説明

N2−アルキル化1,2,3−トリアゾールの調製

3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸などのN2−アルキル化トリアゾールを調製するための方法および材料を開示する。このような化合物は、インスリン非依存性糖尿病の治療に有用であるPPAR作動薬である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン非依存性糖尿病の治療に有用なPPAR作動薬である3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸などのN2−アルキル化トリアゾールを調製するための材料および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のN2−アルキル化トリアゾール(以下の式1を参照)は、ひとつまたは複数のペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)を刺激することが分かっている。すべての目的に対して参照により全体として本明細書に組み込まれている、2003年3月6日に公表された同一出願人による国際特許出願WO03/018553A1(’553出願)を参照されたい。これらの受容体には、転写因子の核内受容体スーパーファミリーのメンバーであり、ステロイド、甲状腺、およびビタミンD受容体を含む。PPARは、脂質代謝を調節するタンパク質の発現を制御する際に重要な役割を果たし、3種のサブタイプ、すなわちPPARα、PPARδ、およびPPARγを含み、各々は、異なる組織発現および活性化パターンを示す。
【0003】
例えば、PPARγは、脂肪組織において最も大量に、骨格筋、心臓、肝臓、腸、腎臓、血管内皮、および平滑筋細胞においては低レベルで発現され、脂肪細胞のシグナル伝達、脂質貯蔵、および脂肪代謝を仲介する。最近のデータは、PPARγが、抗糖尿病薬のひとつであるチアゾリジン2,4ジオンのインスリン感受性改善作用を仲介する主要かつおそらく独占的な分子標的であるという結論を支持している。このデータおよび他のデータは、PPARγ作動薬が、インスリン非依存性糖尿病の治療に有用性が認められるはずであることを示唆している。実際、最近の研究は、3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸および構造的に関連する化合物が、強力な抗糖尿病薬となる可能性を示している。例えば、’553出願を参照されたい。
【0004】
’553出願は、式1の化合物を製造する様々な方法について記載している。有用なアプローチの1つは、3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸の調製によって例示されている。この方法には、[1,2,3]トリアゾールをまずブロモ酢酸エチルと反応させて望ましいN2異性体、[1,2,3]トリアゾール−2−イル−酢酸エチルエステルを得て、次に臭化p−ブロモベンジル(p−BBB)と反応させて3−(4−ブロモ−フェニル)−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸エチルエステルを得る連続アルキル化を含む。また、この方法は、ブロモベンジルトリアゾールと9−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル−プロピル)−9−ボラ−ビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)との間のパラジウム触媒によるクロスカップリング反応と、続く最終生成物を作成するためのエステル官能基の塩基触媒による加水分解を用いる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有用であるにもかかわらず、この方法には諸課題がある。例えば、第1および第2のアルキル化の主な生成物はそれぞれ、N1異性体、[1,2,3]トリアゾール−1−イル−酢酸エチルエステル、およびビスアルキル化化合物、2−(4−ブロモ−ベンジル)−3−(4−ブロモ−フェニル)−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸エチルエステルである。N1異性体およびビスアルキル化生成物の優先的な生成は、望ましいN2異性体およびブロモベンジル生成物の比較的低い収率(22%および26%)を招き、クロスカップリングおよび加水分解反応による収率損失と共に約3.5%という総収率を招く。さらに、この方法は、多くのクロマトグラフィー分離に頼っており、このことが、商用スケールアップにはそのプロセスを問題となるものにしている。したがって、式1の化合物を調製する他の方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式1および式10の化合物を調製するための材料および方法を提供する。請求の範囲に記載されている方法は、複数のクロマトグラフィー分離の使用を回避し、他の方法と比較した場合に、有意な収率改善を提供する。この方法は、知られている混合型(mixed)PPARα/γ作動薬であり、インスリン非依存性糖尿病を治療するための強力な薬剤となる可能性がある3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸および構造的に関連する化合物を調製するのに特に有利である。以下に示すように、この方法は、3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸を調製するのに使用した場合、約37%の総収率を示す。
【0007】
したがって、本発明の一態様は、式1の化合物を製造する方法を提供し、
【0008】
【化1】

式中、RおよびRは、独立して水素、ハロゲン、アリール、ベンゾイル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルカノイル、C1〜6ハロアルカノイル、またはC3〜7シクロアルカノイルであり、
およびRは、同一または異なってもよい電子吸引基であり、
Eは、C1〜6アルキレンオキシ、C1〜6アルキレンアミノ、C1〜6アルキレンチオ、C1〜6アルカンジイル、C1〜6アルケンジイル、またはC1〜6アルキンジイルであり、および、
Aは、アリーレン(フェニレンを含む)またはヘテロアリーレンであり、各々は、ひとつまたは複数の水素でない置換基を有してもよいが、ただし、Aが、5員ヘテロアリーレン基である場合、Aは、ヘテロ原子を介してEと結合していない。
【0009】
この方法には、式2の[1,2,3]トリアゾール塩を、
【0010】
【化2】

式3の化合物と反応させ、
【0011】
【化3】

式4の化合物を得ることが含まれ、
【0012】
【化4】

式中、R、R、R、およびRは、式1について上記で定義した通りであり、Mは、対イオンであり、Xは、脱離基である。式2の[1,2,3]トリアゾール塩は、in situで調製することができる。また、この方法には、式4の化合物を式7の化合物と反応させ、
【0013】
【化5】

式8の化合物を得ることが含まれ、
【0014】
【化6】

式中、R、R、R、RおよびAは、式1について上記で定義した通りであり、Xは、脱離基であり、Xは、脱離基またはヒドロキシ、アミノ、もしくはチオを含む求核基である。続いて、式8の化合物を式9の化合物とカップリングさせると、
【0015】
【化7】

式1の化合物が得られる。式9において、Rは、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6オキソアルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、またはC2〜6アルキニルである。場合により、この方法には、式1の化合物を薬学的に許容できる塩、エステル、アミド、またはプロドラッグに変換することを含む。また、この方法には、R(またはR)を除去して式10の化合物(または、その類縁体)を得ること、
【0016】
【化8】

望ましい場合には、得られる化合物を薬学的に許容できる塩、エステル、アミド、またはプロドラッグに変換することを含む。
【0017】
さらに、この方法には、式2の[1,2,3]トリアゾール塩を式3の化合物と反応させ、式4の化合物および少なくともひとつの式5の化合物(式中、R、R、R、およびRは、式1において定義した通りである)を含むNアルキル化トリアゾールの混合物を得ること、少なくともひとつの式5の化合物をアルキル化剤と反応させてひとつ又は複数のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体を得ること、および溶媒との接触によりひとつまたは複数のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体を溶液から沈殿させて取り除くことを含んでいてもよい。
【0018】
【化9】

【0019】
また、この方法には、式2の[1,2,3]トリアゾール塩を式3の化合物と反応させ、式4の化合物および少なくともひとつの式5の化合物を含むN−アルキル化トリアゾールの混合物を得ること、N−アルキル化トリアゾールの混合物を式7の化合物と反応させて式8の化合物および少なくともひとつの式14の化合物(式中、R、R、R、R、A、およびXは、式1および式7に関連して上記で定義した通りである)からなる混合物を得ること、少なくともひとつの式14の化合物をアルキル化剤と反応させてひとつまたは複数のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体を得ること、および溶媒との接触によりひとつ又は複数のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体を溶液から沈殿させて取り除くことを含んでいてもよい。
【0020】
【化10】

