1、2、3、4、または5であり、
nが0、1、2、3、4、または5であり、
pが1、2、または3であり、
Xが、−O−、−S−、−CH−、または直接結合であり、
Yが、−C(O)−、または−S(O)−であり、
Zが、−O−、または−S−であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
、R、およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
が、水素、アルキル、アルケニル、またはアリールであり、
およびR10が、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルである]
【0014】
本発明の方法の一実施形態においては、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物である。
【化2】

式(Ia)
【0015】
本発明の方法のさらなる実施形態においては、化合物はSB−3CTである。
【化3】

SB−3CT
【0016】
本発明の方法のさらなる実施形態においては、式(I)の化合物は、式(Ib)または式(Ic)の化合物である。
【化4】

式(Ib)
【化5】

式(Ic)
【0017】
本発明の方法の特定の実施形態においては、移植患者は肺移植患者である。本発明の方法の別の実施形態においては、T細胞はCD4+ T細胞である。さらなる実施形態においては、本方法は、移植患者に臓器を提供する臓器提供者に、式Iの化合物の治療有効量を、臓器摘出の前に投与することをさらに含む。
【0018】
本発明の別の態様は、移植患者または移植を必要としている患者においてコラーゲンに対する免疫応答を阻害する方法であって、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0019】
特定の実施形態においては、式(I)の化合物は、本明細書に記載した式(Ia)、式(Ib)、または式(Ic)の化合物である。本方法のさらなる実施形態においては、化合物はSB−3CTである。別の実施形態においては、移植患者は、肺移植患者である。
【0020】
本発明の別の態様は、臓器移植の結果を改善する方法であって、式Iの化合物の治療有効量を移植患者に投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態においては、式(I)の化合物は、式(Ia)、式(Ib)、または式(Ic)の化合物、もしくはSB−3CTである。一実施形態においては、本方法は、移植患者に臓器を提供する臓器提供者に、式Iの化合物の治療有効量を、臓器摘出の前に投与することをさらに含む。本方法の特定の実施形態においては、移植患者は肺移植患者である。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、免疫応答阻害を必要としている患者において免疫応答を阻害する方法であって、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。一実施形態においては、免疫応答阻害を必要としている患者は、自己免疫疾患を有する。これに関して、本明細書においては、あらゆる自己免疫疾患が対象であり、例えば以下に限定されないが、同種免疫によって誘発される臓器移植(心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、多臓器移植、造血幹細胞)後の自己免疫、膠原血管病(全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、強皮症)、多発性硬化症、インスリン依存の糖尿病、セリアック病、炎症性大腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデス、乾癬、インスリン依存の糖尿病(1型)が含まれる。特定の一実施形態においては、免疫応答阻害を必要としている患者は、ぜんそく、またはT細胞介在性肺疾患を有する。特定の実施形態においては、免疫応答は、CD8+ T細胞応答またはCD4+ T細胞応答を含む。一実施形態においては、制御性T細胞は、式Iの化合物によって阻害されない。さらなる実施形態においては、患者は、固形臓器移植患者である。
【0022】
本発明の別の態様は、同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる方法であって、マトリックスメタロプロテイナーゼ2およびマトリックスメタロプロテイナーゼ9を選択的に阻害することのできる化合物の治療有効量を移植患者に投与することを含む方法を提供する。
【0023】
本発明のさらなる態様は、免疫応答阻害を必要としている患者において免疫応答を阻害する方法であって、マトリックスメタロプロテイナーゼ2およびマトリックスメタロプロテイナーゼ9を選択的に阻害することのできる化合物の治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0024】
本発明の別の態様は、免疫抑制剤の投与量を減らす方法であって、免疫抑制剤の投与量減少を必要としている患者に、免疫抑制剤の投与の前または投与と同時に、式Iの化合物の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0025】
本発明のさらなる態様は、免疫応答抑制を必要としている患者において免疫応答を抑制する方法であって、式Iの化合物の有効量を、公知の免疫抑制剤(免疫抑制薬)と組み合わせて患者に投与することを含む方法を提供する。これに関して、数多くの免疫抑制剤のうちの任意の免疫抑制剤を使用することができ、例えば、以下に限定されないが、シクロスポリンA、FK506、ラパマイシン、コルチコステロイド、プリン代謝拮抗剤(アザチオプリン、ミコフェノール酸など)、キャンパス、抗リンパ球グロブリンを使用することができる。
【0026】
本発明の別の態様は、V型コラーゲンに対する免疫応答を減少させる方法であって、免疫応答減少を必要としている患者に、式Iの化合物の有効量を、V型コラーゲンまたはその寛容化部分(tolerizing fragment)の有効量と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。一実施形態においては、患者は、肺移植を必要としている患者、または肺移植患者である。さらなる実施形態においては、V型コラーゲンまたはその寛容化部分は、経口投与または静脈内投与される。
【0027】
本発明のさらなる態様は、移植患者において同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる組成物であって、式Iの化合物の治療有効量を含有する組成物を提供する。特定の実施形態においては、式(I)の化合物は、本明細書に記載した式(Ia)、式(Ib)、または式(Ic)の化合物、もしくはSB−3CTである。特定の実施形態においては、この組成物は、肺移植患者において同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる。さらなる実施形態においては、T細胞は、CD4+ T細胞である。特定の実施形態においては、組成物は、移植患者に臓器を提供する臓器提供者において臓器摘出前に使用する。
【0028】
本発明の別の態様においては、移植患者または移植を必要としている患者においてコラーゲンに対する免疫応答を阻害する組成物であって、式Iの化合物の治療有効量を含有する組成物を提供する。特定の実施形態においては、式(I)の化合物は、本明細書に記載した式(Ia)、式(Ib)、または式(Ic)の化合物、もしくはSB−3CTである。一実施形態においては、移植患者は、肺移植患者である。
【0029】
本発明のさらなる態様は、移植の結果を改善する組成物であって、式Iの化合物の治療有効量を含有する組成物を提供する。特定の実施形態においては、式(I)の化合物は、本明細書に記載した式(Ia)、式(Ib)、または式(Ic)の化合物、もしくはSB−3CTである。これに関して、一実施形態においては、組成物は、臓器提供者において臓器摘出の前に使用する。特定の実施形態においては、移植患者は、肺移植患者である。
【0030】
本発明の別の態様は、免疫応答阻害を必要としている患者において免疫応答を阻害する組成物であって、式Iの化合物の治療有効量を含有する組成物を提供する。特定の実施形態においては、式(I)の化合物は、本明細書に記載した式(Ia)、式(Ib)、または式(Ic)の化合物、もしくはSB−3CTである。特定の実施形態においては、免疫応答阻害を必要としている患者は、同種免疫によって誘発される臓器移植後の自己免疫、膠原血管病、および多発性硬化症からなる群から選択される自己免疫疾患を有する。一実施形態においては、免疫応答阻害を必要としている患者は、ぜんそく、またはT細胞介在性肺疾患を有する。特定の実施形態においては、T細胞応答は、CD8+ T細胞応答である。特定の一実施形態においては、CD8+ T細胞応答は、抗原特異的応答である。さらなる実施形態においては、免疫応答は、CD4+ T細胞応答を含んでおり、このCD4+ T細胞応答は抗原特異的応答とすることができる。特定の実施形態においては、組成物は、制御性T細胞を阻害しない。特定の実施形態においては、組成物は、固形臓器移植患者において使用する。
【0031】
本発明のさらなる態様は、同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる組成物であって、マトリックスメタロプロテイナーゼ2およびマトリックスメタロプロテイナーゼ9を選択的に阻害することのできる化合物の治療有効量を含有する組成物を提供する。
【0032】
本発明の別の態様は、免疫応答阻害を必要としている患者において免疫応答を阻害する組成物であって、マトリックスメタロプロテイナーゼ2およびマトリックスメタロプロテイナーゼ9を選択的に阻害することのできる化合物の治療有効量を含有する組成物を提供する。これに関して、免疫応答は、抗原特異的な免疫応答とすることができる。
【0033】
本発明のさらに別の態様は、式Iの化合物の有効量を、免疫抑制剤との組合せとして含有する組成物であって、免疫抑制剤の有効投与量が、式Iの化合物が存在しないときに通常使用される有効投与量と比較して減少する、組成物、を提供する。
【0034】
本発明のさらなる態様は、患者において免疫応答を抑制する組成物であって、式Iの化合物の有効量を、公知の免疫抑制剤との組合せとして含有する組成物である。これに関して、免疫応答は、抗原特異的な免疫応答とすることができる。特定の実施形態においては、公知の免疫抑制剤は、以下に限定されないが、シクロスポリンA、FK506、ラパマイシン、コルチコステロイド、プリン代謝拮抗剤、キャンパス、抗リンパ球グロブリン、のうちの1つまたは複数とすることができる。
【0035】
本発明の別の態様は、V型コラーゲンに対する免疫応答を減少させる組成物であって、V型コラーゲンに対する免疫応答減少を必要としている患者に、式Iの化合物の有効量を、V型コラーゲンまたはその寛容化部分の有効量と組み合わせて投与することを含む組成物である。特定の実施形態においては、患者は、肺移植を必要としている患者、または肺移植患者である。別の実施形態においては、V型コラーゲンまたはその寛容化部分は、経口投与または静脈内投与される。
【0036】
本発明の別の態様は、薬剤の製造において、式(I)の化合物を含有する組成物を使用することであって、化合物は、式(Ia)、式(Ib)、または式(Ic)の化合物、もしくはSB−3CTとすることができ、この薬剤は、移植患者において同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる薬剤、移植患者または移植を必要としている患者においてコラーゲンに対する免疫応答を阻害する薬剤、移植の結果を改善する薬剤、免疫応答阻害を必要としている患者において免疫応答を阻害する薬剤、または、V型コラーゲンに対する免疫応答の減少を必要としている患者においてV型コラーゲンに対する免疫応答を減少させる薬剤である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】CD4 T細胞およびCD8 T細胞におけるMMP9 mRNAおよびタンパク質の異なる発現。脾臓の純粋なA)CD4 T細胞およびB)CD8 T細胞を、抗CD3抗体(1μg/ml)の存在下または非存在下で培養した。RNAを分離し、cDNAを合成し、mRNAの発現レベルを、定量的RT−PCRによって測定した。データをβアクチンに対して正規化した。データは、トリプリケートで行った2回の別個の実験の代表値である。C)CD4 T細胞およびCD8 T細胞の溶解物および上清のゼラチンザイモグラム分析。データは、4回の個別の実験のうちの1回の代表値である。
【図2】抗CD3抗体によって誘発されるT細胞増殖が、広範囲の特異的MMP阻害によって抑止される。純粋脾臓CD4 T細胞を、A)1,10−フェナントロリン(0.001〜0.1μM)またはB)COL−3(1〜100μM)によって処理した。C)CD4 T細胞およびD)CD8 T細胞を、SB3CT(5〜25μM)またはビヒクル(CRPMIで同様に希釈したDMSO+PEG)によって処理し、抗CD3抗体(0.5μg/ml)の存在下で72時間培養した。E)SB3CT処理したCD4 T細胞、F)SB3CT処理したCD8 T細胞を、抗CD3抗体および外因性マウスIL−2の存在下で72時間培養した。T細胞の増殖を、3H−チミジン取り込みによって測定した。データは、トリプリケートで行った3回の実験の平均±の代表値である。#p<0.05、p<0.001。
【図3】MMP2欠損、MMP9欠損、およびMMP2/9欠損のCD4 T細胞では、増殖能力が変化する。野生型T細胞と、A)MMP2−/−CD4 T細胞、B)MMP9−/−CD4 T細胞、C)MMP2/9−/−CD4 T細胞、D)MMP9−/−CD8 T細胞を、抗CD3抗体(0.5μg/ml)の存在下で72時間培養した。T細胞の増殖を、3H−チミジン取り込みによって測定した。データは、トリプリケートで行った3回の別個の実験の平均±SDの代表値である。#p<0.02、p=0.006、**p<0.001。
【図4】MMP欠損またはMMP阻害によってカルシウム流が減少する。A)CD4 T細胞またはB)CD8 T細胞を、野生型マウスおよびMMP9−/−マウスから分離した。C、D)CD8 T細胞を、SB3CT(10μM)またはビヒクル(CRPMIで同様に希釈したDMSO+PEG)によって処理した。細胞を、A〜C)カルシウムを含まない培地で、D)カルシウムを含んだ培地で培養し、抗CD3抗体(10μg/ml)によって刺激した。カルシウム流を、リアルタイムで100秒間測定した。データは、トリプリケートで行った3回の別個の実験のうちの1回の代表値である。
【図5】MMP欠損またはMMP阻害によって、NFATc1およびCD25の発現が変化する。A−B)野生型マウス、MMP2−/−マウス、およびMMP9−/−マウスから、CD4 T細胞を分離した。C−D)CD4 T細胞を、SB3CT(5〜20μM)またはビヒクル(CRPMIで同様に希釈したDMSO+PEG)によって処理した。細胞を、抗CD3抗体(1μg/ml)の存在下および非存在下で培養した。NFATc1およびCD25の発現レベルを、定量的RT−PCRによって測定した。データは、トリプリケートで行った3回の別個の実験の代表値である。#p<0.05、##p<0.01、p<0.001。
【図6】MMP9阻害によって、CD4 T細胞およびCD8 T細胞におけるIL−2およびIFN−γの発現が下方制御される。A−B)野生型マウスおよびMMP9−/−マウスからCD4 T細胞を分離した。C−D)野生型CD4 T細胞を、SB3CT(10μM)またはビヒクル(CRPMIで同様に希釈したDMSO+PEG)によってさまざまな時間処理した。E−F)野生型マウスおよびMMP9−/−マウスからCD8 T細胞を分離した。G−H)CD8 T細胞を、SB3CT(10μM)によってさまざまな時間処理した。細胞を、抗CD3抗体(1μg/ml)の存在下および非存在下で培養した。IL−2およびIFN−γのmRNA発現およびタンパク質発現を、それぞれ、定量的RT−PCRおよびCBA(サイトメトリビーズアレイ)によって測定した。データは、トリプリケートで行った3回の別個の実験の代表値である。p<0.001。
【図7】MMP9阻害は、制御性T細胞機能を誘発しない。野生型マウスおよびMMP9−/−マウスからCD4 T細胞を分離し、SB3CT(10μM)またはビヒクル(CRPMIで同様に希釈したDMSO+PEG)によって処理し、抗CD3抗体(0.5μg/ml)の存在下および非存在下で培養した。A,B)Foxp3の発現を、定量的RT−PCRによって測定した。C)細胞培養上清を採取し、IL−10タンパク質の発現についてCBAによって分析した。D)CD425−T細胞またはE)CD425 T細胞を、SB3CT(10μM)によって処理し、抗CD3抗体(0.5μg/ml)の存在下で、未処理のCD425−T細胞とのさまざまな混合割合で培養した。パネルAおよびパネルCのデータは、トリプリケートで行った1回の実験の代表値である。パネルDおよびパネルEのデータは、トリプリケートで行った3回の別個の実験の代表値である。#p<0.01、p<0.001。
【図8】SB3CTによって処理した抗原特異的T細胞(OT−I)は、増殖能力の減少を示す。A)OT−IトランスジェニックCD8 T細胞をSB3CT(5〜20μM)またはビヒクル(CRPMIで同様に希釈したDMSO+PEG)によって処理し、OVAパルスした抗原提示細胞(APC)の存在下で72時間培養した。データは、トリプリケートで行った2回の別個の実験の代表値である。#p<0.05、p<0.001。B)養子移入から7日後に、CC10−OVA(CC10)マウスまたは非トランスジェニック(B6)マウスからのBAL液を分析し、BAL液中に存在する全細胞を測定した。C)好中球をGR1で染色し、フローサイトメトリーで分析した。刺激された野生型細胞と比較して、**p<0.01であった。治療群あたりマウスn=10(CC10)および治療群あたりコントロールマウスn=5(B6)。
【図9】抗原特異的CD8 エフェクターT細胞介在性の肺損傷のマウスモデル。A)SB3CT(10μM)またはビヒクル(CRPMIで同様に希釈したDMSO+PEG)処理し、養子移入した後、CD8Thy1.1 T細胞をマウスの肺から分離した。B)CC10−OVAマウスの肺からのCD8Thy1.1 T細胞におけるCD25の発現。p<0.01。治療群あたりマウスn=9(CC10)および治療群あたりコントロールマウスn=5(B6)。
【図10】MMP阻害(SB3CT)または非存在(MMP9欠損)に対応するT細胞活性化の差の概略図。正常な細胞条件下では、TCR刺激(1)の後、カルシウム流の増大(3,4)など多数のシグナル伝達現象(2)が上方制御され、これによってNFAT(5)、CD25(6)、およびIL−2(8)の発現が上方制御され、したがって、CD25の細胞表面発現およびIL−2の結合が可能となり細胞が活性化する。MMP9が存在しないと、カルシウム流入が有意に増大するが、NFATの発現が下方制御される。NFATの発現が減少することでCD25およびIL−2の発現が減少し、その一方で、調節経路であるFoxp3およびIL−10が上方制御され、これによって細胞活性化が減少する。
【図11】CD4 MMP9−/−T細胞およびCD8 MMP9−/−T細胞の表現型分析。脾臓の純粋なA)CD4 T細胞およびB)CD8 T細胞を、野生型マウス(実線、影の付いていないヒストグラム)およびMMP9欠損(影の付いたヒストグラム)マウスから分離した。細胞を抗CD3抗体(0.5μg/ml)の存在下で24時間培養した。細胞を採取し、CD45RO、CD69、CD25、CD44、CD40L、CD62L、およびCTLA−4の表面発現を、フローサイトメトリーで分析した。破線のヒストグラムは、アイソタイプコントロールを表す。データは、2回の個別の実験のうちの1回の代表値である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、MMP2およびMMP9がT細胞内に存在し、T細胞の活性化を制御するという予期しない発見に関連する。したがって、本発明は、MMP2およびMMP9の標的阻害によって免疫応答を阻害する方法を提供する。本発明は、MMP阻害を必要としている被験体において、MMP2もしくはMMP9またはその両方を選択的に阻害することによって、免疫応答を阻害する方法に関する。詳細には、本発明は、MMP2もしくはMMP9またはその両方を選択的に阻害することによって、T細胞の応答を阻害する方法に関する。
【0039】
マトリックスメタロプロテイナーゼ2およびマトリックスメタロプロテイナーゼ9
MMP2およびMMP9の発現の上昇は、浸潤癌および腫瘍の癌、例えば、大腸腫瘍、胃癌、膵臓癌、乳癌、口腔癌、黒色腫、悪性神経膠腫、軟骨肉腫、および消化器腺癌において、しばしば見られる。悪性星細胞腫、癌性髄膜炎、および脳転移においてもレベルが増大する。浸潤癌においては、MMPは、基底膜および間質結合組織(いずれもECM(細胞外マトリックス)の成分)を分解することによって、腫瘍の進行および転移を促進する。IV型コラーゲンはECMの主成分である。ECMの他の成分としては、ラミニン−5、プロテオグリカン、エクタクチン、およびオステオネクチンが挙げられる。MMP2およびMMP9は、IV型コラーゲンを効果的に分解し、これによって転移癌細胞が基底膜を超えて移動することができる(非特許文献22を参照)。
【0040】
MMPは、多くの呼吸器系疾患において細胞外マトリックスのリモデリングを制御することも知られている。Wistar−Kyotoラットモデルにおける実験では、虚血再灌流傷害を誘発させて非特異的MMP阻害剤であるCOL−3によって処理したラットと、肺移植の前後にMMP阻害剤によって処理したラットとを比較した(非特許文献23)。結果は、虚血再灌流傷害により、成長関連癌遺伝子/CINC−1に依存する好中球流入が誘発され、腫瘍壊死因子αが上方制御された。(4時間後および24時間後の)MMP2およびMMP9の誘発は、BALおよび肺間質において検出された抗原性コラーゲン(V)に関連付けられる。COL−3による処理によって、炎症因子が減少し、気管支肺胞洗浄における抗原性コラーゲン(V)のレベルが下がった。提供者の肺において肺の摘出前に、およびレシピエントにおいて移植後にMMPを阻害することによって、酸素供給が改善され、同種移植片への多形核白血球の流入が減少した。
【0041】
肺移植のラットモデルの実験結果から、非特異的阻害剤と比較して、特異的MMP阻害剤の恩恵が示された。具体的には、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP−1およびTIMP−2)は、ドナー抗原およびV型コラーゲン(拒絶反応に関与する抗原)に対する遅延型過敏反応にはそれぞれ異なる効果を有するが、拒絶反応の発現には影響しないことが、実験によって示されている。対照的に、COL−3(非特異的MMP阻害剤)は、遅延型過敏反応のみならず、腫瘍壊死因子αおよびインターロイキン−1βの局所的な産生も抑制した。COL−3では、拒絶反応が阻止されず、移植組織内のB細胞過形成が誘発され、これは移植後のリンパ増殖性疾患を示唆する。
【0042】
これまで、MMPが細胞内で機能して免疫細胞機能を制御できることは知られていない。ラットの肺移植モデルでは、非特異的MMP阻害剤によってインビボでMMPを非特異的にブロックすると、同種抗原および自己抗原によって誘発されるT細胞増殖が下方制御され(非特許文献23)、このことは、拒絶反応の発症にMMP活性が関与していることを示唆している。
【0043】
MMP2およびMMP9のアミノ酸配列およびポリヌクレオチド配列は、GENBANKあるいはSWISSPROTなどのデータベースにおいて公的に利用可能である。代表的な配列は、GENBANK受入番号AK310314[gi:164692100]、AK312711[gi:164690513]、およびSwissProt P08253(01−FEB−1991、配列バージョン2)(MMP2)、ならびにNM_004994[gi:74272286]、AAD37404[gi:5002294]、およびNP_004985[gi:74272287](MMP9)に見出すことができる。当業者には認識されるように、これらは代表的な配列であり、さまざまな公共データベースにおいてMMP2およびMMP9の他の配列変異体を見出すことができ、本発明による標的阻害において対象となる。
【0044】
本発明は、MMP2およびMMP9を阻害する方法および化合物を提供する。詳細には、本発明は、MMP2およびMMP9がT細胞内に存在しており、T細胞の活性化を制御するという発見に関連する。さらには、本発明は、MMP2およびMMP9の特異的阻害剤であって、同種抗原および自己抗原によって誘発されるT細胞増殖を阻害する特異的作用により免疫抑制薬として使用することのできる阻害剤、を提供する。
【0045】
SB−3CT系化合物の概要
一般的には、本明細書に記載されている方法に適するMMP阻害剤は、一般に3つの部分、すなわち、(1)大きな疎水性ポケットであるP1’サブサイトと相互作用する疎水性領域(例:ビフェニル部分)、(2)水素結合によってタンパク質骨格においてアミドと結合する水素結合供与部分(例:スルホン部分またはカルボニル部分)、(3)求核付加反応を受け、配位結合によって活性部位においてZn2+に結合することのできる求電子性部分(例:チイラン環またはエポキシド環)、を有する構造を有する。
【0046】
適切なMMP阻害剤としては、例えば、特許文献1に記載されている阻害剤が挙げられ、当該文献はその全体を参照によって本出願に援用する。
【0047】
式(I)
特定の具体的な実施形態においては、本明細書に記載されている方法に適する化合物は、式(I)によって表される。
【化6】

