説明

N−スルホニルアミノカルボニル含有化合物

基材とアミン含有材料との間にコネクター基を提供するために使用可能な、2個の反応性官能基を有する化合物が記載される。第1の反応性官能基を使用して、基材表面への結合を提供することができる。第2の反応性官能基は、N−スルホニルアミノカルボニル基であり、アミン含有材料と、特に、第一級脂肪族アミンと反応可能であり、カルボニルイミノ含有コネクター基が形成される。また本発明は、アミン含有材料を基材に固定化するための物品および方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2003年11月14日出願の米国特許出願第10/713174号の一部継続出願であり、そして2003年12月30日出願の米国仮特許出願第60/533169号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、基材反応性基とN−スルホニルアミノカルボニル基の両方を含む化合物を提供する。また本発明は、アミン含有材料を基材に固定化するための物品および方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
基材表面上に固定化された、アミン含有被検体、アミノ酸、DNA断片、RNA断片、タンパク質断片、細胞小器官および免疫グロビンのようなアミン含有材料は、多くの応用において使用可能である。例えば、病気または遺伝子欠損の医学的診断のため、生物学的分離のため、または様々な生体分子の検出のために、固定化された生物学的アミンを使用することができる。
【0004】
基材へのアミン含有材料の結合は、テザリング(tethering)化合物の使用によって達成されることが多い。テザリング化合物は、通常、連結基によって分離された2個の反応性官能基を有する。官能基の1個は、基材表面上の相補的な官能基と反応することによってテザリング化合物を基材に固着させるための手段を提供する。第2の反応性官能基は、アミン含有材料と反応するように選択することができる。第2の反応性官能基は、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルのような活性化アシル誘導体、または環式アズラクトンであり得る。アミン含有材料はN−ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応して、カルボキサミドを形成し、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル断片の置換をもたらし得る。アミン含有材料は環式アズラクトンと反応して、環構造の開環をもたらし得る。
【0005】
N−ヒドロキシスクシンイミドエステルまたは環式アズラクトンのような基を含むテザリング化合物は、第一級アミン含有材料と高反応性であり得るが、かかるテザリング化合物は、多くの不都合を被り得る。生物学的アミンとの反応の多くは、希釈水溶液中で実行される。これらの条件下で、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル官能基が迅速な加水分解を受けることは既知である。このような競争反応は、基材上でのアミン含有材料の不完全な、または非効率的な固定化を引き起こし得る。環式アズラクトン官能基は、加水分解に対してより安定ではあるが、環式アズラクトン基は、テザリング化合物を基材に結合させるために使用され得る多くの基と総合的に不適合性である傾向がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アミン含有材料を基材に固定化するためのテザリング化合物として機能し得る化合物を提供する。化合物は2種類の反応性官能基を含む。反応性官能基の第1の種類は、基材表面上の相補的な官能基と反応可能な基材反応性基であって、これによって、基材へのテザリング基の結合が得られる。反応性官能基の第2の種類は、求核置換反応によってアミン含有材料と反応可能なN−スルホニルアミノカルボニル誘導体である。コネクター基は、アミン含有材料と基材との間に形成される。アミン含有材料を基材に固定化するための物品および方法も提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様において、基材に結合可能であり、かつアミン含有材料と反応可能である化合物が提供される。化合物は、式I:
【化1】

(式中、
1は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファトまたはエチレン性不飽和基から選択される基材反応性官能基であり;
1は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、アルキル、アリールまたは−(CO)Raであって、Raは、R1およびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRbcであって、RbおよびRcは、それぞれアルキル基であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員の環式基を形成するか、あるいはR1は、Raおよびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1が一価の基である場合、rは1に等しく、またはX1が二価の基である場合、rは2に等しい)の化合物であり得る。式Iの化合物は、未置換であり得るか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0008】
式Iで表される化合物のいくつかにおいて、基材反応性基X1はエチレン性不飽和基であり、そしてY1は、カルボニル基を通してエチレン性不飽和基に直接結合されたカルボニル、カルボニルオキシまたはカルボニルイミノ基を含有する。すなわち、化合物は、式Ia:
【化2】

(式中、
5は、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、オキシ、−NR4−または−C(R42−であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールであり;そして
2は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)で表される。式Iaの化合物は、未置換であり得るか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0009】
本発明のもう1つの態様は、基材に結合されたテザリング基を含む物品を提供する。テザリング基は、イオン結合、共有結合またはそれらの組み合わせを形成するための、式Iの化合物中の基材反応性基X1と、基材表面上の相補的な官能基との反応生成物である。基材に結合されたテザリング基は、アミン含有材料と反応可能なN−スルホニルアミノカルボニル基を有する。
【0010】
本発明のなおもう1つの態様は、アミン含有材料を基材に固定化する方法を提供する。この方法は、式Iの化合物中の基材反応性基X1と、基材表面上の相補的な官能基との反応によって、基材に結合されたテザリング基を調製する工程と;基材に結合されたテザリング基のN−スルホニルアミノカルボニル基と、アミン含有材料とを反応させて、基材とアミン含有材料との間にコネクター基を形成する工程とを含む。
【0011】
また本発明は、ポリマー層、ダイヤモンド様ガラス層、およびポリマー層とダイヤモンド様ガラス層との間に位置するダイヤモンド様炭素層を含む多層基材を提供する。N−スルホニルアミノカルボニル基を含むテザリング基は、多層基材のダイヤモンド様ガラス層に結合可能である。
【0012】
本発明の上記概要は、本発明のそれぞれの開示された実施形態または全ての実施例を説明する意図はない。以下の図面および詳細な説明によって、これらの実施形態はより具体的に例証される。
【0013】
添付図面と関連させて、以下の様々な実施形態の詳細な説明を考慮することによって、上記態様がより完全に理解され得る。
【0014】
本発明では、様々な変更および別の形態を受け入れ可能であるが、それらの細部を図面中に例として示し、詳細に説明する。しかしながら、記載された特定の実施形態に本発明を限定する意図がないことは理解されるべきである。反対に、本発明は、本開示の精神および範囲内に含まれる全ての変更、同等物および代替物を包括する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
基材とアミン含有材料との間にコネクター基を提供するために使用可能な、2個の反応性官能基を有する化合物が記載される。第1の反応性官能基を使用して、テザリング基の基材表面への結合を提供することができる。第2の反応性官能基は、N−スルホニルアミノカルボニル基であり、アミン含有材料と、特に、第一級脂肪族アミン含有材料と反応可能であり、カルボニルイミノ含有コネクター基が形成される。また本発明は、アミン含有材料を基材に固定化するための物品および方法も提供する。
【0016】
定義
本明細書で使用される場合、単数形(用語「a」、「an」および「the」)は、「少なくとも1個」と交換可能に使用され、記載される1以上の要素を意味する。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「アシル」は、式−(CO)R(式中、Rはアルキル基である)の一価の基を指す。式中で使用される(CO)は、二重結合によって炭素が酸素に結合していることを表している。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「アシルオキシ」は、式−O(CO)R(式中、Rはアルキル基である)の一価の基を指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「アシロキシシリル」は、Siに結合されたアシルオキシ基(すなわち、Si−O(CO)R(式中、Rはアルキル基である))を有する一価の基を指す。例えば、アシロキシシリルは、式−Si[O(CO)R)3-nn(式中、nは0〜2の整数であり、そしてLはハロゲンまたはアルコキシである)を有し得る。具体的な例としては、−Si[O(CO)CH33、−Si[O(CO)CH32Clまたは−Si[O(CO)CH3]Cl2が挙げられる。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は、式−OR(式中、Rはアルキル基である)の一価の基を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシカルボニル」は、式−(CO)OR(式中、Rはアルキル基である)の一価の基を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシシリル」は、Siに結合されたアルコキシ基(すなわち、Si−OR(式中、Rはアルキル基である))を有する基を指す。例えば、アルコキシシリルは、式−Si(OR)3-n(Lan(式中、nは0〜2の整数であり、そしてLaはハロゲンまたはアシルオキシである)を有し得る。具体例としては、−Si(OCH33、−Si(OCH32Clまたは−Si(OCH3)Cl2が挙げられる。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、アルカンの一価のラジカルを指し、そして直鎖、分枝鎖、環式またはそれらの組み合わせである基を含む。アルキル基は、典型的に、1個〜30個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1個〜20個の炭素原子、1個〜10個の炭素原子、1個〜6個の炭素原子、または1個〜4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三級−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルおよびエチルヘキシルが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルジスルフィド」は、式−SSR(式中、Rはアルキル基である)の一価の基を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン」は、アルカンの二価のラジカルを指す。アルキレンは、直鎖、分枝鎖、環式またはそれらの組み合わせであり得る。アルキレンは、典型的に、1個〜200個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アルキレンは、1個〜100個、1個〜80個、1個〜50個、1個〜30個、1個〜20個、1個〜10個、または1個〜4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一炭素原子上(すなわち、アルキリデン)、または異なる炭素原子上にあり得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「アラルキル」は、化合物R−Ar(式中、Arは芳香族炭素環基であり、そしてRはアルキル基である)の一価のラジカルを指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「アラルキレン」は、式−R−Ar−(式中、Arはアリーレン基であり、そしてRはアルキレン基である)の二価のラジカルを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、一価の芳香族炭素環ラジカルを指す。アリールは、1個の芳香族環を有し得るか、または芳香族環に連結したか、もしくは縮合した5個までの炭素環構造を含み得る。他の環構造は、芳香族、非芳香族またはそれらの組み合わせであり得る。アリール基の例としては、限定されないが、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アントリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニルおよびフルオレニルが挙げられる。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「アリーレン」は、連結したか、縮合したか、またはそれらの組み合わせである1個〜5個の環を有する炭素環芳香族化合物の二価のラジカルを指す。いくつかの実施形態において、アリーレン基は、5個までの環、4個までの環、3個までの環、2個までの環、または1個の芳香族環を有する。例えば、アリーレン基はフェニレンであり得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「アジド」は、式−N3の基を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「アジリジニル」は、次式
【化3】

(式中、Rdは、水素またはアルキルである)を有するアジリジンの一価の環式ラジカルを指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「ベンゾトリアゾリル」は、トリアゾリル基に縮合したベンゼン基を有する一価の基を指す。ベンゾトリアゾリル基の式はC643−である。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「カルボニル」は、式−(CO)−の二価の基を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「カルボニルイミノ」は、式−(CO)NR4−(式中、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)の二価の基を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「カルボニルオキシ」は、式−(CO)O−の二価の基を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「カルボニルオキシカルボニル」は、式−(CO)O(CO)−の二価の基を指す。かかる基は、無水物化合物の一部である。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「カルボニルチオ」は、式−(CO)S−の二価の基を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「カルボキシ」は、式−(CO)OHの一価の基を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「クロロアルキル」は、塩素原子で置換された水素原子を少なくとも1個有するアルキルを指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「シアノ」は、式−CNの基を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「ジスルフィド」は、式−S−S−の二価の基を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「エチレン性不飽和」は、式−CR5=CH2(式中、R5は、水素、アルキルまたはアリールである)の炭素−炭素二重結合を有する一価の基を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「フルオロアルキル」は、フッ素原子で置換された水素原子を少なくとも1個有するアルキルを指す。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルキル」は、F、Cl、BrまたはIから選択されるハロゲンで置換された水素原子を少なくとも1個有するアルキルを指す。ペルフルオロアルキル基は、ハロアルキル基のサブセットである。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「ハロカルボニルオキシ」は、式−O(CO)X(式中、Xは、F、Cl、BrまたはIから選択されるハロゲン原子である)の一価の基を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「ハロカルボニル」は、式−(CO)X(式中、Xは、F、Cl、BrまたはIから選択されるハロゲン原子である)の一価の基を指す。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「ハロシリル」は、ハロゲンに結合されたSi(すなわち、Si−X(式中、Xはハロゲンである))を有する基を指す。例えば、ハロシリル基は、式−SiX3-n(Lbn(式中、nは0〜2の整数であり、そしてLbはアルコキシまたはアシルオキシから選択される)であり得る。いくつかの具体例としては、−SiCl3、−SiCl2OCH3および−SiCl(OCH32の基が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアルキレン」は、硫黄、酸素またはNRd(式中、Rdは、水素またはアルキルである)で置換された1個以上の炭素原子を有する二価のアルキレンを指す。ヘテロアルキレンは、直鎖、分枝鎖、環式またはそれらの組み合わせであり得、そして400個までの炭素原子および30個までのヘテロ原子を含み得る。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキレンは、300個までの炭素原子、200個までの炭素原子、100個までの炭素原子、50個までの炭素原子、30個までの炭素原子、20個までの炭素原子、または10個までの炭素原子を含み得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシ」は、式−OHの基を指す。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「イソシアナト」は、式−NCOの基を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「メルカプト」は、式−SHの基を指す。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「N−スルホニルアミノカルボニル」は、式−SO2NZa(CO)−(式中、Zaは、アルキル、アリールまたは群構造の一部である)の二価の単位を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「オキシ」は、式−O−の二価の基を指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「オキシカルボニルイミノ」は、式−O(CO)NR4−(式中、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)の二価の基を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、用語「オキシカルボニルオキシ」は、式−O(CO)O−の二価の基を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、用語「オキシカルボニルチオ」は、式−O(CO)S−の二価の基を指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「ペルフルオロアルキル」は、全ての水素原子がフッ素原子によって置換されているアルキル基を指す。ペルフルオロアルキル基は、フルオロアルキル基のサブセットである。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「ホスファト」は、式−OPO32の一価の基を指す。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「ホスホノ」は、式−PO32の一価の基を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「ホスホラミド」は、式−NHPO32の一価の基を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、用語「第一級芳香族アミノ」は、式−ArNH2(式中、Arはアリール基である)の一価の基を指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、用語「第二級芳香族アミノ」は、式−ArNRhH(式中、Arはアリール基であり、そしてRhはアルキルまたはアリールである)の一価の基を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、用語「第三級アミノ」は、式−NR2(式中、Rはアルキルである)の基を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、用語「チオ」は、式−S−の二価の基を指す。
【0065】
本明細書で使用される場合、用語「チオカルボニルイミノ」は、式−S(CO)NR4−(式中、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)の二価の基を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、用語「結合基」は、式Iで表される化合物中の基材反応性基と、基材表面上の相補的な官能基との反応によって形成された基を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、用語「相補的な官能基」は、上記の基と反応して、イオン結合、共有結合またはそれらの組み合わせを形成可能な基を指す。例えば、相補的な官能基は、式I中の基X1と反応可能な、基材上の基であり得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、用語「コネクター基」は、固定化されたアミン含有材料に基材を連結する基を指す。結合基は、コネクター基の一部である。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「室温」は、約20℃〜約25℃、または約22℃〜約25℃の温度を指す。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「基材」は、本発明のテザリング化合物が結合可能な固体相支持体を指す。基材は、限定されないが、薄膜、シート、メンブレン、フィルター、不織もしくは織物繊維、中空もしくは固体ビーズ、ボトル、プレート、チューブ、ロッド、パイプまたはウエハーを含む、いずれかの有用な形態を有し得る。基材は、多孔性であっても非多孔性であってもよく、剛性であっても屈曲性であってもよく、透明であっても不透明であってもよく、透明であっても着色されていてもよく、または反射性であっても非反射性であってもよい。適切な基材材料としては、例えば、ポリマー材料、ガラス、セラミックス、金属、金属酸化物、水和金属酸化物またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「テザリング化合物」は、2個の反応性基を有する化合物を指す。反応性基の1個(すなわち、基材反応性官能基)は、基材表面上の相補的な官能基と反応して、テザリング基を形成可能である。他の反応性基(すなわち、N−スルホニルアミノカルボニル基)は、アミン含有材料と反応可能である。テザリング化合物の両方の反応性基の反応によって、基材とアミン含有材料との間のコネクター基の形成が生じる(すなわち、アミン含有材料は基材上に固定化可能である)。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「テザリング基」は、テザリング化合物と、テザリング化合物を有する基材表面上の相補的な官能基との反応から生じる、基材に結合された基を指す。テザリング基は、アミン含有材料と反応可能な基を含む。テザリング基は、N−スルホニルアミノカルボニル基を含む。結合基はテザリング基の一部である。
【0073】
本明細書で使用される場合、式中の2個の基を連結する曲線は、その2個の基が、環式構造の一部を一緒に形成することを表示する。
【0074】
化合物
本発明の一態様は、テザリング化合物を提供する。この化合物は、基材反応性基とN−スルホニルアミノカルボニル基の両方を含む。基材反応性基は、基材への結合のために使用可能であり、そしてN−スルホニルアミノカルボニル基はアミン含有材料と反応して、カルボニルイミノ含有コネクター基が形成可能であり、基材へのアミン含有材料の固定化がもたらされる。すなわち、化合物を反応させて、基材とアミン含有材料との間にコネクター基を提供することができる。
【0075】
化合物は式I:
【化4】

