説明

MR−PET周期運動ゲーティング及び補正

PET画像データを収集する準備として、PET撮像の改善のために、生理的信号の監視に基づいて被検体の動きモデルが構築され、且つMRデータが収集されて使用される。生理的信号の監視はPET撮像中にも用いられ、収集されたMRデータが、補正/撮像の改善のため、PET画像収集又はPET再構成における予測的ゲーティング又は遡及的ゲーティングに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は特に、磁気共鳴撮像(MRI)及び陽電子放出型断層撮影(PET)を含む被検体撮像システムに適用される。しかしながら、開示の技術が、その他の撮像システム、その他の医療シナリオ、又はその他の医療技術にも適用され得ることが認識されるであろう。
【背景技術】
【0002】
PETスキャン及びMRスキャン中に、ナビゲータによって検出され得る例えば平行移動及び回転などの患者の全体的動作を含め、複数種類の被検体の動きが発生し得る。また、一部の形態の撮像は、撮像速度により、あるいは例えばプロペラ(ベイン)イメージング等の組み込み補正の採用により、動きによる影響を比較的受けにくい。特に複数の撮像セッションの間に位置変化が生じる場合において、一部の種類の動きに関する位置整合(レジストレーション)及び/又は再レジストレーションのために、基準となるものを用いることも可能である。
【0003】
他のシステムは、統合システム内での動き検出(例えば、非反復的な動き)に基づいて、PETデータの補正を容易にする。PET撮像は、単光子放出型コンピュータ断層撮影(SPECT)撮像のように、後に局所代謝によって集められて撮像されるトレーサ要素を注入することを伴う。撮像プロセスは、何十分といった時間を要することがあり、その間に、患者は動き得るし、当然ながら継続的な心拍及び呼吸を有する。動き検出システムは、全体的動作を撮像・監視してPET画像に動き補正/ゲーティングを組み入れるために用いられる。しかしながら、そのようなシステムは、連携MR−PETシステムでは動き補正又は動きゲーティングを提供していない。PET収集中の被検体の動きに伴う問題は、視認可能なトレーサ蓄積の空間位置が動きによって不鮮明にされることである。
【0004】
MRデータ収集は、生理的サイクルの選択した位相又はフレームにおける動作停止画像を提供するように、モニタされた生理的信号と同期化することが可能である。このことは特に、心臓ゲーティング又は呼吸ゲーティングされるMRデータ収集の場合に当てはまる。心運動は通常、規則的なEKG信号に従うと仮定される。呼吸運動は通常、肺からの信号又は患者に取り付けられたモニタを用いて取得され、あるいはそれらに関連付けられる。SENSEコイルを用いる場合、MR画像はしばしば、数回の息止めの間に収集され得る。ゲート/動き信号を提供するためにMRナビゲータが使用されてもよいが、動きは典型的に、所望のMR画像データ収集時間より速い。一連のスナップショットは、時間に連れての動きの指標を提供することができる。
【0005】
更なる他のシステムは、変位の直接的な測定からではなく、例えばCT画像などの解剖学的な画像から動きの場を計算するが、これは計算オーバヘッド及び処理時間を増大させるとともに、モデルと実際の患者の動きとの間で差が生じ得る。代替的に、動きを直接的に監視することなく、補間された動きモデルを構築するために、複数の高速CT画像を用いることができる。この目的でのCT撮像は、患者に追加のX線量をもたらすことになり、それが欠点である。
【0006】
しばしば、関心組織(例えば、腫瘍など)は、このような方法を用いて構築されたモデルと同一の圧迫、変形及び/又は動き特性を有しない。そのような場合、関心組織は、その変位を直接的に測定せずして正確にモデル化されることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、PET画像の品質を向上させ、治療上且つ/或いはリアルタイムの画像補正を可能にするという利点を有し、上述及びその他の問題を解決する、被検体内の関心領域の変位を直接的に測定する新たな改善されたPET補正システム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に従って、撮像システムは、被検体内の関心領域をスキャンし、生理的サイクル中の関心領域の画像データを生成するMRスキャナと、生理的サイクルを複数のフレームに分割し、MR画像データを生理的サイクル内の対応するフレームに関連付け、且つ一連のMR画像を再構成して生理的サイクル中の関心領域の動きモデルを生成するプロセッサとを含む。当該システムは更に、生理的サイクルの複数のフレームにおいて関心領域からPETデータを収集するPETスキャナと、動きモデルを使用して生理的サイクルの1つ以上の基準フレームにおけるPET画像を生成するPET再構成プロセッサとを含む。
【0009】
他の一態様に従って、PET撮像方法は、被検体内の関心領域のMRデータを収集する段階と、MRデータを収集しながら被検体の生理的サイクルを監視する段階と、収集されたMRデータを生理的サイクルの複数のフレームの各々に関連付ける段階と、各フレームに対して、関心領域の動きを指し示す関心領域の動きモデルを生成する段階とを含む。当該方法は更に、PETスキャン中にPETデータを収集しながら生理的サイクルを監視する段階と、PETデータの、生理的サイクルの選択フレームにおける動き補正されたPET画像への再構成において、動きモデルを用いる段階とを含む。
【0010】
更なる他の一態様に従って、動き補正されたPET画像を生成する方法は、生理的サイクルの、基準フレームを含む複数のフレームの各々に対応する磁気共鳴画像を生成する段階と、複数のライン・オブ・レスポンスを生成するようにPETデータを収集し、且つ生理的サイクルを監視する段階と、各ライン・オブ・レスポンスを、生理的サイクルの複数のフレームのうちの1つと関連付ける段階とを含む。当該方法は更に、基準フレーム以外で、各ライン・オブ・レスポンスの軌道を、同一フレームに対応するMR画像と基準フレームに対応するMR画像との間での相対的な関心領域の動きに従って調整する段階と、基準フレームにおける関心領域のPET画像を用いて、複数のライン・オブ・レスポンスを再構成する段階とを含む。