式(I)
[式中、
mは、0、1、2、3、4、または5であり、
nは、0、1、2、3、4、または5であり、
pは、1、2、または3であり、
Xは、−O−、−S−、−CH−、または直接結合であり、
Yは、−C(O)−、または−S(O)−であり、
Zは、−O−、または−S−であり、
は、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
は、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
およびRは、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
、R、およびRは、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、またはアリールであり、
およびR10は、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルである]
本明細書に記載した化合物の、薬学的に許容される塩も本発明に含まれる。
【0048】
定義
「アルキル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、不飽和を含んでおらず、1〜15個の炭素原子を有する直鎖または分岐状の炭化水素鎖基を意味する。特定の実施形態においては、アルキルは、1〜8個の炭素原子を含んでいることができる。別の実施形態においては、アルキルは、1〜6個の炭素原子を含んでいることができる。アルキルは、単結合によって分子の残りに結合しており、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、1,1−ジメチルエチル(t−ブチル)、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、その他である。本明細書において特に明記しない限りは、アルキル基は、以下の置換基、すなわち、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−OR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(tは1または2)、−S(O)OR(tは1または2)(各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、アラルキルである)の1つまたは複数を有していてもよい。
【0049】
「アルケニル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、少なくとも1つの二重結合を含んでおり、2〜12個の炭素原子を有する直鎖または分岐状の炭化水素鎖基を意味する。特定の実施形態においては、アルケニルは、2〜8個の炭素原子を含んでいることができる。別の実施形態においては、アルケニルは、2〜4個の炭素原子を含んでいることができる。アルケニルは、単結合によって分子の残りに結合しており、例えば、エテニル(すなわちビニル)、プロプ−1−エニル(すなわちアリル)、ブト−1−エニル、ペント−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニル、その他である。本明細書において特に明記しない限りは、アルケニル基は、以下の置換基、すなわち、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、−OR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(tは1または2)、−S(O)OR(tは1または2)および−S(O)N(R(tは1または2)(各Rは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アリール、アラルキルである)の1つまたは複数を有していてもよい。
【0050】
「アリール」は、環の炭素原子から水素原子を取ることによって芳香族単環炭化水素環系または芳香族多環炭化水素環系から誘導される基を意味する。芳香族単環炭化水素環系または芳香族多環炭化水素環系は、水素原子と、6〜18個の炭素原子のみを含んでおり、環系における環の少なくとも1つは完全に不飽和である、すなわち、ヒュッケル(Huckel)理論に従って、周期的な非局在化(4n+2)π電子系を含んでいる。アリール基としては、例えば、以下に限定されないが、フェニル、フルオレニル、ナフチルが挙げられる。本明細書において特に明記しない限りは、用語「アリール」または接頭辞「ar−」(例えばアラルキル)は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアラルキルから独立して選択される1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよいアリール基を含むものとする。
【0051】
「アラルキル」は、式「−R−アリール」(Rはアルキレン鎖)の基を意味する。アルキレンは、直鎖または分岐状の二価炭化水素鎖であり、分子の残りをラジカル基に結合させ、炭素および水素のみから構成されており、不飽和を含んでおらず、1〜12個の炭素原子を有し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、その他である。アルキレン鎖は、分子の残りと単結合によって結合しており、ラジカル基に単結合によって結合する。アルキレン鎖と分子の残りおよびラジカル基との結合点は、アルキレン鎖中の1個の炭素またはアルキレン鎖中の任意の2個の炭素によることができる。例示的なアラルキルとして、ベンジル、ジフェニルメチルが挙げられる。アラルキル基のアルキレン鎖部分は、アルキルについて上述したように任意の置換基を有していてもよい。アラルキル基のアリール部分は、アリール基について上述したように任意の置換基を有していてもよい。
【0052】
「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、またはヨードを意味する。
【0053】
「ハロアルキル」は、アルキル基(上に定義されている)に、1つまたは複数のハロ基(上に定義されている)の置換基を有するものを意味し、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチル、トリクロロメチル、その他である。ハロアルキル基のアルキル部分は、アルキル基について上述したように任意の置換基を有していてもよい。
【0054】
式(I)の亜属
特定の実施形態においては、Xが−O−、Yが−S(O)−、Zが−S−である。式(I)の化合物は、式(Ia)によって表すことができる。
【化7】

式(Ia)
【0055】
式(Ia)のさらなる実施形態においては、mが0、nが0、pが1、R、R、R、R、およびRが、それぞれ水素であり、式(Ia)はSB−3CTである。
【化8】

化SB−3CT
【0056】
特定の別の実施形態においては、Xが−S−、Yが−S(O)−、Zが−S−である。式(I)の化合物は、式(Ib)によって表すことができる。
【化9】

式(Ib)
【0057】
特定の別の実施形態においては、Xが−CH−、Yが−S(O)−、Zが−S−である。式(I)の化合物は、式(Ic)によって表すことができる。
【化10】

式(Ic)
【0058】
式(I)、式(Ia)、式(Ib)、および式(Ic)の化合物の製造方法
式(I)の化合物(式(Ia)、式(Ib)、および式(Ic)の化合物を含む)は、以下の一般的な反応スキームに従って調製することができる。
【化11】