(式中、
1は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファトまたはエチレン性不飽和基から選択される基材反応性官能基であり;
1は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、アルキル、アリールまたは−(CO)Raであって、Raは、R1およびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRbcであって、RbおよびRcは、それぞれアルキル基であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員の環式基を形成するか、あるいはR1は、Raおよびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1が一価の基である場合、rは1に等しく、またはX1が二価の基である場合、rは2に等しい)の化合物である。式Iの化合物は、未置換であり得るか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0076】
官能基X1は、典型的に、式I中の基−(CO)NZ1SO21とは反応せず、そして例えば、基材表面上の相補的な官能基との反応による基材への結合を提供するために使用可能である。すなわち、式Iの化合物中のX1は、相補的な官能基と反応して、基材に結合されたテザリング基を形成可能である。X1は一価または二価であり得る。X1が二価である場合、式I中のrは2に等しく、そし化合物は以下の構造:
【化5】

を有する。化合物は、X1について対称となり得る。ジスルフィドは、代表的な二価のX1基である。X1が一価である場合、式I中のrは1に等しく、そして化合物は以下の構造:
【化6】

を有する。適切な一価のX1基としては、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファトまたはエチレン性不飽和基が挙げられる。
【0077】
1基は、典型的に、基材表面上の相補的な官能基と反応し、イオン結合、共有結合またはそれらの組み合わせを形成可能である。ポリマー基材の表面への結合のために適切なX1基としては、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノまたはエチレン性不飽和基が挙げられる。金含有基材の表面への結合のために適切なX1基としては、メルカプト、ジスルフィドまたはアルキルジスルフィドが挙げられる。他の金属含有基材の表面への結合のために適切なX1基としては、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミドまたはホスファト基が挙げられる。ガラスまたはセラミック含有基材への結合、ならびに金属酸化物含有または水和金属酸化物含有基材への結合のために適切なX1基としては、ハロシリル、アルコキシシリルまたはアシロキシシリル基が挙げられる。
【0078】
式Iで表される化合物のいくつかにおいて、X1基は、エチレン性不飽和基であり得る。これらの化合物は、例えば、ビニル化合物、ビニルエステル化合物、アリルエステル化合物、スチレン化合物、ビニルケトン化合物、アクリレート化合物、メタクリレート化合物等であり得る。例えば、異なるY1基を選択することによって、これらの異なる種類の化合物を形成することができる。
【0079】
式I中の基Y1は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であり得、R4は、水素、アルキルまたはアリールである。Y1基は、典型的に、ペルオキシド基(すなわち、一緒に結合した2個のオキシ基)を含まない。適切なヘテロアルキレンは、通常、1個〜400個の炭素原子、および30個までのN、O、Sまたはそれらの組み合わせから選択されるヘテロ原子を含有する。適切なアルキレンは、通常、1個〜200個の炭素原子を含有する。ヘテロアルキレンおよびアルキレン基は、直鎖、分枝鎖、環式またはそれらの組み合わせであり得る。
【0080】
基Y1は、例えば、次式:
【化7】

(式中、nは、1〜100の整数である)のようにアルキレン基を含み得る。代表的な化合物としては、nが、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下の整数であるものが挙げられる。基X1、r、Z1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0081】
式Iで表される化合物のいくつかにおいて、Y1は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオまたは−NR4−から選択される基によって第2のアルキレンまたは第1のヘテロアルキレン基に連結された第1のアルキレン基を含む。カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオまたは−NRa−から選択される基によって、追加的なアルキレンまたはヘテロアルキレン基を第2のアルキレンまたは第1のヘテロアルキレン基に連結可能である。式Iで表される他の化合物において、Y1は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオまたは−NR4−から選択される基によって第2のヘテロアルキレンまたは第1のアルキレン基に連結された第1のヘテロアルキレン基を含む。カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ基、オキシ、チオまたは−NRa−から選択される基によって、追加的なアルキレンまたはヘテロアルキレン基を第2のヘテロアルキレンまたは第1のアルキレン基に連結可能である。
【0082】
例えば、化合物は次式:
【化8】

(式中、Dは、酸素、硫黄またはNHであり;mは、1〜200の整数であり;tは、0〜12の整数であり;そしてkは、2〜4の整数である)を有し得る。代表的な化合物としては、mが、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下の整数であり;tが、10以下、8以下、6以下、4以下、2以下または0に等しい整数であり;そしてkが、3以下、2以下または1に等しい整数であるものが挙げられる。いくつかの化合物において、ヘテロ原子Dは酸素であり、そしてkは2に等しい。基X1、r、Z1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0083】
他の例において、基Y1は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−またはそれらの組み合わせによって分離されたアルキレン基とヘテロアルキレン基との組み合わせを含み得る。
【化9】

式中、Dは、酸素、硫黄またはNHであり;nは、1〜100の整数であり;mは、1〜200の整数であり;tは、0〜12の整数であり;kは、2〜4の整数であり;そしてLは、酸素またはNR4であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールである。アルキレン基およびヘテロアルキレン基の位置を逆にすることもできる。代表的な化合物としては、nが、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下の整数であり;mが、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下の整数であり;tが、10以下、8以下、6以下、4以下、2以下または0に等しい整数であり;そしてkが、3以下、2以下または1に等しい整数であるものが挙げられる。いくつかの化合物において、D基は酸素であり、そしてkは2に等しい。基X1、r、Z1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0084】
他の例において、化合物は次式:
【化10】

(式中、Dは、酸素、硫黄またはNHであり;nは、1〜100の整数であり;mは、1〜200の整数であり;pは、1〜10の整数であり;tは、0〜12の整数であり;kは、2〜4の整数であり;そしてLは、酸素またはNR4であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)を有し得る。代表的な化合物としては、nが、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下の整数であり;mが、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下の整数であり;pが、8以下、6以下、4以下または2以下の整数であり;tが、10以下、8以下、6以下、4以下、2以下または0に等しい整数であり;そしてkが、3以下、2以下または1に等しい整数であるものが挙げられる。いくつかの化合物において、ヘテロ原子Dは酸素であり、そしてkは2に等しい。基X1、r、Z1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、Y1は、1個以上のアルキレン基と1個以上のヘテロアルキレン基に加えて、アリーレン基を含み得る。アリーレンは、N−スルホニルアミノカルボニル基に直接結合され得る。アリーレン基は、30個までの炭素原子、24個までの炭素原子、18個までの炭素原子、12個までの炭素原子または6個の炭素原子を含み得る。いくつかの実施形態において、化合物は次式:
【化11】

(式中、Dは、酸素、硫黄またはNHであり;nは、1〜100の整数であり;mは、1〜200の整数であり;pは、1〜10の整数であり;tは、0〜12の整数であり;kは、2〜4の整数であり;Ar1は、アリーレン基であり;そしてLは、酸素またはNR4であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)の1つを有し得る。代表的な化合物としては、nが、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下の整数であり;mが、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下の整数であり;pが、8以下、6以下、4以下または2以下の整数であり;tが、10以下、8以下、6以下、4以下、2以下または0に等しい整数であり;そしてkが、3以下、2以下または1に等しい整数であるものが挙げられる。上記式のいくつかの化合物において、以下の構造:
【化12】

の1つのように、Dは酸素であり、kは2に等しく、そしてAr1はフェニレンである。基X1、r、Z1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0086】
基Y1は、以下の構造:
【化13】

(式中、Ar1は、アリーレン基である)のようにアリーレン基であり得る。いくつかの化合物において、Ar1はフェニレンである。基X1、r、Z1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0087】
1は、単結合であり得る。例えば、次式
【化14】

(式中、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)において、X1が第一級または第二級芳香族アミノ基である場合、Yは単結合である。基Z1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0088】
式Iのいくつかの実施形態において、基Z1は、アルキルまたはアリールであり得る。例えば、Z1は、C1-30アルキル、C1-10アルキルまたはC1-6アルキルであり得る。他の例において、Z1は、C6-30アリール、C6-24アリール、C6-18アリールまたはC6-12アリールであり得る。式Iの他の実施形態において、Z1は、−(CO)Ra基であり得、これは、R1およびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な複素環式または複素二環式基を形成する。複素環式または複素二環式基は、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を含む。芳香族基に縮合した代表的な複素環式基は、次式:
【化15】

(式中、X1は一価である)または
【化16】

(式中、X1は二価である)に示される。
【0089】
1と結合して複素環式または複素二環式構造を形成する代替物として、R1は、アルキル、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、クロロアルキル、アリールまたは−NRbc基であり得、RbおよびRcは、それぞれ、アルキルであるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員の複素環式基を形成する。いくつかの実施形態において、R1は、C1-30アルキル、C1-10アルキルまたはC1-6アルキルであり得る。他の実施形態において、R1は、C1-30フルオロアルキルもしくはペルフルオロアルキル、C1-10フルオロアルキルもしくはペルフルオロアルキル、またはC1-4フルオロアルキルもしくはペルフルオロアルキル基であり得る。なお他の実施形態において、R1は、C6-30アリール、C6-18アリールまたはC6-12アリールであり得る。例えば、R1は、フェニル基であり得る。
【0090】
式Iで表される化合物の代表としては、限定されないが、以下のもの:
【化17】

【化18】

が挙げられる。これらの化合物のいずれも、または式Iの範囲内の他の化合物のいずれも、未置換であり得るか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0091】
式Iで表される化合物のいくつかにおいて、基材反応性基X1はエチレン性不飽和基であり、そしてY1は、カルボニル基によってエチレン性不飽和基に直接結合されたカルボニル、カルボニルオキシまたはカルボニルイミノ基を含む。すなわち、化合物は式Ia:
【化19】

(式中、
5は、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、オキシ、−NR4−または−C(R42−であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールであり;そして
2は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)の化合物である。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0092】
式Iaの化合物は、式Iの化合物のサブセットであり、式中、X1はエチレン性不飽和基H2C=CR5−であり、そしてY1は基−(CO)−L1−Y2−である。式Iaの化合物は、例えば、アクリレート(すなわち、式中、R5は水素であり、そしてL1はオキシである)、メタクリレート(すなわち、式中、R5はメチルであり、そしてL1はオキシである)、アクリルアミド(すなわち、式中、R5は水素であり、そしてL1は−NR4−である)、メタクリルアミド(式中、R5はメチルであり、そしてL1は−NR4−である)またはビニルケトン(すなわち、式中、L1は−C(R42−である)であり得る。
【0093】
式Iaの化合物のいくつかにおいて、Y2基は、次式:
【化20】

(式中、Dは、酸素、硫黄またはNHであり;mは、1〜200の整数であり;nは、1〜12の整数であり;そしてkは、2〜4の整数である)のようにヘテロアルキレン、カルボニル基およびアルキレン基を含む。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。この式化合物のいくつかにおいて、mは、150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下の整数である。代表的な化合物としては、R5が水素またはメチルであり;L1がオキシまたは−NR4−であり;Dが酸素であり;そしてkが2に等しいものが挙げられる。
【0094】
式IにおいてZ1およびR1に関して定義される構造は、式Iaの化合物に関して適切である。例えば、式Iaの化合物は次の構造:
【化21】

を有し得る。この化合物は、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0095】
式Iaで表される化合物の具体例としては、限定されないが、
【化22】

が挙げられる。これは、未置換であり得、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0096】
化合物の調製法
例えば、窒素含有基を有する第1の化合物と、ハロカルボニル基を含む第2の化合物との反応によって、式Iの化合物を調製することができる。特に、第1の化合物の窒素含有基は、スルホニル基、ならびに少なくとも1個の水素原子に直接結合した窒素原子を含む。第1の化合物は、基材反応性基X1、または基材反応性基X1へと変換可能な基をさらに含み得る。基材反応性基は、第2の化合物のハロカルボニル基と反応しないか、またはゆっくりと反応するため、第1の化合物の窒素含有基が第2の化合物のハロカルボニル基と優先的に反応する。適切な反応スキームを反応スキームAに示す。
【化23】

−(CO)Q基は、ハロカルボニル基であり得る。基X1、Y1、Z1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。式I中のZ1は−(CO)Raであり、そしてRaは、R1と組み合わされて環構造を形成する。反応スキームA’を使用して、化合物を調製することができる。
【化24】