【0011】
他の一態様は、記憶媒体に格納された機械実行可能な命令を実行するように構成されたプロセッサに関する。該命令は、被検体内の関心領域のMR画像データを収集することと、MRデータ収集中に被検体内の生理的サイクルを監視することと、収集されたMR画像データを、生理的サイクルの複数のフレームのうちの1つと関連付けることと、収集されたMRデータから、各フレームにおける関心領域の相対変位を指し示す動きモデルを生成することとを含む。該命令は更に、PETスキャン中に被検体内の生理的信号を監視することと、動きモデルを用いて、PETスキャン中の生理的サイクルの各フレームにおける関心領域の変位を推測することとを含む。
【0012】
他の一態様に従って、撮像システムは、被検体内の関心領域をスキャンし、生理的サイクル中の関心領域の画像及びMRデータを生成するMRスキャナと、生理的サイクル中の動きを生理的サイクルのMR画像及び動きデータに相関付け、基準位置に対する変位としての動きを、生理的サイクル内の時間の関数として特徴付けるプロセッサとを含む。当該システムは更に、生理的サイクル中に関心領域からPETデータを収集するPETスキャナと、動きの特徴付けを使用して生理的サイクルの基準位置におけるPET画像を生成するPET再構成プロセッサとを含む。
【発明の効果】
【0013】
1つの利点は、画像の品質が向上されることである。
【0014】
他の1つの利点は、MRデータが周期的な生理的信号データに結び付けられることにある。
【0015】
以下の詳細な説明を読み、理解することにより、本出願に係る革新技術の更なる利点が当業者に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
この革新技術は、様々な構成要素及びその構成、並びに様々なステップ及びその編成の形態を取り得る。図面は、様々な態様を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものとして解されるべきでない。
【図1】PET撮像及び磁気共鳴撮像の双方の能力を備え、且つ被検体内の生理的信号を監視するバイタルサインモニタ(VSM)を備えた撮像システムを示す斜視図である。この図は1つのVSMを含んでいるが、代替的な実施形態においては2つの別個のVSMを含んでいてもよく、その場合、センサ/リードは共通であってもよい。
【図2】VSMにより測定される信号基準と連動したMRスキャンから生成される動きモデルを用いてPET画像補正を実行する、他の一実施形態に係るシステムを示す図である。
【図3】モニタされた基準信号及びMRスキャンデータを用いて動きモデルを生成し、且つ該動きモデルをPETスキャン画像データの補正に用いる方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで説明するシステム及び方法は、MRIを用いて、PET検査又はPET−TOF検査を受ける患者の関心領域のモデルを生成することの助けとなる。このモデルは、シネ画像として表示される場合、呼吸及び/又は心臓サイクル中の、且つ/或いはその他の周期運動中の、関心領域内での動きを示すことになる。3Dモデルの各位置が、例えばEKG及び/又は呼吸モニタ等の生理学的モニタの出力、又は脈拍信号(例えば、PPG)のキーとなる。斯くして、関心領域(例えば、被検体内の器官又は構造)の変位の直接測定を用いてモデルが生成される。患者は好ましくは、PETデータ収集中に、同一の生理学的モニタを取り付けられる。代替的に、第2のモニタを設けて、共通の生理学的センサが用いられてもよい。各ライン・オブ・レスポンス(LOR)が検出されるとき、それは、その検出時間、及び生理学的モニタの出力とともに記録される。画像再構成において、各ライン・オブ・レスポンスの軌道は、MRIにより生成されたモデルに従って位置的に補正される。心臓又は呼吸のサイクル中に関心器官が移動はするが変形はしない場合、補正は線形なズレ(オフセット)の形態を取り得る。サイクル中に器官が部分的に変形をも生じる場合には、補正は非線形なものになり得る。また、MRIモデルは、減衰補正に動的な調整を行うこと、又は散乱放射線及び迷放射線の除去基準を動的に調整することに使用され得る。ここでの様々な実施形態はPETスキャナに関して説明するが、認識されるように、SPECT撮像装置も用いられ得る。
【0018】
図1を参照するに、撮像システム10は、別々のスキャナも意図されるが、結合型PET−MRスキャナを含んでいる。MR部は、磁気共鳴検査領域16内に静止した軸方向のB磁場を生成する主磁石を画成する、極低温ハウジング14内に配置された主磁石巻線12を含んでいる。環状の間隙を間に備えた2つの部分に、磁場傾斜コイル20、22(磁場傾斜を生成する導体は図示せずに、支持体となる形成体として図示している)が構築されている。環状の間隙は、傾斜コイル部分20と22との間でローレンツ力を調整する機械的な締め具(ブレース)24によって橋渡しされている。これらの磁場傾斜コイルは、主磁場の均一性を修正するために、例えば2次の抵抗性シムといった別個の抵抗性シムコイルを含んでいてもよい。図示した磁気共鳴スキャナは、ボア型スキャナであり、被検体支持台26を含んでいる。被検体支持台26は、例えばヒトの医療患者などの被検体をボアの中心軸にて、あるいはその付近にて支持するようにボア内に移動する別個のテーブルトップ(図示せず)を機械的に支持する。一部の実施形態において、概して全身用のRF送信/受信コイル28が、ボアに沿って傾斜コイルの内側に配置され得る。中央の環状の間隙は、図1の実施形態において、磁場傾斜コイルの巻線の2つのサブセット20と22とを電気的に接続するために必要に応じて中央の間隙を横切る電流供給導体(図示せず)を場合によって除くが、傾斜コイルの巻線を有していない。各部分20、22は、形成体20、22の円筒状の内表面に支持されたプライマリ傾斜コイル巻線と、形成体20、22の円筒状の外表面に支持されたシールド傾斜コイル巻線とを含み、また必要に応じて、中央の環状の間隙の各エッジに配置されて選択されたプライマリ及びセカンダリのコイル巻線を電気的に接続する接続導体を含む。