【0059】
MMP2およびMMP9の他の阻害剤
MMP2活性もしくはMMP9活性、またはその両方(遺伝子発現またはタンパク質の活性)を阻害する本発明の化合物または薬剤は、合成化合物や天然化合物のライブラリを含めた幅広い入手源から得ることができる。例えば、各種の有機化合物および生体分子のランダム合成および指向性合成のための膨大な手段を利用することができる(例えば、ランダムオリゴヌクレオチドおよびランダムオリゴペプチドの発現)。あるいは、細菌、真菌、植物、および動物の抽出物の形での天然化合物のライブラリが利用可能である、または容易に作成することができる。さらには、天然または合成によって作成されたライブラリおよび化合物を、従来の化学的手段、物理的手段、および生化学的手段によって容易に修飾することができ、これらを使用してコンビナトリアルライブラリを作成することができる。さらには、公知の薬剤に指向的またはランダムな化学的修飾(例えば、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化)を行って、構造的類似体を生成することもできる。合理的薬物設計またはコンピュータモデリングなどの方法を使用して、新しい治療薬候補を作成することもできる。
【0060】
本発明による、MMP2もしくはMMP9またはその両方を阻害するために使用する薬剤は、化合物、組成物、または分子の「ライブラリ」、すなわちコレクションからスクリーニングすることができる。このような分子は、一般には、この技術分野において「低分子」として知られている化合物であって、分子量が10ダルトン未満、好ましくは10ダルトン未満、さらに好ましくは10ダルトン未満である化合物を含んでいる。例えば、試験化合物のライブラリのメンバーを、精製したMMP2もしくはMMP9またはその両方に接触させるかまたは加える、あるいは適切な動物モデル(例えば、本明細書に記載したマウスやラットモデル)においてインビボで投与することができる。MMP2もしくはMMP9またはその両方を阻害する能力があると識別された化合物は、治療目的に有用であり得る。なぜなら、そのような化合物は、本明細書に記載した病気を治療することができ、治療において免疫抑制剤として使用できるためである。
【0061】
さらには、MMP2もしくはMMP9またはその両方を阻害する化合物を、コンビナトリアルライブラリのメンバーとして提供することができ、コンビナトリアルライブラリは、複数の反応容器において実行される複数の所定の化学反応に従って調製される合成化合物を含んでいることが好ましい。例えば、特定の構成物に対して、反応条件の複数の順列もしくは組合せまたはその両方を追跡しながら実施することのできる固相合成、記録される無作為混合法(recorded random mix methodologies)、記録される反応分離手法(recorded reaction split techniques)のうちの1つまたは複数を採用して、さまざまな出発化合物を調製することができる。得られた生成物のライブラリに対して、スクリーニングの後に反復的な選択・合成手順を行うことができ、このようなライブラリとしては、ペプチドの合成コンビナトリアルライブラリー(例えば、特許文献2および特許文献3を参照)または本明細書に提示した低分子を含む他の組成物の合成コンビナトリアルライブラリー(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8を参照)が挙げられる。この技術分野における通常の技能を有する者には、このようなライブラリーの多様な種類を確立された方法に従って作成し、従来の公知のスクリーニング法を使用して試験できることが理解されるであろう。
【0062】
MMP2もしくはMMP9またはその両方を阻害する本発明の物質および化合物は、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方に結合する抗体を含んでいることもできる。抗体は、インビボでポリペプチドの活性を阻害またはブロックする修飾剤として機能することができる。これに代えて、またはこれに加えて、MMP2もしくはMMP9またはその両方の内因性活性についてのスクリーニングにおいて抗体を使用することができ、あるいは、このポリペプチドを精製するため、あるいは試料内でこのポリペプチドの活性レベルを分析するため、あるいはこのポリペプチドの発現を研究する目的で、抗体を修飾剤として使用することができる。このような抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルとすることができ、一般的にMMP2もしくはMMP9またはその両方に特異的である。特定の実施形態においては、抗体はポリクローナルである。
【0063】
抗体は、この技術分野における通常の技能を有する者に公知であるさまざまな手法のいずれかによって作製することができる(例えば非特許文献24を参照)。このような手法の1つでは、最初に、SPLポリペプチドまたはその抗原部分を含んでいる免疫原を、適切な動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ヤギ)に、好ましくは、1回または複数の追加免疫を組み込んだ所定のスケジュールに従って注入する。ウサギの使用が好ましい。免疫原性を高めるため、免疫原を、例えばグルタルアルデヒドまたはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合させることができる。注入の後、定期的に動物から採血し、MMP2もしくはMMP9またはその両方に結合するポリクローナル抗体を含んだ免疫後血清を得る。次いで、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方、もしくは適切な固体支持体に結合したその抗原部分を使用し、例えば親和性クロマトグラフィーによって、このような抗血清からポリクローナル抗体を精製することができる。このようなポリクローナル抗体は、スクリーニング目的またはウエスタンブロット法に直接使用することができる。
【0064】
より具体的には、(例えばニッケルカラムを使用して)精製された10μgのSKポリペプチドまたはSPLポリペプチドを、体積1mLの完全フロイントアジュバント(1:1 v/v)で乳化することで、成体ウサギ(例:NZW)を免疫化することができる。免疫化は、少なくとも6箇所の異なる皮下部位における注射によって達成することができる。それに続いて、5μgのMMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方を完全フロイントアジュバントで乳化し、同様に注射することができる。免疫化は、適切な血清抗体価が得られるまで続けることができる(一般には合計で3回程度の免疫化)。免疫化の直前にウサギから採血して免疫前血清を得て、その後、各免疫化から7〜10日後に採血する。
【0065】
特定の実施形態においては、モノクローナル抗体が望ましい。モノクローナル抗体は、例えば、非特許文献25の方法およびその改良された方法を使用して、調製することができる。要約すれば、これらの方法では、望ましい特異性(すなわち対象のポリペプチドに対する反応)を有する抗体を産生することのできる不死化細胞株を作製する。このような細胞株は、例えば、上述したように免疫化した動物から得られる脾臓細胞から作製することができる。例えば、骨髄腫細胞融合パートナー、好ましくは、免疫化した動物と同系である骨髄腫細胞融合パートナーとの融合によって、脾臓細胞を不死化することができる。例えば、脾臓細胞および骨髄腫細胞を非イオン系界面活性剤と数分間混合し、骨髄腫細胞の成長を支持せずハイブリッド細胞の成長を支持する選択培地上で低密度において培養することができる。好ましい選択方法として、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間の後(通常では約1〜2週間後)、ハイブリッドのコロニーが観察される。シングルコロニーを選択し、ポリペプチドに対する結合活性について試験する。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
【0066】
モノクローナル抗体は、成長中のハイブリドーマコロニーの上清から分離することができる。さらに、適切な脊椎動物宿主(例えばマウス)の腹膜腔にハイブリドーマ細胞株を注入するなど、さまざまな技術を使用して収率を上げることができる。この場合、モノクローナル抗体を腹水液または血液から採取することができる。夾雑物は、従来の技術(例えば、クロマトグラフィー、ゲルろ過、沈殿、および抽出)によって、抗体から除去することができる。
【0067】
MMP2もしくはMMP9またはその両方に特異的に結合する抗体は、Kaが約10−1以上、好ましくは約10−1以上、より好ましくは約10−1以上、さらに好ましくは約10−1〜10−1以上においてポリペプチドに結合するならば、上記のポリペプチドと特異的結合を介して相互作用する。結合パートナー(例えば抗体)と、結合パートナーが結合するポリペプチドの親和性は、従来の技術(例えば、非特許文献26、非特許文献27、または非特許文献28に記載されている技術)を使用して容易に求めることができる。
【0068】
上述したように、本発明は、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方の発現(転写または翻訳)、安定性、活性のうちの少なくとも1つを変化させる物質または化合物を提供する。そのような修飾剤を同定するため、さまざまなスクリーニングのいずれかを実行することができる。候補の修飾剤は、さまざまな入手源(例えば、植物、真菌、化学物質のライブラリ、小分子、ランダムペプチド)から周知の技術を使用して得ることができる。本発明のMMP2ポリペプチドまたはMMP9ポリペプチドに結合する抗体と、MMP2タンパク質もしくはMMP9タンパク質またはその両方をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチドは、MMP2およびMMP9を阻害する本発明の方法において使用することができ、免疫抑制剤として機能することができる。特定の実施形態においては、このような阻害剤は、副作用が最小限であり、毒性がない。いくつかの用途においては、細胞を浸透することのできる阻害剤が好ましい。
【0069】
MMP2もしくはMMP9またはその両方を阻害する化合物は、膨大な化学的クラスを包含するが、一般には有機分子であり、好ましくは、50ダルトンより大きく約2500ダルトン未満の分子量を有する低分子有機化合物である。阻害性の化合物は、タンパク質との構造的相互作用(特に水素結合)に必要な官能基有し、一般には、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル、またはカルボキシル基を含んでおり、好ましくはこれら化学的官能基のうちの少なくとも2つを含んでいる。阻害性の化合物は、1つまたは複数の上記の官能基によって置換された環状炭素または複素環構造、あるいは芳香族構造または多環芳香族構造をしばしば含む。また、候補化合物は、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、およびこれらの誘導体、構造的類似体、これらの組合せを含む生体分子の中からも見出される(ただしこれらに限定されない)。
【0070】
本明細書には、MMP2活性もしくはMMP9活性またはその両方を阻害する化合物が記載されているが、本発明の実施形態に従って使用するためのさらなる好適な化合物は、通常の方法(例えば、本出願に援用する参考文献に記載されている方法)に従って同定することができる。例えば、本明細書には、MMP2活性もしくはMMP9活性またはその両方を検出する方法を、実施例に記載した。MMP2活性およびMMP9活性を阻害する化合物(例えば、MMPポリペプチドをコードする核酸分子を作製するためのポリヌクレオチド配列及びMMPポリペプチドを産生するためのポリヌクレオチド配列)を対象として、化合物ライブラリをスクリーニングする方法は、この技術分野において公知であり、商業的に入手可能である。例えば、非特許文献29を参照。分子生物学の方法に関連する実施形態の場合、この技術分野における通常の技能を有する者に周知である組成物および方法は、例えば、非特許文献30、非特許文献31、非特許文献32、そのほかさまざまな文献に記載されている。本明細書に記載した特定の実施形態では、被験体において免疫機能を調節する方法であって、MMP2もしくはMMP9またはその両方を阻害する化合物(例えばSB−3CT)を、任意に1つまたは複数の追加の化合物(例えば他の免疫抑制剤)と組み合わせて投与することを含む方法を、明示的に意図している。
【0071】
本明細書に記載したように、意図される特定の実施形態は、MMP2活性もしくはMMP9活性またはその両方を減少させる化合物を投与することによって、被験体において免疫機能を阻害する方法、に関し、この化合物は、特定の実施形態においては、タンパク質に直接結合することによって、MMP2活性もしくはMMP9活性またはその両方を減少させる化合物、を含んでいることができ、その一方で、別の特定の実施形態においては、MMP9活性またはその両方を減少させる化合物は、例えば、MMP活性に影響を及ぼす別の細胞分子成分と相互作用することによって、MMP活性を間接的に減少させる。意図する特定の実施形態は、タンパク質の発現レベルを低下させることによって、MMP2活性もしくはMMP9活性またはその両方を減少させることのできる化合物に関する。GENBANKTMおよびSWISSPROTTM、ならびにPubMedなどの公共データベースからは、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方をコードする核酸分子と、それらを測定する方法を記載している豊富な開示情報を得ることができる。また、非特許文献33も参照されたい。当業者には容易に理解できるように、MMP2もしくはMMP9またはその両方をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチドは、本明細書においては、例えば、中程度に厳格な条件下でハイブリダイズするヌクレオチドが意図されており、このような条件としては、例えば、5X SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の溶液中で予洗し、50〜65℃、5X SSCにおいて一晩ハイブリダイズさせた後、0.1% SDSを含んだ2X、0.5X、および0.2X SSCによって、65℃において20分間にわたり2回洗浄することによる。
【0072】
関連する特定の実施形態によると、MMP2発現レベルもしくはMMP9発現レベルまたはその両方を減少させる化合物は、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方をコードする核酸分子に特異的にハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチド、MMP2ポリペプチドまたはMMP9ポリペプチドをコードする核酸分子を特異的に切断するリボザイム、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方をコードする核酸分子を妨害することのできる低分子干渉RNA、または、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方をコードする核酸分子に結合される調節要素の活性を変化させる化合物、とすることができる。本明細書に開示し、かつこの技術分野において公知であるように、このような核酸配列に基づく化合物は、通常の方法を使用して容易に調製することができる。
【0073】
したがって、コード配列の少なくとも一部分に相補的なポリヌクレオチド(例えば、アンチセンスポリヌクレオチド、siRNA、またはリボザイム)を使用して、MMP2をコードする遺伝子の発現もしくはMMP9をコードする遺伝子の発現またはその両方をモジュレートすることができる。アンチセンス剤として使用するオリゴヌクレオチド、siRNA、およびリボザイムの同定と、それらの標的送達のための遺伝子をコードするDNAの同定では、この技術分野において周知の方法を使用する。例えば、このようなオリゴヌクレオチドの望ましい特性、長さ、およびその他の特徴は、周知である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一般には、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、スルホン、スルフェート、ケチル、ホスホロジチオエート、ホスホロアミデート、リン酸エステルなどの結合、および他のこのような結合を使用することによって、内因性の核酸分解酵素による分解に耐性を有するように設計する(例えば、非特許文献34、非特許文献35、非特許文献36、非特許文献37、非特許文献38、非特許文献39、非特許文献40、非特許文献41、非特許文献42、非特許文献43、を参照)。
【0074】
アンチセンスポリヌクレオチドは、配列特異的に核酸(例えば、mRNAまたはDNA)に結合するオリゴヌクレオチドである。相補的な配列を有するmRNAに結合すると、アンチセンスは、そのmRNAの翻訳を阻止する(例えば、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、非特許文献44(ダンベルアンチセンスオリゴヌクレオチドを記載している)を参照)。三本鎖分子とは、一本鎖DNAが二本鎖DNAと結合して共直線性の三重鎖分子を形成し、それにより転写を阻止することを指す(例えば、二本鎖DNA上の標的部位に結合する合成オリゴヌクレオチドを作製する方法を記載している特許文献13を参照)。
【0075】
特に有用なアンチセンスヌクレオチドおよび三本鎖分子は、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方をコードするDNAまたはmRNAのセンス鎖に相補的な分子、またはセンス鎖に結合する分子である、または、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方をコードするmRNAの翻訳の阻害が影響されるように、内因性のMMP2もしくはMMP9またはその両方の発現に関連する他の任意のプロセスを調節するタンパク質である。アンチセンスRNAに転写することのできるcDNA構築物を細胞または組織に導入して、アンチセンスRNAの生成を促進することもできる。アンチセンス技術を使用することで、ポリメラーゼ、転写因子、または他の調節分子の結合の妨害を通じて遺伝子発現を制御することができる(非特許文献45)。あるいは、アンチセンス分子を、MMPをコードする遺伝子の制御領域(例えば、プロモーター、エンハンサー、または転写開始部位)とハイブリダイズして遺伝子の転写をブロックするように設計する、または、リボソームへの転写産物の結合を阻害することによって翻訳をブロックするように設計することができる。
【0076】