【0021】
本発明の別の態様には、式4の化合物を製造する方法を提供し、式2の[1,2,3]トリアゾール塩を式3の化合物と反応させ、式4の化合物(式2、式3、および式4は上記に示す)を得ることを含む。
【0022】
本発明の追加態様は、式4または式8のN2−アルキル化トリアゾールをそれぞれ、式5または式14の少なくともひとつのN1−アルキル化トリアゾールを含むN−アルキル化トリアゾールの混合物中で凝縮または濃縮する方法を提供する。この方法には、N−アルキル化トリアゾールをアルキル化剤と反応させて少なくともひとつのN1−アルキル化トリアゾールをN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体に変換することを含む。また、この方法には、溶液中にN2−アルキル化トリアゾールを残しながらひとつ又は複数のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体を溶液から沈殿させて取り除くのに適している溶媒とひとつ又は複数のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体を接触させること(式4、式5、式8、および式14は上記に示す)を含む。
【0023】
本発明の他の態様は、
およびRは、独立して水素、ハロゲン、アリール、ベンゾイル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルカノイル、C1〜6ハロアルカノイル、またはC3〜7シクロアルカノイルであり、
およびRは、各々が同一または異なってもよい電子吸引基であるが、ただし、RおよびRは、両方がメトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルではなく、
Aは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、各々は、ひとつまたは複数の水素でない置換基を有してもよく、および
は、脱離基またはヒドロキシ、アミノ、もしくはチオを含む求核基である上記に示すような式4または式8の化合物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
定義および略語
他に指示がない限り、本開示は、以下に提供される定義を使用する。定義および式の一部には、原子間の結合または特定もしくは不特定の原子もしくは原子の群との結合点を示すための「−」(ダッシュ記号)を含むことがある。他の定義および式には、二重結合を示すための「=」を含むことがある。
【0025】
「置換された」基は、ひとつまたは複数の水素原子がひとつまたは複数の水素でない基で置換されている基であるが、ただし、原子価の要件が満たされ、化学的に安定な化合物が置換によって生じるものとする。
【0026】
「アルキル」は、直鎖または分岐炭化水素基を指し、指定された数の炭素原子を一般的に有する(すなわち、C1〜6アルキルは、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するアルキル基を指す)。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンタ−1−イル、ペンタ−2−イル、ペンタ−3−イル、3−メチルブタ−1−イル、3−メチルブタ−2−イル、2−メチルブタ−2−イル、2,2,2−トリメチルエタ−1−イル、n−ヘキシルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0027】
「アルケニル」は、ひとつまたは複数の不飽和炭素−炭素結合を有し、指定された数の炭素原子を一般的に有する直鎖または分岐炭化水素基を指す。アルケニル基の例には、エテニル、1−プロペン−1−イル、1−プロペン−2−イル、2−プロペン−1−イル、1−ブテン−1−イル、1−ブテン−2−イル、3−ブテン−1−イル、3−ブテン−2−イル、2−ブテン−1−イル、2−ブテン−2−イル、2−メチル−1−プロペン−1−イル、2−メチル−2−プロペン−1−イル、1,3−ブタジエン−1−イル、1,3−ブタジエン−2−イルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0028】
「アルキニル」は、ひとつまたは複数の三重炭素−炭素結合を有し、指定された数の炭素原子を一般的に有する直鎖または分岐炭化水素基を指す。アルキニル基の例には、エチニル、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、1−ブチン−1−イル、3−ブチン−1−イル、3−ブチン−2−イル、2−ブチン−1−イルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0029】
「アルカンジイル」は、二価の直鎖および分岐脂肪族炭化水素基を指し、指定された数の炭素原子を一般的に有する。例には、メチレン、1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、1,5−ペンタンジイル、1,6−ヘキサンジイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0030】
「アルケンジイル」は、ひとつまたは複数の不飽和炭素−炭素結合を有し、指定された数の炭素原子を一般的に有する二価の分岐または非分岐炭化水素基を指す。例には、エテン−1,2−ジイル、プロペン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,4−ジイル、ブタ−2−エン−1,4−ジイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0031】
「アルキンジイル」は、ひとつまたは複数の三重炭素−炭素結合を有し、指定された数の炭素原子を一般的に有する二価の分岐または非分岐炭化水素基を指す。例には、エチン−1,2−ジイル、プロピン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,4−ジイル、ブタ−2−イン−1,4−ジイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0032】
「アルキレンオキシ」、「アルキレンアミノ」、および「アルキレンチオ」はそれぞれ、−アルキル−O−、−アルキル−NH−、および−アルキル−S−を指す。例には、メチレンオキシ、エチレンオキシ、1,3−プロピレンオキシ、メチレンアミノ、エチレンアミノ、1,3−プロピレンアミノ、メチレンチオ、エチレンチオ、1,3−プロピレンチオなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0033】
「アルカノイル」は、アルキル−C(O)−(アルキルは上記で定義した通りである)を指し、カルボニル炭素を含む指定された数の炭素原子が一般的に含まれる。アルカノイル基の例には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0034】
「シクロアルキル」は、環を構成する指定された数の炭素原子を一般的に有する飽和単環式および二環式炭化水素環を指す(すなわち、C3〜7シクロアルキルは、環員として3、4、5、6または7個の炭素原子を有するシクロアルキル基を指す)。シクロアルキルは、任意の環原子において親基または基質と結合できるが、ただし、そのような結合が原子価の要件に違反する場合は除く。同様に、シクロアルキル基にはひとつまたは複数の水素でない置換基を含んでいてもよいが、ただし、そのような置換が原子価の要件に違反する場合は除く。有用な置換基には、上記で定義したアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、およびアルカノイル、ならびにヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、およびアミノを含むが、これらに限定されるものではない。
【0035】
単環式シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含むが、これらに限定されるものではない。二環式シクロアルキル基の例には、ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.0]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[4.1.1]オクチル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[4.2.0]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.0]ノニル、ビシクロ[3.3.2]デシル、ビシクロ[4.2.2]デシル、ビシクロ[4.3.1]デシル、ビシクロ[4.4.0]デシル、ビシクロ[3.3.3]ウンデシル、ビシクロ[4.3.2]ウンデシル、ビシクロ[4.3.3]ドデシルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0036】
「シクロアルカノイル」は、シクロアルキル−C(O)−(シクロアルキルは上記で定義した通りである)を指し、カルボニル炭素を含む指定された数の炭素原子が一般的に含まれる。シクロアルカノイル基の例には、シクロプロパノイル、シクロブタノイル、シクロペンタノイル、シクロヘキサノイル、シクロヘプタノイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】
「アルコキシ」、「アルコキシカルボニル」および「アルコキシカルボニルアルキル」はそれぞれ、アルキル−O−、アルキル−O−C(O)−、およびアルキル−O−C(O)−アルキル(アルキルは上記で定義した通りである)を指す。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、s−ペントキシなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
「アルキルアミノカルボニル」、「ジアルキルアミノカルボニル」、「アルキルスルホニル」、「スルホニルアミノアルキル」、および「アルキルスルホニルアミノカルボニル」はそれぞれ、アルキル−NH−C(O)−、アルキル−N−C(O)−、アルキル−S(O)−、HS(O)−NH−アルキル−、およびアルキル−S(O)−NH−C(O)−(アルキルは上記で定義した通りである)を指す。
【0039】
「ハロ」、「ハロゲン」および「ハロゲノ」は、同義的に使用でき、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。
【0040】
「ハロアルキル」および「ハロアルカノイル」はそれぞれ、ひとつまたは複数のハロゲン原子で置換されているアルキルまたはアルカノイル基(アルキルおよびアルカノイルは、上記で定義した通りである)を指す。ハロアルキルおよびハロアルカノイル基の例には、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、ペンタフルオロプロピオニル、ペンタクロロプロピオニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0041】
「ヒドロキシアルキル」および「オキソアルキル」はそれぞれ、HO−アルキルおよびO=アルキル(アルキルは、上記で定義した通りである)を指す。ヒドロキシアルキルおよびオキソアルキル基の例には、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、オキソメチル、オキソエチル、3−オキシプロピルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0042】
「アリール」および「アリーレン」はそれぞれ、一価および二価の芳香族基を指す。アリール基の例には、非置換であるか、あるいは上記で定義したアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイル、およびシクロアルカノイル、ならびにヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、およびアミノなどの1〜4個の置換基で置換されていてもよいフェニル、ナフチル、ビフェニル、ピレニル、アントラセニル、フルオレニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0043】
「アリールアルキル」は、アリール−アルキル(アリールおよびアルキルは、上記で定義した通りである)を指す。例には、ベンジル、フルオレニルメチルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0044】
「ヘテロサイクル」および「ヘテロシクリル」はそれぞれ、5〜7個または7〜11個の環員を有する飽和、部分不飽和、または不飽和の単環式または二環式環を指す。これらの基は、環炭素および独立して窒素、酸素またはイオウである1〜4個のヘテロ原子から構成される環員を有し、上記の単環式複素環のいずれかがベンゼン環と縮合している任意の二環式基を含む。窒素およびイオウヘテロ原子は、場合により酸化されていてもよい。複素環は、任意のヘテロ原子または炭素原子において親基または基質と結合できるが、ただし、そのような結合が原子価の要件に違反する場合は除く。同様に、炭素または窒素の環員のいずれかに水素でない置換基を含んでいてもよいが、ただし、そのような置換が原子価の要件に違反する場合は除く。有用な置換基には、上記で定義したアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイル、およびシクロアルカノイル、ならびにヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、およびアミノを含むが、これらに限定されるものではない。
【0045】
ヘテロサイクルの例には、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H、6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル,2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル,1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニルを含むが、これらに限定されるものではない。
【0046】
「ヘテロアリール」および「ヘテロアリーレン」はそれぞれ、一価および二価の、芳香族である上記で定義したヘテロサイクルまたはヘテロシクリル基を指す。ヘテロアリールおよびヘテロアリーレン基はそれぞれ、アリールおよびアリーレン基のサブセットである。
【0047】
「脱離基」は、置換反応、脱離反応、および付加−脱離反応を含む断片化プロセス中に分子から離れる任意の基を指す。脱離基は、元は脱離基と分子との間の結合として機能していた電子対と一緒に脱離する核脱離性であるか、あるいは電子対を伴わずに脱離する電子脱離性であってもよい。核脱離性脱離基の脱離能は、その塩基強度に依存しており、最も強い塩基は、最も弱い脱離基である。一般的な核脱離性脱離基には、窒素(例えば、ジアゾニウム塩由来)、スルホネート(トシレート、ブロシレート、ノシレート、およびメシレートを含む)、トリフレート、ノナフレート、トレシレート、ハライドイオン、カルボキシレートアニオン、フェノレートイオン、およびアルコキシドを含む。NHおよびOHなどの一部の強い塩基は、酸で処理することによって優れた脱離基となることがある。一般的な電子脱離性脱離基には、プロトン、CO、および金属を含む。
【0048】
「電子吸引基」は、例えば、分極または共役を介して隣接原子または原子の群から電子密度を引き寄せる置換基を指し、例えば、−C(O)R、−SOR、および−P(O)RR(RおよびR’は、独立してアルキル、アリール、またはアルコキシである)を含む。有用な電子吸引基には、シアノ、アルカノイル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルスルホニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
「薬学的に許容できる塩、エステル、アミド、およびプロドラッグ」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などもなく患者の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な利益/危険比に見合っており、それらの使用目的にとって有効である請求の範囲に記載され開示されている化合物の酸または塩基付加塩、エステル、アミド、可能であれば双性イオン体、およびプロドラッグを指す。
【0050】
薬学的に許容できる非毒性エステルの例には、請求の範囲に記載され開示されている化合物のC1〜6アルキルエステル、C5〜7シクロアルキルエステル、およびアリールアルキルエステル(アルキル、シクロアルキル、およびアリールは、上記で定義した通りである)を含むが、これらに限定されるものではない。このようなエステルは、例えば、M.B.SmithおよびJ.March、March’s Advanced Organic Chemistry(第5版 2001)に記載の従来法によって調製することができる。
【0051】
薬学的に許容できる非毒性アミドの例には、請求の範囲に記載され開示されている化合物のアンモニア、一級C1〜6アルキルアミン、および二級C1〜6ジアルキルまたはヘテロシクリルアミン(アルキルおよびヘテロシクリルは、上記で定義した通りである)から誘導されるアミドを含むが、これらに限定されるものではない。このようなアミドは、例えば、March’s Advanced Organic Chemistryに記載の従来法によって調製することができる。
【0052】
「プロドラッグ」は、生体内で代謝された場合に、望ましい活性を有する請求の範囲に記載され開示されている化合物への変換を受けることができる薬理活性をほとんどまたはまったく有することがない化合物を指す。プロドラッグに関する議論については、T.HiguchiおよびV.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、ACS Symposium Series 14(1975)、E.B.Roche(編)、Bioreversible Carriers in Drug Design(1987)、およびH.Bundgaar、Design of Prodrugs(1985)を参照されたい。
【0053】
本明細書を通じて使用される略語を表1に列挙する
【0054】
【表1−1】