【0019】
システム10はまた、MRIスキャン及び/又はPETスキャンの最中に被検体に結合されるバイタルサインモニタ(VSM)18及びリード線19を含んでいる。一実施形態によれば、VSMは、心臓サイクルを監視する心電計(ECG又はEKG)装置である。他の一実施形態において、VSMは、呼吸速度又は被検体の呼吸に関連するその他のパラメータを測定する呼吸モニタである。VSMはまた、脈拍を監視するために用いられてもよい。他の一実施形態においては、心臓サイクルと呼吸サイクルとの双方が測定される。何れの場合も、被検体がMRデータ収集を受けている間に、VSMが被検体内の1つ以上の周期事象(例えば、心拍、呼吸など)を監視し、MRスキャナによって検出された各k空間データラインがタイムスタンプを付されて、VSMの出力とともに記録される。
【0020】
例えば、或る所与の心拍サイクルにおいて、心房収縮中に1つ以上の磁気共鳴(MR)k空間データラインが検出され、それら自体が記録され、且つそれぞれのタイムスタンプでマーク付けされ得る。心室収縮中に第2のデータライン群が検出され、それら自体が記録され、且つそれぞれのタイムスタンプでマーク付けされてもよい。k空間データラインを、生理学的事象及びタイムスタンプに関連付けること、又は生理学的事象及びタイムスタンプを用いて分類することにより、監視する生理的サイクルの複数の位相又はフレームの各々に対応する完全なMRデータセットが生成することができる。これらのデータセットを再構成することにより、生理的位相又はフレームの各々における撮像領域の生体構造を記述する一連の画像又はモデルが生成される。認識されるように、以上の例は例示的なものであり、ここで説明するシステム及び方法は、心臓の収縮又はその部分を監視することに限られるものではない。
【0021】
磁場傾斜コイル20、22の環状の中央間隙内に、環状のリング又はバンド状の陽電子放出型断層撮影(PET)検出器30が配置されている。PET検出器30は、磁場傾斜アセンブリ20、22、24の支持部から熱的且つ振動的に分離されるように、機械的に支持されている。図示した実施形態において、リング状のPET検出器30を磁場傾斜アセンブリ20、22、24から独立に支持するよう、マウント部材32が、締め具24の開口と極低温磁石ハウジング14の開口とを貫通している。一般的に傾斜コイルアセンブリ20、22、24は動作中にローレンツ力によって歪曲及び振動を生じさせるので、このような独立支持は有利である。図示していない1つの選択肢は、能動的あるいは受動的な振動絶縁を用いて、傾斜コイルとは独立に、PETの電子装置を磁石のボアに搭載することである。マウント部材32が接続される外側の支持体は、磁気共鳴スキャナを完全に取り囲むサブフレーム、スキャナを収容した部屋の壁の一組の硬い箇所、磁石の外側構造の表面への振動絶縁マウントなどとし得る。
【0022】
引き続き図1を参照するに、磁気共鳴スキャナは更に、k空間データサンプルの生成及び収集を行うように磁場傾斜コイル20、22、及び1つ以上の無線周波数コイル28を動作させる収集電子装置40を含んでいる。k空間データサンプルは、例えば高速フーリエ変換(FFT)再構成プロセッサなどの再構成プロセッサ42によって処理され、生理的位相又はフレームの各々における2D又は3Dの一連の磁気共鳴画像が生成される。磁気共鳴画像は、画像メモリ44に格納され、ユーザインタフェース上に表示され、あるいはその他の方法で利用される。収集電子装置40はまた、被検体内の主磁場の均一性を修正するために使用される抵抗性シムコイル(図示せず)に供給される電流のタイミング及び大きさを制御し得る。
【0023】
PET検出器30は、同時発生(コインシデンス)検出電子装置50によって制御され、PET検出器30の環状リングに囲まれた検査領域内での陽電子−電子消滅事象を指し示す実質的に同時発生の511keVガンマ線検出イベントの特定及び累積が行われる。コインシデンス検出電子装置50は、図1においては別個のユニットとして示されているが、これらの電子装置の一部がPET検出器30と一体化されることも意図される。例えば、PET検出器30から解放されたデータが、放射線検出イベントに対応するデジタル的にタイムスタンプを付与されたデジタルサンプルを例えばリスト形式で有するように、PET検出器30は、アナログ−デジタル変換電子装置及びタイムスタンピング電子装置をも支持するシリコン基板上に形成されたシリコン光電子増倍管(SiPM)としてもよい。
【0024】
このような1実施形態におけるコインシデンス検出電子装置の遠隔部は、選択した時間ウィンドウ内で一致し且つ選択したエネルギー窓内のガンマ線に対応するエネルギーを有する放射線検出イベントを探すようデジタルサンプルのリストを検索するデジタルデータ処理電子装置を含む。実質的に同時発生の検出イベントは、2つの511keVガンマ線を生成した発生源の陽電子−電子消滅事象がおよそ沿うライン・オブ・レスポンスの両終点を定める。ライン・オブ・レスポンスはまた、検出器30において、あるいはコインシデンス検出電子装置に取り込まれたときの何れかで、生理的サイクルの対応する時間でスタンプを付される。
【0025】
一部の実施形態において、コインシデンス検出電子装置50は飛行時間(タイム・オブ・フライト;TOF)PETデータを収集し、2つの実質的に同時発生の511keVガンマ線検出イベントの間の時間差(又はそれがないこと)が、ライン・オブ・レスポンスに沿った発生源の陽電子−電子消滅事象の位置を少なくとも近似的に見つけ出すために使用される。例えば、時間差がゼロである場合、発生源の陽電子−電子消滅事象の位置は、ライン・オブ・レスポンスのほぼ中点にあることが見出される。他方、時間差が大きい(例えば、500ps程度)場合、発生源の陽電子−電子消滅事象の位置は、2つの実質的に同時発生の511keVガンマ線検出事象のうちの早い方の検出器に近いことが見出される。PETデータ又はTOF−PETデータの何れの場合も、再構成プロセッサ52が例えば反復的最尤期待値最大化再構成法などの画像再構成処理を実行してPET画像を生成し、PET画像は画像メモリ54に格納され、ユーザインタフェース46に表示され、あるいはその他の方法で利用される。後述のように、各LORの軌道、又はそれが投影される画像空間は、生理的サイクルの同一の位相又はフレームを描写する2D若しくは3Dの複数のMR画像、又はモデルに従って修正される。