本発明は、MMP2もしくはMMP9またはその両方をコードする核酸配列に特異的なリボザイムの使用も意図する。リボザイムは、RNA基質(例えばmRNA)を特異的に切断するRNA分子であり、結果として、細胞遺伝子発現が特異的に阻害または妨害される。RNA鎖の切断もしくは連結またはその両方に関与するリボザイムは、少なくとも5つのクラスが知られている。リボザイムは、任意のRNA転写を特異的に標的とすることができ、このような転写物を触媒的に切断することができる(例えば、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18を参照)。MMP2 mRNA特異的リボザイムもしくはMMP9 mRNA特異的リボザイムまたはその両方、あるいはそのようなリボザイムをコードする核酸を、宿主細胞に送達して、MMP2遺伝子発現もしくはMMP9遺伝子発現またはその両方の阻害をもたらすことができる。したがって、真核生物プロモーター(例えば真核ウイルス生物プロモーター)に結合するリボザイムをコードするDNAによって、リボザイムを宿主細胞に送達することができ、したがって、核内に入るとリボザイムが直接転写される。リボザイム標的として使用するための、MMP2をコードするmRNAもしくはMMP9をコードするmRNAまたはその両方の特に有用な配列領域は、この技術分野において公知である通常の配列アラインメントツール(例えばBLASTまたはMegAlign)を使用して見出すことができ、特定の細胞内に存在しうる別の転写配列に対して、MMP2をコードするmRNAもしくはMMP9をコードするmRNAまたはその両方に特有である配列であることが好ましい。
【0077】
ポリヌクレオチドをさらに修飾して、インビボでの安定性を高めることができる。可能な修飾としては、以下に限定されないが、5’末端もしくは3’末端またはその両方においてフランキング配列を追加すること、主鎖においてホスホジエステル結合ではなくホスホロチオエートまたは2’O−メチルを使用すること、非伝統的な塩基(例えば、イノシン、キューオシン、ワイブトシン)のほか、アデニン、シチジン、グアニン、チミン、ウリジンのアセチル化、メチル化、チオ化、およびその他の修飾形態を含めること、などが挙げられる。
【0078】
RNA干渉(RNAi)は、二本鎖RNAによって生じる、ポリヌクレオチド配列特異的な、転写後遺伝子サイレンシング・メカニズムであり、このメカニズムは特定のメッセンジャーRNA(mRNA)の分解を起こし、これにより、mRNAによってコードされる所望の標的ポリペプチドの発現が減少する(例えば、特許文献19、特許文献20、特許文献21、非特許文献46、非特許文献47、非特許文献48、非特許文献49を参照)。哺乳動物(ヒトを含む)など高度な真核生物において特定のポリペプチドの発現を妨害する「低分子干渉RNA」(siRNA)またはDNP−RNAポリヌクレオチドも議論されている(例えば、非特許文献50、非特許文献51、非特許文献52、非特許文献53を参照。さらには例えば、非特許文献54、非特許文献55、非特許文献56、非特許文献57、非特許文献58、非特許文献59、非特許文献60、非特許文献61、非特許文献62、非特許文献48、非特許文献63、非特許文献64、非特許文献65も参照)。ヒトまたは他の哺乳動物の細胞に、約18〜27のヌクレオチド塩基対長の二本鎖RNAを導入すると、対応するヌクレオチド配列を含んだメッセンジャーRNA(mRNA)によってコードされる特定のポリペプチドの発現が配列特異的に妨害される(特許文献22、非特許文献48、非特許文献66、非特許文献49、非特許文献67、非特許文献68、非特許文献69)。
【0079】
上述したように、特定の実施形態においては、MMP2発現レベルもしくはMMP9発現レベルまたはその両方を減少させる化合物は、MMP2ポリペプチドもしくはMMP9ポリペプチドまたはその両方をコードする核酸分子に結合する調節要素の活性を変化させることができる。上記の実施形態および関連する実施形態は、代表的な例として、これに限定されないが、MMP2をコードする遺伝子もしくはMMP9をコードする遺伝子またはその両方の転写を抑制することによってMMP2活性もしくはMMP9活性またはその両方を下方制御することのできる適切な化合物を意図しており、これらの化合物は、この技術分野において受け入れられている方法を使用して、MMP2遺伝子転写もしくはMMP9遺伝子転写またはその両方の機能ブロッカーをスクリーニングすることで、容易に識別することができる。
【0080】
使用方法
本発明の方法は、免疫応答を阻害することが望ましいさまざまな病気の状態において使用することができる。本発明は、MMP2およびMMP9がT細胞内に存在し、T細胞の活性を制御するという予期しない知見に関連する。したがって、本発明は、MMP2およびMMP9の標的阻害によって免疫応答を阻害する方法を提供する。詳細には、本発明は、患者、または免疫応答阻害を必要としている被験体において免疫応答を阻害する方法であって、本明細書に記載されている化合物など、MMP2特異的阻害剤もしくはMMP9特異的阻害剤またはその両方の治療有効量を患者に投与することによって、MMP2もしくはMMP9またはその両方を特異的に阻害することによる方法、を提供する。これに関して、本発明は、さまざまな自己免疫疾患において免疫応答を阻害する目的に使用することができ、そのような疾患としては、以下に限定されないが、同種免疫によって誘発される臓器移植後の自己免疫(心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、多臓器移植、造血幹細胞)、膠原血管病(全身性エリテマトーデス、リウマチ性関節炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、強皮症)、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、インスリン依存の糖尿病、アジソン病、セリアック病、慢性疲労症候群、炎症性大腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、線維筋痛症、全身性エリテマトーデス、乾癬、シェーグレン症候群、甲状腺機能高進症/グレーブス病、甲状腺機能低下症/橋本病、インスリン依存の糖尿病(1型)、重症筋無力症、子宮内膜症、強皮症、悪性貧血、グッドパスチャー症候群、ヴェーゲナー病、糸球体腎炎、再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿症、骨髄異形成症候群、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、エバンス症候群、第VIII因子阻害剤症候群、全身性血管炎、皮膚筋炎、多発性筋炎、リウマチ熱が挙げられる。
【0081】
本明細書において提供する方法は、ぜんそく、特発性肺線維症、線維性疾患などの疾患においてと、損傷、例えば、人工呼吸器誘発肺損傷、虚血再灌流傷害、オゾンによる肺損傷、脊髄損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、スティーブンスジョンソン症候群、単純ヘルペスウイルス脳炎において、免疫応答を減少させることも意図している。
【0082】
本発明は、固形臓器移植において同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる方法を提供する。これに関して、本発明の方法は、任意の固形臓器移植、例えば、以下に限定されないが、肺、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、および腸、の移植において使用することができる。したがって、本発明は、同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる方法であって、MMP2特異的阻害剤もしくはMMP9特異的阻害剤またはその両方の治療有効量を移植患者に投与することを含む方法を提供する。本発明の特定の実施形態においては、阻害剤は、本明細書に記載されている式Iの化合物または他の関連する化合物、または、MMP2もしくはMMP9またはその両方の発現を下方制御するsiRNA分子、または、MMP2もしくはMMP9またはその両方の活性をブロックする抗体、を有しうる。特定の実施形態においては、本発明は、本明細書に記載されている阻害剤など、MMP2特異的阻害剤もしくはMMP9特異的阻害剤またはその両方の治療有効量を、移植患者に臓器を提供する臓器提供者に、臓器摘出の前に投与する。これによって、同種抗原によって誘発される応答がさらに減少する。
【0083】
さらなる実施形態においては、本発明は、臓器移植患者または臓器移植を必要としている患者においてコラーゲンに対する免疫応答を阻害する方法であって、MMP2もしくはMMP9またはその両方の特異的阻害剤の治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態においては、移植患者は、肺移植レシピエントである。本発明の関連する実施形態においては、特定の条件時に、経口的、または静脈内、または本明細書に記載されている他の経路によるV型コラーゲンの投与と併用して、MMP2もしくはMMP9またはその両方の特異的阻害剤を投与することが望ましい。
【0084】
さらに、本発明は、臓器移植の結果を改善する方法であって、本明細書に記載されている化合物など、MMP2特異的阻害剤もしくはMMP9特異的阻害剤またはその両方の治療有効量を移植患者に投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態においては、移植患者に臓器を提供する臓器提供者に、本明細書に記載されている化合物など、MMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方の治療有効量を、臓器摘出の前に投与することが望ましい。「結果を改善する」とは、移植片の受け入れを改善する、移植片拒絶反応あるいは移植片対宿主病を減少させる、移植後の移植片への酸素供給を維持することを意味する。
【0085】
免疫抑制剤は、毒性が高いことが周知である。ステロイド系薬物は10年にわたり使用されており、その有害作用は周知である。長期的にステロイド治療を受けている全患者に予測される副作用としては、骨粗しょう症、中心性肥満、創傷治癒の遅延、感染症、小児の成長遅延が挙げられる。それより発生頻度の少ない副作用としては、筋疾患、高血圧、脂質異常症、糖尿病、白内障が挙げられる。いくつかの副作用は、進行するため患者の監視が必要となる。そのような副作用として、緑内障、頭蓋内圧高進、腸穿孔、潰瘍が挙げられる。
【0086】
自己免疫疾患、例えば、重症筋無力症(MG)、リウマチ性関節炎(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、若年性関節炎(最初にコルチコステロイドによって治療されることが多い)において、ステロイドによる治療が効かなくなると、さらに毒性の強い薬剤(例えば、アザチオプリン、メトトレキサート、シクロホスファミド)が用いられる。アザチオプリンの主たる効果は、DNA合成を阻害することによりTリンパ球およびBリンパ球の数を減らす。さらに、アザチオプリンは、混合リンパ球反応および免疫グロブリン産生を阻害するが、遅延型過敏症につねに有効であるわけではない。アザチオプリンの主な副作用は、汎血球減少症、特に、リンパ球減少症および顆粒球減少症である。結果として、ウイルス、真菌、マイコバクテリア、原虫に感染する危険性が高まる。腎臓移植患者では、リンパ網内系悪性腫瘍の増大も報告されているが、リウマチ性関節炎患者ではそのような報告はない。
【0087】
メトトレキサートは、葉酸の合成を阻害し、細胞毒性であり、骨髄を抑制する。リウマチ性関節炎に対してメトトレキサートを少量で使用する場合、リンパ球の数は減少せず、IgMおよびIgGが低下する。副作用としては、肺炎、吐き気、胃のもたれ、口内炎、白血球減少、血小板減少、および肝線維症(肝生検でのみ診断されうる)が挙げられる。
【0088】
リウマチ性関節炎の治療には、シクロホスファミドも使用される。シクロホスファミドは肝臓内で代謝され、DNAに架橋を形成する化合物が生成される。シクロホスファミドは細胞毒性であり、たとえ少量でも強い毒性が見られる。リウマチ性関節炎に対する作用として、Bリンパ球およびTリンパ球の数を減少させ、免疫グロブリン濃度を下げ、増殖刺激に対するB細胞の反応性を低下させる。脱毛、感染症、強い吐き気は一般に見られる。長期投与した場合、患者の悪性腫瘍の発症率が高まる。
【0089】
シクロスポリンは、白血球を抑制しないが、強い免疫抑制剤であり、リウマチ性関節炎の治療に効果的である。しかしながら、重要な副作用は腎臓毒性である。
【0090】
CD4に対するモノクローナル抗体は、自己免疫疾患において使用されてきたが、非特異的な免疫抑制が生じる。新しい治療として、Tリンパ球への特異的誘発抗原の最初の提示を妨害することが推奨されてきた(非特許文献70)。
【0091】
リウマチ性関節炎において特に使用されてきた他の薬剤としては、金塩、抗マラリア薬、スルファサラジン、ペニシラミンが挙げられる。金塩は、筋肉注射によって投与され、効果が数ヶ月間見られないことがある。金塩による治療の副作用としては、骨髄形成不全、糸球体腎炎、肺毒性、血管運動反応、炎症が挙げられる。抗マラリア薬は、リンパ球の数を減少させることなく免疫系にいくつかの影響を及ぼす。抗マラリア薬の最も重大な副作用としては、網膜色素沈着、発疹、胃腸障害が挙げられる。スルファサラジンは、リウマチ性関節炎に対していくつかの効果を有するが、多数の副作用がある。ペニシラミンは、リウマチ性関節炎において効果的に使用されてきたが、その多くの副作用のため使用が制限される。ペニシラミンは、別の自己免疫疾患(例えば、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス)を引き起こすことが報告されている。
【0092】
患者が同種移植片(他人または別の移植元から移植された組織)を受け入れるとき、免疫抑制剤が投与されない場合、患者の免疫系によって同種移植片が迅速に破壊されうる。現在では、何種類もの臓器および組織(例えば、腎臓、心臓、肺、皮膚、骨髄、角膜、肝臓)が移植されている。移植患者に高い頻度で使用される薬剤としては、シクロスポリン、アザチオプリン、ラパマイシン、その他のマクロライド(例えばFK506)、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、CD4抗体、シクロホスファミドが挙げられる。これらの薬剤は、移植患者には自己免疫疾患の患者よりも多量かつ長期にわたり投与しなければならないことが多い。したがって、(上に挙げた)これらの薬剤による副作用は、移植患者では一般的に見られ、かつ重大である。
【0093】
要約すれば、免疫抑制剤は、毒性が高いことが周知である。MMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方と治療を組み合わせることによって、必要な投与量を減らすことは有利である。したがって、本発明は、MMP2もしくはMMP9またはその両方に特異的な阻害剤の投与と、さまざまな公知の免疫抑制剤との投与とを組み合わせることによって、毒性の免疫抑制剤の必要な投与量を減らす方法、をさらに提供し、この場合の公知の免疫抑制剤は、例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK506)、シロリムス(ラパマイシン)、メトトレキサート、アザチオプリン、メルカプトプリン、細胞毒性抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、マイトマイシンC、ブレオマイシン、およびミトラマイシン)、シクロホスファミド、プリン類似体、グルココルチコイド、抗体(例えば、CD20抗体、CD3抗体、抗IL−2レセプター)、インターフェロン、TNF結合タンパク質、およびミコフェノール酸モフェチルである。
【0094】
さらに、本発明は、MMP2もしくはMMP9またはその両方に特異的な阻害剤を、他の公知の治療法(例えば他の免疫抑制剤)と組み合わせて投与することによって、免疫応答を減少または阻害する方法、を提供する。
【0095】
本明細書において使用する「免疫応答」とは、免疫系の細胞、例えば、以下に限定されないが、T細胞、B細胞、マクロファージ、および樹枝状細胞、が活性化されて、特定の細胞の特定のエフェクター機能が誘発されることを意味する。エフェクター機能としては、例えば、以下に限定されないが、抗原の提示、増殖、サイトカインの産生、抗体の分泌、調節分子もしくは接着分子またはその両方の発現、活性化分子の発現、細胞崩壊を誘発する能力が挙げられる。免疫系の任意のT細胞、例えば、CD8 T細胞、CD4 T細胞、制御性T細胞、アロ反応性T細胞、抗原特異的T細胞、記憶T細胞が、本明細書で使用する「免疫応答」の一部となることができる。当業者には認識されるように、免疫系の細胞は、細胞表面マーカーの発現パターン、サイトカイン発現パターン、またはエフェクター機能によって、同定、精製、または測定することができる。
【0096】
本明細書で使用する「免疫応答を減少または阻害する」とは、免疫系の成分(例:サイトカイン)の量、または免疫系の成分を特徴付ける活性のいずれかを減少させることを意味する。一例として、被験体の免疫応答を阻害することとして、存在するサプレッサーTリンパ球または制御性Tリンパ球の数を増大させる、被験体におけるサプレッサーTリンパ球または制御性Tリンパ球による免疫抑制因子の分泌を増大させる、被験体に存在する細胞傷害性Tリンパ球の数を減少させる、被験体における細胞傷害性Tリンパ球の細胞障害活性を減少させる、抗体の量を減少させる、補体タンパク質の量を減少させる、補体タンパク質が細胞と相互作用する能力を減少させる、などが挙げられる。したがって、「減少させる」または「阻害する」は、特定の免疫調節サイトカインまたは免疫系の特定の細胞(例えば制御性T細胞)の活性または量が増大することも意味しうる。
【0097】
免疫応答の変化を測定するためのアッセイおよび方法は、この技術分野において周知である。例えば、免疫系の成分は、各種のサイトカインのレベルを、この技術分野において公知である多数のアッセイ(例えば、非特許文献71に記載されているアッセイ)のいずれかを使用して測定することによって、全身的に(例えば末梢血から)、または局所的に(例えば、特定の細胞試料(例:脾臓細胞、リンパ節細胞、腫瘍、MALT、GALTなど)から)、測定することができる。サイトカインに特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を使用してサイトカインの発現を検出および測定するためのさまざまなプロトコルは、この技術分野において公知である。その例として、酵素免疫測定法(ELISA)、ELISPOT、細胞内サイトカイン染色アッセイ(ICS)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光活性化細胞分類(FACS)、細胞ベースのアッセイ(例えばIL−2依存T細胞アッセイ)が挙げられる。いくつかの用途においては、特定のポリペプチド上で2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を利用する、モノクローナルベースの2部位免疫測定が好ましいが、競合結合アッセイも使用することができる。上記およびその他のアッセイは、特に、非特許文献72および非特許文献73に記載されている。
【0098】
免疫応答のエフェクター機能の増大および減少を測定するためのさまざまな細胞アッセイが、当業者には周知であり、例えば非特許文献71に記載されている。これらのアッセイとしては、増殖アッセイ、細胞毒性T細胞アッセイ(例えばクロム放出アッセイまたは類似するアッセイ)、細胞内サイトカイン染色アッセイ、ELISPOTのほか、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはRT−PCRベースの任意の数のアッセイを使用した遺伝子発現分析が挙げられる。本明細書に記載されている方法を実施するために有用である一般的なアッセイおよび技術は、例えば、非特許文献74、非特許文献75、非特許文献32、およびその他の文献にも記載されている。さらに、抗体産生の測定(特異的抗体または一般的な抗体)を使用して、免疫応答およびその変化を測定することもできる。