【0055】
【表1−2】

【0056】
本発明は、式1、
【0057】
【化11】

または式10によって表される化合物を調製するための材料および方法を提供し、
【0058】
【化12】

式中、RおよびRは、独立して水素、ハロゲン、アリール、ベンゾイル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルカノイル、C1〜6ハロアルカノイル、またはC3〜7シクロアルカノイルであり、
およびRは、同一または異なってもよい電子吸引基であり、
Eは、C1〜6アルキレンオキシ、C1〜6アルキレンアミノ、C1〜6アルキレンチオ、C1〜6アルカンジイル、C1〜6アルケンジイル、またはC1〜6アルキンジイルであり、および、
Aは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、各々は、ひとつまたは複数の水素でない置換基を有してもよいが、ただし、Aが、5員ヘテロアリーレン基である場合、Aは、ヘテロ原子を介してEと結合していない。
【0059】
式1および式10によって表される特に有用な化合物には、RおよびRが各々水素である化合物、またはRおよびRが独立してシアノ、C1〜6アルカノイル、カルボキシ、C1〜6アルコキシカルボニル、カルバモイル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、C1〜6ジアルキルアミノカルボニル、スルホニルアミノカルボニル、C1〜6アルキルスルホニルアミノカルボニル、N−C1〜6アルキルスルホニル−N−C1〜6アルキルアミノカルボニル、またはC1〜6アルキルスルホニルである化合物を含む。式1および式10によって表される他の有用な化合物には、Aがフェニレン、特にp−フェニレンであり、Eがメチレンオキシ、エチレンオキシ、1,3−プロパンジイル、1,3−プロペンジイル、または1,3−プロピンジイルである化合物を含む。
【0060】
式1および式10によって表されるさらに他の有用な化合物には、RおよびRが各々水素であり、RおよびRが各々C1〜6アルコキシカルボニルであり、Aがフェニレンであり、Eが1,3−プロパンジイルである化合物を含む。上述のように、式10によって表される特に有用な化合物は、3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸であり、構造的に関連する化合物と共に、知られている混合型PPARα/γ作動薬であり、インスリン非依存性糖尿病を治療するための強力な薬剤となる可能性がある。
【0061】
以下の反応スキームおよび実施例の一部において、特定の化合物は、保護基を用いて調製し、さもなければ反応性である部位における望ましくない化学反応を防ぐことができる。また、保護基を用い、溶解性を高めるか、さもなければ化合物の物理的特性を改変することができる。保護基戦略、保護基を導入および除去するための材料および方法、アミン、カルボン酸、アルコール、ケトン、アルデヒドなどを含む一般的な官能基に有用な保護基の集成に関する考察については、すべての目的に対して参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、T.W.GreeneおよびP.G.Wuts、Protecting Groups in Organic Chemistry(1999)およびP.Kocienski、Protective Groups(2000)を参照されたい。
【0062】
さらに、以下のスキームおよび実施例の一部は、有機反応に係わる当業者に知られている酸化、還元などを含む一般的な反応の詳細を省略することがある。このような反応の詳細は、Richard Larock、Comprehensive Organic Transformations(1999)、およびMichael B.Smith他によって編集された数巻よりなるシリーズ、Compendium of Organic Synthetic Methods(1974〜2003)を含む多くの専門書に見いだすことができる。一般的に、出発物質および試薬は、商業的供給源から入手することができる。
【0063】
スキームIは、式1および式10の化合物を調製する方法を図示している。この方法には、溶媒の存在下で[1,2,3]トリアゾール塩(式2)を第1のアルキル化剤(式3)と反応させ、N−アルキル化トリアゾール(式4、5)の混合物を得ることを含む。トリアゾール塩には、式1の化合物について上記で定義した通りの置換基RおよびRを含む。より一般的に、および特に指定のない限り、式に関連して特定の置換基識別子(R、R、Rなど)が初めて定義される場合、その後の式で使用される同一の置換基識別子は、当初の式と同一の意味を有するものとする。
【0064】
トリアゾール塩は、別々か、あるいは必要な置換基RおよびRを有する[1,2,3]トリアゾールをNaH、t−BuONa、t−BuOKなどの適切な塩基と接触させることによりin situで(すなわち、最初のアルキル化を行うのに使用するのと同一容器中で)調製することができる。便宜のため、スキームIに描かれたトリアゾール塩は、N2原子上の負電荷を示すが、実際は、N1、N2、およびN3原子に電荷が非局在化している。同様に、式2は、1+電荷の対イオンMを描いているが、Mは、2+イオンであってもよい。したがって、有用なMには、1族(アルカリ)金属(例えば、Na、K、Cs)に対応する1+イオンまたは2族(アルカリ土類)金属(例えば、Mg、Ca)に対応する2+イオンを含む。
【0065】
第1のアルキル化剤(式3)には、式1の化合物に関連して上記で述べたように、電子吸引基である置換基RおよびRを含む。電子吸引基は同一であることが多いが、異なっていてもよく、シアノ、C1〜6アルカノイル、カルボキシ、C1〜6アルコキシカルボニル、カルバモイル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、C1〜6ジアルキルアミノカルボニル、スルホニルアミノカルボニル、C1〜6アルキルスルホニルアミノカルボニル、N−C1〜6アルキルスルホニル−N−C1〜6アルキルアミノカルボニル、またはC1〜6アルキルスルホニルを含むが、これらに限定されるものではない。特に有用なRおよびRには、シアノ、C1〜6アルカノイル、およびカルボキシを含む。
【0066】
驚いたことに、[1,2,3]トリアゾール塩(式2)を一対の電子吸引基(RおよびR)を有する第1のアルキル化剤(式3)と反応させると、主成分としてN2−アルキル化トリアゾール(式4)を有する生成物混合物をもたらし、N2アルキル化トリアゾールとN1−アルキル化トリアゾール(またはトリアゾール)との比は、約1:1よりも大きい。さらに、以下に示すように、この反応方法は通常、約2:1以上のN2−アルキル化トリアゾールとN1−アルキル化トリアゾールの比をもたらし、場合によっては、約3:1以上のN2−アルキル化トリアゾールとN1−アルキル化トリアゾールの比をもたらす。
【0067】
N2−アルキル化[1,2,3]トリアゾールを調製する一般的かつ実用的方法が存在しないように見えるため、この結果は予想外である。例えば、K.T.Finley、1,2,3:Triazole 1〜17(1981)を参照されたい。ハロゲン化アルキルなどによる非置換[1,2,3]トリアゾールの直接アルキル化は、主要生成物としてN1−アルキル化異性体を与える。唯一報告されている例外は、アクリロニトリルなどのMichael受容体による非置換[1,2,3]トリアゾールのMichael付加であり、これは、式1および式10の化合物を製造するには不適当である。Y.TanakaおよびS.I.Miller、29 Tetrahedron 3285(1983)およびH.Gold、688 Liebigs Ann.205(1965)を参照されたい。さらに、科学文献は、トリアゾール環形成によるN2−アルキル化[1,2,3]トリアゾールの調製を開示していないようである。
【0068】
第1のアルキル化剤は、他の利点を提供する。例えば、必ずしも同一である必要はない2個の電子吸引基の存在は、以下に述べる次のアルキル化の収率を改善する。さらに、式3のRおよびRは水素でないであるため、得られる分子構造は、次のアルキル化のビスアルキル化副生物の形成を防ぎ、それによって第2のアルキル化の収率をさらに改善する。したがって、特に有用なアルキル化剤には、マロン酸ジアルキル(すなわち、マロン酸ジメチルの誘導体およびマロン酸ジメチルなどのマロン酸ジアルキルエステル)を含むβ−ジカルボニル化合物またはアセト酢酸エチルの誘導体を含む3−オキソ−C4〜9アルカン酸C1〜6アルキルエステルを含む。
【0069】
式3において、置換基Xは、アルキル化の間に置換される脱離基であり、ハロゲン、スルホネートエステル(トシレート、ブロシレート、メシレート、およびトリフレートを含む)、OP(O)(O−アリール)などであってよい。特に有用な脱離基には、塩素および臭素などのハロゲンを含む。したがって、特に有用なアルキル化剤には、クロロマロン酸ジエチル(すなわち、2−クロロマロン酸ジエチルエステル)、クロロマロン酸ジメチル、ブロモマロン酸ジエチル、ブロモマロン酸ジメチルなどのハロマロン酸ジアルキルを含む。
【0070】
トリアゾール塩のN2−アルキル化は、溶媒および塩基の選択にいくらか左右されるが、様々な塩基および極性有機溶媒を使用することができる。有用な溶媒には、アセトン、EtOH、DMSO、THF、1,4−ジオキサン、ACN、DMF、NMP、クロロホルム、クロロベンゼンなどを含む。特に有用な溶媒には、DMFおよびACNなどの極性非プロトン性溶媒を含む。in situで式2のトリアゾール塩を調製する場合、有用な塩基には、NaH、t−BuONa、t−BuOKなどの様々なアルカリおよびアルカリ土類金属塩を含む。さらに、またはあるいは−すなわち、トリアゾール塩を別々に調製するか、あるいは外部ソースから得る場合−、一般に、NaCO、EtN、DBU、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(TRITON B)、および類似の非求核性(すなわち、ヒンダード)塩基を含む他の塩基を使用することができる。
【0071】
N2−アルキル化は、実質的に化学量論的量の反応剤を用いて行うことができるが、過剰なトリアゾール塩(例えば、約1.1当量〜約1.5当量)で反応を行うことが有利である。少なくともわずかに過剰のトリアゾール塩(例えば、約1.1当量)の使用は、水性抽出を介してアルキル化生成物混合物からトリアゾール塩を取り去ることができるため、次の生成物と反応剤の分離を容易にする。より一般的に、および特に指定のない限り、本明細書を通じて記載される化学転換は、実質的に化学量論的量の反応剤を用いるか、あるいは過剰のひとつまたは複数の反応剤を用いて行うことができる。さらに、特に指定のない限り、本開示における化学量論的範囲、温度範囲、pH範囲などへの任意の言及には、指示された終点を含む。
【0072】
以下の実施例の一部で示すように、第1のアルキル化剤(式3)とトリアゾール塩(式2)を混合する間および混合した後の反応混合物の温度は、N2−アルキル化トリアゾールとN1−アルキル化トリアゾールの比に影響を及ぼすことがある。通常、N2−アルキル化トリアゾールとN1−アルキル化トリアゾールの許容可能な比は、約−15℃〜40℃の反応温度で得られる。特定の反応剤によって、より高収率のN2−アルキル化トリアゾールが約−15℃〜20℃の反応温度で得られることがある。さらにより高収率のN2−アルキル化トリアゾールが約−15℃〜0℃の反応温度で得られることがある。反応が発熱反応であるため、一連の部分的添加によりアルキル化剤を反応混合物に加えることが有利であるが、添加時間を約10倍(例えば、30分から360分まで)に延長することは、N2−アルキル化トリアゾールの比を有意に改善しないように見える。
【0073】
【化13】