【0026】
VSM18によって検出された生理的信号の基準に対する時間の関数として動きを見積もるために、ラピッドMR撮像法が使用され得る。一実施形態において、このMR撮像の目的は診断撮像の目的とは異なり、撮像それ自体よりむしろ、動きモデルの構築に焦点を当てたものである。故に、MR撮像のトレードオフは、十分な空間分解能で動きモデルを構築することに画像収集時間が最適化されるようにされ得る。例えば、生理的サイクルはしばしば、時間的に短い1つ以上のフレーム又は位相と、より長く続く1つ以上のフレーム又は位相とを有する。データ収集の順序は、オーバーサンプリングを最小化しながら各位相で十分なデータサンプリングを確保するよう、VSMからの生理的信号に従ってオンザフライで調整される。
【0027】
一般に、モニタされる変化及び/又は動きはまた、PET収集時間より速い。そのような場合、モニタされた生理的信号に基づいて(例えば、それに対して)MR画像から構築された患者又は対象物の動きモデルを有することが有用である。生理的信号の基準に対する被検体の動きと時間との間の近似的な関係が、収集されたMR画像から確立される。この動きモデルは、PET収集期間を補正あるいは選択し、その後にPET画像を補正するために使用され、それにより、改善されたMR画像とPET画像との間の相関、及びMR画像動きモデルに基づいてPET画像を補正するための位置データが提供される。疾病に応じて、患者は時々、患者の安全上の問題として撮像されながら監視される。これは一般的に、呼吸モニタ及び/又は心臓モニタ(例えば、VSM)を用いて行われる。患者モニタはまた、撮像を改善する予測的(プロスペクティブ)ゲーティング又は遡及的(レトロスペクティブ)ゲーティングのために使用されることが可能である(例えば、患者の動きとの収集の同期化)。医学的な監視が行われない場合であっても、このMRシステムは、例えば、呼吸、PPG及び/又はEKGの信号など、ゲーティング用の生理的信号を取得するために必要な基本的なハードウェアを備える。このハードウェアは、監視システムとしては分類されないが、参照用に有用で、ここで説明する様々な機能を実行することに有用な信号を提供する。
【0028】
連携PET−MRシステムにおいて、反復的/周期的な患者の動きは、MRシステムで撮像する間に経時的に特徴付けられ且つ/或いはモデル化されることができる。この動きのモデル化は、その後、PET撮像を向上させるために幾つかの手法で使用され得る。例えば、患者の動きの特徴付けは、ラピッドMR撮像法と、MRシステムにおける心臓、脈拍、呼吸又はその他の生理的信号のうちの少なくとも1つの時間参照付き記録とによって実行される。そして、生理的信号の監視測定に対応する患者の動きの2D又は3DのモデルがMR画像から構築される。一実施形態において、時間に対する境界及び特定の器官の動きが確立される。その後、PET撮像における引き続いての生理的信号の監視が、動き補正に適切な収集期間を選択するため(例えば、予測的又は遡及的なゲーティング)に使用され得る。この生理的信号の監視は、MRデータから動きモデルを確立するために使用されたのと同一の生理的信号の種類に基づく。以下の例は連携PET−MRシステムに関して説明されるが、その手法は統合型システム、又はMRシステムへのPET挿入でも用いられ得るものである。また、図1のシステムは統合PET−MRシステムに関するものであるが、ここで説明する様々な態様に関して分離型のPET装置及びMR装置が採用されてもよい。
【0029】
一実施形態によれば、呼吸は胸部の拡張として監視される。横隔膜及びそれに近接する器官、例えば肺、腎臓、肝臓などの動きは、主に頭部/足部の方向に生じ得る。このサイクルにわたる3Dモデル及び/又はマルチスライス2Dモデルを、モニタされた生理的信号に基づいて構築するために、MR撮像を用いることができる。MR収集は生理的信号に同期化されることができ、生理的信号は、動き−時間モデルを構築するための基準用にデジタル化されて記録される。このとき、時間は生理的信号収集における任意あるいは選択された開始点(又は位相)に参照される。その後、これらの数値モデルは、PETスキャンの収集を時間整合するように同一の生理学的状態を用いることによって、一層良好な画像のためにPET画像を然るべく補正且つ/或いはゲーティングするために使用される。PET収集が開始されるとき、生理的信号の時間プロファイルにおける対応する点(又は位相)をVSMから知ることができる。生理的信号の時間経過(例えば、サイクルフレーム又は位相)がPET収集中に測定され記録される。確立された被検体の動き−時間モデルを用いて、周期的運動のモデルが構築され、格納され、そして、PETデータの空間補正を可能にするようにPET収集中に使用される。別々のPET収集とMR収集とを効率的に時間整合するため、相関関数又はその他の手法を用いて、2つの別々の生理的信号ストリーム(又はタイムシリーズ)の最適なアライメントを決定し得る。
【0030】
心臓のモニタリング及び/又はゲーティングは心臓撮像に有用である。サイクルにわたる心臓の位置を特徴付けてモデル化するため、ゲーティングされたMR画像が使用され得る。このモデルは、その後、PET心臓画像のゲーティング又は補正を行うために用いられ得る。MR動きモデルは被検体ごとを基本として確立されることができる。故に、MRトレーニング又はモデル構築の段階が、生理的信号の収集と並行して、PETスキャンに先立って実行される。
【0031】
他の実施形態において、VSMは、横隔膜の追跡のための超音波装置、及び/又は心臓の監視のために単純な血圧パルスをモニタする装置を含む。
【0032】