【0099】
一般的には、免疫応答を減少させるまたは阻害することには、体液性応答もしくは細胞性応答またはその両方の減少が含まれるが、本明細書で前述したように、制御性T細胞またはサプレッサーT細胞、またはそのような細胞によって産生されるサイトカインの数もしくは活性またはその両方が増大することも含まれる。免疫応答のそのような「阻害」または「減少」としては、1種類または複数の該当する免疫細胞(T細胞、B細胞、抗原提示細胞、樹枝状細胞、その他)のレベル、または、1種類または複数のこれら免疫細胞の活性(CTL活性、ヘルパーTリンパ球(HTL)活性、サイトカイン産生、サイトカイン産生状況の変化)のレベルを、この技術分野において公知である技術、および本明細書に記載されている技術を使用して測定したときの、統計的に有意な任意の減少(または適切な場合、例えば制御性T細胞またはサプレッサーT細胞においては増大)が含まれる。
【0100】
特定の実施形態においては、免疫応答の阻害には、MMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方が投与された被験体において、抗原特異的T細胞またはアロ反応性T細胞の活性が、1/1.5〜1/5に減少することが含まれる。別の実施形態においては、免疫応答の阻害には、本明細書に記載されているMMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方が投与された被験体において、抗原特異的T細胞またはアロ反応性T細胞の活性が、約1/2、1/2.5、1/3、1/3.5、1/4、1/4.5、1/5、1/5.5、1/6、1/6.5、1/7、1/7.5、1/8、1/8.5、1/9、1/9.5、1/10、1/10.5、1/11、1/11.5、1/12、1/12.5、1/15、1/16、1/17、1/18、1/19、1/20、またはそれ以下に減少することが含まれる。
【0101】
さらなる実施形態においては、免疫応答の阻害には、本明細書に記載されているMMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方が投与された被験体において、抗原特異的HTLまたはアロ反応性HTLの活性(例えば、ヘルパーT細胞の増殖)が、1/1.5〜1/5に減少することが含まれる。別の実施形態においては、免疫応答の阻害には、本明細書に記載されているMMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方が投与された被験体において、抗原特異的HTLまたはアロ反応性HTLの活性(例えば、ヘルパーT細胞の増殖)が、約1/2、1/2.5、1/3、1/3.5、1/4、1/4.5、1/5、1/5.5、1/6、1/6.5、1/7、1/7.5、1/8、1/8.5、1/9、1/9.5、1/10、1/10.5、1/11、1/11.5、1/12、1/12.5、1/15、1/16、1/17、1/18、1/19、1/20、またはそれ以下に減少することが含まれる。これに関して、HTL活性の阻害には、1種類または複数の特定のサイトカイン(例えば、インターフェロン−ガンマ(IFN−γ)、インターロイキン−1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−6、IL−7、IL−12、IL−15、腫瘍壊死因子α(TNF−α)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、またはその他のサイトカイン)の産生が減少することが含まれる。
【0102】
さらなる実施形態においては、免疫応答の阻害には、本明細書に記載されているMMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方が投与された被験体において、抗原特異的CTLまたはアロ反応性CTLの活性(例えば、細胞毒性T細胞の増殖)が、1/1.5〜1/5に減少することが含まれる。別の実施形態においては、免疫応答の阻害には、本明細書に記載されているMMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方が投与された被験体において、抗原特異的CTLまたはアロ反応性CTLの活性が、約1/2、1/2.5、1/3、1/3.5、1/4、1/4.5、1/5、1/5.5、1/6、1/6.5、1/7、1/7.5、1/8、1/8.5、1/9、1/9.5、1/10、1/10.5、1/11、1/11.5、1/12、1/12.5、1/15、1/16、1/17、1/18、1/19、1/20、またはそれ以下に減少することが含まれる。これに関して、CTL活性の阻害には、この技術分野において公知の適切なアッセイ(例:クロム放出アッセイ、細胞内サイトカイン染色アッセイ、ELISPOT)によって測定される、CD8 T細胞の細胞毒性活性が減少することが含まれる。
【0103】
さらなる実施形態においては、免疫応答の減少または阻害には、本発明の方法によってMMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方が投与された被験体において、特異的抗体の産生が、1/1.5〜1/5に減少することが含まれる。別の実施形態においては、免疫応答の減少または阻害には、本発明の方法によってMMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方が投与された被験体において、特異的抗体の産生が、約1/2、1/2.5、1/3、1/3.5、1/4、1/4.5、1/5、1/5.5、1/6、1/6.5、1/7、1/7.5、1/8、1/8.5、1/9、1/9.5、1/10、1/10.5、1/11、1/11.5、1/12、1/12.5、1/15、1/16、1/17、1/18、1/19、1/20、またはそれ以下に減少することが含まれる。
【0104】
本発明の特定の実施形態においては、本発明のMMP2阻害剤もしくはMMP9阻害剤またはその両方の投与は、制御性T細胞に影響を及ぼさない。制御性T細胞は、本明細書に記載されているアッセイを使用して測定することができ、細胞表面マーカーの発現によって同定することができる。具体的には、当業者には理解されるように、制御性T細胞は、古典的には、CD4、CD25、CD62Lhi、GITR、およびFoxP3表現型を有する(例えば、非特許文献76、非特許文献77、非特許文献78、非特許文献79、非特許文献80を参照)。制御性T細胞の同定および定量には、他のマーカーも有用であり得る(例えば、非特許文献81を参照)。
【0105】
本明細書において使用する「被験体」は、任意の哺乳動物を意味する。特定の実施形態においては、被験体はヒトの患者である。さらなる実施形態においては、被験体は、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ヒト以外の霊長類、ブタ、またはその他の実験動物である。特定の実施形態においては、被験体は、免疫抑制治療を必要としているヒトの患者、臓器移植を必要としている患者、または臓器移植患者である。
【0106】
当業者には容易に理解されるように、免疫応答の阻害または減少の測定には、別の方法として、免疫応答の臨床的表出など、例えば、以下に限定されないが、移植の拒絶反応の減少または改善、GVHDまたは移植片対宿主拒絶反応の減少、自己免疫症状の減少など測定することができる。
【0107】
医薬組成物
本発明のMMP2およびMMP9阻害剤化合物、またはその薬学的に許容される塩単独またはその適切な医薬組成物としての投与は、類似する効用を提供する化合物の一般的に受け入れられている投与形態のいずれかによって行うことができる。本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を、薬学的に許容される適切な担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせることによって調製することができ、固体、半固体、液体、または気体の形で(例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、液剤、座薬、注射、吸入剤、ジェル、ミクロスフェア、エアゾールとして)製剤することができる。さらには、他の医薬活性成分(例えば他の免疫抑制剤)もしくは適切な賦形剤(例えば、塩、緩衝剤、安定剤)またはその両方を、組成物に含めることができる。
【0108】
投与は、さまざまな異なる経路(例えば、経口、非経口、経鼻、静脈内、皮内、皮下、または局所的)によって達成することができる。好ましい投与形態は、治療または予防する状態の性質に依存する。投与の後に、免疫応答の発現またはそのような反応の臨床的表出が減少、阻害、予防、または遅延する量を、有効量とみなす。
【0109】
特定の実施形態においては、投与する量は、本明細書において記載したように免疫活性が減少するうえで十分な量である。正確な投与量および治療の期間は、治療する疾病の関数であり、公知の試験プロトコルを使用することによって、またはこの技術分野において公知のモデルシステムにおいて組成物を試験し、そこから外挿することによって、実験的に求めることができる。比較臨床試験を行うこともできる。投与量は、緩和する状態の重症度によっても変わる。医薬組成物は、一般的には、治療上有用な効果が得られる一方で、望ましくない副作用が最小であるように製剤して投与する。組成物は、一回に投与する、または、複数の少ない量に分けて間隔をあけて投与することができる。特定の被験体においては、時間の経過とともに必要に応じて用法・用量を調整することができる。
【0110】
本発明の化合物は、単独で投与する、または他の公知の治療法、例えば、免疫抑制療法、放射線療法、化学療法、臓器移植、経口型コラーゲン療法、免疫療法、ホルモン療法、光線力学療法と組み合わせて投与することができる。
【0111】
したがって、上記および関連する医薬組成物の一般的な投与経路としては、以下に限定されないが、経口、局所的、経皮、吸入、非経口、舌下、口腔、直腸、膣内、経鼻が挙げられる。本明細書において使用される用語「非経口」は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨注射、または点滴法が挙げられる。本発明の医薬組成物は、組成物が患者に投与されたときに、中に含まれている活性成分が生物学的に利用可能となる(bioavailable)ように製剤する。被験体または患者に投与される組成物は、1つまたは複数の投与単位の形をとり、例えば、錠剤を1投与単位とすることができ、エアゾール形式での本発明の化合物の容器は、複数の投与単位を保持することができる。このような投与形態を調製する実際の方法は、この技術分野において公知である、または明らかであり、例えば、非特許文献82を参照。いずれの場合も、投与される組成物は、本発明の教示内容に従って対象の疾病または状態を治療することを目的として本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を含んでいる。
【0112】
本発明の医薬組成物は、固体または液体の形をとることができる。一態様においては、担体は微粒子であり、したがって、組成物は、例えば、錠剤形態または粉末形態である。担体を液体とすることができ、この場合、組成物は、例えば、経口油、注入可能な液体、またはエアゾールであり、エアゾールは特に吸入投与において有用である。
【0113】
経口投与を意図する場合、医薬組成物は、固体形態または液体形態であることが好ましく、この場合、半固体、半液体、懸濁液、およびジェルの形態も、本明細書において固体または液体とみなされる形態に含まれる。
【0114】
経口投与用の固体組成物としては、医薬組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠、丸薬、カプセル、チューインガム、ウエハースなどの形態に製剤することができる。このような固体組成物は、一般には、1種類または複数の不活性希釈剤または食用担体を含んでいる。さらには、結着剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガカント、ゼラチン)、賦形剤(例えば、スターチ、ラクトース、デキストリン)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、コーンスターチ)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステロテックス)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、甘味剤(例えば、スクロース、サッカリン)、香料添加剤(例えば、ペパーミント、メチルサリチル酸、オレンジフレーバー)、および着色剤、のうちの1種類または複数を含めることができる。
【0115】
医薬組成物がカプセル(例えばゼラチンカプセル)の形態であるとき、医薬組成物は、カプセルの材料に加えて、液体担体(例えばポリエチレングリコールまたはオイル)を含んでいることができる。
【0116】
医薬組成物は、液体の形態(例えば、エリキシル剤、シロップ、溶液、エマルジョン、懸濁液)とすることができる。液体は、2種類の例として、経口投与または注射投与とすることができる。経口投与を意図するときには、好ましい組成物は、本発明の化合物に加えて、甘味剤、防腐剤、染料/着色剤、調味料のうちの1種類または複数を含んでいる。注射による投与を意図する組成物においては、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定剤、等張剤のうちの1種類または複数を含めることができる。
【0117】
本発明の液体医薬組成物は、溶液、懸濁液、または他の類似する形態のいずれにおいても、補助剤として、滅菌希釈剤(例えば、注射用蒸留水、食塩水(好ましくは生理食塩水)、リンガー溶液、等張食塩水、固定油(例えば合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリド(溶媒または懸濁化剤の役割を果たす))、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の溶媒)、抗菌剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム)、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸)、緩衝剤(例えば、アセテート、クエン酸塩、リン酸塩)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、D形グルコース)、のうちの1種類または複数を含んでいることができる。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、またはガラス製またはプラスチック製の複数回投与用バイアルに封入することができる。生理食塩水は、好ましい補助剤である。注入可能な医薬組成物は、滅菌されていることが好ましい。
【0118】
非経口投与または経口投与のいずれかを意図する本発明の液体医薬組成物は、適切な用量が得られるような量の本発明の化合物を含んでいるべきである。この量は、一般には、組成物における本発明の化合物が少なくとも0.01%である。経口投与を意図するときには、この量は、組成物の重量の0.1%〜約70%の範囲内の値でありうる。特定の経口医薬組成物は、本発明の化合物を約4%〜約75%を含んでいる。本発明による特定の医薬組成物および医薬品は、本発明の希釈前の化合物の0.01〜10重量%が非経口投与単位に含まれるように調製する。
【0119】
本発明の医薬組成物は、局所投与を意図することができ、この場合、担体は、溶液、エマルジョン、軟膏、またはジェル基剤を適切に有しうる。基剤は、例えば、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、希釈剤(例えば、水、アルコール)、乳化剤、安定剤のうちの1種類または複数を有しうる。局所投与用の医薬組成物には、増粘剤を含めることもできる。経皮投与を意図する場合、本組成物は、経皮貼布またはイオントフォレーゼ装置を含んでいることができる。局所製剤は、本発明の化合物を約0.1〜約10%(w/v:単位体積あたり重量)の濃度で含んでいる。
【0120】
本発明の医薬組成物は、直腸投与(例えば座薬の形)を意図することができ、座薬が直腸内で溶けて薬剤を放出する。直腸投与用の組成物は、適切な非刺激性の賦形剤として脂肪性基剤を含んでいることができる。このような基剤としては、以下に限定されないが、ラノリン、ココアバター、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0121】
本発明の医薬組成物は、固体投与単位または液体投与単位の物理形態のバリエーションとしてさまざまな材料を含んでいることができる。例えば、本組成物は、活性成分の周囲のコーティング層を形成する材料を含んでいることができる。コーティング層を形成する材料は、一般には不活性であり、例えば、砂糖、セラック、その他の腸溶性コーティング剤から選択することができる。あるいは、活性成分をゼラチンカプセルで包むことができる。
【0122】
固体形態または液体形態における本発明の医薬組成物は、本発明の化合物に結合し、それによって化合物の送達を支援する化合物を含んでいることができる。このような役割を果たし得る適切な化合物としては、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、タンパク質、またはリポソームが挙げられる。
【0123】
本発明の医薬組成物は、エアゾールとして投与することのできる投与単位からなることができる。用語「エアゾール」は、コロイド的性質の系から、圧縮パッケージから構成される系までさまざまな系を表すために使用している。送達は、液化または圧縮された気体によって、または活性成分を送り込む適切なポンプシステムによって、行うことができる。本発明の化合物のエアゾールは、活性成分を送り込むために単一相系、二相系、または三相系で送達することができる。エアゾールの送達には、必要な容器、活性剤、弁、副容器が含まれ、これらは1つのキットを形成している。この技術分野における通常の技能を有する者には、必要以上の実験を行うことなく、好ましいエアゾールを決定することができる。
【0124】
本発明の医薬組成物は、薬学分野において周知の方法によって調製することができる。例えば、注射によって投与するように意図される医薬組成物は、本発明の化合物を、滅菌蒸留水と混合して溶液とすることにより調製することができる。均一な溶液または懸濁液の形成を促進するため、界面活性剤を加えることができる。界面活性剤は、水性送達系における化合物の溶解または均一な懸濁を促進するように、本発明の化合物と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0125】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、治療有効量において投与され、治療有効量は、使用する特定の化合物の活性を含むさまざまな要因、すなわち、化合物の代謝的安定性および作用の長さ、患者の年齢、体重、健康状態、性別、および食生活、投与の形態および時間、排泄速度、薬物の組合せ、特定の疾患または状態の重症度、治療を受ける被験体、に依存して変化する。一般的には、治療上有効である日用量は、(70kgの哺乳動物の場合)約0.001mg/kg(すなわち0.07mg)〜約100mg/kg(すなわち7.0g)であり、好ましくは、治療上有効である日用量は、(70kgの哺乳動物の場合)約0.01mg/kg(すなわち0.7mg)〜約50mg/kg(すなわち3.5g)であり、より好ましくは、治療上有効である日用量は、(70kgの哺乳動物の場合)約1mg/kg(すなわち70mg)〜約25mg/kg(すなわち1.75g)である。