【0074】
スキームIに示すように、この方法には、N−アルキル化トリアゾール(式4および式5)の混合物を第2のアルキル化剤と場合により反応させ、続いて溶媒と接触させることも含まれ、これは、スキームIIとの関連で以下に述べるように、N2−アルキル化トリアゾールの割合を増加させる。続いて、反応混合物の成分を、塩基および溶媒の存在下で第3のアルキル化剤(式7)と反応させると、式8の化合物が得られる。第3のアルキル化剤には、式1の化合物について上記で定義した通りの連結基A、および式3のXについて上記で定義した置換基を含む脱離基Xを含む。特に有用なXには、塩素および臭素などのハロゲンを含む。また、第3のアルキル化剤には、以下に述べる次のカップリング反応にもよるが、Xのような脱離基であるか、あるいはヒドロキシ、アミノ、またはチオなどの求核基であってもよい置換基Xを含む。
【0075】
N2−アルキル化トリアゾール(式4)の場合、2個の電子吸引基RおよびRは、共通の炭素原子と結合しているただ一つの水素原子をより酸性にする。このことは、比較的弱い塩基(すなわち、アルコキシドまたはより弱い塩基)を用いる緩和な条件下での効率的アルキル化を可能にする。例えば、式4のN2−アルキル化トリアゾールは、塩基としてのKCOおよび触媒量のBuNBrを用い、DMF、THFなどの非プロトン性溶媒中RT(室温)において臭化p−ブロモベンジル(p−BBB)でアルキル化することができる。より苛酷な条件およびより強い塩基を用いることもできる。例えば、式4のN2−アルキル化トリアゾールは、還流条件下でTHF中、LiHMDSまたはLTMPもしくはLDAなどの他の非求核性塩基を用い、p−BBBでアルキル化することができる。しかしながら、このような条件は通常不必要である。
【0076】
スキームIに示すように、第3のアルキル化に続いて、この方法には、式9の化合物と式8の化合物をカップリングさせて式1の化合物を得ることを含む。’553出願に開示されている方法に従って調製することができる式9の化合物には、カップリング反応の性質によってC1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6オキソアルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、およびC2〜6アルキニルであってよい置換基Xを含む。例えば、Xがヒドロキシであり、XがC1〜6ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシエチル)である場合、光延条件(DEAD、PhP、THF)下で式8および9の化合物をカップリングさせ、EがC1〜6アルキレンオキシ(例えば、エチレンオキシ)である式1の化合物を得ることができる。Xがヒドロキシまたはチオであり、XがC1〜6ハロアルキル(例えば、ブロモエチル)である場合、塩基(例えば、MeONa)の存在下で式8および9の化合物をカップリングさせ、EがそれぞれC1〜6アルキレンオキシ(例えば、エチレンオキシ)またはC1〜6アルキレンチオ(例えば、エチレンチオ)である式1の化合物を得ることができる。さらに、Xがアミノであり、XがC1〜6オキソアルキル(例えば、オキソエチル)である場合、触媒量の酸の存在下で式8および9の化合物を反応させてイミン中間体を形成させ、続いて還元し、EがC1〜6アルキレンアミノ(例えば、エチレンアミノ)である式1の化合物を得ることができる。
【0077】
式8および9の化合物は、別の方法でカップリングさせることができる。例えば、Xが脱離基(例えば、トリフレート)であり、XがC2〜6アルケニル(例えば、プロパ−1−エン−3−イル)またはC2〜6アルキニル(例えば、プロパ−1−イン−3−イル)である場合、有機金属触媒の存在下で式8および9の化合物をカップリングさせ、EがC1〜6アルケンジイル(例えば、プロペンジイル)またはC1〜6アルキンジイル(例えば、プロピンジイル)である式1の化合物を得ることができる。あるいは、XがC2〜6アルケニルまたはC2〜6アルキニルである場合、式9の化合物を9−BBNなどのヒドロホウ素化剤と反応させるとアルキル−またはアルケニル−9−BBN付加物が得られ、続いて式8の化合物(Xは、ハロゲンまたはトリフレート)と混ぜ合わせると、EがC1〜6アルカンジイルまたはC1〜6アルケンジイルである式1の化合物が得られる。ヒドロホウ素化は、THFなどの極性非プロトン性溶媒中室温で行い、Suzukiカップリングは、混合溶媒DMF−HO中室温において、塩基CsCO、および触媒PdCl(dppf)、PhAsの存在下で行う。他の有用なカップリングに関する説明については、’553出願を参照されたい。
【0078】
式8および9の化合物のカップリングに続き、この方法は、式1におけるRまたはRの除去または変換(例えば、水素原子による置換)を場合により提供する。例えば、RとRが共にアルコキシカルボニルである場合(第1のアルキル化剤(式3)がマロン酸エステル誘導体である場合のように)、エステル部分の加水分解と、続く脱炭酸によってR(またはR)を除去し、R(またはR)がCOである式10の化合物を得ることができる。R(またはR)がアルカノイルであり、R(またはR)がアルコキシカルボニルである場合(第1のアルキル化剤がアセト酢酸エステル誘導体である場合のように)、塩基かそれとも酸加水分解によって望ましくないアルカノイル基を除去することができる。同様に、RとRが共にシアノ基である場合、それらを加水分解(酸または塩基中)するとカルボン酸二酸が得られ、続く脱炭酸によって式10の化合物を得ることができる。
【0079】
スキームIIは、第2のアルキル化のさらなる詳細を提供する。上述のように、この方法には、式4および式5のN−アルキル化トリアゾールの混合物を第2のアルキル化剤(式11)と反応させることが場合により含まれ、この反応は、式5のN1−アルキル化トリアゾール(またはトリアゾール)をひとつ又は複数のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体(式12)へと予想外かつ優先的に変換する。続いて、N1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体およびN2−アルキル化トリアゾールを含む、得られた反応混合物を適切な溶媒と接触させる。N1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体の双性イオン的性質のため、反応混合物をエステル(例えば、EtOAc)、エーテル(例えば、t−BuOMe)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、ベンゼン)などを含む極性の低い溶媒と接触させると、望ましいN2−アルキル化トリアゾールを溶液中に残しながらN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体が溶液から沈殿してくる。反応混合物を濾過すると、N1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウムの沈殿が除去され、反応混合物(濾液)中のN2−アルキル化トリアゾールの割合が実質的に増加する。
【0080】
以下の実施例で示すように、多種多様なアルキル化剤を用い、式5のN1−アルキル化トリアゾールを式12のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体へと変換することができる。第2のアルキル化剤(式11)の表現において、有用なRには、置換または非置換のC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニル、C1〜6アルコキシカルボニルアルキル、およびアリールアルキルを含むが、これらに限定されるものではない。特に有用なRには、Me、EtOAc、Bn、BrBn、およびNOBnを含む。式11において、Xには、アルキル化の間に置換される脱離基であり、式3のXについて上記で定義した基を含み、臭素およびヨウ素を含む。したがって、例示的な第2のアルキル化剤には、ヨウ化メチル、ブロモ酢酸エチル、ヨード酢酸エチル、臭化ベンジル、臭化p−ニトロベンジル、およびp−BBBを含むが、これらに限定されるものではない。
【0081】
第2のアルキル化は、ひとつ又は複数の溶媒(例えば、THF、DMFなど)中、第1のアルキル化について上記で定義した塩基と同一であってもよいひとつ又は複数の塩基(例えば、KHCO)の存在下で実行することができる。しかしながら、実施例に示すように、場合によっては、溶媒も塩基も使用せずに(無溶媒で)第2のアルキル化を行うと、式5のN1−アルキル化トリアゾールの式12のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体への変換が改善されることがある。この驚くべき結果は、反応混合物中のN2−アルキル化トリアゾールのより高い割合につながる。例えば、ある種のN1−アルキル化トリアゾール(式5においてR、Rは各々Hであり、R、Rは各々エトキシカルボニルである)を溶媒(THFまたはDMF)または溶媒および塩基(KHCO)の存在下でMeIまたはp−BBBによりアルキル化すると、N2−とN1−アルキル化トリアゾールのモル比は1.5/1から約1.6/1〜7/1まで増加するが、溶媒または塩基の非存在下でアルキル化すると、モル比は1.5/1から約4.8/1〜10/1まで増加する。
【0082】
スキームIIIに示すように、第2および第3のアルキル化の順序を逆にすることができる。例えば、この方法には、塩基および溶媒の存在下で式4および式5のN−アルキル化トリアゾールを式7のアルキル化剤と反応させ、上述の式8のN2−アルキル化トリアゾールの他にひとつ又は複数のN1−アルキル化トリアゾール(式14)を得ることを含んでいてもよい。続いて、式14のN1−アルキル化トリアゾールを式11のアルキル化剤と反応させると、N1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体(式16)が得られる。続いて、得られる反応混合物を適切な溶媒と接触させ、溶液中に望ましい式8のN2−アルキル化トリアゾールを残しながら式16のN1,N3ビスアルキル化トリアゾリウム中間体を溶液から沈殿させる。スキームIおよびスキームIIに示した第2および第3のアルキル化で使用する試薬および条件は、スキームIIIに示す対応するアルキル化でも使用することができる。
【0083】
反応混合物を濾過すると、N1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウムの沈殿が除去され、式14のN1−アルキル化トリアゾールに比べて実質的に過剰な式8のN2−アルキル化トリアゾールを有する混合物が得られる。例えば、N2−とN1−アルキル化トリアゾール(式4および式5においてR、Rは各々Hであり、R、Rは各々エトキシカルボニルである)の1.5/1モル混合物を室温においてDMF中、KCOの存在下でp−BBBにより処理すると、N2−とN1−アルキル化トリアゾール(AおよびXがそれぞれ、BnおよびBrである式8および式14)の混合物(収率98%)が得られる。得られる反応混合物を約60〜70℃の温度で24時間、BnBrで処理し、続いてt−BuOMeと接触させると、望ましくないビス−アルキル化トリアゾリウム誘導体(式16)が沈殿する。ビス−アルキル化トリアゾリウム誘導体を濾過して取り除くと、式8および式14のN2−とN1−アルキル化トリアゾールの10/1モル混合物が得られる。
【0084】
式1および式10によって表される化合物を含む本開示に記載される化合物の多くは、薬学的に許容できる塩を形成することができる。これらの塩には、酸付加塩(二酸を含む)および塩基塩を含むが、これらに限定されるものではない。薬学的に許容できる酸付加塩には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などの無機酸から誘導される非毒性塩、ならびに脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などの有機酸から誘導される非毒性塩を含む。したがって、このような塩には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などを含む。
【0085】
【化14】