患者の境界の動きに特に関心がある場合、関心ある生理的信号の単一の位相にゲーティングされたMRデータセットが収集されてもよい。このデータは、特定の1つの位相における患者の境界の妥当なスナップショットを提供するはずである。これに続いて、前後方向(anterior-posterior;A−P)及び左右方向(L−R)の一連のラピッドMR投影を行って、生理的信号サイクルの様々な位相全体を通してのこれら2つの方向における患者境界の寸法を測定してもよい。そして、取得した投影データに基づいて上記スナップショット画像セットの患者境界を生理的信号のその他の位相に関して拡張・収縮させるために動きモデルを用い得る。この目的のために、A−P方向及びL−R方向の各々におけるゼロ位相エンコード・ビューの1D変形を用いてもよい。
【0033】
図2は、VSMにより測定される信号基準と連動したMRスキャンから生成される動きモデルを用いてPET画像補正を実行するシステム10の他の一実施形態を示している。このシステムは、PETスキャナ72に一体化されてもよいしPETスキャナ72から分離されていてもよいMRスキャナ70を含んでいる。認識されるように、ここでは様々な実施形態がPETスキャナに関して説明されるが、SPECT撮像装置も用いられ得る。VSM、MRスキャナ及びPETスキャナは、多様な情報を格納するメモリ74と、メモリ74に格納された情報の分析、操作及び/又は処理を行うための1つ以上の機械実行可能なアルゴリズムを実行するプロセッサ76とに結合されている。プロセッサ76は、MR及びPETのスキャン中に収集された生理的信号にタイムスタンプを付与し、MR及びPETのスキャン中に収集された生理的信号を整列させるよう、PETスキャン中に収集された生理的信号をMRスキャン中に収集された生理的信号に相関関数を用いて時間的に整合(レジストレーション)する。タイムスタンプを付与された生理的信号及びレジストレーションは、メモリ74にデジタル的に記憶される。
【0034】
一実施形態において、メモリ74は、1つ以上の監視信号(例えば、心拍、ECGデータ、呼吸サイクルなど)に関連付けられた被検体データ78と、MRスキャナ及びPETスキャナのうちの一方又は双方によって生成された画像データ80とを格納する。メモリは更に、被検体データと、MR画像データと、被検体データから生成された時間プロファイル84とからプロセッサによって生成された動きモデル82を格納する。例えば、時間プロファイルは、心臓サイクル、呼吸サイクル又はこれらに類するものにおけるイベントの時系列を含むことができる。プロセッサ76は、相関関数又はその他の手法を用いて2つの別々の生理的信号セットを時間整合するアルゴリズムを含んでいる。
【0035】
PETスキャナ72は、再構成に用いられ得る検出イベントの選択された時間順のリストである“リストモード”にてデータの収集及び格納を行い得る。時間プロファイルは、時間的に隣接し合うイベント間で“ライン・オブ・レスポンス”を定めるために、時間と検出器アレイ内でのイベントの位置とを含むデータレコードを含むように生成される。タイムスタンプは更に、このラインに沿って陽電子の可能性ある起源の分布を定めることができる。生理的信号源又はその他の信号源から推測される既知の位置又は状態に対象物があるときに発生したイベントを選択することによってゲーティングが実行される。ゲーティングによる収集のための位置の範囲を選択することは、適当な時間間隔を選択することによって行われる。例えば、10フレームに分割された生理的信号サイクルを用いて生成された動きモデルが、フレーム3及びフレーム7が比較的動きが小さい期間に対応しており、故に、生理的信号サイクルの中でこれらのフレームがPETスキャナを用いたスキャンに望ましい期間であることを示し得る。
【0036】
より一般的な、全ての収集データが用いられる場合、対象物の動きを予測することができる。例えば、患者の動きを直接的に測定し、あるいはモデルから予測し、関心領域などのx(t)、y(t)及びz(t)を決定することができる。リストモード形式での収集及び再構成のためのイベント選択は、対象物の動きとPET収集とを時間整合することの助けとなる。従って、基準となる対象物の位置(例えば、生理的サイクルの基準フレーム又は基準位相)が選択される場合、経時的なベクトル変位を用いてPETイベントを基準位置に移すことができ、利用可能なデータが画像を構築するために最大限使用される。選択する場合、異なる複数の基準位置における一連の再構成を用いて、動きサイクルにわたるPETイベントの活動を眺めることも可能である。
【0037】
一例によれば、横隔膜(又は、肺の底部若しくは肝臓の頂部)付近での一次元あるいは並進的な動き撮像が実行される。動きは全てのtに対してx(t)=y(t)=0.0としてz(t)によって記述されてもよい。この例において、“ホットスポット”PETイベントを、リストモードからのモデル又は測定に基づいて、時間的に基準位置に適切に再配置することができる。代替的に、MRモデルに基づいてイベント群を幾つかのフレーム(例えば10など)に蓄積してもよい。各フレームの並進的な位置が判明すると、フレーム群は、位置整合されたホットスポット合成画像をもたらすようにシフトされる。周期的運動補正の1つの利点は、選択フレーム(群)内で発生したイベント部分のみを使用するゲーティングによる調査と比較して、イベント統計の使用率が最大化されることである。
【0038】
MRスキャナ70は、器官又は解剖学的構造の変位をMR信号とともに測定する1つ以上のナビゲータシーケンス86を生成する。例えば、ナビゲータは、MRデータ収集をゲーティングする(例えば、上述のように、対象物が既知の位置又は推測された位置にあるときに発生するイベントを選択することを含む)ために用いられ得る。また、ナビゲータは、外部モニタに対する動きを測定することができる。一例によれば、感度を有するボリューム(例えば、2cm×2cm×40cm、又はその他のボリューム)が患者内でオペレータによって励起される。長い寸法が横隔膜の動き方向にある場合、信号の1Dフーリエ変換によって、対象物(例えば、横隔膜)が位置する場所が示される。ナビゲータシーケンスの繰り返しごとに現在位置が示される。境界に関心がある場合、導関数が長期にわたっての境界を規定する。関心領域が移動境界(例えば、この例において横隔膜)から遠いとき、モデルは二次元又は三次元とし得る。ナビゲータは、最大の変位に追従するように方向付けられてもよい。他の実施形態において、ナビゲータ86は、被検体が動くときに関心領域の回転を測定する回転ナビゲータを含む。