【0126】
本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩は、1種類または複数の別の治療薬と同時に、別の治療薬の前に、または別の治療薬の後に、投与することもできる。このような組合せ治療としては、本発明の化合物と1種類または複数の追加の活性薬剤とを含んでいる単一の医薬投与製剤を投与する方法と、本発明の化合物と各活性薬剤とをそれぞれ個別の医薬投与製剤において投与する方法とが挙げられる。例えば、本発明の化合物および別の活性薬剤を錠剤またはカプセルなど1個の経口投与組成物において一緒に患者に投与することができ、または、各薬剤を個別の経口投与製剤において投与することができる。個別の投与製剤を使用するときには、本発明の化合物と1種類または複数の追加の活性薬剤とを、本質的に同じ時刻に(すなわち同時に)投与する、または時間をずらせて(すなわち連続的に)投与することができる。組合せ治療は、これらの投薬方式すべてを含むことを理解されたい。
【0127】
本発明の化合物は、本明細書に記載した疾病または疾患、例えば、自己免疫疾患あるいは臓器移植に関連付けられる疾患に罹った個人に投与することができる。ヒトの病気を治療する目的でインビボで使用する場合、本明細書に記載した化合物は、一般的には、投与する前に医薬組成物に配合される。医薬組成物は、本明細書に記載されている化合物の1種類または複数を、本明細書に記載した生理学的に許容される担体または賦形剤との組合せにて含有する。医薬組成物を調製するには、1種類または複数の化合物の有効量を、当業者に公知である医薬担体または賦形剤と混合して、特定の投与形態に適するようにする。医薬担体は、液体、半液体、または固体とすることができる。非経口投与、皮内投与、皮下投与、および局所投与に使用される溶液または懸濁液は、例えば、滅菌希釈剤(例えば水)、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、およびその他の合成溶媒と、抗菌剤(例えば、ベンジルアルコール、メチルパラベン)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム)およびキレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA))、緩衝剤(例えば、アセテート、クエン酸塩、リン酸塩)を含んでいることができる。静脈内投与する場合には、適切な担体は、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と、増粘剤および可溶化剤(例えば、グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはこれらの混合物)を含んだ溶液とを含んでいる。
【0128】
本明細書に記載した化合物は、身体から短時間で排泄されないように化合物を保護する担体(例えば、徐放製剤またはコーティング)を用いて調製することができる。このような担体は、制御放出製剤を含んでおり、例えば、以下に限定されないが、埋込錠およびマイクロカプセルを用いる送達システムや、生分解性かつ生体適合性のポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニール、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、およびこの技術分野における通常の技能を有する者に公知である他の物質)が挙げられる。
【実施例】
【0129】
実施例1
MMP9がCD4 T細胞およびCD8 T細胞において発現する
T細胞の活性化におけるMMPの役割を調べる目的で、マウス脾臓の活性化したCD4 T細胞およびCD8 T細胞の細胞溶解物及び条件培地(conditioned media)において、MMP9のmRNA発現パターンおよびタンパク質発現パターンを、定量的RT PCTおよび基質ザイモグラフィーによって測定した。図1に示したように、刺激する前のCD4 T細胞(図1A)およびCD8 T細胞(図1B)において、MMP9 mRNA発現は検出可能なレベルであった。抗CD3抗体による刺激の後、MMP9 mRNA転写レベルは両方の細胞集団において増大したが、CD8 転写レベルの方が顕著であった。MMP9タンパク質発現の分析(図1C)では、未処理のCD4 T細胞溶解物およびCD8 T細胞溶解物においてプロMMP9の高い発現が見られた。抗CD3抗体による刺激の後、T細胞溶解物ではプロMMP9発現がわずかに減少し、上清において活性MMP9が発現している。
【0130】
実施例2
抗CD3によって誘発されるT細胞増殖が広域MMP阻害によって抑止される
T細胞活性化に対するMMPの影響を調べる目的で、増殖アッセイを使用した。このアッセイでは、1,10−フェナントロリン(非特異的な亜鉛キレート剤、0.001〜0.1μM)およびCOL−3(1〜100μM)によってT細胞を6時間処理した後、可溶性の抗CD3抗体によって72時間刺激した。図2Aに示したように、0.001μMの1,10−フェナントロリンによって処理したT細胞は、そのような処理をせずに抗CD3抗体によって刺激した細胞と同程度の増殖反応を示したのに対して、高い用量では、増殖反応が大幅に抑止された(p<0.001)。高濃度のフェナントロリンにおいて観察されたこの抑制効果は、処理後に細胞が生存しているため、毒性によるものではない。1μMのCOL3によって処理したT細胞は、未処理のコントロールと同じように増殖反応を示した。しかしながら高用量では、用量に依存してT細胞の増殖が減少した(図2B)。全体としてこれらのデータは、抗CD3抗体によって誘発されるT細胞増殖が、広域MMP阻害によって抑止されることを実証しており、T細胞の活性化におけるMMPの重要な役割を示唆している。
【0131】
実施例3
抗CD3によって誘発されるT細胞増殖が、MMP2およびMMP9の高選択的阻害によって抑止される
広域MMP阻害剤(MMPI)を使用した過去の研究では、特異性の欠如と、MMPに関連しない他のシグナル伝達現象に対する負の影響とが報告されている(Sandlerら、2005)。したがって、上述した、T細胞増殖に対するCOL−3および1,10−フェナントロリンの影響は、MMPに関連しない活性に起因していることも考えられる。この状況を回避するため、選択性の高いMMP2およびMMP9(ゼラチナーゼ)阻害剤であるSB−3CTを使用した。この阻害剤は、MMP2およびMMP9の活性部位における酵素依存プロセスにおいて変換され、(Brownら、2000; Tothら、2000)強結合性阻害(tight-binding inhibition)につながる(Forbesら、2009)。T細胞増殖に対するゼラチナーゼ特異的阻害の影響を調べるため、野生型C57BL/6マウスからCD4 T細胞およびCD8 T細胞を分離し、SB−3CTによって処理した後、可溶性の抗CD3抗体の存在下で培養した。SB−3CTによって処理したCD4 T細胞(図2C)およびCD8 T細胞(図2D)では、ビヒクルによって処理した細胞と比較して、抗CD3抗体による刺激に応答しての増殖が投与量に依存して減少した。さらに、タンパク質レベルにおけるゼラチナーゼ阻害を確認するため、MMP9タンパク質発現をゼラチンザイモグラフィーによって測定した。この実験では、SB−3CT(10μM)によって処理した後、CD8 T細胞においてMMP9発現が減少することが実証された。
【0132】
ここまでの実施例に記載したデータによると、SB−3CTによって誘発される細胞毒性またはアネルギーが、増殖に対して観察される影響の原因となっている可能性も高い。しかしながら、トリパンブルー色素排除試験およびアネキシン染色(早期の細胞死を検出するために使用される)によると、SB−3CTによって処理した後には細胞のバイアビリティが90%以上であり、このことは、増殖能力の減少が細胞死によるものではないことを示唆している。SC−3CT処理によってT細胞のアネルギーが誘発されるのかを評価するため、T細胞増殖アッセイを使用し、このアッセイでは、ビヒクルまたはSB−3CTによって処理したT細胞に外因性IL−2を加えて、可溶性の抗CD3抗体の存在下で培養した。図2E〜図2Fに示したように、IL−2を加えることによって、CD4 T細胞およびCD8 T細胞における増殖反応がある程度回復したが、SB−3CTの濃度が増すにつれて、増殖は投与量に依存する形で減少していく。これらのデータは、外因性IL−2によってT細胞の増殖がある程度回復することを示しており、このことは、ゼラチナーゼ阻害剤によって誘発されるT細胞増殖抑制においてアネルギーが果たしうる役割を示唆している。
【0133】
実施例4
ゼラチナーゼ欠損CD4 T細胞およびCD8 T細胞では増殖が減少する
SB−3CTは、MMP2およびMMP9を高選択的に阻害する(Brownら、2000;Tothら、2000)。したがって、この阻害剤の効果は、MMP2またはMMP9いずれかがブロックされることによるものと考えられる。T細胞活性化に対する各MMPの役割を認識するため、MMP2−/−マウス、MMP9−/−マウス、MMP2/9−/−マウスからのCD4 T細胞において、抗CD3によって誘発される増殖を調べた。野生型T細胞と比較して、MMP2−/−CD4 T細胞では、20%の増殖減少を示したにすぎないのに対し(図3A)、MMP9欠損では、80%以上の増殖減少につながった(図3B)(p<0.001)。さらに、MMP2/9−/−細胞(二重欠損)の増殖は、MMP2−/−CD4 T細胞の増殖とMMP9−/−CD4 T細胞の増殖の中間であった(図3C)(p=0.006)。CD8 T細胞もMMP9欠損による影響を受けるかを調べるため、MMP9−/−欠損CD8 T細胞の増殖能力を調べた。結果として、T細胞の増殖が85%以上減少した(図3D)(p<0.001)。これらの結果から、SB−3CTによって処理した細胞における前述した発見が確認され、この場合、MMP9はCD4 T細胞およびCD8 T細胞の増殖をMMP2よりも制御することが示される。
【0134】
実施例5
MMP9欠損T細胞およびSB−3CTで処理したT細胞において、抗CD3抗体によって誘発されるカルシウム流が増大する
細胞内のカルシウム流の増大は、T細胞レセプターを介してのT細胞活性化後の早期現象の1つであり(Hall、Rhodes、2001;Zittら、2004)、したがって、小胞体(ER)からの細胞内カルシウム放出に対するMMP阻害の影響について調べた。T細胞の増殖に対してMMP9欠損が最も大きく影響したため、MMP9−/−CD4 T細胞およびCD8 T細胞において、抗CD3抗体によって誘発される細胞内カルシウム流を調べた。平行して、SB−3CTによって処理した野生型CD4 T細胞およびCD8 T細胞の試験も実施した。MMP9−/−CD4 T細胞およびCD8 T細胞は、予想に反して、野生型のコントロールT細胞と比較して、細胞内カルシウム流(小胞体からの放出に対応する)をより大きく示した(図4A、図4B)。SB−3CTによる処理においても、MMP9−/−T細胞について示した結果と同様に、小胞体からのカルシウムの放出に対応する細胞内カルシウム流が増大した(図4C)。さらに、抗CD3抗体によって誘発されるカルシウム流に対するゼラチナーゼ阻害の有意性を調べるため、培地に外因性カルシウムが存在することによって、SB−3CT処理後にカルシウムの流入が変化するかを調べた。抗CD3抗体によって処理した野生型CD8 T細胞を、カルシウムを含んだ培地の存在下でインキュベートした。予測どおり、カルシウムの存在下では、SB−3CTによって処理して抗CD3抗体によって刺激した後、小胞体からのカルシウム放出が増大する(図4D)のみならず、外因性カルシウム流入も激増した。これらの結果を考え合わせると、MMP9は、抗CD3抗体によって誘発される活性化に応答しての正常T細胞における細胞内カルシウム流を下方制御することが実証される。
【0135】
実施例6
MMP2欠損およびMMP9欠損のT細胞またはSB−3CTで処理したT細胞において、NFATc1およびCD25 mRNA発現が変化する
カルシウムシグナル伝達の後、活性化したT細胞の核内転写因子(NFAT)の核移行は、T細胞の活性化にとってと、IL−2Rα(CD25)およびIL−2の発現の転写を促進するうえで重要である(Yoshidaら、1998)。活性化したT細胞におけるNFATおよびCD25のmRNA発現に対する、ゼラチナーゼ欠損およびSB−3CT処理の影響について調べた。ここまでのデータから、CD4 T細胞の応答とCD8 T細胞の応答が類似していることが示されたため、以下の一連の試験ではCD4 T細胞を使用した。MMP2−/−CD4 T細胞およびMMP9−/−CD4 T細胞を、抗CD3抗体によって刺激し、NFATc1およびCD25サイトカイン転写を定量的RT−PCRによって分析した。MMP2−/−CD4 T細胞およびMMP9−/−CD4 T細胞は、抗CD3抗体による刺激後、NFATc1を発現させる能力が、野生型コントロールT細胞と比較して著しく低下した(図5A)。NFATc1の誘発減少に合致して、CD25転写の発現(NFATc1に依存する)も、両方のタイプの細胞において著しく減少し、減少はMMP9−/−T細胞において最大であった(図5B)。
【0136】
さらに、CD4 T細胞において、SB−3CT処理によるゼラチナーゼ阻害の後、これらの試験を行った。SB−3CT処理により、NFATc1およびCD25転写の発現は、ビヒクルによって処理したT細胞と比較して、投与量に依存する形で抑止された(それぞれ図5Cおよび図5D)。これらを考え合わせると、ゼラチナーゼ阻害またはゼラチナーゼ欠損に対応してNFATおよびCD25 mRNA発現(いずれも細胞内で制御される)が減少したことによって示唆されることとして、細胞内基質を標的とすることでT細胞活性化が阻止されることにより、ゼラチナーゼはT細胞活性化を制御することができる。
【0137】
実施例7
MMP9−/−およびSB−3CT処理した野生型CD4 T細胞またはCD8 T細胞において、サイトカイン転写およびタンパク質発現が減少する
抗CD3による活性化に応答してCD4 T細胞およびCD8 T細胞においてIL−2およびIFN−γが産生される。したがって、ゼラチナーゼ阻害またはMMP9欠損が、これらのサイトカインの発現にどのような役割を果たすかを調べた。MMP9の遺伝的欠損では、CD4 T細胞(図6A、図6B)およびCD8 T細胞(図6E、図6F)におけるIL−2およびIFN−γの転写およびタンパク質発現が著しく下方制御された。同じタイプの細胞において、IL−2およびIFN−γのタンパク質発現および転写発現に対するゼラチナーゼ阻害の影響を、さまざまなタイミングにおいて調べた。IL−2転写発現は、SB−3CTによる処理に応答して時間とともに増大したが、タンパク質発現は下方制御された(図6C、図6D)。SB−3CTによって処理した細胞におけるIFN−γについても、同様の傾向が観察された(図6G、図6H)。
【0138】
実施例8
ゼラチナーゼ阻害によって制御性T細胞の機能は誘発されない
研究によると、抗CD3抗体による刺激の後、制御性T細胞(Treg)はIL−2を増殖または産生することができないが、IL−10を分泌することによって、またはフォークヘッド転写因子(Foxp3)(NFAT発現を阻害する)を上方制御することによって、増殖反応およびサイトカイン産生を抑制できることが示されている(Thornton、Shevach、1998)。MMP9欠損またはSB−3CTで処理したT細胞が制御性T細胞の特性を示すかを調べるため、抗CD3による刺激に応答してのFoxp3 mRNA発現およびIL−10タンパク質発現を試験した。MMP9−/−CD4 T細胞では、抗CD3抗体によって刺激したMMP2−/−細胞および野生型細胞と比較して、Foxp3転写レベルが大幅に増大した(図7A)。さらに、SB−3CTに応答してFoxp3転写が増大した(図7B)。IL−10タンパク質の発現は、Foxp3と同様に、MMP2−/−CD4 T細胞およびMMP9−/−CD4 T細胞において増大した(図7C)。全体として、これらのデータによると、ゼラチナーゼ阻害または欠損が、制御性T細胞機能につながりうることを示唆している。
【0139】
ゼラチナーゼ阻害によって制御性T細胞機能が誘発されるかを直接調べるため、サプレッサーアッセイを使用し、このアッセイでは、CD425−T細胞をSB−3CTによって処理し、未処理のCD425−T細胞とのさまざまな混合割合において、照射した抗原提示細胞(APC)の存在下で72時間共培養した。図7Dに示したように、SB−3CT処理では、各割合において、T細胞増殖が50%阻害された。しかしながら、SB−3CTで処理した細胞の割合が増すほどT細胞増殖も増大し、SB−3CT処理によって制御性T細胞の機能が誘発されないことを示唆している。
【0140】
制御性T細胞の機能がSB−3CT処理に応答して影響されるかを調べるため、サプレッサーアッセイにおいてCD425T細胞(Treg)をSB−3CTによって処理し、上記のようにさまざまな混合割合において共培養した。CD425T細胞は、その抑制機能を維持した(図7E)。しかしながら注目すべき点として、SB−3CTで処理したCD425T細胞は、抑制能力がやや変化し、抑制特性を示すためには、SB−3CT処理した細胞がより多く必要である。これらのデータを考え合わせると、MMP9阻害では、Foxp3およびIL−10の発現が増大するにもかかわらず制御性T細胞のメカニズムは誘発されないことが示唆される。しかしながら、これらのデータは、MMP9がFoxp3およびIL−10の発現に関与していることを示唆している。
【0141】
実施例9
MMP9欠損により、抗CD3抗体に応答してのCD4 T細胞およびCD8 T細胞の表現型が変化する
T細胞に由来するMMP9の役割をさらに詳しく調べるため、MMP9非存在(MMP9欠損)に対応してのT細胞の表現型に関する試験を、フローサイトメトリーによって行った。T細胞表面の7個の活性化マーカーのパネルを評価した(Barojaら、2002;Bourguignonら、2001;Fengら、2002;Irie−Sasakiら、2003;Ivetic、Ridleyら、2004;Leoら、1999;Stauberら、2006)。野生型マウスおよびMMP9−/−C57BL/6マウスから、CD4 T細胞およびCD8 T細胞を分離した。MMP9欠損または対応する野生型CD4 T細胞またはCD8 T細胞を、可溶性の抗CD3抗体の存在下および非存在下で培養し、さまざまなマーカーについて染色した。野生型CD4 T細胞の分析では、T細胞活性化マーカーCD25、CD69、CD62L、CD44、CTLA−4、CD40L、およびCD45ROのすべての表面発現レベルが増大した(図11および表1)。これと比較して、MMP9欠損T細胞からのCD4 T細胞の分析では、CD62L、CTLA−4、およびCD45ROの表面発現レベルが増大した。CD44およびCD40Lの発現レベルは、野生型細胞と比較してわずかに減少した。CD25およびCD69の発現レベルは、いずれも著しく減少した。これらのデータから、MMP9欠損CD4 T細胞は、野生型CD4 T細胞と比較したとき、細胞表面CD25およびCD69のレベルは大幅に低下する一方で、CD45ROおよびCTLA−4のレベルは増大する。
【0142】
【表1】