式中、Ra、R1、X1およびY1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。−(CO)Q基は、ハロカルボニル基であり得る。
【0097】
物品
本発明のもう1つの態様は、基材に結合されたテザリング基(すなわち、基材結合テザリング基)を含む物品を提供する。基材に結合されたテザリング基は、基材表面上の相補的な官能基Gと、式Iの化合物中の基X1との反応生成物である。基材に結合されたテザリング基は、基材とアミン含有材料との間でカルボニルイミノ含有コネクター基を形成するようにアミン含有材料と反応可能なN−スルホニルアミノカルボニル基を有する。いくつかの物品において、式Iの化合物は式Iaのものである。
【0098】
基材は、テザリング基が結合可能な固体相材料である。基材は、式Iの化合物を基材表面に結合させるために使用される溶液中に可溶性ではない。典型的に、テザリング基は、基材の外側部分のみに結合し、基材にテザリング基を結合させるプロセス間に基材のバルク部分は変性されない。基材が、基材を通して分散された基Gを有する場合、外側部分(例えば、表面上または表面付近)のそれらの基のみが通常、式Iで表される化合物中の基X1と反応可能である。
【0099】
基材は、限定されないが、薄膜、シート、メンブレン、フィルター、不織もしくは織物繊維、中空もしくは固体ビーズ、ボトル、プレート、チューブ、ロッド、パイプまたはウエハーを含む、いずれかの有用な形態を有し得る。基材は、多孔性であっても非多孔性であってもよく、剛性であっても屈曲性であってもよく、透明であっても不透明であってもよく、透明であっても着色されていてもよく、または反射性であっても非反射性であってもよい。適切な基材材料としては、例えば、ポリマー材料、ガラス、セラミックス、金属、金属酸化物またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0100】
基材は、材料の単層または多層を有し得る。例えば、基材は、式Iの化合物中のX1基と反応可能な相補的な官能基を含む第1の層の支持体を提供する、1以上の第2の層を有し得る。第1の層は、基材の外層である。いくつかの実施形態において、第2の層の表面は化学的に変性されているか、またはもう一種の材料によって被覆されて、X1基と反応可能な相補的な官能基を含む第1の層を提供する。
【0101】
適切なポリマー基材材料としては、限定されないが、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(ビニルアセテート)、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、フェノール樹脂、ポリアミン、アミノ−エポキシ樹脂、ポリエステル、シリコーン、セルロースベースポリマー、多糖類またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、ポリマー材料は、式Iで表される化合物中の基X1と反応可能な相補的な官能基を有するコモノマーを使用して調製されたコポリマーである。例えば、コモノマーは、カルボキシ、メルカプト、ヒドロキシ、アミノ、アジドまたはアルコキシシリル基を有し得る。
【0102】
適切なガラスおよびセラミック基材材料としては、例えば、ナトリウム、ケイ素、アルミニウム、鉛、ホウ素、リン、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、ヒ素、ガリウム、チタン、銅またはそれらの組み合わせが挙げられる。ガラスは典型的に、様々な種類のケイ酸塩含有材料を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、基材は、国際公開第01/66820A1号パンフレットに開示されるようなダイヤモンド様ガラス層を含む。ダイヤモンド様ガラスは、炭素、ケイ素および水素、酸素、フッ素、硫黄、チタンまたは銅から選択される1以上の元素を含む非晶質材料である。いくつかのダイヤモンド様ガラス材料は、プラズマプロセスを使用して、テトラメチルシラン前駆体から形成される。表面上のシラノール濃度を制御するために、酸素プラズマにおいてさらに処理された疎水性材料を製造することができる。
【0104】
ダイヤモンド様ガラスは、薄膜の形態であっても、または基材中のもう1つの層もしくは材料上のコーティングの形態であってもよい。いくつかの適用において、ダイヤモンド様ガラスは、少なくとも30重量%の炭素、少なくとも25重量%のケイ素、および45重量%までの酸素を有する薄膜の形態であり得る。かかる膜は、屈曲性および透明であり得る。いくつかの実施形態において、ダイヤモンド様ガラスは多層基材の外層である。具体例において、基材の第2の層(例えば、支持層)はポリマー材料であり、そして第1の層はダイヤモンド様ガラスの薄膜である。テザリング基は、ダイヤモンド様ガラスの表面に結合される。
【0105】
いくつかの多層基材において、ダイヤモンド様ガラスはダイヤモンド様炭素層上に析出される。例えば、第2の層(例えば、支持層)は、表面上に析出されたダイヤモンド様炭素層を有するポリマー膜である。ダイヤモンド様ガラス層は、ダイヤモンド様炭素層上に析出される。ダイヤモンド様炭素は、いくつかの実施形態において、多層基材中でポリマー層とダイヤモンド様ガラス層との間の結合層またはプライマー層として機能し得る。例えば、多層基材は、ポリイミドまたはポリエステル層、ポリイミドまたはポリエステル上に析出されたダイヤモンド様炭素層、およびダイヤモンド様炭素上に析出されたダイヤモンド様ガラス層を含み得る。もう1つの例において、多層基材は、次の順序で配列された層の積層体を含む:ダイヤモンド様ガラス、ダイヤモンド様炭素、ポリイミドまたはポリエステル、ダイヤモンド様炭素およびダイヤモンド様ガラス。
【0106】
例えば、プラズマ反応器中でアセチレンから、ダイヤモンド様炭素膜を調製することができる。かかる膜の他の調製法は、米国特許第5,888,594号明細書および米国特許第5,948,166号明細書、ならびにM.デイビッド(M.David)ら,AlChE ジャーナル(AlChE Journal),37(3),367−376(1991年3月)に記載されている。
【0107】
基材のための適切な金属、金属酸化物または水和金属酸化物としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、アルミニウム、銅、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。金属含有材料は、ステンレス鋼、インジウムスズ酸化物等のような合金であり得る。いくつかの実施形態において、金属含有材料は多層基材の上層である。例えば、基材は、第2のポリマー層および第1の金属含有層を有し得る。一例において、第2の層はポリマー膜であり、そして第1の層は金の薄膜である。他の例において、多層基材は、チタン含有層、次いで金含有層で被覆されたポリマー膜を含む。すなわち、チタン層は、ポリマー膜に金の層を付着するための結合層またはプライマー層として機能し得る。
【0108】
多層基材の他の例において、クロム層、次いで金層でケイ素支持層を被覆する。クロム層は、ケイ素層への金層の接着力を改善し得る。
【0109】
基材の表面は、典型的に、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファトまたはエチレン性不飽和基と反応可能な基を含む。すなわち、基材は、式Iの化合物中の基X1と反応可能な基を含む(すなわち、基材は基X1に相補的な官能基を含む)。基材は、相補的な官能基を含む外層を有するように処理された支持材料を含み得る。基材は、X1と反応可能な基を有することが知られているいずれの固体相材料からも調製可能であり、以下の適切な材料の例に限定されない。
【0110】
カルボキシ基またはハロカルボニル基は、ヒドロキシ基を有する基材と反応して、カルボニルオキシ含有結合基を形成可能である。ヒドロキシ基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリビニルアルコール、コロナ処理されたポリエチレン、ポリメタクリレートのヒドロキシ置換エステル、ポリアクリレートのヒドロキシ置換エステル、およびガラスまたはポリマー膜のような支持材料上のポリビニルアルコールコーティングが挙げられる。
【0111】
また、カルボキシ基またはハロカルボニル基は、メルカプト基を有する基材と反応して、カルボニルチオ含有結合基を形成可能である。メルカプト基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリアクリレートのメルカプト置換エステル、ポリメタクリレートのメルカプト置換エステル、およびメルカプトアルキルシランで処理されたガラスが挙げられる。
【0112】
加えて、カルボキシ基またはハロカルボニル基は、第一級芳香族アミノ基、第二級芳香族アミノ基または第二級脂肪族アミノ基と反応して、カルボニルイミノ含有結合基を形成可能である。第一級芳香族アミノ基または第二級芳香族アミノ基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリアミン、ポリメタクリレートのアミン置換エステル、ポリアクリレートのアミン置換エステル、ポリエチレンイミン、およびアミノアルキルシランで処理されたガラスが挙げられる。
【0113】
ハロカルボニルオキシ基は、ヒドロキシ基を有する基材と反応して、オキシカルボニルオキシ含有結合基を形成可能である。ヒドロキシ基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリビニルアルコール、コロナ処理されたポリエチレン、ポリメタクリレートのヒドロキシ置換エステル、ポリアクリレートのヒドロキシ置換エステル、およびガラスまたはポリマー膜のような支持材料上のポリビニルアルコールコーティングが挙げられる。
【0114】
また、ハロカルボニルオキシ基は、メルカプト基を有する基材と反応して、オキシカルボニルチオ含有結合基を形成可能である。メルカプト基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリメタクリレートのメルカプト置換エステル、ポリアクリレートのメルカプト置換エステル、およびメルカプトアルキルシランで処理されたガラスが挙げられる。
【0115】
加えて、ハロカルボニルオキシ基は、第一級芳香族アミノ基、第二級芳香族アミノ基または第二級脂肪族アミノ基を有する基材と反応して、オキシカルボニルイミノ含有結合基を形成可能である。第一級芳香族アミノ基または第二級芳香族アミノ基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリアミン、ポリメタクリレートのアミン置換エステル、ポリアクリレートのアミン置換エステル、ポリエチレンイミン、およびアミノアルキルシランで処理されたガラスが挙げられる。
【0116】
シアノ基は、アジド基を有する基材と反応して、テトラジンジイル含有結合基を形成可能である。アジド基を有する基材の例としては、限定されないが、ガラスまたはポリマー支持体上のポリ(4−アジドメチルスチレン)のコーティングが挙げられる。適切なポリマー支持材料としては、ポリエステル、ポリイミド等が挙げられる。
【0117】
ヒドロキシ基は、イソシアネート基を有する基材と反応して、オキシカルボニルイミノ含有結合基を形成可能である。イソシアネート基を有する適切な基材としては、限定されないが、支持材料上の2−イソシアナトエチルメタクリレートポリマーのコーティングが挙げられる。適切な支持材料としては、ガラス、およびポリエステル、ポリイミド等のようなポリマー材料が挙げられる。
【0118】
また、ヒドロキシ基は、カルボキシ、カルボニルオキシカルボニルまたはハロカルボニルを有する基材と反応して、カルボニルオキシ含有結合基を形成可能である。適切な基材としては、限定されないが、支持材料上のアクリル酸ポリマーもしくはコポリマーのコーティング、または支持材料上のメタクリル酸ポリマーもしくはコポリマーのコーティングが挙げられる。適切な支持材料としては、ガラス、およびポリエステル、ポリイミド等のようなポリマー材料が挙げられる。他の適切な基材としては、ポリエチレンと、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸またはそれらの組み合わせとのコポリマーが挙げられる。
【0119】
メルカプト基は、イソシアネート基を有する基材と反応可能である。メルカプト基とイソシアネート基との間の反応によって、チオカルボニルイミノ含有結合基が形成される。イソシアネート基を有する適切な基材としては、限定されないが、支持材料上の2−イソシアナトエチルメタクリレートコポリマーのコーティングが挙げられる。適切な支持材料としては、ガラス、およびポリエステル、ポリイミド等のようなポリマー材料が挙げられる。
【0120】
また、メルカプト基は、ハロカルボニル基を有する基材と反応して、カルボニルチオ含有結合基を形成可能である。ハロカルボニル基を有する基材としては、例えば、クロロカルボニル置換ポリエチレンが挙げられる。
【0121】
また、メルカプト基は、ハロカルボニルオキシ基を有する基材と反応して、オキシカルボニルチオ含有結合基を形成可能である。ハロカルボニル基を有する基材としては、ポリビニルアルコールのクロロホルミルエステルが挙げられる。
【0122】
加えて、メルカプト基は、エチレン性不飽和基を有する基材と反応して、チオエーテル含有結合基を形成可能である。エチレン性不飽和基を有する適切な基材としては、限定されないが、ブタジエンから誘導されたポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0123】
イソシアネート基は、ヒドロキシ基を有する基材と反応して、オキシカルボニルイミノ含有結合基を形成可能である。ヒドロキシ基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリビニルアルコール、コロナ処理されたポリエチレン、ポリメタクリレートまたはポリアクリレートのヒドロキシ置換エステル、およびガラスまたはポリマー膜上のポリビニルアルコールコーティングが挙げられる。
【0124】
また、イソシアネート基は、メルカプト基と反応して、チオカルボニルイミノ含有結合基を形成可能である。メルカプト基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリメタクリレートまたはポリアクリレートのメルカプト置換エステル、およびメルカプトアルキルシランで処理されたガラスが挙げられる。
【0125】
加えて、イソシアネート基は、第一級芳香族アミノ基、第二級芳香族アミノ基または第二級脂肪族アミノ基と反応して、尿素含有結合基を形成可能である。第一芳香族アミノ基または第二級芳香族アミノ基を有する適切な基材としては、限定されないが、ポリアミン、ポリエチレンイミン、およびガラスまたはポリエステルもしくはポリイミドのようなポリマー材料のような支持材料上のアミノアルキルシランのコーティングが挙げられる。
【0126】
また、イソシアネート基は、カルボキシと反応して、O−アシルカルバモイル含有結合基を形成可能である。カルボン酸基を有する適切な基材としては、限定されないが、ガラスまたはポリマー支持体上のアクリル酸ポリマーまたはコポリマーのコーティングまたはメタクリル酸ポリマーまたはコポリマーのコーティングが挙げられる。コポリマーとしては、限定されないが、ポリエチレンおよびポリアクリル酸またはポリメタクリル酸を含有するコポリマーが挙げられる。適切なポリマー支持材料としては、ポリエステル、ポリイミド等が挙げられる。
【0127】
ハロシリル基、アルコキシシリル基またはアシロキシシリル基は、シラノール基を有する基材と反応して、ジシロキサン含有結合基を形成可能である。適切な基材としては、様々なガラス、セラミック材料またはポリマー材料から調製されるものが挙げられる。また、これらの基は、表面上に金属水酸化物基を有する様々な材料と反応して、シラン含有結合を形成可能である。適切な金属としては、限定されないが、銀、アルミニウム、銅、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。いくつかの実施形態において、金属はステンレス鋼または他の合金である。シラノール基を有するように、ポリマー材料を調製することができる。例えば、シラノール基を有する市販品として入手可能なモノマーとしては、ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチ ケミカル カンパニー(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から入手可能な3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートおよび3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0128】
アジド基は、例えば、炭素−炭素三重結合を有する基材と反応して、トリアゾルジイル含有結合基を形成可能である。また、アジド基は、ニトリル基を有する基材と反応して、テトラゼンジイル含有結合基を形成可能である。ニトリル基を有する基材としては、限定されないが、ガラスまたはポリマー材料のような支持材料上のポリアクリロニトリルのコーティングが挙げられる。例えば、適切なポリマー支持材料としては、ポリエステルおよびポリイミドが挙げられる。ニトリル基を有する他の適切な基材としては、アクリロニトリルポリマーまたはコポリマーおよび2−シアノアクリレートポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0129】
また、アジド基は、ストレインド(strained)オレフィン基と反応して、トリアゾリニル含有結合基を形成可能である。ストレインドオレフィン基を有する適切な基材としては、ペンダントノルボルネニル官能基を有するコーティングが挙げられる。適切な支持材料としては、限定されないが、ガラス、およびポリエステルおよびポリイミドのようなポリマー材料が挙げられる。
【0130】
アジリジニル基は、メルカプト基と反応して、β−アミノアルキルチオエーテル含有結合基を形成可能である。メルカプト基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリメタクリレートまたはポリアクリレートのメルカプト置換エステル、およびメルカプトアルキルシランで処理されたガラスが挙げられる。
【0131】
加えて、アジリジニル基は、カルボキシ基と反応して、β−アミノアルキルオキシカルボニル含有結合基を形成可能である。カルボキシを有する適切な基材としては、限定されないが、ガラスまたはポリマー支持体上のアクリル酸ポリマーもしくはコポリマーのコーティングまたはメタクリル酸ポリマーもしくはコポリマーのコーティングが挙げられる。コポリマーとしては、限定されないが、ポリエチレンおよびポリアクリル酸またはポリメタクリル酸を含有するコポリマーが挙げられる。適切なポリマー支持材料としては、ポリエステル、ポリイミド等が挙げられる。
【0132】
ハロアルキル基は、例えば、第三級アミノ基を有する基材と反応して、第四級アンモニウム含有結合基を形成可能である。第三級アミノ基を有する適切な基材としては、限定されないが、ポリジメチルアミノスチレンまたはポリジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。
【0133】
同様に、第三級アミノ基は、例えば、ハロアルキル基を有する基材と反応して、第四級アンモニウム含有結合基を形成可能である。ハロアルキル基を有する適切な基材としては、例えば、支持材料上のハロアルキルシランのコーティングが挙げられる。支持材料としては、限定されないが、ガラス、およびポリエステルおよびポリイミドのようなポリマー材料が挙げられる。
【0134】
第一級芳香族アミノまたは第二級芳香族アミノ基は、例えば、イソシアネート基を有する基材と反応して、オキシカルボニルイミノ含有結合基を形成可能である。イソシアネート基を有する適切な基材としては、限定されないが、ガラスまたはポリマー支持体上の2−イソシアナトエチルメタクリレートポリマーまたはコポリマーのコーティングが挙げられる。適切なポリマー支持体としては、ポリエステル、ポリイミド等が挙げられる。
【0135】
また、第一級芳香族アミノまたは第二級芳香族アミノ基は、カルボキシまたはハロカルボニル基を含有する基材と反応して、カルボニルイミノ含有結合基を形成可能である。適切な基材としては、限定されないが、支持材料上のアクリル酸またはメタクリル酸ポリマーコーティングが挙げられる。支持材料は、例えば、ガラス、またはポリエステルまたはポリイミドのようなポリマー材料であり得る。他の適切な基材としては、ポリエチレンおよびポリメタクリル酸またはポリアクリル酸のコポリマーが挙げられる。
【0136】
ジスルフィドまたはアルキルジスルフィド基は、例えば、金属表面と反応して、金属硫化物含有結合基を形成可能である。適切な金属としては、限定されないが、金、白金、パラジウム、ニッケル、銅およびクロムが挙げられる。基材は、インジウムスズ酸化物のような合金または誘電性材料でもあり得る。
【0137】
ベンゾトリアゾリルは、例えば、金属または金属酸化物表面を有する基材と反応可能である。適切な金属または金属酸化物としては、例えば、銀、アルミニウム、銅、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。金属または金属酸化物は、ステンレス鋼、インジウムスズ酸化物等のような合金を含み得る。
【0138】
ホスホノ、ホスホロアミドまたはホスファトは、例えば、金属または金属酸化物表面を有する基材と反応可能である。適切な金属または金属酸化物としては、例えば、銀、アルミニウム、銅、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛等が挙げられる。金属または金属酸化物は、ステンレス鋼、インジウムスズ酸化物等のような合金を含み得る。
【0139】
エチレン性不飽和基は、例えば、メルカプト基によって置換されたアルキル基を有する基材と反応可能である。反応によって、ヘテロアルキレン含有結合基が形成される。適切な基材としては、例えば、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートのメルカプト置換アルキルエステルが挙げられる。
【0140】
また、エチレン性不飽和基は、化学蒸着プロセスを使用して形成されたケイ素基材のようなケイ素表面を有する基材と反応可能である。かかるケイ素表面は−SiH基を含有し得、これは白金触媒の存在下でエチレン性不飽和基と反応して、アルキレン基に結合したSiと結合基を形成可能である。
【0141】
加えて、エチレン性不飽和基は、炭素−炭素二重結合を有する基材と反応して、アルキレン含有結合基を形成可能である。かかる基材としては、例えば、ブタジエンから誘導されたポリマーが挙げられる。
【0142】
他のエチレン性不飽和基としては、カルボニル、カルボニルオキシまたはカルボニルイミノ基に結合された式Ia中のものが挙げられる。得られる化合物は、例えば、アクリロイル、アクリルアミドまたはビニルケトン基を有し得る。これはヒドロキシ基を有する基材と反応して、それぞれ、オキシカルボニルエチレンオキシ含有結合基、イミノカルボニルエチレンオキシ含有結合基またはカルボニルエチレンオキシ含有結合基を形成可能である。ヒドロキシ基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリビニルアルコール、コロナ処理されたポリエチレン、ポリメタクリレートのヒドロキシ置換エステル、ポリアクリレートのヒドロキシ置換エステル、およびガラスまたはポリマー膜のような支持材料上のポリビニルアルコールコーティングが挙げられる。
【0143】
また、(メタ)アクリロイル、(メタ)アクリルアミドまたはビニルケトン基は、メルカプト基を有する基材で反応して、それぞれ、オキシカルボニルエチレンチオ含有結合基、イミノカルボニルエチレンチオ含有結合基またはカルボニルエチレンチオ含有結合基を形成可能である。メルカプト基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリメタクリレートのメルカプト置換エステル、ポリアクリレートのメルカプト置換エステル、およびメルカプトアルキルシランで処理されたガラスが挙げられる。
【0144】
また、アクリロイル、アクリルアミドまたはビニルケトン基は、第一級芳香族アミノ基、第二級芳香族アミノ基または第二級脂肪族アミノ基を有する基材と反応して、それぞれ、オキシカルボニルエチレンイミノ含有結合基、イミノカルボニルエチレンイミノ含有結合基またはカルボニルエチレンイミノ含有結合基を形成可能である。第一級芳香族アミノ基または第二級芳香族アミノ基を有する基材材料の例としては、限定されないが、ポリアミン、ポリメタクリレートのアミン置換エステル、ポリアクリレートのアミン置換エステル、ポリエチレンイミン、およびアミノアルキルシランで処理されたガラスが挙げられる。
【0145】
加えて、(メタ)アクリロイル、(メタ)アクリルアミドまたはビニルケトン基は、アジド基を有する基材と反応して、それぞれ、オキシカルボニルトリアゾリニル含有結合基、イミノカルボニルトリアゾリニル含有結合基、カルボニルトリアゾリニル含有結合基を形成可能である。アジド基を有する基材の例としては、限定されないが、ガラスまたはポリマー支持体上のポリ(4−アジドメチルスチレン)のコーティングが挙げられる。適切なポリマー支持材料としては、ポリエステル、ポリイミド等が挙げられる。
【0146】
基材との接触時に、式Iの化合物は自己集合プロセスを受ける。本明細書で使用される場合、用語「自己集合」は、基材との接触時に、材料が、基材に結合されたテザリング基の単層を自発的に形成し得るプロセスを指す。例えば、金基材に暴露された時、X1に関してジスルフィドまたはアルキルジスルフィド基を有する化合物は、自己集合プロセスを受け得る。もう1つの例として、X1に関してハロシリル基を有する化合物は、ダイヤモンド様ガラスまたはガラス基材に暴露された時に自己集合プロセスを受け得る。
【0147】
一実施形態において、式II:
【化25】