【0039】
被検体の動きが比較的急速あるいは複雑であるとき、MRスキャナは、器官の動きを記述するタグ付けシーケンスを生成するタグ付け部88を使用することができる。例えば、心臓の運動を記述するために心臓タグ付けシーケンスが用いられ得る。心臓のタグ付けは、一連の飽和バンドを心臓に適用するシーケンスを用いる。二次元の場合、このシーケンスは正方格子状の飽和バンドである。これらのバンドは暗く(例えば、MR信号を全く有しない、あるいは最小限のMR信号を有するライン)、画像に十字に交わる。そして、撮像により、タグが付けられた時点と画像の読み出し時点との間での心臓(又は、その他の対象物)の歪みが示される。故に、この技術を用いて時系列フレーム群をレジストレーションすることができる。このようなタグ付け技術は肺(特に、肺の境界)の運動を示すために用いられることも可能であり、そのシーケンスは一次元、二次元又は三次元とし得る。タグ付け部は、各格子位置の信号を追跡し、それにベクトル変位を割り当てることができる。斯くして、動きモデルを作り出すための特別な器官セグメント化手法が回避される。飽和格子の外側に位置するボクセルの動きは、補間又はその他の手法を用いて推測されることが可能である。一実施形態において、MRモデル82は、如何なる時点においても各ピクセルの位置及び速度を正確に記述するピクセルごと(又は、ボクセルごと)のパラメータモデルである。このパラメータモデルは、上述の動き補正を達成するために使用されることができる。
【0040】
MRスピンタグ付けシーケンスは、飽和バンドを組織の選択部分上にエンコードする。この処理を用いて、特定の組織の動きに追従し、それを測定することができる。これは、複雑な動き及び非弾性材料などの場合に有利となり得る。この場合、動きの特徴付けは、静止画像からのモデルに基づくのではなく、選択された組織の動きの実測定である。同様に、スペクトロスコピーにおいてのような励起された選択ボクセルの動きが、より小さいスケールで動きモデルを作り出すために撮像されてもよい。この後者の手法は、呼吸による肝臓の動きを追跡するのに一層適したものになり得る。これらの場合の何れにおいても、励起(基準)位置と、該励起位置との間で時間とともに進展する動きを有する読み出し位置とが存在する。これらの手法は何れも、組織が動くときの励起領域の変位を直接測定することを可能にする。これらの直接測定は、収集され且つ収集と同時にデジタル化される生理的信号における同様の時点での動きを補正するために使用されることができる。
【0041】
図3は、モニタされた基準信号及びMRスキャンデータを用いて動きモデルを生成し、且つ該動きモデルをPET(又はSPECT)スキャン画像データの補正に用いる方法100を示している。ステップ102にて、関心領域(例えば、被検体内の器官又は解剖学的構造)がMRスキャナを用いてスキャンされ、MRのk空間データラインの検出時にそれらにタイムスタンプが付与される。同時に、ステップ104にて、生理学的な信号(例えば、心拍、ECG、呼吸など)が被検体内で監視され、フレーム群又は位相群に分割される。例えば、例えば心拍全体などの心臓サイクルが、多数のフレーム又は位相(例えば、2、5、10など)に分割される。タイムスタンプを付与されたMRデータは、ステップ106にて、生理的信号のサイクルを記述する時間プロファイル内の対応するフレームに結び付けられる。例えば、サイクルの第1フレーム中に検出されたMRデータはそのようにマークを付され、第2フレーム中に検出されたMRデータは、第2フレーム中に検出されたものであるとして指し示される、等々である。生理的信号の各フレーム又は各位相に関する画像を再構成するのに十分なMRデータを収集するため、ステップ102、104、106が繰り返され得る。ステップ108にて、検出されたMRデータ及び生理的信号の関数として動きモデルが生成される。すなわち、生理的信号サイクル内の異なるフレームに対応する僅かに異なる形状を用いて、時間依存モデルが生成される。例えば、各フレームからのMRデータが、対応する画像へと再構成される。これらの画像は、関心領域内の器官又は組織構造の位置、形状などの、フレームごとのモデルを提供する。ステップ110にて、生理的信号をモニタしながら、関心領域についてPET(又はSPECT)スキャンが実行される。ステップ112にて、関心領域の動きが、モニタされた生理的信号サイクル内での現時点又は現フレームの関数として推測される。例えば、生理的信号が1サイクルを経過するとき、その各フレームにて、動きモデルを用いて、後にPET(又はSPECT)画像を補正するために使用される関心領域の変形が予測される。他の一実施形態においては、動きモデルを用いて、例えばMRスキャンデータから決定された動きが最小である信号サイクル内のフレーム群など、適切なPET(又はSPECT)スキャン期間が特定される。斯くして、この方法は、被検体の周期的な動きに伴う不正確さに関してPET(又はSPECT)画像データを補正することを容易にし、該補正により、画像の外観を改善すること、ぼやけた画像表現を低減することなどが可能である。
【0042】
この補正を視覚化する一手法は、再構成されたPET画像を、撮像領域に対応するボクセル群の規則的なアレイと見なすことである。周期運動のため、関心器官はボクセルアレイに対して移動する。ボクセルアレイに異なるフレーム群からライン・オブ・レスポンスを逆投影する場合、ぼけ(ブラー)が発生する。
【0043】
各フレームのMR画像は(精度を高めるためにボクセルは小さくされ得るが)同様のボクセルアレイとして記述されることが可能である。これらのMR画像は、1D画像(例えば、ナビゲータシーケンスから)、2D画像又は3D画像とし得る。ここでは、“画像”は、コンピュータによって読み取り可能な画像表現を表し、画像が表示のためにヒト読み取り可能画像に変換されることを必要としない。
【0044】