抗CD3によって刺激した野生型およびMMP9−/−CD4 T細胞およびCD8 T細胞のCD45RO、CD69、CD25、CD44、CD40L、CD62L、CTLA−4の表面発現について、フローサイトメトリーによって分析した。データは、図11に示した陽性に染色された細胞の割合を示している。データは、2回の個別の実験の代表値である。
【0143】
野生型CD8 T細胞における細胞表面発現の分析では、CD25、CD62L、およびCD69において増大した(図11および表1)。さらに、CD40L、CD44、およびCTLA−4では、発現したが発現の割合は20%以下であった。CD45ROでも極めて低いレベルで発現した(5%未満)。MMP9欠損CD8 T細胞の分析では、野生型CD8 T細胞と比較して、CD69、CD25、CD62Lにおいて発現レベルが低かった。CD45ROおよびCD40Lの表面発現レベルは、野生型細胞と同じ程度のままであった。CTLA−4およびCD40Lの表面発現は、野生型細胞と比較してわずかに増大した(図11および表1)。MMP9−/−T細胞では、抗CD3刺激に応答してCD25発現は増大せず、これはNFAT発現が誘発されないことと矛盾しない。以上を考え合わせると、これらのデータから、CD4 T細胞およびCD8 T細胞は、MMP9の非存在下で異なる細胞表面発現を示す。
【0144】
実施例10
ゼラチナーゼ阻害によって、抗体特異的CD8 T細胞によって誘発される肺損傷が抑止される
ここまでのデータによると、抗CD3に応答して発現するMMP9レベルがCD4 T細胞よりもCD8 T細胞において高いことと、ゼラチナーゼ阻害または欠損によって細胞機能が下方制御されることが実証された。過去において、Medoffらは、末梢気道の上皮細胞がCC10プロモーターの制御下で構造的にOVAを発現するマウスモデル(CC10−OVAマウス)を報告した(Medoffら、2005)。OVA特異的T細胞レセプター(OT−I)を発現する活性化したCD8 T細胞を、レシピエントマウスの肺に注入すると、激しい細気管支周囲炎症が誘発される(Medoffら、2005)。したがって、インビボでのCD8 T細胞由来ゼラチナーゼの役割を調べる目的で、CD8 T細胞におけるゼラチナーゼ阻害によって肺損傷が下方制御されるかを、CC10−OVAマウスモデルを使用して試験した(Strippら、1992)。肺損傷を誘発するため、クラスI MHC H−2Kbに結合するOVAペプチドSIINFEKLに特異的なTCRを有するOT−IトランスジェニックマウスからCD8 T細胞を分離し、CC10−OVAマウスの肺に注入した(CarboneおよびBevan、1989)。
【0145】
先の実施例における試験では、抗CD3を介してのポリクローナルT細胞活性化に対するMMPの影響を調べた。SB−3CTによる高選択的ゼラチナーゼ阻害によって、抗原特異的T細胞増殖機能が影響されるかを調べるため、報告されているようにOT−1細胞をSB−3CTで処理し、ペプチド(SIINFEKL)パルスした抗原提示細胞の存在下で培養した。図8Aに示したように、未処理またはビヒクル処理したOT−IトランスジェニックCD8 T細胞は、OVAペプチドパルスした抗原提示細胞に応答して増殖した。OT−1 T細胞をSB−3CT処理すると、OVAパルスした抗原提示細胞に応答しての増殖が完全に抑止された。OT−IIトランスジェニックマウスからのCD4 T細胞の試験では、同様の傾向が明らかになった。これらのデータから、抗CD3を介してのポリクローナル活性化と同様に、高選択的ゼラチナーゼ阻害によっても、CD8 T細胞の抗原特異的増殖が抑止されることが実証された。
【0146】
抗原特異的T細胞が介在する肺損傷に、ゼラチナーゼ阻害がインビボで影響するかを調べるため、本明細書および過去の研究に記載されているように、抗CD3およびSB−3CTで処理したOT−I CD8 T細胞をOVAの存在下でインビトロで活性化した(Medoffら、2005)。培養したOT−I CD8 T細胞を、CC10−OVAトランスジェニックマウスまたは非トランスジェニック野生型C57BL/6マウスの肺の気管内に移入した。養子移入から7日後、気管支肺胞洗浄液(BAL)中の合計の細胞蓄積の分析では、SB−3CT処理した(MMPI)群およびビヒクル群において回収された全BAL細胞の量に差は見られなかった(図8B)。しかしながら、好中球(Gr−1)(このモデルにおける損傷のマーカー)(Medoffら、2005)の量は、SB−3CT処理群において有意に減少した(図8C)(p<0.001)。OT−IトランスジェニックマウスはThy1.1陽性であり、したがって、CC10−OVAマウス(Thy1.2バックグラウンドであった)において移入細胞を追跡する手段を提供した。次に、肺におけるCD8 Thy1.1 T細胞の蓄積が、2つのCC10−OVA処理群(ビヒクルまたはSB−3CT)の間で異なるかを調べた。SB−3CTによる処理では、肺実質におけるCD8 Thy1.1(ドナー)細胞が有意に減少した(図9A)(p<0.01)。さらには、SB−3CTによる処理では、活性化マーカーCD25発現が減少した(図9B)(p<0.01)。
【0147】
ゼラチナーゼ阻害した細胞を受け取ったCC10−OVAマウスの肺において好中球およびドナー由来CD8 T細胞が少ないことは、肺損傷の重傷度が低いことを示唆している。実際に、H&E染色によって評価した肺の組織構造が示すところでは、養子移入前のOT−I T細胞のゼラチナーゼ阻害によって、血管周囲および細気管支周囲の炎症の発生が抑止された。
【0148】
結果の考察
本発明の試験のデータによると、特にMMP9が、T細胞の活性化を制御するうえで重要な役割を果たすことが明らかになった。この結論は、MMP9阻害によってCD4 T細胞およびCD8 T細胞の活性化が大きく減少することを示すデータから導かれる。しかしながら、MMP9は、活性化されたCD8 T細胞においてCD4 T細胞よりも大きく誘発される。本発明の試験では、広域MMP阻害、MMP9特異的阻害、およびMMP9の遺伝子欠損のいずれおいても、CD4 T細胞およびCD8 T細胞においてポリクローナル活性化によって誘発される増殖が下方制御されることが示された。NFATc1およびCD25遺伝子発現は下方制御され、その一方でFoxp3遺伝子発現およびIL−10タンパク質発現のレベルは上昇した。IL−2およびIFN−γのサイトカイン遺伝子発現およびタンパク質発現の分析では、MMP9阻害およびMMP9欠損に対応して遺伝子発現およびタンパク質発現が下方制御されることが明らかになった。しかしながら、抗CD3を介してのポリクローナル刺激に応答しての細胞内カルシウム放出は、ゼラチナーゼ欠損またはゼラチナーゼ阻害に対応して増大した(図10)。さらに、インビボモデルにおいて、MMP9阻害によって、T細胞介在性肺損傷の程度が減少することが実証された。全体としてこれらのデータは、T細胞の活性化プロセスにおいてT細胞由来MMP9の役割を明らかに示している。
【0149】
最近、同種移植の拒絶反応におけるMMPの機能的役割およびT細胞同種反応性におけるMMPの役割を示す報告が見られるようになった。Fernandezらは、気管支同種移植における閉塞性気道疾患(OAD)モデルにおいて、MMP9欠損宿主マウスではOADが発症しなかったが、T細胞同種反応性が強められたことを報告した(Fernandezら、2005)。しかしながら、本発明の試験では、MMP9欠損によってT細胞増殖が大きく抑止されることが明らかになった。このような異なる結果の1つの理由として、OADモデルでは、バルクT細胞(CD3)を同種異系DCによって刺激したため、非特異的T細胞活性化が誘発されたためである。しかしながら、本発明の試験では、MMP9欠損CD4 T細胞およびCD8 T細胞を抗CD3抗体の存在下で個別に培養したため、これら2種類の細胞集団がT細胞活性化プロセスにおいてどのように機能するかを個別に試験することができた。T細胞およびマクロファージはOADの発症において重要であることが報告されており(Kellyら、1998;Neuringerら、2000)、遺伝的T細胞欠損を有するマウス(例えば、重症複合免疫不全症(SCID)マウスあるいはリコンビナーゼ活性化遺伝子1欠損(RAG−/−))では、OADが発症しないことが示されている(Neuringerら、1998)。これらの研究では、OADの発症においてT細胞が重要である強い証拠が記載されており、T細胞由来MMP9がOAD発症に重要な役割を果たしていることを示唆している。したがって、T細胞由来MMPを阻害することによってT細胞活性化を減少させることができ、これにより、さまざまな病態に対応する保護効果を提供することができる。
【0150】
上に開示したように、T細胞内シグナル伝達現象を調べる中で、ゼラチナーゼ欠損または阻害に対応して、抗CD3抗体による刺激の後、T細胞は、小胞体からの高いレベルのカルシウム解放および外因的カルシウム流入を示す。これらの発見から、MMP9阻害またはMMP9欠損に対応してのカルシウム流入の増大は、細胞が有効な活性化現象の欠如を補おうとするメカニズムであることが示唆される。したがって、MMP9は、カルシウム介在性現象の強いダウンレギュレータとして機能しうる。さらには、これらの結果では、MMP9欠損T細胞またはSB−3CT処理T細胞においてNFAT遺伝子発現が抑止されることが示された。
【0151】
NFATはT細胞活性化における転写因子として重要であるため、NFAT発現が変化すると、他のNFAT依存遺伝子(例えば、正常に機能するうえでNFATの移行を必要とするIL−2Rα(CD25)およびIL−2)の発現が変化するものと考えられる。実際に、MMP9欠損T細胞およびSB−3CT処理T細胞では、CD25 mRNAおよび表面発現の減少が観察された。これらの発見は、ゼラチナーゼ阻害によって、おそらくはNFAT転写が抑制される(これによりCD25およびIL−2の発現が減少する)ことでNFAT活性化が下方制御されることを強く示唆している。CD25の発現の減少は、細胞表面に存在するCD25が少ないことを意味し、これにより、IL−2と結合して増殖を誘発するうえで利用可能なレセプターの数が制限され、このためT細胞活性化が抑止される。このことは、図2に示したようにSB−3CT処理した細胞における増殖応答が外因性IL−2によって回復しない理由を説明する。この結果は、ゼラチナーゼ阻害に起因してT細胞が制御性T細胞機能を示しうることを示唆しているため、制御性T細胞に特徴的に見つかる標的について調べた。予測に反して、SB−3CT処理T細胞およびMMP9欠損T細胞において、Foxp3発現の増大が観察された。
【0152】
制御性T細胞系列を導入したT細胞においてIL−2およびIFN−γを産生できないことは、転写抑制の結果であると考えられる(Chenら、2006;Leeら、2008;Marsonら、2007;Wuら、2006)。本発明の試験では、IL−2およびIFN−γのレベルの減少が実証された。したがって、Foxp3が、TCRライゲーションに応答してのIL−2およびIFN−γ遺伝子発現を抑制しており、これに起因してT細胞活性化が減少している。IL−10は、制御性T細胞およびTr1細胞によって分泌される特徴的な免疫抑制サイトカインであるため、MMP9欠損T細胞においてIL−10タンパク質発現について評価し、MMP9欠損T細胞では抗CD3抗体による刺激の後にIL−10が増大することを報告した。ゼラチナーゼ阻害によって制御性T細胞の機能は誘発されなかった。
【0153】
これらの結果は、MMP9の阻害によって、制御性T細胞の特徴を示す、IL−10を分泌する新しいT細胞サブセットの発生につながりうるが、制御性T細胞の機能にはつながらないことを示唆している。MMP9阻害によって制御性T細胞の機能は誘発されなかったが、MMP9阻害に対応して制御性T細胞の機能が変化した。Panらによる報告によると、制御性T細胞におけるFoxp3依存性遺伝子サイレンシングをEos(亜鉛フィンガー転写因子)が介在することが実証された(Panら、2009)。本開示においては、MMP9阻害によってEosが誘発され、EosがIL−2およびIFN−γのFoxp3依存性抑制を介在し、これに起因して正常T細胞活性化が減少する。
【0154】
インビボでのゼラチナーゼ阻害の調査において、CC10−OVAマウスの肺におけるCD8 Thy1.1 T細胞の割合の有意な減少が観察され、このことは、ゼラチナーゼ阻害がT細胞移動に影響する、もしくは細胞活性化を減少させる、またはその両方であることを示唆している。肺中のCD8 Thy1.1 T細胞におけるCD25表面発現のさらなる分析では、CD25表面発現が劇的に減少することが明らかになり、このことは、細胞活性化の減少を示唆している。これらの結果は、ゼラチナーゼ阻害に対応してCD25 mRNA発現および細胞表面発現が有意に減少することを実証したインビトロデータに似ている。CC10−OVAマウスから採取した肺の組織学的分析では、ビヒクル処理したOT−1細胞の移入後に血管周囲および核周囲の浸潤が高いことが実証された。対照的に、SB−3CT処理したOT−1細胞の養子移入の後、単核細胞浸潤は最小限であり、このことは、MMP9阻害によって肺内の炎症程度が弱められ、したがってT細胞介在性肺損傷の程度が有意に減少することを示唆している。
【0155】
これらの結果は、MMP9がT細胞活性化において明らかな役割を果たしていることを強く示しており、この役割がmRNA発現およびタンパク質発現の調節によって細胞内で行われることを示唆している。
【0156】
本発明の試験では、CD4 T細胞およびCD8 T細胞を活性化するうえでの機能性T細胞由来ゼラチナーゼの重要な役割が明らかになり、ゼラチナーゼ阻害が、T細胞依存性疾患(例えば、同種臓器移植拒絶反応、自己免疫疾患)の治療における免疫抑制の新規の方法となり得ることを示唆している。
【0157】
本明細書の実施例に記載した実験は、以下の方法を使用して行った。
【0158】
動物
6〜10週齢の雌のBalb/cマウスおよびC57BL/6マウスをHarlan社(インディアナ州インディアナポリス)から購入、または独立して飼育した。MMP2欠損(MMP2−/−)、MMP9欠損(MMP9−/−)、およびMMP2/MMP9二重欠損(MMP2/9−/−)のマウス(C57BL/6バックグラウンド)(Baylor College of Medicine、テキサス州ヒューストン)、CC10−OVAマウス(C57BL/6バックグラウンド)、およびOT−1 TCRトランスジェニックマウス(C57BL/6−Thy1.1バックグラウンド)を使用した(Corryら、2004;Shillingら)。マウスによるすべての試験は、動物実験委員会(institutional animal care and usage)のガイドラインに従って行った。
【0159】
T細胞の分離
5〜7匹のマウスの脾臓から単一細胞懸濁液を調製した。赤血球をNH4CL溶解緩衝液で溶解した。マウスのCD4(L3T4)MicrobeadsおよびCD8(CD8a−Ly2)Microbeads(Miltenyi Biotech社、カリフォルニア州オーバーン)をメーカーの指示に従って使用し、CD4 T細胞およびCD8 T細胞を分離した。CD4 T細胞およびCD8 T細胞の純度(フローサイトメトリーによって求めた)は、97〜99%の範囲内であった。この分離プロトコルを使用して、C57BL/6野生型マウス、MMP2欠損マウス、MMP9欠損マウス、MMP2/9欠損マウス、OT−Iトランスジェニックマウス、およびOT−IIトランスジェニックマウスから、T細胞を分離した。マウスCD4CD25 分離キット(Miltenyi Biotech社、カリフォルニア州オーバーン)を使用して、制御性T細胞(Treg)を分離した。フローサイトメトリーによって求めた制御性T細胞の純度は、93%以上であった。照射を記載した箇所では、CD4 画分をγ照射し(2000rad)、抗原提示細胞として使用した。
【0160】
マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤(MMPI)の調製
非特異的MMP阻害剤である1,10−フェナントロリン(Sigma社、ミズーリ州セントルイス)をジメチルスルホキシド(DMSO)中で1M溶液とし、完全RPMI(cRPMI)において0.001〜0.1μMに希釈した。完全RPMIは、400mMのL−グルタミン、100Uのペニシリンストレプトマイシン(Gibco社、カリフォルニア州カールズバッド)、10%のFCS(Hyclone社、ユタ州ローガン)、および5×10−5Mの2−メルカプトエタノール(Sigma社、ミズーリ州セントルイス)からなる。COL−3は、化学的に修飾されたテトラサイクリンであり、非特異的MMP阻害剤である(CollaGenex Pharmaceuticals, Inc.社、ペンシルベニア州ニュータウン)。COL−3をDMSO中で1M溶液とし、cRPMIにおいて1〜100μMに希釈した。SB−3CTは、特異的メカニズムベースのMMP2/9阻害剤であり、これをDMSOおよびポリエチレングリコール(PEG)中で1M溶液とし、cRPMIにおいて0.0001〜1mMに希釈した。
【0161】
T細胞増殖アッセイ
野生型Balb/cマウスまたはC57BL/6マウスからCD4 T細胞またはCD8 T細胞を分離し(1×10/ml)、記載した濃度のMMPI濃度またはビヒクルコントロールを使用して6時間インキュベートした。過去に報告されているように、処理した細胞をRPMIで3回洗浄し、96ウェルプレートを用いて、200μlのcRPMIにおいて抗CD3抗体(0.5〜1μg/ml、BD Biosciences社、カリフォルニア州サンホセ)の存在下で37℃において72時間培養し(1×10/ウェル)、採取した(Sumpterら、2008)。この一般化されているプロトコルを使用して、記載したさまざまな分離方法および処理条件の後にCD4 T細胞およびCD8 T細胞のT細胞増殖を測定した。MMP欠損の平行試験では、MMP2−/−マウス、MMP9−/−マウス、MMP2/9−/−マウス、および同腹子コントロールを、抗CD3抗体の存在下で72時間培養した。抗原特異的増殖アッセイにおいて、OT−IIトランスジェニックT細胞およびOT−IトランスジェニックT細胞を、記載した濃度のSB−3CTまたはビヒクルコントロールを使用して6時間インキュベートし、RPMIで3回洗浄し、OVAパルスした(OT−II:OVAペプチド、OT−I:SIINFEKLペプチド)抗原提示細胞(APC)の存在下で、72時間培養した(1×10/ウェル)。T細胞サプレッサーアッセイでは、C57BL/6マウスから分離したCD425 T細胞またはCD425 T細胞を、記載した濃度のSB−3CTまたはビヒクルコントロールを使用して6時間インキュベートした。過去に報告されているように、細胞をRPMIで3回洗浄し、200μlのcRPMIにおいて、未処理のCD425 T細胞とのさまざまな割合(処理:未処理)で、γ照射した抗原提示細胞の存在下で、37℃において72時間共培養し、採取した(Sumpterら、2008)。
【0162】
ゼラチンザイモグラフィー
細胞溶解物および条件培地上清を採取し、4倍に濃縮し、遠心分離して細胞残屑を取り除き、80℃においてアッセイまで保管した。過去に報告されているように、試料に対してザイモグラフィーを行った(Yoshidaら、2007)。
【0163】
定量的RT−PCRによるサイトカインプロファイリング
純化したCD4 T細胞を、記載した濃度のSB−3CTによって6時間インキュベートし、RPMI1640で3回洗浄した。薬剤またはビヒクルで処理したT細胞を、cRPMIにおいて抗CD3抗体(0.5μg/ml)とともに1〜12時間培養した(1×10/ml)。細胞を採取し、RNeasy RNA抽出キット(Qiagen社、カリフォルニア州バレンシア)を使用して全RNAを分離し、Applied Biosystems 7500においてPerfeCTaTM SYBR Green FastMix, Low ROX(Quanta Biosciences社、メリーランド州ゲイサースバーグ)をメーカー指示に従って使用し、mRNA発現レベルを検出した。各試料をマウスβアクチンに対して正規化した。プライマー配列は、公的に利用可能な配列に基づいて、各サイトカインを特異的に増幅するように、通常の方法を使用して設計、最適化されている。
【0164】
CBA(サイトメトリビーズアレイ)によるサイトカインプロファイリング
純化したMMP9欠損CD4 T細胞またはSB−3CT処理(10μM)CD4 T細胞を6時間インキュベートし、RPMI1640で3回洗浄した。MMP9欠損T細胞またはSB−3CT処理T細胞(1x10/ml)を、cRPMIにおいて抗CD3抗体(0.5μg/ml)とともに1〜12時間培養した。上清を採取し、マウス炎症性サイトカイン・ビーズアレイキット(BD Biosciences社、カリフォルニア州サンホセ)をメーカー指示に従って使用して、サイトカインのタンパク質レベルを測定した。
【0165】
細胞内カルシウム流
野生型またはMMP9欠損のCD4 T細胞およびCD8 T細胞と、SB−3CT処理(10μM)したCD8 T細胞について、Fluo−4 NWカルシウムアッセイキット(Molecular Probes社、カリフォルニア州カールズバッド)をメーカーのプロトコルに従って使用し、カルシウム流を測定した。次に、細胞を抗CD3抗体(10μg/ml)によって刺激し、Molecular Devices FlexStation I(カリフォルニア州サニーベール)において300秒にわたりリアルタイムで測定した。
【0166】
MMP9−/−T細胞の細胞表現型の分析
野生型マウスおよびMMP9欠損マウスから、CD4 T細胞およびCD8 T細胞を分離した。さまざまな処理条件の後、細胞を採取し、FACs緩衝液(PBS中10%BSA)で洗浄した。抗CD16/抗CD3 Ab(0.5μg/ウェル、eBioscience社、カリフォルニア州サンディエゴ)を加えたFACs緩衝液によって、非特異的結合をブロックした。次に、抗マウスCD4−FITC、CD8−PE、CD25−PE、CD40L−PE、CD44−PE、CD45RO−FITC、CD62L−APC、CD69−FITC、およびCTLA−4−PE抗体を使用し、対応するアイソタイプコントロールとともに細胞を染色した(すべてeBioscience社から)。染色の後、3%パラホルムアルデヒドで固定し、ただちにフローサイトメーターで分析した。ライブゲート(live gate)における10000の細胞のデータをFACScanフローサイトメーター(Beckton Dickinson社)によって分析した。さらに、FCS Express(DeNovo Software社、カリフォルニア州ロサンジェルス)を使用して分析した。
【0167】
OT−I Thy1.1 CD8 T細胞の活性化とCC10−OVAマウスへの養子移入
Thy1.1 OT−Iトランスジェニックマウスからリンパ節および脾臓を分離し、脾臓のCD8 T細胞を上述したように分離した。次に、OT−I Thy1.1 CD8 T細胞を、10μMのSB−3CTまたは対応するビヒクルコントロール(DMSO PEG)によって6時間処理し、培地において3回洗浄した。γ照射した5×10の野生型脾細胞を、0.7μg/mlのOVAペプチド(SIINFEKL)を加えた30mlの10% DMEMで5分間培養した後、OT−I Thy1.1 CD8 T細胞(5×10)と、抗CD28抗体(2μg/ml)と、IL−2(132.02U/ml)と、IL−12(10ng/ml)とを加えた。3日目に細胞を分けて、さらにIL−2(25U/ml)を加えて最終体積を30mlとした。5日目に細胞を採取し、CC10−OVAマウスへの養子移入の準備を行った。細胞をPBSに再懸濁させ、7.5×10の細胞をCC10−OVAマウスの肺の気管内に移入した。
【0168】
養子移入後のCC10−OVAマウスの肺におけるOT−I Thy1.1 CD8 T細胞の同定
SB−3CT処理またはビヒクル処理したOT−I Thy1.1 CD8 T細胞の養子移入から10日後に、CC10−OVAマウスの肺を潅流して摘出した。肺を氷の上で細かく切った後、5%のウシ胎仔血清を含んだRPMI媒体において、25μg/mlのDNaseの存在下、コラゲナーゼ/ディスパーゼ(それぞれ0.2mg/ml)によって37℃で60〜90分温浸した。細胞を70μmの細胞濾過器に通し、洗浄し、密度遠心分離によって肺のリンパ球を分離した。細胞をFACs緩衝液(PBS中10%BSA)に再懸濁させ、ただちにFACScanフローサイトメーター(Beckton Dickinson社)によって分析した。さらに、FCS Express(DeNovo Software社、カリフォルニア州ロサンジェルス)を使用して分析した。
【0169】
BAL液中の細胞サブセットの同定
ビヒクル処理およびSB−3CT処理したOT−1トランスジェニックT細胞の養子移入の後、1.0mlの滅菌1X PBSによってマウスの肺を洗浄することによって、野生型マウスおよびCC10マウスの肺からBALを採取した。採取した液体を2000rpmで10分間遠心分離した。200μlの滅菌1X PBSに細胞ペレットを再懸濁させた。次に、細胞を抗GR1抗体によって染色し、ただちにFACScanフローサイトメーター(Beckton Dickinson社)によって分析した。さらに、FCS Express(DeNovo Software社、カリフォルニア州ロサンジェルス)を使用して分析した。
【0170】
組織構造
中性緩衝ホルマリンによって肺を潅流して膨らませ、固定した。組織片をパラフィンに埋め込んで切断し、ヘマトキシリンおよびエオシンによって染色した。Olympus製の顕微鏡およびデジタルカメラDP12を使用して20倍で画像を撮影した(Olympus社、ペンシルバニア州センターバレー)。
【0171】
統計解析
データは、paired t−検定またはノンパラメトリックt−検定を用いる2要因分散分析(2−way ANOVA)により、Prism 4(GraphPad Software社、カリフォルニア州サンディエゴ)またはMicrosoft Office Excel 2007(Microsoft社、ワシントン州シアトル)を使用して分析した。
【0172】
参考文献
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【0173】
本明細書の中で参照されている、もしくは出願データシートに一覧されている、またはその両方である米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、非特許文献のすべては、米国仮特許出願第61/152,512号(ただしこれに限定されない)を含めて、その全体が参照によって本出願に援用する。
【0174】
ここまでの説明から理解されるように、本明細書には本発明の具体的な実施形態を説明を目的として記載したが、本発明の概念および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を行うことができる。したがって、本発明は、添付の請求項によってのみ制限される。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図4D】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図6D】