は、本発明の物品を表し得る。式IIは、基材に結合されたテザリング基を表す。テザリング基は、式Iで表される化合物から誘導される。基U1は、式Iで表される化合物中のX1と、基材表面上の相補的な官能基との反応によって形成される結合基である。基Y1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。すなわち、この物品は、
基材と、
基材に結合されたテザリング基と、
を含み、このテザリング基は、基材表面上の相補的な官能基Gと、式I
【化26】

(式中、
1は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミドまたはホスファトから選択される基材反応性官能基であり;
1は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、アルキル、アリールまたは−(CO)Raであって、Raは、R1およびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、NRbcであって、RbおよびRcは、それぞれアルキル基であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、窒素ヘテロ原子を有する4員〜8員の環式基を形成するか、あるいはR1は、Raおよびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1が一価の基である場合、rは1に等しく、またはX1が二価の基である場合、rは2に等しい)の化合物との反応生成物を含む。
Gは、X1と反応して、イオン結合、共有結合またはそれらの組み合わせを形成可能な基である。このテザリング基は、未置換であり得るか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0148】
また、式Iの化合物が式Iaで表される化合物である場合、物品は、式IIa:
【化27】

のものである。式IIaの物品において、結合基U1に結合されたカルボニル基、カルボニルオキシ基またはカルボニルイミノ基が存在する。具体的に、これらの物品は式IIの物品のサブセットであり、基材と、基材に結合されたテザリング基とを含む。基材に結合されたテザリング基は、基材表面上の相補的な官能基Gと式Iaの化合物との反応生成物である。相補的な官能基Gは、H2C=CR5−基と反応可能な基である。このテザリング基は、未置換であり得るか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換され得る。
【0149】
式IIおよびIIaは、基材に結合される1個のみのテザリング基を示すが、2個以上の反応基Gが基材に存在する場合、2個以上のテザリング基が基材に結合され得る。さらに基材は、基材表面上に、テザリング化合物と反応しなかった過剰なG基を有し得る。
【0150】
式Iで表される化合物中のX1基と反応可能な基材上の基(すなわち、基G)としては、限定されないが、ヒドロキシ、メルカプト、第一級芳香族アミノ基、第二級芳香族アミノ基、第二級脂肪族アミノ基、アジド、カルボキシ、カルボニルオキシカルボニル、イソシアネート、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シラノールおよびニトリルが挙げられる。
【0151】
例えば、式Iから誘導されたテザリング基の結合前後の基材上での液体の接触角測定(例えば、基材表面へのテザリング基の結合時に、接触角は変化し得る)、偏光解析法(例えば、結合層の厚さを測定可能)、飛行時間型質量分析(例えば、基材表面へのテザリング基の結合時に、表面濃度は変化し得る)およびフーリエ変換赤外分光分析(例えば、基材表面へのテザリング基の結合時に、反射率および吸光度は変化し得る)のような技術を使用して、基材表面へのテザリング基の結合(すなわち、式IIの基材に結合されたテザリング基の形成)を検出可能である。
【0152】
本発明の物品の他の実施形態において、テザリング基中のN−スルホニルアミノカルボニル基はアミン含有材料と反応する。カルボニルイミノ含有コネクター基が形成され、基材へのアミン含有材料の固定化が生じる。アミン含有材料は、式IIの基材に結合されたテザリング基のN−スルホニルアミノカルボニル基と反応可能である。いくつかの実施形態において、アミン含有材料は、例えば、アミノ酸、ペプチド、DNA、RNA、タンパク質、酵素、細胞小器官、免疫グロビンまたはそれらの断片のような生体分子である。他の実施形態において、アミン含有材料は、アミン含有被検体のような非生物学的アミンである。
【0153】
アミン含有材料(H2N−T)は、求核置換反応によって式IIの基材に結合されたテザリング基と反応して、式III:
【化28】

(式中、U1は、式Iで表される化合物のX1と、基材表面上の相補的な官能基との反応によって形成された結合基であり;Tは、アミン含有材料の残基であり;そしてY1およびR1は、式Iおよび式IIに関して前記で定義されたものと同一である)のアミン含有材料を固定化した基材を製造し得る。H2N−Tは、いずれかの適切な第一級アミン含有材料である。いくつかの実施形態において、H2N−Tは生体分子である。
【0154】
式IIIのアミン含有材料を固定化した基材は、式IIaのテザリング基に関して、式IIIa:
【化29】

のものであり得る。すなわち、式IIIaのアミン含有材料を固定化した基材は、式IIIのサブセットである。
【0155】
例えば、質量分光分析、接触角測定、赤外分光分析および偏光解析法を使用することによって、固定化アミンの存在を決定することができる。加えて、アミン含有材料が生物学的に活性な材料である場合、様々な免疫学的測定および光学顕微鏡による技術を使用することができる。
【0156】
他の材料をアミン含有材料に結合することができる。例えば、相補的なRNAまたはDNA断片を、固定化RNAまたはDNA断片とハイブリット形成することができる。もう1つの例において、固定化抗体に抗原を結合することができ、または固定化抗原に抗体を結合することができる。具体例において、黄色ブドウ球菌のようなバクテリアを固定化生体分子に結合することができる。
【0157】
基材へのアミン含有材料の固定化法
本発明のもう1つの態様は、基材へのアミン含有材料の固定化法を提供する。この方法は、基材表面上の相補的な官能基と、式Iの化合物中の基材反応性基X1との反応によって基材に結合されたテザリング基を調製する工程と;基材に結合されたテザリング基のN−スルホニルアミノカルボニル基とアミン含有材料とを反応させて、基材とアミン含有材料との間にカルボニルイミノ含有コネクター基を形成する工程とを含む。
【0158】
一実施形態において、一価のX1に関して、基材へのアミン含有材料の固定化法を反応スキームBに示す。
【化30】

式中、U1は、式Iの化合物中のX1と、基材表面上の相補的な官能基Gとの反応によって形成された結合基であり;Tは、アミン含有材料の残基であり(すなわち、基Tは、アミン基を除く全てのアミン含有材料を表す);そして基Y1およびR1は、式Iに関して前記で定義されたものと同一である。H2N−Tは、いずれかの適切なアミン含有材料である。いくつかの実施形態において、H2N−Tは生体分子である。この方法は、
式I
【化31】