【0086】
【化15】

【0087】
薬学的に許容できる塩基塩には、アルカリまたはアルカリ土類金属カチオンなどの金属カチオン、ならびにアミンを含む塩基から誘導される非毒性塩を含む。適当な金属カチオンの例には、ナトリウムカチオン(Na)、カリウムカチオン(K)、マグネシウムカチオン(Mg2+)、カルシウムカチオン(Ca2+)などを含むが、これらに限定されるものではない。適当なアミンの例には、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、およびプロカインを含むが、これらに限定されるものではない。有用な酸付加塩および塩基塩に関する議論については、S.M.Berge他、「Pharmaceutical Salts」、66 J.of Pharm.Sci.、1〜19(1977)を参照されたい。StahlおよびWermuth、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(2002)も参照されたい。
【0088】
一般に、化合物の遊離塩基(または遊離酸)を十分量の望ましい酸(または塩基)と接触させて非毒性塩を生成させることによって薬学的に許容できる酸付加塩(または塩基塩)を調製することができる。次いで、溶液から沈殿する場合には濾過により、または蒸発により塩を単離し、塩を回収することができる。また、酸付加塩を塩基と(または塩基塩を酸と)接触させることにより遊離塩基(または遊離酸)を再生することができる。遊離塩基(または遊離酸)およびそのそれぞれの酸付加塩(または塩基塩)のある種の物理的特性は異なることがあるが(例えば、溶解性、結晶構造、吸湿性など)、化合物の遊離塩基および酸付加塩(または、その遊離酸および塩基塩)は、本開示の目的に関してそれ以外は同等である。
【0089】
さらに、式1および式10で表される化合物を含む本開示のある種の化合物は、非溶媒和形態、または水和形態を含む溶媒和形態で存在することがある。薬学的に許容できる溶媒和物には、水和物および溶媒和物を含み、結晶化溶媒は、DO、d−アセトン、d−DMSOなどのように同位体で置換されていてもよい。一般に、水和形態を含む溶媒和形態は、本開示の目的に関して非溶媒和形態と同等である。したがって、別に明示しない限り、ある化合物の遊離塩基、遊離酸または非溶媒和形態には、その化合物の対応する酸付加塩、塩基塩または溶媒和形態をも含む。
【0090】
本明細書に開示されている化合物の一部は、ひとつまたは複数の不斉炭素を含むことがあるため、光学活性な立体異性体(すなわち、鏡像体の対)として存在することがある。また、化合物の一部は、アルケニルまたは環式基を含むことがあることから、シス/トランス(すなわちZ/E)立体異性体(すなわち、ジアステレオ異性体の対)が可能である。さらに他の化合物は、1対または複数対のジアステレオ異性体として存在することがあり、各ジアステレオ異性体は、1対または複数対の鏡像体として存在する。最後に、化合物の一部は、ケトまたはオキシム基を含むことがあることから、互変異性が生じることがある。そのような場合、本発明の範囲には、開示化合物の個々の立体異性体、ならびにその互変異性体(適切な場合)を含む。
【0091】
個々の鏡像体は、適切な光学的に純粋な前駆体の変換、例えば、キラルHPLC、またはラセミ化合物の適当な光学活性な酸または塩基(例えば、酒石酸)との反応によって形成されるジアステレオ異性の塩の分別結晶を用いるラセミ化合物(または塩もしくは誘導体のラセミ化合物)の分割などの知られている技法によって調製または分離することができる。ジアステレオ異性体は、分別結晶およびクロマトグラフィーなどの知られている技法によって分離することができる。
【0092】
例えば、上述のように、式1(および10)の有用な化合物には、3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸(式29、実施例52)が含まれ、この化合物は、ステレオ(stereogenic)中心を有することから、1対の光学活性な立体異性体を含む。S鏡像体(式30、実施例53)は、n−ヘプタン、EtOH、およびTFA(75/25/0.1)の移動相を有するCHIRALPAK ADカラムを用いるキラルHPLC分離によって単離することができる。カラム溶出液をトリエチルアミンで中和することができ、良好な鏡像体過剰率(95%e.e.)でEtN塩としてS鏡像体が得られる。主な不純物はTFAのEtN塩であり、これは、pH4における酢酸エチルおよび水による抽出を介して除去することができる。アセトニトリルからの再結晶により、S鏡像体の光学純度は99%e.e.を超えるまでに改善される。
【0093】
また、開示化合物には、同一の原子番号を有するが、自然に通常見いだされる原子量と異なる原子量を有する原子によって少なくとも1個の原子が置換されている薬学的に許容できる同位体変異体すべてを含む。開示化合物に含めるのに適している同位体の例には、HおよびHなどの水素の同位体;13Cおよび14Cなどの炭素の同位体;15Nなどの窒素の同位体;17Oおよび18Oなどの酸素の同位体;31Pおよび32Pなどのリンの同位体;35Sなどのイオウの同位体;18Fなどのフッ素の同位体;および36Clなどの塩素の同位体を含むが、これらに限定されるものではない。同位体変異体(例えば、重水素、H)の使用により、より高い代謝安定性、例えば、in vivo半減期の増加または所要用量の低減によるある種の治療上の利点が得られることがある。さらに、開示化合物のある種の同位体変異体は、薬物および/または基質の組織分布研究に有用かもしれない放射性同位体(例えば、トリチウム、H、または14C)を組み入れることができる。
【実施例】
【0094】
以下の実施例は、例示的かつ非限定的であることを意図しており、本発明の具体的実施形態を示している。
【0095】
(実施例1)
2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)および2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式21)の調製
【0096】
【化16】

メカニカルスターラー、温度計、滴下漏斗、窒素注入口、および氷浴を備えた2Lの3つ口フラスコ中の[1,2,3]トリアゾール(90.44g、1.3モル、CHONTECH、式18)および乾燥DMF(1L、BAKERDRY)の溶液に、ナトリウムt−ブチルオキシド(123.5g、1.28モル、ALDRICH)を同じ量で4回に分けて加えた。反応温度は、添加中に17℃まで上昇した。添加後、氷浴を取り外し、反応混合物を室温で40分間攪拌すると、透明な溶液が得られた。この溶液をACN/ドライアイス浴で約−10℃まで冷却した。反応混合物の温度を0℃以下に維持しながら、[1,2,3]トリアゾールのナトリウム塩に18分かけてブロモマロン酸ジエチル(211.6mL、1.18モル、式19)を加えた。添加後、ドライアイス浴を取り外し、反応混合物を室温で24時間攪拌した。反応混合物を水(1L)に注加し、t−BuOMe(3.5L)で抽出した。有機層を、飽和NaHCO(800mL)、飽和NaCl(2×500mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥した。溶媒を除去すると、黄色の油(215g)が得られた。水層を混ぜ合わせ、t−BuOMe(600mL)で再抽出し、上記と同様の方法で処理すると、追加の油(16g)が得られた。この2つの収量を混ぜ合わせると、表題化合物の混合物(231g、86%)が得られた。H−NMRは、N2−とN1−アルキル化異性体(それぞれ、式20および式21の化合物)の比が2.1/1であることを示した。
【0097】
(実施例2〜14)
2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)および2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式21)の調製
【0098】
【化17】