PET基準フレームを再構成するため、基準フレーム内の各ライン・オブ・レスポンスは単純にPETボクセルアレイに逆投影される。基準フレーム以外のフレーム内で収集された各ライン・オブ・レスポンスに対し、同一フレームのMR画像が注目される。同一フレームのMR画像内で関心器官がどのように動いたかを基準MRフレーム画像に対して比較することにより、該ライン・オブ・レスポンスの軌道が、基準フレーム内で関心器官を通る対応する軌道を規定するように、どのように調整される必要があるかを決定することができる。より数学的に述べれば、非基準フレームのMR画像内で関心器官を通るLORの軌道を、基準フレームのMR画像内の関心器官に対する同一の軌道に変換するための変換が決定される。ライン・オブ・レスポンスはそれに従って調整(変換)され、PET画像のボクセルアレイに逆投影される。
【0045】
幾つかの実施形態を参照しながら本発明を説明した。以上の詳細な説明を読み、理解した者は、変更及び変形に思い当たるであろう。本発明は、添付の請求項の範囲又はその均等範囲に入る限りにおいて、そのような全ての変更及び変形を含むものとして解されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内の関心領域をスキャンし、生理的サイクル中の該関心領域の画像データを生成するMRスキャナ;
前記生理的サイクルを複数のフレームに分割し、前記MR画像データを前記生理的サイクル内の対応するフレームに関連付け、且つ一連のMR画像を再構成して前記生理的サイクル中の前記関心領域の動きモデルを生成するプロセッサ;
前記生理的サイクルの前記複数のフレームにおいて前記関心領域からPETデータを収集するPETスキャナ;及び
前記動きモデルを使用して前記生理的サイクルの1つ以上の基準フレームにおけるPET画像を生成するPET再構成プロセッサ;
を含む撮像システム。
【請求項2】
前記PETスキャナは、リストモードにて、ライン・オブ・レスポンスとして前記関心領域からデータを収集し、且つ各ライン・オブ・レスポンスに、それが収集されたフレームに従ってマークを付与する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記PETスキャナは飛行時間(TOF)スキャナである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記MRスキャナが前記関心領域をスキャンするときに前記被検体内の前記生理的サイクルを監視するモニタ装置(VSM)、を更に含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記VSMは、前記被検体内の心臓サイクルを監視する心電計、及び前記被検体内の呼吸サイクルを監視する呼吸モニタのうちの少なくとも一方を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記VSMはPETスキャン中に前記被検体内の周期的な生理的信号を監視する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記動きモデルを分析して、前記周期的な生理的信号の各フレームにおいて検出された動きの量を決定し、MRスキャン中に発生した動きの量が最小のフレームを特定し、且つ特定されたフレーム中にデータを収集するように前記PETスキャナをゲーティングする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記PET再構成プロセッサは、前記基準フレーム以外のフレームにおいて収集されたPETデータを前記動きモデルに従って調整し、且つ調整されたPETデータを、前記基準フレームに対応するPET画像に再構成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記MRスキャナは、所定の点に対する前記関心領域の変位及び所定の軸に対する前記関心領域の回転のうちの少なくとも一方を指し示すために再構成されるMRデータを生成するナビゲータシーケンスを生成する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記動きモデルは前記関心領域の3Dモデルである、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは:
前記被検体内の前記関心領域の前記MR画像データを収集するルーチン又は手段;
MRデータ収集中に前記被検体内の生理的サイクルを監視するルーチン又は手段;
収集された前記MR画像データを、前記生理的サイクルの複数のフレームのうちの1つに関連付けるルーチン又は手段;
収集された前記MR画像データから、各フレームにおける前記関心領域の相対変位を指し示す動きモデルを生成するルーチン又は手段;
PETスキャン中に前記被検体内の生理的信号を監視するルーチン又は手段;及び
前記動きモデルを用いて、前記PETスキャン中の前記生理的サイクルの各フレームにおける前記関心領域の変位を推測するルーチン又は手段;
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムを用いて、動き補正されたPET画像を生成する方法であって:
前記関心領域の動きを指し示すMRデータを収集する段階;
前記MRデータの収集中に前記被検体の生理的サイクルを監視する段階;
収集されたMRデータを、前記生理的サイクルの各位相又は各時間に関連付ける段階;
動きを指し示す前記関心領域の基準位置からのベクトル変位を時間の関数として特徴付ける段階;
PETデータ収集中に前記生理的サイクルを監視する段階;
動きの監視を用いて、前記PETデータ収集における前記生理的サイクル中の前記関心領域のベクトル変位を推測する段階;及び
前記生理的サイクルの前記基準フレームにおける前記関心領域の動き補正されたPET画像を生成する段階;
を含む方法。
【請求項13】
被検体内の関心領域のMRデータを収集する段階;
前記MRデータを収集しながら、前記被検体の生理的サイクルを監視する段階;
収集されたMRデータを、前記生理的サイクルの複数のフレームの各々に関連付ける段階;