(式中、
1は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファトまたはエチレン性不飽和基から選択される基材反応性官能基であり;
1は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、Raは、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、アルキル、アリールまたは−(CO)Raであって、Raは、R1およびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、NRbcであって、RbおよびRcは、それぞれアルキル基であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員の環式基を形成するか、あるいはR1は、Raおよびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1が一価の基である場合、rは1に等しく、またはX1が二価の基である場合、rは2に等しい)の化合物であって、
未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている化合物を選択する工程と;
1と反応可能な相補的な官能基を有する基材を提供する工程と;
1と、基材上の相補的な官能基とを反応させて、イオン結合、共有結合またはそれらの組み合わせを生じることによって、基材に結合されたテザリング基を調製する工程と;
基材に結合されたテザリング基のN−スルホニルアミノカルボニル基と、アミン含有材料とを反応させて、カルボニルイミノ含有コネクター基を形成する工程と、
を含む。すなわち、コネクター基は、式−U1−Y1−(CO)−NH−の二価の基(基材と式III中の基Tとの間の二価の基)である。結合基はコネクター基の一部である。
【0159】
このアミン含有材料の固定化法において、式Iの化合物は式Iaの化合物であり得、そして基材は、H2C=CR5−基と反応可能な相補的な官能基を有し得る。この方法は、H2C=CR5−基と、基材上の相補的な官能基とを反応させて、イオン結合、共有結合またはそれらの組み合わせを生じることによって、基材に結合されたテザリング基を調製する工程を含む。基材に結合されたテザリング基のN−スルホニルアミノカルボニル基とアミン含有材料とを反応させて、式−U1−(CO)−L1−Y2−(CO)−NH−のコネクター基(基材と式III中の基Tとの間の二価の基)を形成する。結合基はコネクター基の一部である。
【0160】
使用
例えば、アミン含有材料の固定化のために本発明の化合物を使用することができる。いくつかの実施形態において、アミン含有材料はアミン含有被検体である。他の実施形態において、アミン含有材料は、例えば、アミノ酸、ペプチド、DNA、RNA、タンパク質、酵素、細胞小器官、免疫グロビンまたはそれらの断片のような生体分子である。固定化された生物学的アミン含有材料は、病気または遺伝子欠損の医学的診断において有用であり得る。また固定化アミン含有材料は、生物学的分離のため、または様々な生体分子の存在の検出のために使用可能である。加えて、固定化アミン含有材料は、他の材料を調製するためにバイオリアクターにおいて、または生体触媒として使用可能である。基材に結合されたテザリング基は、アミン含有被検体の検出のために使用可能である。
【0161】
生物学的アミン含有材料は、しばしば、基材への結合後も活性なままであり得る(すなわち、式IIIで表される物品は、基材に固定化された生物学的に活性なアミン含有材料を含み得る)。例えば、固定化抗体は抗原と結合可能であるか、または固定化抗原は抗体に結合可能である。アミン含有材料はバクテリアに結合可能である。具体的な例において、固定化アミン含有材料は黄色ブドウ球菌バクテリアに結合可能である(例えば、固定化アミン含有材料は、バクテリアに特異的に結合し得る部位を有する生体分子であり得る)。
【0162】
本発明の化合物を基材へと結合させることによって調製される物品は、典型的に、N−ヒドロキシスクシンイミドの誘導体であるテザリング化合物を使用して調製される従来の既知の物品と比較して、加水分解安定性の改善を有する。加水分解安定性のため、本発明の化合物および基材に結合されたテザリング基は、典型的に、水性系において使用可能である。
【0163】
アミン含有材料がN−スルホニルアミノカルボニル基と反応する時、カルボニルイミノ含有コネクター基が形成されて、基材へのアミン含有材料の固定化(すなわち、アミン含有材料が固定化された式IIIで表される基材)が得られる。アミン含有材料と、基材に結合されたテザリング基のN−スルホニルアミノカルボニル基との反応速度は、典型的に、N−スルホニルアミノカルボニル基の加水分解速度より速い。すなわち、アミン含有材料の固定化は、加水分解反応より速い速度で生じる。基材への固定化が生じると、カルボニルイミノ共有結合の形成のため、アミン含有材料は容易に移動することはない。
【実施例】
【0164】
特記されない限り、全ての溶媒および化学試薬は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ ケミカル カンパニー(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)から入手したか、または入手可能である。
【0165】
金被覆ケイ素基材は、カリフォルニア州サンノゼのウエハーネット インコーポレイテッド(WaferNet,Inc.,San Jose,CA)から入手した。これは、150mm プライム−グレード N型ケイ素ウエハーであって、その片側上で、反応スパッタリングによって金属が析出されていた。ウエハーを、最初に反応スパッタリングで処理して、クロムの層を析出させ、次いで反応スパッタリングで処理して、金の層を析出させた。金層の厚さは、5000オングストロームであった。
【0166】
N−フェニルトリフルオロメタンスルホンアミドは、フランス、モンリュソンのアンテルシム(Interchim,Montlucon,France)から得ることができる。
【0167】
水性緩衝溶液は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ アルドリッチ カンパニー(Sigma Aldrich Co.,Milwaukee,WI)から入手したか、または既知の方法で調製した。
【0168】
HSA、ならびに複合化および非複合化IgG(すなわち、免疫グロブリンG)は、ペンシルバニア州ウェストグローブのジャクソン イムノリサーチ ラボラトリーズ インコーポレイテッド(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.,West Grove,PA)から得た。
【0169】
調製実施例および実施例において形成された各生成物のIRおよび1HNMRスペクトルは、指定された構造と一致した。
【0170】
用語
本明細書で使用される場合:
「CHES緩衝液」は、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸の水溶液を指し;
「DLC」は、前記の通り調製されたダイヤモンド様炭素コーティングを指し;
「DLG」は、前記の通り調製されたダイヤモンド様ガラスコーティングを指し;
「DMF」は、N,N−ジメチルホルムアミドを指し;
「ELISA」は、酵素結合免疫吸着剤検定法を指し;
「FITC−アルブミン(FITC−ALBUMIN)」は、ミズーリ州セントルイスのシグマ−アルドリッチ コーポレイション(Sigma−Aldrich Corp.,St.Louis,MO)から重炭酸緩衝液中2mg/mL溶液として得られた、フルオレセイン標識化ウシ血清アルブミンを指し;
「HSA」は、ヒト血清アルブミンを指し;
「SA−HRP」は、ペンシルバニア州ウェストグローブのジャクソン イムノリサーチ ラボラトリーズ インコーポレイテッド(Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.,West Grove,PA)から入手された、セイヨウワサビペルオキシダーゼと複合化されたストレプトアビジンを指し;
「ABTS」は、メリーランド州ゲイサーズバーグのKPL インコーポレイテッド(KPL Inc.,Gaithersburg,MD)からのキットで入手された、2,2’−アジノ−ジ−(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホネート)を指し;
「PBS」は、約7.4のpHを有する、リン酸緩衝塩類溶液を指し;
「SDS」は、ドデシル硫酸ナトリウムを指し;そして
「トゥイーン(TWEEN)20」は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを指す。
【0171】
方法
接触角測定
モデル100角度計(ニュージャージー州マウンテンレークスのラーム−ハート インコーポレイテッド(Rame−Hart,Inc.,Mountain Lakes,NJ)から入手可能)を使用して、空気中、室温で、脱イオン水の前進および後退接触角を測定した。
【0172】
偏光解析法
波長6320オングストロームおよび入射角70度で、モデル オートEL(Model AutoEL)偏光解析器(ニュージャージー州フランダースのルドルフ テクノロジーズ インコーポレイテッド(Rudolph Technologies,Inc.,Flanders,NJ)から入手可能)を使用して、単層の厚さの偏光解析法による決定を実行した。各基材に関して、1−メルカプトヘキサデカン、1−メルカプトドデカンおよび1−メルカプトオクタンの自己集合単層の外挿法によって、偏光解析定数を決定した。3層モデルを使用し、単層に関して1.46の屈折率を仮定することによって、単層の厚さを偏光解析によって推測した。
【0173】
調製実施例1:N−メチルトリフルオロメタンスルホンアミドの調製
計量された圧力反応器(イリノイ州モリーンのパール インストルメント カンパニー(Parr Instrument Co.,Moline,IL)から入手可能)に、ジクロロメタン(100mL)を充填し、次いで液体窒素を使用して冷却する。反応器上の弁に接続されたステンレス鋼管を通して、シリンダーからメチルアミンを導入する。反応器を定期的に計量し、そして20gが添加されるまでメチルアミンを添加する。次いで、97.9gが添加されるまで、ステンレス鋼管を通してシリンダーからトリフルオロメタンスルホニルフルオリドを反応器に導入する。次いで、圧力反応器を密封し、そしてモーター付きロッカー中に配置して振動し、そして室温まで加温する。反応器が室温に達してから約6時間後、弁を開放することによって空気中にゆっくり通気させる。生成物残渣は10重量%のHCl水で洗浄し、次いで有機相をMgSO4上で乾燥させる。混合物を濾過し、そしてロータリーエバポレーターを使用して溶媒を濾液から除去して、生成物を得る。
【0174】
調製実施例2:
【化32】

の調製
エタノール(30.8g)中のKOH(2.7g)の溶液を、室温で磁気撹拌した。11−メルカプトウンデカン酸(5.0g)をKOH溶液にゆっくりと添加した。添加完了後、エタノール(62.2g)中のヨウ素(2.9g)の溶液を添加し、そして混合物を約1時間長く撹拌した。次いで、混合物を1N HCl水に注ぎ入れ、そして濾過によって沈殿固体を単離した。脱イオン水で固体を洗浄し、そして空気中で乾燥させ、5.0gの生成物を得た。
【0175】
調製実施例3:
【化33】

の調製
磁気撹拌バー、還流冷却器および加熱マントルを備えた丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下、還流下で、調製実施例2からのカルボキシ含有生成物(2.0g)、塩化チオニル(1.15g)および塩化メチレン(12.6g)の混合物を撹拌および加熱した。6時間後、混合物を室温まで冷却し、そしてロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去し、生成物を得た。
【0176】
調製実施例4:
【化34】

の調製
丸底フラスコ内で磁気撹拌下、塩化メチレン(37mL)中の2−(2−アミノエトキシ)エタノール(9.7g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(6.27g)の溶液に、塩化メチレン(30mL)中に溶解された調製実施例3のクロロカルボニル含有生成物(10.9g)をゆっくり添加した。添加の間、フラスコを氷浴中で冷却した。添加完了後、混合物は粘性となった。脱イオン水で混合物を抽出するように試みたが、部分的乳濁液が得られた。ロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去し、そして残渣混合物を沸点まで加熱すると、白色固体の沈殿が生じた。この固体を濾過し、次いで、アセトニトリル(250mL)中に溶解した。アセトニトリル溶液を撹拌して、窒素ガス流を溶液の表面上に誘導することによって濃縮した。得られた白色結晶を濾過によって単離し、そして窒素ガス流下で一晩乾燥させ、12.6gの生成物を得た。
【0177】
調製実施例5:
【化35】

の調製
調製実施例4のヒドロキシ含有生成物(3.0g)、コハク酸無水物(1.1g)およびトリエチルアミン(1.15g)の混合物を、エルレンマイヤーフラスコ内で6時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、そしてメチルアルコールをフラスコに添加した。生成物は暗色の濃厚な液体を形成し、これはメチルアルコールと非混和性であった。暗色の残渣からメチルアルコールをデカンテーションして除去し、次いで、生成物をアセトニトリルから再結晶し、3.43gの生成物を得た。
【0178】
調製実施例6:
【化36】

の調製
調製実施例5のカルボキシ含有生成物(0.5g)、塩化チオニル(0.15g)、DMF(1滴)およびジクロロメタン(2.0g)の混合物を一晩、磁気撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去し、生成物(0.52g)を得た。
【0179】
調製実施例7:
【化37】

の調製
還流冷却器、窒素ガス供給源に接続されたホースアダプターおよび加熱マントルを備えた丸底フラスコ内で、調製実施例2のカルボキシ含有生成物(2.0g)、塩化チオニル(1.15g)および塩化メチレン(12.6g)の混合物を還流下で加熱した。6時間後、ロータリーエバポレーターを使用して混合物を濃縮して乾燥させた。次いで、フラスコに塩化メチレン(12.6g)を添加し、そしてこの溶液にN−ヒドロキシスクシンイミド(1.11g)およびピリジン(0.8g)の混合物を滴下して添加した。混合物を一晩室温で撹拌し、次いで、ロータリーエバポレーターを使用して揮発性材料を除去した。残渣をイソプロピルアルコールから再結晶し、2.91gの生成物を得た。
【0180】
調製実施例8:DLG−DLC−ポリイミド−DLC−DLGの多層基材の調製
テトラメチルシランプラズマを使用して、ダイヤモンド様炭素コーティング(DLC)上にダイヤモンド様ガラス(DLG)コーティングを析出させるために、モデル2480平行板容量結合反応性イオンエッチャー(フロリダ州セントペテルスバーグのプラズマサーム(PlasmaTherm,St.Petersburg,FL)から入手)を使用した。アセチレンプラズマを使用して、モデル2480反応性イオンエッチャーによって、DLCコーティングをポリイミド膜上へ析出した。
【0181】
ミネソタ州セントポールの3M カンパニー(3M Company,St.Paul,MN)からの3M 811 接着テープ(3M 811 Adhesive Tape)を使用して、イオンエッチャーのパワー印加電極に、ポリイミド膜の約20cm×30cm試料(デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン ドゥ ヌムール アンド カンパニー(E.I.du Pont de Nemours & Co.,Wilmington,DE)から商標名「カプトン(KAPTON)E」で入手可能)を取り付けた。イオンエッチャーのチャンバーを閉鎖し、そしてポンプを使用してチャンバーの圧力を0.67Pa(0.005トル)にした。1分あたり500標準cm3の流速で酸素ガスをチャンバーに導入し、そしてチャンバーの圧力を6.7Pa(0.050トル)に維持した。プラズマを誘発し、そして15秒間2000Wの電力で維持した。次いで酸素ガス流を停止し、そしてポンプを使用してチャンバーの圧力を0.67Pa(0.005トル)にさせた。次いで1分あたり200標準cm3の流速でアセチレンガスをチャンバーに導入し、そしてチャンバーの圧力を2Pa(0.015トル)に維持した。プラズマを誘発し、そして10秒間1600Wの電力で維持した。次いでアセチレンガス流を停止し、そしてポンプを使用してチャンバーの圧力を0.67Pa(0.005トル)にさせた。
【0182】
1分あたり500標準cm3の流速で酸素ガスを再びチャンバーに導入し、そしてチャンバーの圧力を20Pa(0.15トル)に維持した。プラズマを誘発し、そして10秒間300Wの電力で維持した。酸素ガスの流速を1分につき500標準cm3に維持しながら、1分につき150標準cm3の流速でテトラメチルシランガスをチャンバーに導入した。チャンバーの圧力を20Pa(0.15トル)に維持した。プラズマを誘発し、そして12秒間300Wの電力で維持した。テトラメチルシランガス流を停止した。1分後、酸素ガス流および20Pa(0.15トル)のチャンバーの圧力の両方を維持しながら、プラズマを誘発し、そして20秒間300Wの電力で維持した。次いで酸素ガス流を停止し、そしてポンプを使用してチャンバーの圧力を0.67Pa(0.005トル)にさせた。次いでチャンバーを大気に開放し、そして試料をパワー印加電極から除去し、DLGコーティングが電極に対面するように回転し、そして再び電極に取り付けた。両側面上にDLCおよびDLGの連続層を有するポリイミドの試料を提供するために、プラズマ処理の連続を繰返した。
【0183】
調製実施例9:ガラス−DLC−DLGの多層基材の調製
25mm×75mmのガラス顕微鏡スライド(ペンシルバニア州ウェストチェスターのVWR サイエンティフィック(VWR Scientific,West Chester,PA)から「マイクロ スライズ セレクテッド(MICRO SLIDES SELECTED)」として入手可能)を調製実施例8の方法に従ってプラズマチャンバー中で処理し、ガラス顕微鏡スライドの一側面上にDLCおよびDLGの層を連続的に析出させた。
【0184】
調製実施例10:ポリイミド−チタン−金の多層基材の調製
電子ビーム蒸着によって、チタンおよび金の連続層をポリイミド膜上へ析出させた。金属製文房具のバインダークリップを使用して、モデル マーク50(Model Mark 50)高真空析出システム(カリフォルニア州フレモントのCHA インダストリーズ(CHA Industries,Fremont,CA)から入手可能)のプラネタリーシステムの板に、ポリイミド膜の10cm×15cmの試料(デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン ドゥ ヌムール アンド カンパニー(E.I.Du pont de Nemours & Co.,Wilmington,DE)から商標名「カプトン(KAPTON)E」で入手可能)を取り付けた。チャンバーを約2時間排気し、この間、チャンバーの圧力を約6.7×10-4Pa(5×10-6mm Hg)まで低下させた。1秒あたり約5オングストロームの速度で、全体の厚さが約200オングストロームとなるまで、チタン金属を析出させた。次いでチタンの析出を停止し、そして系を約30分間冷却させた。次いで、1秒あたり約1オングストロームの速度で、全体の厚さが約2000オングストロームとなるまで、チタン層の上へ金金属を析出させた。次いで金の析出を停止し、そして系を約30分間冷却させ、その後、チャンバーの圧力は大気圧まで上昇し、そして試料を除去した。
【0185】
調製実施例11:金被覆ケイ素基材へのN−アシロキシスクシンイミド含有テザリング基の結合
アセトン中で調製実施例7のN−アシロキシスクシンイミド含有生成物の250マイクロモル溶液を調製した。金被覆ケイ素ウエハーの1cm×1cm部分を30分間、この溶液に浸漬させ、その後、試料を取り出し、エタノールおよびメタノールで連続的にすすぎ、次いで約1分間、処理された金表面上に窒素ガス流を誘導することによって乾燥させた。偏光解析による厚さは17オングストロームであると決定され、そしてこの表面上の脱イオン水の静的前進接触角は50度であると決定された。
【0186】
調製実施例12:酸塩化物官能化ポリ(メタクリル酸メチル−コ−メタクリル酸)ビーズの調製
磁気撹拌バー、還流冷却器および窒素ガス供給源を備えた丸底フラスコ内で、ポリ(メタクリル酸メチル−コ−メタクリル酸)ビーズ(日本、東京の三菱化学株式会社から商標名「MCI GEL CQK31P」で入手可能)(20g)をシクロヘキサン(66g)および塩化チオニル(8.3g)と組み合わせた。混合物を6時間還流下で加熱し、その間、窒素ガスを装置中にゆっくり通した。次いで混合物を室温まで冷却し、そして濾過した。シクロヘキサンでビーズを洗浄し、次いで窒素ガス流下で一晩乾燥させ、生成物を得た。
【0187】
調製実施例13:ヒドロキシル官能化ポリ(メタクリル酸メチル−コ−メタクリル酸)ビーズの調製
磁気撹拌バーを備えた丸底フラスコ中で、調製実施例12の酸塩化物官能化ポリ(メタクリル酸メチル−コ−メタクリル酸)ビーズ(20.43g)を2−(2−アミノエトキシ)エタノール(40.0g)と組み合わせた。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでビーズを濾過し、そしてメタノールで洗浄した。次いで、窒素ガス流下でビーズを一晩乾燥させ、生成物を得た。
【0188】
実施例1:
【化38】