クロロマロン酸ジエチル(式22)による[1,2,3]トリアゾール(式18)のアルキル化についての条件、試薬、およびN2/N1異性体生成物比を表2に列挙する。表2に示した塩基と溶媒の組合せを用い、より小さなスケールであるが、実施例1に記載したのと同様にして各々の反応を行った。さらに、実施例12のみが、[1,2,3]トリアゾールのナトリウム塩のin situでの調製を含んでいた。各々の反応は、クロロマロン酸ジエチルに対してわずかに過剰の[1,2,3]トリアゾール(すなわち、約1.1/1.0モル比)で実行した。表題化合物は、HPLCにより分離し、得られたクロマトグラムの面積を用いてN2−とN1−アルキル化生成物(それぞれ、式20および式21)の比を算出した。
【0099】
【表2】

【0100】
(実施例15〜25)
2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)および2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式21)の調製
ブロモマロン酸ジエチル(式19)による[1,2,3]トリアゾール(ナトリウム、カリウム、およびリチウム塩を含む)のアルキル化についての条件、試薬、およびN2/N1異性体生成物比を表3に列挙する。表3に示した塩基と溶媒の組合せを用い、より小さなスケールであるが、実施例1に記載したのと同様にして各々の反応を行った。さらに、実施例21、22、および24のみが、[1,2,3]トリアゾールのナトリウムまたはカリウム塩のin−situでの調製を含んでいた。各々の反応は、ブロモマロン酸ジエチルに対してわずかに過剰の[1,2,3]トリアゾール(すなわち、約1.1/1.0モル比)で実行した。表題化合物は、HPLCにより分離し、得られたクロマトグラムの面積を用いてN2−とN1−アルキル化生成物(それぞれ、式20および式21)の比を算出した。
【0101】
【表3】

【0102】
(実施例26〜31)
2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)および2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式21)の調製
ブロモマロン酸ジエチル(式19)による[1,2,3]トリアゾール(式18)のアルキル化についての条件(アルキル化剤の添加中および添加後の時間および温度)、試薬(塩基)、N2/N1異性体生成物比、および粗生成物収率を表3に列挙する。各々の反応は、DMF中で実施例1に記載したのと同様にして行った。反応は、ブロモマロン酸ジエチルに対してわずかに過剰の[1,2,3]トリアゾール(すなわち、約1.1/1.0モル比)で実行した。N2−とN1−アルキル化生成物(それぞれ、式20および式21)の比は、プロトンNMRを用いて得た。
【0103】
【表4】

【0104】
(実施例32)
2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステルと2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式21)の混合物からの2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)の単離
【0105】
【化18】

式20および21の化合物の混合物(230g、N2/N1=2.1/1、式21の化合物約0.33モル)に臭化ベンジル(57.4g、0.336モル、ALDRICH)を加え、油浴を用いて63時間、約63℃の温度まで加熱した。H−NMRは、式20の化合物と式21の化合物の比(N2/N1)が12/1であることを示した。追加のBnBr(8mL、0.067モル)を加え、63℃で50時間、引き続き加熱した。H−NMRは、N2/N1が25/1であることを示した。追加のBnBr(3mL)を加え、63℃で17時間加熱した。H−NMRは、N2/N1が41/1であることを示した。反応混合物に酢酸エチル(1.5L)をゆっくりと加えると、フラスコの側面に粘着するゴム状の固体と共にオレンジ色の懸濁液が得られた。CELITEの詰め物を通して懸濁液を濾過し、EtOAc(100mL)で洗浄した。濾液を飽和NaHCO(2×600mL)、飽和NaClで洗浄し、無水MgSOで乾燥した。次いで、溶液をシリカゲルの詰め物(130gのシリカゲル60、カラム:9×3.5cm、OD×H)に通して濾過し、シリカゲルのケーキを酢酸エチル(50mL)で洗浄した。溶媒を除去すると、褐色の油が得られ、それをt−BuOMe(500mL)で希釈すると、透明で褐色の溶液が得られた。この溶液をシリカゲルの詰め物(90gのシリカゲル60、カラム:7.5×3cm、OD×H)に通して再び濾過し、シリカゲルのケーキをt−BuOMe(100mL)で洗浄した。溶媒を除去すると、褐色の油(177.3g)が得られた。H−NMRは、第1と第2のシリカゲル濾過の間で純度のわずかな改善を示した。油を、攪拌しながら20分間、ヘキサン(1L)中で加熱還流した。二層を一夜室温まで冷却して式20の結晶の種を入れると、固形の底層および透明な液状の上層となり、これをデカントして除き保存した。底の固形ケーキをヘキサン(500mL)中に分散させて加熱し、室温まで冷却し、式20の結晶の種を入れると、再び底部の固形層および透明な液状の上層となり、これをデカントして除き保存した。固形ケーキを真空下で乾燥すると、望ましいN2−アルキル化トリアゾール(式20)132.9gが得られた。デカントした液体を一夜冷蔵庫中に保管しておくと、白色の長い針状結晶として追加のN2−アルキル化トリアゾール(5.1g)が得られた。この2つの収量を混ぜ合わせ(合計収率60%)、ジクロロメタンに溶かすことにより均一とし、続いて溶媒を除去した。H−NMRは、N2/N1異性体の比が60/1であることを示した。ブロモマロン酸ジエチルからの2段階総収率は、51.5%であった。H−NMR(CDCl)δ7.73(s,2H)、6.06(s,1H)、4.33(q,J=7.3Hz,2H)、1.30(t,J=7.4Hz,3H)。MS(スキャンAP+)228m/z(M+1,100%)。C13としての計算値:C 47.57、H 5.77、N 18.49;実測値:C 47.54、H 5.64、N 18.21。
【0106】
(実施例33〜46)
2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステルと2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式21)の混合物からの2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)の単離
【0107】
【化19】

2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステルと2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステルの混合物からの2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)を単離するためのアルキル化剤、溶媒、反応の時間および温度、ならびに初期および最終N2/N1比を表5に列挙する。各々のアルキル化および続く分離は、異なるスケールであるが、実施例32に記載の単離方法と同様にして行った。N2−とN1−アルキル化生成物(それぞれ、式20および式21)の比は、プロトンNMRを用いて得た。
【0108】
【表5】

【0109】
(実施例47)
2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式23)および3−(ビス−エトキシカルボニル−メチル)−1−(4−ブロモ−ベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾール−1−イウム(式24)の調製
【0110】
【化20】

2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)および2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式21)(1/0.25、11.1g、48.9mmol)の乾燥THF(100mL)溶液を室温で2時間、4Aモレキュラーシーブ(3g)で乾燥した。次いで、カニューレを介して別の乾燥フラスコに溶液を移した。溶液を氷浴中で冷却し、THFに溶かしたLiHMDS(49.8mL、1M、49.8mmol)を窒素中で滴加した。添加後、暗褐色の溶液を室温に戻し、30分間攪拌した。p−BBB(12.6g、50.3mmol)を一度に加えた。反応混合物を20時間加熱還流した。HPLCは、反応が完了したことを示した。室温まで冷却した後、反応混合物をEtOAc(500mL)で希釈し、水(2×200mL)で洗浄した。水の添加直後に、固体が生成し、その大部分は有機層にとどまった。有機層を飽和NaClで洗浄すると、有機層からより多くの固体が沈殿した。2つの層の分離後、有機懸濁液を濾過すると、白色の固体(1.74g)が得られた。H−NMRは、それが純粋な式24の化合物であることを示した:融点=230℃〜232℃;H−NMR(CDCl)δ8.01(s,1H)、7.73(s,1H)、7.59(d,J=8.6Hz,2H)、7.24(d,J=9Hz,2H)、5.61(s,2H)、4.16(q,J=7.1Hz,4H)、1.26(t,J=7.1Hz,6H);MS(スキャンAP+)396m/z(M+1,100%)。濾液を濃縮すると、褐色のペーストが得られた。このペーストをt−BuOMe/ヘキサン(200mL/70mL)中で加熱還流した。室温まで冷却した後、得られた懸濁液を濾過すると、褐色の固体(1.17g)が得られた。H−NMRは、その大部分が式24の化合物であることを示した。単離された式24の化合物の総量は、約15%であった。続いて、濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると、褐色の油として式23の化合物(12.1g、62%)が得られた。
【0111】
(実施例48)
2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式23)および2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式25)の調製
【0112】
【化21】

2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)および2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式21)(1.5/1、2.25g、9.9mmol)、p−BBB(2.6g、10.4mmol)、ならびにBuNBr(0.32g、0.99mmol)のトルエン(25mL)溶液にNaOH溶液(50wt%、1.19g、14.9mmol)を加えた。混合物を、攪拌しながら2時間、75℃まで加熱した。追加の水(0.9mL)を加え、混合物を75℃で1時間、引き続き加熱した。HPLCは、反応が完了したことを示した。混合物を水(20mL)およびEtOAc(20mL)で希釈した。有機層を水(20mL)、飽和NaClで洗浄し、無水MgSOで乾燥した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した。ヘキサン/EtOAc(4/1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより油を精製すると、無色の油(後に固化した)として式23の化合物(1.92g、49%)が得られた。H−NMR(CDCl)δ7.70(s,2H)、7.31(d,J=8.3Hz,2H)、7.03(d,J=8.5Hz,2H)、4.24(q,J=7.1Hz,4H)、3.94(s,2H)、1.19(t,J=7.3Hz,6H)。MS(スキャンAP+)396m/z(M+1,100%)。C1618BrNとしての計算値:C 48.50、H 4.58、N 10.60;実測値:C 48.52、H 4.35、N 10.42。ヘキサン/EtOAcを蒸発させると、白色の固体として式25の化合物(0.79g、20%)が得られた:融点=50℃〜53℃;H−NMR(CDCl)δ7.87(s,1H)、7.62(s,1H)、7.29(d,J=8.3Hz,2H)、6.61(d,J=8.5Hz,2H)、4.31(q,J=7.3Hz,4H)、3.89(s,2H)、1.28(s,6H);MS(スキャンAP+)396m/z(M+1,100%);C1618BrNとしての計算値:C 48.50、H 4.58、N 10.60;実測値:C 48.44、H 4.29、N 10.02。
【0113】
(実施例49)
トリアゾリウム形成を介する2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステルと2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式25)の混合物からの2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式23)の精製
【0114】
【化22】