【図6E】

【図6F】

【図6G】

【図6H】

【図7A】

【図7B】

【図7C】

【図7D】

【図7E】

【図8A】

【図8B】

【図8C】

【図9A】

【図9B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる組成物であって、下記式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩、の治療有効量を含有する組成物。
【化1】

式(I)
[式中、
mが0、1、2、3、4、または5であり、
nが0、1、2、3、4、または5であり、
pが1、2、または3であり、
Xが、−O−、−S−、−CH−、または直接結合であり、
Yが、−C(O)−、または−S(O)−であり、
Zが、−O−、または−S−であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
、R、およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
が、水素、アルキル、アルケニル、またはアリールであり、
およびR10が、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルである]
【請求項2】
式(I)の前記化合物が下記式(Ia)の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【化2】

式(Ia)
【請求項3】
前記化合物が下記に示されるSB−3CTである、請求項1に記載の組成物。
【化3】

SB−3CT
【請求項4】
式(I)の前記化合物が、式(Ib)の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【化4】

式(Ib)
【請求項5】
式(I)の前記化合物が下記式(Ic)の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【化5】

式(Ic)
【請求項6】
移植患者が肺移植患者である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記T細胞がCD4 T細胞である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
移植患者に臓器を提供する臓器提供者において臓器摘出前に使用される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
移植患者または移植を必要としている患者においてコラーゲンに対する免疫応答を阻害する組成物であって、下記式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩、の治療有効量を含有する組成物。
【化6】

式(I)
[式中、
mが0、1、2、3、4、または5であり、
nが0、1、2、3、4、または5であり、
pが1、2、または3であり、
Xが、−O−、−S−、−CH−、または直接結合であり、
Yが、−C(O)−、または−S(O)−であり、
Zが、−O−、または−S−であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
、R、およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
が、水素、アルキル、アルケニル、またはアリールであり、
およびR10が、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルである]
【請求項10】
式(I)の前記化合物が下記式(Ia)の化合物である、請求項9に記載の組成物。
【化7】

式(Ia)
【請求項11】
前記化合物が下記に示されるSB−3CTである、請求項9に記載の組成物。
【化8】

SB−3CT
【請求項12】
式(I)の前記化合物が下記式(Ib)の化合物である、請求項9に記載の組成物。
【化9】

式(Ib)
【請求項13】
式(I)の前記化合物が下記式(Ic)の化合物である、請求項9に記載の組成物。
【化10】

式(Ic)
【請求項14】
移植患者が肺移植患者である、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
移植の結果を改善する組成物であって、下記式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩、の治療有効量を含有する組成物。
【化11】

式(I)
[式中、
mが0、1、2、3、4、または5であり、
nが0、1、2、3、4、または5であり、
pが1、2、または3であり、
Xが、−O−、−S−、−CH−、または直接結合であり、
Yが、−C(O)−、または−S(O)−であり、
Zが、−O−、または−S−であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
、R、およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
が、水素、アルキル、アルケニル、またはアリールであり、
およびR10が、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルである]
【請求項16】
式(I)の前記化合物が下記式(Ia)の化合物である、請求項15に記載の組成物。
【化12】

式(Ia)
【請求項17】
前記化合物が下記に示されるSB−3CTである、請求項15に記載の組成物。
【化13】

SB−3CT
【請求項18】
式(I)の前記化合物が下記式(Ib)の化合物である、請求項15に記載の組成物。
【化14】

式(Ib)
【請求項19】
式(I)の前記化合物が下記式(Ic)の化合物である、請求項15に記載の組成物。
【化15】

式(Ic)
【請求項20】
移植患者に臓器を提供する臓器提供者において、臓器摘出前に使用される、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
移植患者が肺移植患者である、請求項15に記載の組成物。
【請求項22】
免疫応答阻害を必要としている患者において免疫応答を阻害する組成物であって、下記式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩、の治療有効量を含有する組成物。
【化16】

式(I)
[式中、
mが0、1、2、3、4、または5であり、
nが0、1、2、3、4、または5であり、
pが1、2、または3であり、
Xが、−O−、−S−、−CH−、または直接結合であり、
Yが、−C(O)−、または−S(O)−であり、
Zが、−O−、または−S−であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
が、各出現において同一または異なり、独立して、アルキル、アルケニル、アラルキル、ハロアルキル、ハロゲン、−OR、または−NR10であり、
およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
、R、およびRが、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルであり、
が、水素、アルキル、アルケニル、またはアリールであり、
およびR10が、それぞれ同一または異なり、独立して、水素またはアルキルである]
【請求項23】
免疫応答阻害を必要としている前記患者が、同種免疫によって誘発される臓器移植後の自己免疫、膠原血管病、および多発性硬化症、からなる群から選択される自己免疫疾患を有する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
免疫応答阻害を必要としている前記患者が、ぜんそくを有する、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
免疫応答阻害を必要としている前記患者が、T細胞介在性肺疾患を有する、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記免疫応答がCD8 T細胞応答を含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
前記CD8 T細胞応答が抗原特異的応答である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記免疫応答がCD4 T細胞応答を含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項29】
前記CD4 T細胞応答が抗原特異的応答である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
制御性T細胞が式Iの前記化合物によって阻害されない、請求項22に記載の組成物。
【請求項31】
前記患者が固形臓器移植患者である、請求項22に記載の組成物。
【請求項32】
同種抗原によって誘発されるT細胞増殖を減少させる組成物であって、マトリックスメタロプロテイナーゼ2およびマトリックスメタロプロテイナーゼ9を選択的に阻害することのできる化合物の治療有効量を含有する組成物。
【請求項33】
免疫応答阻害を必要としている患者において免疫応答を阻害する組成物であって、マトリックスメタロプロテイナーゼ2およびマトリックスメタロプロテイナーゼ9を選択的に阻害することのできる化合物の治療有効量を含有する組成物。
【請求項34】
前記免疫応答が抗原特異的免疫応答である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
式Iの化合物の有効量を、免疫抑制剤との組合せとして含有する組成物であって、前記免疫抑制剤の有効投与量が、式Iの前記化合物が存在しないときに通常使用される有効投与量と比較して減少する、組成物。
【請求項36】
患者において免疫応答を抑制する組成物であって、式Iの化合物の有効量を、公知の免疫抑制剤との組合せとして含有する組成物。
【請求項37】
前記免疫応答が抗原特異的免疫応答である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記公知の免疫抑制剤が、シクロスポリンA、FK506、ラパマイシン、コルチコステロイド、プリン代謝拮抗剤、キャンパス、抗リンパ球グロブリン、からなる群から選択される、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
V型コラーゲンに対する免疫応答を減少させる組成物であって、V型コラーゲンに対する免疫応答減少を必要としている患者に、式Iの化合物の有効量を、V型コラーゲンまたはその寛容化部分の有効量と組み合わせて投与することを含む、組成物。
【請求項40】
前記患者が、肺移植を必要としている患者、または肺移植患者である、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記V型コラーゲンまたはその寛容化部分が、経口投与または静脈内投与される、請求項39に記載の組成物。

【図10】
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【図1C】
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【図11A−1】
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【図11A−2】
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【図11B−1】
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【図11B−2】
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【公表番号】特表2012−518001(P2012−518001A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550183(P2011−550183)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/023585
【国際公開番号】WO2010/093607
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(506265705)インディアナ ユニバーシティ リサーチ アンド テクノロジー コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】