の調製
窒素雰囲気下、室温で、乾燥ナトリウムサッカリン(10.25g)、ジメトキシエタン(150mL)および塩化セバコイル(18.0g)の混合物を一晩撹拌した。次いで混合物を濾過し、そしてロータリーエバポレーターを使用して濾液を濃縮した。生成物残渣をヘキサンおよびトルエンの10:1(v/v)混合物で倍散し、そしてこの混合物を冷却し、次いで濾過した。濾過された固体を乾燥させ、22.1gの生成物を得た。
【0189】
実施例2:
【化39】

の調製
ディーン−スタークトラップおよび還流冷却器を備えた丸底フラスコ中で、ナトリウムサッカリン二水和物(1.0g)およびトルエン(約15mL)の混合物を磁気撹拌し、そして還流下で沸騰させた。6時間後、混合物を室温まで冷却し、そしてロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去した。丸底フラスコ中で、この材料の全部分を乾燥アセトン(5.6g)および塩化スクシノイル(2.57g)と組み合わせた。30分間、室温で混合物を磁気撹拌し、その後、濾過した。ロータリーエバポレーターを使用して濾液を濃縮した。次いで、ホースアダプターを使用して高真空ポンプにフラスコを接続することによって、残渣をさらに濃縮した。フラスコが真空ポンプに接続されている間、油浴を使用してフラスコを75℃まで加熱した。約2時間後、フラスコを室温まで冷却させ、そしてポンプから取り外した。次いで、生成物残渣をトルエンで倍散し、固体沈殿物の形成が生じた。混合物を濾過し、そして固体を室温で乾燥し、1.0gの生成物を得た。
【0190】
実施例3:
【化40】

の調製
乾燥THF(25mL)中のN−フェニルトリフルオロメチルスルホンアミド(2.2g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.3g)の溶液を、乾燥THF(25mL)中の塩化10−ウンデセノイル(2.0g)の撹拌溶液に添加する。溶液を室温で一晩撹拌し、次いでロータリーエバポレーターおよび高真空ポンプを使用して揮発性成分を除去する。次いで、125mLスクリューキャップ瓶中で、この材料の溶液を塩化メチレン(30g)中に入れる。キシレン中の白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラン錯体を約1.5重量%の濃度まで塩化メチレンで希釈して、そしてこの溶液の3滴を瓶に添加する。次いで瓶を密封し、そして水浴中で60℃まで加熱する。18時間後、混合物を室温まで冷却し、そして追加の白金錯体溶液(1滴)を添加する。瓶を再び密封し、そしてさらに24時間、60℃で加熱する。次いで、混合物を室温まで冷却し、そしてロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去し、生成物を得る。
【0191】
実施例4:
【化41】

の調製
丸底フラスコ内で、乾燥THF(3.9g)中のN−フェニルトリフルオロメタンスルホンアミド(0.97g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.58g)の溶液を、乾燥THF(4.0g)中の調製実施例3の生成物(1.0g)の撹拌溶液に添加した。この混合物を一晩撹拌した。次いで、ロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去した。残渣をクロロホルム(40mL)に溶解し、そして最初に0.1N HCl水(40mL)、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次いで濾過した。ロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去し、1.03gの生成物を得た。
【0192】
実施例5:
【化42】

の調製
乾燥アセトン(4.1g)中の調製実施例6のクロロカルボニル含有生成物(0.75g)の磁気撹拌溶液に、固体ナトリウムサッカリン(0.38g)を室温で添加した。一晩混合後、ビーカー中の脱イオン水に混合物を注ぎ入れ、そして得られた固体を濾過し、そして室温および66.7Pa(0.5mm Hg)の真空オーブン中で一晩乾燥させ、0.60gの生成物を得た。
【0193】
実施例6:
【化43】

の調製
THF(0.8g)中のN−メチルトリフルオロメタンスルホンアミド(0.203g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.17g)の溶液を、THF(2.0g)中の調製実施例6のクロロカルボニル含有生成物(0.5g)の撹拌溶液にゆっくり添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでビーカー内の脱イオン水に混合物を注ぎ入れた。固体を濾過し、そして室温および66.7Pa(0.5mm Hg)の真空オーブン中で一晩乾燥させ、0.65gの生成物を得た。
【0194】
実施例7:
【化44】

の調製
THF(1.2g)中のN−フェニルトリフルオロメタンスルホンアミド(0.28g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.16g)の溶液を、THF(2.0g)中の調製実施例6のクロロカルボニル含有生成物(0.5g)の撹拌溶液にゆっくり添加した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでビーカー内の脱イオン水に混合物を注ぎ入れた。固体を濾過し、そして室温および66.7Pa(0.5mm Hg)の真空オーブン中で一晩乾燥させ、0.72gの生成物を得た。
【0195】
実施例8:
【化45】

の調製
丸底フラスコ中で、乾燥THF(1.1g)中のN−メチルトリフルオロメタンスルホンアミド(0.353g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.274g)の溶液を、乾燥THF(4.0g)中の調製実施例3の生成物(1.0g)の撹拌溶液に添加した。混合物を一晩室温で磁気撹拌した。次いで、混合物を20mLの0.1N HCl水で処理し、そして混合物をクロロホルムで抽出した。有機相を飽和NaCl水で洗浄し、そして無水MgSO4上で乾燥した。ロータリーエバポレーターを使用して揮発性物質を除去した。1H NMR分光法による残渣の分析は、反応が不完全であることを示した。生成物残渣を丸底フラスコに移し、そして塩化チオニル(0.3g)および塩化メチレン(5mL)と組み合わせた。この混合物を一晩磁気撹拌し、次いで、ロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去した。次いで、乾燥THF(1.1g)中のN−メチルトリフルオロメタンスルホンアミド(0.353g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.274g)の溶液をフラスコに添加し、そして混合物を室温で一晩磁気撹拌した。次いで混合物を20mLの0.1N HCl水で処理し、そして混合物をクロロホルムで抽出した。有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、そして無水MgSO4上で乾燥した。ロータリーエバポレーターおよび高真空ポンプを使用して揮発性物質を除去し、0.55gの生成物を得た。
【0196】
実施例9:
【化46】

の調製
窒素雰囲気下で丸底フラスコ中の2,3−ジヒドロ−3−オキソベンズイソスルホンアゾール(5.0g)、トリエチルアミン(3.3g)およびアセトニトリル(30g)の混合物を磁気撹拌し、そして氷浴で冷却した。均圧化添加ロートを使用して、THF(12g)中の塩化10−ウンデセノイル(6.1g)の溶液をフラスコにゆっくり添加した。混合物を室温まで加温し、次いで濾過した。ロータリーエバポレーターを使用して濾液を濃縮して乾燥させ、そして残渣をジエチルエーテルで倍散した。得られた固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして室温の空気中で乾燥させ、8.7gの生成物を得た。
【0197】
実施例10:
【化47】

の調製
アセトニトリル(8.0g)中のサッカリン(1.8g)およびピリジン(0.8g)の溶液を、アセトニトリル(7.8g)中の調製実施例3のクロロカルボニル含有生成物(2.2g)の撹拌溶液に添加した。一晩混合した後、ロータリーエバポレーターを使用して大部分の溶媒を除去し、そしてビーカー中の脱イオン水に混合物の残渣を注ぎ入れた。得られた固体をイソプロピルアルコールおよびジエチルエーテルで連続的に洗浄し、濾過し、そして室温および66.7Pa(0.5mm Hg)の真空オーブン中で一晩乾燥して3.5gの生成物を得た。
【0198】
実施例11:
【化48】

の調製
125mLスクリューキャップ瓶中で、実施例9のエチレン性不飽和含有生成物(4.0g)、トリクロロシラン(3.1g)および塩化メチレン(25g)の混合物を組み合わせた。キシレン中の白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラン錯体を約1.5重量%の濃度まで塩化メチレンで希釈して、そしてこの溶液の3滴を瓶に添加した。次いで瓶を密封し、そして水浴中で60℃まで加熱した。18時間後、混合物を室温まで冷却し、そして追加の白金錯体溶液(1滴)を添加した。瓶を再び密封し、そしてさらに24時間、60℃で加熱した。次いで、混合物を室温まで冷却し、そしてロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去した。
【0199】
実施例12:金被覆ケイ素基材へのN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基の結合
アセトン中で実施例10のジスルフィド含有生成物の250マイクロモル溶液を調製した。金被覆ケイ素ウエハーの1cm×1cm部分を30分間、この溶液に浸漬させ、その後、試料を取り出し、エタノールおよびメタノールで連続的にすすぎ、次いで約1分間、処理された金表面上に窒素ガス流を誘導することによって乾燥させた。多層基材の金側面上の偏光解析による厚さは18オングストロームであると決定された。金基材層へのテザリング基の結合から得られた表面上の脱イオン水の静的前進接触角は62度であると決定された。
【0200】
実施例13:ガラス−DLC−DLGの多層基材へのN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基の結合
塩化メチレン中で実施例11のトリクロロシリル含有生成物の1ミリモル溶液を調製した。調製実施例9の生成物であるガラス−DLC−DLGの多層基材を30分間、この溶液に浸漬させ、その後、塩化メチレンですすぎ、そして約1分間、処理された金表面上に窒素ガス流を誘導することによって乾燥させた。DLG基材層へのテザリング基の結合から得られた表面上の脱イオン水の静的前進接触角は63度であると決定された。
【0201】
実施例14:多層DLG−DLC−ポリイミド−DLC−DLG基材へのN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基の結合
塩化メチレン中で実施例11のトリクロロシリル生成物の1ミリモル溶液を調製した。調製実施例8の生成物であるDLG−DLC−ポリイミド−DLC−DLG多層基材の試料、約2.5cm×7cmを30分間、この溶液に浸漬させ、その後、両側を塩化メチレンですすぎ、そしてそれぞれ約1分間、両DLG表面上に窒素ガス流を誘導することによって乾燥させた。DLG基材層へのテザリング基の結合から得られた表面上の脱イオン水の静的前進接触角は63度であると決定された。
【0202】
実施例15:多層ポリイミド−チタン−金基材へのN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基の結合
アセトン中で実施例10のジスルフィド生成物の1ミリモル溶液を調製した。調製実施例10の生成物であるポリイミド−チタン−金多層基材の試料、約2.5cm×7cmを30分間、この溶液に浸漬させ、その後、両側をアセトンですすぎ、そしてそれぞれ約1分間、金表面上に窒素ガス流を誘導することによって乾燥させた。金基材層へのテザリング基の結合から得られた表面上の脱イオン水の静的前進接触角は63度であると決定された。
【0203】
実施例16−17:金被覆ケイ素基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有基によるリジンの固定化
実施例12の生成物(金被覆ケイ素基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基)の1cm×1cm試料2個を、炭酸緩衝液中リジンの1ミリモル溶液に浸漬させた。試料の1個(実施例16)を30分後に緩衝液から取り出し、そして脱イオン水ですすいだ。偏光解析による厚さを上記の通りに決定した。第2の試料(実施例17)を90分後に緩衝液から取り出し、そして脱イオン水ですすぎ、その後、偏光解析による厚さを決定した。金基材表面に結合された層の厚さに関するデータを表1に示す。
【0204】
比較例1−2:金被覆ケイ素基材に結合されたN−アシロキシスクシンイミド含有テザリング基によるリジンの固定化
調製実施例11の生成物(金被覆ケイ素基材に結合されたN−アシロキシスクシンイミド含有テザリング基)の1cm×1cm試料2個を、炭酸緩衝液中リジンの1ミリモル溶液に浸漬させた。試料の1個(比較例1)を30分後に緩衝液から取り出し、そして脱イオン水ですすいだ。偏光解析による厚さを上記の通りに決定した。第2の試料(比較例2)を90分後に緩衝液から取り出し、そして脱イオン水ですすぎ、その後、偏光解析による厚さを決定した。金基材表面に結合された層の厚さに関するデータを表1に示す。
【0205】
【表1】