2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式23)と2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−1−イル−マロン酸ジエチルエステル(式25)の混合物(1.5/1、1.71g、式25約1.7mmol)に臭化ベンジル(0.37g、2.2mmol)を加え、60℃で14時間、次いで70℃で4時間加熱した。追加のBnBr(0.1g、0.56mmol)を加え、混合物を70℃で6時間、引き続き加熱した。褐色の反応溶液をt−BuOMe(30mL)で希釈し、10分間加熱還流した。一夜室温まで冷却した後、フラスコの底に粘着する固体と共に懸濁液が形成した。上部の透明な溶液をデカントし、溶媒を除去すると、褐色の油(1.02g、回収60%)が得られた。H−NMRは、式23と25の化合物の比が10/1であることを示した。
【0115】
(実施例50)
2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式23)の調製
【0116】
【化23】

2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式20)(138g、0.608モル)の乾燥DMF(400mL)溶液に無水炭酸カリウム(100.8g、0.73モル、粉末)を加え、20分間攪拌した。懸濁液を氷浴中(約20℃)で冷却した。この懸濁液に、p−BBB(136.7g、0.547モル)と、続いてBuNBr(19.6g、0.061モル)を加えた。続いて、水浴を取り外し、反応物を室温で20時間攪拌した。HPLCは、すべての出発物質(式20)が消失したことを示した。反応混合物をt−BuOMe(2L)で希釈し、水(2×1L)、飽和NaClで洗浄し、無水MgSOで乾燥した。溶媒を除去し、褐色の油としての式23の化合物(232.4g、107%)とした。生成物は、実施例51で直接使用した。H−NMR(CDCl)δ7.66(s,2H)、7.28(d,J=8.5Hz,2H)、7.00(d,J=8.8Hz,2H)、4.21(q,J=7.0Hz,4H)、3.91(s,2H)、1.16(t,J=7.0Hz,6H)。MS(スキャンAP+)396m/z(M+1,100%)。C1618BrNとしての計算値:C 48.5、H 4.58、N 10.60;実測値:C 48.36、H 4.61、N 10.18。
【0117】
(実施例51)
2−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−ベンジル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(式28)の調製
【0118】
【化24】

窒素をパージした2Lの3つ口丸底フラスコに9−BBN二量体(70.5g、0.58モル;注意:9−BBN二量体は可燃性であり、空気に触れた場合に自然発火することがある)を加えた。THF(200mL)を加え、混合物を攪拌すると懸濁液が得られた。2−メチル−3−アリル−5−フェニルオキサゾール(109.6g、0.55モル、CAMBRIDGE MAJOR、Lot 205−80−3a、式26)のTHF(800mL)溶液を窒素中で加えた。混合物を、窒素中室温で18時間攪拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)およびH−NMRは、多少のアリルオキサゾールが存在することを示した。追加の9−BBN二量体(4.6g、0.038モル)を加え、溶液を引き続き6時間攪拌した。H−NMRは、微量のアリルオキサゾールのみを示した。
【0119】
メカニカルスターラー、温度計、および窒素注入口を備えた3Lの別の3つ口丸底フラスコでは、2−(4−ブロモ−ベンジル)−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(212.4g、0.5モル、式23)、PdCl(dppf)(8.17g、10mmol)、トリフェニルアルシン(6.12g、20mmol)、およびDMF(1L)を加えた。攪拌しながら、この混合物に無水CsCO(195.5g、0.6モル)を加えた。次いで、懸濁液中に窒素を10分間バブルさせた。水(100mL)を加え、引き続き20分間、窒素をバブルさせた。上記で調製した9−BBN付加物のTHF溶液を、窒素中PTFE管を通して加えた。次いで、懸濁液を室温で1時間、次いで35℃で5時間攪拌した。質量分析法(MS)は、少量の生成物が生成したに過ぎないことを示した。追加のPdCl(dppf)(8.17g、10mmol)およびトリフェニルアルシン(6.12g、20mmol)を加え、懸濁液を35℃で12時間、引き続き攪拌した。TLCおよびMSは、反応が完了したことを示した。
【0120】
反応固体を濾過によって除去し、濾過ケーキをTHF(3×150mL)で洗浄した。ロータリーエバポレーターで濾液を濃縮し、大部分のTHFを除去した。濃縮物をt−BuOMe(3L)で希釈し、水(2×1L)で洗浄した。水層をt−BuOMe(800mL)で抽出し直した。有機層を混ぜ合わせ、飽和NaCl(2×1L)で洗浄し、無水MgSOで乾燥した。次いで、溶液を活性炭(20g)と共に攪拌し、30分間加熱還流した。室温まで冷却した後、CELITEに通して濾過することにより炭を除去した。濾液を約500mLまで濃縮し、ヘキサン(250mL)で希釈した。混合物をシリカゲルの詰め物(180gのシリカゲル60、カラム:9×5cm、OD×H、重力濾過)に通して濾過し、t−BuOMe/ヘキサン(1/1、1L)で洗浄した。濾液を濃縮すると、褐色の油として粗製の2−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−ベンジル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(353.6g)が得られた。この生成物を実施例52で直接使用した。
【0121】
(実施例52)
(S/R)−3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸(式29)の調製
【0122】
【化25】

粗製の2−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−ベンジル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−マロン酸ジエチルエステル(約0.5モル、式28)のTHF(1.5L)溶液に、LiOH一水和物(52.5g、1.25モル)の水(500mL)溶液を加えた。反応温度は、添加後に34℃まで上昇し、約30℃で1時間保った。添加後3時間攪拌すると、HPLCは、約90%の加水分解を示した。水(200mL)に溶かした追加のLiOH一水和物(10.5g、0.25モル)を加え、室温でさらに16時間、引き続き攪拌した。HPLCは、すべての出発原料が消失したことを示した。ロータリーエバポレーターを用いてTHFを除去すると、オレンジ色の懸濁液が得られた。水(2L)を加え、20分間攪拌した。濾過によって固体を除去した。濾液(3L)をEtOAc(2L、1.7L、次いで1.2L)で抽出した。最後の抽出は、2層を分離する前に一夜放置した。続いて、2時間にわたり濃HCl(120mL)をゆっくりと加えることにより、水層をpH2まで酸性化した。懸濁液を氷浴中で約10℃まで冷却し、さらに30分間攪拌した。濾過によって固体を集め、水(2×300mL)で洗浄し、真空下で乾燥すると、黄色の固体(176g)が得られた。その固体をACN(200mL)中でスラリー化し、20分間加熱した。室温まで冷却した後、濾過によって固体を集めた。濾過ケーキをアセトニトリル(80mL)で洗浄し、真空下で乾燥すると、わずかに黄色の固体として(S/R)−3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸(163g、3段階の総収率78%)が得られた:H−NMR(DMSO−d6)δ13.34(s,1H)、7.84(d,J=8.1Hz,2H)、7.69(s,2H)、7.42(m,3H)、6.95(m,4H)、5.59(m,1H)、3.43(dd,2H)、2.46(m,2H)、2.34(t,J=7.3Hz,2H)、1.77(p,J=7.5Hz,2H)。MS(スキャンAP+)417m/z(M+1,100%)。C2424としての計算値:C 69.21、H 5.81、N 13.45;実測値:C 68.99、H 5.69、N 13.27;Pd含有量:283ppm。
【0123】
(実施例53)
(S)−3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸(式30)
【0124】
【化26】