各フレームに対して、関心領域の動きを指し示す前記関心領域の動きモデルを生成する段階;
PETスキャン中にPETデータを収集しながら前記生理的サイクルを監視する段階;及び
前記PETデータの、前記生理的サイクルの選択フレームにおける動き補正されたPET画像への再構成において、前記動きモデルを用いる段階;
を含むPET撮像方法。
【請求項14】
前記基準フレーム以外のフレームにおいて収集されたPETデータを前記動きモデルに従って調整し、調整されたPETデータを、前記基準フレームに対応するPET画像に再構成する段階、を更に含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記動きモデルを分析して、周期的な生理的信号の各フレームにおいて検出された動きの量を決定し、MRスキャン中に発生した動きの量が最小のフレームを特定し、且つ特定されたフレーム中にデータを収集するようにPETスキャナをゲーティングする段階、を更に含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記生理的サイクルは、前記被検体内の心臓サイクル及び呼吸サイクルのうちの一方を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記動きモデルが前記関心領域の最小の動きを示す1つ以上のフレームを特定し、特定された該1つ以上のフレームからのデータのみを用いるようにゲーティングする段階、を更に含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
収集されたPET画像データを、前記生理的サイクルの各フレームにおいて、前記生理的サイクルの同一フレーム内で収集されたMRデータから再構成されたMR画像と、前記基準フレーム内で収集されたMRデータから再構成されたMR画像と、の間での前記関心領域の相対的な動きに従って遡及的に調整する段階、を更に含む請求項13に記載の方法。
【請求項19】
請求項13に記載の段階群を実行する1つ以上の手段を含む、動き補正されたPET画像を生成する装置。
【請求項20】
前記関心領域の前記PET画像を前記動きモデルの形状に従って変形する段階、を更に有する請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記関心領域は心臓であり、心臓の動きを記述する心臓タグ付けシーケンスを使用する段階を更に含む請求項13に記載の方法。
【請求項22】
動き補正されたPET画像を生成する方法であって:
生理的サイクルの、基準フレームを含む複数のフレームの各々に対応する磁気共鳴画像を生成する段階;
複数のライン・オブ・レスポンスを生成するようにPETデータを収集し、且つ前記生理的サイクルを監視する段階;
各ライン・オブ・レスポンスを、前記生理的サイクルの前記複数のフレームのうちの1つと関連付ける段階;
前記基準フレーム以外で、各ライン・オブ・レスポンスの軌道を、同一フレームに対応するMR画像と前記基準フレームに対応するMR画像との間での相対的な関心領域の動きに従って調整する段階;及び
前記基準フレームにおける前記関心領域のPET画像を用いて、前記複数のライン・オブ・レスポンスを再構成する段階;
を有する方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法を実行するようにプログラムされた1つ以上のプロセッサを含む撮像システム。
【請求項24】
記憶媒体に格納された機械実行可能な命令を実行するように構成されたプロセッサであって、前記命令は:
被検体内の関心領域のMR画像データを収集すること;
MRデータ収集中に、前記被検体内の生理的サイクルを監視すること;
収集されたMR画像データを、前記生理的サイクルの複数のフレームのうちの1つと関連付けること;
収集されたMRデータから、各フレームにおける前記関心領域の相対変位を指し示す動きモデルを生成すること;
PETスキャン中に前記被検体内の生理的信号を監視すること;及び
前記動きモデルを用いて、前記PETスキャン中の前記生理的サイクルの各フレームにおける前記関心領域の変位を推測すること;
を含む、
プロセッサ。
【請求項25】
被検体内の関心領域をスキャンし、生理的サイクル中の該関心領域の画像及びMRデータを生成するMRスキャナ;
前記生理的サイクル中の動きを前記生理的サイクルのMR画像及び動きデータに相関付け、基準位置に対する変位としての動きを、前記生理的サイクル内の時間の関数として特徴付けるプロセッサ;
前記生理的サイクル中に前記関心領域からPETデータを収集するPETスキャナ;及び
前記動きの特徴付けを使用して前記生理的サイクルの基準位置におけるPET画像を生成するPET再構成プロセッサ;
を含む撮像システム。
【請求項26】
前記動きの特徴付けは、MRスピンタグ付け技術を用いた選択組織の動きの測定を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記プロセッサは、MRスキャン及びPETスキャン中に収集された生理的信号にタイムスタンプを付与し、且つ、MRスキャン及びPETスキャン中に収集された生理的信号を整列させるように、相関関数を用いて、PETスキャン中に収集された生理的信号をMRスキャン中に収集された生理的信号に時間的にレジストレーションし、前記タイムスタンプを付与された生理的信号及び前記レジストレーションは、メモリにデジタル的に記憶される、請求項25に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−503569(P2011−503569A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532684(P2010−532684)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054488
【国際公開番号】WO2009/060348
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】