【0206】
実施例18:ガラス−DLC−DLGの多層基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基による蛍光標識化IgGの固定化
2mg/mLの濃度のIgG溶液が得られるように、0.55mLの脱イオン水を混合することによって蛍光標識化されたマウスIgGを再構成した。IgG濃度が50μg/mLとなるまで、この溶液をCHES緩衝液で希釈した。50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mLおよび6.25μg/mLのIgG濃度を有する試料が得られるように、連続的な希釈を行なった。ピペットを使用して各IgG溶液のアリコート(15μL)を、実施例13の生成物(ガラス−DLC−DLGの多層基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基)の異なる部分上へ析出させた。ピペットの先端を使用して、アリコートをスライド表面にわたって塗布した。ガラススライド上に30分間、IgG溶液を静置させ、次いでPBS緩衝液、0.05重量%トゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液およびPBS緩衝液で連続的にスライドを洗浄した。次いで空気中、室温で約1時間、スライドを乾燥させた。モデル ジーンタック(Model GeneTAC)UC−4スキャナ(ミシガン州アナーバーのゲノミック ソルーションズ インコーポレイテッド(Genomic Solutions,Inc.,Ann Arbor,MI)から入手可能)を使用して、スライドを分析した。図1に示される結果は、蛍光標識化されたマウスIgGが基材表面に結合されたことを示す。定性蛍光強度は、蛍光標識化IgG試料が最も濃縮された時に最高であり、そしてIgG試料が最も少ない濃度の時に最低となる。
【0207】
実施例19:DLG−DLC−ポリイミド−DLC−DLGの多層基材の固定化されたIgGによる黄色ブドウ球菌の捕獲
黄色ブドウ球菌に対して特異的なラビットIgG(ラビット抗黄色ブドウ球菌、ニューヨーク州ウエストベリーのアキュレート ケミカル アンド サイエンティフィック コーポレイション(Accurate Chemical & Scientific Corp.,Westbury,NY)から入手)を4.52mg/mLの濃度で使用した。この溶液をCHES緩衝液で希釈し、50μg/mLのIgG濃度の溶液を得た。実施例14の生成物(DLG−DLC−ポリイミド−DLC−DLGの多層基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基、すなわち、基材はDLCの層およびDLGの層によって両側上で被覆されたポリイミドであった)の1cm×1cmの試料をこの溶液に30分間浸漬させ、その後、PBS緩衝液、0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液およびPBS緩衝液で連続的に洗浄した。次いで、固定化IgGを有する試料を約1時間、室温の空気中で乾燥させた。
【0208】
10mg/mLの濃度の脱イオン水中のアクリジンオレンジ溶液(オレゴン州ユージーンのモレキュラー プローブス インコーポレイテッド(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR)から入手)を脱イオン水によって0.1mg/mLの濃度に希釈した。遠心分離管中で、この溶液の500マイクロリットルアリコートを、1ミリリットルあたり109コロニー形成単位(cfu/mL)の濃度のPBS緩衝液中の黄色ブドウ球菌の懸濁液の500マイクロリットルアリコートと混合した。この混合物を15分間室温に静置させ、その後、実験室ボルテックスミキサーを使用して混合し、次いで8000rpmで遠心分離した。ピペットを使用して上澄み液を除去し、そして500マイクロリットルの脱イオン水を管に添加し、ボルテックスミキサーを使用して内容物を混合し、8000rpmで管を遠心分離し、そして上澄み液を除去することによって、バクテリアを3回洗浄した。次いで、遠心分離管へ500マイクロリットルの緩衝液を添加し、そしてボルテックスミキサーを使用することによって内容物を混合することによって、PBS緩衝液中にバクテリアを分散した。緩衝液中の黄色ブドウ球菌の濃度は、1ミリリットルあたり109コロニー形成単位(109cfu/mL)であった。
【0209】
次いで、両面接着剤テープ(ミネソタ州セントポールの3M カンパニー(3M Company,St.Paul,MN)から入手可能)を使用して、固定化IgGを有する基材をガラス顕微鏡スライド上に固定し、そしてこの構造体をPBS緩衝液中の黄色ブドウ球菌の懸濁液に1時間浸漬させた。次いで試料を、PBS緩衝液、0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液およびPBS緩衝液で連続的に洗浄した。次いで、1重量%パラホルムアルデヒド水溶液に15分間、試料を浸漬させ、その後、脱イオン水で洗浄した。オリンパス モデル(Olympus Model)FV−300共焦点顕微鏡(ミネソタ州ミネアポリスのリーズ プリシジョン インコーポレイテッド(Leeds Precision Inc.,Minneapolis,MN)から入手可能)を使用する共焦点顕微鏡法によって試料を分析した。結果を図2に示す。
【0210】
比較例3:DLG−DLC−ポリイミド−DLC−DLGの多層基材への黄色ブドウ球菌の暴露
調製実施例8の基材(DLG−DLC−ポリイミド膜−DLC−DLGの多層基材)の1cm×1cmの試料をCHES緩衝液に30分間浸漬させ、その後、PBS緩衝液、0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液およびPBS緩衝液で連続的に洗浄した。次いで、基材を約1時間、室温の空気中で乾燥させた。実施例19に記載の通り、次いで基材を黄色ブドウ球菌の懸濁液に浸漬させ、次いですすぎ、そして1重量%パラホルムアルデヒド水溶液に浸漬させた。オリンパス モデル(Olympus Model)FV−300共焦点顕微鏡(ミネソタ州ミネアポリスのリーズ プリシジョン インコーポレイテッド(Leeds Precision Inc.,Minneapolis,MN)から入手可能)を使用する共焦点顕微鏡法によって試料を分析した。結果を図3に示す。
【0211】
実施例20−35:結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基を有するDLG−DLC−ポリイミド−DLC−DLGの多層基材を使用するELISA
実施例20−35のそれぞれに関して、実施例14の生成物(結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基を有するDLG−DLC−ポリイミド−DLC−DLGの多層基材)の1cm×1cmの試料を、CHES緩衝液(1mL)および様々な濃度の抗体抗ヒトマウスIgGを含有する培養試験管に入れた。4本の試験管はそれぞれ、CHES緩衝液中5μg/mL、10μg/mL、20μg/mLまたは50μg/mLの濃度の抗ヒトマウスIgGを含有した。5、10、30または60分の暴露時間、各試験管を実験室シェーカーで振盪した。ピペットを使用して緩衝液を各試験管から除去し、次いで各試験管中の基材固定化IgG試料を0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液で3回洗浄した。
【0212】
次いで、各試験管に、PBS緩衝液中の2重量%脱脂粉ミルク粉(カリフォルニア州グレンダールのネッスル USA(Nestle USA,Glendale,CA)から商標名「ネッスル カーネーション ノンファット ドライ ミルク パウダー(NESTLE CARNATION NONFAT DRY MILK POWDER)」で入手可能)の溶液1.5mLを添加した。各試験管を1時間シェーカー上に置き、その後、ピペットを使用して溶液を除去し、次いで各試験管中の試料を0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液で3回洗浄した。
【0213】
次いで、PBS緩衝液中のビオチン複合体化ヒトIgGの溶液1mLアリコートを、4μg/mLの濃度で各試験管に添加した。試験管を1時間シェーカー上に置き、その後、ピペットを使用して溶液を除去し、次いで各試験管中の試料を0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液で3回洗浄した。PBS緩衝液中の検出酵素SA−HRP溶液の1mLアリコートを、0.5μg/mLの濃度で試験管に添加した。試験管を30分間シェーカー上に置き、その後、ピペットを使用して各試験管から溶液を除去した。次いで、各試験管中の試料膜を0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液で3回洗浄した。
【0214】
ABTS指示薬溶液の1mLアリコートを各試験管に添加し、そして5分後、1重量%のSDS水溶液(1mL)の溶液を添加した。各試験管中の溶液のアリコートを標準キュベットに移し入れ、そしてカリフォルニア州パロアルトのヒューレット−パッカード カンパニー(Hewlett−Packard Co.,Palo Alto,CA)から入手可能なモデル8453 紫外/可視分光光度計を使用して405nmにおける各溶液の吸光度を測定した。データを表2に示す。
【0215】
【表2】

【0216】
実施例36−41:ガラス−DLC−DLGの多層基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有化合物へのリジンの固定化
63度の脱イオン水の静的前進接触角を有する実施例13の生成物 (ガラス−DLC−DLGの多層基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基)の試料6個をCHES緩衝液中のリジンの30ミリモル溶液に浸漬させた。表3に示される時間間隔で試料を取り出し、そしてCHES緩衝液で洗浄し、そして窒素ガス流下で乾燥させた。次いで、上記の通り、多層基材のDLG表面に結合された層に対して接触角を測定した。データを表3に示す。
【0217】
【表3】

【0218】
実施例42−46:N−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基による金被覆ケイ素基材へのHSAの固定化
実施例12の生成物(金被覆ケイ素基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基)の試料5個を、pH9.6の炭酸緩衝液中のHSAの10マイクロモル溶液に浸漬させた。表4に示される通りの時間間隔で試料を取り出し、そして脱イオン水、エタノールおよびメタノールで連続的に洗浄し、次いで窒素ガス流下で乾燥させた。次いで、上記の通り、偏光解析による厚さを測定し、そして実施例12の生成物の厚さ(18オングストローム)と比較した。すなわち、基材の金表面に結合された層の厚さを測定した。データを表4に示す。
【0219】
【表4】

【0220】
比較例4−7:金被覆ケイ素基材に結合されたN−アシロキシスクシンイミド−含有テザリング基へのHSAの結合
調製実施例11の生成物(金被覆ケイ素基材に結合されたN−アシロキシスクシンイミド含有テザリング基)の試料4個を、pH9.6の炭酸緩衝液中のHSAの10マイクロモル溶液に浸漬させた。表5に示される通りの時間間隔で試料を取り出し、そして脱イオン水、エタノールおよびメタノールで連続的に洗浄し、次いで窒素ガス流下で乾燥させた。次いで、上記の通り、偏光解析による厚さを測定し、そして調製実施例11に記載の通り調製された膜の厚さ(17オングストローム)と比較した。すなわち、基材の金表面に結合された層の厚さを測定した。データを表5に示す。
【0221】
【表5】

【0222】
実施例47:金被覆ケイ素基材へのN−メチル−トリフルオロメタンスルホンアミド含有テザリング基の結合
メチルエチルケトン中で実施例8のジスルフィド含有生成物の250マイクロモル溶液を調製した。金被覆ケイ素ウエハーの1cm×1cm部分を30分間、この溶液に浸漬させ、その後、試料を取り出し、エタノールおよびメタノールで連続的にすすぎ、次いで約1分間、処理された金表面上に窒素ガス流を誘導することによって乾燥させた。偏光解析による厚さは17オングストロームであると決定され、そして金基材層へのテザリング基の結合から得られた表面上の脱イオン水の静的前進接触角は79度であると決定された。
【0223】
実施例48:金被覆ケイ素基材へのN−フェニル−トリフルオロメタンスルホンアミド含有テザリング基の結合
メチルエチルケトン中で実施例4のジスルフィド含有生成物の250マイクロモル溶液を調製した。金被覆ケイ素ウエハーの1cm×1cm部分を30分間、この溶液に浸漬させ、その後、試料を取り出し、エタノールおよびメタノールで連続的にすすぎ、次いで約1分間、処理された金表面上に窒素ガス流を誘導することによって乾燥させた。偏光解析による厚さは23オングストロームであると決定され、そして金基材層へのテザリング基の結合から得られた表面上の脱イオン水の静的前進接触角は73度であると決定された。
【0224】
実施例49:金被覆ケイ素基材に結合されたN−メチルトリフルオロメタンスルホンアミド含有基による1−アミノドデカンの固定化
実施例47の生成物(金被覆ケイ素基材に結合されたN−メチルトリフルオロメタンスルホンアミド含有テザリング基)の1cm×1cm試料をエタノール中1−アミノドデカンの1ミリモル溶液に浸漬させた。2時間後、試料を溶液から取り出し、そしてエタノールおよびメタノールで連続的にすすぎ、次いで窒素ガス流下で乾燥させた。偏光解析による厚さは21オングストロームであると決定され、そして表面上の脱イオン水の静的前進接触角は86度であると決定された。
【0225】
実施例50:金被覆ケイ素基材に結合されたN−メチルトリフルオロメタンスルホンアミド含有基によるジドデシルアミンの固定化
実施例47の生成物(金被覆ケイ素基材に結合されたN−メチルトリフルオロメタンスルホンアミド含有テザリング基)の1cm×1cm試料をエタノール中ジドデシルアミンの1ミリモル溶液に浸漬させた。2時間後、試料を溶液から取り出し、そしてエタノールおよびメタノールで連続的にすすぎ、次いで窒素ガス流下で乾燥させた。偏光解析による厚さは19オングストロームであると決定され、そして表面上の脱イオン水の静的前進接触角は78度であると決定された。
【0226】
実施例51:金被覆ケイ素基材に結合されたN−フェニルトリフルオロメタンスルホンアミド含有基による1−アミノドデカンの固定化
実施例48の生成物(金被覆ケイ素基材に結合されたN−フェニルトリフルオロメタンスルホンアミド含有テザリング基)の1cm×1cm試料をエタノール中1−アミノドデカンの1ミリモル溶液に浸漬させた。2時間後、試料を溶液から取り出し、そしてエタノールおよびメタノールで連続的にすすぎ、次いで窒素ガス流下で乾燥させた。偏光解析による厚さは26オングストロームであると決定され、そして表面上の脱イオン水の静的前進接触角は78度であると決定された。
【0227】
実施例52:金被覆ケイ素基材に結合されたN−フェニルトリフルオロメタンスルホンアミド含有基によるジドデシルアミンの固定化
実施例48の生成物(金被覆ケイ素基材に結合されたN−フェニルトリフルオロメタンスルホンアミド含有テザリング基)の1cm×1cm試料をエタノール中ジドデシルアミンの1ミリモル溶液に浸漬させた。2時間後、試料を溶液から取り出し、そしてエタノールおよびメタノールで連続的にすすぎ、次いで窒素ガス流下で乾燥させた。偏光解析による厚さは23オングストロームであると決定され、そして表面上の脱イオン水の静的前進接触角は78度であると決定された。
【0228】
実施例53:ポリイミド−チタン−金の多層基材の固定化されたIgGによる黄色ブドウ球菌の捕獲
黄色ブドウ球菌に対して特異的なラビットIgG(ラビット抗黄色ブドウ球菌、ニューヨーク州ウエストベリーのアキュレート ケミカル アンド サイエンティフィック コーポレイション(Accurate Chemical & Scientific Corp.,Westbury,NY)から入手)を4.52mg/mLの濃度で使用した。この溶液をCHES緩衝液で希釈し、50μg/mLのIgG濃度の溶液を得た。実施例15の生成物(調製実施例10に記載の通り、ポリイミド−チタン−金の多層基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基)の1cm×1cmの試料をこの溶液に30分間浸漬させ、その後、PBS緩衝液、0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液およびPBS緩衝液で連続的に洗浄した。次いで、固定化IgGを有する試料を約1時間、室温の空気中で乾燥させた。
【0229】
10mg/mLの濃度の脱イオン水中のアクリジンオレンジ溶液(オレゴン州ユージーンのモレキュラー プローブス インコーポレイテッド(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR)から入手)を脱イオン水によって0.1mg/mLの濃度に希釈した。遠心分離管中で、この溶液の500マイクロリットルアリコートを、1ミリリットルあたり109コロニー形成単位(cfu/mL)の濃度の脱イオン水中の黄色ブドウ球菌の懸濁液の500マイクロリットルアリコートと混合した。この混合物を15分間室温に静置させ、その後、実験室ボルテックスミキサーを使用して混合し、次いで8000rpmで遠心分離した。ピペットを使用して上澄み液を除去し、そして500マイクロリットルの脱イオン水を管に添加し、ボルテックスミキサーを使用して内容物を混合し、8000rpmで管を遠心分離し、そして上澄み液を除去することによって、バクテリアを3回洗浄した。次いで、遠心分離管へ500マイクロリットルの緩衝液を添加し、そしてボルテックスミキサーを使用することによって内容物を混合することによって、PBS緩衝液中にバクテリアを分散した。緩衝液中の黄色ブドウ球菌の濃度は、1ミリリットルあたり109コロニー形成単位(109cfu/mL)であった。
【0230】
次いで、両面接着剤テープ(ミネソタ州セントポールの3M カンパニー(3M Company,St.Paul,MN)から入手可能)を使用して、固定化IgGを有する基材をガラス顕微鏡スライド上に固定し、そしてこの構造体をPBS緩衝液中の黄色ブドウ球菌の懸濁液に1時間浸漬させた。次いで試料を、PBS緩衝液、0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液およびPBS緩衝液で連続的に洗浄した。次いで、1重量%パラホルムアルデヒド水溶液に15分間、試料を浸漬させ、その後、脱イオン水で洗浄した。オリンパス モデル(Olympus Model)FV−300共焦点顕微鏡(ミネソタ州ミネアポリスのリーズ プリシジョン インコーポレイテッド(Leeds Precision Inc.,Minneapolis,MN)から入手可能)を使用する共焦点顕微鏡法によって試料を分析した。結果を図4に示す。
【0231】
比較例8:ポリイミド−チタン−金の多層基材への黄色ブドウ球菌の暴露
調製実施例10の基材(ポリイミド膜−チタン−金の多層基材)の1cm×1cmの試料をCHES緩衝液に30分間浸漬させ、その後、PBS緩衝液、0.05重量%のトゥイーン(TWEEN)20を含有するPBS緩衝液およびPBS緩衝液で連続的に洗浄した。次いで、基材を約1時間、室温の空気中で乾燥させた。実施例53に記載の通り、次いで基材を黄色ブドウ球菌の懸濁液に浸漬させ、次いですすぎ、そして1重量%パラホルムアルデヒド水溶液に浸漬させた。オリンパス モデル(Olympus Model)FV−300共焦点顕微鏡(ミネソタ州ミネアポリスのリーズ プリシジョン インコーポレイテッド(Leeds Precision Inc.,Minneapolis,MN)から入手可能)を使用する共焦点顕微鏡法によって試料を分析した。結果を図5に示す。
【0232】
実施例54:ポリ(メタクリル酸メチル−コ−メタクリル酸)ビーズ基材へのN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基の結合
磁気撹拌バーを備えた丸底フラスコ中で、調製実施例13のヒドロキシル官能化されたビーズ(2.0g)をNMP(15mL)と組み合わせた。NMP(5mL)中の実施例2の酸塩化物生成物(0.19g)をフラスコに添加した。次いで、NMP(5mL)中のエチルジイソプロピルアミン(0.09g)をフラスコに添加し、そして混合物を一晩室温で磁気撹拌した。次いでビーズを濾過し、イソプロピルアルコールで洗浄し、そして窒素ガス流下で乾燥させると白色ビーズである生成物が得られた。
【0233】
実施例55:ポリ(メタクリル酸メチル−コ−メタクリル酸)ビーズに結合されたN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基によるFITC−アルブミンの固定化
遠心分離管中で、実施例54のN−スルホニルアミノカルボニル含有テザリング基を有するポリ(メタクリル酸メチル−コ−メタクリル酸)ビーズ(50mg)をFITC−アルブミンの溶液(1mL)と組み合わせた。管を45分間、実験室ロッカー上に配置した。次いで管を遠心分離し、上澄み液をデカンテーションして、次いで7.2のpHを有するPBS緩衝液(1mL)を添加し、そして再び管を遠心分離し、そして再び上澄み液をデカンテーションすることによってビーズを洗浄した。PBS緩衝液によるこのような洗浄を合計4回の洗浄サイクルが実行されるように繰り返すと、黄オレンジ色のビーズが得られた。そのようにして得られたビーズの色を、FITC−アルブミンで処理されていない実施例54の白色のビーズの色と比較した。
【0234】
実施例56:
【化49】