(S/R)−3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸(100g、0.24モル、式29)は、キラル分離によって単離した。キラル分離には、50×10cmIDプレパックCHIRALPAK AD(20μm粒子)カラムおよび275mL/minの速度における75:25:0.1 n−ヘプタン/ETOH/TFAの移動層を使用した。クロマトグラフィー分離後、0.2%EtNを用いてカラム溶出液中のTFAを中和し、式30の化合物のエチルエステルの形成を防いだ。減圧下でロータリーエバポレーターを用いてカラム溶出液中の望ましい鏡像体を濃縮すると、黄色の油としてキラル純度95.5%e.e.の(S)−3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸(式30)の粗製EtN塩(合計232g)が得られた。油の中の主な副生成物は、TFAのEtN塩であった。
【0125】
式30の化合物の粗製EtN塩を3ロット(10.79g、11.16g、209.97g)で精製した。粗製EtN塩(209.97g)を水(1L)で希釈し、続いてEtOAc(600mL)を加えた。溶液のpHが3.93に達するまで、攪拌しながら塩酸(1M、約58mL)をゆっくりと加えた。2つの層を分離し、水層をEtOAc(100mL)で抽出し直した。有機層を混ぜ合わせ、水(120mL)、飽和NaClで洗浄し、無水MgSOで乾燥した。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去すると、白色の泡(46.6g)が得られた。H−NMRは、トリエチルアミンの消失を示し、19F−NMRは、TFAの消失を示した。加熱しながら白色の泡をACN(400mL)に溶かした。続いて、溶液を約2.5時間で40℃まで冷却し、40℃で3時間維持し、35℃まで冷却して35℃で3時間維持し、最後に一夜室温まで冷却した。固体を濾過によって集め、ACN(50mL)で洗浄し、真空下で乾燥すると、結晶性の白色固体として(S)−3−{4−[3−(5−メチル−2−フェニル−オキサゾール−4−イル)−プロピル]−フェニル}−2−[1,2,3]トリアゾール−2−イル−プロピオン酸(36.29g)が得られた。キラルHPLCは、100%e.e.を示した。3ロットからの精製材料を混ぜ合わせると、表題化合物39.96g(回収率79.9%)が得られた。H−NMR(DMSO−d6)δ13.36(s,1H)、7.87(d,J=8.0Hz,2H)、7.71(s,2H)、7.44(m,3H)、6.98(m,4H)、5.61(m,1H)、3.45(dd,2H)、2.48(m,2H)、2.37(t,J=7.3Hz,2H)、1.79(p,J=7.6Hz,2H)。MS(スキャンAP+)417m/z(M+1,100%)。C2424としての計算値:C 69.21、H 5.81、N 13.45;実測値:C 69.46、H 5.77、N 13.28;Pd含有量:7ppm、B含有量:5ppm、Fe含有量:6ppm;キラル純度:99.22%;親化合物パーセント(percent parent):99.0%。
【0126】
3ロットからの混ぜ合わせた母液を濃縮すると、黄色の固体(8.28g)が得られた。上述のようにACN(105mL)から固体をゆっくりと再結晶した。固体を濾過によって集めると黄色の結晶性固体(3.08g、キラルHPLCにより29%e.e.)が得られた。母液を濃縮すると、黄色の結晶(5.47g、キラルHPLCにより97%e.e.)が得られた。
【0127】
当然のことながら、上記の説明は例示的であって限定的ではないことを意図している。上記の説明を読めば、当業者には多くの実施形態が明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲を参照し、そのような特許請求の範囲としての資格のある相当物の全範囲と一緒に決定されるべきである。特許出願および特許公開を含むすべての論文および参考文献の開示は、すべての目的に対して参照により全体として本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物、または薬学的に許容できるその塩、エステル、アミド、もしくはプロドラッグを製造する方法であって、
【化1】

[式中、RおよびRは、独立して水素、ハロゲン、アリール、ベンゾイル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルカノイル、C1〜6ハロアルカノイル、またはC3〜7シクロアルカノイルであり、
およびRは、同一または異なってもよい電子吸引基であり、
Eは、C1〜6アルキレンオキシ、C1〜6アルキレンアミノ、C1〜6アルキレンチオ、C1〜6アルカンジイル、C1〜6アルケンジイル、またはC1〜6アルキンジイルであり、および
Aは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、各々は、ひとつまたは複数の水素でない置換基を有してもよいが、ただし、Aが、5員ヘテロアリーレン基である場合、Aは、ヘテロ原子を介してEと結合していない。]
(a)式2の[1,2,3]トリアゾール塩を、
【化2】

式3の化合物と反応させ、
【化3】

式4の化合物を得るステップと、
【化4】

[式中、R、R、R、およびRは、式1について上記で定義した通りであり、Mは、対イオンであり、Xは、脱離基である。]
(b)式4の化合物を式7の化合物と反応させ、
【化5】

式8の化合物を得るステップと、
【化6】

[式中、R、R、R、RおよびAは、式1について上記で定義した通りであり、Xは、脱離基であり、Xは、脱離基またはヒドロキシ、アミノ、もしくはチオを含む求核基である。]
(c)式8の化合物を式9の化合物とカップリングさせて式1の化合物を得るステップと、
【化7】

[式中、Xは、C1〜6ヒドロキシアルキル、C1〜6オキソアルキル、C1〜6ハロアルキル、C2〜6アルケニル、またはC2〜6アルキニルである。]
(d)式1の化合物を薬学的に許容できる塩、エステル、アミド、またはプロドラッグに場合により変換するステップとを含む方法。
【請求項2】
式2におけるRとRが共に水素であり、式2におけるMが1族または2族金属イオンであるか、あるいは式2におけるRとRが共に水素であり、式2におけるMが1族または2族金属イオンである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式3におけるRおよびRが、独立してシアノ、C1〜6アルカノイル、カルボキシ、C1〜6アルコキシカルボニル、カルバモイル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、C1〜6ジアルキルアミノカルボニル、スルホニルアミノカルボニル、C1〜6アルキルスルホニルアミノカルボニル、N−C1〜6アルキルスルホニル−N−C1〜6アルキルアミノカルボニル、またはC1〜6アルキルスルホニルであるか、あるいはRおよびRが、RおよびRが結合する炭素と共にβ−ジカルボニル部分を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
およびRを加水分解して1対のカルボキシ基を得るステップと、
酸と接触させることによってカルボキシ基の1つを除去するステップとをさらに含み、式3におけるRとRは共にC1〜6アルコキシカルボニルである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式3の化合物は、マロン酸ジメチルまたはマロン酸ジエチルの誘導体を含むマロン酸ジアルキルエステルであるか、あるいはアセト酢酸エチルを含む3−オキソ−C4〜9アルカン酸C1〜6アルキルエステルである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(a)光延条件の下で式8および式9の化合物をカップリングさせて式1の化合物を得るステップ(式1におけるEは、C1〜6アルキレンオキシであり、式8におけるXは、ヒドロキシであり、式9におけるXは、C1〜6ヒドロキシアルキルである)、
(b)塩基の存在下で式8および式9の化合物をカップリングさせて式1の化合物を得るステップ(式1におけるEは、C1〜6アルキレンオキシまたはC1〜6アルキレンチオであり、式8におけるXは、ヒドロキシまたはチオであり、式9におけるXは、C1〜6ハロアルキルである)、
(c)触媒量の酸の存在下で式8および式9の化合物を反応させてイミン中間体を形成し、さらに
イミン中間体を還元して式1の化合物を得るステップ(式1におけるEは、C1〜6アルキレンアミノであり、式8におけるXは、アミノであり、式9におけるXは、C1〜6オキソアルキルである)、
(d)有機金属触媒の存在下で式8および式9の化合物をカップリングさせて式1の化合物を得るステップ(式1におけるEは、C1〜6アルケンジイルまたはC1〜6アルキンジイルであり、式8におけるXは、脱離基であり、式9におけるXは、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルキニルである)、または
(e)式9の化合物をヒドロホウ素化剤と反応させてアルキルまたはアルケニル付加物を形成し、さらに
Pd触媒の存在下でアルキルまたはアルケニル付加物を式8の化合物と反応させて式1の化合物を得るステップ(式1におけるEは、C1〜6アルカンジイルまたはC1〜6アルケンジイルであり、式8におけるXは、脱離基であり、式9におけるXは、C2〜6アルケニルまたはC2〜6アルキニルである)
のうち1つのステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
式4の化合物を製造する方法であって、
【化8】

[式中、RおよびRは、独立して水素、ハロゲン、アリール、ベンゾイル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルカノイル、C1〜6ハロアルカノイル、またはC3〜7シクロアルカノイルであり、RおよびRは、同一または異なってもよい電子吸引基である。]
式2の[1,2,3]トリアゾール塩を、
【化9】

式3の化合物と反応させ、
【化10】

式4の化合物を得るステップ[式中、R、R、R、およびRは、式4について上記で定義した通りであり、Mは、対イオンであり、Xは、脱離基である。]を含む方法。
【請求項8】
式4、
【化11】

または式8
【化12】

のN2−アルキル化トリアゾールを、
式5、
【化13】

または式14
【化14】

の少なくともひとつのN1−アルキル化トリアゾールを含むN−アルキル化トリアゾールの混合物において濃縮する方法であって、
[式中、RおよびRは、独立して水素、ハロゲン、アリール、ベンゾイル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルカノイル、C1〜6ハロアルカノイル、またはC3〜7シクロアルカノイルであり、
およびRは、同一または異なってもよい電子吸引基であり、
Aは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、各々は、ひとつまたは複数の水素でない置換基を有してもよく、および、
は、脱離基またはヒドロキシ、アミノ、もしくはチオを含む求核基である。]
(a)N−アルキル化トリアゾールの混合物をアルキル化剤と反応させ、少なくともひとつのN1−アルキル化トリアゾールをひとつまたは複数のN1,N3−ビスアルキル化トリアゾリウム中間体に変換するステップと、
(b)溶液中にN2−アルキル化トリアゾールを残しながら、ひとつまたは複数のN1,N3ビスアルキル化トリアゾリウム中間体を溶液から沈殿させて取り除くのに適している溶媒に、ひとつまたは複数のN1,N3ビスアルキル化トリアゾリウム中間体を接触させるステップと、
(c)沈殿を場合により濾過して取り除くステップとを含む方法。
【請求項9】
式4の化合物、
【化15】

または式8の化合物。
【化16】

[式中、RおよびRは、独立して水素、ハロゲン、アリール、ベンゾイル、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルカノイル、C1〜6ハロアルカノイル、またはC3〜7シクロアルカノイルであり、
およびRは各々、シアノ、C1〜6アルカノイル、カルボキシ、C1〜6アルコキシカルボニル、カルバモイル、C1〜6アルキルアミノカルボニル、C1〜6ジアルキルアミノカルボニル、スルホニルアミノカルボニル、C1〜6アルキルスルホニルアミノカルボニル、N−C1〜6アルキルスルホニル−N−C1〜6アルキルアミノカルボニル、またはC1〜6アルキルスルホニルを含む同一または異なってもよい電子吸引基であるが、ただし、RおよびRは、両方がメトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルではなく、
Aは、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり、各々は、ひとつまたは複数の水素でない置換基を有してもよく、および、
は、脱離基またはヒドロキシ、アミノ、もしくはチオを含む求核基である。]
【請求項10】
およびRは、RおよびRが結合する炭素と共にβ−ジカルボニル部分を含んでいる請求項9に記載の化合物。

【公表番号】特表2007−516171(P2007−516171A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516572(P2006−516572)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002058
【国際公開番号】WO2005/000841
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】