の調製
アセトン(150mL)中の(トルエンとの共沸によって乾燥された)乾燥Naサッカリン(20.5g)のスラリーをガラス反応容器中に配置した。この撹拌スラリーに塩化アクリロイル(9.2g)を添加し、そして得られた混合物を24時間撹拌した。混合物を濾過し、そして溶媒を除去し、IR分光法によって同一であった18.3gの不溶性および9.5gの可溶性白色固体が得られた。可溶性および不溶性固体を400ミリリットルの水中で再び組み合わせて、濾過し、そして乾燥させ、NMRによる約80%純度である所望の生成物を得た。収量:20.5グラム。固体は、EtOAc中でわずかに可溶性であり、そしてNMP中で可溶性だった。
【0235】
実施例57:
【化50】

の調製
ガラス反応容器中で、乾燥THF(167.5mL)中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(22.31g)、グルタル酸無水物(20.54g)およびトリエチルアミン(19.08g)の溶液を室温で一晩撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶液を濃縮し、そして残渣を400mLのEtOAc中に溶解した。有機相を脱イオン水および飽和NaCl水溶液で連続的に洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させた。溶液を濾過し、ガラス反応容器中で塩化チオニル(21.14g)およびDMF(3滴)で処理した。混合物を一晩撹拌し、そしてロータリーエバポレーター上で濃縮した。氷浴中で冷却された乾燥アセトン(250mL)中の乾燥Naサッカリン(31.29g)の撹拌懸濁液に濃縮物をゆっくり添加した。混合物を一晩撹拌し、そして室温まで加温した。混合物を濾過した。濾液を濃縮し、そしてクロロホルム中でスラリー化し、次いで再び濾過した。濾液を濃縮し、ジエチルエーテルを添加し、そして濾過によって沈殿物を単離し、そして窒素ガス流下で乾燥させ、所望の生成物を得た。収量:40.5グラム。
【0236】
実施例58:
【化51】

の調製
ガラス反応容器中で、乾燥THF(114.9mL)中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(15.3g)、グルタル酸無水物(14.08g)およびトリエチルアミン(19.08g)の溶液を室温で一晩撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶液を濃縮し、そして残渣をEtOAc(400mL)中に溶解した。有機相を脱イオン水および飽和NaCl水溶液で連続的に洗浄し、次いでMgSO4上で乾燥させた。溶液を濾過し、そして、ガラス反応容器中で塩化チオニル(16.9g)およびDMF(3滴)で処理した。混合物を一晩撹拌し、そして約83%固体までロータリーエバポレーター上で濃縮した。鉱油中60%分散系として水素化ナトリウム(0.47g)をガラス反応容器に添加し、そして氷浴中に配置した。鉱油を除去するために、水素化ナトリウムをTHFですすいだ。THF(24.1g)中にN−メチルペルフルオロブチルスルホンアミドを溶解した。溶液を水素化ナトリウムに添加した。撹拌懸濁液に、メタクリレート中間体を含有する濃縮物(3.53g)をゆっくり添加した。混合物を一晩撹拌し、そして室温まで加温し、その後、混合物を水中に注ぎ入れた。この混合物を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル混合物を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。次いで、ロータリーエバポレーターを使用して揮発性成分を除去し、4.5gの生成物を得た。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】基材に結合されたN−スルホニルアミノカルボニルテザリング基と反応させることによって固定化された、様々な濃度(左から右へ、50マイクログラム/ml、25マイクログラム/ml、12.5マイクログラム/mlおよび6.25マイクログラム/ml)の蛍光標識化マウスIgGの共焦点顕微鏡写真。
【図2】ダイヤモンド様ガラス/ダイヤモンド様炭素/ポリイミド/ダイヤモンド様炭素/ダイヤモンド様ガラスの多層基材上で固定化されたIgGによる黄色ブドウ球菌の捕獲を示す、共焦点顕微鏡写真。
【図3】式Iの化合物から誘導されたコネクター基を有する基材に固定化されたIgGを含まないダイヤモンド様ガラス/ダイヤモンド様炭素/ポイイミド/ダイヤモンド様炭素/ダイヤモンド様ガラスの多層基材による黄色ブドウ球菌の暴露を示す、共焦点顕微鏡写真。
【図4】ポリイミド/チタン/金の多層基材上で固定化されたIgGによる黄色ブドウ球菌の捕獲を示す、共焦点顕微鏡写真。
【図5】基材に固定化されたIgGを含まないポリイミド/チタン/金の多層基材への黄色ブドウ球菌の暴露を示す、共焦点顕微鏡写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
1は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファトまたはエチレン性不飽和基から選択される基材反応性官能基であり;
1は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRa−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、Raは、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、アルキル、アリールまたは−(CO)Raであって、Raは、R1およびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、NRbcであって、RbおよびRcは、それぞれアルキル基であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員の環式基を形成するか、あるいはR1は、Raおよびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1が一価の基である場合、rは1に等しく、またはX1が二価の基である場合、rは2に等しい)の化合物であって、
未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている化合物。
【請求項2】
次式
【化2】

(式中、
nは、1〜100の整数である)を有する化合物であって、
未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
次式
【化3】

(式中、
Dは、酸素、硫黄またはNHであり;
tは、0〜12の整数であり;
kは、2〜4の整数であり;
mは、1〜200の整数である)を有する化合物であって、
未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
次式
【化4】

(式中、
Dは、酸素、硫黄またはNHであり;
nは、1〜100の整数であり;
mは、1〜200の整数であり;
tは、0〜12の整数であり;
kは、2〜4の整数であり;
Lは、酸素またはNR4であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)を有する化合物であって、
未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
次式
【化5】

(式中、
Dは、酸素、硫黄またはNHであり;
nは、1〜100の整数であり;
mは、1〜200の整数であり;
tは、0〜12の整数であり;
kは、2〜4の整数であり;
pは、1〜10の整数であり;
Lは、酸素またはNR4であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)を有する化合物であって、
未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
次式
【化6】

(式中、
Dは、酸素、硫黄またはNHであり;
nは、1〜100の整数であり;
mは、1〜200の整数であり;
tは、0〜12の整数であり;
kは、2〜4の整数であり;
pは、1〜10の整数であり;
Lは、酸素またはNR4であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールであり;
Ar1は、アリーレンである)を有する化合物であって、
未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
1がC1-10アルキルであり、そしてR1がC1-10フルオロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
1がアリールであり、そしてR1がC1-10フルオロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
次式
【化7】

(式中、X1は一価である)または
【化8】

(式中、X1は二価である)の化合物であって、未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
次式
【化9】

【化10】

の化合物であって、未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
次式
【化11】

の化合物であって、未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
次式
【化12】

の化合物であって、未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
式Ia
【化13】

(式中、
5は、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、オキシ、−NR4−または−C(R42−であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールであり;
2は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールである)の化合物であって、未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
次式
【化14】

(式中、
Dは、酸素、硫黄またはNHであり;
mは、1〜200の整数であり;
nは、1〜12の整数であり;
kは、2〜4の整数である)を有する化合物であって、
未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
次式
【化15】

の化合物であって、未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
次式
【化16】

の化合物であって、未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
基材と、
基材に結合されたテザリング基と、
を含む物品であって、該テザリング基が、基材表面上の相補的な官能基Gと、式I
【化17】

(式中、
1は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミド、ホスファトまたはエチレン性不飽和基から選択される基材反応性官能基であり;
1は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、アルキル、アリールまたは−(CO)Raであって、Raは、R1およびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、NRbcであって、RbおよびRcは、それぞれアルキル基であるか、またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって4員〜8員の環式基を形成するか、あるいはR1は、Raおよびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1が一価の基である場合、rは1に等しく、またはX1が二価の基である場合、rは2に等しい)の化合物との反応生成物を含み;
Gは、X1と反応して、イオン結合、共有結合またはそれらの組み合わせを形成可能な相補的な官能基であり;そして
前記テザリング基が、未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている物品。
【請求項18】
前記化合物が、次式
【化18】

(式中、X1は一価である)または
【化19】

(式中、X1は二価である)の化合物である、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記基Gが、ヒドロキシ、メルカプト、第一級芳香族アミノ基、第二級芳香族アミノ基、第二級脂肪族アミノ基、アジド、カルボキシル、カルボン酸無水物、イソシアネート、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、アクリレート、シラノールまたはニトリルから選択される、請求項17に記載の物品。
【請求項20】
1がアリールまたはアルキルであり、そしてR1がフルオロアルキルである、請求項17に記載の物品。
【請求項21】
前記基材がポリマー材料を含む、請求項17に記載の物品。
【請求項22】
前記基材がポリイミドまたはポリエステル膜を含む、請求項17に記載の物品。
【請求項23】
前記基材が多層状であり、そして金を含む外層を有する、請求項17に記載の物品。
【請求項24】
前記基材が多層状であり、そしてダイヤモンド様ガラスを含む外層を有する、請求項17に記載の物品。
【請求項25】
前記基材が、
ポリイミドまたはポリエステルを含む支持層と;
ダイヤモンド様ガラスを含む外層と;
前記支持層と前記外層との間に位置するダイヤモンド様ガラス層と;
を含む多層基材である、請求項17に記載の物品。
【請求項26】
基材がビーズの形態である、請求項17に記載の物品。
【請求項27】
アミン含有材料を基材に固定化する方法であって、
式I
【化20】

(式中、
1は、カルボキシ、ハロカルボニル、ハロカルボニルオキシ、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、イソシアナト、ハロシリル、アルコキシシリル、アシロキシシリル、アジド、アジリジニル、ハロアルキル、第三級アミノ、第一級芳香族アミノ、第二級芳香族アミノ、ジスルフィド、アルキルジスルフィド、ベンゾトリアゾリル、ホスホノ、ホスホロアミドまたはホスファトから選択される基材反応性官能基であり;
1は、単結合、またはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NR4−もしくはそれらの組み合わせから選択される二価の基であって、R4は、水素、アルキルまたはアリールであり;
1は、アルキル、アリールまたは−(CO)Raであって、Raは、R1と一緒になってそれらが結合している基と一緒に、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1は、アルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、NRbcであって、RbおよびRcは、それぞれアルキル基であるか、またはそれらが結合している基と一緒になって4員〜8員の環式基を形成するか、あるいはR1は、Raおよびそれらが結合している基と一緒になって、任意の芳香族基、任意の飽和もしくは不飽和環式基、または任意の飽和もしくは不飽和二環式基に縮合可能な4員〜8員の複素環式または複素二環式基を形成し;
1が一価の基である場合、rは1に等しく、またはX1が二価の基である場合、rは2に等しい)の化合物であって、
未置換であるか、またはハロ、アルキル、アルコキシもしくはそれらの組み合わせによって置換されている化合物を選択する工程と;
1と反応可能な相補的な官能基を有する基材を提供する工程と;
1と、前記基材上の相補的な官能基とを反応させて、イオン結合、共有結合またはそれらの組み合わせを生じることによって、基材に結合されたテザリング基を調製する工程と、
アミン含有材料と、前記基材に結合されたテザリング基のN−スルホニルアミノカルボニル基とを反応させて、前記基材と前記アミン含有材料との間にカルボニルイミノ含有コネクター基を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項28】
前記アミン含有材料が、アミン含有被検体、アミノ酸、ペプチド、DNA、RNA、タンパク質、酵素、細胞小器官、免疫グロブリンまたはそれらの断片である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記化合物が、次式
【化21】

(式中、X1は一価である)または
【化22】

(式中、X1は二価である)の化合物である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
1がアリールまたはアルキルであり、そしてR1がフルオロアルキルである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
ポリマー層と;
ダイヤモンド様ガラス層と;
前記ポリマー層と前記ダイヤモンド様ガラス層との間に位置するダイヤモンド様炭素層と;
を含む多層基材を含む物品。
【請求項32】
前記ダイヤモンド様ガラス層の表面に結合された、N−スルホニルアミノカルボニル基を含むテザリング基をさらに含む、請求項31に記載の物品。
【請求項33】
二価のコネクター基によって前記基材に結合された固定化アミン含有材料をさらに含む、請求項31に記載の物品。
【請求項34】
前記アミン含有材料が、アミン含有被検体、アミノ酸含有被検体、アミノ酸、ペプチド、DNA、RNA、タンパク質、酵素、細胞小器官、免疫グロブリンまたはそれらの断片である、請求項33に記載の物品。
【請求項35】
前記アミン含有材料が抗体であり、そして前記抗体が抗原にさらに結合されている、請求項33に記載の物品。
【請求項36】
前記アミン含有材料が抗原であり、そして前記抗原が抗体にさらに結合されている、請求項33に記載の物品。
【請求項37】
前記アミン含有材料が免疫グロブリンである、請求項33に記載の物品。
【請求項38】
前記アミン含有材料がバクテリアにさらに結合されている、請求項33に記載の物品。
【請求項39】
バクテリアが黄色ブドウ球菌である、請求項34に記載の物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−511532(P2007−511532A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539946(P2006−539946)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/037965
【国際公開番号】WO2005/049590
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】